説明

制御装置及び車両

【課題】 車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる制御装置及び車両を提供すること。
【解決手段】 サブフレーム4を車体フレームの後方側に変位させ、重心Gを車両1の後方側に移動させることで、静止状態における前輪2FL,2FR及び後輪2RL,2RRの接地荷重Wfs,Wrsの値を増加及び減少させることができるので、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrは、前輪2FL,2FR側で減少すると共に、後輪2RL,2RR側で増加する。これにより、制動減速時において、前輪2FL、2FRの路面Rに対する摩擦力が飽和して摩擦限界に達することを回避することができるので、前後輪2FL〜2RRの摩擦力の合計として得られる全輪摩擦力を上限値に維持して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重との割合を制御する制御装置に関し、特に、車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる制御装置及び車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の制動減速時においては、車体に後方加速度が作用するため、車体前部が沈み込むと共に車体後部が持ち上がる。一方、発進加速時においては、車体に前方加速度が作用するため、車体後部が沈み込むと共に車体前部が浮き上がる。このような車両の姿勢変化は、前輪又は後輪の一方における接地荷重を増加させると共に他方における接地荷重を減少させる。
【0003】
図11は、制動減速時における車輪と路面との間の摩擦力の変化を模式的に示した模式図である。制動減速時においては、図11に示すように、車体が沈み込む側の車輪(前輪)において、接地荷重が増加するため、摩擦力が限界に達することがある。この場合には、前輪及び後輪の摩擦力の合計である全輪摩擦力が減少することになり、制動力の低下を招く。
【0004】
また、発進加速時においては、前輪を駆動輪とするFF車の場合、車体前部が浮き上がり、駆動力を発生すべき前輪の接地荷重が減少するため、路面との間の摩擦力が低下して、十分な駆動力を発揮し得なくなる。
【0005】
そこで、特開2005−22534号公報には、制動減速時の駆動力により回生(モータを発電してバッテリーへの充電)を行うハイブリット車両において、サスペンション装置の車高制御により車高を調整する技術が開示されている。
【0006】
この技術によれば、回生のための動力を生成するための車輪側の車高が反対の車輪側の車高よりも低くなるように車高制御を行うことで、車輪と路面との間のグリップ状態を改善して、回生効率の向上を図っている(特許文献1)。
【0007】
また、他にも、車両の制動減速時などに、サスペンション装置の車高制御により車高を調整して、車両の姿勢を制御する技術が種々開示されている(特許文献2〜6)。
【特許文献1】特開2005−22534号公報
【特許文献2】特開平3−28012号公報
【特許文献3】特開平2−162108号公報
【特許文献4】特開昭64−52518号公報
【特許文献5】特開昭61−64512号公報
【特許文献6】特開昭61−57414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術のように、サスペンション装置の車高制御により車両の姿勢を制御するだけでは、車体に作用する加速度に十分に対抗することができないため、車輪の接地荷重をある程度は増加減少させることができるが、その増加減少量は小さな値にとどまるものであった。
【0009】
そのため、急制動減速や急発進加速のように大きな加速度が車体に作用した場合には、上述したように、車体が沈み込む側の車輪で摩擦力が限界に達し、十分な制動力を発揮し得なくなる一方、車体が浮き上がる側の車輪で摩擦力が減少し、十分な駆動力を発揮し得なくなるという問題点があった。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる制御装置及び車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1記載の制御装置は、車体に対して前後方向に変位可能に構成された構成物と、前記構成物が変位するように駆動力を付与する第1駆動手段とを備える車両に対し、前記第1駆動手段を駆動させて、前記車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重との割合を制御するものであり、前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記構成物の前記車体に対する相対位置を算出する第1算出手段と、前記構成物の前記車体に対する相対位置が前記第1算出手段により算出された前記相対位置となるように、前記第1駆動手段を作動する第1作動手段とを備えている。
【0012】
請求項2記載の制御装置は、請求項1記載の制御装置において、前記車両は、前記前輪又は後輪の少なくとも一方を前記車体の前後方向に変位可能に支持する懸架手段と、前記懸架手段に駆動力を付与して前記前輪と前記後輪との間の軸間距離を変更する第2駆動手段とを備え、前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記前輪と後輪との間の軸間距離を算出する第2算出手段と、前記前輪と後輪との間の軸間距離が前記第2算出手段により算出された軸間距離となるように、前記第2駆動手段を作動する第2作動手段とを備えている。
【0013】
請求項3記載の制御装置は、前輪又は後輪の少なくとも一方を車体の前後方向に変位可能に支持する懸架手段と、前記懸架手段に駆動力を付与して前記前輪と後輪との間の軸間距離を変更する第2駆動手段とを備える車両に対し、前記第2駆動手段を駆動させて、前記車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重との割合を制御するものであり、前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記前輪と後輪との間の軸間距離を算出する第2算出手段と、前記前輪と後輪との間の軸間距離が前記第2算出手段により算出された前記軸間距離となるように、前記第2駆動手段を作動する第2作動手段とを備えている。
【0014】
請求項4記載の制御装置は、請求項1から3のいずれかに記載の制御装置において、前記車両は、前記前輪及び後輪と前記車体との間に設けられる支持手段と、前記支持手段に駆動力を付与して前記車体の車高を変更する第3駆動手段とを備え、前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記車体の車高を算出する第3算出手段と、前記車体の車高が前記第3算出手段により算出された前記車高となるように、記第3駆動手段を作動する第3作動手段とを備えている。
【0015】
請求項5記載の制御装置は、請求項1から4のいずれかに記載の制御装置において、前記第1算出手段、第2算出手段又は第3算出手段は、前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となり、かつ、前記車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重とが同等の値となるように、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高を算出する均等値算出手段を備え、前記第1作動手段、第2作動手段又は第3作動手段は、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高が前記均等化手段により算出された前記相対位置、軸間距離又は車高となるように、前記第1駆動手段、第2駆動手段又は第3駆動手段を作動する。
【0016】
請求項6記載の制御装置は、請求項1から5のいずれかに記載の制御装置において、前記車両を制動又は加速させるために運転者が操作する操作部材の操作状態を検出する操作状態検出手段と、前記操作状態検出手段による検出結果に基づいて、前記操作部材の操作状態が所定の条件を満たしているか否かを判断する操作状態判断手段とを備え、前記第1算出手段、第2算出手段又は第3算出手段は、前前記操作状態判断手段が所定の条件を満たしていると判断した場合に、前記操作部材の操作による前記前輪及び後輪の接地荷重の変化とは反対方向に変化させ、かつ、前記反対方向の変化が最大となるように、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高を算出する最大値算出手段を備え、前記第1作動手段、第2作動手段又は第3作動手段は、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高が前記最大値算出手段により算出された前記相対位置、軸間距離又は車高となるように、前記第1駆動手段、前記第2駆動手段又は第3駆動手段を作動させる。
【0017】
請求項7記載の車両は、請求項1から6のいずれかに記載の制御装置を備えている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の制御装置によれば、第1駆動手段を作動させ、構成物に駆動力を付与することで、かかる構成物を車体の前方向又は後方向(例えば、制動減速時であれば、車体の後方向)へ変位させることができる。
【0019】
これにより、従来の車高制御により車両の姿勢を制御する場合と比較して、車両全体としての重心位置をより大きく変化させることができるので、車体に作用する加速度に十分に対抗して、前輪又は後輪に作用する接地荷重を必要なだけ確実に増加減少させることができるという効果がある。その結果、前輪の接地荷重と後輪の接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができるという効果がある。
【0020】
更に、本発明の制御装置によれば、第1算出手段が、構成物の車体に対する相対位置を、前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように算出すると共に、その第1算出手段により算出された相対位置まで構成物が変位するように、第1駆動手段を第1作動手段により作動することができる。
【0021】
これにより、一方の車輪(例えば、制動減速時であれば、前輪)の路面に対する摩擦力が飽和して摩擦限界に達することを未然に回避することができるので、前輪及び後輪の摩擦力の合計として得られる全輪摩擦力を上限値に維持して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができるという効果がある。
【0022】
請求項2記載の制御装置によれば、請求項1記載の制御装置の奏する効果に加え、第2駆動手段を作動させ、懸架手段に駆動力を付与することで、前輪又は後輪の少なくとも一方又は両方を車体の前後方向に変位させ、前輪と後輪との間の軸間距離を変更(延長)することができ、これにより、車体への加速度の作用に伴って発生する荷重の移動量を減少させることができるという効果がある。
【0023】
その結果、かかる前輪及び後輪の軸間距離を変更することによる効果が、上述した構成物の車体に対する相対位置を変更する効果に更に加わることで、車体に作用する加速度に対抗する能力を相乗的に向上させ、前輪又は後輪に作用する接地荷重をより確実に増加減少させることができるという効果がある。その結果、前輪の接地荷重と後輪の接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
【0024】
請求項3記載の制御装置によれば、第2駆動手段を作動させ、懸架手段に駆動力を付与することで、前輪又は後輪の少なくとも一方を車体の前後方向に変位させ、前輪と後輪との間の軸間距離を変更(延長)することができる。
【0025】
これにより、従来の車高制御により車両の姿勢を制御する場合と比較して、車体への加速度の作用に伴って発生する荷重の移動量を大幅に減少させることができるので、車体に作用する加速度に十分に対抗して、前輪又は後輪に作用する接地荷重を必要なだけ確実に増加減少させることができるという効果がある。その結果、前輪の接地荷重と後輪の接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができるという効果がある。
【0026】
更に、本発明の制御装置によれば、第2算出手段が、前輪と後輪との間の軸間距離を、前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように算出すると共に、その第2算出手段により算出された軸間距離まで前輪又は後輪の少なくとも一方が変位するように、第2駆動手段を第2作動手段により作動することができる。
【0027】
これにより、一方の車輪(例えば、制動減速時であれば、前輪)の路面に対する摩擦力が飽和して摩擦限界に達することを未然に回避することができるので、前輪及び後輪の摩擦力の合計として得られる全輪摩擦力を上限値に維持して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができるという効果がある。
【0028】
請求項4記載の制御装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の制御装置の奏する効果に加え、第3駆動手段を作動させ、支持手段に駆動力を付与することで、車体の車高を変更させることができ、これにより、車体への加速度の作用に伴って発生する荷重の移動量を減少させることができるという効果がある。
【0029】
その結果、かかる車体の車高を変更することによる効果が、上述した構成物の車体に対する相対位置を変更する効果と前輪及び後輪の軸間距離を変更することによる効果とに更に加わることで、車体に作用する加速度に対抗する能力を相乗的に向上させ、前輪又は後輪に作用する接地荷重をより確実に増加減少させることができるという効果がある。その結果、前輪の接地荷重と後輪の接地荷重とを所望の割合に変更して、制動性能及び加速性能のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
【0030】
請求項5記載の制御装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の制御装置の奏する効果に加え、第1算出手段、第2算出手段又は第3算出手段が均等値算出手段を備え、その均等値算出手段による算出結果に基づいて、第1駆動手段、第2駆動手段又は第3駆動手段を第1作動手段、第2作動手段又は第3作動手段により作動させることにより、車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重とを同等の値とすることができる。
【0031】
よって、車輪の摩耗が前輪又は後輪のいずれか一方に偏ることを抑制して、前輪と後輪との摩耗を均等化させることができるという効果があり、その結果、車輪全体としての寿命の向上を図ることができるという効果がある。
【0032】
請求項6記載の制御装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の制御装置の奏する効果に加え、操作部材が所定の条件で操作された場合には、見込み制御的に、前輪及び後輪に作用する接地荷重を変更させるように構成したので、急制動時等であっても、応答遅れを生じさせることなく、前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が摩擦力限界値を超えないようにすることができるという効果がある。更に、操作部材の操作に起因して生じようとする接地荷重の変化とは反対方向の変化が最大となるように予め制御しておくので、操作部材の操作に起因して、その後、車両に大きな加速度が発生しても、前輪及び後輪に作用する接地荷重の割合を所望の範囲内で維持して、前記摩擦力が摩擦力限界値を超えることを確実に回避することができるという効果がある。
【0033】
即ち、請求項6記載の制御装置によれば、最大値算出手段は、操作部材(例えば、ブレーキペダル)の操作状態が所定の条件を満たした場合(例えば、ブレーキペダルの踏み込み量が基準値以上の踏み込み量に達した場合など)、その操作部材の操作に起因して生じようとする前輪及び後輪の接地荷重の変化(例えば、前進中の制動減速であれば前輪の接地荷重が増加し後輪の接地荷重が減少する方向の変化)とは反対方向に変化(即ち、前輪の接地荷重が減少し後輪の接地荷重が増加する方向の変化)を生じさせ、かつ、その反対方向の変化が最大となるように、構成物の車体に対する相対位置(即ち、構成物が可動範囲内で車体に対して最も後方となる位置)、前輪と後輪との間の軸間距離(即ち、前輪と後輪とが最も離間する最大値)又は車体の車高(即ち、車体が路面に最も近接する最小値)を算出する。
【0034】
そして、第1作動手段、第2作動手段又は第3作動手段は、最大値算出手段による算出結果に基づいて、第1駆動手段、第2駆動手段又は第3駆動手段を作動させる(即ち、構成物が可動範囲内で車体に対して最も後方となる位置まで変位するように構成物を駆動する、前輪又は後輪の一方又は両方が互いに最も離間する位置まで変位するように支持装置を駆動する、車体が路面に対して最も近接する位置まで変位するように懸架装置を駆動する)。
【0035】
なお、操作部材をアクセルペダルとし、その操作状態が所定の条件を満たした場合(即ち、急発進加速を支持する操作がなされた場合)も、上記と同様の制御を行うことができる。操作部材は、ブレーキペダル又はアクセルペダルの一方に限られるものではなく、これら両ペダルを含む趣旨である。
【0036】
これにより、急制動減速や急発進加速の最においても、上述したように、前輪及び後輪の路面に対する摩擦力を確保して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる。
【0037】
請求項7記載の車両によれば、請求項1から6のいずれかに記載の制御装置を備えている車両と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における制御装置100が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印FWDは、車両1の前進方向を示す。
【0039】
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFに複数(本実施の形態では4輪)の車輪2を支持するサスペンションユニット3と、車体フレームBFに支持されると共に乗員の居住部となるサブフレーム4とを主に備え、例えば、制動減速時や発進加速時には、前輪2FL,2FRに作用する接地荷重と後輪2RL,2RRに作用する接地荷重との割合を制御することで、車輪2の路面R(図5参照)に対する摩擦力を確保して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができるように構成されている。
【0040】
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の前進方向(矢印FWD方向)前方側に位置する左右の前輪2FL,2FRと、前進方向(矢印FWD方向)後方側に位置する左右の後輪2RL,2RRとの4輪を備え、これら前後輪2FL〜2RRは、ゴム材料から主に構成されるタイヤと、そのタイヤを保持すると共にスチール、アルミニウム合金或いはマグネシウム合金などの金属材料から構成されるホイールとを備える。
【0041】
なお、前輪2FL,2FRは、図示しないステアリング装置を介して、ハンドル42に連結されており、ハンドル42の操作に応じて左右に操舵される。また、後輪2RL,2RRは、図示しないミッション装置を介して、エンジンEGに連結されており、エンジンEGから伝達された駆動力により回転駆動される。
【0042】
サスペンションユニット3は、各車輪2を車体フレームBFに対して懸架支持する可動装置であり、図1に示すように、車体フレームBFに配設される本体部31と、車輪2の車軸を支持するナックル(図示せず)と、ナックルと本体部31とを互いに接続するアッパーアーム32及びロアアーム33と、ロアアーム33と本体部31との間に取付けられるダンパ装置34と、本体部31に駆動力を付与するサスペンションユニット用アクチュエータ装置35と、ダンパ装置34に駆動力を付与するダンパ用アクチュエータ装置36とを主に備えて構成されている。
【0043】
本体部31は、図1に示すように、車体フレームBFの前後方向(図1上下方向)に延設される案内レール51に沿って変位可能に構成されており、制動減速時や発進加速時などには、サスペンションユニット用アクチュエータ装置35が駆動され、その駆動力が伝達機構部(図示せず)を介して本体部31に伝達されることで、本体部31が車輪2と共に車体フレームBFの前後方向に変位する。
【0044】
これにより、前後輪2FL〜2RRの軸間距離(ホイールベース)が変更(延長短縮)され、前輪2FL,2FRの接地荷重と後輪2rl,2RRの接地荷重との割合(接地荷重比)が変更される。
【0045】
なお、本実施の形態では、サスペンション用アクチュエータ装置35が電動モータで構成されると共に、伝達機構部がねじ機構で構成される。電動モータが回転されると、その回転運動が伝達機構部により直線運動に変換され、本体部31に伝達される。その結果、本体部31が案内レール51に沿いつつ車体フレームBFの前後方向に直線運動(前進又は後退)する。
【0046】
ダンパ装置34は、封じ込めた空気の反発力をばねとして用いるいわゆるエアサス(空気スプリング装置)として構成されており、制動減速時や発進加速時などには、ダンパ用アクチュエータ装置36が駆動され、ダンパ装置34のチャンバー室内の空気圧を制御することで、ダンパ装置34の有効長が伸縮される。
【0047】
これにより、車両1の車高が変更(車体フレームBFが路面R(図5参照)に対して上昇降下)され、前輪2FL,2FRの接地荷重と後輪2rl,2RRの接地荷重との割合(接地荷重比)が変更される。なお、本実施の形態では、ダンパ用アクチュエータ装置36が空気ポンプ(コンプレッサー)で構成される。
【0048】
サブフレーム4は、上述したように、車体フレームBFに支持されると共に乗員の居住部を形成するための部位であり、図1に示すように、乗員が着座するためのシート41と、乗員(運転者)が操作するハンドル42、ブレーキペダル43及びアクセルペダル44と、サブフレーム4に駆動力を付与するサブフレーム用アクチュエータ装置45とを主に備えて構成されている。
【0049】
サブフレーム4は、図1に示すように、車体フレームBFの前後方向(図1上下方向)に延設される案内レール52に沿って変位可能に構成されており、制動減速時や発進加速時などには、サブフレーム用アクチュエータ装置45が駆動され、その駆動力が伝達機構部(図示せず)を介してサブフレーム4に伝達されることで、サブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置が前後方向に変更される。その結果、前輪2FL,2FRの接地荷重と後輪2rl,2RRの接地荷重との割合(接地荷重比)が変更される。
【0050】
なお、本実施の形態では、サブフレーム用アクチュエータ装置45が電動モータで構成されると共に、伝達機構部がねじ機構で構成される。電動モータが回転されると、その回転運動が伝達機構部により直線運動に変換され、サブフレーム4に伝達される。その結果、サブフレーム4が案内レール52に沿いつつ車体フレームBFの前後方向に直線運動(前進又は後退)する。
【0051】
制御装置100は、上述のように構成された車両1の各部を制御するための制御装置であり、例えば、サブフレーム用アクチュエータ装置45を作動させ、サブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置を変更することで、前輪2FL,2FRに作用する接地荷重と後輪2RL,2RRに作用する接地荷重との割合を制御するための接地荷重制御処理(図3参照)を行う。ここで、図2を参照して、制御装置100の詳細構成について説明する。
【0052】
図2は、制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。制御装置100は、図2に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、サスペンションユニット用アクチュエータ装置35等の複数の装置が接続されている。
【0053】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図3及び図4に図示される各処理のフローチャート)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0054】
なお、ROM72には、停止状態における前後輪2FL〜2RRの接地荷重Wfs,Wrs(図5参照)が予め記憶されており、かかる接地荷重Wfs,Wrsの値は、移動制御処理(S4)においてROM72から読み出されて、サブフレームの目標位置の算出に使用される(図4参照)。
【0055】
サスペンションユニット用アクチュエータ装置35は、上述したように、サスペンションユニット3の本体部31を駆動するための装置(電動モータ)であり、各本体部31を駆動する4個のFL〜RRアクチュエータ35FL〜35RRと、それら各アクチュエータ35FL〜35RRをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを備えている。
【0056】
ダンパ用アクチュエータ装置36は、上述したように、サスペンションユニット3のダンパ装置34を駆動するための装置(空気ポンプ)であり、各ダンパ装置34の空気圧を制御する4個のFL〜RRアクチュエータ36FL〜36RRと、それら各アクチュエータ36FL〜36RRをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを備えている。
【0057】
サブフレーム用アクチュエータ装置45は、上述したように、サブフレーム4を駆動するための装置(電動モータ)であり、電動モータをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)を備えている。
【0058】
なお、サスペンション用アクチュエータ装置35及びサブフレーム用アクチュエータ装置45は、各本体部31及びサブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置を検出するためのセンサ装置(図示せず)を備える。同様に、ダンパ用アクチュエータ装置36は、各ダンパ装置34の有効長を検出するためのセンサ装置(図示せず)を備える。
【0059】
加速度センサ装置53は、車両1に作用する加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後方向及び左右方向加速度センサ53a,53bと、それら各加速度センサ53a,53bの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
【0060】
前後方向加速度センサ53aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1上下方向)の加速度を検出するセンサであり、左右方向加速度センサ53bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1左右方向)の加速度を検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ53a,53bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
【0061】
接地荷重センサ装置54は、各車輪2と路面R(図5参照)との間に発生する接地荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の接地荷重をそれぞれ検出するFL〜RR荷重センサ54FL〜54RRと、それら各荷重センサ54FL〜54RRの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
【0062】
なお、本実施の形態では、各荷重センサ54FL〜54RRがピエゾ抵抗型の3軸荷重センサとして構成されている。これら各荷重センサ54FL〜54RRは、各車輪2のサスペンション軸(図示せず)上に配設され、上述した接地荷重を車両1の前後方向、左右方向および垂直方向で検出する。
【0063】
図2に示す他の入出力装置55としては、例えば、ハンドル42、ブレーキペダル43及びアクセルペダル44(いずれも図1参照)の操作状態(回転角や踏み込み量、操作速度など)を検出するための操作状態検出センサ装置(図示せず)が例示される。例えば、ブレーキペダル43が操作された場合には、その操作状態量が操作状態検出センサ装置により検出され、CPU71に出力される。
【0064】
次いで、図3から図6を参照して、制御装置100で実行される処理を説明する。図3は、接地荷重制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理であり、前輪2FL,2FRに作用する接地荷重と後輪2RL,2RRに作用する接地荷重とが所定範囲内の値(例えば、同等(接地荷重比が50:50)の値)となるように制御することで、制動性能や発進性能の向上を図る。
【0065】
CPU71は、接地荷重制御処理に関し、まず、車両1が走行中であるか否かを判断する(S1)。その結果、車両1が走行中でないと判断される場合には(S1:No)、車両1が停車中であり、前輪2FL、2FRの接地荷重と後輪2RL,2RRの接地荷重との割合を制御する必要がないので、この接地荷重制御処理を終了する。
【0066】
一方、S1の処理において、車両1が走行中であると判断される場合には(S1:Yes)、次いで、前輪2FL、2FRの接地荷重と後輪2RL,2RRの接地荷重とをそれぞれ検出し(S2)、接地荷重比が50:50であるか否かを判断する(S3)。なお、前後輪2FL〜2RRの接地荷重は、上述したように、接地荷重センサ装置54(図2参照)により検出する。
【0067】
S3の処理において、接地荷重比が50:50であると判断される場合には(S3:Yes)、既に接地荷重比が目標値に到達しており、接地荷重比を制御する必要がないので、この接地荷重制御処理を終了する。
【0068】
一方、S3の処理において、接地荷重比が未だ50:50に到達していないと判断される場合には(S3:No)、接地荷重比が50:50となるように制御するべく、S4の処理へ移行して、移動制御処理を実行した後、この接地荷重制御処理を終了する。ここで、図4を参照して、移動制御処理について説明する。
【0069】
図4は、移動制御処理を示すフローチャートである。なお、この移動制御処理(S4)では、サブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置を変更することにより、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を目標値(50:50)とする制御が行われる。
【0070】
CPU71は、移動制御処理(S4)に関し、まず、車両1に作用する加速度を検出すると共に(S11)、サブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置を検出した後(S12)、S13の処理へ移行する。なお、車両1に作用する加速度は、上述したように、前後方向加速度センサ53a(図2参照)により検出する。
【0071】
S13の処理では、S11及びS12の各処理において検出した検出結果に基づいて、サブフレーム4の目標位置を算出する(S13)。ここで、図5及び図6を参照して、サブフレーム4の目標位置の算出方法について説明する。
【0072】
図5は、車両1の側面視を模式的に図示した側面図であり、図6は、制動減速時における車輪2路面Rとの間の摩擦力の変化を模式的に示した模式図である。
【0073】
なお、図5中の矢印FWDは、車両1の前進方向を示し、矢印αは制動減速時に車両1に作用する後方加速度を示している。また、図6では、移動制御処理(S4)を実行する前の状態が2点鎖線で、実行した後の状態が実線で、それぞれ図示されている。
【0074】
車両1は、図5に示すように、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRとの間の軸間距離(ホイールベース)がLとされている。また、車両1の重心Gは、路面Rからhの高さにある。なお、前輪2FL,2FRの軸と重心Gとの間の距離はaであり、重心Gと後輪2RL,2RRの軸との間の距離はbである。よって、ホイールベースLは、L=a+bで表される。
【0075】
また、車両1は、停止状態(又は定速走行状態)においては、前輪2FL,2FRの接地荷重がWfsであり、後輪2RL,2RRの接地荷重がWrsである。よって、車両1の全荷重Wは、W=Wfs+Wrsで表される。また、例えば、停止状態(又は定速走行状態)における前輪2FL,2FRの接地荷重Wfsは、重心G回りのモーメントのつりあいより、Wfs=W・b/(a+b)=W・b/Lで表される。
【0076】
図5に示すように、車両1が制動減速状態にあり、後方加速度αが作用すると、車両1前部(図5左側)が沈み込むと共に車両1後部(図5右側)が持ち上がり、前輪2FL,2FRの接地荷重がdwだけ増加すると共に、後輪2RL,2RRの接地荷重がdwだけ減少する。
【0077】
この加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wr、及び、接地荷重の移動量(即ち、停止状態における接地荷重Wfs及びWrsからの増加減少量であり、以下、「荷重移動量」と称す。)dwは、次のように算出される。
【0078】
即ち、後輪2RL,2RRと路面Rとが接する接点回りのモーメントのつりあいを考えると、図5より、Wf・(a+b)−W・b−W・α・h=0なる式を得ることができる。この式を前輪2FL,2FRの接地荷重Wfについて展開すると、Wf=W・b/(a+b)+W・α・h/(a+b)=Wfs+W・α・h/L=Wfs+dwを得ることができる。なお、荷重移動量dwはdw=W・α・h/Lである。
【0079】
同様に、前輪2FL,2FRと路面Rとが接する接点回りのモーメントのつりあいより、後輪2RL,2RRの接地荷重Wrは、Wr=Wrs−dwとなる。なお、停止状態(又は定速走行状態)における後輪2RL,2RRの接地荷重Wrsは、重心G回りのモーメントのつりあいより、Wrs=W・a/(a+b)=W・a/Lとなる。
【0080】
以上の式より、サブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置を変更して、車両1の重心Gの位置を車両1の前後方向に移動させると、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrの値を増加減少させ得ることが分かる。
【0081】
即ち、サブフレーム4(図1参照)が車体フレームBFの後方側(図1下側、図5右側)に変位されると、重心Gが車両1の後方側に移動し、相対的に、距離aが距離bに対して増加する(距離bが距離aに対して減少する)ので、静止状態における前輪2FL,2FRの接地荷重Wfsの値が減少すると共に、静止状態における後輪2RL,2RRの値が増加する。
【0082】
その結果、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrは、前輪2FL,2FRの接地荷重Wfが減少すると共に、後輪2RL,2RRの接地荷重Wrが増加する。ここで、車輪2と路面Rとの間の摩擦力は、摩擦係数と接地荷重との積であり、摩擦係数は一定値と仮定できる。
【0083】
よって、図6に示すように、サブフレーム4を車体フレームBFの後方側に移動した後(即ち、移動制御処理(S4)を実行した後)の前輪2FL,2FRの摩擦力(実線)は、移動制御を実行する前の摩擦力(2点鎖線)に対し、減少する方向に平行に移動する。一方、移動制御実行後の後輪2RL,2RRの摩擦力(実線)は、移動制御実行前の摩擦力(2点鎖線)に対し、増加する方向に平行に移動する。
【0084】
これにより、制動減速時において、前輪2FL、2FRの路面Rに対する摩擦力が飽和して摩擦限界に達することを未然に回避することができるので、前後輪2FL〜2RRの摩擦力の合計として得られる全輪摩擦力を上限値に維持して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる。
【0085】
ここで、本実施の形態では、サブフレーム4の目標位置を、前輪2FL,2FRの路面Rに対する摩擦力が摩擦力限界値を超えず、かつ、前輪2FL,2FRに作用する接地荷重Wfと後輪2RL,2RRに作用する接地荷重Wrとが同等の値(即ち、接地荷重比が50:50)になる位置(即ち、図6の位置P)として算出する。
【0086】
これにより、車輪2の摩耗が前輪2FL,2FR又は後輪2RL,2RRのいずれか一方に偏ることを抑制して、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRとの摩耗を均等化させることができる。その結果、車輪2全体としての寿命の向上を図ることができる。
【0087】
なお、サブフレーム4の目標位置は、上述した接地荷重Wf,Wrを表す2式に定数(即ち、ホイールベースL、停止状態における接地荷重Wfs,Wrs、重心Gの高さhなど)を代入して、距離a(又は距離b)を求めることで算出することができる。
【0088】
図4に戻って説明する。S13の処理において、サブフレーム4の目標位置を算出した後は(S13)、次いで、S14の処理へ移行して、サブフレーム4の車体フレームBFに対する相対位置がS13で算出した目標位置となるように、サブフレーム用アクチュエータ装置45を駆動して(S14)、この移動制御処理(S4)を終了する。
【0089】
これにより、サブフレーム4が車体フレームBFの後方側へ変位され、重心Gの位置が車両1の後方側へ移動する(即ち、ホイールベースLに対して距離aが占める割合が拡大する)。その結果、上述したように、前輪2FL,2FRの接地荷重Wfを減少させ、後輪2RL,2RRの接地荷重Wrを増加させることができる。
【0090】
次いで、図7から図9を参照して、第2実施の形態について説明する。図7は、第2実施の形態における接地荷重制御処理を示すフローチャートである。
【0091】
第1実施の形態では、サブフレーム4を車体フレームBFに対して変位させ、重心Gの位置を変更することにより、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を制御する場合を説明したが、第2実施の形態では、サスペンションユニット3(本体部31、図1参照)を変位させ、ホイールベースL(図5参照)を変更することにより、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を制御する。
【0092】
また、第1実施の形態では、接地荷重比が50:50となるように、サブフレーム4の目標位置を決定したが、第2実施の形態では、緊急制動時において、接地荷重比が最大となるように、即ち、サスペンションユニット3(本体部31)に可動範囲内での最大変位を与え、ホイールベースLを最長とする制御が行われる。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0093】
CPU71は、第2実施の形態における接地荷重制御処理に関し、まず、第1実施の形態の場合と同様に、車両1が走行中であるか否かを判断し(S21)、車両1が走行中でないと判断される場合には(S21:No)、この接地荷重制御処理を終了する。
【0094】
一方、S21の処理において、車両1が走行中であると判断される場合には(S21:Yes)、次いで、ブレーキペダル43が運転者により操作されているか否かを判断し(S22)、ブレーキペダル43が運転者により操作されていると判断される場合には(S22:Yes)、更に、ブレーキペダル43の踏み込み量が基準値を超えているか否かを判断する(S23)。なお、ブレーキペダル43の操作状態は、上述したように、他の入出力装置55(図2参照)に含まれる操作状態検出センサ装置(図示せず)により検出される。
【0095】
ここで、S22の処理において、ブレーキペダル43が運転者により操作されていない場合(S22:No)、及び、ブレーキペダル43が運転車により操作されてはいるが(S22:Yes)、その踏み込み量が未だ基準値に達していない場合には(S23:No)、緊急制動時ではないと判断し、この接地荷重制御処理を終了する。
【0096】
一方、S23の処理において、ブレーキペダル43の踏み込み量が基準値を超えていると判断される場合には(S23:Yes)、運転者が緊急制動(即ち、急制動減速)を行うと判断することができるので、緊急制動時の制御を実行するべく、S24の処理へ移行して、最大移動制御処理を実行した後、この接地荷重制御処理を終了する。ここで、図8及び図9を参照して、最大移動制御処理について説明する。
【0097】
図8は、最大移動制御処理を示すフローチャートである。なお、この移動制御処理(S24)では、サスペンションユニット3(本体部31)の車体フレームBFに対する相対位置を変更することにより、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を変更する。
【0098】
また、図9は、制動減速時における車輪2と路面Rとの間の摩擦力の変化を模式的に示した模式図であり、最大移動制御処理(S24)を実行する前の状態が2点鎖線で、実行した後の状態が実線で、それぞれ図示されている。
【0099】
CPU71は、最大移動制御処理(S24)に関し、まず、車両1に作用する加速度を検出し(S31)、次いで、S31の検出結果に基づいて、サスペンションユニット3(本体部31)の目標位置を算出する(S32)。
【0100】
なお、第2実施の形態では、サスペンションユニット3(本体部31)に最大変位量を付与して、ホイールベースLを最長とする制御を行うので、S32の処理では、S31の処理において検出された加速度の値に拘わらず、サスペンションユニット3(本体部31)の目標位置が算出される。即ち、前輪2FL,2FR側のサスペンションユニット3であれば、車体フレームBFの最前方側が、後輪2RL,2RR側のサスペンションユニット3であれば、車体フレームBFの最後方側が、目標位置とされる。
【0101】
S32の処理において、サスペンションユニット3(本体部31)の目標位置を算出した後は(S32)、サスペンションユニット3(本体部31)が目標位置まで変位するように、即ち、ホイールベースLが最長となるように、サスペンションユニット用アクチュエータ装置35を駆動し(S33)、この最大移動制御処理(S24)を終了する。
【0102】
なお、上述した式より、サスペンションユニット3(本体部31)の車体フレームBFに対する相対位置を変更して、ホイールベースLを延長すると、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrの値を増加減少させ得ることが分かる。
【0103】
即ち、上述したように、荷重移動量dwは、dw=W・α・h/Lで表されるので、ホイールベースLを延長することで、荷重移動量dwの値を減少させることができる。その結果、例えば、制動減速時であれば、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrは、前輪2FL,2FRの接地荷重Wfが減少すると共に、後輪2RL,2RRの接地荷重Wrが増加する。
【0104】
よって、図9に示すように、ホイールベースLを延長した後(即ち、最大移動制御処理(S24)を実行した後)の前輪2FL,2FRの摩擦力(実線)は、最大移動制御を実行する前の摩擦力(2点鎖線)に対し、傾き(摩擦力の変化率)を減少させる。一方、最大移動制御実行後の後輪2RL,2RRの摩擦力(実線)は、最大移動制御実行前の摩擦力(2点鎖線)に対し、傾き(摩擦力の変化率)を増加させる。
【0105】
これにより、制動減速時において、前輪2FL、2FRの路面Rに対する摩擦力が飽和して摩擦限界に達することを未然に回避することができるので、前後輪2FL〜2RRの摩擦力の合計として得られる全輪摩擦力を上限値に維持して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる。
【0106】
ここで、本実施の形態では、上述したように、ブレーキペダル43が所定の条件で操作された場合(基準値以上の踏み込み量に達した場合)には、見込み制御的に、前後輪2FL〜2RRに作用する接地荷重を変更させるように構成したので、急制動時等であっても、応答遅れを生じさせることなく、前後輪2FL〜2RRの路面Rに対する摩擦力が摩擦力限界値を超えないようにすることができる。
【0107】
更に、ブレーキペダル43の操作に起因して生じようとする接地荷重の変化とは反対方向の変化が最大となるように予め制御しておくので、ブレーキペダル43の操作に起因して、その後、車両1に大きな加速度が発生しても、前後輪2FL〜2RRに作用する接地荷重の割合を所望の範囲内で維持して、摩擦力が摩擦力限界値を超えることを確実に回避することができる。
【0108】
次いで、図10を参照して、第3実施の形態について説明する。図10は、第3実施の形態における移動制御処理を示すフローチャートである。
【0109】
第1実施の形態では、サブフレーム4を車体フレームBFに対して変位させ、重心Gを車両1の前後方向に移動させることにより、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を制御する場合を説明したが、第3実施の形態では、ダンパ装置34の伸縮駆動により車両1の車高を変更し、重心Gの路面Rに対する高さを変更することにより、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を制御する。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0110】
CPU71は、第3実施の形態における移動制御処理に関し、まず、車両1に作用する加速度を検出すると共に(S41)、ダンパ装置34の有効長を検出した後(S42)、S43の処理へ移行する。
【0111】
S43の処理では、S41及びS42の各処理において検出した検出結果に基づいて、ダンパ装置34の目標長さを算出し(S43)、ダンパ装置34の有効長が目標長さとなるようにダンパ用アクチュエータ装置36を駆動した後(S44)、この移動制御処理を終了する。
【0112】
なお、上述した式より、ダンパ装置34の有効長を短くして、車両1の車高を路面Rに近づける、即ち、重心Gの路面Rに対する高さhを低くすることで、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrの値を増加減少させ得ることが分かる。
【0113】
即ち、上述したように、荷重移動量dwは、dw=W・α・h/Lで表されるので、重心Gの高さhを低く(小さく)することで、荷重移動量dwの値を減少させることができる。その結果、例えば、制動減速時であれば、加速度αが作用した際の接地荷重Wf,Wrは、前輪2FL,2FRの接地荷重Wfが減少すると共に、後輪2RL,2RRの接地荷重Wrが増加する。
【0114】
よって、ホイールベースLを延長した場合と同様の効果が得られる(図7参照)。これにより、制動減速時において、前輪2FL、2FRの路面Rに対する摩擦力が飽和して摩擦限界に達することを未然に回避することができるので、前後輪2FL〜2RRの摩擦力の合計として得られる全輪摩擦力を上限値に維持して、制動性能及び加速性能の向上を図ることができる。
【0115】
なお、図4に示すフローチャート(移動制御処理)において、請求項1記載の第1算出手段としてはS13の処理が、第1作動手段としてはS14の処理が、請求項6記載の均等値算出手段としてはS13の処理が、図7に示すフローチャート(接地荷重制御処理)において、請求項7記載の操作状態検出手段としてはS22の処理が、操作状態判断手段としてはS23の処理が、図8に示すフローチャート(最大移動制御処理)において、請求項3記載の第2算出手段としてはS32の処理が、第2作動手段としてはS33の処理が、請求項7記載の最大値算出手段としてはS32の処理が、図10に示すフローチャート(移動制御処理)において、請求項4記載の第3算出手段としてはS43の処理が、第3作動手段としてはS44の処理が、それぞれ該当する。
【0116】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0117】
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0118】
また、上記各実施の形態では、制動減速時に前後輪2FL〜2RRの接地荷重比を変更する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、発進加速時に本発明を適用することは当然可能である。なお、発進加速時とは、停止状態から加速する場合に限定される趣旨ではなく、走行状態から更に速度を増加させる場合を含む趣旨である。
【0119】
上記各実施の形態では、停止状態における前後輪2FL〜2RRの接地荷重Wfs,Wrs(図5参照)がROM72に予め記憶されており、サブフレーム4の目標位置を算出する場合などには(図4S13参照)、かかる接地荷重Wfs,Wrsの値をROM72から読み出して使用する場合を説明したが、接地荷重Wfs,Wrsの取得方法は必ずしもこれに限られるものではなく、他の取得方法を採用することは当然可能である。
【0120】
他の取得方法としては、例えば、車両1の走行速度を検出し、車両1が定速走行していると判断される場合(なお、停止している場合を含む)に、前後輪2FL〜2RRの接地荷重を接地荷重センサ装置54によって定期的に検出し、これを接地荷重Wfs,Wrsとして使用する方法が例示される。これにより、車両1の乗員人数が変化や燃料(ガソリン)残量の変化を考慮したより正確な計算(サブフレーム4の目標位置の算出等)が可能となる。
【0121】
また、上記各実施の形態では、ブレーキ装置の説明を省略したが、ブレーキ装置としては、例えば、摩擦力を利用したドラムブレーキやディスクブレーキなどが例示される。ブレーキペダル43を操作することにより、かかるブレーキ装置が作動して、車両1に制動力が付与される。
【0122】
また、第1実施の形態から第3実施の形態をそれぞれ任意に組み合わせて車両1及び制御装置100を構成しても良い。即ち、前輪2FL,2FRに作用する接地荷重と後輪2RL,2RRに作用する接地荷重とが所定の値となるように、サブフレーム用アクチュエータ装置45とサスペンションユニット用アクチュエータ装置35とダンパ用アクチュエータ装置36とを同時に駆動することは当然可能である。
【0123】
また、第1実施の形態では、前輪2FL,2FRに作用する接地荷重と後輪2RL,2RRに作用する接地荷重とが同等の値(即ち、接地荷重比が50:50)となるように制御する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の接地荷重比を採用することは当然可能である。
【0124】
例えば、前輪2FL,2FRのみが操舵輪として機能する車両(即ち、後輪2RL,2RRが操舵輪として機能しない車両)であれば、前輪2FL,2FRの接地荷重を後輪2RL,2RRの接地荷重よりも小さくする(例えば、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRとの接地荷重比が45:55等とする)ことが好ましい。
【0125】
この場合は、左右への操舵動作により、前輪2FL,2FRの摩耗の進行が後輪2RL,2RRの摩耗の進行よりも早くなるため、前記接地荷重比とすることで、操舵による摩耗と制動による摩耗との合計を各車輪2で均等化することができるからである。
【0126】
同様に、例えば、前輪2FL,2FRのみが駆動輪として機能する車両(即ち、後輪2RL,2RRが駆動輪として機能しない車両)であれば、前輪2FL,2FRの接地荷重を後輪2RL,2RRの接地荷重よりも小さくする(例えば、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRとの接地荷重比が45:55等とする)ことが好ましい。
【0127】
この場合は、駆動輪となる前輪2FL,2FRの摩耗の進行が後輪2RL,2RRの摩耗の進行よりも早くなるため、前記接地荷重比とすることで、駆動による摩耗と制動による摩耗との合計を各車輪2で均等化することができるからである。
【0128】
一方、全ての車輪2(前後輪2FL〜2RR)が操舵輪及び駆動輪として機能する車両の場合であれば、前記接地荷重比を50:50とすることが好ましい。操舵による摩耗と駆動による摩耗と制動による摩耗との合計を各車輪2で均等化することができるからである。
【0129】
なお、本発明において、同等の値とは、前輪と後輪との接地荷重が完全に一致(接地荷重比が50:50)していることを要求する趣旨ではなく、所定範囲内(例えば、45:55〜55:45の範囲内)の値であることを含む趣旨である。請求項5に記載した同等なる文言も同様の趣旨である。
【0130】
また、第1実施の形態では、車体フレームBFの前後方向に変位可能に構成される構成物がサブフレーム4である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、サブフレーム4に代えて或いはサブフレーム4に加えて、他の構成物を採用することは当然可能である。他の構成物としては、例えば、燃料電池などのバッテリー装置、車体フレームBFに取着されるボディーパネルなどが例示される。
【0131】
第2実施の形態では、サスペンションユニット3(本体部31)が車体フレームBFに対して前後方向に移動することで、ホイールベースLが延長短縮される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車体フレームBF自体を伸縮させて、ホイールベースLを延長短縮するように構成しても良い。
【0132】
第2実施の形態では、ブレーキペダル23の踏み込み量が基準値を超えていると判断された場合に(S23:Yes)、最大移動制御処理(S24)を実行するように構成される場合を説明したが、最大移動制御処理(S24)を実行するための条件は必ずしもこれに限られるものではなく、他の条件であっても良い。
【0133】
例えば、他の条件としては、ブレーキペダル43の踏み込み操作速度が基準速度を超えている場合、ブレーキペダル43を踏み込んだ状態が基準時間以上だけ維持された場合、これら各条件の一部又は全部の組み合わせを満たした場合、などが例示される。
【0134】
なお、ここでいう条件が、請求項7記載の「所定の条件」に該当する。また、操作部材としては、ブレーキペダル43に限定されるものではなく、アクセルペダル44も当然に含む。この場合も、上記各条件は同様に適用される。
【0135】
また、第2実施の形態では、ホイールベースLを延長する場合に、前輪2FL,2FR側のサスペンションユニット3(本体部31)を車体フレームBFの進行方向前方側に変位させると共に、後輪2RL,2RR側のサスペンションユニット3(本体部31)を車体フレームBFの進行方向後方側に変位させる場合を説明したが、これら前輪2FL,2FR側及び後輪2RL,2RR側のサスペンションユニット3(本体部31)を共に変位させる必要は必ずしもない。
【0136】
例えば、前輪2FL,2FR側のサスペンションユニット3(本体部31)のみを車体フレームBFの進行方向前方側に変位させても良く、逆に、後輪2RL,2RR側のサスペンションユニット3(本体部31)のみを車体フレームBFの進行方向後方側に変位させても良い。
【0137】
また、第3実施の形態では、ダンパ装置34の有効長を伸縮させることで、車両1の車高を変更する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両1に含まれる構成物(例えば、サブフレーム4等)の高さ位置を上下方向に移動させるように構成しても良い。これにより、ダンパ装置34を伸縮させて車高を変更する場合と同様に、車両1の重心Gの高さhを上下方向に移動させて、前後輪2FL〜2RRの接地荷重比の変更を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第1実施の形態における制御装置が搭載される車両を模式的に示した模式図である。
【図2】制御装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】接地荷重制御処理を示すフローチャートである。
【図4】移動制御処理を示すフローチャートである。
【図5】車両の側面視を模式的に図示した側面図である。
【図6】制動減速時における車輪と路面との間の摩擦力の変化を模式的に示した模式図である。
【図7】第2実施の形態における接地荷重制御処理を示すフローチャートである。
【図8】最大移動制御処理を示すフローチャートである。
【図9】制動減速時における車輪と路面との間の摩擦力の変化を模式的に示した模式図である。
【図10】第3実施の形態における移動制御処理を示すフローチャートである。
【図11】従来の車両の制動減速時における車輪と路面との間の摩擦力の変化を模式的に示した模式図である。
【符号の説明】
【0139】
100 制御装置
1 車両
2 車輪
2FL,2FR 前輪
2RL,2RR 後輪
3 サスペンションユニット(懸架手段)
31 本体部(懸架手段の一部)
32 アッパーアーム(懸架手段の一部)
33 ロアアーム(懸架手段の一部)
34 ダンパ装置(支持手段、懸架手段の一部)
35 サスペンションユニット用アクチュエータ装置(第2駆動手段)
36 ダンパ用アクチュエータ装置(第3駆動手段)
4 サブフレーム(構成物)
41 シート(構成物の一部)
42 ハンドル(構成物の一部)
43 ブレーキペダル(操作部材、構成物の一部)
44 アクセルペダル(操作部材、構成物の一部)
45 サブフレーム用アクチュエータ装置(第1駆動手段)
BF 車体フレーム(車体)
L ホイールベース(軸間距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して前後方向に変位可能に構成された構成物と、前記構成物が変位するように駆動力を付与する第1駆動手段とを備える車両に対し、前記第1駆動手段を駆動させて、前記車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重との割合を制御する制御装置であって、
前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記構成物の前記車体に対する相対位置を算出する第1算出手段と、
前記構成物の前記車体に対する相対位置が前記第1算出手段により算出された前記相対位置となるように、前記第1駆動手段を作動する第1作動手段とを備えていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記車両は、前記前輪又は後輪の少なくとも一方を前記車体の前後方向に変位可能に支持する懸架手段と、前記懸架手段に駆動力を付与して前記前輪と前記後輪との間の軸間距離を変更する第2駆動手段とを備え、
前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記前輪と後輪との間の軸間距離を算出する第2算出手段と、
前記前輪と後輪との間の軸間距離が前記第2算出手段により算出された軸間距離となるように、前記第2駆動手段を作動する第2作動手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前輪又は後輪の少なくとも一方を車体の前後方向に変位可能に支持する懸架手段と、前記懸架手段に駆動力を付与して前記前輪と後輪との間の軸間距離を変更する第2駆動手段とを備える車両に対し、前記第2駆動手段を駆動させて、前記車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重との割合を制御する制御装置であって、
前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記前輪と後輪との間の軸間距離を算出する第2算出手段と、
前記前輪と後輪との間の軸間距離が前記第2算出手段により算出された前記軸間距離となるように、前記第2駆動手段を作動する第2作動手段とを備えていることを特徴とする制御装置。
【請求項4】
前記車両は、前記前輪及び後輪と前記車体との間に設けられる支持手段と、前記支持手段に駆動力を付与して前記車体の車高を変更する第3駆動手段とを備え、
前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となるように、前記車体の車高を算出する第3算出手段と、
前記車体の車高が前記第3算出手段により算出された前記車高となるように、記第3駆動手段を作動する第3作動手段とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1算出手段、第2算出手段又は第3算出手段は、前記前輪及び後輪の路面に対する摩擦力が少なくとも摩擦力限界値を超えない値となり、かつ、前記車両の前輪に作用する接地荷重と後輪に作用する接地荷重とが同等の値となるように、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高を算出する均等値算出手段を備え、
前記第1作動手段、第2作動手段又は第3作動手段は、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高が前記均等化手段により算出された前記相対位置、軸間距離又は車高となるように、前記第1駆動手段、第2駆動手段又は第3駆動手段を作動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記車両を制動又は加速させるために運転者が操作する操作部材の操作状態を検出する操作状態検出手段と、
前記操作状態検出手段による検出結果に基づいて、前記操作部材の操作状態が所定の条件を満たしているか否かを判断する操作状態判断手段とを備え、
前記第1算出手段、第2算出手段又は第3算出手段は、前前記操作状態判断手段が所定の条件を満たしていると判断した場合に、前記操作部材の操作による前記前輪及び後輪の接地荷重の変化とは反対方向に変化させ、かつ、前記反対方向の変化が最大となるように、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高を算出する最大値算出手段を備え、
前記第1作動手段、第2作動手段又は第3作動手段は、前記構成物の前記車体に対する相対位置、前記前輪と後輪との間の軸間距離又は前記車体の車高が前記最大値算出手段により算出された前記相対位置、軸間距離又は車高となるように、前記第1駆動手段、前記第2駆動手段又は第3駆動手段を作動させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の制御装置を備えていることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−30567(P2007−30567A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213219(P2005−213219)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】