説明

光導波路装置及び光結合装置

【課題】 光の進路をコンパクトに方向変換する光導波路装置、及び、その光導波路装置と他の光部品(発光素子、受光素子、光ファイバ、或いは光導波路など)とを位置合わせして基体に位置固定し、光学的に結合した光結合装置を提供すること。
【解決手段】 クラッド2とコア3との接合体からなる光導波路1の両端面4と5を、45度に傾斜した反射面に形成する。一方の端面4に対向して、支持体12のV字溝14によって調芯された光ファイバ8を配置し、その端面を光導波路主面6に接着固定して、光導波路1と光ファイバ8との光結合を形成する。他方の端面5には、面型の受発光素子46を対向配置する。光導波路1と受発光素子46との位置合わせは、光導波路1の下部クラッドに設けた嵌合用凸部11と、実装基板41に設けた嵌合用凹部42との凹凸嵌合によって行い、これを補助するガイドピン13とガイド孔43を、支持体12と実装基板41に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配線システムにおいて有用な、光の進路を方向変換する光導波路装置、及び、その光導波路装置と他の光部品(発光素子、受光素子、光ファイバ、或いは光導波路など)とを位置合わせして基体に位置固定し、光学的に結合した光結合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、電子機器内のボード間又はボード内のチップ間など、比較的短距離間の情報伝達は、主に電気信号により行われてきたが、集積回路の性能を更に向上させるためには、信号の高速化や信号配線の高密度化が必要となる。しかし、電気信号配線においては、配線の時定数による信号遅延や、ノイズ発生等の問題から、電気信号の高速化や電気信号配線の高密度化が困難である。
【0003】
こうした問題を解決する光配線(光インターコネクション)が注目されている。光配線は、電子機器間、電子機器内のボード間又はボード内のチップ間など、種々の箇所に適用可能であり、例えばチップ間のような短距離の信号の伝送には、チップが搭載されている基板上に光導波路を形成し、この光導波路を信号変調されたレーザ光等の伝送路とした光伝送・通信システムを構築することができる。また、ボード間のように比較的長い距離の光伝送には、光の伝播損失が少ないことなどから、光ファイバを伝送路とする光伝送が適している。
【0004】
従って、ボード間の光伝送などでは、光導波路を光ファイバと光結合した光導波路装置などが必要になる。このような場合、従来の装置では、図15(a)に示すように、基板110の上に形成された光導波路111と光ファイバ113とを端面において直線状に対向配置し、実装基板110に平行な方向において両者の光軸を一致させ、光結合を形成する。しかしながら、このようにすると基板上で光導波路111や光ファイバ113を引き回すことになり、この領域に他の部品を実装できなくなるため、実装密度が低下し、光配線システムが大型化する。このような問題を解決するためには、光導波路111や光ファイバ113の光路を基板面に垂直な方向へ簡易に方向変換する装置が必要になる。
【0005】
上記の例のように、実装密度に優れた光配線システムを自在に実現するためには、光の進路、すなわち光路をコンパクトに方向変換する光導波路装置、或いは、その光導波路装置と他の光部品(発光素子、受光素子、光ファイバ、或いは光導波路など)とを位置合わせして支持体に位置固定し、光路を接続した光結合装置が不可欠である。この際、光導波路装置と他の光部品との間で入出力される光の接続損失が許容範囲に収まるように、両者の相対的な位置精度を良好に保つ必要がある。なお、以下、本明細書において、発光素子および受光素子を区別しない場合に、これらを光素子と呼ぶことがある。
【0006】
従来、光路を方向変換するための光結合装置としては、例えば後述の特許文献1に、光ファイバを用いるオプトメカニカルコネクタが開示されている。
【0007】
図16は、特許文献1に開示されているオプトメカニカルコネクタ120の斜視図である。
【0008】
オプトメカニカルコネクタ120では、一方の端部に固定具123が設けられ、固定具123には断面がV字形の溝が形成されている。光ファイバ121は、このV字溝に挿入され、周壁がV字溝の傾斜面と接触することによって調芯され、この状態で蓋124によって押さえられて、固定されている。固定具123のV字溝の左右には、断面が逆台形の溝が形成されている。この溝には、2本のガイドピン122が挿入され、光ファイバ121と同様、この溝の傾斜した側面との接触によって調芯され、蓋124によって押さえられて、固定されている。
【0009】
そして、これらの集合体はプラスチックカプセル125によって保持されており、光ファイバ121は、プラスチックカプセル125内で所望の角度、例えば90度方向変換されて保持されている。光ファイバ121は、他方の端部においても上記の端部と同様に、2本のガイドピン126と共に固定具127と蓋128によって位置決めして固定されている。
【0010】
このオプトメカニカルコネクタ120を用いる際には、例えば、光素子が固定された実装基板にガイドピン122または126と嵌合するガイド孔を設け、このガイド孔にガイドピン122を挿入し、この嵌め合わせによってオプトメカニカルコネクタ120を実装基板に位置固定し、光素子と光ファイバ121との光結合を形成する。そして、光素子から出射された光や光素子に入射する光の進路を、光ファイバ121を伝播する間に所望の角度だけ変化させる。
【0011】
【特許文献1】特表2000−509839号公報(第10−13頁、図1−4及び8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のように光ファイバを引き回すことによって光路の方向変換を行う装置は、小型化するために光ファイバの曲げの曲率半径を小さくしすぎると、伝播する光の損失が大きくなり、逆に、光の損失を抑えるために光ファイバの曲率半径を大きくすると、方向転換に要する光ファイバのサイズが大型化して、実装密度が低下するという二律背反の関係があり、小型化が難しい。
【0013】
このため、光ファイバを用いる光路の方向変換装置を基板に実装すると、図15(b)に示すように、この方向変換装置近傍の基板面に他の部品を実装できないばかりではなく、大きな光路方向変換装置が基板から突出することになり、このスペースに他の実装基板を並置することができなくなり、実装密度が低下する新たな原因を生ずることになる。
【0014】
以上のように、実装密度に優れた光配線システムを自在に実現するためには、光の進路をコンパクトに方向変換する光導波路装置が必要であるが、そのような装置はまだ報告されていない。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、光の進路をコンパクトに方向変換する光導波路装置、及び、その光導波路装置と他の光部品(発光素子、受光素子、光ファイバ、或いは光導波路など)とを位置合わせして基体に位置固定し、光学的に結合した光結合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
即ち、本発明は、第1の光導波路の一方の端部においてこの光導波路の端面が傾斜した反射面に形成され、この傾斜反射面に対向した位置に光ファイバ又は第2の光導波路が配置され、前記傾斜反射面による反射を介して光の進路が方向変換され、前記第1の光導波路と前記光ファイバ又は前記第2の光導波路とが、光学的に結合された状態で、前記方向変換の角度をなして、直接若しくは間接的に一体化されている、光導波路装置に係わり、また、前記光導波路装置と、前記他の光部品が実装された基体とを有し、前記第1の光導波路の他方の端面が前記他の光部品と光結合する状態で、前記第1の光導波路が前記基体に位置固定されている、光結合装置に係わるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光導波路装置によれば、前記第1の光導波路の一方の端部においてこの光導波路の端面が傾斜した反射面に形成され、この傾斜反射面による反射を介して光が前記第1の光導波路の内部又は外部へ導かれる。そして、前記傾斜反射面に対向した位置に、前記第1の光導波路に対し前記反射による方向変換の角度をなして、前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が配置されていて、前記第1の光導波路と直接若しくは間接的に一体化されている。このため、前記第1の光導波路と、前記光ファイバ又は前記第2の光導波路とが光学的に結合された状態が確実に保たれるとともに、前記傾斜反射面による反射によって光の進路が方向変換されるので、前記方向変換に必要な長さは前記第1の光導波路の厚み分程度にすぎない。従って、光ファイバなどの導光路の曲がりによって方向変換する従来の光路方向変換装置に比べ、極めてコンパクトに光路を方向変換することができる。
【0018】
また、本発明の光結合装置によれば、前記光導波路装置の前記第1の光導波路と、前記基体に実装された前記他の光部品とが、前記第1の光導波路の前記他方の端面において光結合されているので、前記他の光部品から出射される光又は前記他の光部品に入射される光を方向変換して、前記光ファイバ又は前記第2の光導波路から出射又は入射させる、極めて小型の光結合装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の光導波路装置において、前記一方の端部において、前記第1の光導波路の光入射又は出射側の主面に、前記第1の光導波路と位置合わせされた前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が接着固定されているのがよい。
【0020】
或いは、共通の支持体の1つの面に接して前記第1の光導波路が位置固定され、前記支持体の他の面に、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態の前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定されているのがよい。
【0021】
或いは、第1の支持体に接して前記第1の光導波路が位置固定され、第2の支持体に接して前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定され、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態で前記第1の支持体と前記第2の支持体とが当接又は凹凸嵌合によって互いに位置固定されているのがよい。
【0022】
この際、前記第2の支持体が、前記第1の支持体に対し公知の方法で着脱可能に構成されているのがよい。このようにすると、前記第1の光導波路と、前記光ファイバ又は前記第2の光導波路の部分とを、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、いわゆるコネクタ形状の光結合装置を実現することができる。この装置によると、前記他の光素子と光結合している前記第1の光導波路は固定したまま、前記第1の光導波路に光結合する前記光ファイバ又は前記第2の光導波路を着脱して交換することにより、容易に光配線の組み替えを行うことができる。
【0023】
また、前記第1及び前記第2の光導波路は、コアとクラッドとの接合体からなり、コアを導光路とするのがよい。この際、前記接合体の少なくとも一部が高分子材料からなるのがよい。光導波路の材料として有機材料系の高分子材料を用いることで、光導波路の作製工程を簡易化できる。例えば、UV(紫外線)硬化型有機材料を用いると、スピンコート等による成膜や、フォトリソグラフィによるコア加工が可能であり、安価な製造設備と低い製造コストで光導波路を作製することができる。
【0024】
また、前記第1の光導波路の他方の端面が傾斜した反射面に形成されており、この傾斜反射面による反射を介して光が前記第1の光導波路の外部又は内部へ導かれ、他の光部品との光結合が行われるのがよい。このようにすると、後述するように、面発光型の発光素子や面受光型の受光素子を用いることができる利点がある。
【0025】
本発明の光結合装置の一つの形態として、前記光ファイバ又は前記第2の光導波路の反対側において前記第1の光導波路の他の主面が前記基体と面接触し、前記他の主面側に形成された凸部又は凹部と、前記基体側に形成された凹部又は凸部とが互いに嵌合されているのがよい。このようにすると、前記第1の光導波路は、前記凹凸嵌合によるセルフアライメントで前記基体の所定の位置に正しく位置固定され、前記基体を介して前記他の光部品と正確に位置合わせされる。このため、マーカなどを用いる位置合わせに比べ大幅に手間が軽減され、生産性が向上し、光結合装置の低コスト化が実現される。
【0026】
この場合、前記第1の光導波路の前記他の主面側のクラッド材に前記凸部が形成されているのがよい。このようにすると、薄型の前記第1の光導波路でも前記凹凸嵌合によって、前記基体に位置固定することができる。前記第1の光導波路を薄型化すると、クラッドの厚さのばらつきによる厚さ方向におけるコア位置のばらつきが減少して、正確な光結合を形成することが容易になる。
【0027】
また、前記凹凸嵌合に用いられる凸部及び凹部の断面が互いに逆形状で、前記凸部及び凹部が略同じ傾斜角度をもつ傾斜面を有するのがよい。これによって、前記凸部及び凹部の前記傾斜面が広い面積に亘って良好な接触状態に保たれ、この接触面での滑らかな滑り運動により十分な凹凸嵌合が達成される。
【0028】
また、前記基体に対し前記第1の光導波路が少なくとも位置固定される際に、前記光導波路装置及び前記基体の少なくとも一方をガイドするためのガイド機構を有するのがよい。この際、前記ガイド機構が、前記光導波路装置側と前記基体側とにそれぞれ設けられたガイドピン又はガイド孔で構成され、これらのガイドピンとガイド孔との嵌め合い機構からなるのがよい。このようなガイド機構による予備的な位置合わせによって、前記凹凸嵌合に用いられる凸部と凹部の前記傾斜面の接触が確実に実現され、前記凹凸嵌合によって位置合わせが行われる必要条件が満たされる。
【0029】
本発明の光結合装置の他の形態として、前記第1の光導波路と前記基体とが、請求項3又は4に記載した前記共通の支持体又は前記第1の支持体とは反対側の前記第1の光導波路主面において面接触し、かつ、前記共通の支持体又は前記第1支持体と前記基体とが当接され、この当接によって前記光導波路装置と前記他の光部品とが位置合わせされており、前記基体に対する前記支持体又は前記第1支持体の当接面が、前記第1の光導波路の前記他方の端面から所定の距離だけ離れた位置に形成されているのがよい。当接(突き当て)によっても、前記第1の光導波路は、セルフアライメントで前記基体の所定の位置に正しく位置固定され、前記基体を介して前記他の光部品と正確に位置合わせされる。このため、マーカなどを用いる位置合わせに比べ大幅に手間が軽減され、生産性が向上し、光結合装置の低コスト化が実現される。
【0030】
本発明の光結合装置は、いずれの形態においても、前記基体に凹部が形成され、この凹部内の所定位置に前記他の光部品である発光又は受光素子が固定されているのがよい。この際、前記第1の光導波路の前記他方の端面が傾斜した反射面に形成されており、この傾斜反射面による反射を介して、光が前記第1の光導波路の内部又は外部へ導かれ、前記他の光部品との光結合が行われるように構成されているのがよい。このようにすると、面発光型の発光素子や面受光型の受光素子を用いることができる利点がある。例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface-Emitting Laser;垂直共振器面発光レーザ)や面発光型のLEDは、製造が容易で、安価で、市販されている品種も豊富であり、高周波特性に優れ変調しやすく、実装も容易である。また、フォトダイオードなどの受光素子も、面受光型の素子が主であり、実装も容易である。
【0031】
また、前記光導波路装置が前記基体に対し着脱可能に構成されているのがよい。このようにすると、前記光導波路装置の部分と前記基体に保持される部分とを、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、いわゆるコネクタ形状の光結合装置を実現することができる。
【0032】
また、前記他の光部品が、発光素子、受光素子、光ファイバ、又は平面光導波路であるのがよい。
【0033】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
【0034】
実施の形態1
実施の形態1は、請求項2に記載した、前記第1の光導波路と前記光ファイバとが接着固定されている光導波路装置を用いて、請求項10に記載した、前記第1の光導波路と前記基体とが凹凸嵌合によって位置合わせされている光結合装置を構成する例である。
【0035】
図1(a)は、本実施の形態に基づく光結合装置の上面図であり、図1(b)は、図1(a)の1A−1A線の位置における光結合装置の断面図である。また、図2(a)は、本実施の形態に基づく光導波路装置の上面図であり、図2(b)は、図2(a)の2A−2A線の位置における光導波路装置の断面図である。また、図3は、凹凸嵌合によって光結合を実現する仕組みを示す、図1(a)の1B−1B線の位置における光結合装置の断面図である。
【0036】
図2に示すように、前記第1の光導波路である光導波路1は、クラッド2とコア3との接合体からなり、導光路であるコア3が下部クラッドと上部クラッドとの間に挟持されている。図2(a)には、コア3が4本並置されている例を示したが、これは一例にすぎず、コア3の本数は単一でも複数でもよい。
【0037】
光導波路1のクラッド2とコア3の各層は、屈折率の異なる公知の高分子材料を順次積層し、コア材料をパターニングすることによって形成される。コア3の屈折率はクラッド2の屈折率よりも大きく、比屈折率差Δnは、例えば0.8%である。また、コア3の断面は、例えば40μm×40μmの正方形であり、光導波路1全体の厚さは、例えば100μm程度である。
【0038】
光導波路1の前記一方の端部の端面である端面4および前記他方の端面である端面5は、ともに45度に傾斜した反射面に形成されている。そして、光導波路1の一方の端部において、光導波路1の前記光入射又は出射側の主面である光導波路主面6には、図示省略した接着剤によって光ファイバ8が接着固定されている。光ファイバ8の直径は、例えば125μm程度である。
【0039】
図3に示すように、光導波路装置10は、支持体12に装着した状態で、実装基板41の上に位置固定する。支持体12の一方の主面には、光ファイバ8と凹凸嵌合するV字溝14が高精度に形成されている。光ファイバ8は、V字溝14と凹凸嵌合し、周壁がV字溝14の傾斜面と接触することによって、コア9の位置が精度よく調芯される。調芯された光ファイバ8は支持体12に対して、接着剤15で接着固定されるか、または不図示の上蓋や板バネなどによる押圧手段によって位置固定される。さらに、光ファイバ8は、その端面で光導波路主面6に対し垂直に接着固定され、光導波路1と一体化される。
【0040】
支持体12は、シリコン基板などからエッチングなどによって形成する。とくに、V字溝14は、後述するシリコン基板の異方性エッチングによって形成するのがよい。
【0041】
図2(b)に示すように、このようにして形成された光導波路装置10では、光導波路1のコア3における光路が、一方の端面4の45度傾斜反射面による反射を介して90度方向変換され、光導波路主面6に対し垂直に接着固定された光ファイバ8のコア9における光路に一致するように構成されており、光導波路1と光ファイバ8とが光学的に結合された状態で一体化されている。
【0042】
以上に説明した光路形成ための手段の他に、光結合装置を形成するための位置合わせ手段として、光導波路1および支持体12には、それぞれ、嵌合用凸部11およびガイドピン13が設けられている。
【0043】
光導波路1の下部クラッドに設けられた嵌合用凸部11は、実装基板41に設けられた嵌合用凹部42と精密に凹凸嵌合するためのもので、後述する方法で高精度に形成されている。嵌合用凸部11の断面形状は、台形である。また、支持体12の下部のガイドピン13は、実装基板41に設けられたガイド孔43と凹凸嵌合するためのもので、この凹凸嵌合によって光導波路1と実装基板41とのおおまかな位置合わせを行い、嵌合用凸部11の傾斜壁面と、嵌合用凹部42の傾斜壁面とが確実に接触するようにする。
【0044】
一方、図1に示すように、光結合装置の前記基体側の部分は、前記基体である実装基板41や前記他の光部品である光素子アレイ46などで構成されている。
【0045】
実装基板41は、半導体基板などからエッチングなどによって形成される。例えば、0.05Ωcm以下の低抵抗シリコン基板を用いれば、基板全体を電気的なグラウンド(接地電極)にすることが可能となり、信号ラインへの雑音を低減でき、光素子46の高周波動作が可能となる。後述する異方性エッチングを用いる場合には、実装基板41の材料として、例えば、結晶方位(100)の単結晶シリコンウエハを用いる。
【0046】
実装基板41には、凹凸嵌合用の手段が2つ設けられている。嵌合用凹部42は、光導波路1の下部クラッドに設けられた嵌合用凸部11と精密に凹凸嵌合するためのもので、後述する方法で高精度に形成されている。嵌合用凹部42の断面形状は、逆台形である。ガイド孔43は、支持体12のガイドピン13と嵌め合わせるためのものである。
【0047】
実装基板41には、その他に光素子搭載用の凹部44とが設けられている。嵌合用凹部42と光素子搭載用凹部44とは、後述する異方性エッチングによって同時に形成することで、高い相対位置精度で形成することができる。
【0048】
光素子搭載用凹部44には、光素子アレイ46との電気的接続のための電極パッド45が形成され、その上に光素子アレイ46が、実装基板41の上に形成されたマーカ(図示省略)を目印にして、嵌合用凹部42に対して±2μm程度の高精度で実装されている。
【0049】
電極パッド45は、例えば、下からチタンTi/白金Pt/金Auの3層構造で、厚さは0.6〜1μm弱である。この構成では、金層が導電材として用いられ、チタン層は基板との密着性を高めるために用いられ、白金層はアニール時の拡散ストップ層として用いられている。光素子アレイ46は、例えば4チャンネルの発光素子アレイまたは受光素子アレイであり、発光素子としてはVCSELまたは発光ダイオードなどが用いられ、受光素子としてはフォトダイオードなどが用いられる。
【0050】
既述したように、光導波路1の他方の端面5は、光導波路1の主面に対して45度に傾斜した反射面に形成されており、この傾斜反射面5による反射を介して、光が光導波路1の内部又は外部へ導かれ、対向配置された光素子46との光結合が形成される。このとき、光素子アレイ46が発光素子であれば、発光素子の発光部47から傾斜反射面5に入射した光が、傾斜反射面5で反射され、コア3の内部へ導かれる。この光はコア3内を伝播した後、傾斜反射面である一方の端面4で反射されて方向変換され、光ファイバ8のコア9内へ導かれる。また、光素子46が受光素子である場合には、光ファイバ8のコア9内を伝播してきた光が、傾斜反射面4で反射されて方向変換され、コア3の内部へ導かれる。この光はコア3内を伝播した後、傾斜反射面5で反射され、受光素子の受光部47へ導かれる。
【0051】
このように本実施形態の光結合装置では、極めてコンパクトに光路の方向変換を行うことができるので、図15(a)および(b)に示した従来例と異なり、基板上に引き回された光ファイバによって実装密度が低下し、光配線システムが無駄に大型化するということがない。また、他方の端面5においても傾斜反射面による反射を利用すると、上面に発光部または受光部をもつ、VCSELなどの面型発光素子または受光素子を用いることができる利点がある。
【0052】
図3は、光導波路1に形成された嵌合用凸部11と実装基板41に形成された嵌合用凹部42との凹凸嵌合によって光導波路1と実装基板41との位置合わせを行い、光素子46の発光または受光部47と光導波路コア3との正確な光結合を実現する仕組みを説明する断面図である。図3(a)は凹凸嵌合前の光結合装置の状態を示す断面図であり、図3(b)は、凹凸嵌合により光結合が形成された状態を示す断面図である。なお、これらの断面図は、図1(a)に1B−1B線で示した位置における断面図である。
【0053】
まず、図3(a)の実線矢印のように、支持体12に形成されたガイドピン13を実装基板41に形成されたガイド孔43に挿入し、上から軽く力を加えて光導波路1を実装基板41の側に押し付ける。この際、ガイドピン13とガイド孔43との嵌め合わせによって光導波路1と実装基板41の相対位置は、±100μm程度の精度で位置合わせされる。このガイドピン13とガイド孔43との嵌め合わせによる予備的な位置合わせによって、図3(a)の点線矢印のように、光導波路1の嵌合用凸部11の傾斜壁面と、実装基板41の嵌合用凹部42の傾斜壁面との接触が、確実に実現される。
【0054】
上記の状態で、光導波路1を更に実装基板41の側に押し込むと、嵌合用凸部11の傾斜壁面と嵌合用凹部42の傾斜壁面とが、接触しながら横滑りして、嵌合用凸部11が嵌合用凹部42の中心方向へ導かれる。この動きは、図3(b)に示すように、嵌合用凸部11の中心と嵌合用凹部42の中心とが一致して嵌合が完全になるまで続く。最終的には、嵌合用凸部11と嵌合用凹部42との嵌合によって、光導波路1と実装基板41とは、±5μm程度の高精度に位置合わせされる。
【0055】
上記の凹凸嵌合において、嵌合用凸部11と嵌合用凹部42のように、凸部および凹部が互いに逆形状で、同じ傾斜角度をもつ傾斜面を有するのがよい。この場合、凸部および凹部の広い面積にわたって良好な接触が保たれ、この接触面での滑らかな滑り運動によって十分な凹凸嵌合が達成される。互いに逆形状で、同じ傾斜角度をもつ傾斜面を有する嵌合用凸部11と嵌合用凹部42は、例えば、後述する単結晶シリコン基板の(100)面の異方性エッチングによる凹部の形成と、その凹部の転写による凸部の形成によって得ることができる。
【0056】
なお、図1に示した光結合装置は、光導波路装置側部分と実装基板側部分とを、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、着脱可能な、いわゆるコネクタ形状の光結合装置とすることができる。このような場合には、不図示の外蓋との間にスプリングや板バネなどによる公知の押圧手段を設けたり、不図示の外縁部に鍵形の爪などによる公知のかみ合わせを設けたりすることで、光結合装置全体を一体として保持できる構造とするのがよい。
【0057】
次に図4〜6を用いて、本実施の形態に基づく光結合装置の主要な部材の製造方法について説明する。
【0058】
図4は、実装基板41の要部を作製する工程を示すフロー図である。なお、この図は、図1(a)の1B−1B線の位置における断面図である。
【0059】
まず、図4(a)に示すように、基板として結晶方位(100)の単結晶シリコンウエハ51を用意し、表面に熱酸化膜52を形成する。
【0060】
次に、図4(b)に示すように、嵌合用凹部42と光素子搭載用凹部44とを形成する箇所以外の部分をマスクするようにフォトレジスト層53をパターニングして形成した後、フッ素系ガスを用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)により、開口部分の熱酸化膜52を除去する。終了後、マスクとして用いたフォトレジスト層53は、酸素プラズマによるアッシングにより除去する。
【0061】
次に、図4(c)に示すように、シリコン基板51を、温度70℃、濃度20質量%の水酸化カリウム水溶液またはTMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)水溶液に浸し、シリコン酸化膜をマスクとするシリコンの異方性エッチングにより、嵌合用凹部42と光素子搭載用凹部44とを形成する。凹部の深さは、実装する光素子の高さに合わせ、それよりやや大きくする。例えば、光素子の高さが100〜200μmであれば、凹部の深さも100〜200μm程度とする。
【0062】
基板として結晶方位(100)の単結晶シリコンウエハ51を用いると、上記の異方性エッチングによって形成される凹部の傾斜面の傾斜角度が、エッチング条件などによらず54.7度で一定となる。
【0063】
次に、図4(d)に示すように、光素子搭載用凹部44に電極パッド45を形成する。本実施の形態では、電極の構成は、下からチタンTi/白金Pt/金Auの3層構造で、厚さは0.6〜1μm弱とし、金属膜形成には蒸着を用いる。この後、シリコン基板51との接触抵抗を低下させるため、300〜400℃でアニール処理を行うこともある。上記の構成では、金層が導電材として用いられ、チタン層は基板との密着性を高めるために用いられ、白金層はアニール時の拡散ストップ層として用いられている。また、電極パッド45は、フォトレジストを用いたリフトオフ工程によって電極パターンを形成する。金属膜の形成方法としては、これに限らず、例えばめっき法やスパッタ法などを用いてもよい。パターンの形成方法も、全面に金属層を形成した後に、エッチングによってパターンを形成する方法などを採用する場合もある。
【0064】
次に、図4(e)に示すように、実装基板41の上に形成されたマーカ(図示省略)を目印にして、光素子搭載用凹部44に光素子アレイ46を実装する。
【0065】
上記の工程では、嵌合用凹部42と光素子搭載用凹部44とは、同一のエッチングプロセスによって形成されるので、高い相対位置精度を有しており、光素子アレイ46は嵌合用凹部42に対して±2μm程度の高精度で実装される。
【0066】
支持体12に光ファイバ8との凹凸嵌合用のV字溝14を形成する方法は、上記の実装基板41に嵌合用凹部42を形成する方法とほぼ同じである。すなわち、基材として結晶方位(100)の単結晶シリコンウエハを用意し、表面に熱酸化膜を形成し、V字溝14を形成する箇所以外の部分をマスクするようにフォトレジスト層をパターニングして形成する。この後、フッ素系ガスを用いたRIEにより、開口部分の熱酸化膜を除去し、マスクとして用いたフォトレジスト層をアッシングにより除去してから、水酸化カリウム水溶液などによるシリコンの異方性エッチングによりV字溝14を形成する。支持体12の他の部分も、主として、エッチングやダイシングで形成される。
【0067】
図5と図6とは、光導波路1の要部を作製する工程を示すフロー図である。なお、この図は、図1の1B−1B線の位置における断面図である。
【0068】
これらの工程では、初めに、図4(a)〜(c)と同様の工程で転写用基板に凹部を形成し、次に、この凹部を有する転写用基板面に光導波路材料を被着させて光導波路層を形成し、この光導波路層を転写用基板から剥離して、一方の面に嵌合用凸部11を有する光導波路1を得る。
【0069】
まず、図5(a)に示すように、図4(a)と同様に、基板として結晶方位(100)の単結晶シリコンウエハ61を用意し、表面に熱酸化膜62を形成する。
【0070】
次に、図5(b)に示すように、光導波路1の嵌合用凸部11に対応する凹部64を形成する箇所以外の部分をマスクするようにフォトレジスト層63をパターニングして形成した後、フッ素系ガスを用いたRIEにより、開口部分の熱酸化膜62を除去する。終了後、マスクとして用いたフォトレジスト層63は、酸素プラズマによるアッシングにより除去する。
【0071】
次に、図5(c)に示すように、シリコン基板61を、温度70℃、濃度20質量%の水酸化カリウム水溶液、またはTMAH水溶液に浸し、シリコン酸化膜をマスクとするシリコンの異方性エッチングにより、凹部64を形成し、転写用基板65を得る。基板材料として結晶方位(100)の単結晶シリコンウエハ61を用いると、エッチング条件などによらず、異方性エッチングによって形成される凹部の傾斜面の傾斜角度が54.7度となり、先に実装基板41に形成した嵌合用凹部42の傾斜面の傾斜角度と一致する。
【0072】
凹部64の大きさは、剥離の際に生じる光導波路層の伸縮を考慮して決定する。光導波路層の材質によって伸縮の大きさは一定に定まるので、凹部64の転写によって形成される嵌合用凸部11の剥離後の大きさが嵌合用凹部42と同じになるように、光導波路層の材質に応じて予め凹部64の大きさを決めておく。一般に、熱硬化性樹脂は変形が大きく、紫外線硬化樹脂は変形が小さい傾向がある。
【0073】
次に、図5(d)示すように、まず転写用基板65にスピンコートにより高分子有機材料を塗布し、紫外線照射や加熱により硬化させ、下部クラッド2aを形成する。
【0074】
次に、図6(e)に示ように、下部クラッド2aよりも屈折率の高い高分子有機材料を下部クラッド2aの上に塗布し、紫外線照射や加熱により硬化させることによりコア3を形成する。コア3の形成の際には、紫外線照射領域をマスクによって制限したり、全面にコア材を形成した後にフォトレジストによってパターン形成を行い、RIEによって不要部分のコアを取り除いたりして、所望の光回路パターンを有するコア3を形成する。
【0075】
次に、図6(f)に示すように、下部クラッド2aおよびコア3の上に、下部クラッド2aと同じ高分子有機材料を塗布し、紫外線照射や熱により硬化させ、上部クラッド2bを形成する。
【0076】
次に、図6(g)に示すように、上部クラッド2b、コア3、下部クラッド2aおよび転写用基板65の一部をV字型ダイヤモンドブレード等で切削し、前記他方の端面である端面5を45度傾斜反射面に形成する。45度傾斜反射面5を形成する位置は、予めシリコン基板に形成したマーカ(図示省略)を基準に決定することで、転写用基板65の凹部64、ひいては光導波路1の嵌合用凸部11に対して高精度に位置決めすることができる。
【0077】
次に、図6(h)に示すように、下部クラッド2aより上部の光導波路部分を転写用基板65から剥離して、嵌合用凸部11を有する光導波路シート66を得る。
【0078】
次に、図6(i)に示すように、光導波路シート66を上下逆向きにして仮基板67に固定し、前記一方の端面である端面4も45度に傾斜した反射面に形成し、光導波路1の形成を終了する。
【0079】
本実施の形態の製造方法によれば、実装基板41および転写用基板65を形成する材料として結晶方位(100)の単結晶シリコン基板を用い、異方性エッチングによって実装基板41の嵌合用凹部42と転写用基板65の凹部64を形成するので、形成される凹部の傾斜面の傾斜角度は、エッチング条件などによらず54.7度と一定となる。このため、転写用基板65を用いて形成される光導波路1の有する嵌合用凸部11は、実装基板41に形成された嵌合用凹部42と互いに逆形状になり、傾斜面の広い範囲にわたって良好な接触が保たれ、この接触面での滑らかな滑り運動によって十分な凹凸嵌合が達成される。
【0080】
また、54.7度という凹部の傾斜面の傾斜角度は、接触面での滑らかな滑り運動による凹凸嵌合を起こさせるにも、転写用基板65から光導波路1を剥離させる上でも、好都合な角度である。
【0081】
なお、前記嵌合用凸部および凹部の形成方法は、単結晶シリコン基板の異方性エッチングによる方法に限るものではなく、例えば、高精度ダイング加工等によって基板を加工することにより、同様の構造を形成する場合もある。この場合、基板は単結晶シリコン基板に限らず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板またはセラミック基板などを用いることができる。
【0082】
以上に説明したように、本実施の形態に基づく光導波路装置では、光導波路1の一方の端面4が45度に傾斜した反射面に形成され、この傾斜反射面による反射を介して光導波路1は光ファイバ8と光結合されている。この光導波路装置は、反射によって光路を方向変換しているので、簡易かつコンパクトに光の進路を望みの方向へ方向変換することができ、実装密度が高く、自在な配線が可能な光配線システムの構築に有効に寄与できる。
【0083】
本実施の形態に基づく光結合装置は、上記の光導波路装置を構成要素とし、実装基板上に位置固定された光導波路1の両端面4と5が45度に傾斜した反射面に形成され、一方の端面4において光ファイバ8と光結合し、他方の端面5において光素子46と光結合する、新規で特異な構造を有する。このため、光素子46から出射される光、または光素子46に入射する光を方向変換して、光ファイバ8から出射又は入射させる、極めて小型の光結合装置を実現することができ、光素子46として面型発光素子または受光素子を用いることができる。しかも、光導波路コアがアレイ状の構造を有しているため、チャンネル数の変更が容易である。
【0084】
このような光結合装置は、その特異な構造から様々な応用が考えられるが、その一つとして、例えば、実装基板上に高密度に実装された多数の面発光型の発光素子または面受光型の受光素子と、実装基板に直交する向きに多数配置された光ファイバとの間を光結合する機能のみに特化したコンパクトな高密度実装光入出力装置が考えられる。このような配線構造は、従来の光結合装置では実現不可能なものである。
【0085】
また、本実施の形態の光結合装置では、凹凸嵌合によって、能率良く、高い正確さで光導波路1と実装基板41との位置合わせを行うことができる。また、例えば、前記光導波路を構成するチャンネル数が増えるなど、前記光導波路の構成が変化した場合でも、同じ構造で対応することができる。
【0086】
実施の形態2
実施の形態2は、請求項3に記載した、前記第1の光導波路と前記光ファイバとが前記共通の支持体に位置固定されて光結合されている光導波路装置を用いて、請求項15に記載した、前記第1の光導波路と前記基体とが当接によって位置合わせされている光結合装置を構成する例である。
【0087】
図7(a)は、本実施の形態に基づく光導波路装置の上面図であり、図7(b)は、図7(a)の7A−7A線の位置における光導波路装置の断面図である。また、図8(a)は、本実施の形態に基づく光結合装置の上面図であり、図8(b)は、図8(a)の8A−8A線の位置における光結合装置の断面図である。
【0088】
図7に示すように、前記第1の光導波路である光導波路1および光ファイバ8は、実施の形態1に記載したものと本質的に同じものである。
【0089】
すなわち、光導波路1はクラッド2とコア3との接合体からなり、導光路であるコア3が下部クラッドと上部クラッドとの間に挟持されている。図7(a)には、コア3が4本並置されている例を示したが、コア3の本数は単一でも複数でもよい。コア3の屈折率はクラッド2の屈折率よりも大きく、比屈折率差Δnは、例えば0.8%である。また、コア3の断面は、例えば40μm×40μmの正方形であり、光導波路1全体の厚さは、例えば100μm程度である。
【0090】
また、光導波路1の前記一方の端部の端面である端面4および前記他方の端面である端面5は、ともに45度に傾斜した反射面に形成されている。そして、光導波路1は、一方の端面4において、光ファイバ8と光結合されている。光ファイバ8の直径は、例えば125μm程度である。
【0091】
実施の形態2が実施の形態1と異なる点の1つは、光導波路1と光ファイバ8とを光結合して一体化する仕組みの違いである。実施の形態1では、光ファイバ8を光導波路1の主面6に垂直に接着固定したが、実施の形態2では、前記共通の支持体である支持体21の直交する2つの面に接して、光導波路1および光ファイバ8をそれぞれ位置固定することによって光結合を形成し、両者を一体化する。
【0092】
支持体21は、例えばシリコンからなる基板である。支持体21の材料としては、シリコン基板以外のガラス基板やセラミック基板でもよいが、半導体加工技術で加工できることから、半導体基板とりわけシリコン基板が好ましい。そして、実施の形態1の支持体12と同様、異方性エッチングなどの方法で、その一面に光ファイバ8と凹凸嵌合するV字溝22が高精度に形成されている。
【0093】
光ファイバ8は、V字溝22と凹凸嵌合し、周壁がV字溝22の傾斜面と接触することによって、コア9の位置が精度よく調芯される。調芯された光ファイバ8は支持体21に対して、不図示の接着剤で接着固定されるか、または不図示の上蓋や板バネなどによる押圧手段によって位置固定される。一方、V字溝22を有する面に直交する、支持体21の他の面に、光導波路1の光導波路主面6を接着などによって位置固定する。光ファイバ8と主面6との間は、接着してもよいし、しなくてもよい。
【0094】
図7(b)に示すように、このようにして形成された光導波路装置では、光導波路1のコア3における光路が、一方の端面4の45度傾斜反射面による反射を介して90度方向変換され、光導波路主面6に対し直交する面に固定された光ファイバ8のコア9における光路に一致するように構成されており、光導波路1と光ファイバ8とが光学的に結合された状態で一体化されている。
【0095】
実施の形態2が実施の形態1と異なる要点の他の1つは、光導波路1と後述の光素子76との光結合が、支持体21と実装基板71との当接(突き当て)による位置合わせによって形成されることである。そのため、支持体21には、光路形成ための手段の他に、位置合わせ手段として、直交する2つの面に精度よく平坦に形成された当接面23と24が設けられている。
【0096】
一方、図8に示すように、光結合装置の前記基体側の部分では、前記基体である実装基板71に、光導波路1を保持する光導波路支持面72、支持体21との当接面73と74、光素子76およびそれを固定するための凹部75などが設けられている。
【0097】
実施の形態1と同様、実装基板71は、半導体基板などからエッチングなどによって形成される。例えば、0.05Ωcm以下の低抵抗シリコン基板を用いれば、基板全体を電気的なグラウンド(接地電極)にすることが可能となり、信号ラインへの雑音を低減でき、光素子76の高周波動作が可能となる。その他、光素子76の実装方法なども実施の形態1と同様である。
【0098】
図8(b)に示すように、光結合が形成された状態では、光導波路1は、前記反対側の光導波路主面である主面7が、実装基板71の光導波路支持面72に面接触した状態で保持される。一方、光素子76は凹部75内に固定されるので、凹部75の深さを調節することによって、高さ方向における光導波路1と光素子76との距離が制御される。
【0099】
既述したように、光導波路1の他方の端面5は、光導波路1の主面6または7に対して45度に傾斜した反射面に形成されており、この傾斜反射面5による反射を介して、光が光導波路1の内部又は外部へ導かれ、対向配置された光素子76との光結合が形成される。このとき、光素子76が発光素子であれば、発光素子の発光部から傾斜反射面5に入射した光が、傾斜反射面5で反射され、コア3の内部へ導かれる。この光はコア3内を伝播した後、傾斜反射面である一方の端面4で反射されて方向変換され、光ファイバ8のコア9内へ導かれる。また、光素子76が受光素子である場合には、光ファイバ8のコア9内を伝播してきた光が、傾斜反射面4で反射されて方向変換され、コア3の内部へ導かれる。この光はコア3内を伝播した後、傾斜反射面5で反射され、受光素子76の受光部へ導かれる。
【0100】
このように、実施の形態1と同様に、本実施形態の光結合装置においても、極めてコンパクトに光路の方向変換を行うことができるので、図15(a)および(b)に示した従来例と異なり、基板上に引き回された光ファイバによって実装密度が低下し、光配線システムが無駄に大型化するということがない。また、他方の端面5においても傾斜反射面による反射を利用すると、上面に発光部または受光部をもつ、VCSELなどの面型発光素子または受光素子を用いることができる利点がある。
【0101】
図9は、実施の形態2に基づき、当接によって図の左右方向における位置合わせを行う工程を示す断面図(a)と(b)および上面図(c)である。なお、断面図(a)は当接前の状態を示し、断面図(b)と上面図(c)は当接後の状態を示す。
【0102】
図9(a)に示すように、支持体21の当接面23は、光導波路1の他方の端面5から所定の距離25だけ離れた位置に形成されている。そして、光素子76は、実装基板71の当接面73から所定の距離77だけ離れた位置に固定されている。このため、図9(b)に示すように、当接面23と当接面73とを当接させると、光導波路1の他方の端面5と光素子76とは、図9の左右方向において所定の距離だけ離れた位置に位置合わせされる。
【0103】
また、図9(c)に示すように、当接面23と当接面73との当接部に十分な広がりがあれば、当接によって支持体21と実装基板71との角度ずれの修正も行われる。
【0104】
図9(c)は、当接面23と当接面73との当接のみが行われ、当接面24と当接面74との当接は行われていない状態を示しているが、この後、当接面24と当接面74との当接を行うことによって、図9(b)の奥行き方向における位置合わせを行うことができる。
【0105】
実際の位置合わせの工程としては、例えば、まず支持体21を図9の右方向に移動させて、当接面23を当接面73に当接させ、図9(b)の左右方向における位置合わせを行い、次に支持体21を当接面73に沿って奥行き方向に移動させて、当接面24を当接面74に当接させ、奥行き方向における位置合わせを行う。
【0106】
このように2度当接を繰り返すだけで二次元方向における位置合わせが行われる。先述した凹部75の深さ調節による高さ方向の位置合わせと合わせると、三次元方向における完全な位置合わせが行われ、光導波路コア3と光素子76の発光または受光部分との光結合が形成される。また、上下方向の当接面を追加して、3度当接を繰り返すことによって、三次元方向すべての位置合わせを当接面の当接のみによって行うこともできる。
【0107】
なお、図8に示した光結合装置は、光導波路装置側部分と実装基板側部分とを、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、着脱可能な、いわゆるコネクタ形状の光結合装置とすることができる。このような場合には、不図示の外蓋との間にスプリングや板バネなどによる公知の押圧手段を設けたり、不図示の外縁部に鍵形の爪などによる公知のかみ合わせを設けたりすることで、光結合装置全体を一体として保持できる構造とするのがよい。
【0108】
図10は、光導波路装置を作製する工程の一部を示すフロー図である。なお、図10は、図7(b)の断面図と同じ位置における断面図である。
【0109】
まず、図10(a)に示すように、実施の形態1と同様に、基板81の上に光導波路1の下部クラッド2a、コア3および上部クラッド2bの各層を、例えば、屈折率の異なる公知の高分子材料をスピンコートなどにより塗布し、紫外線照射や加熱により硬化させて順次積層し、コア材料をパターニングすることによって形成する。
【0110】
次に、図10(b)に示すように、V字型ブレードでダイサー加工することにより斜め45度加工を施し、光導波路の一方の端面4を傾斜反射面に形成する。続いて、図示省略したが、実施の形態1と同様にして、光導波路を基板81から剥離し、上下逆向きにして仮基板に固定し、V字型ブレードでダイサー加工することにより、他方の端面5も45度に傾斜した反射面に形成し、光導波路1を得る。
【0111】
次に、図10(c)に示すように、支持体21に加工される基材26に光導波路1を接着固定する。続いて、他方の端面5から所定の距離25だけ離れた位置において基材26を切断して、実装基板71との当接面23を形成し、支持体21を得る。この際、CCD(Charge Coupled Device)カメラと顕微鏡を用いた画像観察で、一方の端面5のエッジ5aを検出しながら切断することで、±数μmの精度で当接面23を形成することができる。当接面23は、切断によって形成した後、エッチング処理を行うことにより、寸法精度を向上させたり、段付き形状に加工したりすることができる。
【0112】
以上に説明してきたように、本実施の形態によれば、光導波路主面7および支持体21が実装基板71と当接することによって、容易に三次元方向における完全な位置合わせを行うことができる。この方法によれば、位置合わせの作業は、当接部同士を当接させるだけであり、簡易である。しかも、当接が十分広い領域にわたって行われるようにすれば、当接部全体としての位置の正確さが保たれていれば、細部の作製精度に関係なく、正確な位置合わせを実現できる。従って、光結合を、簡易に、生産性や歩留まりよく、低コストで、しかも高い正確度で形成することができる。
【0113】
光導波路の傾斜端面の機械的強度は一般に弱いため、傾斜端面部を直接突き当てて光導波路の位置合わせを行うことは困難である。本実施の形態によれば、光導波路に機械的な負荷を加えることなく位置決めできるので、長期的な信頼性に優れている。また、例えば、前記光導波路を構成するチャンネル数が増えるなど、前記光導波路の構成が変化した場合でも、同じ構造で対応することができる。
【0114】
以上に説明したように、本実施の形態は、光導波路1と光ファイバ8との光結合および光導波路1と光素子76との光結合を形成する仕組みは実施の形態1と異なるものの、光の進路を反射によって方向変換する基本構造は実施の形態1と同じであるから、この点に関して実施の形態1と同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0115】
すなわち、本実施の形態に基づく光導波路装置では、光導波路1の一方の端面4が45度に傾斜した反射面に形成され、この傾斜反射面による反射を介して光導波路1は光ファイバ8と光結合されている。この光導波路装置は、反射によって光路を方向変換しているので、簡易かつコンパクトに光の進路を望みの方向へ方向変換することができ、実装密度が高く、自在な配線が可能な光配線システムの構築に有効に寄与できる。
【0116】
また、本実施の形態に基づく光結合装置は、上記の光導波路装置を構成要素とし、実装基板上に位置固定された光導波路1の両端面4と5が45度に傾斜した反射面に形成され、一方の端面4において光ファイバ8と光結合し、他方の端面5において光素子76と光結合する、新規で特異な構造を有する。このため、光素子76から出射される光、または光素子76に入射する光を方向変換して、光ファイバ8から出射又は入射させる、極めて小型の光結合装置を実現することができ、光素子76として面型発光素子または受光素子を用いることができる。しかも、光導波路コアがアレイ状の構造を有しているため、チャンネル数の変更が容易である。
【0117】
このような光結合装置は、その特異な構造から様々な応用が考えられるが、その一つとして、例えば、実装基板上に高密度に実装された多数の面発光型の発光素子または面受光型の受光素子と、実装基板に直交する向きに多数配置された光ファイバとの間を光結合する機能のみに特化したコンパクトな高密度実装光入出力装置が考えられる。このような配線構造は、従来の光結合装置では実現不可能なものである。
【0118】
実施の形態3
実施の形態3は、請求項4に記載した、第1の支持体に接して前記第1の光導波路が位置固定され、第2の支持体に接して前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定され、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態で前記第1の支持体と前記第2の支持体とが当接又は凹凸嵌合によって互いに位置固定されている光導波路装置を用いて、請求項15に記載した、前記第1の光導波路と前記基体とが当接によって位置合わせされている光結合装置を構成する例である。
【0119】
本実施の形態は、実施の形態2における支持体21を、光導波路1を保持する前記第1の支持体である支持体31と、光ファイバ8を保持する前記第2の支持体である支持体32に分割し、かつ、支持体31と支持体32とを当接によって位置合わせできる構造とし、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、いわゆるコネクタ形状の光結合装置を実現したことのみが実施の形態2と異なっている。以下、実施の形態2からの変更点に重点をおいて説明する。
【0120】
図11(a)は、本実施の形態に基づく光結合装置の上面図であり、図11(b)は、図11(a)の11A−11A線の位置における光結合装置の断面図である。この光結合装置は、支持体21が支持体31と支持体32とで置き換えられていることを除けば、図8に示した実施の形態2に基づく光結合装置と全く変わりはない。
【0121】
図12は、光結合装置の構造をわかりやすくするため、当接位置で分解して示した断面図である。
【0122】
図12に示すように、実装基板側部分は、実施の形態2と変わりなく、実装基板71に、光導波路1を保持する光導波路支持面72、当接面73と74、光素子76を固定するための凹部75、および光素子76などが設けられている。
【0123】
光導波路装置側の部分は2つに分割され、光導波路1は、支持体21に代わって支持体31に接着剤などで位置固定されている。支持体31にはこの他に、当接面23および(図示されていない)24が設けられている。一方、光ファイバ8は、支持体21に代わって支持体32に位置固定されている。支持体32には、支持体21と同様に、光ファイバ8を調芯して位置固定するためのV字溝22が設けられている。
【0124】
そして、支持体31と支持体32には、それぞれ、互いに直交する3つの当接面33、34(他の1つは不図示)および当接面35、36(他の1つは不図示)が設けられている。支持体31と支持体32とは、これら3つの面での当接によって三次元的に正確に位置合わせして互いに位置固定されるように形成されており、当接し合って一体化した状態では、支持体21と同等の機能を有するように作られている。
【0125】
また、支持体31と支持体32とは、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、いわゆるコネクタ形状の光結合装置を実現できるように、不図示の外蓋との間にスプリングや板バネなどによる公知の押圧手段を設けたり、不図示の外縁部に鍵形の爪などによる公知のかみ合わせを設けたりすることで、支持体31と支持体32を一体として保持できる構造とする。
【0126】
このような構成をとることで、本実施の形態の光結合装置は、光導波路1と、光ファイバ8とを、必要に応じて分離したり結合したりすることのできる、いわゆるコネクタ形状の光結合装置とすることができる。この装置によると、光素子76と光結合している光導波路1は固定したまま、光導波路1に光結合する光ファイバ8を着脱1して交換することにより、光配線の組み替えを行うことができる。
【0127】
本実施の形態は、光導波路1を保持する支持体部分と、光ファイバ8を保持する支持体部分とが分割可能であることを除けば、実施の形態2と本質的に変わるところわないので、実施の形態2と同様の効果を有するのは言うまでもない。
【0128】
すなわち、本実施の形態に基づく光導波路装置では、光導波路1の一方の端面4が45度に傾斜した反射面に形成され、この傾斜反射面による反射を介して光導波路1は光ファイバ8と光結合されている。この光導波路装置は、反射によって光路を方向変換しているので、簡易かつコンパクトに光の進路を望みの方向へ方向変換することができ、実装密度が高く、自在な配線が可能な光配線システムの構築に有効に寄与できる。
【0129】
また、本実施の形態に基づく光結合装置は、上記の光導波路装置を構成要素とし、実装基板上に位置固定された光導波路1の両端面4と5が45度に傾斜した反射面に形成され、一方の端面4において光ファイバ8と光結合し、他方の端面5において光素子76と光結合する、新規で特異な構造を有する。このため、光素子76から出射される光、または光素子76に入射する光を方向変換して、光ファイバ8から出射又は入射させる、極めて小型の光結合装置を実現することができ、光素子76として面型発光素子または受光素子を用いることができる。しかも、光導波路コアがアレイ状の構造を有しているため、チャンネル数の変更が容易である。
【0130】
また、光導波路主面7が実装基板71に面接触し、支持体21と実装基板71とが当接することによって、容易に三次元方向における完全な位置合わせが行われる。この方法によれば、位置合わせの作業は、当接部同士を当接させるだけであり、簡易である。しかも、当接が十分広い領域にわたって行われるようにすれば、当接部全体としての位置の正確さが保たれていれば、細部の作製精度に関係なく、正確な位置合わせを実現できる。従って、光結合を、簡易に、生産性や歩留まりよく、低コストで、しかも高い正確度で形成することができる。
【0131】
また、光導波路の傾斜端面の機械的強度は一般に弱いため、傾斜端面部を直接突き当てて光導波路の位置合わせを行うことは困難である。本実施の形態によれば、光導波路に機械的な負荷を加えることなく位置決めできるので、長期的な信頼性に優れている。また、例えば、前記光導波路を構成するチャンネル数が増えるなど、前記光導波路の構成が変化した場合でも、同じ構造で対応することができる。
【0132】
実施の形態4
実施の形態4は、光ファイバ8の代わりに前記第2の光導波路である光導波路38を用いる例である。
【0133】
図13(a)は、本実施の形態に基づく光結合装置の上面図であり、図13(b)は、図13(a)の13A−13A線の位置における光結合装置の断面図である。図14は、光結合装置の構造をわかりやすくするため、当接位置で分解して示した断面図である。図13と図14からわかるように、この光結合装置は、光ファイバ8の代わりに光導波路38が用いられ、支持体37にはV字溝22が設けられていないことを除けば、実施の形態3に基づく光結合装置と全く変わりはない。
【0134】
光導波路38として基板をもたないフィルム状の光導波路を用いると、光ファイバ8に比べてより容易にフレキシブルな光配線を形成することができる。これは、例えば、ボード内の光部品間をジャンパ線接続する場合などに好適である。
【0135】
本実施の形態は、上記の点以外は実施の形態3と本質的に変わるところがないので、上述した実施の形態3と同様の効果を有するのは言うまでもない。
【0136】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0137】
例えば、実施の形態2〜4に記載した光導波路装置に嵌合用凸部または凹部を設け、この光導波路装置を、嵌合用凹部または凸部を有する実装基板に凹凸嵌合によって位置固定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の光結合装置は、電子機器間、電子機器内のボード間又はボード内のチップ間など、種々の箇所に適用可能な光配線において好適に用いられ、小型で、低コストで、しかも高性能の光伝送・通信システムの構築に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の実施の形態1に基づく光結合装置の上面図(a)と断面図(b)である。
【図2】同、光導波路装置の上面図(a)と断面図(b)である。
【図3】同、光導波路の嵌合用凸部と実装基板の嵌合用凸部との凹凸嵌合によって光結合を実現する仕組みを説明する断面図である。
【図4】同、実装基板の要部を作製する工程を示すフロー図である。
【図5】同、光導波路の要部を作製する工程を示すフロー図である。
【図6】同、光導波路の要部を作製する工程を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施の形態3に基づく光導波路装置の上面図(a)と断面図(b)である。
【図8】同、光結合装置の上面図(a)と断面図(b)である。
【図9】同、当接によって位置合わせを行う工程を示す説明図である。
【図10】同、光導波路装置の作製工程の一部を示すフロー図である。
【図11】本発明の実施の形態3に基づく光結合装置の上面図(a)と断面図(b)である。
【図12】同、光結合装置の構造を分解して示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態4に基づく光結合装置の上面図(a)と断面図(b)である。
【図14】同、光結合装置の構造を分解して示す説明図である。
【図15】光導波路を光ファイバと光結合した従来の光導波路装置の問題点を示す説明図である。
【図16】特許文献1に開示されている、光の方向変換のためのオプトメカニカルコネクタの斜視図である。
【符号の説明】
【0140】
1…光導波路、2…光導波路クラッド、2a…下部クラッド、2b…上部クラッド、
3…光導波路コア、4…一方の端面(45度に傾斜した反射面)、
5…他方の端面(45度に傾斜した反射面)、5a…他方の端面のエッジ、
6…光入射又は出射側(光ファイバまたは第2の光導波路側)の光導波路主面、
7…反対側(実装基板側)の光導波路主面、8…光ファイバ、9…光ファイバのコア、
10…光導波路装置、11…嵌合用凸部、12…支持体、13…ガイドピン、
14…V字溝、15…接着剤、21…支持体、22…V字溝、23、24…当接面、
25…所定の距離、26…支持体21の基材、31、32…支持体、
33〜36…当接面、37…支持体、38…光導波路、41…実装基板、
42…嵌合用凹部、43…ガイド孔、44…光素子搭載用凹部、
45…電極パッド(チタンTi/白金Pt/金Au)、46…光素子アレイ、
47…発光又は受光部、48…ボンディングパッド、51…シリコン基板、
52…酸化シリコン膜、53…フォトレジスト層、61…シリコン基板、
62…酸化シリコン膜、63…フォトレジスト層、64…凹部、65…転写用基板、
66…光導波路シート、67…仮基板、71…実装基板、
72…光導波路支持面、73、74…当接面、75…凹部、76…光素子、
77…所定の距離、81…基板、110…実装基板、
111…光導波路、112…光素子、113…光ファイバ、
120…オプトメカニカルコネクタ、121…光ファイバ、
122、126…ガイドピン、123、127…固定具、124、128…蓋、
125…プラスチックカプセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光導波路の一方の端部においてこの光導波路の端面が傾斜した反射面に形成され、この傾斜反射面に対向した位置に光ファイバ又は第2の光導波路が配置され、前記傾斜反射面による反射を介して光の進路が方向変換され、前記第1の光導波路と前記光ファイバ又は前記第2の光導波路とが、光学的に結合された状態で、前記方向変換の角度をなして、直接若しくは間接的に一体化されている、光導波路装置。
【請求項2】
前記一方の端部において、前記第1の光導波路の光入射又は出射側の主面に、前記第1の光導波路と位置合わせされた前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が接着固定されている、請求項1に記載した光導波路装置。
【請求項3】
共通の支持体の1つの面に接して前記第1の光導波路が位置固定され、前記支持体の他の面に、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態の前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定されている、請求項1に記載した光導波路装置。
【請求項4】
第1の支持体に接して前記第1の光導波路が位置固定され、第2の支持体に接して前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定され、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態で前記第1の支持体と前記第2の支持体とが当接又は凹凸嵌合によって互いに位置固定されている、請求項1に記載した光導波路装置。
【請求項5】
前記第2の支持体が前記第1の支持体に対し着脱可能に構成されている、請求項4に記載した光導波路装置。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の光導波路は、コアとクラッドとの接合体からなり、コアを導光路とする、請求項1に記載した光導波路装置。
【請求項7】
前記接合体の少なくとも一部が高分子材料からなる、請求項6に記載した光導波路装置。
【請求項8】
前記第1の光導波路の他方の端面が傾斜した反射面に形成されており、この傾斜反射面による反射を介して光が前記第1の光導波路の外部又は内部へ導かれ、他の光部品との光結合が行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載した光導波路装置。
【請求項9】
請求項1に記載した光導波路装置と、他の光部品が実装された基体とを有し、前記第1の光導波路の他方の端面が前記他の光部品と光結合する状態で、前記第1の光導波路が前記基体に位置固定されている、光結合装置。
【請求項10】
前記一方の端部において、前記第1の光導波路の光入射又は出射側の主面に、前記第1の光導波路と位置合わせされた前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が接着固定されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項11】
共通の支持体の1つの面に接して前記第1の光導波路が位置固定され、前記支持体の他の面に、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態の前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項12】
第1の支持体に接して前記第1の光導波路が位置固定され、第2の支持体に接して前記光ファイバ又は前記第2の光導波路が位置固定され、前記第1の光導波路と位置合わせされた状態で前記第1の支持体と前記第2の支持体とが当接又は凹凸嵌合によって互いに位置固定されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項13】
前記第2の支持体が前記第1の支持体に対し着脱可能に構成されている、請求項12に記載した光結合装置。
【請求項14】
前記第1及び前記第2の光導波路は、コアとクラッドとの接合体からなり、コアを導光路とする、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項15】
前記接合体の少なくとも一部が高分子材料からなる、請求項14に記載した光結合装置。
【請求項16】
前記光ファイバ又は前記第2の光導波路の反対側において前記第1の光導波路の他の主面が前記基体と面接触し、前記他の主面側に形成された凸部又は凹部と、前記基体側に形成された凹部又は凸部とが互いに嵌合されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項17】
前記第1の光導波路の前記他の主面側のクラッド材に前記凸部が形成されている、請求項16に記載した光結合装置。
【請求項18】
前記凹凸嵌合に用いられる凸部及び凹部の断面が互いに逆形状で、前記凸部及び凹部が略同じ傾斜角度をもつ傾斜面を有する、請求項16に記載した光結合装置。
【請求項19】
前記基体に対し前記第1の光導波路が少なくとも位置固定される際に、前記光導波路装置及び前記基体の少なくとも一方をガイドするためのガイド機構を有する、請求項16に記載した光結合装置。
【請求項20】
前記ガイド機構が、前記光導波路装置側と前記基体側とにそれぞれ設けられたガイドピン又はガイド孔で構成され、これらのガイドピンとガイド孔との嵌め合い機構からなる、請求項19に記載した光結合装置。
【請求項21】
前記第1の光導波路と前記基体とが、請求項11又は12に記載した前記共通の支持体又は前記第1の支持体とは反対側の前記第1の光導波路の主面において面接触し、かつ、前記共通の支持体又は前記第1支持体と前記基体とが当接され、この当接によって前記光導波路装置と前記他の光部品とが位置合わせされており、前記基体に対する前記共通の支持体又は前記第1の支持体の当接面が、前記第1の光導波路の前記他方の端面から所定の距離だけ離れた位置に形成されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項22】
前記基体に凹部が形成され、この凹部内の所定位置に前記他の光部品である発光又は受光素子が固定されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項23】
前記第1の光導波路の前記他方の端面が傾斜した反射面に形成されており、この傾斜反射面による反射を介して光が前記第1の光導波路の内部又は外部へ導かれ、前記他の光部品との光結合が行われるように構成された、請求項22に記載した光結合装置。
【請求項24】
前記光導波路装置が前記基体に対し着脱可能に構成されている、請求項9に記載した光結合装置。
【請求項25】
前記他の光部品が、発光素子、受光素子、光ファイバ、又は平面光導波路である、請求項9に記載した光結合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−58327(P2006−58327A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236958(P2004−236958)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】