説明

半導体装置の製造方法、半導体装置

【課題】
基準電圧発生回路の占有面積を縮小できる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板1上の回路素子3を被覆する第1絶縁膜5を形成する工程と、互いに電気的に分離される共に第1絶縁膜5内に埋め込まれた導電材料7を介して前記回路素子3にそれぞれ電気的に接続される一対の第1配線9を第1絶縁膜5上に形成する工程と、前記第1配線9を被覆する第2絶縁膜11を形成する工程と、前記第1配線9を露出させる一対の開口部13を第2絶縁膜11に形成する工程と、前記開口部13を介して前記第1配線9を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2配線15を第2絶縁膜11上に形成する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関し、特に、基準電圧発生回路の占有面積を縮小できる半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では基準電圧発生回路の分圧抵抗にはポリSiまたはタングステンシリサイド、またはAL系合金で抵抗配線を形成して使用していた。最近液晶パネルの多階調化に伴い、液晶ドライバーの基準電圧発生回路の分圧抵抗のチップ占有面積は大きくなる傾向にある。
【0003】
図3は、従来の半導体装置の基準電圧発生回路部分の構造を示す断面図である。この半導体装置では、半導体基板51上に、複数のトランジスタ53(ゲート電極53a、ソース・ドレイン領域53b)が形成され、隣接するトランジスタ53間には、素子分離領域55が形成されている。素子分離領域55上には、分圧抵抗57が形成されている。分圧抵抗57は、ゲート電極53aの配線材料に一般的に使用されるポリSiまたはタングステンシリサイドで形成されている。トランジスタ53及び分圧抵抗57は、層間絶縁膜59で被覆されている。また、層間絶縁膜59上には、金属配線61が形成されており、金属配線61は、層間絶縁膜59内に形成されたプラグ63を介して、分圧抵抗57とトランジスタ53とを電気的に接続している。なお、素子分離領域55上に形成されたゲート配線56は、ゲート電極53aを互いに電気的に接続するなどの役割を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準電圧発生回路は、通常、トランジスタなど回路素子と、分圧抵抗とからなるが、従来の半導体装置では、回路素子と分圧抵抗は、異なる領域に形成されていた。このため、分圧抵抗領域が広がるにつれて、基準電圧発生回路全体の占有面積も広がっていた。
【0005】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、基準電圧発生回路の占有面積を縮小できる半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上の回路素子を被覆する第1絶縁膜を形成する工程と、互いに電気的に分離される共に第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して前記回路素子にそれぞれ電気的に接続される一対の第1配線を第1絶縁膜上に形成する工程と、前記第1配線を被覆する第2絶縁膜を形成する工程と、前記第1配線を露出させる一対の開口部を第2絶縁膜に形成する工程と、前記開口部を介して前記第1配線を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2配線を第2絶縁膜上に形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0007】
半導体基板上の回路素子の上方に一対の第1配線が形成され、これら一対の第1配線は第2配線によって所定の抵抗値で電気的に接続され、この第2配線が分圧抵抗となる。従って、本発明によれば、回路素子の上方に分圧抵抗を形成することができる。すなわち、従来の半導体装置と異なり、基板上の同一領域に回路素子と分圧抵抗を形成することができるので、基準電圧発生回路の占有面積を概ね半分程度に縮小することができる。
【0008】
また、従来は回路素子と分圧抵抗が異なる領域に形成されていたので、両者を電気的に接続する配線領域が必要であったが、本発明によれば、回路素子と分圧抵抗とは第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して電気的にされるので、両者を電気的に接続する配線領域が不要であり、この点からも基準電圧発生回路の占有面積を縮小することができる。
【0009】
また、液晶ドライバーにおいて、液晶パネル機種毎に液晶ドライバーの入出力特性を調整する場合、基準電圧発生回路の電圧分圧比の変更が必要となるが、本発明によれば、従来よりも上層に分圧抵抗が形成されるので、従来よりも遅い工程で基準電圧発生回路の電圧分圧比を変更することができ、このため、少量多品種生産において、工程内在庫が少なくなり、納期が早くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.半導体装置の製造方法
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上の回路素子を被覆する第1絶縁膜を形成する工程と、互いに電気的に分離される共に第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して前記回路素子にそれぞれ電気的に接続される一対の第1配線を第1絶縁膜上に形成する工程と、前記第1配線を被覆する第2絶縁膜を形成する工程と、前記第1配線を露出させる一対の開口部を第2絶縁膜に形成する工程と、前記開口部を介して前記第1配線を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2配線を第2絶縁膜上に形成する工程とを備える。
【0011】
1−1.半導体基板上の回路素子を被覆する第1絶縁膜を形成する工程
半導体基板は、後述する回路素子を形成可能な基板からなり、例えば、シリコンなどの元素半導体基板、又はGaAsなどの化合物半導体基板などからなる。回路素子は、基準電圧発生に必要な素子からなり、例えば、トランジスタなど能動素子を含む。通常、複数の能動素子が組み合わさってスイッチング回路又はオペアンプなどが形成される。第1絶縁膜は、SiO2又はBPSGなどからなり、CVD法などで形成することができる。第1絶縁膜は、好ましくは、600〜900nmの厚さで形成する。
【0012】
1−2.互いに電気的に分離される共に第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して前記回路素子にそれぞれ電気的に接続される一対の第1配線を第1絶縁膜上に形成する工程
第1絶縁膜上には、一対の第1配線が形成される。各第1配線は、第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料(例えばタングステンプラグ)を介して回路素子に接続される。第1配線は、好ましくは、金属又は合金からなり、例えば、Al−Cu合金からなる。第1配線は、好ましくは、400〜600nmの厚さで形成する。第1配線は、例えば、スパッタ法などで第1絶縁膜上に第1配線用薄膜を形成し、この薄膜をエッチングなどでパターニングすることによって形成することができる。一対の第1配線は、互いに電気的に分離されるように形成され、後述する第2配線によって所定の抵抗値で互いに電気的に接続され、第2配線が分圧抵抗になる。
【0013】
1−3.前記第1配線を被覆する第2絶縁膜を形成する工程
第2絶縁膜は、SiO2又はBPSGなどからなり、CVD法などで形成することができる。第2絶縁膜は、好ましくは、600〜900nmの厚さで形成する。
【0014】
1−4.前記第1配線を露出させる一対の開口部を第2絶縁膜に形成する工程
一対の第1配線が、それぞれ露出するように、一対の開口部を第2絶縁膜に形成する。一対の開口部は、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、第2絶縁膜を選択的に除去することによって形成することができる。各開口部の径は、好ましくは、0.4〜0.6μmである。この程度の大きさであれば、第2配線によって容易に一対の第1配線を電気的に接続することができるからである。
【0015】
1−5.前記開口部を介して前記第1配線を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2配線を第2絶縁膜上に形成する工程
第2配線は、好ましくは、金属、合金又は不純物のドープされた半導体からなる。第2配線は、単層膜であっても積層膜であってもよい。第2配線は、例えば、Ti(例えば30〜50nm)とTiN(例えば50〜150nm)の積層膜からなる。この場合、タングステンプラグ用のバリアメタル層の形成工程で第2配線用薄膜を形成することができ、工程数の増加を抑えることができるからである。第2配線は、例えば、スパッタ法などで第2絶縁膜上に第2配線用薄膜を形成し、この薄膜をエッチングなどでパターニングすることによって形成することができる。
【0016】
第2配線は、所定の抵抗値を有しており、基準電圧発生回路の分圧抵抗となる。第2配線は、基板上の回路素子の上方に形成することができるので、基準電圧発生回路全体の占有面積を縮小することができる。
【0017】
また、第2配線(又は第2配線用薄膜)を形成した後に、前記開口部に導電材料を充填する工程をさらに備えてもよい。この場合、開口部を埋めて平坦化することができ、後の配線工程を容易にすることができる。導電材料は、タングステンであることが好ましい。この場合、タングステンプラグの形成工程で開口部の充填を行うことができ、工程数の増加を抑えることができるからである。
【0018】
2.半導体装置
本発明の半導体装置は、半導体基板上の回路素子を被覆する第1絶縁膜と、互いに電気的に分離されると共に第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して前記回路素子にそれぞれ電気的に接続される第1絶縁膜上の一対の第1配線と、前記第1配線を被覆する第2絶縁膜と、前記第1配線を露出させる第2絶縁膜に形成された一対の開口部と、前記開口部を介して前記第1配線を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2絶縁膜上の第2配線とを備える。
【0019】
このような半導体装置は、上記半導体装置の製造方法によって形成することができる。従って、上記半導体装置の製造方法についての説明は、その趣旨に反しない限り半導体装置についても当てはまる。
【実施例1】
【0020】
1.半導体装置
図1は、本実施例の半導体装置の構造を示す断面図である。本実施例の半導体装置は、半導体基板1上に、複数のトランジスタ3(ゲート電極3a、ソース・ドレイン領域3b)を被覆する第1絶縁膜5と、互いに電気的に分離されると共に第1絶縁膜5内に埋め込まれた導電材料7を介して前記トランジスタ3にそれぞれ電気的に接続される第1絶縁膜5上の一対の第1配線9と、前記第1配線9を被覆する第2絶縁膜11と、前記第1配線9を露出させる第2絶縁膜11に形成された一対の開口部13と、前記開口部13を介して前記第1配線9を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2絶縁膜11上の第2配線15とを備える。隣接するトランジスタ3間には、素子分離領域17が形成されている。開口部13には、導電材料19が充填され、その上に、第3絶縁膜21が形成されている。第3絶縁膜21を形成した領域以外の領域には、第3配線23が形成されている。第3絶縁膜21及び第3配線23は、カバーグラス25で覆われている。
【0021】
2.半導体装置の製造方法
以下、図2を用いて、上記半導体装置の製造方法について説明する。なお、図2は、本実施例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0022】
まず、半導体基板1上に複数のトランジスタ3及び素子分離領域17を形成する。次に、複数のトランジスタ3を被覆する第1絶縁膜5を形成する。第1絶縁膜5は、例えばCVD法でSiO2又はBPSGを600〜900nm堆積して形成する。次に、第1絶縁膜5にコンタクト穴を形成し、形成した穴に導電材料(例えばタングステン)7を充填する。
【0023】
次に、得られた基板上に、第1配線9用薄膜を形成する。第1配線9用薄膜は、例えばスパッタ法でAL−Cuを400〜600nm堆積して形成する。次に、第1配線9用薄膜を選択的にエッチングし、一対の第1配線9を形成する。一対の第1配線9は、互いに電気的に分離されると共に導電材料7を介してトランジスタ3にそれぞれ電気的に接続される。
【0024】
次に、得られた基板上に第1配線9を被覆する第2絶縁膜11を形成する。第2絶縁膜11は、例えばCVD法でSiO2を600〜900nm堆積して形成する。第2絶縁膜11は、900nmより厚く形成し、その後CMP法で平坦化を行って、形成してもよい。次に、第2絶縁膜11を選択的にエッチングして、第1配線9を露出させる一対の開口部13を第2絶縁膜11に形成する。一対の開口部13を形成する際に、後の第3配線のための開口部13aも形成する。ここまでの工程で、図2(a)に示す構造が得られる。
【0025】
次に、第2絶縁膜11と開口部13,13aを被覆する第2配線用金属膜15aを、例えばスパッタ法でTiを30〜50nm、TiNを50〜150nm堆積して形成する。さらに、例えばCVD法でタングステンを400〜600nm堆積形成してタングステン層19aを形成し、図2(b)に示す構造を得る。
【0026】
次に、タングステン層19aを選択的にエッチングして開口部13,13aにタングステンを充填してタングステンプラグ19を形成する。次に、第2配線が形成される領域を覆う第3絶縁膜21を形成する。第3絶縁膜21は、例えばCVD法で基板全面にSiO2を100〜200nm堆積して基板全面に絶縁膜を形成し、得られた絶縁膜を選択的にエッチングして形成し、図2(c)に示す構造を得る。
【0027】
次に、得られた基板上に、第3配線用金属膜23aを、例えばスパッタ法でAl−Cuを400〜900nm堆積して形成し、図2(d)に示す構造を得る。
【0028】
次に、第3絶縁膜21上方以外の領域にフォトレジストパターンを形成し、このパターンと第3絶縁膜21をマスクとして第3配線用金属膜23aと第2配線用金属膜15aを同時にエッチングし、第3配線23を形成する。この際、第2配線用金属膜15aのうち第3絶縁膜21に覆われた部分は残り、第2配線15が形成される。第2配線15は、一対の開口部13を介して、一対の第1配線9を所定の抵抗で電気的に接続する。このため、第2配線15は、抵抗素子として機能する。なお、第2配線15は、Al系合金からなる第1配線9と、Wプラグ19との間に形成されていてバリア膜として機能することは公知のとおりである。
【0029】
最後に、得られた基板を覆うカバーガラス25を形成し、図1に示す構造を得て、本実施例の半導体装置の製造を完了する。
【0030】
本実施例では、第2配線15のシート抵抗は10〜20Ω/□であり、第1配線9のシート抵抗0.03〜0.05Ω/□と比べて十分大きく、高精度な基準電圧発生回路の分圧抵抗素子を製造することができる。
【実施例2】
【0031】
実施例2では、図2(c)において、基板全面に形成された絶縁膜を選択的にエッチングして第3絶縁膜21を形成する際に、第2配線用金属膜15aも同時にエッチングする。その他の工程は、実施例1と同様である。この場合も、第3配線用金属膜23aを選択的にエッチングする時、第3絶縁膜21に被覆された第2配線15は残存したまま、それを覆う第3配線用金属膜23aが除去されて、実施例1と同じものができる。
【0032】
上記実施例は金属配線が2層の場合について記述したが、3層以上の多層配線の場合でもViaの接続にWプラグを使っている配線層についてはどの層に対しても本発明を適用できる。また複数の配線層で本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1:半導体基板 3:トランジスタ 5:第1絶縁膜 7:導電材料 9:第1配線 11:第2絶縁膜 13:開口部 15:第2配線 17:素子分離領域 19:導電材料 21:第3絶縁膜 23:第3配線 25:カバーグラス
51:半導体基板 53:トランジスタ 55:素子分離領域 57:分圧抵抗 59:層間絶縁膜 61:金属配線 63:プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上の回路素子を被覆する第1絶縁膜を形成する工程と、
互いに電気的に分離される共に第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して前記回路素子にそれぞれ電気的に接続される一対の第1配線を第1絶縁膜上に形成する工程と、
前記第1配線を被覆する第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第1配線を露出させる一対の開口部を第2絶縁膜に形成する工程と、
前記開口部を介して前記第1配線を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2配線を第2絶縁膜上に形成する工程とを備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
回路素子は、能動素子を含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
第2配線は、Ti及びTiNの積層膜からなる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記開口部に導電材料を充填する工程をさらに備える請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板上の回路素子を被覆する第1絶縁膜と、
互いに電気的に分離されると共に第1絶縁膜内に埋め込まれた導電材料を介して前記回路素子にそれぞれ電気的に接続される第1絶縁膜上の一対の第1配線と、
前記第1配線を被覆する第2絶縁膜と、
前記第1配線を露出させる第2絶縁膜に形成された一対の開口部と、
前記開口部を介して前記第1配線を所定の抵抗値で互いに電気的に接続させる第2絶縁膜上の第2配線とを備える半導体装置。
【請求項6】
回路素子は、能動素子を含む請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
第2配線は、Ti及びTiNの積層膜からなる請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記開口部に導電材料が充填されている請求項5に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−108248(P2006−108248A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290450(P2004−290450)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】