内燃機関の制御装置
【課題】間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけ、あるいは、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させることができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能な内燃機関の制御装置において、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御の開始を禁止して成層燃焼運転制御を開始し、成層燃焼運転制御が終了した後に間欠運転制御を開始する。
【解決手段】燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能な内燃機関の制御装置において、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御の開始を禁止して成層燃焼運転制御を開始し、成層燃焼運転制御が終了した後に間欠運転制御を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に内燃機関の制御装置が記載されている。特許文献1に記載の内燃機関では、内燃機関の運転(以下、内燃機関の運転を「機関運転」ともいう)の始動と機関運転の停止とを交互に繰り返し行う間欠運転制御が実行可能である。そして、特許文献1に記載の制御装置は、間欠運転制御の実行中に機関運転を停止しようとするとき、機関運転の停止前に内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの温度が高くなるように内燃機関を運転させ、機関運転の停止前に内燃機関の排気通路に配置された触媒の温度(以下、触媒の温度を「触媒温度」ともいう)を触媒の耐熱限界温度まで上昇させる。これにより、機関運転が再び始動されたときの触媒温度を比較的高い温度にあるようしし、その結果、触媒の浄化能力を比較的高い浄化能力にあるようにし、触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−36626号公報
【特許文献2】特開2009−24517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の制御装置では、機関運転の停止前に触媒温度を上昇させるが、機関運転の停止時間が長期に亘れば、機関運転が再び始動されたときに触媒温度が所望の浄化能力を触媒に発揮させるのに十分に高い温度(以下この温度を「触媒活性温度」ともいう)よりも低い温度になっている可能性がある。この場合、機関運転が再び始動されたときに所望の浄化能力を触媒に発揮させるためには触媒温度を上昇させる必要がある。そして、この場合、当然のことながら、触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけることが好ましいし、あるいは、触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させることが好ましい。特に、内燃機関が間欠運転制御を実行可能である場合、機関運転が比較的頻繁に停止され、機関運転が停止されるたびに触媒温度が低下する可能性があるので、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけておくことが好ましいし、あるいは、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させておくことが好ましい。
【0005】
こうした事情に鑑み、本発明の目的は、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけ、あるいは、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明は、内燃機関の制御装置であって、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能である内燃機関の制御装置に関する。ここで、本発明の内燃機関は、燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備する。そして、本発明の制御装置は、前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記間欠運転制御の開始を禁止して前記成層燃焼運転を開始し、該成層燃焼運転が終了した後に前記間欠運転制御を開始する。
【0007】
本発明によれば、以下の利点が得られる。すなわち、成層燃焼が行われた場合に燃焼室から排出される排気ガスの温度(以下、排気ガスの温度を「排気温度」ともいう)は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼(すなわち、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる燃焼)が行われた場合の排気温度よりも高くなる。ここで、本発明では、間欠運転制御の開始前に成層燃焼運転制御が実行される。このため、本発明によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠運転制御において機関運転(以下、間欠運転制御における機関運転を「間欠機関運転」ともいう)が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0008】
なお、上記発明において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備する場合、前記成層燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火を行うようにしてもよい。
【0009】
この場合、以下の利点がある。すなわち、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点(以下この上死点を「圧縮上死点」ともいう)よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度は、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度よりも高くなる。このため、成層燃焼運転制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度をより高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0010】
また、上記発明において、成層燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングは、圧縮上死点よりも遅いタイミングであれば、特定のタイミングに制限されないが、たとえば、前記成層燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングとして、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングを採用することができる。
【0011】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。このため、成層燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ間欠機関運転の実行中の点火手段による燃料への点火のタイミング(以下この点火のタイミングを「基準点火タイミング」という)よりも遅いタイミングが採用された場合、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0012】
本願の別の発明は、内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転を継続して実行する機関運転継続制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能である内燃機関の制御装置に関する。ここで、本発明の内燃機関は、燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備する。そして、本発明の制御装置は、前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記触媒の温度が前記触媒が予め定められた浄化能力を発揮する温度である触媒活性温度よりも低いときには前記間欠運転制御の開始を禁止して前記機関運転継続制御を開始し、前記触媒の温度が前記触媒活性温度以上になったときに前記機関運転継続制御を終了し、該機関運転継続制御が終了した後に前記間欠運転制御を開始する。
【0013】
本発明によれば、以下の利点が得られる。すなわち、本発明では、間欠運転制御の開始前において触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、機関運転継続制御が開始され、機関運転が実行される。そして、触媒温度が触媒活性温度以上になり、機関運転継続制御が終了した後に間欠運転制御が開始される。このため、本発明によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度まで上昇させることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0014】
なお、機関運転継続制御において実行される内燃機関の運転の形態は、特定の形態に制限されないが、たとえば、内燃機関が燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御を実行可能である場合、前記機関運転継続制御として前記成層燃焼運転制御を採用することができる。
【0015】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、上述したように、成層燃焼が行われた場合の排気温度は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼が行われた場合の排気温度よりも高くなる。したがって、機関運転の制御として成層燃焼運転制御が採用された場合、触媒温度が高い温度上昇率で上昇せしめられる。このため、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用された場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度まで短時間で到達させることができるという利点が得られる。
【0016】
また、上記発明において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備する場合、前記機関運転継続制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火を行うようにしてもよい。
【0017】
この場合、以下の利点がある。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度は、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度よりも高くなる。このため、機関運転継続制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度をより高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。また、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用される場合において、成層燃焼運転制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度をさらに高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0018】
また、上記発明において、機関運転継続制御における点火手段による燃料への点火のタイミングは、圧縮上死点よりも遅いタイミングであれば、特定のタイミングに制限されないが、たとえば、前記機関運転継続制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングとして、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングを採用することができる。
【0019】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。このため、機関運転継続制御における点火手段による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミング(すなわち、間欠機関運転の実行中の点火手段による燃料への点火のタイミング)よりも遅いタイミングが採用された場合、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。また、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用される場合において、成層燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも遅いタイミングが採用された場合、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、さらに高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0020】
また、上記発明の間欠運転制御の実行の決定は、如何なる手法によって行われてもよく、この手法として、たとえば、燃焼室内の燃料の燃焼熱による内燃機関の温度の上昇分に対する同燃焼熱による触媒の温度の上昇分の比である温度上昇比が予め定められた比以上である燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する触媒暖機運転制御と、前記温度上昇比が前記予め定められた比よりも小さくなる燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する機関暖機運転制御とが実行可能である場合において、内燃機関の運転が予め定められた時間以上の時間に亘って停止された後に内燃機関の運転が始動されたときに前記触媒暖機運転制御と前記機関暖機運転制御とがそれぞれ少なくとも一回実行されたときに前記間欠運転制御を実行することを決定するという手法を採用することができる。
【0021】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、上述した手法が採用される場合、間欠運転制御の開始前に機関暖機運転制御が少なくとも一回実行される。ここで、機関暖機運転制御は、温度上昇比が予め定められた比よりも小さくなる機関運転を実行する制御である。したがって、機関暖機運転制御が実行されると内燃機関の温度(以下、内燃機関の温度を「機関温度」ともいう)は上昇するが、逆に、触媒温度は低下する可能性がある。しかしながら、この場合にも、触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ少なくとも一回実行されたときに間欠運転制御を実行することが決定され、成層燃焼運転制御が実行され、あるいは、機関運転継続制御が実行される。したがって、機関温度を上昇させるための機関暖機運転制御が実行されたとしても、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができるか、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0022】
また、上記発明の機関暖機運転制御は、温度上昇比が上記予め定められた比よりも小さくなる機関運転を実行する制御であれば、如何なる制御でもよく、たとえば、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる均質燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する均質燃焼運転制御が実行可能である場合において、前記機関暖機運転制御として前記均質燃焼運転制御を採用することができる。
【0023】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、均質燃焼が行われた場合、機関温度を効率的に上昇させることができる。このため、機関暖機運転制御として均質燃焼運転制御が採用された場合、機関温度を効率的に上昇させることができるという利点が得られる。
【0024】
また、上記発明において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備する場合、前記均質燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングで前記点火手段による燃料への点火を行うようにしてもよい。
【0025】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の機関温度の上昇は、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の機関温度の上昇よりも大きい。このため、均質燃焼運転制御において圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に機関温度を高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0026】
また、上記発明において、均質燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングは、圧縮行程の上死点よりも早いタイミングであれば、特定のタイミングに制限されないが、たとえば、前記均質燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングとして、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも早いタイミングを採用することができる。
【0027】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが早いほど機関温度の上昇が大きくなる。このため、均質燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火タイミングとして、圧縮上死点よりも早いタイミングであって且つ基準点火タイミング(すなわち、間欠機関運転中の点火手段による燃料への点火のタイミング)よりも早いタイミングが採用された場合、間欠運転制御の開始前に基準点火タイミングで燃料が点火される場合に比べて、より高い温度上昇率で機関温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0028】
また、上記発明の間欠運転制御は、機関運転の始動と機関運転の停止とを行う制御であれば、如何なる制御であってもよく、たとえば、上記発明において、内燃機関が車両に搭載されている場合において、前記間欠運転制御として、前記車両の速度が零になり、内燃機関から出力される動力として要求される動力である要求機関動力が零になったときに内燃機関の運転を停止し、前記車両の発進が要求され、要求機関動力が零よりも大きくなったときに内燃機関の運転を始動する制御を採用することができるし、内燃機関と電動機とを具備し、これら内燃機関および電動機から出力される動力のいずれか一方または両方を動力として出力する動力装置に上記発明の内燃機関の制御装置が用いられる場合において、前記間欠運転制御として、前記動力装置から出力される動力として要求される動力である要求動力を電動機のみによって出力するとき(したがって、要求機関動力が零であるとき)に内燃機関の運転を停止し、要求動力を電動機および内燃機関によって出力するとき或いは内燃機関のみによって出力するとき(したがって、要求機関動力が零よりも大きいとき)に内燃機関の運転を始動する制御を採用することもできる。
【0029】
なお、動力装置が内燃機関から出力される動力を出力する場合、動力装置が内燃機関から出力される動力の全てを出力してもよいし、同動力の一部を出力してもよい。同様に、動力装置が電動機から出力される動力を出力する場合、動力装置が電動機から出力される動力の全てを出力してもよいし、同動力の一部を出力してもよい。
【0030】
あるいは、上記発明の間欠運転制御として、たとえば、要求機関動力に応じて内燃機関の運転の始動時点から短時間のうちに内燃機関の運転を停止する制御を採用することもできるし、内燃機関の運転の停止時点から短時間のうちに内燃機関の運転を始動する制御を採用することもできるし、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを短時間間隔で実行する制御を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の制御装置が適用された内燃機関を示す図である。
【図2】(A)は第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中に基準燃料噴射量を取得するために利用されるマップを示した図であり、(B)は第1実施形態の間欠機関運転中に基準燃料噴射タイミングを取得するために利用されるマップを示した図であり、(C)は第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中に基準燃料噴射タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図3】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図4】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中に基準スロットル弁開度を取得するために利用されるマップを示した図である。
【図5】第1実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図6】第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図7】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図8】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図9】第2実施形態の成層燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図10】第3実施形態の成層燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図11】第4実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例の一部を示した図である。
【図12】第4実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例の一部を示した図である。
【図13】第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中に基準燃料噴射タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図14】第6実施形態の均質燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図15】第7実施形態の均質燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図16】第8実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図17】第9実施形態の制御装置が適用された内燃機関を具備する動力装置を備えた車両を示す図である。
【図18】第9実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図19】第10実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の1つの実施形態(以下「第1実施形態」という)の制御装置が適用された内燃機関が図1に示されている。図1に示されている内燃機関は、火花点火式の内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。図1において、11は燃料噴射弁、12は燃焼室、13はピストン、14はコンロッド、15はクランクシャフト、16はクランクポジションセンサ、17は点火栓、18は吸気弁、20は内燃機関の本体、22は排気弁、80はアクセルペダル、81はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。なお、図1には、1つの燃焼室12のみが示されているが、内燃機関10は、4つの燃焼室(つまり、気筒)とそれに対応する上述した構成要素をそれぞれ具備している。
【0033】
また、図1において、30は吸気通路、31は吸気ポート、32は吸気マニホルド、33はサージタンク、34は吸気管、35はスロットル弁、36はスロットル弁35を駆動するためのアクチュエータ、37はエアフローメータ、38はエアクリーナ、40は排気通路、41は排気ポート、42は排気マニホルド、43は排気管、44は触媒コンバータをそれぞれ示している。なお、吸気通路30は、吸気ポート31、吸気マニホルド32、サージタンク33、および、吸気管34から構成されている。一方、排気通路40は、排気ポート41、排気マニホルド42、および、排気管43から構成されている。
【0034】
電子制御装置90はマイクロコンピュータからなる。また、電子制御装置90はCPU(マイクロプロセッサ)91、ROM(リードオンリメモリ)92、RAM(ランダムアクセスメモリ)93、バックアップRAM94、および、インターフェース95を有する。これらCPU91、ROM92、RAM93、バックアップRAM94、および、インターフェース95は双方向バスによって互いに接続されている。
【0035】
燃料噴射弁11は、その燃料噴射孔が燃焼室12内に露出するように内燃機関の本体20に取り付けられている。また、燃料噴射弁11は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。電子制御装置90は、燃料噴射弁11に燃料を噴射させるための指令信号を燃料噴射弁11に供給する。電子制御装置90から燃料噴射弁11に指令信号が供給されると、燃料噴射弁11は、燃焼室12内に燃料を直接噴射する。
【0036】
点火栓17は、その放電電極が燃焼室12内に露出するように内燃機関の本体20に取り付けられている。また、点火栓12は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。電子制御装置90は、点火栓12に火花を発生させるための指令信号を点火栓12に供給する。電子制御装置90から点火栓17に指令信号が供給されると、点火栓12は、燃焼室12内の燃料を点火する。なお、燃焼室12内の燃料が点火栓17によって点火されると、燃焼室12内の燃料が燃焼し、ピストン13およびコンロッド14を介してクランクシャフト15にトルクが出力される。
【0037】
クランクポジションセンサ16は、内燃機関の出力軸、すなわち、クランクシャフト15近傍に配置されている。また、クランクポジションセンサ16は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。クランクポジションセンサ16は、クランクシャフト15の回転位相に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいて機関回転数(すなわち、内燃機関のクランクシャフト15の回転数)を算出する。
【0038】
吸気マニホルド32は、その一端で複数の管に分岐しており、これら分岐した管は、それぞれ対応する吸気ポート31に接続されている。また、吸気マニホルド32は、その他端でサージタンク33の一端に接続されている。サージタンク33は、その他端で吸気管34の一端に接続されている。
【0039】
スロットル弁35は、吸気管34に配置されている。スロットル弁35には、その開度(以下この開度を「スロットル弁開度」という)を変更するためのアクチュエータ(以下このアクチュエータを「スロットル弁アクチュエータ」という)36が接続されている。スロットル弁アクチュエータ36は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。電子制御装置90は、スロットル弁開度を目標スロットル弁開度に制御するようにスロットル弁アクチュエータ36を駆動するための制御信号をスロットル弁アクチュエータ36に供給する。なお、スロットル弁開度が変更されると、スロットル弁35が配置された領域における吸気管34内の流路面積が変わる。これによってスロットル弁35を通過する空気の量が変わり、ひいては、燃焼室に吸入される空気の量が変わる。
【0040】
エアフローメータ37は、スロットル弁35よりも上流において吸気管34に配置されている。また、エアフローメータ37は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。エアフローメータ37は、そこを通過する空気の量に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいてエアフローメータ37を通過する空気の量、ひいては、燃焼室に吸入される空気の量を算出する。
【0041】
エアクリーナ38は、エアフローメータ37よりも上流において吸気管34に配置されている。
【0042】
排気マニホルド42は、その一端で複数の管に分岐しており、これら分岐した管は、それぞれ対応する排気ポート41に接続されている。また、排気マニホルド42は、その他端で排気管43の一端に接続されている。排気管43は、その他端で外気に開放されている。
【0043】
触媒コンバータ44は、排気通路40(より具体的には、排気管43に配置されている。また、触媒コンバータ44は、その内部に触媒45を収容している。この触媒45は、その温度が特定の温度以上であるときに該触媒に流入する排気ガス中の特定の成分を所定の浄化率で浄化することができる。この触媒45は、たとえば、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときに排気ガス中の窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、および、未燃炭化水素(HC)を高い浄化率で同時に浄化することができるいわゆる三元触媒、または、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比であるときであっても排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を高い浄化率で浄化することができるいわゆるNOx触媒である。なお、上述した排気ガスの空燃比とは、第1実施形態では、燃焼室12に供給された燃料の量に対する燃焼室12に吸入された空気の量の比を意味する。
【0044】
アクセルペダル踏込量センサ81は、アクセルペダル80に接続されている。また、アクセルペダル踏込量センサ81は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。アクセルペダル踏込量センサ81は、アクセルペダル80の踏込量に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいてアクセルペダル80の踏込量、ひいては、内燃機関から出力されるトルクとして要求されるトルク(以下このトルクを「要求機関トルク」という)を算出する。
【0045】
次に、第1実施形態の内燃機関の運転の制御について説明する。第1実施形態の制御装置は、成層燃焼運転制御と間欠運転制御とを選択的に実行可能である。ここで、成層燃焼運転制御とは、燃焼室内において燃料を成層燃焼させる内燃機関の運転(以下、内燃機関の運転を「機関運転」という)を継続的に実行する制御である。また、成層燃焼とは、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。別の言い方をすれば、成層燃焼とは、燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料が成層状態となるタイミングで燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を噴射し、成層状態にある燃料を燃焼させる燃焼である。また、間欠運転制御とは、機関運転の始動と機関運転の停止とを選択的に行う制御である。そして、第1実施形態では、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御の開始が禁止されて成層燃焼運転制御が開始され、成層燃焼運転制御が終了した後に間欠運転制御が開始される。
【0046】
なお、第1実施形態において、成層燃焼運転制御が実行される時間は、適宜設定されればよく、たとえば、成層燃焼運転制御の終了時点で触媒の温度(以下、触媒の温度を「触媒温度」という)が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(特に、触媒活性温度)以上の温度になる蓋然性が高い時間に設定される。
【0047】
また、第1実施形態において、成層燃焼運転の終了時点から間欠運転制御の開始時点までの時間は、適宜設定されればよく、たとえば、成層燃焼運転制御の終了と同時に間欠運転制御が開始されてもよいし、成層燃焼運転制御の終了時点から予め定められた時間が経過した時点で間欠運転制御が開始されてもよい。なお、成層燃焼運転制御の終了時点から間欠運転制御の開始時点までの間に触媒温度が低下する可能性があることから、成層燃焼運転制御の終了時点から予め定められた時間が経過した時点で間欠運転制御が開始される場合、上記予め定められた時間は、間欠運転制御の開始時点において触媒温度が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(特に、触媒活性温度)よりも低い温度にならない時間に設定されることが好ましい。
【0048】
また、第1実施形態の間欠運転制御における機関運転(以下この機関運転を「間欠機関運転」という)では、内燃機関に所望の性能を発揮させるのに適した形態の燃料の燃焼が行われればよく、たとえば、成層燃焼が行われてもよいし、均質燃焼が行われてもよいし、成層均質燃焼が行われてもよい。ここで、成層燃焼とは、上述したように、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。また、均質燃焼とは、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。別の言い方をすれば、均質燃焼とは、燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料が均質状態となるタイミングで燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を噴射し、均質状態にある燃料を燃焼させる燃焼である。また、成層均質燃焼とは、燃焼室内に均質状態で存在させた燃料を含む混合気中に燃料を成層状態で存在させ、これら均質状態で存在している燃料および成層状態で存在している燃料を燃焼させる燃焼である。
【0049】
また、第1実施形態では、たとえば、間欠運転制御の実行中、内燃機関から出力される動力として要求される動力(以下この動力を「要求機関動力」という)が零になったとき(たとえば、アクセルペダル踏込量が零になったとき)に間欠機関運転が停止され、要求機関動力が零よりも大きくなったとき(たとえば、アクセルペダル踏込量が零よりも大きくなったとき)に間欠機関運転が始動される。
【0050】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御について説明する。なお、以下の説明において「燃料噴射量」とは「燃料噴射弁から噴射される燃料の量」を意味し、「目標燃料噴射量」とは「目標とするべき燃料噴射量」を意味し、「燃料噴射タイミング」とは「燃料噴射弁から燃料を噴射させるタイミング」を意味し、「目標燃料噴射タイミング」とは「目標とするべき燃料噴射タイミング」を意味する。
【0051】
第1実施形態では、間欠機関運転中、目標燃料噴射量および目標燃料噴射タイミングが設定される(これら目標燃料噴射量の設定および目標燃料噴射タイミングの設定については後述する)。そして、斯くして設定された目標燃料噴射量の燃料を燃料噴射弁から噴射させるために燃料噴射弁に供給されるべき指令信号が算出される。そして、斯くして算出された指令信号が上記設定された目標燃料噴射タイミングにおいて燃料噴射弁に供給される。これにより、目標燃料噴射量の燃料が目標燃料噴射タイミングにおいて燃料噴射弁から噴射される。
【0052】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標燃料噴射量の設定について説明する。第1実施形態では、間欠機関運転中にアクセルペダル踏込量から算出される要求機関トルクに応じて最適な燃料噴射量が実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射量が図2(A)に示されているように要求機関トルクTQrの関数のマップの形で基準燃料噴射量Qbとして電子制御装置に記憶されている。そして、間欠機関運転中、その時々のアクセルペダル踏込量から算出される要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射量Qbが図2(A)のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射量Qbが目標燃料噴射量に設定される。
【0053】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標燃料噴射タイミングの設定について説明する。なお、以下の説明において「機関運転状態」とは「内燃機関の運転の状態」を意味する。
【0054】
第1実施形態では、間欠機関運転中の機関運転状態に応じて最適な燃料噴射タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射タイミングが図2(B)に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準燃料噴射タイミングTinjbとして電子制御装置に記憶されている。そして、間欠機関運転中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(B)のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングに設定される。
【0055】
なお、間欠機関運転中に成層燃焼を行わせるときには、目標燃料噴射タイミングは、圧縮行程の後半のタイミング(特に、圧縮上死点の直前のタイミング)に設定される。また、間欠機関運転中に均質燃焼を行わせるときには、目標燃料噴射タイミングは、吸気行程中のタイミング(特に、吸気行程の前半のタイミング)に設定される。また、間欠機関運転中に成層均質燃焼を行わせるときには、吸気行程中のタイミング(特に、吸気行程の前半のタイミング)と圧縮行程の後半のタイミング(特に、圧縮上死点の直前のタイミング)とに設定される。つまり、この場合、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および、排気行程の4つの行程からなる1機関サイクル中に、2回の燃料噴射が行われる。そして、この場合、目標燃料噴射量が吸気行程中のタイミングでの燃料の噴射によって燃料噴射弁から噴射されるべき燃料の量(以下この量を「目標均質燃料噴射量」という)と圧縮行程の後半のタイミングでの燃料の噴射によって燃料噴射弁から噴射されるべき燃料の量(以下この量を「目標成層燃料噴射量」という)とに分割され、吸気行程中のタイミングに設定された目標燃料噴射タイミングにおいて目標均質燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁から噴射され、続いて、圧縮行程の後半のタイミングに設定された目標燃料噴射タイミングにおいて目標成層燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁から噴射される。
【0056】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁の制御について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御と同じ燃料噴射弁の制御が実行される。
【0057】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射量の設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の目標燃料噴射量の設定と同じ目標燃料噴射量の設定が実行される。
【0058】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングの設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて成層燃焼を行わせるのに最適な燃料噴射タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射タイミングが図2(C)に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準燃料噴射タイミングTinjbとして電子制御装置に記憶されている。そして、成層燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(C)のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングに設定される。なお、成層燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングは、概して、燃焼室内における混合気(すなわち、燃料と空気との混合気)が圧縮される圧縮行程の後半タイミング、特に、圧縮行程の上死点(以下この上死点を「圧縮上死点」という)の直前のタイミングに設定される。
【0059】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の点火栓の制御について説明する。なお、以下の説明において「点火タイミング」とは「点火栓によって燃焼室内の燃料に点火させるタイミング(すなわち、点火栓の作動タイミング)」を意味し、「目標点火タイミング」とは「目標とするべき点火タイミング」を意味する。
【0060】
第1実施形態では、間欠機関運転中、目標点火タイミングが設定される(この目標点火タイミングの設定については後述する)。そして、点火栓を作動させるための指令信号が上記設定された目標点火タイミングにおいて点火栓に供給される。これにより、燃焼室内の燃料が目標点火タイミングにおいて点火される。
【0061】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標点火タイミングの設定について説明する。第1実施形態では、間欠機関運転中の機関運転状態に応じて最適な点火タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図3に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、間欠機関運転中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図3のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングに設定される。
【0062】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の点火栓の制御と同じ点火栓の制御が実行される。
【0063】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の目標点火タイミングの設定と同じ目標点火タイミングの設定が実行される。
【0064】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中のスロットル弁の制御について説明する。なお、以下の説明において「目標スロットル弁開度」とは「目標とするべきスロットル弁開度」を意味する。
【0065】
第1実施形態では、間欠機関運転中、目標スロットル弁開度が設定される(この目標スロットル弁開度の設定については後述する)。そして、斯くして設定された目標スロットル弁開度だけスロットル弁を開弁させるためにスロットル弁アクチュエータに供給されるべき制御信号が算出される。そして、斯くして算出された制御信号がスロットル弁アクチュエータに供給される。これにより、スロットル弁が目標スロットル弁開度だけ開弁せしめられる。
【0066】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標スロットル弁開度の設定について説明する。第1実施形態では、間欠機関運転中の機関運転状態に応じて最適なスロットル弁開度が実験等によって予め求められる。そして、これら求められたスロットル弁開度が図4に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準スロットル弁開度Dthbとして電子制御装置に記憶されている。そして、機関運転中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準スロットル弁開度Dthbが図4のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準スロットル弁開度Dthbが目標スロットル弁開度に設定される。
【0067】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中のスロットル弁の制御と同じスロットル弁の制御が実行される。
【0068】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標スロットル弁開度の設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の目標スロットル弁開度の設定と同じ目標スロットル弁開度の設定が実行される。
【0069】
第1実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、成層燃焼が行われた場合に燃焼室から排出される排気ガスの温度(以下、排気ガスの温度を「排気温度」という)は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼が行われた場合の排気温度よりも高くなる。ここで、第1実施形態では、間欠運転制御の開始前に成層燃焼運転制御が実行される。このため、第1実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0070】
次に、第1実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図5に示されている。なお、図5のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0071】
図5のルーチンが開始されると、始めに、ステップ100において、要求機関動力Pengが取得される。次いで、ステップ101において、ステップ100で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否か(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるか否か)が判別される。ここで、Peng>0であると判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるとき)には、ルーチンはステップ102に進む。一方、Peng>0ではないと判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要がないとき)には、ルーチンはステップ110に進む。
【0072】
ステップ101においてPeng>0ではないと判別され、ルーチンがステップ110に進むと、間欠運転制御が終了される。これにより、機関運転が停止される。次いで、ステップ111において、成層燃焼フラグFinがセットされ(Fin←1)、ルーチンが終了する。この成層燃焼フラグFinは、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御を開始する前に成層燃焼運転制御を実行する必要があるか否かを表すフラグであり、成層燃焼運転制御が終了したときにリセットされ、間欠運転制御が終了したときにセットされるフラグである。
【0073】
ステップ101においてPeng>0であると判別され、ルーチンがステップ102に進むと、成層燃焼フラグFinがセットされている(Fin=1)か否かが判別される。ここで、Fin=1であると判別されたときには、ルーチンはステップ103に進む。一方、Fin=1ではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0074】
ステップ102においてFin=1であると判別され、ルーチンがステップ103に進むと、成層燃焼運転制御が開始される。次いで、ステップ104において、成層燃焼時間カウンタCstがカウントアップされる。この成層燃焼時間カウンタCstは、成層燃焼運転制御が開始されてから経過した時間を表すフラグであり、成層燃焼運転制御の実行中、カウントアップされ、成層燃焼運転制御が終了するとクリアされるカウンタである。次いで、ステップ105において、ステップ104でカウントアップされた成層燃焼時間カウンタCstが予め定められた値Cstth以上である(Cst≧Cstth)か否かが判別される。ここで、Cst≧Cstthであると判別されたときには、ルーチンはステップ106に進む。一方、Cst≧Cstthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ104に戻る。すなわち、本ルーチンでは、ステップ105においてCst≧Cstthであると判別されるまで、ステップ104およびステップ105が繰り返し実行される。
【0075】
ステップ105においてCst≧Cstthであると判別され、ルーチンがステップ106に進むと、成層燃焼運転制御が終了される。次いで、ステップ107において、間欠運転制御が開始される。次いで、ステップ108において、成層燃焼フラグFinがリセットされる(Fin←0)。次いで、ステップ109において、成層燃焼時間カウンタCstがクリアされ、ルーチンが終了する。
【0076】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図6に示されている。なお、図6のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0077】
図6のルーチンが開始されると、始めに、ステップ10において、その時のアクセルペダル踏込量Dacおよび機関回転数NEが取得される。次いで、ステップ11において、ステップ10で取得されたアクセルペダル踏込量Dacに基づいて要求機関トルクTQrが算出される。次いで、ステップ12において、ステップ11で算出された要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射量Qbが図2(A)のマップから取得される。次いで、ステップ13において、ステップ12で取得された基準燃料噴射量Qbが目標燃料噴射量Qに設定される。次いで、ステップ14において、ステップ13で設定された目標燃料噴射量Qの燃料を燃料噴射弁に噴射させるための指令信号Sinjが算出される。次いで、ステップ15において、ステップ10で取得された機関回転数NEとステップ11で算出された要求機関トルクTQrとに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(B)のマップから取得される。次いで、ステップ16において、ステップ15で取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングTinjに設定される。
【0078】
次いで、ステップ17において、現在のタイミングTcrkがステップ17で設定された目標燃料噴射タイミングTinjである(Tcrk=Tinj)か否かが判別される。ここで、Tcrk=Tinjであると判別されたときには、ルーチンはステップ18に進み、ステップ14で算出された指令信号Sinjが燃料噴射弁に供給され、ルーチンが終了する。一方、ステップ17において、Tcrk=Tinjではないと判別されたときには、ルーチンはステップ17を再び実行する。すなわち、本ルーチンでは、ステップ17においてTcrk=Tinjであると判別されるまで、ステップ17が繰り返し実行される。
【0079】
なお、第1実施形態の成層燃焼運転制御中の燃料噴射弁の制御を実行するルーチンの一例として、図6のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ15では、ステップ10で取得された機関回転数NEとステップ11で算出された要求機関トルクTQrとに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(C)のマップから取得される。
【0080】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図7に示されている。なお、図7のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。また、図7のルーチンは、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例でもある。
【0081】
図7のルーチンが開始されると、始めに、ステップ20において、その時の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrが取得される。次いで、ステップ21において、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図3のマップから取得される。次いで、ステップ22において、ステップ21で取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0082】
次いで、ステップ23において、現在のタイミングTcrkがステップ22で設定された目標点火タイミングTignである(Tcrk=Tign)か否かが判別される。ここで、Tcrk=Tignであると判別されたときには、ルーチンはステップ24に進み、点火栓を作動させるための指令信号Singが点火栓に供給され、ルーチンが終了する。一方、ステップ23においてTcrk=Tignではないと判別されたときには、ルーチンはステップ23を再び実行する。すなわち、本ルーチンでは、ステップ23においてTcrk=Tignであると判別されるまで、ステップ23が繰り返し実行される。
【0083】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図8に示されている。なお、図8のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。また、図8のルーチンは、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例でもある。
【0084】
図8のルーチンが開始されると、始めに、ステップ30において、その時の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrが取得される。次いで、ステップ31において、ステップ30で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準スロットル弁開度Dthbが図4のマップから取得される。次いで、ステップ32において、ステップ31で取得された基準スロットル弁開度Dthbが目標スロットル弁開度Dthに設定される。次いで、ステップ33において、ステップ32で設定された目標スロットル弁開度だけスロットル弁を開弁させるためにスロットル弁アクチュエータに供給されるべき制御信号Sthが算出される。次いで、ステップ34において、ステップ33で算出された制御信号Sthがスロットル弁アクチュエータに供給され、ルーチンが終了する。
【0085】
なお、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例として、図8のルーチンを採用することができる。
【0086】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第2実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第2実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに上述した実施形態の構成および制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0087】
第2実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第2実施形態では、圧縮上死点よりも遅いタイミングのうち、成層燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火のタイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図9に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、成層燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図9のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングに設定される。
【0088】
第2実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度は、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度よりも高くなる。ここで、第2実施形態では、成層燃焼運転制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる。このため、第2実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度をより高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0089】
なお、第2実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図9のマップから取得される。
【0090】
次に、第3実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第3実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第3実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに上述した実施形態から当然に導き出される構成および制御である。
【0091】
第3実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第3実施形態では、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ間欠機関運転中の同じ機関運転状態における基準点火タイミングよりも遅いタイミングのうち、成層燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図10に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、成層燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図10のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0092】
第3実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、そのタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。ここで、第3実施形態では、成層燃焼運転制御における点火栓による燃料への点火タイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも遅いタイミングが採用される。このため、第3実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に基準点火タイミングで燃料が点火される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0093】
なお、第3実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図10のマップから取得される。
【0094】
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、成層燃焼運転制御および間欠運転制御に加えて、触媒暖機運転制御および機関暖機運転制御が選択的に実行可能である。ここで、触媒暖機運転制御とは、燃焼室から排出される排気ガスの温度が比較的高く、触媒温度を高い温度上昇率で触媒活性温度まで上昇させることができる制御であり、たとえば、燃焼室内の燃料の燃焼熱による内燃機関の温度(以下、内燃機関の温度を「機関温度」という)の上昇分に対する同燃焼熱による触媒温度の上昇分の比である温度上昇比が予め定められた比以上である燃料の燃焼を行わせる機関運転を実行する制御である。一方、機関暖機運転制御とは、機関温度を高い温度上昇率で比較的高い温度まで上昇させることができる制御であり、たとえば、上記温度上昇比が上記予め定められた比よりも小さい燃料の燃焼を行わせる機関運転を実行する制御である。
【0095】
そして、第4実施形態では、機関運転が予め定められた時間(以下この時間を「所定機関停止時間」という)以上の時間に亘って停止された後に機関運転が始動されたときには、触媒暖機運転制御が開始され、そして、該触媒暖機運転制御が終了されたときに機関暖機運転制御が開始され、そして、該機関暖機運転制御が終了されたときに間欠運転制御を実行することが決定される。そして、斯くして間欠運転制御を実行することが決定されると、成層燃焼運転制御または機関運転継続制御が開始され、そして、該成層燃焼運転制御または該機関運転継続制御が終了された後に間欠運転制御が開始される。
【0096】
なお、上記所定機関停止時間は、機関運転の停止時点から触媒温度が低下して触媒活性温度よりも低くなる蓋然性が高い時間に設定される。また、触媒暖機運転制御を実行する時間は、触媒温度が触媒活性温度以上の温度まで上昇する蓋然性が高い時間(以下この時間を「所定触媒暖機時間」という)に設定される。また、機関暖機運転制御を実行する時間は、機関温度が内燃機関に所望の性能を発揮させることができる温度まで上昇する蓋然性が高い時間(以下この時間を「所定機関暖機時間」という)に設定される。
【0097】
なお、第4実施形態では、機関運転が所定機関運転停止時間以上の時間に亘って停止された後に触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ1回行われたときに間欠運転制御を実行することが決定される(すなわち、成層燃焼運転制御または機関運転継続制御が開始される)が、機関運転が所定機関停止時間以上の時間に亘って停止された後に触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ2回以上の所定の回数行われたときに間欠運転制御を実行することが決定されるように(すなわち、成層燃焼運転制御または機関運転継続制御が開始されるように)してもよい。
【0098】
第4実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、第4実施形態では、間欠運転制御の開始前に機関暖機運転制御が少なくとも一回実行される。ここで、機関暖機運転制御は、温度上昇比が予め定められた比よりも小さくなる機関運転を実行する制御である。したがって、機関暖機運転制御が実行されると機関温度は上昇するが、逆に、触媒温度は低下する可能性がある。しかしながら、この場合にも、触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ一回実行されたときに間欠運転制御を実行することが決定され、成層燃焼運転制御が実行され、あるいは、機関運転継続制御が実行される。したがって、機関温度を上昇させるための機関暖機運転制御が実行される。したがって、機関温度を上昇させるための機関暖機運転制御が実行されたとしても、間欠運転制御が開始された時点において、触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、第4実施形態によれば、間欠運転制御において機関運転が開始されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができるか、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0099】
次に、第4実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図11および図12に示されている。なお、図11および図12のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0100】
図11および図12のルーチンが開始されると、始めに、ステップ400において、要求機関動力Pengおよび機関停止時間カウンタCspが取得される。この機関停止時間カウンタCspは、間欠運転制御における機関運転が停止されてから経過した時間を表すカウンタである。
【0101】
次いで、ステップ401において、ステップ400で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否か(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるか否か)が判別される。ここで、Peng>0であると判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるとき)には、ルーチンはステップ401Aに進む。一方、Peng>0ではないと判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要がないとき)には、ルーチンはステップ410に進む。
【0102】
ステップ401においてPeng>0ではないと判別され、ルーチンがステップ410に進むと、図5のステップ110と同じ処理が行われる。次いで、ステップ111において、図5のステップ111と同じ処理が実行され、ルーチンが終了する。
【0103】
ステップ401においてPeng>0であると判別され、ルーチンがステップ401Aに進むと、ステップ400で取得された機関停止時間カウンタCspが所定機関停止時間に相当する値Cspth以上である(Csp≧Cspth)か否かが判別される。ここで、Csp≧Cspthであると判別されたときには、ルーチンはステップ401Bに進む。一方、Csp≧Cspthではないと判別されたときには、ルーチンは図12のステップ402に進む。
【0104】
ステップ401AにおいてCsp≧Cspthであると判別され、ルーチンがステップ01Bに進むと、触媒暖機運転制御が開始される。次いで、ステップ401Cにおいて、触媒暖機時間カウンタCcatがカウントアップされる。この触媒暖機時間カウンタCcatは、触媒暖機運転制御が開始されてから経過した時間を表すカウンタである。次いで、ステップ401Dにおいて、ステップ401Cでカウントアップされた触媒暖機運転制御カウンタCcatが所定触媒暖機時間に相当する値Ccatth以上である(Ccat≧Ccatth)か否かが判別される。ここで、Ccat≧Ccatthであると判別されたときには、ルーチンはステップ401Eに進む。一方、Ccat≧Ccatthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ401Cに進む。すなわち、本ルーチンでは、ステップ401DにおいてCcat≧Ccatthであると判別されるまで、ステップ401Cおよびステップ401Dが繰り返し実行される。
【0105】
ステップ401DにおいてCcat≧Ccatthであると判別され、ルーチンがステップ401Eに進むと、触媒暖機運転制御が終了される。次いで、ステップ401Fにおいて、触媒暖機時間カウンタCcatがクリアされる。次いで、ステップ401Gにおいて、機関暖機運転制御が開始される。次いで、ステップ401Hにおいて、機関暖機時間カウンタCengがカウントアップされる。この機関暖機時間カウンタCengは、機関暖機運転制御が開始されてから経過した時間を表すカウンタである。次いで、ステップ401Iにおいて、ステップ401Hでカウントアップされた機関暖機時間カウンタCengが所定機関暖機時間に相当する値Cength以上である(Ceng≧Cength)か否かが判別される。ここで、Ceng≧Cengthであると判別されたときには、ルーチンは図12のステップ401Jに進む。一方、Ceng≧Cengthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ401Hに戻る。すなわち、本ルーチンでは、ステップ401IにおいてCeng≧Cengthであると判別されるまで、ステップ401Hおよびステップ401Iが繰り返し実行される。
【0106】
ステップ401IにおいてCeng≧Cengthであると判別され、ルーチンがステップ401Jに進むと、機関暖機運転制御が終了される。次いで、ステップ401Kにおいて、機関暖機時間カウンタCengがクリアされ、ルーチンがステップ402に進む。
【0107】
ステップ402では、成層燃焼フラグFinがセットされている(Fin=1)か否かが判別される。ここで、Fin=1であると判別されたときには、ステップ403〜ステップ409において、図5のステップ103〜ステップ109と同じ処理が実行され、ルーチンが終了する。一方、Fin=1ではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0108】
次に、第5実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第5実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第5実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0109】
第5実施形態では、第4実施形態の機関暖機運転制御として、均質燃焼運転制御が採用される。ここで、均質燃焼運転制御とは、燃焼室内において燃料を均質燃焼させる機関運転を継続的に実行する制御である。ここで、均質燃焼とは、上述したように、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。
【0110】
なお、第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁の制御、および、目標燃料噴射量の設定は、それぞれ、第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御、および、目標燃料噴射量の設定と同じである。また、第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングの設定は、第1実施形態の間欠機関運転中の目標燃料噴射タイミングの設定とは異なり、以下のように実行される。
【0111】
すなわち、第5実施形態では、均質燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて均質燃焼を行わせるのに最適な燃料噴射タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射タイミングが図13に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準燃料噴射タイミングTinjbとして電子制御装置に記憶されている。そして、均質燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図13のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングに設定される。なお、均質燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングは、概して、燃焼室内に空気が吸入される吸気行程中のタイミング、特に、吸気行程の前半のタイミングに設定される。
【0112】
なお、均質燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定は、それぞれ、第1実施形態の間欠運転制御の実行中の点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定と同じである。
【0113】
均質燃焼が行われた場合、機関温度を効率的に上昇させることができることから、第5実施形態によれば、機関暖機運転制御によって機関温度を効率的に上昇させることができるという利点が得られる。
【0114】
なお、第5実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例として、図11および図12のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、機関暖機運転制御として均質燃焼運転制御が採用される。
【0115】
次に、第6実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第6実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第6実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに上述した実施形態の構成および制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0116】
第6実施形態では、均質燃焼運転制御の実行中、第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第6実施形態では、圧縮上死点よりも早いタイミングのうち、均質燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火のタイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図14に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、均質燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図14のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0117】
第6実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。ここで、第6実施形態では、成層燃焼運転制御における点火栓による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも遅いタイミングが採用される。このため、第6実施形態によれば、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0118】
なお、第6実施形態の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図14のマップから取得される。
【0119】
次に、第7実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第7実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第7実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0120】
第7実施形態では、均質燃焼運転制御の実行中、第6実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第7実施形態では、圧縮上死点よりも早いタイミングであって間欠機関運転中の同じ機関運転状態における基準点火タイミングよりも早いタイミングのうち、均質燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火のタイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図15に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrtの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、均質燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図15のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0121】
第7実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが早いほど機関温度の上昇が大きくなる。ここで、第7実施形態では、均質燃焼運転制御における点火栓による燃料への点火タイミングとして、圧縮上死点よりも早いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも早いタイミングが採用されることから、第7実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に基準点火タイミングで燃料が点火される場合に比べて、より高い温度上昇率で機関温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0122】
なお、第7実施形態の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図15のマップから取得される。
【0123】
次に、第8実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第8実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第8実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0124】
第8実施形態では、内燃機関が車両に搭載されている。そして、間欠運転制御が以下のように実行される。すなわち、車両の速度が零になり、したがって、要求機関動力が零になったときに機関運転が停止されるいわゆるアイドリングストップが行われる。そして、車両の発進が要求され、したがって、要求機関動力が零よりも大きくなったときに機関運転が始動される。
【0125】
第8実施形態によれば、いわゆるアイドリングストップが行われる内燃機関においても、間欠機関運転が始動されたときに、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0126】
次に、第8実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図16に示されている。なお、図16のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0127】
図16のルーチンが開始されると、始めに、ステップ800において、要求機関動力Pengが取得される。次いで、ステップ801において、ステップ800で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否かが判別される。ここで、Peng>0であると判別されたときには、ルーチンはステップ802に進み、このときに機関運転が停止されている場合には、機関運転が始動され、機関運転が実行されている場合には、機関運転が継続され、ルーチンが終了する。一方、Peng>0ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ803に進み、機関運転が実行されている場合には、機関運転が停止され、機関運転が停止されている場合には、機関運転の停止が継続され、ルーチンが終了する。
【0128】
次に、第9実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第9実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第9実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0129】
第9実施形態の制御装置が適用された内燃機関を具備する動力装置を備えた車両が図17に示されている。図17において、MG1およびMG2は発電電動機(以下これら発電電動機をそれぞれ「第1発電電動機」および「第2発電電動機」という)、10は内燃機関、15はクランクシャフト(出力軸)、16はクランクポジションセンサ、50は動力分配機構、70はインバータ、71はバッテリ、80はアクセルペダル、81はアクセルペダル踏込量センサ、90は電子制御装置をそれぞれ示している。なお、図17に示されている内燃機関10は、図1に示されている内燃機関10と同じ内燃機関である。
【0130】
動力分配装置50は、遊星歯車装置51を有する。遊星歯車装置51は、サンギア52とプラネタリギア53とリングギア54とを有する。プラネタリギア53は、サンギア52に噛合せしめられているとともに、リングギア54に噛合せしめられている。サンギア52は、第1発電電動機MG1のシャフト(以下このシャフトを「第1シャフト」という)61に接続されている。したがって、第1発電電動機MG1は、サンギア52から当該第1発電電動機MG1に入力されるトルクによって回転駆動可能であるし、サンギア52にトルクを出力可能である。そして、第1発電電動機MG1は、それがサンギア52から当該第1発電電動機MG1に入力されるトルクによって回転駆動されることによって発電可能である。リングギア54は、リングギアキャリア56を介して第2発電電動機MG2のシャフト(以下このシャフトを「第2シャフト」という)62に接続されている。したがって、第2発電電動機MG2は、リングギア54にトルクを出力可能であるし、リングギア54から当該第2発電電動機MG2に入力されるトルクによって回転駆動可能である。そして、第2発電電動機MG2は、それがリングギア54から当該第2発電電動機MG2に入力されるトルクによって回転駆動されることによって発電可能である。
【0131】
プラネタリギア53は、プラネタリギアキャリア55を介してクランクシャフト15に接続されている。したがって、プラネタリギア53は、クランクシャフト15から当該プラネタリギア53に入力されるトルクによって回転駆動せしめられる。また、プラネタリギア53は、サンギア52およびリングギア54に噛合されている。したがって、プラネタリギア53からサンギア52にトルクが入力されたときには、そのトルクによってサンギア52が回転駆動されるし、プラネタリギア53からリングギア54にトルクが入力されたときには、そのトルクによってリングギア54が回転駆動される。逆に、サンギア52からプラネタリギア53にトルクが入力されたときには、そのトルクによってプラネタリギア53が回転駆動されるし、リングギア54からプラネタリギア53にトルクが入力されたときには、そのトルクによってプラネタリギア53が回転駆動される。
【0132】
リングギア54は、リングギアキャリア56を介して出力ギア57に接続されている。したがって、出力ギア57は、リングギア54から当該出力ギア57に入力されるトルクによって回転駆動されるし、リングギア54は、出力ギア57から当該リングギア54に入力されるトルクによって回転駆動される。
【0133】
また、第1発電電動機MG1は、レゾルバ63を有する。レゾルバ63は、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。レゾルバ63は、第1発電電動機MG1の回転角度に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいて第1発電電動機の回転数(以下この回転数を「第1MG回転数」という)を算出する。一方、第2発電電動機MG2は、レゾルバ64を有する。レゾルバ64は、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。レゾルバ64は、第2発電電動機の回転角度に対応する出力値を出力する。この出力値は電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいて第2発電電動機の回転数(以下この回転数を「第2MG回転数」という)を算出する。
【0134】
また、第1発電電動機MG1は、インバータ70を介してバッテリ71に電気的に接続されている。したがって、第1発電電動機MG1が電力を発電しているときには、第1発電電動機MG1が発電した電力(以下この電力を「第1発電電力」という)は、インバータ70を介してバッテリ71に供給可能である。また、第1発電電動機MG1は、バッテリ71から供給される電力によって回転駆動可能であるし、バッテリ71から供給される電力によって当該第1発電電動機MG1に加えられる制御トルク(以下この制御トルクを「第1制御トルク」という)を制御することによってその回転数が制御可能に構成されている。
【0135】
また、第2発電電動機MG2は、インバータ70を介してバッテリ71に電気的に接続されている。したがって、第2発電電動機MG2は、バッテリ71から供給される電力によって回転駆動可能であるし、バッテリ71から供給される電力によって当該第2発電電動機MG2に加えられる制御トルク(以下この制御トルクを「第2制御トルク」という)を制御することによってその回転数が制御可能である。また、第2発電電動機MG2が電力を発電しているときには、第2発電電動機MG2が発電した電力(以下この電力を「第2発電電力」という)はインバータ70を介してバッテリ71に供給可能である。なお、第1発電電力は、第2発電電動機MG2に直接供給可能でもあるし、第2発電電力は、第1発電電動機に直接供給可能でもある。
【0136】
また、バッテリ71は、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。そして、バッテリ蓄電量(すなわち、バッテリ71に蓄電されている電力量)に関する情報が電子制御装置90のインターフェース95に入力される。また、インバータ70も、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。そして、インターフェース95を介して電子制御装置90から送られる指令によって、インバータ70から第2発電電動機MG2に供給される電力量および第1発電電動機MG1に供給される電力量が制御される。
【0137】
また、出力ギア57は、ギア列65を介してディファレンシャルギア66に接続されている。ディファレンシャルギア66は、ドライブシャフト67に取り付けられている。ドライブシャフト67の両端には、駆動輪68が取り付けられている。したがって、出力ギア57からのトルクは、ギア列65、ディファレンシャルギア66、および、ドライブシャフト67を介して駆動輪68に伝達される。
【0138】
なお、第9実施形態では、アクセルペダルの踏込量と車速とに基づいて動力装置に要求される要求動力を算出する。なお、第9実施形態の動力装置は、概して、内燃機関10と第1発電電動機MG1と第2発電電動機MG2とから構成されている。
【0139】
次に、第9実施形態の間欠運転制御について説明する。なお、以下の説明において「出力動力」とは「動力装置から出力される動力」を意味し、「要求動力」とは「動力装置から出力ギアに出力されることが要求される出力動力」であり、「車速」とは「ハイブリッド車両の走行速度」であり、「EVモード」とは「要求動力に相当する動力を出力ギアに出力するために第1発電電動機のみを駆動し、あるいは、第2発電電動機のみを駆動し、あるいは、第1発電電動機および第2発電電動機を駆動するモード」を意味し、「HVモード」とは「要求動力に相当する動力を出力ギアに出力するために第1発電電動機を駆動するとともに内燃機関を運転させ、あるいは、第2発電電動機を駆動するとともに内燃機関を運転させ、あるいは、第1発電電動機および第2発電電動機を駆動するとともに内燃機関を運転させるモード」を意味し、「EVモード制御」とは「EVモードに従った第1発電電動機の駆動、第2発電電動機の駆動、および、内燃機関の運転の制御」を意味し、「HVモード制御」とは「HVモードに従った第1発電電動機の駆動、第2発電電動機の駆動、および、内燃機関の運転の制御」を意味する。
【0140】
第9実施形態では、EVモードとHVモードとの2つのモードが用意されている。そして、間欠運転制御の実行中、機関運転を始動させるか否か(すなわち、HVモード制御を実行するか否か)を決定するために用いられる出力動力に関する閾値が機関始動閾値として設定される。また、間欠運転制御の実行中、機関運転を停止させるか否か(すなわち、EVモード制御を実行するか否か)を決定するために用いられる出力動力に関する閾値が機関停止閾値として設定される。
【0141】
そして、アクセルペダル踏込量と車速とに基づいて要求動力が算出される。そして、間欠運転制御の実行中の機関運転の停止中に要求動力が機関始動閾値以上になったときには、機関運転が始動される。つまり、EVモード制御の実行中に要求動力が機関始動閾値以上になったときには、HVモード制御が実行される。一方、間欠運転制御の実行中の機関運転の実行中に要求動力が機関停止閾値以下になったときには、機関運転が停止される。つまり、HVモード制御の実行中に要求動力が機関停止閾値以下になったときには、EVモード制御が実行される。
【0142】
なお、第9実施形態のHVモード制御の実行中の機関トルク、第1制御トルク、および、第2制御トルクの制御の一例を紹介すると、以下の通りである。なお、以下の説明において「機関トルク」とは「内燃機関のクランクシャフトから出力されるトルク」であり、「機関動作点」とは「機関トルクと機関回転数とによって規定される内燃機関の動作点または内燃機関の動作状態」であり、「要求出力」とは「内燃機関のクランクシャフトから出力される出力として要求される出力」である。
【0143】
第1実施形態では、要求出力をクランクシャフトから出力させたときに燃費が最も高くなる機関動作点が要求出力毎に最適機関動作点として実験等によって予め求められる。そして、これら最適機関動作点を機関トルクと機関回転数とによって規定されるグラフ上にプロットしてこれら最適機関動作点を結ぶことによって形成されるラインが最適機関動作ラインとして求められる。そして、この最適機関動作ラインが電子制御装置に記憶されている。
【0144】
そして、機関運転中、要求出力が算出され、この算出された要求出力を内燃機関から出力させることができる最適機関動作ライン上の機関動作点が選択される。そして、この選択された機関動作点を規定する機関トルクおよび機関回転数がそれぞれ目標機関トルクおよび目標機関回転数に設定される。そして、この設定された目標機関トルクおよび目標機関回転数が達成されるように燃料噴射量および機関回転数が制御される。
【0145】
ところで、第2MG回転数が一定である場合、第1MG回転数が変化すれば機関回転数も変化する。別の言い方をすれば、第1MG回転数を制御することによって機関回転数を制御することができる。そして、第1MG回転数を「NMG1」で表し、第2MG回転数を「NMG2」で表し、機関回転数を「NE」で表し、リングギアの歯数に対するサンギアの歯数の比(すなわち、サンギアの歯数/リングギアの歯数)を「ρ」で表したとき、第1MG回転数と機関回転数との間には次式1の関係がある。したがって、目標第1MG回転数を「TNMG1」で表し、目標機関回転数を「TNE」で表したとき、目標第1MG回転数と目標機関回転数との間には次式2の関係があることになる。
【0146】
NMG1=(NE−NMG2)/ρ+NE …(1)
TNMG1=(TNE−NMG2)/ρ+TNE …(2)
【0147】
そこで、第9実施形態では、要求出力に応じて選択される機関動作点に従って設定される目標機関回転数TNEと現在の第2MG回転数NMG2とを利用して上式2から目標第1MG回転数TNMG1が算出される。そして、斯くして算出された目標第1MG回転数TNMG1に対する現在の第1MG回転数NMG1の偏差(=TNMG1−NMG1)が算出される。そして、この算出された偏差が零になるように第1制御トルクが制御される。
【0148】
ところで、機関トルクを「TQE」で表し、リングギア(すなわち、駆動輪)に入力される機関トルク(以下この機関トルクを「リングギア入力機関トルク」という)を「TQEr」で表し、リングギアの歯数に対するサンギアの歯数の比(すなわち、サンギアの歯数/リングギアの歯数)を「ρ」で表したとき、リングギア入力機関トルクと機関トルクとの間には次式3の関係がある。
【0149】
TQEr=1/(1+ρ)×TQE …(3)
【0150】
すなわち、リングギア入力機関トルクTQErは機関トルクTQEの一部である。したがって、リングギア入力機関トルクTQErは要求駆動トルク(すなわち、駆動輪68に入力されるべきトルク)よりも小さい。そこで、第1実施形態では、要求駆動トルクとリングギア入力機関トルクTQErとの差に相当するトルクが第2発電電動機からリングギアに入力されるように第2制御トルクが制御される。斯くして、要求駆動トルクに等しいトルクがリングギアに入力されることになる。
【0151】
第9実施形態によれば、間欠運転制御の実行中に比較的頻繁に間欠機関運転が停止される場合であっても、間欠運転制御の実行中、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることでき、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0152】
次に、第9実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図18に示されている。なお、図18のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0153】
図18のルーチンが開始されると、始めに、ステップ900において、要求動力Preqが取得される。次いで、ステップ901において、ステップ900で取得された要求動力Preqが零よりも大きい(Preq>0)か否かが判別される。ここで、Preq>0であると判別されたときには、ルーチンはステップ902に進む。一方、Preq>0ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ907に進む。
【0154】
ステップ901においてPreq>0ではないと判別され、ルーチンがステップ907に進むと、第1発電電動機が動力駆動されている場合には、第1発電電動機の動力駆動が停止され、第1発電電動機の動力駆動が既に停止されている場合には、第1発電電動機の動力駆動の停止が継続され、第2発電電動機が動力駆動されている場合には、第2発電電動機の動力駆動が停止され、第2発電電動機の動力駆動が既に停止されている場合には、第2発電電動機の動力駆動の停止が継続される。次いで、ステップ908において、機関運転が実行されている場合には、機関運転が停止され、機関運転が既に停止されている場合には、機関運転の停止が継続される。次いで、ステップ909において、EVモード制御フラグFevがセットされ(Fev←1)、ルーチンが終了する。このEVモード制御フラグFevは、EVモード制御が開始されたとき或いは動力装置からの動力の出力が終了したときにセットされ、HVモード制御が開始されたときにリセットされるフラグである。
【0155】
ステップ901においてPreq>0であると判別され、ルーチンがステップ902に進むと、要求動力に応じて第1発電電動機の動力駆動および第2発電電動機の動力駆動のいずれか一方または両方が開始され、あるいは、第1発電電動機の動力駆動および第2発電電動機の動力駆動のいずれか一方または両方が継続される。次いで、ステップ903において、EVモード制御フラグFevがセットされている(Fev=1)か否かが判別される。ここで、Fev=1であると判別されたとき(すなわち、EVモード制御が実行されているとき、あるいは、動力装置からの動力の出力が停止された後に初めてルーチンがステップ903に到来したとき)には、ルーチンはステップ904に進む。一方、Fev=1ではない(すなわち、Fev=0である)と判別されたとき(すなわち、HVモード制御が実行されているとき)には、ルーチンはステップ910に進む。
【0156】
ステップ903においてFev=1であると判別され、ルーチンがステップ904に進むと、ステップ900で取得された要求動力が機関始動閾値Pst以上である(Preq≧Pst)か否かが判別される。ここで、Preq≧Pstであると判別されたときには、ルーチンはステップ905に進む。一方、Preq≧Pstではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0157】
ステップ904においてPreq≧Pstであると判別され、ルーチンがステップ905に進むと、機関運転が始動される。次いで、ステップ906において、EVモード制御フラグFevがリセットされ(Fev←0)、ルーチンが終了する。
【0158】
ステップ903においてFev=1ではないと判別され、ルーチンがステップ910に進むと、ステップ900で取得された要求動力Preqが機関停止閾値Psp以下である(Preq≦Psp)か否かが判別される。ここで、Preq≦Pspであると判別されたときには、ルーチンはステップ911に進む。一方、Preq≦Pspではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0159】
ステップ910においてPreq≦Pspであると判別され、ルーチンがステップ911に進むと、機関運転が停止される。次いで、ステップ912において、EVモード制御フラグFevがセットされ(Fev←1)、ルーチンが終了する。
【0160】
次に、第10実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第10実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第10実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0161】
第10実施形態の制御装置は、第1実施形態の制御装置とは異なり、機関運転継続制御と間欠運転制御とを選択的に実行可能である。ここで、機関運転継続制御とは、機関運転を継続して実行する制御である。また、間欠運転制御とは、第1実施形態の間欠運転制御と同じ制御である。そして、第10実施形態では、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、間欠運転制御の開始が禁止されて機関運転継続制御が開始され、触媒温度が触媒活性温度以上になったときに機関運転継続制御が終了され、機関運転継続制御が終了された後に間欠運転制御が開始される。一方、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度以上であるときには、間欠運転制御が開始される。
【0162】
なお、第10実施形態において、機関運転継続制御の終了から間欠運転制御の開始までの間の時間は、適宜設定されればよく、たとえば、機関運転継続制御の終了と同時に間欠運転制御が開始されてもよいし、機関運転継続制御の終了時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始されてもよい。なお、機関運転継続制御の終了時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始される場合、機関運転継続制御の終了時点から間欠運転制御の開始時点までの間に触媒温度が低下する可能性があることから、上記一定の時間は、触媒温度が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(好ましくは、触媒活性温度)よりも低くならない時間に設定されることが好ましい。
【0163】
また、間欠運転制御を実行することが決定されたときに触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断から間欠運転制御の開始までの時間は、適宜設定されればよく、たとえば、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断と同時に間欠運転制御が開始されてもよいし、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始されてもよい。なお、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始される場合、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断時点から間欠運転制御の開始時点までの間に触媒温度が低下する可能性があることから、上記一定の時間は、触媒温度が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(好ましくは、触媒活性温度)よりも低くならない温度に設定されることが好ましい。
【0164】
また、機関運転継続制御の実行中の燃料噴射弁の制御、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定は、それぞれ、上述した実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定と同じである。
【0165】
また、第10実施形態に第4実施形態の触媒暖機運転制御および機関暖機運転制御を組み合わせてもよい。この場合、機関運転が所定機関停止時間以上の時間に亘って停止された後に機関運転が始動されたときには、触媒暖機運転制御が開始され、そして、該触媒暖機運転制御が終了されたときに機関暖機運転制御が開始され、そして、該機関暖機運転制御が終了されたときに間欠運転制御を実行することが決定される。そして、斯くして間欠運転制御を実行することが決定されたときに触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、機関運転継続制御が開始され、触媒温度が触媒活性温度以上になったときに機関運転継続制御が終了され、該機関運転継続制御の終了後に間欠運転制御が開始される。一方、間欠運転制御を実行することが決定されたときに触媒温度が触媒活性温度以上であるときには、間欠運転制御が開始される。
【0166】
また、第8実施形態と同様に、第10実施形態の内燃機関が車両に搭載され、第10実施形態の間欠運転制御が第8実施形態の間欠運転制御と同様に実行されてもよい。
【0167】
また、第9実施形態と同様に、第10実施形態の内燃機関が図17に示されている車両の動力装置の内燃機関として利用されてもよい。
【0168】
第10実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、第10実施形態では、間欠運転制御の開始前において触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、機関運転継続制御が開始され、機関運転が実行される。そして、触媒温度が触媒活性温度以上になり、機関運転継続制御が終了した後に間欠運転制御が開始される。このため、第10実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度まで上昇させることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出するは排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0169】
次に、第10実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図19に示されている。なお、図19のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0170】
図19のルーチンが開始されると、始めに、ステップ1000において、要求機関動力Pengが取得される。次いで、ステップ1001において、ステップ1000で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否か(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるか否か)が判別される。ここで、Peng>0であると判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるとき)には、ルーチンはステップ1002に進む。一方、Peng>0ではないと判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要がないとき)には、ルーチンはステップ1011に進む。
【0171】
ステップ1001においてPeng>0ではないと判別され、ルーチンがステップ1011に進むと、間欠運転制御が終了される。これにより、機関運転が停止される。次いで、ステップ1012において、機関運転継続フラグFcがセットされ(Fc←1)、ルーチンが終了する。この機関運転継続フラグFcは、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御を開始する前に機関運転継続制御を実行する必要があるか否かを表すフラグであり、機関運転継続制御が終了したときにリセットされ、間欠運転制御が終了したときにセットされるフラグである。
【0172】
ステップ1001においてPeng>0であると判別され、ルーチンがステップ1002に進むと、機関運転継続フラグFcがセットされている(Fc=1)か否かが判別される。ここで、Fc=1であると判別されたときには、ルーチンはステップ1003に進む。一方、Fc=1ではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0173】
ステップ1002においてFc=1であると判別され、ルーチンがステップ1003に進むと、触媒温度Tcatが取得される。次いで、ステップ1004において、ステップ1003で取得された触媒温度Tcatが触媒活性温度Tcatthよりも低い(Tcat<Tcatth)か否かが判別される。ここで、Tcat<Tcatthであると判別されたときには、ルーチンはステップ1005に進む。一方、Tcat<Tcatthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ1009に進み、間欠運転制御が開始され、次いで、ステップ1010において、機関運転継続フラグFcがリセットされ(Fc←0)、ルーチンが終了する。
【0174】
ステップ1004においてTcat<Tcatthであると判別され、ルーチンがステップ1005に進むと、機関運転継続制御が開始される。次いで、ステップ1006において、触媒温度Tcatが取得される。次いで、ステップ1007において、ステップ1006で取得された触媒温度Tcatが触媒活性温度Tcatthよりも低い(Tcat<Tcatth)か否かが判別される。ここで、Tcat<Tcatthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ1008に進む。一方、Tcat<Tcatthであると判別されたときには、ルーチンはステップ1006に戻る。すなわち、本ルーチンでは、ステップ1007においてTcat<Tcatthではないと判別されるまで、ステップ1006およびステップ1007が繰り返し実行される。
【0175】
ステップ1007においてTcat<Tcatthではないと判別され、ルーチンがステップ1008に進むと、機関運転継続制御が終了される。次いで、ステップ1009において、間欠運転制御が開始される。次いで、ステップ1010において、機関運転継続フラグFcがリセットされ(Fc←0)、ルーチンが終了する。
【0176】
次に、第11実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第11実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第11実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0177】
第11実施形態では、第10実施形態において、機関運転継続制御として、成層燃焼運転制御が採用される。ここで、成層燃焼運転制御とは、第1実施形態〜第3実施形態のいずれか1つの成層燃焼運転制御と同じである。したがって、第11実施形態では、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、間欠運転制御の開始が禁止されて成層燃焼運転制御が開始され、触媒温度が触媒活性温度以上になったときに成層燃焼運転制御が終了され、成層燃焼運転制御が終了された後に間欠運転制御が開始される。一方、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度以上であるときには、間欠運転制御が開始される。
【0178】
なお、成層燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定は、それぞれ、第1実施形態〜第3実施形態のいずれか1つの成層燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁の制御、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定と同じである。
【0179】
第11実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、上述したように、成層燃焼運転制御が実行された場合の排気温度は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼が行われた場合の排気温度よりも高くなる。したがって、成層燃焼運転制御が採用された場合、触媒温度が高い温度上昇率で上昇せしめられる。ここで、第11実施形態では、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用される。このため、第11実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度まで短時間で到達させることができるという利点が得られる。
【符号の説明】
【0180】
10…内燃機関、11…燃料噴射弁、12…燃焼室、17…点火栓、40…排気通路、45…触媒、90…電子制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に内燃機関の制御装置が記載されている。特許文献1に記載の内燃機関では、内燃機関の運転(以下、内燃機関の運転を「機関運転」ともいう)の始動と機関運転の停止とを交互に繰り返し行う間欠運転制御が実行可能である。そして、特許文献1に記載の制御装置は、間欠運転制御の実行中に機関運転を停止しようとするとき、機関運転の停止前に内燃機関の燃焼室から排出される排気ガスの温度が高くなるように内燃機関を運転させ、機関運転の停止前に内燃機関の排気通路に配置された触媒の温度(以下、触媒の温度を「触媒温度」ともいう)を触媒の耐熱限界温度まで上昇させる。これにより、機関運転が再び始動されたときの触媒温度を比較的高い温度にあるようしし、その結果、触媒の浄化能力を比較的高い浄化能力にあるようにし、触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−36626号公報
【特許文献2】特開2009−24517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の制御装置では、機関運転の停止前に触媒温度を上昇させるが、機関運転の停止時間が長期に亘れば、機関運転が再び始動されたときに触媒温度が所望の浄化能力を触媒に発揮させるのに十分に高い温度(以下この温度を「触媒活性温度」ともいう)よりも低い温度になっている可能性がある。この場合、機関運転が再び始動されたときに所望の浄化能力を触媒に発揮させるためには触媒温度を上昇させる必要がある。そして、この場合、当然のことながら、触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけることが好ましいし、あるいは、触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させることが好ましい。特に、内燃機関が間欠運転制御を実行可能である場合、機関運転が比較的頻繁に停止され、機関運転が停止されるたびに触媒温度が低下する可能性があるので、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけておくことが好ましいし、あるいは、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させておくことが好ましい。
【0005】
こうした事情に鑑み、本発明の目的は、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけ、あるいは、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度以上の温度まで上昇させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明は、内燃機関の制御装置であって、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能である内燃機関の制御装置に関する。ここで、本発明の内燃機関は、燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備する。そして、本発明の制御装置は、前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記間欠運転制御の開始を禁止して前記成層燃焼運転を開始し、該成層燃焼運転が終了した後に前記間欠運転制御を開始する。
【0007】
本発明によれば、以下の利点が得られる。すなわち、成層燃焼が行われた場合に燃焼室から排出される排気ガスの温度(以下、排気ガスの温度を「排気温度」ともいう)は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼(すなわち、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる燃焼)が行われた場合の排気温度よりも高くなる。ここで、本発明では、間欠運転制御の開始前に成層燃焼運転制御が実行される。このため、本発明によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠運転制御において機関運転(以下、間欠運転制御における機関運転を「間欠機関運転」ともいう)が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0008】
なお、上記発明において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備する場合、前記成層燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火を行うようにしてもよい。
【0009】
この場合、以下の利点がある。すなわち、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点(以下この上死点を「圧縮上死点」ともいう)よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度は、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度よりも高くなる。このため、成層燃焼運転制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度をより高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0010】
また、上記発明において、成層燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングは、圧縮上死点よりも遅いタイミングであれば、特定のタイミングに制限されないが、たとえば、前記成層燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングとして、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングを採用することができる。
【0011】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。このため、成層燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ間欠機関運転の実行中の点火手段による燃料への点火のタイミング(以下この点火のタイミングを「基準点火タイミング」という)よりも遅いタイミングが採用された場合、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0012】
本願の別の発明は、内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転を継続して実行する機関運転継続制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能である内燃機関の制御装置に関する。ここで、本発明の内燃機関は、燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備する。そして、本発明の制御装置は、前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記触媒の温度が前記触媒が予め定められた浄化能力を発揮する温度である触媒活性温度よりも低いときには前記間欠運転制御の開始を禁止して前記機関運転継続制御を開始し、前記触媒の温度が前記触媒活性温度以上になったときに前記機関運転継続制御を終了し、該機関運転継続制御が終了した後に前記間欠運転制御を開始する。
【0013】
本発明によれば、以下の利点が得られる。すなわち、本発明では、間欠運転制御の開始前において触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、機関運転継続制御が開始され、機関運転が実行される。そして、触媒温度が触媒活性温度以上になり、機関運転継続制御が終了した後に間欠運転制御が開始される。このため、本発明によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度まで上昇させることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0014】
なお、機関運転継続制御において実行される内燃機関の運転の形態は、特定の形態に制限されないが、たとえば、内燃機関が燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御を実行可能である場合、前記機関運転継続制御として前記成層燃焼運転制御を採用することができる。
【0015】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、上述したように、成層燃焼が行われた場合の排気温度は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼が行われた場合の排気温度よりも高くなる。したがって、機関運転の制御として成層燃焼運転制御が採用された場合、触媒温度が高い温度上昇率で上昇せしめられる。このため、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用された場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度まで短時間で到達させることができるという利点が得られる。
【0016】
また、上記発明において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備する場合、前記機関運転継続制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火を行うようにしてもよい。
【0017】
この場合、以下の利点がある。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度は、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度よりも高くなる。このため、機関運転継続制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度をより高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。また、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用される場合において、成層燃焼運転制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に触媒温度をさらに高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0018】
また、上記発明において、機関運転継続制御における点火手段による燃料への点火のタイミングは、圧縮上死点よりも遅いタイミングであれば、特定のタイミングに制限されないが、たとえば、前記機関運転継続制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングとして、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングを採用することができる。
【0019】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。このため、機関運転継続制御における点火手段による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミング(すなわち、間欠機関運転の実行中の点火手段による燃料への点火のタイミング)よりも遅いタイミングが採用された場合、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。また、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用される場合において、成層燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも遅いタイミングが採用された場合、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、さらに高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0020】
また、上記発明の間欠運転制御の実行の決定は、如何なる手法によって行われてもよく、この手法として、たとえば、燃焼室内の燃料の燃焼熱による内燃機関の温度の上昇分に対する同燃焼熱による触媒の温度の上昇分の比である温度上昇比が予め定められた比以上である燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する触媒暖機運転制御と、前記温度上昇比が前記予め定められた比よりも小さくなる燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する機関暖機運転制御とが実行可能である場合において、内燃機関の運転が予め定められた時間以上の時間に亘って停止された後に内燃機関の運転が始動されたときに前記触媒暖機運転制御と前記機関暖機運転制御とがそれぞれ少なくとも一回実行されたときに前記間欠運転制御を実行することを決定するという手法を採用することができる。
【0021】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、上述した手法が採用される場合、間欠運転制御の開始前に機関暖機運転制御が少なくとも一回実行される。ここで、機関暖機運転制御は、温度上昇比が予め定められた比よりも小さくなる機関運転を実行する制御である。したがって、機関暖機運転制御が実行されると内燃機関の温度(以下、内燃機関の温度を「機関温度」ともいう)は上昇するが、逆に、触媒温度は低下する可能性がある。しかしながら、この場合にも、触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ少なくとも一回実行されたときに間欠運転制御を実行することが決定され、成層燃焼運転制御が実行され、あるいは、機関運転継続制御が実行される。したがって、機関温度を上昇させるための機関暖機運転制御が実行されたとしても、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができるか、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0022】
また、上記発明の機関暖機運転制御は、温度上昇比が上記予め定められた比よりも小さくなる機関運転を実行する制御であれば、如何なる制御でもよく、たとえば、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる均質燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する均質燃焼運転制御が実行可能である場合において、前記機関暖機運転制御として前記均質燃焼運転制御を採用することができる。
【0023】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、均質燃焼が行われた場合、機関温度を効率的に上昇させることができる。このため、機関暖機運転制御として均質燃焼運転制御が採用された場合、機関温度を効率的に上昇させることができるという利点が得られる。
【0024】
また、上記発明において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備する場合、前記均質燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングで前記点火手段による燃料への点火を行うようにしてもよい。
【0025】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の機関温度の上昇は、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の機関温度の上昇よりも大きい。このため、均質燃焼運転制御において圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われる場合、間欠運転制御の開始前に機関温度を高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0026】
また、上記発明において、均質燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火のタイミングは、圧縮行程の上死点よりも早いタイミングであれば、特定のタイミングに制限されないが、たとえば、前記均質燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングとして、燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも早いタイミングを採用することができる。
【0027】
この場合、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが早いほど機関温度の上昇が大きくなる。このため、均質燃焼運転制御における点火手段による燃料への点火タイミングとして、圧縮上死点よりも早いタイミングであって且つ基準点火タイミング(すなわち、間欠機関運転中の点火手段による燃料への点火のタイミング)よりも早いタイミングが採用された場合、間欠運転制御の開始前に基準点火タイミングで燃料が点火される場合に比べて、より高い温度上昇率で機関温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0028】
また、上記発明の間欠運転制御は、機関運転の始動と機関運転の停止とを行う制御であれば、如何なる制御であってもよく、たとえば、上記発明において、内燃機関が車両に搭載されている場合において、前記間欠運転制御として、前記車両の速度が零になり、内燃機関から出力される動力として要求される動力である要求機関動力が零になったときに内燃機関の運転を停止し、前記車両の発進が要求され、要求機関動力が零よりも大きくなったときに内燃機関の運転を始動する制御を採用することができるし、内燃機関と電動機とを具備し、これら内燃機関および電動機から出力される動力のいずれか一方または両方を動力として出力する動力装置に上記発明の内燃機関の制御装置が用いられる場合において、前記間欠運転制御として、前記動力装置から出力される動力として要求される動力である要求動力を電動機のみによって出力するとき(したがって、要求機関動力が零であるとき)に内燃機関の運転を停止し、要求動力を電動機および内燃機関によって出力するとき或いは内燃機関のみによって出力するとき(したがって、要求機関動力が零よりも大きいとき)に内燃機関の運転を始動する制御を採用することもできる。
【0029】
なお、動力装置が内燃機関から出力される動力を出力する場合、動力装置が内燃機関から出力される動力の全てを出力してもよいし、同動力の一部を出力してもよい。同様に、動力装置が電動機から出力される動力を出力する場合、動力装置が電動機から出力される動力の全てを出力してもよいし、同動力の一部を出力してもよい。
【0030】
あるいは、上記発明の間欠運転制御として、たとえば、要求機関動力に応じて内燃機関の運転の始動時点から短時間のうちに内燃機関の運転を停止する制御を採用することもできるし、内燃機関の運転の停止時点から短時間のうちに内燃機関の運転を始動する制御を採用することもできるし、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを短時間間隔で実行する制御を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の制御装置が適用された内燃機関を示す図である。
【図2】(A)は第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中に基準燃料噴射量を取得するために利用されるマップを示した図であり、(B)は第1実施形態の間欠機関運転中に基準燃料噴射タイミングを取得するために利用されるマップを示した図であり、(C)は第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中に基準燃料噴射タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図3】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図4】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中に基準スロットル弁開度を取得するために利用されるマップを示した図である。
【図5】第1実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図6】第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図7】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図8】第1実施形態の間欠機関運転中および成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図9】第2実施形態の成層燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図10】第3実施形態の成層燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図11】第4実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例の一部を示した図である。
【図12】第4実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例の一部を示した図である。
【図13】第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中に基準燃料噴射タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図14】第6実施形態の均質燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図15】第7実施形態の均質燃焼運転制御の実行中に基準点火タイミングを取得するために利用されるマップを示した図である。
【図16】第8実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図17】第9実施形態の制御装置が適用された内燃機関を具備する動力装置を備えた車両を示す図である。
【図18】第9実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【図19】第10実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の1つの実施形態(以下「第1実施形態」という)の制御装置が適用された内燃機関が図1に示されている。図1に示されている内燃機関は、火花点火式の内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。図1において、11は燃料噴射弁、12は燃焼室、13はピストン、14はコンロッド、15はクランクシャフト、16はクランクポジションセンサ、17は点火栓、18は吸気弁、20は内燃機関の本体、22は排気弁、80はアクセルペダル、81はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。なお、図1には、1つの燃焼室12のみが示されているが、内燃機関10は、4つの燃焼室(つまり、気筒)とそれに対応する上述した構成要素をそれぞれ具備している。
【0033】
また、図1において、30は吸気通路、31は吸気ポート、32は吸気マニホルド、33はサージタンク、34は吸気管、35はスロットル弁、36はスロットル弁35を駆動するためのアクチュエータ、37はエアフローメータ、38はエアクリーナ、40は排気通路、41は排気ポート、42は排気マニホルド、43は排気管、44は触媒コンバータをそれぞれ示している。なお、吸気通路30は、吸気ポート31、吸気マニホルド32、サージタンク33、および、吸気管34から構成されている。一方、排気通路40は、排気ポート41、排気マニホルド42、および、排気管43から構成されている。
【0034】
電子制御装置90はマイクロコンピュータからなる。また、電子制御装置90はCPU(マイクロプロセッサ)91、ROM(リードオンリメモリ)92、RAM(ランダムアクセスメモリ)93、バックアップRAM94、および、インターフェース95を有する。これらCPU91、ROM92、RAM93、バックアップRAM94、および、インターフェース95は双方向バスによって互いに接続されている。
【0035】
燃料噴射弁11は、その燃料噴射孔が燃焼室12内に露出するように内燃機関の本体20に取り付けられている。また、燃料噴射弁11は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。電子制御装置90は、燃料噴射弁11に燃料を噴射させるための指令信号を燃料噴射弁11に供給する。電子制御装置90から燃料噴射弁11に指令信号が供給されると、燃料噴射弁11は、燃焼室12内に燃料を直接噴射する。
【0036】
点火栓17は、その放電電極が燃焼室12内に露出するように内燃機関の本体20に取り付けられている。また、点火栓12は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。電子制御装置90は、点火栓12に火花を発生させるための指令信号を点火栓12に供給する。電子制御装置90から点火栓17に指令信号が供給されると、点火栓12は、燃焼室12内の燃料を点火する。なお、燃焼室12内の燃料が点火栓17によって点火されると、燃焼室12内の燃料が燃焼し、ピストン13およびコンロッド14を介してクランクシャフト15にトルクが出力される。
【0037】
クランクポジションセンサ16は、内燃機関の出力軸、すなわち、クランクシャフト15近傍に配置されている。また、クランクポジションセンサ16は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。クランクポジションセンサ16は、クランクシャフト15の回転位相に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいて機関回転数(すなわち、内燃機関のクランクシャフト15の回転数)を算出する。
【0038】
吸気マニホルド32は、その一端で複数の管に分岐しており、これら分岐した管は、それぞれ対応する吸気ポート31に接続されている。また、吸気マニホルド32は、その他端でサージタンク33の一端に接続されている。サージタンク33は、その他端で吸気管34の一端に接続されている。
【0039】
スロットル弁35は、吸気管34に配置されている。スロットル弁35には、その開度(以下この開度を「スロットル弁開度」という)を変更するためのアクチュエータ(以下このアクチュエータを「スロットル弁アクチュエータ」という)36が接続されている。スロットル弁アクチュエータ36は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。電子制御装置90は、スロットル弁開度を目標スロットル弁開度に制御するようにスロットル弁アクチュエータ36を駆動するための制御信号をスロットル弁アクチュエータ36に供給する。なお、スロットル弁開度が変更されると、スロットル弁35が配置された領域における吸気管34内の流路面積が変わる。これによってスロットル弁35を通過する空気の量が変わり、ひいては、燃焼室に吸入される空気の量が変わる。
【0040】
エアフローメータ37は、スロットル弁35よりも上流において吸気管34に配置されている。また、エアフローメータ37は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。エアフローメータ37は、そこを通過する空気の量に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいてエアフローメータ37を通過する空気の量、ひいては、燃焼室に吸入される空気の量を算出する。
【0041】
エアクリーナ38は、エアフローメータ37よりも上流において吸気管34に配置されている。
【0042】
排気マニホルド42は、その一端で複数の管に分岐しており、これら分岐した管は、それぞれ対応する排気ポート41に接続されている。また、排気マニホルド42は、その他端で排気管43の一端に接続されている。排気管43は、その他端で外気に開放されている。
【0043】
触媒コンバータ44は、排気通路40(より具体的には、排気管43に配置されている。また、触媒コンバータ44は、その内部に触媒45を収容している。この触媒45は、その温度が特定の温度以上であるときに該触媒に流入する排気ガス中の特定の成分を所定の浄化率で浄化することができる。この触媒45は、たとえば、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときに排気ガス中の窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、および、未燃炭化水素(HC)を高い浄化率で同時に浄化することができるいわゆる三元触媒、または、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比であるときであっても排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を高い浄化率で浄化することができるいわゆるNOx触媒である。なお、上述した排気ガスの空燃比とは、第1実施形態では、燃焼室12に供給された燃料の量に対する燃焼室12に吸入された空気の量の比を意味する。
【0044】
アクセルペダル踏込量センサ81は、アクセルペダル80に接続されている。また、アクセルペダル踏込量センサ81は、電子制御装置90のインターフェース95に電気的に接続されている。アクセルペダル踏込量センサ81は、アクセルペダル80の踏込量に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいてアクセルペダル80の踏込量、ひいては、内燃機関から出力されるトルクとして要求されるトルク(以下このトルクを「要求機関トルク」という)を算出する。
【0045】
次に、第1実施形態の内燃機関の運転の制御について説明する。第1実施形態の制御装置は、成層燃焼運転制御と間欠運転制御とを選択的に実行可能である。ここで、成層燃焼運転制御とは、燃焼室内において燃料を成層燃焼させる内燃機関の運転(以下、内燃機関の運転を「機関運転」という)を継続的に実行する制御である。また、成層燃焼とは、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。別の言い方をすれば、成層燃焼とは、燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料が成層状態となるタイミングで燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を噴射し、成層状態にある燃料を燃焼させる燃焼である。また、間欠運転制御とは、機関運転の始動と機関運転の停止とを選択的に行う制御である。そして、第1実施形態では、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御の開始が禁止されて成層燃焼運転制御が開始され、成層燃焼運転制御が終了した後に間欠運転制御が開始される。
【0046】
なお、第1実施形態において、成層燃焼運転制御が実行される時間は、適宜設定されればよく、たとえば、成層燃焼運転制御の終了時点で触媒の温度(以下、触媒の温度を「触媒温度」という)が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(特に、触媒活性温度)以上の温度になる蓋然性が高い時間に設定される。
【0047】
また、第1実施形態において、成層燃焼運転の終了時点から間欠運転制御の開始時点までの時間は、適宜設定されればよく、たとえば、成層燃焼運転制御の終了と同時に間欠運転制御が開始されてもよいし、成層燃焼運転制御の終了時点から予め定められた時間が経過した時点で間欠運転制御が開始されてもよい。なお、成層燃焼運転制御の終了時点から間欠運転制御の開始時点までの間に触媒温度が低下する可能性があることから、成層燃焼運転制御の終了時点から予め定められた時間が経過した時点で間欠運転制御が開始される場合、上記予め定められた時間は、間欠運転制御の開始時点において触媒温度が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(特に、触媒活性温度)よりも低い温度にならない時間に設定されることが好ましい。
【0048】
また、第1実施形態の間欠運転制御における機関運転(以下この機関運転を「間欠機関運転」という)では、内燃機関に所望の性能を発揮させるのに適した形態の燃料の燃焼が行われればよく、たとえば、成層燃焼が行われてもよいし、均質燃焼が行われてもよいし、成層均質燃焼が行われてもよい。ここで、成層燃焼とは、上述したように、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。また、均質燃焼とは、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。別の言い方をすれば、均質燃焼とは、燃料噴射弁から燃焼室内に噴射された燃料が均質状態となるタイミングで燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を噴射し、均質状態にある燃料を燃焼させる燃焼である。また、成層均質燃焼とは、燃焼室内に均質状態で存在させた燃料を含む混合気中に燃料を成層状態で存在させ、これら均質状態で存在している燃料および成層状態で存在している燃料を燃焼させる燃焼である。
【0049】
また、第1実施形態では、たとえば、間欠運転制御の実行中、内燃機関から出力される動力として要求される動力(以下この動力を「要求機関動力」という)が零になったとき(たとえば、アクセルペダル踏込量が零になったとき)に間欠機関運転が停止され、要求機関動力が零よりも大きくなったとき(たとえば、アクセルペダル踏込量が零よりも大きくなったとき)に間欠機関運転が始動される。
【0050】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御について説明する。なお、以下の説明において「燃料噴射量」とは「燃料噴射弁から噴射される燃料の量」を意味し、「目標燃料噴射量」とは「目標とするべき燃料噴射量」を意味し、「燃料噴射タイミング」とは「燃料噴射弁から燃料を噴射させるタイミング」を意味し、「目標燃料噴射タイミング」とは「目標とするべき燃料噴射タイミング」を意味する。
【0051】
第1実施形態では、間欠機関運転中、目標燃料噴射量および目標燃料噴射タイミングが設定される(これら目標燃料噴射量の設定および目標燃料噴射タイミングの設定については後述する)。そして、斯くして設定された目標燃料噴射量の燃料を燃料噴射弁から噴射させるために燃料噴射弁に供給されるべき指令信号が算出される。そして、斯くして算出された指令信号が上記設定された目標燃料噴射タイミングにおいて燃料噴射弁に供給される。これにより、目標燃料噴射量の燃料が目標燃料噴射タイミングにおいて燃料噴射弁から噴射される。
【0052】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標燃料噴射量の設定について説明する。第1実施形態では、間欠機関運転中にアクセルペダル踏込量から算出される要求機関トルクに応じて最適な燃料噴射量が実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射量が図2(A)に示されているように要求機関トルクTQrの関数のマップの形で基準燃料噴射量Qbとして電子制御装置に記憶されている。そして、間欠機関運転中、その時々のアクセルペダル踏込量から算出される要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射量Qbが図2(A)のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射量Qbが目標燃料噴射量に設定される。
【0053】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標燃料噴射タイミングの設定について説明する。なお、以下の説明において「機関運転状態」とは「内燃機関の運転の状態」を意味する。
【0054】
第1実施形態では、間欠機関運転中の機関運転状態に応じて最適な燃料噴射タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射タイミングが図2(B)に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準燃料噴射タイミングTinjbとして電子制御装置に記憶されている。そして、間欠機関運転中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(B)のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングに設定される。
【0055】
なお、間欠機関運転中に成層燃焼を行わせるときには、目標燃料噴射タイミングは、圧縮行程の後半のタイミング(特に、圧縮上死点の直前のタイミング)に設定される。また、間欠機関運転中に均質燃焼を行わせるときには、目標燃料噴射タイミングは、吸気行程中のタイミング(特に、吸気行程の前半のタイミング)に設定される。また、間欠機関運転中に成層均質燃焼を行わせるときには、吸気行程中のタイミング(特に、吸気行程の前半のタイミング)と圧縮行程の後半のタイミング(特に、圧縮上死点の直前のタイミング)とに設定される。つまり、この場合、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および、排気行程の4つの行程からなる1機関サイクル中に、2回の燃料噴射が行われる。そして、この場合、目標燃料噴射量が吸気行程中のタイミングでの燃料の噴射によって燃料噴射弁から噴射されるべき燃料の量(以下この量を「目標均質燃料噴射量」という)と圧縮行程の後半のタイミングでの燃料の噴射によって燃料噴射弁から噴射されるべき燃料の量(以下この量を「目標成層燃料噴射量」という)とに分割され、吸気行程中のタイミングに設定された目標燃料噴射タイミングにおいて目標均質燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁から噴射され、続いて、圧縮行程の後半のタイミングに設定された目標燃料噴射タイミングにおいて目標成層燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁から噴射される。
【0056】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁の制御について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御と同じ燃料噴射弁の制御が実行される。
【0057】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射量の設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の目標燃料噴射量の設定と同じ目標燃料噴射量の設定が実行される。
【0058】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングの設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて成層燃焼を行わせるのに最適な燃料噴射タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射タイミングが図2(C)に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準燃料噴射タイミングTinjbとして電子制御装置に記憶されている。そして、成層燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(C)のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングに設定される。なお、成層燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングは、概して、燃焼室内における混合気(すなわち、燃料と空気との混合気)が圧縮される圧縮行程の後半タイミング、特に、圧縮行程の上死点(以下この上死点を「圧縮上死点」という)の直前のタイミングに設定される。
【0059】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の点火栓の制御について説明する。なお、以下の説明において「点火タイミング」とは「点火栓によって燃焼室内の燃料に点火させるタイミング(すなわち、点火栓の作動タイミング)」を意味し、「目標点火タイミング」とは「目標とするべき点火タイミング」を意味する。
【0060】
第1実施形態では、間欠機関運転中、目標点火タイミングが設定される(この目標点火タイミングの設定については後述する)。そして、点火栓を作動させるための指令信号が上記設定された目標点火タイミングにおいて点火栓に供給される。これにより、燃焼室内の燃料が目標点火タイミングにおいて点火される。
【0061】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標点火タイミングの設定について説明する。第1実施形態では、間欠機関運転中の機関運転状態に応じて最適な点火タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図3に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、間欠機関運転中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図3のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングに設定される。
【0062】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の点火栓の制御と同じ点火栓の制御が実行される。
【0063】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の目標点火タイミングの設定と同じ目標点火タイミングの設定が実行される。
【0064】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中のスロットル弁の制御について説明する。なお、以下の説明において「目標スロットル弁開度」とは「目標とするべきスロットル弁開度」を意味する。
【0065】
第1実施形態では、間欠機関運転中、目標スロットル弁開度が設定される(この目標スロットル弁開度の設定については後述する)。そして、斯くして設定された目標スロットル弁開度だけスロットル弁を開弁させるためにスロットル弁アクチュエータに供給されるべき制御信号が算出される。そして、斯くして算出された制御信号がスロットル弁アクチュエータに供給される。これにより、スロットル弁が目標スロットル弁開度だけ開弁せしめられる。
【0066】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の目標スロットル弁開度の設定について説明する。第1実施形態では、間欠機関運転中の機関運転状態に応じて最適なスロットル弁開度が実験等によって予め求められる。そして、これら求められたスロットル弁開度が図4に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準スロットル弁開度Dthbとして電子制御装置に記憶されている。そして、機関運転中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準スロットル弁開度Dthbが図4のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準スロットル弁開度Dthbが目標スロットル弁開度に設定される。
【0067】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中のスロットル弁の制御と同じスロットル弁の制御が実行される。
【0068】
次に、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標スロットル弁開度の設定について説明する。第1実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、上述した間欠機関運転中の目標スロットル弁開度の設定と同じ目標スロットル弁開度の設定が実行される。
【0069】
第1実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、成層燃焼が行われた場合に燃焼室から排出される排気ガスの温度(以下、排気ガスの温度を「排気温度」という)は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼が行われた場合の排気温度よりも高くなる。ここで、第1実施形態では、間欠運転制御の開始前に成層燃焼運転制御が実行される。このため、第1実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い温度上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度に短時間で近づけることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0070】
次に、第1実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図5に示されている。なお、図5のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0071】
図5のルーチンが開始されると、始めに、ステップ100において、要求機関動力Pengが取得される。次いで、ステップ101において、ステップ100で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否か(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるか否か)が判別される。ここで、Peng>0であると判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるとき)には、ルーチンはステップ102に進む。一方、Peng>0ではないと判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要がないとき)には、ルーチンはステップ110に進む。
【0072】
ステップ101においてPeng>0ではないと判別され、ルーチンがステップ110に進むと、間欠運転制御が終了される。これにより、機関運転が停止される。次いで、ステップ111において、成層燃焼フラグFinがセットされ(Fin←1)、ルーチンが終了する。この成層燃焼フラグFinは、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御を開始する前に成層燃焼運転制御を実行する必要があるか否かを表すフラグであり、成層燃焼運転制御が終了したときにリセットされ、間欠運転制御が終了したときにセットされるフラグである。
【0073】
ステップ101においてPeng>0であると判別され、ルーチンがステップ102に進むと、成層燃焼フラグFinがセットされている(Fin=1)か否かが判別される。ここで、Fin=1であると判別されたときには、ルーチンはステップ103に進む。一方、Fin=1ではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0074】
ステップ102においてFin=1であると判別され、ルーチンがステップ103に進むと、成層燃焼運転制御が開始される。次いで、ステップ104において、成層燃焼時間カウンタCstがカウントアップされる。この成層燃焼時間カウンタCstは、成層燃焼運転制御が開始されてから経過した時間を表すフラグであり、成層燃焼運転制御の実行中、カウントアップされ、成層燃焼運転制御が終了するとクリアされるカウンタである。次いで、ステップ105において、ステップ104でカウントアップされた成層燃焼時間カウンタCstが予め定められた値Cstth以上である(Cst≧Cstth)か否かが判別される。ここで、Cst≧Cstthであると判別されたときには、ルーチンはステップ106に進む。一方、Cst≧Cstthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ104に戻る。すなわち、本ルーチンでは、ステップ105においてCst≧Cstthであると判別されるまで、ステップ104およびステップ105が繰り返し実行される。
【0075】
ステップ105においてCst≧Cstthであると判別され、ルーチンがステップ106に進むと、成層燃焼運転制御が終了される。次いで、ステップ107において、間欠運転制御が開始される。次いで、ステップ108において、成層燃焼フラグFinがリセットされる(Fin←0)。次いで、ステップ109において、成層燃焼時間カウンタCstがクリアされ、ルーチンが終了する。
【0076】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図6に示されている。なお、図6のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0077】
図6のルーチンが開始されると、始めに、ステップ10において、その時のアクセルペダル踏込量Dacおよび機関回転数NEが取得される。次いで、ステップ11において、ステップ10で取得されたアクセルペダル踏込量Dacに基づいて要求機関トルクTQrが算出される。次いで、ステップ12において、ステップ11で算出された要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射量Qbが図2(A)のマップから取得される。次いで、ステップ13において、ステップ12で取得された基準燃料噴射量Qbが目標燃料噴射量Qに設定される。次いで、ステップ14において、ステップ13で設定された目標燃料噴射量Qの燃料を燃料噴射弁に噴射させるための指令信号Sinjが算出される。次いで、ステップ15において、ステップ10で取得された機関回転数NEとステップ11で算出された要求機関トルクTQrとに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(B)のマップから取得される。次いで、ステップ16において、ステップ15で取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングTinjに設定される。
【0078】
次いで、ステップ17において、現在のタイミングTcrkがステップ17で設定された目標燃料噴射タイミングTinjである(Tcrk=Tinj)か否かが判別される。ここで、Tcrk=Tinjであると判別されたときには、ルーチンはステップ18に進み、ステップ14で算出された指令信号Sinjが燃料噴射弁に供給され、ルーチンが終了する。一方、ステップ17において、Tcrk=Tinjではないと判別されたときには、ルーチンはステップ17を再び実行する。すなわち、本ルーチンでは、ステップ17においてTcrk=Tinjであると判別されるまで、ステップ17が繰り返し実行される。
【0079】
なお、第1実施形態の成層燃焼運転制御中の燃料噴射弁の制御を実行するルーチンの一例として、図6のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ15では、ステップ10で取得された機関回転数NEとステップ11で算出された要求機関トルクTQrとに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図2(C)のマップから取得される。
【0080】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図7に示されている。なお、図7のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。また、図7のルーチンは、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例でもある。
【0081】
図7のルーチンが開始されると、始めに、ステップ20において、その時の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrが取得される。次いで、ステップ21において、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図3のマップから取得される。次いで、ステップ22において、ステップ21で取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0082】
次いで、ステップ23において、現在のタイミングTcrkがステップ22で設定された目標点火タイミングTignである(Tcrk=Tign)か否かが判別される。ここで、Tcrk=Tignであると判別されたときには、ルーチンはステップ24に進み、点火栓を作動させるための指令信号Singが点火栓に供給され、ルーチンが終了する。一方、ステップ23においてTcrk=Tignではないと判別されたときには、ルーチンはステップ23を再び実行する。すなわち、本ルーチンでは、ステップ23においてTcrk=Tignであると判別されるまで、ステップ23が繰り返し実行される。
【0083】
次に、第1実施形態の間欠機関運転中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図8に示されている。なお、図8のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。また、図8のルーチンは、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例でもある。
【0084】
図8のルーチンが開始されると、始めに、ステップ30において、その時の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrが取得される。次いで、ステップ31において、ステップ30で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準スロットル弁開度Dthbが図4のマップから取得される。次いで、ステップ32において、ステップ31で取得された基準スロットル弁開度Dthbが目標スロットル弁開度Dthに設定される。次いで、ステップ33において、ステップ32で設定された目標スロットル弁開度だけスロットル弁を開弁させるためにスロットル弁アクチュエータに供給されるべき制御信号Sthが算出される。次いで、ステップ34において、ステップ33で算出された制御信号Sthがスロットル弁アクチュエータに供給され、ルーチンが終了する。
【0085】
なお、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中のスロットル弁の制御を実行するルーチンの一例として、図8のルーチンを採用することができる。
【0086】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第2実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第2実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに上述した実施形態の構成および制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0087】
第2実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第2実施形態では、圧縮上死点よりも遅いタイミングのうち、成層燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火のタイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図9に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、成層燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図9のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングに設定される。
【0088】
第2実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度は、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料への点火が行われた場合の排気温度よりも高くなる。ここで、第2実施形態では、成層燃焼運転制御において圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料への点火が行われる。このため、第2実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度をより高い温度上昇率で上昇させることができるという利点が得られる。
【0089】
なお、第2実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図9のマップから取得される。
【0090】
次に、第3実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第3実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第3実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに上述した実施形態から当然に導き出される構成および制御である。
【0091】
第3実施形態では、成層燃焼運転制御の実行中、第1実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第3実施形態では、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ間欠機関運転中の同じ機関運転状態における基準点火タイミングよりも遅いタイミングのうち、成層燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図10に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、成層燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図10のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0092】
第3実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、そのタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。ここで、第3実施形態では、成層燃焼運転制御における点火栓による燃料への点火タイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも遅いタイミングが採用される。このため、第3実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に基準点火タイミングで燃料が点火される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0093】
なお、第3実施形態の成層燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図10のマップから取得される。
【0094】
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、成層燃焼運転制御および間欠運転制御に加えて、触媒暖機運転制御および機関暖機運転制御が選択的に実行可能である。ここで、触媒暖機運転制御とは、燃焼室から排出される排気ガスの温度が比較的高く、触媒温度を高い温度上昇率で触媒活性温度まで上昇させることができる制御であり、たとえば、燃焼室内の燃料の燃焼熱による内燃機関の温度(以下、内燃機関の温度を「機関温度」という)の上昇分に対する同燃焼熱による触媒温度の上昇分の比である温度上昇比が予め定められた比以上である燃料の燃焼を行わせる機関運転を実行する制御である。一方、機関暖機運転制御とは、機関温度を高い温度上昇率で比較的高い温度まで上昇させることができる制御であり、たとえば、上記温度上昇比が上記予め定められた比よりも小さい燃料の燃焼を行わせる機関運転を実行する制御である。
【0095】
そして、第4実施形態では、機関運転が予め定められた時間(以下この時間を「所定機関停止時間」という)以上の時間に亘って停止された後に機関運転が始動されたときには、触媒暖機運転制御が開始され、そして、該触媒暖機運転制御が終了されたときに機関暖機運転制御が開始され、そして、該機関暖機運転制御が終了されたときに間欠運転制御を実行することが決定される。そして、斯くして間欠運転制御を実行することが決定されると、成層燃焼運転制御または機関運転継続制御が開始され、そして、該成層燃焼運転制御または該機関運転継続制御が終了された後に間欠運転制御が開始される。
【0096】
なお、上記所定機関停止時間は、機関運転の停止時点から触媒温度が低下して触媒活性温度よりも低くなる蓋然性が高い時間に設定される。また、触媒暖機運転制御を実行する時間は、触媒温度が触媒活性温度以上の温度まで上昇する蓋然性が高い時間(以下この時間を「所定触媒暖機時間」という)に設定される。また、機関暖機運転制御を実行する時間は、機関温度が内燃機関に所望の性能を発揮させることができる温度まで上昇する蓋然性が高い時間(以下この時間を「所定機関暖機時間」という)に設定される。
【0097】
なお、第4実施形態では、機関運転が所定機関運転停止時間以上の時間に亘って停止された後に触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ1回行われたときに間欠運転制御を実行することが決定される(すなわち、成層燃焼運転制御または機関運転継続制御が開始される)が、機関運転が所定機関停止時間以上の時間に亘って停止された後に触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ2回以上の所定の回数行われたときに間欠運転制御を実行することが決定されるように(すなわち、成層燃焼運転制御または機関運転継続制御が開始されるように)してもよい。
【0098】
第4実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、第4実施形態では、間欠運転制御の開始前に機関暖機運転制御が少なくとも一回実行される。ここで、機関暖機運転制御は、温度上昇比が予め定められた比よりも小さくなる機関運転を実行する制御である。したがって、機関暖機運転制御が実行されると機関温度は上昇するが、逆に、触媒温度は低下する可能性がある。しかしながら、この場合にも、触媒暖機運転制御と機関暖機運転制御とがそれぞれ一回実行されたときに間欠運転制御を実行することが決定され、成層燃焼運転制御が実行され、あるいは、機関運転継続制御が実行される。したがって、機関温度を上昇させるための機関暖機運転制御が実行される。したがって、機関温度を上昇させるための機関暖機運転制御が実行されたとしても、間欠運転制御が開始された時点において、触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、第4実施形態によれば、間欠運転制御において機関運転が開始されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができるか、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0099】
次に、第4実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図11および図12に示されている。なお、図11および図12のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0100】
図11および図12のルーチンが開始されると、始めに、ステップ400において、要求機関動力Pengおよび機関停止時間カウンタCspが取得される。この機関停止時間カウンタCspは、間欠運転制御における機関運転が停止されてから経過した時間を表すカウンタである。
【0101】
次いで、ステップ401において、ステップ400で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否か(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるか否か)が判別される。ここで、Peng>0であると判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるとき)には、ルーチンはステップ401Aに進む。一方、Peng>0ではないと判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要がないとき)には、ルーチンはステップ410に進む。
【0102】
ステップ401においてPeng>0ではないと判別され、ルーチンがステップ410に進むと、図5のステップ110と同じ処理が行われる。次いで、ステップ111において、図5のステップ111と同じ処理が実行され、ルーチンが終了する。
【0103】
ステップ401においてPeng>0であると判別され、ルーチンがステップ401Aに進むと、ステップ400で取得された機関停止時間カウンタCspが所定機関停止時間に相当する値Cspth以上である(Csp≧Cspth)か否かが判別される。ここで、Csp≧Cspthであると判別されたときには、ルーチンはステップ401Bに進む。一方、Csp≧Cspthではないと判別されたときには、ルーチンは図12のステップ402に進む。
【0104】
ステップ401AにおいてCsp≧Cspthであると判別され、ルーチンがステップ01Bに進むと、触媒暖機運転制御が開始される。次いで、ステップ401Cにおいて、触媒暖機時間カウンタCcatがカウントアップされる。この触媒暖機時間カウンタCcatは、触媒暖機運転制御が開始されてから経過した時間を表すカウンタである。次いで、ステップ401Dにおいて、ステップ401Cでカウントアップされた触媒暖機運転制御カウンタCcatが所定触媒暖機時間に相当する値Ccatth以上である(Ccat≧Ccatth)か否かが判別される。ここで、Ccat≧Ccatthであると判別されたときには、ルーチンはステップ401Eに進む。一方、Ccat≧Ccatthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ401Cに進む。すなわち、本ルーチンでは、ステップ401DにおいてCcat≧Ccatthであると判別されるまで、ステップ401Cおよびステップ401Dが繰り返し実行される。
【0105】
ステップ401DにおいてCcat≧Ccatthであると判別され、ルーチンがステップ401Eに進むと、触媒暖機運転制御が終了される。次いで、ステップ401Fにおいて、触媒暖機時間カウンタCcatがクリアされる。次いで、ステップ401Gにおいて、機関暖機運転制御が開始される。次いで、ステップ401Hにおいて、機関暖機時間カウンタCengがカウントアップされる。この機関暖機時間カウンタCengは、機関暖機運転制御が開始されてから経過した時間を表すカウンタである。次いで、ステップ401Iにおいて、ステップ401Hでカウントアップされた機関暖機時間カウンタCengが所定機関暖機時間に相当する値Cength以上である(Ceng≧Cength)か否かが判別される。ここで、Ceng≧Cengthであると判別されたときには、ルーチンは図12のステップ401Jに進む。一方、Ceng≧Cengthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ401Hに戻る。すなわち、本ルーチンでは、ステップ401IにおいてCeng≧Cengthであると判別されるまで、ステップ401Hおよびステップ401Iが繰り返し実行される。
【0106】
ステップ401IにおいてCeng≧Cengthであると判別され、ルーチンがステップ401Jに進むと、機関暖機運転制御が終了される。次いで、ステップ401Kにおいて、機関暖機時間カウンタCengがクリアされ、ルーチンがステップ402に進む。
【0107】
ステップ402では、成層燃焼フラグFinがセットされている(Fin=1)か否かが判別される。ここで、Fin=1であると判別されたときには、ステップ403〜ステップ409において、図5のステップ103〜ステップ109と同じ処理が実行され、ルーチンが終了する。一方、Fin=1ではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0108】
次に、第5実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第5実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第5実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0109】
第5実施形態では、第4実施形態の機関暖機運転制御として、均質燃焼運転制御が採用される。ここで、均質燃焼運転制御とは、燃焼室内において燃料を均質燃焼させる機関運転を継続的に実行する制御である。ここで、均質燃焼とは、上述したように、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、その燃料を燃焼させる燃焼である。
【0110】
なお、第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁の制御、および、目標燃料噴射量の設定は、それぞれ、第1実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御、および、目標燃料噴射量の設定と同じである。また、第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングの設定は、第1実施形態の間欠機関運転中の目標燃料噴射タイミングの設定とは異なり、以下のように実行される。
【0111】
すなわち、第5実施形態では、均質燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて均質燃焼を行わせるのに最適な燃料噴射タイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた燃料噴射タイミングが図13に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準燃料噴射タイミングTinjbとして電子制御装置に記憶されている。そして、均質燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準燃料噴射タイミングTinjbが図13のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準燃料噴射タイミングTinjbが目標燃料噴射タイミングに設定される。なお、均質燃焼運転制御の実行中の目標燃料噴射タイミングは、概して、燃焼室内に空気が吸入される吸気行程中のタイミング、特に、吸気行程の前半のタイミングに設定される。
【0112】
なお、均質燃焼運転制御の実行中の点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定は、それぞれ、第1実施形態の間欠運転制御の実行中の点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定と同じである。
【0113】
均質燃焼が行われた場合、機関温度を効率的に上昇させることができることから、第5実施形態によれば、機関暖機運転制御によって機関温度を効率的に上昇させることができるという利点が得られる。
【0114】
なお、第5実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例として、図11および図12のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、機関暖機運転制御として均質燃焼運転制御が採用される。
【0115】
次に、第6実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第6実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第6実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに上述した実施形態の構成および制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0116】
第6実施形態では、均質燃焼運転制御の実行中、第5実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第6実施形態では、圧縮上死点よりも早いタイミングのうち、均質燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火のタイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図14に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrとの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、均質燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図14のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0117】
第6実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも遅いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが遅いほど排気温度が高くなる。ここで、第6実施形態では、成層燃焼運転制御における点火栓による燃料への点火のタイミングとして、圧縮上死点よりも遅いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも遅いタイミングが採用される。このため、第6実施形態によれば、基準点火タイミングが採用される場合に比べて、より高い温度上昇率で触媒温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0118】
なお、第6実施形態の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図14のマップから取得される。
【0119】
次に、第7実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第7実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第7実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0120】
第7実施形態では、均質燃焼運転制御の実行中、第6実施形態の均質燃焼運転制御の実行中の目標点火タイミングの設定とは異なる目標点火タイミングの設定が実行される。すなわち、第7実施形態では、圧縮上死点よりも早いタイミングであって間欠機関運転中の同じ機関運転状態における基準点火タイミングよりも早いタイミングのうち、均質燃焼運転制御の実行中の機関運転状態に応じて最適な点火のタイミングが実験等によって予め求められる。そして、これら求められた点火タイミングが図15に示されているように機関回転数NEと要求機関トルクTQrtの関数のマップの形で基準点火タイミングTignbとして電子制御装置に記憶されている。そして、均質燃焼運転制御の実行中、その時々の機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図15のマップから取得される。そして、斯くして取得された基準点火タイミングTignbが目標点火タイミングTignに設定される。
【0121】
第7実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、圧縮上死点よりも早いタイミングで燃料が点火される場合、その点火のタイミングが早いほど機関温度の上昇が大きくなる。ここで、第7実施形態では、均質燃焼運転制御における点火栓による燃料への点火タイミングとして、圧縮上死点よりも早いタイミングであって且つ基準点火タイミングよりも早いタイミングが採用されることから、第7実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に基準点火タイミングで燃料が点火される場合に比べて、より高い温度上昇率で機関温度を上昇させることができるという利点が得られる。
【0122】
なお、第7実施形態の点火栓の制御を実行するルーチンの一例として、図7のルーチンを採用することができる。ただし、この場合、ステップ21では、ステップ20で取得された機関回転数NEおよび要求機関トルクTQrに対応する基準点火タイミングTignbが図15のマップから取得される。
【0123】
次に、第8実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第8実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第8実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0124】
第8実施形態では、内燃機関が車両に搭載されている。そして、間欠運転制御が以下のように実行される。すなわち、車両の速度が零になり、したがって、要求機関動力が零になったときに機関運転が停止されるいわゆるアイドリングストップが行われる。そして、車両の発進が要求され、したがって、要求機関動力が零よりも大きくなったときに機関運転が始動される。
【0125】
第8実施形態によれば、いわゆるアイドリングストップが行われる内燃機関においても、間欠機関運転が始動されたときに、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0126】
次に、第8実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図16に示されている。なお、図16のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0127】
図16のルーチンが開始されると、始めに、ステップ800において、要求機関動力Pengが取得される。次いで、ステップ801において、ステップ800で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否かが判別される。ここで、Peng>0であると判別されたときには、ルーチンはステップ802に進み、このときに機関運転が停止されている場合には、機関運転が始動され、機関運転が実行されている場合には、機関運転が継続され、ルーチンが終了する。一方、Peng>0ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ803に進み、機関運転が実行されている場合には、機関運転が停止され、機関運転が停止されている場合には、機関運転の停止が継続され、ルーチンが終了する。
【0128】
次に、第9実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第9実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第9実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0129】
第9実施形態の制御装置が適用された内燃機関を具備する動力装置を備えた車両が図17に示されている。図17において、MG1およびMG2は発電電動機(以下これら発電電動機をそれぞれ「第1発電電動機」および「第2発電電動機」という)、10は内燃機関、15はクランクシャフト(出力軸)、16はクランクポジションセンサ、50は動力分配機構、70はインバータ、71はバッテリ、80はアクセルペダル、81はアクセルペダル踏込量センサ、90は電子制御装置をそれぞれ示している。なお、図17に示されている内燃機関10は、図1に示されている内燃機関10と同じ内燃機関である。
【0130】
動力分配装置50は、遊星歯車装置51を有する。遊星歯車装置51は、サンギア52とプラネタリギア53とリングギア54とを有する。プラネタリギア53は、サンギア52に噛合せしめられているとともに、リングギア54に噛合せしめられている。サンギア52は、第1発電電動機MG1のシャフト(以下このシャフトを「第1シャフト」という)61に接続されている。したがって、第1発電電動機MG1は、サンギア52から当該第1発電電動機MG1に入力されるトルクによって回転駆動可能であるし、サンギア52にトルクを出力可能である。そして、第1発電電動機MG1は、それがサンギア52から当該第1発電電動機MG1に入力されるトルクによって回転駆動されることによって発電可能である。リングギア54は、リングギアキャリア56を介して第2発電電動機MG2のシャフト(以下このシャフトを「第2シャフト」という)62に接続されている。したがって、第2発電電動機MG2は、リングギア54にトルクを出力可能であるし、リングギア54から当該第2発電電動機MG2に入力されるトルクによって回転駆動可能である。そして、第2発電電動機MG2は、それがリングギア54から当該第2発電電動機MG2に入力されるトルクによって回転駆動されることによって発電可能である。
【0131】
プラネタリギア53は、プラネタリギアキャリア55を介してクランクシャフト15に接続されている。したがって、プラネタリギア53は、クランクシャフト15から当該プラネタリギア53に入力されるトルクによって回転駆動せしめられる。また、プラネタリギア53は、サンギア52およびリングギア54に噛合されている。したがって、プラネタリギア53からサンギア52にトルクが入力されたときには、そのトルクによってサンギア52が回転駆動されるし、プラネタリギア53からリングギア54にトルクが入力されたときには、そのトルクによってリングギア54が回転駆動される。逆に、サンギア52からプラネタリギア53にトルクが入力されたときには、そのトルクによってプラネタリギア53が回転駆動されるし、リングギア54からプラネタリギア53にトルクが入力されたときには、そのトルクによってプラネタリギア53が回転駆動される。
【0132】
リングギア54は、リングギアキャリア56を介して出力ギア57に接続されている。したがって、出力ギア57は、リングギア54から当該出力ギア57に入力されるトルクによって回転駆動されるし、リングギア54は、出力ギア57から当該リングギア54に入力されるトルクによって回転駆動される。
【0133】
また、第1発電電動機MG1は、レゾルバ63を有する。レゾルバ63は、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。レゾルバ63は、第1発電電動機MG1の回転角度に対応する出力値を出力する。この出力値は、電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいて第1発電電動機の回転数(以下この回転数を「第1MG回転数」という)を算出する。一方、第2発電電動機MG2は、レゾルバ64を有する。レゾルバ64は、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。レゾルバ64は、第2発電電動機の回転角度に対応する出力値を出力する。この出力値は電子制御装置90に入力される。電子制御装置90は、この出力値に基づいて第2発電電動機の回転数(以下この回転数を「第2MG回転数」という)を算出する。
【0134】
また、第1発電電動機MG1は、インバータ70を介してバッテリ71に電気的に接続されている。したがって、第1発電電動機MG1が電力を発電しているときには、第1発電電動機MG1が発電した電力(以下この電力を「第1発電電力」という)は、インバータ70を介してバッテリ71に供給可能である。また、第1発電電動機MG1は、バッテリ71から供給される電力によって回転駆動可能であるし、バッテリ71から供給される電力によって当該第1発電電動機MG1に加えられる制御トルク(以下この制御トルクを「第1制御トルク」という)を制御することによってその回転数が制御可能に構成されている。
【0135】
また、第2発電電動機MG2は、インバータ70を介してバッテリ71に電気的に接続されている。したがって、第2発電電動機MG2は、バッテリ71から供給される電力によって回転駆動可能であるし、バッテリ71から供給される電力によって当該第2発電電動機MG2に加えられる制御トルク(以下この制御トルクを「第2制御トルク」という)を制御することによってその回転数が制御可能である。また、第2発電電動機MG2が電力を発電しているときには、第2発電電動機MG2が発電した電力(以下この電力を「第2発電電力」という)はインバータ70を介してバッテリ71に供給可能である。なお、第1発電電力は、第2発電電動機MG2に直接供給可能でもあるし、第2発電電力は、第1発電電動機に直接供給可能でもある。
【0136】
また、バッテリ71は、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。そして、バッテリ蓄電量(すなわち、バッテリ71に蓄電されている電力量)に関する情報が電子制御装置90のインターフェース95に入力される。また、インバータ70も、電子制御装置90のインターフェース95に接続されている。そして、インターフェース95を介して電子制御装置90から送られる指令によって、インバータ70から第2発電電動機MG2に供給される電力量および第1発電電動機MG1に供給される電力量が制御される。
【0137】
また、出力ギア57は、ギア列65を介してディファレンシャルギア66に接続されている。ディファレンシャルギア66は、ドライブシャフト67に取り付けられている。ドライブシャフト67の両端には、駆動輪68が取り付けられている。したがって、出力ギア57からのトルクは、ギア列65、ディファレンシャルギア66、および、ドライブシャフト67を介して駆動輪68に伝達される。
【0138】
なお、第9実施形態では、アクセルペダルの踏込量と車速とに基づいて動力装置に要求される要求動力を算出する。なお、第9実施形態の動力装置は、概して、内燃機関10と第1発電電動機MG1と第2発電電動機MG2とから構成されている。
【0139】
次に、第9実施形態の間欠運転制御について説明する。なお、以下の説明において「出力動力」とは「動力装置から出力される動力」を意味し、「要求動力」とは「動力装置から出力ギアに出力されることが要求される出力動力」であり、「車速」とは「ハイブリッド車両の走行速度」であり、「EVモード」とは「要求動力に相当する動力を出力ギアに出力するために第1発電電動機のみを駆動し、あるいは、第2発電電動機のみを駆動し、あるいは、第1発電電動機および第2発電電動機を駆動するモード」を意味し、「HVモード」とは「要求動力に相当する動力を出力ギアに出力するために第1発電電動機を駆動するとともに内燃機関を運転させ、あるいは、第2発電電動機を駆動するとともに内燃機関を運転させ、あるいは、第1発電電動機および第2発電電動機を駆動するとともに内燃機関を運転させるモード」を意味し、「EVモード制御」とは「EVモードに従った第1発電電動機の駆動、第2発電電動機の駆動、および、内燃機関の運転の制御」を意味し、「HVモード制御」とは「HVモードに従った第1発電電動機の駆動、第2発電電動機の駆動、および、内燃機関の運転の制御」を意味する。
【0140】
第9実施形態では、EVモードとHVモードとの2つのモードが用意されている。そして、間欠運転制御の実行中、機関運転を始動させるか否か(すなわち、HVモード制御を実行するか否か)を決定するために用いられる出力動力に関する閾値が機関始動閾値として設定される。また、間欠運転制御の実行中、機関運転を停止させるか否か(すなわち、EVモード制御を実行するか否か)を決定するために用いられる出力動力に関する閾値が機関停止閾値として設定される。
【0141】
そして、アクセルペダル踏込量と車速とに基づいて要求動力が算出される。そして、間欠運転制御の実行中の機関運転の停止中に要求動力が機関始動閾値以上になったときには、機関運転が始動される。つまり、EVモード制御の実行中に要求動力が機関始動閾値以上になったときには、HVモード制御が実行される。一方、間欠運転制御の実行中の機関運転の実行中に要求動力が機関停止閾値以下になったときには、機関運転が停止される。つまり、HVモード制御の実行中に要求動力が機関停止閾値以下になったときには、EVモード制御が実行される。
【0142】
なお、第9実施形態のHVモード制御の実行中の機関トルク、第1制御トルク、および、第2制御トルクの制御の一例を紹介すると、以下の通りである。なお、以下の説明において「機関トルク」とは「内燃機関のクランクシャフトから出力されるトルク」であり、「機関動作点」とは「機関トルクと機関回転数とによって規定される内燃機関の動作点または内燃機関の動作状態」であり、「要求出力」とは「内燃機関のクランクシャフトから出力される出力として要求される出力」である。
【0143】
第1実施形態では、要求出力をクランクシャフトから出力させたときに燃費が最も高くなる機関動作点が要求出力毎に最適機関動作点として実験等によって予め求められる。そして、これら最適機関動作点を機関トルクと機関回転数とによって規定されるグラフ上にプロットしてこれら最適機関動作点を結ぶことによって形成されるラインが最適機関動作ラインとして求められる。そして、この最適機関動作ラインが電子制御装置に記憶されている。
【0144】
そして、機関運転中、要求出力が算出され、この算出された要求出力を内燃機関から出力させることができる最適機関動作ライン上の機関動作点が選択される。そして、この選択された機関動作点を規定する機関トルクおよび機関回転数がそれぞれ目標機関トルクおよび目標機関回転数に設定される。そして、この設定された目標機関トルクおよび目標機関回転数が達成されるように燃料噴射量および機関回転数が制御される。
【0145】
ところで、第2MG回転数が一定である場合、第1MG回転数が変化すれば機関回転数も変化する。別の言い方をすれば、第1MG回転数を制御することによって機関回転数を制御することができる。そして、第1MG回転数を「NMG1」で表し、第2MG回転数を「NMG2」で表し、機関回転数を「NE」で表し、リングギアの歯数に対するサンギアの歯数の比(すなわち、サンギアの歯数/リングギアの歯数)を「ρ」で表したとき、第1MG回転数と機関回転数との間には次式1の関係がある。したがって、目標第1MG回転数を「TNMG1」で表し、目標機関回転数を「TNE」で表したとき、目標第1MG回転数と目標機関回転数との間には次式2の関係があることになる。
【0146】
NMG1=(NE−NMG2)/ρ+NE …(1)
TNMG1=(TNE−NMG2)/ρ+TNE …(2)
【0147】
そこで、第9実施形態では、要求出力に応じて選択される機関動作点に従って設定される目標機関回転数TNEと現在の第2MG回転数NMG2とを利用して上式2から目標第1MG回転数TNMG1が算出される。そして、斯くして算出された目標第1MG回転数TNMG1に対する現在の第1MG回転数NMG1の偏差(=TNMG1−NMG1)が算出される。そして、この算出された偏差が零になるように第1制御トルクが制御される。
【0148】
ところで、機関トルクを「TQE」で表し、リングギア(すなわち、駆動輪)に入力される機関トルク(以下この機関トルクを「リングギア入力機関トルク」という)を「TQEr」で表し、リングギアの歯数に対するサンギアの歯数の比(すなわち、サンギアの歯数/リングギアの歯数)を「ρ」で表したとき、リングギア入力機関トルクと機関トルクとの間には次式3の関係がある。
【0149】
TQEr=1/(1+ρ)×TQE …(3)
【0150】
すなわち、リングギア入力機関トルクTQErは機関トルクTQEの一部である。したがって、リングギア入力機関トルクTQErは要求駆動トルク(すなわち、駆動輪68に入力されるべきトルク)よりも小さい。そこで、第1実施形態では、要求駆動トルクとリングギア入力機関トルクTQErとの差に相当するトルクが第2発電電動機からリングギアに入力されるように第2制御トルクが制御される。斯くして、要求駆動トルクに等しいトルクがリングギアに入力されることになる。
【0151】
第9実施形態によれば、間欠運転制御の実行中に比較的頻繁に間欠機関運転が停止される場合であっても、間欠運転制御の実行中、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることでき、間欠運転制御の実行中に触媒から流出する排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができるという利点が得られる。
【0152】
次に、第9実施形態の間欠運転制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図18に示されている。なお、図18のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0153】
図18のルーチンが開始されると、始めに、ステップ900において、要求動力Preqが取得される。次いで、ステップ901において、ステップ900で取得された要求動力Preqが零よりも大きい(Preq>0)か否かが判別される。ここで、Preq>0であると判別されたときには、ルーチンはステップ902に進む。一方、Preq>0ではないと判別されたときには、ルーチンはステップ907に進む。
【0154】
ステップ901においてPreq>0ではないと判別され、ルーチンがステップ907に進むと、第1発電電動機が動力駆動されている場合には、第1発電電動機の動力駆動が停止され、第1発電電動機の動力駆動が既に停止されている場合には、第1発電電動機の動力駆動の停止が継続され、第2発電電動機が動力駆動されている場合には、第2発電電動機の動力駆動が停止され、第2発電電動機の動力駆動が既に停止されている場合には、第2発電電動機の動力駆動の停止が継続される。次いで、ステップ908において、機関運転が実行されている場合には、機関運転が停止され、機関運転が既に停止されている場合には、機関運転の停止が継続される。次いで、ステップ909において、EVモード制御フラグFevがセットされ(Fev←1)、ルーチンが終了する。このEVモード制御フラグFevは、EVモード制御が開始されたとき或いは動力装置からの動力の出力が終了したときにセットされ、HVモード制御が開始されたときにリセットされるフラグである。
【0155】
ステップ901においてPreq>0であると判別され、ルーチンがステップ902に進むと、要求動力に応じて第1発電電動機の動力駆動および第2発電電動機の動力駆動のいずれか一方または両方が開始され、あるいは、第1発電電動機の動力駆動および第2発電電動機の動力駆動のいずれか一方または両方が継続される。次いで、ステップ903において、EVモード制御フラグFevがセットされている(Fev=1)か否かが判別される。ここで、Fev=1であると判別されたとき(すなわち、EVモード制御が実行されているとき、あるいは、動力装置からの動力の出力が停止された後に初めてルーチンがステップ903に到来したとき)には、ルーチンはステップ904に進む。一方、Fev=1ではない(すなわち、Fev=0である)と判別されたとき(すなわち、HVモード制御が実行されているとき)には、ルーチンはステップ910に進む。
【0156】
ステップ903においてFev=1であると判別され、ルーチンがステップ904に進むと、ステップ900で取得された要求動力が機関始動閾値Pst以上である(Preq≧Pst)か否かが判別される。ここで、Preq≧Pstであると判別されたときには、ルーチンはステップ905に進む。一方、Preq≧Pstではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0157】
ステップ904においてPreq≧Pstであると判別され、ルーチンがステップ905に進むと、機関運転が始動される。次いで、ステップ906において、EVモード制御フラグFevがリセットされ(Fev←0)、ルーチンが終了する。
【0158】
ステップ903においてFev=1ではないと判別され、ルーチンがステップ910に進むと、ステップ900で取得された要求動力Preqが機関停止閾値Psp以下である(Preq≦Psp)か否かが判別される。ここで、Preq≦Pspであると判別されたときには、ルーチンはステップ911に進む。一方、Preq≦Pspではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0159】
ステップ910においてPreq≦Pspであると判別され、ルーチンがステップ911に進むと、機関運転が停止される。次いで、ステップ912において、EVモード制御フラグFevがセットされ(Fev←1)、ルーチンが終了する。
【0160】
次に、第10実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第10実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第10実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0161】
第10実施形態の制御装置は、第1実施形態の制御装置とは異なり、機関運転継続制御と間欠運転制御とを選択的に実行可能である。ここで、機関運転継続制御とは、機関運転を継続して実行する制御である。また、間欠運転制御とは、第1実施形態の間欠運転制御と同じ制御である。そして、第10実施形態では、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、間欠運転制御の開始が禁止されて機関運転継続制御が開始され、触媒温度が触媒活性温度以上になったときに機関運転継続制御が終了され、機関運転継続制御が終了された後に間欠運転制御が開始される。一方、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度以上であるときには、間欠運転制御が開始される。
【0162】
なお、第10実施形態において、機関運転継続制御の終了から間欠運転制御の開始までの間の時間は、適宜設定されればよく、たとえば、機関運転継続制御の終了と同時に間欠運転制御が開始されてもよいし、機関運転継続制御の終了時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始されてもよい。なお、機関運転継続制御の終了時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始される場合、機関運転継続制御の終了時点から間欠運転制御の開始時点までの間に触媒温度が低下する可能性があることから、上記一定の時間は、触媒温度が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(好ましくは、触媒活性温度)よりも低くならない時間に設定されることが好ましい。
【0163】
また、間欠運転制御を実行することが決定されたときに触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断から間欠運転制御の開始までの時間は、適宜設定されればよく、たとえば、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断と同時に間欠運転制御が開始されてもよいし、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始されてもよい。なお、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断時点から一定の時間が経過した時点で間欠運転制御が開始される場合、触媒温度が触媒活性温度以上であるとの判断時点から間欠運転制御の開始時点までの間に触媒温度が低下する可能性があることから、上記一定の時間は、触媒温度が触媒の浄化能力を考慮したときに許容される温度(好ましくは、触媒活性温度)よりも低くならない温度に設定されることが好ましい。
【0164】
また、機関運転継続制御の実行中の燃料噴射弁の制御、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定は、それぞれ、上述した実施形態の間欠機関運転中の燃料噴射弁の制御、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定と同じである。
【0165】
また、第10実施形態に第4実施形態の触媒暖機運転制御および機関暖機運転制御を組み合わせてもよい。この場合、機関運転が所定機関停止時間以上の時間に亘って停止された後に機関運転が始動されたときには、触媒暖機運転制御が開始され、そして、該触媒暖機運転制御が終了されたときに機関暖機運転制御が開始され、そして、該機関暖機運転制御が終了されたときに間欠運転制御を実行することが決定される。そして、斯くして間欠運転制御を実行することが決定されたときに触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、機関運転継続制御が開始され、触媒温度が触媒活性温度以上になったときに機関運転継続制御が終了され、該機関運転継続制御の終了後に間欠運転制御が開始される。一方、間欠運転制御を実行することが決定されたときに触媒温度が触媒活性温度以上であるときには、間欠運転制御が開始される。
【0166】
また、第8実施形態と同様に、第10実施形態の内燃機関が車両に搭載され、第10実施形態の間欠運転制御が第8実施形態の間欠運転制御と同様に実行されてもよい。
【0167】
また、第9実施形態と同様に、第10実施形態の内燃機関が図17に示されている車両の動力装置の内燃機関として利用されてもよい。
【0168】
第10実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、第10実施形態では、間欠運転制御の開始前において触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、機関運転継続制御が開始され、機関運転が実行される。そして、触媒温度が触媒活性温度以上になり、機関運転継続制御が終了した後に間欠運転制御が開始される。このため、第10実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を触媒活性温度まで上昇させることができるという利点が得られる。なお、この場合、間欠運転制御の開始時点における触媒温度は、触媒活性温度以上の温度になっているか、あるいは、少なくとも、触媒活性温度に近い温度になっている。このため、間欠機関運転が始動されたときには、所望の浄化能力を触媒に発揮させることができ、あるいは、少なくとも、所望の浄化能力に近い浄化能力を触媒に発揮させることができ、間欠運転制御の実行中に触媒から流出するは排気ガス中のエミッションを良好ならしめることができる。
【0169】
次に、第10実施形態の機関運転の制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンの一例が図19に示されている。なお、図19のルーチンは、所定時間が経過する毎に実行されるルーチンである。
【0170】
図19のルーチンが開始されると、始めに、ステップ1000において、要求機関動力Pengが取得される。次いで、ステップ1001において、ステップ1000で取得された要求機関動力Pengが零よりも大きい(Peng>0)か否か(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるか否か)が判別される。ここで、Peng>0であると判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要があるとき)には、ルーチンはステップ1002に進む。一方、Peng>0ではないと判別されたとき(すなわち、間欠運転制御を実行する必要がないとき)には、ルーチンはステップ1011に進む。
【0171】
ステップ1001においてPeng>0ではないと判別され、ルーチンがステップ1011に進むと、間欠運転制御が終了される。これにより、機関運転が停止される。次いで、ステップ1012において、機関運転継続フラグFcがセットされ(Fc←1)、ルーチンが終了する。この機関運転継続フラグFcは、間欠運転制御を実行することが決定されたときに間欠運転制御を開始する前に機関運転継続制御を実行する必要があるか否かを表すフラグであり、機関運転継続制御が終了したときにリセットされ、間欠運転制御が終了したときにセットされるフラグである。
【0172】
ステップ1001においてPeng>0であると判別され、ルーチンがステップ1002に進むと、機関運転継続フラグFcがセットされている(Fc=1)か否かが判別される。ここで、Fc=1であると判別されたときには、ルーチンはステップ1003に進む。一方、Fc=1ではないと判別されたときには、ルーチンは終了する。
【0173】
ステップ1002においてFc=1であると判別され、ルーチンがステップ1003に進むと、触媒温度Tcatが取得される。次いで、ステップ1004において、ステップ1003で取得された触媒温度Tcatが触媒活性温度Tcatthよりも低い(Tcat<Tcatth)か否かが判別される。ここで、Tcat<Tcatthであると判別されたときには、ルーチンはステップ1005に進む。一方、Tcat<Tcatthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ1009に進み、間欠運転制御が開始され、次いで、ステップ1010において、機関運転継続フラグFcがリセットされ(Fc←0)、ルーチンが終了する。
【0174】
ステップ1004においてTcat<Tcatthであると判別され、ルーチンがステップ1005に進むと、機関運転継続制御が開始される。次いで、ステップ1006において、触媒温度Tcatが取得される。次いで、ステップ1007において、ステップ1006で取得された触媒温度Tcatが触媒活性温度Tcatthよりも低い(Tcat<Tcatth)か否かが判別される。ここで、Tcat<Tcatthではないと判別されたときには、ルーチンはステップ1008に進む。一方、Tcat<Tcatthであると判別されたときには、ルーチンはステップ1006に戻る。すなわち、本ルーチンでは、ステップ1007においてTcat<Tcatthではないと判別されるまで、ステップ1006およびステップ1007が繰り返し実行される。
【0175】
ステップ1007においてTcat<Tcatthではないと判別され、ルーチンがステップ1008に進むと、機関運転継続制御が終了される。次いで、ステップ1009において、間欠運転制御が開始される。次いで、ステップ1010において、機関運転継続フラグFcがリセットされ(Fc←0)、ルーチンが終了する。
【0176】
次に、第11実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第11実施形態の構成および制御は、上述した実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、第11実施形態に具現化された本発明の技術思想に鑑みたときに当然に導き出される構成および制御である。
【0177】
第11実施形態では、第10実施形態において、機関運転継続制御として、成層燃焼運転制御が採用される。ここで、成層燃焼運転制御とは、第1実施形態〜第3実施形態のいずれか1つの成層燃焼運転制御と同じである。したがって、第11実施形態では、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度よりも低いときには、間欠運転制御の開始が禁止されて成層燃焼運転制御が開始され、触媒温度が触媒活性温度以上になったときに成層燃焼運転制御が終了され、成層燃焼運転制御が終了された後に間欠運転制御が開始される。一方、間欠運転制御を実行することが決定されたときに、触媒温度が触媒活性温度以上であるときには、間欠運転制御が開始される。
【0178】
なお、成層燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定は、それぞれ、第1実施形態〜第3実施形態のいずれか1つの成層燃焼運転制御の実行中の燃料噴射弁の制御、目標燃料噴射量の設定、目標燃料噴射タイミングの設定、点火栓の制御、目標点火タイミングの設定、スロットル弁の制御、および、目標スロットル弁開度の設定と同じである。
【0179】
第11実施形態によれば、以下の利点が得られる。すなわち、上述したように、成層燃焼運転制御が実行された場合の排気温度は、成層燃焼以外の燃焼、つまり、いわゆる均質燃焼が行われた場合の排気温度よりも高くなる。したがって、成層燃焼運転制御が採用された場合、触媒温度が高い温度上昇率で上昇せしめられる。ここで、第11実施形態では、機関運転継続制御として成層燃焼運転制御が採用される。このため、第11実施形態によれば、間欠運転制御の開始前に触媒温度を高い上昇率で上昇させ、触媒温度を触媒活性温度まで短時間で到達させることができるという利点が得られる。
【符号の説明】
【0180】
10…内燃機関、11…燃料噴射弁、12…燃焼室、17…点火栓、40…排気通路、45…触媒、90…電子制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の制御装置であって、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能な内燃機関の制御装置において、
内燃機関が燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備し、
前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記間欠運転制御の開始を禁止して前記成層燃焼運転制御を開始し、該成層燃焼運転制御が終了した後に前記間欠運転制御を開始する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備し、前記成層燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火が行われる内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記成層燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングが燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングである内燃機関の制御装置。
【請求項4】
内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転を継続して実行する機関運転継続制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能である内燃機関の制御装置において、
内燃機関が燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備し、
前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記触媒の温度が前記触媒が予め定められた浄化能力を発揮する温度である触媒活性温度よりも低いときには前記間欠運転制御の開始を禁止して前記機関運転継続制御を開始し、前記触媒の温度が前記触媒活性温度以上になったときに前記機関運転継続制御を終了し、該機関運転継続制御が終了した後に前記間欠運転制御を開始する内燃機関の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御を実行可能であり、前記機関運転継続制御が前記成層燃焼運転制御である内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備し、前記機関運転継続制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火が行われる内燃機関の制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関の制御装置において、前記機関運転継続制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングが燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングである内燃機関の制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、燃焼室内の燃料の燃焼熱による内燃機関の温度の上昇分に対する同燃焼熱による触媒の温度の上昇分の比である温度上昇比が予め定められた比以上である燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する触媒暖機運転制御と、前記温度上昇比が前記予め定められた比よりも小さくなる燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する機関暖機運転制御とが実行可能であり、内燃機関の運転が予め定められた時間以上の時間に亘って停止された後に内燃機関の運転が始動されたときに前記触媒暖機運転制御と前記機関暖機運転制御とがそれぞれ少なくとも一回実行されたときに前記間欠運転制御を実行することが決定される内燃機関の制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の内燃機関の制御装置において、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる均質燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する均質燃焼運転制御が実行可能であり、前記機関暖機運転制御が前記均質燃焼運転制御である内燃機関の制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備し、前記均質燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングで前記点火手段による燃料への点火が行われる内燃機関の制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の内燃機関の制御装置において、前記均質燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングが燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも早いタイミングである内燃機関の制御装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が車両に搭載されており、前記間欠運転制御が前記車両の速度が零になり、内燃機関から出力される動力として要求される動力である要求機関動力が零になったときに内燃機関の運転を停止し、前記車両の発進が要求され、要求機関動力が零よりも大きくなったときに内燃機関の運転を始動する制御を含む内燃機関の制御装置。
【請求項13】
内燃機関と電動機とを具備し、これら内燃機関および電動機から出力される動力のいずれか一方または両方を動力として出力する動力装置において用いられる請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記間欠運転制御が前記動力装置から出力される動力として要求される要求動力を電動機のみによって出力するときに内燃機関の運転を停止し、要求動力を電動機および内燃機関によって出力するとき或いは内燃機関のみによって出力するときに内燃機関の運転を始動する制御を含む内燃機関の制御装置。
【請求項1】
内燃機関の制御装置であって、燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能な内燃機関の制御装置において、
内燃機関が燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備し、
前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記間欠運転制御の開始を禁止して前記成層燃焼運転制御を開始し、該成層燃焼運転制御が終了した後に前記間欠運転制御を開始する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備し、前記成層燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火が行われる内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記成層燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングが燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングである内燃機関の制御装置。
【請求項4】
内燃機関の制御装置であって、内燃機関の運転を継続して実行する機関運転継続制御と、内燃機関の運転の始動と内燃機関の運転の停止とを選択的に行うことによって内燃機関の運転を間欠的に行う間欠運転制御と、を実行可能である内燃機関の制御装置において、
内燃機関が燃焼室から排出される排気ガス中の成分を浄化する触媒を具備し、
前記間欠運転制御を実行することが決定されたときに前記触媒の温度が前記触媒が予め定められた浄化能力を発揮する温度である触媒活性温度よりも低いときには前記間欠運転制御の開始を禁止して前記機関運転継続制御を開始し、前記触媒の温度が前記触媒活性温度以上になったときに前記機関運転継続制御を終了し、該機関運転継続制御が終了した後に前記間欠運転制御を開始する内燃機関の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃料を成層状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる成層燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する成層燃焼運転制御を実行可能であり、前記機関運転継続制御が前記成層燃焼運転制御である内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備し、前記機関運転継続制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングで前記点火手段による燃料への点火が行われる内燃機関の制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関の制御装置において、前記機関運転継続制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングが燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも遅いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも遅いタイミングである内燃機関の制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、燃焼室内の燃料の燃焼熱による内燃機関の温度の上昇分に対する同燃焼熱による触媒の温度の上昇分の比である温度上昇比が予め定められた比以上である燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する触媒暖機運転制御と、前記温度上昇比が前記予め定められた比よりも小さくなる燃料の燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する機関暖機運転制御とが実行可能であり、内燃機関の運転が予め定められた時間以上の時間に亘って停止された後に内燃機関の運転が始動されたときに前記触媒暖機運転制御と前記機関暖機運転制御とがそれぞれ少なくとも一回実行されたときに前記間欠運転制御を実行することが決定される内燃機関の制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の内燃機関の制御装置において、燃料を均質状態で燃焼室内に存在させ、該燃料を燃焼させる均質燃焼を行わせる内燃機関の運転を実行する均質燃焼運転制御が実行可能であり、前記機関暖機運転制御が前記均質燃焼運転制御である内燃機関の制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が燃焼室内の燃料に点火する点火手段を具備し、前記均質燃焼運転制御において燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングで前記点火手段による燃料への点火が行われる内燃機関の制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の内燃機関の制御装置において、前記均質燃焼運転制御における前記点火手段による燃料への点火のタイミングが燃焼室内の混合気を圧縮する圧縮行程の上死点よりも早いタイミングであって且つ前記間欠運転制御において内燃機関の運転が実行されるときの前記点火手段による燃料への点火のタイミングよりも早いタイミングである内燃機関の制御装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関が車両に搭載されており、前記間欠運転制御が前記車両の速度が零になり、内燃機関から出力される動力として要求される動力である要求機関動力が零になったときに内燃機関の運転を停止し、前記車両の発進が要求され、要求機関動力が零よりも大きくなったときに内燃機関の運転を始動する制御を含む内燃機関の制御装置。
【請求項13】
内燃機関と電動機とを具備し、これら内燃機関および電動機から出力される動力のいずれか一方または両方を動力として出力する動力装置において用いられる請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置において、前記間欠運転制御が前記動力装置から出力される動力として要求される要求動力を電動機のみによって出力するときに内燃機関の運転を停止し、要求動力を電動機および内燃機関によって出力するとき或いは内燃機関のみによって出力するときに内燃機関の運転を始動する制御を含む内燃機関の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−32710(P2013−32710A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167998(P2011−167998)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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