説明

半導体装置

【課題】VCOに含まれるスパイラルインダクタとMOSバラクタを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】LCタンクVCOは、第1および第2のスパイラルインダクタL1,L2と、第1および第2のMOSバラクタC1,C2とを備える。第1および第2のMOSバラクタC1,C2は、半導体基板に垂直な方向から見たときに、第1のスパイラルインダクタL1と第2のスパイラルインダクタL2の間の領域に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体基板上に形成されたVCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)の構成要素のレイアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
PCI EXPRESSなどの高速インタフェース技術の進歩によって、インタフェース回路に、安価でコンパクトなCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術によってVCOなどの部品を実装することが注目されている。
【0003】
たとえば、非特許文献1は、1つの半導体基板上のCMOSトランジスタによって構成されたLCタンクVCOが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"A 10-Ghz CMOS LC VCO with Wide Tuning Range Using Capacitive Degeneration", TAE-Guen Yu, Seong-IK Cho, and Hang-Geun Jeong, JOURNAL OF SEMICONDUCTOR TECHNOLOGY AND SCIENCE, VOL.6, NO.4, December, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1のLCタンクVCOのレイアウトは、スパイラルインダクタと、MOSバラクタとの配置が離れているため、これらの間を接続する配線に寄生インダクタおよび寄生容量が付加されてしまう。その結果、実測のVCOの発振周波数が、回路シミュレーションによる理論上の見積もりからずれてしまうことがある。
【0006】
すなわち、LCタンクに含まれるスパイラルインダクタのインダクタンスをLとし、MOSバラクタの容量をCとしたときに、VCOの理論上の発振周波数f1は、次式で与えられる。
【0007】
f1=1/[2×π×{L×C}1/2]・・・(1)
さらに、スパイラルインダクタとMOSバラクタを接続する配線に付加された寄生インダクタのインダクタンスをLpとし、配線に付加された寄生容量をCpとしたときに、VCOの実測の発振周波数f2は、次式で与えられる。
【0008】
f2=1/[2×π×{(L+Lp)×(C+Cp)}1/2]・・・(2)
非特許文献1のLCタンクVCOでは、スパイラルインダクタとMOSバラクタを接続する配線の長さが長いので、式(2)におけるLpおよびCpの大きさが大きくなる。その結果、式(2)の周波数f2は、式(1)の理論上の周波数f1と大きくずれることになる。
【0009】
それゆえに、本発明の目的は、VCOに含まれるスパイラルインダクタとMOSバラクタを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に形成されたLCタンクVCOとを備える。LCタンクVCOは、第1および第2のスパイラルインダクタと、第1および第2のMOSバラクタとを含む。第1および第2のMOSバラクタは、半導体基板に垂直な方向から見たときに、第1のスパイラルインダクタと第2のスパイラルインダクタの間の領域に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、VCOに含まれるインダクタとMOSバラクタを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の半導体装置の構成を表わす図である。
【図2】図1の半導体装置に含まれるCDRの構成を表わす図である。
【図3】図1の半導体装置に含まれるPLLの構成を表わす図である。
【図4】図2のCDRに含まれるVCOおよび出力バッファの構成を表わす図である。
【図5】第1の実施形態におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【図6】図5における第1および第2のMOSバラクタおよび出力バッファの配置および配線を拡大した図である。
【図7】本発明の実施形態の半導体装置におけるバンプの配置を表わす図である。
【図8】第1の実施形態の変形例におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【図9】第2の実施形態におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【図10】第2の実施形態の変形例におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態の半導体装置の構成を表わす図である。
【0014】
図1を参照して、この半導体装置1は、シリアルデータとパラレルデータを相互変換する物理層の半導体チップである。この半導体装置1は、PHYLogic2と、PLL(Phase-locked loop)3と、DES(DESerializer)8と、SER(SERializer)4と、CDR(Clock Data Recovery)7と、受信バッファ6と、送信バッファ5とを備える。
【0015】
受信バッファ6は、シリアル回線と接続される入力PAD82を介して受信したシリアル信号INをCDRに出力する。
【0016】
CDR7は、受信したシリアル信号INからクロック信号CLK1とデータ信号DOを再生する。
【0017】
DES8は、CDR7から出力されるクロック信号CLK1をPHYLogicに出力するとともに、CDR7から出力されるシリアルのデータ信号DOをパラレルのデータ信号に変換して、PHYLogic2に出力する。
【0018】
PHYLogic2は、DES8からパラレルのデータ信号を受けて、上位の層へ出力する。また、PHYLogic2は、上位の層から受けたパラレルのデータ信号をSER4へ出力する。また、PHYLogic2が出力するパラレルのデータ信号は、PLL3から出力されるクロック信号CLK1に同期する。
【0019】
PLL3は、基準クロック信号Refclkに同期したクロック信号CLK2をSER4に出力する。
【0020】
SER4は、PLL3から出力されるクロック信号CLK2に同期して、PHYLogic2から出力されるパラレルのデータ信号をシリアルのデータ信号に変換する。
【0021】
送信バッファ5は、SER4から出力されるシリアルのデータ信号を受けて、出力PAD81を介してシリアル回線へ出力する。
【0022】
(CDRの構成)
図2は、図1の半導体装置に含まれるCDRの構成を表わす図である。
【0023】
図2を参照して、CDR7は、PD(Phase Detector:位相比較器)16と、PFD(Phase Frequency Detector:位相周波数比較器)15と、LF(Loop Filter:ループフィルタ)17と、VCO18と、出力バッファ21とを有する。
【0024】
PFD15は、基準クロック信号RefclkとVCO18から出力されるクロック信号との立ち上がりエッジを比較し、比較結果に基づく信号を出力する。
【0025】
PD16は、受信バッファ6から出力されるシリアル信号INとVCO18から出力されるクロック信号との位相を比較し、位相差に応じた信号を出力する。
【0026】
LF17は、PFD15およびPD16から出力される信号を平滑化するローパスフィルタである。
【0027】
VCO18は、LF17から出力される信号(電圧)の大きさに応じて出力周波数を制御する。
【0028】
出力バッファ21は、VCO18から出力される信号を外部に出力する。
(PLLの構成)
図3は、図1の半導体装置に含まれるPLLの構成を表わす図である。
【0029】
図3を参照して、PLL3は、PFD11と、LF12と、VCO13と、出力バッファ14とを有する。
【0030】
PFD11は、入力された2つの信号の位相・周波数差を比較し、比較結果に基づく信号を出力する。
【0031】
LF12は、PFD11から出力される信号を平滑化するローパスフィルタである。
VCO13は、LF12から出力される信号(電圧)の大きさに応じて出力周波数を制御する。
【0032】
出力バッファ14は、VCO13から出力される信号を外部に出力する。
(VCOおよび出力バッファの構成)
図4は、図2のCDRに含まれるVCOおよび出力バッファの構成を表わす図である。図3のPLL3に含まれるVCO13および出力バッファ14も、これと同様である。図4に示す、すべての回路素子は、1つのシリコン半導体基板上に形成されている。
【0033】
図4に示すVCOは、LC並列共振回路(LCタンク回路)を有するCMOS VCOである。
【0034】
このVCOは、第1のMOSバラクタC1と、第2のMOSバラクタC2と、第1のスパイラルインダクタL1と、第2のスパイラルインダクタL2と、安定化回路24とを備える。安定化回路24は、差動MOSトランジスタ対22と、定電流源23とを含む。
【0035】
第1のスパイラルインダクタL1の一端は電源VDDに接続され、他端はノードN1に接続される。第2のスパイラルインダクタL2の一端は電源VDDに接続され、他端はノードN2に接続される。第1のスパイラルインダクタL1および第2のスパイラルインダクタL2は、オンチップスパイラルインダクタである。
【0036】
第1のMOSバラクタC1の一端はノードN1に接続され、他端はノードN3に接続される。第2のMOSバラクタC2の一端はノードN2に接続され、他端はノードN3に接続される。ノードN3は、第1のMOSバラクタC1および第2のMOSバラクタの容量を設定する制御電圧vc(図3の入力信号IN)を受ける。
【0037】
差動MOSトランジスタ対22は、第1のNチャネルMOSトランジスタT1と、第2のNチャネルMOSトランジスタT2とを備える。差動MOSトランジスタ対22は、発振を維持するために設けられる。
【0038】
第1のNチャネルMOSトランジスタT1は、ノードN1に接続されるゲートと、ノードN2に接続されるドレインと、ノードN4に接続されるソースとを有する。第2のNチャネルMOSトランジスタT2は、ノードN2に接続されるゲートと、ノードN1に接続されるドレインと、ノードN5に接続されるソースとを有する。
【0039】
定電流源23は、第3のNチャネルMOSトランジスタT3と、第4のNチャネルMOSトランジスタT4とを含む。第3のNチャネルMOSトランジスタT3は、バイアス電圧vbiasを受けるゲートと、ノードN4に接続されるドレインと、グランドに接続されるソースとを有する。第4のNチャネルMOSトランジスタT4は、バイアス電圧vbiasを受けるゲートと、ノードN5に接続されるドレインと、グランドに接続されるソースとを有する。
【0040】
出力バッファ21は、ノードN1およびノードN2の電圧を受けて、第1の出力信号voutpおよび第2の出力信号voutnを出力する。出力バッファ2は、たとえばCMOSインバータ、または差動アンプで構成されている。
【0041】
(レイアウト(配置))
図5は、第1の実施形態におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【0042】
図5を参照して、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN2、直線LN3、直線LN6、直線LN7で囲まれた領域、すなわち、点A、点B、点C、点Dを頂点した四角形の領域内に配置される。
【0043】
ここで、直線LN2は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第1のスパイラルインダクタL1上の第2のスパイラルインダクタL2に最も近い点PT1を通る直線である。
【0044】
直線LN3は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第2のスパイラルインダクタL2上の第1のスパイラルインダクタL1に最も近い点PT2を通る直線である。
【0045】
直線LN6は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第1のスパイラルインダクタL1の中心O1を通る直線LN4と交差する第1のスパイラルインダクタL1の内円の縁上の一方の点PT3と、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を通る直線LN5と交差する第2のスパイラルインダクタL2の内円の縁上の一方の点PT4とを結ぶ直線である。
【0046】
直線LN7は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第1のスパイラルインダクタL1の中心O1を通る直線LN4と交差する第1のスパイラルインダクタL1の内円の縁上の他方の点PT5と、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を通る直線LN5と交差する第2のスパイラルインダクタL2の内円の縁上の他方の点PT6とを結ぶ直線である。
【0047】
第1のスパイラルインダクタL1、第2のスパイラルインダクタL2、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、上下方向には、電源線VDDおよびグランド電源線VSSが配置されている。
【0048】
第1のスパイラルインダクタL1の内円に囲まれる領域は、ダミーパンターン発生禁止領域R1であり、第2のスパイラルインダクタL2の内円に囲まれる領域は、ダミーパターン発生禁止領域R2である。これらの領域には、ダミーパターンが生成されない。これは、寄生成分が付加されるのを防止するためである。なお、説明上スパイラルインダクタの形状を円形として記載したが、スパイラルインダクタの形状は平面方形状や多角形状であってもよい。平面方形状や多角形状の場合であっても、点PT3‐PT6については同様に縁上の点である。
【0049】
(レイアウト(拡大))
図6は、図5における第1および第2のMOSバラクタおよび出力バッファの配置および配線を拡大した図である。
【0050】
図6では、出力バッファ21として、2つのCMOSインバータを用いている。
図6を参照して、NチャネルMOSトランジスタT1〜T6、MOSバラクタC1,C2は、図示しないPウェル内に配置されている。PチャネルMOSトランジスタT7,T8は、図示しないNウェル内に配置されている。
【0051】
第1のMOSバラクタC1は、1対のN型拡散領域FL113,FL114とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。第2のMOSバラクタC2は、1対のN型拡散領域FL115,FL116とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。N型拡散領域FL113、N型拡散領域FL114、N型拡散領域FL116、およびN型拡散領域FL115は、コンタクトホールCT19、コンタクトホールCT21、コンタクトホールCT24、コンタクトホールCT22、第1層金属配線を介して、互いに接続されるとともに、制御電圧vcを受ける。
【0052】
第1のNチャネルMOSトランジスタT1は、1対のN型拡散領域FL101(ドレイン),FL102(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。第2のNチャネルMOSトランジスタT2は、1対のN型拡散領域FL103(ドレイン),FL102(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。
【0053】
第3のNチャネルMOSトランジスタT3は、1対のN型拡散領域FL104(ドレイン),FL105(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。第4のNチャネルMOSトランジスタT4は、1対のN型拡散領域FL106(ドレイン),FL105(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。
【0054】
第5のNチャネルMOSトランジスタT5は、1対のN型拡散領域FL107(ドレイン),FL108(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。第6のNチャネルMOSトランジスタT6は、1対のN型拡散領域FL109(ドレイン),FL108(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。第1のPチャネルMOSトランジスタT7は、1対のP型拡散領域FL110(ドレイン),FL111(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。第2のPチャネルMOSトランジスタT8は、1対のP型拡散領域FL112(ドレイン),FL111(ソース)とこれらの間に配置されるポリシリコンで形成されたゲートとを有している。
【0055】
第5のNチャネルMOSトランジスタT5と第1のPチャネルMOSトランジスタT7は、CMOSインバータを構成する。第6のNチャネルMOSトランジスタT6と第2のPチャネルMOSトランジスタT8は、CMOSインバータを構成する。
【0056】
P型拡散領域FL111は、コンタクトホールCT17、第1層金属配線を通じて、電源VDDと接続する。N型拡散領域FL108は、コンタクトホールCT13、第1層金属配線を通じて、グランド電源VSSと接続する。N型拡散領域FL104は、コンタクトホールCT6、第1層金属配線を通じて、グランド電源VSSと接続する。N型拡散領域FL106は、コンタクトホールCT10、第1層金属配線を通じて、グランド電源VSSと接続する。
【0057】
P型拡散領域FL110は、コンタクトホールCT16、第1層金属配線を通じて、ビアホールVA7と接続する。N型拡散領域FL107は、コンタクトホールCT11、第1層金属配線を通じて、ビアホールVA7と接続する。ビアホールVA7は、第2層金属配線を通じて出力信号voutpを出力する。P型拡散領域FL112は、コンタクトホールCT18、第1層金属配線を通じて、ビアホールVA8と接続する。N型拡散領域FL109は、コンタクトホールCT15、第1層金属配線を通じて、ビアホールVA8と接続する。ビアホールVA8は、第2層金属配線を通じて出力信号voutnを出力する。
【0058】
第3のNチャネルMOSトランジスタT3のポリシリコンゲートは、コンタクホールCT7、第1層金属配線を通じて、バイアス電圧vbiasを受ける。第4のNチャネルMOSトランジスタT4のポリシリコンゲートは、コンタクホールCT9、第1層金属配線を通じて、バイアス電圧vbiasを受ける。
【0059】
N型拡散領域FL102は、コンタクトホールCT3、第1層金属配線、ビアホールVA2、第2層金属配線、ビアホールVA4、コンタクトホールCT8を介して、N型拡散領域FL105と接続する。
【0060】
第1のバラクタC1のポリシリコンゲート、第1のNチャネルMOSトランジスタT1のポリシリコンゲート、N型拡散領域FL103、第5のNチャネルMOSトランジスタT5のポリシリコンゲート、および第1のPチャネルMOSトランジスタT7のポリシリコンゲートは、コンタクホールCT20、コンタクホールCT2、コンタクホールCT5、ビアホールVA1、ビアホールVA5、コンタクトホールCT12、第1層金属配線、第2層金属配線を通じて、互いに接続されるとともに、第1のスパイラルインダクタL1に接続される。
【0061】
第2のバラクタC2のポリシリコンゲート、第2のNチャネルMOSトランジスタT2のポリシリコンゲート、N型拡散領域FL101、第6のNチャネルMOSトランジスタT6のポリシリコンゲート、および第2のPチャネルMOSトランジスタT8のポリシリコンゲートは、コンタクホールCT23、コンタクホールCT4、コンタクホールCT1、ビアホールVA3、ビアホールVA6、コンタクトホールCT14、第1層金属配線、第2層金属配線を通じて、互いに接続されるとともに、第2のスパイラルインダクタL2に接続される。
【0062】
(レイアウト(バンプ))
本発明の実施形態の半導体装置は、WPP(Wafer Process Package)という構造を有する。WPP構造では、半導体チップ周辺のAlパッドによる電極からCuなどを用いてチップ上で再配線を行い、チップ面積全体に電極を引き出し、この電極上にはんだバンプが形成される。
【0063】
図7は、本発明の実施形態の半導体装置におけるバンプの配置を表わす図である。
図7を参照して、半導体チップの主面(表面)に、複数のバンプが千鳥格子状に配置されている。
【0064】
バンプ#1〜#4は、半導体基板に垂直な方向から見たときに、第1のスパイラルインダクタL1および第2のスパイラルインダクタL2と重ならない領域に配置されている。これにより、寄生成分が付加されるのを防止することができる。
【0065】
以上のように、本発明の第1の実施形態の半導体装置によれば、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN2、直線LN3、直線LN6、直線LN7で囲まれた領域に配置されるので、スパイラルインダクタL1,L2とMOSバラクタC1,C2,安定化回路24および出力バッファ21を接続する配線の長さが従来よりも短いので、これらを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる。
【0066】
[第1の実施形態の変形例]
図8は、第1の実施形態の変形例におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【0067】
図8を参照して、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN6と直線LN7の間にあって、かつ第1のスパイラルインダクタL1と第2のスパイラルインダクタの間にある領域(第1および第2のスパイラルインダクタの形状によっては必ずしも四角形には限らない)に配置されるものとしてもよい。
【0068】
以上のように、本発明の第1の実施形態の変形例の半導体装置によれば、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN6と直線LN7の間にあって、かつ第1のスパイラルインダクタL1と第2のスパイラルインダクタの間にある領域に配置されるので、スパイラルインダクタL1,L2とMOSバラクタC1,C2,安定化回路24および出力バッファ21を接続する配線の長さが従来よりも短いので、これらを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる。
【0069】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【0070】
図9を参照して、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN2、直線LN3、直線LN8、直線LN9で囲まれた領域、すなわち、点E、点F、点G、点Hを頂点した四角形の領域内に配置される。
【0071】
ここで、直線LN2は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第1のスパイラルインダクタL1上の第2のスパイラルインダクタL2に最も近い点PT1を通る直線である。
【0072】
直線LN3は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第2のスパイラルインダクタL2上の第1のスパイラルインダクタL1に最も近い点PT2を通る直線である。
【0073】
直線LN8は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第1のスパイラルインダクタL1の中心O1を通る直線LN4と交差する第1のスパイラルインダクタL1の外円の縁上の一方の点PT7と、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を通る直線LN5と交差する第2のスパイラルインダクタL2の外円の縁上の一方の点PT8とを結ぶ直線である。
【0074】
直線LN9は、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第1のスパイラルインダクタL1の中心O1を通る直線LN4と交差する第1のスパイラルインダクタL1の外円の縁上の他方の点PT9と、第1のスパイラルインダクタL1の中心O1と第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を結ぶ直線LN1に垂直であり、かつ第2のスパイラルインダクタL2の中心O2を通る直線LN5と交差する第2のスパイラルインダクタL2の外円の縁上の他方の点PT10とを結ぶ直線である。
【0075】
以上のように、本発明の第2の実施形態の半導体装置によれば、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN2、直線LN3、直線LN8、直線LN9で囲まれた領域に配置されるので、スパイラルインダクタL1,L2とMOSバラクタC1,C2,安定化回路24および出力バッファ21を接続する配線の長さが従来よりも短いので、これらを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる。
【0076】
[第2の実施形態の変形例]
図10は、第2の実施形態の変形例におけるVCOおよび出力バッファを半導体基板に垂直な方向から見た図である。
【0077】
図10を参照して、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN8と直線LN9の間にあって、かつ第1のスパイラルインダクタL1と第2のスパイラルインダクタの間にある領域に配置されるものとしてもよい。この領域には、たとえば、図9における点Eよりもさらに第1のスパイラルインダクタL1に近い点も含まれる。
【0078】
以上のように、本発明の第2の実施形態の変形例の半導体装置によれば、第1のMOSバラクタC1、第2のMOSバラクタC2、安定化回路24、および出力バッファ21は、半導体基板に垂直な方向から見たとき、直線LN8と直線LN9の間にあって、かつ第1のスパイラルインダクタL1と第2のスパイラルインダクタの間にある領域に配置されるので、スパイラルインダクタL1,L2とMOSバラクタC1,C2,安定化回路24および出力バッファ21を接続する配線の長さが従来よりも短いので、これらを接続する配線に付加される寄生インダクタ、および/または寄生容量を低減することができる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例も含まれる。
【0080】
(1) MOSトランジスタ
本発明の実施形態では、差動MOSトランジスタ対、定電流源をNチャネルMOSトランジスタで構成したが、これに限定されるものではなく、PチャネルMOSトランジスタで構成してもよい。
【0081】
また、定電流源を2つのMOSとランジスタで構成したが、1つのMOSトランジスタで構成することとしてもよい。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 半導体装置、2 PHY Logic、3 PLL、4 SER、5 送信バッファ、6 受信バッファ、7 CDR、8 DES、11,15 PFD、16 PD、17,12 LF、13,18 VCO、14,21 出力バッファ、22 差動MOSトランジスタ対、23 定電流源、24 安定化回路、81 出力PAD、82 入力PAD、L1,L2 スパイラルインダクタ、C1,C2 MOSバラクタ、T1〜T4 MOSトランジスタ、VA1〜VA8,CT1〜CT24 コンタクトホール、FL101〜116 拡散領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成されたLCタンクVCOとを備え、
前記LCタンクVCOは、
第1および第2のスパイラルインダクタと、
第1および第2のMOSバラクタとを含み、
前記第1および第2のMOSバラクタは、前記半導体基板に垂直な方向から見たときに、前記第1のスパイラルインダクタと前記第2のスパイラルインダクタの間の領域に配置される、半導体装置。
【請求項2】
前記第1および第2のMOSバラクタは、前記半導体基板に垂直な方向から見たとき、第1および第2の直線で挟まれたゾーン内のいずれかの位置に配置され、
前記第1の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの外縁上の一方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの外縁上の一方の点とを結ぶ直線であり、
前記第2の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの外縁上の他方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの外縁上の他方の点とを結ぶ直線である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1および第2のMOSバラクタは、前記半導体基板に垂直な方向から見たとき、第1および第2の直線で挟まれたゾーン内のいずれかの位置に配置され、
前記第1の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの内縁上の一方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの外縁上の一方の点とを結ぶ直線であり、
前記第2の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの内縁上の他方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの外縁上の他方の点とを結ぶ直線である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1および第2のMOSバラクタは、前記半導体基板に垂直な方向から見たとき、第1〜第4の直線で囲まれたゾーン内のいずれかの位置に配置され、
前記第1の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタ上の前記第2のスパイラルインダクタに最も近い点を通る直線であり、
前記第2の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタ上の前記第1のスパイラルインダクタに最も近い点を通る直線であり、
前記第3の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの外縁上の一方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの外縁上の一方の点とを結ぶ直線であり、
前記第4の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの外縁上の他方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの外縁上の他方の点とを結ぶ直線である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1および第2のMOSバラクタは、前記半導体基板に垂直な方向から見たとき、第1〜第4の直線で囲まれたゾーン内のいずれかの位置に配置され、
前記第1の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタ上の前記第2のスパイラルインダクタに最も近い点を通る直線であり、
前記第2の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタ上の前記第1のスパイラルインダクタに最も近い点を通る直線であり、
前記第3の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの内縁上の一方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの内縁上の一方の点とを結ぶ直線であり、
前記第4の直線は、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第1のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第1のスパイラルインダクタの内縁上の他方の点と、前記第1のスパイラルインダクタの中心と前記第2のスパイラルインダクタの中心を結ぶ直線に垂直であり、かつ前記第2のスパイラルインダクタの中心を通る直線と交差する前記第2のスパイラルインダクタの内縁上の他方の点とを結ぶ直線である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1および第2のスパイラルインダクタの内縁で囲まれる領域は、ダミーパターンを含まない、請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、
前記半導体基板の主面に配置される複数のバンプを備え、
前記複数のバンプは、前記半導体基板に垂直な方向から見たときに、前記第1のスパイラルインダクタおよび前記第2のスパイラルインダクタと重ならない領域に配置される、請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体基板に形成され、第1の入力端子および第2の入力端子を有する出力バッファを備え、
前記第1の入力端子は、前記第1のスパイラルインダクタと前記第1のMOSバラクタとの間に接続され、前記第2の入力端子は、前記第1のスパイラルインダクタと前記第1のMOSバラクタとの間に接続され、
前記出力バッファは、前記半導体基板に垂直な方向から見たときに、前記第1のスパイラルインダクタと、前記第2のスパイラルインダクタの間の領域に配置される、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記LCタンクVCOは、さらに、
グランドに接続される定電流源と、
第1のMOSトランジスタと、
第2のMOSトランジスタとを備え、
前記第1のMOSトランジスタは、前記第2の入力端子と前記定電流源との間に設けられ、ゲート端子が前記第1の入力端子と接続し、
前記第2のMOSトランジスタは、前記第1の入力端子と前記定電流源との間に設けられ、ゲート端子が前記第2の入力端子と接続し、
前記定電流源、前記第1のMOSトランジスタおよび前記第2のMOSトランジスタは、前記半導体基板に垂直な方向から見たときに、前記第1のスパイラルインダクタと、前記第2のスパイラルインダクタの間の領域に配置される、請求項1記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−243622(P2011−243622A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112012(P2010−112012)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】