説明

垂直TFETの製造方法

【課題】ヘテロ構造ナノワイアを有するトンネル電界効果トランジスタと集積されたナノワイアを有する相補型トンネル電界効果トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】犠牲材料21の層を有するチャネル材料34の層を含むスタック24を形成する工程と、チャネル材料34の層と犠牲材料21の層から、少なくとも1つのナノワイヤ30を形成するために、スタック24から材料を除去する工程と、第1ドーパント型の少なくとも1つのナノワイヤ30中の犠牲材料21を第1ドーパント型のヘテロ接合材料41で置き換えて、その後に、第2ドーパント型の少なくとも1つのナノワイア中の犠牲材料を、第2ドーパント材料のヘテロ接合材料52で置き換える工程を含み、相補型TFETの容易な製造が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスとナノテクノロジの分野に関する。特に、本発明は、ナノ構造の半導体デバイスに関し、更にはヘテロ構造ナノワイヤを有するトンネル電界効果トランジスタと、集積されたナノワイヤを有するそのようなトンネル電界効果トランジスタデバイスの製造方法に関する。特に、本発明は、相補型の垂直TFETの製造方法、およびそれにより得られた相補型TFETに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイスは、一般に、半導体基板上に集積回路として作製される。相補型金属酸化物半導体(CMOS)電界効果トランジスタは、集積回路のコア素子の1つである。CMOSトランジスタの寸法と動作電圧は連続して低減され、集積回路のより高い特性とパッケージ密度が得られる。
【0003】
CMOSトランジスタの小型化により問題の1つは、電力消費が増加し続けることである。これは、一部はリーク電流が増加するため(例えば、短チャネル効果による)で、および供給電圧の低減が困難になるためである。後者は主に、閾値下の傾きが最低で約60mV/decadeに制限され、オンからオフへのトランジスタのスイッチングは所定の電圧の変化と、それゆえに最小の供給電圧を必要とするためである。
【0004】
トンネル電界効果トランジスタ(TFET)は、短チャネル効果が無いこと、低いオフ電流のために、一般には、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の後継者として宣伝される。TFETの他の特徴は、閾値下の傾きが、従来のMOSFETの物理的限界である60mV/decより小さく、潜在的により低い供給電圧が使用できることである。しかしながら、TFETは一般には、トンネルバリアの高抵抗に関連する欠点である、低いオン電流に悩まされる。
【0005】
シリコン系TFETは、高品質のシリコン互換性のあるゲート誘電体の作製の既存の専門知識の完全な再利用ができるため、最も魅力的である。しかしながら、大きなバンドギャップのシリコン中の、小さなバンドからバンドへのトンネル効率は、すべてのシリコンTFETの低いオン電流となる。シリコンチャネルを維持しながら、オン電流を改良するために、ヘテロ構造の組み込みが提案された。
【0006】
EP1900681では、ナノワイヤを用いる改良されたTFETの製造方法が開示されている。この方法は、基板上にソースコンタクトを形成する工程と、ソースコンタクト上に集積されたソース領域、チャネル領域、ヘテロ部分、およびドレイン領域を有するナノワイヤ構造を成長させる工程とを含む。ソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域は、第1半導体材料から形成され、ヘテロ部分は、第1半導体材料の格子定数とは異なる格子定数を有する第2材料から形成される。この方法は、更にソース領域、チャネル領域、ヘテロ部分、およびドレイン領域を、所望のドーピングレベルとドーパント型に選択的にドープする工程と、ゲート誘電体およびゲート電極を、ナノワイヤ構造の側壁上に堆積させる工程と、ナノワイヤのドレイン領域上にドレインコンタクトを形成する工程と、を含む。
【0007】
異なるTFET集積のアプローチも存在する。それらは、一方ではトップダウンアプローチ、他方ではボトムアップアプローチに分類しても良い。公知のトップダウンアプローチでは、底部接合、本来的にドープされたSi、および上部ダイオード(その場ドープされたSiまたはヘテロ構造)が、ナノワイヤのパターニング前にエピタキシャル成長される。相補型デバイスは、2つの工程でエピタキシャル成長を必要とする。1つがPトップを有するものとNトップを用いるものである。公知の触媒ベースのボトムアップアプローチを用いる問題は、金属汚染(metal contamination)である。それゆえに、ナノワイヤは、酸化物テンプレート中に選択的に成長できる(ホール内の成長)。これは、本来的なSiチャネルをその場で選択成長し、続いて相補型デバイスの集積スキームを複雑にするヘテロ接合の成長を行うことを意味する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の具体例の目的は、ナノワイヤのような細長いナノ構造を用いた半導体デバイス構造のための、良好な製造方法を提供することである。
【0009】
上記目的は、本発明にかかる方法で成し遂げられる。対応するデバイスも提供される。
【0010】
第1の形態では、本発明は、少なくとも1つのナノワイヤトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体デバイスの製造方法を提供する。この方法は、その上に犠牲材料の層を有するチャネル材料の層を含むスタックを形成する工程と、スタックから材料を除去して、チャネル材料の層と犠牲材料の層から少なくとも1つのナノワイヤを形成する工程と、少なくとも1つのナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換える工程と、を含む。
【0011】
少なくとも1つのナノワイヤ中の、ヘテロ材料の存在は、TFETデバイス中のトンネリングを増加させる。本発明の具体例にかかる方法は、提案されたようにヘテロ接合材料による犠牲材料の置き換えが、ナノワイヤTFET半導体デバイスの製造プロセスを、ナノワイヤのドーパント型から独立にするとして有利である。
更に、本発明の具体例では、不整合より薄い、少量のヘテロ材料のみが成長され、これにより得られたデバイスは従来技術のデバイスに比較して、より少ない不整合を示す。
【0012】
本発明の具体例にかかる方法では、スタックを形成する工程は、結晶チャネル材料の層を形成する工程を含む。そのような結晶材料は、あとでキャップ層を成長させても良い。
【0013】
本発明の具体例にかかる方法は、更に、少なくとも1つのナノワイヤを形成した後に、絶縁材料中に少なくとも1つのナノワイヤを埋め込む工程を含んでも良い。
【0014】
本発明の具体例にかかる方法は、更に、少なくとも1つのナノワイヤを絶縁材料中に埋め込む工程の前に、キャップ層を用いて少なくとも1つのナノワイヤを覆う工程を含んでも良い。そのようなキャップ層は、更なるTFETデバイスの処理中に、上部に規則的で均一な層を形成するための基礎を提供できる。
【0015】
少なくとも1つのナノワイヤをキャップ層で覆う工程は、例えばシリコンのような、数原子層の半導体材料を形成する工程を含んでも良い。
【0016】
本発明の具体例にかかる方法では、少なくとも1つのナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換える工程は、犠牲材料の選択的なエッチバック工程を含んでも良い。これは容易で公知のプロセスである。
【0017】
本発明の具体例にかかる方法は、更に、ナノワイヤの周囲にゲートスタックを形成する工程を含む。このように、一面のゲートが形成される。
【0018】
本発明の具体例にかかる方法では、ナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ材料で置き換える工程は、ゲートスタックを形成する前に行っても良い。これは、この時点でゲート誘電体は存在せず、それゆえに、犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換えるプロセスにより、ゲート誘電体材料は劣化しないという利点を有する。
【0019】
しかしながら、代わりの具体例では、ナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換える工程は、ゲートスタックの形成後に行われる。この場合、最後のヘテロ接合は、ヘテロ接合の形成が最初の場合のように多くの熱量に晒されず、これにより、ヘテロ接合からのドーパントの拡散は殆ど起こらない。
【0020】
本発明の具体例にかかる方法は、少なくとも1つの第1ドーパント型のナノワイヤトンネル電界効果トランジスタ半導体デバイスと、少なくとも1つの第2ドーパント型のナノワイヤトンネル電界効果トランジスタ半導体デバイスとのを作製するための配置に関する。そのような場合、ナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換えることは、少なくとも1つの第1ドーパント型のナノワイヤに対して行われ、その後に少なくとも1つの第2ドーパント型のナノワイヤに対して行われる。そのような本発明の具体例にかかる方法は、相補型NW−TFETの形成を可能にする。
【0021】
第2の形態では、本発明は、本発明の第1の形態にかかる方法の具体例で得られた半導体デバイスを提供する。
【0022】
第3の形態では、本発明は、チャネル材料とヘテロ接合を含むナノワイヤを含む少なくとも1つの垂直TFETを含む半導体デバイスを提供する。ナノワイヤは、少なくともチャネル材料とヘテロ接合との界面において、ゲートスタックの下でシェルにより囲まれる。シェルは、例えば結晶シェルでも良い。シェルは、例えばシリコンシェルでも良い。
【0023】
本発明に具体例にかかる半導体デバイスでは、少なくとも2つの垂直TFETが形成され、少なくとも2つの垂直TFETの少なくとも2つは、異なる型である。第1の型はN型のTFETでも良く、第2の型はP型のTFETでも良い。そのようなデバイスは相補型デバイスである。
【0024】
本発明の具体例にかかるNW−TFETの製造方法の利点は、Si系材料とプロセスの知識が、NW−TFETの作製に使用することができるため、NW−TFETの製造が、現状のSi系技術デバイスに組み込まれて容易に処理できることである。
【0025】
本発明の具体例にかかる製造方法は、同じ基板領域上に異なるドーパント型のNW−TFET(相補型TFET)のプロセスを可能にする点で、従来の製造方法とは区別される。
【0026】
本発明の特別で好適な形態は、独立および従属の請求項とともに詳しく述べられる。従属請求項の特徴は、適当に、単に請求項に記載された通りではなく、独立請求項の特徴と組み合わせても良く、他の従属請求項の特徴と組み合わせても良い。
【0027】
本発明と従来技術を越えて達成される利点をまとめる目的で、本発明の所定の目的と利点が上のように述べられた。もちろん、そのような目的や利点の全てが、本発明の特定の具体例に関して達成される必要が無いことは理解される。このように、例えば当業者は、ここで教示または示唆される他の目的や利点を達成する必要なしに、ここで教示される1つの長所や長所のグループを達成または最適化する方法で、本発明が具体化または実行されることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の具体例にかかる相補型垂直TFETの製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図3】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図4】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図5】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図6】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図7】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図8】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図9】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図10】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図11】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図12】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図13】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図14】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図15】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図16】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図17】本発明の第1の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図18】本発明の第2の具体例にかかる相補型垂直TFETの製造方法のフローチャートである。
【図19】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図20】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図21】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図22】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図23】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図24】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図25】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図26】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図27】本発明の第2の具体例にかかる製造方法の一連のプロセス工程を示す。
【図28】第1および第2の具体例にかかる方法の双方で実行できる、ヘテロ接合のための代わりの具体例を示す。
【0029】
図面は単に模式的であり限定するものではない。図面において、図示目的で、幾つかの要素の大きさは誇張され縮尺通りに記載されていない。
【0030】
異なる図面において、同一の参照符号は、同一または類似の要素を示す。請求項中の参照符号は、その範囲を限定するように解釈すべきでない。
【具体例の詳細な説明】
【0031】
本発明は、少なくとも1つのナノワイヤトンネル電界効果トランジスタ半導体デバイスの製造方法を開示する。本発明の具体例にかかる方法は、その上部に犠牲材料の層を有するチャネル材料の層を含むスタックを形成する工程と、スタックから材料を除去して、チャネル材料の層と犠牲材料の層からナノワイヤを形成する工程と、ナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合で置き換える工程とを含む。ヘテロ接合材料は、ナノワイヤ中の他の半導体材料とは異なる半導体材料である。
【0032】
本発明の具体例にかかる方法は、このように、犠牲層の導入と、その後のヘテロ材料によるこの犠牲層の置き換えを含む。
【0033】
本方法の一つの具体例にかかる方法では、相補型TFET、即ち、異なるドーパントの型を有するナノワイヤを有するTFETが製造される。この具体例にかかる方法では、底部分離層が研磨された後に犠牲層が置き換えられ、(CMP後またはウエットエッチバック後に)犠牲層が露出する。次に、犠牲層が、以下の2つの工程(ナノワイヤのそれぞれのドーパント型に対する工程):
ダミーPトンネルダイオードの開口およびエッチバックと、Pトンネルダイオードの成長、
ダミーNトンネルダイオードの開口およびエッチバックと、Nトンネルダイオードの成長、
によりヘテロ接合により置き換えることができる。
【0034】
本方法の他の具体例では、犠牲層を有するナノワイヤを含むTFET半導体デバイスは、上部の分離が形成されるまで処理される。次に、犠牲層が、上述のようにヘテロ接合により置き換えられる。
【0035】
本発明の具体例にかかる方法の利点は、異なるドーパント型のナノワイヤTFET、即ちN−TFETおよびP−TFETのためのナノワイヤパターニングが同じであることである。ナノワイヤの高さが制御され、双方のデバイスに対して同じスタックが得られても良い。ナノワイヤの直径ΦNWが十分小さい場合、底部接合は、マスク注入工程と拡散工程により形成される。
【0036】
本発明の具体例にかかる方法は、トンネル接合上でのゲートオーバーラップ(可能な限り多くオーバーラップする方が良い)のより良い制御を提供する。チャネル長が制御される。ファセットフリー(facet-free)のチャネル材料が、そこから出発するために形成される。
【0037】
本発明の具体例にかかる方法は、ダメージの無いウエハ表面、即ちSi表面の上へのエピタキシャル成長を提供する。本発明の具体例にかかる方法は、より少ない緩和を提供する。欠陥に関する問題は、小さな露出成長表面のために接合/チャネル界面で殆ど起こらない。ナノワイヤの直径が小さくなるほど、格子不整合とともに起きる問題はより少なくなる。成長速度のウインドウサイズへの依存性を低減するために、まず結晶ヘテロ接合から始まり、アモルファス層を用いた成長を続ける可能性がある。
【0038】
特定のドーパントの型について以降で参照された場合、これは説明を容易にするためになされ、発明を限定するものではない。以降で与えられる例において、本発明を変えることなく、材料およびドーパントの型は、他の好適な材料はドーパントの型により置き換えることができる。
【0039】
本発明は、本発明の多くの具体例の詳細な説明により記載される。本発明の他の具体例が、本発明の真の精神や技術的教示から離れることなく、当業者に知識に従って行え、本発明は添付された請求項の文言によってのみ限定されることは明らかである。特に、本発明の具体例は、ナノワイヤを参照しながら述べられるが、これは発明を限定することを意図するものではなく、この文言は、ナノロッド、ナノウイスカー、および他の細長い、縦軸を有する実質的に円筒または多角形の構造を含む、細長いナノ構造のいかなる例も含むことを意図する。
【0040】
本発明の第1の具体例にかかる方法は、図1に示されるフローチャートに模式的に示され、以下に詳細に述べられる。しかしながら、これは単に本発明にかかるデバイスを形成するための好適な例を示すだけで、これ以降に記載された一連のプロセス工程は本発明を限定しないことが理解される。
【0041】
第1の具体例にかかる方法は、少なくとも1つのナノワイヤを有するトンネル電界効果トランジスタ(TFET)(NW−TFETとも呼ばれる)の作製を開示し、このナノワイヤは、チャネル領域、ソース/ドレイン領域、ここで呼ばれる底部および上部の接合、およびヘテロ部分を含む。ヘテロ部分は、チャネル領域と、ソース/ドレイン領域の1つとの間に配置される。
【0042】
第1工程200では、基板20が提供される。好適には、基板20は半導体基板である。特定の具体例では、基板は、例えばシリコン基板、IV族材料の基板、III/V材料の基板、またはシリコンオンインシュレータ(SOI)基板である。例えばシリコン基板のような半導体基板20は、本来的に特定のドーパントの型、例えばp型ドープ(例えばBドープ)で低ドープされても良い。例えば、基板20のドーピングレベルは、本来的(intrinsic)から1016/ccドーピングの範囲でも良い。特定の具体例では、基板20のドーピングレベルは、本来的(intrinsic)から1014/ccドーピングまでの範囲である。ドーピングは、(例えば、基板材料の成長中に適当なドーピングガスを加えることにより)基板材料の形成中に行われても良く、または基板材料の形成後に行われても良い。半導体基板20は、基板上に形成される、NW−TFET構造のためのナノワイヤチャネルおよび底部接合領域を形成するのに好ましい厚さを有し、例えば20nmと750μmの間である。
【0043】
基板20の主表面の上に、犠牲層21が形成される(工程201)。犠牲層は、下方の基板20に対して、およびその上に形成されるハードマスク22に対して、選択的に除去できる好適な材料から形成される。犠牲層21は、ゲートからソースコンタクトを分離するのに十分な膜厚を有し、およびゲートオーバーラップを有しても良く、例えば約120nmの膜厚である。犠牲層21は、例えばアモルファスSiGeのような、例えばアモルファス半導体材料を含むかまたはからなる。SiGeは、シリコン基板20の上に適用される半導体材料として特に良い。これは、従来のシリコンプロセスの道具を用いてシリコンウエハの上に作製でき、SiおよびSiOに対して選択的にエッチングできるためである。
【0044】
基板20と犠牲層21は、共にスタック24を形成しても良い。
【0045】
ハードマスク層22が、スタック24の上に形成される(工程202)。ハードマスク22は、例えばリソグラフィ(パターニング)中に用いるのに適した材料からなり、例えば低温酸化物または窒化物である。ハードマスク層22は、犠牲層21の上に堆積させても良い。ハードマスク22は、下方の基板20と犠牲層21をパターニングした後に形成される。ハードマスク22は、更なるプロセス中に下方の犠牲層を保護するのに適した膜厚を有し、このため犠牲層の膜厚に依存するこの膜厚は、例えば1nmから100nmまでの範囲の膜厚である。
【0046】
次の工程203では、ハードマスク層22、犠牲層21、および基板20がパターニングされる。これは、ハードマスク22の上で、例えばスピンコーティングにより、下方の層をパターニングするために配置された層を形成することにより得られる。下方の層をパターニングするために配置された層はレジスト層でも良い。下方の層をパターニングするために配置された層は、例えばリソグラフィによりそれ自体がパターニングされ、続くプロセス工程中に、下方の層20、21の選択された領域を保護するナノメータスケールの一時的なマスク23を形成しても良い。示された特定の方法では、マスク23により保護された選択された領域のいくつかは、後に、プロセス中にナノワイヤが形成される領域である。図2に符号25で示された、マスク23の他の領域は、CMP後に適当な平坦性を確実にするために形成される。
【0047】
マスク23は、次に、マスク23の下方の層、ハードマスク22、犠牲層21、および基板20を処理するために使用される。基板20の一部と同様に、ハードマスク22および犠牲層21は、マスクの特徴23が存在しない位置から、例えばドライエッチングのような、適当な方法により除去され、これにより基板の残りの部分の上に、少なくとも1つのナノワイヤ30を形成する。このように形成された少なくとも1つのナノワイヤ30は、図3に示すような傾斜した底部形状を有しても良い。そのような傾斜した底部形状31は、ナノワイヤ30の安定性を改良する。ナノワイヤ30の直径は、例えば2nmと200nmの間のような1nmと500nmの間であり、ナノワイヤの長さは、例えば10nmと1μmの間のような5nmと2μmの間でもよく、材料層の膜厚や基板20中のエッチング深さに依存する。少なくとも1つのナノワイヤ30の形成後、少なくとも1つのナノワイヤ30の下方でウエル注入(工程205)が行われ、所定のドーパント型のウエル32を基板20中に形成しても良い。例えば、第1ドーパント型のウエル32(例えばN型ウエル)は、第2ドーパント型(P型)の底部接合を有するナノワイヤ30が形成された基板20に形成されても良く、第1ドーパント型(N型)の底部接合33を有するナノワイヤ30が形成された基板20に形成されても良い。好適なマスクおよび好適なドーパント元素は、ウエル注入を行うために使用され、最初に第1ドーパント型の1またはそれ以上のウエル32aと、その後に第2ドーパント型の1またはそれ以上のウエル32bが、(またはその逆に)形成されても良い。同様に図4参照。ウエル注入が行われた後に、アニールが行われて、ドーパント原子が、結晶格子中の置換位置に拡散する。
【0048】
形成されたウエル32中およびナノワイヤ30の底部において、特定のドーパント型を用いて底部接合注入が行われ(工程206)、ナノワイヤ30の底部接合33を形成する。ドーパント型は、底部接合33がその中に形成されるウエル32のドーパント型とは異なる。底部接合33のために使用されるドーパント型は、デバイスタイプ(動作モード)を決定する。底部接合33のドーパントレベルは高く、例えば1018/ccから1021/ccの範囲である。特定の具体例では、底部接合33のドーニングレベルは、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。好適なマスクおよび好適なドーパント元素が、底部接合注入を行うために使用される。注入が行われた後に、アニールが行われて、結晶格子中とナノワイヤの下方の置換位置に、ドーパント原子を拡散させる。
【0049】
ウエル注入と底部接合注入の双方は、0°傾斜で行われても良い。その場合、ハードマスク22と犠牲層21は、注入中に、ナノワイヤ30の基板20材料により形成されたチャネル34を保護する。
【0050】
任意的に、増加した保護のために、図示はしないが、注入は、ナノワイヤ30のチャネル34の上に、例えば酸化層のような保護層の堆積後に行って、チャネル34中への種の注入を避けても良い。代わりに、ポストエッチキュアリング酸化物(post etch curing oxide)の存在下で行っても良い。そのようなポストエッチキュアリング酸化物は、ドーパントがチャネル34中に注入されるのを防止し、存在しうる欠陥をキュアして、エッチングダメージを除去してチャネル34の側壁を平坦にする。結果の構造を図3に示す。
【0051】
ウエル32と底部接合33の注入後、例えば、エッチバックやレジスト剥離によりハードマスク22が除去され、例えばその場除去が行われる(工程207)。
【0052】
次の工程208で、少なくとも1つのナノワイヤの周囲、および複数のナノワイヤが形成された場合にはナノワイヤ30の間に、底部絶縁層40が形成される。この方法で、1またはそれ以上のナノワイヤ30が、絶縁層40中に埋められる。この絶縁層40は、ナノワイヤ30を互いに絶縁する。底部絶縁層40は、例えば低誘電率(low-k)酸化物、HDP酸化物、または他の好適な絶縁材料、例えば等方的に堆積された絶縁材料のような酸化物を含み、またはからなる。ナノワイヤ30a、30bの傾斜した底部形状31は、トレンチの充填に有利であり、ナノワイヤの間の空間の充填をより容易にする。更に、ナノワイヤ30a、30bの傾斜した底部形状は、良好な機械的安定性を与える。
【0053】
底部絶縁層40は、例えばCMPにより平坦化され、ナノワイヤ30の上で停止する。代わりに、底部絶縁層40が、ナノワイヤ30の上のレベルまで平坦化され、更に、ナノワイヤ30の上のレベルまでエッチバックされても良い。
【0054】
少なくとも1つのナノワイヤの周囲に底部絶縁材料40を形成し、それを平坦化した結果を図4に示す。図4は、異なる型のウエル32a、32bの上にそれぞれ形成され、異なる型の底部接合33a、33bを有する、異なる型の2つのナノワイヤ30a、30bの特別な場合を示す。図4では、先の工程中にPウエル32aとNウエル32bが形成された具体例が示される。形成された底部接合は、Pウエル32a上のナノワイヤ30aの底部におけるN接合33a、およびNウエル32b上のナノワイヤ30bの底部におけるP接合33aである。
【0055】
絶縁層40の平坦化と、可能なエッチバックの後に、この層40は、第1の型のトンネル接合のレベル(実際、これは第1の型の1またはそれ以上のナノワイヤのレベルである)で開口され(工程209)、これは記載された具体例では、Pウエル32a中のN接合33aの上に形成される右側のナノワイヤ30aのレベルである。この絶縁層40の開口では、例えば保護酸化物のような保護材料50が形成されても良く、レジストパターニングが用いられてもよく、これらは、底部接合33aを形成するために、底部接合注入のためのものと、同じレチクルに基づいても良い。このようにして形成されたレジストマスクは、図5の右側に示されたように、特定の型の1またはそれ以上のナノワイヤ30のレベルで、絶縁層40を開口するために使用されても良い。
【0056】
次の工程210では、絶縁層40を開口した後に、絶縁層40の開口により露出したナノワイヤ30a中の犠牲層21が、適当な選択除去メカニズムにより除去される。例えば、i−Siのようなチャネル34の材料、および酸化物のような絶縁層40の材料に対して、α−SiGeのような犠牲層材料の選択的なエッチバックにより除去される。この得られた孔は、例えばその場堆積により、例えばPドープc−SiGeのような第1の型の適当なトンネルダイオード材料41を用いて充填される。特定の具体例では、トンネルダイオード材料41は、SiGe1−x(x>0.5)である。本発明の特定の具体例では、犠牲層21の除去工程と、トンネルダイオード41の形成工程が、エピリアクタ中の1つの工程で行われる。トンネルダイオード材料41のドーピングレベルは高く、例えば1018/ccから1021/ccの範囲である。本発明の特定の具体例では、ドーピングレベルは、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。トンネルダイオード材料41のドーピングレベルは、底部接合33aのドーピングレベルより高くても良い。
【0057】
次の工程211では、第1トンネル接合41の形成後に、例えば保護酸化膜のような保護材料51が、例えば堆積により、この第1トンネル接合41の上に形成される。絶縁層40が、次に、P接合33bの上に形成された第2の型のトンネル接合のレベルで、記載された具体例では左側のナノワイヤ30bのレベルで、開口される。絶縁層40のこの開口のために、レジストパターニングが用いられ、これは底部P接合注入33bのためのレチクルと同じレチクルに基づいても良い。このように形成されたレジストマスクは、図6の左側に示したように、所定の型の1またはそれ以上のナノワイヤ30のレベルで、絶縁層40を開口するために使用してもよい。
【0058】
次の工程212では、絶縁層40を開口した後に、絶縁層40の開口により露出したナノワイヤ30b中の犠牲層21が、適当な選択除去メカニズムにより除去される。例えば、i−Siのようなチャネル34の材料、および酸化物のような絶縁層40の材料に対して、α−SiGeのような犠牲層材料の選択的なエッチバックにより除去される。この得られた孔は、例えばその場堆積により、例えばNドープのc−III/V材料、例えばIn、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびそれらの二元系、三元系、および四元系化合物のような、第2の型の適当なトンネルダイオード材料52を用いて充填される。本発明の特定の具体例では、犠牲層21の除去工程と、トンネルダイオード材料52の形成工程が、エピリアクタ中の1つの工程で行われる。トンネルダイオード材料52のドーピングレベルは高く、例えば1018/ccから1021/ccの範囲である。本発明の特定の具体例では、ドーピングレベルは、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。トンネルダイオード材料52のドーピングレベルは、底部接合33bのドーピングレベルより高くても良い。
【0059】
本発明の具体例の特徴は、相補型TFETの場合に、第1の型のナノワイヤ30aが開口され、この後に第2の型のナノワイヤ30bが開口されることである。この方法で、異なる型のナノワイヤ30a、30bに対して、異なるプロセスが行える。これは、異なる材料の選択が不可能なブランケット型のプロセスとは異なる。
【0060】
異なる型のナノワイヤ30のためのトンネルダイオード材料41、52の形成後に、底部絶縁層40が、例えばエッチバックにより部分的に除去される(工程213)。そのような除去は、例えばi−Siのようなチャネル材料や、例えばc−SiGeやC−III/V材料のような上部接合のP型およびN型の材料41、52に対して選択的である。部分的な除去後に残される絶縁層材料40の量は、底部絶縁層60を形成する。底部絶縁層60の膜厚は、寄生ゲートキャパシタンスを抑制し、ゲートリークを回避し、デバイスの二極性挙動を抑制し、シート抵抗を低減するためにゲート領域の外側の本来的なSiチャネルを可能な限り短くするために必要となるゲート領域の外側の本来的なチャネル長を決定する。
【0061】
底部絶縁層60の好適な膜厚を形成した後に、図8に示すように、例えばSi/SiGeナノワイヤのような露出したナノワイヤの周囲に、薄い結晶シェル70を成長する(工程214)。シェル70は、約1nmから約3nmの膜厚を有し、好適には単に数モノレイヤの膜厚である。シェル材料はチャネル材料とヘテロ接合材料に依存し、これはシェル70が双方と互換性を有しなければならないためである。記載された具体例では、チャネルがi−Siから形成され、ヘテロ接合がc−SiGeまたはIII/V材料から形成されることを考慮して、Siはシェル70の可能性のある候補である。そのようなシェル70を形成する利点は、接合を越えて、標準的で均一な層がその上に成長されることである。シェル70は、ヘテロ接合上のゲートオーバーラップ領域で、表面依存のゲート誘電体品質を回避する。シェル70の膜厚は、集積フローの次のプロセス工程中の、シェル材料の消費(シェル70は次の工程に耐える)、およびゲートスタックの下でのその存在の電気的影響を考慮に入れて最適化されても良い。
【0062】
次の工程215では、図9に示すように、ゲートスタックは、ナノワイヤ30a、30bのチャネル34の側壁上に形成され、パターニングされても良い。そのようなゲートスタックは、例えばハフニウム酸化物のような、高誘電率(high-k)酸化物のような、高誘電率(high-k)誘電体層80を含んでも良く、これは、シェル70の上と、底部絶縁層60の上に選択的、部分的に形成される。高誘電率(high-k)誘電体層80の膜厚は、0.5nmから20nmの範囲である。ゲート誘電体80は、チャネル34の外壁を覆う。高誘電率(high-k)誘電体層80の上に、金属ゲート81が形成される。この金属ゲート81は、TFETの仕事関数を決定する。金属ゲート81を形成するのに適した金属は、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Ptおよびそれらの合金である。金属ゲート81の上に、後に低抵抗金属コンタクトを形成するための好適な材料、例えばa−Si層82のようなアモルファス半導体層が形成され、これは、CMOS中で、金属ゲート81を電気的に接続するために使用される。a−Si層82の膜厚は、後のプロセス中で得られる、予め決められたシリサイドの膜厚のために最適化される。ゲートスタック全体、即ち高誘電率(high-k)誘電体層80、金属ゲート81、およびa−Si層82は、全体のスタック膜厚が、最小ゲート長を決定するような膜厚を有する。
【0063】
ゲートスタック80、81、82を形成した後に、異なるゲートスタックを互いに分離するために(図示せず)、ゲートスタックが任意的にパターニングされても良い(工程216)。このパターニングは、等方的な方法で、ゲートスタック80、81、82のレジストマスクされたドライエッチングの手段により行われる。特定の具体例では、異なる型のナノワイヤのゲートスタックが互いに電気的に接続されないようにパターニングされる。このパターニングは、金属ゲート81が誘電体層80の上に延びないで、それゆえにシェル70や底部絶縁層60のいずれとも直接接続しないように行われる。ゲート誘電体80および金属ゲート81を含むゲート構造は、全面的なゲート構造として言及される。
【0064】
ゲートの分離のためのゲートスタックのパターニングは、ゲートスタック堆積の後に、過ぎに行う必要は無く、後に行っても良い。しかしながら、堆積後に直ぐにゲートスタックをパターニングすることは、CMPのためのダミー構造に近い問題(problems near the dummy structures)を回避する。
【0065】
次の工程217では、ゲートスタック上にゲートハードマスク90が形成される。このゲートハードマスク90は、例えばHDP酸化物のような酸化層でも良い。ゲートハードマスクの材料は、底部絶縁層60の材料と異なっても良い。形成されたゲートハードマスク90は、例えばCMPのような機械的平坦化方法により平坦化され、これに続いて、ナノワイヤの周囲のゲートハードマスクの部分を除去するためのエッチバック工程が行われ、図9に示すように、ナノワイヤの上部が露出する。残ったハードマスク90の膜厚THMは、ハードマスク90を用いたパターニング後に、ゲートスタック80、81、82が、チャネル34とトンネルダイオード材料41、52との間に形成されたトンネル接合の上に重なることを保証するのに十分でなければならない。
【0066】
もし、ゲートスタック80、81、82が、工程216で分離のためにパターニングされなければ、ゲートハードマスク90は、更に、異なるナノワイヤのゲートが分離される必要があるゲートスタック80、81、82の部分が露出するようにパターニングされる。これを図10に示す。
【0067】
ハードマスク90は、次の工程218で、ゲートスタック80、81、82をパターニングするためのハードマスクとして使用される。これは、図11に示される。ゲートスタック80、81、82のパターニング工程は、a−Si層82の露出した部分、金属層81の露出した部分、および高誘電率(high-k)誘電体層80の露出した部分の連続した除去工程を含む。ゲートスタック80、81、82をパターニングすることにより、シェル70の一部が露出する。もし、シェル70がSiシェルの場合、標準CMOSのレシピが、更なるプロセスで使用できる。
【0068】
ゲートハードマスク90を用いたゲートスタック80、81、82のパターニングにより、ゲート長Lgが規定され、これはハードマスク90の膜厚THMに対応する。更に、ハードマスク90の膜厚THMは、ゲートのオーバーラップO、即ちゲートがトンネルダイオード材料41、52の重なる長さを規定する。
【0069】
ナノワイヤ30の傾斜した底部形状31は、ゲートスタック80、81、82と底部接合33a、33bとの間の直列抵抗とチャネルの長さLcを低減しつつ、ゲートスタック80、81、82と基板20またはウエル32中の底部接合33a、33bとの間も十分な距離を維持し、これにより、底部接合33に対する寄生ゲートキャパシタンスを低減する。
【0070】
ゲートスタック80、81、82のパターニング後に、ナノワイヤの露出部分が絶縁される(工程219)。これは、最初に、図12に示すように、ナノワイヤの露出した部分の側壁に対して絶縁スペーサ110を形成することにより、任意的に行われる。更に、絶縁スペーサ112が、ゲートハードマスク90の側壁に形成されても良い。スペーサ110、112は、例えばSiNのような絶縁層材料のブランケット堆積と、絶縁層の一部を除去して、スペーサ110をナノワイヤの露出した部分の側壁上に形成し、スペーサ112をゲートハードマスク90の側壁上に形成することにより形成しても良い。絶縁層材料の部分の除去は、絶縁性層材料のエッチングにより行っても良い。絶縁スペーサ110は、ナノワイヤの露出部分を絶縁するために厳格には必要はない。本発明の具体例では、スペーサ110を用いない絶縁も可能である。しかしながら、任意的なスペーサ110は、金属ゲートの交差汚染(cross contamination)を避けるために有利である。更に、絶縁スペーサ110は、歪エンジニアリング(strain engineering)のためのストレッサ(stressor)層として使用しても良い。歪エンジニアリングはバンドギャップの変動に繋がり、トンネル効果の調整を与える。
【0071】
絶縁スペーサ110、112の上に、または代わりに、更なる絶縁層111を、ゲートハードマスク90、絶縁スペーサ110、112、およびナノワイヤの露出部分の上に設けても良い。更に、絶縁層111は堆積しても良い。絶縁層111は、例えばHDP酸化物を含む、またはからなっても良い。例えば堆積により形成した後、更に、絶縁層111が、CMPのような機械的な平坦化工程で平坦化されても良く、絶縁材料のエッチバックが行われて、ナノワイヤの上部を露出させても良い(工程220)。これは、図13に示される。更に、絶縁材料111は、ゲートハードマスク90と異なっても良いが、コンタクト領域の更なる開口中に使用されるエッチングと洗浄ケミストリに対して互換性を有するべきである。
【0072】
絶縁層の膜厚は、得られる絶縁特性により決定され、ソースとドレインとの間のリークを抑制し、ゲートとソースとの間に形成されるキャパシタンスを抑制するのに十分であるべきである。
【0073】
ナノワイヤ30の上部を露出させた後に、シェル70がナノワイヤの上部から、例えばエッチバックされて除去され(工程221)、ナノワイヤのトンネルダイオード材料41、52を露出させる。図14参照。図15に示すように、ナノワイヤのトンネルダイオード材料41、52を電気的に被覆するために、トンネルダイオードルーチン材料130が形成される(工程222)。トンネルダイオードルーチン材料130は、例えば1018/ccから1021/ccの範囲のドーピングレベルを有する高ドープa−Si材料のような導電性材料でも良く、例えば堆積されても良い。ダイオードルーチン材料130は、後に、シリサイド化、任意的にはフリーシリサイド化できる最適化膜厚を有する。
【0074】
例えば堆積のようなトンネルダイオードルーチン材料130の形成前に、前処理が行われて、ルーチン材料130とナノワイヤとの間の良好な接続を確実にしても良い。前処理は、例えばHF系の前処理でも良い。
【0075】
トンネルダイオードルーチン材料130は、例えばレジストベースのパターニング工程のような従来の方法でオアターニングしても良い。パターニングされたトンネルダイオードルーチン材料130は、ナノワイヤを電気的に接続するためのルーチンを形成する。
【0076】
図面に記載された、本発明の第1の具体例にかかる具体例では、トンネルダイオードルーチン材料130の形成およびパターニングの後に、ゲート、接合、および基板のコンタクトが開口される(工程223)。これは図16に示される。それらのコンタクトを開口するために、図15の構造の上に、レジスト層が形成されても良い。レジスト層は、トンネルダイオードルーチン材料130を被覆し保護するが、底部接合、基板、およびゲートのコンタクト領域に向かって開口部を形成する可能性を与えるように、パターニングされても良い。ゲートに向かい、部分的に基板のコンタクト領域に向かう開口部140のみが、示されたプロセススキームで実施される。普通のゲート/基板、またはゲート/接合の開口は、底部絶縁層がそれらを分離するために、問題を形成しない。
【0077】
(図16には図示しない)レジスト層が、次に、例えばエッチングにより、開口140を形成するために保護される。図17に示すように、側壁上に保護スペーサ141を形成することにより、開口140の側壁が保護されても良い。これは、例えばSiNのような保護材料層の堆積、および形成された開口140の側壁上にスペーサ141が形成されるように保護材料層の一部を除去することにより行っても良い。保護材料層の一部を除去する工程は、保護材料層のエッチングにより行っても良い。代わりに、スペーサ141の形成よりむしろ、ソフトスパッタエッチング中にその膜厚が考慮される薄い等角の層が堆積されても良い。後者の解決方法は、スペーサを形成するより複雑でない。
【0078】
底部接合、基板、およびゲートのコンタクト領域に向かって開口を形成した後に、シリサイド化工程(工程224)が行われて、コンタクト領域でシリコン材料のシリサイド化が行われる。シリサイド化工程は、露出したシリコンコンタクト領域の上に金属を形成し、従来の方法で双方を互いに反応させて行っても良い。図17は、コンタクト領域の上にシリサイドを形成した後のデバイスを示す。
【0079】
接続領域のシリサイド化の後に、開口140が、例えば酸化物や従来のBEOLスタックを用いて、充填材料(図17)を用いて再充填されても良い。充填材料は、平坦構造を得るために平坦化されても良い。
【0080】
このようにして得られた半導体デバイスの更なるプロセスは、標準のバックエンドオブライン(back end of line)CMOSプロセスに従っても良い。
【0081】
本発明の第2の具体例にかかる方法は、図18に示されるフローチャートに模式的に示され、以下に詳細に説明される。しかしながら、これは、本発明にかかるデバイスを形成するための好適な方法の単なる例であり、以降に記載される一連のプロセス工程は本発明を限定するものではない。
【0082】
本発明の第2の具体例にかかる方法の多くの工程は、本発明の第1の具体例にかかる方法と同じであり、それゆえにここでは上のように詳細には記載しない。第2の具体例の記載中で欠落する詳細は、第1の具体例の記載から取ることができる。第1の具体例にかかる方法と、第2の具体例にかかる方法との間の主な違いは、第1の具体例ではヘテロ接合が製造方法の最初で形成され、一方、第2の具体例では、ヘテロ接合が製造方法の最後で形成されることである。
【0083】
第1の工程250では、基板20が形成される。図2と上記対応する記載が参照される。好適には、基板20は、例えばシリコン基板やシリコンオンインシュレータ(SOI)基板のような半導体基板である。半導体基板20は、例えばP型ドープのような特定のドーパント型を用いて、例えば本来的から1016/ccドーピングまでの範囲であるドーピングレベルを有し、本来的から低ドープでも良い。半導体基板20は、基板20の上に形成されるNW−TFET構造のナノワイヤチャネルと底部接合とを形成するのに適した膜厚、例えば20nmと750μmの間の膜厚を有する。
【0084】
基板20の主表面上に、犠牲層21が形成される(工程251)。犠牲層は、下の基板20に対して、およびその上に形成されるハードマスク22に対して、選択的に除去されるいずれかの好適な結晶材料から形成できる。犠牲層21は、例えば結晶SiGeのような結晶半導体材料を含み、またはからなる。SiGeは、従来のシリコンプロセスツールセットを用いてシリコンウエハの上に作製できるという点で、シリコン基板20の上に適用する半導体材料として、特に良好である。犠牲層21は、ソースコンタクトをゲートから分離するのに少なくとも十分で、ゲートオーバーラップを有する、例えば約120μmのような膜厚を有する。
【0085】
基板20と犠牲層21は、一緒にスタック24を形成する。
【0086】
ハードマスク層22が犠牲層21の上に形成される(工程252)。ハードマスク層22は、例えば低温酸化物または窒化物のような、リソグラフィ(パターニング)中に用いることができる適当な材料からなる。ハードマスク層22は後に下方の基板20と犠牲層21をパターニングするために形成される。ハードマスク22は、1nmから100nmまでの範囲の膜厚、例えば2nmから10nmまでの膜厚を有する。
【0087】
次の工程253では、ハードマスク層22、犠牲層21、および基板20がパターニングされる。これは、次のプロセス工程中に下方の層20、21の選択された領域を保護するナノメータースケールの一時的なマスク23を形成する下方の層のパターニングのために、ハードマスク22の上に層を形成することにより得ても良い。記載された特定の方法では、マスク23により保護された幾つかの選択された領域は、後のプロセス中に、ナノワイヤが形成される領域である。
【0088】
マスク23は、次に、マスク23の下の層、即ちハードマスク22、犠牲層21、および基板20、を処理するために使用される。ハードマスク22および犠牲層21は、基板20の一部と同様に、マスクの配置23が存在しない位置から、好適な方法により、例えばドライエッチングにより、除去され、これにより、図3に示すように、基板20の残った部分の上に、少なくとも1つのナノワイヤ20を形成する。材料層の膜厚および基板20中のエッチング深さに依存して、ナノワイヤ30の直径は1nmと500nmとの間であり、例えば2nmと200nmの間であり、ナノワイヤの長さは5nmと2μmとの間であり、例えば10nmと1μmの間である。
【0089】
少なくとも1つのナノワイヤ30の形成後に、少なくとも1つのナノワイヤ30の下方に、ウエル注入が行われ(工程254)、特定のドーパント型のウエル32が基板20中に形成される。異なる型のウエル32が、基板20中に形成されても良い。好適なマスクと好適なドーパント元素が、ウエル注入を行うために用いられ、図4に示すように、最初に、第1ドーパント型の1またはそれ以上のウエル32aが、その後に、第2ドーパント型の1またはそれ以上のウエル32bが(または逆に)、形成されても良い。ウエル注入が行われた後、ドーパント原子を結晶格子の置換位置に拡散させるためにアニールが行われても良い。
【0090】
ナノワイヤ30の底部接合33を形成するために、形成されたウエル32中とナノワイヤ30の底部に、特定のドーパント型を用いて底部接合注入が行われる(工程255)。このドーパント型は、底部接合33がその中に形成されるウエル32のドーパント型とは異なる。底部接合33のドーパントレベルは高く、例えば1019/ccから5×1020/ccの範囲のような、1018/ccから1021/ccの範囲である。好ましいマスクと好ましいドーパント元素が、底部接合注入を行うために使用される。注入が行われた後に、ドーパント原子を結晶格子の置換位置に拡散させるためにアニールが行われても良い。
【0091】
ウエル注入と底部接合注入の双方は、0°傾斜の下で行われても良い。その場合、ハードマスク22と犠牲層21が、注入中に、ナノワイヤ30の基板20の材料から形成されたチャネル34を保護する。
【0092】
任意的に、保護を増加するために、図示しないが、チャネル34中に種が注入されるのを防止するために、ナノワイヤ30のチャネル34の上に例えば酸化層のような保護層を堆積した後に注入が行われても良い。代わりに、ポストエッチキュアリング酸化物の存在下で注入が行われても良い。キュアリング構造は図3に示される。
【0093】
ウエル32と底部接合33の注入後に、例えばその場除去が行われ、エッチバックやレジスト剥離によりハードマスク22が除去される(工程256)。
【0094】
次の工程257で、図19に示すように、ナノワイヤ30はキャップ層170でキャップされる。キャップ層170は、ナノワイヤ30の全ての自由表面上に形成される。キャップ層材料は、キャップ材料とヘテロ接合材料に依存する。これはキャップ層170が双方と互換性がなければならないからである。記載された具体例では、チャネルがi−Siから形成され、犠牲層が例えばc−SiGeのような結晶材料から形成されることを考慮すると、Siはキャップ層170のための可能性のある候補材料である。キャップ層170はエピタキシャル成長されても良い。キャップ層170の膜厚は1nmから3nmの範囲でも良い。特定の具体例では、キャップ層170の膜厚は数原子層より大きく無くても良い。第2の具体例にかかる、このキャップ層170の形成は、犠牲層21が結晶材料である必要があり、そうでなければ、結晶キャップ層170がその上に成長しないからである。キャップ層170の膜厚は、集積フローの次のプロセス工程中の、このキャップ層170の材料の消費、および後に形成されるゲートスタックの下方にこれが存在することによる電気的効果を考慮して最適化される。キャップ層170は、ヘテロ接合上のゲートオーバーラップ領域中での、表面依存のゲート誘電体品質を避ける。
【0095】
本発明の第2の具体例と一致するように、底部接合の形成後のキャップ層170の形成は、コンタクト領域の開口中にゲートが接続される必要の無い状況においてのみ可能であることは注意すべきである。これは、この場合、低抵抗ゲート材料が、所望の仕事関数と共に使用できることを意味する。もしそうでなければ、コンタクト領域の開口中に、エッチングはゲートスタックのSiに対して選択的であることが必要であるため、キャップ層170がエッチングを阻止する。また、ゲートスタックのエッチング中に、このキャップ層を除去することが出来ない。なぜならば、そうでなければ、トンネルダイオードの保護もエッチングされるからである。
【0096】
次の工程258では、図20にしめすように、少なくとも1つのナノワイヤ30の底部周辺と、もし複数のナノワイヤ30が形成された場合はナノワイヤ30の間に、底部絶縁層60が形成される。この絶縁層60は、ナノワイヤ30を互いに絶縁する。底部絶縁層60は、例えば低誘電率(low-k)酸化物、HDP酸化物または他の好適な絶縁材料のような酸化物を含んでも良い。
【0097】
次の工程259では、図19に示すように、ゲートスタックは、ナノワイヤ30のチャネル34の側壁上に形成されてパターニングされても良い。そのようなゲートスタックは、例えばハフニウム酸化物のような高誘電率(high-k)酸化物のような、高誘電率(high-k)誘電体層80を含み、この層は、キャップ層170の上と、任意的に底部絶縁層60の上に部分的に形成される。高誘電率(high-k)誘電体層80の膜厚は、0.5nmから20nmの範囲でも良い。ゲート誘電体80が、チャネル34の外壁を覆う。高誘電率(high-k)誘電体層80の上に、金属ゲート81が形成される。この金属ゲートは、TFETの仕事関数を決定する。金属ゲート81を形成するための好適な金属は、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびそれらの合金である。金属ゲート81の上に、後に低抵抗金属接続を形成するのに適した材料が形成され、例えばa−Siのようなアモルファス半導体層82が形成され、CMOS中で金属ゲート81を電気的に接続するために使用される。a−Si層82の膜厚は、後にプロセス中に、予め決められたシリサイドの膜厚が得られるように最適化される。全体のゲートスタック、即ち高誘電率(high-k)誘電体層80、金属ゲート81、およびa−Si層82は、全スタック膜厚が最小ゲート長を決定するような膜厚を有する。
【0098】
ゲートスタック80、81、82を形成した後に、異なるゲートスタックを互いに分離するように、任意的にパターニング(工程260)しても良い(図示せず)。このパターニングは、等方的な方法で、レジストマスクを用いたゲートスタック80、81、82のドライエッチングの手段により行われても良い。特別な具体例では、パターニングは、異なる型のナノワイヤのゲートスタックが、互いに電気的に接続されないように行われる。このパターニングは、金属ゲート81が誘電体層81の上に延びず、シェル70または底部絶縁層60と直接接続しない。ゲート誘電体80と金属ゲート81を含むゲート構造は、一面のゲート構造と呼ぶことができる。
【0099】
ゲートを分離するためのゲートスタックのパターニングは、ゲートスタック堆積の直後に行う必要はなく、後に行っても良い。しかしながら、その堆積の直後にゲートスタックをパターニングすることは、CMPのためのニアーダミーストラクチュア(near dummy structure)の問題を避ける。
【0100】
次の工程261では、図22に示すように、ゲートハードマスク90がゲートスタック上に形成される。ゲートハードマスク90は、例えばHDP酸化物のような酸化物層でも良い。ゲートハードマスクの材料は、底部絶縁層60の材料とは異なっても良い。形成されたハードマスク90は、例えばCMPのような機械的平坦化方法で平坦化され、続いてナノワイヤの周囲のゲートハードマスク材料の一部を除去するエッチバック工程が行われ、図22に示すようにナノワイヤの上部が露出する。残ったハードマスク90の膜厚THMは、ハードマスク90を用いたパターニング後に、ゲートスタック80、81、82が、チャネル34と犠牲材料21を置き換えるトンネルダイオード材料との間に形成されたトンネル接合の上を覆うことを保証するのに十分でなければならない。
【0101】
工程216で、ゲートスタック80、81、82が分離のためにパターニングされない場合、ゲートハードマスク90は更にパターニングされて、異なるナノワイヤのゲートを分離する必要があるゲートスタック80、81、82の一部を露出させる。これは、図23に記載される。
【0102】
ゲートハードマスク90は、ゲートスタック80、81、82をパターニングするためのハードマスクとして、次の工程262で使用される。これは図24に示される。ゲートスタック80、81、82のパターニングは、a−Si層82の露出した部分、金属層81の露出した部分、および高誘電率(high-k)誘電体層80の露出した部分の、連続した除去工程を含む。ゲートスタック80、81、82をパターニングすることにより、キャップ層170の一部が露出する。キャップ層170がSiから形成される場合、標準CMOSレシピが更なるプロセス中に使用できる。
【0103】
ゲートハードマスク90を用いるゲートスタック80、81、82のパターニングにより、ゲート長Lgが規定され、これは、ハードマスク90の膜厚THMに対応する。更に、ハードマスク90の膜厚THMはゲートのオーバーラップOg、即ち後にトンネルダイオード材料で置き換えられ犠牲層に重なるゲートの長さを規定する。
【0104】
図25に示すように、ゲートスタック80、81、82のパターニング後に、ナノワイヤ30の露出した部分が絶縁される(工程263)。これは、ナノワイヤの露出した部分の側壁に対して絶縁スペーサ110を最初に形成することにより行われる。更に、絶縁スペーサ112は、ゲートハードマスク90の側壁にも形成される。スペーサ110、112は、例えばSiNのような絶縁層材料をブランケット堆積し、絶縁層材料の一部を除去して形成され、スペーサ110がナノワイヤ30の露出した部分の側壁上に形成され、スペーサ112がゲートハードマスク90の側壁上に形成される。絶縁層材料の一部の除去は、絶縁層材料のエッチングにより行っても良い。絶縁スペーサ110は、ナノワイヤを正確に絶縁する必要はない。本発明の具体例では、スペーサ110の無い上部絶縁も可能である。それにもかかわらず、任意的なスペーサ110は、金属ゲートの交差汚染を避けるために有利である。更に、絶縁スペーサ110は、また、歪エンジニアリングのストレッサ層としても使用できる。歪エンジニアリングは、バンドギャップの変動に繋がり、同調効率(efficiency tuning)を調整できる。
【0105】
絶縁スペーサ110、112の上に、またはこれの代わりに、更に絶縁層111が、ゲートハードマスク90、絶縁スペーサ110、およびナノワイヤ30の露出した部分の上に形成されても良い(工程262)。更に絶縁層111が堆積されても良い。これは、例えばHDP酸化物を含みまたはからなるものでも良い。例えば堆積により形成された後、更に、絶縁層111は、例えばCMPのような機械的平坦化工程により平坦化され、ナノワイヤ30の上部を露出するように、絶縁材料のエッチバックが行われても良い(工程264)。これは図25に示される。更に、絶縁材料111は、ハードマスク材料90と異なっても良いが、更なる接合領域の開口中に使用されるエッチングおよび洗浄ケミストリと互換性を有するべきである。
【0106】
ナノワイヤ30の上部を露出させた後に、例えばエッチバックにより、ナノワイヤ30の上部からキャップ層170が除去され(工程265)、ナノワイヤ30の犠牲材料21を露出させる。図26参照。キャップ層170のこのエッチバックは、ナノワイヤ30の1つの型に対して選択的に行われる。図26では、右側のナノワイヤ30aについて示される。
【0107】
キャップ層170のそのようなエッチバックのために、レジストパターニングが用いられても良く、これは、底部接合33aを形成するための底部接合注入のためのレチクルと同じレチクルに基づいても良い。このように形成されたレジストマスク(図示せず)は、特定の型の1またはそれ以上のナノワイヤ30でキャップ層170をエッチバックするために使用してもよく、一方、他の型のナノワイヤは、キャップ層170で覆われたまま残る。
【0108】
キャップ層170をエッチバックした後に、ナノワイヤ30bのキャップ層170をエッチバックすることで露出するナノワイヤ30a中の犠牲層21が、チャネル34の材料と、キャップ層170の材料に対して、例えばc−SiGeのような犠牲層材料21の選択的なエッチバックのような、適当な選択除去メカニズムにより除去される(工程266)。得られた孔が、例えばその場堆積により、例えばP+ドープされたc−SiGeのような好適なトンネルダイオード材料41で充填される。特別な具体例では、トンネルダイオード材料41はSi1−xGeであり、ここでx>0.5である。本発明の特定の具体例では、犠牲層21を除去する工程とトンネルダイオード材料41を形成する工程は、1つのエピリアクタ中で、1つの工程で行うことができる。トンネルダイオード材料41のドーピングレベルは高く、例えば1018/ccから1021/ccの範囲である。本発明の特定の具体例では、このドーピングレベルは1019/ccから1020/ccの範囲でも良い。トンネルダイオード材料41のドーピングレベルは、底部接合33aのドーピングレベルより高くても良い。
【0109】
第1トンネル接合41の形成後、例えば保護酸化物のような保護材料が、この第1トンネル接合の上に、例えば堆積で形成されても良い(図示せず)。キャップ層170が、続いて、具体例では左側のナノワイヤ30bのレベルで示される、第2型のトンネル接合のレベルまでエッチバックされる。キャップ層170のこのエッチバックのために、レジストパターニングが用いられても良く、これは底部P接合注入33bのレチクルと同じレチクルに基づいても良い。このように形成されたレジストマスク(図示せず)は、第2の型の1またはそれ以上のナノワイヤ30bのレベルで、キャップ層170をエッチバックするのに用いても良い。
【0110】
第2の型のナノワイヤ30bのレベルでキャップ層170をエッチバックした後、キャップ層170のエッチバックにより露出したナノワイヤ30b中の犠牲層21が、例えばi−Siのようなチャネル34の材料と、キャップ層170の材料に対して、例えばc−SiGeのような犠牲層材料21の選択的エッチバックのような、適当な選択的除去メカニズムにより除去される。得られた孔は、例えばその場堆積により、例えばN+ドープされたc−III/V材料、例えばIn、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、またはそれらの二元系、三元系、または四元系化合物のような、好適なトンネルダイオード材料52を用いて充填される(工程267)。本発明の特定の具体例では、犠牲層21の除去工程と、トンネルダイオード材料52の形成工程が、エピリアクタ中の1つの工程で行われる。トンネルダイオード材料51のドーピングレベルは高く、例えば1018/ccから1021/ccの範囲である。本発明の特定の具体例では、ドーピングレベルは、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。トンネルダイオード材料52のドーピングレベルは、底部接合33bのドーピングレベルより高くても良い。
【0111】
本発明の具体例の特徴は、相補型TFETの場合に、第1の型のナノワイヤ30aが最初に開口され、この後に第2の型のナノワイヤ30bが開口されることである。この方法で、異なる型のナノワイヤ30a、30bに対して、同じ基板領域の上に在るにもかかわらず、異なるプロセスが行える。
【0112】
プロセスの残りは、第1の具体例に関して記載した通りであり、ここでは再度繰り返さない。これは、トンネルダイオードルーチン材料を形成しパターニングする工程(工程268)、ゲート、接合、および基板のコンタクトを開口する工程(工程269)、開口部の側壁に保護を形成し、露出したゲート、接合、および基板のコンタクトをシリサイド化する工程(工程270)、および充填材料で開口を再充填する工程の幾つかまたは全ての工程を含んでも良い。更に、このように得られた半導体デバイスは、標準のバックエンドオブラインCMOSプロセスに適合しても良い。
【0113】
上述のような第1および第2の具体例の双方において、形成されるヘテロ接合層41、52の膜厚およびナノワイヤ30a、30bの直径ΦNWに依存して、格子不整合による、チャネル34とヘテロ接合41、52との間の界面において、欠陥が現れる。この問題は、薄い結晶ヘテロ接合、例えば図28に示すような複数の結晶層230、231を含む結晶ヘテロ接合を成長し、続いてアモルファス層232を用いたヘテロ接合の成長を続けることで解決できる。結晶層230、231は、例えばc−Geおよびc−SiGe層である。これは、小さなウインドウ中でのファセット限定成長(facet limited growth)を避ける。欠陥の無いチャネル/ヘテロ接合界面は、最大Ge含有量とドーピング濃度を有する結晶層の膜厚を制限することにより得られる。トンネリングは、可能な限り急峻な接合プロファイルとともに低くなる最大バンドギャップに影響されない。本発明の特定の具体例では、例えば10原子層より多くない、または5原子層より多くない、20原子層を越えないような数原子層の純粋なGeまたは(可能な限り高いGe含有量を有する)SiGeが、チャネル34とのP型トンネル接合の界面に形成され、チャネル34中でのP型ドーパントの拡散、例えばB拡散を避ける。これは、接合の急峻性を改良する。
【0114】
1の具体例では、p+ソースに対して、層231、232はBドープ層でも良い。例えばc−Ge層のような拡散バリア層230の下に、n+Si層233が形成されても良い。熱量に対する制限は重要である。
【0115】
n+ソース(例えばIII−V材料)に対して、p+層は層233のための良好な選択肢である。n+領域が、p+トンネルダイオード232とi−Siチャネル34との間に形成されても良い。
【0116】
発明は、図面および先の説明に詳細に開示され、記載されるが、そのような開示や記載は、例示または具体例であり、限定的でないと考えられる。発明は、記載された具体例に限定されない。
【0117】
記載された具体例の変形は、請求された発明を実行する当業者により、図面、明細書、および添付の請求の範囲の検討から理解され、果たされる。請求の範囲において、「含む(comprising)」の文言は、他の要素や工程を排除するものではなく、不定冠詞「a」、「an」は複数を排除しない。単体の処理装置または他の単位は、この請求の範囲で列挙された多くの部材の機能を満たす。所定の措置が、相互に異なる従属請求項で列挙されるという単なる事実は、それらの措置の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。請求の範囲中の参照符号は、範囲を制限するものと解釈すべきでない。
【0118】
本発明の所定の特徴または形態を記載する場合の、特定の用語の使用は、用語が関連する発明の特徴や形態の特定の特徴を含むように限定するために、特定の用語をここで再定義することを暗示するものと取るべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ドーパント型の少なくとも1つのナノワイヤトンネル電界効果トランジスタと第2ドーパント型の少なくとも1つのナノワイヤトンネル電界効果トランジスタとを含む相補型ナノワイヤトンネル電界効果トランジスタの製造方法であって、
その上に犠牲材料の層を有するチャネル材料の層を含むスタックを形成する工程と、
チャネル材料の層と犠牲材料の層から、少なくとも1つのナノワイヤを形成するために、スタックから材料を除去する工程と、
第1ドーパント型の少なくとも1つのナノワイヤ中の犠牲材料を、第1ドーピング材料のヘテロ接合材料で置き換えて、その後に、第2ドーパント型の少なくとも1つのナノワイヤ中の犠牲材料を、第2ドーピング材料のヘテロ接合材料で置き換える工程と、を含む方法。
【請求項2】
スタックを形成する工程は、結晶チャネル材料の層を形成する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、少なくとも1つのナノワイヤを形成した後に、少なくとも1つのナノワイヤを絶縁材料中に埋める工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
更に、少なくとも1つのナノワイヤを絶縁材料中に埋める工程の前に、少なくとも1つのナノワイヤをキャップ層で覆う工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのナノワイヤをキャップ層で覆う工程は、数原子層の半導体材料を形成する工程を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換える工程は、犠牲材料を選択的にエッチバックする工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
更に、ナノワイヤの周囲にゲートスタックを形成する工程を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換える工程は、ゲートスタックの形成前に行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ナノワイヤ中の犠牲材料をヘテロ接合材料で置き換える工程は、ゲートスタックの形成後に行われる請求項7に記載の方法。
【請求項10】
チャネル材料とヘテロ接合とを含むナノワイヤを含む少なくとも1つの垂直TFETを含む半導体デバイスであって、少なくともチャネル材料とヘテロ接合との間の界面において、ナノワイヤがシェルで囲まれた半導体デバイス。
【請求項11】
少なくとも2つの垂直TFETを含み、少なくとも2つの垂直TFETの少なくとも2つが異なる型である請求項10に記載の半導体デバイス。

【図1】
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【図18】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−238909(P2011−238909A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−88783(P2011−88783)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【出願人】(599098493)カトリーケ・ウニフェルジテイト・ルーベン・カー・イュー・ルーベン・アール・アンド・ディ (83)
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven,K.U.Leuven R&D
【Fターム(参考)】