説明

光電変換素子、およびこれを用いた光電変換装置、撮像システム

【課題】入射光の利用効率を向上する光電変換装置を提供する。
【解決手段】光路部材220は、中心部分222と、中心部分222の屈折率よりも低い屈折率を有する周辺部分221と、を含んでおり、光電変換部110の受光面111に平行な第5平面1005内、および受光面111に平行で第5平面1005よりも受光面111に近い第6平面1006内において、周辺部分221が中心部分222に連続して中心部分222を囲み、かつ、周辺部分221の屈折率が絶縁膜200の屈折率よりも高く、第5平面1005内における周辺部分221の厚みTH2よりも、第6平面1006内における周辺部分221の厚みTH4が小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導光路構造を有する光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光電変換素子を備えた光電変換装置において、光電変換部の数を増やすため、及び/又は光電変換装置を小型化するためには、受光面の幅を小さくする必要がある。そのため、光電変換部自体の感度が低下する場合がある。そこで、入射光の利用効率を高めることで光電変換素子の感度を向上することができる。
入射光の利用効率を高めるためには、特許文献1に記載されているように、光電変換部(受光部)の受光面上に光導波路を設けることが有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−103458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、入射光の利用効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第1は、光電変換部と、前記光電変換部の上に設けられ、絶縁膜に囲まれた光路部材と、を備える光電変換素子において、前記光路部材は、第1部分と、前記第1部分の屈折率よりも低い屈折率を有する第2部分と、を含んでおり、前記光電変換部の受光面に平行な或る平面内および前記受光面に平行で前記或る平面よりも前記受光面に近い別の平面内において、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、かつ、前記第2部分の屈折率が前記絶縁膜の屈折率よりも高く、前記或る平面内における前記第2部分の厚みよりも、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが小さいことを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の第2は、光電変換部と、前記光電変換部の上に設けられ、絶縁膜に囲まれた光路部材と、を備える光電変換素子において、前記光路部材は、窒化シリコンを材料とする第1部分と、窒化シリコンを材料とし、かつ、前記第1部分よりも窒化シリコンの密度が低い第2部分と、を含み、前記絶縁膜は、各々が酸化シリコンまたは珪酸塩ガラスを材料とする第1の絶縁層および第2の絶縁層を含み、前記光電変換部の受光面に平行な或る平面内において、前記第2部分が前記第1部分と前記第1の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、前記光電変換部の受光面に平行で前記或る平面よりも前記受光面に近い別の平面内において、前記第2部分が前記第1部分と前記第2の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、前記或る平面内における前記第2部分の厚みよりも、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが小さいことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の第3は、光電変換部と、前記光電変換部の上に設けられ、絶縁膜に囲まれた光路部材と、を備える光電変換素子において、前記光路部材は、窒化シリコンを材料とする第1部分と、窒化シリコンを材料とし、かつ、前記第1部分よりも窒素に対するシリコンの比が低い第2部分と、を含み、前記絶縁膜は、各々が酸化シリコンまたは珪酸塩ガラスを材料とする第1の絶縁層および第2の絶縁層を含み、前記光電変換部の受光面に平行な或る平面内において、前記第2部分が前記第1部分と前記第1の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、前記光電変換部の受光面に平行で前記或る平面よりも前記受光面に近い別の平面内において、前記第2部分が前記第1部分と第2の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、前記或る平面内における前記第2部分の厚みよりも、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入射光の利用効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】光電変換素子の一例を説明する、光電変換素子の断面模式図である。
【図2】第1実施形態の一例を説明する光電変換素子の一部の断面模式図である。
【図3】第1実施形態を説明する模式図である。
【図4】第2実施形態の一例を説明する光電変換素子の一部の断面模式図である。
【図5】第3実施形態の一例を説明する光電変換素子の一部の断面模式図である。
【図6】第4実施形態の一例を説明する光電変換素子の一部の断面模式図である。
【図7】第5実施形態の一例を説明する光電変換素子の一部の断面模式図である。
【図8】第6実施形態の一例を説明する光電変換素子の一部の断面模式図である。
【図9】光電変換装置および撮像システムの一例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図1を用いて光電変換素子1の概要を説明する。図1は光電変換素子の一例を表す断面模式図である。
【0011】
光電変換素子1は、光電変換部110を備えている。光電変換素子1を1次元状あるいは2次元状に複数(多数)配列することで光電変換装置を成すことができる。光電変換装置については図9を用いて後述するが、光電変換装置は光電変換素子1から得られた信号を制御するための周辺回路をさらに含んでいてもよい。
【0012】
光電変換部110は基板100に設けられている。光電変換装置では、1つの基板100は複数の光電変換部110を有しており、複数の光電変換部110の各々が別々の光電変換素子1の一部を成す。
【0013】
光電変換部110の、図面上で上側の面が受光面111である。受光面111を含む仮想的(幾何学的な)な平面を第1平面1001と呼ぶことにする。典型的には、光電変換部110は半導体基板100の主面101より深部に、不純物を導入することによって形成される。そのため、光電変換部110の受光面111は、典型的には基板100の主面101の少なくとも一部と実質的に一致し、第1平面1001は基板100の主面101を含む。
【0014】
ただし、光電変換部110は、半導体基板100の主面101に凹みを設けて、該凹みの底面より深部に形成されていてもよい。あるいは、ガラス板等の主面上にMIS型構造あるいはPIN型構造を有する薄膜として形成されていてもよい。これらの場合には、基板100の主面101と光電変換部110の受光面111は必ずしも同一平面内には存在しない。
【0015】
基板100上(主面101上)には、少なくとも基板100の、光電変換部110が配された一主面101を覆う絶縁膜200が設けられている。すなわち、絶縁膜200の下面は基板100の主面101に接している。
図1の例では、絶縁膜200は基板100の主面101と、光電変換部110の受光面111を覆っている。絶縁膜200は、複数の光電変換部110同士が導通しない程度の絶縁性(基板100の導電率よりも低い導電率)を有する。典型的には、絶縁膜200は透明である。絶縁膜200は一種類の材料からなる単層膜であってもよいが、典型的には絶縁膜200は互いに異なる材料からなる複数の層が積層された多層膜である。
【0016】
多層膜である場合の絶縁膜200の一例を説明する。絶縁膜200は、主面101側から順に、第1絶縁層205、第2絶縁層206、第3絶縁層207、第4絶縁層208、第5絶縁層209、第6絶縁層210、第7絶縁層211、第8絶縁層212、第9絶縁層213、第10絶縁層214、第11絶縁層215が順次積層されてなる。また絶縁膜200は、第2絶縁層206の一部と第3絶縁層207の一部との間に位置した第12絶縁層216を含んでいる。
【0017】
これらの絶縁層のうち、第2絶縁層206、第5絶縁層209、第7絶縁層211、第9絶縁層213、および、第11絶縁層215は酸化シリコン(SiO)からなる。第3絶縁層207はBPSG(硼燐珪酸塩ガラス)からなるが、BPSGに代えて、PSG(燐珪酸塩ガラス)、BSG(硼珪酸塩ガラス)でもよいし、酸化シリコン(SiO)でもよい。これらの絶縁層のうち、第1絶縁層205、第4絶縁層208、第6絶縁層210、第8絶縁層212、および、第10絶縁層214、第12絶縁層216は窒化シリコン(Si)からなる。
【0018】
絶縁膜200の内部には配線217を設けてもよい。配線217は多層配線であってもよく、図1では、配線217が、第1配線層2171と、第2配線層2172と、プラグ層2173とで構成された例を示している。プラグ層2173は、第1配線層2171と第2配線層2172との間に位置しており、第1配線層2171と第2配線層2172同士を接続している。配線層を2層とした例を示したが、第1配線層2171と第2配線層2172との間にさらに配線層を設けて3層以上の配線層としてもよい。配線217には銅やアルミニウム、タングステン、タンタル、チタン、ポリシリコンなどの導電材料を用いることができる。典型的な配線217は不透明であり、金属光沢を有している。半導体基板100の主面101上にMOS構造を有する転送ゲートのゲート電極218が設けられている。ゲート電極218はポリシリコンからなり、不図示のプラグを介して第1配線層2171に接続されている。
【0019】
配線217について、一例を挙げる。不図示のプラグはタングステンを主成分とし、シングルダマシン法によって形成することができる。第1配線層2171は銅を主成分とし、シングルダマシン法によって形成することができる。プラグ層2173および第2配線層2172は銅を主成分とし、デュアルダマシン法によって一体的に形成することができる。この際、第4絶縁層208、第6絶縁層210、第8絶縁層212はエッチング制御層および銅の拡散防止層として、第10絶縁層214は銅の拡散防止層として用いることができる。なお、第1配線層2171、第2配線層2172、コンタクト層2173、プラグは、絶縁膜200との界面近傍に、タンタル等を主成分とするバリアメタルを有することができる。
【0020】
絶縁膜200は開口部(穴部)201を有している。開口部201は貫通穴もしくは凹部とすることができるが、図1では、開口部201を凹部とした場合の構成を示している。絶縁膜200は、実質的に平坦で基板100の主面101に平行な上面202を有している。ここでは、第11絶縁層215が絶縁膜200の上面202を成す。上面202を含む仮想的(幾何学的な)な平面を第2平面1002と呼ぶことにする。第2平面1002は第1平面1001に平行であって、第1平面1001と第2平面1002は実質的に絶縁膜200の厚み分だけ離れている。開口部201は上面202に連続している。詳細には、開口部201は、底面203と側面204とで構成されている。ここでは、第12絶縁層216が底面203を成す。底面203を含む仮想的(幾何学的な)な平面を第3平面1003と呼ぶことにする。底面203は受光面111に対応した領域に位置している。詳細には、底面203は主面101に平行な方向(第1平面1001および第3平面1003に平行な方向)において、受光面111からの正射影に入るように位置している。このようにして、受光面111と底面203とは絶縁膜200の一部を介して対向している。第3平面1003は第2平面1002(及び第1平面1002)に平行であって、第2平面1002と第3平面1003は実質的に開口部201の深さ分だけ離れている。側面204は上面202及び底面203に連続している。そのため、側面204は実質的に第2平面1002と第3平面1003との間に延在している。なお、開口部201の断面形状がU字型を呈していて、実際には底面203と側面204の境界が明確でない場合がある。その場合でも、第3平面1003は、少なくとも、絶縁膜200の基板100側とは反対側の表面において基板100に最も近い点(開口部201の底)を含む。上記したように、「絶縁膜200の基板100側とは反対側の表面」は上面202、底面203、側面204を有している。絶縁膜200の基板100側の表面は、絶縁膜200の下面である。これまでの説明から明らかなように、第1平面1001と第3平面1003の距離は、実質的に、絶縁膜200の厚みと開口部201の深さとの差に相当する。
【0021】
開口部201の深さは、絶縁膜200の厚みの1/4以上であることが好ましく、絶縁膜200の厚みの1/2以上であることがより好ましい。また、開口部201の深さは、入射光の波長よりも長いことが好ましい。典型的な入射光の波長は緑色の0.55μmであり、開口部201の深さに相当する、第2平面1002と第3平面1003との距離は0.55μm以上であることが好ましい。したがって、絶縁膜200の厚みは0.55μmより厚いことが好ましい。より好ましくは、絶縁膜200の厚みを1.0μm以上とする。絶縁膜200を極端に厚くすると応力が大きくなったり、製造に時間がかかったりするため、実用的には、絶縁膜200の厚みTは10μm以下、好ましくは5.0μm以下とする。
【0022】
開口部201の側面204の平面形状(第1平面1001に平行な平面内での開口部201の形状)は閉ループ状であり、円形や、楕円形、角丸四角形、四角形、六角形とすることができる。ここでは、円形である。なお、底面203も円形である。開口部201の開口端(第2平面1002内での側面204)の幅(直径)は、典型的には10μm以下であり、5.0μm以下であることが好ましい。開口端の幅が、2.0μm以下である場合に本発明は特に顕著な効果を奏する。
【0023】
開口部201の断面形状(中心軸を通り、第1平面1001に垂直な平面内での開口部201の形状)は、図1に示す様な逆台形や、正台形、長方形、正方形、あるいはこれらを組み合わせた階段形とすることができる。
【0024】
開口部201内には光路部材220が位置している。光が光路部材220を通過するために、光路部材220は透明である。なお、ここでいう透明とは実質的に光電変換を行う波長域の光に対して十分な透明性を有していればよく、波長選択性を有していてもよい。
【0025】
光路部材220は開口部201の内側に位置している。そのため、光路部材220は、光電変換部110上に位置しており、絶縁膜200で囲まれている。詳細には、光路部材220は開口部201の側面204に囲まれており、絶縁膜200の側面204に接している。また、光路部材220は開口部201の底面203にも接している。さらに詳細には、光路部材220は、絶縁膜200の第3絶縁層207、第4絶縁層208、第5絶縁層209、第6絶縁層210、第7絶縁層211、第8絶縁層212、第9絶縁層213、第10絶縁層214および、第11絶縁層215で囲まれている。そして、光路部材220は、開口部201の底面203を成す第12絶縁層216と接している。このようにして、光路部材220は、光電変換部110に対応する領域(受光面111の正射影の領域)に位置している。なお、開口部201を凹部ではなく、貫通穴とした場合には、受光面111が開口部201の底面203を成す。換言すれば、光路部材220は光電変換部110と接する。そして、開口部201の深さは実質的に絶縁膜200の厚みと等しくなる。
【0026】
光路部材220の形状は実質的に開口部201の形状と略一致する。本実施形態では、光路部材220は円錐台形状を呈するが、開口部201の形状に応じて、角錐台形状でもよいし、角柱形状、円柱形状でもよい。光路部材220は中心軸に対して回転対称であることが好ましい。光路部材220の幅(直径)は、典型的には10μm以下であり、5.0μm以下であることが好ましい。開口端の幅が、2.0μm以下である場合に本発明は特に顕著な効果を奏する。
【0027】
光路部材220の少なくとも一部の屈折率は、絶縁膜200の屈折率よりも高い。なお、以下の説明では、「絶縁膜200の屈折率」を絶縁膜200の大部分を成す材料の屈折率として説明する。光路部材220の一部の屈折率が絶縁膜200の屈折率以下であってもよい。本発明において単に屈折率という場合には絶対屈折率を意味している。屈折率は波長によって異なるが、少なくとも光電変換部110で信号電荷を生成し得る光の波長に対する屈折率である。さらに、光電変換素子1がカラーフィルタ等の波長選択部を有している場合には、当該波長選択部を透過した光の波長を用いる。しかしながら、実用的には、入射光の波長を人間の眼が敏感な緑色の波長である0.55μmとみなしても差支えなく、以下の説明では、0.55μmに対する屈折率として説明する。
【0028】
光路部材220の最外層の屈折率が絶縁膜200の屈折率よりも高く、光路部材220と絶縁膜200とが界面を成す場合には、幾何光学的には当該界面で全反射を生じ、光路部材220内に入射光を導き、結果として受光面111に導くことができる。
【0029】
なお、導波路構造として、光路部材と絶縁膜の側面との間に、光路部材と絶縁膜とが接しないように不透明膜を設ける構成が知られている(例えば、特開2002−118245号公報)。不透明膜を設けると、迷光の原因となる、側面204から漏れ出す光の量を低減できる。さらに、不透明膜が金属光沢を有する膜(金属膜等)であると、当該不透明膜で金属反射を生じ、光路部材内に入射光を受光面に導くことができる。しかしながら、不透明膜が光路部材220と側面204との間に位置すると、光路部材220に入射せずに絶縁膜200に入射した光は、光路部材220には入射しないために、光利用効率が著しく低下してしまう。一方、不透明膜を設けずに、光路部材220が絶縁膜200の側面204と接していると、絶縁膜200に入射した光を、絶縁膜200から光路部材220に入射させることが可能となり、光利用効率を向上することができる。
【0030】
光路部材220の材料(透明材料)は、有機材料(樹脂)でもよいし無機材料でもよい。しかしながら、無機材料は化学的に安定であるために好ましい。樹脂としては、シロキサン系樹脂やポリイミド等が挙げられる。無機材料としては、窒化シリコン(Si)、酸窒化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)が好適である。光路部材220は単一の材料で構成されていてもよいし、複数の材料で構成されていてもよい。光路部材220、絶縁膜200の材料として例示した材料の屈折率の大まかな値を挙げる。酸化シリコンは1.4〜1.5、酸窒化シリコンは1.6〜1.9、窒化シリコンは1.8〜2.3、酸化チタンは2.5〜2.7、BSG、PSG、BPSGは1.4〜1.6である。なお、ここで述べた屈折率の値の有効数字は2桁であり、小数点2桁目は四捨五入している。上記した値は一例であって、同じ材料であっても、成膜方法を変更することによって、非化学量論的組成比や、材料密度が変化するため、屈折率を適宜設定することが可能である。なお、一般的な樹脂の屈折率は1.3〜1.6、高屈折率樹脂でも1.6〜1.8であるが、金属酸化物等の高屈折率無機材料を含有させることにより、実効的な屈折率を高くすることができる。樹脂に含有させる高屈折率無機材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム等が挙げられる。
【0031】
詳細は実施形態を用いて後述するが、本発明では、光路部材220は、第1高屈折率領域と、第1高屈折率領域の屈折率よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域とで構成されるような屈折率分布を有している。そして、この屈折率分布は、光路部材220の少なくとも一部を成す、同じ材料(同一の材料)で占められた部分(中心部分及び周辺部分)内に形成することができる。実用的には、光路部材220の屈折率は1.6以上であることが好ましい。また、実用的には、上記1つの材料で占められた部分が有する屈折率分布における、屈折率の最大値と最小値との差は0.025以上であることが好ましく、0.050以上であることがより好ましい。なお、典型的には、屈折率の最大値と最小値との差は0.50以下であり、実用的には0.25以下である。屈折率分布において、第1高屈折率領域と第2高屈折率領域の境界を明確に観察できる場合もあるが、明確に観察できない場合もある。例えば、中心軸から絶縁膜200へ向かって、屈折率が緩やかに変化している場合には、第1高屈折率領域と第2高屈折率領域の境界は明確に観察できないであろう。このような場合には、次のようにして、第1高屈折率領域と第2高屈折率領域の境界を決めることができる。すなわち、光路部材220中の同一材料からなる部分の屈折率の最大値と最小値の中間値((最大値+最小値)/2)を求める。そして、光路部材220内の屈折率分布において、当該中間値となる点を結んだ線を、第1高屈折率領域と第2高屈折率領域の境界に定めることができる。当然、第1高屈折率領域は屈折率が最小である部分を含み、第2高屈折率領域は屈折率が最大である部分を含む。
【0032】
なお、「同じ材料」とは、化学量論的組成が同じである材料を意味している。そのため、化学量論的組成からずれた(すなわち、非化学量論的組成が異なっている)材料や、結晶性、材料密度、添加物(主材料より少ない)の濃度、不純物(1wt%以下)およびその濃度が異なっている材料も「同じ材料」とみなすことができる。例えば、窒化シリコンの化学量論的組成比はSi:N=3:4であるが、化学量論的組成比が同じである範囲内において、実際のSiとNの比が互いに異なる材料同士も同じ材料とみなす。また、例えば、単結晶シリコンとポリシリコン(多結晶シリコン)は同じ材料とみなす。なお、化学量論的組成が異なる材料は同じ材料ではない。例えば、一酸化チタン(TiO)と二酸化チタン(TiO)はいずれも酸素とチタンの化合物(チタン酸化物)ではあるが、化学量論的には異なる材料である。上記したように、窒化シリコンは酸化シリコンよりもかなり高い屈折率を有するとともに、酸窒化シリコンに比べて有し得る屈折率の範囲が広いことから、光路部材220の上記屈折率分布を有する材料として好適である。光路部材220に窒化シリコンを用いる場合には、窒化シリコンの成膜方法を成膜途中で変えることによって、上記した屈折率分布を形成することが可能である。また、光路部材220に、金属酸化物粒子が分散した樹脂を用いる場合には、樹脂に含有させる金属酸化物粒子などの高屈折率無機材料の濃度を変化させることによっても、上記した屈折率分布を形成することが可能である。光路部材220の屈折率分布は、互いに異なる材料で形成することもできる。しかしながら、上述したような手法により、同じ材料で屈折率分布を形成することで本発明は顕著な効果を奏し得る。
【0033】
光路部材220および絶縁膜200の形成方法は特に限定されない。典型的には、開口部201のない絶縁膜にエッチング加工を施して開口部201を有する絶縁膜200を形成した後に、開口部201内に光路部材220の材料を堆積させて光路部材220を形成する第1の形成方法を採用することができる。他には、絶縁膜200を構成する各絶縁層を形成するごとに、各絶縁層をエッチングして開口を設ける工程と、光路部材220の材料を開口内に堆積させる工程とを繰り返す第2の形成方法を採用してもよい。また、先に光路部材220を配置した後に、光路部材220の周囲に絶縁膜200の一部の絶縁層を配置する第3の形成方法を採用してもよい。また、開口部201のない絶縁膜を形成した後に、光路部材220に対応する絶縁膜の一部を改質することによって光路部材220を形成する第4の形成方法を採用してもよい。
【0034】
図1の例では、第1の形成方法を採用した例を示している。第12絶縁層216は、絶縁膜200の一部を構成し、開口部201の底面203を構成している。第12絶縁層216は、受光面111の上部及びゲート電極218の一部の上部に配置されている。平面方向における第12絶縁層216の面積は、底面203の面積よりも大きい。また、平面方向における第12絶縁層216の面積は、第1絶縁層205、第2絶縁層206の面積よりも小さい。ここでは、第3絶縁層207が存在する範囲内に開口部201の底面203が位置している。換言すれば、第3平面1003内に第3絶縁層207が位置している。開口部201の底面(第3平面1003)は、第1配線層2171よりも半導体基板100の近くに位置していることが好ましい。
【0035】
第12絶縁層216は多層絶縁膜200に開口部201を形成する際のエッチングストッパーとして機能することができる。エッチングストッパーとして機能させる上では、第12絶縁層216の上面と接する層(ここでは、BPSGからなる第3絶縁層207)と異なる材料を用いる。図1では開口部201の形成時に、第12絶縁層216がわずかにエッチングされた結果、底面203が第12絶縁層216の上面よりも光電変換部110側に位置している形態を示している。その結果、第12絶縁層216は、底面203のごく近傍で側面204のごく一部を成している。エッチングストッパーとしての第12絶縁層216は全くエッチングされなくてもよく、その場合には、第12絶縁層216は、底面203のみを成す。
【0036】
第2絶縁層206と光電変換部110との間に、第2絶縁層206の屈折率と光電変換部110の屈折率との間の屈折率を有する層(ここでは、窒化シリコンからなる第1絶縁層205)を設けると、光路部材220から光電変換部110への透過率が向上する。
【0037】
以上説明したように、少なくとも光路部材220と絶縁膜200とが導波路構造をなし、光電変換素子1に入射した光は、主に光路部材220を介して光電変換部110へ伝搬される。
【0038】
光路部材220及び絶縁膜200の上には、透明膜319が設けられている。
【0039】
透明膜319に対して受光面111側とは反対側には、透明膜319側から順に、第2中屈折率層320、低屈折率層321、第1中屈折率層322、第2レンズ基体層323、第2レンズ体層324、第2レンズ体コーティング層325、平坦化膜326、カラーフィルタ層327、第1レンズ基体層328、第1レンズ体層329が積層されている。これらの層の詳細は後述するが、この構成に限定されることはなく、様々な改変をしてもよい。例えば、第1レンズ体層329(及び第1レンズ基体層328)と、第2レンズ体層324(及び第2レンズ基体層323)の少なくとも一方を省略してもよい。第2レンズ体層324(及び第2レンズ基体層323)を省略する場合には、平坦化膜326を省略してもよい。また、カラーフィルタ層327を省略してもよいし、カラーフィルタ層327が平坦化膜326の機能を兼ねていてもよい。
【0040】
透明膜319は、光電変換素子1の最外面(ここでは第1レンズ体層329の表面)から絶縁膜200および光路部材220までの距離(光路長)を制御している。典型的な透明膜319の厚みは、0.080μm以上である。一方、透明膜319を極端に厚くすると光路部材220への入射光量が減少する。透明膜319の厚みは開口部201の深さ以下であることが好ましく、開口部201の深さの半分以下であることがより好ましい。典型的な透明膜319の厚みは0.50μm以下である。
【0041】
透明膜319の材料は、光路部材220の材料と異なっていてもよいが、同じ材料であることが好ましい。透明膜319の材料が光路部材220の材料と同じである場合、光路部材220と透明膜319とが一体となって、光路部材220と透明膜319との境界が明確に観察できない場合がある。上述したように、光路部材220は開口部201の内側(第2平面1002と第3平面1003との間)に位置し、透明膜319は開口部201の外側に存在する。したがって、透明材料が、開口部201の内側に存在するか、開口部201の外側に存在するかを判断することにより、光路部材220と透明膜319を区別することができる。開口部201の内側と外側の区分は、光電変換素子1の断面の観察画像において、絶縁膜200の上面202を開口部201上まで仮想的に延長する(側面204の上端同士を仮想的に直線で結ぶ)ことにより可能である。
【0042】
以上が、光電変換素子1の概要である。次に、図2〜8を用いて、光路部材220が有する屈折率分布の実施形態を説明する。なお、図2、図4〜8は、図1の基板100、第1平面1001から第2平面1002までの部分、および、透明膜319のみを示している。透明膜319より上の部分の構成に関しては共通であり、また適宜変更することができるので、説明を省略する。また、各図面において、同様の機能を奏する部材あるいは部分には、同じ符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0043】
<第1実施形態>
図2(a)は第1実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に垂直な方向の断面図であり、図2(b)は第1実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に平行な方向の断面図である。
【0044】
図2(a)には、図1を用いて説明した第1平面1001、第2平面1002、第3平面1003に加えて、第4平面1004、第5平面1005、第6平面1006を示している。第4平面1004は、第2平面1002と第3平面1003との間に位置しており、第2平面1002及び第3平面1003から等距離に位置する平面である。すなわち、第4平面1004は、第2平面1002と第3平面1003との中間に位置している。第5平面1005は、第2平面1002と第4平面1004との間に位置しており、第6平面1006は、第3平面1003と第4平面1004との間に位置している。すなわち、第5平面1005は、光路部材220の上部(入射側の半分)を代表する平面であり、ここでは便宜的に第2平面1002と第4平面1004から等距離に位置する平面としている。同様に、第6平面1006は、光路部材220の下部(出射側の半分)を代表する平面であり、ここでは便宜的に第3平面1003と第4平面1004から等距離に位置する平面としている。
【0045】
図2(b)のS1は第2平面1002における断面、S2は第5平面1005における断面、S3は第4平面1004における断面、S4は第6平面1006における断面を示している。S5は第3平面1003の光路部材220側近傍、具体的には、側面204の第3絶縁層207が成す部分の下端における断面を示している。
【0046】
光路部材220は、少なくとも中心部分222と周辺部分221とを有している。周辺部分221は中心部分222と絶縁膜200との間に位置している。
【0047】
そして、周辺部分221は中心部分222を囲んでいる。周辺部分221は中心部分222と同じ材料からなる。少なくとも周辺部分221の一部と中心部分222の一部との間には、周辺部分221および中心部分222の材料と異なる材料からなる部分が存在しておらず、中心部分222から周辺部分221にかけては、同じ材料が連続している。したがって、周辺部分221は中心部分222に連続していると云うことができる。周辺部分221の全体と中心部分222の全体との間に、両者の材料と異なる材料からなる部分が存在しないことが望ましい。図2に示した例のように、周辺部分221は絶縁膜200と接していることが好ましい。
【0048】
本実施形態では、周辺部分221の屈折率は、絶縁膜200の屈折率よりも高い。そして、中心部分222の屈折率は周辺部分221の屈折率よりも高い。そのため、中心部分222の屈折率も絶縁膜200の屈折率よりも高い。
【0049】
このように、光路部材220は、絶縁膜200の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈率材料からなる。そして、高屈折率材料は、第1高屈折率領域と、第1高屈折率領域の屈折率よりも高い屈折率を有する第2の高屈折率領域とで構成されるような屈折率分布を有している。本実施形態では、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222が第2高屈折率領域である。図2(a)では、中心部分222と周辺部分221との間で、屈折率が顕著に異なっている様子を示している。例えば、中心部分222の屈折率が1.90、周辺部分221の屈折率が1.83である場合、電子顕微鏡で観察した、主面101に垂直な方向における光路部材220の断面観察画像では、中心部分222と周辺部分221とで、画像にコントラストがあることを確認することができる。
【0050】
窒化シリコンを用いて屈折率分布を形成するには、例えば次のような方法が挙げられる。第1の方法としては、まず、側面204上に、成膜材料の窒素成分の量に対するシリコン成分の量を比較的少なくして第1の窒化シリコン膜を成膜する。その後に、第1の窒化シリコン膜上に、成膜材料の窒素成分の量に対するシリコン成分の量を、第1の窒化シリコン膜を成膜する際よりも多くして第2の窒化シリコン膜を成膜する。このとき、第1の窒化シリコンを成膜する時と第2の窒化シリコンを成膜する時とで、窒素成分の量およびシリコン成分の量の一方が同じであってもよいし、両方が異なっていてもよい。この第1の方法により、第1の窒化シリコン膜が周辺部分221をなし、第2の窒化シリコン膜が中心部分222をなす、光路部材220を形成することができる。これは、化学量論的組成比がSi:N=3:4であっても、非化学量論的組成に関して、窒素(N)に対するシリコン(Si)の比(Si/N)が比較的高い窒化シリコンは、窒素に対するシリコンの比が比較的低い窒化シリコンよりも、屈折率が高くなるからである。CVD法などの慣用的な成膜法で形成される窒化シリコン膜の、窒素に対するシリコンの比は一般的には1/2〜3/2であり、3/5〜1が典型的である。窒化シリコン膜の窒素に対するシリコンの比が3/4となる、実際の組成が化学量論的組成に一致する窒化シリコンの屈折率は2.0になり得る。
【0051】
第2の方法としては、まず、側面204上に、成膜材料の入射エネルギーを比較的高くして、材料密度の比較的低い第1の窒化シリコン膜を成膜する。その後に、上記第1の窒化シリコン膜上に、第1の窒化シリコン膜を成膜する際よりも成膜材料の入射エネルギーを低くして、第1の窒化シリコン膜よりも材料密度の高い第2の窒化シリコン膜を成膜する。これにより、第1の窒化シリコン膜が周辺部分221をなし、第2の窒化シリコン膜が中心部分222をなす、光路部材220を形成することができる。これは、窒化シリコンの密度が比較的高い、密な窒化シリコン膜は、窒化シリコンの密度が比較的低い、粗な窒化シリコン膜よりも、屈折率が高くなるからである。
【0052】
周辺部分221の厚みは受光面111に近づくにつれて薄くなっている。図2(b)を用いて詳細に説明する。DS1、DS2、DS3、DS4、DS5は、各断面S1〜S5における開口部201の幅(直径)を表している。本実施形態では、側面204が受光面111に対して順テーパー形状を呈しており、DS1>DS2>DS3>DS4>DS5の関係となっている。
【0053】
DL1、DL2、DL3、DL4、DL5は、各断面S1〜S5における中心部分222の幅(直径)を表している。中心軸は中心部分222を通り、中心部分222は中心軸に沿って、途切れることなく連続的に延在している。本実施形態では、中心部分222が円錐台形状を呈しており、中心部分222の外面(周辺部分221側の面)が受光面111に対して順テーパー形状を呈している。中心部分222の外面は中心軸と同心円であり、中心軸に対して回転対称となっている。そして、DL1<DL2<DL3<DL4<DL5の関係となっている。なお、DL5は、DS5よりも小さい値であるが、極めてDS5に近い値である。
【0054】
TH1、TH2、TH3、TH4は、各断面S1〜S4における周辺部分221の厚み(幅)を表している。本実施形態では、周辺部分221の内面(中心部分222側の面)および、周辺部分221の外面(絶縁膜200側の面)が受光面111に対して逆テーパー形状を呈している。そして、TH1>TH2>TH3>TH4>TH5の関係となっている。ここで、TH5(不図示)は、断面S5における周辺部分221の厚みを表しており、(DS5−DL5)/2に相当する値であり、極めて0に近い値である。このように、周辺部分221は、絶縁膜200の側面204に沿って、途切れることなく連続的に延在している。
【0055】
ここでは、周辺部分221の厚みの最大値(TH1)と最小値(TH5)との比(TH1/TH5)はほぼ無限大であるが、少なくとも、周辺部分221の厚みの最小値は、最大値の1/2以下である(最大値/最小値≧2)ことが好ましい。光路部材220に入射する光の波長をλ、絶縁膜200の屈折率をn、周辺部分221の屈折率をnとして、周辺部分221の厚みの最大値がλ/2√(n−n)よりも大きいことが好ましい。また、周辺部分221の厚みの最小値がλ/4√(n−n)よりも小さいことが好ましい。周辺部分221の厚みは、光路部材220の上部(第2平面1002から第4平面1004まで)で最大値となることが好ましい。また、周辺部分221の厚みは、光路部材220の下部(第4平面1004から第3平面1003まで)で最小値となることが好ましい。
【0056】
周辺部分221の厚みが、最小値と最大値の間である部分においても、受光面111により近い平面における厚みが1/2以下となっていることが好ましい。図2(a)、(b)に示した例では、第4平面1004における周辺部分221の厚み(TH3)が、第2平面1002における周辺部分221の厚み(TH1)の1/2となっている。また、第6平面1006における周辺部分221の厚み(TH4)が、第5平面1005における周辺部分221の厚み(TH2)の1/2未満となっている。
【0057】
図3は、本実施形態において、光路部材220の中心軸と平行な光が光路部材220に入射した際の電界強度分布を示している。詳細には、3つの電界強度分布は、光路部材220中で高さの異なる3つの位置における電界強度の、受光面111に平行な面内での分布である。横軸の位置が、光路部材220中での高さを示している。
【0058】
波動光学的には、光は屈折率の高い領域に集中しやすいと考えることができる。そのため、周辺部分221よりも屈折率の高い中心部分222の、厚みが大きい位置では、中心部分222の電界強度が周辺部分221の電界強度に比べて高くなる。また、光の多くは中心部分222を伝搬するために、光路部材220から絶縁膜200に漏れ出す光を減少させることができる。そのため、光の損失が抑制されると考えられる。このため、光電変換素子1の中心軸に平行に入射する光の利用効率を向上することができる。
【0059】
光電変換素子1の中心軸と平行な光とは、実質的に、光電変換部110の受光面に垂直に入射する光であり、光電変換部110への入射光の典型的なものである。したがって、感度の高い光電変換素子1を得ることができる。なお、光電変換素子1の中心軸に平行に入射する光は、光路部材200の内部に焦点を結ぶことが好ましく、第2平面1002と第4平面1004との間に焦点を結ぶことがより好ましい。典型的には、光電変換素子1の中心軸に平行に入射する光は、中心部分222内に焦点を結ぶ。一方、光電変換素子1の中心軸に斜めに入射する光は、主に周辺部分221内に焦点を結ぶ。
【0060】
本実施形態では、周辺部分221の厚みが、光電変換部110に近づくにつれて徐々に小さくなっている。そのため、周辺部分221の、厚みが小さい位置では、厚みが大きい位置と同じ程度の量の光が周辺部分221を伝搬することが困難となる。したがって、周辺部分221を伝搬しきれなくなった光は中心部分222に遷移する。本実施形態では、周辺部分221と中心部分222は同じ材料が連続しているために、この遷移における光の損失が抑制される。これは、通常、異なる材料同士の界面では、屈折率が不連続に変化する。一方、周辺部分221と中心部分222が同じ材料からなることによって、周辺部分221と中心部分222との境界で、屈折率が連続的に変化するためと考えることができる。
【0061】
幅の広い中心部分222から出射した光は、厚み(幅)の狭い周辺部分221から出射する場合に比べて、光路部材220と光電変換部110との間での回折を生じにくい。そのため、光路部材220から出射した光が回折して、光電変換部110に入射しないことによる損失が抑制されると考えられる。
【0062】
以上のように、本実施形態では、光路部材220と絶縁膜200との間、光路部材220内、そして光路部材220と光電変換部110との間での光の損失が抑制しつつ、光が伝搬するために、感度が向上すると考えられる。
【0063】
本実施形態で示したように、周辺部分221の厚みは、受光面111に近づくにしたがって連続的に薄くなることが好ましい。すなわち、受光面111までの距離の短縮に対して、周辺部分221の厚みが狭義単調減少していることが好ましい。周辺部分221の厚みが、受光面111に近づくにつれて断続的に薄くなる、すなわち、受光面111までの距離の短縮に対して周辺部分221の厚みが広義単調減少していてもよい。しかしながら、断続的に薄くなると、周辺部分221の厚みが一定である部分では、上記した中心部分222への遷移は比較的小さいと考えられる。そのため、周辺部分221が急激に薄くなると、中心部分222への遷移に加えて絶縁膜200への遷移も生じやすくなり、損失が生じてしまうと考えられる。
【0064】
本発明者らは、入射光の波長を550nm(緑色光)とし、絶縁膜200の屈折率を1.46、光路部材220の屈折率を1.83〜1.90とした3つのモデルに対して、光路部材220の中心軸と平行な光が光路部材220に入射した際の感度の検討を行った。第1モデルは、中心部分の屈折率および周辺部分の屈折率を共に1.83とした、光路部材220が屈折率分布を有しないモデルである。第2モデルは中心部分の屈折率および周辺部分の屈折率を共に1.90とした、光路部材220が屈折率分布を有しないモデルである。第3モデルは、中心部分222の屈折率を1.90、周辺部分221の屈折率を1.83とした本実施形態に対応するモデルである。第1モデルの感度を1.00として規格化したところ、第2モデルの規格化感度が1.04であったのに対し、第3モデルの規格化感度は1.05であった。このように、第1モデルに対しては、中心部分222の屈折率を周辺部分221の屈折率よりも高くすることにより、また、第2モデルに対しては、
周辺部分221の屈折率を中心部分222の屈折率よりも低くすることにより、光電変換素子1の感度を向上することができる。
【0065】
絶縁膜200が多層膜である場合、多層膜の一部の層の屈折率が光路部材220の周辺部分221の屈折率以上、さらには中心部分222の屈折率以上であってもよい。このような、第1高屈折率領域の屈折率以上の屈折率を有する層を高屈折率絶縁層と呼ぶ。一方、光路部材220の周辺部分221の屈折率よりも低い屈折率を有する、換言すれば、第1高屈折率領域の屈折率未満の屈折率を有する、多層膜の残りの層を低屈折率絶縁層と呼ぶ。高屈折率絶縁層の屈折率は低屈折率絶縁層の屈折率よりも高い。
【0066】
本実施形態の場合、絶縁膜200のうちの、酸化シリコンあるいは珪酸塩ガラスからなり開口部201の側面204を成す、第3絶縁層207、第5絶縁層209、第7絶縁層211、第9絶縁層213、および、第11絶縁層215は低屈折率絶縁層である。これらの低屈折率絶縁層は、光路部材220を囲んでいる。例えば、中心部分222の屈折率が1.83、周辺部分221の屈折率が1.90である場合、第3絶縁層207、第5絶縁層209、第7絶縁層211、第9絶縁層213、および、第11絶縁層215の屈折率が1.46であると、これらの絶縁層は、低屈折率絶縁層である。なお、第2絶縁層206も低屈折率絶縁層であるが、開口部201の側面204を成していない。
【0067】
図2(b)には各平面での断面における側面204を示しているが、詳細には、図2(a)から理解されるように、各断面における側面204は、それぞれ異なる絶縁層によって形成されている。具体的には、断面S1における側面204は第11絶縁層215によって、断面S2における側面204は第9絶縁層213によって、断面S3における側面204は第7絶縁層211によって、断面S4および断面S5における側面204およびは第3絶縁層207によって、それぞれ形成されている。
【0068】
一方、周辺部分221および中心部分222が窒化シリコンであるから、絶縁膜200のうちの、窒化シリコンからなり開口部201の側面204を成す、第4絶縁層208、第6絶縁層210、第8絶縁層212、および、第10絶縁層214は高屈折率絶縁層である。これらの高屈折率絶縁層は、光路部材220を囲んでいる。例えば、中心部分222の屈折率が1.83、周辺部分221の屈折率が1.90である場合、第4絶縁層208、第6絶縁層210、第8絶縁層212、および、第10絶縁層214の屈折率が2.03であると、これらの絶縁層は、高屈折率絶縁層である。なお、第1絶縁層205も高屈折率絶縁層であるが、開口部201の側面204を成していない。本例では、高屈折率絶縁層は周辺部分221および中心部分222の材料と同じ材料からなり、低屈折率絶縁層は周辺部分221および中心部分222の材料と異なる材料からなる。
【0069】
しかしながら、このような光路部材220の屈折率以上の層(高屈折率絶縁層)が開口部201の側面204の大部分を形成することは好ましくない。これは、光路部材220に入射した光が高屈折率絶縁層内を伝搬して、開口部201から漏れる可能性があるためである。そのため、高屈折率絶縁層が成す開口部201の側面204は、開口部201の側面204全体の面積の半分未満とすること好ましく、1/4未満とすることがより好ましい。換言すれば、多層膜のうちの光路部材220の屈折率より低い層(低屈折率絶縁層)が、開口部201の側面204全体の面積の半分以上、好ましくは3/4以上を成すことが好ましい。各層が成す側面204の面積は、各層の厚みや側面204の角度を適宜設定することで調整できる。1つの低屈折率絶縁層の厚みは、典型的には0.10μm以上0.60μm以下である。1つの高屈折率絶縁層の厚みは、光路部材220に入射する光の波長をλ、高屈折率絶縁層の屈折率をn0Hとして、λ/2n0H以下であることが好ましく、λ/4n0H以下であることがより好ましい。高屈折率絶縁層の厚みは、典型的には0.010μm以上0.10μm以下である。
【0070】
<第2実施形態>
図4(a)は第2実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に垂直な方向の断面図であり、図4(b)は第2実施形態に係る光電変換素子1の一部の一部の、主面101(および受光面111)に平行な方向の断面図である。
【0071】
本実施形態でも、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0072】
第1平面1001、第2平面1002、第3平面1003、第4平面1004、第5平面1005、第6平面1006、S1〜S5、DS1〜5、DL1〜5、TH1〜5の定義は図2(a)、(b)と同様であるから、説明を省略する。
【0073】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、側面204は順テーパー形状を呈している。一方、中心部分222が円柱形状を呈しており、中心部分222の外面(周辺部分221側の面)が受光面111に対して垂直になっている。そして、DL1=DL2=DL3=DL4=DL5の関係となっている。また、周辺部分221の内面(中心部分222側の面)は、受光面111に対して垂直になっているが、周辺部分221の外面(絶縁膜200側の面)が受光面111に対して逆テーパー形状を呈している。そして、TH1>TH2>TH3>TH4>TH5の関係となっている。
【0074】
本実施形態の変形例(不図示)を説明する。絶縁膜200の側面204がテーパー形状を呈しておらず、受光面111に対して垂直(DS1=DS2=DS3=DS4=DS5)となっていてもよい。その場合には、中心部分222の外面を受光面111に対して順テーパー形状(DL1<DL2<DL3<DL4<DL5)とすればよい。また、絶縁膜200の側面204が逆テーパー形状を呈して、DS1<DS2<DS3<DS4<DS5となっていてもよい。その場合には、中心部分222の外面を受光面111に対して、側面204よりも傾斜の小さい順テーパー形状とすればよい。すなわち、DS1−DL1>DS2−DL2>DS3−DL3>DS4−DL4>DS5−DL5とすることで、TH1>TH2>TH3>TH4>TH5の関係を実現することができる。
【0075】
<第3実施形態>
図5(a)は第3実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に垂直な方向の断面図であり、図5(b)は第3実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に平行な方向の断面図である。
【0076】
本実施形態でも、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0077】
第1平面1001、第2平面1002、第3平面1003、第4平面1004、第5平面1005、第6平面1006、S1〜S5、DS1〜5、DL1〜5、TH1〜5の定義は図2(a)、(b)と同様であるから、説明を省略する。
【0078】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、側面204は順テーパー形状を呈している。一方、中心部分222の上部の一部分(第2平面1002から第5平面1005までの部分)が円柱形状を呈している。中心部分222の上部の残りの部分(第5平面1005から第4平面1004までの部分)と中心部分222の下部が正円錐台形状を呈している。そして、DL1=DL2<DL3<DL4<DL5の関係となっている。また、周辺部分221の外面(絶縁膜200側の面)が受光面111に対して逆テーパー形状を呈している。そして、TH1>TH2>TH3>TH4>TH5の関係となっている。
【0079】
<第4実施形態>
図6(a)は第4実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に垂直な方向の断面図であり、図6(b)は第4実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に平行な方向の断面図である。
【0080】
本実施形態でも、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0081】
第1平面1001、第2平面1002、第3平面1003、第4平面1004、第5平面1005、第6平面1006、S1〜S5、DS1〜5、DL1〜3、TH1〜3の定義は図2(a)、(b)と同様であるから、説明を省略する。
【0082】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、側面204は順テーパー形状を呈しており、DS1>DS2>DS3>DS4>DS5の関係となっている。一方、本実施形態は、周辺部分221および中心部分222が、第2平面1002と第6平面1006との間に位置して、第6平面1006と第3平面1003との間には位置しない点が、第1〜第3実施形態とは異なる。本実施形態では、光路部材220は、周辺部分221より高い屈折率を有する出射部分2221を有している。出射部分2221の屈折率は、絶縁膜200の屈折率よりも高く、典型的には、中心部分222と同程度の屈折率を有している。したがって、本実施形態では、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222および出射部分2221が、第1高屈折率領域(中心部分222)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0083】
出射部分2221は、第3平面1003と第6平面1006との間に位置している。すなわち、出射部分2221は、中心部分222と光電変換部110との間、詳細には、図1で示した底面203と中心部分222との間に位置している。出射部分2221は、中心部分222(および周辺部分221)と同じ材料からなり、中心部分222に連続している。図6(b)に示したDL4,DL5は出射部分2221の幅(直径)を表している。出射部分2221は逆円錐台形状を呈している。
【0084】
本実施形態では、第3実施形態と同様に、中心部分222の上部の一部分(第2平面1002から第5平面1005までの部分)が円柱形状を呈している。また、中心部分222の上部の残りの一部分と中心部分222の下部の一部分(第4平面1004から第6平面1006までの部分)が正円錐台形状を呈している。
【0085】
中心部分222の上部の残りの部分(第5平面1005から第4平面1004までの部分)と中心部分222の下部(第4平面1004から第6平面1006までの部分)が正円錐台形状を呈している。そして、DL1=DL2<DL3<DL4<DL5の関係となっている。なお、出射部分2221は、絶縁膜200と接しており、DL4=DS4、DL5=DS5の関係となっている。そして、TH1>TH2>TH3>TH4の関係となっている。
【0086】
<第5実施形態>
図7(a)は第5実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に垂直な方向の断面図であり、図7(b)は第5実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に平行な方向の断面図である。
【0087】
本実施形態でも、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0088】
第1平面1001、第2平面1002、第3平面1003、第4平面1004、第5平面1005、第6平面1006、S1〜S5、DS1〜5、DL3〜5、TH3〜5の定義は図2(a)、(b)と同様であるから、説明を省略する。
【0089】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、側面204は順テーパー形状を呈しており、DS1>DS2>DS3>DS4>DS5の関係となっている。一方、本実施形態は、周辺部分221および中心部分222が、第5平面1005と第3平面1003との間に位置して、第2平面1002と第5平面1005との間には位置しない点が、第1〜第4実施形態とは異なる。
【0090】
本実施形態では、光路部材220は、中心部分222より低い屈折率を有する入射部分2212を有している。入射部分2212の屈折率は、絶縁膜200の屈折率よりも高く、典型的には、周辺部分221と同程度の屈折率を有している。したがって、本実施形態では、周辺部分221および入射部分2212が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221および入射部分2212)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0091】
入射部分2212は、第2平面1002と第5平面1005との間に位置している。すなわち、入射部分2212は、透明膜319と周辺部分221との間に位置している。入射部分2212は、周辺部分221(および中心部分222)と同じ材料からなり、周辺部分221に連続している。図7(b)に示したDL1,DL2は入射部分2212の幅(直径)を表している。入射部分2212は逆円錐台形状を呈している。
【0092】
本実施形態では、中心部分222が円錐形状を呈しているが、円錐台形状であってもよい。そして、DL3<DL4<DL5の関係となっている。なお、入射部分2212は、絶縁膜200と接しており、DL4=DS4、DL5=DS5の関係となっている。そして、TH1>TH2>TH3>TH4の関係となっている。このような、円錐形状あるいは円錐台形状の中心部分222は、spindt型の電子放出素子の製法(例えば回転蒸着法)を応用して形成することも可能である。
【0093】
<第6実施形態>
図8(a)は第6実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に垂直な方向の断面図であり、図8(b)は第6実施形態に係る光電変換素子1の一部の、主面101(および受光面111)に平行な方向の断面図である。
【0094】
本実施形態でも、周辺部分221が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。
【0095】
第1平面1001、第2平面1002、第3平面1003、第4平面1004、第5平面1005、第6平面1006、S1〜S5、DS1〜5、DL1〜4、TH1〜4の定義は図2(a)、(b)と同様であるから、説明を省略する。
【0096】
本実施形態では、光路部材220は、出射部分2211を有している。出射部分2211は周辺部分221に連続しており、出射部分2211は周辺部分221と同じ材料からなる。そして、出射部分2211の屈折率は中心部分222の屈折率よりも低い。出射部分2211の厚みは薄いことが好ましい。本実施形態では、周辺部分221および出射部分2211が第1高屈折率領域であり、中心部分222が、第1高屈折率領域(周辺部分221および出射部分2211)よりも高い屈折率を有する第2高屈折率領域である。図8(b)のTH5は出射部分2221の幅(直径)を表しており、ここでは、TH5=DS5となっている。
【0097】
以上説明した第1〜第6実施形態では、周辺部分221が絶縁膜200の側面204と接する形態を説明してきた。しかしながら、周辺部分221が絶縁膜200の側面204と接さずに、周辺部分221と絶縁膜200の側面204との間に、光路部材220の一部を成す1層以上の層が介在していてもよい。
【0098】
例えば、光路部材220は、周辺部分221と絶縁膜200との間に、周辺部分221の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層(不図示)を有していてもよい。この低屈折率層の屈折率は、絶縁膜200の屈折率よりも高いことが好ましく、中心部分222の屈折率よりも低いことがより好ましい。なお、低屈折率層の材料は周辺部分221(および中心部分222)の材料と同じでもよいし、異なっていてもよい。このような低屈折率層を設けると、光の損失を低減することができる。また、この低屈折率層は周辺部分221を囲んでいてもよい。
【0099】
また、例えば光路部材220は、周辺部分221と絶縁膜200との間に、周辺部分221の材料と異なる材料からなる、周辺部分221の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率層(不図示)を有していてもよい。しかしながら、このような高屈折率層の屈折率を、周辺部分221の屈折率よりも極端に高くすると、及び/又は、高屈折率層の厚みを極端に厚くすると、光路部材220に入射する光は当該高屈折率層に集中すると考えられる。そのため、本実施形態による効果が十分に得られない可能性がある。したがって、周辺部分221と高屈折率層との屈折率差は、周辺部分221と中心部分222との屈折率差よりも小さくすることが好ましい。また、任意の断面において、高屈折率層の厚みは、周辺部分221の厚みよりも薄くすることが好ましい。上記したような高屈折率層あるいは低屈折率層は、周辺部分221の形状を規定したり、光路部材220の開口部201への密着性を向上したりする機能を果たすことができる。また、周辺部分221および中心部分222の材料に有機材料(樹脂)を用いる場合には、上記高屈折率層あるいは低屈折率層は、有機材料に対する保護層(パッシベーション層)として機能する。このような保護層の材料に窒化シリコンを用いることが好ましい。
【0100】
なお、中心部分222の内側に、中心部分222に囲まれた、中心部分222とは異なる材料からなる領域、あるいは空隙(ボイド)が存在することもある。しかしながら、かかる領域の屈折率が中心部分222の屈折率よりも低い場合、あるいはこの領域の屈折率が周辺部分221の屈折率よりも高い場合には、これらの領域は極力無くすることが望ましい。
【0101】
第1〜6実施形態に共通する透明膜319について説明する。図2、図4〜8に示す様に、絶縁膜200の上面202上には透明膜319が設けられている。透明膜319は、周辺部分221および中心部分222と同じ材料からなり、絶縁膜200(ここでは第11絶縁層215)の屈折率よりも高い屈折率を有する。透明膜319の屈折率は、中心部分222の屈折率より高いことが好ましく、周辺部分221の屈折率と同程度であることがより好ましい。すなわち、透明膜319の屈折率をn、中心部分222の屈折率をn、周辺部分221の屈折率nとして、(n+n)/2<n<(3n−n)/2であることが好ましい。
【0102】
透明膜319についてより詳細に説明する。第1実施形態(図2)、第2実施形態(図4)、第3実施形態(図5)、第4実施形態(図6)、第6実施形態(図8)に示すように、透明膜319は、第1領域3191と第2領域3192を有している。透明膜319の第2領域3192は第2高屈折率領域である中心部分222に連続している。透明膜319の第1領域3191は第1高屈折率領域である周辺部分221に連続しており絶縁膜200上に位置している。そして、第2領域3192の屈折率は第1領域3191の屈折率よりも高く、透明膜319は屈折率分布を有している。第1領域3191は第2領域3192を囲んでいる。このようにすると、透明膜319に入射した光を、光路部材220の中心部分224へ導くことができ、光の利用効率を向上することができる。仮に開口部201ではなく、絶縁膜201の上面202へ入射しようとする方向に伝搬してきた光が存在していたとしても、透明膜319が光路部材220に光を導くことができる。すなわち、絶縁膜201に入射する前に、透明膜319の第1領域3191に入射するために、光は、屈折率の低い絶縁膜201よりも屈折率の高い透明膜319(第1領域3191)内を伝搬しようとする。透明膜319を伝搬する光は、透明膜319の第1領域3191と同じ材料からなる周辺部分221へ低損失で入射する。また、第1領域3191の光は、第1領域3191よりも屈折率の高い第2領域3192や中心部分222へ伝搬しやすくなる。そのため、光の利用効率を向上することができる。このような効果を得るうえでは、光路部材220に入射する光の波長をλ、透明膜319の屈折率をnとして、透明膜319の厚みがλ/4n以上2λ/n以下であることが好ましい。図7に示した第5実施形態では、透明膜319は入射部分2212に連続しており、透明膜319は、入射部分2212と同程度の屈折率を有している。そして、透明膜319は実質的に屈折率分布を有していない。上記のように第1領域3191と第2領域3192とで屈折率分布を有していると、中心部分222に連続する第2領域3192に光を集中させることができるため好ましい。
【0103】
<光電変換素子の詳細>
図1を用いて、光電変換素子1の一例を詳細に説明する。
【0104】
N型シリコンからなる半導体基板100の中にN型半導体領域112が設けられている。N型半導体領域112の下部を含む周囲にはN型半導体領域113が設けられている。N型半導体領域113の下部にはP型半導体領域114が設けられている。N型半導体領域112が主に電荷蓄積領域として機能することができる。N型半導体領域112とN型半導体領域113とP型半導体領域114とが光電変換部110の一部を構成することができる。
【0105】
第1レンズ基体層328の入射側表面(図1における上面)は、入射側に向かって凸の理想球面、略球面、あるいは非球面(以下、これらを合わせて曲面と呼ぶ)を成している、すなわち凸レンズ形状を有している。これにより、レンズ体層329に入射した光は中心軸に近づき、集光される。レンズ基体層328とレンズ体層329は互いに同じ有機材料(樹脂)からなり、レンズ基体層328とレンズ体層329は互いに接している。つまり、レンズ基体層328とレンズ体層329は実質的に一体として設けられている。レンズ基体層328とレンズ体層329の境界を観察することは困難な場合が多い。その場合には、レンズ体層329の曲面領域の端同士を結んだ平面を仮想的な境界に設定することができる。なお、第1レンズ基体層328を省略して、第1レンズ体層329とカラーフィルタ層327が接する構成としてもよい。
【0106】
第1レンズ体層329の材料の物性(特に屈折率)、曲面の形状(特にその曲率、高さ、幅)は焦点の位置に大きく影響する。概して、曲率を大きくするほど、焦点の位置は第1平面1001から遠くなる。レンズ基体層328の材料の物性(特に屈折率)および厚みは、集光された光がレンズ基体層328内で中心軸に近づく距離に影響するため、焦点を決定する要因の一つとなる。典型的な第1レンズ体層329の屈折率は、1.6〜2.0である。
【0107】
カラーフィルタ層327は、色材を含有する有機材料(樹脂)からなる。色材としては染料を用いることができるが、顔料を用いてもよい。カラーフィルタ層327の材料の物性(特に屈折率)および厚みは、レンズ基体層328とカラーフィルタ層327との界面で屈折した光がカラーフィルタ層327中で中心軸に近づく距離に影響するため、焦点500を決定する要因の一つとなる。典型的なカラーフィルタ層327の厚みは0.1〜1.0μm、屈折率は1.4〜1.6である。
【0108】
平坦化膜326は有機材料(樹脂)からなり、第1レンズ体層329と第2レンズ体層324との距離を調整する機能を有している。また、第2レンズ体層324の曲面形状に対して平坦化されており、カラーフィルタ層327や第1レンズ基体層328、第1レンズ体層329での光路の傾きを抑制する機能も有している。平坦化膜326の最薄部の厚みは、典型的には0.1〜0.5μmである。平坦化膜326の屈折率は1.4〜1.5である。
【0109】
第2レンズ基体層323及び第2レンズ体層324は窒化シリコンからなり、第2レンズ体層324は凸レンズ形状(平凸レンズ形状)を有している。なお、第2レンズ体層324の屈折率は、平坦化膜326の屈折率よりも高い。そのため、第1レンズ体層329で集光された光をさらに集光することができる。
【0110】
第2レンズ体コーティング層325は酸化シリコンからなり、第2レンズ体層324の屈折率と平坦化膜326の屈折率の間の屈折率を有している。このように、第2レンズ体コーティング層325が第2レンズ体層324の屈折率と平坦化膜326の屈折率の間の屈折率を有すると、平坦化膜326から第2レンズ体層324への入射光が増加する。これは、第2レンズ体コーティング層325を設けない場合に生じ得る平坦化膜326と第2レンズ体層324との界面での反射を抑制し、透過率を高くできるためである。
【0111】
第2レンズ体コーティング層325の厚みは、第2レンズ体層324の厚みより小さく、第2レンズ体層324の厚みの1/2以下であることが好ましい。第2レンズ体コーティング層325の厚みを、入射光の波長の(M−0.5)/4n325倍〜(M+0.5)/4n325倍とすると好ましく、入射光の波長のM/4n325倍とすることがより好ましい。ここで、Mは奇数、n325は第2レンズ体コーティング層325の屈折率である。Mは1又は3が好ましく、1がより好ましい。第2レンズ体コーティング層325の厚みをこのように設定すると、第2レンズ体層324の表面での反射光と、第2レンズ体コーティング層325の表面での反射光との干渉を弱めることができ、波動光学的な視点での反射抑制機能を奏する。
【0112】
第2レンズ基体層323と低屈折率層321との間に第1中屈折率層322が設けられており、低屈折率層321と透明膜319との間に第2中屈折率層320が設けられている。第1中屈折率層322および第2中屈折率層320の材料は酸窒化シリコンからなり、低屈折率層321の材料は酸化シリコンである。
【0113】
第1中屈折率層322の上面は第2レンズ基体層323の下面と界面を成しており、第1中屈折率層322の屈折率は、第2レンズ基体層323の屈折率よりも低い。低屈折率層321の上面は第1中屈折率層322の下面と界面を成しており、低屈折率層321の屈折率は、第1中屈折率層322の屈折率よりも低い。そのため、第1中屈折率層322は、第2レンズ基体層323の屈折率と低屈折率層321の屈折率の間の屈折率を有している。第2中屈折率層320の上面は低屈折率層321の下面と界面を成しており、第2中屈折率層320の屈折率は、低屈折率層321の屈折率より高い。第2中屈折率層320の下面は透明膜319の上面と界面を成しており、第2中屈折率層320の屈折率は、透明膜319の屈折率よりも低い。そのため、第2中屈折率層320は、低屈折率層321の屈折率と、透明膜319の屈折率の間の屈折率を有している。このように、第1中屈折率層322、低屈折率層321、第2中屈折率層320はいずれも、第2レンズ基体層323および第2レンズ体層324の屈折率より低いため、第1中屈折率層322と低屈折率層321と第2中屈折率層320を合わせて、低屈折率膜ということができる。なお低屈折率膜から第1中屈折率層322と第2中屈折率層320の少なくとも一方を省略して、低屈折率膜を単層膜あるいは2層膜としてもよい。なお、低屈折率膜を省略することも可能である。
【0114】
低屈折率膜321の屈折率は第1中屈折率層322の屈折率よりも低いため、低屈折率層321内ではスネルの法則に従って、開口部201および光路部材220の中心軸へ近づく方向に屈折する。そのため、開口部201内(光路部材220)に入射する光量を増加させることができる。第1中屈折率層322が無い場合も、低屈折率膜321の屈折率は第1中屈折率層322の屈折率よりも低いため、同様の屈折を生じることができる。しかしながら、第2レンズ基体層323と低屈折率層321の屈折率差により、第2レンズ基体層323と低屈折率層321との界面で入射光の反射が生じる場合がある。また、低屈折率層321と透明膜319の屈折率差により、低屈折率層321と透明膜319の界面で入射光の反射が生じる場合がある。この時の反射率Rは、R=(n321−n319/(n321+n319で表すことができる。ここでn321は低屈折率層321の屈折率、n319は透明膜319の屈折率である。図1の例では、第2レンズ基体層323と第1中屈折率層322との屈折率差と、第1中屈折率層322と低屈折率層321との屈折率差の双方が、第2レンズ基体層323と低屈折率層321との屈折率差よりも小さい。したがって、第2レンズ基体層323から低屈折率層321への透過率を向上でき、低屈折率層321へ入射する光量を増加させることができる。透明膜319の屈折率は第2中屈折率層320の屈折率よりも高いため、透明膜319内ではスネルの法則に従って、開口部201および光路部材220の中心軸から離れる方向に屈折する。そのため、周辺部分221(あるいは周辺部分223)入射する光束を増やすことができる。また、側面204に対する角度を小さくし、臨界角以上の入射角で側面204に入射する光束を増やし、開口部201の側面204から漏れてしまう光の量を減少させることができる。第2中屈折率層320が無い場合も、低屈折率層321の屈折率を透明膜319の屈折率よりも低くすることで、同様の屈折を生じることができる。図1の例では、低屈折率層321と第2中屈折率層320との屈折率差と、第2中屈折率層320と透明膜319との屈折率差の双方が、低屈折率層321と透明膜319との屈折率差よりも小さい。したがって、低屈折率層321から透明膜319への透過率を向上でき、透明膜319へ入射する光量を増加させることができる。
【0115】
第1中屈折率層322の厚みを、入射光の波長の(M−0.5)/4n322倍〜(M+0.5)/4n322倍とすると好ましく、入射光の波長のM/4n322倍とすることがより好ましい。ここで、Mは奇数、n322は第1中屈折率層322の屈折率である。Mは1又は3が好ましく、1がより好ましい。第1中屈折率層322の厚みをこのように設定すると、第1中屈折率層322と第2レンズ基体層323との界面での反射光と、第1中屈折率層322と低屈折率層321との界面での反射光の干渉を弱める、波動光学的な視点での反射抑制機能を奏する。
【0116】
同様に、第2中屈折率層320の厚みを、入射光の波長の(M−0.5)/4n320倍〜(M+0.5)/4n320倍とすると好ましく、入射光の波長のM/4n320倍とすることがより好ましい。ここで、Mは奇数、n320は第2中屈折率層320の屈折率である。Mは1又は3が好ましく、1がより好ましい。
【0117】
低屈折率膜内において中心軸へ近づくような屈折を、各層の厚みが限られた範囲で大きくする上では、第1中屈折率層322の厚みと低屈折率層321の厚みを次のように設定すると良い。まず、第2レンズ基体層323と第1中屈折率層322との相対屈折率と、第1中屈折率層322と低屈折率層321との相対屈折率とを比較する。相対屈折率が大きい方の出射側の媒質(第1中屈折率層322と低屈折率層321の一方)の厚みを、小さい方の出射側の媒質(第1中屈折率層322と低屈折率層321の他方)の厚みよりも大きくする。なお、ここで相対屈折率は、(入射側媒質の屈折率)/(出射側媒質の屈折率)であり、本実施形態では1より大きい値である。なお、これまでの説明において、単に「屈折率」と記載した場合には、絶対屈折率を意味するものとする。スネルの法則によれば、相対屈折率が大きいほど出射角が大きくなるため、上記相対屈折率が大きい方の出射側媒質の厚みを大きくすることにより、出射光をより大きく中心軸に近づけることができる。例えば、第2レンズ基体層323の屈折率が2.00、第1中屈折率層322の屈折率が1.72、低屈折率層321の屈折率が1.46の場合には、2.00/1.72<1.72/1.46である。したがって、低屈折率層321の厚みを、第1中屈折率層322の厚みよりも大きくすればよい。
【0118】
<光電変換装置および撮像システム>
図9を用いて、光電変換装置10およびそれを用いた撮像システム30の一例を説明する。光電変換装置10は、例えば、イメージングセンサーや測距センサー、測光センサーとしての利用が可能である。光電変換装置10が、イメージングセンサーと測距センサー、測光センサーとしての機能のうちの複数の機能を兼ね備えていてもよい。
【0119】
光電変換装置10と、光電変換装置10から出力された電気信号が入力され、当該電気信号を処理する信号処理装置20とを備える撮像システム30を構築することもできる。図9は、撮像システム30の一例を示す図である。電気信号は、光電変換装置10のOUT1、OUT2から出力される。ここでは、出力経路をOUT1、OUT2の2つを設けた例を示したが、出力経路は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。電気信号は、信号処理装置20のINに入力される。電気信号は、電流信号であってもよいし電圧信号でもよく、また、アナログ信号であってもよいしデジタル信号であってもよい。電気信号の代わりに光信号を用いてもよい。
【0120】
光電変換装置10をイメージセンサーとして用いる場合には、信号処理装置20を、INに電気信号を入力することにより、OUT3から画像信号を出力するように構成する。光電変換装置10を焦点検出用の測距センサーとして用いる場合には、信号処理装置20を、INに電気信号を入力することにより、光電変換装置10の前方に設けられたレンズを駆動するための駆動信号を、OUT3から出力するように構成する。光電変換装置10を測光センサーとして用いる場合には、信号処理装置20を、INに電気信号を入力することにより、シャッターを制御して露光時間を調整する制御信号をOUT3から出力するように構成する。なお、上記シャッターはメカニカルシャッターでも電子シャッターでもよいが、電子シャッターの場合は、実質的に光電変換装置10を制御することになる。本発明の光電変換装置10をイメージセンサーとして用いると特に好適であり、良好な画像を得ることができる。
【0121】
図9に示した撮像システム30における光電変換装置10の一例を説明する。本例では、光電変換装置10として画素増幅型光電変換装置をイメージセンサーとして用いている。図9において、光電変換装置10は、画素領域611と、垂直走査回路612と、2つの読み出し回路613と、2つの水平走査回路614と、2つの出力アンプ615を備えている。画素領域611以外の領域を周辺回路領域とも称する。
【0122】
画素領域611には、多数の光電変換素子1が2次元状に配列されている。各光電変換素子1が1画素に相当する。互いに隣り合う光電変換素子1の中心軸同士の間隔(画素ピッチ)は、典型的には、10μm以下であり、5.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましい。周辺回路領域には、読み出し回路613、例えば、列アンプ、CDS回路、加算回路等が設けられ、垂直走査回路612によって選択された行の画素から垂直信号線を介して読み出された信号に対して増幅、加算等を行う。列アンプ、CDS回路、加算回路等は、例えば、画素列又は複数の画素列毎に配置される。水平走査回路614は、読み出し回路613の信号を順番に読み出すための信号を生成する。出力アンプ615は、水平走査回路614によって選択された列の信号を増幅して出力する。
【0123】
以上の構成は、光電変換装置10の一つの構成例に過ぎず、これに限定されるものではない。読み出し回路613と水平走査回路614と出力アンプ615とは、2系統の出力経路(OUT1、OUT2)を構成するため、画素領域611を挟んで上下に1つずつ配置されている。
【0124】
代表的な撮像システム30としてはスチルカメラやビデオカメラ等のカメラが挙げられる。撮像システム30は、光電変換装置10を移動可能にする移動手段(不図示)を備えることもできる。移動手段としては、電動モーターやレシプロエンジン、ロータリーエンジン等を動力源とする車輪が挙げられる。また、移動手段としては、プロペラ、タービンエンジン、ロケットエンジン等の推進装置も挙げられる。このような、移動手段を備える撮像システムは、自動車や鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星等に、光電変換装置10および信号処理装置20を搭載することにより実現が可能である。
【符号の説明】
【0125】
100 基板
110 光電変換部
200 絶縁膜
220 光路部材
221 周辺部分
222 中心部分
319 透明膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と、前記光電変換部の上に設けられ、絶縁膜に囲まれた光路部材と、を備える光電変換素子において、
前記光路部材は、第1部分と、前記第1部分の屈折率よりも低い屈折率を有する第2部分と、を含んでおり、
前記光電変換部の受光面に平行な或る平面内および前記受光面に平行で前記或る平面よりも前記受光面に近い別の平面内において、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、かつ、前記第2部分の屈折率が前記絶縁膜の屈折率よりも高く、
前記或る平面内における前記第2部分の厚みよりも、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが小さいことを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】
前記第2部分は、前記第1部分と化学量論的組成が同じであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
光電変換部と、前記光電変換部の上に設けられ、絶縁膜に囲まれた光路部材と、を備える光電変換素子において、
前記光路部材は、窒化シリコンを材料とする第1部分と、窒化シリコンを材料とし、かつ、前記第1部分よりも窒化シリコンの密度が低い第2部分と、を含み、
前記絶縁膜は、各々が酸化シリコンまたは珪酸塩ガラスを材料とする第1の絶縁層および第2の絶縁層を含み、
前記光電変換部の受光面に平行な或る平面内において、前記第2部分が前記第1部分と前記第1の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、
前記光電変換部の受光面に平行で前記或る平面よりも前記受光面に近い別の平面内において、前記第2部分が前記第1部分と前記第2の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、
前記或る平面内における前記第2部分の厚みよりも、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが小さいことを特徴とする光電変換素子。
【請求項4】
光電変換部と、前記光電変換部の上に設けられ、絶縁膜に囲まれた光路部材と、を備える光電変換素子において、
前記光路部材は、窒化シリコンを材料とする第1部分と、窒化シリコンを材料とし、かつ、前記第1部分よりも窒素に対するシリコンの比が低い第2部分と、を含み、
前記絶縁膜は、各々が酸化シリコンまたは珪酸塩ガラスを材料とする第1の絶縁層および第2の絶縁層を含み、
前記光電変換部の受光面に平行な或る平面内において、前記第2部分が前記第1部分と前記第1の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、
前記光電変換部の受光面に平行で前記或る平面よりも前記受光面に近い別の平面内において、前記第2部分が前記第1部分と第2の絶縁層との間に位置し、かつ、前記第2部分が前記第1部分に連続するとともに前記第1部分を囲み、
前記或る平面内における前記第2部分の厚みよりも、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが小さいことを特徴とする光電変換素子。
【請求項5】
前記受光面に垂直で、前記或る平面および前記別の平面内において前記第1部分を通る軸から、前記絶縁膜へ向かって、前記第1部分および前記第2部分の屈折率が連続的に変化していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記別の平面内における前記第2部分の厚みが、前記或る平面内における前記第2部分の厚みの1/2以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記光路部材は、前記絶縁膜の上面から連続する側面と、前記側面に連続する底面とを有する、前記絶縁膜の開口部内に設けられており、
前記受光面を含む平面を第1平面とし、前記上面を含み前記第1平面に平行な平面を第2平面として、前記底面は、前記第1平面と前記第2平面との間の、前記第1平面に平行な第3平面内に位置しており、
前記第2平面および前記第3平面から等距離に位置する、前記第1平面に平行な平面を第4平面とし、前記第2平面および前記第4平面から等距離に位置する、前記第1平面に平行な平面を第5平面とし、前記第3平面および前記第4平面から等距離に位置する、前記第1平面に平行な平面を第6平面として、前記或る平面は、前記第4平面と前記第5平面との間に位置し、前記別の平面は、前記第4平面と前記第6平面との間または前記第6平面と前記第3平面との間に位置することを特徴とする請求項6に記載の光電変換素子。
【請求項8】
前記光路部材に入射する光の波長をλ、前記絶縁膜の屈折率をn、前記第2部分の屈折率をnとして、前記第2部分の厚みの最大値がλ/2√(n−n)よりも大きく、前記第2部分の厚みの最小値がλ/4√(n−n)よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項9】
前記絶縁膜は、各々が前記第2部分の屈折率以上の屈折率を有し前記光路部材を囲む第1の高屈折率絶縁層および第2の高屈折率絶縁層と、各々が前記第2部分の屈折率未満の屈折率を有し前記光路部材を囲む第1の低屈折率絶縁層および第2の低屈折率絶縁層と、を含む多層膜であって、
前記第1の高屈折率絶縁層および前記第2の高屈折率絶縁層の厚みが前記第1の低屈折率絶縁層および前記第2の低屈折率絶縁層の厚みよりも小さく、前記第1の低屈折率絶縁層は前記第1の高屈折率絶縁層と前記第2の高屈折率絶縁層との間に位置しており、
前記或る平面内には、前記第1の低屈折率絶縁層が位置し、前記別の平面内には、前記第2の低屈折率絶縁層が位置し、前記別の平面内における前記第2部分の厚みが、前記或る平面内における前記第2部分の厚みの1/2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
【請求項10】
前記絶縁膜は、各々が窒化シリコンを材料とする第3の絶縁層および第4の絶縁層を含み、
前記第3の絶縁層および前記第4の絶縁層の厚みが前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層よりも小さく、前記第1の絶縁層は前記第3の絶縁層と前記第4の絶縁層との間に位置しており、
前記別の平面内における前記第2部分の厚みが、前記或る平面内における前記第2部分の厚みの1/2以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の光電変換素子。
【請求項11】
前記光路部材は、前記第1部分と前記光電変換部との間に、前記第1部分と化学量論的組成が同じであり、かつ、前記第2部分の屈折率よりも低い屈折率を有する第3部分を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項12】
前記光路部材が前記絶縁膜と接していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項13】
前記第2部分が前記絶縁膜と接していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項14】
前記第2部分と前記絶縁膜との間に、前記第2部分の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項15】
前記第2部分と前記絶縁膜との間に、前記第2部分とは化学量論的組成が異なる、前記第2部分の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項16】
前記別の平面内における前記光路部材の幅が、前記或る平面内における前記光路部材の幅よりも小さく、前記第2部分は、前記或る平面および前記別の平面の間で、前記絶縁膜に沿って連続的に延在しており、かつ、前記第2部分の厚みは、前記受光面に近づくに従って連続的に薄くなることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項17】
前記光路部材の上から前記絶縁膜の上に延在し、前記第1部分と化学量論的組成が同じである透明膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項18】
前記透明膜は、前記第2部分に連続した第1領域と、前記第1部分に連続した第2領域とを有し、
前記第1領域は、前記受光面に平行な平面内において前記第2領域を囲み、
前記第2領域の屈折率が、前記第1領域の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項17に記載の光電変換素子。
【請求項19】
前記光路部材に入射する光の波長をλ、前記透明膜の屈折率をnとして、前記透明膜の厚みがλ/4n以上2λ/n以下であることを特徴とする請求項17または18に記載の光電変換素子。
【請求項20】
前記絶縁膜の内部には、プラグ層を介して互いに接続された複数の配線層が設けられており、前記光路部材に対して前記光電変換部とは反対側には、第1レンズ体層と、前記第1レンズ体層と前記光路部材との間に位置する第2レンズ体層とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項21】
前記第1部分および前記第2部分の材料が窒化シリコンであること、または前記第1部分および前記第2部分の材料が樹脂であることを特徴とする請求項1、2又は9に記載の光電変換素子。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光電変換素子を含む画素の複数が配列されており、互いに隣り合う前記光電変換素子のそれぞれの前記受光面に垂直で、前記或る平面内および前記別の平面内において前記第1部分を通る軸の間隔が5.0μm以下であることを特徴とする画素増幅型の光電変換装置。
【請求項23】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の光電変換素子の複数が配列された光電変換装置と、前記光電変換装置から出力された信号が入力され、前記信号を処理する信号処理装置と、を有することを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182435(P2012−182435A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−680(P2012−680)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】