説明

排気後処理装置

【課題】燃費の悪化を防止しつつパティキュレートマターを捕捉するフィルタを過昇温なく速やかに再生可能な排気後処理装置を提供する。
【解決手段】フィルタの強制再生を行う場合には、フィルタの排気流入口部分の目標温度Tftを設定し、当該目標温度Tftに応じて副燃料噴射の噴射量を設定するが、この際、目標温度Tft(=Tft1)についてはフィルタの再生開始後の経過期間trが短いほど低く設定する(B10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気後処理装置に係り、特に、ディーゼルエンジンの排気中に含まれるパティキュレートマターを捕捉するフィルタの再生時における過昇温を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ディーゼルエンジンの排気通路には一般に排気浄化触媒とともに煤等のパティキュレートマター(PM)を捕捉するフィルタが介装されており、これにより排気中の有害物質(CO、HC、NOx等)が酸化或いは還元されて除去されるとともに、PMの大気中への放散が防止される。
ところで、フィルタにはPMが堆積するが、当該PMはフィルタを加熱昇温することで燃焼除去され、これによりフィルタの再生が図られる。従って、一般に、フィルタへのPMの堆積量に応じて適宜フィルタを強制的に加熱昇温する、所謂強制再生が行われている。
【0003】
フィルタを加熱昇温するには、排気温度を上昇させることが有効であり、例えばディーゼルエンジンにおいて主噴射後の排気行程中に副燃料噴射(ポスト噴射)を行い、未燃燃料を排気通路内或いはフィルタ上流側に設けた酸化触媒で反応させて排気温度を昇温させる技術が開発されている。
そして、予めフィルタ入口目標温度を設定しておき、フィルタ入口温度が当該目標温度となるように噴射量を設定して副燃料噴射を行う技術が公知である(特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2006−242072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されるように、フィルタ入口目標温度に基づいて噴射量を設定して副燃料噴射を行うようにすると、副燃料噴射の噴射開始初期の段階、フィルタへのPM堆積量が多い場合、フィルタ内部の酸素濃度が高い場合、フィルタ内部の排気流量が少ない場合、フィルタ入口温度が急激に上昇した場合等において、例えばフィルタ入口目標温度の設定温度が高め設定であると、フィルタ内部の温度が異常に上昇し、フィルタが過昇温を招き易いという問題がある。
【0005】
このようなことから、例えばフィルタ入口目標温度を低めの所定値に設定して副燃料噴射を行うことも考えられる。
しかしながら、フィルタ入口目標温度を一律に低い所定値に設定してしまうと、過昇温は防止できるものの、全体的にフィルタの温度が低くなってしまい、フィルタに堆積したPMを燃焼させるのに時間を要し、強制再生を速やかに完了することができないという問題がある。
【0006】
そして、このようにPMの燃焼に時間を要することになると、結果的に燃料消費量が多くなるため、燃費の悪化に繋がり好ましいことではない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、燃費の悪化を防止しつつパティキュレートマターを捕捉するフィルタを過昇温なく速やかに再生可能な排気後処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の排気後処理装置は、内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートマターを捕捉するフィルタと、前記排気通路に前記フィルタの排気上流に位置して設けられた酸化触媒と、内燃機関の燃料噴射弁により主燃料噴射を行った後、排気行程で副燃料噴射を行う燃料噴射制御手段と、前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを除去して該フィルタの再生が必要なとき、前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことで排気温度を上昇させて前記酸化触媒を昇温させるとともに、未燃燃料を該酸化触媒で酸化反応させて前記フィルタを昇温させ、前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを燃焼除去して前記フィルタを強制的に再生させる強制再生手段と、前記強制再生手段により前記フィルタを強制的に再生させる際の前記フィルタの排気流入口部分の目標温度を設定するフィルタ入口目標温度設定手段とを備え、前記フィルタ入口目標温度設定手段は、前記強制再生手段による前記フィルタの再生開始後の経過期間を計時する再生期間計時手段を含み、該再生期間計時手段により計時される経過期間が短いほど前記目標温度を低く設定し、前記強制再生手段は、該目標温度に応じて前記副燃料噴射の噴射量を設定し前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2の排気後処理装置では、前記フィルタ入口目標温度設定手段は、前記フィルタに捕捉されるパティキュレートマターの堆積量を検出するパティキュレートマター堆積量検出手段を含み、該パティキュレートマター堆積量検出手段により検出されるパティキュレートマターの堆積量が多いほど前記目標温度を低く設定し、前記強制再生手段は、該目標温度に応じて前記副燃料噴射の噴射量を設定し前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3の排気後処理装置では、前記フィルタ入口目標温度設定手段は、前記強制再生手段による前記フィルタの再生開始後の経過期間を計時する再生期間計時手段を含み、該再生期間計時手段により計時される経過期間が短いほど前記目標温度を低く設定して第1目標温度を得るとともに、前記フィルタに捕捉されるパティキュレートマターの堆積量を検出するパティキュレートマター堆積量検出手段を含み、該パティキュレートマター堆積量検出手段により検出されるパティキュレートマターの堆積量が多いほど前記目標温度を低く設定して第2目標温度を得、前記強制再生手段は、前記第1目標温度及び前記第2目標温度のいずれか低い方の目標温度に応じて前記副燃料噴射の噴射量を設定し前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4の排気後処理装置では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記フィルタ入口目標温度設定手段は、さらに、前記フィルタ内部の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段を含み、該酸素濃度検出手段により検出される前記フィルタ内部の酸素濃度が高いほど前記目標温度を低く設定することを特徴とする。
請求項5の排気後処理装置では、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記フィルタ入口目標温度設定手段は、さらに、前記排気通路の排気流量を検出する排気流量検出手段を含み、該排気流量検出手段により検出される排気流量が少ないほど前記目標温度を低く設定することを特徴とする。
【0011】
請求項6の排気後処理装置では、請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記フィルタ入口目標温度設定手段は、さらに、前記フィルタの排気流入口部分の温度を検出するフィルタ入口温度検出手段を含み、該フィルタ入口温度検出手段により検出される温度の上昇率が大きいほど前記目標温度を低く設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の排気後処理装置によれば、フィルタの強制再生を行う場合には、フィルタの排気流入口部分の目標温度が設定され、当該目標温度に応じて副燃料噴射の噴射量が設定され、燃料噴射制御手段により副燃料噴射が行われてフィルタの強制再生が実施されることになるが、目標温度はフィルタの再生開始後の経過期間が短いほど低く設定される。
従って、フィルタの再生開始後、副燃料噴射の開始初期にはフィルタに堆積したPMが一気に燃焼に至る傾向にあり、フィルタが過昇温し易いのであるが、当該副燃料噴射の開始初期に近いほどフィルタの排気流入口部分の目標温度を低く設定することにより、フィルタを極力高温に至らないようにして該フィルタの過昇温を未然に防止することができる。一方、フィルタの再生開始後の経過期間に応じて目標温度を適切に可変設定することから、目標温度を必要以上に低く設定しないようにでき、故にフィルタの温度が低くなり過ぎてフィルタに堆積したPMの燃焼に時間を要することを回避でき、強制再生を速やかに完了して燃料消費量の増大を防止することができる。
【0013】
これにより、燃費の悪化を抑制しながら、フィルタの熱劣化を防止してフィルタの耐久性能を向上させることができる。また、例えば排気後処理装置が車両に搭載されている場合において、再生期間の長期化を抑えて車両の運転フィーリングの向上を図ることができる。
請求項2の排気後処理装置によれば、フィルタの強制再生を行う場合には、フィルタの排気流入口部分の目標温度はPMの堆積量が多いほど低く設定される。
【0014】
従って、PMのフィルタへの堆積量が多いと、PMが一気に燃焼したときにフィルタが過昇温し易いのであるが、PMの堆積量が多いほどフィルタの排気流入口部分の目標温度を低く設定することにより、フィルタを極力高温に至らないようにして該フィルタの過昇温を未然に防止することができる。一方、PMの堆積量に応じて目標温度を適切に可変設定することから、目標温度を必要以上に低く設定しないようにでき、故にフィルタの温度が低くなり過ぎてフィルタに堆積したPMの燃焼に時間を要することを回避でき、強制再生を速やかに完了して燃料消費量の増大を防止することができる。
【0015】
これにより、燃費の悪化を抑制しながらフィルタの耐久性能を向上させることができる。
請求項3の排気後処理装置によれば、フィルタの強制再生を行う場合には、フィルタの排気流入口部分の目標温度はフィルタの再生開始後の経過期間が短いほど低く設定されて第1目標温度とされるとともに、PMの堆積量が多いほど低く設定されて第2目標温度とされ、これら第1目標温度及び第2目標温度のいずれか低い方の目標温度に応じて副燃料噴射の噴射量が設定される。
【0016】
従って、フィルタの再生開始後、副燃料噴射の開始初期にはフィルタに堆積したPMが一気に燃焼に至る傾向にあり、フィルタが過昇温し易く、また、PMのフィルタへの堆積量が多いと、PMが一気に燃焼したときにフィルタが過昇温し易いのであるが、フィルタの再生開始後の経過期間に応じた第1目標温度とPMの堆積量に応じた第2目標温度のいずれか低い方の目標温度に応じて副燃料噴射の噴射量を設定することで、フィルタを極力高温に至らないようにして該フィルタの過昇温を未然に防止することができる。一方、フィルタの再生開始後の経過期間やPMの堆積量に応じて目標温度を適切に可変設定することから、目標温度を必要以上に低く設定しないようにでき、故にフィルタの温度が低くなり過ぎてフィルタに堆積したPMの燃焼に時間を要することを回避でき、強制再生を速やかに完了して燃料消費量の増大を防止することができる。
【0017】
これにより、効果的に燃費の悪化を抑制しながらフィルタの耐久性能を向上させることができる。
請求項4の排気後処理装置によれば、さらにフィルタ内部の酸素濃度が高いほどフィルタの排気流入口部分の目標温度は低く設定される。
従って、フィルタ内部の酸素濃度が高いと、PMが燃焼し易くフィルタが過昇温し易いのであるが、フィルタ内部の酸素濃度が高いほどフィルタの排気流入口部分の目標温度を低く設定することにより、フィルタを極力高温に至らないようにして該フィルタの過昇温を未然に防止することができ、燃費の悪化を抑制しながらフィルタの耐久性能をさらに向上させることができる。
【0018】
請求項5の排気後処理装置によれば、さらに排気流量が少ないほど目標温度は低く設定される。
従って、排気流量が少ないと、熱の持ち去りが少なくフィルタが過昇温し易いのであるが、排気流量が少ないほどフィルタの排気流入口部分の目標温度を低く設定することにより、フィルタを極力高温に至らないようにして該フィルタの過昇温を未然に防止することができ、燃費の悪化を抑制しながらフィルタの耐久性能をさらに向上させることができる。
【0019】
請求項6の排気後処理装置によれば、フィルタの排気流入口部分の温度の上昇率が大きいほど目標温度は低く設定される。
従って、フィルタの排気流入口部分の温度の上昇率が大きいと、フィルタ全体の温度上昇率も大きくなり、フィルタは過昇温し易いのであるが、当該温度の上昇率が大きいほどフィルタの排気流入口部分の目標温度を低く設定することにより、フィルタを極力高温に至らないようにして該フィルタの過昇温を未然に防止することができ、燃費の悪化を抑制しながらフィルタの耐久性能をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1は、車両に搭載された本発明に係る排気後処理装置が適用される4気筒のディーゼルエンジン(以下、エンジンという)のシステム構成図を示しており、図1に基づき本発明に係る排気後処理装置の構成を説明する。
エンジン1は各気筒共通の高圧蓄圧室(以下、コモンレールという)2を備えており、図示しない燃料噴射ポンプから供給されてコモンレール2に蓄えられた高圧の燃料である軽油を、各気筒に設けられたインジェクタ4に供給し、各インジェクタ4からそれぞれの気筒内に噴射する。
【0021】
吸気通路6にはターボチャージャ8が装備されており、エアクリーナ7から吸入された吸気は、吸気通路6からターボチャージャ8のコンプレッサ8aへと流入し、コンプレッサ8aで過給された吸気はインタークーラ10及び吸気制御弁12を介して吸気マニホールド14に導入される。
一方、エンジン1の各気筒から排気が排出される排気ポート(図示せず)は、排気マニホールド18を介して排気管(排気通路)20に接続されている。なお、排気マニホールド18と吸気マニホールド14との間には、EGR弁22を介して排気マニホールド18と吸気マニホールド14とを連通するEGR通路24が設けられている。
【0022】
排気管20はターボチャージャ8のタービン8bを経た後、排気絞り弁26を介して排気後処理ユニット30に接続されている。また、タービン8bの回転軸はコンプレッサ8aの回転軸と連結されており、タービン8bが排気管20内を流動する排気を受けてコンプレッサ8aを駆動する。
排気後処理ユニット30は、酸化触媒36が収容されると共に、この酸化触媒36の排気下流側にディーゼル・パティキュレート・フィルタ(以下、DPFという)38が収容されて構成されている。DPF38は、排気中のパティキュレートマター(以下、PMという)を捕集することによりエンジン1の排気を浄化するために設けられる。
【0023】
DPF38はハニカム型のセラミック担体からなり、上流側と下流側とを連通する通路が多数並設されると共に、通路の上流側開口と下流側開口とが交互に閉鎖されており、エンジン1の排気が内部を流通することによって排気中のPMを捕集する。
酸化触媒36は排気中のNOを酸化させてNOを生成するので、このように酸化触媒36とDPF38とを配置することにより、DPF38に捕集され堆積しているPMは、通常においては、酸化触媒36から供給されたNOと反応して酸化し、これによりDPF38の連続再生が行われる。
【0024】
酸化触媒36の上流側には、酸化触媒36及びDPF38の排気上流側の排気圧力を検出する上流側圧力センサ40が設けられ、下流側にはDPF38の排気下流側の排気圧力を検出する下流側圧力センサ42が設けられている。
また、酸化触媒36とDPF38との間には、DPF38に流入する排気の温度、ひいてはDPF38の排気流入口部分の温度を検出するDPF入口温度センサ(フィルタ入口温度検出手段)44、DPF38に流入する排気中の酸素濃度、即ちフィルタ入口酸素濃度DO2を検出する酸素センサ46が設けられている。
【0025】
さらに、排気管20には排気流量Fexを検出する流量センサ48が設けられている。
ECU(電子コントロールユニット)50は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、CPU、メモリ、タイマカウンタなどから構成され、様々な制御量の演算を行うと共に、その制御量に基づき各種デバイスの制御を行う。
【0026】
ECU50の入力側には、各種制御に必要な情報を収集するため、上述した上流側圧力センサ40、下流側圧力センサ42、DPF入口温度センサ44、酸素センサ46及び流量センサ48のほか、各種センサ類が接続されている。一方、出力側には、演算した制御量に基づき制御が行われる各気筒のインジェクタ4、吸気制御弁12、EGR弁22、排気絞り弁26などの各種デバイス類が接続されている。
【0027】
これより、ECU50では、エンジン1の各気筒への燃料供給量の演算、及び演算した燃料供給量に基づいてインジェクタ4からの燃料供給量を制御する燃料供給制御等の各種制御が行われる。
特に、本発明に係る排気後処理装置では、エンジン1は主燃料噴射のほかに排気昇温等を目的として排気行程(例えば、排気行程後期)においてインジェクタ4から副燃料噴射(以下、レイトポスト噴射という)を行うことが可能に構成されており、ECU50の指令により当該レイトポスト噴射を実施可能である(燃料噴射制御手段)。即ち、ECU50の指令に基づきレイトポスト噴射を行うことで、レイトポスト噴射による燃料の多くを未燃燃料として排気管20に排出するようにでき、当該未燃燃料と排気中の残存酸素とを排気管20内で反応させて排気温度を上昇させ、或いは、当該未燃燃料を酸化触媒36上で酸化反応させて酸化触媒36の昇温を図ることが可能である。
【0028】
従って、例えばDPF38の再生が必要なときにあっては、強制的にECU50により強制再生制御が実施されるが、当該強制再生制御としてレイトポスト噴射を行うことにより、酸化触媒36が昇温して排気下流側のDPF38が加熱され、これによりDPF38に堆積したPMが燃焼除去されてDPF38の再生が行われる(強制再生手段)。
なお、DPF38の強制再生が必要か否かについては、例えば、上流側圧力センサ40と下流側圧力センサ42との差圧からDPF38の目詰まり状況を判定することでDPF38へのPMの堆積量Qpmを推定し、当該推定値が所定量に達したか否かに基づいて判断する。即ち、PM堆積量Qpmの推定値が所定量に達すると、DPF38の強制再生が必要な状況と判定され、強制再生制御が開始される。
【0029】
ところで、レイトポスト噴射を実施してDPF38の強制再生を行う場合には、通常は、先ずDPF38の排気流入口部分の目標温度、即ちフィルタ入口目標温度Tftを設定するようにし(フィルタ入口目標温度設定手段)、当該フィルタ入口目標温度Tftに基づいて、レイトポスト噴射を実施するのに必要な燃料量Qfpを設定するようにしている。
しかしながら、このようにフィルタ入口目標温度Tftを設定し、当該フィルタ入口目標温度Tftを目標にレイトポスト噴射を実施したとしても、実際には装置の状態等の種々の要因により、DPF38の実温度がフィルタ入口目標温度Tftを超えて異常に上昇してしまうことがある。このようにDPF38の温度が異常に上昇すると、DPF38が過昇温に至り、熱劣化を引き起こすおそれがあり好ましいことではない。
【0030】
そこで、本発明ではこのような事態を未然に防止するように図っており、以下、上記のように構成された本発明に係る排気後処理装置の作用及び効果について説明する。
図2を参照すると、ECU50で実行される本発明におけるフィルタ入口目標温度Tftの設定手順がブロック図で示されており、以下同図に基づき本発明に係るフィルタ入口目標温度Tftの設定手順について説明する。
【0031】
DPF38の強制再生が開始されると、先ずブロックB10が実行され、当該ブロックB10では、ECU50内のタイマカウンタ(再生期間計時手段)で計時される強制再生の開始からの再生経過時間trに応じてフィルタ入口目標温度Tft1(第1目標温度)を設定する。具体的には、図3に設定マップを示すように、フィルタ入口目標温度Tft1は、レイトポスト噴射の開始初期のように再生経過時間trが短いときには低く、再生経過時間trが長くなるにつれて高くなるように設定される(例えば、500℃〜650℃の範囲)。
【0032】
このように、再生経過時間trが短いほどフィルタ入口目標温度Tft1を低く設定すると、強制再生の開始後、レイトポスト噴射の開始初期には、一般にDPF38に堆積したPMが一気に燃焼に至る傾向にあり、DPF38が過昇温し易いのであるが、当該フィルタ入口目標温度Tft1を最終的にフィルタ入口目標温度Tftとすることで、DPF38を極力高温に至らないようにしてDPF38の過昇温を未然に防止することができる。
【0033】
一方、この際、再生経過時間trに応じてフィルタ入口目標温度Tftを適切に可変設定することになるため、フィルタ入口目標温度Tftを必要以上に低く設定しないようにでき、DPF38の温度が低くなり過ぎてDPF38に堆積したPMの燃焼に時間を要することを回避でき、強制再生を速やかに完了して燃料消費量の増大を防止することができる。
即ち、再生経過時間trが短いほどフィルタ入口目標温度Tftを低く設定することにより、燃費の悪化を抑制しながら、DPF38の熱劣化を防止してDPF38の耐久性能を向上させることができ、また、再生期間の長期化を抑えて車両の運転フィーリングの向上をも図ることができる。
【0034】
ブロックB20では、DPF38のPM堆積量Qpmに応じてフィルタ入口目標温度Tft2(第2目標温度)を設定する。具体的には、図4に設定マップを示すように、フィルタ入口目標温度Tft2は、PM堆積量Qpmが少ないときには高く、PM堆積量Qpmが多くなるにつれて低くなるように設定される(例えば、500℃〜650℃の範囲)。なお、PM堆積量Qpmについては、上述したように上流側圧力センサ40と下流側圧力センサ42との差圧に基づきDPF38の目詰まり状況を判定することで推定するようにしてもよいが、これに限られるものではない(パティキュレートマター堆積量検出手段)。
【0035】
このように、PM堆積量Qpmが多いほどフィルタ入口目標温度Tft2を低く設定すると、PM堆積量Qpmが多い場合には、PMが一気に燃焼したときにDPF38が過昇温し易いのであるが、当該フィルタ入口目標温度Tft2を最終的にフィルタ入口目標温度Tftとすることで、DPF38を極力高温に至らないようにしてDPF38の過昇温を未然に防止することができる。
【0036】
一方、この際、PM堆積量Qpmに応じてフィルタ入口目標温度Tftを適切に可変設定することになるため、上記同様、フィルタ入口目標温度Tftを必要以上に低く設定しないようにでき、DPF38の温度が低くなり過ぎてDPF38に堆積したPMの燃焼に時間を要することを回避でき、強制再生を速やかに完了して燃料消費量の増大を防止することができる。
【0037】
即ち、PM堆積量Qpmが多いほどフィルタ入口目標温度Tftを低く設定することにより、燃費の悪化を抑制しながら、DPF38の熱劣化を防止してDPF38の耐久性能を向上させることができ、また、再生期間の長期化を抑えて車両の運転フィーリングの向上をも図ることができる。
ブロックB30では、酸素センサ(酸素濃度検出手段)46により検出されるフィルタ入口酸素濃度DO2に応じて補正係数Kd(値0〜1.0)を設定する。そして、当該補正係数Kdを上記フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2に乗算する。具体的には、図5に設定マップを示すように、補正係数Kdは、フィルタ入口酸素濃度DO2が低いときには大きく(値1.0近傍)、フィルタ入口酸素濃度DO2が高くなるにつれて小さくなるように設定されており、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2に乗算することで、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2が、フィルタ入口酸素濃度DO2が高くなるほど一層低くなるように補正される。
【0038】
このように、フィルタ入口酸素濃度DO2が高いほどフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2を低く設定すると、DPF38内部の酸素濃度が高い場合には、PMが燃焼し易くDPF38が過昇温し易いのであるが、これらフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2のいずれか一方を最終的にフィルタ入口目標温度Tftとすることで、DPF38を極力高温に至らないようにしてDPF38の過昇温を未然に防止することができ、燃費の悪化を抑制しながら、DPF38の熱劣化を防止してDPF38の耐久性能をさらに向上させることができる。
【0039】
ブロックB40では、流量センサ(排気流量検出手段)48により検出される排気流量Fexに応じて補正係数Kf1(値0〜1.0)を設定する。そして、当該補正係数Kf1を上記フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2に乗算する。具体的には、図6に設定マップを示すように、補正係数Kf1は、排気流量Fexが少ないときには小さく、排気流量Fexが多くなるにつれて大きく(値1.0近傍)なるように設定されており、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2に乗算することで、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2が、排気流量Fexが少ないときには一層低くなるように補正される。
【0040】
このように、排気流量Fexが少ないほどフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2を低く設定すると、排気流量Fexが少ない場合には、熱の持ち去りが少なくDPF38が過昇温し易いのであるが、これらフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2のいずれか一方を最終的にフィルタ入口目標温度Tftとすることで、DPF38を極力高温に至らないようにしてDPF38の過昇温を未然に防止することができ、燃費の悪化を抑制しながら、DPF38の熱劣化を防止してDPF38の耐久性能をさらに向上させることができる。
【0041】
補正係数Kd及び補正係数Kf1を加味してフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2が求められたら、ブロックB50において、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2のうちのいずれか低い方(min)を選択する。
このように、DPF38の再生開始後の再生経過時間trに応じたフィルタ入口目標温度Tft1とPM堆積量Qpmに応じたフィルタ入口目標温度Tft2のいずれか低い方を選択すると、DPF38を極力高温に至らないようにしてDPF38の過昇温を未然に防止することができ、これを最終的にフィルタ入口目標温度Tftとすることで、燃費の悪化を効果的に抑制しながら、DPF38の熱劣化を防止してDPF38の耐久性能を効果的に向上させることができる。
【0042】
ブロックB60では、DPF入口温度センサ44からの温度情報に基づきDPF38の排気流入口部分でのフィルタ入口温度上昇率ΔT(単位時間当たりの上昇温度)を求め、当該フィルタ入口温度上昇率ΔTに応じて目標温度低下量ΔTftを設定する。そして、当該目標温度低下量ΔTftを上記のように求めたフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2から減算する。具体的には、図7に設定マップを示すように、目標温度低下量ΔTftは、フィルタ入口温度上昇率ΔTが小さいときには少なく、フィルタ入口温度上昇率ΔTが大きくなるにつれて多くなるように設定されており(例えば、最大温度幅50℃)、当該フィルタ入口温度上昇率ΔTをフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2から減算することで、上記フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2が、フィルタ入口温度上昇率ΔTが大きくなるほど一層低くなるように補正される。
【0043】
また、フィルタ入口温度上昇率ΔTは排気流量Fexとの相関が強いことから、ブロックB70では、流量センサ48により検出される排気流量Fexに応じて補正係数Kf2(値1.0以上)を設定する。そして、当該補正係数Kf2を上記目標温度低下量ΔTftに乗算する。具体的には、図8に設定マップを示すように、補正係数Kf2は、排気流量Fexが少ないときには大きく、排気流量Fexが多くなるにつれて小さく(値1.0近傍)なるように設定されており、目標温度低下量ΔTftに乗算することで、目標温度低下量ΔTftが、排気流量Fexが少ないほどより大きくなるように補正される。即ち、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2が、排気流量Fexが少ないほどより低くなるようにさらに補正され、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2の適正化が図られる。
【0044】
さらに、フィルタ入口温度上昇率ΔTはレイトポスト噴射の噴射量Qfpとの相関も強いことから、ブロックB80では、前回設定されたレイトポスト噴射量Qfpに応じて補正係数Kp(値1.0以上)を設定する。そして、当該補正係数Kpを上記目標温度低下量ΔTftに乗算する。具体的には、図9に設定マップを示すように、補正係数Kpは、レイトポスト噴射量Qfpが少ないときには小さく(値1.0近傍)、レイトポスト噴射量Qfpが多くなるにつれて大きくなるように設定されており、目標温度低下量ΔTftに乗算することで、目標温度低下量ΔTftが、レイトポスト噴射量Qfpが多いほどより大きくなるように補正される。即ち、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2が、レイトポスト噴射量Qfpが多いほどより低くなるようにさらに補正され、フィルタ入口目標温度Tft1、Tft2の適正化が図られる。
【0045】
このように、フィルタ入口温度上昇率ΔTが大きいほどフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2を低く設定すると、フィルタ入口温度上昇率ΔTが大きい場合には、DPF38全体の温度上昇率も大きくなり、DPF38は過昇温し易いのであるが、これらフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2を最終的にフィルタ入口目標温度Tftとすることで、DPF38を極力高温に至らないようにしてDPF38の過昇温を未然に防止することができる。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る排気後処理装置によれば、レイトポスト噴射の噴射量Qfpを設定するためのフィルタ入口目標温度Tftを、強制再生の開始からの再生経過時間trが短いほど、DPF38のPM堆積量Qpmが多いほど、フィルタ入口酸素濃度DO2が高いほど、排気流量Fexが多いほど、さらにはフィルタ入口温度上昇率ΔTが大きいほど低く、必要な範囲で低く、適正に設定するようにしている。
【0047】
これにより、強制再生を速やかに完了して燃費の悪化を抑制しながら、DPF38の過昇温を未然に防止してDPF38の熱劣化を防止しDPF38の耐久性能を向上させることができ、さらには、再生期間の長期化を抑えることで車両の運転フィーリングの向上をも図ることができる。
以上で本発明に係る排気後処理装置の一実施形態の説明を終えるが、本発明の実施形態は上記に限定されるものではない。
【0048】
例えば、上記実施形態では、主として強制再生の開始からの再生経過時間tr、DPF38のPM堆積量Qpmに基づいてフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2をそれぞれ設定し、これらフィルタ入口目標温度Tft1、Tft2をフィルタ入口酸素濃度DO2、排気流量Fex、フィルタ入口温度上昇率ΔTに基づき補正してフィルタ入口目標温度Tftを設定するようにしているが、必ずしもフィルタ入口酸素濃度DO2、排気流量Fex、フィルタ入口温度上昇率ΔTによる補正を行わなくてもよく、このようにしても十分に本発明の効果を得ることができる。また、再生経過時間trにのみ基づいてフィルタ入口目標温度Tftを設定するようにしても、或いはDPF38のPM堆積量Qpmにのみ基づいてフィルタ入口目標温度Tftを設定するようにしてもよく、このようにしても十分に本発明の効果を得ることができる。
【0049】
即ち、図2において、ブロックB30、ブロックB40、ブロックB60〜B80のうちの少なくともいずれかを実施しなくてもよいし、ブロックB10及びブロックB20のいずれか一方並びにブロックB50を実施しなくてもよく、このようにしても本発明の作用効果を十分に達成することが可能である。
また、上記実施形態では、DPF入口温度センサ44を設け、ブロックB60において、当該DPF入口温度センサ44からの温度情報に基づいてフィルタ入口温度上昇率ΔTを求めるようにしているが、例えば排気上流側の酸化触媒36の排気流入口部分の温度を検出し、当該検出値を一次遅れ処理するようにしてDPF38のフィルタ入口温度上昇率ΔTを求めるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、酸素センサ46を設け、当該酸素センサ46から直接に酸素濃度を検出するようにしているが、これに限られるものではない。
また、上記実施形態では、流量センサ48を設け、当該流量センサ48から直接に排気流量を検出するようにしているが、これに限られるものではなく、吸入空気量情報、燃料量情報、排気温度情報、排気圧情報等に基づき排気流量を算出するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、レイトポスト噴射を実施することでDPF38の強制再生を行うようにしているが、排気管20に酸化触媒36の排気上流に位置して燃料噴射装置を別途設け、当該燃料噴射装置からの排気管内燃料噴射をも利用してDPF38の強制再生を行うようにしてもよく、このような構成であっても本発明を良好に適用可能である。
また、上記実施形態では、ターボチャージャ8や吸気制御弁12、さらにはEGR弁22、EGR通路24や排気絞り弁26を設けるようにしているが、これらは本発明においては必須ではなく、設けないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る排気後処理装置を含むエンジン全体のシステム構成図である。
【図2】本発明に係る排気後処理装置の強制再生制御におけるフィルタ入口目標温度Tftの設定手順を示すブロック図である。
【図3】再生経過時間trに応じたフィルタ入口目標温度Tft1の設定マップである。
【図4】PM堆積量Qpmに応じたフィルタ入口目標温度Tft2の設定マップである。
【図5】フィルタ入口酸素濃度DO2に応じた補正係数Kdの設定マップである。
【図6】排気流量Fexに応じた補正係数Kf1の設定マップである。
【図7】フィルタ入口温度上昇率ΔTに応じた目標温度低下量ΔTftの設定マップである。
【図8】排気流量Fexに応じた補正係数Kf2の設定マップである。
【図9】レイトポスト噴射量Qfpに応じた補正係数Kpの設定マップである。
【符号の説明】
【0053】
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
4 インジェクタ
20 排気管(排気通路)
30 排気後処理ユニット
36 酸化触媒
38 DPF(フィルタ)
40 上流側圧力センサ
42 下流側圧力センサ
44 DPF入口温度センサ(フィルタ入口温度検出手段)
46 酸素センサ(酸素濃度検出手段)
48 流量センサ(排気流量検出手段)
50 電子コントロールユニット(ECU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートマターを捕捉するフィルタと、
前記排気通路に前記フィルタの排気上流に位置して設けられた酸化触媒と、
内燃機関の燃料噴射弁により主燃料噴射を行った後、排気行程で副燃料噴射を行う燃料噴射制御手段と、
前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを除去して該フィルタの再生が必要なとき、前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことで排気温度を上昇させて前記酸化触媒を昇温させるとともに、未燃燃料を該酸化触媒で酸化反応させて前記フィルタを昇温させ、前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを燃焼除去して前記フィルタを強制的に再生させる強制再生手段と、
前記強制再生手段により前記フィルタを強制的に再生させる際の前記フィルタの排気流入口部分の目標温度を設定するフィルタ入口目標温度設定手段とを備え、
前記フィルタ入口目標温度設定手段は、前記強制再生手段による前記フィルタの再生開始後の経過期間を計時する再生期間計時手段を含み、該再生期間計時手段により計時される経過期間が短いほど前記目標温度を低く設定し、
前記強制再生手段は、該目標温度に応じて前記副燃料噴射の噴射量を設定し前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことを特徴とする排気後処理装置。
【請求項2】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートマターを捕捉するフィルタと、
前記排気通路に前記フィルタの排気上流に位置して設けられた酸化触媒と、
内燃機関の燃料噴射弁により主燃料噴射を行った後、排気行程で副燃料噴射を行う燃料噴射制御手段と、
前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを除去して該フィルタの再生が必要なとき、前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことで排気温度を上昇させて前記酸化触媒を昇温させるとともに、未燃燃料を該酸化触媒で酸化反応させて前記フィルタを昇温させ、前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを燃焼除去して前記フィルタを強制的に再生させる強制再生手段と、
前記強制再生手段により前記フィルタを強制的に再生させる際の前記フィルタの排気流入口部分の目標温度を設定するフィルタ入口目標温度設定手段とを備え、
前記フィルタ入口目標温度設定手段は、前記フィルタに捕捉されるパティキュレートマターの堆積量を検出するパティキュレートマター堆積量検出手段を含み、該パティキュレートマター堆積量検出手段により検出されるパティキュレートマターの堆積量が多いほど前記目標温度を低く設定し、
前記強制再生手段は、該目標温度に応じて前記副燃料噴射の噴射量を設定し前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことを特徴とする排気後処理装置。
【請求項3】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートマターを捕捉するフィルタと、
前記排気通路に前記フィルタの排気上流に位置して設けられた酸化触媒と、
内燃機関の燃料噴射弁により主燃料噴射を行った後、排気行程で副燃料噴射を行う燃料噴射制御手段と、
前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを除去して該フィルタの再生が必要なとき、前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことで排気温度を上昇させて前記酸化触媒を昇温させるとともに、未燃燃料を該酸化触媒で酸化反応させて前記フィルタを昇温させ、前記フィルタに捕捉されたパティキュレートマターを燃焼除去して前記フィルタを強制的に再生させる強制再生手段と、
前記強制再生手段により前記フィルタを強制的に再生させる際の前記フィルタの排気流入口部分の目標温度を設定するフィルタ入口目標温度設定手段とを備え、
前記フィルタ入口目標温度設定手段は、前記強制再生手段による前記フィルタの再生開始後の経過期間を計時する再生期間計時手段を含み、該再生期間計時手段により計時される経過期間が短いほど前記目標温度を低く設定して第1目標温度を得るとともに、前記フィルタに捕捉されるパティキュレートマターの堆積量を検出するパティキュレートマター堆積量検出手段を含み、該パティキュレートマター堆積量検出手段により検出されるパティキュレートマターの堆積量が多いほど前記目標温度を低く設定して第2目標温度を得、
前記強制再生手段は、前記第1目標温度及び前記第2目標温度のいずれか低い方の目標温度に応じて前記副燃料噴射の噴射量を設定し前記燃料噴射制御手段により前記副燃料噴射を行うことを特徴とする排気後処理装置。
【請求項4】
前記フィルタ入口目標温度設定手段は、さらに、前記フィルタ内部の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段を含み、該酸素濃度検出手段により検出される前記フィルタ内部の酸素濃度が高いほど前記目標温度を低く設定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の排気後処理装置。
【請求項5】
前記フィルタ入口目標温度設定手段は、さらに、前記排気通路の排気流量を検出する排気流量検出手段を含み、該排気流量検出手段により検出される排気流量が少ないほど前記目標温度を低く設定することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか記載の排気後処理装置。
【請求項6】
前記フィルタ入口目標温度設定手段は、さらに、前記フィルタの排気流入口部分の温度を検出するフィルタ入口温度検出手段を含み、該フィルタ入口温度検出手段により検出される温度の上昇率が大きいほど前記目標温度を低く設定することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の排気後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−138702(P2009−138702A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318641(P2007−318641)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】