説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】MONOS型のメモリセルに対するデータの消去速度を改善させる不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体基板18と、半導体基板18中に埋め込み領域として形成された第1導電型のジャンクションリーク発生層21と、半導体基板18中に形成され、ジャンクションリーク発生層21を挟む第1導電型とは逆の第2導電型のウェル領域20,22と、半導体基板18の表面に近いウェル領域22上に一定の間隔をおいて形成された第1導電型の2つの不純物拡散層23と、2つの不純物拡散層23の間のウェル領域22上に形成されたトンネル絶縁膜24と、トンネル絶縁膜24上に形成されたチャージトラップ型の電荷蓄積層25と、電荷蓄積層25上に形成されたブロック絶縁膜26と、ブロック絶縁膜26上に形成されるコントロールゲート電極28により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置のウェル構造に関し、特にMONOS型のメモリセルに使用される。
【背景技術】
【0002】
電荷蓄積層の電荷量に応じてデータを保持する不揮発性半導体記憶装置の1つの例として、NAND型フラッシュメモリがある。このNAND型フラッシュメモリにおいて、メモリ容量の増大を図るため、世代毎にメモリセルを縮小(Shrink)している。
【0003】
しかし、フローティングゲート構造で形成されるメモリセルにおいて、メモリセル同士の間隔が狭まるにつれ、メモリセル間のカップリングによる干渉現象が深刻な問題となっている。
【0004】
そのため、メモリセル間のカップリングの影響が少ないMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)構造で形成されるメモリセルが注目されている。
【0005】
MONOS型のメモリセルに対するデータの消去に関しては、F−N(Fowler-Nordheim)トンネリングによりホールを電荷蓄積層に注入し、電荷蓄積層に蓄積されている電荷と中和する方法、及びホットホールを電荷蓄積層に注入する方法が知られている(特許文献1又は2参照)。
【0006】
しかし、例えば、F−Nトンネリングによりホールを注入する方法では、F−Nトンネリング時のバリアハイトの違いに起因して、ホールの電荷蓄積層への注入は、フローティングゲート型のメモリセルの方法で行う電荷蓄積層から電荷を取り出す方法よりも効率が悪い。そのため、MONOS型のメモリセルは、フローティングゲート型のメモリセルよりもデータの消去が遅いという問題がある。
【0007】
更に、書き込み時における非選択のメモリセルに対する誤書き込みを防止するため、閾値電圧を下げる要請がある。その結果、チャネル領域の不純物濃度を極力低くする必要がある。しかし、チャネル領域の不純物濃度を低くすると、データ消去時に電荷蓄積層に供給されるべきホールが不足してしまい、消去速度が更に遅くなるという問題がある。
【0008】
この消去速度を改善するためには、コントロールゲート電極−ウェル領域間の電界を強くすれば良い。例えば、MONOS積層膜の酸化膜換算膜厚(EOT: Equivalent Oxide Thickness)を薄くすれば良いが、EOTを薄くするとメモリセルの絶縁膜破壊耐圧が劣化してしまい、メモリセルの信頼性が保てないという問題がある。
【特許文献1】米国特許第7,180,125号
【特許文献2】特開2006−216960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、チャネル領域にホールの供給を増やすことでメモリセルの信頼性を確保しつつデータの消去速度を改善する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の例に係る不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板と、前記半導体基板中に埋め込み領域として形成された第1導電型のジャンクションリーク発生層と、前記半導体基板中に形成され、前記ジャンクションリーク発生層を挟む前記第1導電型とは逆の第2導電型のウェル領域と、前記半導体基板の表面に近い前記ウェル領域上に一定の間隔をおいて形成された前記第1導電型の2つの不純物拡散層と、前記2つの不純物拡散層の間の前記ウェル領域上に形成されたトンネル絶縁膜と、前記トンネル絶縁膜上に形成されたチャージトラップ型の電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層上に形成されたブロック絶縁膜と、前記ブロック絶縁膜上に形成されたコントロールゲート電極で構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チャネル領域にホールの供給を増やすことでメモリセルの信頼性を確保しつつデータの消去速度を改善出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
1. 概要
本発明の例では、半導体基板内にデータ消去時におけるホールの供給源となるpnジャンクションを新たに設ける。具体的には、半導体基板中の上部に形成されたp型のウェル領域の間に、n型の埋め込み領域であるジャンクションリーク発生層を形成する。
【0014】
そして、ジャンクションリーク発生層と各ウェル領域との間に接合破壊が生じない程度の逆バイアスの電圧を掛け、ジャンクションリーク電流を発生させる。その結果、ジャンクションリーク発生層からp型のウェル領域にリーク電流によるホールが流れる。このホールがメモリセルのチャネル領域に供給されることで、より多くのホールが電荷蓄積層に注入され、データの消去速度を改善することが出来る。
【0015】
2. 実施の形態
(1) 第1の実施の形態
図1は、メモリセルアレイ内のセルアレイ領域及びシャント領域の一部を示した平面図である。
【0016】
メモリセルアレイ11内において、セルアレイ領域12aがロウ方向に沿って配置され、カラム方向に延びるシャント領域13がセルアレイ領域12aの間に、例えば、一定の間隔で配置される。
【0017】
セルアレイ領域12a中には、カラム方向に延び、ロウ方向に一定間隔で配置されるビット線BLと、ロウ方向に延びるソース線SLが配置されている。
【0018】
シャント領域13とは、半導体基板内の領域、例えば、ウェル領域などとコンタクトを取るために形成された領域のことである。また、シャント領域には、ウェルコンタクト部17が形成され、このウェルコンタクト部17はウェル配線WELに接続されている。
【0019】
図2は、図1のセルアレイ領域12aを拡大した平面図を示している。なお説明の便宜上、ソース線SLは図示していない。
【0020】
セルアレイ領域には、ロウ方向に延びる複数のワード線WLと選択ゲート線SGS,SGDが配置される。このワード線WLとビット線の交点にメモリセルMCが配置され、ビット線BLと選択ゲート線SGS,SGDの交点に選択ゲートトランジスタが形成されている。カラム方向に沿って複数のメモリセルMCが配置され、このメモリセルMCとメモリセルMCを挟む選択ゲートトランジスタで1つのセルユニット14を形成している。このセルユニット14は、ロウ方向に一定の間隔で複数個配置されている。さらに、セルユニット14の一端は、各々ソース線コンタクト部15を介してソース線SLと接続され、他端は、ビット線コンタクト部16を介してビット線BLと接続される。
【0021】
図3は、図2のIII−III´線に沿った断面図を示しており、図4は、図2のIV−IV´線に沿った断面図を示している。尚、図中の省略線より右側はセルアレイ端12bの構造を示している。
【0022】
図3において、p型半導体基板18中に、n型ウェル領域19が形成される。このn型ウェル領域19の上部にp型ウェル領域20が形成される。
【0023】
p型ウェル領域20上部にn型埋め込み領域である、ジャンクションリーク発生層(n−J/L)21が形成される。ここで、ウェル領域と埋め込み領域について、以下のように定義する。
【0024】
ウェル領域とは、その上面の一部が半導体基板の上面に露出している不純物領域のことであり、埋め込み領域とは、その上面が半導体基板の上面に露出していない不純物領域のことをいう。
【0025】
ジャンクションリーク発生層21の上部にp型ウェル領域22が形成される。p型ウェル領域22は、p型ウェル領域20の不純物濃度と比較して低く形成し、メモリセルMCのパンチスルーストッパとして機能する。ここで、p型ウェル領域22とジャンクションリーク発生層21はpnジャンクションを構成している。
【0026】
p型ウェル領域22の上部にメモリセルMC及び選択ゲートトランジスタSGS,SGDが配置される。尚、p型ウェル領域20及びp型ウェル領域22は一層p型ウェル領域から構成されていても良く、この場合は、p型ウェル中にジャンクションリーク発生層21が形成されることになる。
【0027】
メモリセルMCは、いわゆるMONOS型の構造を有しており、p型ウェル領域22中の上部にn型ソース・ドレイン領域23が形成され、n型ソース・ドレイン領域23の間に形成されるチャネル領域の上部にトンネル絶縁膜24を介して電荷蓄積層25が形成される。電荷蓄積層25の上部は、ブロック絶縁膜26を介して高仕事関数金属膜27及びコントロールゲート電極28が形成される。
【0028】
ここで、トンネル絶縁膜24は、例えば、ONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜又はホールのトンネル効率を改善させたバンドエンジニアリング積層膜で形成され、電荷蓄積層25は、SiNで形成される。ブロック絶縁膜26は、データ消去時の電子のバックトンネリングを抑制するため高誘電率である、例えば、Alで形成される。高仕事関数金属膜27は、データ消去時に電子のバックトンネリングを抑制するため、例えば、TaN又はTiNで形成される。コントロールゲート電極28は、ポリシリコンと、金属シリサイド、例えば、WSi、CoSi、NiSiで形成される積層構造で構成される。また、コントロールゲート電極28は、ポリシリコンとシリサイドの積層構造以外に、窒化タングステンとタングステン(WN/W)の積層膜を用いても良い。
【0029】
選択ゲートトランジスタSGS,SGDは、上記のMONOS型のメモリセルMCの構造から電荷蓄積層25を除いた構造で形成される。また、ブロック絶縁膜26及び高仕事関数金属膜27の膜厚は、メモリセルMCのそれと同じであるとする。
【0030】
尚、メモリセルMCと同じ構造、つまり、電荷蓄積層25も含んだ構造を選択ゲートトランジスタSGS,SGDとして用いる場合もある。また、ゲート絶縁膜Goxとトンネル絶縁膜24の膜厚は、同じであっても異なっていても良い。
【0031】
選択ゲートトランジスタSGS,SGDのそれぞれのソースまたはドレイン領域はメモリセルMCのソースまたはドレイン領域と共通接続されている。
【0032】
選択ゲートトランジスタSGSのソース領域29の上部にソース線SLと電気的に接続されるソース線コンタクト電極30が形成される。また、ソース領域29及びp型ウェル領域22に跨り、ソース線コンタクト電極30と電気的に接続されるn型ソース線コンタクト拡散層31が形成される。更に、p型ウェル領域22中にn型ソース線コンタクト拡散層31及びジャンクションリーク発生層21と電気的に接続されるn型接続拡散層32が形成される。従って、n型ソース線コンタクト拡散層31の下部にn型接続拡散層32を形成することで、ソース線SLとジャンクションリーク発生層21が電気的に接続される。尚、n型ソース線コンタクト拡散層31は選択ゲートトランジスタSGSのソース領域29と連続して形成されており、メモリセルMCのソースまたはドレイン領域と隣接して配置されていると言える。
【0033】
また、n型接続拡散層32はn型ソース線コンタクト拡散層31のみならず、ソース領域29と直接接続さていても良い。その結果、拡散層抵抗が下がり、ソース線SLからの電位をジャンクションリーク発生層21に効率的に伝えることができる。
【0034】
メモリセルMC及び選択ゲートトランジスタSGS,SGDは層間絶縁膜52によって覆われている。
【0035】
選択ゲートトランジスタSGDのドレイン領域33の上部にビット線BLと電気的に接続されるビット線コンタクト電極34が形成される。また、ドレイン領域33及びp型ウェル領域22に跨り、ビット線コンタクト電極34と電気的に接続されるn型ビット線コンタクト拡散層35が形成される。
【0036】
図4において、p型ウェル領域22内には、STI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁膜36が形成され、カラム方向に延びる長いストライプ状に形成され、ロウ方向に並ぶメモリセルを分離している。
【0037】
また、ジャンクションリーク発生層21は、素子分離絶縁膜36の下部に形成され、素子分離絶縁膜36で分断されることなくロウ方向に延びている。すなわち、ジャンクションリーク発生層21はメモリセルMCの下全面に配置されており、各メモリセルMCに効果的にホールを供給できる。
【0038】
また、ジャンクションリーク発生層21はセルアレイ端12bにおいて終端しており、このセルアレイ端12bにてp型ウェル領域20、22が接続されている。その結果、p型ウェル領域20、22を上層配線で結ばなくても同じ電位を与えることができる。
【0039】
図5は、メモリセルMCに対するデータ消去時における、p型半導体基板、各ウェル領域、メモリセルのコントロールゲート電極、ソース線及びビット線の電圧関係を示している。
【0040】
各メモリセルのコントロールゲート電極28は、0Vに設定し、選択ゲートトランジスタSGS,SGD及びビット線BLは、それぞれフローティング状態にする。p型半導体基板18及び各ウェル領域には、Vera(例えば、21V程度)の電圧が印加される。ソース線SL、つまり、ジャンクションリーク発生層21には、電圧Veraと比較して高い電圧Vjlを印加する。これは、ジャンクションリーク発生層21とp型ウェル領域22との間に逆バイアスの電圧を掛けることでジャンクションリーク電流を発生させるためである。
【0041】
ここで、ジャンクションリーク発生層21に印加される電圧Vjlは、ジャンクションリーク電流を発生させるため、Vjl−Vera≧5Vという関係であると共に、p型ウェル領域22との接合破壊が起こらない程度の電圧であるとする。
【0042】
p型ウェル領域22とジャンクションリーク発生層21との間でジャンクションリーク電流が発生することにより、メモリセルMCのチャネル領域にホールが供給される。従って、チャネル領域のホール濃度が上昇することで、電荷蓄積層25にホールが注入される効率が上昇する結果、データの消去速度が改善される。
【0043】
このように、データの消去速度は、p型ウェル領域22とジャンクションリーク発生層21との間に発生するジャンクションリーク電流により改善されるため、メモリセルMCのコントロールゲート電極28−ウェル間の電界を強くする必要は無い。従って、ブロック層26からトンネル絶縁膜24までの膜厚を厚くすることができ、メモリセルMCが絶縁耐圧を向上させることができる。
【0044】
また、ソース線SLは全てのセルユニット14に共通接続されているため、それぞれのセルユニット14のn型接続拡散層32からジャンクションリーク発生層21に電圧が印加されることにより、ジャンクションリーク発生層21に均一な電圧を与えることが出来るという特徴も有する。
【0045】
更に、図4で示すように、ジャンクションリーク発生層21は、素子分離絶縁膜36の下面より低い位置に形成されている。そのため、書き込み時の非選択セルニット14に発生するブースト電位によりチャネル領域に生じる空乏層よりも深い位置にジャンクションリーク発生層21は形成される。従って、書き込み時にジャンクションリーク発生層21がメモリセルに影響を与えないという特徴も有する。
【0046】
ここで、メモリセルとジャンクションリーク発生層21との間の幅が狭いほど、データ消去時のジャンクションリーク電流によるホールの供給は、効果的に行われる。しかし、p型ウェル領域22が素子分離絶縁膜36の下部で電気的に接続されている必要もある。そのため、ジャンクションリーク発生層21と素子分離絶縁膜36との間の幅は、例えば、0より大きく100nm以下であるとする。
【0047】
本発明の第1の実施の形態において、ジャンクションリーク発生層を挟むp型ウェル領域を形成し、p型ウェル領域とジャンクションリーク発生層にジャンクションリーク電流が発生するが、接続破壊が起こらない程度の逆バイアスの電圧を印加する。ジャンクションリーク電流が発生することで、メモリセルMCのチャネル領域にホールが供給され、メモリセルの電荷蓄積層へのホールの注入効率が上昇する結果、消去速度が改善される。
【0048】
(2) 第2の実施の形態
第2の実施の形態の特徴は、第1の実施の形態と比べると、ジャンクションリーク発生層に対する電圧の与え方にある。
【0049】
具体的には、第1の実施の形態では、ソース線SLからソース線コンタクト拡散層を介してジャンクションリーク発生層に電圧を与えたが、第2の実施の形態では、シャント領域内に、ジャンクションリーク発生層に接続するジャンクションリークコンタクト部を設け、ジャンクションリークコンタクト部からジャンクションリーク発生層に電圧を与える。
【0050】
図6は、第2の実施の形態におけるセルアレイ領域及びシャント領域の一部を示した平面図である。
【0051】
シャント領域13内には、ジャンクションリーク発生層とコンタクトを取るための領域である、ジャンクションリークコンタクト部37と、ウェル領域とコンタクトを取るためのウェルコンタクト部17が配置される。ジャンクションリークコンタクト部37とウェルコンタクト部17は、例えば、ロウ方向に交互に配置される。
【0052】
ジャンクションリークコンタクト部37は、ジャンクションリーク配線JLLに接続されている。
【0053】
図7は、図6におけるメモリセルアレイのセルアレイ領域12a及びシャント領域13の一部を拡大した平面図を示したものである。なお説明の便宜上、ジャンクションリーク配線JLLは図示していない。
【0054】
セルアレイ領域12aは、カラム方向に沿って複数のセルユニット14が配置され、セルユニット14の一端は、各々ソース線コンタクト部15を介してソース線SLと接続され、他端は、ビット線コンタクト部16を介してビット線BLと接続される。
【0055】
セルユニット14上には、複数のワード線WLと選択ゲート線SGS,SGDが配置される。
【0056】
図8は、図7におけるVIII−VIII´線に沿った断面図を示しており、図9は、図7におけるIX−IX´線に沿った断面図を示している。
【0057】
図8において、p型半導体基板18中に、n型ウェル領域19が形成される。このn型ウェル領域19の上部にp型ウェル領域20が形成される。
【0058】
p型ウェル領域20上部にn型の埋め込み領域である、ジャンクションリーク発生層21が形成される。
【0059】
ジャンクションリーク発生層21の上部にp型ウェル領域22が形成される。p型ウェル領域22は、p型ウェル領域20の不純物濃度と比較して低く形成し、メモリセルMCのパンチスルーストッパとして機能する。ここで、p型ウェル領域22とジャンクションリーク発生層21はpnジャンクションを構成している。
【0060】
p型ウェル領域22の上部にメモリセルMC及び選択ゲートトランジスタSGS,SGDが配置される。
【0061】
ここで、メモリセルMC及び選択ゲートトランジスタSGS,SGDの構造は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。
【0062】
選択ゲートトランジスタSGSのソース領域29の上部にソース線SLと電気的に接続されるソース線コンタクト電極30が形成される。また、ソース領域29及びp型ウェル領域22に跨り、ソース線コンタクト電極30と電気的に接続されるn型ソース線コンタクト拡散層31が形成される。
【0063】
選択ゲートトランジスタSGDのドレイン領域33の上部にビット線BLと電気的に接続されるビット線コンタクト電極34が形成される。また、ドレイン領域33及びp型ウェル領域22に跨り、ビット線コンタクト電極34と電気的に接続されるn型ビット線コンタクト拡散層35が形成される。
【0064】
図9において、セルアレイ領域12a及びシャント領域13のp型ウェル領域22内には、STI構造の素子分離絶縁膜36が形成され、カラム方向に延びる長いストライプ状に形成される。
【0065】
また、ジャンクションリーク発生層21は、素子分離絶縁膜36の下部に形成されている。
【0066】
セルアレイ領域12aにおいて、p型ウェル領域22の上部にn型ビット線コンタクト拡散層35、ビット線コンタクト電極34を介してビット線BLが接続されている。
【0067】
シャント領域13において、p型ウェル領域22中にジャンクションリーク発生層21と電気的に接続されるn型接続拡散層32´が形成される。更に、n型接続拡散層32´の上部にn型接続拡散層32´及びジャンクションリークコンタクト電極39と電気的に接続されるn型ジャンクションリークコンタクト拡散層38が形成される。
【0068】
従って、シャント領域13のp型ウェル領域22中にn型接続拡散層32´及びn型ジャンクションリークコンタクト拡散層38を形成することで、ジャンクションリーク発生層21とジャンクションリークコンタクト電極39が電気的に接続される。
【0069】
また、複数のジャンクションリークコンタクト電極39はジャンクションリーク配線JLLと接続している。その結果、コンタクト抵抗を下げることができ、効果的にジャンクションリーク発生層21に電位を伝えることができる。
【0070】
ジャンクションリーク配線JLLの上には層間絶縁膜52が形成され、この層間絶縁膜52を介してダミービット線DBLが配置されている。ビット線BLとジャンクションリーク配線JLLが異なる層に配置されることにより、配線レイアウトを容易にしている。
【0071】
図10は、メモリセルに対するデータ消去時における、p型半導体基板、各ウェル領域、ビット線の電圧関係を示している。
【0072】
電圧関係は、第1の実施の形態と同じである。即ち、p型半導体基板18及び各ウェル領域には、Vera(例えば21V以下)の電圧が印加される。更に、各メモリセルMCのコントロールゲート電極28は、0Vに設定し、選択ゲートトランジスタSGS,SGD及びビット線BLは、それぞれフローティング状態にする。
【0073】
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、ソース線SLをフローティング状態に保ち、シャント領域内のジャンクションリーク電極からジャンクションリーク発生層に電圧Vjlが印加されることである。
【0074】
これにより、第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0075】
また、シャント領域13は、メモリセルアレイ11内に一定の間隔で設けられているため、電圧降下量が小さくなり、ジャンクションリーク発生層に均一な電圧が与えられるという特徴もある。
【0076】
また、n型接続拡散層32´は素子分離絶縁膜36を挟んで隣接する複数のn型ジャンクションリークコンタクト拡散層38と接続されている。その結果、拡散層抵抗が下がり、ジャンクションリークコンタクト電極39からの電位をジャンクションリーク発生層21に効率的に伝えることができる。
【0077】
(3) 製造方法
第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を説明する。
【0078】
まず、図11に示すように通常の工程により、p型半導体基板18中にn型ウェル領域19、p型ウェル領域20及びp型ウェル領域22を順次形成する。尚、p型ウェル領域20及びp型ウェル領域22は1つのp型ウェル領域であってもよい。
【0079】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりp型ウェル領域22上にトンネル絶縁膜24を形成する。トンネル絶縁膜24は、例えば、ONO膜又はバンドエンジニアリング積層膜で形成される。更に、CVD法によりトンネル絶縁膜24上に窒化シリコン膜25´を形成する。この後、窒化シリコン膜25´上にレジストパターン40を形成する。
【0080】
次に、図12に示すように、レジストパターン40をマスクにして、RIE(Reactive Ion Etching)法により、窒化シリコン膜25´、トンネル絶縁膜24、p型ウェル領域22を順次エッチングする。その結果、ストライプ状のトレンチ41が形成される。
【0081】
次に、図13に示すように、レジストパターン40をマスクにしてトレンチ41底部のp型ウェル領域20とp型ウェル領域22の界面近傍にn型不純物をイオン注入する。そして、レジストパターン40を除去した後、アニールを行うと、ドープされたn型不純物が横方向に拡散し、互いに結合するため、図14に示すように、埋め込み領域であるジャンクションリーク発生層21が形成される。
【0082】
また、このアニールはn型不純物をイオン注入した直後でなくても良い。例えば、図16におけるn型不純物拡散層23,29形成工程の後に行うことも可能である。この場合、n型不純物拡散層23,29の不純物の固定化と共にジャンクションリーク発生層21の拡散も行うことができる。
【0083】
ジャンクションリーク発生層を形成後、図15に示すように、通常の工程により、メモリセルMCのトンネル絶縁膜24、電荷蓄積層25、ブロック絶縁膜26、高仕事関数金属膜27及びコントロールゲート電極28を形成する。
【0084】
次に、図16に示すように、p型ウェル領域22中にn型の不純物をイオン注入し、n型不純物拡散層23,29を形成する。
【0085】
次に、図17に示すように、n型不純物拡散層29上に開口を有するレジストパターン40を形成する。
【0086】
次に、図18に示すように、レジストパターン40をマスクにして、n型不純物をp型ウェル領域22中にイオン注入し、ジャンクションリーク発生層21と電気的に接続されるn型接続拡散層32及びn型接続拡散層32と電気的に接続されるn型ソース線コンタクト拡散層31を形成する。
【0087】
そして、n型接続拡散層32及びn型ソース線コンタクト拡散層31を形成後、レジストパターン40を除去し、通常の配線工程を行えば、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0088】
尚、上述の図11から図18の例では、STI形成のためのトレンチ41の形成後にイオン注入を行い、ジャンクションリーク発生層21を形成したが、これに代えて、p型ウェル領域20の形成直後、又は、p型ウェル領域20,22の形成直後に、イオン注入法によりジャンクションリーク発生層21を形成しても良い。
【0089】
次に、第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を説明する。
【0090】
まず、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法と同様の工程により、埋め込み領域であるジャンクションリーク発生層を形成する。
【0091】
次に、図19に示すように、通常の工程により、トレンチ41内にSTI構造の素子分離絶縁膜36を形成する。更に、シャント領域13に開口を有するレジストパターン40を形成する。
【0092】
次に、図20に示すように、レジストパターン40をマスクにして、n型不純物をp型ウェル領域22中にイオン注入し、ジャンクションリーク発生層21と電気的に接続されるn型接続拡散層32´を形成する。
【0093】
その後、レジストパターン40を除去し、通常の工程により、メモリセルのトンネル絶縁膜、電荷蓄積層、ブロック絶縁膜、高仕事関数金属膜及びコントロールゲート電極を形成する。
【0094】
次に、図21に示すように、セルアレイ領域12aのp型ウェル領域22及びシャント領域13のn型接続拡散層32´にn型の不純物をイオン注入し、n型ビット線コンタクト拡散層35及びn型ジャンクションリークコンタクト拡散層38をそれぞれ形成する。
【0095】
その後、通常の配線工程を行えば、第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0096】
3. 適用例
本発明をNAND型フラッシュメモリに適用した例を説明する。
【0097】
図22は、NAND型フラッシュメモリの全体図を示している。
【0098】
メモリセルアレイ11は、複数のブロックBK1,BK2,・・・BKjから構成される。
【0099】
データラッチ回路42は、読み出し/書き込み時にデータを一時的にラッチする機能を有し、例えば、フリップフロップ回路から構成される。I/O(Input/Output)バッファ43は、データのインターフェイス回路として、アドレスバッファ44は、アドレス信号インターフェイス回路として機能する。
【0100】
アドレス信号には、ブロックアドレス信号、ロウアドレス信号及びカラムアドレス信号が含まれる。
【0101】
ロウデコーダ45は、ブロックアドレス信号に基づいて、複数のブロックBK1,BK2,・・・BKjのうちの1つを選択し、ロウアドレス信号に基づいて、選択ブロック内の複数のワード線のうち1つを選択する。ワード線ドライバ47は、選択ブロック内の複数のワード線を駆動する。
【0102】
カラムデコーダ46は、カラムアドレス信号に基づいて、複数のビット線のうちの1つを選択する。
【0103】
基板電圧制御回路48は、半導体基板、ウェル領域及び本発明に係るジャンクションリーク発生層の電圧を動作モードに応じて制御する。
【0104】
電圧発生回路49は、ワード線ドライバ47を制御する電圧、及び、選択ブロック内の複数のワード線に供給する転送電圧を発生する。
【0105】
制御回路50は、例えば、基板電圧制御回路48及び電圧発生回路49の動作を制御する。
【0106】
転送電圧セレクタ51は、動作モード、選択されたワード線の位置などの情報に基づいて、選択ブロック内の複数のワード線の各々に供給する転送電圧の値を選択し、ワード線ドライバ47を介して複数のワード線に電圧を供給する。
【0107】
図23は、メモリセルアレイ11の等価回路図の例を示したものである。
【0108】
メモリセルアレイ11は、カラム方向に配置される複数のブロックBK1,BK2,・・・から構成される。
【0109】
ブロック各々は、ロウ方向に配置される複数のセルユニット14を有する。複数のセルユニット14各々は、直列接続されたn個のメモリセルMCからなるNANDストリングと、その両端に1つずつ接続される2つの選択ゲートトランジスタSTとから構成される。
【0110】
セルユニット14各々の一端は、ビット線BLに接続され、他端は、ソース線SLに接続される。
【0111】
メモリセルアレイ11上には、複数のワード線WLと複数の選択ゲート線SGS,SGDが配置される。
【0112】
4. むすび
本発明によれば、チャネル領域にホールの供給を増やすことでメモリセルの信頼性を確保しつつデータの消去速度を改善することができる。
【0113】
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】メモリセルアレイを示す平面図。
【図2】セルアレイ領域を示す平面図。
【図3】セルアレイ領域のカラム方向における断面図。
【図4】セルアレイ領域のロウ方向における断面図。
【図5】データ消去時における電圧関係を示す図。
【図6】メモリセルアレイを示す平面図。
【図7】セルアレイ領域及びシャント領域を示す平面図。
【図8】セルアレイ領域のカラム方向における断面図。
【図9】セルアレイ領域及びシャント領域のロウ方向における断面図。
【図10】データ消去時における電圧関係を示す図。
【図11】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図12】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した平面図。
【図13】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図14】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図15】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図16】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図17】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した平面図。
【図18】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図19】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図20】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図21】本発明の例に関わる製造方法の一工程を示した断面図。
【図22】本発明の適用例に関わるNAND型フラッシュメモリを示す図。
【図23】本発明の適用例に関わるメモリセルアレイを示す図。
【符号の説明】
【0115】
11: メモリセルアレイ、 12a: セルアレイ領域、 12b: セルアレイ端、 13: シャント領域、 14: セルユニット 15: ソース線コンタクト部、 16: ビット線コンタクト部、 17: ウェルコンタクト部、 18: p型半導体基板、 19: n型ウェル領域、 20: p型ウェル領域、 21: ジャンクションリーク発生層、 22: p型ウェル領域、 23: n型ソース・ドレイン領域、 24: トンネル絶縁膜、 25: 電荷蓄積層、 26: ブロック絶縁膜、 27: 高仕事関数金属膜、 28: コントロールゲート電極、 29: ソース領域、 30: ソース線コンタクト電極、 31: n型ソース線コンタクト拡散層、 32: n型接続拡散層、 33: ドレイン領域、 34: ビット線コンタクト電極、 35: n型ビット線コンタクト拡散層、 36: 素子分離絶縁膜、 37: ジャンクションリークコンタクト部、 38: ジャンクションリークコンタクト拡散層、 39: ジャンクションリークコンタクト電極、 40: レジストパターン、 41: トレンチ、 42: データラッチ回路、 43: I/Oバッファ、 44: アドレスバッファ、 45: ロウデコーダ、 46: カラムデコーダ、 47: ワード線ドライバ、 48: 基板電圧制御回路、 49: 電圧発生回路、 50: 制御回路、 51: 転送電圧セレクタ、 52: 層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板中に埋め込み領域として形成された第1導電型のジャンクションリーク発生層と、
前記半導体基板中に形成され、前記ジャンクションリーク発生層を挟む前記第1導電型とは逆の第2導電型のウェル領域と、
前記半導体基板の表面に近い前記ウェル領域上に一定の間隔をおいて形成された前記第1導電型の2つの不純物拡散層と、
前記2つの不純物拡散層の間の前記ウェル領域上に形成されたトンネル絶縁膜と、
前記トンネル絶縁膜上に形成されたチャージトラップ型の電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層上に形成されたブロック絶縁膜と、前記ブロック絶縁膜上に形成されたコントロールゲート電極とを具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記ジャンクションリーク発生層と前記ウェル領域との間に逆バイアスの電圧を印加した状態でデータ消去を行うことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記半導体基板中に形成される素子分離絶縁膜を更に具備し、
前記素子分離絶縁膜の下面と前記ジャンクションリーク発生層の上面との間の幅は、0より広く100nmより狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記2つの不純物拡散層のうちの1つに隣接して配置された前記第1導電型の第2不純物拡散層と、前記第2不純物拡散層に接続されるソース線と、前記ソース線と前記ジャンクションリーク発生層とを接続する前記第1導電型の不純物拡散層とを具備することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記電荷蓄積層、前記ブロック絶縁膜及び前記コントロールゲート電極で構成されたメモリセルが複数個形成されるセルアレイ領域と、前記セルアレイ領域に隣接して形成されるシャント領域と、前記シャント領域内に形成される電極と、前記電極と前記ジャンクションリーク発生層とを接続する前記第1導電型の不純物拡散層とを具備することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−129772(P2010−129772A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302757(P2008−302757)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】