説明

作業車

【課題】変速操作と駐車ブレーキ操作とを一の操作レバーによって行う作業車において、駐車ブレーキ操作を簡単にする。
【解決手段】伝動機構TMの動作を規制可能な駐車ブレーキ機構17と、操作レバー19Aの操作を伝動機構TMまたは駐車ブレーキ機構17に伝達する操作部材44と、伝動機構TMの動作を規制した状態に駐車ブレーキ機構17を維持可能なロック機構18と、を備え、操作レバー19Aの変速操作経路として、中立経路と、中立経路から直線状に延びる変速経路と、を備え、操作レバー19Aのブレーキ操作経路として、中立経路から変速経路と交差する方向に延び、駐車ブレーキ機構17が動作するブレーキ経路と、少なくともブレーキ経路の終端からブレーキ経路と交差する方向に延び、ロック機構18が動作するロック経路と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速操作と駐車ブレーキ操作とを一の操作レバーによって行う作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような作業車として、例えば、特許文献1に記載の技術のごとく、ミッションケースの内部に配設され、エンジンからの回転駆動力を走行装置に伝達する伝動機構と、伝動機構に配設され、回転駆動力を変速して機体速度を変更可能な変速装置(文献では、「主変速装置」)と、ミッションケースの内部に配設され、伝動機構の動作を規制可能な駐車ブレーキ機構(文献では、「駐車ロック装置」)と、手動によって揺動操作自在であって、変速装置の変速操作及び駐車ブレーキ機構のブレーキ操作が可能な一の操作レバーと、を備えたトラクタがあった。
【0003】
このトラクタは、ミッションケースの内外に亘る状態でミッションケースに支持される共に、操作レバーの操作に追従して動作するように操作レバーに連結され、かつ、伝動機構及び駐車ブレーキ機構に各別に連係され、操作レバーの操作を伝動機構または駐車ブレーキ機構に伝達する操作部材(文献では、「操作軸」)と、操作レバーまたは操作部材の位置を拘束して、駐車ブレーキ機構を、伝動機構の動作を規制した状態に維持可能なロック機構(文献では、「レバーガイド」及び操作レバーの下端部である「係合部」)と、を備えている。
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、変速装置はいわゆるマニュアル式の変速装置であり、操作レバーの変速操作経路として、変速装置の中立状態に対応する直線状の中立経路と、中立経路に交差する方向に対して中立経路から直線状に延び、変速装置の変速状態に対応する変速経路(「1速」、「2速」、「3速」、「R(バック)」に変速)と、を備えている。
【0005】
そして、特許文献1に記載の技術では、中立経路を、変速経路を設けた範囲よりも延長した上で、中立経路の終端から中立経路に交差する方向(変速経路と平行な方向)に対して直線状に延びるブレーキ操作経路を備えている。このブレーキ操作経路に沿って操作レバーを操作することにより、操作部材が回動して駐車ブレーキ機構が揺動し、駐車ブレーキがなされる。つまり、中立経路と異なる方向への操作によって、運転者に対して、駐車ブレーキ操作を行っていることを意識させることが可能である。
【0006】
さらに、ブレーキ経路の終端の先に、ロック機構が動作するロック経路を備えると共に、操作レバーを押し下げ操作しなければ操作レバーをロック経路から中立経路の側(ブレーキ経路)に操作できないように構成し、操作レバーがブレーキ経路から抜け出して駐車ブレーキが不測に解除されるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3979706号公報(段落[0007]乃至段落[0019]、段落[0033]乃至段落[0038],図7乃至図17)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のトラクタは、上述したように、中立経路に対する駐車ブレーキ経路の位置関係を、中立経路に対する変速経路の位置関係と同じように構成することにより、運転者に駐車ブレーキ操作を行っていることを意識させるものである。したがって、駐車ブレーキ操作を行うには、実質的に、中立経路を延長した経路と、その経路と交差するブレーキ経路との2アクションを行う必要があり、最終的なロック経路に沿った操作までを勘案すると、操作アクションが多く、運転者が面倒に感じる虞がある。
【0009】
本発明の目的は、このような実情に鑑み、変速操作と駐車ブレーキ操作とを一の操作レバーによって行う作業車において、駐車ブレーキ操作を簡単にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る作業車の第一特徴構成は、ミッションケースの内部に配設され、エンジンからの回転駆動力を走行装置に伝達する伝動機構と、前記伝動機構に配設され、前記回転駆動力を変速して機体速度を変更可能な変速装置と、前記ミッションケースの内部に配設され、前記伝動機構の動作を規制可能な駐車ブレーキ機構と、手動によって揺動操作自在であって、前記変速装置の変速操作及び駐車ブレーキ機構のブレーキ操作が可能な一の操作レバーと、前記ミッションケースの内外に亘る状態で前記ミッションケースに支持される共に、前記操作レバーの操作に追従して動作するように前記操作レバーに連結され、かつ、前記伝動機構及び前記駐車ブレーキ機構に各別に連係され、前記操作レバーの操作を前記伝動機構または前記駐車ブレーキ機構に伝達する操作部材と、前記操作レバーまたは前記操作部材の位置を拘束して、前記駐車ブレーキ機構を、前記伝動機構の動作を規制した状態に維持可能なロック機構と、を備え、前記操作レバーの変速操作経路として、前記変速装置の中立状態に対応する中立経路と、前記中立経路から直線状に延び、前記変速装置の変速状態に対応する変速経路と、を備え、前記操作レバーのブレーキ操作経路として、前記中立経路から前記変速経路と交差する方向に延び、前記駐車ブレーキ機構が動作するブレーキ経路と、少なくとも前記ブレーキ経路の終端から前記ブレーキ経路と交差する方向に延び、前記ロック機構が動作するロック経路と、を備えた点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、ブレーキ経路を、変速装置の中立状態に対応する中立経路から、変速経路と交差する方向に延ばして構成してあるので、駐車ブレーキ操作を行うに際しては、変速装置のみに関する本来的な中立経路から操作レバーを逸脱させるという1アクションの操作を行うだけで良く、その後は駐車ブレーキ機構によってその状態を維持できる。このように、本構成であれば、駐車ブレーキ操作が簡単になる。
【0012】
本発明に係る作業車の第二特徴構成は、前記ロック経路のうち前記ブレーキ経路の終端と反対側の端部を、前記中立経路の側へ折り返してある点にある。
【0013】
本特徴構成であると、ロック経路のうちブレーキ経路の終端と反対側の端部が、中立経路の側へ折り返されているので、操作レバーが折り返した経路から中立経路に戻るには、先ず中立経路とは反対側の方向へ移動し、そして方向変換してブレーキ経路の終端に向けて移動し、さらに方向転換してブレーキ経路に沿って中立経路に移動する必要がある。したがって、駐車ブレーキが不測に解除されにくい。
【0014】
本発明に係る作業車の第三特徴構成は、前記変速装置は前記回転駆動力を複数段に変速可能であると共に、前記中立経路は直線状の経路であり、前記駐車ブレーキ機構は、前記伝動機構の一部に咬み合う規制状態と咬み合わない非規制状態とに揺動によって姿勢変更可能であり、前記ブレーキ経路を前記中立経路の延長線上に設け、前記操作レバーを前記中立経路または前記ブレーキ経路に沿って操作すると、前記操作部材がスライド移動するように構成し、前記操作部材は、前記スライド移動によって前記駐車ブレーキ機構を押圧して、前記駐車ブレーキ機構を前記非規制状態から前記規制状態に姿勢変更させる点にある。
【0015】
本特徴構成によれば、変速装置が回転駆動力を複数段に変速可能であり、かつ、中立経路が直線状の経路である作業車、いわゆるマニュアル式の変速装置を備えた作業車において、ブレーキ経路を中立経路の延長線上に設けると共に、操作レバーを中立経路またはブレーキ経路に沿って操作すると、操作部材がスライド移動するように構成してある。そして、操作部材がスライド移動することによって、駐車ブレーキ機構が押圧されて揺動して規制状態となり、駐車ブレーキがかかる。つまり、操作部材のスライド方向と駐車ブレーキ機構の揺動方向とが一致し、操作レバーの駐車ブレーキ操作が、操作部材のスライド移動を介して駐車ブレーキ機構に直線的に伝達される。
【0016】
この結果、操作部材のスライドによる操作力を方向転換して駐車ブレーキ機構に伝達するような必要がなく、不要なリンク機構を設けずに、簡易な構成で駐車ブレーキ機構の操作を行うことが可能となる。
【0017】
本発明に係る作業車の第四特徴構成は、前記操作レバーを前記中立経路の中央側に常時付勢する第一付勢機構と、前記第一付勢機構とは別に設けられ、前記操作レバーが前記ブレーキ経路に位置する場合に、前記操作レバーを前記中立経路の側に付勢する第二付勢機構と、を備えた点にある。
【0018】
本特徴構成によると、第一付勢機構は、操作レバーを中立経路の中央側に常時付勢し、第二付勢機構は、操作レバーがブレーキ経路に位置するときだけ、操作レバーを中立経路の側に付勢する。即ち、特にブレーキ経路を中立経路と一直線上に設けた場合において、操作レバーを中立経路からブレーキ経路に操作しようとすると、第一付勢機構による付勢力に加えて、第二付勢機構による付勢力が操作レバーに付与されて、レバー操作が重くなる。したがって、運転者は操作レバーをブレーキ経路に操作したことを感覚的に感知することができる。
【0019】
また、本構成であれば、中立経路のうちブレーキ経路との境界付近から、変速経路の一つが延びているような場合には、レバー操作への反力(付勢力)の増加によって、簡単に操作レバーがブレーキ経路に入らず、また、その変速経路の始端が感覚的に分かり、確実にその変速経路へのレバー操作を行うことができる。
【0020】
本発明に係る作業車の第五特徴構成は、前記第一付勢機構を、前記ミッションケースと前記操作部材とに亘って配設すると共に、前記第二付勢機構を前記駐車ブレーキ機構に配設し、前記操作部材と前記駐車ブレーキ機構とを離間可能に連係して、前記駐車ブレーキ機構が前記規制状態の場合には、前記操作部材と前記駐車ブレーキ機構とが当接し、かつ、前記駐車ブレーキ機構が前記非規制状態の場合には、前記操作部材と前記駐車ブレーキ機構とが離間するように構成してある点にある。
【0021】
本特徴構成によると、操作レバーを中立経路の中央側に常時付勢する第一付勢機構はミッションケースと操作部材とに亘って設けられ、かつ、操作レバーがブレーキ経路に位置するときだけ、操作レバーを中立経路の側に付勢する第二付勢機構は、駐車ブレーキ機構に取り付けられている。即ち、操作レバーが中立経路に沿って操作されるときも、ブレーキ経路に沿って操作されるときも動作する操作部材に第一付勢機構を配設すると共に、操作レバーがブレーキ経路に沿って操作されるときだけ動作する駐車ブレーキ機構に第二付勢機構を配設してある。そして、駐車ブレーキ機構が規制状態の場合には、操作部材と駐車ブレーキ機構とが当接し、かつ、駐車ブレーキ機構が非規制状態の場合には、操作部材と駐車ブレーキ機構とが離間する。
【0022】
つまり、本特徴構成のように構成することで、第一付勢機構については、操作レバーが中立経路及びブレーキ経路に位置するとき(常時)、第一付勢機構による付勢力が操作レバーに作用するようにでき、第二付勢機構については、操作レバーがブレーキ経路に位置するときだけ、第二付勢機構による付勢力が操作部材を介して操作レバーに作用するようにできる。
【0023】
また、伝動機構のうち操作部材が対向する近傍のメンテナンスのために、操作レバーや操作部材をミッションケースの一部の壁部と共に一体的に取り外し自在に構成する場合がある。このような場合に、本構成であれば、駐車ブレーキ機構と操作部材とが離間可能であるため、取り外しのための特別な構成を採用せずとも、ミッションケースの一部の壁部等をミッションケースの本体から取り外せる構成とすることができる。
【0024】
本発明に係る作業車の第六特徴構成は、前記ロック機構は、前記操作部材または前記操作レバーに連結された係止部と、前記操作部材及び前記操作レバーに対して相対的に静止している部材に固定された被係止部と、を備え、前記ロック経路のうち前記ブレーキ経路の終端と反対側の端部を、前記中立経路の側へ折り返してあり、前記操作レバーが前記ロック経路のうちの折り返した経路に操作されると、前記係止部が前記被係止部に係止するように構成してある点にある。
【0025】
本特徴構成であれば、係止部と被係止部との物理的な係止によって、操作レバーが不測にロック経路から抜け出すことを確実に防止できる。
【0026】
本発明に係る作業車の第七特徴構成は、前記係止部を、前記ブレーキ経路及び前記ロック経路の形状に対応したフック形状に形成すると共に、前記被係止部に、前記係止部が入り込み可能な開口部を形成し、前記操作レバーが前記ロック経路に操作されると、前記係止部が前記開口部を介して前記被係止部を貫通するように、かつ、さらに操作レバーが前記ロック経路のうちの折り返した経路に操作されると、前記係止部が前記開口部の外周部分に係止するように、前記開口部を構成してある点にある。
【0027】
本特徴構成であれば、係止部をブレーキ経路及びロック経路の形状に対応したフック形状に形成し、かつ、被係止部に開口部を設けるという単純な構成で、操作レバーの操作とロック機構の動作とを連動させるため、複雑なリンク機構に比べて、ロック機構の動作の確実性や精度、及び、ロック機構の耐久性が向上する。
【0028】
本発明に係る作業車の第八特徴構成は、前記操作レバーを、前記ミッションケースに固定されたブラケットに支持すると共に、前記ブラケットに前記被係止部を支持してある点にある。
【0029】
本特徴構成によると、操作レバーを支持するブラケットを、被係止部を支持する部材として兼用することができ、部品点数を減らすことができる。また、操作レバーは使用頻度が多く、揺動操作するものであるので、その支持部材であるブラケットは必然的に剛性の高いもの(高強度)となる。この剛性の高いブラケットに被係止部を支持するので、被係止部は安定支持される。
【0030】
本発明に係る作業車の第九特徴構成は、前記操作部材及び前記係止部を、前記操作レバーの下端部に連結してある点にある。
【0031】
本特徴構成のように、操作部材及び係止部を同一箇所(操作レバーの下端部)に連結することにより、ブレーキ機構の動作とロック機構との動作とが確実に連動し、ブレーキ機構の動作に対するロック機構の作動タイミングが好適なものとなる。
【0032】
本発明に係る作業車の第十特徴構成は、前記伝動機構に、前記変速装置とは別の副変速装置を配設し、前記ミッションケースに固定されたブラケットに、前記操作レバーと前記副変速装置を操作する副変速レバーとを枢支してある点にある。
【0033】
本特徴構成であれば、主変速レバーと副変速レバーとを、同一の部材であるブラケットに支持するので、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るトラクタの右側面図である。
【図2】本発明に係る伝動機構のギアトレインを示す図である。
【図3】伝動機構の縦断右側面図である。
【図4】主変速レバー、カバー部材等の右側面図である。
【図5】主変速レバー、カバー部材等の背面図である。
【図6】主変速レバー、カバー部材等の上面図である。
【図7】駐車ブレーキ機構の正面図である。
【図8】駐車ブレーキ機構の上面図である。
【図9】解除状態のときの駐車ブレーキ機構等の背面図である。
【図10】規制状態のときの駐車ブレーキ機構等の背面図である。
【図11】操作軸の位置におけるカバー部材等の縦断背面図である。
【図12】主変速レバーの操作経路(レバーガイド)を示す図である。
【図13】主変速レバーの操作に対応したロック機構の各種状態を示す横断上面図であって、(a)は主変速レバーが中立経路に位置するときの状態、(b)はブレーキ経路の終端に位置するときの状態、(c)は第一ロック経路に位置するときの状態、(d)は第二ロック経路に位置するときの状態を示す。
【図14】ロック機構の分解斜視図である。
【図15】別実施形態に係るクリープ機構及び副変速装置周辺のギアトレインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明をトラクタに適用した例を図面に基づいて説明する。
【0036】
〔トラクタの概要〕
トラクタは、図1に示すごとく、エンジンEと、クラッチハウジングCHと、ミッションケースMCと、を備えている。エンジンEとミッションケースMCとは、クラッチハウジングCHを介して前後に連結してある。そして、「走行装置」としての前輪FW及び後輪RWによって機体を支持してある。クラッチハウジングCHの内部には、後述する主クラッチ2が配設してあり、ミッションケースMCの内部には、後述する伝動機構TMが配設してある。
【0037】
機体後部に運転部を設け、運転座席DSを備えている。運転座席DSの右側部に、「操作レバー」としての主変速レバー19Aと、副変速レバー19Bと、を後述するレバーガイドに沿って前後左右に揺動操作自在に備えている。主変速レバー19Aの操作によって、後述する「変速装置」としての主変速装置6の変速操作と、後述する駐車ブレーキ機構17の駐車ブレーキ操作と、を行う。副変速レバー19Bの操作によって、後述する副変速装置8の副変速操作を行う。
【0038】
〔主クラッチについて〕
主クラッチ2は、図2に示すごとく、エンジンEのクランク軸1に連結されており、「入り状態」と「切り状態」とに切り換え自在である。主クラッチ2が「入り状態」のとき、エンジンEからの回転駆動力(以下、「動力」と称する)が伝動機構TMに伝達され、「切り状態」のとき、動力は伝動機構TMに伝達されない。
【0039】
〔伝動機構について〕
伝動機構TMは、図2,図3に示すごとく、主クラッチ2を介してエンジンEと連結されており、走行時に、エンジンEの動力を前輪FW及び後輪RW、または、後輪RWのみに伝達することが可能である。伝動機構TMは、クランク軸1と同一軸芯状となるように機体前後方向に沿って配設された推進軸3と、推進軸3の後上方において推進軸3と平行に設けられた入力軸5と、推進軸3の後方において、推進軸3と同一軸芯状に、かつ、入力軸5と平行に配設された筒状のカウンタ軸7と、カウンタ軸7と平行に配設された出力軸9と、出力軸9と平行に配設された前輪推進軸10と、出力軸9の後方に直結された後輪推進軸11と、を備えている。なお、全ての軸は、機体前後方向に沿って配設され、ミッションケースMC等に回動自在に支持されている。
【0040】
動力は、クランク軸1から主クラッチ2を介して推進軸3に伝達され、さらに、推進軸3周りに設けられた前後進切換機構4によって前進の動力(正回転)のままとされるか、または、後進動力(逆回転)に変換される。前後進切換機構4は、前進クラッチ4Aと後進クラッチ4Bとを備えている。前進クラッチ4Aが「入り状態」かつ後進クラッチ4Bが「切り状態」のとき、動力は正回転のまま推進軸3から入力軸5に伝達される。前進クラッチ4Aが「切り状態」かつ後進クラッチ4Bが「入り状態」のとき、動力は逆回転に変換され、入力軸5に伝達される。
【0041】
入力軸5に伝達された動力は、主変速装置6によって、「1速」から「6速」の6速の何れかに変速されて、カウンタ軸7に伝達される。主変速装置6については後記で詳述する。カウンタ軸7に伝達された動力は、副変速装置8によって「高速」または「低速」の何れかにさらに変速されて、出力軸9に伝達される。そして、出力軸9に伝達された動力は、そのまま後輪推進軸11に伝達され、また、出力軸9にスプライン嵌合された出力ギア9aを介して前輪推進軸10に伝達される。後輪推進軸11に伝達された動力は、後輪デフ装置12を介して後輪RWに伝達される。前輪推進軸10に伝達された動力は、不図示の前輪FWデフ装置を介して前輪FWに伝達される。
【0042】
また、伝動機構TMは、動力の一部を取り出して作業機(アタッチメント)に伝達するPTO伝動系統も有する。伝動機構TMは、図2,図3に示すごとく、推進軸3の後端に同一軸芯状に連結されたPTO駆動軸13と、PTO駆動軸13の後端に連結されたPTOクラッチ14と、PTOクラッチ14の後部に連結され、PTO駆動軸13と同一軸芯状に配設されたPTO伝動軸15と、PTO伝動軸15の後下方に、PTO伝動軸15と平行に配設されたPTO出力軸16と、を備えている。なお、PTO駆動軸13は、上述した筒状のカウンタ軸7に内挿されている。
【0043】
主クラッチ2が「入り状態」のとき、推進軸3に伝達された動力は、前後進切換機構4の動作とは関係なく、そのままPTO駆動軸13に伝達される。PTO駆動軸13に伝達された動力は、PTOクラッチ14が「入り状態」のとき、PTO伝動軸15へ伝達され、さらにPTO出力軸16へと伝達される。また、PTO駆動軸13に伝達された動力は、PTOクラッチ14が「切り状態」のとき、PTO伝動軸15には伝達されない。なお、PTOクラッチ14は、不図示のPTOクラッチ14レバーによって、「入り状態」と「切り状態」とに切り換え自在である。
【0044】
〔主変速装置について〕
主変速装置6は、図2,図3に示すごとく、入力軸5とカウンタ軸7との間に亘って設けられている。主変速装置6は、入力軸5に対して回転自在に外挿された第一1速ギア20a乃至第一6速ギア20fを備えている。機体前方から、第一4速ギア20d、第一3速ギア20c、第一6速ギア20f、第一5速ギア20e、第一2速ギア20b、第一1速ギア20aの順番で配設してある。また、入力軸5周りにおいて、第一4速ギア20dと第一3速ギア20cとの間に第二シフター22Bを配設し、第一6速ギア20fと第一5速ギア20eとの間に第三シフター22Cを配設し、第一2速ギア20bと第一1速ギア20aとの間に第一シフター22Aを配設してある。
【0045】
第二シフター22Bは、主変速レバー19Aの変速操作による第二シフトフォーク46B(図3,図6参照)の動作によって、入力軸5の軸芯方向に沿ってスライド移動し、入力軸5と、第一4速ギア20d及び第一3速ギア20cの何れか一方とを連結するか、または何れのギアも連結しないかを択一的に切り換える。つまり、第一4速ギア20d及び第一3速ギア20cのうち、入力軸5と連結されたギアのみが動力によって回転する。
【0046】
第三シフター22Cは、主変速レバー19Aの変速操作による第三シフトフォーク46C(図3,図6参照)の動作によって、入力軸5の軸芯方向に沿ってスライド移動し、入力軸5と、第一6速ギア20f及び第一5速ギア20eの何れか一方とを連結するか、または何れのギアも連結しないかを択一的に切り換える。つまり、第一6速ギア20f及び第一5速ギア20eのうち、入力軸5と連結されたギアのみが動力によって回転する。
【0047】
第一シフター22Aは、主変速レバー19Aの変速操作による第一シフトフォーク46A(図3,図6参照)の動作によって、入力軸5の軸芯方向に沿ってスライド移動し、入力軸5と、第一2速ギア20b及び第一1速ギア20aの何れか一方とを連結するか、または何れのギアも連結しないかを択一的に切り換える。つまり、第一2速ギア20b及び第一1速ギア20aのうち、入力軸5と連結されたギアのみが動力によって回転する。
【0048】
第一シフトフォーク46A乃至第三シフトフォーク46Cは、後述するが、主変速レバー19Aの変速操作によって何れか一つのみが動作するように構成してあり、何れかのシフターが、入力軸5と何れかのギアとの連結をしている状態のときは、他の二つのシフターは、入力軸5を何れのギアとも連結しない状態となっている。したがって、第一1速ギア20a乃至第一6速ギア20fのうち何れか一つのギアのみが入力軸5と一体的に回転する(本発明に係る「変速状態」)。また、全てのシフターが、入力軸5を何れのギアとも連結しない状態のときは、何れのギアにも入力軸5の動力は伝達されない(本発明に係る「中立状態」)。
【0049】
さらに、主変速装置6は、図2,図3に示すごとく、カウンタ軸7に対してスプライン嵌合されてカウンタ軸7と一体的に回転する、第二1速ギア21a乃至第二6速ギア21fを備えている。機体前方から、第二4速ギア21d、第二3速ギア21c、第二6速ギア21f、第二5速ギア21e、第二2速ギア21b、第二1速ギア21aの順番で配設してある。第二4速ギア21dは第二4速ギア21dと常時咬合し、第二3速ギア21cは第一3速ギア20cと常時咬合し、第二6速ギア21fは第一6速ギア20fと常時咬合し、第二5速ギア21eは第一5速ギア20eと常時咬合し、第二2速ギア21bは第一2速ギア20bと常時咬合し、第二1速ギア21aは第一1速ギア20aと常時咬合している。
【0050】
以上の主変速装置6の構成により、入力軸5に伝達された動力は、第一1速ギア20aと第二1速ギア21aとの間で変速されてカウンタ軸7に伝達されるか(「1速」の変速状態)、第一2速ギア20bと第二2速ギア21bとの間で変速されてカウンタ軸7に伝達されるか(「2速」の変速状態)、第一3速ギア20cと第二3速ギア21cとの間で変速されてカウンタ軸7に伝達されるか(「3速」の変速状態)、第一4速ギア20dと第二4速ギア21dとの間で変速されてカウンタ軸7に伝達されるか(「4速」の変速状態)、第一5速ギア20eと第二5速ギア21eとの間で変速されてカウンタ軸7に伝達されるか(「5速」の変速状態)、第一6速ギア20fと第二6速ギア21fとの間で変速されてカウンタ軸7に伝達されるか(「6速」の変速状態)、または、カウンタ軸7に伝達されない(中立状態)。
【0051】
〔副変速装置について〕
副変速装置8は、図2,図3に示すごとく、カウンタ軸7と出力軸9との間に亘って設けられている。副変速装置8は、カウンタ軸7とギア連係されてカウンタ軸7と同期して回転する小径の高速ギア30と、カウンタ軸7に直接咬合されてカウンタ軸7と同期して回転する大径の低速ギア31と、を機体前方からこの順番で備えている。また、出力軸9周りにおいて、高速ギア30と低速ギア31とに亘って副変速シフター32を配設してある。副変速シフター32は、副変速レバー19Bの副変速操作による副変速シフトフォーク48(図3,図5,図6参照)の動作によって、出力軸9の軸芯方向に沿ってスライド移動し、出力軸9と、高速ギア30及び低速ギア31の何れか一方とを連結するか、または何れのギアも連結しないかを択一的に切り換える。
【0052】
以上の副変速装置8の構成により、カウンタ軸7に伝達された動力は、出力軸9と高速ギア30とが連結されているときは、「高速」に変速されて出力軸9に伝達され(いわゆる「高速状態」)、出力軸9と低速ギア31とが連結されているときは、「低速」に変速されて出力軸9に伝達され(いわゆる「低速状態」)、出力軸9が何れのギアとも連結されていないときは、出力軸9に伝達されない(いわゆる「中立状態(副変速)」)。
【0053】
〔カバー部材について〕
図3乃至図6に示すごとく、ミッションケースMCの右側面を、取り外し可能なカバー部材40で構成し、カバー部材40を取り外せば、図3に二点鎖線で示す範囲(副変速機構を中心としたミッションケースMCの下部付近)が開放される。この構成により、伝動機構TMのメンテナンス等が容易となる。
【0054】
〔主変速レバー及び操作軸の構成〕
主変速レバー19Aは、図12に示すごとく、運転部に備えたレバーガイドに沿って操作する。即ち、レバーガイドに矢印で示した操作経路に沿って、主変速レバー19Aを操作する。主変速レバー19Aの操作経路は、大きくは、主変速装置6の変速操作を行う変速操作経路と、駐車ブレーキ機構17のブレーキ操作を行うブレーキ操作経路と、の二つの経路に分けられる。
【0055】
変速操作経路は、主変速装置6の「中立状態」に対応し、機体左右方向に延びる直線状の中立経路81と、中立経路81から、中立経路81と直交する方向(機体前後方向)に延び、主変速装置6の「変速状態」(「1速」乃至「6速」)」に対応する変速経路80と、を備えている。ブレーキ操作経路は、中立経路81の延長線上に延び、即ち、変速経路80と直交する方向(機体左右方向)に延び、駐車ブレーキ機構17が動作するブレーキ経路82と、少なくともブレーキ経路82の終端からブレーキ経路82と直交する方向(機体前後方向)に延び、後述するロック機構18が動作するロック経路と、を備えている。
【0056】
ロック経路は、ブレーキ経路82の終端からブレーキ経路82と直交する方向(機体前後方向)に延びる第一ロック経路83と、第一ロック経路83の終端から中立経路81と平行な方向(機体左右方向)に沿って中立経路81の側(機体内側)に延びる第二ロック経路84と、を備えている。つまり、ロック経路のうちブレーキ経路82の終端と反対側の端部は、中立経路81の側へ折り返してあることとなる。
【0057】
次に、主変速レバー19Aの具体的な構成について説明する。主変速レバー19Aは、図4乃至図6に示すごとく、その下端部よりも少し上側の箇所を、ブラケット42を介してカバー部材40の外側面に支持してある。ブラケット42は、比較的厚肉のプレートを断面U字形状に曲げ加工したものである。ブラケット42は、機体左右方向内側の面の下部と、機体左右方向外側の面の下部と、をボルトによってカバー部材40に強固に固定してある。
【0058】
ブラケット42の機体左右方向内外面に亘って、機体左右方向向きの姿勢で支持軸43を固定してある(図14参照)。支持軸43の機体外側の端部は、ブラケット42の外側の面よりも機体外側方向に突出させてある。支持軸43の先端部に、支持軸43の軸芯X回り(機体前後方向)に揺動自在に、かつ、軸芯Xと直交する軸芯Y回り(機体左右方向)に揺動自在に、主変速レバー19Aを支持してある。
【0059】
主変速レバー19Aを中立経路81、ブレーキ経路82、または、第二ロック経路84(図12参照)に沿って操作すると、主変速レバー19Aは軸芯Y周り(機体左右方向)に揺動する。また、主変速レバー19Aを、変速経路80、または、第一ロック経路83(図12参照)に沿って操作すると、主変速レバー19Aは軸芯X周り(機体前後方向)に揺動する。
【0060】
図11に示すごとく、主変速レバー19Aの下端部に、ユニバーサルジョイントを介して、断面円形状の棒部材である「操作部材」としての操作軸44を連結してある。カバー部材40に、機体左右方向に沿った断面円形状のボス部40aを形成し、ボス部40aに対して操作軸44を、ミッションケースMCの内外に亘る状態で、スライド自在かつ回動自在に内挿してある。また、ボス部40aと操作軸44とに亘って、「第一付勢機構」としてのスプリング45を配設してある。スプリング45の付勢力は、操作軸44を介して主変速レバー19Aに作用する。スプリング45の付勢力によって、主変速レバー19Aは、中立経路81の中央側、即ち、「3速」の変速経路80の始端、かつ、「4速」の変速経路80の始端となる位置に付勢される(図12参照)。
【0061】
本構成によって、操作軸44は、主変速レバー19Aを中立経路81、ブレーキ経路82、または、第二ロック経路84に沿って操作すると、軸芯Xの下方に位置する機体左右方向向きの軸芯Zに沿ってスライド移動する。即ち、主変速レバー19Aを右方向に揺動させると、操作軸44はミッションケースMCの内部に向けてスライド移動し、主変速レバー19Aを左方向に揺動させると、操作軸44はミッションケースMCの外側に向けてスライド移動する。また、操作軸44は、主変速レバー19Aを変速経路80、または、第一ロック経路83に沿って操作すると、軸芯Z周りに回動する。即ち、主変速レバー19Aを前方向に揺動させると、操作軸44は同じく前方向に回動し、主変速レバー19Aを後方向に揺動させると、操作軸44は同じく後方向に回動する。
【0062】
図11,図14に示すごとく、操作軸44のミッションケースMC内部側の端部において、その上部に上方に向けてシフト部44aを突設し、その下部に下方に向けてピン形状の押圧部44bを突設してある。
【0063】
図6,図9に示すごとく、カバー部材40の内側面には、第一シフトフォーク46A乃至第三シフトフォーク46Cが、機体前後方向にスライド移動可能な状態で、各別に支持されている。第一シフトフォーク46Aがそのスライド移動範囲の中間の位置にあるときは、第一シフター22Aは、第一2速ギア20b及び第一1速ギア20aの何れもと入力軸5とを連結しない状態となる。第二シフトフォーク46B及び第三シフトフォーク46Cについても同様である。
【0064】
シフト部44aは、図9に示すごとく、操作軸44のスライド移動に伴って、第一シフトフォーク46Aの動作系に係合する位置と、第二シフトフォーク46Bの動作系に係合する位置と、第三シフトフォーク46Cの動作系に係合する位置と、何れのシフトフォークの動作系とも係合しない位置とに、位置変更される。
【0065】
シフト部44aが第一シフトフォーク46Aの動作系に係合した状態で、主変速レバー19Aを変速経路80に沿って操作して前後に揺動させると、第一シフトフォーク46Aが中間位置から機体前後方向にスライド移動し、入力軸5と第一2速ギア20b及び第一1速ギア20aの何れか一方とが連結される。即ち、機体速度が「1速」または「2速」に変速される。
【0066】
同様に、シフト部44aが第二シフトフォーク46Bの動作系に係合した状態で、主変速レバー19Aを変速経路80に沿って操作して前後に揺動させると、第二シフトフォーク46Bが中間位置から機体前後方向にスライド移動し、入力軸5と第一4速ギア20d及び第一3速ギア20cの何れか一方とが連結される。即ち、機体速度が「3速」または「4速」に変速される。
【0067】
また、シフト部44aが第三シフトフォーク46Cの動作系に係合した状態で、主変速レバー19Aを変速経路80に沿って操作して前後に揺動させると、第三シフトフォーク46Cが中間位置から機体前後方向にスライド移動し、入力軸5と第一6速ギア20f及び第一5速ギア20eの何れか一方とが連結される。即ち、機体速度が「6速」または「5速」に変速される。
【0068】
押圧部44bは、図9,図10に示すごとく、操作軸44のスライド移動(主変速レバー19Aのブレーキ経路82に沿った操作)に伴って、後述する駐車ブレーキ機構17のうちの第一部材61の被押圧部61b(図7,図8参照)を押圧し、駐車ブレーキ機構17を揺動動作させる。なお、主変速レバー19Aを第一ロック経路83に沿って操作した場合は、押圧部44bは、操作軸44の回動に追従して被押圧部61bに沿って摺動回動するのみである。
【0069】
〔副変速レバーについて〕
副変速レバー19Bは、図4乃至図6に示すごとく、その下端部を上述した支持軸43に軸芯X回りに揺動自在に支持してある。カバー部材40の内側面には、副変速シフトフォーク48が、機体前後方向にスライド移動可能な状態で、支持されている。副変速レバー19Bと副変速シフトフォーク48とはリンク機構47によって連係されている。副変速レバー19を前後揺動操作すると、副変速シフトフォーク48は、上述したように、機体前後方向(出力軸9の軸芯方向)に沿ってスライド移動する。
【0070】
副変速レバー19Bを最も前側に揺動させた状態においては、副変速シフター32は、高速ギア30及び低速ギア31の何れもと出力軸9とを連結しない状態となる。その状態から、副変速レバー19Bを後側に揺動操作すると、副変速シフター32が前方向にスライド移動し、「低速状態」となる。「低速状態」から、さらに副変速レバー19Bを後側へ揺動操作すると、副変速シフター32がさらに前方向にスライド移動し、「高速状態」となる。
【0071】
〔駐車ブレーキ機構について〕
駐車ブレーキ機構17は、図2,図5に示すごとく、ミッションケースMCの内側に配設されており、伝動機構TMのうち出力軸9にスプライン嵌合された上述の出力ギア9aに咬合して、伝動機構TMの動作を規制可能である。駐車ブレーキ機構17の構成を、図7,図8に基づいて説明する。
【0072】
駐車ブレーキ機構17は、第一部材61と、第二部材62と、第三部材63と、第四部材64と、を備えている。
【0073】
第一部材61は、軸部61aと被押圧部61bとを備えている。軸部61aは、機体後方向きに突設されており、その後端部を、ミッションケースMCの内部空間を前後に仕切る仕切部材S(図3参照)に、機体前後方向の第一軸芯L1回りに回動自在に支持されている。被押圧部61bは、軸部61aの上方において、機体前方向きに突設された軸状部材である。被押圧部61bは、操作軸44のうち上述した押圧部44bと当接可能である(図10参照)。軸部61aには、「第二付勢機構」としての戻しスプリング61cが外挿されている。第一部材61は、戻しスプリング61cの付勢力F1によって、正面視で反時計回りに付勢されている(図7,図8の点線矢印参照)。
【0074】
つまり、操作軸44がミッションケースMCの内部方向にスライド移動して、押圧部44bが被押圧部61bをミッションケースMCの内部方向に押圧すると、第一部材61は、付勢力F1に抗しつつ、第一軸芯L1回りで時計回りに揺動する(図7の白抜き矢印参照)。操作軸44がミッションケースMCの外部方向にスライド移動して、押圧部44bによる押圧力が解除されると、付勢力F1によって第一部材61は反時計回りに揺動する。
【0075】
第三部材63は、軸部63aと摺動部63bとを備えている。軸部63aは、機体後方向きに突設されており、その後端部を、第一軸芯L1と平行な第二軸芯L2回りに回動自在に、仕切部材Sに支持されている。摺動部63bは、機体前方向向きに突設され、第四部材64の後述する凹部64bに摺接する。
【0076】
第二部材62は、第一部材61の上端部のルーズホールに係合された第一ピン部62aと、第三部材63の上面に当接する第二ピン部62bと、を備えている。第二部材62は、第三部材63のうち軸部63aに外挿されており、第二軸芯L2回りに、第三部材63に対して相対的に揺動自在である。
【0077】
第二部材62と第三部材63とに亘る状態で、第三部材63の軸部63に補助スプリング63cが外挿されている。補助スプリング63cの付勢力F3は、第三部材63には、正面視で、第二部材62に対して相対的に反時計回りに揺動するように作用し(図7,図8の点線矢印参照)、かつ、第二部材62には、正面視で、第三部材63に対して相対的に時計回りに揺動するように作用する。
【0078】
つまり、被押圧部61bが押圧部44bによって押圧されて第一部材61が時計回りに揺動すると、第一ピン部62aを介して、第二部材62は反時計回りに揺動する(図7の白抜き矢印参照)。このとき、第二ピン部62bが第三部材63の上面から離間しようとするので、補助スプリング63cの付勢力F3によって、第三部材63も第二部材62に追従して反時計回りに揺動する。
【0079】
第四部材64は、出力ギア9a(図10参照)に咬合する部材であり、軸部64aと凹部64bと爪部64cとを備えている。軸部64aは、機体後方向きに突設されており、その後端部を、第一軸芯L1及び第二軸芯L2と平行な第三軸芯L3回りに回動自在に、仕切部材Sに支持されている。凹部64bは、出力ギア9aと反対側の面に形成され、摺動部63bと当接してその摺動力を受ける。爪部64cは、出力ギア9aの側の面に形成され、出力ギア9aと咬合可能である。軸部64aには、「第二付勢機構」としての戻しスプリング64dが外挿されている。第四部材64は、戻しスプリング64dの付勢力F4によって、正面視で反時計回りに付勢されている(図7,図8の点線矢印参照)。
【0080】
つまり、被押圧部61bが押圧部44bによって押圧されることに基づいて、第三部材63が反時計回りに揺動すると、摺動部63bが凹部64bを摺動し、第四部材64は、付勢力F4に抗しつつ、時計回りに揺動する(図7の白抜き矢印参照)。
【0081】
なお、駐車ブレーキ機構17は、爪部64cが出力ギア9aに咬合した後も、操作軸44がミッションケースMCの内部側へスライドできるように、即ち、主変速レバー19Aをいわゆる「オーバーシフト」できるように、構成している。この場合、ブレーキ経路82の終端側がオーバーシフトの経路となる。
【0082】
オーバーシフトの場合、操作軸44がさらにミッションケースMCの内部側へスライドすることによって、第一部材61が時計回りに揺動し、第二部材62が反時計回りに揺動する。しかし、第四部材64はそれ以上時計回りに揺動できないので、第三部材63もそれ以上、反時計回りに揺動しない。したがって、第二ピン部62bが、第三部材63の上面から離間する。これにより、オーバーシフトによる、操作軸44のミッションケースMCの内部側へのスライド移動が吸収される。また、このオーバーシフトに際しては、付勢力F3に抗して第二ピン部62bと第三部材63の上面とを引き離すことになり、補助スプリング63cにはさらに付勢力がチャージされる。
【0083】
一方、押圧部44bによる押圧力が解除されると、第一部材61は付勢力F1によって反時計回りに揺動する。そして、第一部材61のルーズホールと第一ピン部62aとが係合しているので、第二部材62及び第三部材63は、第一部材61の揺動に従って時計回りに揺動し、さらに、第四部材64は付勢力F4によって反時計回りに揺動する。これにより、爪部64cの出力ギア9aへの咬合が解除される。
【0084】
主変速レバー19Aの操作に基づく駐車ブレーキ機構17の動作を説明する。主変速レバー19Aが中立経路81または変速経路80に位置するときは、図9に示すごとく、押圧部44bと被押圧部61bとは離間している。即ち、爪部64cは出力ギア9aと咬合していない(本発明に係る「非規制状態」)。主変速レバー19Aを中立経路81からブレーキ経路82に操作すると、押圧部44bが被押圧部61bに当接し、第一部材61乃至第四部材64が連動して揺動する。主変速レバー19Aがブレーキ経路82の終端に位置すると、図10に示すごとく、爪部64cが出力ギア9aに咬合し、伝動機構TMの動作が規制され、駐車ブレーキがかかる(本発明に係る「規制状態」)。
【0085】
なお、スプリング45の付勢力は、主変速レバー19Aが何れの経路に位置していても、主変速レバー19Aに作用するが、戻しスプリング61cの付勢力F1と戻しスプリング64dとの付勢力F4とは、主変速レバー19Aが中立経路81からブレーキ経路82に操作されたときのみ作用する。したがって、運転者は、駐車ブレーキ操作を行うとき、戻しスプリング61cの付勢力F1と戻しスプリング64dとの付勢力F4の上乗せにより、中立経路81とブレーキ経路82との境界を感覚的に把握できる。
【0086】
〔ロック機構について〕
ロック機構18は、主変速レバー19Aの位置を拘束して、駐車ブレーキ機構17を「規制状態」に維持する。ロック機構18は、図4,図9,図11,図13,図14に示すごとく、操作軸44に連結された「係止部」としてのフック部52と、上述したブラケット42に固定された「被係止部」としての受け部53と、を備えている。ブラケット42は、主変速レバー19Aを支持する部材と、副変速レバー19Bを支持する部材と、受け部53を支持する部材と、を兼ねている。
【0087】
受け部53は、図13,図14に示すごとく、上面視で、ハット形状に形成してある。ブラケット42の機体外側の面のうち、主変速レバー19Aの揺動支点(軸芯X及び軸芯Y)の下側部分を長方形状に切り欠いて、その切欠き部分に受け部53のうち突起した部分を挿入し、残りの鍔部分をブラケット42にボルト固定してある。受け部53の機体後方側の角部分には、フック部52が入り込み可能な開口部53aを形成してある。
【0088】
操作軸44の端部の上面に、ブラケット42の側部付近まで上方に向って延びるプレート状の支持部材50を固定し、さらに、支持部材50の上端部の内側面に、機体左右方向に沿ったプレート状の取付部材51を固定してある。そして、取付部材51にフック部52を固定してある。フック部52は、上面視で、ブレーキ経路82、第一ロック経路83、及び、第二ロック経路84の形状に対応したフック形状に形成してある。フック部52は、主変速レバー19Aの揺動支点(軸芯X及び軸芯Y)よりも下方に位置しているので、フック部52のフック形状は、図12に示すブレーキ経路82乃至第二ロック経路84の形状と、点対称の関係にある。なお、操作軸44と主変速レバー19Aの下端部とは連結されており、フック部52は、主変速レバー19Aの下端部に連結されているといえる。
【0089】
ロック機構18の動作について、図13(a)乃至(d)に基づいて説明する。主変速レバー19Aを変速操作しているとき、即ち、主変速レバー19Aが中立経路81または変速経路80に位置するときは、図13(a)に示すごとく、フック部52はブラケット42及び受け部53と離間している。したがって、主変速レバー19Aの変速操作がロック機構18によって阻害されることはない。
【0090】
駐車ブレーキをかけるべく、主変速レバー19Aを中立経路81から逸脱させ、ブレーキ経路82に沿ってブレーキ経路82の終端まで操作すると、図13(b)に示すごとく、フック部52がブラケット42の切欠き部分を貫通し、受け部53の突起した部分に当接する。この時点で、駐車ブレーキ機構17は規制状態となる。
【0091】
引き続いて、主変速レバー19Aをブレーキ経路82の終端から第一ロック経路83に沿って操作すると、図13(c)に示すごとく、フック部52の先端部分が開口部53aを介して受け部53を貫通する。さらに、主変速レバー19Aを第一ロック経路83の終端から第二ロック経路84に沿って操作すると、図13(d)に示すごとく、フック部52が受け部53から離間する方向(機体外側方向)に移動し、開口部53aの外周部分に係止する。この結果、主変速レバー19Aの位置が拘束され、操作軸44の位置も、駐車ブレーキ機構17の規制状態にする位置に固定される。
【0092】
なお、上述したように駐車ブレーキ機構17は主変速レバー19Aのオーバーシフトを許容する構成であり、また、そのオーバーシフトの範囲は第二ロック経路84よりも長く設定してある。したがって、主変速レバー19Aを、第一ロック経路83の終端から第二ロック経路84に沿って操作したときに、操作軸44がミッションケースMCの外部側にスライド移動するが、これによって「規制状態」である駐車ブレーキ機構17が「非規制状態」の側に揺動することはない。また、オーバーシフトに基づく付勢力F3のチャージ分によって、第二ロック経路84の終端に位置する主変速レバー19Aが、第一ロック経路83の終端の側に不測に移動するのが防止される。
【0093】
〔カバー部材の取り外しについて〕
上述したように、押圧部44bは被押圧部61bから離間可能であり、さらに、特に図示はしないが、第一シフトフォーク46A乃至第三シフトフォーク46C及び副変速シフトフォーク48を、夫々、第一シフター22A乃至第三シフター22C及び副変速シフター32から、カバー部材40の取り外し方向に離脱可能に構成してあり(図3参照)、簡単にカバー部材40をミッションケースMCから取り外すことができる。
【0094】
〔第一別実施形態〕
上述の実施形態においては、副変速装置8が、高速状態と低速状態と中立状態とに切り換わる例を示したが、中立状態の代わりに、低速状態よりも更に低速である「超低速状態(クリープ状態)」に切り換えられるように構成してあっても良い。この場合は、超低速状態を現出するために、副変速装置8にクリープ機構90を備える。
【0095】
クリープ機構90は、図15に示すごとく、カバー部材40に取り外し自在に構成してある。クリープ機構90は、カバー部材40に対して取り外し自在な支持材91と、支持材91に機体前後方向に沿った状態で回動自在に支持された支軸92と、を備えている。支軸92には、機体前方から小径ギア93と、大径ギア94とを支持してある。小径ギア93は、支軸92にスプライン嵌合させてあり、支軸92と一体的に回転する。小径ギア93は、出力軸9にギア連係してある。
【0096】
大径ギア94は、支軸92に遊嵌させてある。大径ギア94は、出力軸9の出力ギア9aに咬合させてある。また、小径ギア93と大径ギア94との間に、クリープシフター95を、支軸92の軸芯方向に沿ってスライド移動自在に配設してある。クリープシフター95が小径ギア93と大径ギア94との間に亘って位置し、小径ギア93と大径ギア94とを連結すると、大径ギア94は、小径ギア93と共に回転する。
【0097】
クリープシフター95は、二股シフトフォーク96によってスライド操作する。二股シフトフォーク96は、上述の実施形態における副変速シフトフォーク48と交換してカバー部材40に取り付けられるものである。二股シフトフォーク96は、先端部が二股に分かれており、一方の先端部は副変速シフター32に係合され、他方の先端部はクリープシフター95に係合されている。二股シフトフォーク96のうち一方の先端部が、上述の実施形態における中立状態となったとき、他方の先端部は、クリープシフター95を小径ギア93と大径ギア94とに亘らせる状態となる。
【0098】
即ち、出力軸9からの動力は、小径ギア93を介してクリープ機構90に伝達され、小径ギア93から大径ギア94に同回転数で伝達され、そして、大径ギア94と出力ギア9aとの間で大きく減速されて、出力軸9に戻される(超低速状態)。
【0099】
このように、クリープ機構90をカバー部材40に取り付け、副変速シフトフォーク48を二股シフトフォーク96に交換するという簡単な作業で、「高速状態」、「低速状態」、及び「超低速状態」のに三つの副変速が可能となる。
【0100】
〔その他の別実施形態〕
(1)主変速レバー19Aの操作経路は図12のようなものでなくても良い。例えば、主変速装置6がHST(静油圧式無段変速機)の場合においては、上述の実施形態と同様に、中立経路81の延長上にブレーキ経路82を設ければ良い。変速経路80が一直線に構成され、かつ、中立経路81が点であるような場合は、ブレーキ経路82は、その中立点から変速経路80に交差する方向に延長すれば良い。
【0101】
(2)上述の実施形態においては、中立経路81と変速経路80とが「直交」し、変速経路80とブレーキ経路82とが「直交(90度交差)」する、と記載したが、これらは「直交」していなくても、少なくとも「交差」していれば良い。
【0102】
(3)主変速装置6は、6速に変速可能なものでなくても、5速以下、7速以上に変速可能なものでも良い。
【0103】
(4)上述の実施形態においては、ミッションケースMCから取り外し自在なカバー部材40を設けて、ミッションケースMCの右側部を外部に開放可能に構成したが、これに限られるものではない。カバー部材40を設けずに、ミッションケースMCの右側部を開放できないように構成してあっても良い。
【0104】
(5)上述の第一別実施形態において、副変速機構を事後的に取り付けられる例を示したが、これに限られず、当初からクリープ機構90を備えていても良い。
【0105】
(6)主変速レバー19A及び副変速レバー19Bの配置は、運転座席DSに対して左右何れの側に設けてあっても良い。
【0106】
(7)上述の実施形態においては、フック部52を支持部材50や取付部材51を介して操作軸44の端部に取り付けた例を示したが、これに限られるものではない。例えば、特に図示はしないが、フック部52は主変速レバー19Aに支持しても良い。また、ロック機構は、上述の実施形態のようなフック部52と受け部53とのような構成でなくとも、主変速レバー19Aまたは操作軸44の位置を拘束可能なものであれば、その他の構成であっても良い。
【0107】
(8)第一付勢機構として、操作軸44とミッションケースMCとの間に介在されたスプリング45を備えたが、第一付勢機構は、主変速レバー19Aに直接付勢力を付与するものであっても良い。この場合、第一付勢機構は、例えば、主変速レバー19AとミッションケースMCとに亘って設けられたスプリング等であると好適である。
【0108】
(9)上述の実施形態において、受け部53は、ブラケット42を介してミッションケースMCに支持したが、これに限られるものではない。受け部53は、操作軸44及び主変速レバー19Aに対して相対的に静止している部材であれば、その他の部材に固定されていても良い。
【0109】
(10)駐車ブレーキ機構17は、出力ギア9aに咬合する構成でなくても、伝動機構TMの動作を規制可能なものであれば、その他のギア等に咬合する構成であっても良い。また、駐車ブレーキ機構17は、ギアに咬合する構成でなくても、例えば、摩擦板式の構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、四輪駆動式のトラクタに限らず、後輪の代わりにクローラ式の走行装置を備えたトラクタにも適用可能であり、その他の作業車にも適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
E エンジン
MC ミッションケース
TM 伝動機構
FW 前輪(走行装置)
RW 後輪(走行装置)
6 主変速装置(変速装置)
8 副変速装置
9a 出力ギア(伝動機構の一部)
17 駐車ブレーキ機構
18 ロック機構
19A 主変速レバー(操作レバー)
19B 副変速レバー
42 ブラケット42
44 操作軸(操作部材)
45 スプリング(第一付勢機構)
52 フック部(係止部)
53 受け部(被係止部)
53a 開口部
61c 戻しスプリング(第二付勢機構)
64d 戻しスプリング(第二付勢機構)
80 変速経路
81 中立経路
82 ブレーキ経路
83 第一ロック経路(ロック経路)
84 第二ロック経路(ロック経路)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッションケースの内部に配設され、エンジンからの回転駆動力を走行装置に伝達する伝動機構と、
前記伝動機構に配設され、前記回転駆動力を変速して機体速度を変更可能な変速装置と、
前記ミッションケースの内部に配設され、前記伝動機構の動作を規制可能な駐車ブレーキ機構と、
手動によって揺動操作自在であって、前記変速装置の変速操作及び駐車ブレーキ機構のブレーキ操作が可能な一の操作レバーと、
前記ミッションケースの内外に亘る状態で前記ミッションケースに支持される共に、前記操作レバーの操作に追従して動作するように前記操作レバーに連結され、かつ、前記伝動機構及び前記駐車ブレーキ機構に各別に連係され、前記操作レバーの操作を前記伝動機構または前記駐車ブレーキ機構に伝達する操作部材と、
前記操作レバーまたは前記操作部材の位置を拘束して、前記駐車ブレーキ機構を、前記伝動機構の動作を規制した状態に維持可能なロック機構と、を備え、
前記操作レバーの変速操作経路として、前記変速装置の中立状態に対応する中立経路と、前記中立経路から直線状に延び、前記変速装置の変速状態に対応する変速経路と、を備え、
前記操作レバーのブレーキ操作経路として、前記中立経路から前記変速経路と交差する方向に延び、前記駐車ブレーキ機構が動作するブレーキ経路と、少なくとも前記ブレーキ経路の終端から前記ブレーキ経路と交差する方向に延び、前記ロック機構が動作するロック経路と、を備えた作業車。
【請求項2】
前記ロック経路のうち前記ブレーキ経路の終端と反対側の端部を、前記中立経路の側へ折り返してある請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記変速装置は前記回転駆動力を複数段に変速可能であると共に、前記中立経路は直線状の経路であり、
前記駐車ブレーキ機構は、前記伝動機構の一部に咬み合う規制状態と咬み合わない非規制状態とに揺動によって姿勢変更可能であり、
前記ブレーキ経路を前記中立経路の延長線上に設け、
前記操作レバーを前記中立経路または前記ブレーキ経路に沿って操作すると、前記操作部材がスライド移動するように構成し、
前記操作部材は、前記スライド移動によって前記駐車ブレーキ機構を押圧して、前記駐車ブレーキ機構を前記非規制状態から前記規制状態に姿勢変更させる請求項1または2に記載の作業車。
【請求項4】
前記操作レバーを前記中立経路の中央側に常時付勢する第一付勢機構と、前記第一付勢機構とは別に設けられ、前記操作レバーが前記ブレーキ経路に位置する場合に、前記操作レバーを前記中立経路の側に付勢する第二付勢機構と、を備えた請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記第一付勢機構を、前記ミッションケースと前記操作部材とに亘って配設すると共に、前記第二付勢機構を前記駐車ブレーキ機構に配設し、
前記操作部材と前記駐車ブレーキ機構とを離間可能に連係して、前記駐車ブレーキ機構が前記規制状態の場合には、前記操作部材と前記駐車ブレーキ機構とが当接し、かつ、前記駐車ブレーキ機構が前記非規制状態の場合には、前記操作部材と前記駐車ブレーキ機構とが離間するように構成してある請求項4に記載の作業車。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記操作部材または前記操作レバーに連結された係止部と、前記操作部材及び前記操作レバーに対して相対的に静止している部材に固定された被係止部と、を備え、
前記ロック経路のうち前記ブレーキ経路の終端と反対側の端部を、前記中立経路の側へ折り返してあり、
前記操作レバーが前記ロック経路のうちの折り返した経路に操作されると、前記係止部が前記被係止部に係止するように構成してある請求項1から5の何れか一項に記載の作業車。
【請求項7】
前記係止部を、前記ブレーキ経路及び前記ロック経路の形状に対応したフック形状に形成すると共に、前記被係止部に、前記係止部が入り込み可能な開口部を形成し、
前記操作レバーが前記ロック経路に操作されると、前記係止部が前記開口部を介して前記被係止部を貫通するように、かつ、さらに操作レバーが前記ロック経路のうちの折り返した経路に操作されると、前記係止部が前記開口部の外周部分に係止するように、前記開口部を構成してある請求項6に記載の作業車。
【請求項8】
前記操作レバーを、前記ミッションケースに固定されたブラケットに支持すると共に、前記ブラケットに前記被係止部を支持してある請求項6または7に記載の作業車。
【請求項9】
前記操作部材及び前記係止部を、前記操作レバーの下端部に連結してある請求項6から8の何れか一項に記載の作業車。
【請求項10】
前記伝動機構に、前記変速装置とは別の副変速装置を配設し、
前記ミッションケースに固定されたブラケットに、前記操作レバーと前記副変速装置を操作する副変速レバーとを枢支してある請求項1から9の何れか一項に記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−28198(P2013−28198A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163571(P2011−163571)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】