説明

地図データ利用装置

【課題】地図データベースに固有の識別情報を利用することなく、新規リンクと地図データに既存のリンクとの接続を適切に判断するための技術を提供する。
【解決手段】新規リンクが接続すべき接続先リンクの設定に関する情報を固有のリンクIDを用いることなく示す接続先設定情報と、その新規リンクの端部の座標を少なくとも含むリンクの座標情報とを含む新規リンクデータを外部から取得する。道路地図データの中から、前記取得した新規リンクの座標情報で示されるリンクの端部の座標付近に存在する既存リンクのデータを抽出する(S100,S110)。前記取得した新規リンクにおける接続先設定情報と、前記抽出した既存リンクにおける設定情報とを比較し(S120)、その比較の結果、両者が適合すると判定した場合(S120:YES)、新規リンクと当該既存リンクとが接続するものと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づき処理を行う地図データ利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記憶媒体に記憶された地図データを利用して種々の処理を行う地図データ利用装置(例えば、ナビゲーション装置)において、通信手段を介して新しいバージョンの地図データを外部から取得し、これによって記憶媒体に記憶された地図データベースを更新できるものがある。これにより、新しい道路や施設が設置された場合に、それを適宜地図データベースに反映させることができ、ナビゲーション装置等の地図データ利用装置の利便性が向上する。
【0003】
この種の地図データ利用装置の一例として、特許文献1に記載のナビゲーション装置がある。この特許文献1に記載のナビゲーション装置によれば、所定範囲ごとに分割された新しいバージョンの地図データを外部のデータセンタから受信することで、当該所定範囲ごとに地図データベースを更新できるようになっている。
【0004】
さらに、地図データを更新する際、外部から道路区間の最初単位であるリンク単位で更新用のデータを取得し、この取得した新しいリンクのデータを既存の地図データベースに追加して利用可能にする技術も案出されている。
【特許文献1】特開2003−315054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部から取得した新規リンクに関するデータを既存の地図データベースに追加し、それを利用可能にする場合、その取得した新規リンクを既存の地図データベース内に構築されている道路ネットワークに接続する必要がある。その際、新規リンクが接続すべき既存のリンクの識別情報(リンクID)を指定しなければ、新規リンクを既存の道路ネットワークに接続することはできない。しかしながら、地図データベースに既存のリンクに付与されているリンクIDは、当該リンクが属する地図データベースのみにおいて有効であり、汎用性を持たない。このため、新規リンクのデータを利用者に対して提供する側からしてみれば、利用者側の地図データベースに固有のリンクIDを知り得なければリンクIDを指定して新規リンクと既存のリンクとの接続関係を特定することは難しい。すなわち、このような提供者側からは、自身が提供する新規リンクを利用者側の地図ネットワークに自由に接続させることはできず、新規リンクの提供者及び利用者双方にとって不便である。
【0006】
本願発明は上記問題を解決するためになされており、地図データベースに固有の識別情報を利用することなく、新規リンクと地図データに既存のリンクとの接続を適切に判断するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の地図データ利用装置は、道路地図データに基づいて所定の処理を実行するものであり、道路地図データベースと、取得手段と、抽出手段と、接続判定手段と、登録手段とを備え、道路地図データベースに格納された道路地図データに基づいて所定の処理を実行する。
【0008】
道路地図データベースは、道路地図データにおける道路区間の最小単位であるリンクを定義する情報であって、当該リンクの設定に関する情報を示す設定情報を少なくとも含むリンクデータと、リンク同士の接続状況を示す接続情報から構成される道路ネットワークを含む道路地図データを格納する。
【0009】
取得手段は、道路地図データベース以外の外部装置又は外部の記憶媒体から、新規リンクを定義するリンクデータであって、当該新規リンクが接続すべき接続先リンクの設定に関する情報を道路地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す接続先設定情報と、その新規リンクの端部の座標を少なくとも含むリンクの座標情報と、を少なくとも含む新規リンクデータを取得する。
【0010】
抽出手段は、道路地図データベースに格納されている道路地図データの中から、取得手段により取得した新規リンクデータの座標情報で示されるリンクの端部の座標を基準とする所定の地理的範囲内に存在するリンクに関するリンクデータを抽出する。接続判定手段は、取得手段により取得した新規リンクデータにおける接続先設定情報と、抽出手段により抽出したリンクデータにおける設定情報とを比較し、その比較の結果、両者が適合すると判定した場合、当該新規リンクと当該抽出したリンクとが接続するものと判定する。
【0011】
登録手段は、取得手段により取得した新規リンクデータに基づく当該新規リンクに関する所定のリンクデータと、接続判定手段により当該新規リンクと接続すると判定されたリンクとの接続情報とを、道路地図データベースに格納されている道路地図データにおける道路ネットワークに登録する。
【0012】
このように構成された地図データ利用装置によれば、外部から取得した新規リンクが既存のリンクと接続する端部の座標と、普遍的な内容(例えば、道路名称、道路種別等)で接続先リンクの設定を示した接続先設定情報とを用いることで、道路地図データベースに固有のIDを用いることなく新規リンクと既存リンクとの接続を的確に判断することができる。このように、座標や接続先設定情報といった普遍的な情報によって新規リンクの接続先を特定できるので、利用者側の地図データベースに固有のリンクIDを知り得ない外部の提供者であっても、自身が提供する新規リンクを利用者側の地図ネットワークに自由に接続させることができる。これにより、外部からリンクデータを提供することによるリンク単位での地図データの更新をより簡便に行うことができるようになり、地図データ利用装置の利便性が向上する。
【0013】
つぎに、請求項2に記載の地図データ利用装置は以下のような特徴を有する。すなわち、道路地図データベースに格納されている道路地図データのリンクデータには、当該リンクの形状を示す形状情報が更に含まれており、取得手段により取得される新規リンクデータには、当該新規リンクが接続すべき接続先リンクの形状を示す形状情報が更に含まれている。そして、接続判定手段は、取得手段により取得した新規リンクデータにおける接続先設定情報と、抽出手段により抽出したリンクデータにおける設定情報との比較、及び、当該新規リンクデータにおける接続先リンクの形状情報に基づくリンク形状と、当該抽出したリンクデータにおける形状情報に基づくリンク形状との比較を行い、その比較の結果、両リンク間において設定情報とリンク形状との双方が適合すると判定した場合、当該新規リンクと当該抽出したリンクとが接続するものと判定する。
【0014】
このようにすることで、新規リンクの端部の座標及び接続先設定情報に加え、接続先リンクの形状を加味して接続判定を行うことで、新規リンクと既存リンクとの接続を更に的確に判断することができるようになる。
【0015】
ところで、リンクデータにおける接続先設定情報及び設定情報は、道路地図データベースに固有のIDを用いないだけでなく、当該リンクの特徴を端的に示し、かつ普遍的な情報を用いることが肝要である。そこで、請求項3に記載のように、接続先設定情報及び前記設定情報には、道路名称、道路種別、及び道路幅等といった情報を用いるとよい。接続先設定情報及び前記設定情報にこのような普遍的な情報を適用することで、利用者側の地図データベースに固有のリンクIDを知り得ない外部の提供者であっても、自身が提供する新規リンクの接続先をより的確に特定できる。
【0016】
なお、上述した地図データ利用装置は、道路地図データベースに格納されている道路地図データに基づいて、指定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置として構成することが考えられる(請求項4)。このようなナビゲーション装置は、車両に搭載されることで特に効果を発揮するが、携帯通信端末等の一機能として実現することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[ナビゲーション装置1の構成の説明]
図1は、本実施形態のナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態のナビゲーション装置1は、車両に搭載されるナビゲーションシステムであり、図1に示すように、車両の現在地を検出するための位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、通信インタフェース(I/F)23と、地図データやプログラム等を記憶する大容量記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)24と、各種情報を記憶する外部メモリ25と、地図表示画面等の各種表示を行うための表示装置26と、各種ガイド音声を出力するための音声出力装置27と、外部通信機28と、制御部29とを備える。
【0020】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信信号を受信し、車両の位置座標や高度を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ21bと、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置、方位、速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在地を求める方式は、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0021】
操作スイッチ群22は、表示装置26の表示面上に一体に設置されるタッチパネルや表示装置26の周囲に設けられるメカニカルなキースイッチ等で構成されている。通信I/F23は、ナビゲーション装置1に周辺機器を接続し、接続された周辺機器との間で各種情報の送受信を行うための部位であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)等が用いられる。
【0022】
HDD24は、制御部29からの制御に基づいてハードディスクからのデータの読み出し、及びハードディスクへのデータの書き込みを行う外部記憶装置である。HDD24が記憶しているデータは、交差点等の特定地点に対応するノードに関するノードデータ、ノード間を接続する道路区間の最小単位であるリンクに関するリンクデータ、及びリンク同士の接続情報から構成される道路ネットワークを含む道路地図データや、地図画像の表示に必要な描画データ、いわゆるマップマッチング用のデータ、経路案内用のデータ、ナビゲーション装置1の作動のためのプログラム、意匠画像データ等を含む各種データである。なお、上記道路ネットワークを構成するリンクデータには、個々のリンクに該当する道路に関する普遍的な設定内容を定義する設定情報と、道路の形状や位置(座標)を定義する物理情報とが少なくとも含まれている。個々のリンクの設定情報で定義される設定内容としては、例えば、道路名称(国道○号、○○通り等)、道路種別(国道、県道、市道等)、道路幅(○○m)等が挙げられる。
【0023】
外部メモリ25は、各種データを記憶するためものである。この外部メモリ25には、電位的又は磁気的に記憶内容を書き換え可能で、かつ、電源を切っても記憶内容を保持できる記憶装置(例えば、不揮発性半導体メモリ等)を用いる。表示装置26は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置であり、制御部29からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示可能である。この表示装置26は、地図画像の表示や、出発地から目的地までの誘導経路、車両の現在地を示すマーク、その他の案内情報等の表示に用いられる。音声出力装置27は、各種情報を音声にてユーザに報知できるように構成されている。これによって、表示装置26による表示と音声出力装置27による音声出力との両方でユーザに対して方向案内等の各種経路案内をすることができる。
【0024】
外部通信機28は、無線通信を介して外部の通信機器や情報記録媒体等から情報を取得するための機器である。この外部通信機28としては、例えば、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン、あるいはFM多重放送によって送信される情報を受信するVICS(Vehicle Information and Communication System)用の受信機や、携帯電話、ETC(Electronic Toll Collection)車載器、Bluetooth(登録商標)機能を搭載した情報通信端末等が挙げられる。また、外部から情報を取得するための機器として、外部通信機28の代わりに、記録媒体に記録された二次元バーコード等を読み取るための光学機器(例えば、カメラ等)を備えるような構成であってもよい。
【0025】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部構成を制御する。この制御部29は、ROMやHDD24、外部メモリ25等から読み込んだプログラムやデータに基づいて種々の処理を実行する。
【0026】
ここまででナビゲーション装置1の概略構成を説明したが、HDD24が特許請求の範囲における道路地図データベースに相当し、通信I/F23及び外部通信機28が特許請求の範囲における取得手段に相当し、制御部29が特許請求の範囲における抽出手段、接続判定手段、及び登録手段に相当する。
【0027】
[動作の説明]
つぎに、制御部29が実行する処理について説明する。
【0028】
ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理では、まず、位置検出器21からの検出信号に基づいて自車両の現在地を算出する。そして、HDD24から読み込んだ現在地周辺の道路地図データや描画データに基づいて地図画像を生成し、表示装置26に現在地周辺の地図画像を表示させる。また、制御部29は、位置検出器21からの検出信号により検出した自車両の現在地を示すマークを、表示装置26に表示させる地図画像上に重ね合わせて表示し、自車両の移動に伴って現在地のマークを移動させたり、地図画像をスクロールさせる。
【0029】
また、経路案内処理では、ユーザが操作スイッチ群22を操作して目的地を設定すると、制御部29は車両の現在地を出発地とし、出発地から目的地までの最適経路をHDD24から読み込んだ道路地図データを用いて探索する。そして、経路探索により得られた最適経路を誘導経路として、その誘導経路を地図画像上に重ね合わせて表示装置26に表示させる。そして、制御部29は自車両の移動に伴って所定のタイミングで案内情報を表示又は音声で出力し、自車両が目的地までの誘導経路に沿って走行できるように案内する。
【0030】
さらに、本実施形態のナビゲーション装置1では、通信I/F23や外部通信機28を介して、HDD24に格納されている道路地図データに登録されていない道路に関するリンクデータ(以下、新規リンクデータ)を取得し、この取得した新規リンクデータで示される新規リンクを道路ネットワークに接続して道路地図データに登録する新規リンク登録機能を備える。
【0031】
この新規リンクデータの取得先としては、例えば、外部通信機28を介してナビゲーション装置1との間で無線通信可能な外部の情報センタや情報通信端末、あるいは通信I/F23を介してナビゲーション装置1に接続される記憶装置(メモリカード等)等が挙げられる。また、ナビゲーション装置1に対して提供する新規リンクデータを二次元バーコード化したものを印刷した記録媒体(書籍、広告等)から、カメラによって二次元バーコードを読み取って新規リンクデータを取得するといった態様も考えられる。
【0032】
制御部29は、上記新規リンク登録機能における本発明の特徴的な処理として、外部から取得した新規リンクデータ(詳細な内容については後述する)に含まれる接続先設定情報と物理情報とに基づき、当該新規リンクが接続する既存のリンクを特定し、当該新規リンクに関するリンクデータと、当該新規リンクと既存リンクとの接続情報とを道路ネットワークとして記録することで、新規リンクを道路地図データに登録する「新規リンク接続判定処理」を実行する。この処理の詳細な説明については後述する。
【0033】
[新規リンクデータの説明]
ここで、ナビゲーション装置1が外部から取得する新規リンクデータの詳細な内容について説明する。図2は、新規リンクデータの概要(一例)を模式的に示す説明図である。
【0034】
新規リンクデータには、図2に示すように、新規リンク自体に関する設定内容を定義する「設定情報」と、新規リンクに該当する道路区間の位置(座標)や形状を定義する「物理情報」に加え、新規リンクが接続すべきリンク(接続先リンク)を特定するための情報として、接続先リンクに関する設定内容を定義する「接続先設定情報」とが含まれている。なお、図2に示す事例では、新規リンクの両端においてそれぞれ別の接続先リンクが存在するものとしており、新規リンクデータには、それぞれの接続先リンクに対応する接続先設定情報が付属する。
【0035】
新規リンク自体の設定情報及び接続先リンクに関する接続先設定情報は、「道路名称」、「道路種別」、「道路幅」等といったごく一般的に用いられる普遍的な情報によって各リンクに対応する道路の設定内容を定義しており、リンクID等といった道路地図データベースごとに固有の識別情報は含まれていない。
【0036】
[新規リンク接続判定処理の説明]
つぎに、制御部29が実行する上述の新規リンク接続判定処理の詳細な内容について、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3は、制御部29が実行する新規リンク接続判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、上述の各種方法によって外部から新規リンクデータを取得した際に実行される。
【0037】
制御部29は、まず、取得した新規リンクデータに含まれる物理情報から、新規リンクの端部の座標を取得する(S100)。なお、図2に示す新規リンクデータの事例では、新規リンクの両端部における2箇所の座標を取得する。そして、HDD24に格納されている地図データの中から、S100で取得した端部の座標を中心とする所定範囲内(例えは、半径○○m)を通る既存のリンクに関するリンクデータを抽出する(S110)。
【0038】
つぎに、S100で取得した新規リンクデータに含まれる接続先設定情報と、S110で抽出した既存リンクデータに含まれる設定情報とを比較し、それぞれに記述されている設定内容が適合するか否かを判定する(S120)。なお、接続先設定情報が複数ある場合、それぞれの接続先設定情報について既存リンクの設定情報との比較を行う。S120で、何れの接続先設定情報にも適合する既存リンクの設定情報が存在しないと判定した場合(S120:NO)、新規リンク接続判定処理を終了する。この場合、取得した新規リンクは地図データに登録されない。
【0039】
一方、S120で何れかの接続先設定情報に適合する既存リンクの設定情報が存在すると判定した場合(S120:YES)、その接続先設定情報に適合する設定情報に該当の既存リンクが、新規リンクの各端部の1箇所につき1つだけ存在するか否かを判定する(S130)。ここで、接続先設定情報に適合する設定情報に該当の既存リンクが、新規リンクの各端部の1箇所につき1つだけ存在すると判定した場合(S130:YES)、それぞれの端部において、新規リンクと当該端部に対応する既存リンクとが接続するものと判断し、当該新規リンクに関する所定のリンクデータ(設定情報、物理情報etc)と、当該新規リンクと接続すると判断された既存リンクとの接続情報とを、HDD24に格納されている道路地図データにおける道路ネットワークに登録する(S160)。
【0040】
一方、S130で、何れかの端部において、当該端部に対応する接続先設定情報に適合する設定情報に該当の既存リンクが2つ以上存在すると判定した場合(S130:NO)、当該端部に接続する可能性がある既存リンクが複数ある旨を表示装置26による表示や音声出力装置27による音声案内によって提示し、当該複数の既存リンクの中から当該端部が接続すべき既存リンクを1つ選択する指示をユーザから受け付ける(S140)。
【0041】
そして、ユーザによって当該端部における接続先の既存リンクが選択されたか否かを判定する(S150)。ここで、接続先の既存リンクが選択されたと判定した場合(S150:YES)、それぞれの端部において、新規リンクと当該端部に対応する既存リンク(ユーザによって選択された既存リンクを含む)とが接続するものと判断し、当該新規リンクに関する所定のリンクデータ(設定情報、物理情報etc)と、当該新規リンクと接続すると判断された既存リンクとの接続情報とを、HDD24に格納されている道路地図データにおける道路ネットワークに登録する(S160)。一方、S150で、ユーザによって当該端部における接続先の既存リンクが選択されなかった場合(S150:NO)、新規リンク接続判定処理を終了する。この場合、取得した新規リンクは地図データに登録されない。
【0042】
[効果]
上記実施形態のナビゲーション装置1によれば、下記のような効果を奏する。
【0043】
通信I/F23や外部通信機28を介して外部から取得した新規リンクデータに付属する接続先設定情報と、当該新規リンクの端部付近に存在する既存リンクの設定情報とを比較することで、道路地図データベースに固有のリンクIDを用いることなく新規リンクと既存リンクとの接続を的確に判断することができる。特に、接続先設定情報及び設定情報が示す設定内容には、道路名称、道路種別及び道路幅といった普遍的な内容が用いられるので、新規リンクデータの提供者側が提供先の道路地図データベースに固有のリンクIDを考慮する必要はない。そのため、利用者側の地図データベースに固有のリンクIDを知り得ない外部の提供者であっても、自身が提供する新規リンクを利用者側の地図ネットワークに自由に接続させることができる。これにより、外部から新規リンクデータを提供することによるリンク単位での地図データの更新をより簡便に行うことができるようになり、ナビゲーションシステムの利便性が向上する。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
【0045】
(1)例えば、上記実施形態の接続判定処理(図3参照)での新規リンクと既存リンクとの接続判定(S130)において、接続先設定情報と設定情報との照合に加え、更に、新規リンクデータで示される接続先リンクの形状と、当該既存リンクの形状との照合を行うように構成してもよい。
【0046】
そのためには、まず、外部から取得する新規リンクデータおいて、当該新規リンクが接続すべき接続先リンクに関する接続先設定情報の他に、更に当該接続先リンクに該当する道路区間の位置(座標)や形状を定義する「接続先物理情報」を付属させる。
【0047】
そして、ナビゲーション装置1側では、新規リンクの端部付近の既存リンクに対して、新規リンクデータにおける接続先設定情報と、当該既存リンクデータにおける設定情報との照合、及び、新規リンクデータにおける接続先物理情報に基づくリンク形状と、当該既存リンクデータにおける物理情報に基づくリンク形状との照合を行う。その結果、両リンク間において設定情報とリンク形状との双方が適合すると判定した場合、当該新規リンクと既存リンクとが接続するものと判定する。
【0048】
このようにすることで、新規リンクの端部の座標及び接続先設定情報に加え、接続先リンクの形状を加味して接続判定を行うことで、新規リンクと既存リンクとの接続を更に的確に判断することができるようになる。
【0049】
(2)例えば、上記実施形態は、車載用のナビゲーションシステムとして本発明を実施したものであるが、本発明の技術思想は、例えば、ナビゲーション機能を有するアプリケーションを実行可能な携帯電話機やノート型のパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機等の携帯情報端末に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】新規リンクデータの概要(一例)を模式的に示す説明図である。
【図3】新規リンク接続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…車速センサ、22…操作スイッチ群、23…通信I/F、24…ハードディスクドライブ、25…外部メモリ、26…表示装置、27…音声出力装置、28…外部通信機、29…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図データにおける道路区間の最小単位であるリンクを定義する情報であって、当該リンクの設定に関する情報を示す設定情報を少なくとも含むリンクデータと、リンク同士の接続状況を示す接続情報から構成される道路ネットワークを含む道路地図データを格納する道路地図データベースと、
前記道路地図データベース以外の外部装置又は外部の記憶媒体から、新規リンクを定義するリンクデータであって、当該新規リンクが接続すべき接続先リンクの設定に関する情報を前記道路地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す接続先設定情報と、その新規リンクの端部の座標を少なくとも含むリンクの座標情報とを少なくとも含む新規リンクデータを取得する取得手段と、
前記道路地図データベースに格納されている道路地図データの中から、前記取得手段により取得した新規リンクデータの座標情報で示されるリンクの端部の座標を基準とする所定の地理的範囲内に存在するリンクに関するリンクデータを抽出する抽出手段と、
前記取得手段により取得した新規リンクデータにおける接続先設定情報と、前記抽出手段により抽出したリンクデータにおける設定情報とを比較し、その比較の結果、両者が適合すると判定した場合、当該新規リンクと当該抽出したリンクとが接続するものと判定する接続判定手段と、
前記取得手段により取得した新規リンクデータに基づく当該新規リンクに関する所定のリンクデータと、前記接続判定手段により当該新規リンクと接続すると判定されたリンクとの接続情報とを、前記道路地図データベースに格納されている道路地図データにおける道路ネットワークに登録する登録手段とを備え、
前記道路地図データベースに格納されている道路地図データを利用して所定の処理を実行すること、
を特徴とする地図データ利用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データ利用装置において、
前記道路地図データベースに格納されている道路地図データのリンクデータには、当該リンクの形状を示す形状情報が更に含まれており、
前記取得手段により取得される新規リンクデータには、当該新規リンクが接続すべき接続先リンクの形状を示す形状情報が更に含まれており、
前記接続判定手段は、前記取得手段により取得した新規リンクデータにおける接続先設定情報と、前記抽出手段により抽出したリンクデータにおける設定情報との比較、及び、当該新規リンクデータにおける接続先リンクの形状情報に基づくリンク形状と、当該抽出したリンクデータにおける形状情報に基づくリンク形状との比較を行い、その比較の結果、両リンク間において設定情報とリンク形状との双方が適合すると判定した場合、当該新規リンクと当該抽出したリンクとが接続するものと判定すること
を特徴とする地図データ利用装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の地図データ利用装置において、
前記接続先設定情報及び前記設定情報は、道路名称、道路種別、及び道路幅の少なくとも何れかを示す情報を含むこと
を特徴とする地図データ利用装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の地図データ利用装置において、
当該地図データ利用装置は、前記道路地図データベースに格納されている道路地図データに基づいて、指定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置であること
を特徴とする地図データ利用装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−133776(P2010−133776A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308573(P2008−308573)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】