説明

合流支援装置及び合流支援方法

【課題】自車両の合流時に特にどの車両に注意すべきかの指標を運転者に与えて、自車両の運転者に不安感を抱かせることなく適切に運転操作を支援してスムーズな合流を実現できるようにする。
【解決手段】コントローラ1が合流車線を走行する自車両の位置及びその挙動と、自車両の周囲を走行する周囲車両の位置及びその挙動と、自車両の周囲の道路環境とを把握して、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際の合流戦略を決定し、決定した合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を表示装置9に表示させる。この際、本線車線上を走行する周囲車両の中で、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際の目安とするのに最適な周囲車両をターゲット車両として設定し、自車両周囲の道路環境上における自車両と周囲車両との相対位置関係を示す画像であって、ターゲット車両として設定した周囲車両を特に強調した画像を表示画像として作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際の運転者による運転操作を支援する合流支援装置及び合流支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際に、運転操作の指標となる各種の情報を自車両の表示手段に表示することで、運転者による運転操作を支援する合流支援装置が提案されている(例えば、特許文献1等を参照。)。
【特許文献1】特開平10−105884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自車両が合流車線から本線車線に合流する際には、自車両の運転者は、自車両周囲の本線車線上を走行している他の車両(周囲車両)の動きを確認しながら自車両の運転操作を行うようにしており、本線車線上を走行している周囲車両の中で、特に自車両の合流に影響を与える周囲車両の動きを的確に把握できるようにすることが、適切な運転操作を行う上で重要な要素となる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の合流支援装置をはじめとして、従来のこの種の合流支援装置では、本線車線上の自車両が合流すべき位置や加減速の情報などは与えられるものの、本線車線上を走行している周囲車両の中で特にどの車両の動きに注意すべきかの指標が与えられないため、自車両の合流に影響を与える周囲車両の動きを運転者が瞬時に認識することが難しく、運転者に不安感を抱かせる場合がある。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点を解消すべく創案されたものであって、自車両の合流時に特にどの車両に注意すべきかの指標を運転者に与えて、自車両の運転者に不安感を抱かせることなく適切に運転操作を支援してスムーズな合流を実施させることができる合流支援装置及び合流支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際に自車両や周囲車両の位置及び挙動に基づいて合流戦略を決定し、決定した合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を作成して表示手段に表示する。このとき、本発明では、自車両が合流車線から本線車線に合流する際の目安となる本線車線上の周囲車両をターゲット車両として設定し、自車両周囲の道路環境上における自車両及び周囲車両との相対位置関係を示す画像であって前記ターゲット車両を強調した画像を前記表示画像として作成して表示手段に表示するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、決定した合流戦略において合流の目安となるターゲット車両を強調した画像を表示手段に表示することで、自車両の運転者に合流戦略を認識させるようにしているので、自車両の運転者は、表示手段に表示された画像を参照することで、自車両の合流時に特にどの車両に注意すべきかを的確に把握して当該車両の動きを瞬時に認識することができ、合流時に不安を感じることなく適切な運転操作を行って、スムーズな合流を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
[装置構成]
本実施形態の合流支援装置の概略構成を図1に示す。この合流支援装置は、図1に示すように、制御プログラムを内蔵するマイクロコンピュータを中心に構成されたコントローラ1を備え、このコントローラ1の入力側に、GPS(Global Positioning System)受信機2や車速センサ3、舵角センサ4、車載カメラ5、レーザレーダ6、通信機7、地図データ格納装置8が接続されている。また、コントローラ1の出力側には、自車両の車室内に設置された表示装置9が接続されている。
【0010】
GPS受信機2は、GPS衛星からの信号を所定の受信周期毎に受信して、自車両の絶対位置を示す緯度経度情報を検出する。また、車速センサ3は自車両の走行速度を検出し、舵角センサ4は自車両のステアリング操舵角度を検出する。
【0011】
車載カメラ5は、自車両の周囲の画像、特に自車両の前後方向の車線(道路合流部の始点、終点など)や車両周囲を走行する周囲車両、その周囲車両の方向指示器やブレーキランプの点灯状態などを撮影対象とした自車両周囲の画像を撮影する。また、レーザレーダ6は、自車両周囲の所定のスキャン範囲にレーザ光をスキャンして、自車両の周囲を走行する周囲車両の有無や、周囲車両までの車間距離及び方位を各周囲車両毎に検出する。
【0012】
通信機7は、いわゆる路車間通信によって、道路合流部などに設置された車両検知装置からの検知情報をDSRC(Dedicated Short Range Communications)等で受信し、また、いわゆる車車間通信によって、周囲車両の位置情報やウィンカ操作情報、ブレーキ操作情報などの各種情報を周囲車両から受信する。
【0013】
地図データ格納装置8は、例えばCD−ROMやDVD−ROM、ハードディスクなどの地図データが予め記録された記録媒体と、この記録媒体に格納された地図データの読み出しを行う再生装置とを有する。以上のGPS受信機2、車速センサ3、舵角センサ4、車載カメラ5、レーザレーダ6、通信機7、地図データ格納装置8からの情報は、コントローラ1の指令に応じて随時コントローラ1の内部に取り込まれる。
【0014】
表示装置9は、例えば液晶ディスプレイや有機ELパネル、ヘッドアップディスプレイなどの表示部を有し、コントローラ1によって作成された表示画像を表示部に表示して、自車両の運転者に提示する。
【0015】
コントローラ1は、マイクロコンピュータで制御プログラムが実行されることにより、本実施形態の合流支援装置に特徴的な機能として、自車両把握手段11、周囲車両把握手段12、道路環境把握手段13、合流戦略決定手段14、表示画像作成手段15の各機能構成を実現する。
【0016】
自車両把握手段11は、GPS受信機2で検出された緯度経度情報に基づいて、自車両のGPS受信周期毎の位置を特定するとともに、GPS受信周期の間の自車両の位置を車速センサ3や舵角センサ4の検出値に基づいて補完して、自車両の現在位置を常時把握する。なお、自車両把握手段11は、自車両の現在位置をより正確に把握するために、車載カメラ5で撮影された自車両周囲の画像や、通信機7を用いた路車間通信や車車間通信で得られる情報も利用して、自車両の道路上における詳細位置などを特定するようにしてもよい。また、自車両把握手段11は、時々刻々と変化する自車両の現在位置を時間的に追跡することにより、自車両の挙動を把握する。
【0017】
周囲車両把握手段12は、車載カメラ5で撮影された自車両周囲の画像に対してエッジ検出等の処理を行って、自車両の周囲を走行する周囲車両と車線との位置関係を検出し、また、レーザレーダ6で検出された自車両を基準とした周囲車両までの車間距離や方位、さらには通信機7を用いた路車間通信や車車間通信で得られる情報も利用して、周囲車両の現在位置を常時把握する。また、周囲車両把握手段12は、時々刻々と変化する周囲車両の現在位置を時間的に追跡することにより、周囲車両の挙動を把握する。なお、周囲車両把握手段12は、車載カメラ5で撮影された画像に映る周囲車両の方向指示器やブレーキランプの点灯状態、通信機7で受信された周囲車両のウィンカ操作情報、ブレーキ操作情報などの各種情報を用いて、周囲車両の挙動の予測も行う。
【0018】
道路環境把握手段13は、自車両把握手段11によって把握される自車両の現在位置と地図データ格納装置8に格納されている地図データとに基づいて、自車両周囲の道路環境を把握する。特に、この道路環境把握手段13は、自車両の現在位置が本線車線に合流するための合流車線上であるかどうかを常時監視しており、自車両の現在位置が合流車線上であれば、車載カメラ5で撮影された画像に対してエッジ検出等の処理を行って、合流車線と本線車線の第一通行帯(合流車線と交わる本線車線の通行帯)や、合流車線の合流始点(車線変更が可能になる地点)及び合流終点(合流車線が消失する地点)などを検出し、また、通信機7を用いた路車間通信や車車間通信で得られる合流車線及び本線車線に関する車線情報、合流車線の合流始点及び合流終点の情報などに基づいて、自車両周囲の詳細な道路環境を把握する。
【0019】
合流戦略決定手段14は、自車両把握手段11により把握された自車両の現在位置及びその挙動と、周囲車両把握手段12により把握された周囲車両の現在位置及びその挙動と、道路環境把握手段13により把握された自車両周囲の道路環境とに基づいて、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際に自車両が取るべき合流戦略を決定する。具体的には、合流戦略決定手段14は、道路環境把握手段13からの情報により自車両が合流車線上を走行していると判定されたときに、自車両把握手段11からの情報と周囲車両把握手段12からの情報とに基づいて、合流車線上を走行する自車両と本線車線上を走行する各周囲車両との車間距離及び相対速度を求め、車間距離を相対速度で除算した衝突余裕時間(TTC:Time To Collision=車間距離/相対速度)を算出する。そして、合流戦略決定手段14は、本線車線上を走行する各周囲車両の自車両に対する衝突余裕時間を比較して、本線車線上を走行する周囲車両の中で、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際の目安とするのに最適な周囲車両をターゲット車両として設定し、このターゲット車両の前のスペース或いは後ろのスペースを自車両が合流すべきスペースと定めるといった手法で、合流の際の自車両が取るべき合流戦略を決定する。
【0020】
表示画像作成手段15は、合流戦略決定手段14により決定された合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を作成する。具体的には、表示画像作成手段15は、道路環境把握手段13からの情報により自車両が合流車線上を走行していると判定されたときに、地図データ格納装置8に格納されている地図データに基づいて自車両周囲の道路環境を表す拡大地図画像を描画するとともに、この描画した拡大地図画像上において、自車両把握手段11で把握された自車両の現在位置に相当する位置や、周囲車両把握手段12で把握された周囲車両の現在位置に相当する位置に、車両の形状を模した車両マークをそれぞれ重畳する。このとき、拡大地図画像上に重畳される車両マークの中で、特に合流戦略決定手段14でターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークは、他の車両マークよりも強調されるように、その表示形態が他の車両マークとは異なる形態とされる。また、表示画像作成手段15は、地図データに基づいて描画した車両周囲の道路環境を表す拡大地図画像上において、ターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークの前後何れかの本線車線上のエリアに、自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークを重畳する。なお、この合流スペースマークは、例えば表示色のグラデーションなどにより、自車両が合流すべきスペースの中で特に推奨される合流位置を強調した表示形態とされていることが望ましい。
【0021】
図2は、表示画像作成手段15により作成される表示画像の一例を示す図である。この図2に示す表示画像は、本線車線の左側から合流する合流車線上を自車両が走行しているシーンにおいて、本線車線の第一通行帯(左側走行車線)に、自車両の前方及び後方に位置して2台の周囲車両が走行している場合の例であり、図中のVM1が自車両を表す車両マーク、VM2が本線車線上の自車両前方を走行する周囲車両(以下、本線前方車両と呼ぶ。)を表す車両マーク、VM3が本線車線上の自車両後方を走行する周囲車両(以下、本線後方車両と呼ぶ。)を表す車両マークである。また、この図2に示す例では、車両マークVM3で表される本線後方車両がターゲット車両として設定されており、このターゲット車両を表す車両マークVM3は、周囲が縁取りされることで、他の車両マークVM1,VM2よりも強調されている。また、この図2に示す例では、ターゲット車両として設定された本線後方車両の前方が、自車両が合流すべきスペースとされ、特にターゲット車両から離れた位置が推奨合流位置とされており、本線車線上の車両マークVM3の前方のエリアに、車両マークVM3から離れるに従って色が濃くなるグラデーションの合流スペースマークCMが重畳されている。なお、図2におけるP1は合流始点であり、合流車線上を走行する自車両がこの合流始点P1よりも前方で本線車線への車線変更(合流)が可能になることを示している。また、図2におけるP2は合流終点であり、この合流終点P2で合流車線が完全に消失することを示している。
【0022】
図2に示したような表示画像上において、自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMは、本線前方車両を表す車両マークVM2と本線後方車両を表す車両マークVM3の間のエリアの中で、本線前方車両と本線後方車両との双方に対して衝突余裕時間で8秒に相当する距離分だけ間隔を空けたエリアに重畳される。すなわち、合流スペースマークCMの先端は、図2に示すように、本線前方車両の後端から衝突余裕時間で8秒に相当する距離L1分だけ間隔を空けた位置に設定され、合流スペースマークCMの後端は、本線後方車両の先端から衝突余裕時間で8秒に相当する距離L2分だけ間隔を空けた位置に設定される。例えば、本線前方車両の自車両に対する相対速度が20km/h、本線後方車両の自車両に対する相対速度が5km/h、本線前方車両と本線後方車両との間の車間距離が100mであったとすると、本線前方車両の後端から衝突余裕時間で8秒に相当する距離L1は44m、本線後方車両の先端から衝突余裕時間で8秒に相当する距離L2は11mとなるので、合流スペースマークCMは、本線前方車両と本線後方車両との間の100mの車間距離の中で、本線前方車両の後端から44m、本線後方車両の先端から11m離れた45m分のエリアに重畳される。
【0023】
表示画像作成手段15は、以上のような画像を表示装置9に表示させる表示画像として作成し、表示装置9に出力する。この表示画像作成手段15による表示画像の作成及び表示装置9への出力は、例えば100msec程度の所定の処理周期で繰り返される。これにより、表示装置9には、車両周囲の道路環境を表す拡大地図画像上で、自車両や周囲車両を表す車両マークV1,V2,V3や合流スペースマークCMが移動する動画、或いは自車両を表す車両マークVM1を基準として、拡大地図画像や周囲車両を表す車両マークV2,V3、合流スペースマークCMが移動する動画が、表示画像として表示装置9に表示されることになる。
【0024】
[動作の具体例]
次に、以上のように構成される合流支援装置の動作の一例について、図3乃至図9を用いて具体的に説明する。
【0025】
図3は、本実施形態の合流支援装置において、自車両が合流車線上を走行している間にコントローラ1により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。この図3のフローチャートで示すように、コントローラ1は、処理が開始されると、まず、ステップS1において自車両の現在位置を把握するとともに、ステップS2において自車両周囲の道路環境を把握し、ステップS3において、合流車線上の合流始点から所定距離(例えば、500m)の地点に自車両が到達したか否かを判定する。なお、合流車線上の合流始点のある程度の位置は、自車両近傍の道路環境を表す地図データの中でリンクが3本以上接続されているノードを検出することで求めることができ、また、その詳細位置については、例えば路車間通信で取得した情報などから求めることができる。以上のステップS1〜ステップS3の処理は、自車両が合流車線上の合流始点から所定距離の地点に到達したと判定されるまで繰り返され、自車両が合流車線上の合流始点から所定距離の地点に到達するとステップS4へと進む。
【0026】
次に、コントローラ1は、ステップS4において自車両の現在位置及びその挙動を把握するとともに、ステップS5において自車両の周囲を走行する各周囲車両の現在位置及びその挙動を把握する。そして、ステップS6において自車両の合流戦略が既に決定されているか否かを確認した上で、未だ合流戦略が決定されていなければ、次のステップS7において、本線車線上を走行している各周囲車両毎に、自車両に対する衝突余裕時間(TTC:Time To Collision=車間距離/相対速度)を算出する。そして、ステップS8において、ステップS7で算出した本線車線上の各周囲車両の自車両に対する衝突余裕時間を比較して、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際の目安とするのに最適な周囲車両をターゲット車両として設定し、このターゲット車両の前のスペース或いは後ろのスペースを自車両が合流すべきスペースと定めるといった手法で、合流の際の自車両が取るべき合流戦略を決定する。
【0027】
次に、コントローラ1は、ステップS9において、ステップS8で決定した合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を作成して、表示装置9に出力する。具体的には、コントローラ1は、例えば、自車両周囲の道路環境を表す拡大地図画像上に、自車両や周囲車両を表す車両マークをそれぞれ重畳し、ターゲット車両として設定した周囲車両を表す車両マークは他の車両マークとは異なる表示形態として強調するとともに、ターゲット車両として設定した周囲車両を表す車両マークの前後何れかに、自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0028】
次に、コントローラ1は、ステップS10において、自車両が合流車線上の合流終点を通過したか否かを判定する。なお、合流車線上の合流終点のある程度の位置は、自車両近傍の道路環境を表す地図データの中でリンクが3本以上接続されているノードを検出することで求めることができ、また、その詳細位置については、例えば路車間通信で取得した情報などから求めることができる。以上のステップS4〜ステップS10の処理は、自車両が合流車線上の合流終点を通過したと判定されるまで繰り返される。なお、ステップS4〜ステップS10の処理を繰り返す際には、合流戦略は既に決定されているのでステップS7及びステップS8の処理は行われず、ステップS4及びステップS5で新たに把握された自車両や周囲車両の位置及び挙動に基づいてステップS9で新たな表示画像が作成、出力されて、表示装置9に表示される表示画像が更新される。ただし、自車両の挙動や周囲車両の挙動が大きく変動した場合には、ステップS7及びステップS8の処理を再度行って、新たな合流戦略を決定するようにしてもよい。その後、コントローラ1は、ステップS10において自車両が合流車線上の合流終点を通過したと判定したときに、以上の一連の処理を終了する。
【0029】
ここで、本線車線の左側から合流する合流車線上を自車両が走行しているシーンにおいて、本線車線の第一通行帯に、自車両の前方及び後方に位置して2台の周囲車両(本線前方車両及び本線後方車両)が走行している場合を例に挙げて、合流支援装置のコントローラ1が、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間と、本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間とに基づいて合流戦略を決定する処理(図3のフローチャートにおけるステップS8の処理)について、さらに具体的に説明する。
【0030】
図4は、以上のようなシーンで合流支援装置のコントローラ1が合流戦略を決定する処理の詳細を示すフローチャートである。この図4のフローチャートで示す処理は、図3のフローチャートにおけるステップS7において、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Fr)と本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)とが算出された場合に実行される。なお、この例では、自車両の合流可否の基準となる衝突余裕時間の閾値を8秒、合流の際に注意すべき周囲車両であるか否かの基準となる衝突余裕時間の閾値を16秒として説明するが、これらの閾値は、自車両の運転者の特性や運転能力などに応じて適宜変更することが可能である。
【0031】
図4のフローチャートが開始されると、コントローラ1は、まず、ステップS11〜ステップS14での判定により、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Fr)と、本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)との関係が、以下の(1)〜(5)のいずれの条件に当てはまるかを確認する。
【0032】
(1)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)が8秒以下
(2)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)が8〜16秒の間で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Fr)が16秒以上
(3)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)が8〜16秒の間で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Fr)が16秒未満
(4)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)が16秒以上で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Fr)が16秒以上
(5)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Rr)が16秒以上で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(Fr)が16秒未満
そして、条件(1)に当てはまる場合(ステップS11で肯定判定の場合)にはステップS15に進み、条件(2)に当てはまる場合(ステップS13で肯定判定の場合)にはステップS17に進み、条件(3)に当てはまる場合(ステップS13で否定判定の場合)にはステップS19に進み、条件(4)に当てはまる場合(ステップS14で肯定判定の場合)にはステップS21に進み、条件(5)に当てはまる場合(ステップS14で否定判定の場合)にはステップS22に進む。
【0033】
TTC(Rr)が8秒以下でステップS15に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS15において、本線後方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS16において、ターゲット車両として設定した本線後方車両の後方に自車両が合流すべきスペースを設定し、本線後方車両をやり過ごして後ろ側で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図5に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3を重畳し、さらに車両マークVM3の後方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0034】
また、TTC(Rr)が8〜16秒の間、且つ、TTC(Fr)が16秒以上でステップS17に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS17において、本線後方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS18において、ターゲット車両として設定した本線後方車両の前方に自車両が合流すべきスペースを設定し、合流車線上で加速して本線後方車両の前側で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図6に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3を重畳し、さらに車両マークVM3の前方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。なお、このとき、画像上のメッセージ、或いは音声ガイドなどにより、合流車線上で加速すべき旨の情報を報知するようにしてもよい。
【0035】
また、TTC(Rr)が8〜16秒の間、且つ、TTC(Fr)が16秒未満でステップS19に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS19において、本線前方車両と本線後方車両との双方をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS20において、ターゲット車両として設定した本線前方車両と本線後方車両との間に自車両が合流すべきスペースを設定し、本線前方車両と本線後方車両との間で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図7に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、縁取りなどが施されて強調された本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3を重畳し、さらに車両マークVM2と車両マークVM3との間のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0036】
また、TTC(Rr)が16秒以上、且つ、TTC(Fr)が16秒以上でステップS21に進んだ場合には、コントローラ1は、本線前方車両と本線後方車両のいずれも自車両の合流に影響を与えないものと判断し、ステップS21において、合流戦略は立てないことを決定する。このように合流戦略を立てない場合には、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図8に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1のほか、本線前方車両を表す車両マークVM2や本線後方車両を表す車両マークVM3を特に強調することなく重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0037】
また、TTC(Rr)が16秒以上、且つ、TTC(Fr)が16秒未満でステップS22に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS22において、本線前方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS23において、ターゲット車両として設定した本線前方車両の後方に自車両が合流すべきスペースを設定し、本線前方車両の後ろ側で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図9に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、縁取りなどが施されて強調された本線前方車両を表す車両マークVM2、本線後方車両を表す車両マークVM3を重畳し、さらに車両マークVM2の後方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0038】
なお、以上説明した例は、合流車線上の自車両前方には周囲車両が走行していないことを前提としているが、合流車線上の自車両前方に周囲車両が存在している場合には、この合流車線上の周囲車両との関係も考慮して、自車両の合流戦略を決定することが望ましい。
【0039】
ここで、本線車線の左側から合流する合流車線上を自車両が走行しているシーンにおいて、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両(以下、合流前方車両と呼ぶ。)が走行しており、本線車線の第一通行帯に2台の周囲車両(本線前方車両及び本線後方車両)が走行している場合を例に挙げて、合流支援装置のコントローラ1が、合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間も考慮して合流戦略を決定する処理(図3のフローチャートにおけるステップS8の処理)について、具体的に説明する。
【0040】
図10は、以上のようなシーンで合流支援装置のコントローラ1が合流戦略を決定する処理の詳細を示すフローチャートである。この図10のフローチャートで示す処理は、図3のフローチャートにおけるステップS7において、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)とが算出された場合に実行される。なお、この例においても、自車両の合流可否の基準となる衝突余裕時間の閾値を8秒、合流の際に注意すべき周囲車両であるか否かの基準となる衝突余裕時間の閾値を16秒として説明するが、これらの閾値は、自車両の運転者の特性や運転能力などに応じて適宜変更することが可能である。
【0041】
図10のフローチャートが開始されると、コントローラ1は、まず、ステップS31〜ステップS36での判定により、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と、本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)と、合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との関係が、以下の(11)〜(17)のいずれの条件に当てはまるかを確認する。
【0042】
(11)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が8秒以下
(12)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が8〜16秒の間で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との双方が16秒以上
(13)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が8〜16秒の間で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)が本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)よりも短い
(14)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が8〜16秒の間で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)が合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)よりも短い
(15)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が16秒以上で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との双方が16秒以上
(16)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が16秒以上で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)が本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)よりも短い
(17)本線後方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Rr)が16秒以上で、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)と合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、本線前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(本Fr)が合流前方車両の自車両に対する衝突余裕時間TTC(合Fr)よりも短い
そして、条件(11)に当てはまる場合(ステップS31で肯定判定の場合)にはステップS37に進み、条件(12)に当てはまる場合(ステップS33で肯定判定の場合)にはステップS39に進み、条件(13)に当てはまる場合(ステップS34で肯定判定の場合)にはステップS41に進み、条件(14)に当てはまる場合(ステップS34で否定判定の場合)にはステップS43に進む。また、条件(15)に当てはまる場合(ステップS35で肯定判定の場合)にはステップS45に進み、条件(16)に当てはまる場合(ステップS36で肯定判定の場合)にはステップS46に進み、条件(17)に当てはまる場合(ステップS36で否定判定の場合)にはステップS48に進む。
【0043】
TTC(本Rr)が8秒以下でステップS37に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS37において、本線後方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS38において、ターゲット車両として設定した本線後方車両の後方に自車両が合流すべきスペースを設定し、本線後方車両をやり過ごして後ろ側で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図11に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3、合流前方車両を表す車両マークVM4を重畳し、さらに車両マークVM3の後方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0044】
また、TTC(本Rr)が8〜16秒の間、且つ、TTC(本Fr)とTTC(合Fr)の双方が16秒以上でステップS39に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS39において、本線後方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS40において、ターゲット車両として設定した本線後方車両の前方に自車両が合流すべきスペースを設定し、合流車線上で加速して本線後方車両の前側で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図12に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3、合流前方車両を表す車両マークVM4を重畳し、さらに車両マークVM3の前方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。なお、このとき、画像上のメッセージ、或いは音声ガイドなどにより、合流車線上で加速すべき旨の情報を報知するようにしてもよい。
【0045】
また、TTC(本Rr)が8〜16秒の間、且つ、TTC(本Fr)とTTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、TTC(合Fr)<TTC(本Fr)でステップS41に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS41において、合流前方車両と本線後方車両との双方をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS42において、ターゲット車両として設定した合流前方車両と本線後方車両との間に自車両が合流すべきスペースを設定し、合流前方車両と本線後方車両との間で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図13に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3、縁取りなどが施されて強調された合流前方車両を表す車両マークVM4を重畳し、さらに車両マークVM4と車両マークVM3との間のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0046】
また、TTC(本Rr)が8〜16秒の間、且つ、TTC(本Fr)とTTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、TTC(本Fr)<TTC(合Fr)でステップS43に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS43において、本線前方車両と本線後方車両との双方をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS44において、ターゲット車両として設定した本線前方車両と本線後方車両との間に自車両が合流すべきスペースを設定し、本線前方車両と本線後方車両との間で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図14に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、縁取りなどが施されて強調された本線前方車両を表す車両マークVM2、縁取りなどが施されて強調された本線後方車両を表す車両マークVM3、合流前方車両を表す車両マークVM4を重畳し、さらに車両マークVM2と車両マークVM3との間のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0047】
また、TTC(本Rr)が16秒以上、且つ、TTC(本Fr)とTTC(合Fr)の双方が16秒以上でステップS45に進んだ場合には、コントローラ1は、本線前方車両、本線後方車両、合流前方車両のいずれも自車両の合流に影響を与えないものと判断し、ステップS45において、合流戦略は立てないことを決定する。このように合流戦略を立てない場合には、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図15に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1のほか、本線前方車両を表す車両マークVM2や本線後方車両を表す車両マークVM3、合流前方車両を表す車両マークVM4を特に強調することなく重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0048】
また、TTC(Rr)が16秒以上、且つ、TTC(本Fr)とTTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、TTC(合Fr)<TTC(本Fr)でステップS46に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS46において、合流前方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS47において、ターゲット車両として設定した合流前方車両の後方に自車両が合流すべきスペースを設定し、合流前方車両の後ろ側で本線車線に合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図16に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、本線前方車両を表す車両マークVM2、本線後方車両を表す車両マークVM3、縁取りなどが施されて強調された合流前方車両を表す車両マークVM4を重畳し、さらに車両マークVM4の後方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0049】
また、TTC(Rr)が16秒以上、且つ、TTC(本Fr)とTTC(合Fr)との双方が16秒以上とはなっておらず、且つ、TTC(本Fr)<TTC(合Fr)でステップS48に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS48において、本線前方車両をターゲット車両として設定するとともに、次のステップS49において、ターゲット車両として設定した本線前方車両の後方に自車両が合流すべきスペースを設定し、本線前方車両の後ろ側で合流する戦略を自車両の合流戦略とする。このような合流戦略を立てた場合、コントローラ1は、図3のフローチャートにおけるステップS9において、例えば図17に示すように、合流地点付近の拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1、縁取りなどが施されて強調された本線前方車両を表す車両マークVM2、本線後方車両を表す車両マークVM3、合流前方車両を表す車両マークVM4を重畳し、さらに車両マークVM2の後方のエリアに自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を表示画像として作成して、表示装置9に出力する。
【0050】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の合流支援装置は、コントローラ1での処理により、合流車線を走行する自車両の位置及びその挙動と、自車両の周囲を走行する周囲車両の位置及びその挙動と、自車両の周囲の道路環境とを把握して、これらに基づいて、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際の合流戦略を決定し、決定した合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を作成して表示装置9に表示するようにしている。そして、特にコントローラ1で自車両の合流戦略を決定する際に、本線車線上を走行する周囲車両の中で、自車両が合流車線から本線車線へと合流する際の目安とするのに最適な周囲車両をターゲット車両として設定するようにし、表示画像を作成する際には、自車両周囲の道路環境上における自車両と周囲車両との相対位置関係を示す画像であって、ターゲット車両として設定した周囲車両を特に強調した画像を表示画像として作成するようにしている。したがって、自車両の運転者は、表示装置9に表示された画像を参照することで、自車両の合流時に特にどの車両に注意すべきかを的確に把握して当該車両の動きを瞬時に認識することができ、合流時に不安を感じることなく適切な運転操作を行って、スムーズな合流を実施することができる。
【0051】
また、本実施形態の合流支援装置では、コントローラ1が、表示装置9に表示する表示画像として、自車両周囲の道路環境を表す拡大地図画像上に、自車両を表す車両マークVM1や周囲車両を表す車両マークVM2,VM3,VM4を重畳し、さらに、ターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークの前後何れかの本線車線上のエリアに、自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークCMを重畳した画像を作成するようにしているので、自車両の運転者は、表示装置9に表示された画像を参照することで、コントローラ1により決定された合流戦略を直感的に把握することができる。また、合流スペースマークCMを、例えば表示色のグラデーションなどにより、自車両が合流すべきスペースの中で特に推奨される合流位置を強調した表示形態とすることにより、自車両の運転者に対して最適な運転操作を実施するためのよりきめ細かな指標を与えることができ、合流の際の運転操作をより適切に支援することができる。
【0052】
また、本実施形態の合流支援装置では、コントローラ1が、自車両の周囲を走行する各周囲車両の自車両に対する衝突余裕時間をそれぞれ算出し、各周囲車両の自車両に対する衝突余裕時間に基づいて合流戦略を決定するようにしているので、周囲車両の動きも考慮した最適な合流戦略を決定することができ、合流の際の運転操作をさらに適切に支援することができる。
【0053】
なお、以上説明した合流支援装置は、本発明の一実施形態を例示したものであり、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。例えば、上述した合流支援装置では、ターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークを強調するために当該車両マークに縁取りを施しているが、そのほかにも、例えば車両マークの大きさを変更する、或いは表示色を変更する、或いは点滅表示させるなど、ターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークを強調する手法としては様々な手法が採用可能である。また、自車両の位置をより認識しやすくするために、自車両については車両マーク以外の他のアイコンで表現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した合流支援装置の概略構成図である。
【図2】本発明を適用した合流支援装置において、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図3】本発明を適用した合流支援装置において、自車両が合流車線上を走行している間にコントローラにより実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】自車両が合流車線を走行中で、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、本発明を適用した合流支援装置のコントローラが合流戦略を決定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】自車両が合流車線を走行中で、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図6】自車両が合流車線を走行中で、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図7】自車両が合流車線を走行中で、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図8】自車両が合流車線を走行中で、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図9】自車両が合流車線を走行中で、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図10】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、本発明を適用した合流支援装置のコントローラが合流戦略を決定する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図12】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図13】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図14】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図15】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図16】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【図17】自車両が合流車線を走行中で、合流車線上の自車両前方に1台の周囲車両が走行し、本線車線上の自車両前方及び自車両後方に2台の周囲車両が走行しているシーンにおいて、コントローラにより作成されて表示装置に表示される表示画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 コントローラ
9 表示装置
11 自車両把握手段
12 周囲車両把握手段
13 道路環境把握手段
14 合流戦略決定手段
15 表示画像作成手段
VM1,VM2,VM3,VM4 車両マーク
CM 合流スペースマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際の運転者による運転操作を支援する合流支援装置において、
自車両の位置及び挙動を把握する自車両把握手段と、
自車両の周囲を走行している周囲車両の位置及び挙動を把握する周囲車両把握手段と、
自車両の周囲の道路環境を把握する道路環境把握手段と、
前記自車両把握手段からの情報と、前記周囲車両把握手段からの情報と、前記道路環境把握手段からの情報とに基づいて、自車両が合流車線から本線車線に合流する際の合流戦略を決定する合流戦略決定手段と、
前記合流戦略決定手段で決定された合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を作成する表示画像作成手段と、
前記表示画像作成手段で作成された表示画像を表示する表示手段とを備え、
前記合流戦略決定手段は、自車両が合流車線から本線車線に合流する際の目安となる本線車線上の周囲車両をターゲット車両として設定し、
前記表示画像作成手段は、自車両周囲の道路環境上における自車両と周囲車両との相対位置関係を示す画像であって前記ターゲット車両として設定された周囲車両を強調した画像を前記表示画像として作成することを特徴とする合流支援装置。
【請求項2】
前記表示画像作成手段は、自車両周囲の道路環境を表す拡大地図画像上に、自車両及び周囲車両を表す車両マークを重畳し、前記ターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークを強調した画像を前記表示画像として作成することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項3】
前記表示画像作成手段は、前記拡大地図画像における本線車線上で、前記ターゲット車両として設定された周囲車両を表す車両マークの前後何れかに、自車両が合流すべきスペースを表す合流スペースマークを重畳した画像を前記表示画像として作成することを特徴とする請求項2に記載の合流支援装置。
【請求項4】
前記表示画像作成手段は、本線車線上で自車両が合流すべきスペースの中で特に推奨される合流位置を強調した合流スペースマークを重畳した画像を前記表示画像として作成することを特徴とする請求項3に記載の合流支援装置。
【請求項5】
前記合流戦略決定手段は、前記自車両把握手段からの情報と、前記周囲車両把握手段からの情報とに基づいて、自車両と本線車線上の周囲車両との間の衝突余裕時間を算出し、算出した衝突余裕時間に基づいて前記合流戦略を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の合流支援装置。
【請求項6】
合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際の運転者による運転操作を支援する合流支援方法において、
自車両の位置及び挙動を把握する自車両把握ステップと、
自車両の周囲を走行している周囲車両の位置及び挙動を把握する周囲車両把握ステップと、
自車両の周囲の道路環境を把握する道路環境把握ステップと、
前記自車両把握ステップで把握された情報と、前記周囲車両把握ステップで把握された情報と、前記道路環境把握ステップで把握された情報とに基づいて、自車両が合流車線から本線車線に合流する際の合流戦略を決定する合流戦略決定ステップと、
前記合流戦略決定ステップで決定された合流戦略を自車両の運転者に認識させるための表示画像を作成する表示画像作成ステップと、
前記表示画像作成ステップで作成された表示画像を表示する表示ステップとを備え、
前記合流戦略決定ステップでは、自車両が合流車線から本線車線に合流する際の目安となる本線車線上の周囲車両をターゲット車両として設定し、
前記表示画像作成ステップでは、自車両周囲の道路環境上における自車両及び周囲車両との相対位置関係を示す画像であって前記ターゲット車両を強調した画像を前記表示画像として作成することを特徴とする合流支援方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図15】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−304992(P2007−304992A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134420(P2006−134420)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】