説明

地図表示制御装置および地図表示制御装置用のプログラム

【課題】ディスプレイに3次元地図画像を表示させるときに、ビル等の構造体にルートが隠れてしまうことにより、当該ルートが確認し辛くなるという問題を解決するための新たな技術を提供する。
【解決手段】ディスプレイの表示画面20に3次元地図画像21を表示させる地図表示制御装置が、3次元地図画像21中のルート24に沿うと共にルート24から立つルート壁22をディスプレイに重畳表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置、および地図表示制御装置に用いるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路地図を3次元的にディスプレイに表示させる技術が知られている。このような技術においては、3次元的に表現したビルや地形等の構造体の存在により、確認したいルート(すなわち、複数の道路が直列的に繋がってできる経路)が隠れてしまう場合がある。このような問題に対処するために、当該ルート付近のビルの高さを低くする技術、ビルをワイヤーフレームで描く技術等、構造体のグラフィックを加工する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開平9−212083号公報
【特許文献2】特開平9−318381号公報
【特許文献3】特開2000−207577号公報
【特許文献4】特開2000−304558号公報
【特許文献5】特開2000−321974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記点に鑑み、ディスプレイに3次元地図画像を表示させるときに、ビル等の構造体にルートが隠れてしまうことにより、当該ルートが確認し辛くなるという問題を解決するための新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明の第1の特徴は、ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置が、3次元地図画像中のルートを特定するルート特定機能と、「3次元地図画像が表す3次元空間中において、当該ルートに沿うと共に前記ルートから立つ屹立体」を構成するための構成データを生成する屹立体構成機能と、生成された構成データに従って、3次元地図画像に当該屹立体を組み込んだ画像を、3次元地図画像のうち3次元空間における屹立体の背後にある部分が屹立体を透過して見えるように、ディスプレイに表示させる表示指令機能(130)と、を備えたことである。
【0005】
このようになっているので、当該3次元空間中で、特定されたルートから立っている屹立体は当該ルートよりも上方にあるので、当該ルートより見え易くなっている。さらに、当該屹立体はルートに沿い、かつ当該屹立体が立つのはルートからとなっているので、屹立体の位置を把握することが、当該ルートの位置を把握することに直接繋がる。従って、ディスプレイに3次元地図画像を表示させるときに、ルートの確認が容易になる。
【0006】
また、当該屹立体の背後にある部分が当該屹立体を透過してユーザに見えるようになるので、屹立体の存在によって背後の構造体の視認性が低下する程度を軽減することができる。
【0007】
また、本発明音第2の特徴は、ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置が、3次元地図画像中のルートを特定するルート特定機能と、3次元地図画像が表す3次元空間中において、ルート特定機能が特定したルートに沿った壁状に立つ屹立体を構成するための構成データを生成する屹立体構成機能と、当該構成データに従って、3次元地図画像に当該屹立体を組み込んだ画像を、ディスプレイに表示させる表示指令機能と、を備え、当該屹立体構成機能は、構成データの一部として、当該屹立体の壁面に表示する壁面表示情報を特定することを特徴とする地図表示制御装置。
【0008】
このようになっているので、第2の特徴においても、上記第1の特徴との共通部分により、ディスプレイに3次元地図画像を表示させるときに、ルートの確認が容易になる。また、第2の特徴においては、当該屹立体構成機能が、構成データの一部として、当該屹立体の壁面に表示する壁面表示情報を特定するようになっている。従って、地図表示制御装置は、特定された情報を壁状の屹立体の壁面に表示させることができるようになる。このように、壁面に情報を表示させることで、壁面のスペースを有効に活用することができる。
【0009】
また、構成データの一部として、屹立体の3次元空間中の高さデータを、当該高さが壁面情報の量が大きくなるほど高くなるように決定するようになっていてもよい。このようになっていることで、壁面に表示される情報の視認性が向上する。
【0010】
また、ルート特定機能は、特定したルート上の複数の位置のそれぞれにおける現在以降の通過時刻を示す推定通過スケジュール情報を取得するようになっていてもよい。さらに、屹立体構成機能は、現在以降の複数の時刻のそれぞれにおける車両内の状態または車両外の環境を示す予想内外情報を取得するようになっていてもよい。なお、予想内外情報は、推定通過スケジュール情報と異なった情報であってもよいし同じ情報であってもよい。
【0011】
そしてこのとき、屹立体構成機能は、当該予想内外情報および当該推定通過スケジュール情報に基づいて、壁面のうち、当該ルート上の複数の位置範囲のそれぞれの上にある部分に、当該位置範囲に対応する通過時刻範囲における車両内の状態または車両外の環境の情報を表示させるための情報として、壁面情報を特定するようになっていてもよい。
【0012】
このようになっていることで、ルートを単なる位置情報の集合として捉えるのみならず、時系列に沿って並んだ位置情報として扱い、それによって、現在以降のある瞬間においてユーザを取り巻く環境と当該位置情報との結びつきを可視化することができる。
【0013】
また、地図表示制御装置は、ディスプレイの表示において、ディスプレイの表示範囲内から屹立体の上端がはみ出ている場合、ユーザ操作に基づいて、壁面表示情報を壁面内で上下方向にスクロールさせるようになっていてもよい。このようになっていることで、壁面表示情報の閲覧がより容易になる。
【0014】
また、地図表示制御装置は、ユーザ操作に基づいて、壁面表示情報を壁面内で当該ルートに沿った方向にスクロールさせるようになっていてもよい。このようになっていることで、壁面内の情報表示の自由度が高まる。
【0015】
また、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の3次元空間中の高さのデータを、当該高さが3次元地図画像に係る俯角が大きくなるほど低くなるように決定してもよい。
【0016】
このようになっていることで、小さい俯角で3次元地図画像を表示した場合には、屹立体の高さが増加するので、屹立体がビル等の構造体に隠れる可能性が低減される。また、大きい俯角で3次元地図画像を表示した場合には、元々屹立体が見え易い状態であるので、屹立体の高さが減少しても、屹立体の視認性は確保できる。そして、屹立体の高さが減少することで、屹立体が表示画面上で他の部分に重なってしまう領域を抑えることができる。
【0017】
また、屹立体構成機能は、構成データの一部として、屹立体の3次元空間中の高さのデータを、当該高さがユーザから見て3次元空間中の手前ほど低くなるように決定してもよい。このようになっていることで、手前側の屹立体が奥側の屹立体に重なることで、屹立体の配置がわかり難くなってしまう可能性が低減される。
【0018】
また、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の表示色のデータを、当該表示色が白色となるように決定してもよい。このような、3次元地図画像とはっきり区別することのできる白色で屹立体が表されることで、ルートの認識がより容易になる。また、白色のような軽やかな色を使用することで、屹立体があたかも光の帯であるかのように見せることで、屹立体の存在がユーザに遮蔽感を与えてしまう可能性が低減される。
【0019】
また、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の表示色の明度のデータを、当該明度が、ディスプレイに表示されている3次元地図画像の平均的な明度より高くなるように決定してもよい。このようになっている場合も、屹立体が白色で表示される場合と同様の効果がもたらされる。
【0020】
また、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の明度、色調、彩度、模様、および透過率のうち1つのデータを、当該1つが屹立体中の高さ方向に沿って変化するように決定してもよい。このようになっていることで、ユーザは、どの位置にルートが存在するかを、屹立体の明度、色調、彩度、模様、および透過率のうち当該1つの変化基準として把握することができるようになる。
【0021】
また、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の透過率のデータを、当該透過率が屹立体内で上の位置ほど高くなるように決定してもよい。このようになっていることで、屹立体の上部においては、透明度が高いので、屹立体越しのビル等の構造体の視認性が向上する。それに加え、屹立体の下部においては、透明度が低いので、ルートの存在をより明確に認識することができるようになる。
【0022】
また、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の色のデータを、屹立体中のルートに接する部分の色彩が、ディスプレイの表示画面中で、当該ルートの連続性を認識可能な色彩となるように決定するようになっていてもよい。
【0023】
例えば、地図表示制御装置は、構成データの一部として、屹立体の色のデータを、屹立体中のルートに接する部分の色が、ディスプレイの表示画面中で同一となるように決定してもよい。このようになっていることで、ユーザはルートの繋がりをより明確に把握することができるようになる。
【0024】
また、上記第1の特徴は、ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置用のプログラムであって、当該3次元地図画像中のルートを特定するルート特定手段、当該3次元地図画像が表す3次元空間中において、当該ルート特定手段が特定した当該ルートに沿って立つ屹立体を構成するための構成データを生成する屹立体構成手段、および当該屹立体構成手段が生成した当該構成データに従って、当該3次元地図画像に当該屹立体を組み込んだ画像を、当該3次元地図画像のうち当該3次元空間における当該屹立体の背後にある部分が当該屹立体を透過して見えるように、当該ディスプレイに表示させる表示指令手段として、コンピュータを機能させるプログラムとして捉えることもできる。
【0025】
また、上記第2の特徴は、ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置用のプログラムであって、当該3次元地図画像中のルートを特定するルート特定手段、当該3次元地図画像が表す3次元空間中において、当該ルート特定手段が特定した当該ルートに沿って立つ屹立体を構成するための構成データであり、当該屹立体の壁面に表示する情報を含む構成データを生成する屹立体構成手段、および当該屹立体構成手段が生成した当該構成データに従って、当該3次元地図画像に当該屹立体を組み込んだ画像を、当該ディスプレイに表示させる表示指令手段として、コンピュータを機能させるプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出部11、ディスプレイ部12、操作部13、スピーカ14、外部情報受信部15、地図データ取得部16、および制御部17を有している。
【0027】
位置検出部11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御部17に出力する。
【0028】
ディスプレイ部12は、制御部17から出力された映像信号に基づいた映像を、2次元の表示画面に表示する。
【0029】
操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、ディスプレイ部12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル、ドライバ席の付近に設置されたコントロールスティック等の入力装置から成り、ユーザによる上記入力装置への操作に基づいた信号を制御部17に出力する。
【0030】
外部情報受信部15は、車両外部の通信装置と無線通信することで、現在の各地の天候データ、未来の各地の予想天候データ、現在の各地の交通状況(事故、渋滞、走行規制等)のデータ、未来の各地の交通状況(事故、渋滞、走行規制等)の予想データ等を、当該通信装置から取得し、取得したデータを制御部17に出力する。
【0031】
地図データ取得部16は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御部17が実行するプログラム、地図データ、複数の楽曲データ、複数の楽曲付加データ等を記憶している。
【0032】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、ノードとリンクとの接続関係の情報、ノードの3次元形状情報、リンクの3次元形状情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設の詳細を示す情報、3次元形状情報、等を示すデータを有している。リンク、ノード、施設の3次元形状情報とは、それらの立体的構造(立体形状形状および表面色を含む)を表すための情報である。
【0033】
それぞれの楽曲データは、楽曲の音の進行を示すデータ(例えば、Waveデータ、Mpeg1 Layer3データ等)である。また、楽曲付加データは、それぞれ1つの楽曲データに対応し、当該楽曲の情報(例えば、当該楽曲が含まれるアルバムのジャケットの画像、当該アルバムの曲目リスト、当該楽曲全体を再生するために必要な時間、当該アルバム全体を再生するために必要な時間)を示すデータである。
【0034】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、RAMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出部11、ディスプレイ部12、操作部13、スピーカ14、および外部情報受信部15と信号の授受を行う。
【0035】
制御部17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、3次元地図画像表示処理、誘導経路算出処理、経路案内処理、楽曲再生処理等がある。
【0036】
現在位置特定処理は、位置検出部11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0037】
3次元地図画像表示処理は、地図データに基づいて、ディスプレイ部12の表示画面に、3次元地図画像を表示させる処理である。3次元地図画像とは、人がある3次元位置の視点から、ある方位(北、南、北東等)に、ある俯角(すなわち、水平方向に対する見下ろし角度)で、地上を見下ろしたときに見える風景、を2次元面に表示した図である。
【0038】
3次元画像表示処理において制御部17は、地図上のある領域の3次元地図画像をディスプレイ部12に表示させるために、当該領域内にあるノード、リンク、および施設の位置を、地図データから特定し、さらに地図データからそれら特定したノード、リンク、および施設の3次元形状情報に基づいて、当該領域における3次元空間中の立体構造を特定し、その立体構造を、基準の視点位置、方位、および俯角で見下ろした風景の2次元への投影画像を生成し、当該投影画像を3次元地図画像として、ディスプレイ部12に出力する。
【0039】
ここで、基準の視点位置は、地図の表示対象の範囲の中心位置座標(緯度、経度)に対する相対位置が一定となっていてもよいし、操作部13に対するユーザ操作に基づいて連続的にまたは段階的に変化するようになっていてもよい。また、基準の方位および所定の俯角のうち一方または両方は、一定となっていてもよいし、操作部13に対するユーザ操作に基づいて連続的にまたは段階的に変化するようになっていてもよい。
【0040】
誘導経路算出処理は、操作部13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。この誘導経路算出処理において、制御部17は、目的地をユーザに選択させるための支援機能として、3次元画像表示処理を併せて実行するようになっていてもよい。
【0041】
経路案内処理は、算出された誘導経路を強調する画像を3次元地図画像に重畳した画像を、ディスプレイ部12に表示させ、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力させる処理である。制御部17は、この誘導経路を強調する画像を3次元地図画像に重畳した画像を表示させるために、3次元画像表示処理を併せて実行する。
【0042】
楽曲再生処理は、上述の楽曲データに記載されている音進行に従った楽音をスピーカ14に出力させる処理である。
【0043】
図2に、3次元画像表示処理において、3次元地図画像に誘導経路を強調する画像を重畳するために制御部17が実行するプログラム100のフローチャートを示す。誘導経路を強調する画像は、当該ルートに沿うと共に当該ルートから3次元空間中の上方に鉛直に立つルート壁である。
【0044】
この図に示すように、制御部17は、まずステップ110で、表示対象となる領域における地図の3次元データを取得する。具体的には、上述した通りの方法で、当該領域における3次元空間中のノード、リンク、施設から成る立体構造を特定する。
【0045】
続いてステップ115で、当該立体構造中のルート壁形成対象道路を特定する。ルート壁形成対象道路とは、ルート壁が上に乗る道路のことをいう。ここでは、誘導経路がルート壁形成対象道路に該当する。ステップ115ではさらに、特定したルート壁形成対象道路上の推定通過スケジュール情報を作成する。推定通過スケジュール情報とは、当該ルート壁形成対象道路上の複数の位置のそれぞれにおける、自車両の現在以降の通過時刻である。この推定通過スケジュール情報は、例えば、当該経路に沿った当該複数の位置までの距離、および、車両の平均速度(例えば時速30キロメートル)に基づいて特定するようになっていてもよい。
【0046】
続いてステップ120で、当該ルート壁形成対象道路状に形成すべきルート壁の3次元データを生成する。この生成の詳細については後述する。
【0047】
続いてステップ130では、ステップ110で生成した地図の3次元データと、ステップ120で生成したルート壁とを合成して3次元構造を生成する。そして、所定の視点位置、方位、および俯角で当該3次元構造を見下ろした風景の2次元への投影画像を生成し、当該投影画像をディスプレイ部12に出力する。ここで、ディスプレイ部12に出力された投影画像は、3次元地図画像にルート壁(屹立体の一例に相当する)の画像を組み込んだ画像となっている。3次元構造から投影画像を生成する手法は周知であり、それら手法のうちどれを採用してもよい。例えば、ポリゴンを立体的に張り合わせた3次元構造から投影画像を生成する手法を用いてもよい。
【0048】
図3に、ディスプレイ部12の表示画面20上に同時に表示された3次元地図画像21およびルート壁22を例示する。なお、本明細書では、表示画面20中の空に該当する部分23は、3次元地図画像の一部ではないものとする。このように、ルート壁22は、誘導経路24に沿って誘導経路24から3次元空間の鉛直上方に向けて屹立した壁状の物体として表示されている。
【0049】
このようになっているので、表示画面20に射影された3次元空間中で、誘導経路24から立っているルート壁22は当該誘導経路24よりも上方にあるので、当該ルートより見え易くなっている。さらに、当該ルート壁22は誘導経路24に沿い、かつ当該ルート壁22が立つのは誘導経路24からとなっているので、ルート壁22の位置を把握することが、誘導経路24の位置を把握することに直接繋がる。従って、表示画面20に3次元地図画像を表示させるときに、誘導経路24の確認が容易になる。
【0050】
また、図3においては、ルート壁22は無地で白色となっている。3次元地図画像21の平均的な色は、暗色系である濃い茶色、濃い緑色、濃い灰色等の色となっていることが通常であるので、そのような場合には、このように、3次元地図画像21とはっきり区別することのできる白色でルート壁22が表されることで、誘導経路24の認識がより容易になる。また、白色のような軽やかな色を使用することで、ルート壁22があたかも光の帯であるかのようにえる。したがって、ルート壁22の存在がユーザに遮蔽感を与えてしまう可能性が低減される。
【0051】
そして、3次元地図画像21のうち当該3次元空間におけるルート壁22の背後にある部分が、ルート壁22を透過して見えるようになっている。すなわち、ルート壁22の色は透過色である。このように、ルート壁22の背後にある部分がルート壁22を透過してユーザに見えるようになるので、ルート壁22の存在によって背後の構造体の視認性が低下する程度を軽減することができる。
【0052】
ここで、プログラム100のステップ120におけるルート壁の3次元データの生成処理について更に説明する。ルート壁の3次元データの生成処理においては、ルート壁を構成するための構成データとして、ルート壁の誘導経路に対する高さのデータ、ルート壁の壁面デザインのデータ、地図の3次元構造に組み込むときのルート壁の配置のデータ等を決定する。
【0053】
なお、壁面デザインとは、ルート壁の色、壁面の模様、壁面の透過度、壁面に表示する情報の内容等、壁面の形状以外の外観を示すものである。制御部17は、ルート壁の配置については、上述の通り、地図中の誘導経路から鉛直上方に立つものとして決定する。
【0054】
また、制御部17は、ルート壁の高さ、ルート壁の壁面デザイン、ルート壁の壁面に表示する情報については、図4にフローチャートとして示す処理を実行することで決定する。
【0055】
制御部17は、この図4に示す処理において、まずルート壁の基本壁面デザインを決定し(ステップ121)、続いてルート壁の基本高さを決定する(ステップ122)。そして、ルート壁に情報を表示するか否かを判定し(ステップ123)、表示しないと判定した場合は基本壁面デザインおよび基本高さをルート壁の壁面デザイン及び高さとして確定する。ルート壁に情報を表示すると判定した場合は、表示情報を取得し(ステップ124)、そのルート壁の壁面上に表示するための表示情報のテクスチャ(壁面表示情報の一例に相当する)を決定し(ステップ125)、さらに表示情報の量に基づいてルート壁の高さを決定する(126)。このステップ125において決定する表示情報のテクスチャは、ステップ121で決定した基本壁面デザインに代えて、ルート壁の壁面に(例えばポリゴンへのテクスチャマッピンググ技術を用いることで)表示させるものである。また、ステップ126において採用する高さは、ステップ122で採用した基本高さに代えて採用するものである。
【0056】
ここで、ステップ121の基本壁面デザインは、図3を用いて説明した通り、無地、白色、かつ透過的である。
【0057】
また、ステップ122の基本高さは、所定の俯角に基づいて決定する。この俯角は、表示画面に表示されるルート壁全体の大きさに影響する。具体的には、俯角が大きくなるほど、ルート壁全体の高さが一様に小さくなる。例えば、図3に示した例よりも俯角が大きい場合、図5に示すように、ルート壁22の高さは、図3に示したものよりも全体的に一様に低くなっている。ここで、例えば、図3におけるルート壁22の高さが、50メートルであり、図5におけるルート壁22の高さが、30メートルであってもよい。なお繰り返しになるが、ここでいう高さとは、表示画面20に沿った実寸をいうのではなく、表示画面20における投影画像を生成する元となった3次元構造が存在する仮想的な3次元空間中の高さをいう。
【0058】
このようになっていることで、小さい俯角で3次元地図画像を表示した場合には、ルート壁の高さが増加するので、ルート壁がビル等の構造体に隠れる可能性が低減される。また、大きい俯角で3次元地図画像を表示した場合には、元々ルート壁が見え易い状態であるので、ルート壁の高さが減少しても、ルート壁の視認性は確保できる。そして、ルート壁の高さが減少することで、ルート壁が表示画面上で他の部分に重なってしまう領域を抑えることができる。
【0059】
また、ステップ123における情報表示の有無の判定は、事前にユーザによって入力された設定に基づいて決定してもよい。すなわち、ユーザが操作部13を用いて情報表示を行うか否かを決める操作を行い、制御部17は、その操作内容を記憶媒体に記録し、その記録結果に従って情報表示の有無を判定してもよい。
【0060】
また、ステップ124において取得する表示情報としては、例えば、上述の楽曲付加データ、経由地通過予想時刻データ、交通状況データ、天候状況データ、周辺施設データ等がある。
【0061】
楽曲付加データを取得する場合としては、制御部17が3次元地図画像表示処理を実行すると共に楽曲再生処理を実行している場合がある。この場合、制御部17は、現在再生している楽曲データに対応する楽曲付加データ、および、現在再生している楽曲データを含むアルバム中の、当該楽曲データ以降に再生されることになるすべての楽曲データについての楽曲付加データを、表示情報として取得してもよい。
【0062】
経由地通過予想時刻情報は、誘導経路上の1つ以上の経由地点について、それら経由地点の予想通過時刻を示す情報である。この予想通過時刻は、例えば、制御部17が、誘導経路上の当該経由地までの距離を、あらかじめ決められた走行速度(例えば時速30キロメートル)で除算することによって取得するようになっていてもよい。
【0063】
交通状況データは、外部情報受信部15から取得する、現在の各地の天候データ、未来の各地の予想天候データである。天候状況データは、外部情報受信部15から取得する、現在の各地の交通状況のデータ、未来の各地の交通状況の予想データである。周辺施設データは、誘導経路周辺の施設(例えば店舗)の情報であり、地図データ中の施設の詳細を示す情報から取得する。
【0064】
ここで、ステップ125における、取得した表示情報のテクスチャを決定する処理について説明する。表示情報のテクスチャとは、表示情報をルート壁の壁面に表示するときの、その表示デザインを表す画像をいう。例えば、再生している楽曲データに対応する楽曲付加データのテクスチャとしては、当該楽曲付加データに含まれるアルバムのジャケット画像であってもよい。また例えば、雨天である旨の情報に対応するテクスチャは、雨滴を示す画像であってもよい。
【0065】
また、ステップ125においては、決定したテクスチャのルート壁上のレイアウト、すなわち、決定したテクスチャをルート壁のどの位置に配置するかについても決定する。
具体的には、複数のテクスチャのそれぞれについて、当該テクスチャに対応する表示情報に関係する誘導経路上の位置範囲を特定し、ルート壁の、特定された位置範囲上の部分に、当該テクスチャを配置する。
【0066】
ここで、ある表示情報が誘導経路上のどの位置範囲に関係するかの特定方法の例を示す。例えば、当該表示情報が、再生中のアルバムに含まれる残りの楽曲データに対応する楽曲付加データである場合、現在時刻から当該アルバムの再生が終了する時刻までの時間範囲(予想内外情報の一例に相当する)を、当該楽曲付加データから算出し、その時間範囲と、推定通過スケジュール情報とを比較することで、誘導経路上の、当該アルバムが再生されている部分を推定し、その部分を、当該表示情報に関係する位置範囲としてもよい。
【0067】
また例えば、当該表示情報が、誘導経路の一部を含む領域で降雨が続く旨の天候情報データである場合、当該一部に該当する範囲を、当該表示情報に関係する位置範囲としてもよい。
【0068】
また例えば、当該表示情報が、誘導経路上のある位置に近接している店舗の詳細情報(例えば、開店時刻、閉店時刻、イベント情報等)を示す周辺施設データである場合、当該位置を含む所定の範囲を、当該表示情報に関係する位置範囲としてもよい。
【0069】
なお、誘導経路上の同じ位置範囲に複数以上の表示情報が関係している場合、それらのうち最も緊急度の高い表示情報に対応するテクスチャを、当該位置範囲上のルート壁に割り当てるテクスチャとする。緊急度の高低は、例えば、地震、事故、台風、交通規制、雨天、楽曲再生の順に高くなっていてもよい。
【0070】
なお、ルート壁の各部分には、推定通過スケジュール情報に基づいて特定した、当該部分の予定通過時間帯の情報を、表示させるようにあっていてもよい。
【0071】
図6に、表示画面20中のルート壁22に複数のテクスチャ22a、22bが配置されている例を示す。この例においては、アルバムの楽曲を再生している位置範囲におけるジャケットテクスチャ22a、降雨があると予想される位置範囲における雨天テクスチャ22bが、配置されている。なお、これらテクスチャ越しに、ルート壁の背後のビル等の構造物が見えるようになっている。
【0072】
このように、ルート壁の壁面における各種情報(楽曲情報、経由地通過予想時刻、交通状況、天候状況タ、周辺施設情報等)の表示により、壁面のスペースを有効に活用することができる。
【0073】
そして、制御部17は、ルート壁の壁面のうち、当該誘導経路上の複数の位置範囲のそれぞれの上にある部分に、当該位置範囲に対応する通過時刻範囲における車両内の状態または車両外の環境の情報を表示させるための情報として、表示情報を配置する。このようになっていることで、誘導経路を単なる位置情報の集合として捉えるのみならず、時系列に沿って並んだ位置情報として扱い、それによって、現在以降のある瞬間においてユーザを取り巻く環境と当該位置情報との結びつきを可視化することができる。
【0074】
なお、ルート壁中でルートに沿ってテクスチャが変化しても、各テクスチャの下端部(すなわち誘導経路に接する部分)の色は、表示画面20中のルート壁のすべての領域で常に一定にしておいてもよい。このようになっていることで、ユーザは誘導経路の繋がりをより明確に把握することができるようになる。
【0075】
また、ステップ126におけるルート壁の高さの決定は、表示情報の量に基づいて行う。表示情報の量は、例えば、ユーザの操作部13に対する操作によって決まってもよい。この場合、ユーザは、操作部13に対して、情報の詳細表示を行うか情報の簡易表示を行うかを選択する操作を行い、制御部17はその操作結果に基づいて、簡易表示を行う場合は、ルート壁の高さを、ステップ122で決定した基本高さと同じ高さに決定し、詳細表示を行う場合は、ルート壁の高さを、ステップ122で決定した基本高さよりも大きく設定する。
【0076】
図7に、詳細表示が選択された場合のルート壁22の表示例を示す。詳細表示が選択された場合、ルート壁22の高さが高くなるのみならず、ステップ125で特定するテクスチャの内容も、より多くの情報を含むようになる。図7の例では、より詳細な楽曲情報として、アルバムの曲目リストをテクスチャに含めるようになっている。
【0077】
また、ステップ126において、誘導経路中の各位置範囲における当該ルート壁の高さは、当該位置範囲に関係する表示情報の取得量が多いほど増加するようになっていてもよい。例えば、ステップ124で取得した周辺施設情報のうち、ある店舗についての詳細情報が、開店時間および閉店時間のみを含んでいた場合よりも、開店時間、閉店時間に加えイベント情報を含んでいた方が、当該周辺施設情報に関係する位置範囲のルート壁がより高くなっていてもよい。
【0078】
このように、ルート壁22の3次元空間中の高さを、当該高さが表示情報の量が大きくなるほど高くなるようにルート壁22の各部分毎に決定するようになっていることで、壁面に表示される情報の視認性が向上する。
【0079】
また、図7の例では、ルート壁22の高さが増大した結果、表示画面20の上端を越えてルート壁22が続いている状態になっている。このような状態においては、制御部17は、ユーザの操作部13を用いたスクロール操作に応じて、ルート壁22のうち表示画面20中の部分を表示領域とする上下スクロールの表示制御を行うようになっていてもよい。
【0080】
このように、表示画面20内からルート壁22の上端がはみ出ている場合、ユーザ操作に基づいて、テクスチャに示された情報をルート壁の壁面内で上下方向にスクロールさせるようになっていることで、はみ出た部分のテクスチャに示された情報の閲覧がより容易になる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、ステップ122の基本高さの決定方法である。具体的には、制御部17は、ステップ122で、ルート壁の各部分の高さを、当該部分が3次元空間中の手前にあるほど低くなるように決定する。
【0082】
このようにする方法としては、例えば、誘導経路における右左折交差点を境界として段階的に基本高さを変化させる方法(以下、第1の方法という)を用いてもよいし、当該右左折交差点を含む範囲で滑らかに基本高さを変化させる方法(以下、第2の方法という)を用いてもよい。
【0083】
図8に、第1の方法を用いた場合のルート壁22の表示画面20における表示例を示し、図9に、第2の方法を用いた場合のルート壁22の表示画面20における表示例を示す。なお、図8、9においては、簡単のため、ルート壁22の外形および折れ曲がり部分のみを実践で表すが、実際のルート壁22の壁面内のデザインは、第1実施形態と同じである。
【0084】
これら図8および図9の例においては、誘導経路は、3つの右左折交差点を含んでいる。これら3つの右左折交差点位置上のルート壁の上端25b〜25dを境に、ルート壁22の高さは段階的に変化している。具体的には、誘導経路中における3次元空間中ユーザから最も近い端部25aから右左折交差点25bまでの範囲26aにおいては、ルート壁22の高さは一定値h1であり、右左折交差点25bから右左折交差点25cまでの範囲26bにおいては、ルート壁22の高さは一定値h2(ただしh2>h1)であり、右左折交差点25cから右左折交差点25dまでの範囲26cにおいては、ルート壁22の高さは一定値h3(ただしh3>h2)であり、右左折交差点25dから3次元空間中ユーザから最も遠い端部25eまでの範囲26dにおいては、ルート壁22の高さは一定値h4(ただしh4>h3)である。
【0085】
このように、交差点を境目に急激にルート壁の高さが変化することで、誘導経路の折れ曲がりが複雑になっていても、その折れ曲がりの構造をユーザはより容易に把握することができる。例えば、ルート壁22のうちユーザから見えにくい部分26cおよびその周辺において、領域26bよりも領域26cの方がルート壁が高いので、領域26cにおけるルート壁が領域26bにおけるルート壁に隠れる度合いが少なくなり、その結果、領域26c付近における誘導経路の折れ曲がり構造の把握が容易になっている。
【0086】
また、第2の方法を用いた場合、図9に示すように、3次元空間のユーザから見て手前側から奥側に向けて、滑らかにルート壁の高さが増加している。なお、図9においては、ルート壁の高さの誘導経路に沿った単位距離当たりの増加率は一定となっているが、この増加率は、右左折交差点付近で高い値とし、他の部分で低い値としてもよい。このようになっていれば、第1の方法を用いた場合の効果を達成しつつ、ルート壁の高さの滑らかな変化を実現することができる。
【0087】
このように、ルート壁22の3次元空間中の高さが、ユーザから見て3次元空間中の手前ほど低くなるようになっていることで、手前側のルート壁22が奥側のルート壁22に重なってしまう可能性が低減し、それにより、ルート壁22の配置がわかり難くなってしまう可能性が低減される。
【0088】
なお、第1実施形態の基本高さの決定と、本実施形態の基本高さの決定を組み合わせるようになっていてもよい。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、ステップ121で制御部17が決定する基本壁面デザインである。具体的には、制御部17は、ステップ121において、ルート壁の明度、色調、彩度、模様、および透過率のうち少なくとも1つのデータを、ルート壁の(3次元中の)高さ方向に沿って変化するように決定する。ただし、ルート壁を透過的なものとする点は同じである。
【0090】
例えば、ルート壁の透過率がルート壁の上の位置ほど高くなるようにしてもよい。このようになっている場合、ルート壁の上部においては、透明度が高いので、ルート壁越しのビル等の構造体の視認性が向上する。それに加え、ルート壁の下部においては、透明度が低いので、誘導経路の存在をユーザがより明確に認識することができるようになる。
【0091】
あるいは、ルート壁の下端部(すなわち道路と面する部分)を白色とし、上方に行くほどその色を変化させるようになっていてもよい。また、ルート壁の下端部から上端部の方向へ、連続的に明度を低下させていってもよい。また、ルート壁の下端部から上端部の方向へ、模様の密度を低下させていってもよい。
【0092】
図10および図11に、模様の密度が変化するルート壁31、32の表示画面20における表示例を示す。図10においては、一般道路27の上方にある高速道路28が誘導経路となっており、図11においては、一般道路27が誘導経路となっている。
【0093】
ルート壁31、32は、それぞれ高速道路28、一般道路27から上方に伸びている。もしルート壁31、32の色調が一様である場合、一般道路27と高速道路28とが重なっているので、ルート壁31、32が一般道路27と高速道路28のどちらから伸びているかがユーザにとっては判別し難くなる可能性がある。しかし、ルート壁31、32の下方から上方にかけて明度、色調、彩度、模様、および透過率のうち少なくとも1つに変化があるようになっていれば、ユーザは、どの高さの位置に誘導経路が存在するかを、ルート壁のデザインの変化を基準にして把握することができるようになる。
【0094】
なお、上記の各実施形態において、車両用ナビゲーション装置1が地図表示制御装置の一例に相当する。また、制御部17が、プログラム100のステップ115を実行することでルート特定手段の一例として機能し、ステップ120を実行することで屹立体構成手段の一例として機能し、ステップ130を実行することで表示指令手段の一例として機能する。
【0095】
また、上記の実施形態において説明した図3、5、6中のルート壁の上端、下端の破線は、本明細書の読者にルート壁を判別し易くさせるため、便宜的に表したものであって、実際のディスプレイの表示画面内に表示されるルート壁の上下には、このような境界線が表示されていなくてもよいし表示されていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0096】
例えば、上記実施形態においては、ルート壁22を無地で表す場合のルート壁22の表示色を白色としているが、例えば、明るい黄色、明るい緑色等であってもよい。ルート壁22の表示色の明度は、表示画面20に表示されている3次元地図画像21の平均的な明度より高くなるように決められていれば、ルート壁22が白色で表示される場合と同様に、ユーザにとっては、3次元地図画像21とルート壁22との区別はっきりし、かつ、ルート壁22が光の壁のように見えることで、遮蔽感が軽減される。
【0097】
なお、上記の実施形態においては、経路案内処理時に3次元地図画像と共にルート壁を表示させるようになっているが、他の作動時において、3次元地図画像と共にルート壁を表示させるようになっていてもよい。その場合、ルート壁が示すルートは、誘導経路である必要はなく、他の何らかの方法で決定されたルートであってもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、ユーザが誘導経路の繋がりをより明確に把握することができるようにするために、ルート壁中でルートに沿ってテクスチャが変化しても、各テクスチャの下端部は、表示画面20中のルート壁のすべての領域で常に一定にしてもよい旨説明している。しかし、このような構成は、ユーザが誘導経路の繋がりを把握するためには必須というわけではない。例えば、ルート壁において、上下方向には上端から下端まで色彩の変化が無く、ルートに沿った方向には色彩の変化があるような場合であっても、誘導経路の繋がりを把握することは可能である。ルート壁の下端の色彩が当該ルートの連続性を認識可能な色彩になっておりさえすれば、ユーザは誘導経路の繋がりを把握することができる。
【0099】
また、制御部17は、ユーザの操作部13を用いた左右スクロール操作に応じて、ルート壁22のうち表示画面20中の部分を表示領域とする、ルートに沿った(すなわち壁面内の左右方向の)スクロールの表示制御を行うようになっていてもよい。このようになっていることで、壁面内の情報表示の自由度が高まる。
【0100】
また、本発明に係る屹立体は、必ずしも壁状に形成されたルート壁でなくともよい。例えば、屹立体は、離散的にルートに沿って並ぶ複数の柱状体であってもよい。
【0101】
また、上記の実施形態において、制御部17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0102】
また、本発明の地図表示制御装置の適用対象は、車両用ナビゲーション装置でなくてもよく、携帯型の地図表示装置(例えば地図表示機能を有する携帯電話機)であってもよいし、地図表示用のプログラムをインストールすることが可能な据え置き型のパーソナルコンピュータであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】車両用ナビゲーション装置1の制御部17が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3】ディスプレイ部12の表示画面20上に同時に表示された3次元地図画像21およびルート壁22を示す図である。
【図4】プログラム100のステップ120の処理内容の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図3よりも俯角が大きい場合の3次元地図画像21およびルート壁22を示す図である。
【図6】表示画面20中のルート壁22に複数のテクスチャ22a、22bが配置されている例を示す図である。
【図7】詳細表示が選択されて高さが増大した場合のルート壁22の表示例を示す図である。
【図8】第2実施形態における表示画面20におけるルート壁22の表示例を示す図である。
【図9】第2実施形態における表示画面20におけるルート壁22の表示例を示す図である。
【図10】高速道路28上に立ち、模様の密度が変化するルート壁31を示す図である。
【図11】一般道路27上に立ち、模様の密度が変化するルート壁32を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出部、12…ディスプレイ部、
13…操作部、14…スピーカ、15…外部情報受信部、16…地図データ取得部、
17…制御部、20…表示画面、21…3次元地図画像、
22a…ジャケットテクスチャ、22b…雨天テクスチャ、23…空部分、
24…誘導経路、27…一般道路、28…高速道路、100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置であって、
前記3次元地図画像中のルートを特定するルート特定手段と、
前記3次元地図画像が表す3次元空間中において前記ルートに沿うと共に前記ルートから立つ屹立体を構成するための構成データを生成する屹立体構成手段と、
前記屹立体構成手段が生成した前記構成データに従って、前記3次元地図画像に前記屹立体を組み込んだ画像を、前記3次元地図画像のうち前記3次元空間における前記屹立体の背後にある部分が前記屹立体を透過して見えるように、前記ディスプレイに表示させる表示指令手段と、を備えた地図表示制御装置。
【請求項2】
ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置であって、
前記3次元地図画像中のルートを特定するルート特定手段と、
前記3次元地図画像が表す3次元空間中において、前記ルート特定手段が特定した前記ルートに沿った壁状に立つ屹立体を構成するための構成データを生成する屹立体構成手段と、
前記屹立体構成手段が生成した前記構成データに従って、前記3次元地図画像に前記屹立体を組み込んだ画像を、前記ディスプレイに表示させる表示指令手段と、を備え、
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の壁面に表示する壁面表示情報を特定することを特徴とする地図表示制御装置。
【請求項3】
前記屹立体は、前記ルート特定手段が特定した前記ルートに沿って壁状に立つものであり、
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の壁面に表示する壁面表示情報を特定することを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置。
【請求項4】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の前記3次元空間中の高さのデータを、当該高さが前記壁面情報の量が大きくなるほど高くなるように決定することを特徴とする請求項2または3のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項5】
前記ルート特定手段は、特定した前記ルート上の複数の位置のそれぞれにおける現在以降の通過時刻を示す推定通過スケジュール情報を取得し、
前記屹立体構成手段は、現在以降の複数の時刻のそれぞれにおける車両内の状態または車両外の環境を示す予想内外情報を取得し、
さらに前記屹立体構成手段は、前記予想内外情報および前記推定通過スケジュール情報に基づいて、前記壁面のうち、特定した前記ルート上の複数の位置範囲のそれぞれの上の部分に、当該位置範囲に対応する通過時刻範囲における車両内の状態または車両外の環境の情報を表示させるための情報として、前記壁面情報を特定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項6】
前記表示指令手段は、前記ディスプレイの表示において、前記ディスプレイの表示範囲内から前記屹立体の上端がはみ出ている場合、ユーザ操作に基づいて、前記壁面表示情報を前記壁面内で上下方向にスクロールさせることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項7】
前記表示指令手段は、ユーザ操作に基づいて、前記壁面表示情報を前記壁面内で前記ルートに沿った方向にスクロールさせることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項8】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の前記3次元空間中の高さのデータを、当該高さが前記3次元地図画像に係る俯角が大きくなるほど低くなるように決定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項9】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の前記3次元空間中の高さのデータを、当該高さがユーザから見て前記3次元空間中の手前ほど低くなるように決定することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項10】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の表示色のデータを、当該表示色が白色となるように決定することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項11】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の表示色の明度のデータを、当該明度が、前記ディスプレイに表示されている前記3次元地図画像の平均的な明度より高くなるように決定することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項12】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の明度、色調、彩度、模様、および透過率のうち1つのデータを、当該1つが前記屹立体中の高さ方向に沿って変化するように決定することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項13】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の透過率のデータを、当該透過率が前記屹立体内で上の位置ほど高くなるように決定することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項14】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の色のデータを、前記屹立体中の前記ルートに接する部分の色彩が、前記ディスプレイの表示画面中で、前記ルートの連続性を認識可能な色彩となるように決定することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の地図表示制御装置。
【請求項15】
前記屹立体構成手段は、前記構成データの一部として、前記屹立体の色のデータを、前記屹立体中の前記ルートに接する部分の色が、前記ディスプレイの表示画面中で同一となるように決定することを特徴とする請求項14に記載の地図表示制御装置。
【請求項16】
ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置用のプログラムであって、
前記3次元地図画像中のルートを特定するルート特定手段、
前記3次元地図画像が表す3次元空間中において、前記ルート特定手段が特定した前記ルートに沿って立つ屹立体を構成するための構成データを生成する屹立体構成手段、および、
前記屹立体構成手段が生成した前記構成データに従って、前記3次元地図画像に前記屹立体を組み込んだ画像を、前記3次元地図画像のうち前記3次元空間における前記屹立体の背後にある部分が前記屹立体を透過して見えるように、前記ディスプレイに表示させる表示指令手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項17】
ディスプレイに3次元地図画像を表示させる地図表示制御装置用のプログラムであって、
前記3次元地図画像中のルートを特定するルート特定手段、
前記3次元地図画像が表す3次元空間中において、前記ルート特定手段が特定した前記ルートに沿って立つ屹立体を構成するための構成データであり、前記屹立体の壁面に表示する情報を含む構成データを生成する屹立体構成手段、および、
前記屹立体構成手段が生成した前記構成データに従って、前記3次元地図画像に前記屹立体を組み込んだ画像を、前記ディスプレイに表示させる表示指令手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−257092(P2008−257092A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101382(P2007−101382)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】