説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】処理液を効率的に利用しつつ処理性能を向上させることのできる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
【解決手段】
処理液を基板Pの表面に向けて吐出して基板Pの全幅にわたって処理液を吹付ける第1ノズルユニット10と、第1ノズルユニット10より基板Pの搬送方向の下流側に当該第1ノズルユニット10と向き合うように配置され、処理液を基板Pの表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第2ノズルユニット20とを有し、相互に向き合う第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20から吐出される処理液が基板Pの表面上でぶつかりあって基板Pの幅方向に延びる処理液の盛り上がり部分Mが形成されるように第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20からの処理液の吐出方向が設定された構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される基板の表面に処理液を吹付けることによって当該基板の表面を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶パネルの製造等において、半導体ウェーハやガラス基板等の基板の表面に処理液を吹付けることによって当該基板の表面を処理する基板処理装置が用いられる。この基板処理装置として、例えば、液晶パネルの製造に用いられ、ガラス基板の表面に付着したレジストを剥がし落とすレジスト剥離装置が提案されている(特許文献1参照)。このレジスト剥離装置は、搬送されるガラス基板の被処理表面にレジスト剥離液(処理液)をシャワーノズルから連続的に供給して当該ガラス基板の被処理表面上にレジスト剥離液の層を形成する。そして、被処理表面上にレジスト剥離液の層が形成されたガラス基板の裏面に対して超音波ノズルから液体が超音波シャワーになって吹き付けられる。
【0003】
このようなレジスト剥離装置では、超音波シャワーによる振動がガラス基板を介して被処理表面上のレジスト剥離液の層に伝播して当該レジスト剥離液の層全体が超音波振動し得るので、レジスト剥離液とレジストとの反応が促進される。その結果、ガラス基板の被処理表面上に付着したレジストの剥離及び溶解が促進され、ガラス基板の被処理表面上に付着したレジストを剥離、除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−7017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガラス基板の被処理面上に単にレジスト剥離液(処理液)がシャワーノズルから供給されるだけなので、ガラス基板の被処理面上に形成されるレジスト剥離液の層内では、被処理表面に接する部分と表層の部分とが入れ替わるような流れが生じ難い。このため、レジスト剥離液の被処理表面に接する部分では溶解したレジストの濃度が高くなった状態が比較的長い時間維持され、レジストの剥離性能(溶解性能)が低下してしまう傾向にある。
【0006】
また、ガラス基板の被処理面上に剥離液供給ノズルからレジスト剥離液を供給し、当該ガラス基板の進行方向下流側で、前記被処理面上のレジスト剥離液を強制的に吸引するようにしたレジスト剥離装置も提案されている(特許文献1の実施の形態3参照)。このようなレジスト剥離装置によれば、ガラス基板の被処理面上に供給されるレジスト剥離液が強制的に除去されて、被処理面はレジスト剥離液供給ノズルから供給される新しいレジスト剥離液が常に接した状態になるので、常にその新しいレジスト剥離液にてレジストを剥離することができるようになる。しかし、この場合は、ガラス基板の被処理面上を流れるレジスト剥離液の層内では、その表層部分がレジストの剥離に有効に利用されず、多くのレジスト剥離液がレジスト剥離に十分寄与することなく回収されてしまい、レジスト剥離液(処理液)の効率的な利用が図られない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、処理液を効率的に利用しつつ処理性能を向上させることのできる基板処理装置及び基板処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基板処理装置は、搬送される基板の表面に処理液を吹付けることによって該基板の表面を処理する基板処理装置であって、前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第1ノズルユニットと、前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、前記第1ノズルユニットより前記基板の搬送方向の下流側に当該第1ノズルユニットと向き合うように配置され、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第2ノズルユニットとを有し、相互に向き合う前記第1ノズルユニット及び前記第2ノズルユニットから吐出される処理液が前記基板の表面上でぶつかりあって当該基板の幅方向に延びる処理液の盛り上がり部分を形成する構成となる。
【0009】
このような構成により、対向する第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットからの処理液のぶつかりにより多数のバブルが混在して撹拌されつつある処理液が盛り上がった部分として基板の表面に留めおかれた状態になる。そして、その基板の表面に盛り上がった部分として留めおかれる処理液中では、多数のバブルが混在して撹拌されることにより、基板の表面に接する処理液が頻繁に入れ替わる状態となって、当該基板の表面の処理がなされる。
【0010】
前記第1ノズルユニットからの処理液の吐出方向及び前記第2ノズルユニットからの処理液の吐出方向のそれぞれは、前記基板の表面に垂直となる基準方向に対して20度〜80度の範囲内の角度に設定することができる。前記第1ノズルユニットからの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度と前記第2ノズルユニットからの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度とは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0011】
本発明に係る基板処理装置において、前記第2ノズルユニットからの処理液の噴出方向の前記基準方向に対する角度を、前記第1ノズルユニットからの処理液の噴出方向の前記基準方向に対する角度よりも大きく設定することができる。
【0012】
このような構成により、第1ノズルユニットより基板の搬送方向の下流側に位置する第2ノズルユニットから吐出する処理液が基板の表面のより近くから斜めに当該基板の表面に吹き付けられて、その処理液の吹き付け力の基板の表面に沿った力成分が比較的大きくなるので、第1ノズルユニットから吹き付けられる処理液が基板の搬送とともにその基板の表面に引き連れられても、その流れを第2ノズルユニットからの処理液にて阻止して処理液をより有効に盛り上げることができるようになる。
【0013】
また、本発明に係る基板処理装置において、前記第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットのそれぞれは、前記基板の幅方向に所定の間隔をもって配置される複数のノズル孔が形成され、前記第2ノズルユニットの中央部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度は、前記第2ノズルユニットの両端部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度より大きい構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、第1ノズルユニットより基板の搬送方向の下流側に位置する第2ノズルユニットの中央部に形成されたノズル孔から吐出する処理液が基板の表面のより近くから斜めに当該基板の表面に吹き付けられて、その処理液の吹き付け力の基板の表面に沿った力成分が比較的大きくなるので、対向する第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットからの処理液が基板の表面上の処理液の盛り上がった部分に継続して供給される際に、その基板の表面に留めおかれた状態の処理液が当該盛り上がった部分の延びる方向に流れて基板の幅方向の両側縁から流れ出すことによってその盛り上がり部分の基板の幅方向の中央部が高くなる傾向を、有効に維持することができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る基板処理装置において、前記基板は、幅方向の一方縁部が低く、幅方向の他方縁部が高くなるように傾いて搬送され、前記第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットのそれぞれは、前記基板の幅方向に所定の間隔をもって配置される複数のノズル孔が形成され、前記第2ノズルユニットの、前記基板の前記一方縁部側の端部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度は、前記第2ノズルユニットの、前記基板の他方縁部の端部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度より大きい構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、第1ノズルユニットより基板の搬送方向の下流側に位置する第2ノズルユニットの、基板の一方縁部側の端部に形成されたノズル孔からの吐出する処理液が傾斜して搬送される基板の表面のより近くから斜めに当該基板の表面に吹き付けられて、その処理液の吹き付け力の基板の表面に沿った力成分が比較的大きくなるので、対向する第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットからの処理液が傾斜して搬送される基板の表面上の処理液の盛り上がった部分に継続して供給される際に、その基板の表面に留めおかれた状態の処理液が前記処理液受け部に向けて流れてその盛り上がり部分の、前記基板の一方縁部側が高くなる傾向を、有効に維持することができるようになる。
【0017】
本発明に係る基板処理方法は、搬送される基板の表面に処理液を吹付けることによって該基板の表面を処理する基板処理方法であって、前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第1ノズルユニットと、前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、前記第1ノズルユニットより前記基板の搬送方向の下流側に当該第1ノズルユニットと向き合うように配置され、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第2ノズルユニットとのそれぞれから吐出される処理液が前記基板の表面でぶつかりあって当該基板の幅方向に延びる処理液の盛り上がり部分を形成する構成となる。
【0018】
このような構成により、対向する第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットからの処理液のぶつかりにより多数のバブルが混在して撹拌されつつある処理液が盛り上がった部分として基板の表面に留めおかれた状態になる。そして、この基板の表面に盛り上がった部分として留めおかれる処理液中では、多数のバブルが混在して撹拌されることにより、基板の表面に接する処理液が頻繁に入れ替わる状態となって、当該基板の表面の処理がなされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法によれば、対向する第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットからの処理液のぶつかりにより多数のバブルが混在して撹拌されつつある処理液が盛り上がった部分として基板の表面に留めおかれた状態になり、この基板の表面に盛り上がった部分として留めおかれる処理液中では、多数のバブルが混在して撹拌されることにより、基板の表面に接する処理液が頻繁に入れ替わる状態となって、当該基板の表面の処理がなされるので、前記留めおかれて盛り上がった処理液のなかでより新しい処理液が基板表面に接する機会が増大する。これにより、処理液を基板の表面上を単純に流してしまうことなく効率的に利用しつつ処理性能を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の基板搬送方向(A方向)の上流側から見た状態を示す側面図である。
【図3】図1に示す基板処理装置を上方から見た状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の基板搬送方向(A方向)の上流側から見た状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置は、図1乃至図3に示すように構成される。この基板処理装置100は、例えば、液晶パネルの製造工程においてガラス基板に付着したレジストを剥離するレジスト剥離装置である。図1は、基板処理装置100を基板搬送方向(A方向)に直交する基板幅方向(B方向)から見た状態を示し、図2は、基板処理装置100を基板搬送方向(A方向)の上流側から見た状態を示し、図3は、基板処理装置100を上方から見た状態を示している。
【0023】
図1乃至図3において、この基板処理装置100では、レジスト剥離処理の対象となるガラス基板(以下、単に基板という)Pがその裏面側の両端部に当接する搬送ローラ11、11によって水平に維持されつつ搬送されるようになっている。基板Pの搬送方向(A方向)を垂直に横切って当該基板Pの幅方向(B方向)に延びる第1ノズルユニット10が、基板Pの表面の上方の所定高さ位置に設けられている。第1ノズルユニット10は、基板Pの幅方向(B方向)に所定間隔にて並ぶ複数のノズル体101、102、103、104を有しており、複数のノズル体101、102、103、104の先端に形成されたノズル孔101a、102a、103a、104aから吐出する処理液(レジスト剥離液)が基板Pの表面にその全幅にわたって吹き付けられるようになっている(特に図2及び図3参照)。また、第1ノズルユニット10の基板Pの搬送方向(A方向)の下流側に所定距離La(特に図1参照)を隔てて第1ノズルユニット10に向き合うように第2ノズルユニット20が配置されている。第2ノズルユニット20もまた、基板Pの幅方向(B方向)に所定間隔にて並ぶ複数のノズル体201、202、203、204を有しており、複数のノズル体201、202、203、204の先端に形成されたノズル孔201a、202a、203a、204aから吐出する処理液(レジスト剥離液)が基板Pの表面にその全幅にわたって吹き付けられるようになっている(特に図3参照)。
【0024】
相互に向き合う第1ノズルユニット10(ノズル体101〜104)及び第2ノズルユニット20(ノズル体201〜204)から吐出される処理液が基板Pの表面上でぶつかりあって基板Pの幅方向(B方向)に延びる処理液の盛り上がり部分Mが形成されるように第1ノズルユニット10(ノズル孔101a〜104a)及び第2ノズルユニット20(ノズル孔201a〜204a)からの処理液の吐出方向が設定される。具体的には、第1ノズルユニット10の各ノズル孔101a、102a、103a、104a(ノズル体101〜104)からの処理液の吐出方向は、基板Pの表面に垂直となる基準方向Sに対して20度〜80度の範囲内の角度θαに設定され、第2ノズルユニット20の各ノズル孔201a、202a、203a、204a(ノズル体201〜204)からの処理液の吐出方向もまた、前記基準方向Sに対して20度〜80度の範囲内の角度θβに設定される。
【0025】
前記第1ノズルユニット10からの処理液の吐出方向の前記基準方向Sに対する角度θαと前記第2ノズルユニット20からの処理液の吐出方向の前記基準方向Sに対する角度θβとは、同じであっても、異なっていてもよいが、第1ノズルユニット10と第2ノズルユニット20との間隔La、第1ノズルユニット10の各ノズル孔101a〜104a及び第2ノズルユニット20の各ノズル孔201a〜204aそれぞれの基板P表面からの高さ位置Lb、及び前記各ノズル孔から吐出する処理液の吐出量(例えば、時間当たりの量)等ととともに、相互に向き合う第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20から吐出される処理液が基板Pの表面上でぶつかりあって形成される処理液の盛り上がり部分Mが所望の幅Lc及び所望の高さLdになるように設定される。
【0026】
搬送ローラ11、11によって搬送される基板Pの下方には、基板P表面から流れ出す処理液を受ける処理液受け部12が設けられている。処理液受け部12は、送通管13を介して貯液槽15に接続されている。
【0027】
なお、図1乃至図3には示されていないが、この基板処理装置100は、第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20に処理液を供給する処理液供給機構を有している。なお、貯液槽15に溜まった処理液を浄化する機構、及び浄化された処理液を前記処理液供給機構に戻して新たな処理液として利用する機構を設けてもよい。また、処理液がノズルユニット10及び第2ノズルユニット20に供給される経路、例えば、貯液槽15の底部等に、その処理液を加熱する加熱機構を設けることもできる。
【0028】
前述したような構造の基板処理装置100では、搬送ローラ11、11によって基板Pが搬送されて当該基板Pが第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20の設けられた処理領域(レジスト剥離処理領域)を通過する際に、第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20から吐出する処理液が基板Pの表面(被処理面)に吹き付けられる。このとき、相互に向かい合う第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20からの処理液のぶつかりによって多数のバブルが混在して撹拌されつつある処理液が盛り上がった部分Mとして基板Pの表面に溜めおかれた状態となる。この基板Pの表面に盛り上がった部分Mとして留めおかれる処理液中では、多数のバブルが混在して撹拌されることにより、基板Pの表面に接する処理液が頻繁に入れ替わる状態となって、基板Pの表面に付着したレジストが処理液により剥離され、処理液中に溶解されていく(レジスト剥離処理)。
【0029】
第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20から継続して処理液が基板Pの表面上に形成された処理液の盛り上がった部分Mをめがけて吹付けられるので、基板Pの表面に盛り上がった部分Mとして留めおかれる処理液中では、前述した処理液の撹拌とともに、その盛り上がった部分Mの延びる方向(基板Pの幅方向(B方向))への流れが生じている。レジストの溶解によって処理能力の低下した処理液は、その流れによって基板Pの両側縁から流れ出し、処理液受け部12に流入する。また、基板Pの表面から剥離されて処理液中に溶解しきれずに残ったレジスト片も、前記盛り上がった部分Mとして留めおかれた処理液の流れに従ってその処理液とともに基板Pの両側縁から流れ出して、処理液受け部12に流入する。
【0030】
処理液受け部12に流入したレジスト片や処理液は、送通管13を通って進み、貯液槽15に溜められる。貯液槽15に貯められた処理液は、再度、レジスト剥離処理の利用に供される。処理液を浄化する機構を備えていれば、貯液槽15に貯められた処理液は、浄化された後に再度、レジスト剥離処理の利用に供されることになる。
【0031】
このような基板処理装置100によれば、対向する第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20からの処理液のぶつかりにより多数のバブルが混在して撹拌されつつある処理液が盛り上がった部分Mとして基板Pの表面に留めおかれた状態になり、この基板Pの表面に盛り上がった部分Mとして留めおかれる処理液中では、多数のバブルが混在して撹拌されることにより、基板Pの表面に接する処理液が頻繁に入れ替わる状態となるので、前記留めおかれて盛り上がった処理液のなかでレジストの融け込みの無いあるいは少ないより新しい処理液が基板P表面に接する機会が増大する。これにより、処理液を基板Pの表面上を単純に流してしまうことなく効率的に利用しつつレジスト剥離の処理性能を向上させることができるようになる。
【0032】
また、基板Pの下方には処理液受け部12が設けられているので、使用済みの処理液が基板Pの両側縁から流れ出しても、その使用済みの処理液を処理液受け部12によって受けることができる。そして、その処理液受け部12にて受けた使用済み処理液が送通管13を通して貯液槽15に効果的に回収できるので、処理液の劣化を防止でき、その回収された使用済み処理液をそのまま、または浄化して再度の利用に供することができる。
【0033】
処理液がノズルユニット10及び第2ノズルユニット20に供給される経路においてその処理液を加熱する加熱機構を設け、第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20から加熱された処理液が基板Pの表面に吹き付けられる場合、基板Pの表面に盛り上がって留めおかれた処理液の保温作用によって、比較的高い温度を維持しつつ処理液によるレジスト剥離の処理がなされるようになるので、その処理効果を更に向上させることができるようになる。
【0034】
前述した基板処理装置100において、第1ノズルユニット10に対して基板Pno搬送方向の下流側に配置した第2ノズルユニット20からの処理液の噴出方向の前記基準方向Sに対する角度θβを、第1ノズルユニット10からの処理液の噴出方向の前記基準方向Sに対する角度θαよりも大きく設定することができる。この場合、第2ノズルユニット20から吐出する処理液が基板Pの表面のより近くから斜めに当該基板Pの表面に吹き付けられて、その処理液の吹き付け力の基板Pの表面に沿った力成分が比較的大きくなるので、第1ノズルユニット10から吹き付けられる処理液が基板Pの搬送とともにその基板Pの表面に引き連れられても、その流れを第2ノズルユニット20からの処理液にて阻止して処理液をより有効に盛り上げることができるようになる。
【0035】
また、第2ノズルユニット10において基板Pの幅方向(B方向)に所定の間隔をもって配置される複数のノズル孔201a〜204aのうち、中央部に形成されたノズル孔202a、203a(図3参照)からの処理液の吐出方向の前記基準方向Sに対する角度θβ(202a、203a)を、その両端部に形成されたノズル孔201a、204aからの処理液の吐出方向の前記基準方向Sに対する角度θβ(201a、204a)より大きく設定することができる。なお、第2ノズルユニット10において、各ノズル体201〜204を基板に対する取り付け角度が調整できるように設け、各ノズル孔からの処理液噴射角度が調整できるように構成するとよい。この場合、第2ノズルユニット20の中央部に形成されたノズル孔202a、203aから吐出する処理液が基板Pの表面のより近くから斜めに当該基板Pの表面に吹き付けられて、その処理液の吹き付け力の基板Pの表面に沿った力成分が比較的大きくなるので、対向する第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20からの処理液が基板Pの表面上の処理液の盛り上がった部分Mに継続して供給される際に、その基板Pの表面に留めおかれた状態の処理液が当該盛り上がった部分Mの延びる方向に流れて基板Pの幅方向の両側縁から流れ出すことによってその盛り上がり部分Mの基板の幅方向(B方向)の中央部が高くなる傾向を、有効に維持することができるようになる。
【0036】
本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置は、図4に示すように構成される。この基板処理装置100は、基板が、幅方向(B方向)の一方縁部が低く、幅方向(B方向)の他方縁部が高くなるように傾いて搬送される点で前述した第1の実施の形態に係る基板処理装置と相違する。
【0037】
図4において、基板Pがその裏面側の両端部に当接する搬送ローラ11、11によって、その幅方向(B方向)の一方縁部が低く、その他方縁部が高くなるように傾いて搬送される。基板Pの搬送方向(A方向)に垂直に横切って基板Pの表面に平行にその幅方向(B方向)に延び、図1に示すものと同様の構造となる第1ノズルユニット10が、基板Pの表面の垂直上方の所定高さ位置に設けられている。図4には示されていないが、第1ノズルユニット10と基板Pに対する相対的な位置関係及びその構造が図2及び図3に示すものと同様となる第2ノズルユニット20が設けられている。
【0038】
第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20それぞれの構造が、図1乃至図3に示すものと同様であり、また、第1ノズルユニット10と第2ノズルユニット20との基板Pに対する相対的な位置関係が図1乃至図3に示すものと同様であるので、前述したように、相互に向き合う第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20から吐出される処理液が基板Pの表面上でぶつかりあって所望の幅Lc及び基板P表面からの所望の高さLdとなる処理液の盛り上がり部分Mが形成される。そして、基板Pの下方には、基板P表面から流れ出す処理液を受ける処理液受け部12が設けられている。この処理液受け部12から延びる送通管13が貯液槽15(図示略)に至っている。
【0039】
このような本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置100では、本発明の第1の実施の形態の場合と同様に、相互に向かい合う第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20からの処理液のぶつかりによって多数のバブルが混在して撹拌されつつある処理液が盛り上がった部分Mとして傾斜した基板Pの表面に溜めおかれた状態となる。そして、その盛り上がった部分Mとして留めおかれる処理液中において、多数のバブルが混在して撹拌されることにより、基板Pの表面に接する処理液が頻繁に入れ替わる状態となるので、前記留めおかれて盛り上がった処理液のなかでレジストの融け込みの無いあるいは少ないより新しい処理液が基板P表面に接する機会が増大するようになる。これにより、処理液を基板Pの表面上を単純に流してしまうことなく効率的に利用しつつレジスト剥離の処理性能を向上させることができるようになる。
【0040】
また、基板Pの下方には処理液受け部12が設けられているので、前記盛り上がった部分Mとして留めおかれた処理液中に生じる高い側から低い側への流れによって、使用済みの処理液が基板Pの低い一方縁部から流れ出しても、その使用済み処理液を処理液受け部12によって受けることができる。そして、その処理液受け部12にて受けられた使用済み処理液が送通管13を通して貯液槽15に効果的に回収できるので、処理液の劣化を防止でき、その回収された使用済み処理液をそのまま、または浄化して再度の利用に供することができる。
【0041】
本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置100において、第2ノズルユニット20の、基板Pの低くなる一方縁部側の端部に形成されたノズル孔201aからの処理液の吐出方向の基準方向S(基板Pの表面に垂直な方向)に対する角度は、第2ノズルユニット20の逆側の端部に形成されたノズル孔204aからの処理液の吐出方向の前記基準方向Sに対する角度より大きく設定することができる。なお、第2ノズルユニット10において、各ノズル体201〜204を基板に対する取り付け角度が調整できるように設け、各ノズル孔からの処理液噴射角度が調整できるように構成するとよい。この場合、第2ノズルユニット20の、基板Pの低くなる一方縁部側の端部に形成されたノズル孔201aからの吐出する処理液が傾斜して搬送される基板Pの表面のより近くから斜めに当該基板Pの表面に吹き付けられて、その処理液の吹き付け力の基板の表面に沿った力成分が比較的大きくなるので、対向する第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20からの処理液が傾斜して搬送される基板Pの表面上の処理液の盛り上がった部分Mに継続して供給される際に、その基板Pの表面に留めおかれた状態の処理液が処理液受け部12に向けて流れてその盛り上がり部分Mの、前記基板Pの一方縁部側が高くなる傾向を、有効に維持することができるようになる。
【0042】
なお、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る基板処理装置100の第1ノズルユニット10及び第2ノズルユニット20のそれぞれは、ノズル孔(101a〜104a、201a〜204a)を4つ有する構造であるが、ノズル孔(ノズル体)の数は限定するものではなく、処理すべき基板Pの形状に合わせて適宜設定される。
【0043】
また、前述した基板処理装置100は、液晶パネルの製造過程で用いられるガラス基板の表面に付着したレジストを剥離するためのものであったが、これに限定されず、半導体ウェーハ等の他の基板に処理液を吹き付けて処理するものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 第1ノズルユニット
101、102、103、104 ノズル部
101a、102a、103a、104a ノズル孔
11 搬送ローラ
12 処理液受け部
13 送通管
15 貯液槽
20 第2ノズルユニット
201、202、203、204 ノズル部
100 基板処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される基板の表面に処理液を吹付けることによって該基板の表面を処理する基板処理装置であって、
前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第1ノズルユニットと、
前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、前記第1ノズルユニットより前記基板の搬送方向の下流側に当該第1ノズルユニットと向き合うように配置され、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第2ノズルユニットとを有し、
相互に向き合う前記第1ノズルユニット及び前記第2ノズルユニットから吐出される処理液が前記基板の表面上でぶつかりあって当該基板の幅方向に延びる処理液の盛り上がり部分を形成する基板処理装置。
【請求項2】
前記第1ノズルユニットからの処理液の吐出方向及び前記第2ノズルユニットからの処理液の吐出方向のそれぞれは、前記基板の表面に垂直となる基準方向に対して20度〜80度の範囲内の角度に設定される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2ノズルユニットからの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度は、前記第1ノズルユニットからの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度よりも大きい請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットのそれぞれは、前記基板の幅方向に所定の間隔をもって配置される複数のノズル孔が形成され、
前記第2ノズルユニットの中央部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度は、前記第2ノズルユニットの両端部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度より大きい請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板は、幅方向の一方縁部が低く、幅方向の他方縁部が高くなるように傾いて搬送され、
前記第1ノズルユニット及び第2ノズルユニットのそれぞれは、前記基板の幅方向に所定の間隔をもって配置される複数のノズル孔が形成され、
前記第2ノズルユニットの、前記基板の前記一方縁部側の端部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度は、前記第2ノズルユニットの、前記基板の他方縁部の端部に形成されたノズル孔からの処理液の吐出方向の前記基準方向に対する角度より大きい請求項2記載の基板処理装置。
【請求項6】
搬送される基板の表面に処理液を吹付けることによって該基板の表面を処理する基板処理方法であって、
前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第1ノズルユニットと、前記基板の搬送方向を横切って当該基板の幅方向に延び、前記第1ノズルユニットより前記基板の搬送方向の下流側に当該第1ノズルユニットと向き合うように配置され、処理液を前記基板の表面に向けて吐出して当該基板の全幅にわたって処理液を吹付ける第2ノズルユニットとのそれぞれから吐出される処理液が前記基板の表面でぶつかりあって当該基板の幅方向に延びる処理液の盛り上がり部分を形成する基板処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−99570(P2012−99570A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244449(P2010−244449)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】