説明

半導体メモリ装置

【課題】半導体メモリ装置の遅延固定クロックの出力において、デューティ比を容易に補正して出力可能な遅延固定回路を備える半導体メモリ装置を提供すること。
【解決手段】このため、本発明は、システムクロックを所定の時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する遅延固定回路と、該遅延固定クロックのデューティ比を補正して第1クロックを出力するにあたり、前記第1クロックの第2エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するデューティ補正回路と、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路とを備える半導体メモリ装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ装置に関し、特に、半導体メモリ装置の遅延固定回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ装置は、データを格納するためのものである。半導体メモリ装置は、データ処理装置、例えば、中央処理装置(CPU)などからデータを要求されると、データを要求する装置から入力されたアドレスに対応するデータを出力するか、又はそのアドレスに対応する位置にデータ要求装置から提供されたデータを格納する。
【0003】
半導体メモリ装置は、半導体装置で構成されるシステムの動作速度の増加や、半導体集積回路関連技術の発達に伴い、より速い速度でデータを出力又は格納することが求められてきている。データの高速入出力のため、システムクロックの入力後、その入力されたシステムクロックに同期したデータの入出力が可能な同期式メモリ装置が開発されている。更に、データのより速い入出力のため、システムクロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにそれぞれデータを入出力するDDR(Double Data Rate)同期式メモリ装置が開発されるようになった。
【0004】
DDR同期式メモリ装置は、システムクロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにそれぞれデータを入出力させなければならないことから、システムクロックの1周期内に2つのデータを処理することが必要である。特に、DDRメモリ装置がデータを出力するタイミングは、システムクロックの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに正確に同期させて出力しなければならない。このため、DDRメモリ装置のデータ出力回路は、入力されたシステムクロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期させてデータを出力する。
【0005】
しかし、メモリ装置に入力されたシステムクロックは、半導体メモリ装置の内部に配置されたクロック入力バッファや、クロック信号を伝送する伝送ラインなどによって必然的に生じる遅延時間を有してデータ出力回路に到達する。そのため、データ出力回路が、必然的な遅延時間を有して伝達されたシステムクロックに同期してデータを出力すると、半導体メモリ装置の出力データを受け取る外部の装置は、システムクロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期していないデータを受け取るようになる。
【0006】
これを解決するため、半導体メモリ装置は、システムクロックの遅延を固定させる遅延固定回路を備えている。遅延固定回路は、システムクロックが半導体メモリ装置に入力されてからデータ出力回路に伝達されるまで、メモリ装置の内部回路によって遅延された値を補償するための回路である。遅延固定回路は、システムクロックが半導体メモリ装置のクロック入力バッファ及びクロック信号伝送ラインなどによって遅延された時間を求め、その求められた値に対応してシステムクロックを遅延させ、データ出力回路に出力する。すなわち、メモリ装置に入力されたシステムクロックは、遅延固定回路により、遅延値が一定に固定された状態でデータ出力回路に伝達される。データ出力回路は、遅延固定クロックに同期してデータを出力し、外部では、データがシステムクロックに正確に同期して出力されたように見える。
【0007】
実際の動作は、データの出力されるべき時点よりも1周期前の時点で遅延固定回路から出力される遅延固定クロックが出力バッファに伝達され、伝達された遅延固定クロックに同期してデータを出力する。これにより、メモリ装置の外部では、データがメモリ装置に入力されたシステムクロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにそれぞれ正確に同期して出力されたように見えるのである。結局、遅延固定回路は、データをどれだけ早く出力すれば、メモリ装置の内部におけるシステムクロックの遅延値が補償できるかを求める回路である。
【0008】
図1は、従来の遅延固定ループの動作タイミング図である。
【0009】
同図に示すように、遅延固定ループは、入力されたクロック信号CLKIより早い一定のタイミングを有する遅延固定クロック信号DLL_OUTを出力する。半導体メモリ装置は、データD0,D1,D2を遅延固定クロック信号DLL_OUTに同期させて出力する。このように半導体メモリ装置がデータを出力すると、半導体メモリ装置の外部では、データがシステムクロック信号CLK0に正確に同期して出力されたように見える。
【0010】
一方、半導体メモリ装置に入力されるクロック信号の周波数が高くなるにつれ、クロック信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの全てにデータを入出力させる半導体メモリ装置の動作マージンは、減少しつつある。これにより、半導体メモリ装置の遅延固定ループから出力される遅延固定クロック信号のデューティ比の補正がより重要となっている。遅延固定クロック信号のデューティ比が50:50に設定されなければ、半導体メモリ装置によるデータ出力動作マージンを最大限に多く確保できないからである。近年、半導体メモリ装置に備えられている遅延固定ループは、遅延固定クロック信号のデューティ比を補正する回路を備えている。
【0011】
しかしながら、半導体メモリ装置を動作させる周辺温度の変化、提供される電圧レベルの変化、及び製造状態の変化により、遅延固定ループから出力される遅延固定クロック信号のデューティ比の補正は、ますます困難になっている。遅延固定ループから出力される遅延固定クロック信号のデューティ比が正確に設定されなければ、半導体メモリ装置は、立ち上がりクロック又は立ち下がりクロックのいずれか一方のクロックに対する動作マージンが不足し、データを予定されたタイミングで外部へ出力させることができなくなる。
【特許文献1】特開2004−103220
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、半導体メモリ装置の遅延固定クロックの出力において、デューティ比を補正して出力可能な遅延固定回路を備える半導体メモリ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、システムクロックを所定の時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する遅延固定回路と、該遅延固定クロックのデューティ比を補正して第1クロックを出力するにあたり、前記第1クロックの第2エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するデューティ補正回路と、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路とを備える半導体メモリ装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、システムクロックとフィードバッククロックとの位相を比較する第1位相比較部と、前記システムクロックを所定の遅延時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する第1遅延ラインと、前記第1位相比較部の比較結果に対応して、前記第1遅延ラインの遅延時間を制御する遅延ライン制御部と、デューティ制御信号に応答して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間とを調整し、第1クロックとして出力するデューティ補正部と、該第1クロックをモデル化した遅延時間だけ遅延させ、前記フィードバッククロックとして出力するレプリカ遅延ラインと、前記第1クロックの第1エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路と、前記第1クロックの第2エッジと前記第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記デューティ補正部を制御するデューティ補正制御部とを備える半導体メモリ装置を提供する。
【0015】
更に、本発明は、データの出力タイミングがシステムクロックに同期するように、当該システムクロックを所定の時間遅延固定されたクロックを生成するステップと、該遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整し、第1クロックを生成するステップと、該第1クロックから第2クロックを生成するステップと、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるステップとを含む半導体メモリ装置の駆動方法を提供する。
【0016】
すなわち、第一の発明としては、システムクロックを所定の時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する遅延固定回路と、該遅延固定クロックのデューティ比を補正して第1クロックを出力するにあたり、前記第1クロックの第2エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するデューティ補正回路と、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路とを備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【0017】
第二の発明としては、前記クロック同期回路が、前記第1クロックを所定の遅延時間遅延させて出力する第1遅延ラインと、該第1遅延ラインの出力を反転して第2クロックを出力する反転手段と、該第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相を比較する第1位相比較部と、該第1位相比較部の比較結果に対応して、前記第1遅延ラインの遅延時間を制御するループ制御部とを備えることを特徴とする第一の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0018】
第三の発明としては、前記デューティ補正回路が、前記第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相が実質的に等しいとき、前記第2クロックと前記第1クロックとの第2エッジのタイミング差を比較する第2位相比較部と、該第2位相比較部の比較結果に対応するデューティ制御信号を出力するデューティ制御部と、該デューティ制御信号に応答して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するデューティ補正部とを備えることを特徴とする第二の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0019】
第四の発明としては、前記遅延固定回路が、前記システムクロックとフィードバッククロックとの位相を比較する第3位相比較部と、前記システムクロックを所定の遅延時間遅延させ、遅延固定クロックを前記デューティ補正回路に出力する第2遅延ラインと、前記第3位相比較部の比較結果に対応して、前記第2遅延ラインの遅延時間を制御する遅延ライン制御部と、前記デューティ補正回路から出力される第1クロックをモデル化した遅延時間だけ遅延させ、前記フィードバッククロックとして出力するレプリカ遅延ラインとを備えることを特徴とする第三の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0020】
第五の発明としては、前記デューティ補正部が、複数の前記デューティ制御信号に応答して選択的にターンオンされ、一側から電源電圧を提供するために並列に配置された複数の第1PMOSトランジスタと、ゲートを介して前記遅延固定回路から出力される遅延固定クロックを受信し、前記第1PMOSトランジスタと第2NMOSトランジスタとに接続された第2PMOSトランジスタと、ゲートを介して前記遅延固定回路から出力される遅延固定クロックを受信し、前記第2PMOSトランジスタと複数の第2NMOSトランジスタとに接続された第1NMOSトランジスタと、一側が前記第1NMOSトランジスタの他側にそれぞれ接続され、複数の前記デューティ制御信号に応答して選択的にターンオンされ、他側に接地電圧供給端が接続された複数の第2NMOSトランジスタと、前記第2PMOSトランジスタと第1NMOSトランジスタとの共通ノードに印加される信号を反転して第1クロックを出力するインバータとを備えることを特徴とする第三の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0021】
第六の発明としては、前記クロック同期回路の第1遅延ラインで遅延可能な遅延値は、前記遅延固定回路の第2遅延ラインで遅延可能な遅延値の1/2であることを特徴とする第四の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0022】
第七の発明としては、システムクロックとフィードバッククロックとの位相を比較する第1位相比較部と、前記システムクロックを所定の遅延時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する第1遅延ラインと、前記第1位相比較部の比較結果に対応して、前記第1遅延ラインの遅延時間を制御する遅延ライン制御部と、デューティ制御信号に応答して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間とを調整し、第1クロックとして出力するデューティ補正部と、該第1クロックをモデル化した遅延時間だけ遅延させ、前記フィードバッククロックとして出力するレプリカ遅延ラインと、前記第1クロックの第1エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路と、前記第1クロックの第2エッジと前記第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記デューティ補正部を制御するデューティ補正制御部とを備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【0023】
第八の発明としては、前記クロック同期回路が、前記第1クロックを所定の遅延時間遅延させて出力する第2遅延ラインと、該第2遅延ラインの出力を反転して第2クロックを出力する反転手段と、該第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相を比較する第2位相比較部と、該第2位相比較部の比較結果に対応して、前記第2遅延ラインの遅延時間を制御するループ制御部とを備えることを特徴とする第七の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0024】
第九の発明としては、前記デューティ補正制御部が、前記第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相が実質的に等しいとき、前記第2クロックと前記第1クロックとの第2エッジのタイミング差を比較する第3位相比較部と、該第3位相比較部の比較結果に対応するデューティ制御信号を前記デューティ補正部に出力するデューティ制御部とを備えることを特徴とする第八の発明に記載の半導体メモリ装置。
【0025】
第十の発明としては、データの出力タイミングがシステムクロックに同期するように、当該システムクロックを所定の時間遅延固定されたクロックを生成するステップと、該遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整し、第1クロックを生成するステップと、該第1クロックから第2クロックを生成するステップと、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるステップとを含むことを特徴とする半導体メモリ装置の駆動方法。
【0026】
第十一の発明としては、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるステップが、前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を比較するステップと、該比較結果に対応して、前記第2クロックの第1エッジのタイミングを遅延させるステップとを含むことを特徴とする第十の発明に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【0027】
第十二の発明としては、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するステップが、前記第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相が実質的に等しいとき、第2クロックと前記第1クロックとの第2エッジのタイミング差を比較するステップと、該比較結果に対応して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するステップとを含むことを特徴とする第十一の発明に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る半導体メモリ装置のブロック図である。同図を参照して説明すると、本実施形態に係る半導体メモリ装置は、クロック入力バッファ100と、遅延固定ブロック200と、デューティ補正ブロック300と、クロック出力バッファ400とを備える。
【0030】
クロック入力バッファ100は、システムクロックCLK,/CLKを受信してバッファリングした内部クロックICLKを遅延固定ブロック200に出力する。遅延固定ブロック200は、データの出力タイミングがシステムクロックCLK,/CLKに同期するように、内部クロックICLKを所定の時間遅延させる。
【0031】
遅延固定ブロック200は、第1位相比較部210と、遅延ライン制御部220と、遅延ライン230と、レプリカ遅延ライン240とを備える。遅延ライン230は、粗遅延ライン230Aと、精密遅延ライン230Bとを備える。第1位相比較部210は、システムクロックCLK,/CLKをバッファリングした内部クロックICLKとフィードバッククロックFBCLKとの位相を比較する。
【0032】
粗遅延ライン230Aは、内部クロックICLKを所定の遅延時間遅延させ、精密遅延ライン230Bに出力する。精密遅延ライン230Bは、粗遅延ライン230Aから出力されるクロック信号を所定の遅延時間遅延させ、デューティ補正部340に出力する。粗遅延ライン230Aは、複数の単位遅延素子がチェーン状につながっている。遅延ライン制御部220の制御により、内部クロックICLKが経由すべき単位遅延素子の数が定められる。内部クロックICLKが経由すべき単位遅延素子の数に応じて、粗遅延ライン230Aで遅延される遅延時間が定められる。精密遅延ライン230Bは、遅延値の変動をより精密に調整するための遅延ブロックである。精密遅延ライン230Bに備えられる単位遅延素子の遅延値が、粗遅延ライン230Aの単位遅延素子の遅延値よりも小さい。
【0033】
遅延ライン制御部220は、第1位相比較部210の比較結果に対応して、遅延ライン230の遅延時間を制御する。レプリカ遅延ライン240は、デューティ補正ブロック300から出力されるクロックをモデル化した遅延時間だけ遅延させ、フィードバッククロックFBCLKとして出力する。モデル化した遅延時間とは、システムクロックCLK,/CLKが半導体メモリ装置に入力されてからデータ出力回路に伝達されるまで遅延される値を指す。レプリカ遅延ライン240は、システムクロックCLK,/CLKが半導体メモリ装置に入力されてからデータ出力回路に伝達されるまで経由する回路に類似した回路を備えている。
【0034】
デューティ補正ブロック300は、クロック同期回路300Aと、デューティ補正回路300Bとを備える。クロック同期回路300Aは、第1クロックICLK2の立ち上がりエッジと、第1クロックICLK2を反転した第2クロックID2の立ち上がりエッジとの位相を合わせるための回路である。デューティ補正回路300Bは、第1クロックICLK2の立ち下がりエッジと第2クロックID2の立ち下がりエッジとのタイミング差に対応して、第1クロックICLK2のハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するための回路である。
【0035】
クロック同期回路300Aは、第2位相比較部310と、デューティ補正用遅延ライン320と、ループ制御部330とを備える。第2位相比較部310は、第1クロックICLK2の立ち上がりエッジと、デューティ補正用遅延ライン320から出力される第1クロックICLK2の反転されたクロックである第2クロックID2の立ち上がりエッジとを比較する。デューティ補正用遅延ライン320は、ループ制御部330の制御により、第1クロックICLK2を所定の時間遅延させて出力する。デューティ補正用遅延ライン320は、第1クロックICLK2を反転させて出力する。本実施形態では、デューティ補正用遅延ライン320が第1クロックICLK2を遅延させた後、反転して出力するが、別途に反転回路をデューティ補正用遅延ライン320の出力端に備えることもできる。ループ制御部330は、第2位相比較部310の比較結果に対応して、デューティ補正用遅延ライン320の遅延時間を制御する回路である。
【0036】
デューティ補正回路300Bは、デューティ補正部340と、第3位相比較部350と、デューティ制御部360とを備える。第3位相比較部350は、デューティ補正用遅延ライン320から出力される第2クロックID2と第1クロックICLK2との立ち上がりエッジの位相が実質的に等しいとき、デューティ補正用遅延ライン320から出力される第1クロックICLK2を反転した第3クロックと、第2クロックID2を反転した第4クロックとの立ち上がりエッジのタイミング差を比較する。デューティ制御部360は、第3位相比較部350の比較結果に対応するデューティ制御信号PU<0:N>,PD<0:N>を出力する。デューティ補正部340は、デューティ制御信号PU<0:N>,PD<0:N>に応答して、第1クロックICLK2のハイレベル区間とローレベル区間との比を調整する。
【0037】
第2位相比較部310及び第3位相比較部350は、第1位相比較部210と同様の方式で実現することができる。そのため、第1位相比較部210の設計が完了すれば、第1位相比較部210をそのまま第2位相比較部310及び第3位相比較部350に適用可能である。また、デューティ補正用遅延ライン320は、遅延ライン230と同様の方式で実現することができ、ループ制御部330も、遅延ライン制御部220と同様の方式で実現することができる。そのため、遅延ライン制御部220及び遅延ライン230の設計が完了すれば、同じ回路をそのままループ制御部330及びデューティ補正用遅延ライン320に適用可能である。更に、デューティ制御部360も、遅延ライン制御部220の回路をそのまま適用可能である。
【0038】
しかし、デューティ補正用遅延ライン320で遅延させる遅延値は、遅延ライン230で遅延させる遅延値より小さくてもよいことから、デューティ補正用遅延ライン320は、遅延ライン230の有する単位遅延素子の数より少なく備えてもよい。具体的に、デューティ補正用遅延ライン320は、遅延ライン230の有する単位遅延素子の半分程度だけ備えてもよい。デューティ補正用遅延ライン320は、遅延ライン230に備えられる粗遅延ラインと精密遅延ラインとを全て備えることもでき、場合によっては、いずれか1つのみを備えることもできる。
【0039】
遅延固定回路の遅延ライン230は、遅延固定のため、クロック信号を1周期程度遅延可能な遅延回路を備える。これは、すでに遅延固定されたクロック(ここでは、第1クロックICLK2)を反転したクロック(ここでは、第2クロックID2)の立ち上がりエッジを、遅延固定クロックの立ち上がりエッジに合わせるためには、遅延固定クロックの反転されたクロックを1/2周期だけ遅延できればいいからである。
【0040】
クロック出力バッファ400は、デューティ補正部340から出力される第1クロックICLK2をバッファリングし、遅延固定及びデューティ補正が終了し、データ出力のための基準クロックになる出力クロックCLKOUTを出力する。この出力クロックCLKOUTに応答して、半導体メモリ装置のデータ出力回路は、データを外部に出力する。
【0041】
図3は、図2に示すデューティ補正部の回路図である。同図に示すように、デューティ補正部340は、複数のデューティ制御信号PU<0:N>に応答して選択的にターンオンされ、一側から電源電圧VDDを提供するために並列に配置された複数のPMOSトランジスタMP1〜MPNと、ゲートを介して遅延ライン230から出力される遅延固定クロックICLK1を受信し、PMOSトランジスタMP1〜MPNを介して提供される電源電圧VDDを、一側から受信して他側に伝達するPMOSトランジスタP1と、ゲートを介して遅延ライン230から出力される遅延固定クロックICLK1を受信し、一側がPMOSトランジスタP1の他側に接続されたNMOSトランジスタM1と、一側がNMOSトランジスタM1の他側にそれぞれ接続され、複数のデューティ制御信号PD<0:N>に応答して選択的にターンオンされ、他側に接地電圧供給端VSSが接続された複数のNMOSトランジスタMN1〜MNNと、PMOSトランジスタP1の他側に印加される信号を反転してレプリカ遅延ライン240に出力するインバータI1とを備える。
【0042】
デューティ補正部340では、複数のデューティ制御信号PU<0:N>,PD<0:N>に応答してターンオンされるPMOSトランジスタMP1〜MPN及びNMOSトランジスタMN1〜MNNの数が定められる。PMOSトランジスタMP1〜MPN及びNMOSトランジスタMN1〜MNNのターンオンされる数に応じて、入力される遅延固定クロックICLK1のハイレベル区間とローレベル区間とが補正され、第1クロックICLK2として出力されるのである。
【0043】
図4は、図2に示す位相比較部の一例を示すブロック図である。同図を参照して説明すると、位相比較部は、2つの入力信号A,Bの位相を比較して、アップ信号U又はダウン信号Dを出力するようになっている。2つの入力信号の位相を比較する位相比較部は、様々な形態で実現することができるが、本実施形態では、最も簡単な形態のDフリップフロップを用いて2つの入力信号の位相を比較している。同図に示す位相比較部は、図2の第1位相比較部210、第2位相比較部310、及び第3位相比較部350にそれぞれ適用可能である。
【0044】
図5は、図2に示す遅延ライン及びループ制御部の一例を示すブロック図である。同図に示すように、デューティ補正用遅延ライン320は、複数の単位遅延素子(例えば、321)をチェーン状に備えている。ループ制御部330は、複数の単位シフトレジスタを備え、右シフト信号SR及び左シフト信号SLに応答して、ハイレベルで出力する信号の位置をシフトさせる。ループ制御部330から出力される複数の信号のうち、ハイレベルの信号の位置により、デューティ補正用遅延ライン320に入力される第1クロックICLK2が経由する単位遅延素子の数が定められるのである。ここで、右シフト信号SR及び左シフト信号SLは、図4の位相比較部から出力されるアップ信号U又はダウン信号Dであり得る。
【0045】
図6は、図2に示すデューティ制御部の一例を示すブロック図である。同図に示すように、デューティ制御部360の実質的な回路構成は、図5のループ制御部と同様の回路構成を有する。しかし、図3に示すデューティ補正部の回路が2つのデューティ制御信号PU<0:N>,PD<0:N>を受信するようになっているため、各単位シフトレジスタが2つの制御信号を出力する。デューティ制御部360は、位相比較部から出力される結果に対応して、それぞれ幾つかのデューティ制御信号をハイレベル又はローレベルで出力するかを定めて出力する。
【0046】
図7は、図2に示す半導体メモリ装置の動作タイミング図である。同図を参照して説明すると、まず、遅延固定ブロック200では、内部クロックICLKとフィードバッククロックFBCLKとの位相が等しくなるまで動作し続ける。内部クロックICLKとフィードバッククロックFBCLKとの位相が等しくなるということは、内部クロックICLKが内部遅延を補償するために遅延されたことを意味し、遅延固定クロックICLK1は、デューティ補正動作を経て第1クロックICLK2になる。
【0047】
続いて、デューティ補正ブロック300の動作を説明する。まず、デューティ補正用遅延ライン320は、遅延固定された第1クロックICLK2を反転した後(図7のAステップ参照)、一定の遅延値だけ遅延させ、第2クロックID2を出力する(図7のBステップ参照)。
【0048】
次に、第2位相比較部310は、第1クロックICLK2と第2クロックID2との立ち上がりエッジが等しいかどうかを比較する。第1クロックICLK2の立ち上がりエッジと第2クロックID2の立ち上がりエッジとの差に対応して、ループ制御部330は、デューティ補正用遅延ライン320で遅延させる遅延値を制御する。第1クロックICLK2と第2クロックID2との立ち上がりエッジが等しくなるまで、第2位相比較部310、デューティ補正用遅延ライン320、及びループ制御部330は動作し続ける(図7のBステップ参照)。
【0049】
続いて、第1クロックICLK2と第2クロックID2との立ち上がりエッジが等しくなるまで、第3位相比較部350は、第1クロックICLK2を反転した第3クロック/ICLK2と、第2クロックID2を反転した第4クロック/ID2との立ち上がりエッジを比較する。デューティ制御部360は、位相比較部で比較した結果に対応して、デューティ補正部340に複数のデューティ制御信号を出力する。デューティ補正部340は、デューティ制御信号に応答して、ハイレベル区間T1及びローレベル区間T2がそれぞれ50:50になる第1クロックICLK2を出力する。
【0050】
上記のように、本実施形態に係る半導体メモリ装置は、デューティ比が補正され、遅延固定クロックを生成するためにデューティ補正ブロック300を備えている。デューティ補正ブロック300は、遅延固定回路にすでに使用されていた回路のほとんどを用いている。第2位相比較部310、デューティ補正用遅延ライン320、ループ制御部330、第3位相比較部350、及びデューティ制御部360の役割は、それぞれ定められているが、遅延固定回路に使用されていた遅延ライン230、第1位相比較部210、及び遅延ライン制御部220のような回路で構成することができる。したがって、デューティ補正を行うため、複雑かつ回路面積の非常に大きい回路がアナログ・デジタル変換回路を備える場合もあるが、本実施形態に係る半導体メモリ装置は、最小限の回路のみを追加して、デューティ補正を容易に行うことができる。
【0051】
本発明によると、高速で動作する半導体メモリ装置の遅延固定クロックのデューティ比を更に容易に補正することができる。したがって、DDR同期式半導体メモリ装置において、クロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにおけるデータの出力マージンを最大限に確保することができる。したがって、より信頼性のある半導体メモリ装置を容易に製造することができる。
【0052】
以上、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来の遅延固定ループの動作タイミング図である。
【図2】本発明の実施形態に係る半導体メモリ装置の遅延固定ループのブロック図である。
【図3】図2に示すデューティ補正部の回路図である。
【図4】図2に示す位相比較部の一例を示すブロック図である。
【図5】図2に示す遅延ライン及びループ制御部の一例を示すブロック図である。
【図6】図2に示すデューティ制御部の一例を示すブロック図である。
【図7】図2に示す半導体メモリ装置の動作タイミング図である。
【符号の説明】
【0054】
100 クロック入力バッファ
200 遅延固定ブロック
300 デューティ補正ブロック
400 クロック出力バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムクロックを所定の時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する遅延固定回路と、
該遅延固定クロックのデューティ比を補正して第1クロックを出力するにあたり、前記第1クロックの第2エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するデューティ補正回路と、
前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路と
を備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項2】
前記クロック同期回路が、
前記第1クロックを所定の遅延時間遅延させて出力する第1遅延ラインと、
該第1遅延ラインの出力を反転して第2クロックを出力する反転手段と、
該第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相を比較する第1位相比較部と、
該第1位相比較部の比較結果に対応して、前記第1遅延ラインの遅延時間を制御するループ制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ装置。
【請求項3】
前記デューティ補正回路が、
前記第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相が実質的に等しいとき、前記第2クロックと前記第1クロックとの第2エッジのタイミング差を比較する第2位相比較部と、
該第2位相比較部の比較結果に対応するデューティ制御信号を出力するデューティ制御部と、
該デューティ制御信号に応答して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するデューティ補正部と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体メモリ装置。
【請求項4】
前記遅延固定回路が、
前記システムクロックとフィードバッククロックとの位相を比較する第3位相比較部と、
前記システムクロックを所定の遅延時間遅延させ、遅延固定クロックを前記デューティ補正回路に出力する第2遅延ラインと、
前記第3位相比較部の比較結果に対応して、前記第2遅延ラインの遅延時間を制御する遅延ライン制御部と、
前記デューティ補正回路から出力される第1クロックをモデル化した遅延時間だけ遅延させ、前記フィードバッククロックとして出力するレプリカ遅延ラインと
を備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体メモリ装置。
【請求項5】
前記デューティ補正部が、
複数の前記デューティ制御信号に応答して選択的にターンオンされ、一側から電源電圧を提供するために並列に配置された複数の第1PMOSトランジスタと、
ゲートを介して前記遅延固定回路から出力される遅延固定クロックを受信し、前記第1PMOSトランジスタと第2NMOSトランジスタとに接続された第2PMOSトランジスタと、
ゲートを介して前記遅延固定回路から出力される遅延固定クロックを受信し、前記第2PMOSトランジスタと複数の第2NMOSトランジスタとに接続された第1NMOSトランジスタと、
一側が前記第1NMOSトランジスタの他側にそれぞれ接続され、複数の前記デューティ制御信号に応答して選択的にターンオンされ、他側に接地電圧供給端が接続された複数の第2NMOSトランジスタと、
前記第2PMOSトランジスタと第1NMOSトランジスタとの共通ノードに印加される信号を反転して第1クロックを出力するインバータと
を備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体メモリ装置。
【請求項6】
前記クロック同期回路の第1遅延ラインで遅延可能な遅延値は、前記遅延固定回路の第2遅延ラインで遅延可能な遅延値の1/2であることを特徴とする請求項4に記載の半導体メモリ装置。
【請求項7】
システムクロックとフィードバッククロックとの位相を比較する第1位相比較部と、
前記システムクロックを所定の遅延時間遅延させ、遅延固定クロックを出力する第1遅延ラインと、
前記第1位相比較部の比較結果に対応して、前記第1遅延ラインの遅延時間を制御する遅延ライン制御部と、
デューティ制御信号に応答して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間とを調整し、第1クロックとして出力するデューティ補正部と、
該第1クロックをモデル化した遅延時間だけ遅延させ、前記フィードバッククロックとして出力するレプリカ遅延ラインと、
前記第1クロックの第1エッジと、前記第1クロックによって生成された第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるクロック同期回路と、
前記第1クロックの第2エッジと前記第2クロックの第2エッジとのタイミング差に対応して、前記デューティ補正部を制御するデューティ補正制御部と
を備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項8】
前記クロック同期回路が、
前記第1クロックを所定の遅延時間遅延させて出力する第2遅延ラインと、
該第2遅延ラインの出力を反転して第2クロックを出力する反転手段と、
該第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相を比較する第2位相比較部と、
該第2位相比較部の比較結果に対応して、前記第2遅延ラインの遅延時間を制御するループ制御部と
を備えることを特徴とする請求項7に記載の半導体メモリ装置。
【請求項9】
前記デューティ補正制御部が、
前記第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相が実質的に等しいとき、前記第2クロックと前記第1クロックとの第2エッジのタイミング差を比較する第3位相比較部と、
該第3位相比較部の比較結果に対応するデューティ制御信号を前記デューティ補正部に出力するデューティ制御部と
を備えることを特徴とする請求項8に記載の半導体メモリ装置。
【請求項10】
データの出力タイミングがシステムクロックに同期するように、当該システムクロックを所定の時間遅延固定されたクロックを生成するステップと、
該遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整し、第1クロックを生成するステップと、
該第1クロックから第2クロックを生成するステップと、
前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるステップと
を含むことを特徴とする半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項11】
前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を合わせるステップが、
前記第1クロックの第1エッジと前記第2クロックの第1エッジとの位相を比較するステップと、
該比較結果に対応して、前記第2クロックの第1エッジのタイミングを遅延させるステップと
を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項12】
前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するステップが、
前記第2クロックと前記第1クロックとの第1エッジの位相が実質的に等しいとき、第2クロックと前記第1クロックとの第2エッジのタイミング差を比較するステップと、
該比較結果に対応して、前記遅延固定クロックのハイレベル区間とローレベル区間との比を調整するステップと
を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−59741(P2008−59741A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220652(P2007−220652)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】