半導体膜の製造装置及び方法
【課題】良好な膜質の半導体膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成でき、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差が小さい半導体膜の製造装置及び方法を得ること。
【解決手段】H2ガス又はH2ガスとSiH4ガスとの混合ガスを分散供給するシャワーヘッド4と基板ステージ1とが内部に設けられた真空容器を製膜室として備えた半導体膜の製造装置であって、シャワーヘッド4と基板ステージ1との間の空間にプラズマを発生させる高周波電源5と、シャワーヘッド4と基板ステージ1との間の複数のモニタ箇所でプラズマの電子温度を測定するラングミュアプローブ8と、シャワーヘッド4と基板ステージ1との間隔を調整する伸縮アーム10と、各モニタ箇所での電子温度の測定値が設定値と一致するように、伸縮アーム10を制御してシャワーヘッド4と基板ステージ1との間隔を調整する制御コントローラ1とを有する。
【解決手段】H2ガス又はH2ガスとSiH4ガスとの混合ガスを分散供給するシャワーヘッド4と基板ステージ1とが内部に設けられた真空容器を製膜室として備えた半導体膜の製造装置であって、シャワーヘッド4と基板ステージ1との間の空間にプラズマを発生させる高周波電源5と、シャワーヘッド4と基板ステージ1との間の複数のモニタ箇所でプラズマの電子温度を測定するラングミュアプローブ8と、シャワーヘッド4と基板ステージ1との間隔を調整する伸縮アーム10と、各モニタ箇所での電子温度の測定値が設定値と一致するように、伸縮アーム10を制御してシャワーヘッド4と基板ステージ1との間隔を調整する制御コントローラ1とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気変換層にシリコン膜を用いた薄膜太陽電池素子の製造などに用いられる半導体膜の製造装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から薄膜太陽電池では、太陽光スペクトルを幅広く有効利用するために、バンドギャップの異なる材料からなる複数の光電気変換層(半導体層)を絶縁透光性基板上に積層したタンデム構造がとられている。
【0003】
特に、シリコン系の薄膜太陽電池の場合、半導体層としてアモルファスシリコンセルと微結晶シリコンセルとを積層した構造がとられることが多い。各セルはp/i/n型膜を3層重ねた構造となっており、i型膜は発電層、p、n型膜は内臓電界を形成するための層である。
【0004】
微結晶シリコンセルでは、発電層のi型膜としては適度に結晶化した膜を適用することが望ましいとされている。すなわち、i型膜の結晶化率が最適値よりも高いと、膜中の欠陥密度が高くなるため、太陽電池の発電層に適用した場合には光照射で発生したキャリア(電子、正孔)をトラップして発電電流を損失させることが懸念される。逆に、i型膜の結晶化率が最適値よりも低いと、長波長域の入射光を十分に光電変換できないため、高い発電電流を得ることが困難になってくる。
【0005】
微結晶シリコン膜は、シランガス(SiH4)及び水素ガス(H2)を原料に用いたプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)で形成されることが多く、その膜質はプラズマ状態(電子温度、プラズマ電位、プラズマ密度)に強く依存することが報告されている。また、プラズマ状態は、各種製膜パラメータ(原料ガス流量比[H2/SiH4]、印加電圧、電源周波数、製膜圧力等)によって変化することが知られている。
【0006】
このため、従来の微結晶シリコン製膜装置では、製膜室のシャワーヘッド(アノード電極)と基板ステージ(カソード電極)との間にラングミュアプローブが設けられ、アノード−カソード間(AK電極間)で発生させたプラズマ中の電子温度の値をモニタして、製膜中にこの値が最適値を維持するように製膜パラメータ(ガス供給量、圧力、排気量、印加電圧)を調整している(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、実験用にラングミュアプローブをシャワーヘッドと基板ステージとの間に設けた製膜室として、電子温度を確認し、最適な値が得られるように製膜パラメータを更新して、良好な膜質を有する微結晶シリコン膜を安定に実現するといった検討もなされている。ラングミュアプローブは、それがちょうど入る程度の小孔を基板及び基板ホルダに開けて取り付けられる。また、製膜時のプラズマ中の負イオン濃度を電極間距離、製膜時の圧力、プラズマ励起周波数を調整することに制御することが示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−195810号公報
【特許文献2】特開2005−244037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2のように製膜条件でのプラズマ状態をラングミュアプローブで測定して最適化する方法は、薄膜シリコン太陽電池の製造においても膜質の制御に有効と考えられる。
【0010】
しかしながら、薄膜シリコン太陽電池は、大面積(1.1m×1.4m程度)のガラス基板上に作製する必要があるが、このようなガラス基板は同一の基板内においても厚さや平坦性が全面で均一であるとは限らない。したがって、特許文献1、2のように所定の一箇所における電子温度のモニタ結果のみに基づいて最適化を行っても、基板面内で膜質(結晶化率)や膜厚が不均一になる。
【0011】
さらに、処理する基板の厚み分布や傾斜、反り等は基板ごとに異なるため、特許文献1、2のように製膜条件による最適化を行っても、製膜ロットが異なると面内均一性や膜質の再現性は高くならない。
【0012】
すなわち、上記従来の技術には、良好な膜質の微結晶シリコン薄膜を大面積のガラス基板の面内に均一に形成できず、しかも異なる製膜ロット間では膜質に差が生じてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、良好な膜質の半導体膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成でき、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差が小さい半導体膜の製造装置及び方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、水素ガス及び該水素ガスと原料ガスとの混合ガスを分散供給するシャワーヘッドと基板ステージとが内部に設けられた真空容器を製膜室として備えた半導体膜の製造装置であって、シャワーヘッドと基板ステージとの間の空間にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、シャワーヘッドと基板ステージとの間の複数のモニタ箇所でプラズマの電子温度を測定する測定手段と、シャワーヘッドと基板ステージとの間隔を調整する間隔調整機構と、各モニタ箇所での電子温度の測定値が設定値と一致するように、間隔調整機構を制御してシャワーヘッドと基板ステージとの間隔を調整するコントローラとを有することを特徴とする半導体膜の製造装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる半導体膜の製造装置は、基板ステージ面内の複数のモニタ箇所のプラズマ状態(電子温度)をモニタし、各箇所における電子温度の測定値が設定値に近づくようにシャワーヘッドと基板ステージとの間隔を調整できる。これにより、良好な膜質の半導体膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成でき、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差を小さくできるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の複数箇所における電子温度をラングミュアプローブでモニタリングしている際の断面構造を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の領域a、e、d、hにおける電子温度をモニタリングしている状態を示す上面図である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の領域b、f、c、gにおける電子温度をモニタリングしている状態を示す上面図である。
【図4】図4は、一般的なプラズマCVD装置におけるアノード・カソード電極間距離と電子温度との関係を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の8箇所における電子温度のモニタ値を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置の微結晶シリコン膜を製膜している状態での断面構造を示す図である。
【図7】図7は、一般的なプラズマCVD装置で微結晶シリコン膜を作製した際の電極間距離と膜の結晶化率との関係を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜のラマン散乱スペクトルを示す図である。
【図9】図9(a)は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜の基板面内8箇所における結晶化率の値を示す図であり、図9(b)は、基板面内の結晶化率の測定ポイントを示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した薄膜太陽電池セルと従来の製造装置で作製した薄膜太陽電池セルとの発電効率の面内分布を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2にかかる微結晶シリコン膜の製造装置の微結晶シリコン膜を製膜している状態での断面構造を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態2にかかる微結晶シリコン膜の製造装置によって50枚連続で微結晶シリコン膜を製膜した際の電子温度の推移を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態2にかかる微結晶シリコン膜の製造装置及び従来の製造装置のそれぞれで、50枚連続で微結晶シリコン膜を製膜した際の膜の結晶化率の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の複数箇所における電子温度をラングミュアプローブでモニタリングしている際の断面構造を示す図である。図1は、製膜プロセス前に水素ガスのみを供給して水素プラズマ6を発生させ、基板ステージ1面内の複数箇所におけるプラズマ中の電子温度を、装置に組み込まれたラングミュアプローブ8でモニタリングしている状態を示している。
【0019】
基板ステージ1の上に絶縁透光性基板2が設置されており、水素ガス供給用配管3を通じて反応室内へ送り込まれた水素ガスが、シャワーヘッド4を介して絶縁透光性基板2の上面に分散供給される。
【0020】
シャワーヘッド4には、高周波電源5によって高周波電圧が印加されている。高周波電源5がシャワーヘッド4に高周波電圧を印加することにより、接地電極である基板ステージ1と高周波電圧印加電極であるシャワーヘッド4とで挟まれた空間に水素プラズマ6が発生する。
【0021】
製膜室には、伸縮アーム7を備えたラングミュアプローブ8が複数個設けられており、伸縮アーム7を伸縮させることで、プローブ部を基板ステージ1面内でフレキシブルに移動させて、基板ステージ1面内の複数のモニタ箇所におけるプラズマの電子温度をモニタする。一つのラングミュアプローブ8が複数のモニタ箇所におけるプラズマの電子温度をモニタすることにより、ラングミュアプローブ8の数をモニタ箇所の数よりも少なくし、装置構成を簡略化できる。ただし、各モニタ箇所にラングミュアプローブ8を個別に設けても構わない。ラングミュアプローブ8は、基板ステージ1下に設けられた伸縮アーム10へ制御コントローラ9を介して電気的に接続された構成となっている。制御コントローラ9は、ラングミュアプローブ8でモニタした電子温度の測定値を予め設定された目標値(最適値)と比較して、測定値が目標値に近づくように、基板ステージ1下の伸縮アーム10を伸縮させて基板ステージ1の高さを変更し、シャワーヘッド4と絶縁透光性基板2との距離、すなわちAK電極間距離を自動調整する。制御コントローラ9は、電子温度の測定値が目標値に近づくようにAK電極間距離を調整するフィードバック制御を行っても良い。
【0022】
ここで、電子温度の目標値(最適値)とは、良好な膜質のシリコン膜が作製される装置状態下(AK電極間距離)における水素プラズマ中での電子温度の値を意味している。目標値は、予め水素プラズマの電子温度と、その後に実際に製膜された半導体膜の膜厚や膜質とを基に決められる。
【0023】
図2、3に、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態1としての微結晶シリコン膜の製造装置の製膜室内部の上面図を示す。ここでは例としてラングミュアプローブ8が4個設けられた構成を示しているが、設置するプローブの個数に特に制約はない。図2、3では基板ステージ1の面内を(a)から(h)までの8個の領域に分けて、各領域の電子温度を個別にモニタする構成を示しており、図2は、領域(a)、(e)、(d)、(h)の電子温度を、図3は領域(b)、(f)、(c)、(g)の電子温度を各々モニタしている状態を示している。
【0024】
伸縮アーム10は、ラングミュアプローブ8による各モニタ箇所に対応して、基板ステージ1の下に複数設けられている。伸縮アーム10を個別に伸縮させることで基板ステージ1の傾斜角を変化させて、基板ステージ1面内全域でのAK電極間距離が最適となるように調整することが可能である。
【0025】
また、モニタ箇所に対応する複数箇所の電子温度がおおよそ均一化されるように個別に伸縮アーム10を調整しても良い。3以上のモニタ箇所に対応する各箇所の電子温度を目標値と完全に一致させることが難しい場合もあるが、このような場合には、各箇所における電子温度の値が所定の目標値から一定の設定誤差範囲内に入るように個別に伸縮アーム10を調整するようにした後に、各箇所における電子温度の値の平均値を計算して、平均値との偏差が小さくなるように再度個別に伸縮アーム10を調整するようにしても良い。
【0026】
また、目標値はモニタ箇所に対応する箇所ごとに異なっていても良い。その場合には、各箇所で目標値と測定値との比が1に近づくように伸縮アーム10を調整すればよい。
【0027】
上記の伸縮アーム10の調整は、ラングミュアプローブ8によるモニタ結果に基づいて、制御コントローラ9が行う。
【0028】
一般に、プラズマ中の電子温度は、プラズマ状態を示す指標とされており、AK電極間距離の変動に起因して大きく変化することが知られている。図4に、AK電極間距離を8〜10mmの範囲で変化させて発生させた水素プラズマ中の電子温度の測定値を示す。図4において縦軸は電子温度(eV)、横軸は電極間距離(mm)を表している。AK電極間距離を0.5mm変化させることで、プラズマ中の電子温度は約1eV変化しており、絶縁透光性基板2の厚さが面内で±0.5mmばらついた場合、AK電極間の電子温度は最大で2eV程度変動することが懸念される。
【0029】
図5に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ1面内におけるゾーン(a)〜(h)の8箇所の電子温度をラングミュアプローブ8によってモニタし、制御コントローラ9でAK電極間距離を自動調整した値の例を黒い三角形のシンボルで示す。なお、比較のため、図中には、AK電極間距離を自動調整しなかった場合における電子温度のモニタ値も黒丸のシンボルで示す。AK電極間距離を自動調整しなかった場合の基板ステージ1面内の8箇所での電子温度の分布は、{(Max−Min)/Avg.}×100(%)で約±4.6%の範囲であるが、ラングミュアプローブ8による電子温度のモニタ結果に基づいてAK電極間距離を自動制御した場合には、電子温度の分布は約±1.0%の範囲となっている。なお、Maxは全ての箇所における電子温度の最大値、Minは全ての箇所における電子温度の最小値、Avg.は全ての箇所における電子温度の平均値である。すなわち、ラングミュアプローブ8による電子温度のモニタ結果に基づいてAK電極間距離を自動制御することで、基板ステージ1面内の8箇所での電子温度の分布が{(Max−Min)/Avg.}×100(%)で約±4.6%から約±1.0%にまで低減できている。
【0030】
図6は、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態1としての微結晶シリコン膜の製造装置の製膜時の断面構造を示す図である。ここでは、製膜前における水素プラズマ中での電子温度のモニタリングにより、基板ステージ面内全域においてAK電極間距離が最適に調整された状態となっている。基板ステージ面内の複数のモニタ箇所のプラズマ状態(電子温度)をモニタ結果に基づいて、基板ステージ1の高さや傾きを調整した後、シランガス供給用配管11と水素ガス供給用配管3とを通じて、原料ガスとしてのシランガス及び水素ガスからなる混合ガス12を製膜室内へ送り込み、シャワーヘッド4を介して絶縁透光性基板2の上面に分散供給する。
【0031】
シャワーヘッド4には、高周波電源5によって高周波電圧が印加されているため、接地電極である基板ステージ1と高周波電圧印加電極であるシャワーヘッド4とで挟まれた空間に混合ガスプラズマ13が発生する。なお、制御コントローラ9は、微結晶シリコン膜を製膜する際に電子温度モニタ用のラングミュアプローブ8を全て混合ガスプラズマ13の範囲外に待避させて、製膜プロセス中のプラズマ空間分布の乱れを回避する。
【0032】
シランガスが混合ガスプラズマ13で分解されることによって製膜前駆体が生成され、絶縁透光性基板2の上に供給されて微結晶シリコン膜14が形成される。
【0033】
一般に、プラズマCVD法において、プラズマ中の電子温度はシランガス及び水素ガスの分解反応レートを支配しており、作製される微結晶シリコン膜の膜質、特に結晶化率に強い影響を与えることが知られている。
【0034】
図7に、AK電極間距離を8〜10mmの間で変化させて作製した微結晶シリコン膜の結晶化率を示す。図7において縦軸は結晶化率、横軸は電極間距離(mm)を表している。ここでは結晶化率は、図8に示すように、シリコン膜をラマン分光法で測定した際に得られるスペクトルの520cm−1と480cm−1に現れるピーク強度比I520/I480で定義する。なお、図8の縦軸は測定光の強度(任意単位)、横軸は波数(cm−1)を表している。図7で、AK電極間距離を8→9mmへと1mm広げることで電子温度が低下し、作製されるシリコン膜の結晶化率I520/I480は、約5.0から約0.2へと急激に低下している。
【0035】
図9(a)に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜(膜厚:2μm)の面内8箇所(図9(b)に示すポイント(a)〜(h))における結晶化率I520/I480の測定値を黒い三角形のシンボルで示す。ここでは、100mm角サイズの透明電極層付きのガラス基板上に製膜を行っている。図9(b)には、作製した微結晶シリコン膜の結晶化率の測定ポイントを示す。
比較のため、図9(a)中には、AK電極間距離の調整機能を備えていない従来の製造装置で作製した微結晶シリコン膜の結晶化率の測定値を黒丸のシンボルで示している。図9(a)から明らかなように、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜では、従来の装置で作製した微結晶シリコン膜と比較して結晶化率のばらつきが相当低く抑えられており、{(Max−Min)/Avg.}×100(%)での面内分布(同一の絶縁透光性基板におけるばらつき)として約±2.4%が実現されている。なお、従来装置で作製した微結晶シリコン膜では概ね±79%である。
【0036】
図10に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜(i型)を発電層に適用した薄膜太陽電池セルの発電効率の面内分布を示す。ここでは、100mm角サイズの基板上に5mm角サイズの微結晶シリコン太陽電池セルを64個作製し、全セルの発電効率を評価している。
同一の絶縁透光性基板における結晶化率のばらつきが低減されたことで、図10に示すように太陽電池セルの発電効率のばらつきも、約±34%から約±3.5%へ大幅に改善されている。
【0037】
以上のように、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置では、伸縮アームが装着された複数個のラングミュアプローブを製膜室に設け、基板ステージ面内の複数のモニタ箇所のプラズマ状態(電子温度)をモニタし、各箇所における電子温度の値が所定の目標値から一定の設定誤差の範囲内に入るよう、基板ステージ高さを自動的に調整するため、基板ステージの全面において目標とするプラズマ状態を均一に実現することを可能とする。これにより、良好な膜質の微結晶シリコン膜を絶縁透光性基板2の面内で均一に作製できる。さらに、同一条件で異なる製膜間(異なるロット間)での膜質のばらつきを低減し、良好な膜質の微結晶シリコン膜を安定に実現できる。すなわち、製膜前に基板ステージ面内の複数のモニタ箇所で水素ガスプラズマの電子温度を測定し、測定結果に基づいて基板ステージの高さや傾きを調整した後に製膜を行うことにより、絶縁透光性基板2の厚さにばらつきがあったり、傾きがあったりしても、良好な膜質の微結晶シリコン膜を基板面内で均一に作製できる。
【0038】
したがって、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で薄膜太陽電池を作製した場合、従来の製造装置を用いて作製した場合と比較してより良好な面内分布で高い発電効率を実現可能である。
【0039】
また、製膜プロセス中にラングミュアプローブ8を混合ガスプラズマ13の範囲外へ退避させるため、ラングミュアプローブ8の表面に微結晶シリコン膜が付着することを防止できる。したがって、プローブ表面は常時清浄な状態に保たれ、高精度の電子温度のモニタリングを長期間にわたって行うことが可能となる。さらに、ラングミュアプローブ8の劣化が抑制されることで、従来装置と比較して寿命が飛躍的に延びることから、プローブ交換の作業頻度を大きく低減できる。これにより、装置の稼働時間を増大し、生産性を向上させることが可能となる。
【0040】
実施の形態2.
図11は、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態2としての微結晶シリコン膜の製造装置の製膜時の断面構造を示す図である。本実施の形態では、ラングミュアプローブ8の収納室15が製膜室とは別に設けられている。収納室15と製膜室とはバルブ16を介して接続されており、製膜プロセス中にはラングミュアプローブ8は収納室15に収められ、バルブ16は閉状態とされる。これにより、製膜プロセス中に混合ガス12がラングミュアプローブ8の表面に飛来して膜が付着することが防止される。
【0041】
図12に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で50枚の微結晶シリコン膜の連続製膜を行った場合の、水素プラズマ中での電子温度のモニタ値の推移を示す。図12から明らかなように、各製膜時における電子温度のモニタ値の変動は約±1.5%に抑えられており、プローブ表面への膜付着及びプローブ劣化に起因するモニタリングの不良は発生しておらず、高精度なフィードバックによる自動制御を行えている。
【0042】
図13に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で微結晶シリコン膜を50枚連続で製膜した場合の、製膜ごとの結晶化率の推移を黒い三角形のシンボルで示す。ここでは100mm角サイズの透明電極層付きのガラス基板上に微結晶シリコン膜を製膜し、基板中央部の結晶化率を代表値としてプロットしている。また、図中にはAK電極間距離の調整機構を備えていない従来の製造装置で作製した微結晶シリコン膜の結晶化率の値も黒丸のシンボルで併せて示している。本実施の形態では、各製膜前にAK電極間距離が調整されて電子温度が最適値に保たれる構成となっている。さらに、プローブ表面への膜付着が防止され、AK電極間の調整が製膜のたびに安定して行われる。このため、作製される膜の結晶化率は製膜ロット間で安定する。実際、図13においては、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で連続製膜した微結晶シリコン膜は、1から50枚目までで結晶化率の変動は、{(Max−Min)/Avg.}×100(%)で約±2.5%に抑え込めている。これに対し、従来の製造装置では概ね±10%である。
【0043】
以上のように、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で製膜した微結晶シリコン膜を用いて薄膜太陽電池を作製した場合、従来の製造装置で製膜した微結晶シリコン膜を用いて薄膜太陽電池を作製した場合と比較して、高い発電効率をより良好な面内分布で、ロット間で安定して実現できる。
【0044】
また、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置は、製膜室とは別に、バルブ16を介して製膜質に接続された収納室15を備えている。そして、混合ガス12を流す製膜プロセス中には、ラングミュアプローブ8に装着された伸縮アーム7が縮み、ラングミュアプローブ8は収納室15内に収まるようになっている。これにより、製膜プロセス中に混合ガス12がラングミュアプローブ8の表面に飛来して膜が付着することを防止できる。したがって、実施の形態1と同様に、プローブ表面は常時清浄な状態に保たれ、高精度の電子温度のモニタリングを長期間にわたって行うことが可能となる。さらに、ラングミュアプローブ8の劣化が抑制されることで、従来装置と比較して寿命が飛躍的に延びることから、プローブ交換の作業頻度を大きく低減できる。これにより、装置の稼働時間を増大し、生産性を向上させることが可能となる。
【0045】
なお、上記の各実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれらに限定されることはない。
例えば、上記各実施の形態においては、微結晶シリコン膜を生成する場合を例として説明したが、微結晶半導体膜は微結晶シリコン膜に限定されることはなく、微結晶シリコンゲルマニウムなどの微結晶半導体膜の生成にも適用可能である。
このように、本発明は、様々な変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法は、良好な膜質の半導体薄膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成し、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差が小さくできる点で有用であり、特に、光電気変換層にシリコン膜を用いた薄膜太陽電池素子の製造に適している。
【符号の説明】
【0047】
1 基板ステージ
2 絶縁透光性基板
3 水素ガス供給用配管
4 シャワーヘッド
5 高周波電源
6 水素プラズマ
7 伸縮アーム(プローブ移動用)
8 ラングミュアプローブ
9 制御コントローラ
10 伸縮アーム(基板ステージ高さ調整用)
11 シランガス供給用配管
12 混合ガス
13 混合ガスプラズマ
14 微結晶シリコン膜
15 収納室
16 バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気変換層にシリコン膜を用いた薄膜太陽電池素子の製造などに用いられる半導体膜の製造装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から薄膜太陽電池では、太陽光スペクトルを幅広く有効利用するために、バンドギャップの異なる材料からなる複数の光電気変換層(半導体層)を絶縁透光性基板上に積層したタンデム構造がとられている。
【0003】
特に、シリコン系の薄膜太陽電池の場合、半導体層としてアモルファスシリコンセルと微結晶シリコンセルとを積層した構造がとられることが多い。各セルはp/i/n型膜を3層重ねた構造となっており、i型膜は発電層、p、n型膜は内臓電界を形成するための層である。
【0004】
微結晶シリコンセルでは、発電層のi型膜としては適度に結晶化した膜を適用することが望ましいとされている。すなわち、i型膜の結晶化率が最適値よりも高いと、膜中の欠陥密度が高くなるため、太陽電池の発電層に適用した場合には光照射で発生したキャリア(電子、正孔)をトラップして発電電流を損失させることが懸念される。逆に、i型膜の結晶化率が最適値よりも低いと、長波長域の入射光を十分に光電変換できないため、高い発電電流を得ることが困難になってくる。
【0005】
微結晶シリコン膜は、シランガス(SiH4)及び水素ガス(H2)を原料に用いたプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)で形成されることが多く、その膜質はプラズマ状態(電子温度、プラズマ電位、プラズマ密度)に強く依存することが報告されている。また、プラズマ状態は、各種製膜パラメータ(原料ガス流量比[H2/SiH4]、印加電圧、電源周波数、製膜圧力等)によって変化することが知られている。
【0006】
このため、従来の微結晶シリコン製膜装置では、製膜室のシャワーヘッド(アノード電極)と基板ステージ(カソード電極)との間にラングミュアプローブが設けられ、アノード−カソード間(AK電極間)で発生させたプラズマ中の電子温度の値をモニタして、製膜中にこの値が最適値を維持するように製膜パラメータ(ガス供給量、圧力、排気量、印加電圧)を調整している(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、実験用にラングミュアプローブをシャワーヘッドと基板ステージとの間に設けた製膜室として、電子温度を確認し、最適な値が得られるように製膜パラメータを更新して、良好な膜質を有する微結晶シリコン膜を安定に実現するといった検討もなされている。ラングミュアプローブは、それがちょうど入る程度の小孔を基板及び基板ホルダに開けて取り付けられる。また、製膜時のプラズマ中の負イオン濃度を電極間距離、製膜時の圧力、プラズマ励起周波数を調整することに制御することが示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−195810号公報
【特許文献2】特開2005−244037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2のように製膜条件でのプラズマ状態をラングミュアプローブで測定して最適化する方法は、薄膜シリコン太陽電池の製造においても膜質の制御に有効と考えられる。
【0010】
しかしながら、薄膜シリコン太陽電池は、大面積(1.1m×1.4m程度)のガラス基板上に作製する必要があるが、このようなガラス基板は同一の基板内においても厚さや平坦性が全面で均一であるとは限らない。したがって、特許文献1、2のように所定の一箇所における電子温度のモニタ結果のみに基づいて最適化を行っても、基板面内で膜質(結晶化率)や膜厚が不均一になる。
【0011】
さらに、処理する基板の厚み分布や傾斜、反り等は基板ごとに異なるため、特許文献1、2のように製膜条件による最適化を行っても、製膜ロットが異なると面内均一性や膜質の再現性は高くならない。
【0012】
すなわち、上記従来の技術には、良好な膜質の微結晶シリコン薄膜を大面積のガラス基板の面内に均一に形成できず、しかも異なる製膜ロット間では膜質に差が生じてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、良好な膜質の半導体膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成でき、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差が小さい半導体膜の製造装置及び方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、水素ガス及び該水素ガスと原料ガスとの混合ガスを分散供給するシャワーヘッドと基板ステージとが内部に設けられた真空容器を製膜室として備えた半導体膜の製造装置であって、シャワーヘッドと基板ステージとの間の空間にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、シャワーヘッドと基板ステージとの間の複数のモニタ箇所でプラズマの電子温度を測定する測定手段と、シャワーヘッドと基板ステージとの間隔を調整する間隔調整機構と、各モニタ箇所での電子温度の測定値が設定値と一致するように、間隔調整機構を制御してシャワーヘッドと基板ステージとの間隔を調整するコントローラとを有することを特徴とする半導体膜の製造装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる半導体膜の製造装置は、基板ステージ面内の複数のモニタ箇所のプラズマ状態(電子温度)をモニタし、各箇所における電子温度の測定値が設定値に近づくようにシャワーヘッドと基板ステージとの間隔を調整できる。これにより、良好な膜質の半導体膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成でき、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差を小さくできるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の複数箇所における電子温度をラングミュアプローブでモニタリングしている際の断面構造を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の領域a、e、d、hにおける電子温度をモニタリングしている状態を示す上面図である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の領域b、f、c、gにおける電子温度をモニタリングしている状態を示す上面図である。
【図4】図4は、一般的なプラズマCVD装置におけるアノード・カソード電極間距離と電子温度との関係を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の8箇所における電子温度のモニタ値を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置の微結晶シリコン膜を製膜している状態での断面構造を示す図である。
【図7】図7は、一般的なプラズマCVD装置で微結晶シリコン膜を作製した際の電極間距離と膜の結晶化率との関係を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜のラマン散乱スペクトルを示す図である。
【図9】図9(a)は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜の基板面内8箇所における結晶化率の値を示す図であり、図9(b)は、基板面内の結晶化率の測定ポイントを示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した薄膜太陽電池セルと従来の製造装置で作製した薄膜太陽電池セルとの発電効率の面内分布を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2にかかる微結晶シリコン膜の製造装置の微結晶シリコン膜を製膜している状態での断面構造を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態2にかかる微結晶シリコン膜の製造装置によって50枚連続で微結晶シリコン膜を製膜した際の電子温度の推移を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態2にかかる微結晶シリコン膜の製造装置及び従来の製造装置のそれぞれで、50枚連続で微結晶シリコン膜を製膜した際の膜の結晶化率の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ面内の複数箇所における電子温度をラングミュアプローブでモニタリングしている際の断面構造を示す図である。図1は、製膜プロセス前に水素ガスのみを供給して水素プラズマ6を発生させ、基板ステージ1面内の複数箇所におけるプラズマ中の電子温度を、装置に組み込まれたラングミュアプローブ8でモニタリングしている状態を示している。
【0019】
基板ステージ1の上に絶縁透光性基板2が設置されており、水素ガス供給用配管3を通じて反応室内へ送り込まれた水素ガスが、シャワーヘッド4を介して絶縁透光性基板2の上面に分散供給される。
【0020】
シャワーヘッド4には、高周波電源5によって高周波電圧が印加されている。高周波電源5がシャワーヘッド4に高周波電圧を印加することにより、接地電極である基板ステージ1と高周波電圧印加電極であるシャワーヘッド4とで挟まれた空間に水素プラズマ6が発生する。
【0021】
製膜室には、伸縮アーム7を備えたラングミュアプローブ8が複数個設けられており、伸縮アーム7を伸縮させることで、プローブ部を基板ステージ1面内でフレキシブルに移動させて、基板ステージ1面内の複数のモニタ箇所におけるプラズマの電子温度をモニタする。一つのラングミュアプローブ8が複数のモニタ箇所におけるプラズマの電子温度をモニタすることにより、ラングミュアプローブ8の数をモニタ箇所の数よりも少なくし、装置構成を簡略化できる。ただし、各モニタ箇所にラングミュアプローブ8を個別に設けても構わない。ラングミュアプローブ8は、基板ステージ1下に設けられた伸縮アーム10へ制御コントローラ9を介して電気的に接続された構成となっている。制御コントローラ9は、ラングミュアプローブ8でモニタした電子温度の測定値を予め設定された目標値(最適値)と比較して、測定値が目標値に近づくように、基板ステージ1下の伸縮アーム10を伸縮させて基板ステージ1の高さを変更し、シャワーヘッド4と絶縁透光性基板2との距離、すなわちAK電極間距離を自動調整する。制御コントローラ9は、電子温度の測定値が目標値に近づくようにAK電極間距離を調整するフィードバック制御を行っても良い。
【0022】
ここで、電子温度の目標値(最適値)とは、良好な膜質のシリコン膜が作製される装置状態下(AK電極間距離)における水素プラズマ中での電子温度の値を意味している。目標値は、予め水素プラズマの電子温度と、その後に実際に製膜された半導体膜の膜厚や膜質とを基に決められる。
【0023】
図2、3に、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態1としての微結晶シリコン膜の製造装置の製膜室内部の上面図を示す。ここでは例としてラングミュアプローブ8が4個設けられた構成を示しているが、設置するプローブの個数に特に制約はない。図2、3では基板ステージ1の面内を(a)から(h)までの8個の領域に分けて、各領域の電子温度を個別にモニタする構成を示しており、図2は、領域(a)、(e)、(d)、(h)の電子温度を、図3は領域(b)、(f)、(c)、(g)の電子温度を各々モニタしている状態を示している。
【0024】
伸縮アーム10は、ラングミュアプローブ8による各モニタ箇所に対応して、基板ステージ1の下に複数設けられている。伸縮アーム10を個別に伸縮させることで基板ステージ1の傾斜角を変化させて、基板ステージ1面内全域でのAK電極間距離が最適となるように調整することが可能である。
【0025】
また、モニタ箇所に対応する複数箇所の電子温度がおおよそ均一化されるように個別に伸縮アーム10を調整しても良い。3以上のモニタ箇所に対応する各箇所の電子温度を目標値と完全に一致させることが難しい場合もあるが、このような場合には、各箇所における電子温度の値が所定の目標値から一定の設定誤差範囲内に入るように個別に伸縮アーム10を調整するようにした後に、各箇所における電子温度の値の平均値を計算して、平均値との偏差が小さくなるように再度個別に伸縮アーム10を調整するようにしても良い。
【0026】
また、目標値はモニタ箇所に対応する箇所ごとに異なっていても良い。その場合には、各箇所で目標値と測定値との比が1に近づくように伸縮アーム10を調整すればよい。
【0027】
上記の伸縮アーム10の調整は、ラングミュアプローブ8によるモニタ結果に基づいて、制御コントローラ9が行う。
【0028】
一般に、プラズマ中の電子温度は、プラズマ状態を示す指標とされており、AK電極間距離の変動に起因して大きく変化することが知られている。図4に、AK電極間距離を8〜10mmの範囲で変化させて発生させた水素プラズマ中の電子温度の測定値を示す。図4において縦軸は電子温度(eV)、横軸は電極間距離(mm)を表している。AK電極間距離を0.5mm変化させることで、プラズマ中の電子温度は約1eV変化しており、絶縁透光性基板2の厚さが面内で±0.5mmばらついた場合、AK電極間の電子温度は最大で2eV程度変動することが懸念される。
【0029】
図5に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で、基板ステージ1面内におけるゾーン(a)〜(h)の8箇所の電子温度をラングミュアプローブ8によってモニタし、制御コントローラ9でAK電極間距離を自動調整した値の例を黒い三角形のシンボルで示す。なお、比較のため、図中には、AK電極間距離を自動調整しなかった場合における電子温度のモニタ値も黒丸のシンボルで示す。AK電極間距離を自動調整しなかった場合の基板ステージ1面内の8箇所での電子温度の分布は、{(Max−Min)/Avg.}×100(%)で約±4.6%の範囲であるが、ラングミュアプローブ8による電子温度のモニタ結果に基づいてAK電極間距離を自動制御した場合には、電子温度の分布は約±1.0%の範囲となっている。なお、Maxは全ての箇所における電子温度の最大値、Minは全ての箇所における電子温度の最小値、Avg.は全ての箇所における電子温度の平均値である。すなわち、ラングミュアプローブ8による電子温度のモニタ結果に基づいてAK電極間距離を自動制御することで、基板ステージ1面内の8箇所での電子温度の分布が{(Max−Min)/Avg.}×100(%)で約±4.6%から約±1.0%にまで低減できている。
【0030】
図6は、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態1としての微結晶シリコン膜の製造装置の製膜時の断面構造を示す図である。ここでは、製膜前における水素プラズマ中での電子温度のモニタリングにより、基板ステージ面内全域においてAK電極間距離が最適に調整された状態となっている。基板ステージ面内の複数のモニタ箇所のプラズマ状態(電子温度)をモニタ結果に基づいて、基板ステージ1の高さや傾きを調整した後、シランガス供給用配管11と水素ガス供給用配管3とを通じて、原料ガスとしてのシランガス及び水素ガスからなる混合ガス12を製膜室内へ送り込み、シャワーヘッド4を介して絶縁透光性基板2の上面に分散供給する。
【0031】
シャワーヘッド4には、高周波電源5によって高周波電圧が印加されているため、接地電極である基板ステージ1と高周波電圧印加電極であるシャワーヘッド4とで挟まれた空間に混合ガスプラズマ13が発生する。なお、制御コントローラ9は、微結晶シリコン膜を製膜する際に電子温度モニタ用のラングミュアプローブ8を全て混合ガスプラズマ13の範囲外に待避させて、製膜プロセス中のプラズマ空間分布の乱れを回避する。
【0032】
シランガスが混合ガスプラズマ13で分解されることによって製膜前駆体が生成され、絶縁透光性基板2の上に供給されて微結晶シリコン膜14が形成される。
【0033】
一般に、プラズマCVD法において、プラズマ中の電子温度はシランガス及び水素ガスの分解反応レートを支配しており、作製される微結晶シリコン膜の膜質、特に結晶化率に強い影響を与えることが知られている。
【0034】
図7に、AK電極間距離を8〜10mmの間で変化させて作製した微結晶シリコン膜の結晶化率を示す。図7において縦軸は結晶化率、横軸は電極間距離(mm)を表している。ここでは結晶化率は、図8に示すように、シリコン膜をラマン分光法で測定した際に得られるスペクトルの520cm−1と480cm−1に現れるピーク強度比I520/I480で定義する。なお、図8の縦軸は測定光の強度(任意単位)、横軸は波数(cm−1)を表している。図7で、AK電極間距離を8→9mmへと1mm広げることで電子温度が低下し、作製されるシリコン膜の結晶化率I520/I480は、約5.0から約0.2へと急激に低下している。
【0035】
図9(a)に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜(膜厚:2μm)の面内8箇所(図9(b)に示すポイント(a)〜(h))における結晶化率I520/I480の測定値を黒い三角形のシンボルで示す。ここでは、100mm角サイズの透明電極層付きのガラス基板上に製膜を行っている。図9(b)には、作製した微結晶シリコン膜の結晶化率の測定ポイントを示す。
比較のため、図9(a)中には、AK電極間距離の調整機能を備えていない従来の製造装置で作製した微結晶シリコン膜の結晶化率の測定値を黒丸のシンボルで示している。図9(a)から明らかなように、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜では、従来の装置で作製した微結晶シリコン膜と比較して結晶化率のばらつきが相当低く抑えられており、{(Max−Min)/Avg.}×100(%)での面内分布(同一の絶縁透光性基板におけるばらつき)として約±2.4%が実現されている。なお、従来装置で作製した微結晶シリコン膜では概ね±79%である。
【0036】
図10に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で作製した微結晶シリコン膜(i型)を発電層に適用した薄膜太陽電池セルの発電効率の面内分布を示す。ここでは、100mm角サイズの基板上に5mm角サイズの微結晶シリコン太陽電池セルを64個作製し、全セルの発電効率を評価している。
同一の絶縁透光性基板における結晶化率のばらつきが低減されたことで、図10に示すように太陽電池セルの発電効率のばらつきも、約±34%から約±3.5%へ大幅に改善されている。
【0037】
以上のように、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置では、伸縮アームが装着された複数個のラングミュアプローブを製膜室に設け、基板ステージ面内の複数のモニタ箇所のプラズマ状態(電子温度)をモニタし、各箇所における電子温度の値が所定の目標値から一定の設定誤差の範囲内に入るよう、基板ステージ高さを自動的に調整するため、基板ステージの全面において目標とするプラズマ状態を均一に実現することを可能とする。これにより、良好な膜質の微結晶シリコン膜を絶縁透光性基板2の面内で均一に作製できる。さらに、同一条件で異なる製膜間(異なるロット間)での膜質のばらつきを低減し、良好な膜質の微結晶シリコン膜を安定に実現できる。すなわち、製膜前に基板ステージ面内の複数のモニタ箇所で水素ガスプラズマの電子温度を測定し、測定結果に基づいて基板ステージの高さや傾きを調整した後に製膜を行うことにより、絶縁透光性基板2の厚さにばらつきがあったり、傾きがあったりしても、良好な膜質の微結晶シリコン膜を基板面内で均一に作製できる。
【0038】
したがって、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で薄膜太陽電池を作製した場合、従来の製造装置を用いて作製した場合と比較してより良好な面内分布で高い発電効率を実現可能である。
【0039】
また、製膜プロセス中にラングミュアプローブ8を混合ガスプラズマ13の範囲外へ退避させるため、ラングミュアプローブ8の表面に微結晶シリコン膜が付着することを防止できる。したがって、プローブ表面は常時清浄な状態に保たれ、高精度の電子温度のモニタリングを長期間にわたって行うことが可能となる。さらに、ラングミュアプローブ8の劣化が抑制されることで、従来装置と比較して寿命が飛躍的に延びることから、プローブ交換の作業頻度を大きく低減できる。これにより、装置の稼働時間を増大し、生産性を向上させることが可能となる。
【0040】
実施の形態2.
図11は、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法の実施の形態2としての微結晶シリコン膜の製造装置の製膜時の断面構造を示す図である。本実施の形態では、ラングミュアプローブ8の収納室15が製膜室とは別に設けられている。収納室15と製膜室とはバルブ16を介して接続されており、製膜プロセス中にはラングミュアプローブ8は収納室15に収められ、バルブ16は閉状態とされる。これにより、製膜プロセス中に混合ガス12がラングミュアプローブ8の表面に飛来して膜が付着することが防止される。
【0041】
図12に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で50枚の微結晶シリコン膜の連続製膜を行った場合の、水素プラズマ中での電子温度のモニタ値の推移を示す。図12から明らかなように、各製膜時における電子温度のモニタ値の変動は約±1.5%に抑えられており、プローブ表面への膜付着及びプローブ劣化に起因するモニタリングの不良は発生しておらず、高精度なフィードバックによる自動制御を行えている。
【0042】
図13に、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で微結晶シリコン膜を50枚連続で製膜した場合の、製膜ごとの結晶化率の推移を黒い三角形のシンボルで示す。ここでは100mm角サイズの透明電極層付きのガラス基板上に微結晶シリコン膜を製膜し、基板中央部の結晶化率を代表値としてプロットしている。また、図中にはAK電極間距離の調整機構を備えていない従来の製造装置で作製した微結晶シリコン膜の結晶化率の値も黒丸のシンボルで併せて示している。本実施の形態では、各製膜前にAK電極間距離が調整されて電子温度が最適値に保たれる構成となっている。さらに、プローブ表面への膜付着が防止され、AK電極間の調整が製膜のたびに安定して行われる。このため、作製される膜の結晶化率は製膜ロット間で安定する。実際、図13においては、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で連続製膜した微結晶シリコン膜は、1から50枚目までで結晶化率の変動は、{(Max−Min)/Avg.}×100(%)で約±2.5%に抑え込めている。これに対し、従来の製造装置では概ね±10%である。
【0043】
以上のように、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置で製膜した微結晶シリコン膜を用いて薄膜太陽電池を作製した場合、従来の製造装置で製膜した微結晶シリコン膜を用いて薄膜太陽電池を作製した場合と比較して、高い発電効率をより良好な面内分布で、ロット間で安定して実現できる。
【0044】
また、本実施の形態にかかる微結晶シリコン膜の製造装置は、製膜室とは別に、バルブ16を介して製膜質に接続された収納室15を備えている。そして、混合ガス12を流す製膜プロセス中には、ラングミュアプローブ8に装着された伸縮アーム7が縮み、ラングミュアプローブ8は収納室15内に収まるようになっている。これにより、製膜プロセス中に混合ガス12がラングミュアプローブ8の表面に飛来して膜が付着することを防止できる。したがって、実施の形態1と同様に、プローブ表面は常時清浄な状態に保たれ、高精度の電子温度のモニタリングを長期間にわたって行うことが可能となる。さらに、ラングミュアプローブ8の劣化が抑制されることで、従来装置と比較して寿命が飛躍的に延びることから、プローブ交換の作業頻度を大きく低減できる。これにより、装置の稼働時間を増大し、生産性を向上させることが可能となる。
【0045】
なお、上記の各実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれらに限定されることはない。
例えば、上記各実施の形態においては、微結晶シリコン膜を生成する場合を例として説明したが、微結晶半導体膜は微結晶シリコン膜に限定されることはなく、微結晶シリコンゲルマニウムなどの微結晶半導体膜の生成にも適用可能である。
このように、本発明は、様々な変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる半導体膜の製造装置及び方法は、良好な膜質の半導体薄膜を大面積の絶縁透光性基板の面内に均一に形成し、かつ異なる製膜ロット間での膜質の差が小さくできる点で有用であり、特に、光電気変換層にシリコン膜を用いた薄膜太陽電池素子の製造に適している。
【符号の説明】
【0047】
1 基板ステージ
2 絶縁透光性基板
3 水素ガス供給用配管
4 シャワーヘッド
5 高周波電源
6 水素プラズマ
7 伸縮アーム(プローブ移動用)
8 ラングミュアプローブ
9 制御コントローラ
10 伸縮アーム(基板ステージ高さ調整用)
11 シランガス供給用配管
12 混合ガス
13 混合ガスプラズマ
14 微結晶シリコン膜
15 収納室
16 バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガス及び該水素ガスと原料ガスとの混合ガスを分散供給するシャワーヘッドと基板ステージとが内部に設けられた真空容器を製膜室として備えた半導体膜の製造装置であって、
前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間の空間にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間の複数のモニタ箇所で前記プラズマの電子温度を測定する測定手段と、
前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間隔を調整する間隔調整機構と、
前記各モニタ箇所での前記電子温度の測定値が設定値と一致するように、前記間隔調整機構を制御して前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間隔を調整するコントローラとを有することを特徴とする半導体膜の製造装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記複数のモニタ箇所のうちの2箇所以上への配置を可能とする移動機構を備えたプローブを少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1記載の半導体膜の製造装置。
【請求項3】
前記間隔調整機構は、前記基板ステージの前記シャワーヘッドと対向しない側に設置された複数の伸縮アームからなり、
前記コントローラは、前記測定手段による前記各モニタ箇所での前記電子温度の測定値が前記設定値を含む一定の範囲内に入るように伸縮アームを個別に伸縮させることにより、前記基板ステージの面内全域で前記シャワーヘッドとの間隔を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体膜の製造装置。
【請求項4】
前記製膜室と隣接して、前記測定手段を収容可能かつ前記製膜室と気密隔離可能な収容室が設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体膜の製造装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項記載の半導体膜の製造装置を用いた半導体膜の製造方法であって、
前記シャワーヘッドから前記水素ガスを分散供給して水素プラズマを発生させた状態で前記測定手段に前記電子温度を測定させる測定工程と、
前記測定工程における前記電子温度の測定結果に基づいて前記コントローラが前記基板ステージと前記シャワーヘッドとの間隔を調整する間隔調整工程と、
前記基板ステージと前記シャワーヘッドとの間隔調整後に、前記測定手段を前記基板ステージの面外へ退避させる工程と、
前記測定手段の退避後に前記混合ガスを前記製膜室内へ供給して製膜を行う工程とを有することを特徴とする半導体膜の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体膜の製造装置を用いた半導体膜の製造方法であって、
前記シャワーヘッドから前記水素ガスを分散供給して水素プラズマを発生させた状態で前記測定手段に前記電子温度を測定させる測定工程と、
前記測定工程における前記電子温度の測定結果に基づいて前記コントローラが前記基板ステージと前記シャワーヘッドとの間隔を調整する工程と、
前記測定手段の退避後に前記混合ガスを前記製膜室内へ供給して製膜を行う工程とを有し、
前記測定工程以外の工程では、前記測定手段を前記収容室に収容し、該収容室を前記製膜室と気密隔離することを特徴とする半導体膜の製造方法。
【請求項1】
水素ガス及び該水素ガスと原料ガスとの混合ガスを分散供給するシャワーヘッドと基板ステージとが内部に設けられた真空容器を製膜室として備えた半導体膜の製造装置であって、
前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間の空間にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間の複数のモニタ箇所で前記プラズマの電子温度を測定する測定手段と、
前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間隔を調整する間隔調整機構と、
前記各モニタ箇所での前記電子温度の測定値が設定値と一致するように、前記間隔調整機構を制御して前記シャワーヘッドと前記基板ステージとの間隔を調整するコントローラとを有することを特徴とする半導体膜の製造装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記複数のモニタ箇所のうちの2箇所以上への配置を可能とする移動機構を備えたプローブを少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1記載の半導体膜の製造装置。
【請求項3】
前記間隔調整機構は、前記基板ステージの前記シャワーヘッドと対向しない側に設置された複数の伸縮アームからなり、
前記コントローラは、前記測定手段による前記各モニタ箇所での前記電子温度の測定値が前記設定値を含む一定の範囲内に入るように伸縮アームを個別に伸縮させることにより、前記基板ステージの面内全域で前記シャワーヘッドとの間隔を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体膜の製造装置。
【請求項4】
前記製膜室と隣接して、前記測定手段を収容可能かつ前記製膜室と気密隔離可能な収容室が設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体膜の製造装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項記載の半導体膜の製造装置を用いた半導体膜の製造方法であって、
前記シャワーヘッドから前記水素ガスを分散供給して水素プラズマを発生させた状態で前記測定手段に前記電子温度を測定させる測定工程と、
前記測定工程における前記電子温度の測定結果に基づいて前記コントローラが前記基板ステージと前記シャワーヘッドとの間隔を調整する間隔調整工程と、
前記基板ステージと前記シャワーヘッドとの間隔調整後に、前記測定手段を前記基板ステージの面外へ退避させる工程と、
前記測定手段の退避後に前記混合ガスを前記製膜室内へ供給して製膜を行う工程とを有することを特徴とする半導体膜の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体膜の製造装置を用いた半導体膜の製造方法であって、
前記シャワーヘッドから前記水素ガスを分散供給して水素プラズマを発生させた状態で前記測定手段に前記電子温度を測定させる測定工程と、
前記測定工程における前記電子温度の測定結果に基づいて前記コントローラが前記基板ステージと前記シャワーヘッドとの間隔を調整する工程と、
前記測定手段の退避後に前記混合ガスを前記製膜室内へ供給して製膜を行う工程とを有し、
前記測定工程以外の工程では、前記測定手段を前記収容室に収容し、該収容室を前記製膜室と気密隔離することを特徴とする半導体膜の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−60852(P2011−60852A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206278(P2009−206278)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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