説明

構造化ポリマーフィルムおよびその製造方法

構造化ポリマーフィルムの両側に複数の長手方向に間隔のあいた構造を有する構造化ポリマーフィルムを製造する方法が記載されている。この方法は、複数のツール突出部(204)を含む外周面を有する回転可能なツール(200)を提供する工程と、ツールの外周面の反対に平滑な順応可能な外周面(212)を有するニップロール(210)を提供する工程と、ツールとニップロールとの間のニップにポリマー層を導入する工程と、周囲表面にツール突出部のあるツールとニップロールとの間にポリマー層をプレスして、ポリマー層の第1の側へウェブ凹所およびポリマー層の反対側の第2の側から離れるように延在するウェブ突起を形成して、構造化ウェブを形成する工程と、構造化ウェブをツールから取り出す工程と、を含む。試料処理物品も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に援用される2005年1月20日出願の米国特許仮出願第60/645,289号のU.S.C§119(e)による利益を請求するものである。
【0002】
本開示内容は、構造化ポリマーフィルムおよび構造化ポリマーフィルムの製造方法に関する。特に、本開示内容は、試料処理物品および試料処理物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学、生化学およびその他反応の同時処理のために様々な装置または物品が設計されている。装置には、処理を実施する数多くのウェルまたは処理チャンバが含まれている。様々な分析物または処理生成物の検出は、処理チャンバから放出される信号光を検出することによりなされる。信号光は、例えば、処理チャンバ内の反応により生じる。他の場合では、信号光が化学発光等から得られる場合には、信号光は、外部源(例えば、レーザー等)から処理チャンバへ向かう問合せ光による励起に応答する。
【0004】
処理チャンバから信号光を放出させるのに用いる機構や技術に係らず、特定の処理チャンバの検出および補正は必要である。例えば、1つの処理チャンバから放出される信号光が異なる処理チャンバのものである場合、誤った試験結果となる恐れがある。第1の処理チャンバから放出され、第2の処理チャンバへ透過する信号光の現象は、一般的に「クロストーク」と呼ばれる。例えば、第2の処理チャンバが信号光のみを放出せず、第1の処理チャンバから第2の処理チャンバへ透過する信号光が誤った正の結果として検出および記録されると、クロストークがエラーを招く可能性がある。
【0005】
クロストークを排除するために、第2の処理チャンバに達する信号光が、検出器による正の結果として登録するには弱すぎるように、処理チャンバ間の距離を増やすこと等試みられている。他のやり方としては、国際公開第02/01180A2号パンフレットに記載されているように、処理チャンバに配置された外部機器を用いて処理チャンバをマスキングまたは覆うものがある。これらのやり方での1つの問題は、装置の処理チャンバ密度が限られていることであり、与えられた試料処理装置で所望よりも少ない回数の試験しか行えない。これらのやり方での他の起こりえる問題は、試料処理装置に加えて、物品または材料(例えば、マスク、覆い等)を用いる必要があることであり、試料処理装置を用いるコストを増大し、複雑なものとさせる。
【0006】
処理チャンバ間をクロストークから分離する問題の他の状況は、問合せ光の処理チャンバへの送出の際に生じる。例えば、全処理チャンバが同時に問合せされないのが望ましい。すなわち、処理チャンバは連続的(すなわち1つずつ)に問合せされるか、または、処理チャンバの選択したグループのみが同時に問合せされる。かかる状況においては、問合せされていない処理チャンバには全くまたは限られた量の問合せ光が透過するのが好ましい。公知の処理装置では、問合せ光の制御には、マスクまたは覆いが必要であり、処理チャンバ密度が限定されるだけでなく、追加の物品/処理工程によりコストおよび複雑さが増すという同じ問題が生じる。
【0007】
処理物品に関連した他の問題としては、フィーチャー(feature:特徴部)のサイズ、形状および位置の制御が挙げられる。例えば、処理チャンバサイズ、形状、位置等、ならびに装置の他のフィーチャー(例えば、送出管、充填チャンバ等)のサイズ、形状および位置における変更が制限されるのが望ましい。フィーチャーサイズを変更すると、例えば、異なる処理チャンバにおける分析物の体積が変わる等、試験精度に悪影響を及ぼす。さらに、フィーチャーサイズの変更には、例えば、全処理チャンバを確実に充填する等、追加の試料体積を必要とする。フィーチャー形状の変更は、例えば、処理チャンバから放出される信号光密度に影響する。例えば、フィーチャー位置を変更すると、異なる処理装置間で処理チャンバ位置を繰り返せない場合には、試験精度が減じる。
【0008】
回転ドラムを用いてポリマーフィルムをエンボス加工することは知られている。回転ドラムはその周囲に複数の鋳型を有する。鋳型は凸(すなわち雄)型または凹(すなわち雌)型の鋳型であってもよく、フィルムの厚さ、ポケットの深さおよび鋳造またはエンボス加工後のフィルムの熱収縮の根拠となる所望の最終エンボス加工ポケット寸法を与えるサイズとする。回転式鋳型を用いて処理物品を製造する例示の方法は米国特許出願公開第2005/0079101号明細書に記載されている。
【0009】
凸型回転式鋳型を用いたエンボス加工フィルムの製造において、材料のウェブをその軟化温度まで漸増により加熱して、ドラム周囲を誘導して通過させる。軟化した材料は鋳型を覆って、近接する凸型鋳型間に配置されたウェブの部分以外の凸型鋳型の全側部表面と密着する。同時に、ウェブを鋳型に対して真空引きして、近接する鋳型間の空間にウェブを押し込む。上述した真空成形に用いる回転式鋳型は、米国特許第に5,800,772号明細書に記載されているように、複数のドラムセクションを積み重ねることにより構築される。複数のドラムセクションを一緒に組み立てるときは、成形ツールを作成する。ドラムセクション間の空間によって、真空を用いて溶融ウェブが延伸でき、ポケットフィーチャーが形成される。
【0010】
非常に小さなフィーチャーをポリマーシートに作製するには、鋳型ツールと鋼またはクロムで形成されたニップロールとの間で材料のポリマーウェブをエンボス加工することが知られている。ウェブの厚さはツールのフィーチャーの高さを超えていて、フィーチャーがツールフィーチャーと接触するウェブの側部に形成され、ウェブの裏側(ニップロールと接触する)が完全に平坦でフィーチャーのないようにする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示内容は、構造化ポリマーフィルムおよび構造化ポリマーフィルムの製造方法に関する。特に、本開示内容は、試料処理物品および試料処理物品を製造する方法に関する。
【0012】
構造化ポリマーフィルムの両側に複数の長手方向に間隔のあいた構造を有する構造化ポリマーフィルムを製造する方法が記載されている。この方法は、複数のツール突出部を含む外周面を有する回転可能なツールを提供する工程と、該ツールの該外周面の反対に平滑な順応可能な外周面を有するニップロールを提供する工程と、該ツールと該ニップロールとの間のニップにポリマー層を導入する工程と、該周囲表面にツール突出部のある該ツールと該ニップロールとの間に該ポリマー層をプレスして、該ポリマー層の第1の側へウェブ凹所および該ポリマー層の反対側の第2の側から離れるように延在するウェブ突起を形成して、構造化ウェブを形成する工程と、該構造化ウェブを該ツールから取り出す工程と、を含む。
【0013】
試料処理物品も開示されている。この物品は、選択した光を透過し、本体下面を画定する光透過層と、該選択した光を遮蔽し、本体上面を画定する光制御層とを有する本体と、本体内に配置された複数の試料処理チャンバとを含む。光制御層は光透過層に取り付けられ、本体は本体厚さを有している。各処理チャンバは本体上面へ延在しており、本体下面から離れるように延在し、各試料処理チャンバは本体厚さより大きな高さを有している。
【0014】
上記概要は、開示された各実施形態または本発明のそれぞれの実施を説明することを意図するものではない。以下の図面、詳細な説明および実施例により、これらの実施形態をより詳細に実証する。
【0015】
添付の図面に関連して本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を鑑みることによって、本発明をより完全に理解できるであろう。
【0016】
本発明は様々な修正および変形形態に訂正可能であるが、その特定例については、図面により例示されておりこれについて詳細に説明する。しかしながら、本発明を記載された特定の実施形態に限定するものではない。逆に、本発明の技術思想および範囲内に含まれる全ての修正、等価物および変形を含むものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に定義された用語について、請求項または明細書のいずれかに異なる定義がない限りは、これらの定義を適用するものとする。
【0018】
限定された数値範囲には、その範囲内の全ての数字が含まれる(例えば、1〜5には1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5が含まれる)。
【0019】
本明細書および添付の請求項で用いる単数の形態「a」、「an」および「the」には、特に断りのない限り、複数も含まれる。このように、例えば、「層」を含む物品には2層以上の層を有する物品が含まれる。本明細書および添付の請求項で用いる「または」という用語は、特に断りのない限り、「および/または」も含んだ意味で用いられている。
【0020】
特に断りのない限り、明細書および請求項で用いる、成分の量を表す数字、特性の測定値等は、全ての場合において「約」という用語により修正されるものと考えられる。従って、特に異論のない限り、明細書および請求項に規定した数値パラメータは、本発明の教示を利用して当業者であれば得られるはずの所望の特性に依存した近似値である。最低限でも、請求の範囲の均等論の適用を制限しようとするのではなく、各数値パラメータは少なくとも、記録された有効数値を踏まえて、通常の四捨五入により解釈されるべきである。本発明の広い範囲に規定された数値範囲およびパラメータは近似値であるにも係らず、特定の実施例に規定された数値はできる限り正確に記録されている。ただし、数値は、それぞれの試験測定値での標準偏差による避けられないある程度の誤差は元々含んでいる。
【0021】
本明細書で用いる「光」という用語は、人間の目に目視されるかどうかに係らず電磁エネルギーのことを指すのに用いる。光は紫外〜赤外電磁エネルギーの範囲に入るのが好ましく、場合によっては、光は人間の目に目視されるスペクトルの電磁エネルギーを含むのが好ましい。
【0022】
本明細書に記載した試料処理物品は、処理物品の処理チャンバ間のクロストークを減少または排除するために、光透過層と光制御層とを含む。光透過層は、信号光および/または問合せ光の大部分を透過し、光制御層は、信号光および/または問合せ光の大部分を遮蔽するのが好ましい。例えば、信号光の透過を遮蔽することにより、信号光の放出中のクロストークを減少または排除することができる。問合せ光の送出に関して、選択した処理チャンバについて問合せ光の透過を遮蔽すると、選択した処理チャンバの望まない問合せを減少または排除することができる。さらに、本明細書に記載した試料処理装置は、少ない材料で形成することができ、同量の試料材料を処理することができる。処理チャンバが、後述するとおり、試料処理装置本体の厚さより大きな高さを有するからである。これらの試料チャンバは、試料処理装置を位置合せするのに有用となり得る「裏側」フィーチャーを有している。
【0023】
これらの試料処理物品は、本明細書に記載した連続形成プロセスにより形成することができる。これらの方法は、前側フィーチャーと裏側フィーチャーの両方を有する試料処理物品を製造する。これらの方法は、試料処理物品本体の厚さよりも大きな高さを有する試料チャンバを有する試料処理物品を製造する。このように、これらの方法は、同じ試料処理物品を製造するのに少ない材料を用いて、物品当たり同量の試料を処理することのできる試料処理物品を製造する。さらに、これらの方法は、透過層と制御層の両方を含む処理装置の迅速かつ経済的な製造を行う。さらに、本方法は、正確なサイズに成形され配置されたフィーチャー(例えば、処理チャンバ、分配管等)を含む処理装置を提供する。
【0024】
本明細書に記載した試料処理装置および方法に用いる光制御層は、選択した光の透過を遮蔽するために提供されている。ここで、「選択した光」とは、1つ以上の特定の波長、1つ以上の波長範囲、1つ以上の偏光状態またはこれらの組み合わせの光である。本明細書で用いる光の「遮蔽」には、選択した光の吸収、反射、屈折または拡散の1つ以上が包含される。信号光の場合には、光制御層を通した信号光の透過を、処理チャンバからの誤った正の読取りとならないレベルまで防止または減少させるのが好ましい。問合せ光の場合には、光制御層を通した問合せ光の透過を、処理チャンバの望まない問合せとならないレベルまで防止または減少させるのが好ましい。光制御層は、選択した波長または波長範囲の光を遮蔽する。光制御層は、所望により、1つ以上の選択した偏光状態(例えば、s偏光、p偏光、円偏波等)の光も遮蔽する。多くの実施形態において、光制御層は光制御層に入射した選択した光の少なくとも50%を遮蔽する。ある実施形態において、光制御層は光制御層に入射した選択した光の少なくとも75%を遮蔽する。他の実施形態において、光制御層は光制御層に入射した選択した光の少なくとも90%を遮蔽する。
【0025】
光透過層は、光透過層を通って光透過層に入射した選択した光の少なくとも50%を透過する。多くの実施形態において、光透過層は、光透過層を通って光透過層に入射した選択した光の少なくとも75%を透過する。ある実施形態において、光透過層は、光透過層を通って光透過層に入射した選択した光の少なくとも90%を透過する。
【0026】
本開示内容は、所望の反応、例えば、PCR増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立シーケンス複製、酵素反応速度論研究、等質配位子結合アッセイ、および、正確かつ/または即時の熱変化を必要とするその他の化学、生化学またはその他反応を行うために、多数の処理チャンバにおける液体試料材料(または液体に含まれた試料材料)の処理に用いることのできる試料処理装置を提供する。多くの実施形態において、本開示内容は、それぞれ、充填チャンバと、複数の処理チャンバと、処理チャンバを充填チャンバと流体連通させる主管とを有する1つ以上の処理アレイを含む試料処理装置を提供する。例示の実施形態の様々な構造を後述するが、本発明の試料処理装置は、例えば、米国特許出願公開第2005/0079101号明細書、国際公開第02/01180号パンフレットおよび国際公開第02/00347号パンフレットに記載されているようなものと同様である。上述した文献は全て、本明細書に記載した試料処理装置に組み込むことのできる様々な異なるフィーチャーを開示している。
【0027】
図1は例示の試料処理物品100の概略平面図であり、図2は試料処理チャンバ150の詳細を示す例示の試料処理物品100の図1の2−2に沿った拡大部分斜視図である。試料処理物品100には、少なくとも1つまたはそれ以上の処理アレイ120が含まれる。図示した処理アレイ120はそれぞれ、試料処理装置100の第2の端部114に向かって、第1の端部112近傍から延在する。処理アレイ120は、試料処理装置100に実質的に平行な配列で図示されているが、他の配列も可能である。
【0028】
国際公開第02/01180号パンフレットに述べられているように、処理アレイの主管140を同時に閉じなければならない場合には、図示したような処理アレイ120の位置合せが有用である。例えば、国際公開第02/01180号パンフレットに述べられているように、装置100の第1の端部112近傍で回転軸周囲を回転させることにより試料材料を試料処理装置全体に分配しなければならない場合にも、処理アレイ120の位置合せが有用である。
【0029】
図示した実施形態の各処理アレイ120は、少なくとも1つの主管140と、各主管140に沿って配置された複数の処理チャンバ150とを含んでいる。処理アレイ120はまた、試料材料の主管140を通した処理チャンバ150への送出を促すために、主管140と流体連通した充填構造130を含んでいてもよい。ある実施形態において、処理アレイ120はそれぞれ、1つのみの充填構造130と1つのみの主管140とを含むのが好ましい。
【0030】
充填構造130は、試料材料を受けるために、外部装置(例えば、ピペット、中空シリンジまたはその他流体送出装置)と接続できるように設計されていてもよい。充填構造130自体が、体積を画定しても、特定の体積を画定しなくてもよいが、その代わりに、試料材料を導入する場所となってもよい。例えば、充填構造130は、ピペットまたはニードルが挿入されるポートの形態で提供されてもよい。一実施形態において、充填構造130は、ピペット、シリンジ、ニードル等を受けるべく適合された主管に沿って指定された位置であってもよい。充填は、手動で、または自動化システム(例えば、ロボット等)により行ってよい。さらに、処理装置100は、他の装置から(自動化システムを用いて、または手動で)直接充填してもよい。
【0031】
図1に示した充填チャンバ130は、主管140と流体連通している充填構造130の一実施形態に過ぎない。多くの実施形態において、充填チャンバ体積、すなわち、充填チャンバ(がある場合には)により画定される体積は、主管140、処理チャンバ150およびフィーダ管142(がある場合には)を合わせた体積と等しい、またはこれより大きいのが好ましい。
【0032】
処理チャンバ150は、フィーダ管142を通して主管140と流体連通している。その結果、各処理アレイ120の充填構造130は、充填構造130へつながる主管140に沿って配置された各処理チャンバ150と流体連通している。所望であれば、各処理アレイ120が、充填構造130の逆の主管140の端部に配置された任意のドレーンチャンバ(図示せず)を含んでいてもよい。
【0033】
図2に示すとおり、試料処理物品100は、選択した光を透過し、本体下面163を画定する光透過層162と、選択した光を遮蔽し、本体上面165を画定する光制御層164とを有する本体160を含んでいる。光制御層164は光透過層162に取り付けられ、本体160は本体厚さTを有している。複数の試料処理チャンバ150は本体160内に配置されている。各処理チャンバ150は本体上面165へ延在しており、本体下面163から離れるように延在し、各試料処理チャンバ150は本体厚さTより大きな高さHを有している。
【0034】
ある実施形態において、本体厚さTは100〜500マイクロメートルの範囲であり、高さは本体厚さTより大きい10〜100マイクロメートルの範囲である。他の実施形態において、本体厚さTは200〜300マイクロメートルの範囲であり、高さHは本体厚さTより大きい25〜50マイクロメートルの範囲である。
【0035】
各処理チャンバ150は、0.05〜5マイクロリットルの範囲の体積を有する。ある実施形態において、各処理チャンバ150は、0.1〜1マイクロリットルの範囲の体積を有する。
【0036】
各処理チャンバ150は、光制御層側壁153および光透過底面152により画定される。多くの実施形態において、光透過層162は第1の厚さTTを有し、光制御層164は第2の厚さTcを有し、第2の厚さTcは第1の厚さTTより大きい。ある実施形態において、第1の厚さTTは25〜150マイクロメートルの範囲であり、第2の厚さTcは75〜350マイクロメートルの範囲である。
【0037】
光透過層162が選択した光の大部分を透過するような1種類以上の材料で光透過層162を構築することができる。大部分とは、例えば、50%以上の選択された垂直入射光、75%以上の選択された垂直入射光または90%以上の選択された垂直入射光である。上述した通り、選択した光は、1つ以上の特定の波長、1つ以上の波長範囲、1つ以上の偏光状態またはこれらの組み合わせの光である。光透過層162に好適な材料としては、これらに限られるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、シクロ−オレフィンポリマー(例えば、ポリジシクロペンタジエン)等が例示される。
【0038】
光制御層164が選択した光の大部分を遮蔽するような1種類以上の材料で光透過層164を構築することができる。遮蔽した光の大部分とは、例えば、50%以上の選択された垂直入射光、75%以上の選択された垂直入射光または90%以上の選択された垂直入射光である。上述した通り、選択した光は、1つ以上の特定の波長、1つ以上の波長範囲、1つ以上の偏光状態またはこれらの組み合わせである。制御層164に好適な材料としては、これらに限られるものではないが、例えば、所望の光遮蔽機能を与えるべく修正されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、シクロ−オレフィンポリマー(例えば、ポリジシクロペンタジエン)等が例示される。例えば、光制御層164に用いる材料としては、光制御層164を通る選択した光の透過を防止または減少する光遮蔽フィラー(例えば、着色剤、カーボンブラック、金属粒子等)が挙げられる。他の実施形態において、光制御層164は、所望の光遮蔽機能を与えるコーティングまたはその他処理を含む。
【0039】
光透過層162と光制御層164の間にメルトボンドが形成される場合には、光透過層162と光制御層164は、相容性のある材料で形成でき、場合によっては、光透過層162と光制御層164が同じポリマー材料で形成されている。
【0040】
図3は、構造化ポリマーフィルムの両側に複数の長手方向に間隔のあいた構造を有する構造化ポリマーフィルムを製造する例示の方法の概略図である。順応可能な外周面212を有するニップロール210は、回転可能なツール200の外周面202と接触し対向している。外周面202は、外周面202周囲に配置された複数のツール突出部204を含む。突出部204はニップロール210の表面212にプレスされて変形する。多くの実施形態において、ニップロール210の周囲表面212はエラストマー材料でカバーされている。好適なエラストマー材料としては、これらに限られるものではないが、ゴム、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ウレタン、テフロン(Teflon)(登録商標)、ニトリル、ネオプレンおよびフルオロエラストマーが挙げられる。ある実施形態において、ニップロール210の順応可能な外側表面212のショアA硬度は、形成されている材料に応じて、30〜100の範囲、40〜90の範囲、50〜85の範囲である。
【0041】
溶融処理可能なポリマーは、押出し機220からスロットダイ装置222に送出される。溶融処理可能なポリマーは、その融点(すなわち形成または鋳造できる温度)以上でスロットダイ装置222に送出される。ポリマーのウェブ230はダイ装置222から、回転可能なツール200とニップロール210との間のニップ240へ排出される。他の実施形態において、ポリマーウェブ230は、ニップ240がニップロール210で形成される直前に回転可能なツール200にドロップ鋳造される。ポリマーウェブ230が回転可能なツール200とニップロール210との間にプレスされて、回転可能なツール200のフィーチャーをウェブ230の前側に形成するにつれて、ニップロール210の順応可能な外側表面212は変形する。順応可能なニップロール210によりウェブ230に印加された圧力は、ウェブ230の溶融樹脂を回転可能なツール200のツール突出部204(処理チャンバ150等の試料処理物品100のフィーチャーを形成する)間の狭い隙間へ押し付けて、ウェブ230の裏側フィーチャーを画定する(すなわち、フィーチャーは本体160の底面163で画定される)のに十分なものである。このように、ウェブ230の前側は、そこに形成された複数の「孔」または「ボイド」を有し、ウェブ230の裏側は、平坦でないトポグラフィーを有する。両方とも、回転可能なツール200のツール突出部204により形成される。順応可能なニップロール210により印加された圧力は、処理速度、材料粘度、ウェブ厚さおよび回転可能なツール200のツール突出部204の寸法および間隔をはじめとする複数の因子に応じて異なる。
【0042】
入ってくるポリマーウェブ230の寸法は、形成される試料処理装置100のゲージおよび幅により決まる。ポリマーウェブ230の厚さおよび回転可能なツール200とニップロール210との間の圧力を制御して、ニップ240を出るウェブ230の厚さTが、試料処理物品100のウェブ突起150を形成するツール突出部204の高さより小さくなるようにする。ある実施形態において、ポリマーウェブ230は5ミル〜20ミルの範囲の厚さでニップ240へ送出される。
【0043】
ある実施形態において、ポリマーウェブ230はダイ装置222から回転可能なツール200へ、その溶融処理温度またはそれ以上の温度で送出される。溶融処理温度またはそれ以上の温度でポリマーウェブ230を回転可能なツール200に与えることによって、ポリマーはツール突出部204の形状を適切に形成または複製することができる。ポリマーウェブ230がダイ装置222から送出されなければならない温度(すなわち、摂氏約100°〜330°)は、形成されている材料のゲージおよび種類、ならびに製造ラインの速度に応じて広い範囲にわたって変わる。ツール200は、ロールとして図示されて説明されているが、この代わりに、当然のことながら、連続ベルト等の連続ウェブ形成処理に適用可能なその他の回転可能な構造として提供してもよい。
【0044】
ある実施形態において、ポリマーウェブの温度は、回転可能なツール200とニップロール210との間のニップ240がポリマーウェブ230中に形成された構造を保持し、ウェブに機械的な安定性を与えた後のある点で、溶融処理温度より低く下げる。図3の例示の実施において、構造化または複製ウェブ250は、ツール200が剥がれた直後、テークアップリール260に巻かれる前に、冷却ローラ255を通過する。ウェブ230の温度制御を補助するために、回転可能なツール200および/またはニップロール210を必要に応じて加熱または冷却してよい。図3に図示する処理の結果、所望により別個の試料処理物品100に分割できる構造化または複製ウェブ250が得られる。
【0045】
熱可塑性樹脂の押出しの場合、溶融材料のウェブを誘導してニップ240を通過させる。構造化ウェブ250がニップ240を出ると、任意の好適な冷却手段を用いて、ウェブを冷却し、材料を十分に硬化して、回転可能なツール200から取り外せるようにする。冷却は、熱可塑性ポリマーが十分に固化するまで、例えば、対流空気冷却、高圧ブロワによるエアジェットの直接衝突、水浴またはスプレー、あるいは冷却オーブン等により行うことができる。
【0046】
重合可能な樹脂の場合には、樹脂は、スロットダイ装置222へ供給する分配器へ直接注ぐ、またはポンプしてよい。ポリマー樹脂が反応性樹脂である実施形態については、ウェブを製造する方法はさらに1つ以上の工程において樹脂を硬化することを含む。例えば、樹脂は、重合可能な樹脂の性質に応じて、回転可能なツール200から取り外す前に樹脂を十分硬化するために、化学線、紫外線、可視光等の好適な放射エネルギー源に露光した際に硬化させてよい。冷却と硬化の組み合わせを用いて、ツール200から出る際にウェブを硬化してもよい。
【0047】
回転可能なツール200は直接機械加工による成形に好適な任意の基材を含んでいてよい。好適な基材は、最小のバリ形成またはバリ形成なしできれいに機械加工され、低い延性および低い粒状性を示し、機械加工後の寸法精度を維持する。様々な機械加工可能な金属またはプラスチックを利用してよい。好適な金属としては、アルミニウム、鋼、真鍮、銅無電解ニッケルおよびこれらの合金が挙げられる。好適なプラスチックはアクリルまたはその他材料等の熱可塑性または熱硬化性材料を含む。ある実施形態において、回転可能なツール200を形成する材料は多孔性材料を含み、真空がニップロール210との組み合わせにより回転可能なツール200の材料を通して適用することができるようにする。
【0048】
回転可能なツール200は単体スリーブ上の所望の試料処理物品100フィーチャーの全てについてツール突出部204を有する単体スリーブとして形成することができる。スリーブは、ポケットを形成する突出部、その位置合せフィーチャー、および、例えば、送り孔を形成するために裂かれる突起を含んでいてもよい。この方法には、ポケットと突起を同時に熱成形して、良好な位置合せを行うことが含まれる。
【0049】
回転可能なツール200の外側周囲202にあるツール突出部204は、精密に各突出部を成形できるカーバイドかダイヤモンドの加工機械を用いてスリーブに直接切断することができる。コネチカット州、ブリッジポートのムーアスペシャルツールカンパニー(Moore Special Tool Company,Bridgeport,CT)、ニューハンプシャー州、キーンのプレシテック(Precitech,Keen,NH)およびペンシルバニア州、ピッツバーグのエアロテック社(Aerotech Inc.,Pittsburgh PA)がかかる目的に好適な機械を製造している。かかる機械は一般的にレーザー干渉−位置決め装置を含む。その好適な例は、コネチカット州、ミドルフィールドのザイゴコーポレーション(Zygo Corporation,Middlefield CT)より入手可能である。用いるのに好適なダイヤモンドツールは、ニューヨーク州、ムーアのK&Yダイヤモンド(K&Y Diamond,Mooers,NY)またはオハイオ州、シャルドンのシャルドンツール(Chardon Tool,Chardon,OH)より購入することができるようなものである。
【0050】
スリーブは、業界に知られた技術および方法を用いて機械加工して、所望のツール突出部204を形成することができる。例えば、処理チャンバ150に対応の突出表面は、スリーブを回して、カッターを固定位置にする一般的な旋盤操作でスリーブを回すことにより形成することができる、またはスリーブを固定したまま保ち、スリーブの軸に平行にスロットを切断することにより形成することができる。裂くためのポストを形成する等追加の突出部を、処理チャンバを成形するのに用いる突出部の形成と同様のやり方で形成することができる。スリーブのツール突出部204を形成して、複数の試料処理物品100を同時に作製するのが有利である。
【0051】
図4は、構造化ポリマーフィルムの両側に複数の長手方向に間隔のあいた構造を有する構造化ポリマー多層フィルムを製造する例示の方法の概略図である。このプロセスは図3に示した通りに操作されるが、このプロセスは光制御層264と光透過層262を有するポリマーウェブを利用するものである。
【0052】
上述したとおり、光透過層262用の溶融処理可能なポリマーは、第1の押出し機280から多層フィードブロックおよびフィルムダイ282へ送出される。同時に、光制御層264のための溶融処理可能なポリマーを、第2の押出し機284から多層フィードブロックおよびフィルムダイ282まで送出する。多くの実施形態において、2つの溶融処理可能なポリマーストリームを、それらの溶融処理温度またはそれ以上の温度で、多層フィードブロックおよびフィルムダイ282へ送出する。多層フィードブロックおよびフィルムダイ282は、2つのポリマーが分離した別個の層262と264を形成するよう、押出し機280および284からの2つのポリマー溶融ストリームの分離を保つのが好ましい。
【0053】
ポリマーの層262および264は、多層フィードブロックおよびフィルムダイ282から回転可能な形成ツール200へ排出される。多くの実施形態において、ポリマー層262および264は、回転可能な形成ツール200と順応可能なニップロール210との間のニップ240近傍の点で回転可能な形成ツール200の表面202にドロップ鋳造される。
【0054】
ニップロール210は順応可能な外周面212を有し、回転可能なツール200の外周面202と接触し対向している。外周面202は、外周面202の周囲に配置された複数のツール突出部204を含む。突出部204はニップロール210の表面212にプレスされて変形する。多くの実施形態において、ニップロール210の周囲表面212はエラストマー材料でカバーされている。好適なエラストマー材料としては、これらに限られるものではないが、ゴム、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ウレタン、テフロン(Teflon)(登録商標)、ニトリル、ネオプレンおよびフルオロエラストマーが挙げられる。ある実施形態において、ニップロール210の順応可能な外側表面212のショアA硬度は、形成されている材料に応じて、30〜100の範囲、40〜90の範囲、50〜85の範囲である。
【0055】
各層262および264の厚さは、両層264および262の合計厚さが、上述したとおり、処理装置100において処理チャンバ構造150を形成するツール突出部204の高さより小さくなるように制御することができる。
【0056】
光制御層264は、溶融処理温度(すなわち、形成または鋳造できる温度)またはそれより高い温度でニップ240に送出される。溶融処理温度またはそれ以上の温度で光制御層264を与えることによって、光制御層中のポリマーはツール突出部204の形状を適切に形成または複製することができる。形成ツール200は、ロールとして図示されているが、当然のことながら、この代わりに、連続ベルトまたは連続ウェブ形成処理に適用できるその他構造として提供してもよい。
【0057】
図1および図2に示したとおり、光透過層262のポリマーはまた、溶融処理温度またはそれ以上の温度でニップ240に送出して、2層262および264を一緒に形成して、2層間でメルトボンドを提供し、一方、形成ツール200のフィーチャーは光制御層264に形成されて、光透過層262から延在するようにすることもできる。
【0058】
両層262および264の温度は、両層264および262中に形成された構造を保持し、ウェブに機械的な安定性を与えるために、ニップ240後のある点で夫々の溶融処理温度より低く下げることができる。図4に示した処理の結果、図1および図2で示したとおり、処理装置100の本体160を形成する光透過層262と光制御層264の両方を含む構造化ウェブ250が得られる。
【実施例】
【0059】
実施例1
多層試料処理装置を従来の押出し装置を用いて2層共押出しウェブから製造した。2台の押出し機を用いて、透明な光透過層と黒色の不透明な光制御層とからなる2層構造を製造した。透明な層をポリプロピレンホモポリマー(3576、9.0MFI、テキサス州、ヒューストンのアトフィナ社( Atofina Inc.,Houston,TX))で製造した。98%の3576ポリプロピレンと2%カーボンブラック/ポリプロピレン濃縮物(製品番号3900、40%カーボンブラック、オハイオ州、エイボンレイクのポリワン社(PolyOne Corp.,Avon Lake,OH))により黒色層を製造した。6.35cmの単軸押出し機(15RPM)を用いて、3576ポリプロピレンを透明層に供給し、3.2cmの単軸押出し機(80RPM)を用いて3576および黒色濃縮物を黒色層に供給した。2台の押出し機のバレル温度プロフィールは、193℃のフィードゾーンから出発したのと略同じであり、残りの2つのゾーンは204℃であった。押出し機の流量を調整して、透明層と黒色層との間で約3:2の重量比を維持した。2台の押出し機の溶融ストリームをABCの3層共押出しフィードブロック(テキサス州、オレンジのクローレン(Cloeren Co.,Orange,TX))に供給した。「C」ポートは閉じていた。フィードブロックを通常の25cmコートハンガーダイに装着した。フィードブロックおよびダイを204℃に維持した。ダイで測定した溶融温度は216℃であった。
【0060】
黒色層が形成ロールと接触し、透明層がゴムロールと接触するように、2層の押出し成形品を、形成ツールロールと順応可能なゴムロールとにより形成されたニップへ下方垂直に送出した。形成ツールロールは、直径30.5cmのアルミニウムハイドラロック(HYDRALOCK)膨張性ロールに装着された厚さ1.6mmのニッケルスリーブから構成されていた。スリーブは、電鋳法により作製し、スリーブ周囲に分配された図1に示すのと同様の一連のパターンからなっていた。パターンは、押出し成形品の両側に三次元フィーチャーを生成する突起およびリセスからなっていた。順応可能なゴムロールは、直径30.5cmの鋼ロールに嵌合した厚さ9.5mmのシリコーンゴム(アルコシル(ALCOSIL)、60ショア「A」硬度、ウィスコンシン州、ユニオングローブのアメリカンローラー社(American Roller Co.,Union Grove,WI))スリーブから構成されていた。形成ツールロールの温度は63℃に維持され、ゴムロールの温度は10℃に維持されていた。ツールロールとゴムロールとの間の圧力は約2.8kg/cm2であった(シリンダゲージ)。押出し成形品を2.1メートル/分の線速度でニップに延伸して形成したところ、図2に概略を示すのと同様の構造化物品が得られた。ツールロールの突起(高さ0.8mm、直径1.2mm)を黒色層にプレスしたところ、黒色層の大半がツールロール突起の先端から離れて配置され、透明層が露出して、不透明の側壁と比較的透明な底面を有するリセスが得られた。ツールロールフィーチャーの複製は優れており、高さ約0.8mm、直径1.2mm、体積0.9マイクロリットルの構造化物品のリセスが得られた。リセスは、ツールロールのピンを相互接続するリッジを介して複製された主管140(幅0.4mm、高さ0.15mm)および側部チャネル142(幅0.25mm、高さ0.12mm)を介して相互接続されていた。比較的透明な底面が裏側透明層から離れるように突出し、「凹凸」トポグラフィーを有する裏側が得られた。
【0061】
実施例2
両押出し機にカーボンブラック充填ポリプロピレン混合物を供給した以外は実施例1と同様にして試料処理装置を製造した。2台の押出し機の溶融ストリームをフィードブロックで混合してから、単一層としてダイへ供給した。実施例1と同じロールおよび条件を用いたところ、高さ約0.8mm、直径1.2mm、体積0.9マイクロリットルのリセスを有する黒色三次元構造フィルムが得られた。単層を供給するのに単一の押出し機を用いて、同様の単層物品を製造することも考えられる。
【0062】
好ましい実施形態を説明するために特定の実施形態について例示し説明してきたが、当業者であれば、同じ目的を達成するための様々な変形および/または等価物は、本発明の範囲から逸脱することなく、示され説明された特定の実施形態の代替とすることができることが分かるであろう。当業者であれば、本発明を様々な実施形態で行えることが容易に理解されるであろう。本出願では、本明細書に記載した好ましい実施形態の応用例や変形例も含むことを意図している。従って、本発明は、請求項およびこの等価物によってのみ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】例示の試料処理物品の概略平面図である。
【図2】試料処理チャンバを示す例示の試料処理物品の図1の2−2に沿った拡大部分斜視図である。
【図3】構造化ポリマーフィルムの両側に複数の長手方向に間隔のあいた構造を有する構造化ポリマーフィルムを製造する例示の方法の概略図である。
【図4】構造化ポリマーフィルムの両側に複数の長手方向に間隔のあいた構造を有する構造化ポリマー多層フィルムを製造する例示の方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向へ離間した複数の構造を両面に有する構造化ポリマーフィルムを製造する方法であって、
複数のツール突出部を含む外周面を有する回転可能なツールを用意することと、
前記ツールの前記外周面に対向して、平滑で順応可能な外周面を有するニップロールを用意することと、
前記ツールと前記ニップロールとの間のニップにポリマー層を導入することと、
前記ツールと前記ニップロールとの間で前記ポリマー層をプレスして、前記ツールの前記外周面の前記ツール突出部により、前記ポリマー層の第1面に複数のウェブ凹所を形成するとともに前記ポリマー層の反対側の第2面から離れるように延在する複数のウェブ突起を形成し、以って構造化ウェブを形成することと、
前記構造化ウェブを前記ツールから取り外すことと、
を含む方法。
【請求項2】
回転可能なツールを用意する前記ステップが、高さを有する複数のツール突出部を含む回転可能なツールを用意することを含み、前記導入ステップが、厚さを有するポリマー層をニップへ導入することを含み、前記ツール突出部の高さが前記ポリマー層の厚さよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ニップロールを用意する前記ステップが、ショアA硬度が30〜100の範囲の順応可能な外周面を有するニップロールを用意することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ニップロールを用意する前記ステップが、ショアA硬度が40〜90の範囲の順応可能な外周面を有するニップロールを用意することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ニップロールを用意する前記ステップが、ショアA硬度が50〜85の範囲の順応可能な外周面を有するニップロールを用意することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導入ステップが、溶融ポリマー層を前記ツールと前記ニップロールとの間のニップに導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記導入ステップが、第1のポリマー層および第2のポリマー層を前記ツールと前記ニップロールとの間のニップに導入することと、前記ツールと前記ニップロールとの間で前記第1のポリマー層および第2のポリマー層をプレスして、前記ツールの前記外周面の前記ツール突出部により、前記第1のポリマー層の第1面に複数の凹所を形成するとともに前記第2のポリマー層の反対側の第2面から離れるように延在する複数のウェブ突起を形成し、以って構造化ウェブを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導入ステップが、溶融した第1のポリマー層および溶融した第2のポリマー層を前記ツールと前記ニップロールとの間のニップに導入することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記導入ステップが、第1のポリマー層および第2のポリマー層を前記ツールと前記ニップロールとの間のニップに共押出しすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記導入ステップが、第1の透明ポリマー層および第2の不透明ポリマー層を前記ツールと前記ニップロールとの間のニップに導入することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記プレスステップが、前記ツールと前記ニップロールとの間で前記第1のポリマー層および第2のポリマー層をプレスして、前記ツールの前記外周面の前記ツール突出部により、前記第1のポリマー層の第1面に複数のウェブ凹所を形成するとともに前記第2のポリマー層の反対側の第2面から離れるように延在する複数のウェブ突起を形成し、以って構造化ウェブを形成することを含み、前記複数のウェブ凹所が、複数の不透明な側壁と透明な底面とにより画定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記構造化ウェブが複数の試料処理物品へと分割される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
選択した光を透過し、本体下面を画定する光透過層と、該選択した光を遮蔽し、本体上面を画定する光制御層とを含む本体であって、該光制御層が該光透過層に取り付けられ、本体厚さを有する本体と、
前記本体内に配置された複数の試料処理チャンバであって、各処理チャンバが前記本体上面に向かって延在するとともに前記本体下面から離れるように延在し、各試料処理チャンバが前記本体の厚さよりも大きな高さを有する複数の試料処理チャンバと、
を具備する試料処理物品。
【請求項14】
各処理チャンバが、光制御層の複数の側壁と光透過性の底面とにより画定される、請求項13に記載の試料処理物品。
【請求項15】
前記光透過層が第1の厚さを有し、前記光制御層が第2の厚さを有し、前記第2の厚さが前記第1の厚さよりも大きい、請求項13に記載の試料処理物品。
【請求項16】
管をさらに具備し、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが、該管と流体連通している、請求項13に記載の試料処理物品。
【請求項17】
前記本体の厚さが100〜500マイクロメートルの範囲にある、請求項13に記載の試料処理物品。
【請求項18】
前記本体の厚さが200〜300マイクロメートルの範囲にある、請求項13に記載の試料処理物品。
【請求項19】
各処理チャンバの体積が0.05〜5マイクロリットルの範囲にある、請求項13に記載の試料処理物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−529825(P2008−529825A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552176(P2007−552176)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/001074
【国際公開番号】WO2006/078532
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】