説明

半導体チップ、半導体装置、及び半導体チップの製造方法

【課題】2次電池パックの保護回路を更に小型化すること。
【解決手段】本発明に係る半導体チップは、双方向スイッチを構成する2個のパワートランジスタと、抵抗素子とを備える。2個のパワートランジスタのドレイン同士は接続されている。抵抗素子の一端は、2個のパワートランジスタのうち一方のソース電極と電気的に接続され、その他端は、第1外部パッドと電気的に接続されている。それら2個のパワートランジスタと抵抗素子とは、同一の半導体チップ上に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ、半導体装置、及び半導体チップの製造方法に関する。特に、本発明は、2次電池パックの保護回路などに用いられる双方向スイッチ素子を備える半導体チップ、その半導体チップを備える半導体装置、及び半導体チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充電することにより繰り返し使用可能な2次電池として、リチウムイオン電池などが知られている。そのような2次電池を使用した電池パックには、一般的に、過充電、過放電及び過電流を検出して2次電池の破損を防止する保護回路が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、典型的な電池パック用保護回路の構成を示す回路図である。図1において、“LiB”は、典型的な2次電池としてのリチウムイオン電池を表している。リチウムイオン電池LiBの正極及び負極は、それぞれ端子T1及びT2に接続される。保護回路は、端子T1、T2を通して、リチウムイオン電池LiBに接続される。
【0004】
より詳細には、保護回路は、双方向スイッチを構成する2個のパワーMOSFET(パワートランジスタ)Q1、Q2、及びそれらパワーMOSFETQ1、Q2をON/OFF制御する制御ICを備えている。パワーMOSFETQ1、Q2のドレイン(D)同士は接続されている。一方のパワーMOSFETQ1のソース(S)は、端子T2に接続されている。他方のパワーMOSFETQ2のソース(S)は、端子T3に接続されている。すなわち、リチウムイオン電池LiB及びパワーMOSFETQ1、Q2は、端子T1、T3間に直列に接続されている。また、パワーMOSFETQ1、Q2のそれぞれのゲート(G)は、制御ICに接続されている。更に、パワーMOSFETQ1、Q2の各々において、ソース(S)−ゲート(G)間には双方向ツェナーダイオードZDが接続されている。
【0005】
保護回路は更に、容量素子C1、C2、抵抗素子R1、R2を備えている。容量素子C1、C2は、ノイズ除去用である。抵抗素子R1の一端は、端子T1(リチウムイオン電池LiBの正極)に接続されており、その他端は、制御ICのVdd端子に接続されている。抵抗素子R2の一端は、端子T3(パワーMOSFETQ2のソース)に接続されており、その他端は、制御ICのV−端子に接続されている。制御ICのVss端子は、端子T2(リチウムイオン電池LiBの負極)に接続されている。
【0006】
制御ICは、Vdd端子とVss端子との間の電圧を動作電圧として動作する。この制御ICは、リチウムイオン電池LiBの充放電時、パワーMOSFETQ1、Q2を状況に応じて適切にON/OFF制御する。より詳細には、次の通りである。
【0007】
リチウムイオン電池LiBの充電時、端子T1及びT3は外部電源の正極及び負極にそれぞれ接続される。制御ICは、パワーMOSFETQ1、Q2のゲート電圧をハイレベルに設定し、それら両者をONする。その結果、充電電流(図1中、実線矢印で表されている)が供給され、リチウムイオン電池LiBが充電される。その一方で、制御ICは、Vdd端子及びVss端子を通してリチウムイオン電池LiBの電圧をモニタし、過充電状態の発生を検出する。リチウムイオン電池LiBが過充電状態になると、制御ICは、パワーMOSFETQ2のゲート電圧をローレベルに変化させ、パワーMOSFETQ2をOFFする。これにより、充電回路が遮断されるため、過充電からリチウムイオン電池LiBを保護することができる。
【0008】
リチウムイオン電池LiBの放電時、端子T1及びT3は負荷の両端にそれぞれ接続される。制御ICは、パワーMOSFETQ1、Q2のゲート電圧をハイレベルに設定し、それら両者をONする。その結果、放電電流(図1中、白抜矢印で表されている)が流れ、リチウムイオン電池LiBが放電される。その一方で、制御ICは、Vdd端子及びVss端子を通してリチウムイオン電池LiBの電圧をモニタし、過放電状態の発生を検出する。リチウムイオン電池LiBが過放電状態になると、制御ICは、パワーMOSFETQ1のゲート電圧をローレベルに変化させ、パワーMOSFETQ1をOFFする。これにより、放電回路が遮断されるため、過放電からリチウムイオン電池LiBを保護することができる。
【0009】
また、制御ICは、Vss端子とV−端子との間の電圧をモニタし、負荷ショートや過電流等の異常の発生を検出する。Vss端子とV−端子との間の電圧が所定値を超えた場合、制御ICは、負荷ショートや過電流等の異常が発生したと判断する。この場合、制御ICは、パワーMOSFETQ1のゲート電圧をローレベルに変化させ、パワーMOSFETQ1をOFFする。これにより、回路が遮断されるため、負荷ショートや過電流からリチウムイオン電池LiBを保護することができる。ここで、抵抗素子R2は、制御ICを過電流破壊から保護するための“保護抵抗”の役割と共に、過電流を検出するための“検出抵抗”の役割も果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−368219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、2次電池パックに対して、更なる小型化が要求されている。しかしながら、特許文献1では、パワーMOSFETQ1,Q2が形成される半導体チップは、他の部品のチップとは別に用意される。このことは、チップ配置スペースやチップ間配線スペースの観点から、2次電池パックの保護回路の小型化の妨げとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの観点において、半導体チップが提供される。その半導体チップは、双方向スイッチを構成する2個のパワートランジスタと、抵抗素子とを備える。2個のパワートランジスタのドレイン同士は接続されている。抵抗素子の一端は、2個のパワートランジスタのうち一方のソース電極と電気的に接続され、その他端は、第1外部パッドと電気的に接続されている。それら2個のパワートランジスタと抵抗素子とは、同一の半導体チップ上に形成されている。
【0013】
本発明の他の観点において、半導体チップの製造方法が提供される。その製造方法は、(A)双方向スイッチを構成する2個のパワートランジスタの各々のゲート電極を形成する工程と、(B)抵抗素子を形成する工程と、(C)2個のパワートランジスタのうち一方のソース電極と抵抗素子の一端とが電気的に接続されるように、2個のパワートランジスタの各々のソース電極を形成する工程と、(D)抵抗素子の他端と接続されるように第1外部パッドを形成する工程と、(E)2個のパワートランジスタに対して共通のドレイン電極を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、双方向スイッチ及び抵抗素子が同じ半導体チップに集積形成される。この半導体チップを2次電池パックの保護回路に利用することにより、当該保護回路の小型化、更には低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、典型的な電池パック用保護回路の構成を示す回路図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップのレイアウト例を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2中の線A−A’に沿った構造を示す断面図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態に係る半導体チップのパッド領域の分解斜視図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態に係る半導体チップのパッド領域の平面図である。
【図6A】図6Aは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6C】図6Cは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6D】図6Dは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6E】図6Eは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6F】図6Fは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6G】図6Gは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6H】図6Hは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6I】図6Iは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6J】図6Jは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6K】図6Kは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6L】図6Lは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6M】図6Mは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6N】図6Nは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図6O】図6Oは、第1の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図7】図7は、本実施の形態に係る半導体チップが搭載された半導体装置の構成例を示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体チップのレイアウトの一例を概略的に示す平面図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体チップのレイアウトの他の例を概略的に示す平面図である。
【図10】図10は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体チップのレイアウト例を概略的に示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体チップのレイアウト例を概略的に示す平面図である。
【図12】図12は、図11中の線A−A’に沿った構造を示す断面図である。
【図13】図13は、図12中の抵抗素子周辺の構造を示す断面図である。
【図14A】図14Aは、第4の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図14B】図14Bは、第4の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図14C】図14Cは、第4の実施の形態に係る半導体チップの製造工程を示す断面図である。
【図15】図15は、第5の実施の形態に係る半導体チップのパッド領域の分解斜視図である。
【図16】図16は、第5の実施の形態における抵抗素子の構造の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
本発明の実施の形態では、2次電池パックにおいて使用される保護回路を考える。その保護回路の回路構成は、既出の図1で示されたものと同様である。但し、その保護回路を構成するために利用される半導体チップに特徴がある。本発明の実施の形態によれば、少なくともパワーMOSFETQ1、Q2及び抵抗素子R2が、同じ半導体チップ100上に集積形成される。以下、本発明の様々な実施の形態を説明する。
【0018】
1.第1の実施の形態
1−1.半導体チップの構造
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップ100のレイアウト例を概略的に示す平面図である。半導体チップ100は、2個のパワーMOSFET(パワートランジスタ)Q1、Q2を備えている。上述の通り、2個のパワーMOSFETQ1、Q2は、2次電池パックの保護回路において充電電流と放電電流とを切り替える双方向スイッチ素子を構成する。各パワーMOSFETQ1、Q2は、複数のトランジスタセルCELLを含んでいる。トランジスタセルCELLが形成される領域は、以下、「セル領域」と参照される。
【0019】
本実施の形態に係る半導体チップ100は、更に、図1中の抵抗素子R2に相当する抵抗素子23も備えている。すなわち、少なくともパワーMOSFETQ1、Q2と抵抗素子23は、同一の半導体チップ100上に形成されている。図2に示されるように、抵抗素子23は、パワーMOSFETQ2側のセル領域以外の領域に形成されている。抵抗素子23が形成される領域は、以下、「パッド領域」と参照される。
【0020】
図3は、図2中でパワーMOSFETQ2側のセル領域及びパッド領域を横切る線A−A’に沿った断面構造を示している。図3を参照して、まず、パワーMOSFETQ2側の構造を詳しく説明する。
【0021】
N+型半導体基板1の上に、N−型エピタキシャル層であるドレイン層2が形成されている。セル領域では、ドレイン層2上に、P型ベース層32及びN+型ソース層33が順番に形成されている。更に、N+型ソース層33及びP型ベース層32を貫通してドレイン層2に達するゲートトレンチ10が、トランジスタセルCELL毎に形成されている。各ゲートトレンチ10の内壁上には、ゲート絶縁膜11を介してゲート電極21が形成されている。ゲート電極21は、例えば、N+型ドープトポリシリコンで形成される。
【0022】
更に、ゲート電極21やN+型ソース層33を覆うように、絶縁膜31(例えば、SiO膜)が形成されている。絶縁膜31上には、層間絶縁膜40(例えば、BPSG膜)が形成されている。セル領域の層間絶縁膜40上には、パワーMOSFETQ2のソース電極71が形成されている。ソース電極71は、低抵抗金属で形成される。更に、ソース電極71の上面を部分的に覆うように被覆膜80(例えば、窒化膜)が形成されている。被覆膜80で覆われていないソース電極71の露出面が、外部との接続に用いられるソースパッドPD1である。
【0023】
更に、層間絶縁膜40、絶縁膜31及びN+型ソース層33を貫通してP型ベース層32に達するコンタクトホール50が形成されている。各コンタクトホール50の底部下方には、P+型コンタクト領域51が形成されている。また、各コンタクトホール50の内部には、コンタクトプラグ61が形成されている。コンタクトプラグ61は、例えば、Ti/TiN膜(バリアメタル膜)とW膜の積層膜である。N+型ソース層33及びP+型コンタクト領域51は、このコンタクトプラグ61を介して、層間絶縁膜40上のソース電極71に電気的に接続されている。
【0024】
一方、パッド領域では、ドレイン層2上にP型ウェル5が形成され、そのP型ウェル5上にLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)膜6が形成されている。LOCOS膜6上には、ツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24が形成されている。好適には、これらツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24は、共通のポリシリコン膜に基づいて、同じ層に形成される。
【0025】
更に、ツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24を覆うように、絶縁膜31(例えば、SiO膜)が形成されている。絶縁膜31上には、層間絶縁膜40(例えば、BPSG膜)が形成されている。パッド領域の層間絶縁膜40上には、ゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73が形成されている。これらゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73は、低抵抗金属で形成され、外部との接続に用いられる。
【0026】
より詳細には、ゲート接続外部電極72は、図示されないコンタクトプラグを介して、パワーMOSFETQ2の各ゲート電極21に電気的に接続されており、各ゲート電極21と外部との間をつなぐ外部電極として機能する。更に、ゲート接続外部電極72の上面を部分的に覆うように被覆膜80(例えば、窒化膜)が形成されている。被覆膜80で覆われていないゲート接続外部電極72の露出面が、外部との接続に用いられるゲートパッドPD2である。
【0027】
一方、抵抗接続外部電極73は、抵抗素子23と外部との間をつなぐ外部電極として機能する。より詳細には、抵抗接続外部電極73の下方には、層間絶縁膜40及び絶縁膜31を貫通して抵抗素子23に達するコンタクトプラグ63aが形成されている。コンタクトプラグ63aは、例えば、Ti/TiN膜(バリアメタル膜)とW膜の積層膜である。抵抗素子23の一端は、このコンタクトプラグ63aを介して、層間絶縁膜40上の抵抗接続外部電極73に接続されている。尚、抵抗素子23の他端は、後述されるコンタクトプラグ63bを介して、層間絶縁膜40上のソース電極71に電気的に接続されている。すなわち、抵抗素子23は、抵抗接続外部電極73とパワーMOSFETQ2のソース電極71との間を電気的に接続するように形成されている。
【0028】
抵抗素子23は、例えば、ボロン等のP型不純物が導入されたP型ドープトポリシリコンで形成される。ここで、P型ドープトポリシリコンは負の温度特性を有しており、抵抗素子23の抵抗値は温度上昇に従って減少することに留意されたい。そこで、導入されるP型不純物の濃度は、半導体チップ100の温度上昇による抵抗素子23の抵抗値の変動を見込んで設定される。例えば、150℃の温度下において抵抗値が1.3kΩ〜3kΩの範囲になるように、P型不純物濃度が設定される。これは、常温(25℃)下において抵抗値が2kΩ〜4kΩの範囲になる状況に相当する。例えば、P型不純物濃度は、3×1014/cmに設定される。尚、抵抗素子23は、図1中の抵抗素子R2に相当しており、制御ICを過電流破壊から保護するための“保護抵抗”の役割と共に、過電流を検出するための“検出抵抗”の役割も果たす。従って、抵抗素子23の抵抗値に対しては、ある程度の精度が要求される。このような観点から、温度上昇による抵抗値変動を見込んで上述のようにP型不純物濃度を設定することは好適である。
【0029】
更に、抵抗接続外部電極73の上面を部分的に覆うように被覆膜80(例えば、窒化膜)が形成されている。被覆膜80で覆われていない抵抗接続外部電極73の露出面が、外部との接続に用いられる抵抗素子パッドPD3(第1外部パッド)である。すなわち、抵抗素子パッドPD3にボンディングワイヤ等が接続されることにより、抵抗素子23が他のチップに電気的に接続される。
【0030】
下部パッド24は、抵抗接続外部電極73の下方において、抵抗素子パッドPD3とオーバーラップするように形成されている。この下部パッド24は、抵抗素子パッドPD3へのワイヤボンディング時の衝撃を緩和する役割を果たす。また、下部パッド24は、抵抗接続外部電極73の表面に大きな段差が形成されることを防止する役割も果たす。下部パッド24は、例えば、N型ドープトポリシリコンで形成される。好適には、下部パッド24と抵抗素子23は、共通のポリシリコン膜に基づいて、同じ層に形成される。
【0031】
ツェナーダイオード22は、図1においてパワーMOSFETQ2のソース電極とゲート電極との間に接続された双方向ツェナーダイオードZDに相当する。より詳細には、ソース電極71及びゲート接続外部電極72の下方に、層間絶縁膜40及び絶縁膜31を貫通してツェナーダイオード22に達するコンタクトプラグ62a、62bがそれぞれ形成されている。コンタクトプラグ62a、62bの各々は、例えば、Ti/TiN膜(バリアメタル膜)とW膜の積層膜である。ツェナーダイオード22の一端は、コンタクトプラグ62aを介してパワーMOSFETQ2のソース電極71に電気的に接続されており、その他端は、コンタクトプラグ62bを介してゲート接続外部電極72に電気的に接続されている。
【0032】
ツェナーダイオード22は、P型ドープトポリシリコン部22(p)とN+型ドープトポリシリコン部22(n)とが同心円状に交互に配置されたPN接合ダイオードである。好適には、ツェナーダイオード22と抵抗素子23は、共通のポリシリコン膜に基づいて、同じ層に形成される。特に、抵抗素子23とツェナーダイオード22のP型ドープトポリシリコン部22(p)は、同一の不純物注入工程において同時に形成される。この場合、抵抗素子23のP型ドープトポリシリコンとツェナーダイオード22のP型ドープトポリシリコン部22(p)とは、P型不純物の種類及び濃度において同じである。
【0033】
また、ソース電極71、ゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73に関しても、共通の電極膜に基づいて形成されることが好適である。
【0034】
パワーMOSFETQ1側の構造に関しては、抵抗素子23、下部パッド24及び抵抗接続外部電極73が無い点以外、図3で示された構造と同様である。そして、N+型半導体基板1の裏面上には、パワーMOSFETQ1、Q2とで共通のドレイン電極90が形成されている。すなわち、パワーMOSFETQ1、Q2のドレイン同士は互いに接続されている。
【0035】
図4は、図3で示されたパッド領域周辺の分解斜視図である。LOCOS膜6と層間絶縁膜40との間に挟まれた同一層に、ツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24が形成されている。また、層間絶縁膜40上の同一層に、ソース電極71、ゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73が形成されている。
【0036】
ツェナーダイオード22の配置及び接続は、次の通りである。図4に示されるように、ソース電極71は、ゲート接続外部電極72と隣接する位置に延在部71xaを有している。ツェナーダイオード22は、その延在部71xa及びゲート接続外部電極72とオーバーラップするように配置されている。そして、ツェナーダイオード22の一端は、コンタクトプラグ62aを介してソース電極71の延在部71xaに接続されており、その他端は、コンタクトプラグ62bを介してゲート接続外部電極72に接続されている。
【0037】
抵抗素子23の配置及び接続は、次の通りである。図4に示されるように、抵抗素子23は、X方向においてツェナーダイオード22と下部パッド24との間に挟まれるように配置されている。この抵抗素子23は、長方形状の平面レイアウトを有しており、その長手方向は、X方向と直交するY方向である。つまり、抵抗素子23の一端23aから他端23bへの延在方向はY方向である。そして、それら抵抗素子23の一端23a及び他端23bが、それぞれ、抵抗接続外部電極73及びソース電極71に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗接続外部電極73は、抵抗素子パッドPD3が形成されるパッド部73pと、そのパッド部73pからX方向に延びる延在部73xとを備えている。延在部73xは、抵抗素子23の一端23aとオーバーラップするように形成されている。また、ソース電極71は、抵抗接続外部電極73の延在部73xと対向する位置に、延在部71xbを有している。延在部71xbは、抵抗素子23の他端23bとオーバーラップするように形成されている。そして、抵抗素子23の一端23aは、コンタクトプラグ63aを介して抵抗接続外部電極73の延在部73xに接続されており、その他端23bは、コンタクトプラグ63bを介してソース電極71の延在部71xbに接続されている。
【0038】
下部パッド24の配置は、次の通りである。図4に示されるように、下部パッド24は、抵抗素子パッドPD3が形成されるパッド部73pとオーバーラップするように配置されている。この下部パッド24は、抵抗素子パッドPD3へのワイヤボンディング時の衝撃を緩和する役割を果たす。また、下部パッド24は、抵抗接続外部電極73の表面に大きな段差が形成されることを防止する役割も果たす。
【0039】
再度図2を参照して、本実施の形態における平面レイアウトを説明する。
【0040】
パワーMOSFETQ2側の平面レイアウトは、次の通りである。抵抗素子23は、ゲートパッドPD2(ゲート接続外部電極72)と抵抗素子パッドPD3(抵抗接続外部電極73のパッド部73p)との間に挟まれた領域に形成されている。より詳細には、抵抗素子パッドPD3は、半導体チップ100のコーナー部近傍に配置されている。抵抗素子23は、その抵抗素子パッドPD3に対してX方向に隣接して配置されている。この抵抗素子23の一端は、パワーMOSFETQ2のソース電極71と電気的に接続され、その他端は、抵抗素子パッドPD3と電気的に接続されている。更に、X方向において抵抗素子23とソース電極71との間に挟まれる領域には、ゲートパッドPD2(ゲート接続外部電極72)が配置されている。このように、ゲートパッドPD2、抵抗素子23、及び抵抗素子パッドPD3が、半導体チップ100の一辺101に沿ってX方向に配置されている。そして、それらゲートパッドPD2、抵抗素子23及び抵抗素子パッドPD3を囲むように、パワーMOSFETQ2のソース電極71がL字状に形成されている。但し、ソース電極71の形状はこれに限定されない。
【0041】
パワーMOSFETQ1側の平面レイアウトは、次の通りである。ゲートパッドPD2(ゲート接続外部電極72)が、半導体チップ100の一辺101近傍に配置されている。そして、そのゲートパッドPD2を囲むように、パワーMOSFETQ1のソース電極71がU字状に形成されている。但し、ソース電極71の形状はこれに限定されない。
【0042】
尚、パワーMOSFETQ1、Q2の各々に関して、能動素子領域RA(図2中、一点鎖線で表されている)は、ソース電極71直下の領域であって複数のトランジスタセルCELLが配列されている領域と定義される。ここで、2個のパワーMOSFETQ1、Q2のそれぞれの能動素子領域RAの面積は、実質的に同じであることが好適である。その場合、2個のパワーMOSFETQ1、Q2のオン抵抗値が同じになり、充電電流と放電電流とが同じ大きさになる。その結果、充電時と放電時とで、ジュール発熱量が同等となり、チップ上昇温度もほぼ同じになり、好適である。
【0043】
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、少なくともパワーMOSFETQ1、Q2及び抵抗素子23(R2)が、同一の半導体チップ100上に集積形成される。抵抗素子23(R2)が形成されたチップが、パワーMOSFETQ1、Q2が形成されたチップとは別に用意されるわけではない。従って、チップ配置スペースやチップ間配線スペースが削減される。本実施の形態に係る半導体チップ100を2次電池パックの保護回路に利用することにより、当該保護回路の小型化が可能となる。更に、部品点数が削減されるため、製造コストも削減される。
【0044】
更に、本実施の形態によれば、図2で示されたように、ゲートパッドPD2(ゲート接続外部電極72)が、X方向において抵抗素子23とソース電極71との間に介在するように配置されている。すなわち、抵抗素子23の長手方向(Y方向)に沿った辺であってソース電極71に対向する辺は、ソース電極71に隣接することなく、ソース電極71から離れている。これによる効果は、次の通りである。上述の通り、抵抗素子23の抵抗値は、温度に依存して変動する傾向にある。その一方で、ソース電極71(セル領域)では、ソース電流により発熱量が大きい。このセル領域での発熱が、抵抗素子23の抵抗値に影響を及ぼす恐れがある。しかしながら、本実施の形態によれば、抵抗素子23の長手方向に沿った辺が、ソース電極71(セル領域)から離れているため、抵抗素子23は発熱の影響を受けにくい。言い換えれば、セル領域から抵抗素子23への急激で不要な熱伝導が防止される。その結果、抵抗素子23の抵抗値の温度安定性が向上する。このことは、“保護抵抗”及び“検出抵抗”として機能する抵抗素子23(R2)の精度の観点から好ましい。
【0045】
また、後の組み立て工程では、図5に示されるように、ゲートパッドPD2及び抵抗素子パッドPD3は、それぞれ、ボンディングワイヤ112、113に接続される。図5中の矢印で表されるように、これらボンディングワイヤ112、113を通した放熱も発生する。この放熱によっても、抵抗素子23に対する熱の影響が緩和され、抵抗素子23の抵抗値の温度安定性が向上する。また、抵抗素子23がゲートパッドPD2と抵抗素子パッドPD3との間に配置されているため、ボンディングワイヤ112、113間の距離が十分に得られる。その結果、ボンディングワイヤ112、113同士が接触しショートが発生することが防止される。
【0046】
1−2.半導体チップの製造方法
次に、図6A〜図6Oを参照して、本実施の形態に係る半導体チップ100の製造方法を説明する。図6A〜図6Oは、既出の図3に相当する断面構造を示している。
【0047】
まず、図6Aに示されるように、N+型半導体基板1の上に、N−型エピタキシャル層であるドレイン層2が形成される。続いて、酸化膜3(例:SiO膜)及び窒化膜4(例:SiN)が全面に形成される。その後、窒化膜4の上に、所定パターンの開口部OP1を有するようにレジストマスクM1が形成される。そして、そのレジストマスクM1を用いてエッチングが実施され、開口部OP1における窒化膜4及び酸化膜3が除去される。その後、レジストマスクM1は除去される。
【0048】
次に、図6Bに示されるように、窒化膜4の上に、所定パターンの開口部OP2を有するようにレジストマスクM2が形成される。そして、そのレジストマスクM2を用いてP型不純物(例:ボロン)の注入が実施され、開口部OP2に相当する領域にP型ウェル5が形成される。その後、レジストマスクM2は除去される。
【0049】
次に、図6Cに示されるように、酸化膜3及び窒化膜4をマスクとして用いて選択酸化が実施され、開口部OP1に相当する領域にLOCOS膜6が形成される。
【0050】
次に、図6Dに示されるように、全面に酸化膜7(例:SiO膜)が形成される。続いて、酸化膜7の上に、所定パターンの開口部OP3を有するようにレジストマスクM3が形成される。そして、そのレジストマスクM3を用いてプラズマエッチングが実施され、開口部OP3における酸化膜7、窒化膜4及び酸化膜3が除去される。その後、レジストマスクM3は除去される。
【0051】
次に、図6Eに示されるように、シリコンエッチングが実施され、開口部OP3に相当する領域に、所定深さのゲートトレンチ10が形成される。
【0052】
次に、図6Fに示されるように、酸化膜7、窒化膜4及び酸化膜3が除去される。また、丸め酸化処理が実施されてもよい。その後、全面にゲート絶縁膜11(例:SiO膜)が形成される。
【0053】
次に、図6Gに示されるように、ポリシリコン膜20が全面に形成される。ゲートトレンチ10において、ポリシリコン膜20は、ゲート絶縁膜11上に形成され、且つ、そのゲートトレンチ10の内部を埋めている。また、ポリシリコン膜20は、LOCOS膜6上も覆っている。続いて、ポリシリコン膜20上に、所定パターンの開口部OP4を有するようにレジストマスクM4が形成される。より詳細には、レジストマスクM4は、後にツェナーダイオード22及び抵抗素子23が形成される領域を少なくとも覆うように形成される。そして、そのレジストマスクM4を用いて高濃度N型不純物(例:リン)の注入が実施され、開口部OP4に相当する領域にN+型ドープトポリシリコン部20(n)が形成される。レジストマスクM4に覆われている領域、すなわち、後にツェナーダイオード22及び抵抗素子23が形成される領域は、ノンドープのままである。その後、レジストマスクM4は除去される。
【0054】
次に、図6Hに示されるように、全面に低濃度P型不純物(例:ボロン)が注入される。これにより、ツェナーダイオード22及び抵抗素子23が形成される領域に、P型ドープトポリシリコン部20(p)が形成される。この時のP型不純物濃度は、上述の通り、半導体チップ100の温度上昇による抵抗素子23の抵抗値の変動を見込んで設定される。例えば、P型不純物濃度は、3×1014/cmに設定される。尚、P型不純物濃度は比較的低いため、N+型ドープトポリシリコン部20(n)はN+型のままである。
【0055】
次に、図6Iに示されるように、所定パターンの開口部OP5を有するようにレジストマスクM5が形成される。より詳細には、レジストマスクM5は、ツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24が形成される領域を覆うように形成される。そして、そのレジストマスクM5を用いて、ポリシリコン膜20のエッチングが行われる。その結果、各ゲートトレンチ10内には、N+型ドープトポリシリコン部20(n)からなるゲート電極21が形成される。同時に、LOCOS膜6上には、ツェナーダイオード22のP型ドープトポリシリコン部22(p)、抵抗素子23、及び下部パッド24が形成される。ツェナーダイオード22のP型ドープトポリシリコン部22(p)及び抵抗素子23は、ポリシリコン膜20のP型ドープトポリシリコン部20(p)から形成される。一方、下部パッド24は、ポリシリコン膜20のN+型ドープトポリシリコン部20(n)から形成される。その後、レジストマスクM5は除去される。
【0056】
次に、図6Jに示されるように、全面に絶縁膜31(例:SiO膜)が形成される。更に、P型不純物(例:ボロン)の注入が実施され、所定深さのP型ベース層32が形成される。
【0057】
次に、図6Kに示されるように、所定パターンの開口部OP6を有するようにレジストマスクM6が形成される。この開口部OP6は、N+型ソース層33が形成される領域と、ツェナーダイオード22のN+型ドープトポリシリコン部22(n)が形成される領域を含んでいる。そして、そのレジストマスクM6を用いて、N型不純物(例:ヒ素)の注入が実施される。その結果、セル領域において、所定深さのN+型ソース層33が形成される。同時に、ツェナーダイオード22のN+型ドープトポリシリコン部22(n)も形成される。これにより、PN接合からなる双方向ツェナーダイオード22が出来上がる。その後、レジストマスクM6は除去される。
【0058】
次に、図6Lに示されるように、層間絶縁膜40(例:BPSG膜)が形成される。続いて、層間絶縁膜40の上に、所定パターンの開口部OP7を有するようにレジストマスクM7が形成される。この開口部OP7は、コンタクトプラグ61〜63が形成される領域に相当する。そして、そのレジストマスクM7を用いてエッチングが実施され、層間絶縁膜40及び絶縁膜31を貫通するコンタクトホール50が形成される。レジストマスクM7が除去された後、所定のマスクを用いたシリコンエッチングが更に実施され、P型ベース層32に達するコンタクトホール50が形成される。更に、高濃度P型不純物(例:ボロン)が注入され、当該コンタクトホール50の底部下方にP+型コンタクト領域51が形成される。
【0059】
次に、図6Mに示されるように、バリアメタル膜(Ti/TiN膜)及びW膜が順次形成され、各コンタクトホール50を埋めるコンタクトプラグが形成される。具体的には、N+型ソース層33及びP+型コンタクト領域51につながるコンタクトプラグ61が形成される。また、ツェナーダイオード22の両端にそれぞれつながるコンタクトプラグ62a、62bが形成される。更に、抵抗素子23の両端にそれぞれつながるコンタクトプラグ63a、63b(図示されていない)が形成される。
【0060】
次に、図6Nに示されるように、低抵抗金属膜である電極膜が全面に形成される。続いて、その電極膜の上に、所定のパターンの開口部OP8を有するようにレジストマスクM8が形成される。より詳細には、レジストマスクM8は、ソース電極71、ゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73が形成される領域を覆うように形成される。そして、そのレジストマスクM8を用いてエッチングが実施され、開口部OP8における電極膜が除去される。これにより、ソース電極71、ゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73が同時に形成される。ソース電極71は、コンタクトプラグ62aを介してツェナーダイオード22の一端に電気的に接続され、また、コンタクトプラグ63b(図示されない)を介して抵抗素子23の一端に電気的に接続される。ゲート接続外部電極72は、図示されないコンタクトプラグを介してゲート電極21に電気的に接続され、また、コンタクトプラグ62bを介してツェナーダイオード22の他端に電気的に接続される。抵抗接続外部電極73は、コンタクトプラグ63aを介して抵抗素子23の他端に電気的に接続される。その後、レジストマスクM8は除去される。
【0061】
次に、図6Oに示されるように、全面に被覆膜80(例:SiN膜)が形成される。その被覆膜80をパターニングすることにより、ソース電極71、ゲート接続外部電極72及び抵抗接続外部電極73の上面に、それぞれ、ソースパッドPD1、ゲートパッドPD2及び抵抗素子パッドPD3が形成される。ツェナーダイオード22、抵抗素子23、下部パッド24、ソース電極71、ゲートパッドPD2(ゲート接続外部電極72)及び抵抗素子パッドPD3(抵抗接続外部電極73)の配置関係は、既出の図2や図4で示された通りである。最後に、N+型半導体基板1の裏面全面に、金などからなるドレイン電極90が形成される。このドレイン電極90は、パワーMOSFETQ1、Q2とで共通である。
【0062】
尚、パワーMOSFETQ1側の構造は、抵抗素子23、下部パッド24及び抵抗接続外部電極73が無い点以外、パワーMOSFETQ2側の構造と同じである。従って、パワーMOSFETQ1側の構造も、上記図6A〜図6Oで示された製造工程によって同時に形成される。
【0063】
本実施の形態によれば、ゲート電極21やツェナーダイオード22を形成する製造工程(図6G〜図6K参照)において、抵抗素子23及び下部パッド24をも同時に形成することが可能である。また、ソース電極71やゲート接続外部電極72を形成する製造工程(図6N参照)において、抵抗接続外部電極73をも同時に形成することが可能である。更に、ソースパッドPD1やゲートパッドPD2を形成する製造工程(図6O参照)において、抵抗素子パッドPD3をも同時に形成することが可能である。すなわち、本実施の形態に係る抵抗素子23、下部パッド24、抵抗接続外部電極73及び抵抗素子パッドPD3を形成するために、新たな製造工程を追加する必要はない。
【0064】
1−3.半導体装置
図7は、本実施の形態に係る半導体チップ100が搭載された半導体装置の一例として、2次電池パックにおいて使用される保護回路を示している。当該保護回路の回路構成は、既出の図1で示されたものと同様である。
【0065】
図7に示されるように、配線基板上に、本実施の形態に係る半導体チップ100、制御ICチップ200、容量素子C1、C2等が実装されている。制御ICチップ200は、図1で示された制御ICが形成された半導体チップである。パワーMOSFETQ1、Q2の各々のゲートパッドPD2は、ボンディングワイヤ112を介して、制御ICチップ200の外部パッドと電気的に接続されている。また、抵抗素子R2に電気的に接続されている抵抗素子パッドPD3は、ボンディングワイヤ113を介して、制御ICチップ200の外部パッドに電気的に接続されている。制御ICチップ200は、半導体チップ100のパワーMOSFETQ1、Q2をON/OFF制御する。
【0066】
本実施の形態に係る半導体チップ100を利用することにより、保護回路の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0067】
2.第2の実施の形態
ゲートパッドPD2、抵抗素子23及び抵抗素子パッドPD3の配置は、図2で示されたものに限られない。
【0068】
図8で示される例では、図2で示された配置と比較して、ゲートパッドPD2(ゲート接続外部電極72)と抵抗素子パッドPD3(抵抗接続外部電極73)が入れ替えられている。本例では、ゲートパッドPD2の代わりに抵抗素子パッドPD3が、X方向において抵抗素子23とソース電極71との間に介在している。従って、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0069】
図9で示される例では、図2で示された配置と比較して、抵抗素子23と抵抗素子パッドPD3(抵抗接続外部電極73)が入れ替えられている。本例では、ゲートパッドPD2及び抵抗素子パッドPD3が、X方向において抵抗素子23とソース電極71との間に介在している。従って、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0070】
尚、図8及び図9で示された半導体チップ100の製造方法は、マスクパターンが異なること以外、第1の実施の形態で説明されたものと同じである。ゲートパッドPD2、抵抗素子23及び抵抗素子パッドPD3の配置位置に応じて、マスクパターンを適宜変更するだけでよい。
【0071】
3.第3の実施の形態
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体チップ100のレイアウト例を概略的に示す平面図である。既出の実施の形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0072】
本実施の形態によれば、抵抗素子23は、2個のパワーMOSFETQ1、Q2間の素子分離領域RIに形成されている。パワーMOSFETQ2側に関して、X方向において抵抗素子23とソース電極71との間に挟まれる領域には、抵抗素子パッドPD3及びゲートパッドPD2が配置されている。また、パワーMOSFETQ1側に関して、X方向において抵抗素子23とソース電極71との間に挟まれる領域には、ゲートパッドPD2が配置されている。従って、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0073】
更に、本実施の形態によれば、素子分離領域RIが有効活用されている。従って、更なる省スペース化が可能となる。また、既出の図5で説明された場合と同様に、ボンディングワイヤを通した放熱も利用可能である。本実施の形態によれば、パワーMOSFETQ1側のゲートパッドPD2に接続されるボンディングワイヤを通した放熱も追加的に利用可能であるため、第1の実施の形態と比較して放熱性が更に向上する。
【0074】
尚、図10で示された半導体チップ100の製造方法は、マスクパターンが異なること以外、第1の実施の形態で説明されたものと同じである。ゲートパッドPD2、抵抗素子23及び抵抗素子パッドPD3の配置位置に応じて、マスクパターンを適宜変更するだけでよい。
【0075】
4.第4の実施の形態
図11は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体チップ100のレイアウト例を概略的に示す平面図である。図12は、図11中の線A−A’に沿った構造を示す断面図である。図13は、図12中の抵抗素子23周辺の構造を示す断面図である。既出の実施の形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0076】
本実施の形態によれば、抵抗素子23は、抵抗素子パッドPD3の下方において抵抗素子パッドPD3とオーバーラップするように形成されている。従って、抵抗接続外部電極73の延在部73xは必ずしも必要ない。また、既出の実施の形態と同様に、抵抗素子パッドPD3とオーバーラップする下部パッド24’が形成されていてもよい。その場合、図12及び図13に示されるように、抵抗素子23(P型ドープトポリシリコン)は、下部パッド24’と隣接して形成されることになる。従って、既出の実施の形態においてN+型ドープトポリシリコンで形成された下部パッド24とは異なり、下部パッド24’はノンドープポリシリコンで形成される。
【0077】
本実施の形態に係る半導体チップ100の製造方法は、抵抗素子23及び下部パッド24’を形成する工程を除いて、第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態では、図6G〜図6Iで示された製造工程により抵抗素子23及び下部パッド24が形成されたが、本実施の形態では、その代わりに、次の図14A〜図14Cで示される製造工程により抵抗素子23及び下部パッド24’が形成される。
【0078】
図14Aに示されるように、ポリシリコン膜20上に、所定パターンの開口部OP4を有するようにレジストマスクM4が形成される。本実施の形態では、レジストマスクM4は、後にツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24’が形成される領域を覆うように形成される。そして、そのレジストマスクM4を用いて高濃度N型不純物(例:リン)の注入が実施され、開口部OP4に相当する領域にN+型ドープトポリシリコン部20(n)が形成される。レジストマスクM4に覆われている領域、すなわち、後にツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24’が形成される領域は、ノンドープのままである。その後、レジストマスクM4は除去される。
【0079】
次に、図14Bに示されるように、ポリシリコン膜20上にレジストマスクM4’が形成される。このレジストマスクM4’は、下部パッド24’が形成される領域を覆うように形成される。そして、そのレジストマスクM4’を用いて低濃度P型不純物(例:ボロン)が注入される。これにより、ツェナーダイオード22及び抵抗素子23が形成される領域に、P型ドープトポリシリコン部20(p)が形成される。一方、レジストマスクM4’に覆われている領域、すなわち、後に下部パッド24’が形成される領域は、ノンドープのままである。その後、レジストマスクM4’は除去される。
【0080】
次に、図14Cに示されるように、所定パターンの開口部OP5を有するようにレジストマスクM5が形成される。より詳細には、レジストマスクM5は、ツェナーダイオード22、抵抗素子23及び下部パッド24’が形成される領域を覆うように形成される。そして、そのレジストマスクM5を用いて、ポリシリコン膜20のエッチングが行われる。その結果、各ゲートトレンチ10内には、N+型ドープトポリシリコン部20(n)からなるゲート電極21が形成される。同時に、LOCOS膜6上には、ツェナーダイオード22のP型ドープトポリシリコン部22(p)、抵抗素子23、及び下部パッド24’が形成される。ツェナーダイオード22のP型ドープトポリシリコン部22(p)及び抵抗素子23は、ポリシリコン膜20のP型ドープトポリシリコン部20(p)から形成される。一方、下部パッド24’は、ノンドープトポリシリコンから形成される。その後、レジストマスクM5は除去される。
【0081】
本実施の形態によれば、既出の実施の形態と同様の効果が得られる。更に、下部パッド領域が有効活用されるため、更なる省スペース化が可能となる。
【0082】
5.第5の実施の形態
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体チップ100のパッド領域の分解斜視図である。図16は、第5の実施の形態における抵抗素子23の構造の一例を示す斜視図である。既出の実施の形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0083】
本実施の形態によれば、抵抗素子23は、抵抗値がトリミング調整可能なように形成される。より詳細には、本実施の形態に係る抵抗素子23は、固定抵抗部23−Fと複数のトリミング抵抗部23−Tを備えている。複数のトリミング抵抗部23−Tは、固定抵抗部23−Fの一端に接続されており、Y方向に沿って互いに並行に延びている。各トリミング抵抗部23−Tは、コンタクトプラグ63aを介して、抵抗接続外部電極73の延在部73xに接続されている。固定抵抗部23−Fは、コンタクトプラグ63bを介して、ソース電極71の延在部71xbに接続されている。
【0084】
抵抗素子23の抵抗値のトリミングは、図16に示されるように、複数のトリミング抵抗部23−Tのうち適切なものをレーザ照射で溶断することによって行われる。図16で示される例では、3本のトリミング抵抗部23−T1〜23−T3のうち、1本のトリミング抵抗部23−T3が溶断される。溶断するトリミング抵抗部23−Tの本数を変えることにより、抵抗素子23全体としての抵抗値を様々にトリミングすることが可能である。また、トリミング抵抗部23−Tの本数を増やしたり、様々な幅のトリミング抵抗部23−Tを用意したりすることによって、更に細やかなトリミングも可能となる。
【0085】
本実施の形態では、レーザトリミングが容易になるように、トリミング抵抗部23−Tの上方の層間絶縁膜40に開口部41が形成される(図15参照)。このような開口部41を形成するためには、図6Lで示されたレジストマスクM7のパターンを変更すればよい。
【0086】
尚、矛盾しない限りにおいて、上述の実施の形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0087】
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0088】
1 半導体基板
2 ドレイン層
3 酸化膜
4 窒化膜
5 P型ウェル
6 LOCOS膜
7 酸化膜
10 ゲートトレンチ
11 ゲート絶縁膜
20 ポリシリコン膜
20(p) P型ドープトポリシリコン部
20(n) N+型ドープトポリシリコン部
21 ゲート電極
22 ツェナーダイオード
22(p) P型ドープトポリシリコン部
22(n) N+型ドープトポリシリコン部
23 抵抗素子
23−F 固定抵抗部
23−T トリミング抵抗部
24、24’ 下部パッド
31 絶縁膜
32 P型ベース層
33 N+型ソース層
40 層間絶縁膜
41 開口部
50 コンタクトホール
51 コンタクト領域
61 コンタクトプラグ
62a、62b コンタクトプラグ
63a、63b コンタクトプラグ
71 ソース電極
71xa 延在部
71xb 延在部
72 ゲート接続外部電極
73 抵抗接続外部電極
73p パッド部
73x 延在部
80 被覆膜
90 ドレイン電極
100 半導体チップ
112 ボンディングワイヤ
113 ボンディングワイヤ
200 制御ICチップ
LiB リチウムイオン電池
PD1 ソースパッド
PD2 ゲートパッド
PD3 抵抗素子パッド
Q1、Q2 パワーMOSFET
RA 能動素子領域
RI 素子分離領域
ZD ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレイン同士が接続され、双方向スイッチを構成する2個のパワートランジスタと、
一端が前記2個のパワートランジスタのうち一方のソース電極と電気的に接続され、他端が第1外部パッドと電気的に接続された抵抗素子と
を備え、
前記2個のパワートランジスタと前記抵抗素子が、同一の半導体チップ上に形成されている
半導体チップ。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体チップであって、
前記抵抗素子の前記一端から前記他端への延在方向は、第1方向であり、
前記第1方向と直交する平面方向は第2方向であり、
前記第2方向において前記抵抗素子と前記ソース電極との間に挟まれる領域には、少なくとも第2外部パッドが配置されている
半導体チップ。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体チップであって、
前記第2外部パッドは、前記一方のパワートランジスタのゲート電極に電気的に接続されるゲートパッドである
半導体チップ。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体チップであって、
前記抵抗素子は、前記ゲートパッドと前記第1外部パッドとの間に挟まれた領域に形成されている
半導体チップ。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体チップであって、
前記抵抗素子は、前記第1外部パッドとオーバーラップするように形成されている
半導体チップ。
【請求項6】
請求項2に記載の半導体チップであって、
前記第2外部パッドは、前記第1外部パッドである
半導体チップ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の半導体チップであって、
前記抵抗素子は、前記2個のパワートランジスタ間の素子分離領域に形成されている
半導体チップ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体チップであって、
前記抵抗素子は、ドープトポリシリコンで形成されている
半導体チップ。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体チップであって、
更に、前記一方のパワートランジスタの前記ソース電極とゲート電極との間に接続されたツェナーダイオードを備え、
前記ツェナーダイオードは、P型ドープトポリシリコンを含み、
前記抵抗素子を形成する前記ドープトポリシリコンは、前記ツェナーダイオードの前記P型ドープトポリシリコンと同じ不純物種及び不純物濃度を有する
半導体チップ。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体チップであって、
前記抵抗素子と前記ツェナーダイオードとは、同一層に形成されている
半導体チップ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体チップであって、
更に、前記第1外部パッドとオーバーラップするように形成された下部パッドを備え、
前記抵抗素子と前記下部パッドとは、同一層に形成されている
半導体チップ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の半導体チップであって、
前記2個のパワートランジスタのそれぞれの能動素子領域の面積は、互いに同じである
半導体チップ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の半導体チップと、
前記2個のパワートランジスタをON/OFF制御する制御ICチップと
を備え、
前記半導体チップの前記第1外部パッドは、前記制御ICチップの外部パッドと電気的に接続される
半導体装置。
【請求項14】
双方向スイッチを構成する2個のパワートランジスタの各々のゲート電極を形成する工程と、
抵抗素子を形成する工程と、
前記2個のパワートランジスタのうち一方のソース電極と前記抵抗素子の一端とが電気的に接続されるように、前記2個のパワートランジスタの各々のソース電極を形成する工程と、
前記抵抗素子の他端と接続されるように第1外部パッドを形成する工程と、
前記2個のパワートランジスタに対して共通のドレイン電極を形成する工程と
を含む
半導体チップの製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体チップの製造方法であって、
第2外部パッドを形成する工程
を更に含み、
前記抵抗素子の前記一端から前記他端への延在方向は、第1方向であり、
前記第1方向と直交する平面方向は第2方向であり、
前記第2方向において前記抵抗素子と前記ソース電極との間に挟まれる領域には、少なくとも前記第2外部パッドが配置される
半導体チップの製造方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の半導体チップの製造方法であって、
前記抵抗素子は、ドープトポリシリコンで形成される
半導体チップの製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体チップの製造方法であって、
前記一方のパワートランジスタの前記ソース電極と前記ゲート電極との間に接続されるツェナーダイオードを形成する工程
を更に含み、
前記ツェナーダイオード及び前記抵抗素子は、共通のポリシリコン膜に基づいて形成される
半導体チップの製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体チップの製造方法であって、
前記ツェナーダイオードは、P型ドープトポリシリコンを含み、
前記抵抗素子を形成する前記ドープトポリシリコンは、前記ツェナーダイオードの前記P型ドープトポリシリコンと同じP型ドープトポリシリコンである
半導体チップの製造方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の半導体チップの製造方法であって、
前記第1外部パッドとオーバーラップするように下部パッドを形成する工程
を更に含み、
前記下部パッド及び前記抵抗素子は、前記共通のポリシリコン膜に基づいて形成される
半導体チップの製造方法。
【請求項20】
請求項14乃至19のいずれか一項に記載の半導体チップの製造方法であって、
前記第1外部パッド用の第1外部電極を形成する工程
を更に含み、
前記第1外部電極及び前記ソース電極は、共通の電極膜に基づいて形成される
半導体チップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図6M】
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【図6N】
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【図6O】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−119577(P2012−119577A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269564(P2010−269564)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】