説明

基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイス

基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイスは、第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極と、第1および第2の電極間に高電圧差を発生させる高電圧源と、第1の電極を基板に対して位置決めする位置決め手段とを含み、位置決め手段は、第1の放電部分と第2の放電部分との間の距離が高電圧差のプラズマ放電を助長するのに十分に小さい第1の位置、および第1の放電部分と第2の放電部分との間の距離が高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分に大きい第2の位置に、第1の電極を第2の電極に対して選択的に位置決めするように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイスに関し、特に、第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極と、第1および第2の電極間に高電圧差を発生させる高電圧源と、第1の電極を基板に対して位置決めする位置決め手段とを含む、そのようなデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面を処理するのにプラズマを使用することができ、プラズマの使用によって、エッチング、材料を基板上に堆積すること、ならびに/または、基板表面の特性を疎水性から親水性に変更すること、および原子の化学的付加などの基板表面の特性を変更することが可能であることは、周知である。たとえば、原子の化学的付加は、プラスチック基板を金属化するプロセスにおいて使用することができる(たとえばM.Charbonnier et al. in Journal of Applied Electrochemistry 31、57(2001)を参照)。このプロセスにおいて、プラズマは、その上に金属層を成長させることができる、パラジウムの付加に適したプラスチックの表面を形成する。他の多くの金属化方法と比較して、この方法は、低融点を有するプラスチックに必要な温度を低く維持することができるという利点を有する。したがって、RFIDタグおよびOLEDのようなプラスチック電子要素の製造には、プラズマ処理が有効である可能性がある。
【0003】
これらの適用例において、プラズマによって表面上に直接パターニングされた構造を形成することによって、電子要素の製造ステップ数は減少する。さらに、従来のマスキング/エッチング方法と比較して、(堆積およびそれに続く金属層のエッチングのために)金属の無駄がなく、環境負荷を低減する。ラボオンチップのような他の適用例においても、プラズマによる直接パターニングは、有効である。
【0004】
プラズマによって表面を直接パターニングする既知のデバイスは、独国特許第10322696号明細書およびSurface & Coatings Technology 200、676(2005)に記載されている。これらのデバイスは、パターンを形成するのにマスクを使用する。これは、大量生産には良い方法である可能性があるが、マスクを形成するのは、極めて高価であり、時間がかるので、マスクなしの方法が、より少量の生産には好ましい。
【0005】
プラズマによって表面を直接パターニングする別のデバイスは、米国特許第4,911,075号明細書によって既知である。このデバイスは、基板表面上に、高熱スパーク区域、およびスパーク区域を取り囲む円形領域内のコロナ区域を形成するために、正確に位置決めされる高電圧スパーク放電電極を利用する。放電電極は、表面全域を走査されるが、高電圧パルスは、デジタル画像と一致して正確に位置決めされ、かつ画定されるスパーク/コロナ放電を起こすのに、正確に制御される電圧および電流プロファイルを有する。このデバイスは、物理的なマスクを使用しないが、複雑な高電圧パルスの正確な制御が必要であるという欠点を有する。さらに、このデバイスは、基板の裏側に対向電極を使用するので、薄い基板しか使用することができない。さらに、スパーク放電は、堆積、エッチング、および親水化(hydrophilation)のいくつかのプロセスには望ましくない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第10322696号明細書
【特許文献2】米国特許第4,911,075号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/004858号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M.Charbonnier et al. in Journal of Applied Electrochemistry 31、57(2001)
【非特許文献2】Surface & Coatings Technology 200、676(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、基板のマスクなし直接パターニングに適した、プラズマ放電を起こすデバイスを提供することである。好ましくは、このデバイスは、基板を迅速にパターニングすることができ、ならびに/または、厚い基板および薄い基板などの広い範囲の基板に適した、簡単な制御、長い電極寿命を有するべきである。
【0009】
さらに、概略的には、本発明の目的は、第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極と、第1および第2の電極間に高電圧差を発生させる高電圧源と、好ましくは第1の電極を基板に対して位置決めする位置決め手段とを含む、基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こす改良型デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によると、位置決め手段は、第1の放電部分と第2の放電部分との間の距離が高電圧差のプラズマ放電を助長するのに十分に小さい第1の位置、および第1の放電部分と第2の放電部分との間の距離が高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分に大きい第2の位置に、第1の電極を第2の電極に対して選択的に位置決めするように構成される。位置決め手段は、第1の電極を第2の電極に向かう方向およびそれから遠ざかる方向に運動させるように構成されることが好ましい。
【0011】
これは、位置決め手段を使用して、第1の電極を第1または第2の位置にそれぞれ配置することによって、プラズマをオンまたはオフに切り替えることができるという利点を提供する。ゆえに、電極に対する高電圧供給の制御は、必要ではない。
【0012】
一実施形態において、第2の電極は、ドラムとして設計され、ドラムと第1の電極との間に平板状の基板をドラムの外部表面上に配置することができ、位置決め手段は、第1の電極を外部表面に垂直な方向に運動させるように構成される。ゆえに、プラスチック箔などの平板状の電気絶縁基板をパターニングすることができる。
【0013】
別の実施形態において、位置決め手段は、第2の電極を第1の電極と同期して位置決めするようにさらに構成される。これは、たとえば書込ヘッドとしての第1および第2の電極を共に基板の表面に沿って走査し、ゆえに表面に沿ってプラズマを走査することができるという利点を提供する。さらに、第1および第2の電極を同期させて、たとえば並列で走査することによって、基板の裏側に電極は必要がなく、したがって、厚い基板、不規則形状の基板、および/または3次元基板などの非平板状の基板も走査することができるという利点を提供する。
【0014】
位置決め手段は、第1の電極を基板の表面に沿って位置決めするようにさらに構成されるのが好ましい。したがって、位置決め手段は、プラズマをオンまたはオフに切り替えるのに加え、基板の表面に沿って、第1の電極、ゆえにプラズマを走査するのに使用することもできる。位置決め手段は、第1の電極を第2の電極に向かう方向およびそれから遠ざかる方向に運動させる第1のアクチュエータ、第1の電極を基板の表面に沿って第1の方向に運動させる第2のアクチュエータ、ならびに第1の電極を基板の表面に沿って第2の方向に運動させる第3のアクチュエータなどの個別のアクチュエータを含むことができることが理解されよう。
【0015】
デバイスは、ハウジングをさらに含むのが好ましく、第1の電極は、ハウジングによって少なくとも部分的に取り囲まれ、第1の電極は、ハウジングに対して運動することができる。ハウジングは、電気絶縁することができる。したがって、第1の電極は、ハウジングによって保護することができる。たとえば、第1の電極は、第2の位置にあるとき、ハウジング内にほぼ十分に後退し、第1の位置にあるとき、ハウジングから部分的に突き出ることが可能である。したがって、第1の電極を、埃、破片、またはプラズマの反応生成物から保護することができる。
【0016】
高電圧源は、第1および第2の電極間の高電圧差を調整するように構成されるのが好ましい。ゆえに、たとえば点火されるとき、プラズマの空間的広がりを調整することが可能である。したがって、オンのときにプラズマによって影響を受ける基板の領域の「ドットサイズ」を調整することができる。したがって、プラズマを使用して基板上にパターンを「印刷する」ドットサイズを決定することができる。
【0017】
一実施形態において、デバイスは、複数の第1の電極を含む。これらの第1の電極は、基板の表面に沿って同時に位置決めされるように、たとえば印刷ヘッド内に並列に配置することができる。
【0018】
位置決め手段は、それぞれの第1の電極を第2の電極に対して個別に位置決めするように構成されるのが好ましい。したがって、複数の第1の電極のそれぞれの第1の電極は、個別に位置決めされ、プラズマを点火または消去することができる。
【0019】
デバイスは、複数の第2の電極を含むことも可能である。位置決め手段は、それぞれの第1の電極を1つまたは複数の第2の電極に対して個別に位置決めするように構成されるのが好ましい。
【0020】
特定の実施形態では、第1の電極は、高電圧源に導電接続する、ドットプリンタの印刷ヘッドの運動可能なペンによって形成される。
【0021】
本発明の第2の態様によると、位置決め手段は、第2の電極を第1の電極と同期して位置決めするようにさらに構成され、位置決め手段は、第1の電極を第2の電極に対して位置決めするように構成される必要はない。これは、たとえば書込ヘッドとしての第1および第2の電極を共に基板の表面に沿って走査し、ゆえに表面に沿ってプラズマを走査することができるという利点も提供する。さらに、第1および第2の電極を同期させて、たとえば並列で走査することによって、基板の裏側に電極は必要がなく、したがって、厚い基板、不規則形状の基板、および/または3次元基板も走査することができるという利点を提供する。
【0022】
本発明の第3の態様によると、基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイスは、複数の第1の電極および複数の第2の電極と、複数の第1の電極の選択された第1の電極と複数の第2の電極の選択された第2の電極との間に高電圧差を発生させるように構成される高電圧源とを含む。ここで、デバイスは、第1および/または第2の電極を位置決めする位置決め手段を含む必要はない。したがって、複数の第1の電極および複数の第2の電極は、関連する第1および第2の電極間に高電圧差をもたらすことによって、基板の表面の選択された部分を処理することができる。デバイスは、高電圧差を選択された第1および第2の電極に継続的に印加することによって、選択された全ての部分を一挙に処理することができる。第1および第2の電極は、並列に配置されるのが好ましい。第1および第2の電極は、点在するのが好ましい。任意選択で、第1および第2の電極は、少なくとも基板の近傍にあり、電気絶縁するセラミックなどのハウジング内に完全に含まれる。
【0023】
本発明は、さらに、第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極を提供するステップと、第1および第2の電極間に高電圧差を発生させるステップと、第1の放電部分と第2の放電部分との間の距離が高電圧差のプラズマ放電を助長するのに十分に小さい第1の位置に、第1の電極を第2の電極に対して位置決めすることによってプラズマ放電を選択的に起こすステップと、第1の放電部分と第2の放電部分との間の距離が高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分に大きい第2の位置に、第1の電極を第2の電極に対して位置決めすることによってプラズマ放電を選択的に消去するステップとを含む、プラズマ放電を使用して基板の表面をパターニングする方法に関する。
【0024】
この方法は、プラズマ放電によって表面を選択的にエッチングするステップ、プラズマ放電によって材料を表面上に選択的に堆積するステップ、および/または、プラズマ放電によって表面の特性を疎水性から親水性に変更するなど、表面の特性を選択的に変更するステップをさらに含むことが好ましい。
【0025】
本発明によるデバイスは、プラスチック物体、たとえばプラスチックシートなどの電気絶縁基板の表面を処理するために使用することができる。本発明によるデバイスは、半導体基板または導体基板の表面を処理するために使用することもできる。(半)導体基板を使用するとき、第1および/または第2の電極は、上述の電気絶縁材料でコーティングするなど、保護されるのが好ましい。導電基板を、第2の電極として使用することもできることが理解されよう。
【0026】
本発明によるデバイスは、様々な基板の表面を処理するときの使用に適していることがわかった。さらに、本発明は、((O)LEDデバイス、RFIDタグ、もしくは太陽電池デバイスなどの)メソスケール電子デバイス、(MEMSデバイス、マイクロレンズ、もしくは多焦点レンズなどの)メソスケール3次元構造体、ラボオンチップ、バイオチップ、印刷可能プラスチック物体、または基板由来のオフセット印刷プレートを製造する方法に関し、この方法は、本発明によるプラズマ放電を起こすデバイスによって基板を処理するステップを含む。
【0027】
さらに、本発明は、本発明によるプラズマ放電を起こすデバイスを製造する方法に関し、この方法は、従来のドットプリンタを提供するステップと、高電圧差を発生させるために高電圧源を提供するステップと、ドットプリンタの印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷ペンを高電圧源に導電接続するステップと、任意選択でドットプリンタの印刷ドラムの表面を高電圧源に導電接続するステップとを含む。ゆえに、少なくとも1つの印刷ペンは、プラズマを生成する電極を形成する。
【0028】
本発明は、添付の図面を参照して限定されない例により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるデバイスの第1の実施形態の概略図である。
【図2】本発明によるデバイスの第2の実施形態の概略図である。
【図3】本発明によるデバイスの第3の実施形態の概略図である。
【図4a】本発明によるデバイスの第4の実施形態の概略図である。
【図4b】本発明によるデバイスの第4の実施形態の概略図である。
【図5】本発明によるデバイスの第5の実施形態の概略図である。
【図6】本発明によるデバイスの第6の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による、基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイス1の第1の実施形態の概略図を示す。
【0031】
この例において、デバイス1は、複数の第1の電極2.i(i=1、2、3、…)を含む。この例において、第1の電極2.iは、長尺のペンとして設計される。デバイス1は、第2の電極4をさらに含む。この例において、第2の電極は、板状である。第1および第2の電極2.i、4は、それぞれ、高電圧源10の端子6、8に電気的に導通接続している。高電圧源10は、第1の電極2.iと第2の電極4との間に高電圧差を発生させるように構成される。この例において、第1の電極2.iは、さらに、12において接地される。第1の電極は、たとえばイオンまたは電子のいずれが基板上に衝突するのかを所望するかによって、第2の電極に対して負またはその逆に帯電することができることが理解されよう。この例において、高電圧差は、DC電圧差を含む。その代わりに、またはそれに加えて、高電圧差は、AC電圧差(たとえば無線周波数(RF))、パルス電圧差などを含むことができる。
【0032】
この例において、処理される基板14は、第1の電極2.iと第2の電極4との間の、この例では第2の電極4の上部上に配置される。この例の第2の電極4は、対向電極とも呼ばれる。
【0033】
図1において、デバイス1は、ハウジング16をさらに含む。ハウジング16は、それぞれの中に1つの第1の電極2.iが収容される、複数の孔18.iを含む。それぞれの第1の電極2.iは、その対応する孔18.i内に摺動可能に収容される。この例において、デバイス1は、第1の電極2.iのそれぞれを、その対応する孔18.i内で個別に運動させるように構成される位置決め手段を含む。位置決め手段は、リニアモータ、ラックアンドピニオン、圧電アクチュエータ、電磁ソレノイド、または同様のものなどの電気モータを含むことができる。
【0034】
これまで説明したデバイス1は、以下の方法で作動することができる。
【0035】
第1に、基板14が、第2の電極4と第1の電極2.iとの間に配置される。第1および第2の電極間に、高電圧差が設定され、維持される。
【0036】
基板14の表面20をプラズマによって選択的に処理しようとするとき、表面20を処理しようとする位置が、決定される。表面上の決定位置に最も近接する第1の電極2.iが、選択される。この例では、第1の電極2.3が、選択される。
【0037】
最初に、全ての第1の電極2.iは、図1の第1の電極2.1、2.2、2.4、2.5、および2.6において示すように、後退位置にあることができる。この後退位置において、第1の電極2.iの先端(放電部分)と第2の電極4との間の距離は、高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分なほど大きい。つまり、後退位置にある第1の電極2.iと第2の電極4との間の電界強度は、電気絶縁破壊を防止するのに十分なほど低い。
【0038】
位置決め手段は、選択された第1の電極2.3を第2の電極4に向かって延伸位置まで運動させる(図1を参照)。この延伸位置において、選択された第1の電極2.3の先端(放電部分)と第2の電極4との間の距離は、高電圧差のプラズマ放電を助長するのに十分なほど小さい。つまり、延伸位置にある第1の電極と第2の電極4との間の電界強度は、プラズマ放電の開始を助長するのに十分なほど低い。図1では、プラズマは、22で示される。
【0039】
第1および第2の電極間の電界が基板を貫通するので、図1によるデバイスは、プラスチック箔などの平板状の基板に適している。
【0040】
第1の電極を後退させることができるという事実は、プラズマを生成する第1の電極に近接する第1の電極の侵食をより低減することができるという利点をもたらし、それは、プラズマが後退した第1の電極に到達しないからである。この効果は、特にハウジング16がプラズマの近傍に電気絶縁底部を備えるとき、(図1に示すように)第1の電極をハウジング内に完全に後退させることによって改善される。これは、図2および3に示すデバイスの第1および第2の電極にも当てはまる。しかし、電極をハウジング16によって取り囲むことは、厳密には必要でないことが理解されよう。ハウジングは、電極を案内する、ほぼ開放型の構造を含むこともできる。
【0041】
第1の電極と第2の電極との間の距離を操作することによって、プラズマの強度を操作することができる。
【0042】
第1の電極と基板の表面との間の距離を制御することができるので、曲面および/または3次元の物体の処理を(場合により、平坦ではないが基板の形状に従う第2の電極と組み合わせて)実施可能にすることができる。
【0043】
図2は、本発明によるデバイス1の第2の実施形態の概略図を示す。この例において、複数の第1の電極2.iおよび複数の第2の電極4.j(j=1、2、3、…)は、並列に配置される。この例において、第1および第2の電極の両方は、それらのそれぞれの孔18.k(k=1、2、3、…)内に摺動可能に収容される。
【0044】
図2に示すデバイス1は、以下の方法で作動することができる。
【0045】
基板14は、第1および第2の電極、2.i、4.jの近傍に配置される。第1および第2の電極間に、高電圧差が設定され、維持される。
【0046】
基板14の表面20をプラズマによって選択的に処理しようとするとき、表面20を処理しようとする位置が、決定される。表面上の決定位置に最も近接する第1の電極2.iおよび第2の電極4.jが、選択される。この例では、第1の電極2.2および第2の電極4.2が、選択される。
【0047】
最初に、全ての第1の電極2.iおよび全ての第2の電極4.jは、図2の電極2.1、2.3、4.1、および4.3について示すように、後退位置にあることができる。この後退位置において、第1の電極2.iの先端(放電部分)と第2の電極4.jの先端(放電部分)との間の距離は、高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分なほど大きい。つまり、後退位置にある第1の電極2.iと後退位置にある第2の電極4.jとの間の電界強度は、電気絶縁破壊を防止するのに十分なほど低い。
【0048】
位置決め手段は、選択された第1の電極2.2および選択された第2の電極4.2を延伸位置に向かって運動させる(図2を参照)。この延伸位置において、選択された第1の電極2.2の先端と選択された第2の電極4.2の先端との間の距離は、高電圧差のプラズマ放電を助長するのに十分なほど小さい。つまり、延伸位置にある第1の電極と延伸位置にある第2の電極との間の電界強度は、プラズマ放電の開始を助長するのに十分なほど低い。
【0049】
図2の例において、第1および第2の電極の両方は、基板14の同じ側に配置されるので、厚い基板、不規則形状の基板、および/または3次元基板などの非平板状の基板もプラズマ22によって処理することができる。
【0050】
以下により詳細に示すように、位置決め手段は、第1の電極2.iを基板の表面に沿って位置決めするようにさらに構成することができる。したがって、図1および図2に示す電極を含むハウジング16を、基板14の表面20に沿って走査することができる。ゆえに、表面20の領域をプラズマ22に選択的に当てることが可能である。本明細書では、電極を含むハウジング16が、インク付着の代わりに、プラズマ処理用の「印刷ヘッド」として機能することを理解することができる。
【0051】
図3は、本発明の第2の態様による、デバイス1の実施形態の概略図を示す。図3に示すデバイスは、図2に示すデバイスに極めて類似している。1つの相違点は、図3に示すデバイス1では、電極2.iおよび4.jが、それぞれのスイッチ24.k(k=1、2、3、…)を介して高電圧源10に接続されることである。
【0052】
図3に示すデバイス1は、以下の方法で作動することができる。
【0053】
基板14は、第1および第2の電極、2.i、4.jの近傍に配置される。高電圧差が設定される。
【0054】
基板14の表面20をプラズマによって選択的に処理しようとするとき、表面20を処理しようとする位置が、決定される。表面上の決定位置に最も近接する第1の電極2.iおよび第2の電極4.jが、選択される。この例では、第1の電極2.2および第2の電極4.2が、選択される。
【0055】
最初に、全ての第1の電極2.iおよび全ての第2の電極4.jは、高電圧源10との接続を切ることができ、したがって、プラズマ放電は起こらない。選択された第1の電極2.2および選択された第2の電極4.2は、それぞれ、スイッチ24.3および24.4を介して高電圧源10に接続される。選択された第1の電極2.2の先端と選択された第2の電極4.2の先端との間の距離は、高電圧差のプラズマ放電を助長するのに十分なほど小さくなるように選択される。つまり、第1の電極と第2の電極との間の電界強度は、プラズマ放電の開始を助長するのに十分なほど低い。
【0056】
スイッチ24.kは、高電圧源10の一部分を形成することができる。ゆえに、高電圧源10は、第1のモードでプラズマ放電を助長するために高電圧差を電極2.iおよび4.jで選択的に発生させ、第2のモードでプラズマ放電を防止するために低電圧差またはゼロ電圧差を電極2.i、4.jで発生させるように構成される。
【0057】
図3の例において、第1および第2の電極の両方は、基板14の同じ側に配置されるので、厚い基板、不規則形状の基板、および/または3次元基板などの非平板状の基板もプラズマ22によって処理することができる。
【0058】
図3の例において、第1および第2の電極の両方は、高電圧源に選択的に接続される。全ての第1の電極2.iまたは全ての第2の電極4.jなどの電極のいくつかは、高電圧源に常時接続することもできることが理解されよう。
【0059】
図3に示すデバイス1の電極を含むハウジング16を、図1および2において説明したように、基板14の表面20に沿って走査することができることが理解されよう。
【0060】
図3の例において、ハウジング16には、電極2.i、4.jと放電空間34との間に障壁を形成する電気絶縁部17.kが設けられる。電気絶縁部17.kは、電極2.i、4.jがプラズマ22に直接接触することを防止する。ゆえに、電極は、侵食から効率的に保護される。電気絶縁部17.kは、電極間の高電圧差がプラズマ放電を可能にするのに十分となるように設計される。電気絶縁部17.kは、図1、2、4a、4b、または5において説明するデバイス1にも適用することができることが理解されよう。電気絶縁部は、ハウジングの一部分、またはコーティングなどの、電極の個別の被覆とすることができる。
【0061】
図1〜3に示すデバイスの全てにおいて、電極を含むハウジングは、印刷ヘッドのように、基板14に沿って運動することができる。
【0062】
図4aの例において、第2の電極4は、ドラム26と第1の電極2.iとの間に平板状の基板14をその外部表面20上に配置することができるドラム26として設計される。この例において、電極を含むハウジング16は、図1において説明したように設計される。基板14は、ドラム形状の第2の電極4によって搬送されるが、運動可能な第1の電極2.iを含むハウジング16は、図4aに示す断面に垂直な方向に運動することができる。図4bは、図4aによるデバイス1の正面図を示す。図4bにおいて、ハウジング16は、第1の電極2.iの2次元アレイを含むものとして示されることに留意されたい。ハウジング16は、第1の電極2.iの1次元アレイまたは単一の第1の電極2さえ含むこともできることが理解できよう。
【0063】
図5は、本発明による、基板14のマスクなし直接パターニングに適した、プラズマ放電を起こすデバイス1の別の実施形態を示す。この例において、デバイス1は、特に、3次元基板14の表面20をパターニングするように構成される。
【0064】
この例において、電極2.i、4.jは、図1および2で説明したように、基板14に向かう方向およびそれから遠ざかる方向に個別に運動することができる。この例において、それぞれの電極2.i、4.jには、その電極に対して装着固定される電気絶縁部28.kが設けられる。ゆえに、電極2.i、4.jは、侵食から十分に保護される。
【0065】
図5に示すデバイス1は、以下の方法で作動することができる。
【0066】
基板14は、第1および第2の電極、2.i、4.jの近傍に配置される。全ての電極2.i、4.jは、それぞれの電極が基板14の表面20に接触するまで、基板14に向かって位置決めされる。次に、全ての電極2.i、4.jは、表面20を処理するためにプラズマ22を生成するのに適した所定の距離だけ表面20から遠ざかる。ここで、電極は、表面20の輪郭に「従う」。図5は、電極の1次元アレイを示すが、3次元基板の表面20の表面領域の処理を可能にするのには、電極2.i、4.jの2次元アレイが好ましい。
【0067】
高電圧差が設定される。基板14の表面20をプラズマによって選択的に処理しようとするとき、表面20を処理しようとする位置が、決定される。表面上の決定位置に最も近接する第1の電極2.iおよび第2の電極4.jが、選択される。この例では、第1の電極2.2および第2の電極4.2が、選択される。
【0068】
最初に、全ての第1の電極2.iおよび全ての第2の電極4.jは、高電圧源10との接続を切ることができ、したがって、プラズマ放電は起こらない。選択された第1の電極2.2および選択された第2の電極4.2は、それぞれ、スイッチ24.3および24.4を介して高電圧源10に接続される。
【0069】
図5の例では、遮蔽体30.m(m=1、2、3、…)が、電極2.i、4.j間に装着される。この例において、遮蔽体は、(電気絶縁する)箔によって形成される。遮蔽体30.mは、電極2.i、4.j間の開放空間32内にプラズマ22が入るのを防止する。さらに、遮蔽体30.mは、キャリアガスが放電空間34内に入るのを可能にするが、ガスが電極間の開放空間32に入るのを防止する。プラズマ放電を促進するように、放電空間34内のキャリアガスを選択することができることが理解されよう。キャリアガスは、アルゴンまたはヘリウムなどを含むことができる。キャリアガスが開放空間32内に存在しないことによって、高電圧差が開放空間32内でプラズマ放電を起こすことができなくなる可能性がある。これらの遮蔽体30.mは、任意選択であり、必要な場合に、図1、2、3、4a、および4bによるデバイスにも適用することができることが理解されよう。
【0070】
市販のドットプリンタを、図1、2、3、または5によるデバイスを含むプラズマプリンタに容易に転換することができることを発明者らは見出した。図4aおよび4bに示したデバイスは、実際に、そのような転換ドットプリンタの一部分とすることができる。
【0071】
従来のドットプリンタの転換は、以下のように行うことができる。
【0072】
第1に、従来のドットプリンタが提供され、高電圧差を発生させる高電圧源が提供される。ドットプリンタの印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷ペンが、高電圧源に導電接続する。
【0073】
図1によるデバイスが所望されると、従来のドットプリンタの印刷ドラムの外部表面が、高電圧源に導電接続する。必要な場合、印刷ドラムの表面には、導電コーティングを施すことができる。
【0074】
図2、3、または5によるデバイスが所望されると、印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷ペンが、高電圧源の正端子に接続され、印刷ヘッドの少なくとも1つの他の印刷ペンが、高電圧源の負端子に接続される。
【0075】
3つ以上の第1の電極2.iおよび/または第2の電極4.jが使用されるとき、それらは、1次元または2次元アレイ状に配置することができる。そのようなアレイ状の電極を互いに分離する要領の良い方法は、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2008/004858号に記載されている膜を用いることである。このようにして、電極2.i、4.jは、たとえば六方充填で共に近接させて配置することができ、膜は、個々の電極を分離させる。膜が電気絶縁するとき、電極も、互いに電気絶縁される。国際公開第2008/004858号に記載されている構成およびピン運動の方法の別の利点は、電極が互いに影響を及ぼさずに個別に運動することができることである。
【0076】
図6は、本発明によるデバイス1の6番目の実施形態を示す。この実施形態では、従来のインクジェット印刷ヘッド35が、プラズマ放電を起こすために転換される。この例において、インクジェット印刷ヘッドは、複数のノズル37.n(n=1、2、3、…)を含む。1ノズルにつき、2つの圧電素子36、38が、内部インク室40に隣接して配置される。この変更形態によると、圧電素子36、38は、それぞれ、高電圧源10の端子6、8に導電接続する。高電圧差が圧電素子36、38間で維持されるとき、これらの素子は、第1および第2の電極2.i、4.jとして機能する。
【0077】
図6のデバイスは、以下のように作動することができる。インクの代わりに、ガス流が、矢印Gで示されるように、印刷ヘッド35内に供給される。基板14の表面20をプラズマによって選択的に処理しようとするとき、表面20を処理しようとする位置が、決定される。表面上の決定位置に最も近接するノズル37.nならびに関連の第1の電極2.iおよび第2の電極4.jが、選択される。この例では、第1の電極2.3および第2の電極4.3が、選択される。
【0078】
最初に、全ての第1の電極2.iおよび全ての第2の電極4.jは、高電圧源10との接続を切ることができ、したがって、プラズマ放電は起こらない。選択された第1の電極2.3および選択された第2の電極4.3は、それぞれ、スイッチ24.5および24.6を介して高電圧源10に接続される。次に、電極間の領域内に、プラズマ22が生成される。ガス流の速度のために、プラズマ22は、ノズル37.3から基板の表面20に向かって放出される。変更されたインクジェットヘッド35を、表面20に沿って走査することができることが理解されよう。
【0079】
本発明によるデバイス1を形成するのに、他の従来のインクジェットヘッドを転換することもできることが理解されよう。たとえば、第1の電極は、印刷ヘッドの圧電素子によって形成されるが、第2の電極を、ノズルを取り囲む導電ノズルプレートによって形成することが可能である。電気加熱抵抗体などの、従来のインクジェット印刷ヘッド内の別の導電構造体が、プラズマを生成する電極を形成することも可能である。
【0080】
上述した基板のマスクなし直接パターニングに適した、プラズマ放電を起こすデバイスは、表面のエッチング、物質の表面上への堆積、または湿潤性などの表面の特性の変更を行うなど、プラズマを使用して基板の表面を処理するのに使用することができることが理解されよう。たとえば、湿潤性などの表面の特性の変更は、印刷目的で、印刷媒体(インクまたは半田など)に対して表面の湿潤性を局所的に変更することによって使用することができる。
【0081】
以上の図1〜6において説明した、基板のマスクなし直接パターニングに適した、プラズマ放電を起こすデバイスは、(O)LEDデバイス、RFIDタグ、もしくは太陽電池デバイスなどのメソスケール電子デバイス、MEMSデバイス、マイクロレンズ、もしくは多焦点レンズなどのメソスケール3次元構造体、ラボオンチップ、バイオチップ、印刷可能プラスチック物体、または基板由来のオフセット印刷プレートを製造するのに使用することができることが理解されよう。
【0082】
大気条件のもとで、プラズマ22を生成することができることが理解されよう。あるいは、低圧または高圧で、プラズマを生成することができる。たとえば、プラズマを空気中で生成することができる。プラズマは、アルゴン、酸素、アンモニア、窒素、ヘリウム、またはそれらの混合物を含むガス内で形成することもできる。たとえば気化した前駆体を、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)もしくは(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)などの有機珪素化合物、ヘプチルアミン、水(HO)、またはメタノール(CHOH)などのガス(混合物)に加えることもできる。
【0083】
以上の記述において、本発明は、その実施形態の特定の例を参照して説明されてきた。しかし、添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い技術思想および範囲から逸脱することなく、その中で、様々な変更および修正を行うことができることは明らかになろう。
【0084】
いくつかの例において、ハウジング16内の電極は、針状である。しかし、他の形状も可能である。
【0085】
図1の例において、第2の電極4は、板状である。他の設計形状も可能であることが理解されよう。たとえば、第2の電極は、それぞれを針状の第1の電極に対向して配置することができる複数の針状の電極を含み、基板は、第1および第2の針状の電極間に含むことが可能である。
【0086】
この例において、針状の電極を、簡単な金属ロッドまたは針とすることができる。ナノ構造またはミクロ構造の電極を使用することができることが理解されよう。ナノ/ミクロ構造電極は、電界放出を増大させることができ、プラズマを小領域内に閉じ込め、これによってデバイスの分解能を向上させるように使用することができ、プラズマの特性および開始電圧に影響を及ぼす。これらのナノ/ミクロ構造電極は、たとえば、針先端のレーザ蒸着もしくは除去、針先端における専用の結晶成長によって、または針先端にカーボンナノチューブを使用することによって製造することができる。
【0087】
図1、2、3、5、および6は、電極の1次元アレイを示すが、電極の2次元アレイを使用することができる。
【0088】
図5に示した電気絶縁部28.kを含む電極は、他の実施形態でも使用することができることが理解されよう。
【0089】
図1〜5の例において、ハウジング内の電極は、平行な電極として示され、平行に運動する。しかし、電極は、平行である必要はない。たとえば、電極は、互いにある角度でハウジング16内に取り付けることができる。第1および第2の電極が、後退位置から延伸位置まで運動したときに集光するようにハウジング内に取り付けられるとき、前記電極の放電部分間の距離を、極めて効率的に低減することができることが理解されよう。同様な結果は、電極がハウジング内の曲線状または角度付きの経路に沿って運動するときに得ることができる。
【0090】
これらの例において、放電部分は、電極の先端近傍に配置される。電極の放電部分を、他の方法で、たとえば曲線状電極の曲線の近傍に配置することも可能である。
【0091】
図3および5の例において、電極は、それぞれのスイッチを通して高電圧源に選択的に接続される。電子スイッチング手段、選択的増幅その他などの別のスイッチング手段も可能であることが理解されよう。スイッチは、プラズマ放電を助長することができる高電圧差と、プラズマ放電を消去することができる低電圧差との間で切り替えることも可能である。高電圧源は、たとえば、一定の電極間の電圧差を選択的に増加または減少させることによって、第1のモードでプラズマ放電を助長するために高電圧差を選択的に発生させ、第2のモードでプラズマ放電を防止するために低電圧差またはゼロ電圧差を発生させるように構成されることも可能であることが理解されよう。
【0092】
しかし、他の変更形態、変形形態、および選択肢も可能である。したがって、説明、図面、および例は、限定的な意味ではなく、例示用とみなされるべきである。
【0093】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれるあらゆる参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとみなすべきでない。用語「含む」は、特許請求の範囲に記載された特徴またはステップ以外の特徴またはステップの存在を排除しない。さらに、用語「1つ」は、「1つだけ」に限定するものとみなすべきではないが、代わりに、「少なくとも1つ」を意味するものとして使用され、複数性を排除しない。いくつかの手段が様々な請求項内に交互に記載されるという単なる事実は、利益を得るのに、これらの手段の組合せを使用することができないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0094】
1 デバイス
2.i(i=1、2、3、…) 第1の電極
4 第2の電極
4.j(j=1、2、3、…) 第2の電極
6 端子
8 端子
10 高電圧源
12 グランド
14 基板
16 ハウジング
17.k(k=1、2、3、…) 電気絶縁部
18.i(i=1、2、3、…) 孔
20 表面
22 プラズマ
24.k(k=1、2、3、…) スイッチ
26 ドラム
28.k(k=1、2、3、…) 電気絶縁部
30.m(m=1、2、3、…) 遮蔽体
32 開放空間
34 放電空間
35 インクジェット印刷ヘッド
36 圧電素子
37.n(n=1、2、3、…) ノズル
38 圧電素子
40 インク室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイスであって、
第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極と、
前記第1および前記第2の電極間に高電圧差を発生させる高電圧源と、
前記第1の電極を前記基板に対して位置決めする位置決め手段とを含み、
前記位置決め手段は、前記第1の放電部分と前記第2の放電部分との間の距離が前記高電圧差の前記プラズマ放電を助長するのに十分に小さい第1の位置、および前記第1の放電部分と前記第2の放電部分との間の前記距離が前記高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分に大きい第2の位置に、前記第1の電極を前記第2の電極に対して選択的に位置決めするように構成される、デバイス。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記第1の電極を前記第2の電極に向かう方向およびそれから遠ざかる方向に運動させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の電極は、ドラムとして設計され、前記ドラムと前記第1の電極との間に平板状の基板を前記ドラムの外部表面上に配置することができ、前記位置決め手段は、前記第1の電極を前記外部表面に垂直な方向に運動させるように構成される、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記第1の電極を前記基板の前記表面に沿って位置決めするようにさらに構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
ハウジングをさらに含み、前記第1の電極は、前記ハウジングによって少なくとも部分的に取り囲まれ、前記第1の電極は、前記ハウジングに対して運動することができる、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記高電圧源は、前記第1および前記第2の電極間の前記高電圧差を調整するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
複数の第1の電極および/または複数の第2の電極を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記位置決め手段は、それぞれの第1の電極を前記1つまたは複数の第2の電極に対して個別に位置決めするように構成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記位置決め手段は、それぞれの第1の電極を残りの第1の電極に対して個別に位置決めするように構成される、請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の電極は、前記高電圧源に導電接続する、ドットプリンタの印刷ヘッドの運動可能なペンによって形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の電極および/または前記第2の電極は、たとえば、前記放電部分におけるレーザ蒸着もしくは除去、前記放電部分における専用の結晶成長によって、または前記放電部分にカーボンナノチューブを提供することによって、ナノ構造化またはミクロ構造化される、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
基板の表面をパターニングするためにプラズマ放電を起こすデバイスであって、
第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極と、
前記第1および前記第2の電極間に高電圧差を発生させる高電圧源と、
前記第1の電極を前記基板に対して位置決めする位置決め手段とを含み、
前記位置決め手段は、前記第2の電極を前記第1の電極と同期して位置決めするようにさらに構成される、デバイス。
【請求項13】
前記第1および第2の電極は、機械的に結合する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記高電圧源は、第1のモードで前記プラズマ放電を助長するために前記高電圧差を選択的に発生させ、第2のモードでプラズマ放電を防止するために低電圧差またはゼロ電圧差を発生させるように構成される、請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
複数の第1の電極および複数の第2の電極を含み、前記高電圧源は、少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に高電圧を選択的に印加するように構成される、請求項12から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
プラズマ放電を使用して基板の表面をパターニングする方法であって、
第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極を提供するステップと、
前記第1および前記第2の電極間に高電圧差を発生させるステップと、
前記第1の放電部分と前記第2の放電部分との間の距離が前記高電圧差の前記プラズマ放電を助長するのに十分に小さい第1の位置に、前記第1の電極を前記第2の電極に対して位置決めすることによって前記プラズマ放電を選択的に起こすステップと、
前記第1の放電部分と前記第2の放電部分との間の前記距離が前記高電圧差のプラズマ放電を防止するのに十分に大きい第2の位置に、前記第1の電極を前記第2の電極に対して位置決めすることによって前記プラズマ放電を選択的に消去するステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記第1の電極を前記第1の位置に運動させるとき、前記第1の電極を前記第2の電極に向かう方向に運動させるステップと、前記第1の電極を前記第2の位置に運動させるとき、前記第1の電極を前記第2の電極から遠ざかる方向に運動させるステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電極を前記基板の前記表面に沿って走査するステップをさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
複数の第1の電極を前記基板に対して同時に位置決めするステップと、それぞれの第1の電極を前記第2の電極に対して個別に位置決めするステップとを含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プラズマ放電によって前記表面を選択的にエッチングするステップ、前記プラズマ放電によって材料を前記表面上に選択的に堆積するステップ、および/または、前記プラズマ放電によって前記表面の特性を疎水性から親水性に変更するなど、前記表面の特性を選択的に変更するステップをさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
プラズマ放電を使用して基板の表面をパターニングする方法であって、
第1の放電部分を含む第1の電極および第2の放電部分を含む第2の電極を提供するステップと、
前記第1の放電部分と前記第2の放電部分との間に高電圧差を発生させることによって前記プラズマ放電を起こすステップと、
前記第1の電極および第2の電極を同期させて、前記基板の前記表面に沿って運動させるステップとを含む、方法。
【請求項22】
(O)LEDデバイス、RFIDタグ、もしくは太陽電池デバイスなどのメソスケール電子デバイス、MEMSデバイス、マイクロレンズ、もしくは多焦点レンズなどのメソスケール3次元構造体、ラボオンチップ、バイオチップ、印刷可能プラスチック物体、または基板由来のオフセット印刷プレートを製造する方法であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の、プラズマ放電を起こすデバイスによって前記基板を処理するステップを含む、製造方法。
【請求項23】
請求項1から15のいずれか一項に記載の、プラズマ放電を起こすデバイスを製造する方法であって、
− 従来のドットプリンタを提供するステップと、
− 高電圧差を発生させるために高電圧源を提供するステップと、
− 前記ドットプリンタの印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷ペンを前記高電圧源に導電接続するステップとを含む、製造方法。
【請求項24】
請求項1から15のいずれか一項に記載の、プラズマ放電を起こすデバイスを製造する方法であって、
− 従来のインクジェットプリンタを提供するステップと、
− 高電圧差を発生させるために高電圧源を提供するステップと、
− 前記インクジェットプリンタの印刷ヘッドの少なくとも1つの導電構造体を前記高電圧源に導電接続するステップとを含む、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−500464(P2012−500464A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523756(P2011−523756)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050555
【国際公開番号】WO2010/021539
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511044630)ヴィジョン・ダイナミックス・ホールディング・ベスローテン・ヴェンノーツハップ (1)
【Fターム(参考)】