低角度オフカット炭化ケイ素結晶上の安定なパワーデバイス
【課題】炭化ケイ素中の結晶欠陥を低減することができるプロセスならびにその結果得られる構造体およびデバイスを提供すること。
【解決手段】炭化ケイ素ベースのパワーデバイスが、<0001>方向に対して8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を含む。
【解決手段】炭化ケイ素ベースのパワーデバイスが、<0001>方向に対して8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー電子デバイスなどの電子デバイスで使用される半導体材料を製作する方法に関する。特に、本発明のいくつかの実施形態は、炭化ケイ素中の結晶欠陥を低減することができるプロセスならびにその結果得られる構造体およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、過去20年間にわたり、シリコンおよびガリウムヒ素の両方よりも多くの利点を提供することができる適切な半導体材料の対象とされてきた。特に、炭化ケイ素は広いバンドギャップ、高い絶縁破壊電界、高い熱伝導率、高い飽和電子ドリフト速度を有し、物理的に極めて強固である。炭化ケイ素は極めて高い融点を有し、世界中で最も硬質なことで知られる材料のうちの1つである。
【0003】
しかし、その物理的性質のために、炭化ケイ素は生成するのが比較的困難である場合もある。炭化ケイ素は多くのポリタイプで成長することができるので、大きい単結晶に成長させるのは困難である場合がある。炭化ケイ素を成長させるために使用される高温により、不純物準位(ドーピングを含む)の制御が比較的困難になることもあり、さらに薄膜(例えばエピタキシャル層)の製作で困難が生じることがある。その硬度のために、半導体ウェハのスライスおよび研磨の従来のステップも炭化ケイ素ではより困難となることがある。同様に、化学的侵食に対する耐性のため従来の方法でエッチングすることが困難である場合がある。
【0004】
さらに、炭化ケイ素は150を超えるポリタイプを形成することができ、それらの多くは比較的小さい熱力学差によって分離される。その結果、炭化ケイ素における単結晶基板および高品質エピタキシャル層(「エピ層」)の成長は困難な作業であったし、依然として困難な作業となるであろう。
【0005】
それにもかかわらず、本発明の譲受人により実行されたものを含む、この特定の分野における多くの研究および発見により、炭化ケイ素の成長および有用なデバイスへの製作において多くの進歩が得られた。したがって、青色および緑色発光ダイオードを生成するために、III族窒化物などの他の有用な半導体用の基板として炭化ケイ素を組み込んでいる商用デバイスが現在利用可能である。さらに、商用炭化ケイ素ベースデバイスは、マイクロ波および無線周波数(RF)ハイパワー、高電圧用途、および/または他の用途に利用可能である。
【0006】
炭化ケイ素技術の成功によりいくつかのSiCベースのデバイスの利用可能性が増したので、これらのデバイスのいくつかの特有の特徴がより明らかになってきた。特に、バイポーラパワーデバイスなどのいくつかの炭化ケイ素ベースのバイポーラデバイスの順方向電圧(Vf)は、いくつかのデバイスの動作中に顕著に増大する場合があることが観察されていた。この増大は一般に「Vfドリフト」と呼ばれている。いくつかの理由で、半導体デバイスのこのような機能上の問題は、しばしば、デバイスを形成する材料の結晶構造の欠陥に起因することがある。これらの欠陥の例が以下で説明される。
【0007】
堆積方式および方法は、薄いエピタキシャル膜などの半導体材料の層を基板上に形成するために一般に使用される。例えば、化学気相成長(CVD)反応炉システムおよびプロセスは、炭化ケイ素(SiC)などの半導体材料の層を基板上に形成するために使用することができる。CVDプロセスは、エピタキシャル層などの、制御された性質、厚さ、および/または構成をもつ層を形成するのに特に効果的となり得る。一般に、CVDシステムなどの堆積方式では、基板はサセプタ内の反応チャンバに配置され、基板上に堆積されるべき試薬または反応物を含む1つまたは複数のプロセスガスが基板に隣接するチャンバに導入される。プロセスガスは、均一または制御された濃度の試薬または反応物を基板に供給するために反応チャンバを貫流することもできる。
【0008】
CVD反応炉などの堆積方式は、2H、4H、6H、15R、3Cなどのような前もって決定したポリタイプを有する単結晶炭化ケイ素基板上に炭化ケイ素のエピタキシャル層を形成するために使用することができる。「ポリタイプ」という用語は結晶構造内の原子の層の順序および構成を指す。したがって、炭化ケイ素の異なるポリタイプは化学量的に同一であるが、それらは異なる結晶構造を持ち、その結果としてバンドギャップ、キャリヤ移動度、および絶縁破壊電界強度などの材料特性が異なることがある。H、R、およびCという文字は、それぞれ、ポリタイプの一般的な結晶構造、すなわち六方晶系、菱面体晶系、立方晶系を指す。ポリタイプ名称中の数字は層構成の反復周期を指す。したがって、4H結晶は、結晶中の原子の配置が4つの二重層ごとに繰り返す六方晶系結晶構造を有する。
【0009】
図1は、仮想結晶の六方晶系単位格子を示す。単位格子60は、一対の向かい合う六角形面61A、61Bを含む。六角形面は、c軸に垂直であり、c軸は六方晶系結晶における方向を示すためのミラー・ブラヴェ指数系によって定義される<0001>方向に沿って延びる。したがって、六角形面は時にはc面と呼ばれ、それは結晶のc平面または底面を定義する。c平面に垂直な平面は柱状面と呼ばれる。
【0010】
炭化ケイ素は、半導体性能およびデバイスにとって潜在的に有利な多くの物理的および電子的特性を持つ。これらの特性は、広いバンドギャップ、高い熱伝導率、高い飽和電子ドリフト速度、高い電子移動度、優れた機械的強度、および放射線耐性を含むことがある。しかし、炭化ケイ素膜に結晶欠陥が存在すると、欠陥のタイプ、場所、および密度に応じて、膜内に製作される電子デバイスの性能が制限されることがある。したがって、多くの研究が炭化ケイ素膜内の欠陥を低減することに集中している。マイクロパイプなどのいくつかの欠陥はデバイス性能を厳しく制限し、それを阻止さえすることが知られている。貫通転位などのその他の欠陥は、個々にはデバイス動作に破局的であるとは考えられず、したがって、それらは、エピタキシャル膜で通常見られる密度ではデバイス性能に著しい影響は与えないことがある。
【0011】
高電圧阻止能力が望まれる用途(例えばパワースイッチング用途)では、炭化ケイ素膜は通常「オフアクシス(off−axis)」で成長される。すなわち、基板結晶は、垂直結晶軸(c軸)に対してわずかに傾斜する角度でスライスされる。4Hまたは6Hなどの六方晶系ポリタイプを例に取ると、切断の傾斜角は、図2に示される標準の結晶学的方向の1つ、すなわち
【0012】
【数1】
【0013】
方向に(六方晶系単位格子の点の方に)、または
【0014】
【数2】
【0015】
方向に(六方晶系単位格子の平坦な辺の中心の方に)、または異なる方向に沿うようにすることができる。オフアクシススライシングの結果として、加工された基板の面はプラトー部分とステップ部分の周期的構成によって特徴づけることができる。例えば、その開示が本明細書に完全に記載されるようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献1を参照されたい。
【0016】
したがって、エピタキシャル層が基板上に成長されるとき、堆積される原子は結晶層のステップの露出した縁部の原子と結合し、それにより、ステップがいわゆるステップフロー式に横方向に成長する。ステップフロー成長が図3に示される。各層または各ステップは、結晶が初めにオフアクシスに切断された方向(図3に示された場合には
【0017】
【数3】
【0018】
方向)に成長する。
【0019】
(結晶学的欠陥)
最も基本的なレベルでは、構造上の結晶学的欠陥は4つのカテゴリ、すなわち点欠陥、線欠陥、面欠陥、および3次元欠陥に分類することができる。点欠陥は空格子点を含み、線欠陥は転位を含み、面欠陥は積層欠陥を含み、3次元欠陥はポリタイプインクルージョンを含む。
【0020】
転位は、結晶の至る所で多くの単位格子長にわたって延びる一種の構造的不完全部である。転位についてより明確な説明では、転位はらせん転位および刃状転位に分類することができる。当業者には認識されているように、実際の結晶において原子から原子(またはイオンからイオン)へと続き、その経路に戻る対称経路はバーガース回路と呼ばれる。構造体を代表する格子中の同じ経路がそれ自体に戻らず、その結果、始点と終点とが同じ原子上にない場合、バーガース回路は1つまたは複数の転位を包む。格子において閉回路を完成するベクトルはバーガースベクトルと呼ばれ、転位の大きさおよび方向を示す。
【0021】
転位の位置を特定する線とバーガースベクトルが平行である場合、欠陥はらせん転位と呼ばれる。代わりに、バーガースベクトルが転位に垂直である場合、それは刃状転位と呼ばれる。刃状転位の最も簡単な種類は、トランプの1組中に余分なカードが途中まで挿入されたのとやや類似したように、2つの正常な面間に割り込まれた原子またはイオンの不完全な平面である。
【0022】
らせん転位は必ずしも不利ではなく、実際には、結晶の成長にとって有利となることがある。例えば、炭化ケイ素結晶の名目上の(0001)方向の成長表面での1C貫通らせん転位は、1原子または数原子だけ高い再生縁部を提供する。この縁部では、結晶の連続成長が比較的容易である。しかし、転位によって結晶内で塑性流動が比較的に容易に生じる。転位は優先的にすべり面に沿って移動することがある。転位は結晶中を比較的容易に移動するが、それは、すべり面における移動が構造要素のわずかな変位しか必要としないからである。別の言い方をすれば、すべり面は、結晶を再構成することができる低エネルギー中間状態を提供する。
【0023】
(炭化ケイ素における欠陥)
炭化ケイ素パワーデバイスでは、このような比較的低エネルギーの中間状態によって欠陥の成長の継続が促進されるであろうが、これは、デバイスの動作によって、転位移動を促進するために必要となるであろう比較的小さいエネルギー量が提供されるからである。
【0024】
商用品質のSiCウェハおよびエピ層は一般にはらせん転位および刃状転位の両方を含む。これらの転位は結晶内の配列によってさらに分類することができる。c軸に沿って伝播する転位は貫通転位と呼ばれ、一方、c平面内にある転位は底面転位と呼ばれる。一般に、SiCでは、底面転位が下記のメカニズムによって部分転位に優先的に分解することがあるのはエネルギー的に有利である。
【0025】
【数4】
【0026】
上述の分解反応は底面転位の2つのショックレー部分転位への分解を示している。上述の分解中に生成される線欠陥は積層欠陥の境界を定めることになる。実際には、積層欠陥が自由表面に到達しない限り、部分転位は一般に積層欠陥の周囲全体に結合することになる。この積層欠陥は一般にバイポーラデバイスにおいて電気的に活性になり、順方向動作中に、電子−正孔プラズマの濃度が積層欠陥の近傍で減少することがある。プラズマ濃度が減少すると、デバイスの順方向電圧が増大することがある。さらなる潜在的に面倒な問題は、再結合により増強された転移すべりによって、積層欠陥がデバイスの順方向動作中に拡大し続ける場合があることである。この挙動によりデバイスの機能特性が動作中に予測不能に変化する可能性があるため、この挙動はデバイスを利用するにあたって実質的な障害を引き起こすことがある。
【0027】
別の言い方をすれば、炭化ケイ素バイポーラデバイスを通して電流を流すと、結晶に前から存在する欠陥のために結晶構造の変化が開始または伝播(または両方)する傾向になる可能性がある。上記のように、多くのSiCポリタイプが熱力学的に互いに近接しており、固相転移が生じる確立が高い。積層欠陥がデバイスの活性領域のかなりの部分に衝撃を与えたとき、多くの用途で必要とされる、または要望される正確なおよび/または効率的な動作を妨げることがある望ましくない状態で、順方向電圧の増大が引き起こされる傾向がある。
【0028】
ある慣例では、転位密度は材料の1立方センチメートル当たりの転位長さのセンチメートルによって記述され、したがって転位密度単位が平方センチメートル当たり(cm-2)で報告される。別の慣例(本明細書で使用されるような)では、SiCエピ層成長用の4H−SiC基板のオフアクシス方位および転位を検出するのに使用される一般のエッチング技法により、エッチピット密度(同様にcm-2の単位で)を使用してSiCの転位密度を記述するのがより好都合である。したがって、当業者は、cm/cm3で表された所与の転位密度について、ピット/cm2で表す場合、典型的な転位の配置および基板のオフアクシス角に応じて非常に異なる転位ピット密度を得ることがあることを理解されよう。したがって、2つの数は同じ正味の単位(cm-2)を有することになるが、それらは必ずしも同じ実際の転位密度を示さない。明瞭性および整合性のために、本出願では、転位密度は、炭化ケイ素基板のエッチングされたエピ表面に描かれた特定のピットの密度として記述される。
【0029】
現在市販されている4H−SiC基板は、本明細書で使用される慣例によりcm2当たりほぼ1E3から1E5(約103〜105)の転位を有することがある。これは貫通らせん転位および貫通刃状転位ならびに底面転位を含む。多分、すべてのタイプの転位がデバイスの性能に影響を与える恐れがあるが、底面転位は、特に、Vfドリフトを引き起こすことがある積層欠陥の主要な核生成部位であると指摘されている。
【0030】
さらには、基板の欠陥により、そのような基板上に成長されたエピタキシャル層にしばしば同様の欠陥が生じ、したがって、基板結晶の品質が、得られるデバイスの品質および性能にかかわる因子となる。
【0031】
従来の基板作製法およびエピ層成長法は、底面転位の密度を基板内の1E3〜1E4cm-2からエピ層内の約400cm-2までかなり効率的に低減することができる。この転位密度の低減は、基板作製法およびエピ層成長法の操作の両方を修正していくことによって達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第4,912,064号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0079689号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/414,787号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/756,548号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/117,858号明細書
【特許文献6】米国特許第4,912,063号明細書
【特許文献7】米国特許第5,679,153号明細書
【特許文献8】米国特許第6,297,522号明細書
【特許文献9】米国特許第6,034,001号明細書
【特許文献10】米国特許第5,571,374号明細書
【特許文献11】米国特許第5,227,034号明細書
【特許文献12】米国特許第4,981,551号明細書
【特許文献13】米国特許第4,865,685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
したがって、SiCベースのバイポーラデバイスおよび他のデバイスの構造および動作を継続的に改良するために、SiCの下層の基板およびSiCの結晶構造を継続的に改良することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0034】
いくつかの実施形態における炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、<0001>方向に対して0°よりも大きく、8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、<0001>方向に対するオフアクシス角は約4°以下とすることができる。さらなる実施形態において、<0001>方向に対するオフアクシス角は約2°から約4°の間とすることができ、さらなる実施形態においては、<0001>方向に対するオフアクシス角は約4°とすることができる。
【0036】
オフアクシス角は
【0037】
【数5】
【0038】
方向の方に傾けることができる。実施形態によっては、オフアクシス角は
【0039】
【数6】
【0040】
方向の方に傾けることができる。
【0041】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは<0001>方向に対して0°よりも大きく、8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素基板をさらに含むことができ、炭化ケイ素ドリフト層は炭化ケイ素基板の平坦な表面上にエピタキシャル層を含むことができる。
【0042】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、炭化ケイ素基板と炭化ケイ素ドリフト層との間に炭化ケイ素バッファー層をさらに含むことができる。炭化ケイ素バッファー層は少なくとも約10μmの厚さを有することができる。実施形態によっては、炭化ケイ素バッファー層は約10μmから約25μmの間の厚さを有することができる。
【0043】
バッファー層は基板と反対側の表面で約10/cm2未満の底面転位密度を有することができる。実施形態によっては、バッファー層は基板と反対側の表面で約2/cm2未満の底面転位密度を有することができ、実施形態によっては、バッファー層は基板と反対側の表面で約1/cm2未満の底面転位密度を有することができる。
【0044】
炭化ケイ素バッファー層は炭化ケイ素基板の炭素面上に存在できる。
【0045】
実施形態によっては、炭化ケイ素ドリフト層はバルク炭化ケイ素基板を含むことができる。
【0046】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスはバイポーラパワーデバイスおよび/またはユニポーラパワーデバイスを含むことができる。
【0047】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、ドリフト層の導電性タイプと反対の第2の導電性タイプを有する炭化ケイ素基板と、基板上の炭化ケイ素バッファー層とを含むゲートターンオフサイリスタとすることができる。ドリフト層はバッファー層上に存在できる。第1のエピタキシャル層はドリフト層上にあることができ、第2の導電性タイプを有することができ、第2のエピタキシャル層は第1のエピタキシャル層上にあることができ、第1の導電性タイプを有し、ゲートコンタクトは第1のエピタキシャル層上にあることができ、カソードコンタクトは第2のエピタキシャル層上にあることができ、アノードコンタクトは基板上にあることができる。
【0048】
<0001>方向に対するオフアクシス角は約4°とすることができ、デバイスは、40時間順方向に電流を通電したあと、100mV未満の順電圧ドリフトを示すことができる。
【0049】
いくつかの実施形態による炭化ケイ素ベースのパワーデバイスを形成する方法は、<0001>方向に対して8°未満のオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】六方晶系結晶の単位格子構造の概略図である。
【図2】標準の結晶学的方向を示す六方晶系単位格子の上面図である。
【図3】オフアクシス炭化ケイ素結晶の概略側面図である。
【図4】エピタキシャル堆積方式の概略図である。
【図5】図4の堆積方式の一部を形成することができるサセプタアセンブリの断面図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に従って加工されたSiCウェハの概略図である。
【図7A】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7B】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7C】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7D】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7E】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7F】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図8】いくつかの実施形態におけるデバイスに対するストレス試験中のVfドリフト対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
次に、本発明の実施形態が示されている添付の図を参照しながら、本発明を以下でより完全に説明する。本発明は多くの異なる形態で具現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるように解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を詳細で完全なものとし、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。図では、層および領域の大きさおよび相対的大きさが明瞭にするために誇張されている場合がある。要素または層が別の要素または層の「上に」あると言及されるとき、要素または層は別の要素または層の直上にあるか、または間にさらに別の要素または層が存在することがある。対照的に、要素が別の要素または層の「直上に」あると言及されるとき、間に別の要素または層は存在しない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。「および/または」という用語は、本明細書で使用されるとき、関連する列挙項目の1つまたは複数の全ての組合せを含む。
【0052】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本明細書で使用されるとき、文脈が複数形でないことを明確に示さない限り、複数形も含む。「備える、含む(comprises)」および/または「備える、含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、明言された特性、数値、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特性、数値、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または付加を排除しない。したがって、例えば、2つの層の成長が本明細書に記載されているとしても、本発明の実施形態に従って3つまたはそれ以上のエピタキシャル層を成長させることができる。
【0053】
第1の、第2のなどの用語が、本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層、および/または区画を説明するために使用されることがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区画は第1の、第2のなどの用語によって限定されるべきでない。第1の、第2のなどの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、または区画を別の領域、層、または区画と区別するためだけに使用される。したがって、以下で説明される第1の要素、構成要素、領域、層、または区画は、本発明の解説から逸脱することなく第2の要素、構成要素、領域、層、または区画と名付けることができる。
【0054】
さらに、「下方の(lower)」または「底部(bottom)」および「上方の(upper)」または「最上部(top)」などの相対語は、本明細書では、図に示されるように、ある要素の別の要素との関係を説明するために使用することがある。相対語は、図に示された方位に加えてデバイスの異なる方位を包含するものである。例えば、図中のデバイスが裏返される場合、別の要素の「下方の」側にあると説明された要素は別の要素の「上方の」側に位置付けられることになる。したがって、「下方の」という典型的な用語は、図の特定の方位に応じて「下方の」および「上方の」の両方の方位を包含することができる。同様に、図の1つにおけるデバイスが裏返される場合、他の要素の「下方に(below)」または「真下に(beneath)」あると説明された要素は他の要素の「上方に(above)」に位置付けられることになる。したがって、「下方に」または「真下に」という例示的な用語は、「上方に」および「下方に」の両方の方位を包含することができる。
【0055】
本発明の実施形態は、本発明の理想的な実施形態の概略図である断面図および/または他の図を参照しながら本明細書で説明される。そのため、例えば製造技法および/または製造許容誤差によって図の形状が変化することが予想される。したがって、本発明の実施形態は本明細書に示された領域の特定の形状に限定されるものと解釈されるべきでなく、例えば製造工程による形状の変化を含むものである。例えば、図で多角形として成長または堆積される場合、通常、第1の領域から異なる組成の第2の領域へ不連続的に変化せず、第1の領域と第2の領域の境界で丸まったまたはカーブした形状および/または濃度の勾配を有することになる。したがって、図に示された領域は本質的に概略であり、それらの形状はデバイスの領域の正確な形状を示すものではなく、本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】
「基板」という用語は本明細書では、バルク単結晶(通常ブールから切断される)、ならびに、1つまたは複数のエピタキシャル層を含むことができ基本的には(必ずしも排他的ではないが)その上に形成されるデバイスのための物理的および電子的支持体として働くウェハなどのデバイス先駆構造体の両方を、含むように十分に広義な意味で使用される。
【0057】
一般に(必ずしもそうではないが)、基板はn型であり、それはn型基板が炭化ケイ素ベースのデバイスにおいて多くの利点をもたらすことがあるからであり、1cm3当たり約1E18〜1E19(1×1018〜1×1019)キャリヤの活性キャリヤ濃度を有することがある。基板と比較して、エピタキシャル層のキャリヤ濃度は、その目的に応じて選択(または説明)することができる。「導電性」層は一般に1E18〜1E19cm-3のキャリヤ濃度を有することがある。「ブロッキング」層は一般に1E16cm-3未満のキャリヤ濃度を有することがある。「活性」層は、最終的なデバイスの構造または目的に応じたこれらのパラメータの範囲内のキャリヤ濃度を有することがある。したがって、n、n+、およびn−などの用語を使用して基板およびエピ層の両方を説明することができるが、そのような用語は限定ではなく例示の意味で考えなければならない。
【0058】
デバイスが形成される炭化ケイ素基板は、より大きい結晶(または「ブール」)から、一般に、炭化ケイ素ブールから炭化ケイ素基板ウェハを切り出すステップ、およびその後に基板ウェハ上に非選択的エッチングを行うステップによって取り出すことができる。ほとんどの状況では、切り出された基板ウェハは、本発明のいくつかの実施形態に従って第1のパターン化エッチングを行う前に、ラッピング、研磨、エッチング(一般にRIE)、および洗浄(酸または溶媒による)が行われる。「ラッピングされた」という用語は一般的な意味で使用さる。すなわち、逆回転するラップ盤および研磨剤(例えば、ダイアモンド)スラリーを使用してウェハ表面を平坦化するステップを表すために使用される。ラッピングは、ウェハ表面を平行にするのに役立ち、切り出しのときに生じたような機械的欠陥を低減することができる。同様に、研磨、エッチング、および洗浄のステップは、本発明のステップの前に、本発明の方法とは異なる従来通りの方法で行うことができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態はエピ層の底面転位(BPD)の密度を有利に低減することができる。パワーデバイスを低いBPD密度をもつエピタキシャル層を使用して形成すると、Vf劣化を少なくすることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を実施することのできる堆積方式101を図4の平面図に概略的に示す。堆積方式101は、図示のような水平、ホットウォール、貫流式のCVDシステムとすることができる。堆積方式101は、サセプタアセンブリ100、貫通通路180Aを定める石英管180、電磁周波数(EMF)発生器182(例えば、電源と、管180を取り巻くRFコイルとを含む)、およびプロセスガス供給源160を含む。石英管180に加えて、またはその代わりに絶縁カバーをサセプタアセンブリ100のまわりに備えることができる。堆積方式101を使用して、基板120上に層または膜を形成することができる(図5)。単一の基板120だけが図5に示されているが、システム101は多数の基板120上に膜を同時に形成するように構成することができる。
【0061】
基板120は、堆積させる層の材料と同じまたは異なる材料で形成されたウェハまたは他の構造体であってもよい。基板120は、例えば、2H−、4H−、または6H−SiC、あるいは任意の他の適切な材料で形成することができる。膜が堆積される基板表面は、ベース基板とするか、またはベース基板上に重ねられた第1の層もしくはそれに続く層とすることができる。例えば、堆積された膜を受け取るための基板120の表面は、堆積方式101または代替装置を使用して前もって堆積された層とすることができる。当業者なら本開示に照らして理解するように、本発明の実施形態は、本明細書で具体的に述べたもの以外の半導体材料を有利に利用することができる。
【0062】
一般に、プロセスガス供給源160は、以下で説明するように、プロセスガスがサセプタアセンブリ100に入り、そこを通り抜けるように供給する。EMF発生器182は、サセプタアセンブリ100を誘導式に加熱し、サセプタアセンブリ100内に堆積反応が生じるホットゾーンをもたらす。プロセスガスはサセプタアセンブリ100を通過し、排出ガスとして出て行き続けるが、排出ガスは、例えば、プロセスガスの残留成分ならびに反応副生成物を含むことがある。本発明の実施形態は、ホットウォールCVDシステム以外のタイプの堆積方式を使用することができる。本発明のシステムおよび方法に対する他の変更は本明細書の説明を読むことによって当業者には明白となるであろう。
【0063】
プロセスガスは、試薬、反応物、化学種、キャリヤなどのような1つまたは複数の成分を含むことができる。基板上にSiC層を形成しようとする場合、プロセスガスは、精製水素ガス(H2)などのキャリヤガスと共にシラン(SiH4)やプロパン(C3H8)などの前駆体ガスを含むことができる。プロセスガス供給源160は、必要に応じて流量制御デバイスおよび/または計量デバイスを備える1つまたは複数のガス加圧容器から供給することができる。
【0064】
典型的な従来のサセプタ100を図5に示す。サセプタ100は、例えば、図4に示されたような貫流、ホットウォール、および/またはCVD反応器内で使用することができる。サセプタ100は、最上部サセプタ部材100Aおよび底部サセプタ部材100Bを有する。さらに、サセプタ100は最上部ライナ103および底部ライナ105を有し、これらの間に反応チャンバ107が定義される。例えば、半導体ウェハなどの基板120は反応チャンバ107内に置かれ、(回転可能な)プラタ154の内部表面上に位置することができる。プロセスガスPは、一方の端部から反応チャンバ107に導入され、基板120のそばを通過して反応チャンバ107を貫流し、最終的に、反対の端部で反応チャンバ107から排出される。本明細書で使用するとき、プロセスガスという用語は1つまたは複数のガスを指す。図5に示されるような反応チャンバ107内の矢印で示されるように、プロセスガスが反応チャンバ107を貫流するときに、プロセスガスの一部が目的通り基板120に接触し、それによって基板120上に試薬または反応物が堆積し、層を形成することができる。システムによっては、反応チャンバ107は、約0.1mと1mとの間の長さ、約0.05mと0.5mとの間の幅、約1cmと10cmとの間の高さとすることができる。しかし、反応チャンバ107はこれらの寸法に限定されない。サセプタ部材は高品質グラファイトを含むことができる。サセプタの設計を含むCVD堆積方式の例は、特許文献2、特許文献3に記載されており、両方を参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
特定の実施形態では、サセプタ部材100A、100Bは、EMF発生器182によってその中に生成される渦電流に反応して熱を生成するのに適した材料で形成され、そのような材料および誘導加熱構成は当業者にはよく知られている。これらの部材は、グラファイト、より好ましくは高純度グラファイトで形成することができる。
【0066】
プラタ154などは底部部材100Bと基板120との間に位置し、基板120を支持することができる。いくつかの実施形態によれば、プラタ154は、適切な機構(図示せず)によって回転するように駆動することができる。例えば、そのシステムは、特許文献4、および/または特許文献5に記載されているようなガス駆動回転システムを含むことができ、これらの開示は参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。あるいは、プラタ154は固定とすることができる。プラタ154は、1つまたは多数の基板120を保持するように構成することができる。プラタ154は、SiC被覆グラファイト、固体SiC、および/または固定SiC合金などの任意の適切な材料で形成することができる。プラタ154を省略し、その結果、サセプタ部材100B、ライナ105、または他の適切な支持体に基板を載せることができる。
【0067】
使用するとき、プロセスガス供給源160は、注入開口102から反応チャンバ107までプロセスガスPの流れを供給する。プロセスガスPは通常流れ方向Rに流れる。図示のように、プロセスガスおよびその中の試薬のある部分は基板120に接触し、基板120の露出した表面上に所望の層(例えば、エピ層)を形成する。
【0068】
前述の堆積方式101および方法は、水平、ホットウォール、CVD、貫流式の堆積プロセスに関連して説明されているが、本発明の様々な態様は他のタイプの堆積方式およびプロセスで使用することができる。特定の実施形態が、「最上部」、「底部」などを参照しながら説明されたが、他の方位および構成を本発明に従って利用することができる。例えば、この堆積方式および方法は、コールドウォールおよび/または非水平貫流式のシステムおよびプロセスとすることができる。この堆積方式およびプロセスは、CVDシステムまたはプロセスではなく、気相エピタキシ(VPE)、液相エピタキシ(LPE)、またはプラズマCVD(PECVD)堆積方式およびプロセスとすることができる。
【0069】
次に図6を参照すると、1つまたは複数のエピタキシャル層が成長されることになる単結晶炭化ケイ素基板ウェハ10は通常円形の外周を有する。ウェハ方位付けを支援するために、1対のフラットがウェハから削り取られている。特に、ウェハ10は1次フラット12および2次フラット14を含む。1次フラット12は
【0070】
【数7】
【0071】
方向に沿って延び、一方、2次フラットは
【0072】
【数8】
【0073】
方向に沿って方向付けられている。
【0074】
ウェハの表面16は一般に炭化ケイ素結晶のc面に対応する(ウェハが
【0075】
【数9】
【0076】
方向の方にオフアクシス角αで切断されたことを除いて)。ある実施形態では、ウェハの表面16はウェハのケイ素面に対応するが、他の実施形態では、ウェハの表面16はウェハの炭素面に対応する。
【0077】
オフアクシス角αは実施形態によっては約8°未満とすることができる。実施形態によっては、オフアクシス角αは0°から約8°未満とすることができる。さらなる実施形態によっては、オフアクシス角αは0°から約4°未満とすることができる。さらなる実施形態によっては、オフアクシス角αは約2°から約4°未満とすることができる。
【0078】
今まで、SiCパワーデバイスは8°オフアクシス炭化ケイ素エピタキシャル層上に成長されてきている。しかし、このようなデバイスは性能劣化を被ってきている。特に、このような性能劣化には、順方向電圧降下(Vfドリフト)の増加、電流利得の低下、および/または逆漏洩電流の増加を含めることができる。
【0079】
前述の説明のように、図3を参照すると、オフアクシスエピタキシャル成長は、成長しているエピタキシャル層中にポリタイプの情報を通常維持する方法でエピタキシャル層の2次元成長を促進する、c平面配向層の露出した縁部を利用するステップフロー式に進む。8°オフアクシス配向SiCウェハ上にエピタキシャル層をステップフロー成長させると、パワーデバイスに適している平滑なモフォロジをもつ厚いエピタキシャル層が得られる。しかし、8°オフアクシスエピタキシャル層をSiCパワーデバイスに使用する1つの欠点は、このような成長が底面転位をもたらす場合があることである。BPDが上述の性能劣化のタイプの多くの根本的要因であることが示されている。特に、PN接合に順方向バイアスをかけている間にパワーデバイスの活性区域内で積層欠陥までBPDの成長が延びると、ドリフト領域で電子と正孔との再結合がもたらされる。このような再結合は底面の積層欠陥に向かう部分転位のすべりを増大させる。積層欠陥が存在すると、キャリヤ寿命が局所的に低減され、かつ/またはSiC結晶内に過剰な界面欠陥が生成される可能性がある。
【0080】
成長基板のオフアクシス角を8°未満の角度まで低減することによって、SiCエピタキシャル層中のBPDを低減させることが提案されている。しかし、SiCパワーデバイス中で機能させるために十分に厚く、かつ許容できるモフォロジを有する8°未満のオフアクシス角のエピタキシャル層を成長させるのは困難であることが実証されている。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、厚いエピタキシャル層の成長条件を改善することにより、炭化ケイ素パワーデバイスを形成するために基盤として使用することができる高品質で低角度オフアクシスのエピタキシャル層を成長できるようになる。特に、いくつかの実施形態は、8°未満の角度だけ(0001)底面から軸に沿ってまたは軸からずれて、方向付けられている基板上に炭化ケイ素の高品質で低欠陥密度のエピタキシャル層を形成する方法を提供する。このように成長された層は、BPD密度が低く、したがってVfドリフトおよび他の関連する性能の劣化が低い。
【0082】
図3から理解されるように、オフアクシス角が減少するに従って、SiCウェハの面上の単位距離当たりの露出したステップの数も減少する。SiCウェハ表面上でケイ素の表面移動度が低いことを考慮に入れると、ステップの数が減少し、ステップの互いの距離が次第に大きくなるに従って、エピタキシャル層の成長はより困難になる。したがって、基板のオフアクシス角を減少させた場合、基板の表面の全域でケイ素原子の移動度を増大させることができるような、成長温度を上昇させるおよび/または基板に供給される原料原子のSi/C比を増大させるなどのステップを取ることが望ましいことがある。
【0083】
例えば、8°のオフアクシスエピタキシャル炭化ケイ素は一般に約1500〜1550℃の温度で成長される。いくつかの実施形態によれば、エピタキシャル成長温度は1550℃より上に上昇させることができ、場合によっては約1800℃まで上昇させることができ、または他の場合には水素キャリヤガスによるエピタキシャル層のエッチングレートがエピタキシャル成長レートを超える温度まで上昇させることができる。いくつかの実施形態では、エピタキシャル成長は約1600℃から約1800℃の温度で行うことができる。さらなる実施形態では、エピタキシャル成長は約1600℃から約1700℃の温度で行うことができる。
【0084】
実施形態によっては、基板の全域のSi原子の表面移動度は、反応室に供給される反応物ガスのSi/C比を増加させることによって増加させることができる。しかし、Si/C比を変化させると、成長している層のモフォロジも変化し、かつ/またはドーパント取り込み比率も変化する場合があることが理解されよう。
【0085】
実施形態によっては、エピタキシャル成長は、より慣例的に使用されているケイ素面とは対照的にSiC基板の炭素面上に行うことがある。界面自由エネルギーは一般に炭素面でより低いので、ケイ素原子は基板の炭素面の全域でより良好な移動度を有することができる。炭素面をエピタキシャル成長に使用する1つの欠点は、炭素面で成長させる場合、バックグラウンドドーパント濃度レベルがより高くなる場合があることである。パワーデバイスでは、バックグラウンドドーパント濃度がデバイスの阻止電圧に非常に影響を与えることがある。通常、パワーデバイスのドリフト領域は、1016cm-3未満の正味のドーパント濃度を有する。しかし、炭素面で成長する場合さえ、バックグラウンドドーパント濃度を約1015cm-3未満に保持することができる。
【0086】
また、HClなどの塩素含有化合物を追加すると、ステップフロー成長を抑制する可能性があるSi過飽和誘起堆積物を低減させ、Si表面吸着原子移動度を効果的に増加させ、および/またはSiCのエピタキシャル成長中に水素中で生じる動的共同エッチングの増加をわずかにすることができる。エッチングレートは通常約0.5から約3ミクロン/時間であり、主として温度の上昇と共に増加する。これらの効果はすべてエピタキシャル層の有効なステップフロー成長機構を高度化し、結果として得られる品質を高めることができる。この付加された利益は、低いオフアクシス方位ではテラス幅がより広くなることに対応してより重要となる。
【0087】
いくつかの実施形態では、炭化ケイ素パワーデバイスは、底面転位(BPD)などの破滅的な欠陥の全密度が1平方センチメートル当たり10未満の欠陥である低角度オフカットエピタキシャル層を含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化ケイ素パワーデバイスは2/cm2未満の、いくつかの実施形態では、約1/cm2未満のBPDの密度を有するエピタキシャル層を含むことができる。「破滅的な欠陥」という用語は、本明細書で使用されるとき、パワーデバイスが機能するのを妨げることになる欠陥を指す。破滅的な欠陥は一般に当技術分野で周知の光散乱法によって識別および特性評価が行われる。底面欠陥は、さらに、例えば、溶融水酸化カリウム(KOH)中で欠陥選択エッチングを行い、エッチングに応じて形成される固有のエッチピットの数を計数することによって識別することができる。
【0088】
底面転位は、8°未満のオフアクシス角を有するエピタキシャル炭化ケイ素層の成長中に低減することがある。特に、エピタキシャル層が十分な厚さまで成長される場合、8°未満のオフアクシス角を有するエピタキシャル層内でBPDは終端することができると現在考えられている。すなわち、いくつかのBPDは基板/エピタキシャル層界面からエピタキシャル層内に伝播することができるが、多くのBPDは終端することができるか、またはエピタキシャル層内のある距離で他のタイプの非破滅的な欠陥に変換されうる。
【0089】
実施形態によっては、炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは基板上にバッファー層を含む。ドリフト層および/または他のデバイス層をバッファー層上に形成することができる。n型および/またはp型のドーパントをドープすることができるバッファー層は、層中でいくつかのまたはすべてのBPDが終端する炭化ケイ素のエピタキシャル層である。バッファー層は約10μmから約25μmの厚さを有することができ、基板と反対側のバッファー層の表面でのBPD密度は約2/cm2と約10/cm2との間とすることができる。実施形態によっては、表面でのBPD密度は約2/cm2未満とすることができ、実施形態によっては、表面でのBPD密度は約1/cm2未満とすることができる。
【0090】
実施形態によっては、バッファー層のオフアクシス角は8°未満とすることができる。実施形態によっては、バッファー層のオフアクシス角は約4°とすることができ、さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は2°とすることができる。実施形態によっては、バッファー層のオフアクシス角は約4°と約8°との間とすることができ、さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は約2°と約4°との間とすることができる。さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は約2°と約8°との間とすることができ、さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は約0°と約8°との間とすることができる。
【0091】
バッファー層のオフアクシス角を低減すると、バッファー層の表面に達するBPDの数を減らすことができるが、過度にオフアクシス角を低減すると、下にある材料のポリタイプを複製するために使用されるべき利用可能なステップの数が減少すること、および成長表面上のケイ素原子および炭素原子の拡散距離と比較してそのようなステップの間隔があくことによって、エピタキシャル層中に新しい積層欠陥が発生することがある。しかし、エピタキシャル層に受け入れがたいレベルの新しい積層欠陥を導入することなしに、約2°と約8°との間のオフアクシス角を、実施形態によっては約4°のオフアクシス角を有する基板上へのエピタキシャル成長によって、BPDを効果的に低減できる。
【0092】
低角度オフアクシスウェハを使用して形成されたパワーデバイスには、マージドPINショットキーダイオード(MPS)(図7A)、PINダイオード(図7B)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)(図7C)、絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)(図7D)ゲートターンオフサイリスタ(GTO)(図7E、7F)、MOS制御型サイリスタ(MCT)などのようなバイポーラデバイスを含めることができる。高度にドープされたp+領域をもつショットキーダイオードなどのサージ機能を達成するために導電率変調を組み込んだユニポーラデバイス、ならびにポリシリコンなどの他の材料をもつヘテロ接合ダイオードもいくつかの実施形態による低角度オフアクシスウェハを使用して製作することができる。
【0093】
いくつかの実施形態によるパワーデバイスにおけるVfドリフトの改善を図8に示す。ここで、図8は、4°オフアクシス方位を有するSiCエピタキシャル層上に形成されたSiC GTO(曲線801)および8°オフアクシス方位を有するSiCエピタキシャル層上に形成されたSiC GTO(曲線803)に対する順方向電流ストレス試験中の順方向電圧降下(Vf)対時間のグラフを示す。順方向電流ストレス試験は室温で100A/cm2のDC電流密度を使用して行われた。4°オフアクシス上に形成されたGTOは40時間を超えた後で100mV未満のVfドリフトを示したが、8°オフアクシス上に形成されたGTOは10時間未満後に激しいVfドリフトを示した。
【0094】
本明細書で言及された製作技法の多くは、当技術分野において、それぞれに一般的によく認知およびよく理解されており、必要以上の実験をすることなく実施することができる。本明細書において開始構造体として使用できるタイプの単結晶炭化ケイ素ウェハは、本件特許出願人から市販されている。炭化ケイ素エピタキシャル層の成長は、特許文献6、特許文献1、特許文献7、および特許文献8に記載されているような技法を使用して実施することができる。炭化ケイ素のドライエッチングおよび電解エッチングは、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、および特許文献13に説明されている。溶融水酸化カリウムをエッチャントとして使用して、半導体表面を識別し、特性を決定することはよく理解されており、ASTM標準として表されたバージョン(例えば、ASTM F1404.92)を含む。基板ウェハの切断、機械研磨、およびラッピングも当技術分野における完全に従来のものである。
【0095】
図および明細書において、本発明の典型的な実施形態が開示され、特定の用語が使用されているが、それらは限定のためではなく一般的で記述的な意味でのみ使用されており、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー電子デバイスなどの電子デバイスで使用される半導体材料を製作する方法に関する。特に、本発明のいくつかの実施形態は、炭化ケイ素中の結晶欠陥を低減することができるプロセスならびにその結果得られる構造体およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、過去20年間にわたり、シリコンおよびガリウムヒ素の両方よりも多くの利点を提供することができる適切な半導体材料の対象とされてきた。特に、炭化ケイ素は広いバンドギャップ、高い絶縁破壊電界、高い熱伝導率、高い飽和電子ドリフト速度を有し、物理的に極めて強固である。炭化ケイ素は極めて高い融点を有し、世界中で最も硬質なことで知られる材料のうちの1つである。
【0003】
しかし、その物理的性質のために、炭化ケイ素は生成するのが比較的困難である場合もある。炭化ケイ素は多くのポリタイプで成長することができるので、大きい単結晶に成長させるのは困難である場合がある。炭化ケイ素を成長させるために使用される高温により、不純物準位(ドーピングを含む)の制御が比較的困難になることもあり、さらに薄膜(例えばエピタキシャル層)の製作で困難が生じることがある。その硬度のために、半導体ウェハのスライスおよび研磨の従来のステップも炭化ケイ素ではより困難となることがある。同様に、化学的侵食に対する耐性のため従来の方法でエッチングすることが困難である場合がある。
【0004】
さらに、炭化ケイ素は150を超えるポリタイプを形成することができ、それらの多くは比較的小さい熱力学差によって分離される。その結果、炭化ケイ素における単結晶基板および高品質エピタキシャル層(「エピ層」)の成長は困難な作業であったし、依然として困難な作業となるであろう。
【0005】
それにもかかわらず、本発明の譲受人により実行されたものを含む、この特定の分野における多くの研究および発見により、炭化ケイ素の成長および有用なデバイスへの製作において多くの進歩が得られた。したがって、青色および緑色発光ダイオードを生成するために、III族窒化物などの他の有用な半導体用の基板として炭化ケイ素を組み込んでいる商用デバイスが現在利用可能である。さらに、商用炭化ケイ素ベースデバイスは、マイクロ波および無線周波数(RF)ハイパワー、高電圧用途、および/または他の用途に利用可能である。
【0006】
炭化ケイ素技術の成功によりいくつかのSiCベースのデバイスの利用可能性が増したので、これらのデバイスのいくつかの特有の特徴がより明らかになってきた。特に、バイポーラパワーデバイスなどのいくつかの炭化ケイ素ベースのバイポーラデバイスの順方向電圧(Vf)は、いくつかのデバイスの動作中に顕著に増大する場合があることが観察されていた。この増大は一般に「Vfドリフト」と呼ばれている。いくつかの理由で、半導体デバイスのこのような機能上の問題は、しばしば、デバイスを形成する材料の結晶構造の欠陥に起因することがある。これらの欠陥の例が以下で説明される。
【0007】
堆積方式および方法は、薄いエピタキシャル膜などの半導体材料の層を基板上に形成するために一般に使用される。例えば、化学気相成長(CVD)反応炉システムおよびプロセスは、炭化ケイ素(SiC)などの半導体材料の層を基板上に形成するために使用することができる。CVDプロセスは、エピタキシャル層などの、制御された性質、厚さ、および/または構成をもつ層を形成するのに特に効果的となり得る。一般に、CVDシステムなどの堆積方式では、基板はサセプタ内の反応チャンバに配置され、基板上に堆積されるべき試薬または反応物を含む1つまたは複数のプロセスガスが基板に隣接するチャンバに導入される。プロセスガスは、均一または制御された濃度の試薬または反応物を基板に供給するために反応チャンバを貫流することもできる。
【0008】
CVD反応炉などの堆積方式は、2H、4H、6H、15R、3Cなどのような前もって決定したポリタイプを有する単結晶炭化ケイ素基板上に炭化ケイ素のエピタキシャル層を形成するために使用することができる。「ポリタイプ」という用語は結晶構造内の原子の層の順序および構成を指す。したがって、炭化ケイ素の異なるポリタイプは化学量的に同一であるが、それらは異なる結晶構造を持ち、その結果としてバンドギャップ、キャリヤ移動度、および絶縁破壊電界強度などの材料特性が異なることがある。H、R、およびCという文字は、それぞれ、ポリタイプの一般的な結晶構造、すなわち六方晶系、菱面体晶系、立方晶系を指す。ポリタイプ名称中の数字は層構成の反復周期を指す。したがって、4H結晶は、結晶中の原子の配置が4つの二重層ごとに繰り返す六方晶系結晶構造を有する。
【0009】
図1は、仮想結晶の六方晶系単位格子を示す。単位格子60は、一対の向かい合う六角形面61A、61Bを含む。六角形面は、c軸に垂直であり、c軸は六方晶系結晶における方向を示すためのミラー・ブラヴェ指数系によって定義される<0001>方向に沿って延びる。したがって、六角形面は時にはc面と呼ばれ、それは結晶のc平面または底面を定義する。c平面に垂直な平面は柱状面と呼ばれる。
【0010】
炭化ケイ素は、半導体性能およびデバイスにとって潜在的に有利な多くの物理的および電子的特性を持つ。これらの特性は、広いバンドギャップ、高い熱伝導率、高い飽和電子ドリフト速度、高い電子移動度、優れた機械的強度、および放射線耐性を含むことがある。しかし、炭化ケイ素膜に結晶欠陥が存在すると、欠陥のタイプ、場所、および密度に応じて、膜内に製作される電子デバイスの性能が制限されることがある。したがって、多くの研究が炭化ケイ素膜内の欠陥を低減することに集中している。マイクロパイプなどのいくつかの欠陥はデバイス性能を厳しく制限し、それを阻止さえすることが知られている。貫通転位などのその他の欠陥は、個々にはデバイス動作に破局的であるとは考えられず、したがって、それらは、エピタキシャル膜で通常見られる密度ではデバイス性能に著しい影響は与えないことがある。
【0011】
高電圧阻止能力が望まれる用途(例えばパワースイッチング用途)では、炭化ケイ素膜は通常「オフアクシス(off−axis)」で成長される。すなわち、基板結晶は、垂直結晶軸(c軸)に対してわずかに傾斜する角度でスライスされる。4Hまたは6Hなどの六方晶系ポリタイプを例に取ると、切断の傾斜角は、図2に示される標準の結晶学的方向の1つ、すなわち
【0012】
【数1】
【0013】
方向に(六方晶系単位格子の点の方に)、または
【0014】
【数2】
【0015】
方向に(六方晶系単位格子の平坦な辺の中心の方に)、または異なる方向に沿うようにすることができる。オフアクシススライシングの結果として、加工された基板の面はプラトー部分とステップ部分の周期的構成によって特徴づけることができる。例えば、その開示が本明細書に完全に記載されるようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献1を参照されたい。
【0016】
したがって、エピタキシャル層が基板上に成長されるとき、堆積される原子は結晶層のステップの露出した縁部の原子と結合し、それにより、ステップがいわゆるステップフロー式に横方向に成長する。ステップフロー成長が図3に示される。各層または各ステップは、結晶が初めにオフアクシスに切断された方向(図3に示された場合には
【0017】
【数3】
【0018】
方向)に成長する。
【0019】
(結晶学的欠陥)
最も基本的なレベルでは、構造上の結晶学的欠陥は4つのカテゴリ、すなわち点欠陥、線欠陥、面欠陥、および3次元欠陥に分類することができる。点欠陥は空格子点を含み、線欠陥は転位を含み、面欠陥は積層欠陥を含み、3次元欠陥はポリタイプインクルージョンを含む。
【0020】
転位は、結晶の至る所で多くの単位格子長にわたって延びる一種の構造的不完全部である。転位についてより明確な説明では、転位はらせん転位および刃状転位に分類することができる。当業者には認識されているように、実際の結晶において原子から原子(またはイオンからイオン)へと続き、その経路に戻る対称経路はバーガース回路と呼ばれる。構造体を代表する格子中の同じ経路がそれ自体に戻らず、その結果、始点と終点とが同じ原子上にない場合、バーガース回路は1つまたは複数の転位を包む。格子において閉回路を完成するベクトルはバーガースベクトルと呼ばれ、転位の大きさおよび方向を示す。
【0021】
転位の位置を特定する線とバーガースベクトルが平行である場合、欠陥はらせん転位と呼ばれる。代わりに、バーガースベクトルが転位に垂直である場合、それは刃状転位と呼ばれる。刃状転位の最も簡単な種類は、トランプの1組中に余分なカードが途中まで挿入されたのとやや類似したように、2つの正常な面間に割り込まれた原子またはイオンの不完全な平面である。
【0022】
らせん転位は必ずしも不利ではなく、実際には、結晶の成長にとって有利となることがある。例えば、炭化ケイ素結晶の名目上の(0001)方向の成長表面での1C貫通らせん転位は、1原子または数原子だけ高い再生縁部を提供する。この縁部では、結晶の連続成長が比較的容易である。しかし、転位によって結晶内で塑性流動が比較的に容易に生じる。転位は優先的にすべり面に沿って移動することがある。転位は結晶中を比較的容易に移動するが、それは、すべり面における移動が構造要素のわずかな変位しか必要としないからである。別の言い方をすれば、すべり面は、結晶を再構成することができる低エネルギー中間状態を提供する。
【0023】
(炭化ケイ素における欠陥)
炭化ケイ素パワーデバイスでは、このような比較的低エネルギーの中間状態によって欠陥の成長の継続が促進されるであろうが、これは、デバイスの動作によって、転位移動を促進するために必要となるであろう比較的小さいエネルギー量が提供されるからである。
【0024】
商用品質のSiCウェハおよびエピ層は一般にはらせん転位および刃状転位の両方を含む。これらの転位は結晶内の配列によってさらに分類することができる。c軸に沿って伝播する転位は貫通転位と呼ばれ、一方、c平面内にある転位は底面転位と呼ばれる。一般に、SiCでは、底面転位が下記のメカニズムによって部分転位に優先的に分解することがあるのはエネルギー的に有利である。
【0025】
【数4】
【0026】
上述の分解反応は底面転位の2つのショックレー部分転位への分解を示している。上述の分解中に生成される線欠陥は積層欠陥の境界を定めることになる。実際には、積層欠陥が自由表面に到達しない限り、部分転位は一般に積層欠陥の周囲全体に結合することになる。この積層欠陥は一般にバイポーラデバイスにおいて電気的に活性になり、順方向動作中に、電子−正孔プラズマの濃度が積層欠陥の近傍で減少することがある。プラズマ濃度が減少すると、デバイスの順方向電圧が増大することがある。さらなる潜在的に面倒な問題は、再結合により増強された転移すべりによって、積層欠陥がデバイスの順方向動作中に拡大し続ける場合があることである。この挙動によりデバイスの機能特性が動作中に予測不能に変化する可能性があるため、この挙動はデバイスを利用するにあたって実質的な障害を引き起こすことがある。
【0027】
別の言い方をすれば、炭化ケイ素バイポーラデバイスを通して電流を流すと、結晶に前から存在する欠陥のために結晶構造の変化が開始または伝播(または両方)する傾向になる可能性がある。上記のように、多くのSiCポリタイプが熱力学的に互いに近接しており、固相転移が生じる確立が高い。積層欠陥がデバイスの活性領域のかなりの部分に衝撃を与えたとき、多くの用途で必要とされる、または要望される正確なおよび/または効率的な動作を妨げることがある望ましくない状態で、順方向電圧の増大が引き起こされる傾向がある。
【0028】
ある慣例では、転位密度は材料の1立方センチメートル当たりの転位長さのセンチメートルによって記述され、したがって転位密度単位が平方センチメートル当たり(cm-2)で報告される。別の慣例(本明細書で使用されるような)では、SiCエピ層成長用の4H−SiC基板のオフアクシス方位および転位を検出するのに使用される一般のエッチング技法により、エッチピット密度(同様にcm-2の単位で)を使用してSiCの転位密度を記述するのがより好都合である。したがって、当業者は、cm/cm3で表された所与の転位密度について、ピット/cm2で表す場合、典型的な転位の配置および基板のオフアクシス角に応じて非常に異なる転位ピット密度を得ることがあることを理解されよう。したがって、2つの数は同じ正味の単位(cm-2)を有することになるが、それらは必ずしも同じ実際の転位密度を示さない。明瞭性および整合性のために、本出願では、転位密度は、炭化ケイ素基板のエッチングされたエピ表面に描かれた特定のピットの密度として記述される。
【0029】
現在市販されている4H−SiC基板は、本明細書で使用される慣例によりcm2当たりほぼ1E3から1E5(約103〜105)の転位を有することがある。これは貫通らせん転位および貫通刃状転位ならびに底面転位を含む。多分、すべてのタイプの転位がデバイスの性能に影響を与える恐れがあるが、底面転位は、特に、Vfドリフトを引き起こすことがある積層欠陥の主要な核生成部位であると指摘されている。
【0030】
さらには、基板の欠陥により、そのような基板上に成長されたエピタキシャル層にしばしば同様の欠陥が生じ、したがって、基板結晶の品質が、得られるデバイスの品質および性能にかかわる因子となる。
【0031】
従来の基板作製法およびエピ層成長法は、底面転位の密度を基板内の1E3〜1E4cm-2からエピ層内の約400cm-2までかなり効率的に低減することができる。この転位密度の低減は、基板作製法およびエピ層成長法の操作の両方を修正していくことによって達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第4,912,064号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0079689号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/414,787号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/756,548号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/117,858号明細書
【特許文献6】米国特許第4,912,063号明細書
【特許文献7】米国特許第5,679,153号明細書
【特許文献8】米国特許第6,297,522号明細書
【特許文献9】米国特許第6,034,001号明細書
【特許文献10】米国特許第5,571,374号明細書
【特許文献11】米国特許第5,227,034号明細書
【特許文献12】米国特許第4,981,551号明細書
【特許文献13】米国特許第4,865,685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
したがって、SiCベースのバイポーラデバイスおよび他のデバイスの構造および動作を継続的に改良するために、SiCの下層の基板およびSiCの結晶構造を継続的に改良することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0034】
いくつかの実施形態における炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、<0001>方向に対して0°よりも大きく、8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、<0001>方向に対するオフアクシス角は約4°以下とすることができる。さらなる実施形態において、<0001>方向に対するオフアクシス角は約2°から約4°の間とすることができ、さらなる実施形態においては、<0001>方向に対するオフアクシス角は約4°とすることができる。
【0036】
オフアクシス角は
【0037】
【数5】
【0038】
方向の方に傾けることができる。実施形態によっては、オフアクシス角は
【0039】
【数6】
【0040】
方向の方に傾けることができる。
【0041】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは<0001>方向に対して0°よりも大きく、8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素基板をさらに含むことができ、炭化ケイ素ドリフト層は炭化ケイ素基板の平坦な表面上にエピタキシャル層を含むことができる。
【0042】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、炭化ケイ素基板と炭化ケイ素ドリフト層との間に炭化ケイ素バッファー層をさらに含むことができる。炭化ケイ素バッファー層は少なくとも約10μmの厚さを有することができる。実施形態によっては、炭化ケイ素バッファー層は約10μmから約25μmの間の厚さを有することができる。
【0043】
バッファー層は基板と反対側の表面で約10/cm2未満の底面転位密度を有することができる。実施形態によっては、バッファー層は基板と反対側の表面で約2/cm2未満の底面転位密度を有することができ、実施形態によっては、バッファー層は基板と反対側の表面で約1/cm2未満の底面転位密度を有することができる。
【0044】
炭化ケイ素バッファー層は炭化ケイ素基板の炭素面上に存在できる。
【0045】
実施形態によっては、炭化ケイ素ドリフト層はバルク炭化ケイ素基板を含むことができる。
【0046】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスはバイポーラパワーデバイスおよび/またはユニポーラパワーデバイスを含むことができる。
【0047】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、ドリフト層の導電性タイプと反対の第2の導電性タイプを有する炭化ケイ素基板と、基板上の炭化ケイ素バッファー層とを含むゲートターンオフサイリスタとすることができる。ドリフト層はバッファー層上に存在できる。第1のエピタキシャル層はドリフト層上にあることができ、第2の導電性タイプを有することができ、第2のエピタキシャル層は第1のエピタキシャル層上にあることができ、第1の導電性タイプを有し、ゲートコンタクトは第1のエピタキシャル層上にあることができ、カソードコンタクトは第2のエピタキシャル層上にあることができ、アノードコンタクトは基板上にあることができる。
【0048】
<0001>方向に対するオフアクシス角は約4°とすることができ、デバイスは、40時間順方向に電流を通電したあと、100mV未満の順電圧ドリフトを示すことができる。
【0049】
いくつかの実施形態による炭化ケイ素ベースのパワーデバイスを形成する方法は、<0001>方向に対して8°未満のオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】六方晶系結晶の単位格子構造の概略図である。
【図2】標準の結晶学的方向を示す六方晶系単位格子の上面図である。
【図3】オフアクシス炭化ケイ素結晶の概略側面図である。
【図4】エピタキシャル堆積方式の概略図である。
【図5】図4の堆積方式の一部を形成することができるサセプタアセンブリの断面図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に従って加工されたSiCウェハの概略図である。
【図7A】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7B】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7C】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7D】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7E】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図7F】一実施形態におけるパワーデバイスを示す図である。
【図8】いくつかの実施形態におけるデバイスに対するストレス試験中のVfドリフト対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
次に、本発明の実施形態が示されている添付の図を参照しながら、本発明を以下でより完全に説明する。本発明は多くの異なる形態で具現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるように解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を詳細で完全なものとし、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。図では、層および領域の大きさおよび相対的大きさが明瞭にするために誇張されている場合がある。要素または層が別の要素または層の「上に」あると言及されるとき、要素または層は別の要素または層の直上にあるか、または間にさらに別の要素または層が存在することがある。対照的に、要素が別の要素または層の「直上に」あると言及されるとき、間に別の要素または層は存在しない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。「および/または」という用語は、本明細書で使用されるとき、関連する列挙項目の1つまたは複数の全ての組合せを含む。
【0052】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本明細書で使用されるとき、文脈が複数形でないことを明確に示さない限り、複数形も含む。「備える、含む(comprises)」および/または「備える、含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、明言された特性、数値、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特性、数値、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または付加を排除しない。したがって、例えば、2つの層の成長が本明細書に記載されているとしても、本発明の実施形態に従って3つまたはそれ以上のエピタキシャル層を成長させることができる。
【0053】
第1の、第2のなどの用語が、本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層、および/または区画を説明するために使用されることがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区画は第1の、第2のなどの用語によって限定されるべきでない。第1の、第2のなどの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、または区画を別の領域、層、または区画と区別するためだけに使用される。したがって、以下で説明される第1の要素、構成要素、領域、層、または区画は、本発明の解説から逸脱することなく第2の要素、構成要素、領域、層、または区画と名付けることができる。
【0054】
さらに、「下方の(lower)」または「底部(bottom)」および「上方の(upper)」または「最上部(top)」などの相対語は、本明細書では、図に示されるように、ある要素の別の要素との関係を説明するために使用することがある。相対語は、図に示された方位に加えてデバイスの異なる方位を包含するものである。例えば、図中のデバイスが裏返される場合、別の要素の「下方の」側にあると説明された要素は別の要素の「上方の」側に位置付けられることになる。したがって、「下方の」という典型的な用語は、図の特定の方位に応じて「下方の」および「上方の」の両方の方位を包含することができる。同様に、図の1つにおけるデバイスが裏返される場合、他の要素の「下方に(below)」または「真下に(beneath)」あると説明された要素は他の要素の「上方に(above)」に位置付けられることになる。したがって、「下方に」または「真下に」という例示的な用語は、「上方に」および「下方に」の両方の方位を包含することができる。
【0055】
本発明の実施形態は、本発明の理想的な実施形態の概略図である断面図および/または他の図を参照しながら本明細書で説明される。そのため、例えば製造技法および/または製造許容誤差によって図の形状が変化することが予想される。したがって、本発明の実施形態は本明細書に示された領域の特定の形状に限定されるものと解釈されるべきでなく、例えば製造工程による形状の変化を含むものである。例えば、図で多角形として成長または堆積される場合、通常、第1の領域から異なる組成の第2の領域へ不連続的に変化せず、第1の領域と第2の領域の境界で丸まったまたはカーブした形状および/または濃度の勾配を有することになる。したがって、図に示された領域は本質的に概略であり、それらの形状はデバイスの領域の正確な形状を示すものではなく、本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】
「基板」という用語は本明細書では、バルク単結晶(通常ブールから切断される)、ならびに、1つまたは複数のエピタキシャル層を含むことができ基本的には(必ずしも排他的ではないが)その上に形成されるデバイスのための物理的および電子的支持体として働くウェハなどのデバイス先駆構造体の両方を、含むように十分に広義な意味で使用される。
【0057】
一般に(必ずしもそうではないが)、基板はn型であり、それはn型基板が炭化ケイ素ベースのデバイスにおいて多くの利点をもたらすことがあるからであり、1cm3当たり約1E18〜1E19(1×1018〜1×1019)キャリヤの活性キャリヤ濃度を有することがある。基板と比較して、エピタキシャル層のキャリヤ濃度は、その目的に応じて選択(または説明)することができる。「導電性」層は一般に1E18〜1E19cm-3のキャリヤ濃度を有することがある。「ブロッキング」層は一般に1E16cm-3未満のキャリヤ濃度を有することがある。「活性」層は、最終的なデバイスの構造または目的に応じたこれらのパラメータの範囲内のキャリヤ濃度を有することがある。したがって、n、n+、およびn−などの用語を使用して基板およびエピ層の両方を説明することができるが、そのような用語は限定ではなく例示の意味で考えなければならない。
【0058】
デバイスが形成される炭化ケイ素基板は、より大きい結晶(または「ブール」)から、一般に、炭化ケイ素ブールから炭化ケイ素基板ウェハを切り出すステップ、およびその後に基板ウェハ上に非選択的エッチングを行うステップによって取り出すことができる。ほとんどの状況では、切り出された基板ウェハは、本発明のいくつかの実施形態に従って第1のパターン化エッチングを行う前に、ラッピング、研磨、エッチング(一般にRIE)、および洗浄(酸または溶媒による)が行われる。「ラッピングされた」という用語は一般的な意味で使用さる。すなわち、逆回転するラップ盤および研磨剤(例えば、ダイアモンド)スラリーを使用してウェハ表面を平坦化するステップを表すために使用される。ラッピングは、ウェハ表面を平行にするのに役立ち、切り出しのときに生じたような機械的欠陥を低減することができる。同様に、研磨、エッチング、および洗浄のステップは、本発明のステップの前に、本発明の方法とは異なる従来通りの方法で行うことができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態はエピ層の底面転位(BPD)の密度を有利に低減することができる。パワーデバイスを低いBPD密度をもつエピタキシャル層を使用して形成すると、Vf劣化を少なくすることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を実施することのできる堆積方式101を図4の平面図に概略的に示す。堆積方式101は、図示のような水平、ホットウォール、貫流式のCVDシステムとすることができる。堆積方式101は、サセプタアセンブリ100、貫通通路180Aを定める石英管180、電磁周波数(EMF)発生器182(例えば、電源と、管180を取り巻くRFコイルとを含む)、およびプロセスガス供給源160を含む。石英管180に加えて、またはその代わりに絶縁カバーをサセプタアセンブリ100のまわりに備えることができる。堆積方式101を使用して、基板120上に層または膜を形成することができる(図5)。単一の基板120だけが図5に示されているが、システム101は多数の基板120上に膜を同時に形成するように構成することができる。
【0061】
基板120は、堆積させる層の材料と同じまたは異なる材料で形成されたウェハまたは他の構造体であってもよい。基板120は、例えば、2H−、4H−、または6H−SiC、あるいは任意の他の適切な材料で形成することができる。膜が堆積される基板表面は、ベース基板とするか、またはベース基板上に重ねられた第1の層もしくはそれに続く層とすることができる。例えば、堆積された膜を受け取るための基板120の表面は、堆積方式101または代替装置を使用して前もって堆積された層とすることができる。当業者なら本開示に照らして理解するように、本発明の実施形態は、本明細書で具体的に述べたもの以外の半導体材料を有利に利用することができる。
【0062】
一般に、プロセスガス供給源160は、以下で説明するように、プロセスガスがサセプタアセンブリ100に入り、そこを通り抜けるように供給する。EMF発生器182は、サセプタアセンブリ100を誘導式に加熱し、サセプタアセンブリ100内に堆積反応が生じるホットゾーンをもたらす。プロセスガスはサセプタアセンブリ100を通過し、排出ガスとして出て行き続けるが、排出ガスは、例えば、プロセスガスの残留成分ならびに反応副生成物を含むことがある。本発明の実施形態は、ホットウォールCVDシステム以外のタイプの堆積方式を使用することができる。本発明のシステムおよび方法に対する他の変更は本明細書の説明を読むことによって当業者には明白となるであろう。
【0063】
プロセスガスは、試薬、反応物、化学種、キャリヤなどのような1つまたは複数の成分を含むことができる。基板上にSiC層を形成しようとする場合、プロセスガスは、精製水素ガス(H2)などのキャリヤガスと共にシラン(SiH4)やプロパン(C3H8)などの前駆体ガスを含むことができる。プロセスガス供給源160は、必要に応じて流量制御デバイスおよび/または計量デバイスを備える1つまたは複数のガス加圧容器から供給することができる。
【0064】
典型的な従来のサセプタ100を図5に示す。サセプタ100は、例えば、図4に示されたような貫流、ホットウォール、および/またはCVD反応器内で使用することができる。サセプタ100は、最上部サセプタ部材100Aおよび底部サセプタ部材100Bを有する。さらに、サセプタ100は最上部ライナ103および底部ライナ105を有し、これらの間に反応チャンバ107が定義される。例えば、半導体ウェハなどの基板120は反応チャンバ107内に置かれ、(回転可能な)プラタ154の内部表面上に位置することができる。プロセスガスPは、一方の端部から反応チャンバ107に導入され、基板120のそばを通過して反応チャンバ107を貫流し、最終的に、反対の端部で反応チャンバ107から排出される。本明細書で使用するとき、プロセスガスという用語は1つまたは複数のガスを指す。図5に示されるような反応チャンバ107内の矢印で示されるように、プロセスガスが反応チャンバ107を貫流するときに、プロセスガスの一部が目的通り基板120に接触し、それによって基板120上に試薬または反応物が堆積し、層を形成することができる。システムによっては、反応チャンバ107は、約0.1mと1mとの間の長さ、約0.05mと0.5mとの間の幅、約1cmと10cmとの間の高さとすることができる。しかし、反応チャンバ107はこれらの寸法に限定されない。サセプタ部材は高品質グラファイトを含むことができる。サセプタの設計を含むCVD堆積方式の例は、特許文献2、特許文献3に記載されており、両方を参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
特定の実施形態では、サセプタ部材100A、100Bは、EMF発生器182によってその中に生成される渦電流に反応して熱を生成するのに適した材料で形成され、そのような材料および誘導加熱構成は当業者にはよく知られている。これらの部材は、グラファイト、より好ましくは高純度グラファイトで形成することができる。
【0066】
プラタ154などは底部部材100Bと基板120との間に位置し、基板120を支持することができる。いくつかの実施形態によれば、プラタ154は、適切な機構(図示せず)によって回転するように駆動することができる。例えば、そのシステムは、特許文献4、および/または特許文献5に記載されているようなガス駆動回転システムを含むことができ、これらの開示は参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。あるいは、プラタ154は固定とすることができる。プラタ154は、1つまたは多数の基板120を保持するように構成することができる。プラタ154は、SiC被覆グラファイト、固体SiC、および/または固定SiC合金などの任意の適切な材料で形成することができる。プラタ154を省略し、その結果、サセプタ部材100B、ライナ105、または他の適切な支持体に基板を載せることができる。
【0067】
使用するとき、プロセスガス供給源160は、注入開口102から反応チャンバ107までプロセスガスPの流れを供給する。プロセスガスPは通常流れ方向Rに流れる。図示のように、プロセスガスおよびその中の試薬のある部分は基板120に接触し、基板120の露出した表面上に所望の層(例えば、エピ層)を形成する。
【0068】
前述の堆積方式101および方法は、水平、ホットウォール、CVD、貫流式の堆積プロセスに関連して説明されているが、本発明の様々な態様は他のタイプの堆積方式およびプロセスで使用することができる。特定の実施形態が、「最上部」、「底部」などを参照しながら説明されたが、他の方位および構成を本発明に従って利用することができる。例えば、この堆積方式および方法は、コールドウォールおよび/または非水平貫流式のシステムおよびプロセスとすることができる。この堆積方式およびプロセスは、CVDシステムまたはプロセスではなく、気相エピタキシ(VPE)、液相エピタキシ(LPE)、またはプラズマCVD(PECVD)堆積方式およびプロセスとすることができる。
【0069】
次に図6を参照すると、1つまたは複数のエピタキシャル層が成長されることになる単結晶炭化ケイ素基板ウェハ10は通常円形の外周を有する。ウェハ方位付けを支援するために、1対のフラットがウェハから削り取られている。特に、ウェハ10は1次フラット12および2次フラット14を含む。1次フラット12は
【0070】
【数7】
【0071】
方向に沿って延び、一方、2次フラットは
【0072】
【数8】
【0073】
方向に沿って方向付けられている。
【0074】
ウェハの表面16は一般に炭化ケイ素結晶のc面に対応する(ウェハが
【0075】
【数9】
【0076】
方向の方にオフアクシス角αで切断されたことを除いて)。ある実施形態では、ウェハの表面16はウェハのケイ素面に対応するが、他の実施形態では、ウェハの表面16はウェハの炭素面に対応する。
【0077】
オフアクシス角αは実施形態によっては約8°未満とすることができる。実施形態によっては、オフアクシス角αは0°から約8°未満とすることができる。さらなる実施形態によっては、オフアクシス角αは0°から約4°未満とすることができる。さらなる実施形態によっては、オフアクシス角αは約2°から約4°未満とすることができる。
【0078】
今まで、SiCパワーデバイスは8°オフアクシス炭化ケイ素エピタキシャル層上に成長されてきている。しかし、このようなデバイスは性能劣化を被ってきている。特に、このような性能劣化には、順方向電圧降下(Vfドリフト)の増加、電流利得の低下、および/または逆漏洩電流の増加を含めることができる。
【0079】
前述の説明のように、図3を参照すると、オフアクシスエピタキシャル成長は、成長しているエピタキシャル層中にポリタイプの情報を通常維持する方法でエピタキシャル層の2次元成長を促進する、c平面配向層の露出した縁部を利用するステップフロー式に進む。8°オフアクシス配向SiCウェハ上にエピタキシャル層をステップフロー成長させると、パワーデバイスに適している平滑なモフォロジをもつ厚いエピタキシャル層が得られる。しかし、8°オフアクシスエピタキシャル層をSiCパワーデバイスに使用する1つの欠点は、このような成長が底面転位をもたらす場合があることである。BPDが上述の性能劣化のタイプの多くの根本的要因であることが示されている。特に、PN接合に順方向バイアスをかけている間にパワーデバイスの活性区域内で積層欠陥までBPDの成長が延びると、ドリフト領域で電子と正孔との再結合がもたらされる。このような再結合は底面の積層欠陥に向かう部分転位のすべりを増大させる。積層欠陥が存在すると、キャリヤ寿命が局所的に低減され、かつ/またはSiC結晶内に過剰な界面欠陥が生成される可能性がある。
【0080】
成長基板のオフアクシス角を8°未満の角度まで低減することによって、SiCエピタキシャル層中のBPDを低減させることが提案されている。しかし、SiCパワーデバイス中で機能させるために十分に厚く、かつ許容できるモフォロジを有する8°未満のオフアクシス角のエピタキシャル層を成長させるのは困難であることが実証されている。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、厚いエピタキシャル層の成長条件を改善することにより、炭化ケイ素パワーデバイスを形成するために基盤として使用することができる高品質で低角度オフアクシスのエピタキシャル層を成長できるようになる。特に、いくつかの実施形態は、8°未満の角度だけ(0001)底面から軸に沿ってまたは軸からずれて、方向付けられている基板上に炭化ケイ素の高品質で低欠陥密度のエピタキシャル層を形成する方法を提供する。このように成長された層は、BPD密度が低く、したがってVfドリフトおよび他の関連する性能の劣化が低い。
【0082】
図3から理解されるように、オフアクシス角が減少するに従って、SiCウェハの面上の単位距離当たりの露出したステップの数も減少する。SiCウェハ表面上でケイ素の表面移動度が低いことを考慮に入れると、ステップの数が減少し、ステップの互いの距離が次第に大きくなるに従って、エピタキシャル層の成長はより困難になる。したがって、基板のオフアクシス角を減少させた場合、基板の表面の全域でケイ素原子の移動度を増大させることができるような、成長温度を上昇させるおよび/または基板に供給される原料原子のSi/C比を増大させるなどのステップを取ることが望ましいことがある。
【0083】
例えば、8°のオフアクシスエピタキシャル炭化ケイ素は一般に約1500〜1550℃の温度で成長される。いくつかの実施形態によれば、エピタキシャル成長温度は1550℃より上に上昇させることができ、場合によっては約1800℃まで上昇させることができ、または他の場合には水素キャリヤガスによるエピタキシャル層のエッチングレートがエピタキシャル成長レートを超える温度まで上昇させることができる。いくつかの実施形態では、エピタキシャル成長は約1600℃から約1800℃の温度で行うことができる。さらなる実施形態では、エピタキシャル成長は約1600℃から約1700℃の温度で行うことができる。
【0084】
実施形態によっては、基板の全域のSi原子の表面移動度は、反応室に供給される反応物ガスのSi/C比を増加させることによって増加させることができる。しかし、Si/C比を変化させると、成長している層のモフォロジも変化し、かつ/またはドーパント取り込み比率も変化する場合があることが理解されよう。
【0085】
実施形態によっては、エピタキシャル成長は、より慣例的に使用されているケイ素面とは対照的にSiC基板の炭素面上に行うことがある。界面自由エネルギーは一般に炭素面でより低いので、ケイ素原子は基板の炭素面の全域でより良好な移動度を有することができる。炭素面をエピタキシャル成長に使用する1つの欠点は、炭素面で成長させる場合、バックグラウンドドーパント濃度レベルがより高くなる場合があることである。パワーデバイスでは、バックグラウンドドーパント濃度がデバイスの阻止電圧に非常に影響を与えることがある。通常、パワーデバイスのドリフト領域は、1016cm-3未満の正味のドーパント濃度を有する。しかし、炭素面で成長する場合さえ、バックグラウンドドーパント濃度を約1015cm-3未満に保持することができる。
【0086】
また、HClなどの塩素含有化合物を追加すると、ステップフロー成長を抑制する可能性があるSi過飽和誘起堆積物を低減させ、Si表面吸着原子移動度を効果的に増加させ、および/またはSiCのエピタキシャル成長中に水素中で生じる動的共同エッチングの増加をわずかにすることができる。エッチングレートは通常約0.5から約3ミクロン/時間であり、主として温度の上昇と共に増加する。これらの効果はすべてエピタキシャル層の有効なステップフロー成長機構を高度化し、結果として得られる品質を高めることができる。この付加された利益は、低いオフアクシス方位ではテラス幅がより広くなることに対応してより重要となる。
【0087】
いくつかの実施形態では、炭化ケイ素パワーデバイスは、底面転位(BPD)などの破滅的な欠陥の全密度が1平方センチメートル当たり10未満の欠陥である低角度オフカットエピタキシャル層を含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化ケイ素パワーデバイスは2/cm2未満の、いくつかの実施形態では、約1/cm2未満のBPDの密度を有するエピタキシャル層を含むことができる。「破滅的な欠陥」という用語は、本明細書で使用されるとき、パワーデバイスが機能するのを妨げることになる欠陥を指す。破滅的な欠陥は一般に当技術分野で周知の光散乱法によって識別および特性評価が行われる。底面欠陥は、さらに、例えば、溶融水酸化カリウム(KOH)中で欠陥選択エッチングを行い、エッチングに応じて形成される固有のエッチピットの数を計数することによって識別することができる。
【0088】
底面転位は、8°未満のオフアクシス角を有するエピタキシャル炭化ケイ素層の成長中に低減することがある。特に、エピタキシャル層が十分な厚さまで成長される場合、8°未満のオフアクシス角を有するエピタキシャル層内でBPDは終端することができると現在考えられている。すなわち、いくつかのBPDは基板/エピタキシャル層界面からエピタキシャル層内に伝播することができるが、多くのBPDは終端することができるか、またはエピタキシャル層内のある距離で他のタイプの非破滅的な欠陥に変換されうる。
【0089】
実施形態によっては、炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは基板上にバッファー層を含む。ドリフト層および/または他のデバイス層をバッファー層上に形成することができる。n型および/またはp型のドーパントをドープすることができるバッファー層は、層中でいくつかのまたはすべてのBPDが終端する炭化ケイ素のエピタキシャル層である。バッファー層は約10μmから約25μmの厚さを有することができ、基板と反対側のバッファー層の表面でのBPD密度は約2/cm2と約10/cm2との間とすることができる。実施形態によっては、表面でのBPD密度は約2/cm2未満とすることができ、実施形態によっては、表面でのBPD密度は約1/cm2未満とすることができる。
【0090】
実施形態によっては、バッファー層のオフアクシス角は8°未満とすることができる。実施形態によっては、バッファー層のオフアクシス角は約4°とすることができ、さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は2°とすることができる。実施形態によっては、バッファー層のオフアクシス角は約4°と約8°との間とすることができ、さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は約2°と約4°との間とすることができる。さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は約2°と約8°との間とすることができ、さらなる実施形態では、バッファー層のオフアクシス角は約0°と約8°との間とすることができる。
【0091】
バッファー層のオフアクシス角を低減すると、バッファー層の表面に達するBPDの数を減らすことができるが、過度にオフアクシス角を低減すると、下にある材料のポリタイプを複製するために使用されるべき利用可能なステップの数が減少すること、および成長表面上のケイ素原子および炭素原子の拡散距離と比較してそのようなステップの間隔があくことによって、エピタキシャル層中に新しい積層欠陥が発生することがある。しかし、エピタキシャル層に受け入れがたいレベルの新しい積層欠陥を導入することなしに、約2°と約8°との間のオフアクシス角を、実施形態によっては約4°のオフアクシス角を有する基板上へのエピタキシャル成長によって、BPDを効果的に低減できる。
【0092】
低角度オフアクシスウェハを使用して形成されたパワーデバイスには、マージドPINショットキーダイオード(MPS)(図7A)、PINダイオード(図7B)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)(図7C)、絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)(図7D)ゲートターンオフサイリスタ(GTO)(図7E、7F)、MOS制御型サイリスタ(MCT)などのようなバイポーラデバイスを含めることができる。高度にドープされたp+領域をもつショットキーダイオードなどのサージ機能を達成するために導電率変調を組み込んだユニポーラデバイス、ならびにポリシリコンなどの他の材料をもつヘテロ接合ダイオードもいくつかの実施形態による低角度オフアクシスウェハを使用して製作することができる。
【0093】
いくつかの実施形態によるパワーデバイスにおけるVfドリフトの改善を図8に示す。ここで、図8は、4°オフアクシス方位を有するSiCエピタキシャル層上に形成されたSiC GTO(曲線801)および8°オフアクシス方位を有するSiCエピタキシャル層上に形成されたSiC GTO(曲線803)に対する順方向電流ストレス試験中の順方向電圧降下(Vf)対時間のグラフを示す。順方向電流ストレス試験は室温で100A/cm2のDC電流密度を使用して行われた。4°オフアクシス上に形成されたGTOは40時間を超えた後で100mV未満のVfドリフトを示したが、8°オフアクシス上に形成されたGTOは10時間未満後に激しいVfドリフトを示した。
【0094】
本明細書で言及された製作技法の多くは、当技術分野において、それぞれに一般的によく認知およびよく理解されており、必要以上の実験をすることなく実施することができる。本明細書において開始構造体として使用できるタイプの単結晶炭化ケイ素ウェハは、本件特許出願人から市販されている。炭化ケイ素エピタキシャル層の成長は、特許文献6、特許文献1、特許文献7、および特許文献8に記載されているような技法を使用して実施することができる。炭化ケイ素のドライエッチングおよび電解エッチングは、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、および特許文献13に説明されている。溶融水酸化カリウムをエッチャントとして使用して、半導体表面を識別し、特性を決定することはよく理解されており、ASTM標準として表されたバージョン(例えば、ASTM F1404.92)を含む。基板ウェハの切断、機械研磨、およびラッピングも当技術分野における完全に従来のものである。
【0095】
図および明細書において、本発明の典型的な実施形態が開示され、特定の用語が使用されているが、それらは限定のためではなく一般的で記述的な意味でのみ使用されており、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスであって、
<0001>方向に対して0°よりも大きく8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を備えたことを特徴とするパワーデバイス。
【請求項2】
前記<0001>方向に対する前記オフアクシス角は約4°以下であることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項3】
前記<0001>方向に対する前記オフアクシス角は約2°と約4°との間にあることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
前記<0001>方向に対して0°よりも大きく8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素基板をさらに備え、
前記炭化ケイ素ドリフト層は前記炭化ケイ素基板の前記平坦な表面上にエピタキシャル層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項7】
前記炭化ケイ素基板と前記炭化ケイ素ドリフト層との間に炭化ケイ素緩衝層をさらに備え、
前記炭化ケイ素緩衝層は少なくとも約10μmの厚さを有することを特徴とする請求項6に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項8】
前記炭化ケイ素バッファー層は約10μmと約25μmとの間の厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項9】
前記バッファー層は前記基板と反対側の表面で約10/cm2未満の底面転位密度を有することを特徴とする、請求項8に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項10】
前記バッファー層は前記基板と反対側の前記表面で約2/cm2未満の底面転位密度を有することを特徴とする、請求項8に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項11】
前記バッファー層は前記基板と反対側の前記表面で約1/cm2未満の底面転位密度を有することを特徴とする、請求項8に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項12】
前記炭化ケイ素バッファー層は前記基板の炭素面上にあることを特徴とする、請求項7に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項13】
前記炭化ケイ素ドリフト層は第1の導電性タイプを有し、
前記炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、前記第1の導電性タイプと反対の第2の導電性タイプを有する炭化ケイ素基板と、前記基板上の炭化ケイ素バッファー層とを含むゲートターンオフサイリスタを備え、
前記ドリフト層は前記バッファー層上にあり、
第1のエピタキシャル層は前記ドリフト層上にありかつ前記第2の導電性タイプを有し、
第2のエピタキシャル層は前記第1のエピタキシャル層上にありかつ前記第1の導電性タイプを有し、
ゲートコンタクトは前記第1のエピタキシャル層上にあり、
カソードコンタクトは前記第2のエピタキシャル層上にあり、
アノードコンタクトは前記基板上にあることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項14】
前記<0001>方向に対する前記オフアクシス角は約4°であり、40時間の順方向電流の通電の後100mV未満の順電圧ドリフトを有することを特徴とする、請求項13に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項15】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスを形成する方法であって、
<0001>方向に対して8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を形成するステップを備えたことを特徴とする方法。
【請求項1】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスであって、
<0001>方向に対して0°よりも大きく8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を備えたことを特徴とするパワーデバイス。
【請求項2】
前記<0001>方向に対する前記オフアクシス角は約4°以下であることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項3】
前記<0001>方向に対する前記オフアクシス角は約2°と約4°との間にあることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
前記<0001>方向に対して0°よりも大きく8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素基板をさらに備え、
前記炭化ケイ素ドリフト層は前記炭化ケイ素基板の前記平坦な表面上にエピタキシャル層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項7】
前記炭化ケイ素基板と前記炭化ケイ素ドリフト層との間に炭化ケイ素緩衝層をさらに備え、
前記炭化ケイ素緩衝層は少なくとも約10μmの厚さを有することを特徴とする請求項6に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項8】
前記炭化ケイ素バッファー層は約10μmと約25μmとの間の厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項9】
前記バッファー層は前記基板と反対側の表面で約10/cm2未満の底面転位密度を有することを特徴とする、請求項8に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項10】
前記バッファー層は前記基板と反対側の前記表面で約2/cm2未満の底面転位密度を有することを特徴とする、請求項8に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項11】
前記バッファー層は前記基板と反対側の前記表面で約1/cm2未満の底面転位密度を有することを特徴とする、請求項8に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項12】
前記炭化ケイ素バッファー層は前記基板の炭素面上にあることを特徴とする、請求項7に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項13】
前記炭化ケイ素ドリフト層は第1の導電性タイプを有し、
前記炭化ケイ素ベースのパワーデバイスは、前記第1の導電性タイプと反対の第2の導電性タイプを有する炭化ケイ素基板と、前記基板上の炭化ケイ素バッファー層とを含むゲートターンオフサイリスタを備え、
前記ドリフト層は前記バッファー層上にあり、
第1のエピタキシャル層は前記ドリフト層上にありかつ前記第2の導電性タイプを有し、
第2のエピタキシャル層は前記第1のエピタキシャル層上にありかつ前記第1の導電性タイプを有し、
ゲートコンタクトは前記第1のエピタキシャル層上にあり、
カソードコンタクトは前記第2のエピタキシャル層上にあり、
アノードコンタクトは前記基板上にあることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項14】
前記<0001>方向に対する前記オフアクシス角は約4°であり、40時間の順方向電流の通電の後100mV未満の順電圧ドリフトを有することを特徴とする、請求項13に記載の炭化ケイ素ベースのパワーデバイス。
【請求項15】
炭化ケイ素ベースのパワーデバイスを形成する方法であって、
<0001>方向に対して8°よりも小さいオフアクシス角を形成する平坦な表面を有する炭化ケイ素ドリフト層を形成するステップを備えたことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【公開番号】特開2010−135789(P2010−135789A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−272182(P2009−272182)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272182(P2009−272182)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
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