説明

測定量を測定するためのホイール電子回路およびタイヤ監視システム

【課題】本発明は、タイヤ監視システムにおいて、測定すべき測定量の測定に及ぼされる妨害パルスおよび/または信号ノッチの影響を少なくとも低減するという課題を基礎とする。
【解決手段】車両のタイヤ監視システム内または車両のタイヤ監視システム用に設けられ、変調された搬送波信号から包絡線を検出することによって、搬送波周波数を有する受信された振幅変調問い合わせ信号を復号化するための評価装置と、該問い合わせ信号を入力結合するためのカウンタ入力側を有するデジタルカウンタと、入力側で該デジタルカウンタのカウンタ出力側に接続されているシフトレジスタと、該シフトレジスタの出力側に接続された論理回路とを有する、ホイール電子回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のホイール制御システム内または車両のタイヤ監視システム用に設けられた測定量の測定用のホイール電子回路と、同様の形式のタイヤ監視システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、タイヤ固有のパラメータを監視または検出するためのシステムに関する。このタイヤ固有のパラメータは、たとえばタイヤ温度、タイヤ圧、ホイールの回転速度、トレッド厚さ等である。このようなシステムは一般的に、タイヤ情報システム、タイヤ監視システムまたはタイヤ圧監視システムとも称される。本発明と、本発明の基礎となる問題とを、以下でタイヤ圧監視システムに関連して説明するが、本発明はこの点に限定されない。
【0003】
車両セーフティおよび信頼性は自動車技術における中心的なファクタであるから、セーフティ技術上の理由からだけでも、自動車のタイヤ圧を規則的に検査しなければならない。このことはしばしば行われないことが多い。現在の自動車は、とりわけこのような理由から、次のようなタイヤ圧監視システム、すなわち、タイヤ圧を自動的に測定し、測定されたタイヤ圧とタイヤ圧目標値とのクリティカルな偏差を早期に識別するように構成されたタイヤ圧監視システムを有する。このようにして、手動の検査は不要になる。
【0004】
このようなタイヤ圧監視システムは典型的には、各ホイールに所属する少なくとも1つのホイール電子回路を有し、該ホイール電子回路にはホイールセンサが含まれている。このようなホイールセンサは、該ホイールセンサにそれぞれ所属するホイールのタイヤ固有のパラメータを捕捉し、測定されたこの値から導出された情報を送出するように構成されている。このホイールセンサはたとえばタイヤのゴム材料内に組み込まれ、たとえばタイヤのゴム内に加硫によって統合化される。捕捉された送出すべき情報を前評価して伝送するために、ホイール電子回路は、このような情報を送信するための送信アンテナを有する。車両側では、タイヤ圧監視システムは少なくとも1つの受信装置を有する。この受信装置は、タイヤ電子回路から送信され情報を含む信号を捕捉し、中央計算ユニットへ伝送する。
【0005】
各ホイール電子回路と該ホイール電子回路に所属する車両側の受信装置との間で、典型的には双方向のデータ通信が行われる。たとえば公知のチャレンジレスポンス手法にしたがって行われるこのような双方向のデータ通信では、車両側のベースステーションから送信装置を介して、まずは問い合わせ信号(チャレンジ)がホイール電子回路へ送信され、該ホイール電子回路から該問い合わせに応答して、応答ワード信号(レスポンス)が送信される。
【0006】
タイヤ圧監視システムの一般的な問題は、ホイール電子回路と車両との間の無線通信を原因とする。このような無線通信では、ホイール電子回路側でローカルのエネルギー供給部が必要になる。したがって多くのタイヤ圧監視システムでは、ホイール電子回路にバッテリーまたは蓄電池が装備されている。可能な限り小さいエネルギー消費を保証し、タイヤ電子回路のバッテリーを大事に使用するために、測定センサにおける測定は連続的には行われず、相応の問い合わせに応答して行われる。こうするために、ベースステーションは空気圧測定の要求(すなわち問い合わせ)をホイール電子回路へ送信する。
【0007】
ホイール電子回路は、要求を要求として識別した場合、ホイールセンサに測定を行わせる。
【0008】
しかし、車両側の送信器とホイール側の受信器との間の無線伝送区間に起因して、送信された要求信号の伝送エラーが発生することがある。たとえば、要求信号に妨害パルスおよび信号ノッチが発生する。妨害パルスはたとえば別の信号源によって引き起こされ、たとえば、タイヤ圧監視システムの直近の周辺に存在する別の道路使用者の送信装置によって引き起こされるか、またはたとえば、送信された要求信号によって重畳されて該要求信号を妨害する別の無線信号によっても引き起こされる。さらにこのような妨害信号は、車両内部の信号源によって発生し、要求信号に不所望に重畳されることもある。それに対して信号ノッチは、車両側の送信器とホイール電子回路側の受信器との間の無線インタフェースが少なくとも一時的または部分的に遮断される場合に発生する。このような信号ノッチは、たとえば高速時にタイヤ圧を測定する場合に生じる。この場合には、タイヤに取り付けられたホイールセンサは、車両側の送受信器との間にデータ通信部を形成してデータ通信を行うのに僅かな時間しか与えられない。さらに、車両のボディ自体も少なくとも部分的または一部領域で、送信された要求信号に対する遮蔽部として機能することもある。
【0009】
要求信号に多かれ少なかれ大きな信号ノッチが形成されるか、または要求信号が妨害パルスによって妨害された場合、この要求信号に含まれる問い合わせを、問い合わせとして識別することができない。このことは結果として、測定センサがタイヤ圧測定を行わないことを意味する。このことは、タイヤ圧測定時にとりわけセーフティ技術上の理由から、可能な限り回避しなければならない状態である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このことを背景として本発明は、タイヤ監視システムにおいて、測定すべき測定量の測定に及ぼされる妨害パルスおよび/または信号ノッチの影響を少なくとも低減するという課題を基礎とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、請求項1の特徴を有するタイヤ電子回路によって解決される。
【0012】
それによれば、次のように構成される:
車両のタイヤ監視システム内または車両のタイヤ監視システム用に設けられる、測定量の測定用のホイール電子回路において、
変調された搬送波信号から包絡線を検出することによって、搬送波周波数を有する受信された振幅変調問い合わせ信号を復号化するための評価装置と、
該問い合わせ信号を入力結合するためのカウンタ入力側を有するデジタルカウンタと、
入力側で該デジタルカウンタのカウンタ出力側に接続されているシフトレジスタと、
該シフトレジスタの出力側に接続された論理回路
とを有する、ホイール電子回路。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
車両内または車両用に設けられたタイヤ監視システムにおいて、車両側に設けられ少なくとも1つの第1の送受信装置を有するベースステーションと、先行の請求項のうちいずれか1項記載の少なくとも1つのホイール電子回路とを備えており、該ホイール電子回路は、それぞれ第2の送受信装置を有し、ホイール電子回路においてタイヤ固有のパラメータを検出するために、該ベースステーションと該ホイール電子回路との間にチャレンジ‐レスポンス手法によるデータ通信部が設けられている、タイヤ監視システム。
【0014】
本発明は次のようなタイヤ監視システムを基礎とする。すなわち、ベースステーションから適切な問い合わせ信号によって無線の通信区間を介してタイヤ電子回路に対して測定が要求された場合にのみ、タイヤ電子回路とここではとりわけ該タイヤ電子回路の測定センサが測定を行う、公知のチャレンジ‐レスポンス手法にしたがって動作するタイヤ監視システムを基礎とする。この問い合わせは、振幅変調された問い合わせ信号によって送信される。有利には、搬送波信号の周波数は125kHzである。ここでは情報は、振幅の変調によって、たとえばパルス幅変調方式の変調で、搬送波信号に重畳される。
【0015】
本発明の基礎となる思想は、この搬送波信号の包絡線を形成することにより、該包絡線から相応の問い合わせを復号化することである。このような包絡線を形成するためには、振幅変調問い合わせ信号はデジタル化される。本発明の基礎となる思想はさらに、このデジタル化された問い合わせ信号をデジタルカウンタに供給し、該デジタルカウンタが包絡線を検出することである。こうするためにはカウンタは、周波数が少なくとも搬送波信号の周波数と異なるクロック信号によってクロック制御される。このようにして、振幅変調問い合わせ信号の包絡線を非常に簡単かつ非常に効率的に検出することができる。したがって、本発明ではある意味では、次のようなデジタルフィルタが提供される。すなわち、たとえば90kHzのクロック信号を使用する場合に妨害パルスおよび信号ノッチを、振幅変調問い合わせ信号から非常に効率的にフィルタリングするデジタルフィルタが提供される。
【0016】
非常に驚くべきことに、振幅変調問い合わせ信号とここではとりわけ該問い合わせ信号の半焼周波数の領域内とにある妨害パルスおよび信号ノッチを、包絡線の形成によって回避することができる。包絡線を検出するためにデジタルカウンタを設けることにより、ある意味では次のようなデジタルフィルタ、すなわち、平均値形成によって高周波の搬送波信号中の妨害または信号ノッチを平均して小さくし、このことによって消去するデジタルフィルタが実現される。このようにして、問い合わせ信号から問い合わせを検出する比較的耐妨害性の方法を非常に効率的かつ非常に簡単に提供することができる。
【0017】
別の従属請求項および明細書から、図面の各図を参照して、本発明の有利な実施形態および発展形態を導き出すことができる。
【0018】
本発明によるシステムの特に有利な発展形態では、前記カウンタはグレイカウンタとして構成される。このグレイカウンタは、カウントを進める際には常に、1クロックあたり1ビットだけ変化するので、非常に有利には、本発明によるフィルタ回路の特に安定的な挙動が実現される。
【0019】
有利な実施形態では、前記カウンタは3ビットカウンタとして構成され、ここではとりわけ、3ビットグレイカウンタとして構成される。このような3ビットによって、総じて8つの可能な状態が得られる。高い耐妨害性を保証するためには、このような3ビットと、それによって可能な8つの状態とですでに十分であることが多いことが実証されている。もちろん、期待される妨害パルスおよび/または信号ノッチがどのように似ているかに応じて、ないしは、本発明によるホイール電子回路によってどのような耐妨害性を実現すべきかに応じて、2ビットカウンタのみを設けるか、または3ビットを上回るカウンタを設けることも考えられる。
【0020】
有利な実施形態では、入力側で前記カウンタのカウンタ出力側に接続されているシフトレジスタが設けられる。このような構成で有利には、シフトレジスタは次のような多段シフトレジスタ、すなわち、相互に直列に配置された複数のシフトレジスタセルを有する多段シフトレジスタとして構成される。有利には、シフトレジスタは5段シフトレジスタとして構成され、総じて5つのシフトレジスタセルを含む。このような5段シフトレジスタは、最大で5つのシフトレジスタ出力端を有する。アプリケーションに応じて、シフトレジスタセルの1つまたは別の出力側を省略することもでき、たとえば、第1のシフトレジスタセルに直接後置されている第1の出力側を省略することもできる。このようなシフトレジスタを設けることにより、非常に小さい妨害パルスおよび信号ノッチも回避することができる。このようなシフトレジスタを設けることにより、シフトレジスタの出力端に次のような包絡線も形成される。すなわち、振幅変調された問い合わせ信号に対して僅かに時間シフトされているが、このことはもはや妨害とはならない包絡線も形成される。というのもその結果として、振幅変調された問い合わせ信号の包絡線は高い確実性と耐妨害性とで生成されるからである。シフトレジスタの長さに応じて、すなわち相互に連続して配置されたシフトレジスタセルの数に応じて、ホイール電子回路がどのような妨害脆弱性を有するかを決定することができる。包絡線生成のダイナミクスと妨害耐性との間の非常に良好な妥協線を得るためには、3つを上回りかつ7つを下回る数のシフトレジスタセルが設けられ、とりわけ5つのシフトレジスタセルが設けられる。より多数のシフトレジスタ数も可能であるが、これによって、デジタル信号ないしは包絡線が搬送波周波数信号に対してシフトしてしまう。また、シフトレジスタ数がより多くなると、ホイール電子回路のコストがより高くなる。このようなシフトレジスタによって、搬送周波数の連続したパルスは相互に連続しなければならず、そうでない場合にはシフトレジスタ回路は、欠落した信号が妨害パルスによって引き起こされたことを識別することができる。
【0021】
有利な実施形態では、問い合わせが存在する場合にのみ、検出すべき物理的な測定量の測定を行う測定センサが設けられている。このような測定センサは、タイヤ圧、タイヤ温度または別のタイヤ固有のパラメータを検出するように構成することができる。この別のタイヤ固有のパラメータは、とりわけホイールの回転速度、タイヤのトレッド厚さ等である。
【0022】
同様に有利な実施形態では第2の評価回路が設けられる。この第2の評価回路は、シフトレジスタの各出力端子および各シフトレジスタセルの各出力端子が評価回路の入力端に接続されるように構成されている。この第2の評価回路は、たとえば論理回路として構成されるか、またはマイクロコントローラの構成部分として実装される。第2の評価回路は出力側で、クロック信号のクロック周波数と異なるシフトレジスタセルによって検出された出力ビットとに依存して、その時点の論理レベルを生成するように構成されている。すべてのシフトレジスタセルが同じ出力値を有する場合には、この第2の評価回路は出力端子で第1の論理レベルを出力し、たとえば論理"0"を出力するか、または論理的なローレベルを出力する。それとは逆に、シフトレジスタセルのすべての出力値の少なくとも一部が異なる場合には、第2の評価回路は出力側で第2の論理レベルを出力し、たとえば論理"1"を出力するか、または論理的なハイレベルを出力する。ここではもちろん、逆の論理も考えられる。
【0023】
典型的には、シフトレジスタひいては該シフトレジスタセルはクロック信号によってクロック制御される。
【0024】
有利な実施形態ではフリップフロップが設けられ、ここではとりわけDフリップフロップが設けられる。フリップフロップのデータ入力端は第2の評価回路の出力端子に接続されており、該フリップフロップのクロック入力端にクロック信号が入力結合される。したがってこのフリップフロップの出力端では、クロック信号によってトリガされ、第2の評価回路の出力信号と該クロック信号との結合によって、包絡線が形成される。
【0025】
有利な実施形態では、プログラム制御される装置が設けられており、この装置は少なくとも、第1の評価装置の機能を含む。付加的または択一的に、このプログラム制御される装置が第2の評価装置の機能および/またはカウンタの機能および/またはフリップフロップの機能を含むように構成することもできる。このようなプログラム制御される装置は、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ等として構成するか、または、たとえばPLDまたはFPGA等の固定配線式の論理回路として実装することもできる。
【0026】
典型的な実施形態では、ホイール電子回路はローカルのエネルギー供給部を有する。このエネルギー供給部は、ホイール電子回路の要素にエネルギーを供給する。とりわけ、たとえばバッテリーまたは充電可能な蓄電池として構成されるこのエネルギー供給部は、ホイール電子回路のマイクロコントローラ、測定センサ、評価装置、カウンタおよびフリップフロップにエネルギーを供給する。
【0027】
本発明によるタイヤ監視システムの有利な実施形態では、車両側の第1の送受信装置からホイール電子回路へ送信される振幅変調された問い合わせ信号の搬送波信号の周波数は、短波長周波数領域にある。このような周波数により、自動車の別のシステムに生じる妨害が小さくなり、このことは自動車において比較的重要である。
【0028】
有利には、ホイール電子回路のクロック信号の周波数は少なくとも、搬送波信号の周波数より小さい。ホイール電子回路のクロック信号の周波数が、第1の送受信装置から該ホイール電子回路へ送信される振幅変調された問い合わせ信号の搬送波信号の周波数の少なくとも半分である場合、本発明によるタイヤ監視システムは非常に確実に動作する。有利には、この搬送波信号の周波数は125kHzであり、クロック信号の周波数は90kHzである。
【実施例】
【0029】
図面の各図において、同一および同機能の要素、特徴および信号には、特記がない限り同じ参照符号が付されている。
【0030】
図1は、本発明によるタイヤ圧システムの実施例を、乗用車の概略的な平面図で示す。図1中、参照番号10は車両を示し、これはたとえば乗用車である。車両10はこの実施例では、4つのホイール11を有する。これらの各ホイール11は公知のように、ここには示されていないシャフトに固定されている。
【0031】
車両10は本発明のタイヤ監視システムを有し、これはこの実施例では、たとえばタイヤ圧を検出するためのタイヤ圧監視システムとして構成されている。さらにこのタイヤ圧監視システムは、検出されたタイヤ圧の情報の評価も行い、場合によってはこの情報を表示するように構成すべきである。このタイヤ圧監視システムは、ホイール側のホイール電子装置と、車両側の送受信装置と、バスと、制御装置とを有する。このホイール側のホイール電子装置は、以下ではホイール電子回路とも称される。タイヤ圧監視システムのこれらの要素と、該要素の配置および機能を以下で説明する。
【0032】
各個々のホイール11に少なくとも1つのホイール電子回路13が所属している。このホイール電子回路13は自明のように、たとえば各タイヤ内、すなわち、タイヤのゴム材料中および/または弁の領域内またはホイール11のリムの領域内に配置される。各ホイール電子回路13は典型的にはホイールセンサを有する。このホイールセンサはホイール固有のパラメータを検出するように構成されており、たとえばタイヤ圧と、タイヤ温度と、ホイールの回転速度と、タイヤのトレッド厚さとを検出し、場合によっては別のパラメータも検出する。ホイール電子回路13はさらに、送受信アンテナ12も含む。
【0033】
図2は、このようなホイール電子回路13の構成例を概略的なブロック回路図で示す。ホイール電子回路13はこの実施例の場合には、圧力センサ21と、該圧力センサ21に接続された処理装置22と、該処理装置22に接続された送受信回路23とを有し、これらにはそれぞれ、ローカルのエネルギー供給部24によって電気エネルギーが供給される。このエネルギー供給部24は、たとえば蓄電池またはバッテリーである。このホイール電子回路13は、圧力センサ21によって各ホイールのその時点のタイヤ圧を測定するように構成されている。
【0034】
ホイール電子回路13は、送受信アンテナ12および送受信回路23を介して、車両側で送信された振幅変調信号25を受け取って処理装置へ伝送するように構成されている。処理装置22において、受信されたこの信号の復調、復号化および評価が行われる。たとえば、ホイール電子回路13によって受け取られた信号は、振幅変調信号で符号化された問い合わせを含んでいる。処理装置22はこの受信された振幅変調信号から、該振幅変調信号に含まれる問い合わせを検出する。このことは以下で、さらに詳細に説明される。
【0035】
処理装置22はとりわけ、たとえば測定されたタイヤ圧に関してメッセージ(すなわち応答)を送信信号26として生成し、次にこのメッセージを送受信回路23およびアンテナ12によって、応答として車両側の受信装置15へ無線送信するように構成される。
【0036】
ホイール側で送信された送信信号26を受信するために、タイヤ圧監視システムは車両側に複数の受信装置15を有し、これらの受信装置15はそれぞれ送受信アンテナ16を有する。送受信アンテナ16によって受信装置15を介して受け取られた送信信号26は内部バス17を介して中央制御ユニット18へ供給される。この中央制御ユニット18は計算ユニット19を有し、たとえば、マイクロコントローラとして構成されたプログラム制御される装置を有する。この計算ユニット19において、各ホイール電子回路13によって送信されたメッセージの評価が行われる。
【0037】
圧力センサ21は、相応の問い合わせを受け取った場合にのみタイヤ圧を測定する。それ以外の場合には、タイヤ圧21は非作動化されている。圧力センサ21を作動化するためには中央制御ユニット18は、問い合わせを含む問い合わせ信号25を生成し、送受信装置15および送受信アンテナ16を介して、これに所属するホイール電子回路13へこの問い合わせ信号25を送信し、該ホイール電子回路13は送受信アンテナ12を介して該問い合わせ信号25を受け取る。
【0038】
この問い合わせ信号25はたとえば、部分的に125kHzの搬送波周波数を有する振幅変調された信号である。図3に、このような振幅変調された問い合わせ信号25の経過例が信号タイムチャートで示されている。この問い合わせ信号25は第1のセグメント30と第2のセグメント31とを有する。問い合わせ信号25の第1のセグメントは搬送波信号32を有し、第2のセグメントは搬送波信号32を有さない。搬送波信号32は、この例では高周波の搬送波信号であり、たとえば125kHzの搬送波信号である。第1のセグメントの長さおよび/または第2のセグメントの長さおよび/または該第1のセグメントと第2のセグメントとの間の間隔が、符号化された情報を含み、ひいては、振幅変調された問い合わせ信号25に含まれる問い合わせ情報を含む。
【0039】
図3にはさらに、振幅変調された問い合わせ信号から得られる包絡線信号33も示されている。これは以下では、振幅変調信号25の包絡線33とも略称される。また図3には、ホイール電子回路13内部で設けられるクロック信号も示されている。これはこの例では、90kHzのクロック信号である。単なる一例として、図3には、振幅変調された問い合わせ信号25ないしは該信号の搬送波信号32中の妨害パルス35および信号ノッチ36が示されている。以下でさらに詳細に説明するように、本発明によってこのような妨害35,36がフィルタリングされ、本発明で生成された振幅変調された問い合わせ信号25の包絡線33では、このような妨害35,36はもはや可視でなくなる。このことを以下で、ホイール電子回路13内に具現化される回路技術的な実施例に基づいて、詳細に説明する。
【0040】
図4に、振幅変調された125kHzの問い合わせ信号25から本発明によって包絡線33を生成するための有利な実施形態が示されている。このような復号化は、有利には処理装置22において行われる。本発明ではカウンタ40が設けられており、これは有利にはグレイカウンタとして構成されている。このカウンタ40のカウンタ入力側に、振幅変調された125kHzの問い合わせ信号25が印加される。この出力側は、カウンタを進める際には常に、1クロックあたり1ビットだけ変化する。このクロックは搬送波周波数である。有利には、グレイカウンタ40は3ビットカウンタとして構成されている。グレイカウンタのビット系列が図5に示されている。ここでは、総じて8つの状態が設けられている。カウンタ40のバイナリカウンタ出力側は3つの出力線路を有し、これらは、5つのレジスタ段42から成るシフトレジスタ41に接続されている。グレイカウンタ40のこれら3つの出力側に相応して、各レジスタ段42は3つの並列接続されたフリップフロップ、有利にはエッジトリガ式のDフリップフロップを有する。それによれば、グレイカウンタ40の各1つの出力側は、第1のレジスタ段42のフリップフロップの入力側に接続されている。さらに、第1のレジスタ段の各フリップフロップの出力側は、第2のレジスタ段のフリップフロップの入力側に接続されている。図4に、グレイカウンタと第1のレジスタ段との接続と、番号3を有する個々のレジスタ段間の接続とが示されている。シフトレジスタ41、すなわち、5つのレジスタ段42の総じて20個のフリップフロップは、90kHzのクロック信号34によってクロック制御される。このようにして、グレイカウンタ40のカウンタ結果、すなわち該グレイカウンタ40のその時点のカウンタ状態は実際には連続的に、すなわちビットごとにシフトレジスタ41の個々のレジスタ段42にシフト入力され、該シフトレジスタ41をビットごとに通過する。
【0041】
とりわけ、シフトレジスタ41は5段のシフトレジスタ41として構成されており、図4では一例として、5つのシフトレジスタ段42が設けられている。このようなレジスタ段42の3つの出力側はそれぞれ、論理回路43に接続されている。レジスタ段のフリップフロップが125kHzの入力信号25の印加に依存せずにクロック制御されることにより、CPによって示されたフリップフロップのクロック入力側に90kHzのクロックが印加される限り、グレイカウンタの3つの出力側は読み出され、ビットは個々のレジスタ段を通過してシフトされる。期間30で入力信号25がグレイカウンタ40の入力側に印加されると、該グレイカウンタ40の出力側のビット値は連続的に変化し、個々のレジスタ段42のフリップフロップの入力側ないしは出力側のビット値も変化する。すなわち、この値は個々のレジスタ段を通過する。このことに相応して、レジスタ段42の個々の出力側のビット値は、期間31の開始直後に期間31では変化しなくなることはない。すなわち、これらのレジスタ段にはたとえばビット値0が「充填」される。論理回路43によって、個々のレジスタ段42のビット値は評価される。たとえば複数の"1"が検出される場合、論理回路43は1を包絡線として出力する。そうでない場合は、論理回路43は"0"を包絡線として出力する。このことによって、個々の針状のパルス35および個々のノッチ36は確実にフィルタリングされ、全体的に信号妨害が有効的に抑圧される。
【0042】
別の実施形態では、すべてのシフトレジスタ42の出力側の値がすべて同じである場合、有利には0である場合、論理回路43は"0"を出力する。. しかし、各シフトレジスタ段の出力側における値が異なる場合、論理回路43は"1"を出力する。
【0043】
図4に示されているように、論理回路43は出力側で、該論理回路43の出力側における論理レベルから得られる所望の包絡線33を出力する。この実施形態は、16ビットカウンタと異なる点として、最大で1ビットのエラーを有することができる。
【0044】
図6では、論理回路43の出力側がDフリップフロップ45に接続されており、このDフリップフロップは90kHzのクロック34によってクロック制御される。図中の例では実際には、振幅変調された125kHz信号がグレイカウンタ40をクロック制御する。このグレイカウンタ40の値は、5段のシフトレジスタ41に供給される。シフトレジスタ41のすべての値、すなわち異なるシフトレジスタ段42のすべての出力ビットが同じである場合、包絡線は"0"になり、出力ビットが異なる場合には包絡線は"1"になる。この回路自体が、個々の針状の妨害パルス35およびクロックノッチ36をフィルタリングする。このことは、従来のデジタルフィルタでは実現できなかった。
【0045】
図7に示された別の実施形態では、シフトレジスタ46の最後の4つのレジスタ段42のそれぞれ3つの出力側のみが、非同期評価論理回路47に接続されている。このことにより、論理回路47をより省スペースかつより省電流で構成することができる。その際には論理回路47は、5つのレジスタ段42のうち最後の4つのレジスタ段のみを評価する。有利には、レジスタ段に等しい値が、たとえば0のみが存在する場合にのみ、包絡線33は値0にセットされる。というのも、グレイカウンタ40は入力側でクロックを受け取っていないことが推定されるからである。このことに相応して、レジスタ段に複数の異なる値が検出された場合、包絡線33の値は"1"にセットされる。
【0046】
上記で本発明を有利な実施例に基づき説明してきたが、本発明はそれらに限定されるものではなく、多種多様に変形を施すことができる。本発明は、記載された実施例にのみ限定されるのではなく、別の物理量を測定するための別の測定システムにも使用することができる。また、本発明は自動車に適用しなければならないわけではなく、妨害を含む別の周辺環境で別の測定値伝送を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明によるタイヤ圧監視システムを説明するための乗用車の概略的な平面図である。
【図2】ホイール電子回路の構成例のブロック回路図である。
【図3】重畳された搬送波信号を有する振幅変調問い合わせ信号の信号タイムチャートと、この振幅変調信号の包絡線と、クロック信号とを示す。
【図4】本発明によるホイール電子回路の第1の実施例を説明するための、グレイカウンタとシフトレジスタ構成体とDフリップフロップとを有する回路構成を示す。
【図5】グレイカウンタの可能な出力状態の符号化スキームを示す。
【図6】本発明のホイール電子回路の第2の実施例を説明するための、シフトレジスタ構成体と論理回路とフリップフロップとを有する回路構成を示す。
【図7】本発明のホイール電子回路の別の実施例を説明するための、シフトレジスタ構成体と論理回路とフリップフロップとを有する回路構成を示す。
【符号の説明】
【0048】
10 車両、乗用車
11 ホイール
12 ホイール側の送受信アンテナ
13 ホイール電子回路
15 車両側の送受信装置
16 車両側の送受信アンテナ
17 バス
18 中央制御ユニット
19 計算ユニット、マイクロコントローラ
21 圧力センサ、測定センサ、ホイールセンサ
22 処理装置、マイクロコントローラ
23 送受信回路
24 ローカルのエネルギー供給部
25 送信信号、問い合わせ信号
26 送信信号
30,31 振幅変調信号のセグメント
32 高周波の搬送波信号
33 振幅変調された問い合わせ信号の包絡線
34 クロック信号
35 妨害パルス
36 搬送波信号中の信号ノッチ
40 カウンタ
41 シフトレジスタ
42 それぞれ3つのフリップフロップを有するシフトレジスタ段
43 論理回路
45 Dフリップフロップ
46 シフトレジスタ
47 非同期論理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)のタイヤ監視システム内または車両(10)のタイヤ監視システム用に設けられた、測定量の測定用のホイール電子回路において、
変調された搬送波信号から包絡線(33)を検出することによって、搬送波周波数(32)を有する受信された振幅変調問い合わせ信号(25)を復号化するための評価装置(22)と、
該問い合わせ信号(25)を入力結合するためのカウンタ入力側を有するデジタルカウンタと、
入力側で該デジタルカウンタのカウンタ出力側に接続されているシフトレジスタ(41)と、
該シフトレジスタ(41)の出力側に接続された論理回路(43)
とを有する、ホイール電子回路。
【請求項2】
前記デジタルカウンタはグレイカウンタ(40)として構成されている、請求項1記載のホイール電子回路。
【請求項3】
前記デジタルカウンタは3ビットカウンタとして構成されている、請求項1または2記載のホイール電子回路。
【請求項4】
前記デジタルカウンタの各出力側は、シフトレジスタ段のフリップフロップ入力側に接続されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のホイール電子回路。
【請求項5】
前記シフトレジスタ(41)は多段のシフトレジスタ(41)として構成されており、相互に直列に配置された複数のシフトレジスタ段(42)を有する、請求項4記載のホイール電子回路。
【請求項6】
前記シフトレジスタ(41)は5段のシフトレジスタ(41)として構成されており、総じて5つのシフトレジスタ段(42)と、相応の5つの出力端子とを有する、請求項4または5記載のホイール電子回路。
【請求項7】
前記シフトレジスタ(41)は、前記搬送波周波数(32)と異なるクロック信号(34)の周波数によってクロック制御される、請求項1から6までのいずれか1項記載のホイール電子回路。
【請求項8】
前記シフトレジスタ段(42)の各出力端子の一部は前記論理回路(43)の入力側に接続されており、
すべてのシフトレジスタ段(42)が同じ出力値を有する場合、該論理回路(43)は出力端子で第1の論理レベルを出力し、
該シフトレジスタ段(42)の出力値が少なくとも部分的に異なる場合、該論理回路(43)は第2の論理レベルを出力する、請求項1から7までのいずれか1項記載のホイール電子回路。
【請求項9】
前記論理回路(43)は前記クロック信号(34)によってクロック制御される、請求項8または9記載のホイール電子回路。
【請求項10】
フリップフロップ(45)、とりわけDフリップフロップが設けられており、
該フリップフロップ(45)のデータ入力側は前記論理回路(43)の出力端子に接続されており、
該フリップフロップ(45)のクロック入力側に前記クロック信号(34)が入力結合されるように構成されている、請求項8から10までのいずれか1項記載のホイール電子回路。
【請求項11】
前記ホイール電子回路(13)の要素にエネルギーを供給するローカルのエネルギー供給部(24)が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載のホイール電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−283687(P2008−283687A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123750(P2008−123750)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(501211693)アトメル ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (28)
【氏名又は名称原語表記】ATMEL Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Theresienstrasse 2, D−74025 Heilbronn,Germany
【Fターム(参考)】