入力操作装置
【課題】 乗り物の運転操作を一層楽に行うことができる入力操作装置を提供する。
【解決手段】 車両には、片手で操舵、加減速の各種操作が可能な入力操作装置1が設置されている。車両の操舵はグリップ5をその操舵回転軸線Ls回りに回転操作することで行い、車両の加速はアーム9を介してグリップ5を操舵回動軸線Lg回りに下方へ回動するで行う。グリップ5には、減速操作時に操作する操作レバー11が配設されている。操作レバー11は自身の基端を支点として減速回動軸線Ld回りに回動可能であり、例えば右手親指で把持部5bを支えつつ他の4本の指で引き込むこと、つまりグリップ5に握り操作を付与することで回動操作が可能である。従って、車両の減速はグリップ5を握る動作により操作レバー11を手前側に回動操作することで行う。グリップ5には、オートクルーズ機能を作動させるためのオートクルーズスイッチボタン36が配設されている。
【解決手段】 車両には、片手で操舵、加減速の各種操作が可能な入力操作装置1が設置されている。車両の操舵はグリップ5をその操舵回転軸線Ls回りに回転操作することで行い、車両の加速はアーム9を介してグリップ5を操舵回動軸線Lg回りに下方へ回動するで行う。グリップ5には、減速操作時に操作する操作レバー11が配設されている。操作レバー11は自身の基端を支点として減速回動軸線Ld回りに回動可能であり、例えば右手親指で把持部5bを支えつつ他の4本の指で引き込むこと、つまりグリップ5に握り操作を付与することで回動操作が可能である。従って、車両の減速はグリップ5を握る動作により操作レバー11を手前側に回動操作することで行う。グリップ5には、オートクルーズ機能を作動させるためのオートクルーズスイッチボタン36が配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物の運転操作時に用いられ、運転者の手及び前腕を用いて各種操作を行う入力操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転時に操作する入力操作装置としては、例えば円形ステアリングやペダル等が用いられている。ところで、これらの入力操作装置は機械的な制約からその形状が決まっていることから、必ずしも運転者の体に合ったものではなく、長時間運転時における疲労蓄積や、長期に亘る運転習得訓練が必要となる等の問題がある。そこで、加減速や操舵等の運転操作を簡素化した構造の入力操作装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図23は特許文献1で開示された入力操作装置の平面図であり、図24はその側面図である。入力操作装置61は、肘支持部62を回動中心としてその中心まわりに水平面内で左右に回動可能な第1レバー63と、鉛直面内に回動可能な状態で第1レバー63の先端に軸支された第2レバー64とを備えている。第1レバー63が左側に回動されると車両が左側に操舵され、第1レバー63が右側に回動されると車両が右側に操舵される。また、第2レバー64が上側に回動されると車両が加速し、第2レバー64が下側に回動されると車両が減速する。
【特許文献1】特開2002−258959号(第4−7頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常の車両においては、運転席に例えばターンシグナルランプ(ウィンカー)、ヘッドライト、ワイパ等を動作させる各種スイッチ類が配設される。また、車両によっては、スイッチ操作を行うと、そのときの車両速度が一定に維持されるオートクルーズスイッチが配設されている車種もある。しかし、これら操作スイッチはインストルメントパネル等に配置されることから、スイッチ操作は入力操作装置61を操作していない空いている方の手で行うことになり、走行時に片手操作で済むという入力操作装置61の利点が低減してしまう。
【0005】
本発明の目的は、乗り物の運転操作を一層楽に行うことができる入力操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、乗り物の運転操作時に操作され、運転者の手及び前腕を用いて各種操作を行う入力操作装置において、操作時に運転者が把持するグリップと、前記乗り物を少なくとも操舵及び加減速させる際に操作され、前記グリップを把持した運転者の手の操作を入力操作とする入力操作機構と、前記乗り物に搭載された走行系装置を作動させる際に操作する操作手段と、前記操作手段が操作された際、その操作信号を基に前記走行系装置を作動させる制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、入力操作装置を操作した状態、つまり入力操作装置のグリップを把持した状態で、操作手段の操作が可能となることから、操作手段を操作するために空いた方の手を使用する必要性が生じず、乗り物の運転操作を一層楽に行うことが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記入力操作機構は、運転者の前腕の少なくとも一部を支持するアームレストと、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記前腕と平行に延びる軸線回りの手首の回転に伴う前記グリップの回転を入力操作とする第1入力操作部と、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記手首を中心として手の回転に伴う前記グリップの移動を入力操作とする第2入力操作部と、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記運転者の前記グリップの握りを入力操作とする第3入力操作部とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、乗り物を運転する際には、第1入力操作部、第2入力操作部及び第3入力操作部を操作することで、例えば加速操作、減速操作及び操舵操作等を行って運転走行する。第1入力操作部を用いた操作は、前腕と平行に延びる軸線回りにグリップを回転させる操作であり、第2入力操作部を用いた操作は、手首を中心としてグリップを手の回転に伴い移動させる操作であり、第3入力操作部の操作は、グリップに握り力を付与する操作である。
【0010】
従って、第1入力操作部、第2入力操作部及び第3入力操作部の各操作は、それぞれ独立した手の動きによる操作となる。ところで、1つの入力操作部で2つの走行操作を行う場合、その入力操作部による操作を所定操作から他の操作に切り換えるとき、操作したストローク分だけ入力操作部を元に戻す必要があり、走行操作が迅速に実施できない不具合が生じる。しかし、本発明の入力操作装置を用いれば、例えば加速から減速を行う場合や、或いはその逆に減速から加速を行う場合、その切り換えをタイムラグ無く直ぐに実施可能となり、加減速切り換えの際に時間がかかるような問題が生じなくなる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記操作手段は、運転者が前記グリップを把持した際に、その親指が届く部位に配置されている請求項1又は2に記載の入力操作装置。(作用・効果)この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、人の5本の指のうち最も細かい操作が可能な指は親指であることから、運転者がグリップを把持した際に親指が届く部位に操作手段を配置すれば、操作手段は親指で操作されることとなり、操作手段の細かな操作が可能となることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、人の5本の指のうち最も細かい操作が可能な指は親指であることから、運転者がグリップを把持した際に親指が届く部位に操作手段を配置すれば、操作手段は親指で操作されることとなり、操作手段の細かな操作が可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記操作手段が操作された際に、その押込状態を保持すべく該操作手段の操作状態を維持する係止機構と、前記操作手段が操作されて前記係止機構により前記操作状態が維持された後、該操作状態を解除すべき操作が前記入力操作機構でなされた際に、その動きを操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置へ機械的に復帰させる復帰機構とを備えたことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、請求項1〜3のうちいずれか一項の発明の作用に加え、操作手段が操作されて係止機構により操作状態が維持された後、操作状態を解除すべき操作が入力操作機構でなされると、その動きを操作力として復帰機構が作動し、操作手段が元の中立位置に復帰する。従って、入力操作機構を操作したときの動作を操作手段の復帰に利用することが可能となり、この種の構造の操作手段を用いた場合に、復帰用の特別なアクチュエータ等を用意せずに済む。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記走行系装置は、前記乗り物の速度を一定速度で維持する定速走行制御装置であり、前記第3入力操作部は、前記乗り物を減速させる際に操作する操作部であり、前記復帰機構は、前記第3入力操作部が握り操作された際に、その握り力を操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置に復帰させて前記定速走行制御装置による定速状態を解除することを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、定速状態の定速走行制御装置を解除状態にするには、減速操作、つまり制動操作されたことを条件とするのが一般的である。ここで、運転者の手の握りを入力操作とする第3入力操作部を減速用の操作部とすれば、中立位置への復帰力を操作手段に付与する入力操作部の近傍に、定速走行制御装置を作動させる操作手段が位置した状態となる。従って、入力操作部の入力操作に連動して機械的に操作手段を中立位置に復帰させる構造を用いても、入力操作部と操作手段とが近くに存在することから、復帰機構が簡素な構造で済む。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であり、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、前腕と平行に延びる軸線回りの手首回転を入力操作とする第1入力操作部を操舵用の操作部とすることから、その軸線回りにグリップを回転する操作によって操舵が行われる。従って、操舵操作をこの形態とした場合、方向指示装置を作動させる操作手段がグリップの上面に配置されていれば、操舵操作の際にその操作方向に付与した力で操作手段が操作可能となることから、操作手段の高い操作性が確保される。即ち、例えば右操舵した際には、右操作方向に付与した力で操作手段を右操作(方向指示装置の右点灯操作)することが可能であり、左操舵した際には、左操作方向に付与したで操作手段を左操作(方向指示装置の左点灯操作)することが可能となる。従って、操作手段の操作が楽に行え、高い操作性が確保される。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、操舵操作、加速操作又は減速操作時の前記入力操作機構の操作方向と、前記操作手段の操作方向とが同一方向であることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明によれば、入力操作機構の操作方向と操作手段の操作方向とが同一であれば、入力操作機構操作時に付与した操作方向の力で操作手段を操作することが可能であるので、操作手段の操作を楽に行うことが可能となり、高い操作性が確保される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、乗り物の運転操作を一層楽に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した入力操作装置の第1実施形態を図1〜図14に従って説明する。
【0023】
図1〜図3は入力操作装置1を示す各種図であり、図1は側面図、図2は平面図、図3は車両の前方から見た図である。また、図4は入力操作装置1を車両前方から見た図である。図1〜図3に示すように、入力操作装置1は車両の各種走行操作を行うための操作系部材であり、本例においてはこの1つの入力操作装置1を片手(例えば、運転者の右手)で操作することで、車両の操舵(ステアリング操作)、加速(アクセル操作)及び減速(制動操作)が可能である。
【0024】
図4に示すように、車両のドア2の内側には、肘置きとして用いるアームレスト3が取り付けられ、このアームレスト3の側端部には、運転者の前腕(右前腕)を側方側で支持するサイド部材4が立設されている。アームレスト3は車両のほぼ前後方向に、かつほぼ水平に延び、サイド部材4はアームレスト3と平行状態に延びている。入力操作装置1は、ドア2の内側面の凹部2aに一部が埋設した状態で、かつサイド部材4に支持された状態で車両に取り付けられる。なお、アームレスト3が入力操作機構を構成する。
【0025】
図1に示すように、入力操作装置1は、シートに着座した状態の運転者が右手で把持可能なグリップ5を備えている。このグリップ5は例えば樹脂を材質としており、基端側に位置する本体部5aと、その本体部5aと一体となった先端側の把持部5bとを有する形状をなしている。本体部5aは外形が略卵形状であり、操舵回転軸線Lsと直交する断面の形状が楕円形状をなしている。また、把持部5bは略平板形状をなし、運転者が入力操作装置1を操作する際に把持する部位となる。
【0026】
入力操作装置1は、車両の操舵時に操作される操舵入力操作部6と、車両の加速時に操作される加速指示入力操作部7と、車両の減速時に操作される減速指示入力操作部8とを備えている。まず、操舵入力操作部6の概略を説明すると、グリップ5は操舵回転軸線Ls回りに回転可能(図3参照)であり、その操舵回転軸線Ls回りに手首を回転させることで回転操作が可能である。従って、車両の操舵操作はグリップ5をその操舵回転軸線Ls回りに回転操作することにより行う。例えば、グリップ5を右方向に回動すると車両が右側に操舵され、一方でグリップ5を左側に回動すると車両が左側に操舵される。
【0027】
また、加速指示入力操作部7の概略を説明すると、グリップ5からは略U字形状のアーム9が延びており、このアーム9の基端が入力操作装置1の装置本体10に連結されている。グリップ5はアーム9の基端を支点として加速回動軸線Lg回りに下方へ回動可能(図1参照)であり、手首を中心に手を下方に回動させることで回動操作が可能である。従って、車両の加速操作はアーム9を介してグリップ5を下方に回動操作することにより行う。操舵回転軸線Lsと加速回動軸線Lgとは互いに交差(直交)する状態となる。なお、操舵入力操作部6が入力操作機構及び第1入力操作部を構成し、加速指示入力操作部7及びアーム9が入力操作機構及び第2入力操作部を構成し、減速指示入力操作部8が入力操作機構及び第3入力操作部を構成する。
【0028】
続いて、減速指示入力操作部8の概略を説明すると、図1に示すようにグリップ5(把持部5b)には、減速操作時(制動操作時)に操作する操作レバー11が配設されている。操作レバー11は略棒形状をなしており、基端を支点として回動可能な状態で把持部5bに支持されている。操作レバー11は自身の基端を支点として減速回動軸線Ld回りに回動可能(図1参照)であり、例えば右手親指で把持部5bを支えつつ他の4本の指で引き込むこと、つまりグリップ5に握り操作を付与することで回動操作が可能である。従って、車両の減速(制動)操作はグリップ5を握る動作によって操作レバー11を手前側に回動操作することにより行う。グリップ5は、操舵入力操作部6、加速指示入力操作部7及び減速指示入力操作部8の間で共用されている。
【0029】
図5は、グリップ5の内部の操舵入力操作部6を示す側面図である。グリップ5のハウジングの内部には、グリップ5の操舵回転軸線Ls回りの回転を許容する操舵入力操作部6が配設されている。操舵入力操作部6を以下に詳述すると、グリップ5の内部には、同グリップ5に対し相対回転不可能な状態でシャフト12が内蔵されている。シャフト12は、装置本体10から延びるアーム9の先端に連結固定され、操舵回転軸線Lsに沿って延びている。アーム9の先端はグリップ5の中心よりも下方に接続され、言い換えるならばシャフト12はグリップ5の中心よりやや下方に配置されている。
【0030】
シャフト12の先端には、先端側から順にポテンショメータ駆動ギア13及びダンパ駆動ギア14が各々固着されている。グリップ5の内面には略平板形状のベース部材15が固着され、シャフト12はそのベース部材15に対しベアリング16を介して相対回転可能に取り付けられている。また、ベース部材15には、ダンパ駆動伝達ギア17がベース部材15に対し相対回転可能な状態で取り付けられている。ダンパ駆動伝達ギア17はダンパ駆動ギア14に噛合係合され、グリップ5(即ち、ベース部材15)が回転すると、ダンパ駆動ギア14との間の噛合いによって自身も回転する。
【0031】
図6は、ダンパ18の内部構成を示す断面図である。ベース部材15には、グリップ5の急激な回転を防止するダンパ18が取り付けられている。ダンパ18は、ダンパ駆動伝達ギア17に噛合うとともにベース部材15に対し相対回転可能なダンパギア19と、ダンパギア19のギア軸に固着された回転側部材20と、回転側部材20を回動可能に収容するベース側部材21とを備えている。回転側部材20とベース側部材21との間にできる内部空間には、シリコンオイル22が収容されている。
【0032】
グリップ5が操舵操作(即ち、操舵回転軸線Ls回りの回転操作)されると、ダンパ駆動伝達ギア17がダンパ駆動ギア14(シャフト12)に対して相対回転し、この回転に伴ってダンパギア19及び回転側部材20が操舵に応じた回転方向に回転する。このとき、ダンパ18内のシリコンオイル22の粘性によって回転側部材20とベース側部材21との間に抵抗力が生じ、グリップ5の急激な回転を防止すべく、グリップ5の回転に対し抵抗力が付与される。なお、回転側部材20とベース側部材21との互いに対向する面同士の対は、複数対設けることが望ましいが、必ずしもこれに限らず1対でもよい。
【0033】
図5に示すように、ベース部材15には、グリップ5の操舵回転軸線Ls回りの回転角度、つまりグリップ5の操舵回転中立位置(図3の実線状態)を基準とした操舵角度θs(図3参照)を検出する一対のポテンショメータ23,24が取り付けられている。ポテンショメータ23,24は各々ポテンショメータギア25,26を有し、これらポテンショメータギア25,26はポテンショメータ駆動ギア13に各々噛合係合されている。ポテンショメータ23,24としては例えば光学的や磁気的に位置検出を行うものが用いられ、操舵角度θsに応じた検出信号を出力する。本例は2つのポテンショメータ23,24を取り付けているが、これはフェールセーフのためである。
【0034】
従って、図7(a)に示す中立位置状態からグリップ5が操舵操作(例えば、右操舵操作)されると、図7(b)に示すようにダンパ駆動伝達ギア17が右操舵に応じた回転方向に相対回転することによってダンパギア19が回転するとともに、ポテンショメータギア25,26も右操舵に応じた回転方向に回転する。このとき、ダンパ18が作用することによってグリップ5の操舵には抵抗力が付与された状態となるとともに、グリップ5の操舵角度θsがポテンショメータ23,24によって検出され、その操舵角度θsに応じた操舵位置に車輪Tが操舵される。
【0035】
図5に示すように、シャフト12とベース部材15との間には、操舵操作されたグリップ5を操舵回転中立位置に復帰させるねじりコイルスプリング(以下、第1スプリングと記す)27が、同シャフト12に巻き付けられた状態で取り付けられている。シャフト12には一対のスプリングリテーナ28,29が固着され、第1スプリング27はこれらスプリングリテーナ28,29の間に配置される。各スプリングリテーナ28,29には、第1スプリング27の端部27a,27bを各々位置規制する規制部30a,30bが形成されている。これら規制部30a,30bは、図8(a)に示すように第1スプリング27を同規制部30a,30bに係止したとき、第1スプリング27が初期荷重を有した状態、つまり多少ねじ曲げられた状態で各端部27a,27bが当接する位置に配置され、この当接状態においては、グリップ5が操舵回転中立位置に位置した状態となる。
【0036】
また、ベース部材15には、グリップ5が操舵操作された際に第1スプリング27の端部27a,27bを各々押し込む押込部31a,31bが延出形成されている。これら押込部31a,31bは、第1スプリング27の各端部27a,27bが規制部30a,30bに各々接触した際に、これら端部27a,27bが各々当接可能となる位置に配置されている。即ち、グリップ5が操舵回転中立位置の際、第1スプリング27の端部27aには規制部30a及び押込部31aが当接し、第1スプリング27の端部27bには規制部30b及び押込部31bが当接した状態となる。また、規制部30a及び押込部31aはグリップ5が操舵操作されても互いに干渉しない位置に配置され、この条件は規制部30b及び押込部31bも同様である。
【0037】
従って、グリップ5が非操作の際には、第1スプリング27の付勢力で押込部31a,31bが各々外方側に押されることによって、第1スプリング27の端部27aが規制部30a及び押込部31aに当接し、第1スプリング27の端部27bが規制部30b及び押込部31bに当接した図8(a)に示す操舵回転中立位置の状態となる。この状態では、グリップ5は第1スプリング27の付勢力による回転が阻止された状態となり、外力が加えられなければその回転位置を維持する。
【0038】
グリップ5が操舵回転中立位置の状態から、例えば図8(b)に示すように右操舵されると、第1スプリング27の端部27bが規制部30bに位置規制された状態で、端部27aが押込部31aによって押し込まれ、グリップ5の右回転が許容される。このとき、第1スプリング27が巻き締められることから、第1スプリング27の弾性力に応じた反力が発生し、それが運転者に付与される。この際のグリップ5の回転限度は、押込部31aが規制部30bに当接することで規定され、グリップ5が最大限右操舵された状態となった際には、第1スプリング27の端部27aが規制部30bと押込部31aとで挟まれた状態となる。
【0039】
グリップ5を右操舵した状態でグリップ5から手を離すと、第1スプリング27の端部27aが押込部31aを外方側に押し、第1スプリング27の端部27aが規制部30aに当接するまでグリップ5が回転し、最終的にはグリップ5が操舵回転中立位置(図8(a)の状態)に復帰する。この操舵回転中立位置への復帰時、グリップ5の回転に際してはダンパ18が作用し、グリップ5の操舵回転中立位置側(この場合、左回転)への急激な回転が防止される。
【0040】
一方、グリップ5が操舵回転中立位置の状態から、例えば図8(c)に示すようにグリップ5が左操舵されると、第1スプリング27の端部27aが規制部30aに位置規制された状態で、端部27bが押込部31bによって押し込まれ、グリップ5の左回転が許容される。このときも、第1スプリング27の巻き締めにより、第1スプリング27の弾性力に応じた反力が運転者に付与される。この際のグリップ5の回転限度は、押込部31bが規制部30aに当接することで規定され、グリップ5が最大限左操舵された状態となった際には、第1スプリング27の端部27bが規制部30aと押込部31bとで挟まれた状態となる。
【0041】
グリップ5を左操舵した状態でグリップ5から手を離すと、第1スプリング27の端部27bが押込部31bを外方側に押し、第1スプリング27の端部27bが規制部30bに当接するまでグリップ5が回転し、最終的にはグリップ5が操舵回転中立位置(図8(a)の状態)に復帰する。この際にもダンパ18が作用し、グリップ5の操舵回転中立位置側(この場合、右回転)への急激な回転が防止される。
【0042】
従って、グリップ5の回転限度は規制部30a,30b及び押込部31a,31bの位置によって規定されることから、規制部30a,30b及び押込部31a,31bはグリップ5の回転時のストッパとしても機能する。よって、グリップ5の回転許容範囲(操舵範囲)は、規制部30a,30bのスプリングリテーナ28,29に対する固定位置、押込部31a,31bのベース部材15に対する固定位置によって決まることになり、規制部30a,30b及び押込部31a,31bの固定位置を変更することで適宜調整可能である。
【0043】
図1に示すように、装置本体10の内部には、加速操作時におけるグリップ操作を入力する加速指示入力操作部7が配設されている。ここで、加速指示入力操作部7は、上記した右回転及び左回転可能な操舵入力操作部6を一方向にのみ回転可能とした構造のものであり、基本的な構造は操舵入力操作部6とほぼ同様であることから、詳しい説明は省略する。なお、他方側の回転を規制する構造としては、例えばベース部材の回転を規制するストッパ等を設ける方法が採用される。
【0044】
グリップ5がアーム9を介して下方に回動操作、つまりグリップ5が下方に傾倒操作されると、車両に加速操作が付与される。このとき、グリップ5及びアーム9は、地面に対してアーム9が水平になった状態を加速回動開始位置(即ち、図1の状態)として下方に回動する。そして、グリップ5の回動角度、つまりグリップ5及びアーム9の下方への回動操作に伴う傾倒角度θgが加速指示入力操作部7のポテンショメータ32(図13参照)によって検出され、その傾倒角度θgに基づく加速量が車両に付与される。
【0045】
図9はグリップ5の操作レバー11付近の拡大図であり、図10は図9のII−II線断面図である。グリップ5の把持部5bには、減速操作時におけるグリップ操作を入力する減速指示入力操作部8が配設されている。この減速指示入力操作部8を以下に詳述すると、グリップ5の把持部5bには、グリップ5を握る際に手を差し込むための孔部5cが貫設され、この孔部5cの内面には、操作レバー11の取り付け箇所となる取付部33が形成されている。この取付部33は、互いに対向する向きで立設する一対の側壁33a,33aと、これら側壁33a,33aを繋ぐストッパ壁33bとを有した形状をなしている。
【0046】
操作レバー11の基端には、その長手方向と直交する向きに回動軸11aが延出形成されている。操作レバー11は、回動軸11aが回動可能な状態で側壁33a,33aに支持されることによって取付部33に取り付けられている。また、操作レバー11の基端は反手前側に回動する際にストッパ壁33bの内面に当接可能であり、操作レバー11はストッパ壁33bに当接した状態が操作レバー11の減速回動開始位置(図9の実線の状態)となることから、この減速回動開始位置を基準として手前側に回動可能である。
【0047】
操作レバー11と取付部33との間には、運転者の握り力により回動した操作レバー11を減速回動開始位置に復帰させる一対のねじりコイルスプリング(以下、単に第2スプリングと記す)34が介装されている。これら第2スプリング34は、回動軸11aの左右に各々巻き付けられた状態で取り付けられ、一端が操作レバー11に取付固定されるとともに他端が取付部33に取付固定されている。また、第2スプリング34は、操作レバー11を反手前側に常時付勢する状態で取り付けられている。従って、操作レバー11を手前側に引くと第2スプリング34にはその引き込み量に応じた付勢力が発生し、引いた状態から手を離すと、操作レバー11は第2スプリング34の付勢力によってストッパ壁33bに当接するまで反手前側に回動し、回動開始位置に復帰する。
【0048】
操作レバー11の回動軸11aには、操作レバー11の回動角度(操作量)、つまりグリップ5を握り込んだ際の操作レバー11の握り角度θdを検出する角度センサ35が配設されている。角度センサ35は、光学式や磁気式等の種々のセンサが採用され、検出部及び被検出部のうち一方が操作レバー11側に取り付けられ、他方が取付部33側に取り付けられる。角度センサ35は、例えば操作レバー11の減速回動開始位置を出力値「0」として、操作レバー11の握り角度θdに応じた検出信号を出力する。
【0049】
従って、操作レバー11を手前側に引き込んでいない状態では、第2スプリング34の付勢力によって操作レバー11が反手前側に押されてストッパ壁33bに当接し、それ以上反手前側には操作レバー11が回動しない図9の実線で示す減速回動中立位置の状態となる。よって、この減速回動中立位置が操作レバー11の減速回動開始位置となり、この減速回動開始位置はストッパ壁33bの延出方向(即ち、鉛直方向に対してなす角度)を変えることで適宜変更可能である。
【0050】
車両の走行速度を減速すべく、減速回動中立位置の状態からグリップ5が握り込まれると、図9の破線で示すように第2スプリング34の付勢力に抗して操作レバー11が手前側に回動する。このとき、第2スプリング34が巻き締められることから、操作レバー11には第2スプリング34の弾性力に応じた反力が発生し、それが運転者に付与される。この際の操作レバー11の回動限度(握り範囲)は、操作レバー11自体が把持部5bの内面5dに当接することで規定され、操作レバー11が内面5dに当接した状態となった際には、それ以上手前側に操作レバー11を回動できない状態となる。
【0051】
操作レバー11の回動操作時には、操作レバー11の握り角度θdが角度センサ35によって検出される。そして、この握り角度θdの値に応じた制動力が車両の車輪Tに付与され、車両の走行速度が減速される。一方、グリップ5を握った状態から握り力を弱めると、第2スプリング34の付勢力によって操作レバー11が反手前側に回動し、握り力を「0」にすると最終的に操作レバー11がストッパ壁33bに当接して減速回動中立位置(図9の実線の状態)に復帰する。
【0052】
車両は、加速指示入力操作部7による加速操作を施さなくとも、設定した車速を自動で維持するオートクルーズ機能(定速状態維持機能)を備えている。このオートクルーズ機能は、グリップ5の把持部5bに取り付けられた図9〜図11に示すオートクルーズスイッチボタン36が押されたことを条件に、そのスイッチ操作時点での車速を維持して車両を定速状態とする機能である。また、オートクルーズ機能による定速状態は、減速操作(制動操作)、つまりグリップ5を握って操作レバー11を手前側に回動する操作がなされると解除される。なお、オートクルーズスイッチボタン36が操作手段を構成する。
【0053】
図11に示すように、オートクルーズスイッチボタン36は3種類のボタンからなり、本例の場合には、セットボタン37、加速ボタン38及び復帰ボタン39の3つがある。これら3つのボタン37〜39は、グリップ5の上面5eに配置されている。セットボタン37は、オートクルーズ機能を作動させる際に操作するボタンである。セットボタン37がオン操作されると、オートクルーズ機能がセットされて車両が定速状態となり、ボタン操作が行われた時点での車速が設定速度として設定され、車速が設定速度を維持するように速度制御が行われる。
【0054】
加速ボタン38は、オートクルーズ機能の設定速度を上げる際に操作するボタンである。オートクルーズ機能がセットされた状態で加速ボタン38がオン操作されると、そのオン操作されている間は車両が加速状態となって車速が上昇する。そして、オン状態の加速ボタン38から指を離して加速ボタン38がオフ状態となると、オフ状態となった時点での車速がオートクルーズ機能の新たな設定速度として設定され、新たな設定速度を目標車速として車両の速度制御が行われる。
【0055】
また、復帰ボタン39は、減速操作(制動操作)で一旦解除されたオートクルーズ機能を、減速操作する直前の設定内容のオートクルーズ機能に復帰させるボタンである。即ち、グリップ5に握り操作が付与されて操作レバー11が手前側に回動すると車両が減速するが、この減速操作によりオートクルーズ機能が解除された後に復帰ボタン39がオン操作されると、減速操作する直前に実施されていたオートクルーズ機能に復帰する。なお、オートクルーズ機能による定速状態の解除は、減速操作を条件とすることに限らず、例えば専用の解除ボタンを設け、そのボタンが操作されたことを条件としてもよい。
【0056】
セットボタン37は、オン操作された後に押す力を取り除いても動作状態を保ち続け、さらにもう一度押すと元の中立位置に復帰するオルタネート型のボタンである。この場合、セットボタン37は、オン状態で手を離すと押し込んだ位置で保持されるロック式でもよいし、常に中立位置に自動復帰するノンロック式のどちらを用いてもよい。また、加速ボタン38及び復帰ボタン39については、オン操作により押された状態の間だけ動作状態を維持するモーメンタリー型のボタンである。
【0057】
ここで、セットボタン37は、オルタネート型やモーメンタリー型に拘らずロック式の構造を用いた場合、減速操作された際のその握り力を操作力として元の中立位置に復帰する復帰機構を有した構造でもよい。この構造の一例を図12に示すと、セットボタン37の下面には第1係止片37aが形成され、グリップ5の内壁40には第1係止片37aと係止可能な第2係止片40aが形成されている。第2係止片40aは操作レバー11の回動方向の外力が加わると、根元を基点に折れ曲がることが可能である。
【0058】
第2係止片40aには、操作レバー11側に延びる当接片40bが一体形成されている。操作レバー11の基端面には、操作レバー11の回動時に当接片40bに当接可能な延出部11bが形成されている。また、グリップ5の内面とセットボタン37との間には、セットボタン37を中立位置側に付勢するコイルバネ41が介装されている。なお、第1係止片37a及び第2係止片40aが係止機構を構成し、延出部11b及び当接片40bが復帰機構を構成する。
【0059】
上記構成においてセットボタン37が操作されていない状態では、図12(a)に示すように第1係止片37a及び第2係止片40aが非係止状態であることから、セットボタン37がコイルバネ41の付勢力によって上方に移動し、セットボタン37が中立位置に位置した状態となる。この状態からコイルバネ41の付勢力に抗してセットボタン37が押し込まれると、図12(b)に示すように第1係止片37a及び第2係止片40aが係止状態となるとともに、セットボタン37のスイッチ回路42(図14参照)がオン状態となり、オートクルーズ機能がセット状態となる。
【0060】
そして、図12(b)に示す状態において減速操作すべく操作レバー11が回動操作されると、操作レバー11の延出部11bが当接片40bを外方側に押し込み、これによって第2係止片40aが根元で折れ曲がって第1係止片37a及び第2係止片40aの係止状態が解除される。すると、セットボタン37がコイルバネ41の付勢力によって上方側に移動し、図12(c)に示すようにセットボタン37が中立位置に復帰した状態となる。
【0061】
また、セットボタン37、加速ボタン38及び復帰ボタン39は、押し込み式に限らず、例えば図13に示すようにスライド式でもよい。このようにスライド式の場合には、例えば親指等の引き込み操作によって手前側にスライド移動すると接点がオン状態となり、各ボタン37〜39の応じた機能が実施される。また、セットボタン37はオルタネート型又はモーメンタリー型のボタンのどちらでもよく、さらには図12に示すようなロック機構を備えていてもよい。この場合においても加速ボタン38及び復帰ボタン39についてはモーメンタリー型のボタンが採用される。
【0062】
図14は、入力操作装置1の電気構成を示す電気構成図である。入力操作装置1は、同装置1を統括制御するコントローラ43と、グリップ5の操舵操作時に車輪Tを操舵する操舵機構44と、グリップ5の加速操作に基づく回転量にエンジンEを制御するエンジン制御装置45と、グリップ5の減速操作に基づく制動力を車輪Tに付与する制動機構46とを備えている。なお、コントローラ43が制御手段に相当し、エンジン制御装置45が走行系装置及び定速走行制御装置を構成する。
【0063】
コントローラ43の入力側にはポテンショメータ23,24,32及び角度センサ35が接続され、出力側には操舵機構44、エンジン制御装置45及び制動機構46が接続されている。また、コントローラ43の入力側には、スイッチ回路42を介してオートクルーズスイッチボタン36(セットボタン36、加速ボタン38及び復帰ボタン39)が接続されている。
【0064】
グリップ5の操舵操作時、コントローラ43は、ポテンショメータ23,24から入力した検出信号を基に操舵機構44を作動し、グリップ5の操舵角度θsに車輪Tを操舵させる。グリップ5の加速操作時、コントローラ43は、ポテンショメータ32から入力した検出信号を基にグリップ5の傾倒角度θgを認識し、その傾倒角度θgに応じた加速信号をエンジン制御装置45に出力する。エンジン制御装置45は、その加速信号を基にエンジンEを制御する。グリップ5の減速操作時、コントローラ43は角度センサ35から入力した検出信号を基に制動機構46を作動し、操作レバー11の握り角度θdに応じた制動力を車輪Tに付与する。
【0065】
加速操舵時、コントローラ43はポテンショメータ23,24,32から検出信号を入力し、これら信号を基に操舵機構44及びエンジン制御装置45を作動して車両を加速操舵させる。また、減速操舵時、コントローラ43はポテンショメータ23,24及び角度センサ35から検出信号を入力し、これら信号を基に操舵機構44及び制動機構46を作動して車両を減速操舵させる。このように、コントローラ43は加速操作及び操舵操作の同時操作と、減速操作及び操舵操作の同時操作とについては許容する。
【0066】
しかし、コントローラ43は加速操作及び減速操作の同時操作については許容せず、この際には減速操作を優先する。即ち、コントローラ43はポテンショメータ32と角度センサ35とから同時に検出信号を入力すると、角度センサ35からの検出信号を優先して制御を行い、加速は行わずに制動のみを実施する。従って、例えば加速操作時に減速操作が行われると、加速操作が停止されて減速操作が開始され、或いは加速操舵している際に減速操作が行われると、加速操作については停止し操舵操作及び減速操作が行われる。
【0067】
オートクルーズスイッチボタン36が操作されると、コントローラ43はスイッチ回路42を介してその操作ボタンから操作信号を入力し、オートクルーズ機能を実施する。例えば、コントローラ43は、セットボタン37が押されたことを認識すると、車両の走行状態を定速状態(オートクルーズ状態)にセットし、加速操作をしなくとも車速を一定とすべくエンジン制御装置45を制御する。このとき、コントローラ43は、セットボタン37が押された時点の車速を設定速度に設定し、その設定車速を維持するようにエンジン制御装置45を制御する。
【0068】
また、コントローラ43は、車両が定速状態の際に加速ボタン38が押されたことを認識すると、加速ボタン38が押されている間、エンジン制御装置45を加速制御して車両を加速させる。なお、このときの加速量は、一定の値でもよいし、或いは加速ボタン38の操作量に基づく値のどちらでもよい。そして、指を離して加速ボタン38がオフ状態となると、コントローラ43は加速状態を停止し、加速ボタン38を離した時点での車速を新たな設定車速として定速走行を行う。
【0069】
コントローラ43は、車両の走行状態が定速状態の際に減速操作(操作レバー11の回動操作)されたことを認識すると、定速状態を解除して走行状態を通常状態に変更する。なお、この通常状態は、加速回動軸線Lg回りのグリップ5の回動操作により加速操作が可能な状態を言う。また、コントローラ43は、定速状態が解除された後に復帰ボタン39が押されたことを認識すると、直近の解除操作時の条件(設定速度)でオートクルーズ機能が復帰する。即ち、減速操作により解除された直前の設定速度を目標速度として、車両の走行状態が定速状態に復帰する。
【0070】
次に、本例の入力操作装置1の作用について説明する。
停止車両を発進させる際には、グリップ5を加速回動開始位置(図1の実線の状態)から下方に傾倒することで、手首を支点にグリップ5を回動操作する。このとき、グリップ5の傾倒角度θgが加速指示入力操作部7のポテンショメータ32によって検出され、その検出信号がコントローラ43に出力される。そして、コントローラ43が検出信号を基にグリップ5の傾倒角度θgの値を加速信号としてエンジン制御装置45に出力し、エンジン制御装置45がこの加速信号を基にエンジンEを駆動することで車両が加速状態となる。
【0071】
車両の進行方向を変えるべく車両を操舵する際には、グリップ5を操舵回転開始位置(図3の実線の状態)から左側又は右側に回転操作(図3の二点鎖線の状態)する。このとき、グリップ5の操舵角度θsが操舵入力操作部6のポテンショメータ23,24によって検出され、その検出信号がコントローラ43に出力される。なお、車両加速操作時に操舵操作が加えられていれば、コントローラ43はポテンショメータ23,24、32から検出信号を入力し、これらを基に操舵機構44及びエンジン制御装置45を制御して走行中の車両を操舵させる。
【0072】
走行車両を減速させる際には、例えばグリップ5の傾倒角度θgを「0」(即ち、加速回動開始位置)に戻してグリップ5に握り力を付与し、操作レバー11を減速回動開始位置(図9の実線の状態)から手前側に引くことで回動操作する。このとき、操作レバー11の握り角度θdが減速指示入力操作部8の角度センサ35によって検出され、その検出信号がコントローラ43に出力される。そして、コントローラ43はこの検出信号を基にして制動機構46を制御し、グリップ5の握り角度θdに応じた制動力を車輪Tに付与する。
【0073】
車両走行時にセットボタン37が押されると、コントローラ43は車両の走行状態を定速状態に設定する。従って、入力操作装置1を加速操作しない状態での車両走行が可能となり、これによって運転操作の簡易化を図ることが可能となる。また、走行状態が定速状態の際に加速ボタン38が押されると、コントローラ43は加速ボタン38を押している間、車両を加速状態とする。従って、定速状態の設定車速を上昇することが可能となり、例えば加速ボタン38を短い時間押せば設定車速が少し上昇し、加速ボタン38を長い時間押していれば設定車速が大きく上昇することになる。また、加速ボタン38がオフ状態となると、コントローラ43はオフ状態となった時点での設定車速を新たな車速として定速状態を継続する。
【0074】
定速状態の際に減速操作がなされると、コントローラ43は減速操作を検出した時点で定速状態を解除し、走行状態を定速状態から通常状態に復帰させる。また、オートクルーズ機能を解除する専用の解除スイッチを設けた場合には、コントローラ43はそのスイッチから操作信号を入力した時点で定速状態を解除する。定速状態を解除した後に復帰ボタン39が押されると、コントローラ43は直近の解除操作時の条件(設定速度)でオートクルーズ機能を復帰させる。従って、減速操作により定速状態を解除した後に元のオートクルーズ機能に復帰させる際の手間を省くことが可能となる。
【0075】
ここで、セットボタン37が図12(a)に示すロック式の構造を有する場合、セットボタン37が押込操作されると接点がオン状態になるとともに、図12(b)に示すように第1係止片37aが第2係止片40aに係止してセットボタン37の押込状態が維持される。この状態から操作レバー11が引き込まれて減速操作がなされると、図12(c)に示すように延出部11bが当接片40bを外方側に押し込んで第2係止片40aが根元で折り曲げられ、第1係止片37a及び第2係止片40aの係止が解除状態となり、セットボタン37がコイルバネ41の付勢力により元の中立位置に復帰する。
【0076】
なお、セットボタン37が例えばオルタネート型であれば、コントローラ43は角度センサ35の検出信号を基に定速解除判断を行い、角度センサ35から減速操作開始に応じた検出信号を入力すると、減速操作が行われたと判断して定速状態を解除する。一方、セットボタン37がモーメンタリー型であれば、コントローラ43はセットボタン37のスイッチ状態を基に定速解除判断を行い、セットボタン37が非接点状態に操作されることにより、スイッチ回路42からオフ信号を入力すると減速操作が行われたと判断して定速状態を解除する。
【0077】
従って、本例の入力操作装置1によれば、グリップ5のオートクルーズスイッチボタン36(セットボタン37、加速ボタン38、復帰ボタン39)を配置したので、グリップ5を把持した状態でオートクルーズスイッチボタン36を操作することが可能となる。従って、この種の走行系ボタンを操作する際に、空いた方の手(この場合、左手)を用いて行う必要性が生じず、車両の運転操作を一層楽に行うことが可能となる。
【0078】
第1実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)オートクルーズスイッチボタン36がグリップ5に設けられるので、グリップ5を把持した状態でオートクルーズスイッチボタン36を操作することができ、車両の運転操作を一層楽に行うことができる。
【0079】
(2)本例の入力操作装置1によれば、操舵、加速及び減速の各操作が、それぞれ独立した手の動き(操作形態)により行われるので、加速から減速又は減速から加速への切り換えが直ぐに実行でき、加減速の切り換えの際に時間がかかるという不具合が生じなくなる。また、車両の減速操作はグリップ5を握るという操作により行われることから、微妙な減速操作を入力することができ、さらには減速入力しながらの操舵も簡単に行うことができる。
【0080】
(3)人の5本の指のうち最も細かい操作が可能な指は親指であることから、グリップ把持時において親指が届く部位にオートクルーズスイッチボタン36を配置すれば、オートクルーズスイッチボタン36は親指で操作される。従って、オートクルーズスイッチボタン36の操作性を確保でき、微妙な操作入力でオートクルーズスイッチボタン36を操作することができる。
【0081】
(4)オートクルーズスイッチボタン36のセットボタン37がロック式の場合、押込状態のセットボタン37を中立位置に復帰させる図12に示す復帰機構を設ければ、減速操作した際の入力操作をセットボタン37の復帰に利用することができ、復帰用の特別なアクチュエータ等を用意せずに済む。
【0082】
(5)グリップ5の握り操作、つまり操作レバー11の回動操作を減速操作とし、そのグリップ5にセットボタン37を設けることから、減速指示入力操作部8とセットボタン37とが近傍に位置した状態となる。従って、減速操作をオートクルーズ機能の解除とし、しかもその減速操作を操作力としてセットボタン37を中立位置に復帰させる復帰機構を設けた場合、減速指示入力操作部8とセットボタン37とが近傍に位置していることにより、その復帰機構が簡素な構造で済む。
【0083】
(6)グリップ5を下方に傾倒する操作を加速操作とし、グリップ5の上面5eに押圧式のセットボタン37を設けたので、グリップ5の加速操作方向と、セットボタン37の押込操作方向とが同一方向(下方方向)となる。ところで、オートクルーズ機能のセットは、加速操作を行って車両を所定速度まで加速させ、ある程度加速した後にセットボタン37を押す流れで行われる。従って、グリップ5及びセットボタン37の操作方向を同一としておけば、加速操作時に付与した力で引き続きセットボタン37を押すことができ、セットボタン37の操作を楽に行うことができる。
【0084】
(7)加速操作と減速操作とが同時に行われた場合には減速を優先するので、入力操作装置1で加速操作と減速操作とが同時に行われたとしても、車両に加速と減速との両方が付与されるような状況に陥らずに済む。
【0085】
(8)グリップ5のハウジングには、操舵入力操作部6及び減速指示入力操作部8の両方が組み込まれている。従って、操舵入力操作部6及び減速指示入力操作部8を各々別々に用意する場合に比べて、入力操作装置1の部品点数を減らすことができ、入力操作装置1の簡素化を図ることができる。
【0086】
(9)グリップ5に操作レバー11を回動可能な状態で取り付け、グリップ5を握り込むことによって操作レバー11を手前側に回動させることで減速操作を行う構成(即ち、減速指示入力操作部8を回動式)とした。従って、減速指示入力操作部8を回動式とすれば、微妙な減速操作を行うことができ、減速操作の操作性を向上することができる。
【0087】
(10)グリップ5を加速回動開始位置から一方向に回動する操作、つまり下方に傾倒する操作を車両の加速操作とした。ここで、例えばグリップ5を加速回動開始位置から上方及び下方の両方に回動可能な構成であるとすると、加速指示入力操作部7の構造が複雑化するが、本例の場合は一方向のみに回動可能であることから、加速指示入力操作部7の構造が簡素化する。
【0088】
(11)本例の入力操作装置1によれば、操舵操作はグリップ5の操舵回転軸線Ls回りの回転操作で行い、加速操作は加速指示回動軸線Lg回りの回動操作、つまり図1及び図2に示すY−Z平面を可動範囲とする動きとなり、減速操作はグリップ5の握り操作で行う。従って、どの操作系をとっても、その操作を行った際にグリップ5が運転席側に動かす操作はないので、運転席のスペースを充分確保可能となる。また、運転席のドア側についてはその上下方向であれば充分なスペースが存在することから、入力操作装置1の可動範囲は充分に確保可能である。従って、運転席の運転スペース確保と、入力操作装置1の操作スペース確保との両立が可能となる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図14〜図18に従い説明する。なお、本例は第1実施形態に対し、グリップ5に設けたボタンの種類が異なるのみであり、他の基本的な構成については同様である。従って、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
車両は、車両の進行方向を指示するターンシグナルランプ47(図14参照)を備えている。ターンシグナルランプ47は少なくとも車両前後に左右一対設けられ、グリップ5の把持部5bに取り付けられたターンシグナルスイッチ48(図15参照)を操作することで作動する。ターンシグナルスイッチ48は2接点式のスイッチであり、一方の操作部48a(例えば右側操作部)がオン操作されるとターンシグナルランプ47の右側ランプが点滅状態となり、他方の操作部48b(例えば左側操作部)がオン操作されるとターンシグナルランプ47の左側ランプが点滅状態となる。なお、ターンシグナルランプ47が走行系装置及び方向指示装置を構成し、ターンシグナルスイッチ48が操作手段を構成する。
【0091】
ターンシグナルスイッチ48はグリップ5の把持部5bの上面5eに配置され、各操作部48a,48bが断面三角形状を有した形状をなしている。また、ターンシグナルスイッチ48において2つの操作部48a,48bを結ぶ直線Lxは左右方向(車両の前後方向と直交する方向)に延びる直線とほぼ平行をなしていることから、グリップ5の操舵方向とターンシグナルスイッチ48の操作方向とがほぼ同一であるとみなせる。従って、例えば右操舵時にはその際に付与した力でターンシグナルスイッチ48の右側操作部48aを押し込むことが可能となり、一方で左操舵時にはその際に付与した力でターンシグナルスイッチ48の左側操作部48bを押し込むことが可能となる。
【0092】
ターンシグナルスイッチ48は各種構造のスイッチが採用されるが、その一例として例えば図16(a)に示す揺動型を採用してもよい。この場合、ターンシグナルスイッチ48は中央部の支軸48cを基点に左右に揺動可能であり、この揺動に伴ってスイッチ回路49の各接点49a、49bのうち一方を作動可能である。ターンシグナルスイッチ48が右側に揺動するとスイッチ回路49の接点49aが接点状態となり、ターンシグナルランプ47の右側ランプが点灯する。ターンシグナルスイッチ48が左側に揺動するとスイッチ回路49の接点49bが接点状態となり、ターンシグナルランプ47の左側ランプが点灯する。
【0093】
ターンシグナルスイッチ48は、例えば図16(b)に示すスライド型を採用してもよい。この場合、ターンシグナルランプ47の右側ランプを点灯させるには、ターンシグナルスイッチ48を右側にスライド操作し、ターンシグナルランプ47の左側ランプを点灯させるには、ターンシグナルスイッチ48を左側にスライド操作する。ターンシグナルスイッチ48は、例えば図16(c)に示すように、右側及び左側の個々にスイッチを設ける構成としてもよい。また、ターンシグナルスイッチ48はオートクルーズスイッチボタン36と同様にオルタネータ型又はモーメンタリー型のどちらでもよい。
【0094】
ターンシグナルスイッチ48は、押圧操作された際の押込状態が係止機構(図示略)により維持されるロック式でもよい。即ち、ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合、右側操作部48aは押込操作されるとその押込状態(図16(a)の二点鎖線状態)で保持され、一方で左側操作部48bが押込操作されるとその押込状態(図示略)で保持される。ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合、操舵方向が切り換えられた際に復帰機構(図示略)によりターンシグナルスイッチ48が元の中立位置に復帰する構造でもよい。上記係止機構及び復帰機構については公知の構成が採用され、復帰機構は機械式又は電気式のどちらでもよい。
【0095】
ターンシグナルスイッチ48が操作されると、コントローラ43はスイッチ回路49を介してその操作スイッチから操作信号を入力し、ターンシグナルランプ47を作動させる。例えば、コントローラ43は、ターンシグナルスイッチ48の右側操作部48aが押されたことを認識すると、ターンシグナルランプ47の右側ランプを点滅させる。また、コントローラ43は、ターンシグナルスイッチ48の左側操作部48bが押されたことを認識すると、ターンシグナルランプ47の左側ランプを点滅させる。
【0096】
ターンシグナルスイッチ48の押込操作検出はスイッチ回路49を用いることに限らず、例えば図17に示す傾斜センサ50を用いてもよい。この場合、傾斜センサ50はターンシグナルスイッチ48の傾斜方向及び傾斜角度に応じた検出信号を出力する。コントローラ43は、傾斜センサ50からの検出信号を逐次監視しており、傾斜センサ50から入力する検出信号を基にして、ターンシグナルスイッチ48が右操作されたか或いは左操作されたかを判断している。
【0097】
また、グリップ5にはオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48の一方のみが設けられる構成に限らず、例えば図18に示すようにオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48の両方を設ける構成としてもよい。この場合、オートクルーズスイッチボタン36よりもターンシグナルスイッチ48の方が使用頻度が高いため、操作者に近いグリップ5の手前側面5fにターンシグナルスイッチ48を配置し、オートクルーズスイッチボタン36をグリップ5の上面5eに配置する組み合わせにするとよい。ここで、ターンシグナルスイッチ48をグリップ5の手前側面5fに配置したとしても、両操作部48a、48bを結ぶ直線Lxが左右方向に延びる直線と平行になっていれば、同一操作方向が維持され、高い操作性も確保される。
【0098】
さて、車両を右操舵する際には、進行方向変更を指示すべくターンシグナルスイッチ48の右側操作部48aを押し込む。このとき、コントローラ43はその操作信号を入力し、ターンシグナルランプ47の右側ランプを点滅させる。この際のグリップ5の操舵操作としては、右操舵が行われた後にグリップ5を中立位置に戻すべく左操舵がなされるが、コントローラ43はグリップ5の操舵方向の切り換わりを検出すると、ターンシグナルランプ47を消灯する。また、ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合には、右側操作部48aが押されるとその押込状態が保持されるが、車両操舵時に操舵方向が切り換わると復帰機構が作動し、ターンシグナルスイッチ48が元の中立位置に復帰する。
【0099】
一方、車両を左操舵する際には、進行方向変更を指示すべくターンシグナルスイッチ48の左側操作部48bが押し込まれる。このとき、コントローラ43は上記右操舵の場合と同様の手順で動作し、ターンシグナルランプ47の左側ランプを点灯させるとともに、操舵操作時に操舵方向の切り換わりを検出すると点滅中のターンシグナルランプ47を消灯させる。このとき、ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合には、上記右操舵の場合と同様に、操舵方向が切り換わった際に中立位置に復帰する。
【0100】
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態の(2)〜(4)及び(7)〜(11)に記載の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(12)ターンシグナルスイッチ48がグリップ5に設けられるので、グリップ5を把持した状態でターンシグナルスイッチ48を操作することができ、車両の運転操作を一層楽に行うことができる。
【0101】
(13)ターンシグナルスイッチ48の配置向きは、2つの操作部48a,48bを結ぶ直線Lxが、左右方向(車両の前後方向と直交する方向)に延びる直線とほぼ平行状態となるような向きである。従って、操舵時に付与した力で右側操作部48a又は左側操作部48bを操作することができ、ターンシグナルスイッチ48の高い操作性を確保することができる。
【0102】
(14)グリップ5にオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48の両方を設置すれば、グリップ5を把持した状態でオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48のどちらも操作可能となるので、より一層高い操作性を確保することができる。
【0103】
なお、本実施形態は上記構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 減速操作は、グリップ5に設けた操作レバー11を握ることにより行う構成に限定されない。例えば、図19に示すように、加減速回転軸線Lx回りに回転可能な卵形状のグリップ5を設け、操舵回転軸線Lsに対しグリップ5を下方に回転することで加速操作を行い、操舵回転軸線Lsに対しグリップ5を上方に回転することで減速操作を行う入力操作装置1を用いる。そして、この入力操作装置1のグリップ5に、オートクルーズスイッチボタン36やターンシグナルスイッチ48を取り付けてもよい。
【0104】
・ 操舵入力操作部6及び減速指示入力操作部8は、同一のグリップ5に組み付けられることで一体化されることに限定されない。例えば、図20に示すようにアーム9の先端に操舵入力操作部6を組み付け、その操舵入力操作部6のシャフト12の先端を通常よりも長く延ばし、そしてシャフト12の先端に、減速指示入力操作部8が組み付けられたグリップ5を取り付ける構成としてもよい。
【0105】
・ 操作レバー11の握り角度θdの検出手法としては、角度センサ35を用いたものに限らず、例えば図21に示すように圧力センサ51を用いた構成でもよい。この構成においては、操作レバー11の回動に伴いスライド移動する緩衝材52を把持部5bに取り付け、この緩衝材52の押込み先に圧力センサ51を埋設する。そして、車両を減速操作すべく操作レバー11を回動操作すると、それに伴って緩衝材52が手前側にスライド移動し、圧力センサ51が緩衝材52を介して操作レバー11の握り角度θdを検出する。車両は、その握り角度θdに応じた制動力が車輪Tに付与されることで減速する。
【0106】
・ 減速指示入力操作部8の操作形態は、操作レバー11を回動する回動式に限らず、例えば、図22に示すように親指を除いた4本の指で操作部材53をスライド移動させるスライド式でもよい。この構成においては、スライド移動可能な状態で操作部材53を把持部5bに取り付け、その押込み先に操作部材53のスライド量を検出するポテンショメータ54を埋設する。また、把持部5bの内部に、手前側にスライド移動した操作部材53を移動開始位置に復帰させる一対の戻しバネ55,55を埋設する。そして、車両を減速操作すべくグリップ5に握り操作が付与されると、操作部材53が戻しバネ55,55の付勢力に抗して手前側にスライド移動し、ポテンショメータ54が操作部材53のスライド量を検出する。車両には操作部材53のスライド量に応じた制動力が付与され、車両はこの制動力によって減速する。また、操作部材53から手を離すと、戻しバネ55,55の付勢力によって操作部材53が反手前側にスライド移動し、操作部材53が移動開始位置に位置した状態に復帰する。
【0107】
・ 第1入力操作部が操舵操作(操舵入力操作部6)、第2入力操作部が加速操作(加速指示入力操作部7)、第3入力操作部が減速操作(減速指示入力操作部8)となる組み合わせに限定されない。例えば、第1入力操作部が操舵操作、第2入力操作部が加速操作、第3入力操作部が加速操作となる組み合わせとしてもよい。
【0108】
・ 操作手段は、オートクルーズスイッチボタン36やターンシグナルスイッチ48に限らず、例えばワイパスイッチやヘッドライトスイッチ等の走行系に関するスイッチ(ボタン)であれば特に限定されない。
【0109】
・ 入力操作装置1を加速操作している際にオートクルーズスイッチボタン36のセットボタン37が押された場合、その時点でのグリップ5の傾倒角度θgが維持される構造としてもよい。このようにすれば、減速操作により車両が通常状態に戻った際に、加速操作つまりグリップ5の傾倒操作を、中立位置から再度行う必要がなくなり、加速操作をスムーズに行うことができる。
【0110】
・ グリップ5の操舵角度θs及び傾倒角度θgを検出するセンサはポテンショメータ23,24,32に限定されず、例えば角度センサ等の他のセンサを用いてもよい。また、操作レバー11の握り角度θdを検出するセンサ(検出手段)は角度センサ35、圧力センサ51、ポテンショメータ54等に限らず、減速操作時に運転者が付与する操作量(例えば握り角度θdや、操作部材53(図22参照)を用いた際のそのスライド量)を検出可能なセンサであれば特に限定されない。
【0111】
・ 第2入力操作部(加速指示入力操作部7)は、一方向のみに回動可能な構成に限定されない。即ち、グリップ5は加速回動開始位置を中立位置として上方及び下方の両方に傾倒可能とし、グリップ5を下方に回動すると通常通りの加速量で加速し、一方で上方に回動すると急加速する構成としてもよい。
【0112】
・ 入力操作装置1は必ずしもドア2に配置されることに限らず、これとは逆に、運転席と助手席との間(即ち、コンソール)に配置されてもよい。
・ 入力操作装置1の搭載先、つまり乗り物は自動車等の車両に限らず、操舵、加速及び減速等の各種操作が必要な乗り物であれば特に限定されることはない。
【0113】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されている。
【0114】
(2)請求項2〜7のいずれかにおいて、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記第2入力操作部は、前記乗り物を加速させる際に操作する操作部であり、前記第3入力操作部は、前記乗り物を減速させる際に操作する操作部であり、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されている。
【0115】
(3)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記走行系装置は、前記乗り物の速度を一定速度で維持する定速走行制御装置であって、前記操作手段が操作された際に、該操作手段をその操作開始位置に復帰させる自動復帰機構と、前記入力操作機構が減速操作されたことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出信号を基に前記減速操作が付与されたと判断すると、前記定速走行制御装置による定速状態を解除する第2制御手段とを備えた。
【0116】
(4)請求項4〜7のいずれかにおいて、前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であり、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記復帰機構は、前記第1入力操作部による操舵操作が反転された際に、その反転後の回転力を操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置に復帰させて前記方向指示装置による進行方向指示状態を解除する。
【0117】
(5)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であって、前記操作手段が操作された際に、該操作手段をその操作開始位置に復帰させる自動復帰機構と、前記入力操作機構が操舵操作された際に、その操舵方向の切り換えを検出する検出手段と、前記検出手段の検出信号を基に操舵時の操舵方向が反転されたと判断すると、前記方向指示装置による進行方向指示状態を解除する第2制御手段とを備えた。
【0118】
(6)請求項1において、前記入力操作機構は、運転者の前腕の少なくとも一部を支持するアームレストと、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記前腕と平行に延びる軸線回りの手首の回転に伴う前記グリップの回転を入力操作とする第1入力操作部と、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記手首を中心として手の回転に伴う前記グリップの移動を入力操作とする第2入力操作部と
を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1実施形態における入力操作装置の平面図。
【図2】入力操作装置の側面図。
【図3】入力操作装置を車両前方から見た図。
【図4】車両のドアの内側面を示す斜視図。
【図5】グリップの内部の操舵入力操作部を示す側面図。
【図6】ダンパの内部構成を示す断面図。
【図7】(a),(b)は、グリップを操舵操作した際のギヤ動作の説明図。
【図8】(a)〜(c)は、グリップを操舵操作した際のバネ動作の説明図。
【図9】グリップの操作レバー付近の拡大図。
【図10】図9のII−II線断面図。
【図11】グリップの把持部付近を示す斜視図。
【図12】(a)〜(c)は係止機構及び復帰機構の作動状態を示す断面図。
【図13】他のボタン構成を用いたグリップの把持部付近の斜視図。
【図14】入力操作装置の電気構成を示す電気構成図。
【図15】第2実施形態におけるグリップの把持部付近を示す斜視図。
【図16】(a)〜(c)はターンシグナルスイッチのスイッチ例を示す模式図。
【図17】ターンシグナルスイッチの他の操作検出方法を説明する模式図。
【図18】他のボタン(スイッチ)配置例を示すグリップの把持部付近の斜視図。
【図19】別例における入力操作装置の側面図。
【図20】他の別例における入力操作装置の側面図。
【図21】他の別例におけるグリップの操作レバー付近の拡大図。
【図22】他の別例におけるグリップの操作レバー付近の拡大図。
【図23】従来における入力操作装置の平面図。
【図24】同じく従来における入力操作装置の側面図。
【符号の説明】
【0120】
1…入力操作装置、3…入力操作機構を構成するアームレスト、5…グリップ、5e…上面、6…入力操作機構及び第1入力操作部を構成する操舵入力操作部、7…入力操作機構及び第2入力操作部を構成する加速指示入力操作部、8…入力操作機構及び第3入力操作部を構成する減速指示入力操作部、9…入力操作機構及び第2入力操作部を構成するアーム、11b…復帰機構を構成する延出部、36…操作手段を構成するオートクルーズスイッチボタン、37a…係止機構を構成する第1係止片、40a…係止機構を構成する第2係止片、40b…復帰機構を構成する当接片、43…制御手段としてのコントローラ、45…走行系装置及び定速走行制御装置を構成するエンジン制御装置、47…走行系装置及び方向指示装置を構成するターンシグナルランプ、48…操作手段を構成するターンシグナルスイッチ、Ls…軸線としての操舵回転軸線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物の運転操作時に用いられ、運転者の手及び前腕を用いて各種操作を行う入力操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転時に操作する入力操作装置としては、例えば円形ステアリングやペダル等が用いられている。ところで、これらの入力操作装置は機械的な制約からその形状が決まっていることから、必ずしも運転者の体に合ったものではなく、長時間運転時における疲労蓄積や、長期に亘る運転習得訓練が必要となる等の問題がある。そこで、加減速や操舵等の運転操作を簡素化した構造の入力操作装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図23は特許文献1で開示された入力操作装置の平面図であり、図24はその側面図である。入力操作装置61は、肘支持部62を回動中心としてその中心まわりに水平面内で左右に回動可能な第1レバー63と、鉛直面内に回動可能な状態で第1レバー63の先端に軸支された第2レバー64とを備えている。第1レバー63が左側に回動されると車両が左側に操舵され、第1レバー63が右側に回動されると車両が右側に操舵される。また、第2レバー64が上側に回動されると車両が加速し、第2レバー64が下側に回動されると車両が減速する。
【特許文献1】特開2002−258959号(第4−7頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常の車両においては、運転席に例えばターンシグナルランプ(ウィンカー)、ヘッドライト、ワイパ等を動作させる各種スイッチ類が配設される。また、車両によっては、スイッチ操作を行うと、そのときの車両速度が一定に維持されるオートクルーズスイッチが配設されている車種もある。しかし、これら操作スイッチはインストルメントパネル等に配置されることから、スイッチ操作は入力操作装置61を操作していない空いている方の手で行うことになり、走行時に片手操作で済むという入力操作装置61の利点が低減してしまう。
【0005】
本発明の目的は、乗り物の運転操作を一層楽に行うことができる入力操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、乗り物の運転操作時に操作され、運転者の手及び前腕を用いて各種操作を行う入力操作装置において、操作時に運転者が把持するグリップと、前記乗り物を少なくとも操舵及び加減速させる際に操作され、前記グリップを把持した運転者の手の操作を入力操作とする入力操作機構と、前記乗り物に搭載された走行系装置を作動させる際に操作する操作手段と、前記操作手段が操作された際、その操作信号を基に前記走行系装置を作動させる制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、入力操作装置を操作した状態、つまり入力操作装置のグリップを把持した状態で、操作手段の操作が可能となることから、操作手段を操作するために空いた方の手を使用する必要性が生じず、乗り物の運転操作を一層楽に行うことが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記入力操作機構は、運転者の前腕の少なくとも一部を支持するアームレストと、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記前腕と平行に延びる軸線回りの手首の回転に伴う前記グリップの回転を入力操作とする第1入力操作部と、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記手首を中心として手の回転に伴う前記グリップの移動を入力操作とする第2入力操作部と、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記運転者の前記グリップの握りを入力操作とする第3入力操作部とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、乗り物を運転する際には、第1入力操作部、第2入力操作部及び第3入力操作部を操作することで、例えば加速操作、減速操作及び操舵操作等を行って運転走行する。第1入力操作部を用いた操作は、前腕と平行に延びる軸線回りにグリップを回転させる操作であり、第2入力操作部を用いた操作は、手首を中心としてグリップを手の回転に伴い移動させる操作であり、第3入力操作部の操作は、グリップに握り力を付与する操作である。
【0010】
従って、第1入力操作部、第2入力操作部及び第3入力操作部の各操作は、それぞれ独立した手の動きによる操作となる。ところで、1つの入力操作部で2つの走行操作を行う場合、その入力操作部による操作を所定操作から他の操作に切り換えるとき、操作したストローク分だけ入力操作部を元に戻す必要があり、走行操作が迅速に実施できない不具合が生じる。しかし、本発明の入力操作装置を用いれば、例えば加速から減速を行う場合や、或いはその逆に減速から加速を行う場合、その切り換えをタイムラグ無く直ぐに実施可能となり、加減速切り換えの際に時間がかかるような問題が生じなくなる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記操作手段は、運転者が前記グリップを把持した際に、その親指が届く部位に配置されている請求項1又は2に記載の入力操作装置。(作用・効果)この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、人の5本の指のうち最も細かい操作が可能な指は親指であることから、運転者がグリップを把持した際に親指が届く部位に操作手段を配置すれば、操作手段は親指で操作されることとなり、操作手段の細かな操作が可能となることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、人の5本の指のうち最も細かい操作が可能な指は親指であることから、運転者がグリップを把持した際に親指が届く部位に操作手段を配置すれば、操作手段は親指で操作されることとなり、操作手段の細かな操作が可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記操作手段が操作された際に、その押込状態を保持すべく該操作手段の操作状態を維持する係止機構と、前記操作手段が操作されて前記係止機構により前記操作状態が維持された後、該操作状態を解除すべき操作が前記入力操作機構でなされた際に、その動きを操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置へ機械的に復帰させる復帰機構とを備えたことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、請求項1〜3のうちいずれか一項の発明の作用に加え、操作手段が操作されて係止機構により操作状態が維持された後、操作状態を解除すべき操作が入力操作機構でなされると、その動きを操作力として復帰機構が作動し、操作手段が元の中立位置に復帰する。従って、入力操作機構を操作したときの動作を操作手段の復帰に利用することが可能となり、この種の構造の操作手段を用いた場合に、復帰用の特別なアクチュエータ等を用意せずに済む。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記走行系装置は、前記乗り物の速度を一定速度で維持する定速走行制御装置であり、前記第3入力操作部は、前記乗り物を減速させる際に操作する操作部であり、前記復帰機構は、前記第3入力操作部が握り操作された際に、その握り力を操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置に復帰させて前記定速走行制御装置による定速状態を解除することを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、定速状態の定速走行制御装置を解除状態にするには、減速操作、つまり制動操作されたことを条件とするのが一般的である。ここで、運転者の手の握りを入力操作とする第3入力操作部を減速用の操作部とすれば、中立位置への復帰力を操作手段に付与する入力操作部の近傍に、定速走行制御装置を作動させる操作手段が位置した状態となる。従って、入力操作部の入力操作に連動して機械的に操作手段を中立位置に復帰させる構造を用いても、入力操作部と操作手段とが近くに存在することから、復帰機構が簡素な構造で済む。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であり、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、前腕と平行に延びる軸線回りの手首回転を入力操作とする第1入力操作部を操舵用の操作部とすることから、その軸線回りにグリップを回転する操作によって操舵が行われる。従って、操舵操作をこの形態とした場合、方向指示装置を作動させる操作手段がグリップの上面に配置されていれば、操舵操作の際にその操作方向に付与した力で操作手段が操作可能となることから、操作手段の高い操作性が確保される。即ち、例えば右操舵した際には、右操作方向に付与した力で操作手段を右操作(方向指示装置の右点灯操作)することが可能であり、左操舵した際には、左操作方向に付与したで操作手段を左操作(方向指示装置の左点灯操作)することが可能となる。従って、操作手段の操作が楽に行え、高い操作性が確保される。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、操舵操作、加速操作又は減速操作時の前記入力操作機構の操作方向と、前記操作手段の操作方向とが同一方向であることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明によれば、入力操作機構の操作方向と操作手段の操作方向とが同一であれば、入力操作機構操作時に付与した操作方向の力で操作手段を操作することが可能であるので、操作手段の操作を楽に行うことが可能となり、高い操作性が確保される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、乗り物の運転操作を一層楽に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した入力操作装置の第1実施形態を図1〜図14に従って説明する。
【0023】
図1〜図3は入力操作装置1を示す各種図であり、図1は側面図、図2は平面図、図3は車両の前方から見た図である。また、図4は入力操作装置1を車両前方から見た図である。図1〜図3に示すように、入力操作装置1は車両の各種走行操作を行うための操作系部材であり、本例においてはこの1つの入力操作装置1を片手(例えば、運転者の右手)で操作することで、車両の操舵(ステアリング操作)、加速(アクセル操作)及び減速(制動操作)が可能である。
【0024】
図4に示すように、車両のドア2の内側には、肘置きとして用いるアームレスト3が取り付けられ、このアームレスト3の側端部には、運転者の前腕(右前腕)を側方側で支持するサイド部材4が立設されている。アームレスト3は車両のほぼ前後方向に、かつほぼ水平に延び、サイド部材4はアームレスト3と平行状態に延びている。入力操作装置1は、ドア2の内側面の凹部2aに一部が埋設した状態で、かつサイド部材4に支持された状態で車両に取り付けられる。なお、アームレスト3が入力操作機構を構成する。
【0025】
図1に示すように、入力操作装置1は、シートに着座した状態の運転者が右手で把持可能なグリップ5を備えている。このグリップ5は例えば樹脂を材質としており、基端側に位置する本体部5aと、その本体部5aと一体となった先端側の把持部5bとを有する形状をなしている。本体部5aは外形が略卵形状であり、操舵回転軸線Lsと直交する断面の形状が楕円形状をなしている。また、把持部5bは略平板形状をなし、運転者が入力操作装置1を操作する際に把持する部位となる。
【0026】
入力操作装置1は、車両の操舵時に操作される操舵入力操作部6と、車両の加速時に操作される加速指示入力操作部7と、車両の減速時に操作される減速指示入力操作部8とを備えている。まず、操舵入力操作部6の概略を説明すると、グリップ5は操舵回転軸線Ls回りに回転可能(図3参照)であり、その操舵回転軸線Ls回りに手首を回転させることで回転操作が可能である。従って、車両の操舵操作はグリップ5をその操舵回転軸線Ls回りに回転操作することにより行う。例えば、グリップ5を右方向に回動すると車両が右側に操舵され、一方でグリップ5を左側に回動すると車両が左側に操舵される。
【0027】
また、加速指示入力操作部7の概略を説明すると、グリップ5からは略U字形状のアーム9が延びており、このアーム9の基端が入力操作装置1の装置本体10に連結されている。グリップ5はアーム9の基端を支点として加速回動軸線Lg回りに下方へ回動可能(図1参照)であり、手首を中心に手を下方に回動させることで回動操作が可能である。従って、車両の加速操作はアーム9を介してグリップ5を下方に回動操作することにより行う。操舵回転軸線Lsと加速回動軸線Lgとは互いに交差(直交)する状態となる。なお、操舵入力操作部6が入力操作機構及び第1入力操作部を構成し、加速指示入力操作部7及びアーム9が入力操作機構及び第2入力操作部を構成し、減速指示入力操作部8が入力操作機構及び第3入力操作部を構成する。
【0028】
続いて、減速指示入力操作部8の概略を説明すると、図1に示すようにグリップ5(把持部5b)には、減速操作時(制動操作時)に操作する操作レバー11が配設されている。操作レバー11は略棒形状をなしており、基端を支点として回動可能な状態で把持部5bに支持されている。操作レバー11は自身の基端を支点として減速回動軸線Ld回りに回動可能(図1参照)であり、例えば右手親指で把持部5bを支えつつ他の4本の指で引き込むこと、つまりグリップ5に握り操作を付与することで回動操作が可能である。従って、車両の減速(制動)操作はグリップ5を握る動作によって操作レバー11を手前側に回動操作することにより行う。グリップ5は、操舵入力操作部6、加速指示入力操作部7及び減速指示入力操作部8の間で共用されている。
【0029】
図5は、グリップ5の内部の操舵入力操作部6を示す側面図である。グリップ5のハウジングの内部には、グリップ5の操舵回転軸線Ls回りの回転を許容する操舵入力操作部6が配設されている。操舵入力操作部6を以下に詳述すると、グリップ5の内部には、同グリップ5に対し相対回転不可能な状態でシャフト12が内蔵されている。シャフト12は、装置本体10から延びるアーム9の先端に連結固定され、操舵回転軸線Lsに沿って延びている。アーム9の先端はグリップ5の中心よりも下方に接続され、言い換えるならばシャフト12はグリップ5の中心よりやや下方に配置されている。
【0030】
シャフト12の先端には、先端側から順にポテンショメータ駆動ギア13及びダンパ駆動ギア14が各々固着されている。グリップ5の内面には略平板形状のベース部材15が固着され、シャフト12はそのベース部材15に対しベアリング16を介して相対回転可能に取り付けられている。また、ベース部材15には、ダンパ駆動伝達ギア17がベース部材15に対し相対回転可能な状態で取り付けられている。ダンパ駆動伝達ギア17はダンパ駆動ギア14に噛合係合され、グリップ5(即ち、ベース部材15)が回転すると、ダンパ駆動ギア14との間の噛合いによって自身も回転する。
【0031】
図6は、ダンパ18の内部構成を示す断面図である。ベース部材15には、グリップ5の急激な回転を防止するダンパ18が取り付けられている。ダンパ18は、ダンパ駆動伝達ギア17に噛合うとともにベース部材15に対し相対回転可能なダンパギア19と、ダンパギア19のギア軸に固着された回転側部材20と、回転側部材20を回動可能に収容するベース側部材21とを備えている。回転側部材20とベース側部材21との間にできる内部空間には、シリコンオイル22が収容されている。
【0032】
グリップ5が操舵操作(即ち、操舵回転軸線Ls回りの回転操作)されると、ダンパ駆動伝達ギア17がダンパ駆動ギア14(シャフト12)に対して相対回転し、この回転に伴ってダンパギア19及び回転側部材20が操舵に応じた回転方向に回転する。このとき、ダンパ18内のシリコンオイル22の粘性によって回転側部材20とベース側部材21との間に抵抗力が生じ、グリップ5の急激な回転を防止すべく、グリップ5の回転に対し抵抗力が付与される。なお、回転側部材20とベース側部材21との互いに対向する面同士の対は、複数対設けることが望ましいが、必ずしもこれに限らず1対でもよい。
【0033】
図5に示すように、ベース部材15には、グリップ5の操舵回転軸線Ls回りの回転角度、つまりグリップ5の操舵回転中立位置(図3の実線状態)を基準とした操舵角度θs(図3参照)を検出する一対のポテンショメータ23,24が取り付けられている。ポテンショメータ23,24は各々ポテンショメータギア25,26を有し、これらポテンショメータギア25,26はポテンショメータ駆動ギア13に各々噛合係合されている。ポテンショメータ23,24としては例えば光学的や磁気的に位置検出を行うものが用いられ、操舵角度θsに応じた検出信号を出力する。本例は2つのポテンショメータ23,24を取り付けているが、これはフェールセーフのためである。
【0034】
従って、図7(a)に示す中立位置状態からグリップ5が操舵操作(例えば、右操舵操作)されると、図7(b)に示すようにダンパ駆動伝達ギア17が右操舵に応じた回転方向に相対回転することによってダンパギア19が回転するとともに、ポテンショメータギア25,26も右操舵に応じた回転方向に回転する。このとき、ダンパ18が作用することによってグリップ5の操舵には抵抗力が付与された状態となるとともに、グリップ5の操舵角度θsがポテンショメータ23,24によって検出され、その操舵角度θsに応じた操舵位置に車輪Tが操舵される。
【0035】
図5に示すように、シャフト12とベース部材15との間には、操舵操作されたグリップ5を操舵回転中立位置に復帰させるねじりコイルスプリング(以下、第1スプリングと記す)27が、同シャフト12に巻き付けられた状態で取り付けられている。シャフト12には一対のスプリングリテーナ28,29が固着され、第1スプリング27はこれらスプリングリテーナ28,29の間に配置される。各スプリングリテーナ28,29には、第1スプリング27の端部27a,27bを各々位置規制する規制部30a,30bが形成されている。これら規制部30a,30bは、図8(a)に示すように第1スプリング27を同規制部30a,30bに係止したとき、第1スプリング27が初期荷重を有した状態、つまり多少ねじ曲げられた状態で各端部27a,27bが当接する位置に配置され、この当接状態においては、グリップ5が操舵回転中立位置に位置した状態となる。
【0036】
また、ベース部材15には、グリップ5が操舵操作された際に第1スプリング27の端部27a,27bを各々押し込む押込部31a,31bが延出形成されている。これら押込部31a,31bは、第1スプリング27の各端部27a,27bが規制部30a,30bに各々接触した際に、これら端部27a,27bが各々当接可能となる位置に配置されている。即ち、グリップ5が操舵回転中立位置の際、第1スプリング27の端部27aには規制部30a及び押込部31aが当接し、第1スプリング27の端部27bには規制部30b及び押込部31bが当接した状態となる。また、規制部30a及び押込部31aはグリップ5が操舵操作されても互いに干渉しない位置に配置され、この条件は規制部30b及び押込部31bも同様である。
【0037】
従って、グリップ5が非操作の際には、第1スプリング27の付勢力で押込部31a,31bが各々外方側に押されることによって、第1スプリング27の端部27aが規制部30a及び押込部31aに当接し、第1スプリング27の端部27bが規制部30b及び押込部31bに当接した図8(a)に示す操舵回転中立位置の状態となる。この状態では、グリップ5は第1スプリング27の付勢力による回転が阻止された状態となり、外力が加えられなければその回転位置を維持する。
【0038】
グリップ5が操舵回転中立位置の状態から、例えば図8(b)に示すように右操舵されると、第1スプリング27の端部27bが規制部30bに位置規制された状態で、端部27aが押込部31aによって押し込まれ、グリップ5の右回転が許容される。このとき、第1スプリング27が巻き締められることから、第1スプリング27の弾性力に応じた反力が発生し、それが運転者に付与される。この際のグリップ5の回転限度は、押込部31aが規制部30bに当接することで規定され、グリップ5が最大限右操舵された状態となった際には、第1スプリング27の端部27aが規制部30bと押込部31aとで挟まれた状態となる。
【0039】
グリップ5を右操舵した状態でグリップ5から手を離すと、第1スプリング27の端部27aが押込部31aを外方側に押し、第1スプリング27の端部27aが規制部30aに当接するまでグリップ5が回転し、最終的にはグリップ5が操舵回転中立位置(図8(a)の状態)に復帰する。この操舵回転中立位置への復帰時、グリップ5の回転に際してはダンパ18が作用し、グリップ5の操舵回転中立位置側(この場合、左回転)への急激な回転が防止される。
【0040】
一方、グリップ5が操舵回転中立位置の状態から、例えば図8(c)に示すようにグリップ5が左操舵されると、第1スプリング27の端部27aが規制部30aに位置規制された状態で、端部27bが押込部31bによって押し込まれ、グリップ5の左回転が許容される。このときも、第1スプリング27の巻き締めにより、第1スプリング27の弾性力に応じた反力が運転者に付与される。この際のグリップ5の回転限度は、押込部31bが規制部30aに当接することで規定され、グリップ5が最大限左操舵された状態となった際には、第1スプリング27の端部27bが規制部30aと押込部31bとで挟まれた状態となる。
【0041】
グリップ5を左操舵した状態でグリップ5から手を離すと、第1スプリング27の端部27bが押込部31bを外方側に押し、第1スプリング27の端部27bが規制部30bに当接するまでグリップ5が回転し、最終的にはグリップ5が操舵回転中立位置(図8(a)の状態)に復帰する。この際にもダンパ18が作用し、グリップ5の操舵回転中立位置側(この場合、右回転)への急激な回転が防止される。
【0042】
従って、グリップ5の回転限度は規制部30a,30b及び押込部31a,31bの位置によって規定されることから、規制部30a,30b及び押込部31a,31bはグリップ5の回転時のストッパとしても機能する。よって、グリップ5の回転許容範囲(操舵範囲)は、規制部30a,30bのスプリングリテーナ28,29に対する固定位置、押込部31a,31bのベース部材15に対する固定位置によって決まることになり、規制部30a,30b及び押込部31a,31bの固定位置を変更することで適宜調整可能である。
【0043】
図1に示すように、装置本体10の内部には、加速操作時におけるグリップ操作を入力する加速指示入力操作部7が配設されている。ここで、加速指示入力操作部7は、上記した右回転及び左回転可能な操舵入力操作部6を一方向にのみ回転可能とした構造のものであり、基本的な構造は操舵入力操作部6とほぼ同様であることから、詳しい説明は省略する。なお、他方側の回転を規制する構造としては、例えばベース部材の回転を規制するストッパ等を設ける方法が採用される。
【0044】
グリップ5がアーム9を介して下方に回動操作、つまりグリップ5が下方に傾倒操作されると、車両に加速操作が付与される。このとき、グリップ5及びアーム9は、地面に対してアーム9が水平になった状態を加速回動開始位置(即ち、図1の状態)として下方に回動する。そして、グリップ5の回動角度、つまりグリップ5及びアーム9の下方への回動操作に伴う傾倒角度θgが加速指示入力操作部7のポテンショメータ32(図13参照)によって検出され、その傾倒角度θgに基づく加速量が車両に付与される。
【0045】
図9はグリップ5の操作レバー11付近の拡大図であり、図10は図9のII−II線断面図である。グリップ5の把持部5bには、減速操作時におけるグリップ操作を入力する減速指示入力操作部8が配設されている。この減速指示入力操作部8を以下に詳述すると、グリップ5の把持部5bには、グリップ5を握る際に手を差し込むための孔部5cが貫設され、この孔部5cの内面には、操作レバー11の取り付け箇所となる取付部33が形成されている。この取付部33は、互いに対向する向きで立設する一対の側壁33a,33aと、これら側壁33a,33aを繋ぐストッパ壁33bとを有した形状をなしている。
【0046】
操作レバー11の基端には、その長手方向と直交する向きに回動軸11aが延出形成されている。操作レバー11は、回動軸11aが回動可能な状態で側壁33a,33aに支持されることによって取付部33に取り付けられている。また、操作レバー11の基端は反手前側に回動する際にストッパ壁33bの内面に当接可能であり、操作レバー11はストッパ壁33bに当接した状態が操作レバー11の減速回動開始位置(図9の実線の状態)となることから、この減速回動開始位置を基準として手前側に回動可能である。
【0047】
操作レバー11と取付部33との間には、運転者の握り力により回動した操作レバー11を減速回動開始位置に復帰させる一対のねじりコイルスプリング(以下、単に第2スプリングと記す)34が介装されている。これら第2スプリング34は、回動軸11aの左右に各々巻き付けられた状態で取り付けられ、一端が操作レバー11に取付固定されるとともに他端が取付部33に取付固定されている。また、第2スプリング34は、操作レバー11を反手前側に常時付勢する状態で取り付けられている。従って、操作レバー11を手前側に引くと第2スプリング34にはその引き込み量に応じた付勢力が発生し、引いた状態から手を離すと、操作レバー11は第2スプリング34の付勢力によってストッパ壁33bに当接するまで反手前側に回動し、回動開始位置に復帰する。
【0048】
操作レバー11の回動軸11aには、操作レバー11の回動角度(操作量)、つまりグリップ5を握り込んだ際の操作レバー11の握り角度θdを検出する角度センサ35が配設されている。角度センサ35は、光学式や磁気式等の種々のセンサが採用され、検出部及び被検出部のうち一方が操作レバー11側に取り付けられ、他方が取付部33側に取り付けられる。角度センサ35は、例えば操作レバー11の減速回動開始位置を出力値「0」として、操作レバー11の握り角度θdに応じた検出信号を出力する。
【0049】
従って、操作レバー11を手前側に引き込んでいない状態では、第2スプリング34の付勢力によって操作レバー11が反手前側に押されてストッパ壁33bに当接し、それ以上反手前側には操作レバー11が回動しない図9の実線で示す減速回動中立位置の状態となる。よって、この減速回動中立位置が操作レバー11の減速回動開始位置となり、この減速回動開始位置はストッパ壁33bの延出方向(即ち、鉛直方向に対してなす角度)を変えることで適宜変更可能である。
【0050】
車両の走行速度を減速すべく、減速回動中立位置の状態からグリップ5が握り込まれると、図9の破線で示すように第2スプリング34の付勢力に抗して操作レバー11が手前側に回動する。このとき、第2スプリング34が巻き締められることから、操作レバー11には第2スプリング34の弾性力に応じた反力が発生し、それが運転者に付与される。この際の操作レバー11の回動限度(握り範囲)は、操作レバー11自体が把持部5bの内面5dに当接することで規定され、操作レバー11が内面5dに当接した状態となった際には、それ以上手前側に操作レバー11を回動できない状態となる。
【0051】
操作レバー11の回動操作時には、操作レバー11の握り角度θdが角度センサ35によって検出される。そして、この握り角度θdの値に応じた制動力が車両の車輪Tに付与され、車両の走行速度が減速される。一方、グリップ5を握った状態から握り力を弱めると、第2スプリング34の付勢力によって操作レバー11が反手前側に回動し、握り力を「0」にすると最終的に操作レバー11がストッパ壁33bに当接して減速回動中立位置(図9の実線の状態)に復帰する。
【0052】
車両は、加速指示入力操作部7による加速操作を施さなくとも、設定した車速を自動で維持するオートクルーズ機能(定速状態維持機能)を備えている。このオートクルーズ機能は、グリップ5の把持部5bに取り付けられた図9〜図11に示すオートクルーズスイッチボタン36が押されたことを条件に、そのスイッチ操作時点での車速を維持して車両を定速状態とする機能である。また、オートクルーズ機能による定速状態は、減速操作(制動操作)、つまりグリップ5を握って操作レバー11を手前側に回動する操作がなされると解除される。なお、オートクルーズスイッチボタン36が操作手段を構成する。
【0053】
図11に示すように、オートクルーズスイッチボタン36は3種類のボタンからなり、本例の場合には、セットボタン37、加速ボタン38及び復帰ボタン39の3つがある。これら3つのボタン37〜39は、グリップ5の上面5eに配置されている。セットボタン37は、オートクルーズ機能を作動させる際に操作するボタンである。セットボタン37がオン操作されると、オートクルーズ機能がセットされて車両が定速状態となり、ボタン操作が行われた時点での車速が設定速度として設定され、車速が設定速度を維持するように速度制御が行われる。
【0054】
加速ボタン38は、オートクルーズ機能の設定速度を上げる際に操作するボタンである。オートクルーズ機能がセットされた状態で加速ボタン38がオン操作されると、そのオン操作されている間は車両が加速状態となって車速が上昇する。そして、オン状態の加速ボタン38から指を離して加速ボタン38がオフ状態となると、オフ状態となった時点での車速がオートクルーズ機能の新たな設定速度として設定され、新たな設定速度を目標車速として車両の速度制御が行われる。
【0055】
また、復帰ボタン39は、減速操作(制動操作)で一旦解除されたオートクルーズ機能を、減速操作する直前の設定内容のオートクルーズ機能に復帰させるボタンである。即ち、グリップ5に握り操作が付与されて操作レバー11が手前側に回動すると車両が減速するが、この減速操作によりオートクルーズ機能が解除された後に復帰ボタン39がオン操作されると、減速操作する直前に実施されていたオートクルーズ機能に復帰する。なお、オートクルーズ機能による定速状態の解除は、減速操作を条件とすることに限らず、例えば専用の解除ボタンを設け、そのボタンが操作されたことを条件としてもよい。
【0056】
セットボタン37は、オン操作された後に押す力を取り除いても動作状態を保ち続け、さらにもう一度押すと元の中立位置に復帰するオルタネート型のボタンである。この場合、セットボタン37は、オン状態で手を離すと押し込んだ位置で保持されるロック式でもよいし、常に中立位置に自動復帰するノンロック式のどちらを用いてもよい。また、加速ボタン38及び復帰ボタン39については、オン操作により押された状態の間だけ動作状態を維持するモーメンタリー型のボタンである。
【0057】
ここで、セットボタン37は、オルタネート型やモーメンタリー型に拘らずロック式の構造を用いた場合、減速操作された際のその握り力を操作力として元の中立位置に復帰する復帰機構を有した構造でもよい。この構造の一例を図12に示すと、セットボタン37の下面には第1係止片37aが形成され、グリップ5の内壁40には第1係止片37aと係止可能な第2係止片40aが形成されている。第2係止片40aは操作レバー11の回動方向の外力が加わると、根元を基点に折れ曲がることが可能である。
【0058】
第2係止片40aには、操作レバー11側に延びる当接片40bが一体形成されている。操作レバー11の基端面には、操作レバー11の回動時に当接片40bに当接可能な延出部11bが形成されている。また、グリップ5の内面とセットボタン37との間には、セットボタン37を中立位置側に付勢するコイルバネ41が介装されている。なお、第1係止片37a及び第2係止片40aが係止機構を構成し、延出部11b及び当接片40bが復帰機構を構成する。
【0059】
上記構成においてセットボタン37が操作されていない状態では、図12(a)に示すように第1係止片37a及び第2係止片40aが非係止状態であることから、セットボタン37がコイルバネ41の付勢力によって上方に移動し、セットボタン37が中立位置に位置した状態となる。この状態からコイルバネ41の付勢力に抗してセットボタン37が押し込まれると、図12(b)に示すように第1係止片37a及び第2係止片40aが係止状態となるとともに、セットボタン37のスイッチ回路42(図14参照)がオン状態となり、オートクルーズ機能がセット状態となる。
【0060】
そして、図12(b)に示す状態において減速操作すべく操作レバー11が回動操作されると、操作レバー11の延出部11bが当接片40bを外方側に押し込み、これによって第2係止片40aが根元で折れ曲がって第1係止片37a及び第2係止片40aの係止状態が解除される。すると、セットボタン37がコイルバネ41の付勢力によって上方側に移動し、図12(c)に示すようにセットボタン37が中立位置に復帰した状態となる。
【0061】
また、セットボタン37、加速ボタン38及び復帰ボタン39は、押し込み式に限らず、例えば図13に示すようにスライド式でもよい。このようにスライド式の場合には、例えば親指等の引き込み操作によって手前側にスライド移動すると接点がオン状態となり、各ボタン37〜39の応じた機能が実施される。また、セットボタン37はオルタネート型又はモーメンタリー型のボタンのどちらでもよく、さらには図12に示すようなロック機構を備えていてもよい。この場合においても加速ボタン38及び復帰ボタン39についてはモーメンタリー型のボタンが採用される。
【0062】
図14は、入力操作装置1の電気構成を示す電気構成図である。入力操作装置1は、同装置1を統括制御するコントローラ43と、グリップ5の操舵操作時に車輪Tを操舵する操舵機構44と、グリップ5の加速操作に基づく回転量にエンジンEを制御するエンジン制御装置45と、グリップ5の減速操作に基づく制動力を車輪Tに付与する制動機構46とを備えている。なお、コントローラ43が制御手段に相当し、エンジン制御装置45が走行系装置及び定速走行制御装置を構成する。
【0063】
コントローラ43の入力側にはポテンショメータ23,24,32及び角度センサ35が接続され、出力側には操舵機構44、エンジン制御装置45及び制動機構46が接続されている。また、コントローラ43の入力側には、スイッチ回路42を介してオートクルーズスイッチボタン36(セットボタン36、加速ボタン38及び復帰ボタン39)が接続されている。
【0064】
グリップ5の操舵操作時、コントローラ43は、ポテンショメータ23,24から入力した検出信号を基に操舵機構44を作動し、グリップ5の操舵角度θsに車輪Tを操舵させる。グリップ5の加速操作時、コントローラ43は、ポテンショメータ32から入力した検出信号を基にグリップ5の傾倒角度θgを認識し、その傾倒角度θgに応じた加速信号をエンジン制御装置45に出力する。エンジン制御装置45は、その加速信号を基にエンジンEを制御する。グリップ5の減速操作時、コントローラ43は角度センサ35から入力した検出信号を基に制動機構46を作動し、操作レバー11の握り角度θdに応じた制動力を車輪Tに付与する。
【0065】
加速操舵時、コントローラ43はポテンショメータ23,24,32から検出信号を入力し、これら信号を基に操舵機構44及びエンジン制御装置45を作動して車両を加速操舵させる。また、減速操舵時、コントローラ43はポテンショメータ23,24及び角度センサ35から検出信号を入力し、これら信号を基に操舵機構44及び制動機構46を作動して車両を減速操舵させる。このように、コントローラ43は加速操作及び操舵操作の同時操作と、減速操作及び操舵操作の同時操作とについては許容する。
【0066】
しかし、コントローラ43は加速操作及び減速操作の同時操作については許容せず、この際には減速操作を優先する。即ち、コントローラ43はポテンショメータ32と角度センサ35とから同時に検出信号を入力すると、角度センサ35からの検出信号を優先して制御を行い、加速は行わずに制動のみを実施する。従って、例えば加速操作時に減速操作が行われると、加速操作が停止されて減速操作が開始され、或いは加速操舵している際に減速操作が行われると、加速操作については停止し操舵操作及び減速操作が行われる。
【0067】
オートクルーズスイッチボタン36が操作されると、コントローラ43はスイッチ回路42を介してその操作ボタンから操作信号を入力し、オートクルーズ機能を実施する。例えば、コントローラ43は、セットボタン37が押されたことを認識すると、車両の走行状態を定速状態(オートクルーズ状態)にセットし、加速操作をしなくとも車速を一定とすべくエンジン制御装置45を制御する。このとき、コントローラ43は、セットボタン37が押された時点の車速を設定速度に設定し、その設定車速を維持するようにエンジン制御装置45を制御する。
【0068】
また、コントローラ43は、車両が定速状態の際に加速ボタン38が押されたことを認識すると、加速ボタン38が押されている間、エンジン制御装置45を加速制御して車両を加速させる。なお、このときの加速量は、一定の値でもよいし、或いは加速ボタン38の操作量に基づく値のどちらでもよい。そして、指を離して加速ボタン38がオフ状態となると、コントローラ43は加速状態を停止し、加速ボタン38を離した時点での車速を新たな設定車速として定速走行を行う。
【0069】
コントローラ43は、車両の走行状態が定速状態の際に減速操作(操作レバー11の回動操作)されたことを認識すると、定速状態を解除して走行状態を通常状態に変更する。なお、この通常状態は、加速回動軸線Lg回りのグリップ5の回動操作により加速操作が可能な状態を言う。また、コントローラ43は、定速状態が解除された後に復帰ボタン39が押されたことを認識すると、直近の解除操作時の条件(設定速度)でオートクルーズ機能が復帰する。即ち、減速操作により解除された直前の設定速度を目標速度として、車両の走行状態が定速状態に復帰する。
【0070】
次に、本例の入力操作装置1の作用について説明する。
停止車両を発進させる際には、グリップ5を加速回動開始位置(図1の実線の状態)から下方に傾倒することで、手首を支点にグリップ5を回動操作する。このとき、グリップ5の傾倒角度θgが加速指示入力操作部7のポテンショメータ32によって検出され、その検出信号がコントローラ43に出力される。そして、コントローラ43が検出信号を基にグリップ5の傾倒角度θgの値を加速信号としてエンジン制御装置45に出力し、エンジン制御装置45がこの加速信号を基にエンジンEを駆動することで車両が加速状態となる。
【0071】
車両の進行方向を変えるべく車両を操舵する際には、グリップ5を操舵回転開始位置(図3の実線の状態)から左側又は右側に回転操作(図3の二点鎖線の状態)する。このとき、グリップ5の操舵角度θsが操舵入力操作部6のポテンショメータ23,24によって検出され、その検出信号がコントローラ43に出力される。なお、車両加速操作時に操舵操作が加えられていれば、コントローラ43はポテンショメータ23,24、32から検出信号を入力し、これらを基に操舵機構44及びエンジン制御装置45を制御して走行中の車両を操舵させる。
【0072】
走行車両を減速させる際には、例えばグリップ5の傾倒角度θgを「0」(即ち、加速回動開始位置)に戻してグリップ5に握り力を付与し、操作レバー11を減速回動開始位置(図9の実線の状態)から手前側に引くことで回動操作する。このとき、操作レバー11の握り角度θdが減速指示入力操作部8の角度センサ35によって検出され、その検出信号がコントローラ43に出力される。そして、コントローラ43はこの検出信号を基にして制動機構46を制御し、グリップ5の握り角度θdに応じた制動力を車輪Tに付与する。
【0073】
車両走行時にセットボタン37が押されると、コントローラ43は車両の走行状態を定速状態に設定する。従って、入力操作装置1を加速操作しない状態での車両走行が可能となり、これによって運転操作の簡易化を図ることが可能となる。また、走行状態が定速状態の際に加速ボタン38が押されると、コントローラ43は加速ボタン38を押している間、車両を加速状態とする。従って、定速状態の設定車速を上昇することが可能となり、例えば加速ボタン38を短い時間押せば設定車速が少し上昇し、加速ボタン38を長い時間押していれば設定車速が大きく上昇することになる。また、加速ボタン38がオフ状態となると、コントローラ43はオフ状態となった時点での設定車速を新たな車速として定速状態を継続する。
【0074】
定速状態の際に減速操作がなされると、コントローラ43は減速操作を検出した時点で定速状態を解除し、走行状態を定速状態から通常状態に復帰させる。また、オートクルーズ機能を解除する専用の解除スイッチを設けた場合には、コントローラ43はそのスイッチから操作信号を入力した時点で定速状態を解除する。定速状態を解除した後に復帰ボタン39が押されると、コントローラ43は直近の解除操作時の条件(設定速度)でオートクルーズ機能を復帰させる。従って、減速操作により定速状態を解除した後に元のオートクルーズ機能に復帰させる際の手間を省くことが可能となる。
【0075】
ここで、セットボタン37が図12(a)に示すロック式の構造を有する場合、セットボタン37が押込操作されると接点がオン状態になるとともに、図12(b)に示すように第1係止片37aが第2係止片40aに係止してセットボタン37の押込状態が維持される。この状態から操作レバー11が引き込まれて減速操作がなされると、図12(c)に示すように延出部11bが当接片40bを外方側に押し込んで第2係止片40aが根元で折り曲げられ、第1係止片37a及び第2係止片40aの係止が解除状態となり、セットボタン37がコイルバネ41の付勢力により元の中立位置に復帰する。
【0076】
なお、セットボタン37が例えばオルタネート型であれば、コントローラ43は角度センサ35の検出信号を基に定速解除判断を行い、角度センサ35から減速操作開始に応じた検出信号を入力すると、減速操作が行われたと判断して定速状態を解除する。一方、セットボタン37がモーメンタリー型であれば、コントローラ43はセットボタン37のスイッチ状態を基に定速解除判断を行い、セットボタン37が非接点状態に操作されることにより、スイッチ回路42からオフ信号を入力すると減速操作が行われたと判断して定速状態を解除する。
【0077】
従って、本例の入力操作装置1によれば、グリップ5のオートクルーズスイッチボタン36(セットボタン37、加速ボタン38、復帰ボタン39)を配置したので、グリップ5を把持した状態でオートクルーズスイッチボタン36を操作することが可能となる。従って、この種の走行系ボタンを操作する際に、空いた方の手(この場合、左手)を用いて行う必要性が生じず、車両の運転操作を一層楽に行うことが可能となる。
【0078】
第1実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)オートクルーズスイッチボタン36がグリップ5に設けられるので、グリップ5を把持した状態でオートクルーズスイッチボタン36を操作することができ、車両の運転操作を一層楽に行うことができる。
【0079】
(2)本例の入力操作装置1によれば、操舵、加速及び減速の各操作が、それぞれ独立した手の動き(操作形態)により行われるので、加速から減速又は減速から加速への切り換えが直ぐに実行でき、加減速の切り換えの際に時間がかかるという不具合が生じなくなる。また、車両の減速操作はグリップ5を握るという操作により行われることから、微妙な減速操作を入力することができ、さらには減速入力しながらの操舵も簡単に行うことができる。
【0080】
(3)人の5本の指のうち最も細かい操作が可能な指は親指であることから、グリップ把持時において親指が届く部位にオートクルーズスイッチボタン36を配置すれば、オートクルーズスイッチボタン36は親指で操作される。従って、オートクルーズスイッチボタン36の操作性を確保でき、微妙な操作入力でオートクルーズスイッチボタン36を操作することができる。
【0081】
(4)オートクルーズスイッチボタン36のセットボタン37がロック式の場合、押込状態のセットボタン37を中立位置に復帰させる図12に示す復帰機構を設ければ、減速操作した際の入力操作をセットボタン37の復帰に利用することができ、復帰用の特別なアクチュエータ等を用意せずに済む。
【0082】
(5)グリップ5の握り操作、つまり操作レバー11の回動操作を減速操作とし、そのグリップ5にセットボタン37を設けることから、減速指示入力操作部8とセットボタン37とが近傍に位置した状態となる。従って、減速操作をオートクルーズ機能の解除とし、しかもその減速操作を操作力としてセットボタン37を中立位置に復帰させる復帰機構を設けた場合、減速指示入力操作部8とセットボタン37とが近傍に位置していることにより、その復帰機構が簡素な構造で済む。
【0083】
(6)グリップ5を下方に傾倒する操作を加速操作とし、グリップ5の上面5eに押圧式のセットボタン37を設けたので、グリップ5の加速操作方向と、セットボタン37の押込操作方向とが同一方向(下方方向)となる。ところで、オートクルーズ機能のセットは、加速操作を行って車両を所定速度まで加速させ、ある程度加速した後にセットボタン37を押す流れで行われる。従って、グリップ5及びセットボタン37の操作方向を同一としておけば、加速操作時に付与した力で引き続きセットボタン37を押すことができ、セットボタン37の操作を楽に行うことができる。
【0084】
(7)加速操作と減速操作とが同時に行われた場合には減速を優先するので、入力操作装置1で加速操作と減速操作とが同時に行われたとしても、車両に加速と減速との両方が付与されるような状況に陥らずに済む。
【0085】
(8)グリップ5のハウジングには、操舵入力操作部6及び減速指示入力操作部8の両方が組み込まれている。従って、操舵入力操作部6及び減速指示入力操作部8を各々別々に用意する場合に比べて、入力操作装置1の部品点数を減らすことができ、入力操作装置1の簡素化を図ることができる。
【0086】
(9)グリップ5に操作レバー11を回動可能な状態で取り付け、グリップ5を握り込むことによって操作レバー11を手前側に回動させることで減速操作を行う構成(即ち、減速指示入力操作部8を回動式)とした。従って、減速指示入力操作部8を回動式とすれば、微妙な減速操作を行うことができ、減速操作の操作性を向上することができる。
【0087】
(10)グリップ5を加速回動開始位置から一方向に回動する操作、つまり下方に傾倒する操作を車両の加速操作とした。ここで、例えばグリップ5を加速回動開始位置から上方及び下方の両方に回動可能な構成であるとすると、加速指示入力操作部7の構造が複雑化するが、本例の場合は一方向のみに回動可能であることから、加速指示入力操作部7の構造が簡素化する。
【0088】
(11)本例の入力操作装置1によれば、操舵操作はグリップ5の操舵回転軸線Ls回りの回転操作で行い、加速操作は加速指示回動軸線Lg回りの回動操作、つまり図1及び図2に示すY−Z平面を可動範囲とする動きとなり、減速操作はグリップ5の握り操作で行う。従って、どの操作系をとっても、その操作を行った際にグリップ5が運転席側に動かす操作はないので、運転席のスペースを充分確保可能となる。また、運転席のドア側についてはその上下方向であれば充分なスペースが存在することから、入力操作装置1の可動範囲は充分に確保可能である。従って、運転席の運転スペース確保と、入力操作装置1の操作スペース確保との両立が可能となる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図14〜図18に従い説明する。なお、本例は第1実施形態に対し、グリップ5に設けたボタンの種類が異なるのみであり、他の基本的な構成については同様である。従って、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
車両は、車両の進行方向を指示するターンシグナルランプ47(図14参照)を備えている。ターンシグナルランプ47は少なくとも車両前後に左右一対設けられ、グリップ5の把持部5bに取り付けられたターンシグナルスイッチ48(図15参照)を操作することで作動する。ターンシグナルスイッチ48は2接点式のスイッチであり、一方の操作部48a(例えば右側操作部)がオン操作されるとターンシグナルランプ47の右側ランプが点滅状態となり、他方の操作部48b(例えば左側操作部)がオン操作されるとターンシグナルランプ47の左側ランプが点滅状態となる。なお、ターンシグナルランプ47が走行系装置及び方向指示装置を構成し、ターンシグナルスイッチ48が操作手段を構成する。
【0091】
ターンシグナルスイッチ48はグリップ5の把持部5bの上面5eに配置され、各操作部48a,48bが断面三角形状を有した形状をなしている。また、ターンシグナルスイッチ48において2つの操作部48a,48bを結ぶ直線Lxは左右方向(車両の前後方向と直交する方向)に延びる直線とほぼ平行をなしていることから、グリップ5の操舵方向とターンシグナルスイッチ48の操作方向とがほぼ同一であるとみなせる。従って、例えば右操舵時にはその際に付与した力でターンシグナルスイッチ48の右側操作部48aを押し込むことが可能となり、一方で左操舵時にはその際に付与した力でターンシグナルスイッチ48の左側操作部48bを押し込むことが可能となる。
【0092】
ターンシグナルスイッチ48は各種構造のスイッチが採用されるが、その一例として例えば図16(a)に示す揺動型を採用してもよい。この場合、ターンシグナルスイッチ48は中央部の支軸48cを基点に左右に揺動可能であり、この揺動に伴ってスイッチ回路49の各接点49a、49bのうち一方を作動可能である。ターンシグナルスイッチ48が右側に揺動するとスイッチ回路49の接点49aが接点状態となり、ターンシグナルランプ47の右側ランプが点灯する。ターンシグナルスイッチ48が左側に揺動するとスイッチ回路49の接点49bが接点状態となり、ターンシグナルランプ47の左側ランプが点灯する。
【0093】
ターンシグナルスイッチ48は、例えば図16(b)に示すスライド型を採用してもよい。この場合、ターンシグナルランプ47の右側ランプを点灯させるには、ターンシグナルスイッチ48を右側にスライド操作し、ターンシグナルランプ47の左側ランプを点灯させるには、ターンシグナルスイッチ48を左側にスライド操作する。ターンシグナルスイッチ48は、例えば図16(c)に示すように、右側及び左側の個々にスイッチを設ける構成としてもよい。また、ターンシグナルスイッチ48はオートクルーズスイッチボタン36と同様にオルタネータ型又はモーメンタリー型のどちらでもよい。
【0094】
ターンシグナルスイッチ48は、押圧操作された際の押込状態が係止機構(図示略)により維持されるロック式でもよい。即ち、ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合、右側操作部48aは押込操作されるとその押込状態(図16(a)の二点鎖線状態)で保持され、一方で左側操作部48bが押込操作されるとその押込状態(図示略)で保持される。ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合、操舵方向が切り換えられた際に復帰機構(図示略)によりターンシグナルスイッチ48が元の中立位置に復帰する構造でもよい。上記係止機構及び復帰機構については公知の構成が採用され、復帰機構は機械式又は電気式のどちらでもよい。
【0095】
ターンシグナルスイッチ48が操作されると、コントローラ43はスイッチ回路49を介してその操作スイッチから操作信号を入力し、ターンシグナルランプ47を作動させる。例えば、コントローラ43は、ターンシグナルスイッチ48の右側操作部48aが押されたことを認識すると、ターンシグナルランプ47の右側ランプを点滅させる。また、コントローラ43は、ターンシグナルスイッチ48の左側操作部48bが押されたことを認識すると、ターンシグナルランプ47の左側ランプを点滅させる。
【0096】
ターンシグナルスイッチ48の押込操作検出はスイッチ回路49を用いることに限らず、例えば図17に示す傾斜センサ50を用いてもよい。この場合、傾斜センサ50はターンシグナルスイッチ48の傾斜方向及び傾斜角度に応じた検出信号を出力する。コントローラ43は、傾斜センサ50からの検出信号を逐次監視しており、傾斜センサ50から入力する検出信号を基にして、ターンシグナルスイッチ48が右操作されたか或いは左操作されたかを判断している。
【0097】
また、グリップ5にはオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48の一方のみが設けられる構成に限らず、例えば図18に示すようにオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48の両方を設ける構成としてもよい。この場合、オートクルーズスイッチボタン36よりもターンシグナルスイッチ48の方が使用頻度が高いため、操作者に近いグリップ5の手前側面5fにターンシグナルスイッチ48を配置し、オートクルーズスイッチボタン36をグリップ5の上面5eに配置する組み合わせにするとよい。ここで、ターンシグナルスイッチ48をグリップ5の手前側面5fに配置したとしても、両操作部48a、48bを結ぶ直線Lxが左右方向に延びる直線と平行になっていれば、同一操作方向が維持され、高い操作性も確保される。
【0098】
さて、車両を右操舵する際には、進行方向変更を指示すべくターンシグナルスイッチ48の右側操作部48aを押し込む。このとき、コントローラ43はその操作信号を入力し、ターンシグナルランプ47の右側ランプを点滅させる。この際のグリップ5の操舵操作としては、右操舵が行われた後にグリップ5を中立位置に戻すべく左操舵がなされるが、コントローラ43はグリップ5の操舵方向の切り換わりを検出すると、ターンシグナルランプ47を消灯する。また、ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合には、右側操作部48aが押されるとその押込状態が保持されるが、車両操舵時に操舵方向が切り換わると復帰機構が作動し、ターンシグナルスイッチ48が元の中立位置に復帰する。
【0099】
一方、車両を左操舵する際には、進行方向変更を指示すべくターンシグナルスイッチ48の左側操作部48bが押し込まれる。このとき、コントローラ43は上記右操舵の場合と同様の手順で動作し、ターンシグナルランプ47の左側ランプを点灯させるとともに、操舵操作時に操舵方向の切り換わりを検出すると点滅中のターンシグナルランプ47を消灯させる。このとき、ターンシグナルスイッチ48がロック式の場合には、上記右操舵の場合と同様に、操舵方向が切り換わった際に中立位置に復帰する。
【0100】
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態の(2)〜(4)及び(7)〜(11)に記載の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(12)ターンシグナルスイッチ48がグリップ5に設けられるので、グリップ5を把持した状態でターンシグナルスイッチ48を操作することができ、車両の運転操作を一層楽に行うことができる。
【0101】
(13)ターンシグナルスイッチ48の配置向きは、2つの操作部48a,48bを結ぶ直線Lxが、左右方向(車両の前後方向と直交する方向)に延びる直線とほぼ平行状態となるような向きである。従って、操舵時に付与した力で右側操作部48a又は左側操作部48bを操作することができ、ターンシグナルスイッチ48の高い操作性を確保することができる。
【0102】
(14)グリップ5にオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48の両方を設置すれば、グリップ5を把持した状態でオートクルーズスイッチボタン36及びターンシグナルスイッチ48のどちらも操作可能となるので、より一層高い操作性を確保することができる。
【0103】
なお、本実施形態は上記構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 減速操作は、グリップ5に設けた操作レバー11を握ることにより行う構成に限定されない。例えば、図19に示すように、加減速回転軸線Lx回りに回転可能な卵形状のグリップ5を設け、操舵回転軸線Lsに対しグリップ5を下方に回転することで加速操作を行い、操舵回転軸線Lsに対しグリップ5を上方に回転することで減速操作を行う入力操作装置1を用いる。そして、この入力操作装置1のグリップ5に、オートクルーズスイッチボタン36やターンシグナルスイッチ48を取り付けてもよい。
【0104】
・ 操舵入力操作部6及び減速指示入力操作部8は、同一のグリップ5に組み付けられることで一体化されることに限定されない。例えば、図20に示すようにアーム9の先端に操舵入力操作部6を組み付け、その操舵入力操作部6のシャフト12の先端を通常よりも長く延ばし、そしてシャフト12の先端に、減速指示入力操作部8が組み付けられたグリップ5を取り付ける構成としてもよい。
【0105】
・ 操作レバー11の握り角度θdの検出手法としては、角度センサ35を用いたものに限らず、例えば図21に示すように圧力センサ51を用いた構成でもよい。この構成においては、操作レバー11の回動に伴いスライド移動する緩衝材52を把持部5bに取り付け、この緩衝材52の押込み先に圧力センサ51を埋設する。そして、車両を減速操作すべく操作レバー11を回動操作すると、それに伴って緩衝材52が手前側にスライド移動し、圧力センサ51が緩衝材52を介して操作レバー11の握り角度θdを検出する。車両は、その握り角度θdに応じた制動力が車輪Tに付与されることで減速する。
【0106】
・ 減速指示入力操作部8の操作形態は、操作レバー11を回動する回動式に限らず、例えば、図22に示すように親指を除いた4本の指で操作部材53をスライド移動させるスライド式でもよい。この構成においては、スライド移動可能な状態で操作部材53を把持部5bに取り付け、その押込み先に操作部材53のスライド量を検出するポテンショメータ54を埋設する。また、把持部5bの内部に、手前側にスライド移動した操作部材53を移動開始位置に復帰させる一対の戻しバネ55,55を埋設する。そして、車両を減速操作すべくグリップ5に握り操作が付与されると、操作部材53が戻しバネ55,55の付勢力に抗して手前側にスライド移動し、ポテンショメータ54が操作部材53のスライド量を検出する。車両には操作部材53のスライド量に応じた制動力が付与され、車両はこの制動力によって減速する。また、操作部材53から手を離すと、戻しバネ55,55の付勢力によって操作部材53が反手前側にスライド移動し、操作部材53が移動開始位置に位置した状態に復帰する。
【0107】
・ 第1入力操作部が操舵操作(操舵入力操作部6)、第2入力操作部が加速操作(加速指示入力操作部7)、第3入力操作部が減速操作(減速指示入力操作部8)となる組み合わせに限定されない。例えば、第1入力操作部が操舵操作、第2入力操作部が加速操作、第3入力操作部が加速操作となる組み合わせとしてもよい。
【0108】
・ 操作手段は、オートクルーズスイッチボタン36やターンシグナルスイッチ48に限らず、例えばワイパスイッチやヘッドライトスイッチ等の走行系に関するスイッチ(ボタン)であれば特に限定されない。
【0109】
・ 入力操作装置1を加速操作している際にオートクルーズスイッチボタン36のセットボタン37が押された場合、その時点でのグリップ5の傾倒角度θgが維持される構造としてもよい。このようにすれば、減速操作により車両が通常状態に戻った際に、加速操作つまりグリップ5の傾倒操作を、中立位置から再度行う必要がなくなり、加速操作をスムーズに行うことができる。
【0110】
・ グリップ5の操舵角度θs及び傾倒角度θgを検出するセンサはポテンショメータ23,24,32に限定されず、例えば角度センサ等の他のセンサを用いてもよい。また、操作レバー11の握り角度θdを検出するセンサ(検出手段)は角度センサ35、圧力センサ51、ポテンショメータ54等に限らず、減速操作時に運転者が付与する操作量(例えば握り角度θdや、操作部材53(図22参照)を用いた際のそのスライド量)を検出可能なセンサであれば特に限定されない。
【0111】
・ 第2入力操作部(加速指示入力操作部7)は、一方向のみに回動可能な構成に限定されない。即ち、グリップ5は加速回動開始位置を中立位置として上方及び下方の両方に傾倒可能とし、グリップ5を下方に回動すると通常通りの加速量で加速し、一方で上方に回動すると急加速する構成としてもよい。
【0112】
・ 入力操作装置1は必ずしもドア2に配置されることに限らず、これとは逆に、運転席と助手席との間(即ち、コンソール)に配置されてもよい。
・ 入力操作装置1の搭載先、つまり乗り物は自動車等の車両に限らず、操舵、加速及び減速等の各種操作が必要な乗り物であれば特に限定されることはない。
【0113】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されている。
【0114】
(2)請求項2〜7のいずれかにおいて、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記第2入力操作部は、前記乗り物を加速させる際に操作する操作部であり、前記第3入力操作部は、前記乗り物を減速させる際に操作する操作部であり、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されている。
【0115】
(3)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記走行系装置は、前記乗り物の速度を一定速度で維持する定速走行制御装置であって、前記操作手段が操作された際に、該操作手段をその操作開始位置に復帰させる自動復帰機構と、前記入力操作機構が減速操作されたことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出信号を基に前記減速操作が付与されたと判断すると、前記定速走行制御装置による定速状態を解除する第2制御手段とを備えた。
【0116】
(4)請求項4〜7のいずれかにおいて、前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であり、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記復帰機構は、前記第1入力操作部による操舵操作が反転された際に、その反転後の回転力を操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置に復帰させて前記方向指示装置による進行方向指示状態を解除する。
【0117】
(5)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であって、前記操作手段が操作された際に、該操作手段をその操作開始位置に復帰させる自動復帰機構と、前記入力操作機構が操舵操作された際に、その操舵方向の切り換えを検出する検出手段と、前記検出手段の検出信号を基に操舵時の操舵方向が反転されたと判断すると、前記方向指示装置による進行方向指示状態を解除する第2制御手段とを備えた。
【0118】
(6)請求項1において、前記入力操作機構は、運転者の前腕の少なくとも一部を支持するアームレストと、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記前腕と平行に延びる軸線回りの手首の回転に伴う前記グリップの回転を入力操作とする第1入力操作部と、前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記手首を中心として手の回転に伴う前記グリップの移動を入力操作とする第2入力操作部と
を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1実施形態における入力操作装置の平面図。
【図2】入力操作装置の側面図。
【図3】入力操作装置を車両前方から見た図。
【図4】車両のドアの内側面を示す斜視図。
【図5】グリップの内部の操舵入力操作部を示す側面図。
【図6】ダンパの内部構成を示す断面図。
【図7】(a),(b)は、グリップを操舵操作した際のギヤ動作の説明図。
【図8】(a)〜(c)は、グリップを操舵操作した際のバネ動作の説明図。
【図9】グリップの操作レバー付近の拡大図。
【図10】図9のII−II線断面図。
【図11】グリップの把持部付近を示す斜視図。
【図12】(a)〜(c)は係止機構及び復帰機構の作動状態を示す断面図。
【図13】他のボタン構成を用いたグリップの把持部付近の斜視図。
【図14】入力操作装置の電気構成を示す電気構成図。
【図15】第2実施形態におけるグリップの把持部付近を示す斜視図。
【図16】(a)〜(c)はターンシグナルスイッチのスイッチ例を示す模式図。
【図17】ターンシグナルスイッチの他の操作検出方法を説明する模式図。
【図18】他のボタン(スイッチ)配置例を示すグリップの把持部付近の斜視図。
【図19】別例における入力操作装置の側面図。
【図20】他の別例における入力操作装置の側面図。
【図21】他の別例におけるグリップの操作レバー付近の拡大図。
【図22】他の別例におけるグリップの操作レバー付近の拡大図。
【図23】従来における入力操作装置の平面図。
【図24】同じく従来における入力操作装置の側面図。
【符号の説明】
【0120】
1…入力操作装置、3…入力操作機構を構成するアームレスト、5…グリップ、5e…上面、6…入力操作機構及び第1入力操作部を構成する操舵入力操作部、7…入力操作機構及び第2入力操作部を構成する加速指示入力操作部、8…入力操作機構及び第3入力操作部を構成する減速指示入力操作部、9…入力操作機構及び第2入力操作部を構成するアーム、11b…復帰機構を構成する延出部、36…操作手段を構成するオートクルーズスイッチボタン、37a…係止機構を構成する第1係止片、40a…係止機構を構成する第2係止片、40b…復帰機構を構成する当接片、43…制御手段としてのコントローラ、45…走行系装置及び定速走行制御装置を構成するエンジン制御装置、47…走行系装置及び方向指示装置を構成するターンシグナルランプ、48…操作手段を構成するターンシグナルスイッチ、Ls…軸線としての操舵回転軸線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の運転操作時に操作され、運転者の手及び前腕を用いて各種操作を行う入力操作装置において、
操作時に運転者が把持するグリップと、
前記乗り物を少なくとも操舵及び加減速させる際に操作され、前記グリップを把持した運転者の手の操作を入力操作とする入力操作機構と、
前記乗り物に搭載された走行系装置を作動させる際に操作する操作手段と、
前記操作手段が操作された際、その操作信号を基に前記走行系装置を作動させる制御手段と
を備えたことを特徴とする入力操作装置。
【請求項2】
前記入力操作機構は、
運転者の前腕の少なくとも一部を支持するアームレストと、
前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記前腕と平行に延びる軸線回りの手首の回転に伴う前記グリップの回転を入力操作とする第1入力操作部と、
前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記手首を中心として手の回転に伴う前記グリップの移動を入力操作とする第2入力操作部と、
前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記運転者の前記グリップの握りを入力操作とする第3入力操作部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入力操作装置。
【請求項3】
前記操作手段は、運転者が前記グリップを把持した際に、その親指が届く部位に配置されている請求項1又は2に記載の入力操作装置。
【請求項4】
前記操作手段が操作された際に、その押込状態を保持すべく該操作手段の操作状態を維持する係止機構と、
前記操作手段が操作されて前記係止機構により前記操作状態が維持された後、該操作状態を解除すべき操作が前記入力操作機構でなされた際に、その動きを操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置へ機械的に復帰させる復帰機構と
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の入力操作装置。
【請求項5】
前記走行系装置は、前記乗り物の速度を一定速度で維持する定速走行制御装置であり、前記第3入力操作部は、前記乗り物を減速させる際に操作する操作部であり、前記復帰機構は、前記第3入力操作部が握り操作された際に、その握り力を操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置に復帰させて前記定速走行制御装置による定速状態を解除することを特徴とする請求項4に記載の入力操作装置。
【請求項6】
前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であり、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されていることを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の入力操作装置。
【請求項7】
操舵操作、加速操作又は減速操作時の前記入力操作機構の操作方向と、前記操作手段の操作方向とが同一方向であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の入力操作装置。
【請求項1】
乗り物の運転操作時に操作され、運転者の手及び前腕を用いて各種操作を行う入力操作装置において、
操作時に運転者が把持するグリップと、
前記乗り物を少なくとも操舵及び加減速させる際に操作され、前記グリップを把持した運転者の手の操作を入力操作とする入力操作機構と、
前記乗り物に搭載された走行系装置を作動させる際に操作する操作手段と、
前記操作手段が操作された際、その操作信号を基に前記走行系装置を作動させる制御手段と
を備えたことを特徴とする入力操作装置。
【請求項2】
前記入力操作機構は、
運転者の前腕の少なくとも一部を支持するアームレストと、
前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記前腕と平行に延びる軸線回りの手首の回転に伴う前記グリップの回転を入力操作とする第1入力操作部と、
前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記手首を中心として手の回転に伴う前記グリップの移動を入力操作とする第2入力操作部と、
前記アームレストに運転者の前記前腕の少なくとも一部が支持された状態で、前記運転者の前記グリップの握りを入力操作とする第3入力操作部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入力操作装置。
【請求項3】
前記操作手段は、運転者が前記グリップを把持した際に、その親指が届く部位に配置されている請求項1又は2に記載の入力操作装置。
【請求項4】
前記操作手段が操作された際に、その押込状態を保持すべく該操作手段の操作状態を維持する係止機構と、
前記操作手段が操作されて前記係止機構により前記操作状態が維持された後、該操作状態を解除すべき操作が前記入力操作機構でなされた際に、その動きを操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置へ機械的に復帰させる復帰機構と
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の入力操作装置。
【請求項5】
前記走行系装置は、前記乗り物の速度を一定速度で維持する定速走行制御装置であり、前記第3入力操作部は、前記乗り物を減速させる際に操作する操作部であり、前記復帰機構は、前記第3入力操作部が握り操作された際に、その握り力を操作力として前記係止機構による係止状態を解除し、前記操作手段を元の中立位置に復帰させて前記定速走行制御装置による定速状態を解除することを特徴とする請求項4に記載の入力操作装置。
【請求項6】
前記走行系装置は、前記乗り物の進行方向を指示する方向指示装置であり、前記第1入力操作部は、前記乗り物を操舵させる際に操作する操作部であり、前記操作手段は、前記グリップの上面に配置されていることを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の入力操作装置。
【請求項7】
操舵操作、加速操作又は減速操作時の前記入力操作機構の操作方向と、前記操作手段の操作方向とが同一方向であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の入力操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−155228(P2006−155228A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344624(P2004−344624)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]