説明

情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム及び情報提供システム

【課題】車輛、建造物等の特定エリア内での情報提供に関し、安定した情報提供を実現することにある。
【解決手段】車輛(4)等の特定エリア内の情報端末に対して情報提供を行う情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム及び情報提供システムであって、特定のエリアに設置されているエリア識別情報(例えば、車輌識別図形5)を以てエリアを特定し、そのエリア内からエリア識別情報を含む情報要求を発した単数又は複数の情報端末(ユーザ端末61〜6n)に対し、少なくともエリアに関するエリア属性情報を提供し、エリア内での情報提供の安定化と情報提供の迅速化を実現したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輛、建造物等の特定エリア内の端末に対する情報提供に関し、特に、車輛、建造物等の特定エリア内からの情報要求に対応するダイヤ情報、路線情報、乗換情報等の各種情報提供に用いられる情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム及び情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報提供の形態として例えば、GPS(Global Positioning System )等を用いれば、現在地に関するデータや、現在地情報の送信により自分の現在地周辺の地図、現在地から目的地まで到る道筋、現在地周辺や主要施設の所在地等に関する各種の情報を取得することができる。
【0003】
情報提供に関し、ポータル・サイトとして例えば、非特許文献1には、路線情報サービスで出発駅と降車駅を指定すると、出発駅や乗継ぎ駅、降車駅情報として周辺地図、宿泊施設、クーポン等の各種の情報を表示できることが開示されている。
【0004】
特許文献1では、操作者の余裕時間、移動手段を入力し、任意の位置の周辺情報、地図情報から周辺情報中の施設までの必要時間を求め、余裕時間と必要時間との比較から余裕時間内に到達可能な施設の検索及び表示をすることが開示されている。
【0005】
特許文献2には、位置情報衛星から提供される位置座標情報を用いて列車位置を演算し、この列車位置と当該列車の編成番号に基づき、その列車番号及び運行データを列車に送信して車上運行パターンサーバに保存することにより、自動的に運行データを設定することが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、車輛内LANシステムを備える移動局(鉄道車輛)と基地局とを無線回線で接続し、基地局は、車輛内LANシステムを構成する複数のLAN端末のIPアドレスとともに車輛の運行状態を管理し、LAN端末からのIPアドレス設定要求に対し、車輛の在線時間情報に基づいてIPアドレスの有効時間を指定し、そのIPアドレスをLAN端末に割り付けることが開示されている。
【非特許文献1】http://transit.yahoo.co.jp/.
【特許文献1】特開2000−163689号公報(要約、図1等)
【特許文献2】特開2003−48543号公報(要約、図1等)
【特許文献3】特開平10−276217号公報(要約、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特定エリアとして例えば、電車やバスの車輌等の移動体内では、当該車輌の運行や停車駅等に関する情報の取得は有用である。しかし、移動体内と外部との間で電波により情報を伝達する場合、電波が移動体によって遮蔽され、安定した接続状態が維持できない場合には情報の取得が不安定になるという不都合がある。
【0008】
電車等の車輛内にあって、現在地が車輛内、その電車の通過駅等で、降車後の情報を降車前に降車駅やその周辺その他の情報を取得したいという要請がある。通過駅等の途上地点を基準にして情報を組み立てることは取得した情報に誤差が生じるおそれがあり、また、情報取得に関し、車輛内では通過駅等を行動起点にできるか否かを判断要素に用いて情報を取得できない、という課題がある。
【0009】
斯かる要求や課題について、非特許文献1又は特許文献1〜3にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、車輛、建造物等の特定エリア内での情報提供に関し、安定した情報提供を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、車輛等の特定エリア内の情報端末に対して情報提供を行う情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム及び情報提供システムであって、特定のエリアに設置されているエリア識別情報を以てエリアを特定し、そのエリア内からエリア識別情報を含む情報要求を発した単数又は複数の情報端末に対し、少なくともエリアに関するエリア属性情報を提供し、エリア内での情報提供の安定化と情報提供の迅速化を実現したものである。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の情報提供装置は、自装置が設置されているエリアを識別するエリア識別情報を格納する格納手段と、前記エリア識別情報を含む情報要求を発した単数又は複数の情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を提供する情報提供手段とを備えることである。上記自装置は上記情報提供装置である。
【0013】
斯かる構成によれば、エリアにある情報端末からエリア識別情報を含む情報要求を情報提供手段が受けると、その情報端末に対し、エリアに関するエリア属性情報を提供することができ、エリア属性情報の安定した提供をすることができる。エリア属性情報はエリアが例えば、車輛であれば、車輛に関する路線名、種別、終点駅、車輛番号、遅延が生じている場合には遅延原因や到着の遅延が見込まれる遅延時間等である。
【0014】
上記目的を達成するためには、上記情報提供装置において、好ましくは、前記エリアは、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して情報の送受を行う情報中継手段を備えており、該情報中継手段は、前記情報端末からの前記エリア識別情報を含む前記情報要求に対し、前記エリア識別情報の全部又は一部を付加して前記情報提供手段に接続され、前記情報提供手段から得られる情報を前記情報端末に提供する構成としてもよい。
【0015】
斯かる構成とすれば、エリアに情報中継手段を備えたので、情報中継手段を介して情報要求を受け付け、その情報要求に対するエリア属性情報を取得し、情報端末に安定且つ迅速にその属性情報を提供することができる。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の情報提供方法は、特定のエリアのエリア識別情報を取得する工程と、情報端末が前記エリア識別情報を含む情報要求を発する工程と、前記情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を情報提供手段から提供する工程とを含むことである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の情報提供プログラムは、コンピュータによって実行される情報提供プログラムであって、特定のエリアのエリア識別情報を取得するステップと、情報端末が前記エリア識別情報を含む情報要求を発するステップと、前記情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を情報提供手段から提供するステップとをコンピュータに実行させることである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の情報提供システムは、少なくともエリア内の情報端末に情報を提供する情報提供システムであって、前記エリアを識別するエリア識別情報を格納する格納手段と、前記エリア識別情報を含む情報要求を発し、該情報要求に対する情報を取得する単数又は複数の情報端末と、前記情報端末が前記情報要求を発した際に、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を提供する情報提供手段と、前記エリアに設置され、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して接続され、前記情報端末から発せられた前記情報要求、前記情報提供手段から提供される前記情報要求に対する応答情報を中継する情報中継手段とを備えることである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0020】
(1) エリアに存在する情報端末からエリア識別情報を含む情報要求が発せられた際に、エリアに関するエリア属性情報を情報端末に安定且つ迅速に提供することができる。
【0021】
(2) エリアに情報中継手段を備えれば、エリアにある情報端末からの情報要求に対してエリア外の情報源から取得した情報を情報中継手段を通じて安定且つ迅速に提供することができる。
【0022】
(3) エリアが例えば、車輛であれば、車輛内にある情報端末からのエリア識別情報を含む情報要求に対し、降車駅やその周辺に関する情報を容易に得て情報端末に提供することができ、電車の運行スケジュールに乱れが生じた場合でも直ちに対応することができる。
【0023】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔第1の実施の形態〕
【0025】
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、情報提供システムを示す図である。図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0026】
この情報提供システム2Aは、本発明の情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム又は情報提供システムの一例であって、車輛等の特定エリア内のユーザ(例えば、乗客)の情報端末からエリア識別情報を含む情報要求に対し、特定エリアにある情報中継手段を通して情報提供手段に接続し、情報提供手段から提供されるエリア属性情報及びその他の情報(エリア属性情報に関連する情報を含む)を応答情報として情報端末に提供するシステムである。
【0027】
この情報提供システム2Aは、図1に示すように、車輛4内に設置された車輛識別図形5と、単数又は複数のユーザ端末61、62、・・・6nと、車輛4内に設置された一次サーバ(情報中継手段)である情報集約サーバ8と、車輛4外にある情報源である二次サーバ10としてメインサーバ12と、イベントサーバ14とを備え、メインサーバ12及びイベントサーバ14はネットワーク16に接続されている。
【0028】
車輛4は、特定のエリアの一例であるとともに、エリア識別情報の一例である車輛識別図形5を格納する格納手段であって、例えば、車輛等の移動体内等、特定の領域に仕切られた範囲であり、移動体の車室、特定の地域、特定の建造物、建造物内の特定の室であってもよい。この場合、車輌4は、軌道上を走る車輛の他、バス、電車以外にもタクシー、船舶、航空機等、乗客が利用できる交通機関の全般を対象とする。軌道は、車輌が利用することを目的とする予め決められた経路、航路等である。例えば、タクシー利用時における経路とは、観光案内等の目的のために主だった地点を周遊する道筋、として捉えることが可能であるため、本発明ではタクシーの場合も車輌に含めるものとする。乗客は、車輌に乗り込んで利用している客であって、ユーザ端末61、62、・・・6nを利用するユーザである。
【0029】
また、車輛4に関する情報として車輌の種別は、「各駅停車」「快速」「急行」「特別急行」等、同一軌道を利用する車輌の停車パターンを示し、必要に応じてさらに「寝台等級」「指定席」「グリーン車」等、座席の種別に関する情報を含む。
【0030】
車輌識別図形5は、既述のエリア即ち、自装置(この場合、情報提供装置の一例である情報集約サーバ8)が設置されているエリアを識別するエリア識別情報、又はそのエリアの一例である車輛を識別する車輛識別情報の一例であって、各車輌4の内部からユーザが見ることができる図形であり、当該車輌の所属する会社、当該車輌の型式、当該車輌が走行する路線、当該車輌の号車番号等の情報である。車輌4を特定することにより当該車輌がどこの会社に所属し、どの路線を走行中であり、車輌の種別(各駅、急行等)を特定可能であり、スケジュール上は始発駅を何時に出る車輌であるかを特定することを可能とする。エリア識別情報又は車輛識別情報としては、車輌識別図形5に代え、他の記号、数字等の文字列、これらや車輌識別図形5との組合せ、バーコードや二次元コード等の図形的に識別符号を表現したものであっても良い。エリア識別情報又は車輛識別情報を特定することが可能であれば、車輌識別図形5は、固定的なもの例えば、一旦割り当てられたら当該車輌4が廃棄処分或いは売却処分になるまで変わらないものであっても良いし、流動的なもの例えば、始発駅を出発する毎に変わるものであってもよい。
【0031】
ユーザ端末61、62、・・・6nは、車輛4内の乗客、車掌等が使用する情報端末の一例であって、通信によって情報の送受が可能な移動体通信装置として例えば、携帯型情報端末である。この携帯型情報端末は、携帯電話、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)、ノートパソコン等車輌の内に持ち込んで使用可能な情報処理装置である。本発明では、電波又は赤外線等の伝送線を必要としない手段による通信機能を有する。これらユーザ端末61、62、・・・6nは、情報集約サーバ8と通信回線手段としてネットワーク15を介して有線又は無線により接続されるとともに、同様に、イベントサーバ14ともネットワーク16を通して接続される。
【0032】
ユーザ端末61、62、・・・6nと、情報集約サーバ8との通信手段には、既述のネットワーク15として、公衆電話回線を利用し、情報集約サーバ8にURLを割り振ることにより、インターネット利用が可能な端末は情報集約サーバ8に対してアクセスを行うことができる。他の通信手段としては、赤外線又は可視光線を用いた通信の他、無線LANを利用することができる。赤外線又は可視光線を用いた通信として、IrDA等を用いることにより情報集約サーバ8との接続を行うことができ、その場合、車輌4の天井付近にIrDA装置を設置すればよい。また、無線LANの利用では、例えば、802.11x 規格の設備を搭載すれば、無線LAN等の近距離無線通信を利用可能な端末で情報集約サーバ8に対してアクセスを行うことができる。
【0033】
情報集約サーバ8は、ユーザ端末61、62、・・・6nとの情報の送受を行う情報処理手段の一例であるとともに中継機器であって、二次サーバ10に対して一次サーバを構成し、車輌4毎に設置されている。ユーザ端末61、62、・・・6nからは、乗客の各々又はユーザ端末61、62、・・・6nに割り振られた識別情報として固有IDと、情報提供要求を受け付ける。この情報提供要求を受け付けた情報集約サーバ8は「車輌の詳細な固有情報」、必要に応じて「車輌の運行情報」等の情報を取得する。この場合、車輌4に遅延が生じている場合には、乗客のスケジュール等に影響を与えるか否かを、他のサーバ即ち二次サーバ10のメインサーバ12に問い合わせ、問い合わせた結果は応答情報に加工し、ユーザ端末61、62・・・6n中、情報提供要求を発した乗客の例えば、ユーザ端末61に対して提示する。
【0034】
情報集約サーバ8が取得する「車輛の詳細な固有情報」は、当該車輌を識別するための情報であって、車輌の運行情報を得るために、この情報をメインサーバ12に渡し、どの車輌の運行に関する情報がほしいのかを指定する。車輌の管理会社や路線の他に、その「車輌のスケジュール」に関する情報が含まれる。「車輌のスケジュール」とは、具体的には、その電車がダイヤ上は例えば、A駅を何時何分に発車するB駅行きの快速電車であり、全部で何輌編成であり、その中の前から何輌目であるという情報である。
【0035】
また、「車輌の運行情報」とは、ある特定の車輌について現在どのような状態で運行されているかを示す情報であって、どの車輌の情報について取得したいのかを指定する必要がある。具体的には「車輌のスケジュール」と実際との相違点及び当該車輌の現在の速度、現在どこを走行しているか、遅延が発生している場合にはその遅延に関する情報である。
【0036】
メインサーバ12は、特定のエリアとしての車輌4を管理する管理センターとして例えば、管制室に設置される情報管理サーバであって、情報集約サーバ8からの情報提供要求に対して情報を提供する情報提供サーバを構成する。管制室は、鉄道会社等の保有する車輌の現在地等に関する情報を収集することが可能であり、必要に応じて、各車輌に対して定められた運行計画の変更を指示する施設である。メインサーバ12は、各車輌4にある情報集約サーバ8から各車輌4の固有情報とともに運行情報要求等の情報要求を受け付け、当該車輌4の遅延情報等を含む各種の運行情報を取得し、その取得情報を情報要求が発せられた情報集約サーバ8に回答する機能を備えている。
【0037】
また、このメインサーバ12は、漏洩同軸ケーブル等を用いてVHF帯通信により、情報集約サーバ8と接続されて情報の送受を行う。また、このメインサーバ12にはインターネット等のネットワーク16が接続され、ネットワーク16上に公開された各種の情報を取得し、その情報をユーザ端末61、62・・・6n及び/又は情報集約サーバ8に提供する機能を備えている。
【0038】
イベントサーバ14は、任意に設置される情報提供サーバであって、情報集約サーバ8からの情報提供要求に対して情報を提供するものである。このイベントサーバ14では予め乗客のスケジュール情報をユーザ端末61、62・・・6nから取得し、そのスケジュール情報を保存する。このスケジュール情報は、各乗客に割り当てられた固有IDと関連付けられて保存される。
【0039】
また、このイベントサーバ14にはネットワーク16が接続され、ネットワーク16上に公開された各種の情報を取得し、その情報をユーザ端末61、62・・・6n及び/又は情報集約サーバ8に提供する機能を備えている。
【0040】
ユーザがこの情報提供システム2Aを利用するには、その準備段階として、ユーザ情報及びユーザの趣味等に関する情報を予め登録すればよい。ユーザの趣味等に関する情報は、取得情報中のユーザが必要とする情報の選択条件等に利用できるので、1つの選択情報である。このような情報は、ユーザ端末61、62・・・6n等のユーザ端末を用いてイベントサーバ14に登録すればよい。
【0041】
情報集約サーバ8は、各車輌4にいるユーザ(乗客)のユーザ端末61、62・・・6nから情報要求を受け付ける。車輌4内には電波や赤外線等による無線ネットワーク等のネットワーク15が敷設され、情報集約サーバ8と車輌4内のユーザ端末61、62・・・6nとはネットワーク15を通して接続され、情報の送受が可能である。この場合、乗客の安全性等は当然に考慮され、特定の車輌や座席(優先席等)の周辺では利用ができないように設定するが、無線の利用が好ましくない場合には、有線接続を選択可能に設定してもよい。情報集約サーバ8は、外部の情報源との情報の送受を行う上で十分な回線品質が確保されることが望まれる。
【0042】
情報集約サーバ8には「路線名(名称又は識別子等)」、「種別(各駅停車・快速等)」等、固定的情報が登録される。「次の停車駅名(名称又は識別子等)」、「次の停車駅の停車予定時刻」、「車輌の現在の状態(通常運転中、信号により停車中、車輌故障のためyy分停車予定等)」等の情報を流し、ユーザ端末61、62・・・6nからユーザがいつでも利用可能な状態に設定する。
【0043】
上記準備段階を経て実際の利用段階では、車輌4にある情報集約サーバ8には、GPS(Global Positioning System )や、管制室等が提供する情報をメインサーバ12から現在地に関する情報を取得し、「次の停車駅名及びその駅自身の情報、駅周辺の施設に関する情報」、「平常運転時における停車予定時刻」等の各種の情報を登録する。交通情報として、事故等により通常運転状態にない場合には、その原因や復旧見込みに関する情報を車輌4等の運転者や管理者、管制室等から得ることにより、これらの情報も情報集約サーバ8に登録する。
【0044】
ユーザがユーザ端末61、62・・・6nを用いて必要な情報提供を受けるため、情報要求を情報集約サーバ8に対して発すれば、情報集約サーバ8は、その情報要求を受け付ける。情報集約サーバ8は、メインサーバ12やイベントサーバ14の他、ネットワーク16を通して外部サーバから各種の情報提供を受ける。提供を受ける情報には、リクエストを発したユーザの嗜好に関する情報を包含する。
【0045】
イベントサーバ14にユーザに関係付けられた選択情報が登録されていれば、イベントサーバ14では、取得した情報を基にしてユーザの嗜好等の選択情報によりフィルタリング処理を実行し、ユーザが必要とする情報を選択して情報集約サーバ8に提供する。
【0046】
これらメインサーバ12が取得した情報、イベントサーバ14が取得した情報は、情報集約サーバ8で加工された後、情報要求が発せられたユーザ端末61〜6nに提供される。
【0047】
選択情報を情報集約サーバ8に登録し、ユーザの嗜好等に関する選択情報によるフィルタリング処理を情報集約サーバ8側で実行し、フィルタリングを行った結果をユーザに提供する構成としてもよい。
【0048】
次に、情報提供システム2Aの情報提供について、図2を参照する。図2は、情報提供の処理手順のシーケンスを示す図である。図2の構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0049】
この情報提供の処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、乗客からの情報提供要求をユーザ端末61〜6nを通じて行うことにより、その情報提供要求に対する応答情報が情報集約サーバ8から提供されることである。各ステップは、情報処理方法の処理工程に対応する。
【0050】
そこで、情報提供の処理手順では、図2に示すように、ユーザ端末61〜6nの何れかから端末IDと情報要求が情報集約サーバ8に対して発せられ(ステップS101)、この情報要求を受けた情報集約サーバ8は、車輛の詳細な固有情報を取得し(ステップS102)、メインサーバ12に対して車輛の運行情報を要求する(ステップS103)。車輛の詳細な固有情報は、既述の通りであり、車輛の運行情報についても、既述の通りである。
【0051】
運行情報要求を受けたメインサーバ12は、車輛の運行情報を取得し(ステップS104)、その運行情報を情報集約サーバ8に回答する(ステップS105)。この運行情報回答を契機に、情報集約サーバ8からイベントサーバ14に対してイベント影響情報の要求が発せられ(ステップS106)、イベントサーバ14は、イベント影響情報要求を受け、そのイベントの観覧に与える影響に関する情報を取得し(ステップS107)、そのイベント影響情報を情報集約サーバ8に回答する(ステップS108)。
【0052】
情報集約サーバ8では、取得情報の加工を行い(ステップS109)、この加工では、例えば、取得情報を見易い形態に変換し、情報回答を情報要求のあったユーザ端末に対して行う(ステップS110)。そのユーザ端末では、情報要求に対応する応答情報を取得し(ステップS111)、その内容を認識する。
【0053】
この処理手順において、「イベント観覧に与える影響に関する情報」とは、イベントサーバ14が提供する情報である。電車等の交通機関の乗り換えでは、例えば、xx時yy分に、乗り換えを行うab駅の、乗り換え後に乗るべきc線の、d番ホームに到着するイベントであると解釈すれば、既述の処理手順で解決できる。
【0054】
この場合、このサービスを利用する形態は大きく分け、1)イベントが特定されている場合即ち、現在発生している遅延が、前もって登録済みであるイベントの開始時刻までの到着に支障を与えるかを知りたいという場合、2)イベントが特定されていない場合即ち、下車駅に現在発生している遅延を織り込んだ時刻に到着する場合、その周辺で開催されるイベントの中の観覧可能なものをリストアップしたいという場合に分けられるであろう。
【0055】
1)の場合、イベントが特定されている場合では、観覧しようとするイベントを前もってイベントサーバ14に登録すればよい。ユーザは、現在乗車中の車輌に遅延が生じている場合には、その遅延が登録済みのイベントの観覧に何らかの支障を与えることがないかを問い合わせればよい。その遅延により、ユーザがイベント開始時刻に間に合わない場合には、問い合わせ元であるユーザ(乗客)にその旨を通知すればよい。
【0056】
2)の場合、イベントが特定されていない場合には、ユーザは下車駅を指定すればよい。イベントサーバ14では、現在の車輌の運行状態に関する情報を用いて、その駅に実際に到着する時刻を判断し、その駅から到着可能なイベント中の開始時刻までに到達可能なイベントをリストアップする。その場合、終了時刻までに到達可能なイベントもリストアップすればよい。例えば、美術館等、開始時刻より終了時刻が重要なイベントではそのリストアップは有益である。
【0057】
なお、リストアップする際にはユーザの嗜好傾向として選択情報を登録し、その選択情報を参照することにより、ユーザの嗜好傾向に合わせてイベントの優先度を求め、それを表示する。ユーザが表示を望まないレベルにあるか否かを判断対象としてもよく、優先度のランキング値が一定値より少ない場合には表示を行わないようにしてもよい。
【0058】
次に、プロセス処理手順について、図3を参照する。図3は、プロセス処理手順を示すフローチャートである。図3の構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0059】
既述のシーケンス(図2)に対応するプロセスの処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、図3に示すように、車輌のユーザ(乗客)はユーザ端末に車輌識別図形5を取り込み(ステップS201)、取得した車輌識別図形5、ユーザ端末に割り当てられている識別符号(識別情報)とともに情報提供要求を情報集約サーバ8に送信する(ステップS202)。この場合、車輌識別図形5及び識別符号を送信すれば、これが情報提供要求を構成してもよい。これを受信した情報集約サーバ8は、管制室で提供される運行情報を格納しているメインサーバ12と通信を行い、メインサーバ12から運行情報を取得する(ステップS203)。運行情報を取得した情報集約サーバ8は、ユーザのスケジュールを保存しているイベントサーバ14に接続し(ステップS204)、現在乗車している車輌の運行状態がユーザのスケジュールに対して影響を与えるか否かをイベントサーバ14に対して問い合わせ、その回答を取得する(ステップS205)。
【0060】
情報集約サーバ8はイベントサーバ14から取得した情報と、メインサーバ12から取得した情報とを組み合わせるとともに、ユーザの閲覧し易い情報形態に加工し、ユーザ端末に提示する(ステップS206)。
【0061】
この処理において、イベントサーバ14に既述のユーザのスケジュールとともに選択情報(ユーザの嗜好情報等の情報)が登録されている場合には、その選択情報によって選択された情報が提供される。選択情報は、既述した通り、ユーザが予めイベントサーバ14に登録し、取得情報の選択基準を表す情報である。
【0062】
また、この処理手順において、車輌識別図形5の取り込み(ステップS201)は、車輛4の識別情報の提示であり、情報の要求元が何れの車輛にいるか否か、情報の回答先が何れにいるか否かを特定するための情報処理である。
【0063】
そこで、この取込み処理では、数字又は文字列として例えば、a)ユーザが読んで記述できるような形態に表記された車輌識別図形5をユーザが直接手入力する形態、b)車輌識別図形5として例えば、二次元コード等の図形表現をカメラ等の映像入力装置でユーザが取り込み、ローカルで解析した上で送信する形態、c)車輌識別図形5である二次元コード等の図形表現をカメラ等の映像入力装置でユーザが取り込み、当該図形をそのまま送信し、サーバ側で当該図形を解析して必要な情報を取得する形態、d)ユーザが特に図形の入力を行うようなことはせず、各車輌4毎に設けられた情報集約サーバ8にアクセスすることにより、当該情報集約サーバ8が自動的に付加する形態であってもよい。
【0064】
次に、各種の交通機関と管制室(情報集約サーバ8)との通信手段について、バスロケーションシステムでは、車輌毎にGPSで把握した車輌位置、通過時刻等の走行情報を収集し、各車輌毎に収集された走行情報を収集する手段としては、携帯電話のパケット通信、或いは例えば、 5.8GHz-DSRC路車間通信の技術を利用すればよい。
【0065】
また、電車では、誘導無線方式や漏洩同軸ケーブル方式を利用できる。誘導無線方式は、線路沿いに誘導線を敷設し、これを用いてLF帯による通信を行う。漏洩同軸ケーブル方式は、長いトンネル内に漏洩同軸ケーブルを敷設し、これを用いてVHF帯による通信を行う。一般的にLF帯通信よりVHF帯通信による方が伝送可能な情報量が大きいので、この漏洩同軸ケーブル方式を用いればよい。
【0066】
次に、ユーザ端末について、図4、図5、図6、図7及び図8を参照する。図4は、情報端末の構成例を示す図、図5は、利用開始の処理手順を示すフローチャート、図6は、利用終了の処理手順を示すフローチャート、図7は、処理項目選択の処理手順を示すフローチャート、図8は、セッション終了時の処理手順を示すフローチャートである。図4、図5、図6、図7及び図8に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図4において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0067】
ユーザ端末61〜6n(図1)は、車輛4内で用いられる通信可能な情報端末6(図4)で構成され、カメラ機能を備えるとともに、情報中継手段である情報集約サーバ8との送受信を行う送受信機能を備えている。そこで、このユーザ端末61〜6nは、同じように情報のやり取りを行うことが可能である。
【0068】
この情報端末6は、図4に示すように、機器情報設定部20と、車輛識別情報取込部22と、通信処理部24と、表示部26と、入力部28とを備えている。
【0069】
機器情報設定部20は、機器情報の設定手段の一例であって、情報端末6を識別するための固有情報として例えば、識別記号が設定される。
【0070】
車輛識別情報取込部22は、エリア識別情報である既述の車輛識別図形5を取り込む手段であって、車輛識別図形5の画像情報を取得する例えば、カメラで構成される。
【0071】
通信処理部24は、情報集約サーバ8の他、イベントサーバ14等の情報源と情報の送受のための有線又は無線の通信手段であり、情報要求や取得情報等、各種の情報の送受を行うため、車輛4内では、ネットワーク15を通じて情報集約サーバ8にアクセスする。
【0072】
表示部26は情報要求や取得情報等の各種の情報の提示手段であって、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)表示器で構成される。
【0073】
入力部28は、接続のための入力や情報要求等の各種の情報を入力する手段であって、例えば、キーボードで構成される。
【0074】
そこで、この情報端末6で構成されたユーザ端末61〜6nを利用するには、利用開始処理(図5)を実行する。
【0075】
この処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、図5に示すように、情報集約サーバ8に対し、利用開始のリクエストを送出し(ステップS301)、リクエスト送出の後、ユーザ端末の固有情報の送出を行い(ステップS302)、車輛識別図形5の入力を行い(ステップS303)、セッション(Session )IDの取得を行い(ステップS304)、利用開始の処理を終了し、初期状態に戻る。
【0076】
また、利用終了の場合には、利用終了処理(図6)を実行する。この処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、図6に示すように、接続中の情報集約サーバ8に対し、利用終了のリクエストを送出し(ステップS311)、取得しているセッションIDを破棄し(ステップS312)、利用終了処理を完了する。
【0077】
また、情報提供における処理項目の選択は、処理項目選択処理(図7)により実行される。この処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、選択された処理項目に取得済みのセッションIDを付加し、情報集約サーバ8に送出し(ステップS321)、レスポンスを取得し(ステップS322)、そのレスポンスを表示し(ステップS323)、この選択処理を終了する。
【0078】
また、セッション終了の処理はセッション終了処理(図8)により実行される。この処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、情報集約サーバ8からのセッション終了メッセージを受け(ステップS331)、セッションIDを破棄し(ステップS332)、この終了処理を完了する。
【0079】
次に、情報集約サーバについて、図9、図10及び図11を参照する。図9は、情報集約サーバの構成例を示す図、図10は、通信開始の処理手順を示すフローチャート、図11は、通信終了の処理手順を示すフローチャートである。図9、図10及び図11に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図9において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0080】
情報集約サーバ8は、ユーザ端末61〜6nに対する一次サーバとして一意的なセッションIDを割り当て、メインサーバ12との間で安定した通信経路を確保するとともに、ユーザ端末61〜6nとの通信を集約させるバッファ機能を備える情報中継手段として構成される。そこで、この情報集約サーバ8は、図9に示すように、車輛固有情報蓄積部30と、メインサーバ通信部32と、端末通信バッファ34と、セッションID割当部36と、端末通信部38とを備えている。
【0081】
車輛固有情報蓄積部30は、車輛の既述の固有情報を蓄積する蓄積手段の一例であって、メインサーバ通信部32を通してメインサーバ12から取得した車輛の固有情報として車輌識別符号を登録する。
【0082】
メインサーバ通信部32は、メインサーバ12との通信手段であって、例えば、メインサーバ12とは漏洩同軸ケーブル(LCX)40を用いてVHF帯通信により、イベントサーバ14とは無線通信により、情報の送受を行う。
【0083】
端末通信バッファ34は、ユーザ端末61〜6nとの通信を集約させるバッファ手段であって、情報中継する手段である。
【0084】
セッションID割当部36は、情報要求があったユーザ端末61〜6nに対しセッションIDを割り当てる手段である。
【0085】
端末通信部38は、公衆回線等のネットワーク15を介してユーザ端末61〜6nと接続される通信手段であって、ユーザ端末61〜6nからの情報要求等の受領や、取得情報の提供等のための通信を行う。
【0086】
ユーザ端末61〜6nとメインサーバ12との間で安定した通信経路を確保するために、車輛4の軌道に沿って漏洩同軸ケーブル40が敷設され、VHF帯による通信を実現する。この場合、漏洩同軸ケーブル40をメインサーバ12側のアンテナとし、各車輌4毎に設けた情報集約サーバ8にメインサーバ12との通信を行うのに必要なアンテナ及び通信機を設置し、これを情報集約サーバ8側の通信インターフェイスに対する入力とすればよい。
【0087】
この情報集約サーバ8では、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例として、送受される情報の中継処理が実行され、この中継処理には、通信開始時の処理(図10)と、通信終了時の処理(図11)とが含まれる。
【0088】
通信開始時の処理手順は、図10に示すように、ユーザ端末61〜6nから通信開始リクエストを受け付け(ステップS401)、ユーザ端末61〜6nの例えば、ハードウェアを識別するための機器識別情報を取得し(ステップS402)、機器識別情報を取得した機器即ち、ユーザ端末にセッションIDが定義されているか否かを判断し(ステップS403)、セッションIDが定義されていれば(ステップS403のYES)、車輛4内に設けられた車輛識別図形5の入力を行い(ステップS404)、セッションIDを当該機器との通信に対して割り当て、車輛識別図形5と関連付け(ステップS405)、この通信開始処理を終了する。また、ステップS403において、ユーザ端末にセッションIDが未定義であれば(ステップS403のNO)、この処理を終了する。
【0089】
また、通信終了時の処理手順は、図11に示すように、セッションIDを割り当てている全てのユーザ端末61〜6nについて、無通信時間が制限時間を超えているかのチェック処理を実行する(ステップS411)。このチェック処理では、制限時間を超えているか否かの判定を行い(ステップS412)、制限時間を超えていなければ(ステップS412のNO)、当該ユーザ端末から通信終了リクエストを受理したか否かを判断し(ステップS413)、通信終了リクエストを受理していれば(ステップS413のYES)、当該ユーザ端末に対して割り当てられたセッションIDを破棄し(ステップS414)、この処理を終了する。
【0090】
ステップS412において、制限時間を超えていれば(ステップS412のYES)、ユーザ端末に処理終了メッセージを送信し(ステップS415)、ステップS414に移行し、同様に、当該ユーザ端末に対して割り当てられたセッションIDを破棄し、この通信終了処理を終了する。
【0091】
制限時間を超えていない場合であっても、当該ユーザ端末から通信終了リクエストを受理していなければ(ステップS413のNO)、この通信処理を継続する。
【0092】
このように情報集約サーバ8は、通信の開始時及び終了時、ユーザ端末61〜6nからの情報に対しては、その機器に対応したセッションIDが常に付加され、「この問い合わせはどの端末からなされたものか」又は「このレスポンスはどの端末に対して送るべきか」を判断する。
【0093】
また、情報集約サーバ8では、全ての問い合わせは一旦、端末通信バッファ34に蓄積され、一定時間毎にメインサーバ12に対して端末通信バッファ34に蓄積された問い合わせを送る。また、問い合わせに対するレスポンスも一旦、端末通信バッファ34に蓄積された後、適切な送信先に対して送付する。イベントサーバ14への問い合わせに関しては、これもメインサーバ12を介して行うため、イベントサーバ14への問い合わせであることを示すタグを付けた上でメインサーバ12へ送付する。
【0094】
次に、メインサーバについて、図12及び図13を参照する。図12は、メインサーバの構成例を示す図、図13は、情報取得の処理手順を示すフローチャートである。図12及び図13に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図12において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0095】
メインサーバ12は、情報集約サーバ8からの情報要求に対して車輛属性情報等の各種の情報を提供する手段であり、図12に示すように、情報集約サーバ通信部42と、ポイント通過時刻取得部44と、タイムテーブル46、48と、比較部50と、イベントサーバ通信部52と、管制用情報処理装置54と、管制用情報取得部56とを備えている。
【0096】
情報集約サーバ通信部42は、情報集約サーバ8との通信手段であって、情報集約サーバ8との情報の送受を行う。ポイント通過時刻取得部44は、交通機関に属する路線上の一定距離毎に設けられたポイントの通過時刻を取得する手段である。
【0097】
タイムテーブル46は、実時間の蓄積手段であって、交通機関に属する全ての列車について、交通機関に属する路線上の駅における実際の発時刻/着時刻/通過時刻及び当該交通機関に属する路線上の一定距離毎に設けられたポイントの実際における通過時刻を蓄積する。その現時点において、まだ走行していない列車についてはタイムテーブル46は空であるし、まだ実際に通過していない区間に関しては当該区間に関するデータは空となる。
【0098】
また、タイムテーブル48は、予定時間の蓄積手段であって、交通機関に属する全ての列車について、当該交通機関に属する路線上の駅における発予定時刻/着予定時刻/通過予定時刻及び当該交通機関に属する路線上の一定距離毎に設けられたポイントの通過予定時刻を蓄積する。
【0099】
比較部50は、予定時間と実時間とを比較し、遅延状況を算出する算出手段であって、タイムテーブル46にある実時間と、タイムテーブル48にある予定時間とを比較し、交通機関に属する全路線でのリアルタイムでの遅延状況を算出し、その算出結果を情報集約サーバ通信部42に提供する。
【0100】
イベントサーバ通信部52は、イベントサーバ14との情報の送受のための通信を行う通信手段であって、既述のネットワーク16を介してイベントサーバ14と接続されている。
【0101】
管制用情報処理装置54は列車等の管制用情報処理手段であり、管制用情報取得部56は、管制用情報処理装置54から管制情報が提供されるとともに、比較部50から遅延状況を表す情報が提供される。管制情報は管制用情報取得部56から情報集約サーバ通信部42に伝えられ、情報集約サーバ8に提供される。
【0102】
このようなメインサーバ12によれば、現時刻において遅延が発生している各列車について、遅延状態回復の必要性の有無、当該遅延が回復するまでの所要時間が判っているならば、それに関する情報の提供も行う。また、タイムテーブル48に記載されている列車について、走行スケジュールの変更(例えば、運行中止又は走行区間の変更)を行う列車についてはその変更内容に関する情報が情報集約サーバ通信部42を介して情報集約サーバ8に提供される。
【0103】
このメインサーバ12の情報取得の処理は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、その処理手順は、図13に示すように、情報集約サーバ通信部42からの情報取込みにより(ステップS501)、通信相手がイベントサーバ14であるか否かを判断し(ステップS502)、通信相手がイベントサーバ14であれば(ステップS502のYES)、イベントサーバ通信部52にデータを送出する(ステップS503)。
【0104】
また、通信相手がイベントサーバ14でなければ(ステップS502のNO)、通信内容を判断し(ステップS504)、通信内容がポイント通過時刻報告であれば、ポイント通過時刻取得部44にデータを送出し、タイムテーブル46のデータを書き換え(ステップS505)、通信内容が管制情報であれば、管制用情報取得部56から管制情報、タイムテーブル46、48の時間情報を比較する比較部50から比較結果を表す情報を取得する(ステップS506)。
【0105】
次に、イベントサーバについて、図14、図15、図16、図17及び図18を参照する。図14は、イベントサーバの構成例を示す図、図15は、ユーザ登録の処理手順を示すフローチャート、図16は、情報機器登録の処理手順を示すフローチャート、図17は、イベント参照の処理手順を示すフローチャート、図18は、イベント情報の処理手順を示すフローチャートである。図14、図15、図16、図17及び図18に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図14において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0106】
イベントサーバ14は、既述の二次サーバ10の一例であって、例えば、車輛4の到着駅やその周辺における各種イベント情報の蓄積、ユーザのスケジュール情報や、嗜好等の選択条件を表す情報の登録等を実行し、ユーザのスケジュールや嗜好に合わせた情報を提供する情報提供手段である。このイベントサーバ14は、図14に示すように、イベント情報蓄積部58と、ユーザ情報データベース70と、観覧予定データベース72と、情報抽出部74とを備えている。
【0107】
イベント情報蓄積部58は、イベント情報を蓄積する手段であって、ネットワーク16(図1)を通して又はイベントサーバ14の開設事業者、サービス提供事業者、ユーザ等により、各種のイベント情報が登録され、蓄積される。
【0108】
ユーザ情報データベース70は、ユーザに関する情報としてユーザ個人のスケジュール情報や嗜好や趣味等をユーザ毎に登録する登録手段である。このユーザ情報データベース70は既述のユーザ端末61、62・・・6nによって登録される。スケジュールとして例えば、ユーザ(利用者)が観覧予定等を登録する。
【0109】
観覧予定データベース72は、ユーザが観覧予定イベントに関する情報を登録する登録手段である。
【0110】
情報抽出部74は、スケジュールや嗜好等の他、表示を行うか否か等を選択条件とし、提供情報を選択するフィルタが設定され、情報のフィルタリング処理を実行する手段であって、このフィルタリング処理では、例えば、イベント情報蓄積部58にある全てのイベント情報から、ユーザが必要とする情報を抽出する。その出力形態は情報として出力すればよく、例えば、ユーザ端末61、62・・・6nの表示手段に表示してもよい。この場合、フィルタを定義する場合には基本的に抽出後の表示がどうなるか確認しながら行う。
【0111】
このイベントサーバ14は、ユーザが車輛4からのアクセスだけでなく、自宅からもアクセスできるようなサーバであって、基本的にはサービス提供業者が独自のサーバとして置いてもよいが、ユーザがオリジナルサーバを設置し、これをイベントサーバ14として用いてもよい。その場合、情報集約サーバ8からのアクセスがいつでも可能とするため、常時稼動状態に維持することが望ましい。
【0112】
このイベントサーバ14の処理手順は、情報提供方法又は情報提供プログラムの一例であって、ユーザ登録処理(図15)、情報機器登録処理(図16)、イベント情報参照処理(図17)、検索処理(図18)等が含まれる。
【0113】
ユーザ(利用者)登録の処理手順は、図15に示すように、ユーザ登録の処理を選択し、通信先がイベントサーバ14か否かを判断し(ステップS601)、通信先がイベントサーバ14であれば(ステップS601のYES)、ユーザ登録としてユーザアカウント、パスワード及び他のユーザ情報を登録し(ステップS602)、このユーザ登録処理を完了する。
【0114】
ユーザ端末61、62・・・6n等の情報機器登録の処理手順は、図16に示すように、登録対象である情報機器からのユーザアカウント、パスワードの入力を促す(ステップS611)。これに応じて情報機器の固有情報を取得し、その登録を行う(ステップS612)。これにより情報機器の登録処理を完了する。
【0115】
イベント情報参照の処理手順は、図17に示すように、現在の日時を取得し(ステップS621)、ユーザアカウントを取得する(ステップS622)。イベント情報蓄積部58にある全イベント情報から現在観覧可能なものを抽出し(ステップS623)、当該ユーザが当日観覧するものとして観覧予定データベース72に登録しているものを抽出し(ステップS624)、その抽出結果を単数又は複数の観覧候補とする(ステップS625)。この観覧候補に基づき、イベント情報の参照が実行される。
【0116】
そして、取得した観覧候補について、検索処理(図18)を実行する。この検索処理では、当該イベントの開催場所の情報を取得する(ステップS631)。この取得情報から開催場所への到達経路を求め(ステップS632)、当該経路の遅延情報を取得する(ステップS633)。この遅延情報は、メインサーバ12にある遅延情報等を参照すればよい。
【0117】
取得した遅延情報に基づき、その遅延が開催場所への到達に影響を与えるか否かを判定する(ステップS634)。その遅延が開催場所への到達に影響を与える場合には(ステップS634のYES)、ユーザに告知し、経路変更等の選択に必要な情報を提供し(ステップS635)、この処理を終了する。
【0118】
また、その遅延が開催場所への到達に影響を与えない場合には(ステップS634のNO)、その情報をユーザに通知し(ステップS636)、この処理を終了する。
【0119】
以上述べた情報提供システム2Aについて、その特徴事項や利点等を列挙する。
【0120】
(1) 車輌4に情報中継手段として情報集約サーバ8を設置したので、外部との安定した情報のやり取りを行うことができる。
【0121】
(2) 情報を取得しようとしているユーザ(乗客)は、現在乗車している車輌4から適切な情報を取得し、得られたこの車輌属性情報と併せてユーザは自己の有する識別符号を車輌4側の情報集約サーバ8に対して情報提供要求を送信すればよい。情報集約サーバ8は必要に応じて適切な情報を付加した上でメインサーバ12及び/又はイベントサーバ14に対して情報提供要求を送信すればよい。
【0122】
(3) ユーザのリクエストを受け取ったメインサーバ12及び/又はイベントサーバ14は、そのリクエストを発したユーザに対してそのユーザの降車駅(又は降車する意思の有無に関係なく降車が可能な駅)に関する情報を提供する。
【0123】
(4) ユーザの嗜好に関する選択条件を表す情報が予め登録されていれば、必要に応じて、その嗜好条件を元にして上記の降車駅に関する情報の中から不要な情報を廃棄し、必要な情報をユーザに提供することができる。
【0124】
(5) 情報提供システム2Aでは、電車やバス等の車輌4の内部に車輌を識別するための記号列あるいは図形(識別記号)を設置し、車輌4のユーザから識別記号等を添えてアクセスが行われた場合には、当該識別記号等に該当する車輌に関する「路線名」、「種別」、「終点駅」、「車輌番号」、「遅延が発生している場合にはその遅延原因及び見込まれる遅延時間」等の当該車輌に関する情報(車輌属性情報)をアクセスを行ったユーザ端末に対して提供することができる。
【0125】
(6) 車輌4は、電磁波又は赤外線等の伝送線を用いない手段によるローカルエリアネットワークを持ち、車輌4のユーザ(乗客)に対してネットワーク15等を介して車輌4の外部との情報のやりとりが許可され、ユーザから外部の情報提供源への接続依頼があった場合には、ユーザ(乗客)からの情報に対して車輌4に関する車輌属性情報の全部もしくは一部を付加した上で情報提供源への接続を行うことができ、ユーザに車輌4に関する車輌属性情報を提供することができる。
【0126】
(7) 車輌属性情報の他、停車駅又は停留所(降車駅)に関する情報及びその駅周辺の施設に関する情報を提供することができる。
【0127】
(8) 事前にユーザが自己の嗜好に関する情報を登録すれば、提供情報中からユーザの嗜好に沿った情報のみを抽出し提供することができる。
【0128】
(9) ユーザか乗車中又は乗車前に降車駅の位置を指定することにより停車駅だけでなく降車駅に関する情報を提供することもできる。
【0129】
(10) 電車等の交通機関の利用中に駅の周辺に関する情報を容易に得ることができ、利便性の高い情報を得ることができる。
【0130】
(11) 情報提供に関し、現在地又は任意の駅で実際に行動の起点にすることができない地点であるか否かに関係なく、行動起点にすることが可能な地点から情報を組み立ててユーザに取って有益な情報を提供することができる。
【0131】
(12) 電車の運行スケジュールに乱れが生じた場合でも車中から遅延情報等を取得でき、ユーザは直ちに対応することができ、行動の安全性確保にも寄与する。
【0132】
〔第2の実施の形態〕
【0133】
第1の実施の形態の情報提供システム2Aでは、情報集約サーバ8がメインサーバ12のみに接続されているが、図19に示すように、第2の実施の形態の情報提供システム2Bでは、情報集約サーバ8がイベントサーバ14に直結されている。斯かる構成とすれば、情報集約サーバ8とイベントサーバ14とがメインサーバ12を介することなく情報の送受を迅速に行うことができる。その他の構成は、情報提供システム2Aと同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0134】
〔第3の実施の形態〕
【0135】
第1の実施の形態の情報提供システム2A(図1)では、メインサーバ12がインターネット等のネットワーク16を介して接続されているが、図20に示すように、第3の実施の形態の情報提供システム2Cでは、メインサーバ12がイベントサーバ14に直結されたものである。斯かる構成とすれば、ネットワーク16を介することなくメインサーバ12とイベントサーバ14との情報の送受を迅速に行うことができる。その他の構成は、情報提供システム2Aと同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
〔第4の実施の形態〕
【0137】
情報集約サーバ8及びイベントサーバ14の接続関係について、第4の実施の形態の情報提供システム2Dでは、図21に示すように、情報集約サーバ8がネットワーク16を介してイベントサーバ14に接続したものである。斯かる構成としても、情報集約サーバ8はイベントサーバ14との間で情報の送受を行うことができる。その他の構成は、情報提供システム2Aと同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0138】
〔第5の実施の形態〕
【0139】
第1の実施の形態の情報提供システム2A(図1)では、ユーザ端末61、62・・・6nとイベントサーバ14との別個に設置されているが、第5の実施の形態の情報提供システム2Eでは、図22に示すように、ユーザ端末60とイベントサーバ14とを単一のユーザの個人所有に係る情報機器として構成したものである。車輛識別図形5(図1)に代え、車輛識別コード7であってもよい。その他の構成は、情報提供システム2Aと同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
〔他の実施の形態〕
【0141】
(1) 上記実施の形態では、特定のエリアとして車輛4を例示したが、本発明が対象とするエリアは、特定の地域、建造物、その室内、人的な集団等の各種の集合体又は空間であって、上記実施の形態に限定されるものではない。そこで、エリア識別情報は、車輛4の場合に、車輛識別情報であるが、地域であれば地域識別情報、建造物であれば建造物識別情報、室内であれば室内識別情報、人的な集団であれば集団識別情報であり、これらのエリアに関する属性情報は、車輛に関する車輛属性情報、地域に関する地域属性情報、建造物に関する建造物属性情報、室内に関する室内属性情報、人的な集団であれば集団属性情報であってもよい。
【0142】
(2) 取得する情報の抽出に関し、フィルタリング処理は、メインサーバ12、イベントサーバ14、情報集約サーバ8又はユーザ端末61〜6nの何れで行ってもよく、実施の形態の態様に限定されるものではない。
【0143】
(3) 情報提供システム2A、2B、2C、2D、2Eのユーザ端末、情報集約サーバ、メインサーバ及びイベントサーバについて、図23、図24、図25、図26及び図27を参照する。図23は、ユーザ端末のハードウェアを示す図、図24は、携帯装置を示す図、図25は、パーソナルコンピュータ(PC)を示す図、図26は、PDAを示す図、図27は、コンピュータを示す図である。図23、図24、図25、図26及び図27に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図23〜図27において、図1、図4、図9、図12、図14と同一部分には同一符号を付してある。
【0144】
ユーザ端末61、62・・・6nは、通信機能を備えたコンピュータであって、図23に示すように、プロセッサ78、表示部80、入力操作部82、プログラム記憶部84、データ記憶部86、RAM(Random-Access Memory)88、通信処理部90、撮像部92、音声入出力部94を備えている。
【0145】
プロセッサ78は、プログラム記憶部84に格納されているOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを実行し、既述の情報提供プログラムの情報端末側で実行される情報提供サブルーチンを実行し、情報要求や情報要求に対応する情報を取得するとともに、各種機能部の制御を実行する。
【0146】
入力操作部82は、情報入力手段であって、キーボード等で構成される。プログラム記憶部84は、記録媒体で構成され、既述のOSや各種アプリケーションプログラムの他、既述の情報提供サブルーチン等のプログラムを格納している。
【0147】
データ記憶部86は、情報端末側の固有情報やユーザ情報の他、取得した各種情報を格納する記録媒体で構成されている。RAM88は、ワークエリアである。通信処理部90は、有線通信、無線通信、近距離無線通信の通信手段であって、無線通信部96及び近距離無線通信部98に接続され、これら通信部96、98を制御する。無線通信部96は、アンテナ100を備え、公衆回線を用いた基地局との無線通信を行う。また、近距離無線通信部98はアンテナ102を備え、ブルトゥース規格等の通信の他、既述のネットワーク15による通信を実行する。
【0148】
撮像部92はカメラ機能部であって、撮像により既述の車輛識別図形5を画像情報として取り込む手段である。
【0149】
また、音声入出力部94は、レシーバ104、スピーカ106及びマイクロフォン108を備え、レシーバ104及び/又はスピーカ106による音声再生、マイクロフォン108による音声の取り込みを行う。
【0150】
このようなハードウェア構成により、既述の機器情報設定部20が入力操作部82、プロセッサ78、データ記憶部86又は撮像部92で構成され、車輛識別情報取込部22が撮像部92、プロセッサ78又は入力操作部82で構成され、通信処理部24がプロセッサ78、通信処理部90、無線通信部96又は近距離無線通信部98等で構成され、表示部26は表示部80に対応し、入力部28が入力操作部82等で構成される。
【0151】
このようなユーザ端末61、62・・・6nには、図24に示すように、無線通信機能、電話通信機能、情報処理機能を備える携帯装置110を用いてもよいし、図25に示すように、同様の機能を備えたPC112であってもよいし、また、図26に示すように、PDA114であってもよい。図24、図25及び図26において、図23と共通部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
次に、情報集約サーバ8、メインサーバ12又はイベントサーバ14は、通信機能とともに情報蓄積機能、情報検索機能等を備えたコンピュータ116(図27)で構成すればよい。このコンピュータ116は、図27に示すように、プロセッサ118、入力部120、表示部122、通信部124、プログラム記憶部126、データ記憶部128、RAM130を備えている。
【0153】
プロセッサ118は、プログラム記憶部126にあるOSやアプリケーションプログラム、情報提供プログラムを実行し、各機能部を制御する。通信部124は、プロセッサ118の制御により、ネットワーク15の他、公衆回線による遠距離通信や、近距離通信を実行する。プログラム記憶部126には、OSやアプリケーションプログラムの他、情報提供プログラムを実行する。データ記憶部128は固有情報や取得した各種の情報を格納する記録手段である。
【0154】
コンピュータ116で情報集約サーバ8(図9)を構成すれば、既述の車輛固有情報蓄積部30、セッションID割当部36、端末通信バッファ34がデータ記憶部128等で構成され、メインサーバ通信部32及び端末通信部38が通信部124で構成される。この場合、プロセッサ118では、情報提供プログラムの処理を実行し、例えば、情報集約サーバ8に割り当てられた情報中継処理のサブルーチンを実行する。
【0155】
コンピュータ116でメインサーバ12(図12)を構成すれば、情報集約サーバ通信部42、イベントサーバ通信部52及び管制用情報取得部56が通信部124で構成され、既述のポイント通過時刻取得部44がプロセッサ118、通信部124等で構成され、比較部50がプロセッサ118で構成され、タイムテーブル46、48がデータ記憶部128で構成され、また、管制用情報処理装置54がプロセッサ118、プログラム記憶部126、RAM130等で構成される。この場合、プロセッサ118では、情報提供プログラムの処理を実行し、例えば、メインサーバ12に割り当てられた情報の取得、情報選択処理、提供処理のサブルーチンを実行する。
【0156】
コンピュータ116でイベントサーバ14(図14)を構成すれば、イベント情報蓄積部58、ユーザ情報データベース70及び観覧予定データベース72がデータ記憶部128で構成され、また、情報抽出部74がプロセッサ118、プログラム記憶部126、データ記憶部128及びRAM130で構成され、フィルタ設定情報がデータ記憶部128に格納される。この場合、プロセッサ118では、情報提供プログラムの処理を実行し、例えば、イベントサーバ14に割り当てられた情報の取得、情報選択処理、提供処理のサブルーチンを実行する。
【0157】
(4) 上記実施の形態では、エリア識別情報の格納手段の一例として車輛4を例示したが、エリア識別情報の格納手段は、車輛4のようにエリアを区画する手段の他、電子的な手段であってもよく、エリア識別情報が電子情報であれば、記録媒体であってもよく、情報集約サーバ8を構成する例えば、コンピュータ116のデータ記憶部128をエリア識別情報の格納手段に用いてもよい。また、エリア識別情報の格納手段にIC(Integrated Circuit)チップを用いてもよい。
【0158】
次に、以上述べた本発明の実施の形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0159】
(付記1) 自装置が設置されているエリアを識別するエリア識別情報を格納する格納手段と、
前記エリア識別情報を含む情報要求を発した単数又は複数の情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【0160】
(付記2) 付記1の情報提供装置において、
前記エリア属性情報は、前記エリアが車輛である場合、少なくとも車輛の路線、終点駅、車輛番号、遅延情報、見込まれる遅延時間の何れかを含むことを特徴とする情報提供装置。
【0161】
(付記3) 付記1の情報提供装置において、
前記エリアは、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して情報の送受を行う情報中継手段を備えており、該情報中継手段は、前記情報端末からの前記エリア識別情報を含む前記情報要求に対し、前記エリア識別情報の全部又は一部を付加して前記情報提供手段に接続され、前記情報提供手段から得られる情報を前記情報端末に提供することを特徴とする情報提供装置。
【0162】
(付記4) 付記3の情報提供装置において、
前記情報提供手段は、前記エリア識別情報で特定される第1の情報を前記情報中継手段に提供する第1の情報源と、
前記第1の情報源の前記第1の情報又は情報端末ユーザの登録情報に関する第2の情報を提供する単数又は複数の第2の情報源と、
を含むことを特徴とする情報提供装置。
【0163】
(付記5) 付記1の情報提供装置において、
前記エリアが車輛であり、前記エリア属性情報は、車輛の運行に関する車輛属性情報又は該車輛属性情報に停車駅及びその周辺施設に関する情報を付加した情報であることを特徴とする情報提供装置。
【0164】
(付記6) 付記4の情報提供装置において、
前記第2の情報源に前記情報端末ユーザが情報の選択条件を登録し、該選択条件によって選択された情報を前記情報中継手段に提供することを特徴とする情報提供装置。
【0165】
(付記7) 特定のエリアのエリア識別情報を取得する工程と、
情報端末が前記エリア識別情報を含む情報要求を発する工程と、
前記情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を情報提供手段から提供する工程と、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【0166】
(付記8) コンピュータによって実行される情報提供プログラムであって、
特定のエリアのエリア識別情報を取得するステップと、
情報端末が前記エリア識別情報を含む情報要求を発するステップと、
前記情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を情報提供手段から提供するステップと、
をコンピュータに実行させる情報提供プログラム。
【0167】
(付記9) 少なくともエリア内の情報端末に情報を提供する情報提供システムであって、
前記エリアを識別するエリア識別情報を格納する格納手段と、
前記エリア識別情報を含む情報要求を発し、該情報要求に対する情報を取得する単数又は複数の情報端末と、
前記情報端末が前記情報要求を発した際に、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を提供する情報提供手段と、
前記エリアに設置され、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して接続され、前記情報端末から発せられた前記情報要求、前記情報提供手段から提供される前記情報要求に対する応答情報を中継する情報中継手段と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【0168】
(付記10) 付記9の情報提供システムにおいて、
前記エリア属性情報は、前記エリアが車輛である場合、少なくとも車輛の路線、終点駅、車輛番号、遅延情報、見込まれる遅延時間の何れかを含むことを特徴とする情報提供システム。
【0169】
(付記11) 付記9の情報提供システムにおいて、
前記エリアは、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して情報の送受を行う情報中継手段を備えており、該情報中継手段は、前記情報端末からの前記エリア識別情報を含む前記情報要求に対し、前記エリア識別情報の全部又は一部を付加して前記情報提供手段に接続され、前記情報提供手段から得られる情報を前記情報端末に提供することを特徴とする情報提供システム。
【0170】
(付記12) 付記11の情報提供システムにおいて、
前記情報提供手段は、前記エリア識別情報で特定される第1の情報を前記情報中継手段に提供する第1の情報源と、
前記第1の情報源の前記第1の情報又は情報端末ユーザの登録情報に関する第2の情報を提供する単数又は複数の第2の情報源と、
を含むことを特徴とする情報提供システム。
【0171】
(付記13) 付記9の情報提供システムにおいて、
前記エリアが車輛であり、前記エリア属性情報は、車輛の運行に関する車輛属性情報又は該車輛属性情報に停車駅及びその周辺施設に関する情報を付加した情報であることを特徴とする情報提供システム。
【0172】
(付記14) 付記12の情報提供システムにおいて、
前記第2の情報源に前記情報端末ユーザが情報の選択条件を登録し、該選択条件によって選択された情報を前記情報中継手段に提供することを特徴とする情報提供システム。
【0173】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明は、車輛、建造物等の特定エリア内の端末に対する情報提供に関し、車輛、建造物等の特定エリアに存在する情報端末からエリア識別情報を含む情報要求が発せられた際に、ダイヤ情報、路線情報、乗換情報等、エリアに関するエリア属性情報を情報端末に安定且つ迅速に提供することができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】第1の実施の形態に係る情報提供システムを示す図である。
【図2】情報提供の処理手順のシーケンスを示す図である。
【図3】プロセス処理手順を示すフローチャートである。
【図4】情報端末の構成例を示す図である。
【図5】利用開始の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】利用終了の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】処理項目選択の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】セッション終了時の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】情報集約サーバの構成例を示す図である。
【図10】通信開始の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】通信終了の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】メインサーバの構成例を示す図である。
【図13】情報取得の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】イベントサーバの構成例を示す図である。
【図15】ユーザ登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】情報機器登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】イベント参照の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】イベント情報の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態に係る情報提供システムを示す図である。
【図20】第3の実施の形態に係る情報提供システムを示す図である。
【図21】第4の実施の形態に係る情報提供システムを示す図である。
【図22】第5の実施の形態に係る情報提供システムを示す図である。
【図23】ユーザ端末のハードウェアを示す図である。
【図24】携帯装置を示す図である。
【図25】パーソナルコンピュータを示す図である。
【図26】PDAを示す図である。
【図27】コンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【0176】
2A、2B、2C、2D、2E 情報提供システム
4 車輛
61、62、・・・6n ユーザ端末
8 情報集約サーバ(一次サーバ)
10 二次サーバ
12 メインサーバ
14 イベントサーバ
15、16 ネットワーク
20 機器情報設定部
22 車輛識別情報取込部
24 通信処理部
26 表示部
28 入力部
30 車輛固有情報蓄積部
32 メインサーバ通信部
34 端末通信バッファ
36 セッションID割当部
38 端末通信部
40 漏洩同軸ケーブル
42 情報集約サーバ通信部
44 ポイント通過時刻取得部
46 タイムテーブル(実時間)
48 タイムテーブル(予定時間)
50 比較部
52 イベントサーバ通信部
54 管制用情報処理装置
56 管制用情報取得部
58 イベント情報蓄積部
70 ユーザ情報データベース
72 観覧予定データベース
74 情報抽出部
78 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が設置されているエリアを識別するエリア識別情報を格納する格納手段と、
前記エリア識別情報を含む情報要求を発した単数又は複数の情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1の情報提供装置において、
前記エリアは、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して情報の送受を行う情報中継手段を備えており、該情報中継手段は、前記情報端末からの前記エリア識別情報を含む前記情報要求に対し、前記エリア識別情報の全部又は一部を付加して前記情報提供手段に接続され、前記情報提供手段から得られる情報を前記情報端末に提供することを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
特定のエリアのエリア識別情報を取得する工程と、
情報端末が前記エリア識別情報を含む情報要求を発する工程と、
前記情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を情報提供手段から提供する工程と、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項4】
コンピュータによって実行される情報提供プログラムであって、
特定のエリアのエリア識別情報を取得するステップと、
情報端末が前記エリア識別情報を含む情報要求を発するステップと、
前記情報端末に対し、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を情報提供手段から提供するステップと、
をコンピュータに実行させる情報提供プログラム。
【請求項5】
少なくともエリア内の情報端末に情報を提供する情報提供システムであって、
前記エリアを識別するエリア識別情報を格納する格納手段と、
前記エリア識別情報を含む情報要求を発し、該情報要求に対する情報を取得する単数又は複数の情報端末と、
前記情報端末が前記情報要求を発した際に、少なくとも前記エリアに関するエリア属性情報を提供する情報提供手段と、
前記エリアに設置され、前記情報端末及び/又は前記情報提供手段とネットワークを介して接続され、前記情報端末から発せられた前記情報要求、前記情報提供手段から提供される前記情報要求に対する応答情報を中継する情報中継手段と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−286365(P2009−286365A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143842(P2008−143842)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】