説明

光モジュール

【課題】光素子とIC基板との間の電気的に接続する距離を短くすることで、高周波に対する損失を抑えることができる光モジュールを提供する。
【解決手段】基板15と、内部導波路21と、ミラー部20と、光素子33(33a,33b)と、外部導波路25とを備えた光モジュールである。光素子33の発光面若しくは受光面が基板15の表面と所定の隙間を隔てるように、裏面で保持する保持部材30を設けている。保持部材30の表面で、かつ光素子33の近傍にIC基板34aを実装する。保持部材30の光素子33の貫通穴配線30bとIC基板34aとを電気的に接続するメタル回路35aを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を送信あるいは受信する光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示す光モジュールは、第1基板(マウント基板)1の表面に形成された溝1a内に設けられた内部導波路2と、この溝1aの先端部に形成された光路変換用のミラー部3とが設けられている。また、ミラー部3と対向するように第1基板1の表面に実装され、ミラー部3を介して内部導波路2のコア部に光信号を発光し、若しくはミラー部3を介して内部導波路2のコア部からの光信号を受光する光素子4が設けられている。さらに、内部導波路2のコア部と光学的に結合される外部導波路(光ファイバー)5が設けられている(特許文献1参照)。なお、特許文献1では、外部導波路として、樹脂光導波路を薄型化したフレキシブルなフィルム状のものを用いている。
【0003】
この特許文献1では、第1基板1の表面に、光素子4の発光面若しくは受光面を実装面としてバンプでフリップチップ実装している。
【0004】
また、第1基板1は、別の第2基板(インタポーザ基板)6の表面に設置され、第2基板6の表面には、光素子4に電気信号を送信若しくは光素子4からの電気信号を受信するためのIC回路が形成されたIC基板7が実装されている。
【0005】
そして、第1基板1の表面に形成された光素子4のメタル回路(銅や金スパッタによるパターニング回路)1bと、第2基板6のIC基板7とは、通常は、ワイヤボンディング8で電気的に接続されている。なお、9は、光ファイバー5を第1基板1に押さえて固定するための押さえ板、10は、IC基板7を他の回路装置に電気的に接続するためのコネクタである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−260227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、第1基板1の光素子4と第2基板6のIC基板7とは、メタル回路1bとワイヤボンディング8とで電気的に接続するから、この電気的に接続する距離Lが長くなる。
【0008】
そのため、高周波伝送(例えば10Gbps以上)時には、高周波に対する損失が大きくなることから、これを改善したいという要望があった。特に光素子4の受光側(受光素子側)では、その影響が顕著である。
【0009】
本発明は、前記要望に応えるためになされたもので、光素子とIC基板との間の電気的に接続する距離を短くすることで、高周波に対する損失を抑えることができる光モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、基板の表面に形成された第1溝内に設けられた内部導波路と、第1溝の先端部に形成された光路変換用のミラー部と、このミラー部と対向するように基板の表面側に実装され、ミラー部を介して内部導波路のコア部に光信号を発光し、若しくはミラー部を介して内部導波路のコア部からの光信号を受光する光素子と、内部導波路のコア部と光学的に結合される外部導波路を備えた光モジュールにおいて、前記基板の表面に固定され、この表面に対面する裏面に前記光素子が実装されて、この光素子の発光面若しくは受光面が基板の表面と所定の隙間を隔てるように保持する保持部材と、前記保持部材の裏面と反対側の表面で、かつ前記光素子の近傍に実装され、この光素子に電気信号を送信若しくは光素子からの電気信号を受信するためのIC回路が形成されたIC基板と、前記保持部材に設けられた光素子の貫通穴配線と、前記保持部材の表面に設けられ、前記貫通穴配線と前記IC基板とを電気的に接続するメタル回路とを備えていることを特徴とする光モジュールを提供するものである。
【0011】
前記保持部材は、絶縁性である構成とすることができる。
【0012】
前記基板の表面に第1溝と連なって形成された第2溝内に設置され、内部導波路のコア部と光学的に結合されるファイバーコア部を有する、前記外部導波路である光ファイバーを備え、前記保持部材は、前記光ファイバーを前記基板に押さえて固定する押さえ板を兼ねている構成とすることができる。
【0013】
前記押さえ板の裏面に凹部が形成され、この凹部の底面に前記光素子が実装されて、前記凹部内に、透明接着剤若しくは透明樹脂が充填されることで、前記光素子が気密に封止されている構成とすることができる。
【0014】
前記光素子は、透明樹脂で気密に封止されている構成とすることができる。
【0015】
前記押さえ板は、樹脂成形体で構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光素子は、基板の表面に固定した保持部材の裏面に実装するとともに、IC基板は、保持部材の表面で、かつ光素子の近傍に実装して、保持部材の光素子の貫通穴配線とIC基板のメタル回路とを電気的に接続する。
【0017】
これにより、保持部材の裏面と表面に光素子とIC基板を実装できるから、光素子とIC基板との間の電気的に接続する距離を短くできるので、高周波に対する損失を抑えることができる。
【0018】
また、光素子の発光面若しくは受光面が上向きとなるから(バンプ実装面と反対側の面)、光素子の実装後の異物検査も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る光モジュールの概略側面図である。
【図2】図1の発光側の光モジュールの第1基板であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)のI−I線断面図、(c)は(a)のII−II線断面図である。
【図3】図2の第1基板であり、(a)は斜視図、(b)は内部導波路を形成し、光ファイバーを押さえ板で固定した斜視図である。
【図4】図1の発光側の光モジュールの第1基板の略画図であり、(a)は側面断面図、(b)は発光素子を透明樹脂で封止した押さえ板の側面断面図である。
【図5】(a)は凹部を形成した押さえ板の側面断面図、(b)はIC基板を発光素子の真上に実装した押さえ板の側面断面図、(c)は凹部に透明樹脂若しくは透明接着剤を充填した押さえ板の側面断面図である。
【図6】押さえ板とは別の保持部材の側面断面図である。
【図7】押さえ板の平面図である。
【図8】従来の発光側の光モジュールの概略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る光モジュールの概略側面図である。図2は図1の発光側の光モジュールの第1基板15であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)のI−I線断面図、(c)は(a)のII−II線断面図である。図3は第1基板15であり、(a)は斜視図、(b)は内部導波路21を形成し、光ファイバー17を押さえ板30で固定した斜視図である。
【0021】
図1において、光モジュールは、発光側の第1基板(マウント基板)15と、受光側の第1基板(マウント基板)16と、各第1基板15,16の光素子33(発光素子33a,受光素子33b)を光学的に結合する光ファイバー17とを備えている。
【0022】
第1基板15,16は、実装時の熱の影響や使用環境による応力の影響を避けるために、剛性が必要である。また、光伝送の場合は、発光素子33aから受光素子33bまでの光伝送効率が必要になるので、光素子33を高精度に実装することや使用中の位置変動を極力抑制する必要がある。このため、第1基板15,16として、本実施形態ではシリコン(Si)基板が採用されている。
【0023】
特にシリコン基板であれば、シリコンの結晶方位を利用して表面に高精度のエッチング溝加工が可能〔この溝を利用して高精度なミラー部20(後述)や溝内に内部導波路21(後述)を形成する。〕となる。また、シリコン基板は、平坦性も良好である。
【0024】
第1基板15,16は、それよりもサイズが大きい第2基板(別基板…インタポーザ基板)18の表面(上面)にそれぞれ設置されている。各第2基板18の裏面(下面)には、他の回路装置に電気的に接続するためのコネクタ19がそれぞれ取付けられている。
【0025】
第1基板15の表面には、図2および図3(a)に詳細に示すように、略台形状の第1溝(導波路形成用溝)15aと、第1溝15aよりも深い略V字形状の第2溝15bが前後方向に連なって形成されている。
【0026】
第1溝15aの先端部には、発光素子33a(後述)の真下となる位置に、光路を90度屈曲させるための光路変換用のミラー部20が形成されている。
【0027】
第1基板15の第1溝15a内には、発光素子33aと光学的に結合する内部導波路21が設けられている。この内部導波路21は、ミラー部20から第2溝15bの方向に延在して、第1溝15aの後端部15d〔図3(a)参照〕と面一となっている。
【0028】
内部導波路21は、図2(c)のように、光が伝播する屈折率の高い断面略正方形状のコア部22と、それよりも屈折率の低いクラッド部23とから構成されている。
【0029】
コア部22の左右の両面と上面は、クラッド部23で覆われている。コア部22の裏面は、コア部22よりも幅が広い第1溝15aの底面に当接している。なお、第1溝15aは、第2溝15bよりも浅い略V字形状の溝であってもよい。
【0030】
光ファイバー17は、図1および図3(b)に示すように、発光側の第1基板15の内部導波路21のコア部22と、受光側の第1基板16の内部導波路21のコア部22とを光学的に結合可能なファイバーコア部25を内部に有している。そして、このファイバーコア部25の外周を包囲するファイバークラッド部26と、このファイバークラッド部26の外周を被覆する被覆部27とで構成されるコードタイプである。このファイバーコア部25とファイバークラッド部26と被覆部27は円形状である。
【0031】
光ファイバー17は、図1のように、第1基板15の第2溝15bの手前付近で被覆部27が剥がされて、ファイバークラッド部26が露出されている。
【0032】
そして、図2(a)(b)のように、第1基板15の第2溝15bに光ファイバー17のファイバークラッド部26を設置して、第1溝15aとの境部分の立ち上がり傾斜部15cでファイバークラッド部26の位置決めをする。このときに、第1基板15の内部導波路21のコア部22と光ファイバー17のファイバーコア部25の光軸が一致した位置決め状態で光学的に結合されるようになる。
【0033】
第1基板15の内部導波路21のコア部22の端面と光ファイバー17のファイバーコア部25の端面との間の隙間は、200um以下となる。一般的には、結合効率がゼロとなる、隙間0が好ましいが、本構成においては、第1基板15の溝幅と光ファイバークラッド部26の外径サイズの制約上、隙間は60nmから100nmとなる。
【0034】
第1基板15の表面側において、図2(a)および図3(b)のように、光ファイバー17のファイバークラッド部26の上部には押さえ板(保持部材)30が配置され、この押さえ板30と第2溝15bとの間の空間には、接着剤31が充填されている。この押さえ板30は、ガラス等の透明な絶縁性部材で形成するのが好ましい。
【0035】
このように、光ファイバー17のファイバークラッド部26の先端側は、押さえ板30で第2溝15bに押え付けられた状態で、押さえ板30とともに第1基板15に接着剤31で接着固定されるようになる。
【0036】
第1基板15の表面に接着剤31で接着固定された押さえ板30には、第1基板15の表面と一定の間隔を隔てて、内部導波路21の上方に延在する段状の延在部30aが一体的に形成されている。
【0037】
第1基板15の表面に対面する延在部30aの裏面(下面)には、内部導波路21のミラー部20の真上に位置して、電気信号を光信号に変換する発光素子33aが発光面を下向きとしてバンプでフリップチップ実装されている。すなわち、発光素子33aの発光面が第1基板15の表面と所定の隙間を隔てるように、押さえ板30の延在部30aで保持されるようになる。
【0038】
発光素子33aとして、本実施形態では、半導体レーザである面発光レーザ〔VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)〕が採用されている。この発光素子33aはLED等でもよい。次述するIC基板34aは、前記VCSELを駆動させるドライバICである。
【0039】
また、延在部30aの裏面(下面)と反対側の表面(上面)には、発光素子33aの近傍に位置して、発光素子33aに電気信号を送信するためのIC回路が形成されたIC基板(信号処理部)34aが実装されている。
【0040】
図4(a)に示すように、押さえ板30の延在部30aには、発光素子33aの貫通穴配線30bが上下方向に設けられ、この貫通穴配線30bは、孔の内面に銅等がメッキされてなる導電箔が発光素子33aの端子と電気的に接続されている。
【0041】
そして、図7に示すように、押さえ板30の延在部30aの表面には、貫通穴配線30bとIC基板34aとを電気的に接続するメタル回路(銅や金スパッタによるパターニング回路)35aが設けられている。
【0042】
また、延在部30aの表面のIC基板34aのメタル回路(銅や金スパッタによるパターニング回路)35bは、ワイヤボンディング36で第2基板18のIC電源供給用メタル回路(銅や金スパッタによるパターニング回路)18aに接続されている。
【0043】
図1に戻って、受光側の第1基板16の基本的な構成は、発光側の第1基板15と同様に構成されている。
【0044】
ただし、電気信号を光信号に変換する発光素子33aに代えて、光信号を電気信号に変換する受光素子33bが実装されている。また、第2基板18の表面に、この受光素子33bに電気信号を送信するためのIC回路が形成されたIC基板(信号処理部)34bが実装されている点で、発光側の第1基板15と異なる。この受光素子33bとしては、PD(Photo Diode)が採用されており、IC基板34bは、電流・電圧の変換を行うTIA(Trans−impedance Amplifier)などの素子である。
【0045】
前記のように光モジュールを構成すれば、発光素子33a(受光素子33bも同様。)は、第1基板15の表面に固定した押さえ板(保持部材)30の延在部30aの裏面に実装している。また、IC基板34aは、押さえ板30の表面で、かつ発光素子33aの近傍(本例では、直ぐ横位置)に実装して、発光素子33aの貫通穴配線30bとIC基板34aのメタル回路35aとを電気的に接続している。
【0046】
これにより、押さえ板30の裏面と表面に発光素子33aとIC基板34aとを実装できるから、発光素子33aとIC基板34aとの間の電気的に接続する距離L1(図7参照)を短くできるので、高周波に対する損失を抑えることができる。
【0047】
また、発光素子33aの発光面が上向きとなるから(バンプ実装面と反対側の面)、発光素子33aの実装後の異物検査も可能になる。
【0048】
さらに、押さえ板30を絶縁性部材で形成すれば、発光素子33aを絶縁性の押さえ板30に実装できるから、高周波に対する損失をより抑えることができる。
【0049】
また、図4(b)のように、発光素子33aをシリコーンゴム等の透明樹脂37で気密に封止すれば、発光素子33aが保護されるともに、実装強度が向上するようになる。さらに、発光素子33aに水分子が侵入しなくなるので、高湿環境下における信頼性を維持できる。また、透明樹脂37を集光レンズ状に成形すれば、光結合が向上するようになる。
【0050】
また、光ファイバー17の押さえ板30が発光素子33aを保持する保持部材を兼ねるから、構造を簡素化できるようになる。
【0051】
さらに、押さえ板30を成形するための樹脂成形体として、例えば有機無機ハイブリッド樹脂を用いれば、樹脂成形の形状自由度拡大(複雑な凹部構造等も安価に量産が可能)効果に加えて、耐湿性の向上効果も付加できる。
【0052】
図4(a)(b)の実施形態は、押さえ板30の段状の延在部30aの裏面(下面)に発光素子33aをバンプでフリップチップ実装したものである。これに対して、図5(a)の実施形態のように、押さえ板(保持部材)30から同じ厚さで、第1基板15の表面に沿って、内部導波路21の上方に延在する延在部30aを一体的に形成することもできる。この場合には、延在部30aの裏面に凹部30cを形成し、この凹部30cの底面(下面)に発光素子33aをバンプでフリップチップ実装することができる。
【0053】
図5(a)では、IC基板34aを発光素子33aの直ぐ横位置に実装したが、図5(b)のように、IC基板34aを発光素子33aの真上位置に実装することも可能である。
【0054】
また、図5(c)のように、凹部30c内には、透明樹脂(若しくは透明接着剤)37を充填することで、発光素子33aを気密に封止することができる。
【0055】
このようにすれば、凹部30c内に透明樹脂37を充填することで、発光素子33aが保護されるともに、実装強度が向上するようになる。また、凹部30c内に埃や塵等の異物が侵入するのを防止できる。さらに、発光素子33aに水分子が侵入しなくなるので、高湿環境下における信頼性を維持できる。なお、押さえ板30を第1基板15に接着固定する接着剤31として、透明接着剤を用いて、接着の際に、この接着剤31の一部を凹部30c内に充填するようにしてもよい。
【0056】
前記各実施形態では、光ファイバー17の押さえ板30が発光素子33aを保持する保持部材を兼ねる構成であったが、図6に示すように、押さえ板30とは別に、発光素子33aを保持する保持部材38を設けることもできる。この場合には、凹部30cの底面(下面)に発光素子33aをバンプでフリップチップ実装する他、図4(a)と同様な延在部を形成して、この延在部の裏面(下面)に発光素子33aをバンプでフリップチップ実装することもできる。
【0057】
以上のように、本発明に係る光モジュールは、基板の表面に形成された第1溝内に設けられた内部導波路と、第1溝の先端部に形成された光路変換用のミラー部と、このミラー部と対向するように基板の表面側に実装され、ミラー部を介して内部導波路のコア部に光信号を発光し、若しくはミラー部を介して内部導波路のコア部からの光信号を受光する光素子と、内部導波路のコア部と光学的に結合される外部導波路を備えた光モジュールにおいて、前記基板の表面に固定され、この表面に対面する裏面に前記光素子が実装されて、この光素子の発光面若しくは受光面が基板の表面と所定の隙間を隔てるように保持する保持部材と、前記保持部材の裏面と反対側の表面で、かつ前記光素子の近傍に実装され、この光素子に電気信号を送信若しくは光素子からの電気信号を受信するためのIC回路が形成されたIC基板と、前記保持部材に設けられた光素子の貫通穴配線と、前記保持部材の表面に設けられ、前記貫通穴配線と前記IC基板とを電気的に接続するメタル回路とを備えていることを特徴とするものである。
【0058】
これによれば、光素子は、基板の表面に固定した保持部材の裏面に実装するとともに、IC基板は、保持部材の表面で、かつ光素子の近傍に実装して、保持部材の光素子の貫通穴配線とIC基板のメタル回路とを電気的に接続する。
【0059】
これにより、保持部材の裏面と表面に光素子とIC基板を実装できるから、光素子とIC基板との間の電気的に接続する距離を短くできるので、高周波に対する損失を抑えることができる。
【0060】
また、光素子の発光面若しくは受光面が上向きとなるから(バンプと反対側の面)、光素子の実装後の異物検査も可能になる。
【0061】
前記保持部材は、絶縁性である構成とすることができる。
【0062】
これによれば、光素子を絶縁性の保持部材に実装できるから、高周波に対する損失をより抑えることができる。
【0063】
前記基板の表面に第1溝と連なって形成された第2溝内に設置され、内部導波路のコア部と光学的に結合されるファイバーコア部を有する、前記外部導波路である光ファイバーを備え、前記保持部材は、前記光ファイバーを前記基板に押さえて固定する押さえ板を兼ねている構成とすることができる。
【0064】
これによれば、保持部材は、光ファイバーの押さえ板を兼ねるから、構造を簡素化できるようになる。
【0065】
前記押さえ板の裏面に凹部が形成され、この凹部の底面に前記光素子が実装されて、前記凹部内に、透明接着剤若しくは透明樹脂が充填されることで、前記光素子が気密に封止されている構成とすることができる。
【0066】
これによれば、凹部内に透明接着剤若しくは透明樹脂を充填することで、光素子が保護されるともに、実装強度が向上するようになる。また、凹部内に埃や塵等の異物が侵入するのを防止できる。さらに、光素子に水分子が侵入しなくなるので、高湿環境下における信頼性を維持できる。
【0067】
前記光素子は、透明樹脂で気密に封止されている構成とすることができる。
【0068】
これによれば、光素子を透明樹脂で気密に封止することで、光素子が保護されるともに、実装強度が向上するようになる。また、光素子に水分子が侵入しなくなるので、高湿環境下における信頼性を維持できる。さらに、透明樹脂を集光レンズ状に成形すれば、光結合が向上するようになる。
【0069】
前記押さえ板は、樹脂成形体で構成することができる。
【0070】
これによれば、樹脂成形体、例えば有機無機ハイブリッド樹脂を用いれば、樹脂成形の形状自由度拡大(複雑な凹部構造等も安価に量産が可能)効果に加えて、耐湿性の向上効果も付加できる。
【符号の説明】
【0071】
15 第1基板(基板)
16 第2基板(基板)
17 光ファイバー(外部導波路)
20 ミラー部
21 内部導波路
22 コア部
25 ファイバーコア部
30 押さえ板(保持部材)
30a 延在部
30b 貫通穴配線
30c 凹部
31 接着剤
33 光素子
33a 発光素子
33b 受光素子
34a,34b IC基板
35a メタル回路
37 透明樹脂
38 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された第1溝内に設けられた内部導波路と、第1溝の先端部に形成された光路変換用のミラー部と、このミラー部と対向するように基板の表面側に実装され、ミラー部を介して内部導波路のコア部に光信号を発光し、若しくはミラー部を介して内部導波路のコア部からの光信号を受光する光素子と、内部導波路のコア部と光学的に結合される外部導波路を備えた光モジュールにおいて、
前記基板の表面に固定され、この表面に対面する裏面に前記光素子が実装されて、この光素子の発光面若しくは受光面が基板の表面と所定の隙間を隔てるように保持する保持部材と、
前記保持部材の裏面と反対側の表面で、かつ前記光素子の近傍に実装され、この光素子に電気信号を送信若しくは光素子からの電気信号を受信するためのIC回路が形成されたIC基板と、
前記保持部材に設けられた光素子の貫通穴配線と、
前記保持部材の表面に設けられ、前記貫通穴配線と前記IC基板とを電気的に接続するメタル回路とを備えていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記保持部材は、絶縁性であることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記基板の表面に第1溝と連なって形成された第2溝内に設置され、内部導波路のコア部と光学的に結合されるファイバーコア部を有する、前記外部導波路である光ファイバーを備え、前記保持部材は、前記光ファイバーを前記基板に押さえて固定する押さえ板を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記押さえ板の裏面に凹部が形成され、この凹部の底面に前記光素子が実装されて、前記凹部内に、透明接着剤若しくは透明樹脂が充填されることで、前記光素子が気密に封止されていることを特徴とする請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記光素子は、透明樹脂で気密に封止されていることを特徴とする請求項3に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記押さえ板は、樹脂成形体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−69882(P2012−69882A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215560(P2010−215560)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】