説明

個人認証装置及び個人認証管理システム

【課題】照合用の記憶データの誤った更新を防止して個人認証装置の認証精度を高める。
【解決手段】本発明の個人認証装置1は、特定の人物の顔の特徴を表す第1の顔特徴情報とID及びパスワードとを予め関連付けて記憶する顔情報記憶部7と、認証対象者3a、3b…3nの顔の画像を撮像するカメラ5と、撮像された顔画像に基づいて、認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する顔特徴量抽出部と、第1及び第2の顔特徴情報を照合して認証対象者の顔認証を行う照合処理部と、顔認証の結果が否認となった場合、撮像された認証対象者の顔画像を含むID・パスワード入力要請画面を表示する表示・操作部2と、入力されたID及びパスワードが顔情報記憶部7に記憶されている場合、当該ID及びパスワードと関連付けられた第1の顔特徴情報を、表示された認証対象者の顔画像に対応する第2の顔特徴情報に基づき更新するデータ更新部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認識技術を用いて個人を認証する個人認証装置及び個人認証管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本人の認証に顔認識技術を利用する個人認証装置の一つとして、顔認証時の認証精度を高めるために、照合用の辞書内の顔データの更新機能(学習機能)を備えた装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、この文献の装置は、顔認証が失敗した場合に認証対象者にID番号などを入力させ、この入力させたID番号に対応する予め辞書に登録された顔データと、照合時にカメラで撮影した認証対象者の顔画像との類似度を比較し、この類似度が一定値を超えた場合に撮影した顔画像を基に辞書内の顔データを更新するように構成されている。
【0004】
また、この種の個人認証装置は、セキュリティを必要とする特定領域内に対しての出入りを規制する入退室管理システムなどとしても利用されている。この入退室管理に用いられる個人認証装置では、例えば特定領域内への入口に向かって移動する移動中の認証対象者に対し顔認証を行う仕様の装置なども開発されている。
【特許文献1】特開2004−126813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、認証対象者の移動中に顔認証を行う機能とID番号などの入力操作を行って顔データを更新する機能とを共に備える個人認証装置の場合、次のような課題を抱えている。この課題とは、顔認証に失敗した認証対象者がID番号などを入力しようとしているタイミングで、次の認証対象者がカメラの手前に到達し顔画像の撮影と共に顔認証が開始されることである。
【0006】
すなわち、2番目の認証対象者の顔認証後、1番目の認証対象者によりID番号が入力されこれに伴い辞書内の顔データが更新された場合には、2番目の認証対象者の顔画像に基づいて辞書内の1番目の認証対象者の顔データが誤って更新されてしまうことになる。本来、上述した個人認証装置では、認証精度の向上を図るために辞書内の顔データの更新(学習)機能が付与されているものの、上記の場合、他人の顔画像に基づき辞書内の顔データが更新されるので、結果的に認証精度の低下を招くことになる。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、照合用の記憶データの誤った更新を防止しつつ認証精度の向上を図ることができる個人認証装置及び個人認証管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る個人認証装置は、特定の人物の顔の特徴を表す第1の顔特徴情報と前記特定の人物に与えられた個人識別情報とを予め関連付けて記憶する記憶部と、認証対象者の顔の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された前記顔の画像に基づいて、前記認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する顔特徴情報生成部と、前記記憶部に記憶された第1の顔特徴情報と前記顔特徴情報生成部により生成された第2の顔特徴情報とを照合して認証対象者の顔認証を行う顔認証部と、前記顔認証部による認証結果が否認となった場合、前記撮像部により撮像された認証対象者の顔の画像と個人識別情報の入力を要請する入力要請案内とを表示する表示部と、前記表示部に表示される前記入力要請案内に従った個人識別情報の入力を受け付ける入力受付部と、前記入力受付部で入力を受け付けた個人識別情報が前記記憶部に記憶されている場合、当該個人識別情報と関連付けられている第1の顔特徴情報を、前記表示部に表示された認証対象者の顔の画像に対応する第2の顔特徴情報に基づき更新するデータ更新部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明では、顔認証が否認された場合に認証対象者の顔の画像を表示させることができ、さらに、この表示させた顔の画像を確認しつつ個人識別情報の入力を行うことができる。つまり、本発明では、顔認証が得られなかった認証対象者本人の顔画像を自身が視覚的に把握した上で、当該入力した個人識別情報と記憶部内で関連付けられている第1の顔特徴情報を、可視表示されている認証対象者の顔の画像に対応した第2の顔特徴情報に基づいて、正しく更新させることができる。したがって、本発明によれば、照合用の記憶データの誤った更新を防止しつつ認証精度を高めることができる。
【0010】
また、本発明に係る個人認証管理システムは、ネットワークを介して互いに接続された個人認証装置と管理サーバとを備える個人認証管理システムであって、前記個人認証装置が、認証対象者の顔の画像を撮像する撮像部と、特定の人物の顔の特徴を表す第1の顔特徴情報との照合用の情報として、前記撮像部により撮像された前記顔の画像に基づいて前記認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する顔特徴情報生成部と、前記顔特徴情報生成部により生成された第2の顔特徴情報を送信する第1の送信部と、顔認証の結果を示す情報を受信する第1の受信部と、前記第1の受信部により顔認証の結果として否認を示す情報が受信された場合、前記撮像部により撮像された認証対象者の顔の画像と個人識別情報の入力を要請する入力要請案内とを表示する表示部と、前記表示部に表示される前記入力要請案内に従った個人識別情報の入力を受け付ける入力受付部と、前記入力受付部で入力を受け付けた個人識別情報と前記顔特徴情報生成部により生成されかつ前記表示部に表示されている認証対象者の顔の画像に対応した第2の顔特徴情報とを新たに送信する第2の送信部と、を備え、さらに、前記管理サーバが、前記特定の人物に与えられた個人識別情報と前記第1の顔特徴情報とを予め関連付けて記憶する記憶部と、前記第1の送信部により前記個人認証装置側から送信されてきた第2の顔特徴情報を受信する第2の受信部と、前記記憶部に記憶された第1の顔特徴情報と前記第2の受信部により受信された第2の顔特徴情報とを照合して認証対象者の顔認証を行う顔認証部と、前記顔認証部による顔認証の結果を前記個人認証装置の備える前記第1の受信部へ送信する第3の送信部と、前記個人認証装置の備える前記第2の送信部により送信された個人識別情報と第2の顔特徴情報とを受信する第3の受信部と、前記第3の受信部により受信された個人識別情報が前記記憶部内に記憶されている場合、当該個人識別情報と関連付けられている前記記憶部内の第1の顔特徴情報を、前記第3の受信部により受信された第2の顔特徴情報に基づき更新するデータ更新部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、照合用の記憶データの誤った更新を防止しつつ認証精度の向上を図ることが可能な個人認証装置及び個人認証管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置1の構成を示す機能ブロック図であり、また、図2は、この個人認証装置1に設けられた顔検出・照合部6の構成を詳細に示す機能ブロック図である。さらに、図3は、顔検出・照合部6が備える画像選択部17の処理(処理内容)を模式的に示す図であり、図4は、個人認証装置1に設けられた表示・操作部2に表示されるID・パスワード入力要請画面30を示す図である。
【0013】
この実施形態の個人認証装置1は、セキュリティを要する特定の領域に対しての人物の出入りを規制する入退出管理システムとして機能するものである。具体的には、この個人認証装置1は、特定領域内への入口に接近する例えば歩行中(移動中)の人物の顔の画像(少なくとも顔を含む画像)を取得し、これを基に本人認証を行う。すなわち、個人認証装置1は、図1に示すように、表示・操作部2、撮像部としてのカメラ5、顔認証部としての機能を持つ顔検出・照合部6、顔情報記憶部7、開閉機構制御部であるドア制御部8、ドア9に設けられた入口開閉機構9aを備える。
【0014】
図1に示すように、カメラ5は、特定の領域内に入るためのドア(入口)9に向かって歩行する歩行中の認証対象者(被認証者)3a、3b…3nの顔の画像を撮像する。このカメラ5は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどを搭載する例えば産業用カラーカメラ(ビデオカメラ)などで構成されている。なお、カメラ5は、モノクロ画像を撮像するものであってもよい。
【0015】
ここで、上述した特定の領域とは、セキュリティを要する工場内、倉庫内、一般住居の家屋内、オフィスビルの室内などである。また、上記したドア9は、このような特定領域内への入口に設けられたゲートなどであってもよい。さらに、カメラ5の近傍には、この入口に接近する認証対象者の顔を照明するための照明装置などが設けられている。
【0016】
図1に示すように、表示・操作部2は、情報を可視的に表示させる表示部としての機能と情報の入力操作を行える入力操作部としての機能とを併せ持つ例えば液晶タッチパネルなどで構成されている。つまり、この表示・操作部2は、ドア9の近傍に設置され、いわゆる対話形式で、認証対象者3a、3b…3n側からの情報の入力操作を行えると共に、認証対象者3a、3b…3n側に対し入力操作を促す案内情報(ガイダンス情報)などを表示する。より具体的には、表示・操作部2は、図4に示すように、個人識別情報としてのID(ID番号)及びパスワードの入力操作を促すID・パスワード入力要請画面30などを表示する。
【0017】
顔検出・照合部6は、図1及び図2に示すように、入力受付部11、データ更新部12、表示制御部15、照合処理部16、画像選択部17、顔特徴量抽出部18、ワークメモリ19、顔検出処理部20、画像入力部21、画像メモリ22、及び各部を統括的に制御するコントローラ10から構成される。
【0018】
入力受付部11は、認証対象者により表示・操作部2を通じて入力操作された例えばIDやパスワードなどの個人識別情報の入力を受け付け、入力を受け付けた情報をコントローラ10に通知する。
【0019】
表示制御部15は、液晶タッチパネルなどで構成された表示・操作部2の表示画面を制御するものであり、上述したID・パスワード入力要請画面30を含む各種の案内情報(ガイダンス情報)を表示・操作部2に表示させる。
【0020】
画像入力部21は、カメラ5により撮影された認証対象者の3a、3b…3nの顔の画像(顔の動画像)としてのアナログのビデオ信号をディジタルデータにA/D変換して、画像メモリ22に伝送する。具体的には、画像入力部21は、認証対象者の顔がカメラ5の画角に入っている短い期間に極力多くの画像情報を取り込めるように例えば1秒間に10フレームの画像を取得する。画像メモリ22は、このような画像入力部21により取り込まれた画像を一次記憶(バッファリング)する。
【0021】
顔検出処理部20は、画像メモリ22にバッファリングされた画像を基に顔領域の検出処理(顔領域の切り出し処理)を行う。つまり、この顔検出処理部20は、例えば人物が存在しない場合の画像を背景画像として予め保持しており、この背景画像と画像メモリ22にバッファリングされた入力画像(画像フレーム)との差分から変化のある領域を変化領域として検出する。次に、顔検出処理部20は、検出されたこの変化領域の大きさや縦横比などから人物らしいと判定される領域を人物領域(人物の存在する画像領域)として検出する。
【0022】
ここで、顔検出処理部20は、同一人物の画像追跡機能を有しており、画像メモリ22内に連続的に取り込まれる複数の画像フレームにおいて、あるタイミングで取り込んだ所定の画像フレームから検出された人物領域と、次のタイミングで取り込んだ画像フレームから検出された人物領域と、を比較し、その結果に応じて人物領域どうしの対応付け処理を行う。すなわち、顔検出処理部20は、所定の画像フレームと次の画像フレームとで各々検出された個々の人物領域の大きさの関係と位置関係とが近似するもの(しきい値内に収まっているもの)どうしを、同一人物(同一の認証対象者)のものであると推定する。
【0023】
また、顔検出処理部20は、前後の画像フレームでそれぞれ検出された各人物領域の大きさの関係と位置関係とが近似していないもの(しきい値内に収まっていないもの)を、他の人物の人物領域であると推定する。このようにして、認証対象者3a、3b…3nごとに同一人物の人物領域どうしをそれぞれ対応付けたかたちでグループ分けした画像情報をワークメモリ19内に(一次)記憶する。
【0024】
さらに、顔検出処理部20は、例えば、平均的な顔の検出用パターンを表す幾つかのテンプレートを、ワークメモリ19内に記憶された個々の人物領域全体にわたってそれぞれ移動させながら、重ね合わせた画像部分どうしの類似度を求めて行き、この類似度がしきい値より高い領域を顔領域として抽出する。ここで、顔検出処理部20は、このようにして抽出された顔領域の画像に対して上記グループ分けした人物領域どうしの対応関係を反映させると共に正規化(矩形画像としての切り出し及び一定の画像サイズへの加工)などを行う。さらに、顔検出処理部20は、この正規化された個々の顔領域の画像を、図3に示すように、同一の人物(認証対象者3a、3b…3n)ごとにグループ分けしたグループ分類顔画像25a、25b…25nとしてワークメモリ19内に一次記憶する。
【0025】
顔特徴量抽出部18は、顔検出処理部20により検出された図3に示すグループ分類顔画像25a、25b…25nから、認証対象者3a、3b…3nの顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を顔の特徴パターンとして抽出(顔の特徴量を算出)する。つまり例えば、顔特徴量抽出部18は、同一人物ごとに複数枚ずつ得られた個々のグループ分類顔画像25a、25b…25n各々から、四つの円形領域とみなせる瞳の黒目部分及び鼻孔(さらに加えて例えば唇の端点など)の位置座標を顔器官の特徴点として検出する。
【0026】
さらに、顔特徴量抽出部18は、同一人物ごとに画像系列を分類したグループ分類顔画像25a、25b…25n、すなわち、同一人物における一連の連続画像から得た各特徴点に基づいて主成分分析などの統計的処理を行うことで、人物ごとに固有でかつその人物の顔を特定(識別)可能な顔の特徴量を算出(顔の特徴パターンを生成)する。さらに、顔特徴量抽出部18は、このようにして求めた認証対象者3a、3b…3nの顔の特徴を表す第2の顔特徴情報をワークメモリ19内に記憶する。したがって、このような顔特徴量抽出部18は、上述した画像入力部21、画像メモリ22、ワークメモリ19、及び顔検出処理部20と協働しつつ顔特徴情報生成部として機能する。
【0027】
ここで、顔情報記憶部7について説明する。顔情報記憶部7は、上記第2の顔特徴情報との比較照合用の情報でありかつ複数の特定の人物の顔の特徴をそれぞれ表す第1の顔特徴情報と、前記の特定の人物ごとに各々与えられた個人識別情報としての上記ID及びパスワードと、を予め関連付けて記憶する(を予め対応付けたかたちで登録している)顔照合用の辞書である。
【0028】
ここで、上記特定の人物とは、個人認証装置1の管理者により、ドア9の先の特定領域内に対しての出入りを許可された全ての人物である。さらに、上記のID及びパスワードは、上述した特定の領域内に対しての出入りを許可された全ての人物各々に、個人認証装置1の管理者により予め与えられている。また、このような特定の人物の顔の特徴を表す第1の顔特徴情報は、前述したカメラ5及び表示・操作部2、並びに顔検出・照合部6の顔検出処理部20や顔特徴量抽出部18などが持つ機能を通じて顔情報記憶部7内に予め登録される。
【0029】
照合処理部16は、顔認証部として機能する処理部であって、顔情報記憶部7内に予め記憶(登録)された第1の顔特徴情報と、顔特徴量抽出部18が主に顔検出処理部20などと協働しつつ生成した第2の顔特徴情報と、を比較照合して認証対象者3a、3b…3nの顔認証を行う。具体的には、照合処理部16は、いわゆる1:Nの顔認証を行うものであり、カメラ5による撮影画像を基に得られた第2の顔特徴情報と、顔情報記憶部7内に予め記憶された複数の特定の人物に対応する全ての第1の顔特徴情報(総数はN)と、の総当りで照合処理を行う。
【0030】
さらに、照合処理部16は、この照合処理の結果、第2の顔特徴情報との類似度(照合度)が最大値となった第1の顔特徴情報を求めると共に、求めたこの第1の顔特徴情報と第2の顔特徴情報との類似度が、所定のしきい値以上になった場合、顔認証が得られた(照合成功)と判定する。これ以外の場合(類似度がしきい値未満の場合)、照合処理部16は、顔認証が得られなかった(照合失敗)と判定する。
【0031】
ここで、本実施形態の個人認証装置1では、その仕様上、特定の領域内への入口(ドア9)に向かって順次進行(接近)する1番目の認証対象者3a、2番目の認証対象者3b、n番目の認証対象者3nが、カメラ5に順次捕捉され、さらに、顔検出処理部20及び顔特徴量抽出部18を通じてこれら認証対象者の第2の顔特徴情報が順次生成される度に、照合処理部16は、顔認証(顔照合)を行い承認/否認を連続的に判定する。
【0032】
なお、このような顔認証の承認及び否認を判定する上記しきい値は、例えば照合処理の前にワークメモリ19内に予め設定される。また、照合処理部16は、照合処理の後、例えば顔認証(承認)の得られた認証対象者に対応するグループ分類顔画像及び第2の顔特徴情報それぞれをワークメモリ19内から消去する。
【0033】
次に、顔検出・照合部6が備える表示制御部15、画像選択部17、入力受付部及びデータ更新部12、並びに表示・操作部2及びコントローラ10の構成の説明と共に、本実施形態の個人認証装置1が有する顔情報記憶部7の更新機能(学習機能)についての説明を行う。
【0034】
すなわち、図2に示すように、照合処理部16により認証対象者の顔認証が得られなかった(コントローラ10が顔認証の否認を検出した)場合、表示制御部15に表示制御される表示・操作部2は、カメラ5で撮像された認証対象者の顔の画像とID及びパスワードの入力を要請する入力要請案内とを表示する。より詳細には、顔認証が否認となった場合、表示・操作部2は、図4に示すように、カメラ5により撮像されかつ顔認証が否認となった認証対象者の顔の画像(後述する更新確認用顔画像27)を含むID・パスワード入力要請画面30を表示する。
【0035】
画像選択部17は、顔認証が否認となった場合、図3に示すように、ワークメモリ19内に一次記憶された同一人物(顔認証が否認となった認証対象者3a、3b…3n)ごとに複数枚ずつあるグループ分類顔画像25a、25b…25nの中から、同一人物ごとに一枚ずつの代表顔画像26a、26b…26nを選択する。また、画像選択部17は、ワークメモリ19内に既に記憶されている前記した第2の顔特徴情報と、この第2の顔特徴情報に対応する認証対象者から得た代表顔画像と、を互いに関連付けるかたちでワークメモリ19内の情報を更新する。ここで、画像選択部17による代表顔画像26a、26b…26nの選択は、同一人物単位の複数のグループ分類顔画像のうちで、例えば顔特徴量抽出部18が瞳及び鼻孔の位置を最も容易に(最短時間で)検出できた画像(つまり例えば顔がより鮮明に表れている画像)を選び出すことなどで実現される。
【0036】
また、画像選択部17は、顔認証が否認となった同一人物(グループ)ごとに一枚ずつ選択された複数の代表顔画像26a、26b…26nの中から、いずれか一人の認証対象者の顔に対応する更新確認用顔画像27をさらに選出(選択)する。ここで、2人以上の複数の認証対象者の顔認証が否認となって、これにより二つ以上の代表顔画像がワークメモリ19内に存在する場合、画像選択部17は、例えば最新の時刻(現在の時刻に最も近いタイミング)で顔認証が否認となった認証対象者に対応する代表顔画像を、更新確認用顔画像27として選出する。このようにして、画像選択部17により選出された更新確認用顔画像27は、ID・パスワード入力要請画面30内に表示される。
【0037】
次に、ID・パスワード入力要請画面30について説明する。タッチパネルなどを適用した表示・操作部2上に実現されるID・パスワード入力要請画面30は、図4に示すように、ID入力部35、パスワード入力部36、入力要請メッセージ表示部34、撮影画像表示部39、画像送りボタン33、画像戻しボタン32、キャンセルキーを含むテンキー部37、確定ボタン38で構成される。入力要請メッセージ表示部34には、入力要請案内として「ID・パスワードを入力して下さい」といった入力要請メッセージが表示される。
【0038】
ID入力部35及びパスワード入力部36は、認証対象者3a、3b…3nがテンキー部37を通じてID及びパスワードをそれぞれ入力するための入力部である。確定ボタン38は、ID入力部35及びパスワード入力部36に入力された入力内容を確定させるための入力キーである。ここで、上記した入力受付部11は、入力要請メッセージ表示部34に表示される入力要請案内(入力要請メッセージ)に従ったID及びパスワードの入力を受け付ける。つまり、確定ボタン38を押して確定させた入力内容は、入力受付部11により受け付けられてコントローラ10へ通知される。
【0039】
撮影画像表示部39には、画像選択部17により選出された更新確認用顔画像27が表示される。2人以上の複数の認証対象者の顔認証が否認となって二つ以上の代表顔画像がワークメモリ19内に存在する場合、画像送りボタン33は、自身が押される入力操作を入力受付部11が受け付ける度に、画像選択部17に選出させるべき代表顔画像を順送りし、一方、画像戻しボタン32は、自身が押される入力操作を入力受付部11が受け付ける度に、画像選択部17に選出させるべき代表顔画像を逆順に送る。ここで、代表顔画像の順送りとは、例えば最新の時刻で顔認証が否認となった認証対象者に対応する代表顔画像から、次に新しい時刻で否認となった認証対象者の代表顔画像へと、画像の選択が切り換わって行く送り順である。一方、代表顔画像の逆順の送りとは、上記した順送りと正反対の送り順である。
【0040】
したがって、画像送りボタン33又は画像戻しボタン32が押される度に、画像選択部17が選出(選択)している代表顔画像が切り換わり、これに連動してID・パスワード入力要請画面30上の撮影画像表示部39に表示されている代表顔画像も切り換わる。このようにして、互いに協働する画像送りボタン33及び画像戻しボタン32、画像選択部17並びに入力受付部11は、特定の領域へ向かう複数の認証対象者の顔の画像がカメラ5により撮像された場合(より詳細には、顔認証が否認となった認証対象者が複数存在し、これに伴い代表顔画像がワークメモリ19内に複数存在する場合)、いずれか一人の認証対象者の顔の画像(いずれかの代表顔画像)を更新確認用顔画像27として表示・操作部2に切換可能に表示させる表示画像切換部として機能する。
【0041】
データ更新部12は、ID入力部35及びパスワード入力部36へのID及びパスワードの入力を、コントローラ10を介して入力受付部11が受け付けた場合、入力されたこのID及びパスワードが顔情報記憶部7に記憶されているか否かを検出する。さらに、データ更新部12は、入力受付部11で入力を受け付けたID及びパスワードが顔情報記憶部7内に記憶されている場合、当該ID及びパスワードと関連付けられている顔情報記憶部7内の第1の顔特徴情報を、撮影画像表示部39に表示された認証対象者の顔の画像(更新確認用顔画像27)に対応する(ワークメモリ19内の)第2の顔特徴情報に基づき更新する。この場合のデータ更新とは、データの一部更新であって、第2の顔特徴情報に基づき第1の顔特徴情報を、学習させる(例えば瞳や鼻孔の位置情報などに補正を加える)ことである。
【0042】
したがって、個人認証装置1では、顔認証が得られなかった認証対象者が、ID入力部35及びパスワード入力部36にID及びパスワードをキー入力し、さらに、撮影画像表示部39に認証対象者本人の更新確認用顔画像27が表示されていることを確認した上で、確定ボタン38を押すことで、照合用の記憶データとなる第1の顔特徴情報を正しく更新させることができ、これにより、次回の認証精度を高めることができる。
【0043】
また、個人認証装置1では、顔認証が否認となった認証対象者が複数存在したことで、例えば表示・操作部2で入力操作を行っている本人以外の他人の更新確認用顔画像27が撮影画像表示部39に表示された場合には、画像送りボタン33又は画像戻しボタン32を操作して、本人の更新確認用顔画像を撮影画像表示部39に表示させることができる。これにより、表示・操作部2で入力操作を行う認証対象者本人の更新確認用顔画像を自身が視覚的に把握した上で、前述した操作により第1の顔特徴情報を適正に更新できるので、照合用の記憶データ(第1の顔特徴情報)の誤った更新を防止しつつ認証精度を向上させることができる。なお、データ更新部12は、認証対象者の第1の顔特徴情報が更新された場合、この第1の顔特徴情報が更新された認証対象者に対応するグループ分類顔画像、代表顔画像及び第2の顔特徴情報のそれぞれをワークメモリ19内から消去する。
【0044】
また、図1に示すように、ドア9に設けられた入口開閉機構9aは、上記特定の領域内への入口を開閉するための機構部分である。この入口開閉機構9aは、ドア9に設置された鍵の解錠及び施錠を行う電気錠などであってもよいし、また、例えば自動ドアなどで構成されたドア9自体を開閉移動させる移動機構により構成されるものであってもよい。
【0045】
さらに、ドア制御部8は、入口開閉機構9aを制御して特定の領域内への入口、つまりドア9を開閉制御する開閉機構制御部として機能する。具体的には、ドア制御部8は、顔検出・照合部6が備える照合処理部16により認証対象者の顔認証が得られた場合、又はデータ更新部12により顔情報記憶部7内の第1の顔特徴情報が更新された場合、入口開閉機構9aを制御して前記入口(ドア9)を開放する。
【0046】
次に、このように構成された個人認証装置1の動作を上記図1〜図4に加え、図5に示すフローチャートに基づき説明する。
図1、図5に示すように、特定の領域内に入るためのドア9に向かう認証対象者3a(3b…3n)の顔の画像がカメラ5により撮像されると(S[ステップ]1)、顔検出・照合部6の主に顔検出処理部20及び顔特徴量抽出部18は、互いに協働しつつ、認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する(S2)。次に、顔検出・照合部6の照合処理部16は、生成された第2の顔特徴情報と顔情報記憶部7内に予め登録された第1の顔特徴情報とを比較照合して認証対象者の顔認証を行う(S3)。
【0047】
顔認証が得られた場合(S4のYES)、ドア制御部8は、入口開閉機構9aを制御して、特定領域内への入口を開放(ドア9の鍵などを解錠)する(S5)。一方、照合処理部16による認証対象者の顔認証が得られなかった場合(S4のNO)、顔検出・照合部6の画像選択部17は、図3に示すように、否認となった認証対象者の更新確認用顔画像27を選出する(S6)。さらに、表示制御部15により制御される表示・操作部2は、図4に示すように、画像選択部17が選出した更新確認用顔画像27を含むID・パスワード入力要請画面30を表示する(S7)。
【0048】
次いで、入力受付部11は、ID入力部35及びパスワード入力部36へのID及びパスワードの入力を受け付ける(S8)。この際、必要に応じて(他人の更新確認用顔画像27が表示されている場合)、画像送りボタン33又は画像戻しボタン32を介しての入力操作により、更新確認用顔画像の表示切換えが行われる。次に、データ更新部12は、入力受付部11で入力を受け付けたID及びパスワードが顔情報記憶部7内に記憶されているか否かを検出する(S9)。
【0049】
ID及びパスワードが顔情報記憶部7内に記憶されている場合(S9のYES)、データ更新部12は、ID・パスワード入力要請画面30上に表示された更新確認用顔画像27に対応する(顔認証を実際に行った認証対象者本人から得た)第2の顔特徴情報に基づいて、当該入力されたID及びパスワードと関連付けられている顔情報記憶部7内の第1の顔特徴情報を更新する(S10)。データ更新部12により顔情報記憶部7内の第1の顔特徴情報が更新された後、ドア制御部8は、入口開閉機構9aを制御して特定領域内への入口(ドア9)を開放する(上記S5)。
【0050】
既述したように、本実施形態に係る個人認証装置1では、顔認証が得られなかった場合に、その認証対象者より得られた更新確認用顔画像27を表示させるので、この表示された顔画像を確認しつつID及びパスワードの入力を行うことができる。すなわち、本実施形態の個人認証装置1によれば、顔認証が否認となった認証対象者本人の顔画像を自身が視覚的に把握した上で、当該入力したID及びパスワードと顔情報記憶部7内で関連付けられている第1の顔特徴情報を、可視表示されている認証対象者の顔画像(更新確認用顔画像27)に対応した第2の顔特徴情報に基づいて、正しく更新させることができる。これにより、顔情報記憶部7内に予め照合用として登録された第1の顔特徴情報の誤った更新を防止しつつ、照合処理部16による認証精度の向上を図ることができる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図6〜図8に基づき説明する。ここで、図6は、この実施形態に係る個人認証管理システム51の構成を示す機能ブロック図であり、また、図7は、この個人認証管理システム51に複数設けられた個人認証装置61a、61b…61nの構成を示す機能ブロック図である。さらに、図8は、この個人認証管理システム51の動作を示すフローチャートである。なお、上記の図6及び図7において、図1、2に示した第1の実施形態の個人認証装置1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
【0052】
図6及び図7に示すように、この実施形態の個人認証管理システム51は、セキュリティ性のさらなる向上を目的として構成されており、監視室53内に設置された管理サーバ55と、この管理サーバ55に例えばLAN(Local Area Network)などのネットワーク52を介してそれぞれ接続されたクライアントとしての複数の個人認証装置61a、61b…61nとを備える。
【0053】
個々の個人認証装置61a、61b…61nは、図7に示すように、各々同一の構成を有しており、顔特徴検出部62及び送受信部63、並びに第1の実施形態の個人認証装置が備えていた表示・操作部2、カメラ5、ドア9に設けられた入口開閉機構9a、及びドア制御部8を備える。
【0054】
顔特徴検出部62は、第1の実施形態の個人認証装置1に設けられていた顔検出・照合部6(図2参照)の画像入力部21、画像メモリ22、入力受付部11、表示制御部15、画像選択部17、ワークメモリ19、顔検出処理部20、顔特徴量抽出部18及びコントローラ10を備えて構成される。送受信部63は、TCP/IPなどのコンピュータネットワーク用の通信プロトコルを用いて、管理サーバ55側の後述する送受信部59との間で情報のやり取りを行う。
【0055】
具体的には、送受信部63は、カメラ5により撮像された顔の画像を基に、主に顔検出処理部20及び顔特徴量抽出部18が生成した認証対象者3a(3b…3n)の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を管理サーバ55側に送信する。また、送受信部63は、管理サーバ55側から送信されてくる顔認証の結果(承認/否認)を示す情報を受信する。
【0056】
また、送受信部63により顔認証の結果として否認を示す情報が受信された場合、表示制御部15に表示制御される表示・操作部2は、図4に示したように、カメラ5により撮像されかつ顔認証が否認となった認証対象者の顔の画像(更新確認用顔画像27)を含むID・パスワード入力要請画面30を表示する。
【0057】
また、送受信部63は、入力要請メッセージに従った入力操作により入力受付部11で入力を受け付けたID及びパスワードと、ID・パスワード入力要請画面30上に表示されている更新確認用顔画像27に対応したワークメモリ19内の(上記顔検出処理部20及び顔特徴量抽出部18が生成した)第2の顔特徴情報と、を新たに管理サーバ55側に送信する。
【0058】
一方、管理サーバ55は、当該個人認証管理システム51の管理者以外が容易に出入りできないセキュリティ性の高い監視室53内に設置されており、照合処理部58、データ更新部57、送受信部59、第1の実施形態の顔情報記憶部7と同一の構成を有する顔情報記憶部56、及び各部を統括的に制御するコントローラ54を備える。
【0059】
送受信部59は、個々の個人認証装置61a、61b…61nが各々備える送受信部63との間で情報のやり取りを行う。具体的には、送受信部59は、個人認証装置61a、61b…61n側から送信されてきた第2の顔特徴情報を受信する。また、照合処理部58は、第1の実施形態の照合処理部16と同様の構成を有しており、顔情報記憶部56に予め記憶された第1の顔特徴情報と送受信部59により受信された第2の顔特徴情報とを照合して認証対象者3a(3b…3n)の顔認証を行う。
【0060】
また、上記の送受信部59は、照合処理部58による顔認証の結果を個人認証装置の備える送受信部63へ送信する。また、送受信部59は、顔認証が否認となった場合において個人認証装置側から新たに送信されてきた第2の顔特徴情報とID及びパスワードとを受信する。さらに、データ更新部57は、第1の実施形態のデータ更新部12と同様の構成を有しており、送受信部59により受信されたID及びパスワードが顔情報記憶部56内に記憶されている場合、当該ID及びパスワードと関連付けられている第1の顔特徴情報を、新たに受信した第2の顔特徴情報に基づき更新する。
【0061】
次に、このように構成された個人認証管理システム51の動作を上記した図6、図7に加え、図8に示すフローチャート基づき説明する。
図6〜図8に示すように、特定の領域内に入るためのドア9に向かう認証対象者3a(3b…3n)の顔の画像が、個人認証装置のカメラ5により撮像されると(S11)、顔特徴検出部62は、認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する(S12)。次いで、送受信部63は、生成された第2の顔特徴情報を管理サーバ55側に送信する(S13)。この第2の顔特徴情報が管理サーバ55の送受信部59により受信されると(S14)、照合処理部58は、受信したこの第2の顔特徴情報と顔情報記憶部56内に予め登録された第1の顔特徴情報とを比較照合して認証対象者の顔認証を行う(S15)。
【0062】
次に、送受信部59は、照合処理部58による顔認証の結果を(第2の顔特徴情報を送信してきた)個人認証装置の送受信部63へ送信(返信)する(S16)。送受信部63により顔認証の結果として承認(照合成功)を示す情報が受信された場合(S17のYES)、ドア制御部8は、入口開閉機構9aを制御して、特定領域内への入口を開放(ドア9の鍵などを解錠)する(S18)。
【0063】
一方、送受信部63により顔認証の結果として否認(照合失敗)を示す情報が受信された場合(S17のNO)、顔特徴検出部62(が備える画像選択部17)は、図3に示したように、否認となった認証対象者の更新確認用顔画像27を選出する(S19)。さらに、表示・操作部2は、図4に示したように、更新確認用顔画像27を含むID・パスワード入力要請画面30を表示する(S20)。次に、顔特徴検出部62(が備える入力受付部11)は、ID入力部35及びパスワード入力部36へのID及びパスワードの入力を受け付ける(S21)。この場合、必要に応じて、画像送りボタン33又は画像戻しボタン32を介しての認証対象者による入力操作により、更新確認用顔画像の表示切換えが行われる。
【0064】
続いて、送受信部63は、入力を受け付けたID及びパスワードと、ID・パスワード入力要請画面30上に表示された(ID及びパスワードの入力操作を行った認証対象者の)更新確認用顔画像27に対応する第2の顔特徴情報と、を新たに管理サーバ55側に送信する(S22)。管理サーバ55側の送受信部59により、ID及びパスワード並びに第2の顔特徴情報が受信されると(S23)、データ更新部57は、受信されたID及びパスワードが顔情報記憶部56内に記憶されているか否かを検出する(S24)。
【0065】
ID及びパスワードが顔情報記憶部56内に記憶されている場合(S24のYES)、データ更新部57は、受信された第2の顔特徴情報に基づいて、当該入力されたID及びパスワードと関連付けられている顔情報記憶部56内の第1の顔特徴情報を更新する(S25)。データ更新部57による顔情報記憶部56内の第1の顔特徴情報の更新後、送受信部63は、第1の顔特徴情報が更新されたことを示すデータ更新完了通知を(ID及びパスワード並びに第2の顔特徴情報を送信してきた)個人認証装置側へ送信する(S26)。個人認証装置の送受信部63によりデータ更新完了通知が受信されると(S27)、ドア制御部8は、入口開閉機構9aを制御して特定領域内への入口(ドア9)を開放する(上記S18)。
【0066】
このように本実施形態に係る個人認証管理システム51では、第1の実施形態と同様に、顔認証が否認となった認証対象者本人の更新確認用顔画像27を自身が視覚的に把握した上でID及びパスワードを入力でき、この入力したID及びパスワードと顔情報記憶部56内で関連付けられている第1の顔特徴情報を、更新確認用顔画像27に対応する第2の顔特徴情報に基づき、正しく更新させることができる。したがって、個人認証管理システム51によれば、照合用として予め登録された第1の顔特徴情報の誤った更新を防止しつつ、照合処理部58による認証精度を高めることができる。
【0067】
さらに、この実施形態の個人認証管理システム51によれば、個人認証装置本体から顔情報記憶部56を実質的に切り離し、管理者以外が容易に出入りできない監視室53内の管理サーバ55に顔情報記憶部56を設けているので、照合用の記憶データの例えば改ざんなどを抑制することができ、これによりセキュリティ性の向上を図ることができる。また、本実施形態の個人認証管理システム51によれば、顔認証を行うための照合処理系を管理サーバ55内に集約させこの管理サーバ55側で顔認証に関する処理を統括的に行うことができるので、個々の個人認証装置の構成を簡略化することができる。
【0068】
以上、本発明を各実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施形態では、2人以上の複数の認証対象者の顔認証が否認となって、これにより二つ以上の代表顔画像がワークメモリ19内に存在する場合、画像選択部17が、最新の時刻で顔認証が否認となった認証対象者に対応する代表顔画像を、更新確認用顔画像27として選出するものであった。そこで、これに代えて、画像選択部17が、例えば現在の時刻を基準として最も古い時刻で顔認証が否認となった認証対象者に対応する代表顔画像を、更新確認用顔画像27として選出するものであってもよい。
【0069】
上記のように画像選択部17が構成された場合において、画像送りボタン33が順次押されたときには、最も古い時刻で顔認証が否認となった認証対象者に対応する代表顔画像から、次に古い時刻で否認となった認証対象者の代表顔画像へと、代表顔画像が順次表示切換えされることになる。一方、画像戻しボタン32が順次押された場合には、上記の態様と逆順の表示切換えが行われることになる。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、顔認証が否認となった認証対象者だけに対応する代表顔画像のうちのいずれかを、画像選択部17が選択して撮影画像表示部39に表示させていたが、これに代えて、顔認証の承認/否認にかかわらず、顔認証を行った全ての認証対象者に対応する代表顔画像のうちのいずれかを、画像選択部17が選択して撮影画像表示部39に表示させるようにしてもよい。画像選択部17がこのように構成される場合、照合処理部は、顔認証(承認)の得られた認証対象者に対応するグループ分類顔画像を、ワークメモリ内から消去する処理を省略する。
【0071】
また、上述した実施形態では、ID・パスワード入力要請画面30上に可視表示される入力要請メッセージにより、ID及びパスワードの入力を要請するものであったが、これに代えて、音声の出力によって入力が要請されるように個人認証装置を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】図1の個人認証装置が備える顔検出・照合部の構成を示す機能ブロック図。
【図3】図2の顔検出・照合部が備える画像選択部の処理を模式的に示す図。
【図4】図1の個人認証装置に設けられた表示・操作部に表示されるID・パスワード入力要請画面を示す図。
【図5】図1の個人認証装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る個人認証管理システムの構成を示す機能ブロック図。
【図7】図6の個人認証管理システムに複数設けられた個人認証装置の構成を示す機能ブロック図。
【図8】図6の個人認証管理システムの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
1,61a,61b〜61n…個人認証装置、2…表示・操作部、3a,3b〜3n…認証対象者、5…カメラ、6…顔検出・照合部、7,56…顔情報記憶部、8…ドア制御部、9…ドア、9a…入口開閉機構、10,54…コントローラ、11…入力受付部、12,57…データ更新部、15…表示制御部、16,58…照合処理部、17…画像選択部、18…顔特徴量抽出部、20…顔検出処理部、25a,25b〜25n…グループ分類顔画像、26a,26b〜26n…代表顔画像、27…更新確認用顔画像、30…ID・パスワード入力要請画面、32…画像戻しボタン、33…画像送りボタン、35…ID入力部、36…パスワード入力部、34…入力要請メッセージ、39…撮影画像表示部、51…個人認証管理システム、52…ネットワーク、55…管理サーバ、59,63…送受信部、62…顔特徴検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の人物の顔の特徴を表す第1の顔特徴情報と前記特定の人物に与えられた個人識別情報とを予め関連付けて記憶する記憶部と、
認証対象者の顔の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記顔の画像に基づいて、前記認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する顔特徴情報生成部と、
前記記憶部に記憶された第1の顔特徴情報と前記顔特徴情報生成部により生成された第2の顔特徴情報とを照合して認証対象者の顔認証を行う顔認証部と、
前記顔認証部による認証結果が否認となった場合、前記撮像部により撮像された認証対象者の顔の画像と個人識別情報の入力を要請する入力要請案内とを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記入力要請案内に従った個人識別情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部で入力を受け付けた個人識別情報が前記記憶部に記憶されている場合、当該個人識別情報と関連付けられている第1の顔特徴情報を、前記表示部に表示された認証対象者の顔の画像に対応する第2の顔特徴情報に基づき更新するデータ更新部と、
を具備することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記撮像部は、特定の領域へ向かう移動中の認証対象者の顔の画像を撮像し、
前記特定の領域へ向かう複数の認証対象者の顔の画像が前記撮像部により撮像された場合、いずれか一人の認証対象者の顔の画像を前記表示部に切換可能に表示させる表示画像切換部をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記特定の領域内への入口を開閉する入口開閉機構と、
前記顔認証部により認証が得られた場合、若しくは前記データ更新部により前記記憶部内の第1の顔特徴情報が更新された場合、前記入口開閉機構を制御して前記入口を開放する開閉機構制御部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の個人認証装置。
【請求項4】
ネットワークを介して互いに接続された個人認証装置と管理サーバとを備える個人認証管理システムであって、
前記個人認証装置が、
認証対象者の顔の画像を撮像する撮像部と、
特定の人物の顔の特徴を表す第1の顔特徴情報との照合用の情報として、前記撮像部により撮像された前記顔の画像に基づいて前記認証対象者の顔の特徴を表す第2の顔特徴情報を生成する顔特徴情報生成部と、
前記顔特徴情報生成部により生成された第2の顔特徴情報を送信する第1の送信部と、
顔認証の結果を示す情報を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部により顔認証の結果として否認を示す情報が受信された場合、前記撮像部により撮像された認証対象者の顔の画像と個人識別情報の入力を要請する入力要請案内とを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記入力要請案内に従った個人識別情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部で入力を受け付けた個人識別情報と前記顔特徴情報生成部により生成されかつ前記表示部に表示されている認証対象者の顔の画像に対応した第2の顔特徴情報とを新たに送信する第2の送信部と、
を備え、
さらに、前記管理サーバが、
前記特定の人物に与えられた個人識別情報と前記第1の顔特徴情報とを予め関連付けて記憶する記憶部と、
前記第1の送信部により前記個人認証装置側から送信されてきた第2の顔特徴情報を受信する第2の受信部と、
前記記憶部に記憶された第1の顔特徴情報と前記第2の受信部により受信された第2の顔特徴情報とを照合して認証対象者の顔認証を行う顔認証部と、
前記顔認証部による顔認証の結果を前記個人認証装置の備える前記第1の受信部へ送信する第3の送信部と、
前記個人認証装置の備える前記第2の送信部により送信された個人識別情報と第2の顔特徴情報とを受信する第3の受信部と、
前記第3の受信部により受信された個人識別情報が前記記憶部内に記憶されている場合、当該個人識別情報と関連付けられている前記記憶部内の第1の顔特徴情報を、前記第3の受信部により受信された第2の顔特徴情報に基づき更新するデータ更新部と、
を具備することを特徴とする個人認証管理システム。
【請求項5】
前記個人認証装置の前記撮像部は、特定の領域へ向かう移動中の認証対象者の顔の画像を撮像し、
さらに、前記個人認証装置は、前記特定の領域へ向かう複数の認証対象者の顔の画像が前記撮像部により撮像された場合、いずれか一人の認証対象者の顔の画像を前記表示部に切換可能に表示させる表示画像切換部を具備することを特徴とする請求項4記載の個人認証管理システム。
【請求項6】
前記個人認証装置は、
前記特定の領域内への入口を開閉する入口開閉機構と、
前記第1の受信部により顔認証の結果として認証が得られたことを示す情報が受信された場合、若しくは前記データ更新部により前記記憶部内の第1の顔特徴情報が更新された場合、前記入口開閉機構を制御して前記入口を開放する開閉機構制御部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項5記載の個人認証管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−64140(P2009−64140A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229923(P2007−229923)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】