説明

固体撮像素子とその製造方法

【課題】配線やコンタクトホールの寸法の微細化に際しても、コンタクト抵抗の低減を図ることが可能であり、且つ、暗電流の発生が少ない固体撮像素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】固体撮像素子1では、配線24と転送電極膜102とが、2層のコンタクトホールにより接続されている。下側のコンタクトホールAは、その底部にチタンシリサイド膜105が形成されている。そして、上側のコンタクトホールBは、チタンシリサイドを構成中に含まず、下側のコンタクトホールとの間が中間配線層としてのタングステン膜107により接続されている。ここで、上下の両コンタクトホールA,Bには、純粋なチタンは残っていない。また、撮像画素領域におけるフォトダイオード121の上方の層内レンズ膜127は、下方のコンタクトホールAに対して積層上方に選択的に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子およびその製造方法に関し、特にコンタクトホールのコンタクト材としてチタンを用いた固体撮像素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子においては、集積化の向上や多機能化とともに、配線やコンタクトホールの寸法の微細化が求められている。配線やコンタクトホールの微細化には、コンタクトホールのコンタクト材としてチタン(Ti)を用い、低抵抗化することが有効である。CCD(Charge Coupled Device)型固体撮像素子においても、高解像度やチップサイズの縮小に伴い、シリコン基板やポリシリコン配線に対するコンタクトホールのコンタクト材にチタンが用いられている。
【0003】
ここで、CCD型固体撮像素子は、シリコン基板に対して不純物を導入し、電荷転送チャネル、チャネル分離領域、浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion)領域などの拡散層を形成する工程、シリコン基板上に絶縁膜およびポリシリコン層を積層する工程、ポリシリコン層や拡散層に対するコンタクトホールを形成し、さらに金属配線を形成する工程などを経て製造される。
【0004】
CCD型固体撮像素子の上記製造工程では、その比較的終盤において、水素などのガス雰囲気中でアニール処理が実行される。アニール処理は、それまでの製造工程でシリコン基板とゲート絶縁膜との界面に生じたダングリングボンド(Dangling Bond)を、ガス雰囲気中あるいは堆積された膜中から発生する水素で終端させ、これにより界面準位密度を減少させることを目的に実行される。CCD型固体撮像素子をはじめとするアナログデバイスでは、メモリ素子やロジック回路などのデジタルデバイスに比べて、シリコン基板とゲート絶縁膜との界面に存在するダングリングボンドによるエネルギ準位が素子性能に与える影響が大きく、このため、アニール工程の実行が重要となる。
【0005】
しかし、コンタクトホールのコンタクト材にチタンを用いた場合には、水素をトラップするというチタンの性質から、アニール処理の実行に際してシリコン基板とゲート絶縁膜との界面に向けて拡散しようとする水素をチタンがトラップする。このため、シリコン基板とゲート絶縁膜との界面に存在するダングリングボンドが十分に終端されないという問題が生じる。ダングリングボンドが十分に終端されない場合には、例えば、CCD型固体撮像素子においては、配線部分のチタンの影響により、撮像画素あるいは電荷転送部で暗電流が増加するという問題を生じることになる。
【0006】
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、チタンシリサイドコンタクト技術を採用することが提案されている。特許文献1で提案されている技術について、図7を用いその概略を説明する。
【0007】
図7(a)に示すように、特許文献1で提案の技術では、シリコン基板900上にシリコン酸化膜901、転送電極膜902、層間絶縁膜903、ポリシリコン配線904、シリコン酸化膜905を順に積層形成する。そして、ポリシリコン配線904に達する開口を形成し、その側壁にチタン窒化膜906を形成し、その底面にチタンシリサイド膜907を形成し、さらに内部にタングステンを埋め込みタングステン配線908を形成する。そして、チタン窒化膜906およびタングステン配線908の上に、上部層909を積層形成する。
【0008】
図7(a)に示すタングステン配線の形成は、先ず、コンタクト孔の底面および側壁面に対してチタン膜を形成し、これにアニール処理を加えることにより、底面にC49相のチタンシリサイド膜を形成する。次に、未反応のチタン膜を除去した後、チタン窒化膜を底面および側壁面に形成し、再びアニール処理を加えることにより、C49相のチタンシリサイド膜を、C54相のチタンシリサイド膜907へと相転移させる。CCD型固体撮像素子の製造工程においては、この後、水素などのガス雰囲気中でアニール処理を行うことにより、界面準位密度を低減させ、コンタクト抵抗の低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−335554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1で提案の技術を採用しようとする場合には、チタンシリサイド膜907の形成にあたり実行するアニール処理により、当該工程に対して先行して形成された撮像画素部などの光学系の膜がダメージを受けることがある。具体的には、図7(b)に示すように、CCD型固体撮像素子は、その撮像画素領域において、シリコン基板900に対しフォトダイオード911および電荷転送チャネル912が形成され、ゲート酸化膜913を挟んで上部には、転送電極層902、絶縁膜914、遮光膜915、層間絶縁膜916,918、層内レンズ膜917,919、カラーフィルタ膜920およびトップレンズ膜921が形成され構成されている。
【0011】
CCD型固体撮像素子の撮像画素領域における上記構成中、例えば、層内レンズ膜917,919などがプラズマCVD法を用い形成されており、チタンシリサイド膜907の形成にあたり実行されるアニール処理での熱に対して耐熱性が低い。このため、チタンシリサイド膜907の形成にあたり実行されるアニール処理の際に、例えば、層内レンズ膜917,919などの耐熱性の低い膜が剥がれたり、膜ストレスが残ったりし、暗電流の増加に繋がる。
【0012】
なお、耐熱性の低い膜としては、上記プラズマCVD法を用い形成される膜の他、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜、さらにはシリコン酸窒化膜などがあげられる。また、水素雰囲気中でのアニール処理の際に水素をトラップする金属としては、上記で紹介したチタンの他に、コバルトやニッケルなどをあげることができる。
【0013】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、配線やコンタクトホールの寸法の微細化に際しても、コンタクト抵抗の低減を図ることが可能であり、且つ、暗電流の発生が少ない固体撮像素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、次の構成を採用する。
本発明に係る固体撮像素子は、シリコン基板をベースとして、複数の光電変換部を備える撮像画素領域と、前記撮像画素領域に周辺に配された周辺領域とを有する。撮像画素領域では、光電変換部の各々がシリコン基板内に形成され、当該シリコン基板上に複数の層からなる積層構造が設けられており、周辺領域では、シリコン基板上に、複数の絶縁層および金属材料からなる配線層が順に積層形成されている。また、シリコン基板あるいは複数の絶縁層の下層に形成されたシリコンを含む層と、配線層とが、複数の絶縁層を挿通するコンタクトホールにより接続されている。
【0015】
本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、コンタクトホールが、シリコン基板の側から順に、第1のコンタクトホールと第2のコンタクトホールとが積層された組み合わせ構成を以って構成されており、第1のコンタクトホールには、その底部に形成された金属シリサイドを含む、第1のコンタクト材が埋め込まれており、第2のコンタクトホールには、金属シリサイドを含まず、第2のコンタクト材が埋め込まれている。ここで、第1のコンタクト材には、チタン、コバルト、ニッケルの何れかを含む上記金属シリサイドとともに、チタン、コバルト、ニッケルからなる純金属を除く第1の高融点金属とが含まれている。
【0016】
また、第2のコンタクト材には、上記金属シリサイド、およびチタン、コバルト、ニッケルからなる純金属の双方を除く第2の高融点金属が含まれている。
本発明に係る固体撮像素子では、撮像画素領域における複数の層の中に、金属シリサイド膜の形成に係るアニール処理での熱に対して耐熱性が低い低耐熱性膜が含まれており、低耐熱性膜が、第1のコンタクトホールに対して積層上方に選択的に形成されていることを特徴とする。
【0017】
なお、上記「積層上方」とは、空間認識における絶対的な「上方」を指すものではなく、積層順での上方、即ち、工程順の後で形成されることにより、積層順における「上方」であることを指す。
【0018】
また、本発明に係る固体撮像素子の製造方法は、シリコン基板をベースとして、複数の光電変換部を有する撮像画素領域を形成する撮像画素領域形成ステップと、撮像画素相当領域の周辺に対し、シリコン基板に対し、複数の絶縁層を介して金属材料からなる配線層が形成された周辺領域を形成する周辺領域形成ステップと、を有する。本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、周辺領域形成ステップに、次の第1サブステップから第6サブステップが少なくとも含まれている。
【0019】
(第1サブステップ) シリコン基板の上方に、第1の絶縁膜を堆積形成し、その一部に第1のコンタクト孔をあける。
(第2サブステップ) 第1のコンタクト孔の底部および側壁部にチタン膜を形成する。
【0020】
(第3サブステップ) チタン膜をアニール処理することにより、第1のコンタクト孔の底部にチタンシリサイド膜を形成し、且つ、第1の高融点金属を埋め込むことにより、第1のコンタクトホールを形成する。
【0021】
(第4サブステップ) 第1のコンタクトホールが設けられた第1の絶縁膜上に、第2の絶縁膜を堆積形成し、第1のコンタクトホールとの接続に対応する箇所に、第2のコンタクト孔をあける。
【0022】
(第5サブステップ) 第2のコンタクト孔の底部および側壁部に対し、タングステンまたはタングステン窒化物、あるいはチタン窒化物の少なくとも何れかを含む第2の高融点金属を埋め込むことにより、第2のコンタクトホールを形成する。
【0023】
(第6サブステップ) 第2のコンタクトホールと接続する状態に、配線層を積層形成する。
一方、撮像画素領域形成ステップには、次のサブステップが含まれている。
【0024】
(光電変換部形成サブステップ) シリコン基板内に複数の光電変換部を形成する。
(積層構造形成サブステップ) 光電変換部の形成後に、シリコン基板上に複数の層からなり、且つ、当該複数の層の中に、周辺領域形成ステップの上記第3サブステップで実行されるアニール処理での熱に対して耐熱性が低い低耐熱性膜が含まれてなる積層構造を設ける。この低耐熱性膜は、光電変換部の形成後であって、且つ、第2のコンタクトホールの形成前に、成膜される。
【0025】
そして、本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、第1のコンタクトホールにおけるコンタクト材としての第1の高融点金属には、チタンの純金属が含まれず、第2のコンタクトホールにおけるコンタクト材としての第2の高融点金属には、チタンシリサイドおよびチタンの純金属が含まれない。
【0026】
また、本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、撮像画素領域形成ステップの上記積層構造形成サブステップが、少なくとも上記低耐熱性膜の形成を、周辺領域形成ステップの上記第3サブステップにおけるアニール処理の実行後に行うことを特徴とする
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る固体撮像素子では、第2のコンタクトホールにおける第2の高融点金属(例えば、タングステン、タングステン窒化物、チタン窒化物、チタン窒化アニールなど)をコンタクト材として構成に含むので、金属材料からなる配線層と第2の高融点金属からなる膜とが金属同士であることにより接触抵抗が低い。また、第1のコンタクトホールの底部に金属シリサイド膜を有するので、シリコン基板またはシリコンを含む層(シリコン系材料層)と第1のコンタクトホールとの接続において、チタンなどの金属の還元作用およびシリサイド化による接触抵抗の低減を図ることができる。よって、配線やコンタクトホールの微細化によっても、低抵抗化を図ることが可能である。
【0028】
また、抵抗を同一とする場合には、コンタクトホールの形成数を低減することができるので、その分だけチップサイズの縮小を図ることもできる。
また、本発明に係る固体撮像素子では、第1のコンタクトホールの底部に金属シリサイド膜を形成し、第1のコンタクトホールおよび第2のコンタクトホールにおいて、コンタクト材としての第1および第2の高融点金属に上記チタンなどの純金属を含まないので、水素などのガス雰囲気中でのアニール処理に際して、水素がトラップされるということが防止される。このため、本発明に係る固体撮像素子では、製造工程においてシリコン基板とゲート絶縁膜との界面に生じたダングリングボンドを、水素雰囲気中でのアニール処理により、効果的に終端させることができ、界面準位密度の低減を確実に図ることができる。よって、本発明に係る固体撮像素子は、高い素子性能を有する。
【0029】
また、本発明に係る固体撮像素子では、撮像画素領域における低耐熱性膜が、第1のコンタクトホールに対して積層上方に選択的に形成されており、製造工程において、第1のコンタクトホールにおけるチタンシリサイドからなる膜の形成に係るアニール処理の実行よりも後に、低耐熱性膜が形成されている。このため、第1のコンタクトホールにおける金属シリサイドの形成に係るアニール処理によって低耐熱性膜がダメージを受けることがない。具体的には、低耐熱性膜にクラックが発生したり、剥がれが発生したり、さらには膜ストレスがかかったりすることがない。よって、本発明に係る固体撮像素子では、撮像画素領域における低耐熱性膜のダメージに起因する暗電流の増加といった問題を生じることがない。
【0030】
なお、上記における「選択的に」とは、具体的に、積層順において第1のコンタクトホールよりも上方に限定して低耐熱性膜が形成されていることを指すものである。
以上より、本発明に係る固体撮像素子では、配線やコンタクトホールの寸法の微細化に際しても、コンタクト抵抗の低減を図ることが可能であり、且つ、暗電流の発生が少ない。
【0031】
なお、本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、上記効果を有する本発明に係る固体撮像素子を製造可能となる。
本発明に係る固体撮像素子では、一例として、次のようなバリエーションを採用することもできる。
【0032】
本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、第1のコンタクトホールの上部と第2のコンタクトホールの底部とが、シリコン基板の主面に沿って配設された中間配線層により接続されており、当該中間配線層の構成としてチタン膜を除く高融点金属が含まれているという構成を採用することができる。このように第1のコンタクトホールと第2のコンタクトホールとの間に、中間配線層を介在させる構成を採用する場合には、コンタクトホールを第1のコンタクトホールと第2のコンタクトホールとの積層構成とするに際しても、製造時における寸法や位置のバラツキなどを中間配線層により吸収することができ、製造における歩留まり、および設計における自由度を高くすることができる。
【0033】
また、本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、シリコン基板内に、光電変換部に隣接し、光電変換部で生成された電荷を転送する電荷転送チャネルが形成されており、上記シリコンを含む層が、電荷転送チャネルに対応し、その上方に形成されたポリシリコンからなる転送電極であるという具体的構成を採用することができる。
【0034】
また、本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、第1のコンタクトホールおよび第2のコンタクトホールが、上記高融点金属膜として、タングステン膜またはタングステン窒化膜、あるいはチタン窒化膜またはチタン窒化アニール膜の何れかが含まれているという具体的構成を採用することができる。これにより、配線層に対して金属同士であるとの関係に基づき、接触抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0035】
また、本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、低耐熱性膜の耐熱温度が、650[℃]よりも低いという具体的構成を採用することができる。チタンなどの金属をシリサイド化する際のアニール処理の温度条件が650[℃]であるが、本発明に係る固体撮像素子では、低耐熱性膜が第1のコンタクトホールに対して積層上方に配されているので、低耐熱性膜の耐熱温度が650[℃]よりも低くても、アニール処理時にダメージを受けることがない。
【0036】
また、本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、低耐熱性膜が、プラズマCVD法を用い形成された膜であるという具体的構成を採用することができる。ただし、本発明では、低耐熱性膜がプラズマCVD法を用いて形成された膜であることに限定を受けるものではない。
【0037】
また、本発明に係る固体撮像素子では、上記構成において、配線層が、アルミニウム若しくは銅、またはこれらを含む合金からなるという具体的構成を採用することができる。
また、本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、上記構成において、周辺領域形成ステップにおける第3サブステップで、アニール処理の実行により第1のコンタクト孔の底部にチタンシリサイドからなる膜を形成した後に、シリサイド化されずに残った未反応チタンを除去し、当該第1のコンタクト孔に対してタングステンまたはタングステン窒化物、あるいはチタン窒化物の少なくとも何れかからなる膜を形成するという構成を採用することもできる。この構成を採用する場合には、アニール処理が不十分であった場合においても、僅かに残ったチタンを除去するので、その後に実行する水素などのガス雰囲気中でのアニール処理において、水素がトラップされるという事態を確実に回避することができる。よって、シリコン基板とゲート絶縁膜との界面準位密度を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1に係る固体撮像素子1の概略構成を示す模式平面図である。
【図2】(a)は、固体撮像素子1における配線24が配設された配線領域20の構成を示す模式断面図であり、(b)は、固体撮像素子1における撮像画素領域10の構成を示す模式断面図である。
【図3】(a)、(c)は、配線領域20の製造過程における構成を示す模式断面図であり、(b)、(d)は、撮像領域20の製造過程における構成を示す模式断面図である。
【図4】(a)、(c)は、配線領域20の製造過程における構成を示す模式断面図であり、(b)、(d)は、撮像画素領域20の製造過程における構成を示す模式断面図である。
【図5】(a)、(c)は、配線領域20の製造過程における構成を示す模式断面図であり、(b)、(d)は、撮像画素領域20の製造過程における構成を示す模式断面図である。
【図6】実施の形態2に係る固体撮像素子2の構成の内、配線領域の構成を示す模式断面図である。
【図7】(a)は、従来技術に係る固体撮像素子の配線領域の構成を示す模式断面図あり、(b)は、従来技術に係る固体撮像素子の撮像画素領域の構成を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下の各実施の形態は、本発明の構成およびそこから奏される作用・効果を分かり易く説明するために用いる一例であって、本発明は、本質的な特徴部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0040】
[実施の形態1]
1.固体撮像素子1の概略構成
本実施の形態に係る固体撮像素子1の概略構成について、図1を用い説明する。なお、本実施の形態では、インタライン転送CCD型固体撮像素子を一例としている。
【0041】
図1に示すように、固体撮像素子1では、X−Y面方向において、複数の撮像画素11がマトリクス状に配列されている。そして、複数の撮像画素11に対し、各行間にはY軸方向に延伸する垂直転送部21が設けられ、垂直転送部21のY軸方向下端において、X軸方向に延伸する水平転送部22が設けられている。複数の撮像画素11および垂直転送部21などを含めた領域が、撮像画素領域10となる。
【0042】
一方、水平転送部22には、出力アンプ部23が接続され、また、垂直転送部21の転送電極(図1では、図示を省略)には、電極パッド25に繋がる配線24が接続されている。配線24は、垂直転送部21における転送電極に対して駆動パルスを印加するためのものである。
【0043】
なお、以下では、複数の配線20が配設されている領域を、配線領域20と呼称する。
2.配線領域20の構成
固体撮像素子1の配線領域20の構成について、図2(a)を用い説明する。
【0044】
図2(a)に示すように、シリコン基板100には、そのZ軸方向上側主面に、フィールド絶縁膜101、転送電極膜102、シリコン酸化膜103、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜108、シリコン窒化膜109および配線24が順に積層形成されている。なお、転送電極膜102は、ポリシリコンから構成されており、配線24は、アルミニウムまたはその合金から構成されている。さらに、フィールド酸化膜101は、シリコン酸化膜である。
【0045】
Z軸方向におけるシリコン酸化膜103とBPSG膜108との間には、タングステン膜107が介挿されており、転送電極膜102とタングステン膜107とは下部コンタクトホールAにより接続が図られている。タングステン膜107と配線24とは、上部コンタクトホールBにより接続が図られている。なお、図2(a)に示すように、配線24の上は、シリコン窒化膜であるパッシベーション膜112で覆われている。
【0046】
下部コンタクトホールAは、シリコン酸化膜103を挿通し、図2(a)の二点鎖線で囲んだ部分に示すように、その底部であって転送電極膜102内となる箇所にチタンシリサイド膜105を備える。また、下部コンタクトホールAは、シリコン酸化膜103に設けられたコンタクト孔103aに対し、その側壁部にチタン窒化アニール膜104およびタングステン窒化膜106が形成されている。そして、チタン窒化アニール膜104およびタングステン窒化膜106は、タングステン膜107の下部をY軸方向に延設されている。
【0047】
一方、上部コンタクトホールBは、BPSG膜108およびシリコン窒化膜109を挿通し、チタン窒化膜110およびタングステンプラグ111が充填形成されている。そして、チタン窒化膜110およびタングステンプラグ111が配線24に対して接続され、下部コンタクトホールBの底部でチタン窒化膜110がタングステン膜107に接続されている。なお、チタン窒化膜110は、その上の配線24とともに、実質的な配線としての機能を果たしている。
【0048】
なお、固体撮像素子1の配線領域20では、コンタクトホールA,Bおよび他の配線部分において、チタンからなる純金属膜は含まれていない。また、上部コンタクトホールBでは、チタンシリサイド膜は含まれていない。
【0049】
3.撮像画素領域10の構成
撮像画素領域10の構成の内、撮像画素11および垂直転送部21の部分の構成について、図2(b)を用い説明する。
【0050】
図2(b)に示すように、固体撮像素子1の撮像画素領域10では、シリコン基板100におけるZ軸方向上側の主面から一定の深さ領域に、フォトダイオード121および電荷転送チャネル122が形成されている。電荷転送チャネル122は、フォトダイオード121に対して、X軸方向に間隔をあけて配されている。そして、シリコン基板100の表面には、ゲート酸化膜123が形成されている。
【0051】
シリコン基板100の表面上において、電荷転送チャネル122に対応するそれぞれの箇所には、転送電極膜102が紙面に対し直交する方向に延設されている。また、フォトダイオード121に対応する箇所には、シリコン窒化膜である反射防止膜120が形成されている。転送電極膜102の外周は、絶縁膜124および遮光膜125が順に積層形成されている。ここで、遮光膜125は、タングステンから構成されており、下部コンタクトホールAのコンタクト材としてのタングステンプラグ111と同じ工程で形成することもできる。
【0052】
シリコン基板100の上方には、遮光膜125およびゲート絶縁膜123の一部を覆う状態で、層間絶縁膜126および下向きに凸状の層内レンズ膜127が積層形成されている。ここで、層間絶縁膜126は、BPSGから構成されており、配線領域20におけるBPSG膜108と同一の工程で形成することができる。
【0053】
さらに、層間絶縁膜126および層内レンズ膜127の上には、層間絶縁膜128および上向きに凸状の層内レンズ膜129が形成されている。工程の順は、先ず、層内レンズ膜129を形成してから、層間絶縁膜で平坦化を行うものである。ここで、層内レンズ膜127,129は、ともにプラズマCVD法を用い形成されており、その耐熱温度が650[℃]よりも低い膜である。なお、層内レンズ膜129は、配線領域20におけるパッシベーション膜112と同様に、シリコン窒化膜である。
【0054】
層間絶縁膜128の上には、カラーフィルタ層130を介して、トップレンズ膜131が形成されている。
なお、後述の製造方法の説明において詳細を説明するが、プラズマCVD法を用い形成され、耐熱温度が650[℃]よりも低い層内レンズ膜127,129は、配線領域20における下部コンタクトホールA(図2(a)を参照)よりも積層上方に形成されている。ここで用いる「積層上方」との用語についても、上述の通り、空間認識における絶対的な「上方」を指すものではなく、積層順での上方、即ち、工程順の後で形成されることにより、積層順における「上方」であることを指すものである。
【0055】
4.固体撮像素子1が有する優位性
本実施の形態に係る固体撮像素子1が有する優位性について、図2(a)および図2(b)を用い説明する。
【0056】
本実施の形態に係る固体撮像素子1では、図2(a)に示すように、その配線領域20において、下部コンタクトホールAが、コンタクト材としてチタン膜を備えず、チタン窒化アニール膜104およびタングステン窒化膜106、さらにはタングステン膜107を備えている。これらチタン窒化アニール膜104、タングステン窒化膜106およびタングステン膜107は、高融点金属膜である。また、下部コンタクトホールAの底部には、チタンシリサイド膜105が形成されており、当該部分でポリシリコンからなる転送電極膜102と接続されているので、接触抵抗が低い。なお、下部コンタクトホールAの底部に形成されたチタンシリサイド膜105は、チタンの還元作用およびシリサイド化による接触抵抗の低減を図ることができ、配線やコンタクトホールの微細化によっても、低抵抗化を図ることが可能である。
【0057】
また、上部コンタクトホールBでは、コンタクト材としてチタン膜を備えず、チタン窒化膜110およびタングステンプラグ111を備える。チタン窒化膜110およびタングステンプラグ111は、ともに高融点金属材料からなるものであって、アルミニウムまたはその合金からなる配線層24に対して、金属同士であることにより接触抵抗が低い。
【0058】
本実施の形態では、上記配線領域20の構成より、従来と同一の接触抵抗とする場合には、コンタクトホールの形成数を低減することができるので、その分だけチップサイズの縮小を図ることもできる。
【0059】
また、本実施の形態に係る固体撮像素子1では、下部コンタクトホールAの底部にチタンシリサイド膜105を形成し、下部コンタクトホールAおよび上部コンタクトホールBにおいて、構成中にチタン膜を含まないので、水素などのガス雰囲気中でのアニール処理に際して、水素がトラップされるということが防止される。このため、固体撮像素子1では、製造工程においてシリコン基板100とフィールド絶縁膜101およびゲート絶縁膜123との界面に生じたダングリングボンドを、水素雰囲気中でのアニール処理により、効果的に終端させることができ、界面準位密度の低減を確実に図ることができる。よって、本実施の形態に係る固体撮像素子1は、高い素子性能を有する。
【0060】
また、本実施の形態に係る固体撮像素子1では、撮像画素領域10における層内レンズ膜127,129がプラズマCVD法を用い形成され、650[℃]よりも低い耐熱温度であるが、配線領域20における下部コンタクトホールAに対して積層上方に選択的に形成されており、製造工程において、下部コンタクトホールAの底部におけるチタンシリサイド膜105の形成に係るアニール処理の実行よりも後に、層内レンズ膜127,129が形成されている。このため、下部コンタクトホールAの底部におけるチタンシリサイド膜105の形成に係るアニール処理によって層内レンズ膜127,129がダメージを受けることがない。具体的に、層内レンズ膜127,129には、下部コンタクトホールAに対して積層上方に形成することにより、クラックが発生したり、剥がれが発生したり、さらには膜ストレスがかかったりすることがない。よって、固体撮像素子1では、撮像画素領域10における層内レンズ膜127,129のダメージに起因する暗電流の増加といった問題を生じることがない。
【0061】
以上より、本実施の形態に係る固体撮像素子1では、配線やコンタクトホールの寸法の微細化に際しても、コンタクト抵抗の低減を図ることが可能であり、且つ、暗電流の発生が少ない。
【0062】
5.固体撮像素子1の製造方法
本実施の形態に係る固体撮像素子1の製造方法について、図3から図5を用い特徴となる部分を中心に説明する。なお、図3から図5では、(a)および(c)において配線領域20の対象部分を示し、(b)および(d)において撮像画素領域10の対象部分を示す。
【0063】
図3(a)に示すように、シリコン基板100のZ軸方向上面に、シリコン酸化膜であるフィールド酸化膜101、ポリシリコンからなる転送電極準備膜1020、およびシリコン酸化膜1030を順に積層形成する。
【0064】
一方、図3(b)に示すように、撮像画素領域10では、ゲート絶縁膜123を形成した後、これを緩衝層として不純物を注入することにより、シリコン基板100の表層部分にフォトダイオード121および電荷転送チャネル122を形成する。そして、ゲート絶縁膜123上であって、各電荷転送チャネル122の上方となる箇所に転送電極準備膜1020が延設される。延設された転送電極準備膜1020の表面は、絶縁膜124により覆われる。
【0065】
次に、図3(c)に示すように、シリコン酸化膜1030に対してコンタクト孔103aをあける(シリコン酸化膜103)。このとき、図3(d)に示すように、撮像画素領域10では、処理を進めていない。
【0066】
図4(a)に示すように、シリコン酸化膜103上およびコンタクト孔103aの側壁部および底部に対して、例えば、膜厚20[nm]のチタン膜を形成し、これをFA(Furnace Annealing)により、650[℃]の温度で30[min.]以上の熱量を以ってアニール処理を行う。なお、アニール処理については、FAに限らず、例えば、RTA(Rapid Thermal Annealing)を用いることもできる。これにより、チタンは、その全てがシリサイド反応および窒化により消費され、チタンとしては残らない。これより、コンタクト孔103aの底部でチタンシリサイド膜105となり、他の部分でチタン窒化アニール膜104となる。
【0067】
図4(b)に示すように、シリサイド反応および窒化のためのアニール処理の際には、絶縁膜124よりも上方の構造部分の形成はされておらず、耐熱温度が650[℃]よりも低い層が含まれていない。具体的には、プラズマCVD法で形成される層内レンズ膜127,129が低い耐熱性の膜に該当するのであるが(図2(b)を参照)、アニール処理の際には未だ形成されていない。よって、アニール処理により層内レンズ膜127,129などの耐熱性の低い膜がダメージを受けることがない。
【0068】
次に、図4(c)に示すように、チタン窒化アニール膜104上に、例えば、スパッタリング法により膜厚25[nm]のタングステン窒化(WN)膜106を積層形成し、続いて、スパッタリング法により膜厚40[nm]およびCVD法により膜厚50[nm]でタングステン膜107を積層形成する。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングによりパターニングを行い、下部コンタクトホールAおよび高融点金属からなる中間配線層を形成する。
【0069】
図4(d)に示すように、スパッタリング法およびCVD法を用いタングステン膜107を形成する工程にて、絶縁膜124の表面を覆うように、遮光膜125を形成する。
次に、図5(a)に示すように、パターニングされたタングステン膜107上に、BPSGを堆積させてリフローすることにより、BPSG膜1080を形成し、さらにその上に、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜1090を形成する。なお、シリコン窒化膜1090については、レジストによる平坦化、およびその後にエッチバックを用いて平坦化することで形成される。
【0070】
なお、本実施の形態においては、積層膜として、BPSG膜1080およびシリコン窒化膜1090を形成することとしたが、これ以外にもシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜などを形成することとしてもよい。また、成膜方法についても、プラズマCVD法だけでなく、常圧CVD法や減圧CVD装置などを用いることもできる。さらに、本実施の形態においては、平坦化技術として、エッチバック法を一例として採用したが、これ以外に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いることもできる。
【0071】
なお、図5(b)に示すように、BPSG膜1080を形成する際に、層間絶縁膜126を形成し、また、シリコン窒化膜1090を形成する際に、層内レンズ膜127を形成する。このため、層内レンズ層127の形成に際しても、プラズマCVD法が用いられる。
【0072】
次に、図5(c)に示すように、BPSG膜1080およびシリコン窒化膜1090を挿通する複数のコンタクト孔109aを形成する(BPSG膜108、シリコン窒化膜109)。当該コンタクト孔109aは、上部コンタクトホールBのためのものである。そして、図5(d)に示すように、コンタクト孔109aをあける際には、撮像画素領域10については、そのままの状態である。
【0073】
この後、スパッタリング法によりチタン窒化膜110を形成し、CVD法によりタングステンプラグ111を形成し、エッチバックあるいはCMPによりチタン窒化膜110およびタングステンプラグ111の平坦化を行った後、アルミニウムからなる配線24を積層形成する(図2(a)を参照)。
【0074】
なお、層間絶縁膜128、層内レンズ膜129、カラーフィルタ膜130、およびトップレンズ膜131については、配線24を形成した後に形成される(図2(b)を参照)。ここで、層内レンズ膜129は、例えば、シリコン窒化膜であり、パッシベーション膜としての機能を兼ね備えるものである。
【0075】
なお、本実施の形態では、採用していないが、必要に応じて下凸だけや、上凸だけの層内レンズ膜や、層内レンズを設けず光導波路を形成することとしてもよい。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る固体撮像素子2の構成について、図6を用い説明する。図6は、図2(a)に対応する模式断面図であり、以下では、上記実施の形態1との採点を主として説明する。
【0076】
図6に示すように、本実施の形態に係る固体撮像素子2では、下部コンタクトホールCの底部にチタンシリサイド膜105が形成されている点は、上記実施の形態1に係る固体撮像素子1と同様であるが、下部コンタクトホールCに対し、そのコンタクト材としてタングステン窒化膜146およびタングステン膜147の2層が埋め込まれた形態となっている(図6の二点鎖線で囲んだ部分を参照)。即ち、本実施の形態では、製造過程において、アニール処理の実行によりチタンシリサイド膜105を形成した後、チタン窒化アニール膜を形成するのではなく、シリサイド未反応チタンを除去し、タングステン窒化膜146およびタングステン膜147を積層形成している。
【0077】
本実施の形態のように、シリサイド未反応チタンを除去する場合には、工程が増加するが、シリサイド化での熱処理が不十分でチタンの全てがシリサイド反応と窒化により消費されず、僅かにチタンとして残存していたような場合にも、これを除去するので、その後に実行する水素などのガス雰囲気中でのアニール処理において、水素がトラップされるという問題を生じない。よって、本実施の形態に係る固体撮像素子2の構成を採用する場合には、上記実施の形態1に係る固体撮像素子1が有する優位性に加え、より確実にシリコン基板100とフィールド絶縁膜101およびゲート絶縁膜123との界面準位密度の低減を図ることができる。
【0078】
なお、チタンシリサイド膜105の形成から、シリサイド未反応チタンの除去までは、例えば、次のように行うことができる。
20[nm]の膜厚で成膜されたチタン膜に対し、RTAにより650[℃]の温度で30[sec.]のアニール処理を行う。これにより、シリサイド反応によりチタンが消費されるが、一部のチタンが消費されずに残存するので、アンモニアおよび過酸化水素の混合水溶液(アンモニア過水)に10[min.]間浸漬する。これにより、シリサイド未反応チタンは、選択的にエッチングにより除去されることになる。
【0079】
なお、コンタクト抵抗をさらに低減したい場合には、必要に応じ、さらに900[℃]の温度で30[sec.]間のアニール処理を行い、チタンシリサイド膜105の結晶構造をC49相からC54相へと相転移させることができる。
【0080】
本実施の形態に係る固体撮像素子2について、他の構成は上記実施の形態1に係る固体撮像素子1と同様である。そして、シリサイド未反応チタンを確実に除去している本実施の形態に係る固体撮像素子2では、水素などのガス雰囲気中でのアニール処理において、水素がチタンによりトラップされるという問題を生じることがなく、シリコン基板100とフィールド絶縁膜101およびゲート絶縁膜123との界面準位密度を効果的に低減することができ、また、上記実施の形態1に係る固体撮像素子1が有する優位性をそのまま有する。
【0081】
[その他の事項]
上記実施の形態1,2に係る固体撮像素子1,2では、垂直転送部21における転送電極膜102に対して駆動パルスを印加するため形成されるコンタクトホールA,B,C,Dを一例としたが、本発明は、これ以外にも、垂直転送部21の転送電極膜102の抵抗を低減するために実施されるシャント配線技術のコンタクトホールや、水平転送部22および出力アンプ部23のゲート電極、さらにはフローティングディフュージョンコンタクトやその他のシリコン基板とのコンタクトホールなどにも、同様に適用が可能である。
【0082】
また、上記実施の形態1,2では、金属シリサイド膜の一例として、チタンシリサイド膜105を採用したが、これ以外にも、コバルトやニッケルなどの高融点金属を含むコバルトシリサイド膜あるいはニッケルシリサイド膜などを採用することもできる。
【0083】
また、上記実施の形態1,2では、配線24の構成材料としてアルミニウムあるいはその合金を用いることとしたが、これ以外にも、銅やその合金を用いることもできる。この場合にも、上記同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、配線やコンタクトホールの微細化に際しても、コンタクト抵抗の低減が可能であり、暗電流を低く抑制可能な固体撮像素子を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0085】
1,2.固体撮像素子
10.撮像画素領域
11.撮像画素
20.配線領域
21.垂直転送部
22.水平転送部
23.出力アンプ部
24.金属配線
25.電極パッド
100.シリコン基板
101.フィールド酸化膜
102.転送電極膜
103,1030.シリコン酸化膜
104.チタン窒化アニール膜
105.チタンシリサイド膜
106,146.タングステン窒化膜
107,147.タングステン膜
108,1080.BPSG膜
109,1090.シリコン窒化膜
110.チタン窒化膜
111.タングステンプラグ
112.パッシベーション膜
120.反射防止膜
121.フォトダイオード
122.電荷転送チャネル
123.ゲート酸化膜
124.絶縁膜
125.遮光膜
126,128.層間絶縁膜
127,129.層内レンズ膜
130.カラーフィルタ膜
131.トップレンズ膜
1020.転送電極準備膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板をベースとして、複数の光電変換部を備える撮像画素領域と、前記撮像画素領域に周辺に配された周辺領域とを有する固体撮像素子であって、
前記撮像画素領域では、前記光電変換部の各々が前記シリコン基板内に形成され、当該シリコン基板上に複数の層からなる積層構造が設けられており、
前記周辺領域では、前記シリコン基板上に、複数の絶縁層および金属材料からなる配線層が順に積層形成され、
前記シリコン基板あるいは前記複数の絶縁層の下層に形成されたシリコンを含む層と、前記配線層とが、前記複数の絶縁層を挿通するコンタクトホールにより接続されており、
前記コンタクトホールは、前記シリコン基板の側から順に、第1のコンタクトホールと第2のコンタクトホールとが積層された組み合わせを以って構成されており、
前記第1のコンタクトホールには、その底部に形成された金属シリサイドを含む、第1のコンタクト材が埋め込まれてなり、
前記第2のコンタクトホールには、金属シリサイドを含まず、第2のコンタクト材が埋め込まれてなり、
前記第1のコンタクト材には、チタンまたはコバルトまたはニッケルの何れかを含む前記金属シリサイドと、チタンおよびコバルトおよびニッケルからなる純金属を除く第1の高融点金属とが含まれ、
前記第2のコンタクト材には、前記金属シリサイド、およびチタンまたはコバルトまたはニッケルからなる純金属の双方を除く第2の高融点金属が含まれ、
前記撮像画素領域における前記複数の層の中には、前記金属シリサイドの形成に係るアニール処理での熱に対して耐熱性が低い低耐熱性膜が含まれており、
前記低耐熱性膜は、前記第1のコンタクトホールに対して積層上方に選択的に形成されている
ことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1のコンタクトホールの上部と前記第2のコンタクトホールの底部とは、前記シリコン基板の主面に沿って配設された中間配線層により接続されており、
前記中間配線層にも、その構成中に金属シリサイド、およびチタンまたはコバルトまたはニッケルからなる純金属の双方を除く第3の高融点金属が含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記シリコン基板内には、前記光電変換部に隣接し、前記光電変換部で生成された電荷を転送する電荷転送チャネルが形成されており、
前記シリコンを含む層が、前記電荷転送チャネルに対応し、その上方に形成されたポリシリコンからなる転送電極である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第1のコンタクト材における前記第1の高融点金属、および前記第2のコンタクト材における前記第2の恋融点金属には、タングステンまたはタングステン窒化物、あるいはチタン窒化物またはチタン窒化アニール物の何れかが含まれている
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記低耐熱性膜の耐熱温度が、650℃よりも低い
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記低耐熱性膜が、プラズマCVD法を用い形成された膜である
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記配線層は、アルミニウム若しくは銅、またはこれらを含む合金からなる
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
シリコン基板をベースとして、複数の光電変換部を有する撮像画素領域を形成する撮像画素領域形成ステップと、
前記撮像画素相当領域の周辺に対し、前記シリコン基板に対し、複数の絶縁層を介して金属材料からなる配線層が形成された周辺領域を形成する周辺領域形成ステップと、
を有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記周辺領域形成ステップには、
前記シリコン基板の上方に、第1の絶縁膜を堆積形成し、その一部に第1のコンタクト孔をあける第1サブステップと、
前記第1のコンタクト孔の底部および側壁部にチタン膜を形成する第2サブステップと、
前記チタン膜をアニール処理することにより、前記第1のコンタクト孔の底部にチタンシリサイド膜を形成し、且つ、第1の高融点金属を埋め込むことにより、第1のコンタクトホールを形成する第3サブステップと、
前記第1のコンタクトホールが設けられた前記第1の絶縁膜上に、第2の絶縁膜を堆積形成し、前記第1のコンタクトホールとの接続に対応する箇所に、第2のコンタクト孔をあける第4サブステップと、
前記第2のコンタクト孔の底部および側壁部に対し、タングステンまたはタングステン窒化物、あるいはチタン窒化物の少なくとも何れかを含む第2の高融点金属を埋め込むことにより、第2のコンタクトホールを形成する第5サブステップと、
前記第2のコンタクトホールと接続する状態に、前記配線層を積層形成する第6サブステップと、
が含まれ、
前記撮像画素領域形成ステップには、前記シリコン基板内に複数の光電変換部を形成するサブステップと、
前記光電変換部の形成後に、前記シリコン基板上に複数の層からなり、且つ、当該複数の層の中に、前記周辺領域形成ステップの前記第3サブステップで実行される前記アニール処理での熱に対して耐熱性が低い低耐熱性膜が含まれてなる積層構造を設けるサブステップと、
が含まれ、
前記第1のコンタクトホールにおけるコンタクト材としての前記第1の高融点金属には、チタンの純金属が含まれず、
前記第2のコンタクトホールにおけるコンタクト材としての前記第2の高融点金属には、チタンシリサイド、およびチタンの純金属の何れも含まれず、
前記撮像画素領域形成ステップの前記積層構造を設けるサブステップは、少なくとも前記低耐熱性膜の形成を、前記周辺領域形成ステップの前記第3サブステップにおける前記アニール処理の実行後に行う
ことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項9】
前記周辺領域形成ステップの前記第3サブステップでは、前記アニール処理の実行により、前記第1のコンタクト孔の底部にチタンシリサイド膜を形成した後に、シリサイド化されずに残った未反応チタンを除去し、当該第1のコンタクト孔に対して、コンタクト材として、タングステンまたはタングステン窒化物、あるいはチタン窒化物の少なくとも何れかを埋め込む
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−238751(P2011−238751A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108427(P2010−108427)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】