説明

不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】動作信頼性を向上させる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板100上に形成された蓄積層105と蓄積層上に形成された制御ゲート電極107を備えた第1電極MTと、基板100上に形成された第2電極ST2及び第3電極ST2と、ゲート長方向に沿って対向する第2電極と第3電極ST2との側壁及び基板100上に形成された第2絶縁膜112と、第2、第3ゲート電極ST2間に埋設された第1絶縁膜113と、第2電極ST2及び第1電極MT間に埋設された第2絶縁膜109、110と、第1ゲート電極MT、第2ゲート電極ST2、第3ゲート電極ST2、及び第1、第2絶縁膜上113、112にそれぞれ形成され、且つ第1絶縁膜113における水素原子の拡散を防止する第3絶縁膜114とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリに代表される不揮発性半導体記憶装置において、品質の向上は不可欠である。フラッシュメモリはFG型やMONOS型が上げられ、それらは電荷蓄積層と制御ゲートとを備えている。そしてそれらメモリセルの特性の良し悪しは、電荷蓄積層における電荷の保持特性が1つの目安となる。
【0003】
従来から、水素原子がゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)にトラップされることにより電荷蓄積層の電荷保持特性が劣化することが問題となっていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/023559号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、動作信頼性を向上させる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板上のトンネル絶縁膜を介して形成された電荷蓄積層と該電荷蓄積層上にゲート間絶縁膜を介して形成された制御ゲート電極を備えた第1ゲート電極と、前記半導体基板上のゲート絶縁膜を介在して形成された第2ゲート電極及び第3ゲート電極と、ゲート長方向に沿って対向する前記第2ゲート電極と前記第3ゲートとの側壁及び前記半導体基板面に沿って形成された第1絶縁膜と、前記第2、第3ゲート電極間に埋設された第1層間絶縁膜と、前記第2ゲート電極及び前記第1ゲート電極間に埋設された第2層間絶縁膜と、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、前記第3ゲート電極、前記第1絶縁膜、前記第1層間絶縁膜、及び第2層間絶縁膜上にそれぞれ形成され、且つ前記第1層間絶縁膜における水素原子の拡散を抑制する第2絶縁膜とを具備する。
【0007】
また本発明の第2の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板上にトンネル絶縁膜を介して順次形成された電荷蓄積層、ゲート間絶縁膜、及び制御ゲート電極を備えた第1ゲート電極と、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介在して形成された第2ゲート電極との間を第1層間絶縁膜で埋設する工程と、前記半導体基板上に前記第2ゲート絶縁膜を介在して形成された第3ゲート電極と前記第2ゲート電極とのゲート長に沿って互いに対向する側壁及び前記半導体基板面に沿って第1絶縁膜を形成する工程と、前記第2ゲート電極及び前記第3ゲート電極間を第2層間絶縁膜で埋設する工程と、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極、並びに前記第1絶縁膜、並びに前記第1層間絶縁膜、及び第2層間絶縁膜上にそれぞれ前記第2層間絶縁膜における水素原子の拡散を抑制する第2絶縁膜を形成する工程とを具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動作信頼性を向上させる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態に係るNANDフラッシュメモリのブロック図。
【図2】図1のビット線方向の断面図。
【図3】この発明の一形態に係るNANDフラッシュメモリの第1製造工程の断面図。
【図4】この発明の一形態に係るNANDフラッシュメモリの第2製造工程の断面図。
【図5】この発明の一形態に係るNANDフラッシュメモリの第3製造工程の断面図。
【図6】この発明の一形態に係るNANDフラッシュメモリの第4製造工程の断面図。
【図7】この発明の一形態に係るNANDフラッシュメモリの第5製造工程の断面図。
【図8】この発明の一形態に係るNANDフラッシュメモリの第6製造工程の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態につき図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0011】
この発明の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図1を用いて説明する。図1に示すように、不揮発性半導体記憶装置は例えば2値以上のデータを保持可能な不揮発性のメモリセルトランジスタMTを備えた半導体メモリであって、例えばNAND型フラッシュメモリである。NAND型フラッシュメモリはメモリセルアレイ1を備える。
【0012】
<メモリセルアレイ1について>
図示するように、メモリセルアレイ1は、データ保持可能な複数の不揮発性のメモリセルトランジスタMTを備えている。そしてメモリセルトランジスタMTは、例えば電荷蓄積層と制御ゲートを含む積層ゲートを備えたnチャネルMOSトランジスタである。メモリセルトランジスタMTの制御ゲートはワード線WLとして機能し、ドレインはビット線BLに電気的に接続され、ソースはソース線SLに電気的に接続されている。そして、メモリセルアレイ1は複数の不揮発性のメモリセルトランジスタMTを含んだブロックBLK0乃至BLKsを備える(sは自然数)。
【0013】
図示するようにブロックBLK0乃至BLKsの各々は、不揮発性のメモリセルトランジスタMTが直列接続された複数のNANDストリング11を備えている。NANDストリング11の各々は、例えば16個のメモリセルトランジスタMTと、選択トランジスタST1、ST2とを含んでいる。メモリセルトランジスタMTは、半導体基板上にゲート絶縁膜を介在して形成された電荷蓄積層(例えば、ポリシリコン層)と、電荷蓄積層上に層間絶縁膜を介在して形成された制御ゲートとを有するFG構造である。なお、メモリセルトランジスタMTはMONOS構造でもよい。この場合、メモリセルトランジスタMTは、半導体基板上にゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)を介在して形成された電荷蓄積層(例えば絶縁膜)と、電荷蓄積層上に形成され、電荷蓄積層より誘電率の高い絶縁膜(以下、ブロック層と呼ぶ)と、更にブロック層上に形成された制御ゲート電極とを有する。以下、本実施形態においては、FG構造で形成された不揮発性半導体装置について説明する。なお、メモリセルトランジスタMTの個数は16個に限られず、32個や64個、128個等であってもよく、その数は限定されるものではない。またメモリセルトランジスタMTは、隣接するもの同士でソース、ドレインを共有している。そして、選択トランジスタST1、ST2間に、その電流経路が直列接続されるようにして配置されている。直列接続されたメモリセルトランジスタMTの一端側のドレイン領域は選択トランジスタST1のソース領域に接続され、他端側のソース領域は選択トランジスタST2のドレイン領域に接続されている。
【0014】
同一行にあるメモリセルトランジスタMTの制御ゲート電極はワード線WL0〜WL15のいずれかに共通接続され、同一行にあるメモリセルトランジスタMTの選択トランジスタST1、ST2のゲート電極は、それぞれセレクトゲート線SGD1、SGS1に共通接続されている。なお説明の簡単化のため、以下ではワード線WL0〜WL15を区別しない場合には、単にワード線WLと呼ぶことがある。また、メモリセルアレイ1において同一列にある選択トランジスタST1のドレインは、いずれかのビット線BL0〜BLnに共通接続される。以下、ビット線BL0〜BLnについても、これらを区別しない場合には一括してビット線BLと呼ぶ(n:自然数)。選択トランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続される。
【0015】
また、同一のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTには一括してデータが書き込まれ、この単位をページと呼ぶ。更に、複数のNANDストリング11はブロックBLK単位で一括してデータが消去される。
【0016】
<メモリセルアレイ1の断面図>
次に、上記構成のメモリセルアレイ1の断面図について図2を用いて説明する。図2はビット線BL方向に沿った、メモリセルアレイ1において、特にブロックBLK1における選択トランジスタST2及びブロックBLK0の断面図を示している。図示するように、p型半導体基板100の表面領域内にn型ウェル領域101が形成されている。n型ウェル領域101の表面領域内にはp型ウェル領域102が形成されている。p型ウェル領域102上にはゲート絶縁膜104が形成され、ゲート絶縁膜104上に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極、及び選択トランジスタST1、ST2が形成されている。メモリセルトランジスタMTのゲート電極及び選択トランジスタST1、及びST2は、FG構造を有した積層構造である。積層構造はゲート絶縁膜104上に多結晶ポリシリコン層105、ゲート間絶縁膜106、多結晶シリコン膜105、及び多結晶シリコン膜107が順次形成されている。また、多結晶シリコン膜107の表面は、シリサイド化(合金化)されている。また、このメモリセルトランジスタMTにおけるゲート電極の側壁には例えば9〜10[nm]程度の絶縁膜109が形成されている。絶縁膜109は、例えばHTO(High Temperature Oxidation:高温の減圧CVD法による成膜手法)法を用いて形成したシリコン酸化膜(以下、HTO膜109と呼ぶことがある)である。そして、絶縁膜109の表面上に絶縁膜110が形成されている。そして、絶縁膜109の表面上、且つメモリセルトランジスタMTのゲート電極間を埋め込むように形成される。絶縁膜110は、例えばTEOS(テトラエトキシシラン:Tetraethoxysilane)を材料に用いて形成したシリコン酸化膜(以下、単にTEOS膜と呼ぶことがある)である。
【0017】
また同様にブロックBLK0及びBLK1の選択トランジスタST2においてゲート電極の側壁には絶縁膜109が形成され、該絶縁膜109表面上に、例えば65[nm]程度の絶縁膜110が形成されている。そして、絶縁膜110表面及び選択トランジスタST2間におけるゲート絶縁膜104上に、例えば5[nm]程度の絶縁膜111が形成される。絶縁膜111は、例えば、TEOSで形成される。そして、絶縁膜111の表面上に絶縁膜112が形成される。絶縁膜112は、例えばSiNで形成される。更に、ブロックBLK0及びBLK1の選択トランジスタST2間を埋設するように絶縁膜113が形成されている。そして、絶縁膜113は、例えばBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)を材料に形成された絶縁膜である。なお、BPSG膜以外にも、例えばPSG(Phospho-Silicate Glass)膜、BSG(Boron-Silicate Glass)膜、またはNSG(None-doped Silicate Glass)膜であってもよい。そして、これら選択トランジスタST1、ST2、メモリセルトランジスタMT、及び絶縁膜109乃至絶縁膜112を被覆するように、例えば数十[nm]程度の膜厚を有した絶縁膜114が形成される。本実施形態において絶縁膜114は、例えばSiNで形成された膜である。なお、Alで絶縁膜114が形成されていてもよい。これにより、絶縁膜113とメモリセルトランジスタMT間に形成された絶縁膜109及び絶縁膜110とが隔てられる。つまり、絶縁膜114により被覆されることで、メモリセルトランジスタMT間に埋設された絶縁膜109及び絶縁膜110が、絶縁膜113から隔離される。
【0018】
上記説明したメモリセルトランジスタMTにおいて、ゲート絶縁膜104はトンネル絶縁膜として機能する。そして多結晶シリコン膜105は、浮遊ゲートとして機能し、多結晶シリコン膜107は制御ゲートとして機能する。結晶シリコン層107は、図1におけるビット線BL方向に直交するワード線WL方向で隣接するもの同士で共通接続されており、制御ゲート電極(ワード線WL)として機能する。以下、多結晶シリコン膜105、及び多結晶シリコン膜107を、それぞれ電荷蓄積層105、及び制御ゲート107と呼ぶことがある。
【0019】
また選択トランジスタST1、ST2において、多結晶シリコン膜105はワード線WL方向で隣接するもの同士で共通接続されている。そして、多結晶シリコン膜105が、セレクトゲート線SGS、SGDとして機能する。なお、多結晶シリコン膜105のみがセレクトゲート線として機能しても良い。この場合、選択トランジスタST1、ST2の多結晶シリコン膜107の電位は、一定の電位、またはフローティングの状態とされる。
【0020】
ゲート電極間に位置するp−ウェル領域102表面内には、n型不純物拡散層103が形成されている。n不純物拡散層103は隣接するトランジスタ同士で共用されており、ソース(S)またはドレイン(D)として機能する。また、隣接するソースとドレインとの間の領域は、電子の移動領域となるチャネル領域として機能する。これらのゲート電極、n不純物拡散層103、及びチャネル領域によって、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2となるトランジスタが形成されている。
【0021】
またp型半導体基板100上には、上記メモリセルトランジスタMT、及び選択トランジスタST1、ST2を被覆するようにして、例えばTEOSで形成された層間絶縁膜115が形成され、該層間絶縁膜115上には、例えばSiNで形成された絶縁膜116が形成されている。なお、層間絶縁膜115は、例えば50[nm]程度の膜厚で形成され、絶縁膜116は、例えば30[nm]程度の膜厚で形成される。
【0022】
そして、隣接するブロックBLK0及びBLK1にそれぞれ形成された選択トランジスタST2間に設けられたn不純物拡散層103に達する、図示せぬコンタクトプラグCP2がp型ウェル102中に形成されている。また、コンタクトプラグCP2は上記層間絶縁膜115及び絶縁膜116中に形成され、ソースに電気的に接続されていれもよい。この場合、層間絶縁膜115表面には、コンタクトプラグCP2に接続される、図示せぬ金属配線層が形成される。そしてこの金属配線層はソース線SLの一部として機能する。また層間絶縁膜115及び絶縁膜116中には、ドレイン側の選択トランジスタST1のn不純物拡散層(ドレイン)103に達する図示せぬコンタクトプラグCP3が形成されている。そして、このコンタクトプラグCP3は電気的にビット線BLと接続される。
【0023】
<メモリセルアレイ1の製造工程について>
次に、上記メモリセルアレイ1の製造工程について図3乃至図8を用いて説明する。図3乃至図8は、上記図2に示すNANDストリング11の製造工程を順次示す断面図であり、特にブロックBLK1に形成された選択トランジスタST2、並びにブロックBLK0に形成された選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMTの断面図について示す。
【0024】
まず図3に示すように、p型半導体基板100上に、例えばリンイオンを打ち込む。これによりn型ウェル領域101を形成する。そして、n型ウェル領域101の表面内に、例えばボロンイオンを打ち込む。これによりn型ウェル領域101の表面内にp型ウェル領域102を形成する。その後、p型半導体基板100上にゲート酸化膜104を形成し、該ゲート酸化膜104上に絶縁膜105、ゲート間絶縁膜106、絶縁膜105、多結晶シリコン膜107、及び窒化シリコン膜108を順次形成させる。その後、RIE(Reactive Ion Etching)法等の異方性エッチングを用いて、窒化シリコン膜108、多結晶シリコン膜107、絶縁膜105、106をゲート電極のパターンにパターニングする。引き続き、窒化シリコン膜108をマスクとして、イオン注入工程を用いてp型ウェル領域102内に不純物を注入する。これによりp型ウェル領域102表面内にゲート電極のソース及びドレインとして機能する不純物拡散層103が形成される。これにより、メモリセルトランジスタMTが形成される。また、周知の方法により選択トランジスタST1及びST2が形成される。その後、例えばHTO(High Temperature Oxidation:高温の減圧CVD法による成膜手法)法を用いてメモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、2の側壁に例えば膜厚が9〜10[nm]程度の絶縁膜109を形成する。更に絶縁膜109表面上に、例えば65[nm]程度の絶縁膜110を形成する。これにより、メモリセルトランジスタMT間が上記絶縁膜109、及び110により埋設される。
【0025】
次に図4に示すようにメモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST2における窒化シリコン108上、選択トランジスタST2間における絶縁膜104表面上、並びに上記絶縁膜110上に、例えば5[nm]程度の絶縁膜111を形成させる。なお絶縁膜111は、例えばTEOSを材料として形成される。そして上記絶縁膜111上にSiN膜112を、例えば20[nm]程度形成する。
【0026】
引き続き図5に示すように、選択トランジスタST2間を埋設するように、例えばBPSGを材料としたシリコン酸化膜113を形成する。その後、選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMTの窒化シリコン108が露出されるまで(Chemical Mechanical Polishing)法等による研磨エッチングで、窒化シリコン108、絶縁膜109乃至絶縁膜112、及び絶縁膜113の平坦化を行う。
【0027】
次に図6に示すように、選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMTにおいてゲート電極として機能する多結晶シリコン膜107を低抵抗化するため、エッチバックを行う。これにより多結晶シリコン膜107の上面を露出させる。その後、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST2の多結晶シリコン膜107をシリサイド(合金化)するため、多結晶シリコン膜107、絶縁膜109乃至絶縁膜112、及び絶縁膜113の上面に例えばNi層などの金属層を形成させる。その後、例えばNiの場合300〜600℃、Coの場合500℃〜900℃でアニールすることで、多結晶シリコン膜107の表面をシリサイド化して、シリサイド層118とする。なお、シリサイド化で使用される金属層はNi、Coの他、Wであってもよい。その後、ウェットエッチングを用いて例えばNi層などの金属層のみを剥離することで、図7を得ることが出来る。また、窒化シリコン膜108のシリサイド化は表面だけでなく、FUSI化であってもよい。FUSI化とは、多結晶シリコン膜と高融点金属とを反応させ、多結晶シリコン膜の表面のみをシリサイドするのではなく、多結晶シリコン膜の内部にまで完全にシリサイド化させることをいう。
【0028】
その後、図8に示すようにシリサイド層118、多結晶シリコン膜107、絶縁膜109乃至絶縁膜112、及び絶縁膜113上にSiN膜114を形成させる。そして、SiN膜114上に、例えばTEOSを材料に形成された層間絶縁膜115及び、例えばSiNを材料に形成された絶縁膜116を順次形成し、該絶縁膜116上に絶縁膜を形成した後、CMPを用いて平坦化を行う。この際、絶縁膜116がストッパとして機能する。その後、所定の金属配線工程を経ることで図2に示す不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0029】
<本実施形態に係る効果>
本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法であれば、下記(1)の効果を奏することができる。
(1)動作信頼性を向上させることができる
本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法であれば、アニール時において絶縁膜113から水素原子が拡散することを抑制することが出来る。以下、本実施形態においてSiN膜114が形成されていない場合について説明する。
【0030】
上記説明した図3乃至図8の製造過程において、不揮発性半導体記憶装置をアニールする。この場合SiN膜114が形成されていないと、BPSG膜113から水素原子が放出される。そしてこの放出された水素原子が、層間絶縁膜115を介してメモリセルトランジスタMTのゲート絶縁膜104にトラップされる。これにより、ゲート絶縁膜104にアクセプタ不純物準位が形成される。この場合において、制御ゲート107に書き込み電圧を印加すると、メモリセルトランジスタMTに形成されたチャネルからトンネリングされた電子が、これらアクセプタ準位にトラップされ、電荷蓄積層105に格納されにくくなる。メモリセルトランジスタMTは、チャネルからトンネリングされた電子の数でデータの書き込み状態を判断する。そして一時的に‘0’データ(2値の場合において閾値の高い状態)とされても、時間の経過と共にゲート絶縁膜104にトラップされた電子が抜けてしまう。この結果として電荷蓄積層105に格納された電荷は少なく見えてしまう。すなわち、‘1’データ(2値の場合において閾値の低い状態)と判断されてしまうことがある。
【0031】
また、SiN膜114の代わりに、絶縁膜116(SiN膜)が選択トランジスタST1、ST2、メモリセルトランジスタMT、及び絶縁膜109乃至絶縁膜113上に直接形成された場合、該絶縁膜116により絶縁膜113における水素原子の拡散を抑制することが期待できるが、以下のような問題が生じる。この場合、絶縁膜114上に層間絶縁膜115を介在して絶縁膜116が形成されるのではなく、選択トランジスタST1、ST2、メモリセルトランジスタMT、及び絶縁膜109乃至絶縁膜113上に該絶縁膜116(SiN膜)が直接形成される。この場合、製造工程で前述したように絶縁膜116を形成した後、該絶縁膜116上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜116をストッパとしたCMPを実行する。すると、層間絶縁膜115がないためCMPによる圧力が直接選択トランジスタST1、ST2、及びメモリセルトランジスタMTに掛かってしまう。このため、選択トランジスタST1、ST2、及びメモリセルトランジスタMTが破壊される恐れが生じる。
【0032】
この点、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法であると、選択トランジスタST2間に形成されたBPSG膜113、絶縁膜109乃至絶縁膜112、メモリセルトランジスタMT、選択トランジスタST1、及び選択トランジスタST2を被覆するようにSiN膜114が形成されている。具体的には、メモリセルトランジスタMT間に形成された絶縁膜109、110及びゲート絶縁膜104を外部と隔離するようにSiN膜114が形成されている。そして、このSiN膜114は水素原子の通過を抑制するブロック膜として機能する。このため、製造過程においてBPSG膜113に取り込まれた水素原子が、アニール時に該BPSG膜113から外部へ放出されることを抑制させることができる。具体的にはBPSG膜113中の水素原子を隣接するメモリセルトランジスタMTのトンネル酸化膜として機能するゲート絶縁膜104に達しないよう抑制することが出来る。また、SiN膜114上に形成された層間絶縁膜115及び絶縁膜116から拡散される水素原子をゲート絶縁膜104に達しないように抑制することが出来る。このため、メモリセルトランジスタMT直下のゲート酸化膜104の特性を向上させることができる。また、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法では、絶縁膜114上に層間絶縁膜115、絶縁膜116が順次形成されていることから、該絶縁膜116をストッパとしたCMPを行っても、該層間絶縁膜115が吸収体として機能することから、選択トランジスタST1、ST2、及びメモリセルトランジスタMTの破壊といった問題も抑制することが出来る。
【0033】
ここで、ゲート絶縁膜104に対する水素原子のブロック膜として機能するためには、SiN膜114はゲート絶縁膜104よりも上部にあればよいが、ゲート絶縁膜104から、より離れた上部にあった方が、ブロック膜としての効果は大きくなる。
【0034】
また、BPSG膜113中の水素原子の拡散はその下部にある絶縁膜(SiN)112によってもブロックされるので、絶縁膜112は水素原子の拡散を抑制することが可能な程度の膜厚を有していることが望ましい。
【0035】
なお、メモリセルトランジスタMTはFG構造やMONOS構造に限らず、NOR型でも適用可能である。またその他EEPROMでも適用可能とされる。
【0036】
なお、選択トランジスタST2、メモリセルトランジスタMT、絶縁膜109乃至絶縁膜112、及び絶縁膜113上に形成される絶縁膜114の材料はSiN、またはAlに限られなく、絶縁膜113を形成する材料に応じて種々の組み合わせが可能とされる。言い換えれば、絶縁膜113を形成する材料に応じて、絶縁膜114を構成する材料を変えることが可能とされる。具体的には絶縁膜113が上記本実施形態で説明したBPSGなどの材料以外で構成された場合、該絶縁膜113から拡散する原子を、ゲート絶縁膜に到達させることを抑制するような材料を絶縁膜114に適用してもよい。
【0037】
またなお、絶縁膜113が水素原子以外の原子を拡散する場合であれば、その拡散される原子を抑制する材料を絶縁膜114に適用すればよい。
【0038】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【符号の説明】
【0039】
1…メモリセルアレイ、100…p型半導体基板、101…n型ウェル領域、102…p型ウェル領域、103…n不純物拡散層、104…ゲート絶縁膜、105、107…ポリシリコン層、108…窒化シリコン膜、106…ゲート間絶縁膜、115…層間絶縁膜、109乃至111…絶縁膜、112、114、116…SiN膜、113…BPSG膜、118…シリサイド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上のトンネル絶縁膜を介して形成された電荷蓄積層と該電荷蓄積層上にゲート間絶縁膜を介して形成された制御ゲート電極を備えた第1ゲート電極と、
前記半導体基板上のゲート絶縁膜を介在して形成された第2ゲート電極及び第3ゲート電極と、
ゲート長方向に沿って対向する前記第2ゲート電極と前記第3ゲートとの側壁及び前記半導体基板面に沿って形成された第1絶縁膜と、
前記第2、第3ゲート電極間に埋設された第1層間絶縁膜と、
前記第2ゲート電極及び前記第1ゲート電極間に埋設された第2層間絶縁膜と、
前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、前記第3ゲート電極、前記第1絶縁膜、前記第1層間絶縁膜、及び第2層間絶縁膜上にそれぞれ形成され、且つ前記第1層間絶縁膜における水素原子の拡散を抑制する第2絶縁膜と
を具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜により、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜とがそれぞれ隔てられる
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2絶縁膜は、SiN膜、Al膜、AlON膜、並びに下層から順にSiN膜、Al膜、及びSiN膜が順次形成された多層膜のいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2ゲート電極の前記側壁に設けられた前記第1絶縁膜と該第2ゲート電極の前記側壁との間に、該第2ゲート電極の前記側壁に沿って設けられた第3絶縁膜を更に備え、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間隔は、前記第3絶縁膜の2倍未満である
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
半導体基板上にトンネル絶縁膜を介して順次形成された電荷蓄積層、ゲート間絶縁膜、及び制御ゲート電極を備えた第1ゲート電極と、前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介在して形成された第2ゲート電極との間を第1層間絶縁膜で埋設する工程と、
前記半導体基板上に前記第2ゲート絶縁膜を介在して形成された第3ゲート電極と前記第2ゲート電極とのゲート長に沿って互いに対向する側壁及び前記半導体基板面に沿って第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第2ゲート電極及び前記第3ゲート電極間を第2層間絶縁膜で埋設する工程と、
前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極、並びに前記第1絶縁膜、並びに前記第1層間絶縁膜、及び第2層間絶縁膜上にそれぞれ前記第2層間絶縁膜における水素原子の拡散を抑制する第2絶縁膜を形成する工程と
を具備する不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−9447(P2011−9447A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151248(P2009−151248)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】