説明

不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】選択トランジスタの閾値が安定した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置1において、シリコン基板11に複数本のSTI17を形成して、シリコン基板11の上層部分を複数本のアクティブエリアAAに区画する。また、アクティブエリアAA上にトンネル絶縁膜14及び電荷蓄積膜15を設け、STI17を覆うようにブロック絶縁膜18を設け、その上にワード電極WL及び選択ゲート電極SGを設ける。そして、STI17の上面17aにおける選択ゲート電極SGの直下域を、ワード電極WLの直下域よりも上方に位置させることにより、アクティブエリアAAの角部と選択ゲート電極SGとの間の最短距離を、アクティブエリアAAの角部とワード電極WLとの間の最短距離よりも長くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関し、特に、絶縁膜に電荷を蓄積することによってデータを記憶するNAND型の不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データを電気的に書込消去することができる不揮発性半導体記憶装置の一種として、絶縁膜中に電荷をトラップさせることでデータを記憶する電荷トラップ型不揮発性メモリが知られている。このようなメモリとして、例えば、MONOS(金属電極−酸化膜−シリコン窒化膜−酸化膜−半導体基板)構造のトランジスタをメモリセルトランジスタに適用したMONOS型メモリが知られている。このMONOS型メモリにおいては、半導体基板上に形成した酸化膜を通じてシリコン窒化膜に電子を注入して電荷捕獲位置に電子をトラップさせたり、正孔を注入してトラップされていた電子を消滅させることにより、セルトランジスタの閾値を制御し、これによってデータを記憶することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような電荷蓄積部として絶縁膜を用いる電荷トラップ型不揮発性メモリは、電荷蓄積部として導電性の浮遊ゲートを用いる浮遊ゲート型不揮発性メモリと比較して、電荷蓄積部が絶縁膜であるため、電荷蓄積部間の容量結合による隣接セルへの干渉がなく、セル面積の微細化に適している。
【0004】
しかしながら、このような電荷トラップ型不揮発性メモリにおいては、メモリストリングを選択する選択トランジスタにもメモリセルトランジスタと同じ構造のゲート絶縁膜が用いられており、従って、選択トランジスタのゲート絶縁膜にも電荷蓄積膜が設けられている。このため、データの読出動作を多数回行うと、読出動作時に選択トランジスタのゲート電極に印加される電圧ストレスによって、選択トランジスタの電荷蓄積膜に電荷が注入されてしまい、選択トランジスタの閾値が経時的に変動し、誤動作が生じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−221589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、選択トランジスタの閾値が安定した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、上層部分が第1方向に延びる複数本の半導体部分に区画された半導体基板と、前記半導体部分上に設けられた電荷蓄積膜と、前記半導体基板上に設けられ、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるワード電極と、前記半導体基板上における前記第1方向における前記ワード電極の両側に設けられ、前記第2方向に延びる一対の選択ゲート電極と、を備え、前記第2方向に平行な断面において、前記半導体部分の角部と前記選択ゲート電極との間の最短距離は、前記半導体部分の角部と前記ワード電極との間の最短距離よりも長いことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置が提供される。
【0008】
本発明の他の一態様によれば、半導体基板上に電荷蓄積膜を形成する工程と、前記電荷蓄積膜上にパッド絶縁膜を形成する工程と、前記パッド絶縁膜、前記電荷蓄積膜及び前記半導体基板の上層部分内に第1方向に延びる複数本の素子分離絶縁膜を形成することにより、前記パッド絶縁膜及び前記電荷蓄積膜を前記第1方向に対して交差する第2方向に分断すると共に、前記上層部分を第1方向に延びる複数本の半導体部分に区画する工程と、前記素子分離絶縁膜の上部を除去する工程と、前記パッド絶縁膜を除去すると共に、前記第1方向における前記素子分離絶縁膜の第1部分の上部をさらに除去する工程と、絶縁材料を堆積させて、前記電荷蓄積膜及び前記素子分離絶縁膜を覆うブロック絶縁膜を形成する工程と、前記第1部分上に前記第2方向に延びるワード電極を形成すると共に、前記第1方向において前記第1部分を挟む前記素子分離絶縁膜の第2部分上に前記第2方向に延びる選択ゲート電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の一態様によれば、半導体基板の上面における相互に離隔した一対の領域に酸化膜を形成する工程と、酸化処理を施して、前記半導体基板の上面における前記一対の領域によって挟まれる領域にトンネル絶縁膜を形成すると共に、前記一対の領域において前記酸化膜を成長させて前記トンネル絶縁膜よりも厚いボトム絶縁膜を形成する工程と、前記トンネル絶縁膜上及び前記ボトム絶縁膜上に電荷蓄積膜を形成する工程と、前記電荷蓄積膜、前記トンネル絶縁膜、前記ボトム絶縁膜及び前記半導体基板の上層部分内に、前記一対の領域間をつなぐ複数本のトレンチを形成することにより、前記上層部分を第1方向に延びる複数本の半導体部分に区画する工程と、前記トレンチ内に絶縁物を埋め込む工程と、前記電荷蓄積膜をエッチング調整用の膜として用いてエッチングを施すことにより、前記絶縁物の上部を除去し、前記絶縁物の残部を素子分離絶縁膜とする工程と、絶縁材料を堆積させて、前記電荷蓄積膜及び前記素子分離絶縁膜を覆うブロック絶縁膜を形成する工程と、前記ブロック絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、前記導電膜、前記ブロック膜、前記電荷蓄積膜を前記第1方向に分断して、前記トンネル絶縁膜の直上域に前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるワード電極を形成すると共に、前記ボトム絶縁膜の直上域に前記第2方向に延びる選択ゲート電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、選択トランジスタの閾値が安定した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する平面図である。
【図2】(a)は図1に示すA−A’線による断面図であり、(b)は図1に示すB−B’線による断面図である。
【図3】図1に示すC−C’線による断面図である。
【図4】図1に示すD−D’線による断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図12】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図14】(a)及び(b)は、第1の実施形態の作用効果を例示する断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rstを示す。
【図15】(a)及び(b)は、第1の実施形態の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rstを示す。
【図16】(a)及び(b)は、第1の実施形態の第1の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置における電界分布のシミュレーション結果を例示する模式的断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rstを示す。
【図17】第1の実施形態の第2の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する断面図である。
【図18】(a)及び(b)は、トンネル絶縁膜中の電界強度を例示する三次元グラフ図であり、(a)は第1の実施形態に係る装置を示し、(b)は第2の変形例に係る装置を示す。
【図19】(a)及び(b)は、横軸に時間をとり、縦軸にしきい値電圧をとって、メモリセルの特性を示すグラフ図であり、(a)は書込特性を示し、(b)は消去特性を示す。
【図20】(a)及び(b)は、横軸に保持時間をとり、縦軸にしきい値電圧の変化幅をとって、メモリセルの電荷保持特性を示すグラフ図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示するメモリストリング方向に平行な断面図である。
【図22】(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する電極方向に平行な断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rsgを示す。
【図23】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図24】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図25】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図26】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図27】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図28】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図29】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図30】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図31】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図32】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図33】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図34】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図35】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図36】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する平面図であり、
図2(a)は図1に示すA−A’線による断面図であり、(b)は図1に示すB−B’線による断面図であり、
図3は、図1に示すC−C’線による断面図であり、
図4は、図1に示すD−D’線による断面図である。
なお、図1においては、図示の便宜上、後述する層間絶縁膜、コンタクト及びビット線は省略されている。
【0013】
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置1(以下、単に「装置1」ともいう)は、MONOS型NANDフラッシュメモリである。装置1においては、シリコン基板11が設けられている。また、装置1においては、データを記憶するメモリアレイ部と、メモリアレイ部を駆動する周辺回路部が設けられている。メモリアレイ部には複数のメモリセルが設けられている。本実施形態に係る装置1は、メモリアレイ部の構成に特徴がある。従って、周辺回路部の構成は説明を省略する。
【0014】
以下、メモリアレイ部の構成について説明する。
メモリアレイ部においては、メモリセル領域Rmcが設定されており、メモリセル領域Rmcを挟む領域には、一対の選択トランジスタ領域Rstが設定されている。以下、シリコン基板11の上面に平行な方向のうち、選択トランジスタ領域Rst、メモリセル領域Rmc及び選択トランジスタ領域Rstの配列方向を「メモリストリング方向」といい、メモリストリング方向に対して直交する方向を「電極方向」という。また、シリコン基板11の上面に対して垂直な方向を「高さ方向」という。
【0015】
シリコン基板11の上層部分にはNウェル12が形成されており、Nウェル12の上層部分の一部にはPウェル13が形成されている。また、シリコン基板11の上面には、シリコン酸化物(SiO)からなるトンネル絶縁膜14が形成されている。トンネル絶縁膜14は、通常は絶縁性であるが、装置1の駆動電圧の範囲内にある所定の電圧が印加されるとトンネル電流を流す膜である。トンネル絶縁膜14は例えば熱酸化処理によって形成されたものであり、膜厚は例えば0.5〜10nm(ナノメートル)であり、例えば4nmである。
【0016】
メモリセル領域Rmcにおいては、トンネル絶縁膜14上に、電極方向に延びる複数本のメモリセル積層体MMが設けられている。また、各選択トランジスタ領域Rstにおいては、トンネル絶縁膜14上に、電極方向に延びる1本の選択トランジスタ積層体TMが設けられている。すなわち、メモリストリング方向において、一対の選択トランジスタ積層体TMの間に、複数本のメモリセル積層体MMが配置されている。
【0017】
各メモリセル積層体MM及び選択トランジスタ積層体TM(以下、総称して「帯状積層体」ともいう)においては、下層側から順に、シリコン窒化物(SiN)からなり膜厚が例えば3〜50nm、例えば5nmの電荷蓄積膜15、アルミナ(Al)からなり膜厚が例えば3〜50nm、例えば10nmのブロック絶縁膜18、不純物を含む導電性のポリシリコンからなり膜厚が例えば50nmのポリシリコン膜19、及びコバルトシリサイドからなる合金層20が積層されている。
【0018】
電荷蓄積膜15は電荷を保持する能力がある膜であり、例えば、電子のトラップサイトを含む膜である。ブロック絶縁膜18は、装置1の駆動電圧の範囲内で電圧が印加されても実質的に電流を流さない膜であり、例えば、トンネル絶縁膜14、電荷蓄積膜15及び後述するSTI17よりも誘電率が高い材料で形成されている。また、ポリシリコン膜19及び合金層20により、メモリセル積層体MMにおいてはワード電極WLが構成されており、トランジスタ積層体TMにおいては選択ゲート電極SGが構成されている。すなわち、ワード電極WL及び選択ゲート電極SG(以下、総称して「電極」ともいう)は共に電極方向に延びており、メモリストリング方向に沿って配列された複数本のワード電極WLからなる群の両側に一対の選択ゲート電極SGが設けられている。ポリシリコン膜19にはアクセプタとなる不純物(p型不純物)が高濃度にドープされており、その導電型はp型であり、膜厚は例えば10〜500nmである。また、合金層20は例えば金属シリサイドにより形成されており、例えばコバルトシリサイド(CoSi)により形成されている。
【0019】
一方、シリコン基板11の上層部分には、メモリストリング方向に延びる複数本のトレンチ16が形成されている。このトレンチ16内にシリコン酸化物が埋め込まれていることにより、STI(shallow trench isolation:素子分離絶縁膜)17が形成されている。これにより、Pウェル13の上層部分は、STI17によって電極方向に分断され、メモリストリング方向に延びる複数本のアクティブエリアAA(半導体部分)に区画されている。そして、各アクティブエリアAAにおける帯状積層体間の直下域の領域には、不純物が拡散したソース・ドレイン領域21が形成されている。すなわち、各アクティブエリアAAにおいては、メモリストリング方向に沿って複数のソース・ドレイン領域21が断続的に形成されている。ソース・ドレイン領域21の導電型は例えばN型である。
【0020】
STI17の上部はシリコン基板11の上面から突出し、帯状積層体の下部に食い込んでいる。そして、本実施形態においては、STI17のシリコン基板11からの突出の程度が、メモリセル領域Rmcと選択トランジスタ領域Rstとで異なっている。すなわち、選択トランジスタ領域RstにおけるSTI17の上面17aは、メモリセル領域RmcにおけるSTI17の上面17aよりも高い位置にある。例えば、メモリセル領域Rmcにおいては、STI17の上面17aは電荷蓄積膜15の上面15aとほぼ同じ高さにあるが、選択トランジスタ領域Rstにおいては、STI17の上面17aは電荷蓄積膜15の上面15aよりも上方にある。従って、図2(b)に示すように、選択トランジスタ領域Rstにおいては、STI17は電荷蓄積膜15の上面15aから上方に向けて突出しており、ブロック絶縁膜18はこの突出部分の形状を反映して湾曲している。換言すれば、STI17(素子分離絶縁膜)の上面17aにおける選択ゲート電極SGの直下域は、ワード電極WLの直下域よりも上方に位置している。なお、図2(b)においては、ブロック絶縁膜18の上面には角部が形成されているように描かれているが、ブロック絶縁膜18の上面は丸みを帯びていてもよい。
【0021】
トンネル絶縁膜14上には、帯状積層体を埋め込むように、層間絶縁膜23が設けられている。例えば、層間絶縁膜23は、下層側から順に、膜厚が50nmのシリコン酸化膜、膜厚が30nmのシリコン窒化膜及び膜厚が350nmのシリコン酸化膜が積層されて構成されている。メモリストリング方向に配列された1組の帯状積層体の外側においては、層間絶縁膜23中にシリコン基板11に到達するコンタクトホール24が形成されている。コンタクトホール24の内部には、タングステン(W)等の金属からなる芯材の周囲がチタン窒化膜により被覆されたコンタクト25が埋設されている。コンタクト25はアクティブエリアAA毎に1対ずつ設けられており、その下端はアクティブエリアAAに接続されている。層間絶縁膜23上にはメモリストリング方向に延びるビット線26が設けられており、コンタクト25の上端に接続されている。また、層間絶縁膜23上には、ビット線26を覆うように、層間絶縁膜27が設けられている。
【0022】
本実施形態に係る装置1においては、アクティブエリアAAとワード電極WLとの最近接点毎に、MONOS型のトランジスタからなるメモリセルが形成される。そして、メモリストリング方向に沿って配列され、アクティブエリアAAを共有する複数のメモリセルによってメモリストリングが構成されている。一方、選択ゲート電極SGとアクティブエリアAAとの最近接点毎に、選択トランジスタが形成されている。これにより、メモリストリングの両端部に選択トランジスタが接続されている。そして、メモリストリング方向に延びるアクティブエリアAAが複数本形成されており、電極方向に延びるワード電極WLがこれらのアクティブエリアAAを跨ぐように複数本配設されていることにより、メモリアレイ部には複数個のメモリセルがマトリクス状に配列されている。
【0023】
次に、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図5〜図13は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図であり、各図の(a)は図1に示すA−A’線による断面図に相当し、各図の(b)は図1に示すB−B’線による断面図に相当し、各図の(c)は図1に示すC−C’線による断面図に相当する。
本実施形態に係る製造方法は、メモリセルと選択トランジスタとの作り分けに特徴がある。従って、メモリアレイ部と周辺回路部の作り分けのプロセス及びバックエンドプロセスについての詳細な説明は省略する。
【0024】
先ず、図5(a)〜(c)に示すように、シリコン基板11を準備する。次に、シリコン基板11上に、例えば熱酸化法により、犠牲酸化膜31を形成する。次に、シリコン基板11の上面側から不純物を注入してシリコン基板11の上層部分にNウェル12を形成する。その後、チャネルインプラとなる不純物の注入を行い、Nウェル12の上層部分の一部にPウェル13を形成する。
【0025】
次に、図6(a)〜(c)に示すように、フッ化水素(HF)系の薬液を使用して犠牲酸化膜31(図4参照)を除去し、シリコン基板11を露出させる。その後、熱酸化処理を行い、シリコン基板11の上面に、シリコン酸化物(SiO)からなるトンネル絶縁膜14を例えば4nmの厚さに形成する。
【0026】
次に、図7(a)〜(c)に示すように、トンネル絶縁膜14上に、シリコン窒化物(SiN)を例えば5nmの厚さに堆積させて電荷蓄積膜15を形成し、シリコン酸化物を例えば5nmの厚さに堆積させてパッド酸化膜32を形成し、アモルファスシリコン(α−Si)を例えば30nmの厚さに堆積させてパッドシリコン膜33を形成し、シリコン窒化物を例えば70nmの厚さに堆積させてパッド窒化膜34を形成する。
【0027】
次に、リソグラフィ技術により、パッド窒化膜34、パッドシリコン膜33、パッド酸化膜32、電荷蓄積膜15、トンネル絶縁膜14及びPウェル13の上層部分を選択的に除去し、メモリストリング方向に直線状に延びる複数本のトレンチ16を形成する。トレンチ16は、一方の選択トランジスタ領域Rstからメモリセル領域Rmcを通過して他方の選択トランジスタ領域Rstまで到達するように形成する。
【0028】
次に、全面にシリコン酸化物を堆積させる。シリコン酸化物は埋込性が良好であるため、トレンチ16内にも埋め込まれる。その後、パッド窒化膜34をストッパとしてCMP(chemical mechanical polishing:化学的機械研磨)を行い、パッド窒化膜34上に堆積されたシリコン酸化物を除去する。これにより、トレンチ16内のみにシリコン酸化物を残留させて、STI17を形成する。この結果、パッド窒化膜34、パッドシリコン膜33、パッド酸化膜32、電荷蓄積膜15、トンネル絶縁膜14が電極方向に分断されると共に、Pウェル13がメモリストリング方向に延びる複数本のアクティブエリアAA(半導体部分)に区画される。この時点では、STI17の上面17aは、高さ方向においてパッド窒化膜34の上面と同じ位置にある。
【0029】
次に、図8(a)〜(c)に示すように、ドライエッチングを行い、STI17の上層部分を除去し、上面17aを落とし込む。このとき、STI17の上面17aは、パッドシリコン膜33(図7参照)の上面と下面との間の高さに位置するようにする。次に、例えば燐酸系の薬液を用いてパッド窒化膜34(図7参照)を除去し、例えば水酸化コリンを用いてパッドシリコン膜33を除去する。
【0030】
次に、図9(a)〜(c)に示すように、レジストを塗布し、パターニングして、選択トランジスタ領域Rstを覆うレジスト膜35を形成する。そして、このレジスト膜35をマスクとして再度ドライエッチングを行い、メモリセル領域RmcにおいてSTI17の上層部分をさらに除去し、上面17aをさらに落とし込む。すなわち、メモリストリング方向におけるSTI17の中間部分、すなわち、メモリセル領域Rmcに位置する部分の上部をさらに除去する。このとき、メモリセル領域RmcにおけるSTI17の上面17aは、例えば電荷蓄積膜15の上面15aと同じ高さに位置させる。その後、レジスト膜35を除去する。このようにして、選択トランジスタ領域Rstとメモリセル領域RmcとでSTI17の上面17aの高さが異なる構造を実現できる。
【0031】
次に、図10(a)〜(c)に示すように、フッ化水素(HF)系の薬液を用いてパッド酸化膜32(図9参照)を除去する。次に、アルミナ(Al)を例えば10nmの厚さに堆積させてブロック絶縁膜18を形成する。ブロック絶縁膜18は、堆積法によって成膜するため、電荷蓄積膜15及びSTI17を覆うようにほぼ均一な膜厚で成膜される。これにより、メモリセル領域Rmcにおいては、電荷蓄積膜15の上面15aとSTI17の上面17aとがほぼ連続した平坦面を構成しているため、ブロック絶縁膜18も平坦に成膜される。一方、選択トランジスタ領域Rstにおいては、STI17は電荷蓄積膜15の上面15aから突出しているため、ブロック絶縁膜18はSTI17の突出部分に沿って湾曲して成膜される。その後、不純物をドープして導電性を付与したポリシリコンを例えば50nmの厚さに堆積させてポリシリコン膜19を形成し、シリコン窒化物を例えば70nmの厚さに堆積させてキャップ窒化膜36を形成する。
【0032】
次に、図11(a)〜(c)に示すように、リソグラフィ技術により、キャップ窒化膜36、ポリシリコン膜19、ブロック絶縁膜18、電荷蓄積膜15及びトンネル絶縁膜14を選択的に除去し、メモリストリング方向に分断する。これにより、メモリセル領域Rmcにおいては、電極方向に延びる複数本のメモリセル積層体MMが形成され、メモリセル領域Rmcを挟む一対の選択トランジスタ領域Rstにおいては、電極方向に延びる選択トランジスタ積層体TMが形成される。
【0033】
次に、注入角度を調整して斜め方向からインプラを行い、Pウェル13における選択トランジスタ積層体TMの直下域に不純物を注入する。これにより、選択ゲートトランジスタの閾値をメモリセルを構成するトランジスタの閾値とは異なる値に調節する。
【0034】
次に、図12(a)〜(c)に示すように、ALD(atomic layer deposition:原子層堆積)法等の成膜技術により、シリコン酸化物を例えば4nmの厚さに成膜する。次に、メモリセル積層体MM及びトランジスタ積層体TMをマスクとして再びインプラを行い、ソース・ドレイン拡散層21を形成する。また、このインプラにより、短チャネル効果を抑制することができる。その後、シリコン酸化物を例えば9nm程度の厚さに堆積させ、更に例えば50nmの厚さに堆積させる。そして、ドライエッチングを行い、堆積させたシリコン酸化膜を加工する。これにより、シリコン酸化膜がメモリセル積層体MM間に埋め込まれると共に、最も外側に配置されたメモリセル積層体MMの側面上及びトランジスタ積層体TMの側面上に残留する。この結果、帯状積層体の相互間及び側面上に側壁37を形成する。
【0035】
次に、図13(a)〜(c)に示すように、リソグラフィ技術により、コンタクトを形成する予定の領域が開口したレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとしてシリコン基板11に不純物を注入する。その後、レジスト膜を除去し、注入した不純物を活性化させるための熱処理(活性化アニール)を行う。
【0036】
次に、例えばLP−CVD(low pressure chemical vapor deposition:低圧化学気相成長)により、シリコン酸化物を例えば7nmの厚さに堆積させ、シリコン窒化物を例えば20nmの厚さに堆積させて、選択ゲート電極SG間にライナー材(図示せず)を形成する。次に、埋込性が良好なシリコン酸化膜により帯状積層体間を埋め込み、キャップ窒化膜36をストッパとしてCMPを施す。その後、ドライエッチングを施してキャップ窒化膜36を除去し、ポリシリコン膜19を露出させる。次に、スパッタ法によりコバルト(Co)を堆積させ、アニールを行ってコバルトとポリシリコン膜19の上層部分とを合金化させて、コバルトシリサイドからなる合金層20を形成する。これにより、メモリセル領域Rmcにポリシリコン膜19及び金属層20からなり電極方向に延びるワード電極WLを形成し、選択トランジスタ領域Rstにポリシリコン膜19及び金属層20からなり電極方向に延びる選択ゲート電極SGを形成する。
【0037】
次に、例えば、PECVD(plasma enhanced CVD:プラズマ化学気相成長法)により、シリコン酸化物を例えば50nmの厚さに堆積させ、シリコン窒化物を例えば30nmの厚さに堆積させ、シリコン酸化物を例えば350nmの厚さに堆積させることにより、層間絶縁膜23を形成する。なお、図13及び図1〜図4においては、側壁37(図12参照)は、層間絶縁膜23に含まれるものとして、図示を省略している。
【0038】
次に、リソグラフィ技術により、層間絶縁膜23にシリコン基板11まで到達するコンタクトホール24を形成する。そして、コンタクトホール24の内面上に、例えば厚さが5nmのチタン窒化膜(図示せず)を形成し、コンタクトホール24の内部をタングステン(W)等の金属により埋め込む。これにより、コンタクトホール24内にコンタクト25を形成する。次に、コンタクト25に接続されるように、層間絶縁膜23上にビット線26を形成する。そして、ビット線26を埋め込むように、層間絶縁膜23上にさらに層間絶縁膜27を形成する。これにより、図1〜図4に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置1が製造される。
【0039】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
図14(a)及び(b)は、本実施形態の作用効果を例示する断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rstを示す。
図14(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置1においては、選択トランジスタ領域RstにおけるSTI17の上面17aが、メモリセル領域RmcにおけるSTI17の上面17aよりも上方に位置している。これにより、選択トランジスタ領域Rstにおいては、ブロック絶縁膜18がSTI17の形状を反映して湾曲しており、選択ゲート電極SGの下面におけるSTI17の直上域が上方に向かって凹んでいる。このため、電極方向及び高さ方向に平行な断面において、アクティブエリアAAの角部Cと選択ゲート電極SGとの間の最短距離Lsgが、アクティブエリアAAの角部Cとワード電極WLとの間の最短距離Lwlよりも長い。
【0040】
この結果、アクティブエリアAAの角部Cと選択ゲート電極SGとの間に印加される電界が、アクティブエリアAAの角部Cとワード電極WLとの間に印加される電界よりも弱くなり、電荷蓄積膜15の端部に印加される電界も、メモリセル領域Rmcよりも選択トランジスタ領域Rstの方が弱くなる。これにより、選択トランジスタにおいては、選択ゲート電極SGとアクティブエリアAAとの間に電圧が印加されても、電荷蓄積膜15の端部に電荷が注入されにくくなる。この結果、選択トランジスタの閾値が変動しにくくなり、選択トランジスタの動作が安定する。
【0041】
なお、選択トランジスタのゲート絶縁膜とメモリセルトランジスタのゲート絶縁膜とを作り分け、選択トランジスタのゲート絶縁膜を周辺回路のトランジスタのゲート絶縁膜と同じ構成、すなわち、単層のシリコン酸化膜等の電荷蓄積膜を含まない構成とすることも考えられる。しかし、選択トランジスタとメモリセルトランジスタとは相互間の距離が短いため、選択トランジスタとメモリセルトランジスタとでゲート絶縁膜を作り分けると、工程バラツキにより、両トランジスタのゲート絶縁膜の膜厚を狙い通りに形成することは困難である。これに対して、本実施形態によれば、選択トランジスタとメモリセルトランジスタとでゲート絶縁膜の構成を共通化しつつ、選択トランジスタの閾値を変動しにくくすることが可能となる。
【0042】
次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。
図15(a)及び(b)は、本変形例に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rstを示す。
図15(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る不揮発性半導体記憶装置1aは、前述の第1の実施形態に係る装置1(図13参照)と比較して、トンネル絶縁膜、STI及び電極の構成が異なっている。
【0043】
すなわち、装置1aのメモリセル領域Rmcにおいては、STI17の上面17aが、電荷蓄積膜15との接点においては電荷蓄積膜15の上面15aよりも下方であって下面15bよりも上方である高さに位置しており、幅方向の中央部においては下面15bとほぼ同じ高さに位置している。一方、選択トランジスタ領域Rstにおいては、STI17の上部の断面形状が台形状になっている。なお、STI17と電荷蓄積膜15との接点は、メモリセル領域Rmcと選択トランジスタ領域Rstとで、ほぼ同じ位置である。本変形例における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。すなわち、本変形例においても、アクティブエリアAAの角部と選択ゲート電極SGとの間の最短距離Lsgは、アクティブエリアAAの角部とワード電極WLとの間の最短距離Lwlよりも長い。
【0044】
次に、本変形例の作用効果について説明する。
図16(a)及び(b)は、本変形例に係る不揮発性半導体記憶装置における電界分布のシミュレーション結果を例示する模式的断面図であり、(a)はメモリセル領域Rmcを示し、(b)は選択トランジスタ領域Rstを示す。
なお、図16(a)及び(b)は、それぞれ図15(a)及び(b)と同じ領域を示しており、図中の線のうち各膜の境界を表す線及び引出線以外の線は等電位面を表している。また、図中のグラデーションは電界の強度を表しており、濃色の部分ほど電界が強い。
【0045】
図16(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る装置1aにおいては、選択トランジスタ領域RstにおいてアクティブエリアAAの端部及び電荷蓄積膜15の端部に印加される電界がメモリセル領域Rmcよりも弱い。これにより、前述の第1の実施形態と同様に、選択トランジスタの電荷蓄積膜15に電荷が注入されにくく、選択トランジスタの閾値が変動しにくい。
【0046】
次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。
図17は、本変形例に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する断面図である。
図17は、メモリセル領域Rmcにおける電極方向に平行な断面、すなわち、図2(a)に相当する断面を示している。
【0047】
図17に示すように、本変形例に係る不揮発性半導体記憶装置1bにおいては、前述の第1の実施形態に係る装置1(図2(a)参照)と比較して、STI17の上面17aの位置が低い。すなわち、装置1bにおいては、少なくともメモリセル領域Rmcにおいて、STI17の上面17aが、電荷蓄積膜15の下面よりも下方に位置している。具体的には、上面17aはトンネル絶縁膜14の上面よりも低く下面よりも高い位置にある。また、装置1bにおいては、ワード電極WL及び選択ゲート電極SGの下部に、例えばタンタル窒化物(TaN)からなる金属膜41が設けられている。装置1bは、図9に示す工程において、STI17の上面17aをトンネル絶縁膜14の上面よりも下方まで落とし込み、その後、図10に示す工程において、ブロック絶縁膜18を成膜し、金属膜41を成膜することにより、製造することができる。本変形例における上記以外の構成及び製造方法は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0048】
次に、本変形例の作用効果について説明する。
本変形例に係る装置1bにおいては、前述の第1の実施形態に係る装置1と比較して、STI17の上面17aの位置が低い。より具体的には、STI17の上面17aが電荷蓄積膜15の下面よりも下方に位置しているため、高誘電率膜であるブロック絶縁膜18の位置がトンネル絶縁膜14の厚さ方向中心付近まで下がっている。これにより、トンネル絶縁膜14とワード電極WLとの間の最短距離が短くなると共に、トンネル絶縁膜14の上部がブロック絶縁膜18によって挟まれる。この結果、書込動作時及び消去動作時に、トンネル絶縁膜14に対してより強い電界を印加することができる。これにより、同じ電圧で書込及び消去を行う場合には、前述の第1の実施形態と比較して、書込速度及び消去速度を高速化し、また、メモリセルのしきい値電圧の範囲を広げることができる。
【0049】
逆に言えば、しきい値電圧の範囲を同一とする場合には、第1の実施形態よりも、書込電圧及び消去電圧を低減することができる。これにより、書込動作及び消去動作の際に、トンネル絶縁膜14及びブロック絶縁膜18に与えるストレスを緩和することができる。この結果、装置1bにおいては、書込・消去を繰り返しても、トンネル絶縁膜14及びブロック絶縁膜18の劣化を抑えることができ、電荷蓄積膜15に保持された電荷がトンネル絶縁膜14又はブロック絶縁膜18を介して抜けることを防止できる。すなわち、書込・消去を繰り返した後の電荷保持特性を改善することができる。本変形例における上記以外の作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0050】
次に、この効果を具体的なデータを示して説明する。
以下の説明では、前述の第1の実施形態に係る装置1(図2(a)参照)、すなわち、STIの上面がトンネル絶縁膜の上面よりも上方に位置している装置と、本変形例に係る装置1b(図17参照)、すなわち、STIの上面が電荷蓄積膜の下面よりも下方に位置している装置とを比較して説明する。
【0051】
先ず、書込動作時にトンネル絶縁膜に印加される電界強度を比較する。
図18(a)及び(b)は、トンネル絶縁膜中の電界強度を例示する三次元グラフ図であり、(a)は第1の実施形態に係る装置を示し、(b)は本変形例に係る装置を示す。
図18(a)及び(b)は、1つのメモリセルに属するトンネル絶縁膜、すなわち、1本のアクティブエリアAA上に設けられたトンネル絶縁膜14のうち、1本のワード電極WLの直下域に位置する部分について示しており、1つのメモリセルに属するトンネル絶縁膜全体の4分の1の領域について、同じ書込電圧を印加した場合に印加される電界の強度のシミュレーション結果を示している。図18(a)及び(b)に示すグラデーションは、色が薄いほど電界強度が強いことを表している。
【0052】
図18(a)及び(b)に示すように、同じ書込電圧を印加しても、本変形例においては、第1の実施形態よりも、トンネル絶縁膜に強い電界が印加される。一例を挙げると、書込電圧が17Vであるとき、トンネル絶縁膜に印加される平均電界強度は、第1の実施形態においては12.8MV/cmであり、本変形例においては13.3MV/cmであった。
【0053】
次に、書込特性及び消去特性を比較する。
図19(a)及び(b)は、横軸に時間をとり、縦軸にしきい値電圧をとって、メモリセルの特性を示すグラフ図であり、(a)は書込特性を示し、(b)は消去特性を示す。
また、図19(a)は18Vの書込電圧を印加した場合を示し、(b)は17Vの消去電圧を印加した場合を示す。
【0054】
図19(a)に示すように、書込電圧が同じであれば、本変形例に係る装置は、第1の実施形態に係る装置と比較して、メモリセルのしきい値電圧の変化が速い。すなわち、書込動作が高速である。また、本変形例は、しきい値電圧の変化量が大きい。同様に、図19(b)に示すように、消去電圧が同じであれば、本変形例に係る装置は、第1の実施形態に係る装置と比較して、消去動作が高速であり、しきい値電圧の変化量が大きい。
【0055】
次に、電荷保持特性を比較する。
図20(a)及び(b)は、横軸に保持時間をとり、縦軸にしきい値電圧の変化幅をとって、メモリセルの電荷保持特性を示すグラフ図である。
図20(a)及び(b)の横軸は、装置の温度を85℃に保持した時間を示す。また、図20(a)は、書込・消去のストレスを与えていない状態の装置についての試験結果を示し、(b)は、しきい値の範囲を−2V〜+2Vの範囲とする書込・消去サイクルを1200サイクル与えた後の装置についての試験結果を示す。
【0056】
図20(a)に示すように、書込・消去のストレスを与える前の状態においては、本変形例に係る装置の電荷保持特性は、第1の実施形態に係る装置の電荷保持特性とほぼ同じであった。しかし、図20(b)に示すように、書込・消去のストレスを与えた後の状態においては、本比較例に係る装置は、第1の実施形態に係る装置と比較して、電荷保持特性の劣化が少なかった。
【0057】
以上の試験結果により、本変形例に係る装置は、前述の第1の実施形態に係る装置と比較して、書込電圧及び消去電圧が同じであれば、トンネル絶縁膜に印加される電界が強く、従って書込動作速度及び消去動作速度が速く、しきい値電圧の変化範囲が広く、また、しきい値電圧の変化範囲を同じとすれば、電荷保持特性が良好であることが示された。
【0058】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図21は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示するメモリストリング方向に平行な断面図であり、
図22(a)及び(b)は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する電極方向に平行な断面図であり、(a)はメモリセル領域を示し、(b)は選択トランジスタ領域を示す。
【0059】
図21並びに図22(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置2は、前述の第1の実施形態に係る装置1(図1〜図3参照)と比較して、シリコン基板11と電荷蓄積膜15との間に形成された絶縁膜の構成及びSTIの上端部の形状が異なっている。
【0060】
すなわち、本実施形態において、メモリセル領域Rmcにおいては、前述の第1の実施形態と同様に、シリコン基板11と電荷蓄積膜15との間にトンネル絶縁膜14が設けられている。これに対して、選択トランジスタ領域Rsgにおいては、第1の実施形態とは異なり、シリコン基板11と電荷蓄積膜15との間にボトム絶縁膜51が設けられている。ボトム絶縁膜51は例えばシリコン酸化物からなり、ボトム絶縁膜51の膜厚はトンネル絶縁膜14の膜厚よりも厚い。一例では、トンネル絶縁膜14の膜厚は5nmであり、ボトム絶縁膜51の膜厚は7nmである。
【0061】
また、STI57の上面57aにおいて、STI57の幅方向、すなわち、電極方向における中央部57bは、周辺部57cに対して突出しており、中央部57bから周辺部57cにかけての斜面は、中央部57bから周辺部57cに向けて低くなる凹曲面となっている。そして、STI57の上面57aにおける選択トランジスタ領域Rsgに配置されている領域は、メモリセル領域Rmcに配置されている領域よりも上方に位置している。すなわち、STI57の上面57aには、メモリセル領域Rmcと選択トランジスタ領域Rsgとの境界部分において、段差が形成されている。これにより、本実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、アクティブエリアAAの角部と選択ゲート電極SGとの間の最短距離Lsgは、アクティブエリアAAの角部とワード電極WLとの間の最短距離Lwlよりも長くなっている。
【0062】
更に、メモリセル領域Rmc及び選択トランジスタ領域Rsgの双方において、STI57の上面57aの周辺部57cの高さ方向における位置は、電荷蓄積膜15の上面と下面の間に位置している。また、メモリセル領域Rmcと選択トランジスタ領域Rsgの双方において、STI57は、上面57aのほぼ中央部57bにおいて頂点を有する。この頂点の高さ方向の位置は、電荷蓄積膜15の上面より高くてもよく、低くてもよい。更に、高さ方向において、メモリセル領域Rmcにおける上面57aの位置と、選択トランジスタRsgにおける上面57aの位置との差は、トンネル絶縁膜14の膜厚とボトム絶縁膜51の膜厚との差にほぼ等しい。
【0063】
更にまた、本実施形態においては、ワード電極WL及び選択ゲート電極SGが、下層側から順に金属膜53及びポリシリコン膜54が積層され、最上層部に合金層20が形成された積層膜により構成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。なお、ブロック絶縁膜18の上面は、電荷蓄積膜15の上面及びSTI57の上面の形状を反映した形状になる場合もある。
【0064】
以下、装置2における各膜の組成及び膜厚の一例を挙げる。上述の如く、トンネル絶縁膜14はシリコン酸化物(SiO)からなり、その膜厚は5nmである。ボトム絶縁膜51もシリコン酸化物からなり、その膜厚は7nmである。電荷蓄積膜15はシリコン窒化物(SiN)からなり、その膜厚は6nmである。ブロック絶縁膜18はアルミナ(Al)からなり、その膜厚は15nmである。また、電極を構成する金属膜53はタンタル窒化物(TaN)により形成されており、ポリシリコン膜54は導電型がN型のポリシリコンにより形成されている。
【0065】
次に、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置2の製造方法について説明する。
図23〜図36は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程断面図であり、各図の(a)はメモリストリング方向に平行な断面を示し、各図の(b)はメモリセル領域における電極方向に平行な断面を示し、各図の(c)は選択トランジスタ領域における電極方向に平行な断面を示し、各図の(d)は周辺回路部の低電圧用トランジスタ領域を示し、各図の(e)は周辺回路部の高電圧用トランジスタ領域を示す。
【0066】
先ず、図23(a)〜(e)に示すように、P型のシリコン基板11を用意する。そして、シリコン基板11の上面を酸化して、上面全体に膜厚が例えば10nmの犠牲酸化膜71を形成する。
【0067】
次に、リソグラフィ技術により、メモリアレイ部の全体及び周辺回路部のPチャネル型トランジスタ形成領域を露出させ、それ以外の領域を覆うレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとしてドナーとなる不純物、例えばリン(P)をイオン注入する。なお、このとき必要があれば、加速電圧及び注入量を異ならせて複数回の注入を行う。これにより、メモリアレイ部全体及び周辺回路部のPチャネル型トランジスタ形成領域において、シリコン基板11の上層部分にNウェル12が形成される。その後、レジスト膜を剥離する。
【0068】
次に、リソグラフィ技術により、周辺回路部のNチャネル型トランジスタ形成領域を露出させ、それ以外の領域を覆うレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとしてアクセプタとなる不純物、例えばボロン(B)をイオン注入する。このとき必要があれば、加速電圧及び注入量を異ならせて複数回の注入を行う。これにより、周辺回路部のNチャネル型トランジスタ形成領域において、シリコン基板11の上層部分に周辺回路用のPウェル(図示せず)が形成される。その後、レジスト膜を剥離する。
【0069】
次に、リソグラフィ技術により、メモリアレイ部を露出させ、それ以外の領域を覆うレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとしてアクセプタとなる不純物、例えばボロン(B)をイオン注入する。なお、このとき必要があれば、加速電圧及び注入量を異ならせて複数回の注入を行う。これにより、メモリアレイ部において、Nウェル12の上層部分の一部にメモリセルトランジスタ用のPウェル13が形成される。その後、レジスト膜を剥離する。
【0070】
次に、必要に応じて更にリソグラフィ技術及びイオン注入技術を適用して、周辺回路部の低電圧用トランジスタ領域Rlv及び高電圧用トランジスタ領域Rhvのチャネル領域の不純物濃度をそれぞれ所望の値に調整する。その後、犠牲酸化膜71を除去する。
【0071】
次に、図24(a)〜(e)に示すように、酸化処理を施し、シリコン基板11の上面全体に高電圧用ゲート酸化膜72を形成する。次に、リソグラフィ技術により高電圧用トランジスタ領域Rhvを覆うレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとしてドライエッチングを施して、高電圧用ゲート酸化膜72を選択的に除去する。これにより、高電圧用トランジスタ領域Rhvにのみ、高電圧用ゲート酸化膜72を残留させる。その後、レジスト膜を剥離する。
【0072】
次に、図25(a)〜(e)に示すように、酸化処理を施し、シリコン基板11の上面におけるシリコンの露出面に、低電圧用ゲート酸化膜73を形成する。次に、全面にシリコン膜74を形成する。次に、リソグラフィ技術により、メモリセル領域Rmc及び選択トランジスタ領域Rsgから低電圧用ゲート酸化膜73及びシリコン膜74を除去する。なお、選択トランジスタ領域Rsgには、コンタクト25が形成される予定の領域も含まれる。
【0073】
次に、図26(a)〜(e)に示すように、熱酸化処理を施す。これにより、シリコン基板11の露出面及びシリコン膜74の露出面に厚さが例えば5nmのシリコン酸化膜75が形成される。
【0074】
次に、図27(a)〜(e)に示すように、リソグラフィ技術により、メモリアレイ部の選択トランジスタ領域Rsgを覆うレジスト膜(図示せず)を形成する。なお、選択トランジスタ領域Rsgは、メモリストリング方向において相互に離隔した少なくとも一対の領域に設定する。そして、このレジスト膜をマスクとしてウェットエッチングを施す。これにより、シリコン酸化膜75を選択的に除去し、選択トランジスタ領域Rsgのみに残留させる。その後、例えば硫化水素(SH)を用いてレジスト膜を剥離する。
【0075】
次に、図28(a)〜(e)に示すように、熱酸化処理を行い、シリコンの露出面にシリコン酸化物からなり厚さが例えば5nmのトンネル絶縁膜14を形成する。また、この酸化処理によって、シリコン酸化膜75がより一層酸化されて成長し、トンネル絶縁膜14よりも厚いボトム絶縁膜51となる。例えば、膜厚が5nmのシリコン酸化膜75が成長し、膜厚が7nmのボトム絶縁膜51となる。この結果、ボトム絶縁膜51の上面はトンネル絶縁膜14の上面よりも上方に位置し、ボトム絶縁膜51の下面はトンネル絶縁膜14の下面よりも下方に位置する。なお、トンネル絶縁膜14の形成後に窒化処理を施し、トンネル絶縁膜14の一部をオキシナイトライド化してもよい。これにより、メモリセルの電荷保持能力が向上する。
【0076】
次に、全面にシリコン窒化膜を堆積させ、厚さが例えば6nmの電荷蓄積膜15を形成する。このとき、ボトム絶縁膜51の上面はトンネル絶縁膜14の上面よりも上方に位置しているため、選択トランジスタ領域Rsgにおける電荷蓄積膜15の上面は、メモリセル領域Rmcにおける電荷蓄積膜15の上面よりも上方に位置する。
【0077】
次に、図29(a)〜(e)に示すように、例えばCVDによりシリコン酸化膜を10nmの厚さに堆積させ、全面にパッド酸化膜76を形成する。パッド酸化膜76の上面にも、電荷蓄積膜15の上面の凹凸を反映した凹凸が形成される。すなわち、選択トランジスタ領域Rsgにおける電荷蓄積膜15及びパッド酸化膜76の上面は、メモリセル領域Rmcにおける電荷蓄積膜15及びパッド酸化膜76の上面よりも、それぞれ上方に位置する。
【0078】
次に、リソグラフィ技術によりメモリアレイ部を覆うレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとしてエッチングを行い、周辺回路部からパッド酸化膜76、電荷蓄積膜15及びトンネル絶縁膜14を除去する。その後、レジスト膜を剥離する。これにより、周辺回路部においては、シリコン膜74が露出する。また、トンネル絶縁膜14、ボトム絶縁膜51、電荷蓄積膜15及びパッド酸化膜76は、メモリアレイ部のみに残留する。
【0079】
次に、全面にシリコン窒化物を例えば50nmの厚さに堆積させて、パッド窒化膜77を形成する。次に、全面に例えばBSG(boron silicate glass)を堆積させて、素子分離用の溝を形成するためのマスク材78を形成する。
【0080】
次に、図30(a)〜(e)に示すように、リソグラフィ技術により、STI57を形成する予定の領域を露出させ他の領域を覆うようなレジスト膜(図示せず)を形成する。そして、このレジスト膜をマスクとして異方性ドライエッチングを行い、STI57を形成する予定の領域からマスク材78(図28参照)を選択的に除去する。その後、レジスト膜を除去する。
【0081】
次に、マスク材78をマスクとして異方性ドライエッチングを行う。これにより、メモリアレイ部においては、パッド窒化膜77、パッド酸化膜76、電荷蓄積膜15及びトンネル絶縁膜14又はボトム絶縁膜51を選択的に除去し、更にシリコン基板11の上層部分を選択的に除去する。一方、周辺回路部においては、パッド窒化膜77、シリコン膜74、高電圧用ゲート酸化膜72又は低電圧用ゲート酸化膜73を選択的に除去し、更にシリコン基板11の上層部分を選択的に除去する。エッチング終了後、残留したマスク材78(図29参照)を除去する。これにより、シリコン基板11の上層部分及びその上に積層された膜に、複数本のトレンチ56が形成される。
【0082】
メモリアレイ部においては、トレンチ56は一対の選択トランジスタ領域Rsg間をつなぐようにメモリストリング方向に延びている。トレンチ56はPウェル13を電極方向に分断し、メモリストリング方向に延びる複数本のアクティブエリアAAに区画する。周辺回路部においては、トレンチ56が延びる方向は任意である。その後、トレンチ56内にシリコン酸化物79を埋め込み、パッド窒化膜77をストッパとしたCMPを行い、上面を平坦化する。
【0083】
次に、図31(a)〜(e)に示すように、ドライエッチングを行い、トレンチ56内に埋設されたシリコン酸化物79の上面を落とし込む。すなわち、シリコン酸化物79の上部を除去する。このとき、高さ方向において、シリコン酸化物79の上面が、パッド窒化膜77の上面と下面の間に位置するようにする。この時点では、シリコン酸化物79の上面の高さ方向の位置は、メモリセル領域Rmcと選択トランジスタ領域Rsgとでほぼ同じである。
【0084】
次に、図32(a)〜(e)に示すように、ウェットエッチングを施してパッド窒化膜77(図31参照)を除去する。これにより、シリコン酸化物79の上部はパッド酸化膜76又はシリコン膜74の上面から突出する。
【0085】
次に、図33(a)〜(e)に示すように、メモリアレイ部において、ウェットエッチング等の等方エッチングを施す。これにより、パッド酸化膜76(図32参照)が除去される。また、シリコン酸化物79の上部もエッチングされ、残留部分がSTI57となる。このとき、シリコン酸化物79の突出部分は、上面の他に側面も露出しているため、幅方向の周辺部に対するエッチング量が中央部に対するエッチング量よりも多くなる。この結果、STI57の上面57aは、幅方向の周辺部57cに対して幅方向の中央部57bが上方に突出した形状となる。また、STI57の上部における中央部57bから周辺部57cにかけての斜面は、中央部57bから周辺部57cに向けて低くなる凹曲面となる。なお、周辺回路部においてトレンチ56内に残留したシリコン酸化物79も、以後、「STI57」という。
【0086】
この等方エッチングにおけるエッチング量は、メモリセル領域Rmcと選択トランジスタ領域Rsgとで等しいため、等方エッチング後のSTI57の上面57aの高さは、等方エッチング前の電荷蓄積膜15の上面の高さによって決定される。すなわち、この等方エッチングは、電荷蓄積膜15を用いてSTI57の上面57aの高さを調節するエッチングである。そして、上述の如く、選択トランジスタ領域Rsgにおける電荷蓄積膜15の上面は、メモリセル領域Rmcにおける電荷蓄積膜15の上面よりも上方に位置しているため、選択トランジスタ領域RsgにおけるSTI57の上面57aは、メモリセル領域RmcにおけるSTI57の上面57aよりも全体的に上方に位置することとなる。
【0087】
一方、周辺回路部においては、STI57の上部をエッチングしない。これにより、周辺回路部においては、STI57の高さが高くなり、絶縁耐圧が向上する。特に、高電圧用トランジスタ領域Rhvにおいては、STI57上にゲート電極が形成される場合があるが、この場合、STI57を高く形成することにより、ゲート電極とシリコン基板との間の絶縁耐圧を改善することができる。
【0088】
次に、図34(a)〜(e)に示すように、全面に例えばアルミナを堆積させて、ブロック絶縁膜18を形成する。このとき、ブロック絶縁膜18は堆積法によって形成するため、全体にほぼ均一な膜厚となる。次に、ブロック絶縁膜18上に仕事関数が大きい金属、例えば、タンタル窒化物(TaN)を堆積させて、金属膜53を形成する。次に、全面に例えばポリシリコンを堆積させて、マスク材(図示せず)を形成する。そして、リソグラフィ技術により、メモリアレイ部を覆うようにレジスト膜(図示せず)を形成する。次に、このレジスト膜をマスクとしてドライエッチング又はウェットエッチングを施して、マスク材を選択的に除去し、メモリアレイ部のみに残留させる。そして、このマスク材をマスクとしてエッチングを行い、メモリアレイ部以外の領域から金属膜53及びブロック絶縁膜18を除去する。これにより、ブロック絶縁膜18はメモリアレイ部のみに残留し、電荷蓄積膜15及びSTI57を覆うように配置される。
【0089】
次に、例えば、CVD法により、ドナーとなる不純物が導入され、導電型がN型とされたポリシリコンを堆積させて、ポリシリコン膜54を成膜する。次に、全面にシリコン窒化膜80を成膜する。これにより、メモリアレイ部においては、ブロック絶縁膜18上に金属膜53、ポリシリコン膜54及びシリコン窒化膜80が積層され、周辺回路部においては、高電圧用ゲート酸化膜72又は低電圧用ゲート酸化膜73の上方にシリコン膜74、ポリシリコン膜54及びシリコン窒化膜80が積層される。シリコン膜74、金属膜53及びポリシリコン膜54は導電膜である。
【0090】
次に、図35(a)〜(e)に示すように、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、電極の加工を行う。すなわち、メモリアレイ部のメモリセル領域Rmcにおいては、トンネル絶縁膜14、電荷蓄積膜15、ブロック絶縁膜18、金属膜53、ポリシリコン膜54及びシリコン窒化膜80からなる積層膜を電極方向に延びるメモリセル積層体MMに加工し、選択トランジスタ領域Rsgにおいては、ボトム絶縁膜51、電荷蓄積膜15、ブロック絶縁膜18、金属膜53、ポリシリコン膜54及びシリコン窒化膜80からなる積層膜を電極方向に延びるトランジスタ積層体TMに加工し、周辺回路部においては、シリコン膜74、ポリシリコン膜54及びシリコン窒化膜80からなる積層膜を周辺回路を構成する高電圧トランジスタ及び低電圧トランジスタのゲート電極GEに加工する。このとき、メモリアレイ部においては、加工された金属膜53及びポリシリコン膜54により、電極方向に延びるワード電極WL及び選択ゲート電極SGが形成される。ゲート電極GEが延びる方向は電極方向でもメモリストリング方向でもよい。
【0091】
次に、図36(a)〜(e)に示すように、各トランジスタのソース・ドレイン領域を形成するための不純物注入を行う。すなわち、リソグラフィ技術を用いて、メモリアレイ部のメモリセルトランジスタ及び選択トランジスタ、並びに周辺回路部の高電圧トランジスタ及び低電圧トランジスタについて、各トランジスタに適切なイオン種、加速電圧及び注入量にてイオン注入を実施する。その後、例えば950℃の温度でアニールを行い、注入した不純物を活性化させる。これにより、Pウェル13の上層部分に例えばN型のソース・ドレイン拡散層21が形成される。
【0092】
次に、全面に例えばシリコン酸化物等の絶縁材料を堆積させる。次に、シリコン窒化膜80(図35参照)をストッパとしてCMPを施し、上面を平坦化する。これにより、電極間に絶縁材料が埋め込まれる。次に、ドライエッチングを施してシリコン窒化膜80を除去する。そして、電極上にコバルト(Co)を堆積させ、適当な温度でアニールする。これにより、ポリシリコン膜54の上面がシリサイド化され、合金層20が形成される。合金層20は、電極の抵抗を低減するために形成する。
【0093】
次に、図21並びに図22(a)及び(b)に示すように、全面に例えばシリコン酸化物等の絶縁材料を堆積させて、層間絶縁膜23を形成する。次に、層間絶縁膜23内におけるゲート電極GE(図35参照)及び一部のソース・ドレイン拡散層21の直上域にコンタクトホール24を形成する。そして、コンタクトホール24の内部に導電材料を埋め込んで、ゲート電極GE又はソース・ドレイン拡散層21に電気的に接続されるコンタクト25を形成する。
【0094】
次に、層間絶縁膜23上に、ビット線26を含む配線及び層間絶縁膜27を形成し、層間絶縁膜27内に配線同士を電気的に接続するビアコンタクト(図示せず)を形成し、ボンディング用パッド(図示せず)及びパッシベーション層(図示せず)を形成する。これにより、メモリアレイ部に加えて周辺回路部を形成する。周辺回路部には、メモリアレイ部を駆動する駆動回路、及び、装置2の外部との間でデータの入出力を行う入出力回路が形成される。このようにして、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置2が製造される。
【0095】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、メモリセルトランジスタのゲート絶縁膜は、トンネル絶縁膜14、電荷蓄積膜15及びブロック絶縁膜18からなる積層膜により構成されている。一方、選択トランジスタのゲート絶縁膜は、ボトム絶縁膜51、電荷蓄積膜15及びブロック絶縁膜18からなる積層膜により構成されている。そして、ボトム絶縁膜51はトンネル絶縁膜14よりも厚いため、選択トランジスタのゲート絶縁膜はメモリセルトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い。これにより、アクティブエリアAAの角部と選択ゲート電極SGとの間の最短距離LsgがアクティブエリアAAの角部とワード電極WLとの間の最短距離Lwlよりも長くなり、選択ゲート領域Rsgに配置された電荷蓄積膜15に印加される電界が弱くなり、電荷蓄積膜15に注入される電荷量を低減することができる。
【0096】
また、トンネル絶縁膜14を厚く形成することにより、装置2の読出動作時にトンネル絶縁膜14を通過する電荷量を低減することができる。これによっても、電荷蓄積膜15に注入される電荷量を低減することができる。
【0097】
更に、本実施形態においては、ボトム絶縁膜51をトンネル絶縁膜14よりも厚く形成しているため、図32に示す工程において、電荷蓄積膜15の上面における選択トランジスタ領域Rsg内に位置する領域がメモリセル領域Rmc内に位置する領域よりも上方に位置する。これにより、図33に示す工程において、STI57の選択トランジスタ領域RsgにおけるSTI57の上面57aを、メモリセル領域RmcにおけるSTI57の上面57aよりも全体的に高くすることができる。そして、STI57を覆うように形成するブロック絶縁膜18は、堆積法により形成するため、全体的に膜厚がほぼ均一である。これによっても、最短距離Lsgを最短距離Lwlよりも長くすることができる。
【0098】
以上の効果により、装置2の読出動作時に、選択トランジスタ領域Rsgの電荷蓄積膜15に電荷が蓄積されることを抑制できる。この結果、読出動作を繰り返し実施しても、選択トランジスタの閾値の変動が少なく、安定して動作させることができる。
【0099】
また、メモリセル領域Rmcにおいて、STI57における電荷蓄積膜15に接する部分の上面は、電荷蓄積膜15の上面よりも低い。この結果、電荷蓄積膜15とSTI57との境界部分の電界が強くなる。一方、選択トランジスタ領域RsgにおけるSTI57の形状は、メモリセル領域RmcにおけるSTI57の形状と同じであるが、ボトム絶縁膜51をトンネル絶縁膜14よりも厚く形成しているため、選択トランジスタ領域Rsgの電荷蓄積膜15に電荷が蓄積されることを抑制できる。これらの結果、メモリセルトランジスタの書き込み特性を向上させつつ、選択トランジスタの閾値の変動は防止できる。
【0100】
また、メモリセルトランジスタのゲート絶縁膜と選択トランジスタのゲート絶縁膜とは電荷蓄積膜15及びブロック絶縁膜18を含む点で共通し、従って、形成プロセスの一部を共通化することができる。このため、少ない付加工程により、メモリセルトランジスタと選択トランジスタとでゲート絶縁膜を作り分けることができる。この結果、装置2を低コストで容易に製造することができる。また、メモリセル領域Rmc及び選択トランジスタ領域Rsgにおいて、電荷蓄積膜15及びそれより上方の膜構成は共通であるため、上述の絶縁膜の作り分けがメモリセルトランジスタの特性に及ぼす影響が少ない。
【0101】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【0102】
例えば、トンネル絶縁膜、電荷蓄積膜、ブロック絶縁膜及び各電極の材質及び膜厚は、その効果が発揮できる範囲で変更して設定できる。例えば、前述の各実施形態においては、トンネル絶縁膜として厚さが0.5〜10nmの単層のシリコン酸化膜(SiO膜)を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されず、単層のシリコン酸化膜の代わりに、EOT(Equivalent Oxide Thickness)換算で同じ厚さの(SiN膜/SiO膜)の積層膜、(SiO膜/SiN膜/SiO膜)の積層膜、(SiO膜/高誘電率絶縁膜/SiO膜)の積層膜、又は(高誘電率絶縁膜/SiO膜)の積層膜等を用いてもよい。なお、これらの積層膜においては、SiO膜をシリコン基板11側に配置する。
【0103】
また、前述の各実施形態においては、電荷蓄積膜として、厚さが3〜50nmのシリコン窒化膜(SiN膜)を用いる例を示したが、電荷蓄積膜はシリコン窒化膜には限定されず、電子又は正孔を捕獲する能力があれば他の絶縁膜でもよく、例えば、HfAlO等からなる高誘電体膜や、シリコン窒化膜、HfAlO膜及びアルミナ膜等の複数の膜からなる積層膜とすることもできる。具体的には、シリコン酸化膜(SiO膜)よりも誘電率が高い高誘電率絶縁膜、例えば、Al膜、MgO膜、SrO膜、BaO膜、TiO膜、Ta膜、BaTiO膜、BaZrO膜、ZrO膜、HfO膜、Y膜、ZrSiO膜、HSiO膜又はLaAlO膜等を含む積層膜としてもよい。これらの積層膜の膜構成は、例えば、(SiN膜/高誘電率絶縁膜/SiN膜)、(SiN膜/高誘電率絶縁膜/HfAlO膜)、又は(HfAlO膜/高誘電率絶縁膜/HfAlO膜)等とする。又は、(HfAlO膜/高誘電率絶縁膜/SiN膜)としてもよいが、この場合は、SiN膜をトンネル絶縁膜側に配置する。
【0104】
更に、前述の各実施形態においては、ブロック絶縁膜を構成する高誘電率絶縁膜として、厚さが3〜50nmのアルミナ膜(Al膜)を用いる例を示したが、ブロック絶縁膜は、書込時にはシリコン基板から電荷蓄積膜内に注入された電子がワード電極に漏れることを防止でき、消去時にはワード電極から電荷蓄積膜に電子が注入されること防止できればよく、アルミナ膜には限定されない。但し、ブロック絶縁膜は、その両界面において電子のエネルギー障壁が高いことが望ましく、且つ、ブロック絶縁膜の少なくとも一部には、トンネル絶縁膜よりも比誘電率が高い高誘電体膜が含まれていることが望ましい。ブロック絶縁膜は、アルミナ以外の酸化物、例えば、LaAlO等からなる絶縁膜又は複数の絶縁膜からなる積層膜であってもよい。具体的には、ブロック絶縁膜として、シリコン酸化膜よりも誘電率が高い高誘電率絶縁膜、例えば、MgO膜、SrO膜、SiN膜、BaO膜、TiO膜、Ta膜、BaTiO膜、BaZrO膜、ZrO膜、HfO膜、Y膜、ZrSiO膜、HfSiO膜若しくはLaAlO膜等を単層で又は積層膜として用いてもよい。このような積層膜の膜構成は、例えば、(SiO膜/高誘電率絶縁膜/SiO膜)、(SiO膜/高誘電率絶縁膜)、(高誘電率絶縁膜/SiO膜)、又は、(高誘電率絶縁膜/SiO膜/高誘電率絶縁膜)等とすることができる。更に、これらの積層膜にAl膜を加えてもよく、これらの積層膜において、SiO膜の代わりにAl膜を用いてもよい。
【0105】
更にまた、前述の各実施形態においては、電極、すなわち、ワード電極WL及び選択ゲート電極SGを、ポリシリコン膜19及び合金層20の積層膜により形成し、ポリシリコン膜19には、アクセプタとなる不純物(p型不純物)が高濃度にドープされたp型のポリシリコン膜を用い、合金層20には例えばコバルトシリサイド(CoSi)層を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ポリシリコン膜19として、ドナーとなる不純物(n型不純物)が高濃度にドープされたn型のポリシリコン膜を用いてもよい。又は、ポリシリコン膜19の代わりに、(金属膜/ポリシリコン膜)の積層膜、(金属膜/窒化金属膜)の積層膜、若しくは、(金属膜/炭化金属膜)の積層膜等を用いてもよい。この場合、金属膜としては例えばタングステン膜(W膜)等を用いることができ、窒化金属膜としては例えばWN膜、TaN膜又はTiN膜等を用いることができ、炭化金属膜としては例えばTaC膜等を用いることができる。また、合金層20を形成する金属シリサイドとして、CoSiの他に、NiSi、WSi、MoSi又はTiSi等を用いることができる。
【0106】
更に、前述の各実施形態においては、電極の上面をシリサイド化する例を示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、メモリアレイ部のワード電極及び選択ゲート電極には(TaN/WN/W)積層膜を使用してもよく、周辺回路部のゲート電極には(ポリシリコン/TaN/WN/W)積層膜を使用してもよい。更にまた、前述のメモリセルトランジスタ及び選択トランジスタの構造が得られるのであれば、周辺回路部のゲート電極の形成のタイミングは、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0107】
1、1a、1b、2 不揮発性半導体記憶装置、11 シリコン基板、12 Nウェル、13 Pウェル、14、14a トンネル絶縁膜、15 電荷蓄積膜、15a 上面、15b 下面、16 トレンチ、17 STI、17a 上面、18 ブロック絶縁膜、19 ポリシリコン膜、20 合金層、21 ソース・ドレイン拡散層、23 層間絶縁膜、24 コンタクトホール、25 コンタクト、26 ビット線、27 層間絶縁膜、31 犠牲酸化膜、32 パッド酸化膜、33 パッドシリコン膜、34 パッド窒化膜、35 レジスト膜、36 キャップ窒化膜、37 側壁、41 金属膜、51 ボトム絶縁膜、53 金属膜、54 ポリシリコン膜、56 トレンチ、57 STI、57a 上面、57b 中央部、57c 周辺部、71 犠牲酸化膜、72 高電圧用ゲート酸化膜、73 低電圧用ゲート酸化膜、74 シリコン膜、75 シリコン酸化膜、76 パッド酸化膜、77 パッド窒化膜、78 マスク材、79 シリコン酸化物、80 シリコン窒化膜、AA アクティブエリア、C 角部、GE ゲート電極、Lsg、Lwl 距離、MM メモリセル積層体、Rhv 高電圧用トランジスタ領域、Rlv 低電圧用トランジスタ領域、Rmc メモリセル領域、Rsg、Rst 選択トランジスタ領域、SG 選択ゲート電極、TM トランジスタ積層体、WL ワード電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層部分が第1方向に延びる複数本の半導体部分に区画された半導体基板と、
前記半導体部分上に設けられた電荷蓄積膜と、
前記半導体基板上に設けられ、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるワード電極と、
前記半導体基板上における前記第1方向における前記ワード電極の両側に設けられ、前記第2方向に延びる一対の選択ゲート電極と、
を備え、
前記第2方向に平行な断面において、前記半導体部分の角部と前記選択ゲート電極との間の最短距離は、前記半導体部分の角部と前記ワード電極との間の最短距離よりも長いことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記半導体基板の上層部分に形成され、前記上層部分を前記複数本の半導体部分に区画する複数の素子分離絶縁膜と、
をさらに備え、
前記素子分離絶縁膜の上面における前記選択ゲート電極の直下域は、前記ワード電極の直下域よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記半導体部分と前記電荷蓄積膜との間に設けられたトンネル絶縁膜と、
前記電荷蓄積膜及び前記素子分離絶縁膜と前記ワード電極との間に設けられ、誘電率が前記素子分離絶縁膜の誘電率よりも高いブロック絶縁膜と、
をさらに備え、
前記ブロック絶縁膜における前記素子分離絶縁膜の直上域に位置する部分の下面は、前記トンネル絶縁膜の上面よりも低く下面よりも高い位置にあることを特徴とする請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記半導体基板と前記電荷蓄積膜との間であって前記ワード電極の直下域に設けられたトンネル絶縁膜と、
前記半導体基板と前記電荷蓄積膜との間であって前記選択ゲート電極の直下域に設けられ、前記トンネル絶縁膜よりも厚いボトム絶縁膜と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
半導体基板上に電荷蓄積膜を形成する工程と、
前記電荷蓄積膜上にパッド絶縁膜を形成する工程と、
前記パッド絶縁膜、前記電荷蓄積膜及び前記半導体基板の上層部分内に第1方向に延びる複数本の素子分離絶縁膜を形成することにより、前記パッド絶縁膜及び前記電荷蓄積膜を前記第1方向に対して交差する第2方向に分断すると共に、前記上層部分を第1方向に延びる複数本の半導体部分に区画する工程と、
前記素子分離絶縁膜の上部を除去する工程と、
前記パッド絶縁膜を除去すると共に、前記第1方向における前記素子分離絶縁膜の第1部分の上部をさらに除去する工程と、
絶縁材料を堆積させて、前記電荷蓄積膜及び前記素子分離絶縁膜を覆うブロック絶縁膜を形成する工程と、
前記第1部分上に前記第2方向に延びるワード電極を形成すると共に、前記第1方向において前記第1部分を挟む前記素子分離絶縁膜の第2部分上に前記第2方向に延びる選択ゲート電極を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板の上面における相互に離隔した一対の領域に酸化膜を形成する工程と、
酸化処理を施して、前記半導体基板の上面における前記一対の領域によって挟まれる領域にトンネル絶縁膜を形成すると共に、前記一対の領域において前記酸化膜を成長させて前記トンネル絶縁膜よりも厚いボトム絶縁膜を形成する工程と、
前記トンネル絶縁膜上及び前記ボトム絶縁膜上に電荷蓄積膜を形成する工程と、
前記電荷蓄積膜、前記トンネル絶縁膜、前記ボトム絶縁膜及び前記半導体基板の上層部分内に、前記一対の領域間をつなぐ複数本のトレンチを形成することにより、前記上層部分を第1方向に延びる複数本の半導体部分に区画する工程と、
前記トレンチ内に絶縁物を埋め込む工程と、
前記電荷蓄積膜をエッチング調整用の膜として用いてエッチングを施すことにより、前記絶縁物の上部を除去し、前記絶縁物の残部を素子分離絶縁膜とする工程と、
絶縁材料を堆積させて、前記電荷蓄積膜及び前記素子分離絶縁膜を覆うブロック絶縁膜を形成する工程と、
前記ブロック絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜、前記ブロック膜、前記電荷蓄積膜を前記第1方向に分断して、前記トンネル絶縁膜の直上域に前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるワード電極を形成すると共に、前記ボトム絶縁膜の直上域に前記第2方向に延びる選択ゲート電極を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図16】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−29576(P2011−29576A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221337(P2009−221337)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】