説明

炭素薄膜の製造方法、炭素薄膜を含んだ電子素子及び炭素薄膜を含んだ電気化学素子

【課題】炭素薄膜の製造方法、炭素薄膜を含んだ電子素子及び炭素薄膜を含んだ電気化学素子を提供する。
【解決手段】基板上にコーティング工程を利用し、高分子膜を形成する段階と、高分子膜上に保護膜を形成する段階と、基板を熱処理し、基板上に炭素薄膜を形成する段階と、を含む炭素薄膜の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素薄膜の製造方法、炭素薄膜を含んだ電子素子及び炭素薄膜を含んだ電気化学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素系材料は、一般的に、ダイアモンド、グラファイト、グラフェン、数層グラフェン(a few layer graphene)及び非晶質炭素に分類される。このうち、ダイアモンドは、炭素原子間がsp結合で連結されているために、電気伝導性を全く帯びないが、グラファイトは、spのみによってなっているので、伝導性に優れる。一方、非晶質炭素は、sp結合とsp結合とをいずれも有するので、グラファイトよりは低い電気伝導性を有することができる。グラファイトの場合、金属と類似したレベルの伝導性によって、半導体産業では、グラファイトを使用するには限界がある。これを解決する物質として、最近脚光を浴びているグラフェンは、電気伝導度、電子移動度の側面で高い値を有するために、半導体産業でも応用性が広く、多くの研究がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
伝導性を有する炭素系材料の製造方法として、ナノファイバを利用する方法、スコッチテープを利用して黒鉛塊からグラフェンを分離する方法などを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2009−0059871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の伝導性を有する炭素系材料の製造方法では、生産コストが非常に掛かるほか、安定的に生産・供給できる技術が確立されていないという問題があり、ましてや大面積の二次元炭素薄膜を製造することはできていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、経済的であって安定しており、大面積の二次元炭素薄膜を製造する方法を提供するものである。
【0007】
本発明はまた、前記炭素薄膜の製造方法によって製造された炭素薄膜を含んだ電子素子及び電気化学素子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、基板上にコーティング工程を利用して、高分子膜(polymer film)を形成する段階と、前記高分子膜上に保護膜を形成する段階と、前記基板を熱処理し、前記基板上に炭素薄膜を形成する段階と、を含む炭素薄膜の製造方法が提供される。
【0009】
前記基板は、シリコン、シリコン酸化物、金属ホイル、金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム(MgO)など)、高配向性熱分解グラファイト(HOPG:highly ordered pyrolytic graphite)、六方晶窒化ホウ素(H−BN:hexagonal boron nitride)、c−planeサファイアウェーハ、硫化亜鉛(ZnS)、高分子基板、またはそれらのうち2以上の組み合わせを含むことができる。また、前記基板以外に、結晶構造を有するいかなる基板でも可能である。例えば、Niホイル、Cuホイル、Pdホイル、MgO、ZnS、c−planeサファイア、h−BNなどの基板を使用することができる。
【0010】
前記高分子膜の高分子は、炭素及び水素を含み、600℃以下の熱分解温度(thermal decomposition temperature)を有し、非共役性主鎖(non−conjugated main backbone)を有する絶縁性高分子を含むことができる。
【0011】
例えば、前記高分子膜の高分子は、下記化学式1で表示される反復単位(repeating unit)、下記化学式2で表示される反復単位、及び下記化学式3で表示される反復単位のうち一つ以上を含むことができる:
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
前記化学式1ないし3で、Yは、NまたはC(R11)であり、Yは、O、S、N(R12)またはC(R13)(R14)であり、Y及びYは互いに独立して、NまたはC(R15)であり、RないしR15は互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、置換または非置換のC−C30アルキル基、置換または非置換のC−C30アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C30アリールアルキル基、置換または非置換のC−C30アリールオキシ基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC−C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC−C30アルキルエステル基、置換または非置換のC−C30アリールエステル基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールエステル基、及び−N(Q)(Q)からなる群から選択され、前記QないしQは互いに独立して、水素原子、C−C30アルキル基、C−C30アリール基及びC−C30ヘテロアリール基からなる群から選択され、Aは、置換または非置換のC−C30アリール基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基であり、前記*は、隣接する反復単位との結合サイトである。
【0016】
前記高分子膜の形成段階は、前記基板上に、前記高分子及び溶媒を含んだ第1混合物、または前記高分子の前駆体及び溶媒を含んだ第2混合物をコーティング工程を利用して提供する段階を含むことができる。
【0017】
前記保護膜は、800℃以上の融点を有する物質を含むことができる。例えば、前記保護膜は、金属、金属酸化物、セラミック、半導体酸化物及び半導体窒化物からなる群から選択された一つ以上の物質を含むことができる。
【0018】
前記炭素薄膜の製造方法において、前記熱処理は、前記高分子膜に含まれた高分子が炭化(carbonized)される条件下で行われる。
【0019】
前記熱処理を不活性雰囲気または真空雰囲気下で、前記高分子膜に含まれた高分子の熱分解温度以上2,500℃以下の温度範囲、かつ30秒ないし5日の時間範囲で行われる。
【0020】
前記炭素薄膜の製造方法は、前記熱処理遂行前に、前記保護膜及び高分子膜を所定パターンに沿ってパターニングする段階、及び前記熱処理遂行後、前記炭素薄膜を所定パターンに沿ってパターニングする段階のうち一つ以上をさらに含むことができる。
【0021】
前記炭素薄膜は、グラファイト・シート、グラフェン・シート、数層グラフェン(a few layer graphene)及び非晶質炭素シートからなる群から選択されたものである。
【0022】
前記炭素薄膜の製造方法は、前記高分子膜の形成段階前、前記基板上に触媒膜を形成する段階をさらに含むことができる。ここで、前記触媒膜は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、シリコン(Si)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ウラン(U)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、及びそれらのうち2以上の組み合わせを含むことができる。
【0023】
前記炭素薄膜の製造方法は、前記保護膜形成段階前に、前記高分子膜をプリベークし、前記高分子膜を安定化させる段階をさらに含むことができる。
【0024】
前記炭素薄膜の製造方法は、前記炭素薄膜の形成段階後、前記保護膜及び/または触媒膜を除去する段階をさらに含むことができる。
【0025】
前記炭素薄膜の製造方法は、前記炭素薄膜の形成段階から収得した炭素薄膜を他の基板に転写する段階をさらに含むことができる。
【0026】
本発明においてまた、前記炭素薄膜の製造方法によって製造された炭素薄膜を含んだ電子素子が提供される。前記炭素薄膜は、各種電子素子の電極及び/または配線、活性層(例えば、半導体素子の活性層(active layer))として使われうる。
【0027】
本発明においてまた、前記炭素薄膜の製造方法によって製造された炭素薄膜を含んだ電気化学素子が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の炭素薄膜の製造方法を利用すれば、安定していて経済的であり、大面積の二次元炭素薄膜を容易に製造することができる。また、優秀な伝導度を有する炭素薄膜を収得でき、これを、伝導性が要求される各種電極または配線などに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の炭素薄膜の製造方法の一実施形態(具現例)を説明した図面である。
【図2】本発明の炭素薄膜製造方法の他の実施形態(具現例)を説明した図面である。
【図3】本発明の炭素薄膜を含んだ有機発光素子の一実施形態(具現例)を概略的に示した断面図である。
【図4】本発明の炭素薄膜を含んだ有機太陽電池素子の一実施形態(具現例)を概略的に示した断面図である。
【図5】本発明の炭素薄膜を含んだ有機薄膜トランジスタの一実施形態(具現例)を概略的に示した断面図である。
【図6】実施例2、4及び5の炭素薄膜のラマンスペクトルである。
【図7】比較例1ないし3から収得したフィルムのラマンスペクトルである。
【図8】比較例4ないし6から収得したフィルムのラマンスペクトルである。
【図9】実施例6及び7の炭素薄膜のラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態(実施例)について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0031】
図1は、前記カーボン薄膜の製造方法の一実施形態(具現例)を順に図示した断面図である。図1を参照して、前記カーボン薄膜の製造方法の一実施形態(具現例)について説明すれば、下記の通りである。
【0032】
まず、基板11を準備する。前記基板11は、その上部に形成される高分子膜13と実質的に反応せず、高温下に露出されても、変形、劣化などが起こらない物質を含むことができる。
【0033】
前記基板11としては、一般的な半導体工程で使われる基板が使われうる。例えば、前記基板11は、シリコン、シリコン酸化物(例えば、SiO)、シリコン窒化物(例えば、SiN)、窒化半導体(例えば、GaN)、金属ホイル(metal foil)(例えば、銅ホイル、アルミニウムホイル、ニッケルホイル、パラジウムホイル、ステンレススチールなど)、金属酸化物、高配向性熱分解グラファイト(HOPG:highly ordered pyrolytic graphite)、六方晶窒化ホウ素(H−BN:hexagonal boron nitride)、c−planeサファイアウェーハ、ZnS(硫化亜鉛)、高分子基板(polymer substrate)、及びそれらのうち2以上の組み合わせを含むことができる。前記金属ホイルは、アルミニウムホイルのように、融点(melting point)が高く、炭素薄膜を形成触媒として作用しない物質からなるか、あるいは銅及びニッケルホイルのように、炭素薄膜形成触媒としても作用することができる物質からなりうる。前記金属酸化物の例としては、アルミニウム酸化物、モリブデン酸化物、マグネシウム酸化物、酸化インジウムスズ(ITO)などを挙げることができ、前記高分子基板の例としては、ケプトンホイル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、硫化ポリフェニレン(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、三酢酸セルロース(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【0034】
前記基板11として、高分子膜13の炭化促進のために、Cu、Ni、Pdなどと共に、炭素薄膜形成触媒としても作用することができる物質からなる金属ホイルを使用する場合、前記基板上に触媒膜を形成する段階を省略できる。
【0035】
一方、HOPG、六方晶窒化ホウ素、c−planeサファイアウェーハ及び硫化亜鉛を、基板11の材料として選択する場合にも、前記基板11上部に、触媒膜32(図2)を形成せずとも、炭素薄膜が形成されうる。
【0036】
一方、基板11は、互いに異なる1以上の物質の混合物からなる単一層でもあり、互いに異なる2以上の物質からなる個別層が積層された多層構造でもありうる。例えば、前記基板11は、シリコン層及びシリコン酸化物層からなる2層構造を有することができる。
【0037】
その後、前記基板11上に、高分子膜13を形成する段階1Aを遂行する。前記段階1Aは、コーティング工程を利用して遂行する。
【0038】
前記高分子膜13の高分子は、炭素及び水素を含み、600℃以下の熱分解温度(thermal decomposition temperature)を有し、非共役性主鎖(non−conjugated main chain)を有する絶縁性高分子を含むことができる。
【0039】
さらに具体的には、前記高分子膜13の高分子は、下記化学式1で表示される反復単位(repeating unit)、下記化学式2で表示される反復単位、及び下記化学式3で表示される反復単位のうち一つ以上を含むことができる。
【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
前記化学式1で、Yは、NまたはC(R11)であり、前記化学式2で、Yは、O、S、N(R12)またはC(R13)(R14)であり、前記化学式3で、Y及びYは互いに独立して、NまたはC(R15)であり、前記化学式3で、Aは、置換または非置換のC−C30アリール基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基でありうる。
【0044】
一方、前記化学式1ないし3で、RないしR15は、後述する「炭素薄膜」形成のための熱処理時に、容易に脱着されうる基でありうる。
【0045】
このようなRないしR15は互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、置換または非置換のC−C30アルキル基、置換または非置換のC−C30アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C30アリールアルキル基、置換または非置換のC−C30アリールオキシ基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC−C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC−C30アルキルエステル基、置換または非置換のC−C30アリールエステル基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールエステル基、及び−N(Q)(Q)からなる群から選択され、前記QないしQは互いに独立して、水素原子、C−C30アルキル基、C−C30アリール基及びC−C30ヘテロアリール基からなる群から選択されうる。
【0046】
好ましくは、例えば、前記RないしR15は、互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、及び−N(Q)(Q)からなる群から選択されうる。ここで、前記QないしQは互いに独立して、水素原子及びC−C10アルキル基からなる群から選択されうる。
【0047】
より好ましくは、例えば、前記RないしR15は、互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基及び−NHからなる群から選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0048】
前記化学式3で、Aが、置換されたC−C30アリール基または置換されたC−C30ヘテロアリール基である場合、前記置換されたC−C30アリール基または置換されたC−C30ヘテロアリール基の置換基は、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、C−C30アルキル基、C−C30アルコキシ基、C−C30アリール基、C−C30アリールアルキル基、C−C30アリールオキシ基、C−C30ヘテロアリール基、C−C30ヘテロアリールアルキル基、C−C30ヘテロアリールオキシ基、C−C20シクロアルキル基、C−C30ヘテロシクロアルキル基、C−C30アルキルエステル基、C−C30アリールエステル基、及びC−C30ヘテロアリールエステル基からなる群から選択されうるが、それらに限定されるものではない。好ましくは、例えば、前記置換基は、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、C−C10アルキル基及びC−C10アルコキシ基からなる群から選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0049】
一方、前記化学式1ないし3で、「*」は、隣接する反復単位との結合サイトを示したものである。
【0050】
好ましくは、例えば、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式1で表示される反復単位からなるが、前記化学式1で、Yは、Nでありうる。
【0051】
または、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式1で表示される反復単位からなるが、前記化学式1で、Yは、Nであり、RないしRは互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基及び−NHからなる群から選択されうる。
【0052】
好ましい他の例としては、例えば、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式2で表示される反復単位からなるが、前記化学式2で、Yは、Oでありうる。
【0053】
または、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式2で表示される反復単位からなるが、前記化学式2で、Yは、Oであり、Rは水素原子、C−C10アルキル基及びC−C10アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基など)からなる群から選択され、前記RないしRは互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基及び−NHからなる群から選択されうる。
【0054】
また、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式3で表示される反復単位からなるが、前記化学式3で、Aは、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のペンタレニル基、置換または非置換のインデニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のアズレニル基、置換または非置換のヘプタレニル基、置換または非置換のインダセニル基、置換または非置換のアセナフチル基、置換または非置換のフルオレニル基、置換または非置換のフェナレニル基、置換または非置換のフェナントレニル基、置換または非置換のアントラセニル基、置換または非置換のフルオランテニル基、置換または非置換のトリフェニレニル基、置換または非置換のピレニレニル基(pyrenylenyl)、置換または非置換のクリセニル基(chrysenyl)、置換または非置換のナフタセニル基、置換または非置換のピセニル基、置換または非置換のペリレニル基(perylenyl)、置換または非置換のペンタフェニル基(pentaphenyl)、置換または非置換のヘキサセニル基、置換または非置換のピロリル基、置換または非置換のピラゾリル基、置換または非置換のイミダゾリル基(imidazolyl)、置換または非置換のイミダゾリニル基、置換または非置換のイミダゾピリジニル基、置換または非置換のイミダゾピリミジニル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピラジニル基(pyrazinyl)、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のインドリル基(indolyl)、置換または非置換のプリニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のフタラジニル、置換または非置換のインドリジニル基、置換または非置換のナフチリジニル基、置換または非置換のキナゾリニル、置換または非置換のシノリニル基、置換または非置換のインダゾリル、置換または非置換のカルバゾリル基、置換または非置換のフェナジニル基、置換または非置換のフェナントリジニル基、置換または非置換のピラニル基、置換または非置換のクロメニル基、置換または非置換のベンゾフラニル基、置換または非置換のチオフェニル基、置換または非置換のベンゾチオフェニル基、置換または非置換のイソチアゾリル基、置換または非置換のベンゾイミダゾリル基、及び置換または非置換のイソキサゾリル基からなる群から選択されうる。
【0055】
好ましくは、例えば、前記Aは、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフチル基、または置換または非置換のピリジニル基であるが、それらに限定されるものではない。
【0056】
【化7】

【0057】
【化8】

【0058】
【化9】

【0059】
【化10】

【0060】
【化11】

【0061】
【化12】

【0062】
【化13】

【0063】
【化14】

【0064】
【化15】

【0065】
より好ましくは、例えば、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式11aで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式12aで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式12bで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式13aで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式13bで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式13cで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式13dで表示される反復単位からなる高分子、前記化学式13eで表示される反復単位からなる高分子または前記化学式13fで表示される反復単位からなる高分子であるが、それらに限定されるものではない。
【0066】
前記高分子膜13に含まれた高分子は、前述のように、化学式1ないし3のうち一つで表示される反復単位からなるか、または化学式1の反復単位、化学式2の反復単位及び化学式3の反復単位のうち一つ以上を含む共重合体でもありうる。
【0067】
例えば、前記高分子膜13に含まれた高分子は、化学式1の反復単位、化学式2の反復単位及び化学式3の反復単位のうち一つ以上以外に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1(PB−1)、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリスチレン(PS)、ポリ4−ビニルフェノール(PVP)、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリ(1−ビニルナフタレン)、ポリ2−ビニルピリジン、ポリ4−ビニルピリジン、ポリイソブチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン及びポリアクリル酸からなる群から選択された物質の反復単位をさらに含んだ共重合体でありうる。または、前記高分子膜13に含まれた高分子は、前記化学式1で表示される反復単位及び前記化学式2で表示される反復単位のうち一つ以上を有するイコサン酸との共重合体であるなどの多様な変形が可能である。
【0068】
特に好ましくは、例えば、前記高分子膜13に含まれた高分子は、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートまたはポリビニルアルコールであるが、それらに限定されるものではない。
【0069】
前記高分子膜13に含まれた高分子の重量平均分子量(Mw)は、1,000ないし10,000,000、好ましくは、10,000ないし1,000,000でありうる。前記高分子膜13に含まれた高分子の重量平均分子量が、前述のような範囲を満足する場合、後述する第1混合物がコーティング段階に適したフロー性及び/または粘度を有することができ、伝導度に優れる炭素薄膜を収得することができる。
【0070】
前記段階1Aは、前記基板11上に、前記高分子及び溶媒を含んだ第1混合物、または前記高分子の前駆体及び溶媒を含んだ第2混合物を、コーティング工程を利用して提供する段階を含む。ここで、第2混合物を利用する場合、後述するソフトベーキング段階、熱処理段階で重合反応が進み、前述のような高分子を形成することができる。
【0071】
前記第1混合物及び第2混合物は、架橋剤、酸触媒、金属フィラ、セラミック・フィラ及びナノ粒子からなる群から選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0072】
前記コーティング工程は、例えば、スピンコーティング法、インクジェット・プリンティング法、ノズル・プリンティング法、ディップ・コーティング法、電気泳動蒸着法、テープ・キャスティング法、スクリーン・プリンティング法、ドクターブレード・コーティング法、グラビア・プリンティング法、グラビアオフセット・プリンティング法、LB(Langmuir−Blodgett)法、または多層薄膜自己組立法(layer−by−layer self−assembly)であるが、それらに限定されるものではない。好ましくは、例えば、前記コーティング工程は、スピンコーティング法を利用することができる。
【0073】
一方、前記第1混合物及び/または第2混合物の濃度を制御することによって、前記高分子膜13の単位体積当たり含まれる高分子の含有量が制御されうるので、前記高分子膜13の厚みを制御することができ、これにより、図1で、炭素薄膜17の厚みも、制御することができる。従って、前記炭素薄膜の製造方法によれば、容易に炭素薄膜の厚みを制御することができる。
【0074】
前記第1混合物及び/または第2混合物を前記基板11に提供した後、選択的に、前記第1混合物及び/または第2混合物に含まれた溶媒を除去するための、ソフトベーキングを行うことができる。
【0075】
前記ソフトベーキングの温度範囲及び時間範囲は、選択された高分子、選択された溶媒、第1混合物及び/または第2混合物の濃度などによって調節されうる。
【0076】
前記高分子膜13の厚みは、前記第1混合物及び前記第2混合物の濃度を調節することによって調節され、2nmないし50μmの範囲を有することができる。前記高分子膜13が前述のような範囲を満足する場合、グラフェン単一層以上の厚みを有する炭素薄膜を形成することができ、均一な膜質の高分子膜13を形成することができる。
【0077】
例えば、前記高分子膜13の厚みは、2nmないし50μm(好ましくは、例えば、2nmないし1,000nmの範囲)であるが、前記範囲を満足する場合、製造された炭素薄膜17は、グラフェン単層厚である0.34nmないし50nm厚を有することができ、可視光領域の波長の光の透過度に優れ、各種ディスプレイなどの透明電極として使われうる。または、例えば、前記高分子膜13の厚みを約50μm以上に調整すれば、それから製造された炭素薄膜17は、一般配線電極としても活用することができる。
【0078】
次に、前記高分子膜13の上部に、保護膜15を形成する段階1Bを遂行する。
【0079】
前記保護膜15は、高分子膜13に含まれた高分子が、熱処理段階によって劣化(degradation)及び/または焼成されて損失されることを防止する役割を行う。従って、前記保護膜15の形成によって、複数個の六員炭素環が互いに融合されているグラフェン構造ドメインを多数含み、伝導度の向上された炭素薄膜を得ることができる。
【0080】
前記保護膜15は、800℃以上の融点を有する物質を含むことができる。例えば、前記保護膜15は、金属、金属酸化物、セラミック、半導体酸化物及び半導体窒化物からなる群から選択された一つ以上の物質を含むことができる。例えば、前記保護膜15は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅酸化物、ニッケル酸化物、パラジウム酸化物、アルミニウム酸化物、モリブデン酸化物、窒化ガリウム(GaN)、窒化シリコン(SiN)、シリコン酸化物(SiO)及びそれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選択された一つ以上の物質を含むことができる。
【0081】
前記保護膜15の厚みは、2nmないし2,000nm、好ましくは、10nmないし600nmでありうる。前記保護膜15の厚みが前記範囲を満足する場合、均一な層を形成することができる。
【0082】
前記保護膜15は、通常の金属膜及び/または金属酸化物膜の形成方法(例えば、蒸着法など)を利用して形成されうる。
【0083】
この後、熱処理段階の段階1Cを遂行し、高分子膜13を炭化させ、炭素薄膜17を形成する。前記熱処理段階は、前記高分子膜13に含まれた高分子が炭化される条件下で行われる。
【0084】
このために、前記熱処理は、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気及び/または酸素雰囲気など)または真空雰囲気で遂行されうる。また、選択的に、炭化反応を促進させたり、または炭素薄膜17内の欠陥(defect)を誘導して炭素薄膜17の仕事関数を改質するために、熱処理の遂行中、水素、メタン、CFガスなどを、不純物ガスとして注入されうる。
【0085】
また、前記熱処理を、前記高分子膜13に含まれた高分子の熱分解温度(thermal degradation temperature)以上2,500℃以下の温度範囲(好ましくは、例えば、600℃から1,500℃)で30秒ないし5日(好ましくは、例えば、1分ないし20時間)の時間範囲で行われる。このような熱処理遂行の雰囲気、温度及び熱処理時間は、前記高分子膜13に含まれた高分子の構造、含有量などによって選択されうる。
【0086】
前記熱処理(すなわち、図1で、「段階1C」)を介して、高分子膜13の高分子が炭化されつつ炭素薄膜17が形成されるが、このとき、高分子が互いに継続的に結合しつつ、グラフェン・ライク構造を含んだドメインを形成することができる。
【0087】
前記熱処理段階1Cの温度を、保護膜15に含まれた物質の融点以上の温度に調節することによって、炭素薄膜17の形成と同時に、保護膜15を除去することもできる。
【0088】
または、前記熱処理段階1Cの熱処理条件が、保護膜15の除去に不十分である場合、図1には図示されていないが、形成された炭素薄膜17の上部には、保護膜15の一部以上が残留しうる。従って、前記炭素薄膜の製造方法は、形成された炭素薄膜17に残留した保護膜15を除去する段階をさらに含むことができる。炭素薄膜17の上部に残留した保護膜15は、公知の金属膜及び/または金属酸化物膜の除去方法を利用して除去されうるが、例えば、金属用または金属酸化物用エッチェントで炭素薄膜17の表面を洗浄し、炭素薄膜17の上部に残留しうる保護膜15を除去することができる。例えば、前記保護膜15がNiからなるものであるならば、FeCl(主に、蒸留水1M溶液)またはMarble reagent(主に、50mlのHCl:50mlの蒸留水:10gのCuSO)を利用して、前記保護膜15を除去することができる。
【0089】
従って、前記炭素薄膜の製造方法は、コーティング工程及び熱処理工程に基づくので、前記炭素薄膜の製造方法によれば、経済的であって安定して大面積の二次元炭素薄膜17を得ることができる。
【0090】
また、前記第1混合物及び/または前記第2混合物の濃度を制御することによって、炭素薄膜17の厚みを簡便に制御することができるので、容易に多様なサイズの炭素薄膜17を得ることができる。
【0091】
一方、前記段階1Cの遂行前、保護膜15及び高分子膜13をパターニングしたり、前記段階1Cの遂行後、炭素薄膜17を基板11から分離する前に、炭素薄膜17をパターニングすることにより、炭素薄膜17に対するパターニング工程を容易に実施することができる。このようにパターニングされた炭素薄膜17上に、各種素子構造体を直ちに形成することができるので、前記炭素薄膜17は、多様なパターンを有した電極または配線などに容易に活用されうる。
【0092】
前記パターニング方法としては、フォトリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、ナノインプリント・リソグラフィ、モールドアシスト・リソグラフィ、ステップ・アンド・フラッシュ・インプリント・リソグラフィ、ディップペン・リソグラフィ、マイクロコンタクト・プリンティング及びインクジェット・プリンティングからなる群から選択された一つ以上を使用することができる。または、段階1C(すなわち、前記熱処理)遂行後には、感光剤とマスクとを利用するパターニング及び/または酸素プラズマを利用したパターニングが使われうる。
【0093】
前記炭素薄膜17は、グラファイト・シート、グラフェン・シート(あるいはフィルム)、数層グラフェン(a few layer graphene)または非晶質炭素フィルムでありうる。前記グラフェン・シートは、0.34nm厚を有するグラフェン単一層、2層ないし10層のグラフェン単一層が積層された構造を有する数層グラフェン(a few layer graphene)、または前記数層グラフェンよりは多数層グラフェン単一層が積層された構造を有するグラフェン多重層でありうる。例えば、前記炭素薄膜17は、グラフェン・シートでありうる。好適な一実施形態(具現例)によれば、前記炭素薄膜17は、数層グラフェンであるが、それに限定されるものではない。前記炭素薄膜17は、可視光線領域の光に対して、50%以上の透過度を有することができる。一方、前記炭素薄膜17は、優秀な伝導度を有することができる。例えば、10S/cm以上の伝導度を有することができる。
【0094】
図2は、前記炭素薄膜の製造方法の他の実施形態(具現例)である。図2は、基板31の上部に、触媒膜32を形成した後、触媒膜32の上部に、高分子膜33を形成したという点を除いては、前記図1によって説明される炭素薄膜の製造方法と同一である。図2によれば、基板31上に、触媒膜32を形成した後、前記触媒膜32の上部に、高分子膜33を形成(段階3A)し、前記高分子膜33上に、保護膜35を形成(段階3B)した後、これを熱処理して、炭素薄膜37を形成(段階3C)する。図2で、基板31、高分子膜33、保護膜35、炭素薄膜37、段階3A、段階3B及び段階3Cは、それぞれ図1の基板11、高分子膜13、保護膜15、炭素薄膜17、段階1A、段階1B及び段階1Cについての説明を参照する。
【0095】
前記触媒膜32は、炭素薄膜37の形成時、グラフェン構造形成のための触媒として作用し、炭素薄膜37のグラフェン・ライク構造ドメインを増加させる役割を行うことができる。
【0096】
前記触媒膜32は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、シリコン(Si)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ウラン、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、及びそれらのうち2以上の組み合わせを含むことができる。
【0097】
前記触媒膜32の厚みは、10nmないし1,000nm(好ましくは、例えば、200nmないし600nm)でありうる。触媒膜32の厚さが前記範囲を満たす場合、優れた電気的特性(例えば、伝導度など)を有する炭素薄膜を製造することができる。
【0098】
前記触媒膜32は、炭素薄膜37の形成のための熱処理段階で、炭素薄膜37の形成後に残留することがあるが、炭素薄膜37を分離させるために、前記触媒膜32を除去する段階をさらに含むことができる。
【0099】
一方、前記炭素薄膜の製造方法は、前記保護膜15、35形成前に、前記高分子膜13、33をプリベークし、前記高分子膜13、33を安定化させる段階をさらに含むことができる。前記プリベークによって、前記高分子膜13、33における高分子の一部以上は、「安定化された高分子」に変換されうる。
【0100】
前記プリベークは、前記高分子膜13、33に含まれた高分子における分子内添加反応(intramolecular addition reaction in the polymer)、及び前記高分子における分子内二重結合形成反応(intramolecular double bond formation reaction in the polymer)のうち一つ以上の反応が起こる条件下で遂行されうる。
【0101】
このようなプリベークの条件は、前記高分子膜13、33に含まれた高分子の構造、高分子の配向状態、高分子の含有量などによって異なるが、200℃ないし350℃の温度範囲(好ましくは、例えば、250℃ないし300℃)及び1分ないし24時間(好ましくは、例えば、1分ないし15時間)でありうる。
【0102】
前記プリベークの結果、高分子膜13、33に含まれた安定化された高分子は、複数の飽和または不飽和の六員環を含むが、前記複数の飽和または不飽和の六員環は、互いに縮合(融合)された構造を有することができる。
【0103】
好ましくは、例えば、前記高分子膜13、33に含まれた高分子が、前記化学式1で表示される反復単位からなる高分子である場合、安定化された高分子は、下記化学式1aで表示される反復単位、及び下記化学式1bで表示される反復単位のうち一つ以上を含むことができる:
【0104】
【化16】

【0105】
【化17】

【0106】
前記化学式1a及び1bで、Y、RないしR及び*についての詳細な説明は、前記化学式1についての説明を参照する。
【0107】
または、前記高分子膜13、33に含まれた高分子が、前記化学式2で表示される反復単位からなる高分子である場合、安定化された高分子は、下記化学式2aで表示される反復単位、下記化学式2bで表示される反復単位、及び下記化学式2cで表示される反復単位のうち一つ以上を含むことができる:
【0108】
【化18】

【0109】
【化19】

【0110】
【化20】

【0111】
前記化学式2aないし2cで、Y、RないしR及び*についての詳細な説明は、前記化学式2についての説明を参照する。
【0112】
前記高分子膜13、33に含まれた高分子が、前記化学式3で表示される反復単位からなる高分子である場合、前記化学式3で、Aで表示された環に含まれた二重結合が、化学式2の−C=Y−結合と類似した方式で安定化された高分子形成に寄与することができるが、それに限定されるものではない。
【0113】
例えば、前記高分子膜13、33に含まれた高分子が、下記化学式4で表示されるポリアクリロニトリル(PAN)である場合、前述のようなプリベーク遂行の結果、前記ポリアクリロニトリルのシアノ基のNは、隣接するシアノ基のCと単一結合を形成する分子内添加反応が起き、下記化学式4aで表示される第1安定化されたポリアクリロニトリルが形成され、前記第1安定化されたポリアクリロニトリルでは、脱水素化反応に基づいた分子内二重結合形成反応が起き、下記化学式4bで表示される第2安定化されたポリアクリロニトリルが形成されうる。
【0114】
【化21】

【0115】
【化22】

【0116】
【化23】

【0117】
従って、前記高分子膜13、33に含まれた高分子が、前記化学式4で表示されるポリアクリロニトリル(PAN)である場合、プリベークの結果として形成された安定化された高分子は、前記化学式4bで表示される第2安定化された高分子のみ含むか、または前記化学式4aで表示される第1安定化された高分子と、前記化学式4bで表示される第2安定化された高分子とをいずれも含むことができる。これは、プリベーク段階の条件によって調整されうる。
【0118】
このように、前記プリベーク段階によって、高分子膜13、33の高分子において一部以上は、耐熱性を有するはしご構造の安定化された高分子に変換できるが、前記安定化された高分子を、炭素薄膜17、37形成のための熱処理段階(段階1C(図1)、段階3C(図2))で露出しても、高分子の分解が最小化されうる。従って、複数個の六員炭素環が互いに縮合(融合)されているグラフェン構造ドメインを多数含んで、伝導度が向上された炭素薄膜を得ることができる。
【0119】
例えば、前記炭素薄膜17、37形成のための熱処理時、2個の第2安定化されたポリアクリロニトリル(化学式4b)は、まず互いに結合し、下記化学式4cのような構造を形成することができる。
【0120】
【化24】

【0121】
前述のような結合が続きつつ炭化がなされれば、下記化学式4dのような構造の第1層が複数層含まれた炭素薄膜17、37を収得することができる。
【0122】
【化25】

【0123】
前記炭素薄膜17、37で、複数層の第1層は、前記第1層が延びる第1方向に対して垂直である第2方向に沿って積層されるが、それに限定されるものではない。
【0124】
前述のように、前記炭素薄膜の製造方法で使用された触媒膜32及び/または保護膜15、35は、前記炭素薄膜17、37の形成後に残留することがあり、このとき、エッチェントを利用して除去することができる。前記炭素薄膜17、37は、炭素薄膜17、37が形成された基板11、31上で直接利用されうる(例えば、基板11、31上に形成された炭素薄膜17、37を直接に(directly)パターニングし、基板11、31上に炭素薄膜電極パターンを形成する)。または、前記炭素薄膜17、37を、炭素薄膜17、37が形成された基板11、31から分離させた後、所定の他の基板(例えば、プラスチック基板)に転写させ、例えば、フレキシブルな素子具現(実現)に利用することも可能である。前記転写工程は、基板11、31上に形成された炭素薄膜17、37を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、熱転写テープ(thermal release tape)のような接着層と接触させ、炭素薄膜17、37を基板11、31と分離させた後、接着層に接着された炭素薄膜17、37を所定の他の基板と接触させることによって行うことができる。所定の他の基板に転写された炭素薄膜17、37は、RIE(reactive ion etching)やガス(例えば、O)プラズマ工程を介して、所定のパターンにパターニングされうる。
【0125】
前記炭素薄膜は、伝導性が要求される各種層に使われうる。例えば、各種電子素子及び電気化学素子の電極、配線、チャンネル層などに応用されうる。前記電子素子は、例えば、無機発光素子(inorganic light emitting diode)、有機発光素子(OLED:organic light emitting diode)、無機太陽電池(inorganic solar cell)、有機太陽電池素子(OPV:organic photovoltaic diode)、または無機薄膜トランジスタ(inorganic thin film transistor)、メモリ、電気化学/バイオセンサ、RF(radio frequency)素子、レクティファイア、CMOS(complementary metal−oxide semiconductor)素子または有機薄膜トランジスタ(OTFT:organic thin film transistor)であり、前記電気化学素子としては、例えば、リチウムバッテリまたは燃料電池であるが、それらに限定されるものではない。
【0126】
前記有機発光素子の一実施形態(具現例)の概略的な構造は、図3を参照する。図3の有機発光素子100は、第1電極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、発光層140、電子輸送層150、電子注入層160及び第2電極170を含む。前記有機発光素子100の第1電極110及び第2電極170間に電圧を印加すれば、第1電極110から注入された正孔は、正孔注入層120及び正孔輸送層130を経由して、発光層140に移動し、第2電極170から注入された電子は、電子注入層160及び電子輸送層150を経由して、発光層140に移動する。前記正孔及び電子のようなキャリアは、発光層140で再結合して励起子(exiton)を生成するが、この励起子が励起状態から基底状態に変わりつつ光が生成される。
【0127】
前記第1電極110は、前述のような炭素薄膜でありうる。
【0128】
正孔注入層120は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうちから任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、真空蒸着法を選択する場合、蒸着条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、例えば、100ないし500℃の蒸着温度範囲、10−10ないし10−3torrの真空度範囲、0.01ないし100Å/secの蒸着速度範囲内で選択されうる。一方、スピンコーティング法を選択する場合、コーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性によって異なるが、2,000rpmないし5,000rpmのコーティング速度範囲、80℃ないし200℃の熱処理温度(コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度)範囲内で選択されうる。
【0129】
前記正孔注入層120の材料としては、公知の正孔注入材料を使用することができるが、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA;下記化学式参照のこと)、4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA;下記化学式参照のこと)、4,4’,4”−トリス(N−(2−ナフチル)−n−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(2T−NATA;下記化学式参照のこと)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0130】
【化26】

【0131】
前記正孔注入層120の厚みは、約10Åないし10,000Å、好ましくは、例えば、100Åないし1,000Åでありうる。前記正孔注入層120の厚みが前記範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔注入特性を得ることができる。
【0132】
前記正孔輸送層130は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうちから任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層120形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0133】
正孔輸送層130の材料は、公知の正孔輸送材料を利用して形成することができるが、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、N−フェニルカルバゾール、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)などの芳香族縮合環を有するアミン誘導体;4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)のようなトリフェニルアミン系物質のような公知の正孔輸送物質を使用することができる。このうち、例えば、TCTAの場合、正孔輸送の役割以外にも、発光層140から励起子が拡散することを防止する役割も行うことができる。
【0134】
前記正孔輸送層130の厚みは、50Åないし1,000Å、好ましくは、例えば、100Åないし600Åでありうる。前記正孔輸送層130の厚みが前述のような範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔輸送特性を得ることができる。
【0135】
前記発光層140は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうちから任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層120形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0136】
前記発光層140は、単一発光材料からなり、ホスト及びドーパントを含むこともできる。
【0137】
前記ホストの例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、TCTA、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3(下記化学式参照のこと)、BeBq(下記化学式参照のこと)などを使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0138】
【化27】

【0139】
一方、公知の赤色ドーパントとして、PtOEP(下記化学式参照のこと)、Ir(piq)(下記化学式参照のこと)、BtpIr(acac)(下記化学式参照のこと)などを利用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0140】
【化28】

【0141】
また、公知の緑色ドーパントとして、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)(下記化学式参照のこと)、Ir(ppy)(acac)(下記化学式参照のこと)、Ir(mpyp)(下記化学式参照のこと)、10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−(1)ベンゾピロピラノ(6,7−8−i,j)キノリジン−11−オン(C545T;下記化学式参照のこと)などを利用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0142】
【化29】

【0143】
一方、公知の青色ドーパントとして、FIrpic(下記化学式参照のこと)、(Fppy)Ir(tmd)(下記化学式参照のこと)、Ir(dfppz)(下記化学式参照のこと)、ter−フルオレン、4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)などを利用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0144】
【化30】

【0145】
前記発光層140の厚みは、100Åないし1,000Å、好ましくは、例えば、100Åないし600Åでありうる。前記発光層の厚みが前記範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性を得ることができる。
【0146】
正孔阻止層(図示せず)は、発光層140(例えば、発光層140がリン光化合物を含む場合)の三重項励起子または正孔がカソードなどで広がる現象を防止する役割を行うものであり、発光層140の上部にさらに形成でき、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうちから任意に選択された方法によって形成することができる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層120形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0147】
前記正孔阻止層の材料は、公知の正孔阻止材料のうちから任意に選択されうる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などを使用することができる。
【0148】
前記正孔阻止層の厚みは、約50Åないし1,000Å、好ましくは、例えば、100Åないし300Åでありうる。前記正孔阻止層の厚みが、前記範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔阻止特性を得ることができる。
【0149】
前記電子輸送層150は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうちから任意に選択された方法によって、発光層140または正孔阻止層の上部に形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層120形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0150】
前記電子輸送層150の物質(材料)として、公知の電子輸送材料を使用することができるが、例えば、Alq3、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ;下記化学式参照のこと)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP;下記化学式参照のこと)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)−ベリリウム(BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−(p−フェニルフェノラート)−アルミニウム(BAlq;下記化学式参照のこと)のような公知の材料を使用することもできる:
【0151】
【化31】

【0152】
前記電子輸送層150の厚みは、約100Åないし1,000Å、好ましくは、例えば、200Åなし500Åでありうる。前記電子輸送層150の厚みが前述のような範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子輸送特性を得ることができる。
【0153】
前記電子輸送層150の上部には、電子注入層160が形成されうる。前記電子注入層160の形成材料としては、公知の電子注入材料であるLiF、NaCl、CsF、LiO、BaO、BaFなどが使われ、前記電子注入層160の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層120の形成とほぼ同じ条件範囲から選択される。
【0154】
前記電子注入層160の厚みは、約1Åないし100Å、好ましくは、例えば、5Åないし50Åでありうる。前記電子注入層160の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべきほどの電子注入特性を得ることができる。
【0155】
前記第2電極170は、カソード(電子注入電極)であり、相対的に小さい仕事関数を有する金属や合金や電気伝導性化合物及びそれらの組み合わせを使用することができる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また、前面発光素子を得るために、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)などを使用することもできる。
【0156】
例えば、前記薄膜炭素を含んだ有機発光素子は、第1電極(前述のような炭素薄膜)/正孔注入層(ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)、厚み50nm=500Å)/正孔輸送層(NPB、厚み20nm=200Å)/発光層(BeBq:C545T、厚み30nm=300Å)/電子輸送層(BeBq、厚み20nm=200Å)/電子注入層(LiF、厚み1nm=10Å)/第2電極(Al、150nm=1,500Å)の構造を有することができるが、それに限定されるものではない。
【0157】
前記有機発光素子は、前述のような炭素薄膜の製造方法を利用し、第1電極を形成するが、優秀な電気的特性の第1電極を含むことができ、製造コストを節減することができる。
【0158】
図4は、前記炭素薄膜を含んだ有機太陽電池素子の一実施形態(具現例)を概略的に図示したものである。
【0159】
図4の有機太陽電池素子200は、第1電極210、正孔コレクト(collecting)バッファ層220、ヘテロ接合層230、電子受容層240及び第2電極250を含むことができる。有機太陽電池素子200に照射された光は、ヘテロ接合層230で正孔と電子とに分離され、電子は、電子受容層240を経て第2電極250に移動し、正孔は、正孔コレクトバッファ層220を経て第1電極210に移動しうる。
【0160】
前記第1電極210は、前述のような炭素薄膜でありうる。
【0161】
前記正孔コレクトバッファ層220は、正孔を受容する材料からなりうるが、例えば、前述のような有機発光素子100の正孔注入層120及び正孔輸送層130の材料を利用することができる。
【0162】
前記ヘテロ接合層230は、照射された光から正孔と電子とを分離させる物質を含むことができる。例えば、前記ヘテロ接合層230は、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とを含むことができる。例えば、前記ヘテロ接合層230は、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)及びフェニルC61酪酸メチルエステル(PCMB)を含むことができるが、それらに限定されるものではない。
【0163】
前記電子受容層240は、電子を受容する材料からなりうるが、例えば、前述のような有機発光素子100の電子注入層160の材料を利用することができる。
【0164】
前記第2電極250は、カソード(電子注入電極)であり、相対的に小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物及びそれらの組み合わせを使用することができる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。
【0165】
例えば、前記炭素薄膜を含んだ有機太陽電池素子は、第1電極(前述のような炭素薄膜)/バッファ層(PEDOT、厚み35nm=350Å)/ヘテロ接合層(P3HT:PCBM、厚さ210nm=2,100Å)/電子受容層(BaF、厚さ1nm=10Å)/第2電極(Al、厚さ100nm=1,000Å)の構造を有することができるが、それに限定されるものではない。
【0166】
図5は、前記炭素薄膜を含んだ有機薄膜トランジスタの一実施形態(具現例)を概略的に図示したものである。
【0167】
図5の有機薄膜トランジスタ300は、基板311、ゲート電極312、絶縁層313、有機半導体層315、及びソース電極314a並びにドレイン電極314bを含む。前記ゲート電極312、有機半導体層315、及びソース電極314a並びにドレイン電極314bのうち一つ以上が、前述のような炭素薄膜でありうる。
【0168】
前記基板311は、一般的な電子素子で使われる基板を使用するが、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性などを考慮し、ガラス基板または透明プラスチック基板を使用することができる。
【0169】
前記基板311上には、所定パターンのゲート電極312が形成されている。前記ゲート電極312は、例えば、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Al、Mo、またはAl:Nd、Mo:W合金のような金属または金属の合金からなりうるが、それらに限定されるものではない。または、前記ゲート電極312は、前述のような炭素薄膜からなりうる。
【0170】
前記ゲート電極312の上部には、前記ゲート電極312を覆うように、絶縁層313が備わっている。前記絶縁層313は、金属酸化物または金属窒化物のような無機物からなったり、絶縁性有機高分子のような有機物からなりうるなど、多様な物質によって具備可能である。
【0171】
絶縁層313の上部には、有機半導体層315が形成されている。前記有機半導体層315は、前述のような炭素薄膜でありうる。または、前記有機半導体層315は、ペンタセン、テトラセン、アントラセン、ナフタレン、α−6−チオフェン、α−4−チオフェン、ペリレン(perylene)及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、コロネン及びその誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(perylene tetracarboxylic diimide)及びその誘導体、ペリレンテトラカルボン酸二無水物(perylene tetracarboxylic dianhydride)及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフローレン及びその誘導体、ポリチオフェンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン−ヘテロ環芳香族共重合体及びその誘導体、ナフタレンのオリゴアセン及びその誘導体、α−5−チオフェンのオリゴチオフェン及びその誘導体、金属含有あるいは無含有のフタロシアニン及びその誘導体、ピロメリット酸二無水物及びその誘導体、ピロメリット酸ジイミド及びそれらの誘導体などを含むことができるが、それらに限定されるものではない。
【0172】
前記有機半導体層315上には、ソース電極314a並びにドレイン電極314bがそれぞれ形成されている。前記ソース電極314a並びにドレイン電極314bは、図5から分かるように、一定部分ゲート電極312と重畳するように備わりうるが、必ずしもそれに限定されるものではない。前記ソース電極314a並びにドレイン電極314bは、前記炭素薄膜からなりうる。または、前記ソース電極314a並びにドレイン電極314bは、有機半導体層をなす物質との仕事関数を考慮し、5.0eV以上の貴金属(noble metal)、例えば、Au、Pd、Pt、Ni、Rh、Ru、Ir、Os、及びそれらのうち2以上の組み合わせを使用することができる。
【0173】
例えば、前記有機薄膜トランジスタは、基板/ゲート電極/絶縁層/有機半導体層(前述のような炭素薄膜)/ソース電極並びにドレイン電極(Au、10nm以上)の構造を有することができる。または、前記有機薄膜トランジスタは、基板/ゲート電極/絶縁層/有機半導体層(ペンタセン)/ソース電極並びにドレイン電極(前述のような炭素薄膜)の構造を有することができる。
【0174】
以上、前記電子素子について、図3ないし図5を参照しつつ説明したが、それらに限定されるものではない。例えば、前記図3の有機発光素子で、第1電極110の材料によって、第2電極170が前記炭素薄膜でありうる。また、図5は、ボトムゲート型有機薄膜トランジスタを図示したものであるが、トップゲート型有機薄膜トランジスタのような多様な構造の有機薄膜トランジスタへの変形も可能であることは言うまでもない。本発明による炭素薄膜は、前記素子以外にも、メモリ、電気化学/バイオセンサ、RF素子、レクティファイア及びCMOS素子のような電子素子を始めとして、リチウムバッテリ、燃料電池のような電気化学素子に、電極及び活性材料として適用されうる。また、応用素子は、それらに限定されるものではない。
【0175】
本発明は、図面に図示された実施形態(実施例)を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態(実施例)が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。
【実施例】
【0176】
実施例1
基板として厚さ300nmのシリコン酸化物膜が形成されたシリコン基板(2.0cm×2.0cm)を準備した後、30分間UV(ultraviolet)/オゾン処理し、シリコン酸化物膜表面を親水性処理した。
【0177】
前記シリコン酸化物膜の上部に、(ジメチルホルムアミド(DMF)、DAE JUNG Chemicals社製)溶媒にポリスチレン(重量平均分子量(Mw)は、130,000、Sigma−Aldrich社製)が含まれた溶液(2wt%)をスピンコーティングした後、溶媒を除去するために、100℃で3分間ベーキングし、10nm厚のポリスチレン膜を形成した。
【0178】
前記ポリスチレン膜上に、ニッケル(Ni)を蒸着し、50nm厚のNi保護膜を形成した後、前記基板を石英管に入れてファーネス内に装着した。アルゴン(Ar)ガス(50sccm)及び水素ガス(10sccm)を、前記石英管に一定に投入しつつ、ハロゲンランプ熱源を使用し、前記基板を1,000℃で1分間熱処理した。
【0179】
前記熱処理終了後、前記基板が位置した石英管をファーネスから分離して自然冷却し、炭素薄膜を前記基板から分離し、炭素薄膜(サイズは、2.0cm×2.0cmであり、厚みは、10nmである)を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、95S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0180】
実施例2
ポリスチレンの代わりに、ポリアクリロニトリル(重量平均分子量(Mw)は、150,000、Sigma−Aldrich社製)を使用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法を利用して炭素薄膜を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、100S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0181】
実施例3
ポリスチレンの代わりに、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量(Mn)は、130,000)を使用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法を利用して炭素薄膜を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、105S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0182】
実施例4
Ni保護膜の厚みを50nmから25nmに変更したという点を除いては、前記実施例2と同じ方法を利用して炭素薄膜を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、25S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0183】
実施例5
Ni保護膜の厚みを50nmから10nmに変更したという点を除いては、前記実施例2と同じ方法を利用して炭素薄膜を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、10S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0184】
比較例1ないし3
Ni保護膜を形成しなかったという点を除いては、前記実施例1ないし3と同じ方法によって実験を行った。
【0185】
比較例4
シリコン酸化物膜上に、400nm厚のNi層を形成した後、ポリスチレン膜を形成し、前記ポリスチレン膜上に、Ni保護膜を形成しなかったという点を除いては、前記実施例1と同じ方法によって実験を行った。
【0186】
比較例5
シリコン酸化物膜上に、400nm厚のNi層を形成した後、ポリアクリロニトリル膜を形成し、前記ポリアクリロニトリル膜上に、Ni保護膜を形成しなかったという点を除いては、前記実施例2と同じ方法によって実験を行った。
【0187】
比較例6
シリコン酸化物膜上に、400nm厚のNi層を形成した後、ポリメチルメタクリレート膜を形成し、前記ポリメチルメタクリレート膜上に、Ni保護膜を形成しなかったという点を除いては、前記実施例3と同じ方法によって実験を行った。
【0188】
実施例6
基板として、厚さ300nmのシリコン酸化物膜が形成されたシリコン基板(2.0cm×2.0cm)を準備した後、30分間UV/オゾン処理し、シリコン酸化物膜の表面を親水性処理した。
【0189】
前記シリコン酸化物膜の上部に、DMF中にポリアセチロニトリル高分子(重量平均分子量(Mw)は、15,000である)が含まれている溶液(2wt%)をスピンコーティングした後、溶媒であるDMFを除去するために、160℃で3分間ベーキングし、25nm厚のポリアセチロニトリル膜を形成した。
【0190】
前記ポリアセチロニトリル膜を、大気雰囲気下で、250℃で10時間プリベークし、前記ポリアセチロニトリル膜に含まれたポリアセチロニトリル中の一部以上を、安定化されたポリアセチロニトリルに変換させた。
【0191】
この後、前記ポリアセチロニトリル膜上に、ニッケル(Ni)を蒸着し、300nm厚のNi保護膜を形成した後、前記基板を石英管に入れてファーネス内に装着した。アルゴン(Ar)ガス(50sccm)及び水素ガス(10sccm)を、前記石英管に一定に投入しつつ、ハロゲンランプ熱源を使用し、前記基板を600℃で3時間熱処理した。
【0192】
熱処理終了後、前記基板が位置した石英管をファーネスから分離して自然冷却し、炭素薄膜を前記基板から分離し、炭素薄膜(サイズは、2.0cm×2.0cmであり、厚みは、10nmである)を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、100S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0193】
実施例7
熱処理を1,000℃で15分間行ったという点を除いては、前記実施例6と同じ方法で、炭素薄膜(サイズは、2.0cmx2.0cmであり、厚みは、約5nmである)を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、110S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0194】
実施例8
300nm厚のNi保護膜の代わりに、300nm厚の銅(Cu)保護膜を形成したという点を除いては、前記実施例6と同じ方法で、炭素薄膜(サイズは、2.0cm×2.0cmであり、厚みは、約10nmである)を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、10S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0195】
実施例9
熱処理を1,500℃で10時間行ったという点を除いては、前記実施例6と同じ方法で、炭素薄膜(サイズは、2.0cm×2.0cmであり、厚みは、約20nmである)を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、200S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0196】
実施例10
ポリアクリロニトリル膜の代わりに、ポリメチルメタクリレート膜(使用したポリメチルメタクリレートの重量平均分子量(Mw)は、15,000である)を形成したという点を除いては、前記実施例6と同じ方法で、炭素薄膜(サイズは、2.0cm×2.0cmであり、厚みは、約10nmである)を収得した。前記炭素薄膜の伝導度を4−point probeで測定した結果、95S/cmの伝導度を有することを確認した。
【0197】
評価例1
実施例2、4及び5の炭素薄膜に対して、BRUKER社のモデル名SENTERRA Dispersive Raman Microscope機器を利用してラマンスペクトルを測定し、その結果を図6に示した。ラマンスペクトルは、常温で50倍対物レンズを利用し、532nmのレーザ波長を利用して測定した。これと同一の方法を利用して測定した比較例1ないし3のラマンスペクトルは、図7に、比較例4ないし5のラマンスペクトルは、図8に示した。図6ないし8によれば、実施例2、4及び5の炭素薄膜は、グラフェンの特性を示すピークを有するが、比較例1ないし6から収得したフィルムは、グラフェンの特性を示すピークを有さないということを確認することができる。
【0198】
評価例2
前記実施例6及び実施例7の炭素薄膜に対して、BRUKER社のモデル名SENTERRA Dispersive Raman Microscopeの機器を利用してラマンスペクトルを測定し、その結果を図9に示した。ラマンスペクトルは、常温で50倍対物レンズを利用し、532nmのレーザ波長を利用して測定した。
【0199】
図9から、実施例6の炭素薄膜のラマンスペクトルは、1,362cm−1と1,597cm−1とのラマンシフト値を示しており、高強度の広域幅から見て、非晶質の炭素薄膜であることが分かる。特定理論によって限定されるものではないが、それらは、実施例6の熱処理温度条件のためでありうる。一方、実施例7の炭素薄膜のラマンスペクトルから、実施例7の炭素薄膜は、グラフィンであることが分かる。このとき、実施例7の炭素薄膜のラマンスペクトルにおいて、1,346cm−1のピークは、残余シアノ基(−CN)から由来したものであるか、炭素薄膜の欠陥(defect)構造によるものである。
【符号の説明】
【0200】
11、31、311 基板、
13、33 高分子膜、
15、35 保護膜、
17、37 炭素薄膜、
32 触媒膜、
100 有機発光素子、
110、210 第1電極、
120 正孔注入層、
130 正孔輸送層、
140 発光層、
150 電子輸送層、
160 電子注入層、
170 第2電極、
200 太陽電子素子、
220 正孔コレクトバッファ層、
230 ヘテロ接合層、
240 電子受容層、
250 第2電極、
300 薄膜トランジスタ、
312 ゲート電極、
313 絶縁層、
314a ソース電極、
314b ドレイン電極、
315 有機半導体層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にコーティング工程を利用して、高分子膜を形成する段階と、
前記高分子膜上に保護膜を形成する段階と、
前記基板を熱処理し、前記基板上に炭素薄膜を形成する段階と、を含む炭素薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記基板が、シリコン、シリコン酸化物、金属ホイル、ステンレススチール、金属酸化物、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)、六方晶窒化ホウ素、c−planeサファイアウェーハ、硫化亜鉛、高分子基板、及びそれらのうち2以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記高分子膜の高分子が炭素及び水素を含み、600℃以下の熱分解温度を有し、非共役性主鎖を有する絶縁性高分子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記高分子膜の高分子が、下記化学式1で表示される反復単位、下記化学式2で表示される反復単位、及び下記化学式3で表示される反復単位のうち一つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法:
【化1】

【化2】

【化3】

前記化学式1ないし3で、
は、NまたはC(R11)であり、
は、O、S、N(R12)またはC(R13)(R14)であり、
及びYは、互いに独立して、NまたはC(R15)であり、
ないしR15は、互いに独立して、水素原子(−H)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ハロゲン原子、置換または非置換のC−C30アルキル基、置換または非置換のC−C30アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C30アリールアルキル基、置換または非置換のC−C30アリールオキシ基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC−C30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC−C30アルキルエステル基、置換または非置換のC−C30アリールエステル基、置換または非置換のC−C30ヘテロアリールエステル基、及び−N(Q)(Q)からなる群から選択され、前記QないしQは互いに独立して、水素原子、C−C30アルキル基、C−C30アリール基及びC−C30ヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、置換または非置換のC−C30アリール基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基であり、
前記*は、隣接する反復単位との結合サイトである。
【請求項5】
前記高分子が、前記化学式1で表示される反復単位からなり、前記化学式1で、YがNであることを特徴とする請求項4に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記高分子が、前記化学式2で表示される反復単位からなり、前記化学式2で、YがOであることを特徴とする請求項4または5に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記高分子が、前記化学式3で表示される反復単位からなり、Aが置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフチル基、または置換または非置換のピリジニル基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記高分子膜の形成段階が、前記基板上に、前記高分子及び溶媒を含んだ第1混合物、または前記高分子の前駆体及び溶媒を含んだ第2混合物を、コーティング工程を利用して提供する段階を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項9】
前記保護膜が、800℃以上の融点を有する物質を含んだことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記保護膜が、金属、金属酸化物、セラミック、半導体酸化物及び半導体窒化物からなる群から選択された一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記保護膜が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅酸化物、ニッケル酸化物、パラジウム酸化物、アルミニウム酸化物、モリブデン酸化物、窒化ガリウム(GaN)、窒化シリコン(SiN)、シリコン酸化物(SiO)及びそれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選択された一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項12】
前記熱処理を、前記高分子膜に含まれた高分子が炭化される条件下で行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理を、不活性雰囲気または真空雰囲気下で、前記高分子膜に含まれた高分子の熱分解温度以上2,500℃以下の温度範囲、及び30秒ないし5日の時間範囲で行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項14】
前記熱処理遂行前に、前記保護膜及び高分子膜を所定パターンに沿ってパターニングする段階、及び前記熱処理遂行後、前記炭素薄膜を所定パターンに沿ってパターニングする段階のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項15】
前記炭素薄膜が、グラファイト・シート、グラフェン・シート、数層グラフェン(a few layer graphene)及び非晶質炭素シートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項16】
前記高分子膜の形成段階前に、前記基板上に触媒膜を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項17】
前記触媒膜が、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、シリコン(Si)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ウラン、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、及びそれらのうち2以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項16に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項18】
前記保護膜形成段階前に、前記高分子膜をプリベークし、前記高分子膜を安定化させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項19】
前記炭素薄膜の形成段階後、前記保護膜を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項20】
前記炭素薄膜の形成段階後、前記触媒膜を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項21】
前記炭素薄膜の形成段階から収得した炭素薄膜を、他の基板に転写することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法。
【請求項22】
請求項1ないし請求項21のうち、いずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法によって製造された炭素薄膜を含んだ電気素子。
【請求項23】
前記電子素子が、無機発光素子、有機発光素子、無機太陽電池、有機太陽電池素子、無機薄膜トランジスタ、メモリ、電気化学/バイオセンサ、RF(radio frequency)素子、レクティファイア、CMOS(metal oxide semiconductor)素子または有機薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項22に記載の電子素子。
【請求項24】
請求項1ないし請求項21のうち、いずれか1項に記載の炭素薄膜の製造方法によって製造された炭素薄膜を含んだ電気化学素子。
【請求項25】
前記電気化学素子が、リチウムバッテリまたは燃料電池であることを特徴とする請求項24に記載の電気化学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−25653(P2012−25653A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160969(P2011−160969)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2011年2月18日、http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jz200001g(論文要約) 2011年2月18日、http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/jz200001g?prevSearch=%2528graphenes%2Bconverted%2Bfrom%2Bpolymers%2529%2BNOT%2B%255Batype%253A%2Bad%255D%2BNOT%2B%255Batype%253A%2Bacstoc%255D&searchHistoryKey=(論文全文)
【出願人】(506083693)浦項工科大学校 産学協力団 (11)
【Fターム(参考)】