説明

半導体集積回路

【課題】保護素子とガードリング領域との間のウィークスポットが破壊される危険性を軽減する。
【解決手段】半導体集積回路は、静電保護回路の保護素子Mn2を形成するために、第1導電型の半導体領域P−Wellと第2導電型の第1不純物領域Nと第1導電型の第2不純物領域Pにより形成されたガードリングGrd_Rngを具備する。第1不純物領域Nは、長辺と短辺を有する長方形の平面構造として半導体領域の内部に形成される。ガードリングは、第1不純物領域Nの周辺を取り囲んで半導体領域の内部に形成される。第1不純物領域Nの長方形の平面構造の短辺には、ウィークスポットWk_SPが形成される。長方形の長辺と対向するガードリングの第1部分では、複数の電気的コンタクトが形成される。長方形の短辺に形成されるウィークスポットと対向するガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電保護回路を具備する半導体集積回路に関し、特に静電保護回路を構成する保護素子と保護素子の周辺に形成されるガードリング領域との間のPN接合部に存在する脆弱な部分(ウィークスポット)が破壊される危険性を軽減するのに有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体集積回路を静電放電(ESD:Electrostatic Discharge)による破壊から保護するために、半導体集積回路は静電保護回路(ESD保護回路)を具備するものである。
【0003】
一方、半導体集積回路は、高速化のためのトランジスタの微細化によって内部回路の電源電圧は低電圧化されるのに対して、半導体集積回路外部と比較的高い電圧レベルの入出力信号の入出力のための入出力回路(I/O回路)には比較的高い電源電圧が供給される。また、微細化トランジスタで構成されたデジタル論理回路の内部回路には比較的低い電源電圧が供給されるのに対して、アナログ/デジタル変換器やデジタル/アナログ変換器等のアナログ回路には比較的高い電源電圧が供給される。
【0004】
下記特許文献1には、ESD保護回路としてダイオードベース保護回路とMOSベース保護回路とが使用されていることが記載されている。
【0005】
ダイオードベース保護回路は、抵抗と第1ダイオードと第2ダイオードとを含み、抵抗は入力パッドとCMOS入力段の入力端子との間に接続され、第1ダイオードのアノードとカソードとは接地電位VssとにCMOS入力段の入力端子とにそれぞれ接続され、第2ダイオードのアノードはカソードとはCMOS入力段の入力端子と電源電圧Vddとにそれぞれ接続される。CMOS入力段のPチャンネルMOSトランジスタのゲートとNチャンネルMOSトランジスタのゲートとは、CMOS入力段の入力端子に共通に接続される。
【0006】
MOSベース保護回路は、NチャンネルMOSトランジスタとPチャンネルMOSトランジスタと抵抗とを含み、NチャンネルMOSトランジスタのソースとゲートとは接地電位Vssに接続され、NチャンネルMOSトランジスタのドレインとPチャンネルMOSトランジスタのドレインとは入力パッドに接続され、PチャンネルMOSトランジスタのソースとゲートとは電源電圧Vddに接続される。また、CMOS入力段のPチャンネルMOSトランジスタのゲートとNチャンネルMOSトランジスタのゲートとは、CMOS入力段の入力端子に抵抗を介して共通に接続される。
【0007】
更に下記特許文献1には、デバイスの幅にわたって電流の広がりを改善するために、シリサイドブロックが寄生抵抗を増加するために使用されることが記載されている。また更に下記特許文献1には、ESD保護回路の有効性をテストするためのESD事象をシミュレートするためのモデルとしては、ヒューマンボディモデル(HBM)とマシンモデル(MM)とチャージドデバイスモデル(CDM)の3種類存在することも記載されている。
【0008】
下記特許文献2には、ガードリングにより形成される寄生バイポーラ素子の動作を抑制するために、コレクタコンタクトとなる複数のコンタクトをP型ガードリングを挟んでエミッタコンタクトとなる複数のコンタクトと対向する領域から外れたN型ガードリング上の領域に形成することが記載されている。その結果、寄生バイポーラ素子のベース領域が広がり、寄生バイポーラ素子のゲインが減少して、寄生バイポーラ素子が動作しづらい状態となるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0045952A1号 明細書
【特許文献2】特開2008−177246号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は本発明に先立って、微細化半導体プロセスにより製造される半導体集積回路のESD保護回路のESD耐久量の改善に従事した。
【0011】
図1は、本発明に先立って本発明者によって検討された静電保護回路(ESD保護回路)を具備する半導体集積回路の構成を示す図である。
【0012】
《半導体集積回路の構成》
図1に示す半導体集積回路1は、出力端子10と静電保護回路13と出力バッファ14と電源間クランプ回路15と電源保護回路16と電源端子11と接地端子12とを含んでいる。尚、抵抗r1、r2、r3、r4は、配線抵抗である。
【0013】
《出力バッファ》
出力バッファ14は電源端子11と接地端子12の間に直列接続されたPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1を含み、PチャンネルMOSトランジスタMp1のドレインとNチャンネルMOSトランジスタMn1のドレインの駆動出力信号は静電保護回路13を介して出力端子10に供給される。
【0014】
《静電保護回路》
静電保護回路13は、静電破壊の原因となるサージ電圧が出力端子10に印加された際に出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1が破壊されることを防止するためのものである。静電保護回路13は第1ダイオードD1と第2ダイオードD2と抵抗R1とを含み、第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードは出力端子10に接続され、第1ダイオードD1のカソードは電源端子11に接続され、第2ダイオードD2のアノードは接地端子12に接続されている。更に、第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードは、抵抗R1を介して出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1のドレインとNチャンネルMOSトランジスタMn1のドレインとに接続されている。
【0015】
《電源間クランプ回路》
電源間クランプ回路15はNチャンネルMOSトランジスタMn2と抵抗R2とダイオードD4とを含み、NチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインとソースとは電源端子11と接地端子12とにそれぞれ接続され、NチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートとソースとの間には抵抗R2とダイオードD4とが並列接続される。
【0016】
《電源保護回路》
電源保護回路16は第3ダイオードD3を含み、第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11と接地端子12にそれぞれ接続されている。図1に示した半導体集積回路1の接地端子12に接地電位Vssが供給された状態で、電源端子11に負電圧サージパルス電圧が印加されると、第3ダイオードD3が順方向となってサージ放電電流が流れることにより負電圧サージパルス電圧のエネルギーが消費されて、出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1とが破壊されることを防止することが可能となる。
【0017】
《負電圧サージ電圧》
図1に示したように、接地端子12を基準端子(接地電圧GND=0Vが供給された状態)として、負電圧サージパルス電圧N_Plsを出力端子10に印加するESD試験の場合(電源端子11はオープン状態)、静電保護回路13の第2ダイオードD2が順方向となる第1経路pass1にサージ放電電流が流れる。一方、静電保護回路13の第1ダイオードD1が逆方向となる第2経路pass2には、サージ放電電流が流れない。第1経路pass1にサージ放電電流が流れることにより負電圧サージパルス電圧N_Plsのエネルギーが消費され、出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1が破壊されることを防止することが可能となる。
【0018】
《正電圧サージ電圧》
図2は、図1と同様に半導体集積回路1の接地端子12を基準端子(接地電圧GND=0Vが供給された状態)として、正電圧サージパルス電圧P_Plsを出力端子10に印加するESD試験の場合(電源端子11はオープン状態)の放電動作を説明する図である。
【0019】
図2に示したように、接地端子12に接地電位Vssが供給された状態で、正電圧サージパルス電圧P_Plsが出力端子10に印加されると、静電保護回路13の第1ダイオードD1が順方向となる。この時に電源間クランプ回路15が電源端子11と接地端子12の間に接続されていない場合は、出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1に寄生バイポーラトランジスタの大きな電流が流れて、出力バッファ14が破壊される危険性がある。
【0020】
従って、この出力バッファ14の破壊を防止するために、電源端子11と接地端子12の間に電源間クランプ回路15が接続されている。電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2の素子サイズは、出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1の素子サイズよりも著しく大きな値に設定されている。その結果、電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が、極めて低いインピーダンスで、寄生バイポーラトランジスタの大きな電流を流すものとなり第3経路pass3が形成される。その結果、正電圧サージパルス電圧P_Plsのエネルギーが消費され、出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1が破壊されることを防止することが可能となる。
【0021】
《問題点》
上述の通り、電源間クランプ回路15は、ESDサージの放電の際の電源間のバイパス素子として重要な機能を有している。しかし、電源間クランプ回路15は、配置依存性の制限特性を有するとともに、素子サイズも大きいと言う問題がある。すなわち、ESDサージの放電は低インピーダンスのルートで発生するので、電源間クランプ回路15自体は低いインピーダンスの素子として設計される。しかし、電源間クランプ回路15の配置場所が不適切な場合には、電源配線抵抗などの寄生的な要因が加わることで、外部端子から見た電源間クランプ回路15の総合的なインピーダンスが大きくなり、意図しない他の素子が先行してオンとなってサージを放電する可能性がある。これが微細化された内部回路の場合には、素子破壊が発生する。従って、電源間クランプ回路15が保護クランプ素子の機能を発揮するためには、回路15を適切な場所に配置しなければならない。また場合によっては、寄生的要因によるインピーダンスの増加を回避するために、複数の電源間クランプ回路15を配置することが必要になることもある。その結果、電源間クランプ回路15の配置によって、半導体チップ面積に対する影響は避けられないものとなる。
【0022】
このように、電源間クランプ回路15はESD保護回路として大変有効であるが、チップ面積への影響を考慮する必要がある。また、他の回路ブロックの配置や電源配線の配置などのレイアウト的な制限により、電源間クランプ回路15の配置自体が困難な場合がある。
【0023】
図3は、図1で説明した半導体集積回路1において電源間クランプ回路15を配置しない場合の様子を示す図である。
【0024】
図3に示すように、電源端子11を基準端子(接地電圧GND=0Vが供給された状態)として、負電圧サージパルス電圧N_Plsを出力端子10に印加するESD試験の場合(接地端子12はオープン状態)には、出力バッファ14が電源間のバイパス素子となり第4経路pass4が形成される。
【0025】
図4は、図2で説明した半導体集積回路1において電源間クランプ回路15の配置位置が出力端子10から遠距離のため、寄生配線抵抗r3、r4が大きくなった様子(外部端子から見た回路15の総合的なインピーダンスが大きい)を示す図である。
【0026】
図4に示すように、接地端子12を基準端子(接地電圧GND=0Vが供給された状態)として、正電圧サージパルス電圧P_Plsを出力端子10に印加するESD試験の場合(電源端子11はオープン状態)、出力バッファ14が電源間のバイパスとなり第5経路pass5が形成される。
【0027】
図3と図4との場合では、電源間クランプ回路15の代わりに、出力バッファ14がバイパス素子となり放電が行われ、出力バッファ14のPチャンネル素子Mp1のPNP寄生バイポーラトランジスタとNチャンネル素子Mn1のNPN寄生バイポーラトランジスタとが2段階でオンすることになる。そのため、電源間のバイパス素子が動作するまでの動作開始時間が、電源間クランプ回路15の場合の動作開始時間(Nチャンネル素子Mn2のNPN寄生バイポーラトランジスタの1段のターンオン時間)よりも遅くなる。
【0028】
図5は、図3で示した半導体集積回路1における静電保護回路13の断面構造および放電経路例を示す図である。
【0029】
図5に示すように、静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2は、隣接して対面配置されている。上述したように出力バッファ14による電源間のバイパス素子が動作するまでの動作開始時間が遅くなると、逆バイアスが印加される第1ダイオードD1のP型不純物層とN型ウェル領域N−Wellとの間のPN接合部が脆弱なウィークスポット(Wk_Sp1)となって接合破壊の危険性が高くなる。また、同様に逆バイアスが印加されるダイオードD1のN型ウェル領域N−Wellと第2ダイオードD2のP型ウェル領域P−Wellとの間のPN接合部(寄生ダイオードD4)も脆弱なウィークスポット(Wk_Sp2)となって、接合破壊の危険性が高くなる。例えば、寄生ダイオードD4が先にブレークダウンした場合、図5(A)に示したように第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との間でサージ放電電流Iが流れるような放電ルートが形成される。この場合には、寄生ダイオードD4の周辺のPN接合部が、素子破壊を起こしてしまう。PN接合部において逆バイアスによる負荷が大きくなっても破壊耐量が小さくならないようにするためには、寄生ダイオードD4のP型ウェル領域P−WellとN型ウェル領域N−Wellの間のPN接合部に形成される斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoの各々の幅を大きくするのが一般的な対策方法である。しかし、この方法では単純に寄生ダイオードD4の素子サイズが大きくなってしまい、チップ面積に対する影響は避けられず、素子サイズの縮小化が課題となる。
【0030】
一方、電源クランプ回路15についても、上述の通り、電源クランプ回路15の配置自体がチップサイズに対して無視できないほどの影響があるため、同じく素子サイズの縮小化が課題となる。
【0031】
《静電保護回路13の素子サイズ縮小検討》
図9は、図5に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第1ダイオードD1の半導体デバイスの構造を説明する図である。
【0032】
図9(A)は第1ダイオードD1の平面構造で、図9(B)は図9(A)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造で、図9(C)は図9(A)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である。図9(B)と図9(C)の断面構造に示すように、P型基板Psub上に形成されたN型ウェル領域N−Wellに第1ダイオードD1のアノードとなるP型不純物領域が形成されている。第1ダイオードD1のアノードとなるP型不純物領域の周囲には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。リング型平面形状の周囲には、第1ダイオードD1のカソードとなるN型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。更にリング型平面形状の第1ダイオードD1のカソードとなるN型不純物領域の周囲には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。
【0033】
図5(A)と図5(B)に示すように、第1ダイオードD1のアノードとなる中央部分のP型不純物領域は複数のコンタクトを介して、出力端子10の電極OUTに接続される。第1ダイオードD1のカソードとなるリング型平面形状のN型不純物領域は上部の第1コンタクトOm_Cont1と右の第2コンタクトOm_Cont2と下部の第3コンタクトOm_Cont3と左の第4コンタクトOm_Cont4とを介して、電源端子11の高電圧端子Vに接続される。また、第1コンタクトOm_Cont1と第2コンタクトOm_Cont2と第3コンタクトOm_Cont3と第4コンタクトOm_Cont4の各コンタクトは、複数のコンタクトを有している。
【0034】
第2ダイオードD2のカソードとなる中央部分のN型不純物領域は複数のコンタクトを介して、出力端子10の電極OUTに接続される。第2ダイオードD2のアノードとなるリング型平面形状のP型不純物領域は上部の第1コンタクトOm_Cont1と左の第2コンタクトOm_Cont2と下部の第3コンタクトOm_Cont3と右の第4コンタクトOm_Cont4とを介して、接地端子12の低電圧端子Vに接続される。また、第1コンタクトOm_Cont1と第2コンタクトOm_Cont2と第3コンタクトOm_Cont3と第4コンタクトOm_Cont4の各コンタクトは、複数のコンタクトを有している。
【0035】
図10は、図5に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第2ダイオードD2の半導体デバイスの構造を説明する図である。
【0036】
図10(A)は第2ダイオードD2の平面構造で、図10(B)は図10(A)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造で、図10(C)は図10(A)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である。図10(B)と図10(C)の断面構造に示すように、P型基板Psub上に形成されたP型ウェル領域P−Wellに第2ダイオードD2のカソードとなるN型不純物領域が形成されている。第2ダイオードD2のカソードとなるN型不純物領域の周囲には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。リング型平面形状の周囲には、第2ダイオードD2のアノードとなるP型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。更にリング型平面形状の第2ダイオードD2のアノードとなるP型不純物領域の周囲には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。
【0037】
図5(A)は静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造を示し、図5(B)は静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造を示している。
【0038】
第1ダイオードD1のアノードとなるP型不純物領域と第2ダイオードD2のカソードとなるN型不純物領域とは出力端子10の電極OUTと接続され、第1ダイオードD1のカソードとなるリング型平面形状のN型不純物領域は電源端子11の高電圧端子Vに接続され、第2ダイオードD2のアノードとなるリング型平面形状のP型不純物領域は接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0039】
図5(A)に示したサージ放電電流Iは、接地端子12と低電圧端子Vとが電気的にオープンの状態において出力端子10の電極OUTに負電圧サージパルス電圧N_Plsが印加されるESD試験において、寄生ダイオードD4が先にブレークダウンした場合の流れである。このサージ放電電流Iは、N型ウェル領域N−Wellの高抵抗とP型ウェル領域P−Wellの高抵抗とを迂回して高電圧端子VからN型ウェル領域N−WellとP型ウェル領域P−Wellの間の寄生ダイオードD4を介して出力端子10の電極OUTに流れる。
【0040】
図5(B)に示したように、図5(A)に示したサージ放電電流Iは、第1ダイオードD1の左の第4コンタクトOm_Cont4から寄生ダイオードD4を介して第2ダイオードD2のカソードとなる中央部分のN型不純物領域に形成された複数のコンタクトに流れる。
【0041】
図7は、図5に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスの構造の等価回路を説明する図である。
【0042】
図7(A)は、図5(A)に示した静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造と図5(B)に示した静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造の等価回路に前記で説明したサージ放電電流Iの放電ルートを重ねた図である。
【0043】
図7(A)では、抵抗R11は第1ダイオードD1のN型ウェル領域N−Wellの高抵抗を示し、抵抗R21は第2ダイオードD2のP型ウェル領域P−Wellの高抵抗を示し、ダイオードD11は寄生ダイオードD4に近接した第1ダイオードD1の部分ダイオードを示し、ダイオードD12は寄生ダイオードD4から離間した第1ダイオードD1の部分ダイオードを示し、ダイオードD21は寄生ダイオードD4に近接した第2ダイオードD2の部分ダイオードを示し、ダイオードD22は寄生ダイオードD4から離間した第2ダイオードD2の部分ダイオードを示している。
【0044】
図7(A)から理解されるように、サージ放電電流Iは、寄生ダイオードD4を介して、高抵抗のR11とR21を通らないインピーダンスの低い最短ルートを流れることになる。
【0045】
図5(C)はこの問題を改善するための静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造を示し、図5(D)はこの問題を改善するための静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造を示している。図5(C)の断面構造と図5(D)の平面構造は、本発明に先立ち本発明者によって検討されたものである。
【0046】
図5(C)の改善された平面構造では、破線Delに示すように第1ダイオードD1の左の第4コンタクトOm_Cont4と第2ダイオードD2の右の第4コンタクトOm_Cont4とは、省略されている。接地端子12と低電圧端子Vとが電気的にオープンの状態において出力端子10の電極OUTに負電圧サージパルス電圧N_Plsが印加された場合には、省略部分Delを迂回してサージ放電電流Iが流れる。
【0047】
従って、図5(D)の改善された断面構造に示すように、図5(C)に示したサージ放電電流Iは、第1ダイオードD1のN型ウェル領域N−Wellの高抵抗を介して第2ダイオードD2のカソードとなる中央部分のN型不純物領域に形成された複数のコンタクトに流れる。
【0048】
図7(B)は、図5(C)に示した改善された静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造と図5(D)に示した改善された静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造の等価回路を説明する図である。
【0049】
図7(B)から理解されるように、サージ放電電流Iは第1ダイオードD1のN型ウェル領域N−Wellの高抵抗である抵抗R11を介して寄生ダイオードD4(逆方向)と部分ダイオードD21(順方向)とに流れるようになる。その結果、サージ放電電流Iが流れる際のインピーダンスが高くなって、寄生ダイオードD4(逆方向)と部分ダイオードD21(順方向)との付近が破壊される危険性が低減されるものとなる。
【0050】
図6は、図4に示した半導体集積回路1における静電保護回路13の断面構造および放電経路例を示す図である。
【0051】
図6(A)は静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造を示し、図6(B)は静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造を示している。
【0052】
図6(A)に示したサージ放電電流Iは、電源端子11と高電圧端子Vとが電気的にオープンの状態において出力端子10の電極OUTに正電圧サージパルス電圧P_Plsが印加されるESD試験において、寄生ダイオードD4が先にブレークダウンした場合の流れである。このサージ放電電流Iは、N型ウェル領域N−Wellの高抵抗とP型ウェル領域P−Wellの高抵抗とを迂回して出力端子10の電極OUTからN型ウェル領域N−WellとP型ウェル領域P−Wellとの間の寄生ダイオードD4を介して低電圧端子Vに流れる。
【0053】
図6(B)に示したように、図6(A)に示したサージ放電電流Iは第1ダイオードD1のアノードとなる中央部分のP型不純物領域に形成された複数のコンタクトから寄生ダイオードD4を介して第2ダイオードD2のアノードである右の第4コンタクトOm_Cont4に流れる。
【0054】
図8は、図6に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスの構造の等価回路を説明する図である。
【0055】
図8(A)は、図6(A)に示した静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造と図6(B)に示した静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造の等価回路に前記で説明したサージ放電電流Iの放電ルートを重ねた図である。
【0056】
図8(A)でも、抵抗R11は第1ダイオードD1のN型ウェル領域N−Wellの高抵抗を示し、抵抗R21は第2ダイオードD2のP型ウェル領域P−Wellの高抵抗を示し、ダイオードD11は寄生ダイオードD4に近接した第1ダイオードD1の部分ダイオードを示し、ダイオードD12は寄生ダイオードD4から離間した第1ダイオードD1の部分ダイオードを示し、ダイオードD21は寄生ダイオードD4に近接した第2ダイオードD2の部分ダイオードを示し、ダイオードD22は寄生ダイオードD4から離間した第2ダイオードD2の部分ダイオードを示している。
図8(A)から理解されるように、サージ放電電流Iは寄生ダイオードD4を介して、高抵抗のR11とR21を通らないインピーダンスの低い最短ルートを流れることになる。
【0057】
図6(C)はこの問題を改善するための静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造を示し、図6(D)はこの問題を改善するための静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造を示している。図6(C)の断面構造と図6(D)の平面構造は、本発明に先立ち本発明者によって検討されたものである。
【0058】
図6(C)の改善された平面構造では、破線Delに示すように第1ダイオードD1の左の第4コンタクトOm_Cont4と第2ダイオードD2の右の第4コンタクトOm_Cont4とは、省略されている。電源端子11と高電圧端子Vとが電気的にオープンの状態において出力端子10の電極OUTに正電圧サージパルス電圧P_Plsが印加された場合には、省略部分Delを迂回してサージ放電電流Iが流れる。
【0059】
従って、図6(D)の改善された断面構造に示すように、図6(C)に示したサージ放電電流Iは、第2ダイオードD2のP型ウェル領域P−Wellの高抵抗を介して第1ダイオードD1のアノードとなる中央部分のP型不純物領域に形成された複数のコンタクトから流れる。
【0060】
図8(B)は、図6(C)に示した改善された静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の断面構造と図6(D)に示した改善された静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の付近の平面構造の等価回路を説明する図である。
【0061】
図8(B)から理解されるように、サージ放電電流Iは第2ダイオードD2のP型ウェル領域P−Wellの高抵抗である抵抗R21を介して部分ダイオードD11(順方向)と寄生ダイオードD4(逆方向)とに流れるようになる。その結果、サージ放電電流Iが流れる際のインピーダンスが高くなって、部分ダイオードD11(順方向)と寄生ダイオードD4(逆方向)との付近が破壊される危険性が低減されるものとなる。
【0062】
一方、本発明者は更に、出力バッファ14と電源間クランプ回路15等とを構成するMOSトランジスタ素子や電源保護回路16を構成するフィンガー形状の第3ダイオードD3におけるウィークスポットついて検討した。
【0063】
図11は、本発明に先立って本発明者によって検討されたMOSトランジスタを例として、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0064】
図11(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続されて、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0065】
図11(B)の平面構造に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGは複数のフィンガー電極によって形成され、各ゲートフィンガー電極の左右にはドレインDを形成するN型不純物領域とソースSを形成するN型不純物領域とが形成されている。複数のフィンガー電極Gと複数のドレインN型不純物領域Dと複数のソースN型不純物領域Sの周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。更にガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。また、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は、P型ウェル領域P−Wellを給電する目的と、ガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn2からの雑音の図1に示した半導体集積回路1の内部回路への伝達量を低減する目的と、図1に示した半導体集積回路1の内部回路からの雑音によってガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn2がラッチアップ破壊される危険性を低減する目的から、形成されたものである。
【0066】
図11(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図11(C)に示したように、複数のドレインN型不純物領域には電源端子11の高電圧端子Vが供給され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域と複数のソースN型不純物領域と複数のゲート・フィンガー電極とP型ウェル領域P−Wellに接地端子12の低電圧端子Vが供給される。
【0067】
図11(B)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である図11(D)に示したように、ドレインN型不純物領域は複数のコンタクトを介して電源端子11の高電圧端子Vの電極に接続され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は複数のコンタクトを介して接地端子12の低電圧端子Vの電極に接続されている。
【0068】
図11(B)の平面構造に示したように、切断線Y−Y´に沿って縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DとソースN型不純物領域Sには縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。また図11(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。更に図11(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、切断線X−X´に沿って横長に配列された複数のコンタクトが形成されている。
【0069】
図11に示した電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2の接地端子12の低電圧端子Vに接地電位Vssが供給された状態で、正電圧サージパルス電圧P_Plsが電源端子11の高電圧端子Vに印加される場合を想定する。最初に、図11(D)の断面構造から理解されるように、ドレインN型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellの間の寄生ダイオードが降伏するので、ドレインN型不純物領域からP型ウェル領域P−Wellに最初のサージ放電電流が流れる。従って、この最初のサージ放電電流がP型ウェル領域P−Wellの高抵抗に流れることにより、P型ウェル領域P−Wellの電圧が上昇する。その結果、図11(C)の断面構造から理解されるように寄生バイポーラトランジスタTrsがオン状態となり、電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vとの間に低インピーダンスで寄生バイポーラトランジスタTrsによる大きなサージ放電電流が流れるものとなる。尚、寄生バイポーラトランジスタTrsは、ドレインN型不純物領域とP型ウェル領域P−WellとソースN型不純物領域とを、それぞれコレクタとベースとエミッタとして形成されるものである。
【0070】
しかし、本発明に先立った本発明者による検討によって、ドレインN型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellの間の寄生ダイオードが最初に降伏する際に、図11(B)の平面構造と図11(D)の断面構造とに示したWk_Spの部分で、PN接合の最初のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合よりも高くなり、ウィークスポットとなる危険性が高いことが明らかとされた。
【0071】
図11(B)の平面構造では、切断線Y−Y´に沿って縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分ではドレインN型不純物領域とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離bが小さいものである。それに対して、図11(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図11(C)から理解されるように、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域Dの長辺部分とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離は、ゲートGのフィンガー電極の幅とソースN型不純物領域の幅と内側絶縁分離層Isoの幅aとの合計の大きなものとなるものである。その結果、距離bが小さい縦長の長方形の短辺部分のウィークスポットWk_Spの部分では、それ以外の部分と比較して直列抵抗が小さくなって、最初のサージ放電電流の電流密度が高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊されるものである。
【0072】
図21は、本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイス(フィンガー形状のN型ダイオードの例)を説明する図である。
【0073】
図21(A)の等価回路に示すように、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続される。
【0074】
図21(B)の平面構造に示すように、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3を形成するために、カソードKを形成する複数のN型不純物領域とアノードAを形成する複数のP型不純物領域とが形成されている。カソードKを形成する複数のN型不純物領域とアノードAを形成する複数のP型不純物領域の周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。更にガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。また、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は、P型ウェル領域P−Wellを給電する目的と、ガードリングGrd_Rngの内部に形成された第3ダイオードD3からの雑音の図1に示した半導体集積回路1の内部回路への伝達量を低減する目的と、図1に示した半導体集積回路1の内部回路からの雑音によってガードリングGrd_Rngの内部に形成された第3ダイオードD3がラッチアップ破壊される危険性を低減する目的から、形成されたものである。
【0075】
図21(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図21(C)に示すように、カソードKを形成する複数のN型不純物領域には電源端子11の高電圧端子Vが供給され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域とアノードAを形成する複数のP型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellとに接地端子12の低電圧端子Vが供給される。
【0076】
図21(B)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である図21(D)に示したように、カソードKを形成するN型不純物領域は複数のコンタクトを介して電源端子11の高電圧端子Vの電極に接続され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は複数のコンタクトを介して接地端子12の低電圧端子Vの電極に接続される。
【0077】
図21(B)の平面構造に示したように、切断線Y−Y´に沿って縦長の長方形に形成されたカソードKを形成する複数のN型不純物領域とアノードAを形成する複数のP型不純物領域には縦長に配列された複数のコンタクトが形成される。また、図21(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成される。更に、図21(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、切断線X−X´に沿って横長に配列された複数のコンタクトが形成される。
【0078】
図21に示した電源保護回路16の第3ダイオードD3のアノードAに低電圧端子Vの接地電位Vssが供給された状態で、正電圧サージパルス電圧P_PlsがカソードKの高電圧端子Vに印加される場合を想定する。図21(D)の断面構造から理解されるように、カソードKを形成するN型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellの間の寄生ダイオードが降伏するので、カソードKを形成するN型不純物領域からP型ウェル領域P−Wellにサージ放電電流が流れる。
【0079】
しかし、本発明に先立った本発明者による検討によって、カソードKを形成する複数のN型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellの間の複数の寄生ダイオードが降伏する際に、図21(B)の平面構造と図21(D)の断面構造とに示したWk_Spの部分で、PN接合のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合よりも高くなり、ウィークスポットとなる危険性が高いことが明らかとされた。
【0080】
図21(B)の平面構造では、切断線Y−Y´に沿って縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spの部分ではカソードKを形成するN型不純物領域とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離bが小さいものである。一方、図21(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図21(C)から理解されるように、縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の長辺部分とガードリングGrd_RngのP型不純物領域またはアノードAを形成するP型不純物領域との間の距離aは、距離bと同程度となっている。
【0081】
距離aの縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の短辺部分でも、距離bの縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の長辺部分でも、カソードKのN型不純物領域とガードリングGrd_RngまたはアノードAを形成するP型不純物領域との間の逆方向電流は、N型不純物領域とP型不純物領域との平行対向幅によって決定される。しかし、縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の4個の角部分には強い電界が発生するので、平行対向部分の逆方向電流よりも大きな逆方向電流が4個の角部分に流れるものとなる。角部分に流れる大きな逆方向電流の半分と残り半分とがそれぞれ短辺部分と長辺部分に流れると想定すると、短辺部分の電流増加分が長辺部分の電流増加分よりも大きくなる。その結果、縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の短辺部分がウィークスポットWk_Spとなってサージ放電電流の電流密度が高くなり、破壊されるものである。
【0082】
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等による検討の結果、なされたものである。
【0083】
従って、本発明の目的とするところは、静電保護回路を構成する保護素子と保護素子の周辺に形成されるガードリング領域との間のPN接合部に存在する脆弱な部分(ウィークスポット)が破壊される危険性を軽減することにある。
【0084】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0085】
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0086】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態は、静電保護回路(13、15、16)を具備する半導体集積回路(1)である(図1参照)。
【0087】
前記半導体集積回路は、前記静電保護回路の保護素子(Mn2)を形成するために、第1導電型の半導体領域(P−Well)と、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第1不純物領域(N)と、前記第1導電型の第2不純物領域(P)により形成されたガードリング(Grd_Rng)とを具備する(図11参照)。
【0088】
前記第1不純物領域(N)は、少なくとも長辺と短辺とを有する長方形の平面構造として前記半導体領域の内部に形成される。
【0089】
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングは、前記第1不純物領域の周辺を取り囲むようにリング型平面形状で前記半導体領域の内部に形成される。
【0090】
前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺には、破壊の危険性が他の部分より高いウィークスポット(Wk_SP)が形成される。
【0091】
前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された複数の電気的コンタクトが形成される。
【0092】
前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【発明の効果】
【0093】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0094】
すなわち、本発明によれば、静電保護回路を構成する保護素子と保護素子の周辺に形成されるガードリング領域との間のPN接合部に存在する脆弱な部分(ウィークスポット)が破壊される危険性を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1による静電保護回路(ESD保護回路)を具備する半導体集積回路の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1と同様に半導体集積回路1の接地端子12を基準端子(接地電圧GND=0Vが供給された状態)として、正電圧サージパルス電圧P_Plsを出力端子10に印加するESD試験の場合(電源端子11はオープン状態)の放電動作を説明する図である。
【図3】図3は、図1で説明した半導体集積回路1において電源間クランプ回路15を配置しない場合の様子を示す図である。
【図4】図4は、図2で説明した半導体集積回路1において電源間クランプ回路15の配置位置が出力端子10から遠距離のため、寄生配線抵抗r3、r4が大きくなった様子(外部端子から見た回路15の総合的なインピーダンスが大きい)を示す図である。
【図5】図5は、図3で示した半導体集積回路1における静電保護回路13の断面構造および放電経路例を示す図である。
【図6】図6は、図4に示した半導体集積回路1における静電保護回路13の断面構造および放電経路例を示す図である。
【図7】図7は、図5に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスの構造の等価回路を説明する図である。
【図8】図8は、図6に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスの構造の等価回路を説明する図である。
【図9】図9は、図5に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第1ダイオードD1の半導体デバイスの構造を説明する図である。
【図10】図10は、図5に示した半導体集積回路1の静電保護回路13に含まれた第2ダイオードD2の半導体デバイスの構造を説明する図である。
【図11】図11は、本発明に先立って本発明者によって検討されたMOSトランジスタを例として、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図13】図13は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2の半導体デバイスを説明する図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2の半導体デバイスを説明する図である。
【図15】図15は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスと本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図16】図16は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスと本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2の半導体デバイスを説明する図である。
【図19】図19は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【図21】図21は、本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイス(フィンガー形状のN型ダイオードの例)を説明する図である。
【図22】図22は、本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の他の構造による半導体デバイスを説明する図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の他の構造による半導体デバイスを説明する図である。
【図25】図25は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【図26】図26は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の他の構造による半導体デバイスを説明する図である。
【図27】図27は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【図28】図28は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の他の構造による半導体デバイスを説明する図である。
【図29】図29は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【図30】図30は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の他の構造による半導体デバイスを説明する図である。
【図31】図31は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【図32】図32は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の他の構造による半導体デバイスを説明する図である。
【図33】図33は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討されたスイッチ回路17を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn3の半導体デバイスを説明する図である。
【図34】図34は、本発明の実施の形態3によるスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3の半導体デバイスを説明する図である。
【図35】図35は、本発明の実施の形態4による静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスを説明する図である。
【図36】図36は、本発明の実施の形態5による静電保護回路(ESD保護回路)を具備する半導体集積回路の構成を示す図である。
【図37】図37は、本発明の実施の形態6による半導体集積回路における電源間クランプ回路15の他の構成を示す図である。
【図38】図38は、本発明の実施の形態7による半導体集積回路におけるデカップリング容量の半導体デバイスの構成を示す図である。
【図39】図39は、本発明の実施の形態7による図38に示したデカップリング容量Cdの半導体集積回路の半導体チップ内部におけるレイアウトの構成を示す図である。
【図40】図40は、図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路に含まれる出力静電保護回路13もしくは入力静電保護回路19を構成する第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との半導体デバイスを説明する図である。
【図41】図41は、図39に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量を内蔵する半導体集積回路の構成を示す鳥瞰図である。
【図42】図42は、図39と図41に示した本発明の実施の形態7の半導体集積回路が液晶表示デバイス(LCD)と接続される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
1.実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号は、それが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0097】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態は、静電保護回路(13、15、16)を具備する半導体集積回路(1)である(図1参照)。
【0098】
前記半導体集積回路は、前記静電保護回路の保護素子(Mn2)を形成するために、第1導電型の半導体領域(P−Well)と、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第1不純物領域(N)と、前記第1導電型の第2不純物領域(P)により形成されたガードリング(Grd_Rng)とを具備する(図11参照)。
【0099】
前記第1不純物領域(N)は、少なくとも長辺と短辺とを有する長方形の平面構造として前記半導体領域の内部に形成される。
【0100】
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングは、前記第1不純物領域の周辺を取り囲むようにリング型平面形状で前記半導体領域の内部に形成される。
【0101】
前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺には、破壊の危険性が他の部分より高いウィークスポット(Wk_SP)が形成される。
【0102】
前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された複数の電気的コンタクトが形成される。
【0103】
前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【0104】
前記実施の形態によれば、静電保護回路を構成する保護素子と保護素子の周辺に形成されるガードリング領域との間のウィークスポットが破壊される危険性を軽減することができる。
【0105】
好適な実施の形態では、前記第2導電型の前記第1不純物領域は、前記短辺の方向に繰り返して形成された複数の第1不純物領域を含む。
【0106】
前記複数の第1不純物領域の間には、MOSトランジスタのゲート電極(G)が前記長辺の方向に沿って形成される。
【0107】
前記複数の第1不純物領域の一方と他方とは、前記MOSトランジスタのソース(S)とドレイン(D)としてそれぞれ機能するものである。
【0108】
前記MOSトランジスタの基板として機能する前記第1導電型の前記半導体領域は、前記ガードリングを介して前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と電気的に接続される。
【0109】
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成される。
【0110】
前記ガードリングの内部には、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と前記MOSトランジスタの前記ゲート電極と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とが形成される。
【0111】
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの前記第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された前記複数の電気的コンタクトが形成される。
【0112】
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【0113】
他の好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方は複数のソース不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方は複数のドレイン不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ゲート電極は複数のゲート電極を含む。
【0114】
前記ガードリングの前記内部には、前記複数のソース不純物領域と前記複数のゲート電極と前記複数のドレイン不純物領域とが形成されたことを特徴とする(図12参照)。
【0115】
更に他の好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記複数のドレイン不純物領域としての前記複数の第1不純物領域の複数の前記長方形の平面構造の複数の短辺には、複数のウィークスポットが形成される。
【0116】
前記複数の前記長方形の平面構造の前記複数の短辺に形成される前記複数のウィークスポットと対向する前記ガードリングの複数の第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【0117】
より好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの第3部分でも、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図16、図17参照)
他のより好適な実施の形態では、前記第2不純物領域によって形成された前記ガードリングの周辺には、前記第2導電型の第3不純物領域(N)によって形成された他のガードリング(Grd_Rng)が形成される。
【0118】
前記第1導電型の前記半導体領域(P−Well)の周辺で前記他のガードリングの直下には、前記第2導電型の他の半導体領域(N−Well)が形成される。
【0119】
前記第2導電型の前記他の半導体領域には、前記他のガードリングを介して、所定の電圧が供給可能とされたことを特徴とする(図17参照)。
【0120】
更に他のより好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の前記平面構造の表面と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の前記平面構造の表面とには、それぞれ高融点金属とシリコンの合金であるシリサイドが形成される。
【0121】
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットでは、前記シリサイドのシリサイドブロックが実質的に形成されていないか前記シリサイドのシリサイドブロックの幅が他の部分よりも小さく設定されたことを特徴とする(図20参照)。
【0122】
別のより好適な実施の形態では、前記第2導電型の前記第1不純物領域(N)は前記保護素子としてのダイオード(D3)のカソードとアノードの一方として機能する一方、前記第1導電型の前記半導体領域(P−Well)と前記第1導電型の前記第2不純物領域(P)により形成されたガードリング(Grd_Rng)とは前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの他方として機能するものである。
【0123】
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域(N)の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポット(Wk_SP)が形成される。
【0124】
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図23、図27、図29、図31参照)。
【0125】
更に別のより好適な実施の形態では、前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域は、複数の第1不純物領域(K……K)を含む。
【0126】
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記複数の第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成される。
【0127】
前記ガードリングの内部には、前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記複数の第1不純物領域が形成される。
【0128】
前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記複数の第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図23参照)。
【0129】
具体的な実施の形態では、前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域の表面には、高融点金属とシリコンの合金であるシリサイドが形成される。
【0130】
前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットでは、前記シリサイドのシリサイドブロックが実質的に形成されていないか前記シリサイドのシリサイドブロックの幅が他の部分よりも小さく設定されたことを特徴とする(図27、図29、図31参照)。
【0131】
他の具体的な実施の形態では、前記第2導電型の前記第1不純物領域は、前記短辺の方向に繰り返して形成された複数の第1不純物領域を含む。
【0132】
前記複数の第1不純物領域の間には、MOSトランジスタのゲート電極(G)が前記長辺の方向に沿って形成される。
【0133】
前記複数の第1不純物領域の一方と他方とは、前記MOSトランジスタのソース(S)とドレイン(D)としてそれぞれ機能するものである。
【0134】
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングおよび前記MOSトランジスタの基板として機能する前記第1導電型の前記半導体領域と、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と、前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とは、それぞれ相違した駆動電圧(VP−Well、V、V)によって駆動可能とされる。
【0135】
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成される。
【0136】
前記ガードリングの内部には、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と前記MOSトランジスタの前記ゲート電極と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とが形成される。
【0137】
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの前記第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された前記複数の電気的コンタクトが形成される。
【0138】
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略される。
【0139】
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図34参照)。
【0140】
より具体的な実施の形態では、前記ガードリングおよび前記基板と、前記ソースと、前記ドレインとが、前記それぞれ相違した駆動電圧によって駆動可能な前記MOSトランジスタは、前記半導体集積回路(1)の外部に配置される外部容量を使用したスイッチ回路に使用されるスイッチであることを特徴とする(図34参照)。
【0141】
他のより具体的な実施の形態では、前記半導体集積回路(1)は、外部出力端子(10)と、当該外部出力端子を駆動する出力バッファ(14)とを更に具備する。
【0142】
前記静電保護回路(13、15、16)は、前記半導体集積回路(1)の外部から供給されるサージ電圧により前記出力バッファが破壊されることを防止することを特徴とする(図1参照)。
【0143】
最も具体的な実施の形態では、前記半導体集積回路(1)は、外部入力端子(10)と、当該外部入力端子に接続された入力バッファ(18)とを更に具備する。
【0144】
前記静電保護回路(13、15、16)は、前記半導体集積回路(1)の外部から供給されるサージ電圧により前記入力バッファが破壊されることを防止することを特徴とする(図36参照)。
【0145】
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態は、静電保護回路(13、15、16)を具備する半導体集積回路(1)である(図1参照)。
【0146】
前記半導体集積回路は、前記静電保護回路の保護素子(Mn2)を形成するために、第1導電型の半導体領域(P−Well)と、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第1不純物領域(N)と、前記第1導電型の第2不純物領域(P)により形成されたガードリング(Grd_Rng)とを具備する(図11参照)。
【0147】
前記第1不純物領域(N)は、少なくとも長辺と短辺とを有する長方形の平面構造として前記半導体領域の内部に形成される。
【0148】
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングは、前記第1不純物領域の周辺を取り囲むようにリング型平面形状で前記半導体領域の内部に形成される。
【0149】
前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された複数の電気的コンタクトが形成される。
【0150】
前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【0151】
前記実施の形態によれば、静電保護回路を構成する保護素子と保護素子の周辺に形成されるガードリング領域との間のウィークスポットが破壊される危険性を軽減することができる。
【0152】
好適な実施の形態では、前記第2導電型の前記第1不純物領域は、前記短辺の方向に繰り返して形成された複数の第1不純物領域を含む。
【0153】
前記複数の第1不純物領域の間には、MOSトランジスタのゲート電極(G)が前記長辺の方向に沿って形成される。
【0154】
前記複数の第1不純物領域の一方と他方とは、前記MOSトランジスタのソース(S)とドレイン(D)としてそれぞれ機能するものである。
【0155】
前記MOSトランジスタの基板として機能する前記第1導電型の前記半導体領域は、前記ガードリングを介して前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と電気的に接続される。
【0156】
前記ガードリングの内部には、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と前記MOSトランジスタの前記ゲート電極と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とが形成される。
【0157】
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの前記第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された前記複数の電気的コンタクトが形成される。
【0158】
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【0159】
他の好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方は複数のソース不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方は複数のドレイン不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ゲート電極は複数のゲート電極を含む。
【0160】
前記ガードリングの前記内部には、前記複数のソース不純物領域と前記複数のゲート電極と前記複数のドレイン不純物領域とが形成されたことを特徴とする(図12参照)。
【0161】
更に他の好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記複数のドレイン不純物領域としての前記複数の第1不純物領域の複数の前記長方形の平面構造の複数の短辺と対向する前記ガードリングの複数の第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図12参照)。
【0162】
より好適な実施の形態では、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの第3部分でも、複数の電気的コンタクトの形成が省略されたことを特徴とする(図16、図17参照)
他のより好適な実施の形態では、前記第2不純物領域によって形成された前記ガードリングの周辺には、前記第2導電型の第3不純物領域(N)によって形成された他のガードリング(Grd_Rng)が形成される。
【0163】
前記第1導電型の前記半導体領域(P−Well)の周辺で前記他のガードリングの直下には、前記第2導電型の他の半導体領(N−Well)が形成される。
【0164】
前記第2導電型の前記他の半導体領域には、前記他のガードリングを介して、所定の電圧が供給可能とされたことを特徴とする(図17参照)。
【0165】
〔3〕本発明の他の観点の代表的な実施の形態による半導体集積回路(1)は、前記半導体集積回路の外部から電源電圧(Vdd)と接地電位(Vss)とがそれぞれ供給される外部電源端子(11)と外部接地端子(12)とを更に具備する。
【0166】
前記静電保護回路は、前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に接続された電源間クランプ回路(15)を含むものである。
【0167】
前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタの前記ドレインと前記ソースとの間の電流経路は前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に接続されたことを特徴とするものである(図12参照)。
【0168】
好適な実施の形態による半導体集積回路(1)は、前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタが電源間クランプ動作を開始するターンオン電圧よりも高い降伏破壊電圧を有するデカップリング容量(Cd)を更に具備する。
【0169】
前記デカップリング容量は、前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に接続されたことを特徴とするものである(図38参照)。
【0170】
他の好適な実施の形態では、前記デカップリング容量は、前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタと前記半導体集積回路の半導体製造プロセスによって同時形成されるMOS容量であることを特徴とするものである(図38参照)。
【0171】
より好適な実施の形態による半導体集積回路(1)は、互いに対向する第1と第2の長辺と互いに対向する第1と第2の短辺とを有する長方形の半導体チップによって形成される。
【0172】
前記長方形の前記半導体チップの前記第1と第2の長辺と前記第1と第2の短辺に沿って、幹線電源配線(Main_Vdd)と幹線接地配線(Main_Vss)とがそれぞれ周回配線形状で形成されたものである。
【0173】
前記半導体チップの前記第1の長辺には、前記半導体集積回路の外部から表示情報データが供給される複数の信号端子(10)と、前記電源電圧が供給される前記外部電源端子(11)と、前記接地電位が供給される前記外部接地端子(12)とが形成される。
【0174】
前記半導体チップの前記第2の長辺には、前記半導体集積回路の外部の表示デバイスを駆動するための複数の出力信号を生成する複数の出力端子(OUT1、OUT2…OUTn)が形成される。
【0175】
前記長方形の半導体チップの内部で、前記第2の長辺から離間するとともに前記第1の長辺に近接して前記第1の長辺と実質的に平行な配置禁止領域(Cd_Proh)が設定される。
【0176】
前記配置禁止領域の内部または近傍において、前記幹線電源配線と前記外部電源端子とが接続され、前記幹線接地配線と前記外部接地端子とが接続されたものである。
【0177】
前記配置禁止領域の前記内部では、前記デカップリング容量(Cd)の配置が禁止されたことを特徴とするものである(図39参照)。
【0178】
具体的な実施の形態では、前記長方形の半導体チップの前記内部で、前記配置禁止領域以外の領域が配置許可領域に設定される。
【0179】
前記配置許可領域の内部には、前記デカップリング容量(Cd)が配置されたものである。
【0180】
前記配置許可領域の前記内部に配置された前記デカップリング容量は、前記電源間クランプ回路を介して前記外部電源端子および前記外部接地端子と接続されたことを特徴とするものである(図39参照)。
【0181】
より具体的な実施の形態による半導体集積回路は、支線電源配線(Sub_Vdd)と支線接地配線(Sub_Vss)とを更に具備する。
【0182】
前記支線電源配線と前記支線接地配線は、前記配置許可領域の前記内部に配置された内部回路(14、18)に動作電圧を供給するものである。
【0183】
前記支線電源配線の一端と前記支線接地配線の一端とはそれぞれ前記幹線電源配線と前記幹線接地配線に接続される一方、前記支線電源配線の他端と前記支線接地配線の他端とはそれぞれ前記幹線電源配線と前記幹線接地配線に非接続とされたものである。
【0184】
前記支線電源配線の前記他端と前記支線接地配線の前記他端との間には、少なくとも前記電源間クランプ回路が接続されたことを特徴とするものである(図39参照)。
【0185】
他のより具体的な実施の形態では、前記支線電源配線の前記他端と前記支線接地配線の前記他端との間には、前記電源間クランプ回路と並列に、前記デカップリング容量が接続されたことを特徴とするものである(図39参照)。
【0186】
更に他のより具体的な実施の形態では、前記電源間クランプ回路は、前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に直列接続された時定数形成抵抗(Rs)と時定数形成容量(Cs)を有する時定数回路(TCC)を含む。
【0187】
前記時定数回路の出力信号は、前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタの前記ゲート電極を駆動することを特徴とするものである(図37参照)。
【0188】
最も具体的な実施の形態では、前記電源間クランプ回路は、前記時定数回路の出力端子と前記保護素子としての前記MOSトランジスタの前記ゲート電極とに入力端子と出力端子とがそれぞれ接続されたCMOSインバータ(Inv)を更に含んだことを特徴とするものである(図37参照)。
【0189】
2.実施の形態の詳細
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0190】
[実施の形態1]
《半導体集積回路の構成》
図1は、本発明の実施の形態1による静電保護回路(ESD保護回路)を具備する半導体集積回路の構成を示す図である。
【0191】
図1に示す半導体集積回路1は、出力端子10と静電保護回路13と出力バッファ14と電源間クランプ回路15と電源保護回路16と電源端子11と接地端子12とを含んでいる。尚、抵抗r1、r2、r3、r4は、配線抵抗である。
【0192】
《出力バッファ》
出力バッファ14は電源端子11と接地端子12の間に直列接続されたPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1を含み、PチャンネルMOSトランジスタMp1のドレインとNチャンネルMOSトランジスタMn1のドレインの駆動出力信号は静電保護回路13を介して出力端子10に供給される。
【0193】
《静電保護回路》
静電保護回路13は、静電破壊の原因となるサージ電圧が出力端子10に印加された際に出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1が破壊されることを防止するためのものである。静電保護回路13は第1ダイオードD1と第2ダイオードD2と抵抗R1とを含み、第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードは出力端子10に接続され、第1ダイオードD1のカソードは電源端子11に接続され、第2ダイオードD2のアノードは接地端子12に接続されている。更に、第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードは、抵抗R1を介して出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1のドレインとNチャンネルMOSトランジスタMn1のドレインとに接続されている。
【0194】
《電源間クランプ回路》
電源間クランプ回路15はNチャンネルMOSトランジスタMn2と抵抗R2とダイオードD4とを含み、NチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインとソースとは電源端子11と接地端子12とにそれぞれ接続され、NチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートとソースとの間には抵抗R2とダイオードD4とが並列接続される。
【0195】
《電源保護回路》
電源保護回路16は第3ダイオードD3を含み、第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11と接地端子12にそれぞれ接続されている。図1に示した半導体集積回路1の接地端子12に接地電位Vssが供給された状態で、電源端子11に負電圧サージパルス電圧が印加されると、第3ダイオードD3が順方向となってサージ放電電流が流れることにより負電圧サージパルス電圧のエネルギーが消費されて、出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1とが破壊されることを防止することが可能となる。
【0196】
《電源間クランプ回路の半導体デバイス》
図12は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0197】
図11(A)の等価回路と同様に、図12(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0198】
図11(B)の平面構造と同様に、図12(B)の平面構造に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGは複数のフィンガー電極により形成され、各ゲートフィンガー電極の左右にはドレインDを形成するN型不純物領域とソースSを形成するN型不純物領域とが形成される。複数のフィンガー電極Gと複数のドレインN型不純物領域Dと複数のソースN型不純物領域Sの周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域がリング型平面形状で形成される。更にガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。また、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は、P型ウェル領域P−Wellを給電する目的と、ガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn2からの雑音の図1に示した半導体集積回路1の内部回路への伝達量を低減する目的と、図1に示した半導体集積回路1の内部回路からの雑音によってガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn2がラッチアップ破壊される危険性を低減する目的から、形成されたものである。
【0199】
図11(B)の平面構造と同様に、図12(B)の平面構造に示したように、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DとソースN型不純物領域Sには縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。また図12(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。更に図12(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、横長に配列された複数のコンタクトが形成されている。
【0200】
しかし、図11(B)の平面構造と異なり、図12(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略される。従って、破線Delに示した複数のコンタクトの省略によって、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0201】
図12(C)の平面構造は、やはり本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスの平面構造を説明する図である。
【0202】
図12(C)の平面構造が図12(B)に示した平面構造と相違するのは、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分におけるドレインN型不純物領域とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離b´が図12(B)の場合の距離bより小さく設定されていることである。
【0203】
その結果、図12(C)の平面構造によれば図11(B)の平面構造と同様なESD耐久量を維持する一方、図11(B)の平面構造の場合よりも電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2の素子面積を低減することが可能となる。
【0204】
図13は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2の半導体デバイスを説明する図である。
【0205】
図13(A)の等価回路に示すように、電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2のドレインDとソースSとは接地端子12の低電圧端子Vと電源端子11の高電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとN型ウェル領域N−Wellとは電源端子11の高電圧端子Vに接続されている。
【0206】
図13(B)の平面構造に示すように、電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2のゲートGは複数のフィンガー電極によって形成され、各ゲートフィンガー電極の左右にはドレインDを形成するP型不純物領域とソースSを形成するP型不純物領域とが形成されている。複数のフィンガー電極Gと複数のドレインP型不純物領域Dと複数のソースP型不純物領域Sの周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するN型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。更にガードリングGrd_Rngとして機能するN型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。
【0207】
図13(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図13(C)に示したように、複数のドレインP型不純物領域には接地端子12の低電圧端子Vが供給され、ガードリングGrd_RngのN型不純物領域と複数のソースP型不純物領域と複数のゲート・フィンガー電極とN型ウェル領域N−Wellに電源端子11の高電圧端子Vが供給される。
【0208】
図13(B)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である図13(D)に示したように、ドレインP型不純物領域は複数のコンタクトを介して電源端子11の低電圧端子Vの電極に接続され、ガードリングGrd_RngのN型不純物領域は複数のコンタクトを介して接地端子12の高電圧端子Vの電極に接続される。
【0209】
図13(B)の平面構造に示したように、切断線Y−Y´に沿って縦長の長方形に形成されたドレインP型不純物領域DとソースP型不純物領域Sには縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。また図13(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのN型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。更に図13(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、切断線X−X´に沿って横長に配列された複数のコンタクトが形成されている。
【0210】
図13に示した電源間クランプ回路15のPチャンネルMOSトランジスタMp2の接地端子12の低電圧端子Vに接地電位Vssが供給された状態で、正電圧サージパルス電圧P_Plsが電源端子11の高電圧端子Vに印加される場合を想定する。最初に、図13(D)の断面構造から理解されるように、ドレインP型不純物領域とN型ウェル領域N−Wellの間の寄生ダイオードが降伏するので、ドレインP型不純物領域にN型ウェル領域N−Wellから最初のサージ放電電流が流れる。従って、この最初のサージ放電電流がN型ウェル領域N−Wellの高抵抗に流れることにより、N型ウェル領域N−Wellの電圧が低下する。その結果、図13(C)の断面構造から理解されるように、寄生バイポーラトランジスタTrsがオン状態となり、電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vの間に低インピーダンスで寄生バイポーラトランジスタTrsによる大きなサージ放電電流が流れるものとなる。尚、寄生バイポーラトランジスタTrsは、ドレインP型不純物領域とN型ウェル領域N−WellとソースP型不純物領域とを、それぞれコレクタとベースとエミッタとして形成されるものである。
【0211】
しかし、本発明に先立った本発明者による検討によって、ドレインP型不純物領域とN型ウェル領域N−Wellの間の寄生ダイオードが最初に降伏する際に、図13(B)の平面構造と図13(D)の断面構造とに示したウィークスポットWk_Spの部分でPN接合の最初のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合よりも高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊される危険性が高いことが明らかとされた。
【0212】
図13(B)の平面構造では、切断線Y−Y´に沿い縦長の長方形に形成されたドレインP型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分ではドレインP型不純物領域とガードリングGrd_RngのN型不純物領域との間の距離bが小さいものである。それに対して、図13(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図13(C)から理解されるように、縦長の長方形に形成されたドレインP型不純物領域Dの長辺部分とガードリングGrd_RngのN型不純物領域の間の距離は、ゲートGのフィンガー電極の幅とソースN型不純物領域の幅と内側絶縁分離層Isoの幅aの合計の大きなものとなるものである。その結果、距離bが小さい縦長の長方形の短辺部分のウィークスポットWk_Spの部分では、それ以外の部分と比較して直列抵抗が小さくなって、最初のサージ放電電流の電流密度が高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊されるものである。
【0213】
図14は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2の半導体デバイスを説明する図である。
【0214】
図14(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2のソースSとドレインDとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとN型ウェル領域N−Wellとは電源端子11の高電圧端子Vに接続されている。
【0215】
図12(B)の平面構造と同様に、図14(B)の平面構造に示したように、電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2のゲートGは複数のフィンガー電極により形成され、各ゲートフィンガー電極の左右にはドレインDを形成するP型不純物領域とソースSを形成するP型不純物領域とが形成される。複数のフィンガー電極Gと複数のドレインP型不純物領域Dと複数のソースP型不純物領域Sの周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するN型不純物領域がリング型平面形状で形成される。更にガードリングGrd_Rngとして機能するN型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。
【0216】
図12(B)の平面構造と同様に、図14(B)の平面構造に示したように、縦長の長方形に形成されたドレインP型不純物領域DとソースP型不純物領域Sには縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。また図14(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのN型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。更に図14(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域には、横長に配列された複数のコンタクトが形成されている。
【0217】
更に、図12(B)の平面構造と同様に、図14(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域では、縦長の長方形に形成されたP型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略される。従って、破線Delに示した複数のコンタクトの省略によって、縦長の長方形に形成されたP型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0218】
図14(C)の平面構造は、やはり本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するPチャンネルMOSトランジスタMp2の半導体デバイスの平面構造を説明する図である。
【0219】
図14(C)の平面構造が図14(B)に示した平面構造と相違するのは、縦長の長方形に形成されたドレインP型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分におけるドレインP型不純物領域とガードリングGrd_RngのN型不純物領域との間の距離b´が図14(B)の場合の距離bより小さく設定されていることである。
【0220】
その結果、図14(C)の平面構造によれば図11(B)の平面構造と同様なESD耐久量を維持する一方、図11(B)の平面構造の場合よりも電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2の素子面積を低減することが可能となる。
【0221】
図15は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスと本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0222】
図12(A)の等価回路と同様に図15(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0223】
図15(B)の平面構造は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを示す図である。
【0224】
図11(B)の平面構造と比較すると、図15(B)の平面構造では、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGを形成するフィンガー電極の本数が4本から2本に減少されているが、基本的な半導体デバイスの構造は同一である。
【0225】
図15(B)の平面構造においても、図11(B)の平面構造と同様に、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分ではドレインN型不純物領域とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離が小さいものであり、直列抵抗が小さくなって最初のサージ放電電流の電流密度が高くなり、破壊されるものである。
【0226】
図15(C)の平面構造は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0227】
図15(C)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略される。従って、破線Delに示した複数のコンタクトの省略によって、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。このことより、コンタクトが省略された側のガードリングGrd_Rngの幅や、それに対向する縦長の長方形に形成されたN型不純物領域との間隔についてESDの耐量特性バランスを考慮して縮小することが可能となる。
【0228】
更に図15(C)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたソースSとして機能するN型不純物領域Sと対向する部分の複数のコンタクトも破線Delに示したように省略される。これは、フィンガー電極の本数の4本から2本への減少によりNチャンネルMOSトランジスタMn2のセル幅が減少したためESD耐久量も減少したので、ウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗を増加するためになされたものである。
【0229】
図16は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスと本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0230】
図12(A)の等価回路と同様に図16(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0231】
図16(B)の平面構造は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを示す図である。
【0232】
図15(B)の平面構造と比較すると、図16(B)の平面構造では、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGを形成するフィンガー電極の本数が2本から1本に減少されているが、基本的な半導体デバイスの構造は同一である。
【0233】
図16(B)の平面構造においても、図15(B)の平面構造と同様に、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分ではドレインN型不純物領域とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離が小さいものであり、直列抵抗が小さくなって最初のサージ放電電流の電流密度が高くなり、破壊されるものである。
【0234】
図16(C)の平面構造は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0235】
図16(C)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略される。従って、破線Delに示した複数のコンタクトの省略によって、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。このことより、コンタクトが省略された側のガードリングGrd_Rngの幅や、それに対向する縦長の長方形に形成されたN型不純物領域との間隔についてESDの耐量特性バランスを考慮して縮小することが可能となる。
【0236】
更に図16(C)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたソースSとして機能するN型不純物領域Sと対向する部分の複数のコンタクトも破線Delに示したように省略される。これは、フィンガー電極の本数の2本から1本への減少によりNチャンネルMOSトランジスタMn2のセル幅が減少したためESD耐久量も減少したので、ウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗を増加するためになされたものである。
【0237】
図17は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0238】
図16(A)の等価回路と同様に図17(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0239】
図16(B)の平面構造と比較すると、図17(B)の平面面構造と図17(C)の断面構造とに示すように内部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示した内部の絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成され、内部の絶縁分離層Isoの周辺には外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。図17(B)の平面面構造と図17(C)の断面構造とに示すように、外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域とN型ウェル領域N−Wellとは、適切な高電圧が供給可能な電圧供給電極Nsubに接続されている。
【0240】
従って、図17に示す本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスによれば、内部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と内部のP型ウェル領域P−Wellへの接地端子12の低電圧端子Vの給電と、外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域と外部のN型ウェル領域N−Wellへの適切な高電圧の給電とによって、リングの外部からの雑音によってリングの内部に形成された電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2がラッチアップ破壊される危険性を低減することが可能となる。すなわち、図16(C)に示した平面構造と図17(B)に示した平面構造においては、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、破線Delに示すように複数のコンタクトが完全に省略されていたので、この省略部分での雑音の伝達の危険性がある。しかし、図17に示した本発明の実施の形態1による2重ガードリング構造によって、この問題の解消が可能となるものである。
【0241】
また、PチャンネルMOSトランジスタMp2においてラッチアップ耐性やノイズ耐性等を向上させるために2重ガードリング構造で構成する場合は、図18に示すように内部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示した内部の絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成され、内部の絶縁分離層Isoの周辺には外部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。図18(B)の平面面構造と図18(C)の断面構造とに示すように、外部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellとは、適切な高電圧が供給可能な電圧供給電極Psubに接続される。
【0242】
図19は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0243】
図11(A)の等価回路と同様に、図19(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0244】
図19に示した本発明の比較参考例としてのNチャンネルMOSトランジスタMn2が図11に示した本発明に先立って本発明者によって検討されたNチャンネルMOSトランジスタMn2と相違するのは、下記の点である。
【0245】
すなわち、図19(B)の平面構造と図19(C)の断面構造と図19(D)の断面構造とに示すように、複数のドレインN型不純物領域Dの表面と複数のソースN型不純物領域Sの表面とガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の表面とに、コバルトシリサイドCoSiが形成されている。半導体集積回路の半導体製造プロセスの微細化によって、MOSトランジスタの素子サイズが縮小され、ソース領域やドレイン領域やゲート電極の寄生抵抗が増大して、MOSトランジスタの動作速度が遅くなると言う問題を解消するために、高融点金属のコバルトCoとシリコンSiとの低抵抗合金であるコバルトシリサイドCoSiが使用される。
【0246】
しかし、図19(B)の平面構造と図19(C)の断面構造と図19(D)の断面構造とから理解されるように、縦長の長方形に形成されたソースSとしてのN型不純物領域Sの中央部分の表面と縦長の長方形に形成されたドレインDとしてのN型不純物領域Dの中央部分の表面のみにコバルトシリサイドCoSiが形成される。従って、周辺の絶縁分離層Isoと接触するN型不純物領域Sの周辺部分の表面とN型不純物領域Dの周辺部分の表面とには、コバルトシリサイドCoSiが形成されていない。コバルトシリサイドCoSiが形成されていない部分は、上記特許文献1に記載されたシリサイドブロックである。すなわち、シリサイドブロックはシリサイドを形成しないことで、寄生抵抗を部分的に増大して、ESD耐久量を増大するものである。
【0247】
しかし、図19に示した本発明の比較参考例のNチャンネルMOSトランジスタMn2はシリサイドブロックの使用にもかかわらず、図11(B)の平面構造と図11(D)の断面構造と全く同様に、図19(B)の平面構造と図19(D)の断面構造とに示したウィークスポットWk_Spの部分でPN接合の最初のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合よりも高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊される危険性が高いことが明らかとされた。
【0248】
この図19(B)に示した平面構造でも、ウィークスポットWk_Spは、縦長の長方形に形成されたドレインとしてのN型不純物領域Dの短辺の部分に存在するものである。
【0249】
図20は、本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2の半導体デバイスを説明する図である。
【0250】
図19(A)の等価回路と同様に、図20(A)の等価回路に示したように、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続され、ゲートGとP型ウェル領域P−Wellとは接地端子12の低電圧端子Vに接続される。
【0251】
図20に示した本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2が図19に示した本発明に先立って本発明者によって検討されたNチャンネルMOSトランジスタMn2と相違するのは、下記の点である。
【0252】
まず、図20(B)の平面構造においては、ウィークスポットWk_Spは縦長の長方形に形成されたドレインとしてのN型不純物領域Dの短辺の部分に存在する。さらに、この短辺の部分では、周辺の絶縁分離層Isoと接触するドレインとしてのN型不純物領域Dの周辺部分の表面にもコバルトシリサイドCoSiが形成されている。従って、この短辺の部分では直列抵抗の高いシリサイドブロックが形成されていないので、この短辺の部分でのESD耐久量は低下する。また、この短辺の部分において、シリサイドブロックの幅が極めて小さく設定された場合にも、ESD耐久量は大幅に低下する。
【0253】
一方、図20(B)に示す平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略される。従って、破線Delに示した上辺のガードリングGrd_Rngと下辺のガードリングGrd_Rngでの複数のコンタクトの完全な省略によって、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加して、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。このことより、コンタクトが省略された側のガードリングGrd_Rngの幅や、それに対向する縦長の長方形に形成されたN型不純物領域との間隔についてESDの耐量特性バランスを考慮して縮小することが可能となる。
【0254】
[実施の形態2]
《電源保護回路の半導体デバイス》
図21は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。本発明に先立った本発明者による検討によって、図21(B)の平面構造と図21(D)の断面構造とに示したウィークスポットWk_Spの部分でPN接合のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合より高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊される危険性が高いことが明らかとされた。
【0255】
図23は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【0256】
図21(A)の等価回路と同様に、図23(A)の等価回路では、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続される。
【0257】
図23に示した本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3が図21に示した本発明に先立って本発明者により検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3と相違するのは、下記の点である。
【0258】
すなわち、図23(B)の平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたカソードKを形成するN型不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略される。従って、破線Delに示した複数のコンタクトの省略によって、縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0259】
図23(C)の平面構造は、やはり本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスの平面構造を説明する図である。
【0260】
図23(C)の平面構造が図23(B)に示した平面構造と相違するのは、縦長の長方形に形成されたカソードKのN型不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spの部分におけるカソードKのN型不純物領域とガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離b´が図23(B)の場合の距離bより小さく設定されていることである。
【0261】
その結果、図23(C)の平面構造によれば図21(B)の平面構造と同様なESD耐久量を維持する一方、図21(B)の平面構造の場合よりも、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の素子面積を低減することが可能となる。
【0262】
図25は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【0263】
図23(A)の等価回路と同様に、図25(A)の等価回路では、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続される。
【0264】
図25(B)は第3ダイオードD3の平面構造で、図25(C)は図25(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造で、図25(D)は図25(B)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である。図25(C)と図25(D)の断面構造に示すように、P型基板Psub上に形成されたP型ウェル領域P−Wellに、第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域が形成されている。第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の周囲には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。リング型平面形状の周囲には、第3ダイオードD3のアノードとなるP型不純物領域がリング型平面形状で形成されている。更にリング型平面形状の第3ダイオードD3のアノードとなるP型不純物領域の周囲には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。
【0265】
更に、図25(B)の平面構造と図25(C)の断面構造と図25(D)の断面構造に示すように、リングの中央の第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の表面と、ガードリングGrd_Rngと第3ダイオードD3のアノードとして機能するP型不純物領域の表面に、コバルトシリサイドCoSiが形成されている。
【0266】
しかし、図25(B)の平面構造と図25(C)の断面構造と図25(D)の断面構造とから理解されるように、リングの中央の第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の中央部分のみにコバルトシリサイドCoSiが形成される。一方、周辺の絶縁分離層Isoと接触するN型不純物領域の周辺部分の表面には、コバルトシリサイドCoSiが形成されていない。すなわち、シリサイドブロックを使用することで、寄生抵抗を部分的に増大してESD耐久量を増大するものである。
【0267】
しかし、図25に示した本発明の比較参考例の電源保護回路16の第3ダイオードD3はシリサイドブロックの使用にもかかわらず、図25(B)の平面構造と図25(D)の断面構造とに示したウィークスポットWk_Spの部分でPN接合の最初のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合よりも高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊される危険性が高いことが明らかとされた。図25(B)の平面構造に示したウィークスポットWk_Spは、縦長の長方形に形成された第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の短辺に存在している。
【0268】
図25(B)の平面構造に示すように、縦長の長方形に形成された第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の4個の角部分には強い電界が発生するので、平行対向部分の逆方向電流よりも大きな逆方向電流が4個の角部分に流れるものとなる。角部分に流れる大きな逆方向電流の半分と残り半分とがそれぞれ短辺部分と長辺部分とに流れると想定すると、短辺部分の電流増加分が長辺部分の電流増加分よりも大きくなる。その結果、縦長の長方形に形成された第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の短辺部分がウィークスポットWk_Spとなってサージ放電電流の電流密度が高くなり、破壊されるものである。
【0269】
図27は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【0270】
図25(A)の等価回路と同様に、図27(A)の等価回路では、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続される。
【0271】
図27に示した本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3が図25に示した本発明に先立って本発明者により検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3と相違するのは、下記の点である。
【0272】
すなわち、図27(B)の平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺の表面にはコバルトシリサイドCoSiが形成される一方、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の下部短辺の表面にはコバルトシリサイドCoSiが形成されていない。その結果、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺が、ウィークスポットWk_Spとなる。従って、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では、第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺と対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略される。従って、破線Delに示した上辺のガードリングGrd_Rngでの複数のコンタクトの完全な省略によって、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域の上部短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加して、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0273】
また、この場合はコバルトシリサイド領域CoSiのサイズおよびコンタクト数が増えることにより電流能力も向上することが可能である。
【0274】
更に、図25に示したコバルトシリサイド領域CoSiのサイズを変更せずに、図27のように上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺にコバルトシリサイド領域CoSiを近接させ、複数のコンタクトを破線Delに示すように完全に省略されることによりウィークスポットWk_Spの破壊耐量を低下させることなく素子のサイズを小さくすることも可能である。
【0275】
尚、コンタクトが省略された側のガードリングGrd_Rngの幅や、それに対向するカソード側のN型不純物領域との間隔についてESDの耐量特性バランスを考慮して縮小することも可能となる。
【0276】
図29は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【0277】
図27(A)の等価回路と同様に、図29(A)の等価回路では、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続される。
【0278】
図29に示した本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3が図25に示した本発明に先立って本発明者により検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3と相違するのは、下記の点である。
【0279】
すなわち、図29(B)の平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺には、幅が1番狭く直列抵抗が最小のシリサイドブロックが使用されている。更に、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の下部短辺には、幅が2番目に狭く直列抵抗が2番目に低いシリサイドブロックが使用されている。従って、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接したN型不純物領域の上部短辺が最弱のウィークスポットWk_Spとなって、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接したN型不純物領域の下部短辺が2番目に弱いウィークスポットWk_Spとなる。従って、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では最弱のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略され、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では2番目に弱いウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように1行分だけ省略されている。省略の程度に比例して直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0280】
また、この場合はコバルトシリサイド領域CoSiのサイズおよびコンタクト数が増えることにより電流能力も向上することが可能である。
【0281】
更に、図25においてコバルトシリサイド領域CoSiのサイズを変更せずに、図29(B)に示すような上記形状にすることにより、ウィークスポットWk_Spの破壊耐量を低下させることなく素子のサイズを小さくすることも可能である。
【0282】
更に、コンタクトが省略された側のガードリングGrd_Rngの幅や、それに対向するカソード側のN型不純物領域との間隔についてESDの耐量特性バランスを考慮して縮小することも可能となる。
【0283】
図31は、本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3の半導体デバイスを説明する図である。
【0284】
図29(A)の等価回路と同様に、図31(A)の等価回路では、電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のカソードとアノードとは電源端子11の高電圧端子Vと接地端子12の低電圧端子Vにそれぞれ接続される。
【0285】
図31に示した本発明の実施の形態2による電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3が図25に示した本発明に先立って本発明者により検討された電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3と相違するのは、下記の点である。
【0286】
すなわち、図31(B)の平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺の表面にはコバルトシリサイドCoSiが形成され、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の下部短辺の表面にもコバルトシリサイドCoSiが形成されている。その結果、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺と、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の下部短辺との2個所が、ウィークスポットWk_Spとなる。従って、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では、第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺と対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように、完全に省略される。同様に、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では、第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の下部短辺と対向する部分の複数のコンタクトが、破線Delに示したように完全に省略される。従って、破線Delに示した上辺と下辺のガードリングGrd_Rngでの複数のコンタクトの完全な省略によって、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域の上部短辺と下部短辺とのウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加して、上部短辺と下部短辺とのウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0287】
また、この場合はコバルトシリサイド領域CoSiのサイズおよびコンタクト数が増えることにより電流能力も向上することが可能である。
【0288】
更に、図25に示したコバルトシリサイド領域CoSiのサイズを変更せずに、図31のように上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の上部短辺にコバルトシリサイド領域CoSiを近接させ、下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域に近接した第3ダイオードD3のカソードとなるN型不純物領域の下部短辺にコバルトシリサイド領域CoSiを近接させ、複数のコンタクトを破線Delに示すように完全に省略することによりウィークスポットWk_Spの破壊耐量を低下させることなく素子のサイズを小さくすることも可能である。
【0289】
尚、コンタクトが省略された側のガードリングGrd_Rngの幅や、それに対向するカソード側のN型不純物領域との間隔についてESDの耐量特性バランスを考慮して縮小することも可能となる。
【0290】
尚、上述した図21、図23、図25、図27、図29、図31はP型ウェル領域P−Wellを使用した構造のダイオードにおいて説明をしたが、図22、図24、図26、図28、図30、図32のように、N型不純物領域とP型不純物領域とを反対にしたN型ウェル領域N−Wellを使用した構造のダイオードにおいても同様である。そして、チップのレイアウトでは、P型ウェル領域P−Wellを使用した構造のダイオードとN型ウェル領域N−Wellを使用した構造のダイオードを並列に配置したダイオードを構成することも可能である。
【0291】
[実施の形態3]
《スイッチ回路の半導体デバイス》
図33は、本発明の比較参考例として本発明に先立って本発明者によって検討されたスイッチ回路17を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn3の半導体デバイスを説明する図である。
【0292】
図33に示すスイッチ回路17は、例えばDC/DCコンバータを構成するためのチャージポンプ型もしくはスイッチドキャパシタ型スイッチ回路等に使用するスイッチMOSトランジスタ回路である。従って、図33に示すスイッチ回路17に含まれるNチャンネルMOSトランジスタMn3は、半導体集積回路の外部容量にプリチャージ電圧を充電するプリチャージ動作と電源電圧にプリチャージ電圧を重畳して昇圧電圧を生成するブースト動作とを反復することによって、昇圧動作を実行するものである。一方、実際のDC/DCコンバータは、図33に示すスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3と1個の外部容量との直列接続を単位回路として、複数の単位回路を直列接続することによって構成される。その際に、図33(A)の等価回路に示すスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3のドレインDとゲートGとソースSとP型ウェル領域P−Wellとは、それぞれ相違する電圧レベルV、V、V、VP−Wellによって駆動される。
【0293】
図33(B)の平面構造に示したように、スイッチ回路17を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn3のゲートGは複数のフィンガー電極により形成され、各ゲートフィンガー電極の左右にはドレインDを形成するN型不純物領域とソースSを形成するN型不純物領域が形成される。複数のフィンガー電極Gと複数のドレインN型不純物領域Dと複数のソースN型不純物領域Sの周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域がリング型平面形状で形成される。更にガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。また、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は、P型ウェル領域P−Wellを給電する目的と、ガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn3からの雑音の図1に示した半導体集積回路1の内部回路への伝達量を低減する目的と、図1に示した半導体集積回路1の内部回路からの雑音によってガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn3がラッチアップ破壊される危険性を低減する目的から、形成されたものである。
【0294】
図33(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図33(C)に示したように、複数のドレインN型不純物領域にはドレイン駆動電圧Vが供給され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellとにはウェル駆動電圧VP−Wellが供給され、複数のソースN型不純物領域にはソース駆動電圧Vが供給され、複数のゲート・フィンガー電極Gにはゲート駆動電圧Vが供給される。
【0295】
図33(B)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である図33(D)に示すように、ドレインN型不純物領域には複数のコンタクトを介してドレイン駆動電圧Vが供給され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域には複数のコンタクトを介してウェル駆動電圧VP−Wellが供給される。
【0296】
図33(B)の平面構造に示したように、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DとソースN型不純物領域Sには縦長に配列された複数のコンタクトが形成される。また図33(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。更に、図33(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とには、横長に配列された複数のコンタクトが形成されている。
【0297】
図33に示したスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3において、P型ウェル領域P−WellとドレインN型不純物領域Dとの間のPN接合と、P型ウェル領域P−WellとソースN型不純物領域Sとの間のPN接合とに、大きな逆方向のサージ電圧が印加される場合を想定する。図33(D)の断面構造から理解されるように、P型ウェル領域P−WellとドレインN型不純物領域Dとの間のPN接合とP型ウェル領域P−WellとソースN型不純物領域Sとの間のPN接合とが降伏して、これらのPN接合にサージ電流が流れる。
【0298】
しかし、本発明に先立った本発明者による検討によって、図33に示したスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3の寄生ダイオードが降伏する際に、図33(B)の平面構造と図33(D)の断面構造とに示したウィークスポットWk_SpでPN接合のサージ放電電流の電流密度がそれ以外の部分のPN接合よりも高くなり、ウィークスポットWk_Spの部分が破壊される危険性が高いことが明らかとされた。すなわち、図33(B)の平面構造に示された10個所のウィークスポットWk_Spは、縦長の長方形に形成されたソースN型不純物領域Sの短辺部分と、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域Dの短辺部分となっている。その理由は、縦長の長方形の4個の角部分での電流の影響による短辺部分の電流増加分が長辺部分の電流増加分よりも大きくなるためである。
【0299】
図34は、本発明の実施の形態3によるスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3の半導体デバイスを説明する図である。
【0300】
図33(A)の等価回路と同様に、図34(A)の等価回路に示すように、スイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3のドレインDとゲートGとソースSとP型ウェル領域P−Wellとは、それぞれ相違する電圧レベルV、V、V、VP−Wellによって駆動される。
【0301】
図33(B)の平面構造と同様に、図34(B)の平面構造に示すように、スイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3のゲートGは複数のフィンガー電極により形成され、各ゲートフィンガー電極の左右にはドレインDを形成するN型不純物領域とソースSを形成するN型不純物領域とが形成される。複数のフィンガー電極Gと複数のドレインN型不純物領域Dと複数のソースN型不純物領域Sの周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。絶縁分離層Isoのリング型平面形状の周囲には、ガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域がリング型平面形状で形成される。更にガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の周囲には、絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されている。また、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は、P型ウェル領域P−Wellを給電する目的と、ガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn3からの雑音の図1に示した半導体集積回路1の内部回路への伝達量を低減する目的と、図1に示した半導体集積回路1の内部回路からの雑音によってガードリングGrd_Rngの内部に形成されたNチャンネルMOSトランジスタMn3がラッチアップ破壊される危険性を低減する目的から、形成されたものである。
【0302】
図33(B)の平面構造と同様に、図34(B)の平面構造に示すように、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DとソースN型不純物領域Sとには縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。また図34(B)の平面構造の右辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と左辺ガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、縦長に配列された複数のコンタクトが形成されている。更に図34(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域には、横長に配列された複数のコンタクトが形成されている。
【0303】
しかし、図33(B)の平面構造と異なり、図34(B)の平面構造の上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DおよびソースN型不純物領域Sの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略される。従って、破線Delに示した複数のコンタクトの省略により、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DおよびソースN型不純物領域Sの短辺のウィークスポットWk_Spの部分での直列抵抗が増加するので、合計10個所のウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0304】
図34(C)の平面構造は、やはり本発明の実施の形態3によるスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3の半導体デバイスの平面構造を説明する図である。
【0305】
図34(C)の平面構造が図34(B)に示した平面構造と相違するのは、縦長の長方形に形成されたドレインN型不純物領域DおよびソースN型不純物領域Sの短辺のウィークスポットWk_Spの部分におけるドレインN型不純物領域およびソースN型不純物領域SとガードリングGrd_RngのP型不純物領域との間の距離b´が図34(B)の場合の距離bより小さく設定されていることである。
【0306】
その結果、図34(C)の平面構造によれば図33(B)の平面構造と同様なESD耐久量を維持する一方、図33(B)の平面構造の場合よりもスイッチ回路17のNチャンネルMOSトランジスタMn3の素子面積を低減することが可能となる。
【0307】
[実施の形態4]
《静電保護回路の半導体デバイス》
図35は、本発明の実施の形態4による静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスを説明する図である。
【0308】
図35に示す本発明の実施の形態4による静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスと図3に示した本発明に先立って本発明者によって検討された静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスとの第1相違点は、下記の点である。
【0309】
すなわち、図35(B)の平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのN型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成された第1ダイオードD1のアノードを形成するP型不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分での複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略されている。さらに、図35(C)の平面構造から理解されるように、上辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域と下辺のガードリングGrd_RngのP型不純物領域とでは、縦長の長方形に形成された第2ダイオードD2のカソードを形成するN型不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分での複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略されている。その結果、破線Delに示した複数のコンタクトの省略によって、縦長に形成された第1ダイオードD1のアノードを形成するP型不純物領域の短辺部分のウィークスポットWk_Spと縦長に形成された第2ダイオードD2のカソードを形成するN型不純物領域の短辺部分のウィークスポットWk_Spとで直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0310】
更に図35に示す本発明の実施の形態4による静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスと図5に示した本発明に先立って本発明者によって検討された静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスとの第2相違点は、下記の点である。
【0311】
すなわち、図35(B)の平面構造から理解されるように、第1ダイオードD1の内部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示す中間部の絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成され、中間部の絶縁分離層Isoの周辺には外部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域がリング型平面形状で形成され、外部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示す外部の絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。外部の右側のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では、縦長の長方形に形成された内部ガードリングGrd_RngのN型不純物領域の右側の長辺と対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略される。同様にして、外部の左側のガードリングGrd_RngのP型不純物領域では、縦長の長方形に形成された内部ガードリングGrd_RngのN型不純物領域の左側の長辺と対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略される。このように、外部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域で内部ガードリングGrd_RngのN型不純物領域の長辺と対向する部分の複数のコンタクトを完全に省略したとしても、外部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域の長辺と内部ガードリングGrd_RngのN型不純物領域の長辺との平行対向幅は十分大きな値となっているので、この部分の破壊の危険性は低いものなっている。
【0312】
更に、図35(C)の平面構造から理解されるように、第2ダイオードD2の内部のガードリングGrd_RngのP型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示した中間部の絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成されて、中間部の絶縁分離層Isoの周辺には外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域がリング型平面形状で形成され、外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示す外部の絶縁分離層Isoがリング型平面形状で形成される。外部の右側のガードリングGrd_RngのN型不純物領域では、縦長の長方形に形成された内部ガードリングGrd_RngのP型不純物領域の右側の長辺と対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略される。同様にして、外部の左側のガードリングGrd_RngのN型不純物領域では、縦長の長方形に形成された内部ガードリングGrd_RngのP型不純物領域の左側の長辺と対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略される。このように、外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域で内部ガードリングGrd_RngのP型不純物領域の長辺と対向する部分の複数のコンタクトを完全に省略したとしても、外部のガードリングGrd_RngのN型不純物領域の長辺と内部ガードリングGrd_RngのP型不純物領域の長辺との平行対向幅は十分大きな値となっているので、この部分の破壊の危険性は低いものなっている。
【0313】
このように、図35に示した本発明の実施の形態4によれば、縦長の長方形に形成された外部の左側と右側のガードリングGrd_RngのP型不純物領域およびN型不純物領域の長辺部分において複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略されるので、静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の半導体デバイスの素子面積を大幅に低減することが可能となる。
【0314】
[実施の形態5]
《半導体集積回路の構成》
図36は、本発明の実施の形態5による静電保護回路(ESD保護回路)を具備する半導体集積回路の構成を示す図である。
【0315】
図36に示す本発明の実施の形態5による半導体集積回路1が図1に示した本発明の実施の形態1による半導体集積回路1と相違するのは、端子10が入力端子であり、電源端子11と接地端子12との間に直列接続されたPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1を含む回路が入力バッファ18であり、静電破壊の原因となるサージ電圧が入力端子10に印加された際に入力バッファ18のPチャンネルMOSトランジスタMp1とNチャンネルMOSトランジスタMn1が破壊されることを防止する回路が静電保護回路19であることである。
【0316】
図36に示した本発明の実施の形態5による半導体集積回路1の静電保護回路19は抵抗R1と第1ダイオードD1と第2ダイオードD2とを含み、この静電保護回路19の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2として図35に示した本発明の実施の形態4による半導体デバイスを採用することが可能である。
【0317】
更に図36に示した本発明の実施の形態5による半導体集積回路1の静電保護回路19の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の各ダイオードとして、図23または図27または図29または図31に示した本発明の実施の形態2による半導体デバイスを採用することが可能である。
【0318】
[実施の形態6]
《電源間クランプ回路の他の構成》
図37は、本発明の実施の形態6による半導体集積回路における電源間クランプ回路15の他の構成を示す図である。
【0319】
すなわち、本発明の実施の形態6による半導体集積回路は、図1に示した本発明の実施の形態1または図36に示した本発明の実施の形態5による半導体集積回路1に含まれる電源間クランプ回路15の他の構成に関係するものである。
【0320】
上述した本発明の実施の形態1または本発明の実施の形態5においては、図1と図36に示したように、電源間クランプ回路15はNチャンネルMOSトランジスタMn2と抵抗R2とダイオードD4とを含み、NチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインとソースとは電源端子11と接地端子12とにそれぞれ接続され、NチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートとソースとの間には抵抗R2とダイオードD4とが並列接続されたものである。電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2は、図12に示すように縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略されたものである。
【0321】
図14と図18に示した本発明の実施の形態1において、電源間クランプ回路15はゲートGとソースSとが短絡されたPチャンネルMOSトランジスタMp2により構成され、図14と図18に示すように縦長の長方形に形成されたP型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略されたものである。
【0322】
図12と図15と図16と図17とに示した本発明の実施の形態1において、電源間クランプ回路15はゲートGとソースSとが短絡されたNチャンネルMOSトランジスタMn2により構成され、図15(C)と図16(C)と図17とに示すように縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略されたものである。
【0323】
更に図20に示した本発明の実施の形態1においも、電源間クランプ回路15はゲートGとソースSとが短絡されたNチャンネルMOSトランジスタMn2によって構成され、図20に示すように縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺には直列抵抗の高いコバルトシリサイドCoSiが形成されないことに起因する短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが破線Delに示すように省略されたものである。
【0324】
それに対して、図37に示した本発明の実施の形態6による半導体集積回路の電源間クランプ回路15は、時定数回路TCCとNチャンネルMOSトランジスタMn2とを含み、NチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDとソースSとは電源端子11と接地端子12とにそれぞれ接続され、NチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGとソースSとの間には時定数回路TCCの出力信号がCMOSインバータInvを介してまたは直接に供給されるものである。
【0325】
図37(A)に示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15では、時定数回路TCCは積分回路を構成するように抵抗Rsと容量Csの順序で抵抗Rsと容量Csとが直列接続され、抵抗Rsと容量Csの接続ノードはCMOSインバータInvの入力端子に接続されて、CMOSインバータInvの出力端子はNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGに接続される。
【0326】
図37(B)に示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15では、時定数回路TCCは微分回路を構成するように容量Csと抵抗Rsの順序で容量Csと抵抗Rsとが直列接続され、容量Csと抵抗Rsの接続ノードはNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲートGに接続される。
【0327】
図37(A)と図37(B)とに示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2は、本発明の実施の形態1による図12と図15と図16と図17と図20とのいずれかに記載された半導体デバイスの構造を採用することが可能である。すなわち、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分での複数のコンタクトが省略されることによって、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0328】
図37(A)と図37(B)とに示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15は、図2にて説明した正電圧サージパルス電圧P_plsの出力端子10への印加状態または図36にて説明したサージ電圧の入力端子10への印加状態において、出力バッファ14または入力バッファ18の素子破壊を極めて効果的に防止するものである。すなわち、上述したサージ電圧の印加状態においては、接地端子12の接地電位Vssに対して電源端子11の電源電圧Vddはサージ電圧に応答して過渡的に増大する。
【0329】
図37(A)に示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15では、過渡期間の間に積分回路を構成する時定数回路TCCの抵抗Rsと容量Csとの接続ノードと電源電圧Vddとの間に電圧差が生じることにより、CMOSインバータInvの出力端子は高レベルに変化して、NチャンネルMOSトランジスタMn2はオン状態に制御され、NチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDからソースSにチャネル電流が流れ始める。さらに電源電圧Vddの電圧が上昇すると、NチャンネルMOSトランジスタMn2の寄生バイポーラトランジスタがオン状態になることよってサージパルス電圧のエネルギーが消費され、出力バッファ14または入力バッファ18が破壊されることを防止することが可能となる。
【0330】
図37(B)に示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15では、過渡期間の間に微分回路を構成する時定数回路TCCの容量Csと抵抗Rsとの接続ノードは高レベルに変化するので、NチャンネルMOSトランジスタMn2はオン状態に制御される。従って、オン状態のNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインDからソースSにチャネル電流が流れ、更にNチャンネルMOSトランジスタMn2の寄生バイポーラトランジスタがオン状態になることよって、サージパルス電圧のエネルギーが消費され、出力バッファ14または入力バッファ18が破壊されることを防止することが可能となる。
【0331】
図15と図16と図17に示した本発明の実施の形態1の電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2は寄生バイポーラトランジスタの動作によりサージパルス電圧のエネルギーを消費するものであるので、破壊防止動作が不確実となる可能性があった。それに対して図37(A)と図37(B)とに示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15では、NチャンネルMOSトランジスタMn2は最初に電界効果トランジスタのチャネル電流によってサージパルス電圧のエネルギーを消費するものであるので、破壊防止動作を確実とすることが可能である。
【0332】
更に図37に示す本発明の実施の形態6による半導体集積回路における電源間クランプ回路15の出力部のMOSトランジスタはNチャンネルMOSトランジスタにのみ限定されるものではなく、図14と図18に示した本発明の実施の形態1で説明したPチャンネルMOSトランジスタMp2を使用することが可能である。この場合には、PチャンネルMOSトランジスタMp2のソースとドレインとは電源端子11と接地端子12とにそれぞれ接続され、PチャンネルMOSトランジスタMp2のゲートとソースとの間には時定数回路TCCの出力信号がCMOSインバータInvを介してまたは直接に供給されるものである。
【0333】
図37(A)に示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15において、積分回路により構成された時定数回路TCCとPチャンネルMOSトランジスタMp2とを使用する場合には、CMOSインバータInvは省略されるものとなる。反対に、図37(B)に示した本発明の実施の形態6による電源間クランプ回路15において、微分回路により構成された時定数回路TCCとPチャンネルMOSトランジスタMp2とを使用する場合には、CMOSインバータInvが追加されるものとなる。
【0334】
[実施の形態7]
《デカップリング容量の構成》
図38は、本発明の実施の形態7による半導体集積回路におけるデカップリング容量の半導体デバイスの構成を示す図である。
【0335】
図38に示す本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdは、図1に示した本発明の実施の形態1または図36に示した本発明の実施の形態5による半導体集積回路1の電源端子11と接地端子12との間に接続されるものである。すなわち、半導体集積回路1の電源端子11と接地端子12との間にデカップリング容量Cdが接続されることによって、電源端子11の電源電圧Vddのリップル成分が低減されて、出力バッファ14や入力バッファ18や図示されないCMOS内部回路のリップル成分に起因する誤動作の確率を軽減することが可能となる。更にこのデカップリング容量Cdは出力端子10へのサージ電圧の印加状態もしくは入力端子10へのサージ電圧の印加状態においてサージパルス電圧のエネルギーを吸収するので、出力バッファ14や入力バッファ18や図示されないCMOS内部回路が破壊されることを防止することが可能となる。更に、高レベルのサージパルス電圧に関しては、電源間クランプ回路15がサージパルス電圧のエネルギーを消費して出力バッファ14や入力バッファ18や図示されていないCMOS内部回路が破壊されることを防止することが可能となる。
【0336】
図38(A)に示す等価回路に示すように、デカップリング容量Cdを構成するMOS容量は電源端子11と接続された金属電極Mと、接地端子12と接続された半導体Sと、金属電極Mと半導体Sとの間に接続された酸化膜Oとを含んでいる。金属電極Mは端子T1と接続されており、半導体Sは端子T2と接続されており、半導体Sは寄生ダイオードDpのカソードに接続され、寄生ダイオードDpのアノードは端子T3と接続されている。
【0337】
図38(B)の平面構造に示すように、端子T1と接続されるMOS容量の金属電極Mは単一の電極により構成され、金属電極Mである単一の電極の左右には端子T2と接続されるN型不純物領域が形成されている。左右のN型不純物領域の周辺には斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面構造で形成され、絶縁分離層Isoの周辺にはガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域がリング型平面構造で形成される。更にガードリングGrd_Rngとして機能するP型不純物領域の周辺には、斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoがリング型平面構造で形成される。また、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は、P型ウェル領域P−Wellを給電する目的と、半導体集積回路1の内部回路からの雑音がガードリングGrd_Rngの内部に形成されたMOS容量の半導体Sに伝達されるのを防止する目的から、形成されたものである。
【0338】
図38(B)の平面構造の切断線X−X´に沿う断面構造である図38(C)に示すように、MOS容量の単一の金属電極Mは端子T1と接続され、左右のN型不純物領域は端子T2と接続され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は端子T3と接続されている。
【0339】
図38(B)の平面構造の切断線Y−Y´に沿う断面構造である図38(D)に示したように、P型ウェル領域P−Wellの上部には酸化膜Oと金属電極Mとの積層構造が形成され、MOS容量の単一の金属電極Mは端子T1と接続され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は端子T3と接続されている。従って、接地端子12である端子T2および端子T3の接地電位に対して電源端子11である端子T1の電源電圧は相対的に正の電圧であるので、酸化膜Oと金属電極Mとの積層構造の直下のP型ウェル領域P−Wellの表面にはMOS容量の半導体Sとして機能するN型反転チャネルが形成される。
【0340】
図38(B)の平面構造の切断線Z−Z´に沿う断面構造である図38(E)に示すように、MOS容量の金属電極Mの左右に形成されたN型不純物領域は端子T2と接続され、ガードリングGrd_RngのP型不純物領域は端子T3と接続され、N型不純物領域とP型ウェル領域P−Wellとによって寄生ダイオードDpが形成されている。
【0341】
図38に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdは、MOS容量によって構成されているので、図12と図15と図16と図17と図34とに示したNチャンネルMOSトランジスタMn2、Mn3もしくは図14と図18とに示したPチャンネルMOSトランジスタMp2と同時形成されることが可能なものである。
【0342】
すなわち、図38に示したデカップリング容量CdのMOS容量のP型ウェル領域P−Wellは図12に示したNチャンネルMOSトランジスタMn2のP型ウェル領域P−Wellと同時形成され、図38に示したデカップリング容量CdのMOS容量の酸化膜Oは図12に示したNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲート酸化膜と同時形成される。更に図38に示したデカップリング容量CdのMOS容量の金属電極Mは図12に示したNチャンネルMOSトランジスタMn2のゲート電極と同時形成され、図38に示したデカップリング容量CdのMOS容量の金属電極Mの左右のN型不純物領域に接続される電極は図12に示したNチャンネルMOSトランジスタMn2のドレインおよびソースに接続される電極と同時形成されることが可能なものである。
【0343】
その他の例としては、図38に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdは、図34に示した本発明の実施の形態3によるNチャンネルMOSトランジスタMn3と同時形成されることが可能なものである。すなわち、図34に示した本発明の実施の形態3のNチャンネルMOSトランジスタMn3は、図33に示した本発明の比較参考例のNチャンネルMOSトランジスタMn3と同様な半導体製造プロセスによって製造される。
【0344】
上述したように、図38に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdを構成するMOS容量は本発明の種々の実施の形態による半導体集積回路1の内部のNチャンネルMOSトランジスタまたはPチャンネルMOSトランジスタと同時形成されるもので、デカップリング容量Cdを構成するMOS容量の製造コストの低減が可能なものである。
【0345】
また、図38に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdを構成するMOS容量の降伏破壊電圧よりも、電源間クランプ回路15を構成するMOSトランジスタが電源間クランプ動作を開始するターンオン電圧もしくは電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のPN接合がクランプ動作を開始するターンオン電圧を低く設定するものである。
【0346】
《デカップリング容量のレイアウト》
図39は、本発明の実施の形態7による図38に示したデカップリング容量Cdの半導体集積回路の半導体チップ内部におけるレイアウトの構成を示す図である。
【0347】
図39に示したように長方形の半導体チップの下部長辺には、その他の半導体集積回路として構成される中央処理ユニット(CPU)もしくはアプリケーションプロセッサとの間でフレキシブル配線を介してデータ送受信を実行する複数の入出力端子10(IO1、IO2…IOx)等が配置される。更に図39に示すように長方形の半導体チップの下部長辺には、フレキシブル配線の電源電圧Vddと接地電位Vssとがそれぞれ供給される電源端子11と接地端子12とが配置される。
【0348】
次に長方形の半導体チップの上部長辺には、表示デバイスである液晶表示デバイス(LCD)を駆動する液晶駆動出力電圧を生成する複数の出力端子OUT1、OUT2…OUTx、OUTxx…OUTn−1、OUTnが配置される。
【0349】
図39に示したように、長方形の半導体チップの下部長辺と右部短辺と上部長辺と左部短辺とに沿って、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとがそれぞれ周回配線形状で形成される。また、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとは、周回配線形状での形成に加えて、チップの内部を縦方向や横方向に縦断するように形成することも可能である。更に半導体チップ内部に形成された複数の入力バッファ18と複数の出力バッファ14とに動作電圧を供給するための支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssとがそれぞれ幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとから分岐するように形成されている。
【0350】
図39に示したように長方形の半導体チップの下部長辺の左に配置された電源端子11の電源電圧Vddは幹線電源配線Main_Vddに供給されて、長方形の半導体チップの下部長辺の右に配置された接地端子12の接地電位Vssは幹線接地配線Main_Vssに供給される。図39に示した半導体チップの下部長辺に配置された幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間には、複数の出力静電保護回路13の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2と抵抗R1とが配置される。第1ダイオードD1のカソードは下部長辺に配置された幹線電源配線Main_Vddに接続されて、第2ダイオードD2のアノードは下部長辺に配置された幹線接地配線Main_Vssに接続される。更に第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードとは、抵抗R1を介して半導体チップの内部に形成された出力バッファ14のPチャンネルMOSトランジスタMp1のドレインとNチャンネルMOSトランジスタMn1のドレインとに接続される。尚、抵抗R1は、出力バッファ14の出力と第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードとの接合点との間の接続は省略してもよく、入力バッファ18のゲート入力と端子IOx10との間に接続するようにしてもよい。また、各々のブロックで使用されているダイオードD1,D2はダイオードに限らず、クランプMOSダイオード等のクランプ機能を有する素子を使用することが可能であり、ブロック毎にPN接合ダイオードとクランプMOSダイオードと使用する素子の種類が異なってもよい。
【0351】
図39の半導体チップの下部長辺に配置された幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間には、図1に示した本発明の実施の形態1または図36に示した本発明の実施の形態5による半導体集積回路1に含まれた電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2と電源保護回路16の第3ダイオードD3とが接続されている。
【0352】
図39に示す本発明の実施の形態7による半導体集積回路の下部長辺に配置された幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssの間に接続された複数の電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2は、図12と図15と図16と図17とに示した本発明の実施の形態1によるNチャンネルMOSトランジスタMn2によって構成されたものである。すなわち、このNチャンネルMOSトランジスタMn2も、縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが省略されたものである。更に、このNチャンネルMOSトランジスタMn2は、図20で説明した縦長の長方形に形成されたN型不純物領域Dの短辺には直列抵抗の高いコバルトシリサイドCoSiが形成されないことに起因する短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが省略されたトランジスタMn2を使用することも可能なものである。
【0353】
更に、図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路の下部長辺に配置された幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssの間に接続された複数の電源保護回路16の第3ダイオードD3は、図23と図24と図27と図28と図29と図30と図31と図32に示した本発明の実施の形態2による第3ダイオードD3によって構成されたものである。すなわち、この第3ダイオードD3も、ガードリングGrd_RngのP型またはN型の不純物領域では、縦長の長方形に形成されたカソードKまたはアノードAを形成するN型またはP型の不純物領域の短辺のウィークスポットWk_Spと対向する部分の複数のコンタクトが省略されたものである。
【0354】
特に図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、電源端子11と接地端子12とが配置された半導体チップの下部長辺の配置禁止領域Cd_Prohの内部には、図38に示す本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdを配置することが禁止されている。その理由は、この配置禁止領域Cd_Prohの内部の幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間の動作電圧が半導体集積回路の外部サージ電圧の影響によって大きく変動するので、図38に示すデカップリング容量Cdを構成するMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊されるためである。
【0355】
すなわち、半導体集積回路の外部サージ電圧が半導体チップの下部長辺に配置された電源端子11や接地端子12や複数の入出力端子(IO1、IO2…IOx)10のいずれの端子に印加されることで、配置禁止領域Cd_Prohの内部の幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間の動作電圧が大きく変動することとなる。配置禁止領域Cd_Prohの内部の幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間には、複数の電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2と複数の電源保護回路16の第3ダイオードD3とが接続されているが、これらの回路による動作電圧の変動の抑制効果は不十分であるので、図38に示したデカップリング容量Cdを構成するMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊されてしまう。
【0356】
より詳細に説明すると、下記の通りである。図39に示したように、本発明の実施の形態7による半導体集積回路の長方形の半導体チップの下部長辺と右部短辺と上部長辺と左部短辺とに沿って、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとがそれぞれ周回配線形状で形成される。周回配線形状の幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとに複数の複数の電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が分散配置されている。上述したようにデカップリング容量Cdを構成するMOS容量の降伏破壊電圧より、電源間クランプ回路15を構成するMOSトランジスタが電源間クランプ動作を開始するターンオン電圧は低く設定されている。しかし、配置禁止領域Cd_Prohの付近の半導体チップの下部長辺に配置された電源端子11と入出力端子10と接地端子12には、中央処理ユニット(CPU)もしくはアプリケーションプロセッサ等のホスト機器から供給される電源電圧Vddと表示情報データと接地電位Vssに含まれる外部高電圧サージ電圧が印加される。一方、半導体チップの上部長辺に配置された複数の出力端子OUT1、OUT2…OUTnには駆動負荷機器である液晶表示デバイス(LCD)が接続されるだけであるので、この上部長辺に配置された複数の出力端子OUT1、OUT2…OUTnに外部高電圧サージ電圧が印加される可能性は極めて低い。更に、半導体集積回路の長方形の半導体チップに周回配線形状で形成された幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssの配線直列抵抗は無視できないとともに、電源間クランプ回路15を構成するMOSトランジスタにサージ電流が流れることによるMOSトランジスタのドレイン・ソース間の電圧降下も無視することができない。これらの理由によって、半導体集積回路の外部サージ電圧に応答して、配置禁止領域Cd_Prohの内部の幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間の動作電圧がデカップリング容量Cdを構成するMOS容量の降伏破壊電圧より高くなり、デカップリング容量Cdを構成するMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊されるものである。
【0357】
上述した理由によって、配置禁止領域Cd_Prohの内部では、破線Cd_NG1、Cd_NG2に示したように、図38に示す本発明の実施の形態7によるMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdを幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssの間に接続することが禁止されている。
【0358】
従って、本発明の好適な実施の形態によれば、破線Cd_NG1、Cd_NG2に示した配置禁止部分の容量を増大するために、これらの配置禁止部分ではMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdの代用として、電源間クランプ回路15もしくは電源保護回路16が配置されるものである。代用配置される電源間クランプ回路15もしくは電源保護回路16には、図12と図14と図16と図17と図18と図20とに示した本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15または図23と図24と図27と図28と図29と図30と図31と図32とに示した本発明の実施の形態2による電源保護回路16または図37に示した本発明の実施の形態7による電源間クランプ回路15のいずれかを使用することが可能である。すなわち、電源間クランプ回路15を構成するNチャンネルMOSトランジスタMn2またはPチャンネルMOSトランジスタMp2のドレイン寄生容量または電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のPN接合寄生容量が、MOS容量で構成されるデカップリング容量Cdの代用容量として機能するものである。尚、電源間クランプ回路15を構成するMOSトランジスタMn2またはMp2のESD耐量が高くなるように素子が設計されているため、この代用容量が破壊降伏する危険性は低い。
【0359】
更に、図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、長方形の半導体チップの中央の複数の入力バッファ(IN_CKT)18に接続された支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssの左側では破線Cd_NG3に示したように、図38に示す本発明の実施の形態7によるMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdを支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssの間に接続することが禁止されている。その理由は、破線Cd_NG3に示した配置禁止部分と外部サージ電圧が供給される電源端子11との間の幹線電源配線Main_Vddまたは支線電源配線Sub_Vddに電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が接続されていないためである。従って、破線Cd_NG3に示した配置禁止部分での動作電圧の変動の抑制効果は不十分であるので、図38に示したデカップリング容量Cdをこの配置禁止部分に配置するとそのMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊されるものとなる。尚、複数の入力バッファ(IN_CKT)18には、複数の入力静電保護回路19が接続されて、各入力静電保護回路19は第1ダイオードD1と第2ダイオードD2とを含んでいる。第1ダイオードD1のカソードは下部長辺に配置された支線電源配線Sub_Vddに接続され、第2ダイオードD2のアノードは下部長辺に配置された支線接地配線Sub_Vssに接続される。更に第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードとは、半導体チップの内部に形成された入力バッファ18のPチャンネルMOSトランジスタMp1のゲートとNチャンネルMOSトランジスタMn1のゲートとに接続される。
【0360】
また本発明の好適な実施の形態によれば、破線Cd_NG3に示した配置禁止部分の容量を増大するために、この配置禁止部分に破線Cd_NG1、Cd_NG2に示した配置禁止部分に配置した代用容量と同様な代用容量が配置されるものである。
【0361】
また図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、長方形の半導体チップの左部短辺での幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間では破線Cd_NG4に示したように、図38に示した本発明の実施の形態7によるMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdを接続することが禁止されている。その理由は、破線Cd_NG4に示す配置禁止部分と外部サージ電圧が供給される電源端子11または接地端子12との間の幹線電源配線Main_Vddまたは幹線接地配線Main_Vssに電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が接続されていないためである。従って、破線Cd_NG4の配置禁止部分での動作電圧の変動の抑制効果は不十分であるので、図38に示したデカップリング容量Cdをこの配置禁止部分に配置するとそのMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊されるものとなる。
【0362】
また本発明の好適な実施の形態によれば、破線Cd_NG4に示した配置禁止部分の容量を増大するために、この配置禁止部分に破線Cd_NG1、Cd_NG2、Cd_NG3に示した配置禁止部分に配置した代用容量と同様な代用容量が配置されるものである。
【0363】
これとは反対に図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、長方形の半導体チップの右部短辺での幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間では破線Cd_OK1に示したように、図38に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdを接続することが許可されている。その理由は、破線Cd_OK1に示した配置許可部分と外部サージ電圧が供給される電源端子11および接地端子12との間の幹線電源配線Main_Vddおよび幹線接地配線Main_Vssに電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が接続されているためである。従って、破線Cd_OK1の配置許可部分での動作電圧の変動の抑制効果は十分であるので、図38に示したデカップリング容量Cdをこの配置許可部分に配置したとしてもそのMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊される危険性は低減されるものとなる。
【0364】
更に、図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、長方形の半導体チップの中央の複数の出力バッファ(OUT_CKT)14に接続された支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssの右側では破線Cd_OK2に示したように、図38に示す本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdをこれらの支線Sub_Vdd、Sub_Vssとの間に接続することが許可されている。その理由は、破線Cd_OK2に示す配置許可部分と外部サージ電圧が供給される電源端子11および接地端子12の間の支線電源配線Sub_Vddおよび支線接地配線Sub_Vssに電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が接続されているためである。従って、破線Cd_OK2の配置許可部分での動作電圧の変動の抑制効果は十分であるので、図38に示したデカップリング容量Cdをこの配置許可部分に配置したとしてもそのMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊される危険性は低減される。
【0365】
これとは反対に図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、長方形の半導体チップの中央の複数の出力バッファ(OUT_CKT)14に接続された支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssの左側では破線Cd_NG5に示すように、図38に示した本発明の実施の形態7によるMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdをこれらの支線Sub_Vdd、Sub_Vssの間に接続することが禁止されている。その理由は、破線Cd_NG5に示す配置禁止部分である支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssの左側は電気的に開放状態となっているためである。従って、電気的に開放状態である破線Cd_NG5に示した配置禁止部分では、支線電源配線Sub_Vddおよび支線接地配線Sub_Vssを介して伝達される外部サージ電圧の反射が生じて動作電圧の大きな変動が発生するので、図38に示したデカップリング容量Cdをこの配置禁止部分に配置するとそのMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊されるものとなる。
【0366】
また本発明の好適な実施の形態によれば、破線Cd_NG5に示した配置禁止部分の容量を増大するために、この配置禁止部分に破線Cd_NG1、Cd_NG2、Cd_NG3、Cd_NG4に示した配置禁止部分に配置した代用容量と同様な代用容量が配置されるものである。更に本発明の他の好適な実施の形態によれば、破線Cd_NG5に示した配置禁止部分の容量を増大するために、図38に示した本発明の実施の形態7によるMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdと並列に電源間クランプ回路15が接続される。この際にこのMOS容量で構成されたデカップリング容量Cdと並列接続される電源間クランプ回路15には、図12と図14と図16と図17と図18と図20とに示した本発明の実施の形態1による電源間クランプ回路15または図37に示した本発明の実施の形態7による電源間クランプ回路15を使用することが可能である。
【0367】
また図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路では、長方形の半導体チップの上部長辺の複数の複数の出力バッファ14の保護のための複数の出力静電保護回路13に動作電圧を供給するための幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間には破線Cd_OK3に示すように、図38に示す本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdを接続することが許可されている。その理由は、破線Cd_OK3に示す配置許可部分と外部サージ電圧が供給される電源端子11および接地端子12の間の幹線電源配線Main_Vddおよび幹線接地配線Main_Vssに電源間クランプ回路15のNチャンネルMOSトランジスタMn2が接続されているためである。従って、破線Cd_OK3の配置許可部分での動作電圧の変動の抑制効果は十分であるので、図38に示したデカップリング容量Cdをこの配置許可部分に配置してもそのMOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊される危険性は低減されるものとなる。
【0368】
すなわち、ESDサージの放電ルートとなる電源配線上に配置するデカップリング容量Cdについては、電源間クランプ回路15のMOSトランジスタMn2、Mp2が十分なクランプ機能を発揮できる範囲内の配置に限定することで、MOS容量の酸化膜Oが絶縁破壊される危険性を回避できる。逆に言えば、電源間クランプ回路15がクランプ機能を発揮できる範囲を超える場所には、MOS構造のデカップリング容量Cdを配置しない。その禁止領域にはデカップリング容量Cdの代わりとして、本発明の実施の形態7による電源間クランプ回路15のいずれかを配置することで、MOSトランジスタMn2、Mp2のMOS構造のデカップリング容量Cdの代用として使用することが可能である。
【0369】
《静電保護回路の半導体デバイス》
図40は、図39に示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路に含まれる出力静電保護回路13もしくは入力静電保護回路19を構成する第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との半導体デバイスを説明する図である。
【0370】
図40(A)の等価回路に示すように、図39に示した本発明の実施の形態7による出力静電保護回路13または入力静電保護回路19は電源電圧Vddと接地電位Vssとの間に直列に接続される第1ダイオードD1と第2ダイオードD2とを含む。
【0371】
図40(B)の平面構造に示すように出力静電保護回路13または入力静電保護回路19の第1ダイオードD1は、最外周の斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoの内部に形成されたN型不純物領域の内部に形成された3個の内周の斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoの内部にそれぞれ形成された長辺と短辺とを有する長方形の平面構造を有する3個のP型不純物領域によって構成されている。尚、図40(B)の平面構造では示していないが、最外周の絶縁分離層Isoの内部に形成されたN型不純物領域の直下に、N型ウェル領域N−Wellが形成されている。
【0372】
更に、図40(B)の平面構造に示した第1ダイオードD1の3個の内周の絶縁分離層Isoの内部にそれぞれ形成された3個のP型不純物領域の表面に、コバルトシリサイドCoSiが形成されている。この第1ダイオードD1の3個のP型不純物領域のうちでは第2ダイオードD2と対向する長方形の平面構造の短辺の部分では幅が1番狭く直列抵抗が最小であるシリサイドブロックが使用されるか、またはシリサイドブロックが実質的に形成されていないので、この対向部分がウィークスポットWk_Spとなるものである。従って、最外周の斜線の絶縁分離層Isoの内部に形成されたN型不純物領域では、第1ダイオードD1の3個のP型不純物領域の短辺の部分のウィークスポットWk_Spと対向する部分では複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略されている。この複数のコンタクトの省略によりウィークスポットWk_Spの直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0373】
図40(B)の平面構造に示すように出力静電保護回路13または入力静電保護回路19の第2ダイオードD2は、最外周の斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoの内部に形成されたP型不純物領域の内部に形成された3個の内周の斜線の網掛けで示した絶縁分離層Isoの内部にそれぞれ形成された長辺と短辺とを有する長方形の平面構造を有する3個のN型不純物領域によって構成されている。尚、図40(B)の平面構造では示していないが、最外周の絶縁分離層Isoの内部に形成されたP型不純物領域の直下に、P型ウェル領域P−Wellが形成されている。
【0374】
更に、図40(B)の平面構造に示した第2ダイオードD2の3個の内周の絶縁分離層Isoの内部にそれぞれ形成された3個のN型不純物領域の表面に、コバルトシリサイドCoSiが形成されている。この第2ダイオードD2の3個のN型不純物領域のうちでは第1ダイオードD1と対向する長方形の平面構造の短辺の部分では幅が1番狭く直列抵抗が最小であるシリサイドブロックが使用されるか、またはシリサイドブロックが実質的に形成されていないので、この対向部分がウィークスポットWk_Spとなるものである。従って、最外周の斜線の絶縁分離層Isoの内部に形成されたP型不純物領域では、第2ダイオードD2の3個のN型不純物領域の短辺の部分のウィークスポットWk_Spと対向する部分では複数のコンタクトが破線Delに示すように完全に省略されている。この複数のコンタクトの省略によりウィークスポットWk_Spの直列抵抗が増加するので、ウィークスポットWk_Spが破壊される危険性を低減することが可能となる。
【0375】
尚、入力部のゲート保護回路で使用するダイオードは、図40に示したシリサイドのESD保護ダイオードを使用した入力静電保護回路19のタイプではなく、通常のダイオードを使用してゲート保護することも可能である。
【0376】
《半導体集積回路の鳥瞰図》
図41は、図39に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量を内蔵する半導体集積回路の構成を示す鳥瞰図である。
【0377】
図41に示すように、図39に示した長方形の半導体チップの下部長辺と右部短辺と上部長辺と左部短辺とに沿って、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとがそれぞれ周回配線形状、あるいは周回配線形状に加えてチップの内部を縦方向や横方向に縦断するように形成される。具体的には、図41に示すように、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとは並列に配置されることで、この2本の線間寄生容量もデカップリング容量の一部として利用される。更に具体的には、図41に示すように、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとは、半導体集積回路の半導体製造プロセスを利用した多層配線により並列に配置されることで、この2本の線間寄生容量の容量値が更に増大される。また、幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとは、多層配線のうちの同一層配線を使用して横方向に隣接して並走させることで容量値を増大させることも可能である。
【0378】
更に図41に示すように、図39に示した長方形の半導体チップの下部長辺に沿って配置禁止領域Cd_Prohが形成され、この配置禁止領域Cd_Prohの内部には図38に示した本発明の実施の形態7によるデカップリング容量Cdを配置することが禁止されている。
【0379】
また図41に示すように、半導体集積回路の内部回路に動作電圧を供給するための支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssとがそれぞれ幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとから分岐するように形成されている。図41に示したように、支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssは並列に配置されることで、この2本の支線間寄生容量もデカップリング容量の一部として利用される。更に具体的には図41に示したように、支線電源配線Sub_Vddと支線接地配線Sub_Vssは、半導体集積回路の半導体製造プロセスを利用した多層配線により並列に配置されることで、この2本の支線間寄生容量の容量値が更に増大される。
【0380】
更に、図41には、図39に示した幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間のデカップリング容量Cdの接続が禁止された配置禁止部分Cd_NG4が示され、図39に示した幹線電源配線Main_Vddと幹線接地配線Main_Vssとの間のデカップリング容量Cdの接続が許可された配置許可部分Cd_OK1、Cd_OK3が示されている。
【0381】
また更に図41には、図39に示した長方形の半導体チップの下部長辺に沿って形成された中央処理ユニット(CPU)もしくはアプリケーションプロセッサとデータ送受信を実行するための複数の入出力端子(IO1、IO2…IOx)10と電源端子11と接地端子12とが示されている。
【0382】
また更に図41には、図39に示した長方形の半導体チップの上部長辺に沿って形成された表示デバイスである液晶表示デバイス(LCD)を駆動する液晶駆動出力電圧を生成する複数の出力端子OUT…OUTが示されている。
【0383】
《半導体集積回路と液晶表示デバイスとの接続》
図42は、図39と図41に示した本発明の実施の形態7の半導体集積回路が液晶表示デバイス(LCD)と接続される様子を示す図である。
【0384】
図39と図41とに示した本発明の実施の形態7の半導体集積回路は、図42の下部においてLCDドライバLCD_DRとして示されている。
【0385】
図39と図41と同様に図42の下部のLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの下部長辺に沿って、中央処理ユニット(CPU)またはアプリケーションプロセッサとデータ送受信を実行するための複数の入出力端子(IO1、IO2…IOx)10と電源端子11と接地端子12とが形成されている。このLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの下部長辺には、図39で説明した入力バッファ18と出力バッファ18と出力静電保護回路13と入力静電保護回路19とに対応する入出力回路・入出力静電保護回路391が形成される。この入出力回路・入出力静電保護回路391の内部には、上述した本発明の種々の実施の形態のいずかによって構成される複数の電源間クランプ回路15が分散して形成されている。
【0386】
図42の下部のLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの略中央部には、論理回路392とアナログ回路393と内蔵メモリ394が形成されている。
【0387】
論理回路392はLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの下部長辺での複数の入出力端子10に供給される制御信号に応答して、LCDドライバLCD_DRの内部動作を制御する内部制御信号を生成する。
【0388】
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)により構成された内蔵メモリ394は、LCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの下部長辺での複数の入出力端子10から供給される表示情報を格納する。
【0389】
アナログ回路393は、内蔵メモリ394に格納された表示情報に応答してLCDドライバLCD_DRのソース線SLに供給されるソース駆動出力信号に含まれる階調電圧を生成する階調電圧生成回路等を含むものである。
【0390】
図39と図41と同様に図42の下部のLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの上部長辺に沿って、ソース線駆動出力回路395とゲート線駆動出力回路396とソース線出力静電保護回路397とゲート線出力静電保護回路398とが形成される。ソース線駆動出力回路395は、アナログ回路393に含まれる階調電圧生成回路から生成される階調電圧に応答して、LCDドライバLCD_DRのソース線SLに供給されるソース線駆動出力信号を生成する。ゲート線駆動出力回路396は、論理回路392から生成される内部制御信号に応答して、LCDドライバLCD_DRのゲート線GLに供給されるゲート線駆動出力信号を生成する。ソース線出力静電保護回路397はソース線出力端子に印加される外部サージ電圧によりソース線駆動出力回路395のMOSトランジスタが破壊されることを保護するものであり、ゲート線出力静電保護回路398はゲート線出力端子に印加される外部サージ電圧によりゲート線駆動出力回路396のMOSトランジスタが破壊されることを保護するものである。
【0391】
更に図39と図41と同様に図42の下部のLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの上部長辺に沿って、表示デバイスである液晶表示デバイス(LCD)を駆動する複数の出力端子OUT…OUTが形成されている。この複数の出力端子OUT…OUTは、ソース線出力静電保護回路397のソース線出力端子とゲート線出力静電保護回路398のゲート線出力端子とを含むものである。図42の下部のLCDドライバLCD_DRの長方形の半導体チップの上部長辺に沿って、上述した本発明の種々の実施の形態のいずかによって構成される複数の電源間クランプ回路15が分散して形成されている。
【0392】
図42の上部には、図39と図41とに示した本発明の実施の形態7の半導体集積回路であるLCDドライバLCD_DRにより駆動される液晶表示デバイス(LCD)の液晶パネルLCD_PNLが示されている。液晶パネルLCD_PNLには複数の液晶セルLCD_Cellが横方向と縦方向にマトリックス状に配置され、液晶パネルLCD_PNLの横方向に配置された複数のゲート線GLはLCDドライバLCD_DRのゲート線駆動出力回路396のゲート線駆動出力信号により駆動され、液晶パネルLCD_PNLの縦方向に配置された複数のソース線SLはLCDドライバLCD_DRのソース線駆動出力回路395のソース線駆動出力信号により駆動される。
【0393】
液晶セルLCD_Cellは、薄膜トランジスタ(TFT)Qと液晶容量LCDを含み、薄膜トランジスタQのソース電極とゲート電極とドレイン電極とはそれぞれソース線SLとゲート線SLと液晶容量LCDに接続されている。
【0394】
以上、本発明者によってなされた発明を種々の実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0395】
例えば、ドレイン不純物領域の表面とソース不純物領域の表面とガードリングとして機能するP型不純物領域の表面とにシリサイドを形成する高融点金属としては、コバルトCo以外にタングステンWを使用して、タングステンシリサイドWSiを形成することも可能である。
【0396】
更に半導体集積回路1の基板としては、P型基板Psubにのみ限定されるものではなく、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板やサファイア基板を使用することも可能である。
【0397】
また、上述した説明において、接地端子には対応する電源端子に給電される電圧よりも低い任意の電圧が供給可能であることは言うまでもない。
【0398】
また更に本発明による半導体集積回路1において、電源端子11と接地端子12との間に接続されるデカップリング容量Cdとしては図38に示した本発明の実施の形態7によるMOS容量にのみ限定されるものではない。このデカップリング容量Cdの他の構成としては、金属(M)と絶縁膜(I)と金属(M)との積層構造によるMIM容量やP型不純物領域とN型不純物領域との間のPN接合の寄生容量等を使用することが可能である。また、本発明の実施の形態7によるMOS容量の構造において、ゲートとウェルの間で容量として機能すれば、その構造は図38に限定されるものではない。尚、このMIM容量やこのPN接合の寄生容量の降伏破壊電圧よりも、上述の代用容量として使用される電源間クランプ回路15を構成するMOSトランジスタのドレインでのクランプ降伏開始電圧または電源保護回路16を構成する第3ダイオードD3のPN接合でのクランプ降伏開始電圧を低く設定するものである。
【0399】
また図39と図41と図42とに示した本発明の実施の形態7による半導体集積回路によって駆動される表示デバイスは液晶表示デバイス(LCD)にのみ限定されるものではない。その他の表示デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンス表示デバイスやプラズマディスプレイデバイス等が使用されることが可能である。
【符号の説明】
【0400】
1…半導体集積回路
10…外部端子
11…電源端子
12…接地端子
13…静電保護回路
14…出力バッファ
15…電源間クランプ回路
16…電源保護回路
17…スイッチ回路
18…入力バッファ
19…静電保護回路
P−Well…P型ウェル領域
N−Well…N型ウェル領域
G…ゲート
D…ドレイン不純物領域
S…ソース不純物領域
Iso…絶縁分離層
Grd_Rng…ガードリング
Wk_Sp…ウィークスポット
Del…コンタクト省略部分
A…アノード領域
K…カソード領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電保護回路を具備する半導体集積回路であって、
前記半導体集積回路は、前記静電保護回路の保護素子を形成するために、第1導電型の半導体領域と、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第1不純物領域と、前記第1導電型の第2不純物領域により形成されたガードリングとを具備して、
前記第1不純物領域は、少なくとも長辺と短辺とを有する長方形の平面構造として前記半導体領域の内部に形成され、
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングは、前記第1不純物領域の周辺を取り囲むようにリング型平面形状で前記半導体領域の内部に形成され、
前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺には、破壊の危険性が他の部分より高いウィークスポットが形成され、
前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された複数の電気的コンタクトが形成され、
前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2導電型の前記第1不純物領域は、前記短辺の方向に繰り返して形成された複数の第1不純物領域を含み、
前記複数の第1不純物領域の間には、MOSトランジスタのゲート電極が前記長辺の方向に沿って形成され、
前記複数の第1不純物領域の一方と他方とは、前記MOSトランジスタのソースとドレインとしてそれぞれ機能するものであり、
前記MOSトランジスタの基板として機能する前記第1導電型の前記半導体領域は、前記ガードリングを介して前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と電気的に接続され、
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成され、
前記ガードリングの内部には、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と前記MOSトランジスタの前記ゲート電極と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの前記第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された前記複数の電気的コンタクトが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方は複数のソース不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方は複数のドレイン不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ゲート電極は複数のゲート電極を含み、
前記ガードリングの前記内部には、前記複数のソース不純物領域と前記複数のゲート電極と前記複数のドレイン不純物領域とが形成された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記MOSトランジスタの前記複数のドレイン不純物領域としての前記複数の第1不純物領域の複数の前記長方形の平面構造の複数の短辺には、複数のウィークスポットが形成され、
前記複数の前記長方形の平面構造の前記複数の短辺に形成される前記複数のウィークスポットと対向する前記ガードリングの複数の第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項2において、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの第3部分でも、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2不純物領域によって形成された前記ガードリングの周辺には、前記第2導電型の第3不純物領域によって形成された他のガードリングが形成され、
前記第1導電型の前記半導体領域の周辺で前記他のガードリングの直下には、前記第2導電型の他の半導体領域が形成され、
前記第2導電型の前記他の半導体領域には、前記他のガードリングを介して、所定の電圧が供給可能とされた
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項2において、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の前記平面構造の表面と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の前記平面構造の表面とには、それぞれ高融点金属とシリコンの合金であるシリサイドが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットでは、前記シリサイドのシリサイドブロックが実質的に形成されていないか前記シリサイドのシリサイドブロックの幅が他の部分よりも小さく設定された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
請求項1において、
前記第2導電型の前記第1不純物領域は前記保護素子としてのダイオードのカソードとアノードの一方として機能する一方、前記第1導電型の前記半導体領域と前記第1導電型の前記第2不純物領域により形成されたガードリングとは前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの他方として機能するものであり、
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成され、
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域は、複数の第1不純物領域を含み、
前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記複数の第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成され、
前記ガードリングの内部には、前記保護素子としての前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記複数の第1不純物領域が形成され、
前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記複数の第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
請求項8において、
前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第2導電型の前記第1不純物領域の表面には、高融点金属とシリコンの合金であるシリサイドが形成され、
前記ダイオードの前記カソードと前記アノードの前記一方として機能する前記第1不純物領域の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットでは、前記シリサイドのシリサイドブロックが実質的に形成されていないか前記シリサイドのシリサイドブロックの幅が他の部分よりも小さく設定された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
請求項1において、
前記第2導電型の前記第1不純物領域は、前記短辺の方向に繰り返して形成された複数の第1不純物領域を含み、
前記複数の第1不純物領域の間には、MOSトランジスタのゲート電極が前記長辺の方向に沿って形成され、
前記複数の第1不純物領域の一方と他方とは、前記MOSトランジスタのソースとドレインとしてそれぞれ機能するものであり、
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングおよび前記MOSトランジスタの基板として機能する前記第1導電型の前記半導体領域と、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と、前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とは、それぞれ相違した駆動電圧によって駆動可能とされ、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺には、前記ウィークスポットが形成され、
前記ガードリングの内部には、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と前記MOSトランジスタの前記ゲート電極と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの前記第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された前記複数の電気的コンタクトが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略され、
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺に形成される前記ウィークスポットと対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
請求項11において、
前記ガードリングおよび前記基板と、前記ソースと、前記ドレインとが、前記それぞれ相違した駆動電圧によって駆動可能な前記MOSトランジスタは、前記半導体集積回路の外部に配置される外部容量を使用したスイッチ回路に使用されるスイッチである
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項13】
請求項1において、
前記半導体集積回路は、外部出力端子と、当該外部出力端子を駆動する出力バッファとを更に具備して、
前記静電保護回路は、前記半導体集積回路の外部から供給されるサージ電圧により前記出力バッファが破壊されることを防止する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項14】
請求項1において、
前記半導体集積回路は、外部入力端子と、当該外部入力端子に接続された入力バッファとを更に具備して、
前記静電保護回路は、前記半導体集積回路の外部から供給されるサージ電圧により前記入力バッファが破壊されることを防止する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項15】
静電保護回路を具備する半導体集積回路であって、
前記半導体集積回路は、前記静電保護回路の保護素子を形成するために、第1導電型の半導体領域と、前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第1不純物領域と、前記第1導電型の第2不純物領域により形成されたガードリングとを具備して、
前記第1不純物領域は、少なくとも長辺と短辺とを有する長方形の平面構造として前記半導体領域の内部に形成され、
前記第2不純物領域により形成された前記ガードリングは、前記第1不純物領域の周辺を取り囲むようにリング型平面形状で前記半導体領域の内部に形成され、
前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された複数の電気的コンタクトが形成され、
前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項16】
請求項15において、
前記第2導電型の前記第1不純物領域は、前記短辺の方向に繰り返して形成された複数の第1不純物領域を含み、
前記複数の第1不純物領域の間には、MOSトランジスタのゲート電極が前記長辺の方向に沿って形成され、
前記複数の第1不純物領域の一方と他方とは、前記MOSトランジスタのソースとドレインとしてそれぞれ機能するものであり、
前記MOSトランジスタの基板として機能する前記第1導電型の前記半導体領域は、前記ガードリングを介して前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と電気的に接続され、
前記ガードリングの内部には、前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方と前記MOSトランジスタの前記ゲート電極と前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方とが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記長辺と対向する前記ガードリングの前記第1部分では、前記長辺の方向に沿って配列された前記複数の電気的コンタクトが形成され、
前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方の前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの前記第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項17】
請求項16において、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方は複数のソース不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ドレインとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記他方は複数のドレイン不純物領域を含み、前記MOSトランジスタの前記ゲート電極は複数のゲート電極を含み、
前記ガードリングの前記内部には、前記複数のソース不純物領域と前記複数のゲート電極と前記複数のドレイン不純物領域とが形成された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項18】
請求項17において、
前記MOSトランジスタの前記複数のドレイン不純物領域としての前記複数の第1不純物領域の複数の前記長方形の平面構造の複数の短辺と対向する前記ガードリングの複数の第2部分では、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項19】
請求項16において、
前記MOSトランジスタの前記ソースとして機能する前記複数の第1不純物領域の前記一方の前記長方形の平面構造の前記短辺と対向する前記ガードリングの第3部分でも、複数の電気的コンタクトの形成が省略された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項20】
請求項19において、
前記第2不純物領域によって形成された前記ガードリングの周辺には、前記第2導電型の第3不純物領域によって形成された他のガードリングが形成され、
前記第1導電型の前記半導体領域の周辺で前記他のガードリングの直下には、前記第2導電型の他の半導体領域が形成され、
前記第2導電型の前記他の半導体領域には、前記他のガードリングを介して、所定の電圧が供給可能とされた
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項21】
請求項2において、
前記半導体集積回路は、前記半導体集積回路の外部から電源電圧と接地電位とがそれぞれ供給される外部電源端子と外部接地端子とを更に具備して、
前記静電保護回路は、前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に接続された電源間クランプ回路を含むものであり、
前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタの前記ドレインと前記ソースとの間の電流経路は前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に接続された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項22】
請求項21において、
前記半導体集積回路は、前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタが電源間クランプ動作を開始するターンオン電圧よりも高い降伏破壊電圧を有するデカップリング容量を更に具備して、
前記デカップリング容量は、前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に接続された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項23】
請求項22において、
前記デカップリング容量は、前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタと前記半導体集積回路の半導体製造プロセスによって同時形成されるMOS容量である
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項24】
請求項23において、
前記半導体集積回路は、互いに対向する第1と第2の長辺と互いに対向する第1と第2の短辺とを有する長方形の半導体チップによって形成され、
前記長方形の前記半導体チップの前記第1と第2の長辺と前記第1と第2の短辺に沿って、幹線電源配線と幹線接地配線とがそれぞれ周回配線形状で形成されたものであり、
前記半導体チップの前記第1の長辺には、前記半導体集積回路の外部から表示情報データが供給される複数の信号端子と、前記電源電圧が供給される前記外部電源端子と、前記接地電位が供給される前記外部接地端子とが形成され、
前記半導体チップの前記第2の長辺には、前記半導体集積回路の外部の表示デバイスを駆動するための複数の出力信号を生成する複数の出力端子が形成され、
前記長方形の半導体チップの内部で、前記第2の長辺から離間するとともに前記第1の長辺に近接して前記第1の長辺と実質的に平行な配置禁止領域が設定され、
前記配置禁止領域の内部または近傍において、前記幹線電源配線と前記外部電源端子とが接続され、前記幹線接地配線と前記外部接地端子とが接続されたものである。
前記配置禁止領域の前記内部では、前記デカップリング容量の配置が禁止された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項25】
請求項24において、
前記長方形の半導体チップの前記内部で、前記配置禁止領域以外の領域が配置許可領域に設定され、
前記配置許可領域の内部には、前記デカップリング容量が配置されたものであり、
前記配置許可領域の前記内部に配置された前記デカップリング容量は、前記電源間クランプ回路を介して前記外部電源端子および前記外部接地端子と接続された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項26】
請求項25において、
前記半導体集積回路は、支線電源配線と支線接地配線とを更に具備して、
前記支線電源配線と前記支線接地配線は、前記配置許可領域の前記内部に配置された内部回路に動作電圧を供給するものであり、
前記支線電源配線の一端と前記支線接地配線の一端とはそれぞれ前記幹線電源配線と前記幹線接地配線に接続される一方、前記支線電源配線の他端と前記支線接地配線の他端とはそれぞれ前記幹線電源配線と前記幹線接地配線に非接続とされたものであり、
前記支線電源配線の前記他端と前記支線接地配線の前記他端との間には、少なくとも前記電源間クランプ回路が接続された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項27】
請求項26において、
前記支線電源配線の前記他端と前記支線接地配線の前記他端との間には、前記電源間クランプ回路と並列に、前記デカップリング容量が接続された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項28】
請求項21において、
前記電源間クランプ回路は、前記外部電源端子と前記外部接地端子との間に直列接続された時定数形成抵抗と時定数形成容量を有する時定数回路を含み、
前記時定数回路の出力信号は、前記電源間クランプ回路の前記保護素子としての前記MOSトランジスタの前記ゲート電極を駆動することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項29】
請求項28において、
前記電源間クランプ回路は、前記時定数回路の出力端子と前記保護素子としての前記MOSトランジスタの前記ゲート電極とに入力端子と出力端子とがそれぞれ接続されたCMOSインバータを更に含んだ
ことを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−48209(P2013−48209A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96465(P2012−96465)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】