説明

出力バッファ回路

【課題】ハイ・インピーダンスにする際に発生する電源ノイズを低減させる出力バッファ回路を提供する。
【解決手段】出力バッファ回路10は、データ信号DA及び制御信号DCに基づいて、PMOSトランジスタT1をオンからオフさせNMOSトランジスタT2をオフからオンさせて出力端子Poを第1状態に、PMOSトランジスタT1をオフからオンさせNMOSトランジスタT2をオンからオフさせて出力端子Poを第2状態に、又、両トランジスタT1,T2をオフさせて出力端子Poをハイ・インピーダンスとなる。そして、オフ時間制御回路部13によって、第1状態又は第2状態からハイ・インピーダンスにする制御信号が入力された時、オンからオフさせるためにPMOSトランジスタT1又はNMOSトランジスタT2のゲートに供給される信号の立ち上がり波形又は立ち下がり波形を緩やかにする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出力バッファ回路に係り、詳しくは3ステート型の出力バッファ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3ステート出力バッファ回路は、出力をハイ・インピーダンスにできることから、複数の半導体集積回路装置が互いに共用するデータバスに、多く採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一般に、この種の3ステート出力バッファ回路においては、データ信号を入力するデータ信号入力端子と、制御信号を入力する制御信号入力端子を備えているとともに、出力段にプルアップ用のPMOSトランジスタとプルダウン用のNMOSトランジスタを直列に接続した出力トランジスタ回路部を有し、そのPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの接続点に出力端子を備えている。
【0004】
そして、制御信号入力端子に、例えば、Lレベルの制御信号が入力されている時には、データ信号入力端子に入力されるデータ信号に、対応した出力信号が出力端子から出力される。例えば、Lレベルのデータ信号が入力された時には、Lレベルの出力信号が、Hレベルのデータ信号が入力された時には、Hレベルの出力信号が出力される。
【0005】
また、制御信号入力端子に、Hレベルの制御信号が入力されている時には、データ信号入力端子に入力されるデータ信号に関係なく、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタが共にオフ状態となりハイ・インピーダンスとなる。
【0006】
そして、3ステート出力バッファ回路では、出力端子からの出力がHレベルからLレベルに切り替わる時、及び、出力端子からの出力がLレベルからHレベルに切り替わる時、発生する貫通電流を抑制するために、出力トランジスタ回路を構成するPMOSトランジスタとNMOSトランジスタが同時にオン状態にさせないことで貫通電流が流れないようにしている。
【0007】
具体的には、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタのオン・オフを切り換える際には、オフするトランジスタのゲートの波形を速くし、オンするトランジスタのゲート波形を遅く動作させるようにしている。
【0008】
また、出力端子をハイ・インピーダンスにする際は、オンしているPMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタをオフして両トランジスタを共にオフ状態する必要がある。このとき、オフさせるPMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタのゲート波形を速く動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−332966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、出力端子をハイ・インピーダンスにする際、例えば、ハイ・インピーダンス前のオンしているPMOSトランジスタを介して電流が流れている最中に、そのオンしているPMOSトランジスタをオフさせる場合のPMOSトランジスタを介して流れる過渡電流dI/dt(Iは電流、tは時間)は、該トランジスタをオンさせた時のPMOSトランジスタを介して流れる過渡電流dI/dtより大きい。
【0011】
そのため、PMOSトランジスタのソースに接続された高電位電源線や、NMOSトランジスタのソースに接続された低電位電源線のインダクタンスを「L」とすると、これら電源線で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズが通常の場合より大きくなる。
【0012】
本出力バッファ回路は、ハイ・インピーダンスにする際に発生する電源ノイズを低減させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、出力バッファ回路であって、第1状態又は第2状態からハイ・インピーダンスにする制御信号が入力された時、オンからオフさせるためにトランジスタに供給される信号の立ち上がり波形又は立ち下がり波形を緩やかにするオフ時間制御回路部を設け、オフされるトランジスタのオフをゆっくり行わせ、オフの際のトランジスタに流れる過渡電流が小さくする。
【発明の効果】
【0014】
開示された出力バッファ回路は、ハイ・インピーダンスにする際に発生する電源ノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の出力バッファ回路の電気回路図である。
【図2】ハイ・インピーダンス時にPMOSトランジスタのゲートにかかる電圧波形図である。
【図3】ハイ・インピーダンス時にNMOSトランジスタのゲートにかかる電圧波形図である。
【図4】第2実施形態の出力バッファ回路の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1に従って説明する。
図1は、3ステート型の出力バッファ回路10の電気回路を示し、出力バッファ回路10は、出力トランジスタ回路部11、駆動回路部12、オフ時間制御回路部13を有している。
【0017】
出力トランジスタ回路部11は、PチャネルMOSトランジスタ(以下、PMOSトランジスタという)T1とNチャネルMOSトランジスタ(以下、NMOSトランジスタという)T2を含み、そのPMOSトランジスタT1とNMOSトランジスタT2とが直列に接続された直列回路が、高電位電源線L1と低電位電源線L2の間に接続されている。
【0018】
詳述すると、PMOSトランジスタT1のソースが高電位(Hレベル)電源線L1に接続され、NMOSトランジスタT2のソースが低電位(Lレベル)電源線L2に接続されている。又、PMOSトランジスタT1及びNMOSトランジスタT2の両ドレインが互いに接続され、その接続点(ノードN1)には出力端子Poが接続されている。
【0019】
PMOSトランジスタT1は、ゲートにHレベルの信号が入力されるとオフし、ゲートにLレベルの信号が入力されるとオンする。又、NMOSトランジスタT2は、ゲートにHレベルの信号が入力されるとオンし、ゲートにLレベルの信号が入力されるとオフする。
【0020】
そして、PMOSトランジスタT1がオフし、NMOSトランジスタT2がオンしている時、ノードN1(出力端子Po)がLレベル(第1状態)となり、反対に、PMOSトランジスタT1がオンし、NMOSトランジスタT2がオフしている時、ノードN1(出力端子Po)はHレベル(第2状態)となる。従って、PMOSトランジスタT1がプルアップ・トランジスタとなり、NMOSトランジスタT2がプルダウン・トランジスタとなる。
【0021】
又、PMOSトランジスタT1とNMOSトランジスタT2が共にオフしている時、ノードN1(出力端子Po)は、ハイ・インピーダンスとなる。
駆動回路部12は、出力トランジスタ回路部11を駆動する回路であって、第1インバータ回路21、第2インバータ回路22、ノア回路23、ナンド回路24、第1駆動用インバータ回路25、第2駆動用インバータ回路26を含む。
【0022】
第1インバータ回路21は、その入力端子がデータ信号入力端子Paに接続され、データ信号入力端子Paから入力されたデータ信号DAを反転させて反転データ信号BDAとして出力端子から出力する。データ信号入力端子Paから入力されるデータ信号DAは、図示しない外部回路から出力されてくるデータ信号であって、出力トランジスタ回路部11の出力端子Poを第1状態又は第2状態にして、該データ信号DAに対応した出力信号Doを出力端子Poから出力させる。
【0023】
因みに、本実施形態では、データ信号DAがHレベルの時、駆動回路部12は出力トランジスタ回路部11に対して、出力端子Poを第1状態にし、該出力端子PoからLレベルの出力信号Doを出力するようになっている。反対に、データ信号DAがLレベルの時、駆動回路部12は出力トランジスタ回路部11に対して、出力端子Poを第2状態にし、該出力端子PoからHレベルの出力信号Doを出力させるようになっている。
【0024】
第2インバータ回路22は、その入力端子が制御信号入力端子Pcに接続され、制御信号入力端子Pcから入力された制御信号DCを反転させて反転制御信号BDCとして出力端子から出力する。
【0025】
制御信号入力端子Pcから入力される制御信号DCは、図示しない外部回路から出力されてくる制御信号であって、出力トランジスタ回路部11の出力端子Poをハイ・インピーダンスさせる。
【0026】
因みに、本実施形態では、制御信号DCがLレベルの時(データ送信モード)、駆動回路部12は、出力トランジスタ回路部11に対して、データ信号DAに従った動作を行わせるようになっている。反対に、制御信号DCがHレベルの時(ハイ・インピーダンスモード)、駆動回路部12は、出力トランジスタ回路部11に対して、データ信号DAに関係なく、出力トランジスタ回路部11の出力端子Poをハイ・インピーダンスさせるようになっている。
【0027】
ノア回路23は、2入力端子を有するノアゲート回路であって、第1インバータ回路21からの反転データ信号BDAと、制御信号入力端子Pcからの制御信号DCを入力する。ノア回路23は、制御信号DCがLレベルの時(データ送信モード)、反転データ信号BDAを反転させて元のデータ信号DAにして第1駆動用インバータ回路25に出力する。反対に、ノア回路23は、制御信号DCがHレベルの時(ハイ・インピーダンスモード)、反転データ信号BDAに関係なく、Lレベルの第1オフモード信号MD1を第1駆動用インバータ回路25に出力するようになっている。
【0028】
第1駆動用インバータ回路25は、PMOSトランジスタTp1とNMOSトランジスタTn1を含むCMOSトランジスタよりなり、入力端子がノア回路23に接続され、出力端子が出力トランジスタ回路部11に設けたPMOSトランジスタT1のゲートに接続されている。従って、第1駆動用インバータ回路25は、データ送信モードの時に、ノア回路23からその入力端子にデータ信号DAが入力されると、該データ信号DAを反転させてPMOSトランジスタT1のゲートに出力する。
【0029】
反対に、第1駆動用インバータ回路25は、ハイ・インピーダンスモードの時に、ノア回路23からその入力端子にLレベルの第1オフモード信号MD1が入力されると、該Lレベルの第1オフモード信号MD1をHレベルに反転させてPMOSトランジスタT1のゲートに出力する。従って、PMOSトランジスタT1はオン状態にある時、オフされる。
【0030】
尚、本実施形態では、第1駆動用インバータ回路25を構成するCMOSトランジスタのPMOSトランジスタTp1とNチャネルMOSトランジスタTn1について、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1とNMOSトランジスタT2との間で生じる貫通電流を抑えるために、そのゲート長を相違させている。
【0031】
そして、PMOSトランジスタTp1のゲート長のほうを、NMOSトランジスタTn1のより大きくなるように設計されている。
これによって、データ送信モードにおいて、ノア回路23からHレベルからLレベルに反転したデータ信号DAが第1駆動用インバータ回路25に入力されると、第1駆動用インバータ回路25は、瞬時にLレベルからHレベルに反転した波形の反転データ信号BDAをPMOSトランジスタT1に出力して、瞬時にPMOSトランジスタT1をオンからオフさせる。
【0032】
反対に、データ送信モードにおいて、ノア回路23からLレベルからHレベルに反転したデータ信号DAが第1駆動用インバータ回路25に入力されると、第1駆動用インバータ回路25は、ゆっくりとHレベルからLレベルに反転した波形の反転データ信号BDAをPMOSトランジスタT1に出力して、ゆっくりとNMOSトランジスタT2をオフからオンさせる。
【0033】
ナンド回路24は、2入力端子を有するナンドゲート回路であって、第1インバータ回路21からの反転データ信号BDAと、第2インバータ回路22からの反転制御信号BDCを入力する。ナンド回路24は、制御信号DCがLレベルの時(データ送信モード)、反転データ信号BDAを反転させて元のデータ信号DAにして第2駆動用インバータ回路26に出力する。反対に、ナンド回路24は、制御信号DCがHレベルの時(ハイ・インピーダンスモード)、反転データ信号BDAに関係なく、Hレベルの第2オフモード信号MD2を第2駆動用インバータ回路26に出力するようになっている。
【0034】
第2駆動用インバータ回路26は、PMOSトランジスタTp2とNMOSトランジスタTn2を含むCMOSトランジスタよりなり、入力端子がナンド回路24に接続され、出力端子が出力トランジスタ回路部11に設けたNMOSトランジスタT2のゲートに接続されている。従って、第2駆動用インバータ回路26は、データ送信モードの時に、ナンド回路24からその入力端子にデータ信号DAが入力されると、該データ信号DAを反転させてNMOSトランジスタT2のゲートに出力する。
【0035】
反対に、第2駆動用インバータ回路26は、ハイ・インピーダンスモードの時に、ナンド回路24からその入力端子にHレベルの第2オフモード信号MD2が入力されると、該Hレベルの第2オフモード信号MD2をLレベルに反転させてNMOSトランジスタT2のゲートに出力する。従って、NMOSトランジスタT2はオン状態にある時、オフされる。
【0036】
尚、本実施形態では、第2駆動用インバータ回路26を構成するCMOSトランジスタのPMOSトランジスタTp2とNチャネルMOSトランジスタTn2について、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1とNMOSトランジスタT2との間で生じる貫通電流を抑えるために、そのゲート長を相違させている。
【0037】
そして、NMOSトランジスタTn2のゲート長のほうを、PMOSトランジスタTp2のより大きくなるように設計されている。
これによって、データ送信モードにおいて、ナンド回路24からHレベルからLレベルに反転したデータ信号DAが第2駆動用インバータ回路26に入力されると、第2駆動用インバータ回路26は、瞬時にLレベルからHレベルに反転した波形の反転データ信号BDAをNMOSトランジスタT2に出力して、瞬時にNMOSトランジスタT2をオフからオンさせる。
【0038】
反対に、データ送信モードにおいて、ナンド回路24からLレベルからHレベルに反転したデータ信号DAが第2駆動用インバータ回路26に入力されると、第2駆動用インバータ回路26は、ゆっくりとLレベルからHレベルに反転した波形の反転データ信号BDAをNMOSトランジスタT2に出力して、ゆっくりとNMOSトランジスタT2をオフからオンさせる。
【0039】
オフ時間制御回路部13は、出力トランジスタ回路部11が第1状態又は第2状態からハイ・インピーダンスに制御されるとき、オンからオフに切り換えられるPMOSトランジスタT1又はNMOSトランジスタT2のオフが緩やかにオフするように制御する回路である。オフ時間制御回路部13は、第1オフ時間制御部31と第2オフ時間制御部32を有している。
【0040】
第1オフ時間制御部31は、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1がオンからオフしてハイ・インピーダンスになる際(第2状態からハイ・インピーダンスになる際)に、同PMOSトランジスタT1のオフするタイミングを制御する。一方、第2オフ時間制御部32は、出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2がオンからオフしてハイ・インピーダンスになる際(第1状態からハイ・インピーダンスになる際)に、同NMOSトランジスタT2のオフするタイミングを制御する。
【0041】
第1オフ時間制御部31は、インバータ回路33と第1CMOSトランジスタ34、第1充放電コンデンサC1を含んでいる。インバータ回路33は、入力端子が制御信号入力端子Pcに接続され、出力端子が第1CMOSトランジスタ34の入力端子に接続されている。そして、インバータ回路33は、制御信号入力端子Pcから制御信号DCが入力される時、該制御信号DCを反転させて第1CMOSトランジスタ34に出力する。つまり、インバータ回路33は、Lレベルの制御信号DCの時(データ送信モードの時)には、Hレベルの反転制御信号BDCを、Hレベルの制御信号DCの時(ハイ・インピーダンスモードの時)には、Lレベルの反転制御信号BDCを、それぞれ第1CMOSトランジスタ34に出力する。
【0042】
第1CMOSトランジスタ34は、PチャネルMOSトランジスタよりなる第1トランジスタTr1とNチャネルMOSトランジスタよりなる第2トランジスタTr2を含む。第1トランジスタTr1のソースは、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1のゲートに接続され、第2トランジスタTr2のソースは、低電位電源線L2に接続されている。また、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2のゲートは、インバータ回路33の出力端子に接続されている。さらに、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2のドレインは、第1充放電コンデンサC1を介して低電位電源線L2に接続されている。
【0043】
従って、ハイ・インピーダンスモードの時に、Lレベルの反転制御信号BDCが第1CMOSトランジスタ34に入力されると、第1トランジスタTr1はオンし、第2トランジスタTr2はオフする。その結果、第1充放電コンデンサC1は、第1トランジスタTr1を介して第1駆動用インバータ回路25とPMOSトランジスタT1を結ぶ配線Laから電流が流れ込み充電される。反対に、データ送信モード時に、Hレベルの反転制御信号BDCが第1CMOSトランジスタ34に入力されると、第1トランジスタTr1はオフし、第2トランジスタTr2はオンする。その結果、第1充放電コンデンサC1は、第2トランジスタTr2を介して充電電荷が低電位電源線L2に放電される。
【0044】
そして、データ送信モードからハイ・インピーダンスモードに切り替わる時に、第1トランジスタTr1はオフからオンに、第2トランジスタTr2はオンからオフに切り替わる。この時、第1充放電コンデンサC1に対して充電が開始される。第1充放電コンデンサC1の充電電圧は、第1充放電コンデンサC1の容量と配線の抵抗値で決まる時定数によって緩やかに上昇することになる。
【0045】
つまり、データ送信モード時であって、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1がオン状態にある時(第2状態(出力端子PoがHレベル))、PMOSトランジスタT1のゲートには、Lレベルの反転データ信号BDAが第1駆動用インバータ回路25から入力されている。この状態では、PMOSトランジスタT1のゲートの電位はLレベルとなっている(低電位電源線L2の電位)。この状態から、ハイ・インピーダンスモードとなって(制御信号DCがLレベルからHレベルになると)、第1駆動用インバータ回路25からHレベルに反転された第1オフモード信号MD1が、PMOSトランジスタT1のゲートに出力される。
【0046】
一方、第1オフ時間制御部31では、第1トランジスタTr1はオンし、第2トランジスタTr2はオフして第1充放電コンデンサC1への充電が開始される。
従って、PMOSトランジスタT1のゲートにかかるゲート電圧の波形は、図2に実線で示すように、第1駆動用インバータ回路25から出力される第1オフモード信号MD1が急峻にHレベルに立ち上がった反転信号であっても、第1充放電コンデンサC1への充電により、図2に破線で示すように、緩やかに上昇していく。
【0047】
その結果、PMOSトランジスタT1のゲート電圧がPMOSトランジスタT1をオフさせるための閾値電圧Vth1に到達するまでの時間が長くなり、PMOSトランジスタT1は時間をかけてゆっくりとオフしていく。
【0048】
第2オフ時間制御部32は、第2CMOSトランジスタ35、第2充放電コンデンサC2を含んでいる。第2CMOSトランジスタ35は、PチャネルMOSトランジスタよりなる第3トランジスタTr3とNチャネルMOSトランジスタよりなる第4トランジスタTr4を含む。第3トランジスタTr3のソースは、高電位電源線L1に接続され、第4トランジスタTr4のソースは、出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2のゲートに接続されている。また、第3トランジスタTr3と第4トランジスタTr4のゲートは、制御信号入力端子Pcに接続されている。さらに、第3トランジスタTr3と第4トランジスタTr4のドレインは、第2充放電コンデンサC2を介して高電位電源線L1に接続されている。
【0049】
従って、ハイ・インピーダンスモードの時に、Hベルの制御信号DCが第2CMOSトランジスタ35に入力されると、第3トランジスタTr3はオフし、第4トランジスタTr4はオンする。その結果、第2充放電コンデンサC2は、第4トランジスタTr4を介して第2駆動用インバータ回路26とNMOSトランジスタT2を結ぶ配線Lbに電荷を放電する。反対に、データ送信モード時に、Lレベルの制御信号DCが第2CMOSトランジスタ35に入力されると、第3トランジスタTr3はオンし、第4トランジスタTr4はオンする。その結果、第2充放電コンデンサC2は、第3トランジスタTr3を介して充電電荷が充電される。
【0050】
そして、データ送信モードからハイ・インピーダンスモードに切り替わる時に、第3トランジスタTr3はオンからオフに、第4トランジスタTr4はオフからオンに切り替わる。この時、第2充放電コンデンサC2に対して充電が開始される。配線Lbの電圧(NMOSトランジスタT2のゲート電圧)は、第2充放電コンデンサC2の容量と配線の抵抗値で決まる時定数によって緩やかに上昇することになる。
【0051】
つまり、データ送信モード時であって、出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2がオン状態にある時(第1状態(出力端子PoがLレベル))、NMOSトランジスタT2のゲートには、Hレベルのデータ信号DAが第2駆動用インバータ回路26から入力されている。この状態では、NMOSトランジスタT2のゲートの電位はHレベルとなっている(高電位電源線L1の電位)。この状態から、ハイ・インピーダンスモードとなって(制御信号DCがLレベルからHレベルになると)、第2駆動用インバータ回路26からLレベルに反転された第2オフモード信号MD2が、NMOSトランジスタT2のゲートに出力される。
【0052】
一方、第2オフ時間制御部32では、第3トランジスタTr3はオフし、第4トランジスタTr4はオンして第2充放電コンデンサC2の放電が開始される。
従って、NMOSトランジスタT2のゲートにかかるゲート電圧の波形は、図3に実線で示すように、第2駆動用インバータ回路26から出力される第2オフモード信号MD2が急峻にLレベルに立ち上がった反転信号であっても、第2充放電コンデンサC2からの放電により、図3に破線で示すように、緩やかに下降していく。
【0053】
その結果、NMOSトランジスタT2のゲート電圧がNMOSトランジスタT2をオフさせるための閾値電圧Vth2に到達するまでの時間が長くなり、NMOSトランジスタT2は時間をかけてゆっくりとオフしていく。
【0054】
次に、上記のように構成した、出力バッファ回路10の動作を説明する。
(第2状態から第1状態)
いま、データ送信モード時であって、PMOSトランジスタT1がオンしNMOSトランジスタT2がオフして、出力トランジスタ回路部11が第2状態(出力端子PoがHレベル)である時、PMOSトランジスタT1のゲートには、Lレベルの反転データ信号BDAが第1駆動用インバータ回路25から入力されている。
【0055】
この状態から、データ信号DAがHレベルからLレベルになると、第1駆動用インバータ回路25からLレベルからHレベルに反転された反転データ信号BDAが、PMOSトランジスタT1のゲートに出力される。この時、第1オフ時間制御部31の第1CMOSトランジスタ34の第1トランジスタTr1はオフし、配線Laとは遮断されている。
【0056】
従って、PMOSトランジスタT1は、第1駆動用インバータ回路25からLレベルからHレベルに瞬時に反転された反転データ信号BDAによって、直ちにオンからオフする。
【0057】
一方、データ信号DAがHレベルからLレベルになると、第2駆動用インバータ回路26からLレベルからHレベルに反転された反転データ信号BDAが、NMOSトランジスタT2のゲートに出力される。この時、第2オフ時間制御部32の第2CMOSトランジスタ35の第4トランジスタTr4はオフし、配線Lbとは遮断されている。
【0058】
従って、NMOSトランジスタT2は、第2駆動用インバータ回路26からLレベルからHレベルに緩やかに反転した反転データ信号BDAによって、緩やかにオフからオンする。
【0059】
これによって、出力トランジスタ回路部11の出力端子Poは、第2状態から第1状態となる。また、この時、第2状態から第1状態に切り替わるとき、PMOSトランジスタT1は、直ちにオンからオフし、NMOSトランジスタT2は、緩やかにオフからオンするため、出力トランジスタ回路部11での貫通電流は低減される。
(第1状態から第2状態)
いま、データ送信モード時であって、PMOSトランジスタT1がオフしNMOSトランジスタT2がオンして、出力トランジスタ回路部11が第1状態(出力端子PoがLレベル)である時、PMOSトランジスタT1のゲートには、Hレベルの反転データ信号BDAが第1駆動用インバータ回路25から入力されている。
【0060】
この状態から、データ信号DAがLレベルからHレベルになると、第1駆動用インバータ回路25からHレベルからLレベルに反転された反転データ信号BDAが、PMOSトランジスタT1のゲートに出力される。この時、第1オフ時間制御部31の第1CMOSトランジスタ34の第1トランジスタTr1はオフし、配線Laとは遮断されている。
【0061】
従って、PMOSトランジスタT1は、第1駆動用インバータ回路25からHレベルからLレベルにゆっくりと反転した反転データ信号BDAによって、ゆっくりとオフからオンする。
【0062】
一方、データ信号DAがLレベルからHレベルになると、第2駆動用インバータ回路26からLレベルからHレベルに反転された反転データ信号BDAが、NMOSトランジスタT2のゲートに出力される。この時、第2オフ時間制御部32の第2CMOSトランジスタ35の第4トランジスタTr4はオフし、配線Lbとは遮断されている。
【0063】
従って、NMOSトランジスタT2は、第2駆動用インバータ回路26からHレベルからLレベルに瞬時に反転した反転データ信号BDAによって、瞬時にオンからオフする。
これによって、出力トランジスタ回路部11の出力端子Poは、第1状態から第2状態となる。また、この時、第1状態から第2状態に切り替わるとき、NMOSトランジスタT2は、直ちにオンからオフし、PMOSトランジスタT1は、緩やかにオフからオンするため、出力トランジスタ回路部11での貫通電流は低減される。
(第2状態からハイ・インピーダンス)
いま、データ送信モード時であって、PMOSトランジスタT1がオンしNMOSトランジスタT2がオフして、出力トランジスタ回路部11が第2状態(出力端子PoがHレベル)である時、PMOSトランジスタT1のゲートには、Lレベルの反転データ信号BDAが第1駆動用インバータ回路25から入力されている。
【0064】
一方、第1オフ時間制御部31では、第1CMOSトランジスタ34の第1トランジスタTr1はオフし、第2トランジスタTr2はオンして第1充放電コンデンサC1を放電させている。
【0065】
この時、第2オフ時間制御部32では、第2CMOSトランジスタ35の第3トランジスタTr3はオンし、第4トランジスタTr4はオフして第2充放電コンデンサC2を充電させている。
【0066】
この状態から、制御信号DCがLレベルからHレベルになって、ハイ・インピーダンスモードとなると、第1駆動用インバータ回路25からHレベルに反転された第1オフモード信号MD1が、PMOSトランジスタT1のゲートに出力される。この時、第1オフ時間制御部31の第1CMOSトランジスタ34の第1トランジスタTr1はオンし、第2トランジスタTr2はオフして第1充放電コンデンサC1に充電が開始される。
【0067】
従って、PMOSトランジスタT1のゲートにかかるゲート電圧の波形は、図2に破線で示すように、緩やかに上昇していく。その結果、PMOSトランジスタT1のゲート電圧がPMOSトランジスタT1をオフさせるための閾値電圧Vth1に到達するまでの時間が長くなり、PMOSトランジスタT1は時間をかけてゆっくりとオフさせて行き、出力バッファ回路10を、ハイ・インピーダンスにする。
【0068】
この時、このPMOSトランジスタT1のオフ時の過渡電流dI/dtは、該トランジスタT1のオフが緩やかに行われることからPMOSトランジスタT1を介して流れる過渡電流dI/dtは小さな値となる。そのため、PMOSトランジスタT1のソースに接続された高電位電源線L1で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズが小さく抑えられる。
(第1状態からハイ・インピーダンス)
次に、データ送信モード時であって、PMOSトランジスタT1がオフしNMOSトランジスタT2がオンして、出力トランジスタ回路部11が第1状態(出力端子PoがLレベル)である時、NMOSトランジスタT2のゲートには、Hレベルの反転データ信号BDAが第2駆動用インバータ回路26から入力されている。
【0069】
一方、第2オフ時間制御部32では、第2CMOSトランジスタ35の第3トランジスタTr3はオンし、第4トランジスタTr4はオフして第2充放電コンデンサC2を充電させている。
【0070】
この時、第1オフ時間制御部31では、第1CMOSトランジスタ34の第1トランジスタTr1はオフし、第2トランジスタTr2はオンして第1充放電コンデンサC1を放電させている。
【0071】
この状態から、制御信号DCがLレベルからHレベルになって、ハイ・インピーダンスモードとなると、第2駆動用インバータ回路26からLレベルに反転された第2オフモード信号MD2が、NMOSトランジスタT2のゲートに出力される。この時、第2オフ時間制御部32の第2CMOSトランジスタ35の第3トランジスタTr3はオフし、第4トランジスタTr4はオンして第2充放電コンデンサC2に放電が開始される。
【0072】
従って、NMOSトランジスタT2のゲートにかかるゲート電圧の波形は、図3に破線で示すように、緩やかに下降していく。その結果、NMOSトランジスタT2のゲート電圧がNMOSトランジスタT2をオフさせるための閾値電圧Vth2に到達するまでの時間が長くなり、NMOSトランジスタT2は時間をかけてゆっくりとオフさせて行き、出力バッファ回路10を、ハイ・インピーダンスする。
【0073】
この時、このNMOSトランジスタT2のオフ時の過渡電流dI/dtは、該トランジスタT2のオフが緩やかに行われることからNMOSトランジスタT2を介して流れる過渡電流dI/dtは小さな値となる。そのため、NMOSトランジスタT2のソースに接続された低電位電源線L2で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズが小さく抑えられる。
【0074】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、出力バッファ回路10が第2状態からハイ・インピーダンスになる時、オフする出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1のオフをゆっくり行わせ、その際のPMOSトランジスタT1に流れる過渡電流dI/dtを小さくなるようにした。その結果、PMOSトランジスタT1のソースに接続された高電位電源線L1で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズを小さく抑えることができる。
【0075】
(2)また、本実施形態によれば、本実施形態によれば、出力バッファ回路10が第1状態からハイ・インピーダンスになる時、オフする出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2のオフをゆっくり行わせ、その際のNMOSトランジスタT2に流れる過渡電流dI/dtを小さくなるようにした。その結果、NMOSトランジスタT2のソースに接続された低電位電源線L2で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズを小さく抑えることができる。
【0076】
(3)また、本実施形態によれば、第1駆動用インバータ回路25を構成するCMOSトランジスタのPMOSトランジスタTp1とNMOSトランジスタTn1、及び、第2駆動用インバータ回路26を構成するCMOSトランジスタのPMOSトランジスタTp2とNMOSトランジスタTn2について、それぞれのゲート長をかえた。そして、第2状態から第1状態に切り替わる時には、PMOSトランジスタT1を、直ちにオンからオフさせ、NMOSトランジスタT2を、緩やかにオフからオンさせるようにするとともに、第1状態から第2状態に切り替わる時には、NMOSトランジスタT2を、直ちにオンからオフさせ、PMOSトランジスタT1を、緩やかにオフからオンさせるようにした。従って、データ送信モード時の、出力トランジスタ回路部11での貫通電流は低減させることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図4に従って説明する。
【0077】
本実施形態の3ステート型の出力バッファ回路10は、第1実施形態の出力バッファ回路10に設けたオフ時間制御回路部13の構成が相違する。従って、説明の便宜上、異なるオフ時間制御回路部について詳細に説明し、その他の構成部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0078】
図4において、本実施形態の出力バッファ回路10に設けたオフ時間制御回路部50は、第1オフ時間制御部51と第2オフ時間制御部52を有している。第1オフ時間制御部51は、第1実施形態の第1オフ時間制御部31に設けたインバータ回路33に替えてナンド回路53を設けた点が相違する。また、第2オフ時間制御部52は、第1実施形態の第2オフ時間制御部32に設けたCMOSトランジスタ35の入力段にノア回路54を設けた点が相違する。
【0079】
第1オフ時間制御部51に設けたナンド回路53は、2入力端子を有するアンドゲート回路であって、一方の入力端子がデータ信号入力端子Paに接続され、他方の入力端子が制御信号入力端子Pcに接続されている。そして、ナンド回路53は、データ信号入力端子Paからデータ信号DAを入力し、制御信号入力端子Pcから制御信号DCを入力する。
【0080】
そして、制御信号入力端子PcがLレベルの時(データ送信モードの時)、ナンド回路53は、データ信号DAの内容がHレベル又はLレベルに関係なく、Hレベルの出力信号を次段のCMOSトランジスタ34に出力する。
【0081】
また、データ信号DAがHレベルの時、制御信号DCがLレベルからHレベルになった時、つまり、第2状態(出力端子PoがHレベル)の時に制御信号DCがLレベルからHレベルになった時、ナンド回路53は、Hレベルから立ち下がったLレベルの出力信号を次段のCMOSトランジスタ34に出力する。尚、データ信号DAがLレベルの時、制御信号DCがLレベルからHレベルになった時、つまり、第1状態(出力端子PoがLレベル)の時に制御信号DCがLレベルからHレベルになった時、ナンド回路53は、Hレベルの出力信号を次段のCMOSトランジスタ34に出力する。
【0082】
従って、第1オフ時間制御部51は、データ送信モード時であって、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1がオン状態にある時(第2状態(出力端子PoがHレベル))、ハイ・インピーダンスモードとなると(制御信号DCがLレベルからHレベルになると)、第1トランジスタTr1がオンし、第2トランジスタTr2がオフして第1充放電コンデンサC1への充電が開始される。
【0083】
これによって、PMOSトランジスタT1のゲートにかかるゲート電圧の波形は、図2に実線で示すように、第1駆動用インバータ回路25から出力される第1オフモード信号MD1が急峻にHレベルに立ち上がった反転信号であっても、第1充放電コンデンサC1への充電により、図2に破線で示すように、緩やかに上昇していく。
【0084】
その結果、PMOSトランジスタT1のゲート電圧がPMOSトランジスタT1をオフさせるための閾値電圧Vth1に到達するまでの時間が長くなり、PMOSトランジスタT1は時間をかけてゆっくりとオフしていくことになる。
【0085】
また、第1オフ時間制御部51は、データ送信モード時であって、出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2がオン状態にある時(第1状態(出力端子PoがLレベル))、ハイ・インピーダンスモードとなると(制御信号DCがLレベルからHレベルになると)、第1トランジスタTr1がオンのまま、第2トランジスタTr2がオンのままで第1充放電コンデンサC1は放電状態のままである。
【0086】
従って、第1状態(出力端子PoがLレベル)からハイ・インピーダンスモードとなるとき、第1充放電コンデンサC1は、配線Laと遮断されているため、PMOSトランジスタT1のゲート電圧を、一瞬、閾値電圧Vth1以下に下げることはない。その結果、NMOSトランジスタT2がオフする前に、PMOSトランジスタT1を、一瞬、オンさせて出力トランジスタ回路部11に貫通電流が流れるのを防止する。
【0087】
一方、第2オフ時間制御部52に設けたノア回路54は、2入力端子を有するノアゲート回路であって、一方の入力端子がデータ信号入力端子Paに接続され、他方の入力端子が第2インバータ回路22の出力端子に接続されている。そして、ノア回路54は、データ信号入力端子Paからデータ信号DAを入力し、第2インバータ回路22から反転制御信号BDCを入力する。
【0088】
そして、反転制御信号BDCがHレベルの時(データ送信モードの時)、ノア回路54は、データ信号DAの内容がHレベル又はLレベルに関係なく、Lレベルの出力信号を次段のCMOSトランジスタ35に出力する。
【0089】
また、データ信号DAがLレベルの時、反転制御信号BDCがHレベルからLレベルになった時、つまり、第1状態(出力端子PoがLレベル)の時に反転制御信号BDCがHレベルからLレベルになった時、ノア回路54は、Hレベルの出力信号を次段のCMOSトランジスタ35に出力する。
【0090】
尚、データ信号DAがHレベルの時、反転制御信号BDCがHレベルからLレベルになった時、つまり、第2状態(出力端子PoがHレベル)の時に反転制御信号BDCがHレベルからLレベルになった時、ノア回路54は、Lレベルの出力信号を次段のCMOSトランジスタ35に出力する。
【0091】
従って、第2オフ時間制御部52は、データ送信モード時であって、出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2がオン状態にある時(第1状態(出力端子PoがLレベル))、ハイ・インピーダンスモードとなると(制御信号DCがLレベルからHレベルになると)、第3トランジスタTr3はオフし、第4トランジスタTr4はオンして第2充放電コンデンサC2の充電が開始される。
【0092】
これによって、NMOSトランジスタT2のゲートにかかるゲート電圧の波形は、図3に実線で示すように、第2駆動用インバータ回路26から出力される第2オフモード信号MD2が急峻にLレベルに立ち上がった反転信号であっても、第2充放電コンデンサC2からの放電により、図3に破線で示すように、緩やかに下降していく。
【0093】
その結果、NMOSトランジスタT2のゲート電圧がNMOSトランジスタT2をオフさせるための閾値電圧Vth2に到達するまでの時間が長くなり、NMOSトランジスタT2は時間をかけてゆっくりとオフしていくことになる。
【0094】
また、第2オフ時間制御部52は、データ送信モード時であって、出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1がオン状態にある時(第2状態(出力端子PoがHレベル))、ハイ・インピーダンスモードとなると(制御信号DCがLレベルからHレベルになると)、第3トランジスタTr3はオンのままし、第4トランジスタTr4はオフのままで第2充放電コンデンサC2は放電されたままである。
【0095】
従って、第2状態(出力端子PoがHレベル)からハイ・インピーダンスモードとなるとき、第2充放電コンデンサC2は、配線Lbと遮断されているため、NMOSトランジスタT2のゲート電圧を、一瞬、閾値電圧Vth2以上に上げることはない。その結果、PMOSトランジスタT1がオフする前に、NMOSトランジスタT2を、一瞬、オンさせて出力トランジスタ回路部11に貫通電流が流れるのを防止する。
【0096】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、出力バッファ回路10が第2状態からハイ・インピーダンスになる時、第1オフ時間制御部51にて、オフする出力トランジスタ回路部11のPMOSトランジスタT1のオフをゆっくり行わせ、その際のPMOSトランジスタT1に流れる過渡電流dI/dtを小さくなるようにした。その結果、PMOSトランジスタT1のソースに接続された高電位電源線L1で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズを小さく抑えることができる。
【0097】
このとき、第2オフ時間制御部52は、オフ状態にあるNMOSトランジスタT2のゲート電圧を、一瞬、閾値電圧Vth2以上に上げることはない。従って、ゆっくりとオフするPMOSトランジスタT1がオフする前に、NMOSトランジスタT2が、一瞬、オンして出力トランジスタ回路部11に貫通電流が流れることはない。
【0098】
(2)また、本実施形態によれば、本実施形態によれば、出力バッファ回路10が第1状態からハイ・インピーダンスになる時、第2オフ時間制御部52にて、オフする出力トランジスタ回路部11のNMOSトランジスタT2のオフをゆっくり行わせ、その際のNMOSトランジスタT2に流れる過渡電流dI/dtを小さくなるようにした。その結果、NMOSトランジスタT2のソースに接続された低電位電源線L2で発生するL・dI/dtで変動する電源ノイズを小さく抑えることができる。
【0099】
このとき、第1オフ時間制御部51は、オフ状態にあるPMOSトランジスタT1のゲート電圧を、一瞬、閾値電圧Vth1以下に下げることはない。従って、ゆっくりとオフするNMOSトランジスタT2がオフする前に、PMOSトランジスタT1が、一瞬、オンして出力トランジスタ回路部11に貫通電流が流れることはない。
【0100】
尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
○上記第1及び第2実施形態では、出力バッファ回路10が第2状態からハイ・インピーダンスになる時、第1オフ時間制御部31,51にて、PMOSトランジスタT1のゲート電圧の波形の緩やかにして、PMOSトランジスタT1のオフをゆっくり行わせる場合、そのPMOSトランジスタT1のゲート電圧の波形の緩やかさについて特に限定しなかったが、第1充放電コンデンサC1の容量を適宜変更して、PMOSトランジスタT1をオフさせるタイミングを、この発明の趣旨に反しない範囲で適宜変更して実施もよい。
【0101】
もちろん、これらゲート電圧の波形の緩やかさは、ハイ・インピーダンスから第1状態又は第2状態に遷移した時、その新たなデータ信号DAに基づく動作に影響を与えない緩やかさであることはゆうまでもない。
【0102】
○上記第1又は第2実施形態では、出力バッファ回路10が第1状態からハイ・インピーダンスになる時、第2オフ時間制御部32,52にて、NMOSトランジスタT2のゲート電圧の波形を緩やかにして、NMOSトランジスタT2のオフをゆっくり行わせる場合、そのNMOSトランジスタT2のゲート電圧の波形の緩やかさについて特に限定しなかったが、第2充放電コンデンサC2の容量を適宜変更して、MOSトランジスタT2をオフさせるタイミングを、この発明の趣旨に反しない範囲で適宜変更して実施もよい。
【0103】
もちろん、これらゲート電圧の波形の緩やかさは、ハイ・インピーダンスから第1状態又は第2状態に遷移した時、その新たなデータ信号DAに基づく動作に影響を与えない緩やかさであることはゆうまでもない。
【符号の説明】
【0104】
10 出力バッファ回路
11 出力トランジスタ回路部
12 駆動回路部
13,50 オフ時間制御回路部
21 第1インバータ回路
22 第2インバータ回路
23 ノア回路
24 ナンド回路
25 第1駆動用インバータ回路
26 第2駆動用インバータ回路
31,51 第1オフ時間制御部
32,52 第2オフ時間制御部
34 第1CMOSトランジスタ(第1充放電回路部)
35 第2CMOSトランジスタ(第2充放電回路部)
53 ナンド回路(第1論理回路)
54 ノア回路(第2論理回路)
DA データ信号
DC 制御信号
Do 出力信号
C1 第1充放電コンデンサ
C2 第2充放電コンデンサ
L1 高電位電源線
L2 低電位電源線
Pa データ信号入力端子
Pc 制御信号入力端子
Po 出力端子
T1 PチャネルMOSトランジスタ(PMOSトランジスタ)
T2 NチャネルMOSトランジスタ(NMOSトランジスタ)
Tr1 第1トランジスタ
Tr2 第21トランジスタ
Tr3 第3トランジスタ
Tr4 第4トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルアップ・トランジスタとプルダウン・トランジスタの直列回路を高電位電源線と低電位電源線との間に接続し、両トランジスタの接続点に出力端子を接続した出力トランジスタ回路部と、
前記出力端子を第1状態又は第2状態のいずれかの状態にするデータ信号を入力するデータ信号入力端子と、
前記データ信号に関係なく、前記出力端子をハイ・インピーダンスにするとともに、前記データ信号に基づいて前記出力端子を第1状態又は第2状態にする制御信号を入力する制御信号入力端子と、
前記データ信号及び制御信号に基づいて、前記プルアップ・トランジスタをオンからオフさせ前記プルダウン・トランジスタをオフからオンさせて前記出力端子を第1状態にするとともに、前記プルアップ・トランジスタをオフからオンさせ前記プルダウン・トランジスタをオンからオフさせて前記出力端子を第2状態にし、又、前記両トランジスタをオフさせて前記出力端子をハイ・インピーダンスにする駆動回路部と
を備えた出力バッファ回路であって、
前記第1状態又は前記第2状態から前記ハイ・インピーダンスにする前記制御信号が入力された時、オンからオフさせるために前記トランジスタに供給される信号の立ち上がり波形又は立ち下がり波形を緩やかにするオフ時間制御回路部を設けたことを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項2】
請求項1に記載の出力バッファにおいて、
前記プルアップ・トランジスタは、PチャネルMOSトランジスタであり、前記プルダウン・トランジスタは、NチャネルMOSトランジスタであり、
前記第1状態からハイ・インピーダンスになる時、オン状態にある前記PチャネルMOSトランジスタが前記オフ時間制御回路部にてオフされ、前記第2状態からハイ・インピーダンスになる時、オン状態にある前記NチャネルMOSトランジスタが前記オフ時間制御回路部にてオフされることを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項3】
請求項2に記載の出力バッファにおいて、
前記オフ時間制御回路部は、
第1充放電コンデンサを備えた第1充放電回路部を有し、前記第1充放電コンデンサにて前記NチャネルMOSトランジスタのゲートに供給されるゲート信号の立ち下がり波形を緩やかにする第1オフ時間制御部と、
第2充放電コンデンサを備えた第2充放電回路部を有し、前記第2充放電コンデンサにて前記PチャネルMOSトランジスタのゲートに供給されるゲート信号の立ち上がり波形を緩やかにする第2オフ時間制御部と
を有していることを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項4】
請求項3に記載の出力バッファにおいて、
前記第1オフ時間制御部及び前記第2オフ時間制御部はそれぞれ前記制御信号を入力し、
前記第1状態又は前記第2状態から前記ハイ・インピーダンスになる時、前記第1オフ時間制御部は前記第1充放電コンデンサを前記NチャネルMOSトランジスタのゲートに接続させるとともに、前記第2オフ時間制御部は前記第2充放電コンデンサを前記PチャネルMOSトランジスタのゲートに接続させて、それぞれ前記ゲート信号の立ち下がり波形を又は立ち上がり波形を緩やかな波形することを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項5】
請求項3に記載の出力バッファにおいて、
前記第1オフ時間制御部は、前記データ信号と前記制御信号とを入力する第1論理回路を有し、前記第1状態からハイ・インピーダンスになる時、前記第1論理回路にて前記第1充放電コンデンサを前記オン状態にあるPチャネルMOSトランジスタのゲートに接続させてゲート信号の立ち上がり波形を緩やかな波形し、
前記第2オフ時間制御部は、前記データ信号と前記制御信号とを入力する第2論理回路を有し、前記第2状態からハイ・インピーダンスになる時、前記第2論理回路にて前記第2充放電コンデンサを前記オン状態にあるNチャネルMOSトランジスタのゲートに接続させてゲート信号の立ち下がり波形を緩やかな波形することを特徴とする出力バッファ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−19119(P2011−19119A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162889(P2009−162889)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】