説明

画像形成装置

【課題】装置本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、現像剤収容ケース内の現像剤の熱を現像剤収容ケース外へ放熱する放熱手段を有する現像手段を装置本体内に設置できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体22と、現像剤収容ケース102と、現像剤を表面に担持する現像剤担持体103と、現像剤担持体103に現像剤収容ケース102に収容された現像剤を供給する現像剤供給部材105とからなる現像手段を備えた画像形成装置において、現像剤収容ケース102内の現像剤から熱が伝導される、現像剤担持体軸方向に長尺な金属部材108と、現像剤収容ケース102の少なくとも一方の現像剤担持体軸方向外側に設けられ、金属部材108と接触し金属部材108から伝導された熱を放熱する放熱手段113とを現像手段2が有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置に用いられる現像装置においては、現像装置内の現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材などを駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤とが摺擦するなどして摩擦熱が発生するため発熱体となる。このような摩擦熱が発生すると現像装置内の現像剤が加熱されてしまい現像剤が劣化しやすくなる。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置においては、現像装置の底板を金属材料で形成し、その底板の装置外側の面に現像装置下方へ突出する金属製の複数の冷却フィンを設けている。これにより、現像装置内に収容した現像剤の熱を上記底板を介して冷却フィンにより現像装置外へ効率良く放熱することができ、現像剤の温度上昇を抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−226148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、画像形成装置の小型化のため、表面に潜像を担持する感光体ドラムや感光体ベルト等の像担持体を小型化する傾向にある。このような画像形成装置では、像担持体の潜像を担持する表面に沿って現像装置などの作像にかかる各種装置が配設されているので、画像形成装置の小型化に伴い、上記各種装置の互いの間隔が狭まり空間的余裕がなくなる。また、現像装置よりも像担持体表面移動方向下流側の像担持体の上記表面の周囲には、転写体または中間転写体へ像担持体上のトナー像を転写する転写装置や、転写体または中間転写体の搬送経路などが配置されているので、特に空間的余裕がない状態となっている。そのため、上述したような空間的余裕のない画像形成装置本体内に、特許文献1に記載されているような底板から突出する冷却フィンを設けた現像装置を設置しようとすると、像担持体の上記表面の周囲に配設される上記各種装置のレイアウトの自由度が小さくなってしまうといった問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、装置本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、現像剤収容ケース内の現像剤の熱を現像剤収容ケース外へ放熱する放熱手段を有する現像手段を装置本体内に設置できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面に潜像を担持する像担持体と、現像剤を収容する現像剤収容ケースと、該現像剤収容ケースに収容された現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に該現像剤収容ケースに収容された現像剤を供給する現像剤供給部材とからなり、該像担持体の表面に沿って配設された現像手段とを備え、該像担持体の表面と該現像剤担持体の表面とが対向する領域で、該像担持体の表面に担持された潜像を該現像剤担持体の表面に担持された現像剤を用いて現像する画像形成装置において、該現像剤収容ケース内の現像剤から熱が伝導される、現像剤担持体軸方向に長尺な金属部材と、上記現像剤収容ケースの少なくとも一方の現像剤担持体軸方向外側に設けられ、該金属部材と接触し該金属部材から伝導された熱を放熱する放熱手段とを該現像手段が有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記金属部材を、所定の間隔をあけて上記現像剤担持体と上記現像剤供給部材との少なくとも一方と対向する位置に配設したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記金属部材が上記現像剤収容ケースの少なくとも一部分であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記金属部材は、上記現像剤担持体と上記現像剤供給部材との少なくとも一方の外形に沿う形状であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記現像剤担持体と上記現像剤供給部材とがローラ部材であり、該現像剤担持体と該現像剤供給部材とが互いにローラ表面で接し合っており、該現像剤担持体と該現像剤供給部材とが互いにローラ表面で接し合っている部分と対向する位置に上記金属部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記金属部材は、少なくとも上記現像ローラと上記供給ローラとが互いに接し合っている部分と、自身の他の部分よりも相対的に厚さの厚い厚肉部とが対向するように配設されていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記現像剤収容ケースの現像剤担持体軸方向外側の一方に設けられ、上記現像剤担持体や上記現像剤供給部材などを駆動させる駆動手段から該現像剤担持体や該現像剤供給部材などに駆動力を伝達するギヤ列からなる駆動力伝達手段とを有しており、上記放熱手段を、上記現像剤収容ケースの該駆動力伝達手段が設けれた側の現像剤担持体軸方向外側に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記放熱手段を、孔の開いた樹脂カバーで覆っていることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記現像手段を介して現像剤担持体軸方向で対向する一対の本体フレームを有しており、上記放熱手段が設けられた側にある上記本体フレームに、気流を発生さえる気流発生手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、上記放熱手段がヒートシンクであることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記ヒートシンクと上記金属部材とを一体で形成したことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10または11の画像形成装置において、上記ヒートシンクが金属板であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項10、11または12の画像形成装置において、上記ヒートシンクに孔が開いていることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項10、11、12または13の画像形成装置において、上記ヒートシンクに、曲げ形状を設けることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の画像形成装置において、異なる色のトナーを封入した複数の上記現像手段を着脱自在に備え、各現像手段ごとに上記曲げの形状を異ならしめるとともに、それら現像手段をそれぞれ画像形成装置本体に対して取り付けるとき、対応する現像手段の該曲げ形状のみを通過して、対応する現像手段のみの取り付けを許す溝形状を上記本体フレームに設けたことを特徴とするものである。
【0008】
一般に、像担持体の潜像が担持される表面に沿って配設された現像手段を備える画像形成装置の装置本体内においては、上記現像剤収容ケースの現像剤担持体軸方向内側の周囲よりも上記現像剤収容ケースの現像剤担持体軸方向外側の周囲のほうが、空間的制約が少ない。よって、本発明のように、現像剤収容ケースの少なくとも一方の現像剤担持体軸方向外側に上記放熱手段を設けることで、装置本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、上記放熱手段を有した現像手段を装置本体内に設置することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、装置本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、現像剤収容ケース内の現像剤の熱を現像剤収容ケース外へ放熱する放熱手段を有する現像手段を装置本体内に設置できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図2は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスカートリッジ5Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
【0011】
Kトナー像を形成するためのプロセスカートリッジ5Kを例にすると、潜像担持体たるドラム状の感光体ドラム22K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置4K、現像ユニット2K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスカートリッジ5Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0012】
帯電装置4Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体ドラム22Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体ドラム22Kの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、Kトナーを用いる現像ユニット2KによってKトナー像に現像される。そして、その感光体ドラム22K上のKトナー像は、後述する中間転写ベルト66上に中間転写される。ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写工程を経た後の感光体ドラム22K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体ドラム22Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム22Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスカートリッジ(5Y,M,C)においても、同様にして感光体ドラム(22Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト66上に中間転写される。
【0013】
先に示した図2において、プロセスカートリッジ5Y,M,C,Kの鉛直方向上方には、書込装置70が配設されている。潜像書込装置たる書込装置70は、画像情報に基づいて上述したように、レーザーダイオードから発したレーザ光Lによって、プロセスカートリッジ5Y,M,C,Kの感光体ドラム22Y,M,C,Kを露光走査し、感光体ドラム22Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像を形成する。なお、書込装置70は、光源から発したレーザ光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラム22に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0014】
プロセスカートリッジ5Y,M,C,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト66を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット65が配設されている。転写手段たる転写ユニット65は、中間転写ベルト66の他に、駆動ローラ17、従動ローラ69、4つの1次転写ローラ83Y,M,C,K、2次転写ローラ80、ベルトクリーニング装置81、クリーニングバックアップローラ82などを備えている。
【0015】
中間転写ベルト66は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17、従動ローラ69、クリーニングバックアップローラ82及び4つの1次転写ローラ83Y,M,C,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0016】
4つの1次転写ローラ83Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト66を感光体ドラム22Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト66のおもて面と、感光体ドラム22Y,M,C,Kの表面とが当接する、Y,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0017】
1次転写ローラ83Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体ドラム22Y,M,C,Kと1次転写ローラ83Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ83Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0018】
Y用のプロセスカートリッジ5Yの感光体ドラム22Y表面に形成されたYトナー像は、感光体ドラム22Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体ドラム22Y上から中間転写ベルト66上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト66は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体ドラム22M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト66上には4色トナー像が形成される。
【0019】
転写ユニット65の2次転写ローラ80は、中間転写ベルト66のループ外側に配設されて、ループ内側の従動ローラ69との間に中間転写ベルト66を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト66のおもて面と、2次転写ローラ80とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ80には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ80と、アース接続されている従動ローラ69との間には、2次転写電界が形成される。
【0020】
転写ユニット65の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット84がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット84は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ85を当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路86に向けて送り出す。
【0021】
給紙路86の末端付近には、レジストローラ対87が配設されている。このレジストローラ対87は、給紙カセット84から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト66上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0022】
2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト66上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ80や中間転写ベルト66から曲率分離する。そして、転写後搬送路88を経由して、後述する定着ユニット34に送り込まれる。
【0023】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト66には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト66のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置81によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト66のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ82は、ベルトクリーニング装置81によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0024】
定着ユニット34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着ユニット34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0025】
定着ユニット34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路89を経由した後、排紙路90と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路89の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路89の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着ユニット34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図中実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路89の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路89から排紙路90内に進入して、排紙ローラ対91のローラ間に挟み込まれる。
【0026】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対91に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
【0027】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対91に挟み込まれながら排紙路90内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路89を通り抜けると、切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路89の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対91が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0028】
図2は、本プリンタを正面側から示している。図紙面に直交する方向の手前側がプリンタの前面であり、奥側が後面である。また、本プリンタの図中右側が右側面、左側が左側面である。本プリンタの右端部は、回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対91が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路86内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括2次転写された後、転写後搬送路88、定着ユニット34、定着後搬送路89、排紙路90、排紙ローラ対91を順次経由して、機外へと排出される。
【0029】
上述の反転ユニット40は、外部カバー45と揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の外部カバー45は、プリンタ本体の筺体に設けられた回動軸40aを中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー45は、その内部に保持している揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中点線で示すように、外部カバー45がその内部の揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路86、2次転写ニップ、転写後搬送路88、定着ニップ、定着後搬送路89、排紙路90が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路86、2次転写ニップ、転写後搬送路88、定着ニップ、定着後搬送路89、排紙路90内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0030】
また、揺動体46は、外部カバー45が開かれた状態で、外部カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして回動するように外部カバー45に支持されている。この回動により、揺動体46が外部カバー45に対して開かれると、反転前搬送路41や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路41内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0031】
プリンタの筺体の上カバー50は、図中矢印で示すように、軸部材51を中心にして回動自在に支持されており、図中反時計回り方向に回転することで、筺体に対して開いた状態になる。そして、筺体の上部開口を大きく露出させる。また、書込装置70は、上カバー50とともに回動可能となっており、上記筺体に対して上カバー50を開いた状態にすることで、書込装置70がプリンタ内から外に移動し、現像ユニット2K,C,M,Yをプリンタ上方に取り出すことが可能となる。あまた、現像ユニット2K,C,M,Yをプリンタ内に装着する際にも、上記筺体に対して上カバー50を開けた状態で行う。
【0032】
[構成例1]
図3に本構成例における現像ユニット2の断面図を示す。現像ユニット2は、現像ローラ103、トナーを収容するトナー収容室101、トナー収容室101の下方に設けられたトナー供給室102、トナー供給室102内のトナーを現像ローラ103に供給する供給ローラ105、及び、現像ローラ103に当接して設けられ現像ローラ103上のトナー層厚(トナー量)を規制する層規制部材104などから構成されている。
【0033】
また、現像ユニット2の外壁は、基本的に樹脂カバー109からなっているが、トナー供給室102の底部及び供給ローラ105の軸方向と平行な側方部における上記外壁は金属カバー108からなっている。また、樹脂カバー109と金属カバー108との間に隙間が形成され、その隙間からトナーが漏れ出さないようにするために、樹脂カバー109と金属カバー108との隣接部にスポンジ材110が設けられている。このスポンジ材110が上記隣接部で押しつぶされ上記隙間を塞ぐことで、樹脂カバー109と金属カバー108との間からトナーが漏れることを防止することができる。
【0034】
トナー収容室101内には、トナー搬送部材106が設けられている。トナー搬送部材106は、攪拌力を与えることができる羽根のような板形状のものであり、現像ユニット2には、トナー収容室101内のトナーをトナー供給口を介してトナー供給室102内に搬送するトナー搬送部材106が設けられている。このトナー搬送部材106は、トナーに攪拌力や搬送力などを与えることができる羽根のような板形状のものである。
【0035】
供給ローラ105は、図中反時計回りの方向に回転し、トナー供給室102内のトナーを効率よく付着させて取り込むと共に、表面に付着させたトナーを現像ローラ103の表面に塗布供給する。現像ローラ103も図中反時計回りの方向に回転し、層規制部材104との対向位置を通過し層厚が規制された、ローラ表面に保持したトナーを感光体ドラム22との対向位置である現像領域へと搬送する。現像ローラ103と感光体ドラム22とは接触して配置されており、図示しない高圧電源から所定の現像バイアスが現像ローラ103に印加されて、上記現像領域で感光体ドラム22上に形成された潜像に現像ローラ103上のトナーを付着させて、その潜像をトナー像に現像する。
【0036】
また、図3に示すように、金属カバー108の現像ローラ103と対応する箇所には、スポンジ材111が両面テープで接着してあり、そのスポンジ材111によって現像ローラ103と金属カバー108との隙間を塞ぐことで、現像ローラ103と金属カバー108との隙間からトナーが漏れるのを防止している。
【0037】
本構成例の現像ユニット2においては、供給ローラ105と現像ローラ103とが接触し、供給ローラ105から現像ローラ103にトナーを塗布供給するニップ部が形成されている。このニップ部における、供給ローラ105の回転方向と現像ローラ103の回転方向とが逆方向であるため、そのニップ部で供給ローラ105と現像ローラ103とが摺擦することによる摩擦熱が発生し、その摩擦熱によって供給ローラ105や現像ローラ103などの近傍のトナー温度が上昇する。一般に、トナー温度が約45℃を超えると、トナー溶融による画像不良が発生することが知られている。
【0038】
本構成例においては、上述したようにトナー供給室102の上記外壁を樹脂カバー109よりも熱伝導性の良い金属カバー108によって構成することで、上記摩擦熱によって温度が上昇したトナーの熱を金属カバー108を介して現像ユニット2の外部に放熱することができる。これにより、供給ローラ105や現像ローラ103などの近傍のトナーの温度上昇を抑制することができる。
【0039】
また、本構成例においては、トナー供給室102内のトナーから金属カバー108に伝導された熱の放熱効率を上げるために、図4に示すような放熱手段としての板状のヒートシンクである金属板113を現像ユニット2の現像ローラ軸方向におけるギヤ列112がある側の外壁よりも外側の位置に設けている。この金属板113は、図1に示すように、現像ユニット2の現像ローラ軸方向におけるギヤ列112がある側の外壁よりも外側の位置で、金属板113と金属カバー108とのそれぞれの一部分が接触し合う箇所でネジによって締結される。これにより、金属カバー108に伝導されたトナー供給室102内の熱が、金属カバー108から金属板113に伝わり金属板113から効率よく放熱させることができる。よって、金属カバー108だけによってトナー供給室102内の熱の放熱を行った場合よりも、トナー供給室102内のトナーの温度上昇をより抑制することができる。
【0040】
ここで、本実施形態のプリンタのように、感光体ドラム22の潜像が担持される表面に沿って現像ユニット2などが配設されたプリンタのプリンタ本体内においては、トナー供給室102(現像ユニット2)の現像ローラ軸方向内側の周囲よりもトナー供給室102(現像ユニット2)の現像ローラ軸方向外側の周囲のほうが、空間的制約が少ない。よって、本構成例のように、トナー供給室102(現像ユニット2)の少なくとも一方の現像ローラ軸方向外側に金属板113などの放熱手段を設けることで、プリンタ本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、上記放熱手段を有した現像ユニット2をプリンタ本体内に設置することができる。
【0041】
なお、現像ユニット2に設けられたギヤ列112は、プリンタ本体に設けられ現像ユニット2の現像ローラ103や供給ローラ105などを駆動させる図示しない駆動源からの駆動力を現像ローラ103や供給ローラ105などに複数のギヤを介して伝達する駆動力伝達手段である。このギヤ列112が上記駆動源から現像ローラ103や供給ローラ105などに駆動力を伝達する際、各ギヤが互いに摺動することで摺動熱が発生する。このようにギヤ列112で上記摺動熱が発生すると、トナー供給室102の外壁を介してギヤ列112の近傍にあるトナーは、上記摺動熱で熱せられ高温になる。そのため、本構成例の現像ユニット2のように、金属板113をトナー供給室102のギヤ列112側の現像ローラ軸方向外側に配置し、金属板113によってギヤ列112で発生した摺動熱をも効果的に放熱できるようにすることで、ギヤ列112における上記摺動熱によるトナー温度上昇を低減させることが可能となる。
【0042】
金属カバー108から金属板113に効率よく熱を伝達させるためには、金属カバー108と金属板113との接触熱抵抗を下げるのが効果的である。具体的には、金属カバー108と金属板113とはネジによって締結されているが、そのネジ締結数を増やしたり、金属カバー108と金属板113との接触面積を増やしたり、金属カバー108と金属板113との互いの接触面に熱伝導性があるシリコングリスを塗布したり、することで上記接触熱抵抗を下げることができる。
【0043】
また、金属板113の表面積を大きくとれば、金属板113の放熱効率を向上させることができる。具体的には、金属板113に孔形状114を設けたり、金属板113の縦幅、横幅または厚さの少なくとも一つを拡大したり、金属板113に曲げ形状115を追加したりして、金属板113の表面積を大きくすることにより、金属板113の放熱効率を向上させることができる。なお、金属板113の表面積を大きくすることを目的として孔形状114を設ける場合には、孔形状114を形成するために金属板113を完全に打ち抜くのではなく、一辺が金属板113本体と繋がった状態で例えば現像ユニット2側に向かって孔形状114を形成する箇所にある金属板113を折り曲げて孔形状114を設ければ良い。
【0044】
トナー供給室102内のトナーから熱が伝わり放熱する、金属カバー108や金属板113などとしては、アルミニウムなどの熱伝導率の良い金属材料を用いるのが良い。また、金属カバー108や金属板113などの板厚を厚くすることで、伝熱しやすくなり放熱効率を向上させることができる。特に、図5に示すように、金属カバー108を供給ローラ105と現像ローラ103との外周に沿う形状にし、供給ローラ105と現像ローラ103とで形成されるニップ部に対向する位置の金属カバー108の肉厚を大きくすることで、上記摩擦熱によって熱せられたトナーの熱が金属カバー108に伝熱しやすくなり、トナーの温度上昇の抑制効果を向上させることができる。なお、金属カバー108を供給ローラ105と現像ローラ103との外周に沿う形状したり、供給ローラ105と現像ローラ103とで形成されるニップ部に対向する位置の金属カバー108の肉厚を大きくしたりするのは、どちらか一方だけでも上記摩擦熱によって熱せられたトナーの熱が金属カバー108に伝熱しやすくなり、トナーの温度上昇の抑制効果を向上させることができる。
【0045】
また、本構成例の現像ユニット2においては、図1や図6などに示すように金属板113の外側を樹脂側板116でカバーする。現像ユニット2などを一体に形成したプロセスカートリッジ5をプリンタ外へ取り出す際などに、現像ユニット2の金属板113が熱くなっていると、ユーザーが作業中に金属板113に触れてしまい火傷してしまう虞がある。そのため、本構成例の現像ユニット2のように、金属板113の外側を樹脂側板116でカバーすることで、金属板113が熱くなっていても、ユーザーが金属板113に触れないようにすることができ、ユーザーが火傷するのを防げ安全性が向上する。また、金属板113の露出を抑えることができるので、現像ユニット2の見た目を向上させることができる。
【0046】
また、本構成例のように、金属板113を樹脂側板116でカバーする場合、樹脂側板116に孔形状117を設けることで、孔形状117を通って金属板113の周辺の空気の入れ替えが行われ易くなり、金属板113の放熱効率を向上させることができる。なお、本構成例では、孔形状117が横長の長方形の穴で形成されているが、孔形状117としては、縦長の長方形の穴、正方形の穴、または、丸型の穴のいずれであっても、同等の効果が得られる。
【0047】
また、図示しないが、金属板113だけではなく、金属カバー108の外側を樹脂側板116のような樹脂カバーで覆っても良い。これにより、上述したような、金属板113を樹脂側板116でカバーした場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
次に、図7に、本構成例のプリンタにおける、左本体フレーム8a、右本体フレーム8b、左本体カバー9a、右本体カバー9b、ベースフレーム10、現像ユニット2、金属カバー108、金属板113及びファンモータ11の位置関係を示す。
【0049】
左本体フレーム8a及び右本体フレーム8bは、現像ユニット2の長手方向に対して略垂直な平面から成っている。左本体フレーム8aや左本体カバー9aなどで形成される筺体内にファンモータ11が設けられている。左本体フレーム8a及び左本体カバー9aには通気孔130,131が開けられており、ファンモータ11によって左本体カバー9aの通気孔131からプリンタ内の気体をプリンタ外に排出するような気流を発生させることによって、現像ユニット2の金属カバー108や金属板113などから放熱された熱によって温められた現像ユニット2周辺の気体を、左本体フレーム8a及び左本体カバー9aに開けられた通気孔130,131を介してプリンタ外へ効率良く排気することができる。
【0050】
ここで、金属板113と樹脂側板116とを現像ユニット2のギヤ列112側の現像ローラ軸方向外側に図1に示すように取り付けると、図6に示すように、現像ユニット2の樹脂側板116から、プロセスカートリッジ5として現像ユニット2と一体で形成された感光体ドラム22の軸123、及び、樹脂側板116に開けられた孔を介して金属板113の曲げ形状115が突出する。また、図8に示す、軸123の軸中心と樹脂側板116に形成された凸形状128の軸中心とを通る仮想直線と曲げ形状115との最短距離Dが、各現像ユニット2ごとに異なるように金属板113や樹脂側板116が構成されており、現像ユニット2Yにおいては上記最短距離が距離D1Y、現像ユニット2Mにおいては上記最短距離が距離D1M、現像ユニット2Cにおいては上記最短距離が距離D1C、現像ユニット2Kにおいては上記最短距離が距離D1Kとなっている。
【0051】
図9に、プリンタの内側で現像ユニット2の現像ローラ軸方向(長手方向)から見た左本体フレーム8aの模式図を示す。左本体フレーム8aには、現像ユニット2Y,M,C,Kそれぞれに設けられた樹脂側板116から突出する、感光体ドラム22の軸123及び凸形状128をガイドするガイド溝55と、樹脂側板116から突出する金属板113の曲げ形状115をガイドするガイド溝56が設けられている。すなわち、現像ユニット2Yに対応したガイド溝55Y,56Y、現像ユニット2Mに対応したガイド溝55M,56M、現像ユニット2Cに対応したガイド溝55C,56C、及び、現像ユニット2Kに対応したガイド溝55K,56Kが、左本体フレーム8aに設けられている。
【0052】
また、ガイド溝55とガイド溝56との間隔は各現像ユニット2ごとで異なっており、ガイド溝55Yとガイド溝56Yとの間隔が距離D2Y、ガイド溝55Mとガイド溝56Mとの間隔が距離D2M、ガイド溝55Cとガイド溝56Cとの間隔が距離D2C、ガイド溝55Kとガイド溝56Kとの間隔が距離D2Kとなっている。
【0053】
本構成例においては、距離D1Y,D1M,D1C,D1Kと、距離D2Y,D2M,D2C,D2Kとを、表1のように対応させている。
【0054】
【表1】

【0055】
これにより、現像ユニット2を本体装置に装着させる際、対応する現像ユニット2のみ装着させ、ユーザによる現像ユニット2の入れ間違い、如いては、プロセスカートリッジの入れ間違いを防止することができる。また、この入れ間違いを防止する部材の一つとして金属板113を有効利用することができ、別途で入れ間違い防止用の部材を設ける場合よりもコストダウンを図ることができる。
【0056】
[構成例2]
本構成例の現像ユニット2においては、構成例1で示した金属カバー108と金属板113とを一体化した、図10に示すような、トナー供給室102内のトナーから熱が伝導される熱伝導部118aと、トナーから伝導された熱をトナー供給室102外へ放熱する放熱部118bとからなる金属板118を用いた構成となっている。
【0057】
本構成例の現像ユニット2の外壁は樹脂カバー109からなっており、その樹脂カバー109には、金属板118の熱伝導部118aをトナー供給室102内に差し込めるように開けられた差込孔119が設けられている。
【0058】
現像ユニット2の組み立て時には、まず、差込孔119の樹脂カバー外側の縁上に、スポンジ材120を両面テープで接着する。このスポンジ材120には、スポンジ材120の厚み方向に貫通するスリット121が設けられており、スポンジ材120を樹脂カバー109に取り付ける際には、樹脂カバー109の差込孔119とスポンジ材120のスリット121とが連通するようにする。そして、スポンジ材120のスリット121、樹脂カバー109の差込孔119の順に金属板118の熱伝導部118aを差し込み、金属板118の放熱部118bのトナー供給室102側の面とスポンジ材120とが密着するまで金属板118の熱伝導部118aをトナー供給室102内に挿入する。これにより、スポンジ材120が差込孔119のシール手段として機能し、差込孔119からのトナー漏れを防止することができる。差込孔19及びスリット121に差し込んだ金属板118の熱伝導部118aの先端は凸形状122を有しており、差込孔19及びスリット121に差し込んだ金属板118の熱伝導部118aを差込孔119が形成された側とは反対側の樹脂カバー109に向かってさらに差し込むと、上記反対側の樹脂カバー109に設けられた凹形状124に金属板118の熱伝導部118aの凸形状122が勘合する。凹形状124は、凸形状122の幅方向、奥行き方向にはクリアランスがあり、金属板118の高さ方向の位置を規制する機能を果たす。
【0059】
本構成例の現像ユニット2においては、外壁全てが樹脂カバー109で形成されたトナー供給室102内のトナーの熱を、トナー供給室102内にある金属板118の熱伝導部118aに伝導し、その熱伝導部118aに伝導された熱を金属板118のトナー供給室102外に露出した放熱部118bから放熱する。
【0060】
また、本構成例のように、トナー供給室102内のトナーから熱が伝導される熱伝導部118aと、その熱伝導部118aに伝導された熱をトナー供給室102外で放熱する放熱部118bとを一体化した金属板118を使用することで、部品コストを低減しながらも、構成例1に記載したような金属カバー108と金属板113とによる放熱効果を金属板118によって同様に得ることができる。
【0061】
また、本構成例においても、トナー供給室102(現像ユニット2)の少なくとも一方の現像ローラ軸方向外側に金属板118の放熱部118bを配置することで、プリンタ本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、現像ユニット2をプリンタ本体内に設置することができる。
【0062】
以上、本実施形態によれば、表面に潜像を担持する像担持体である感光体ドラム22と、現像剤を収容する現像剤収容ケースであるトナー供給室102と、トナー供給室102に収容された現像剤を表面に担持する現像剤担持体である現像ローラ103と、現像ローラ103にトナー供給室102に収容された現像剤を供給する現像剤供給部材である供給ローラ105とからなり、感光体ドラム22の表面に沿って配設された現像手段である現像ユニット2とを備え、感光体ドラム22の表面と現像ローラ103の表面とが対向する領域で、感光体ドラム22の表面に担持された潜像を現像ローラ103の表面に担持された現像剤を用いて現像する画像形成装置であるプリンタにおいて、トナー供給室102内の現像剤から熱が伝導される、現像ローラ軸方向に長尺な金属部材である金属カバー108と、トナー供給室102の少なくとも一方の現像ローラ軸方向外側に設けられ、金属カバー108と接触し金属カバー108から伝導された熱を放熱する放熱手段である金属板113とを現像ユニット2が有する。これにより、上述したように、プリンタ本体内のレイアウト上の制約を抑えつつ、上記放熱手段である金属板113を有した現像ユニット2をプリンタ本体内に設置することができる。
また、本実施形態によれば、金属カバー108を、所定の間隔をあけて現像ローラ103と供給ローラ105との少なくとも一方と対向する位置に配設したことで、現像ローラ103や供給ローラ105などによって撹拌されることで熱をもった現像ローラ103や供給ローラ105などの近傍のトナーから効率良く熱を金属板113に伝導させることができる。
また、本実施形態によれば、金属カバー108がトナー供給室102を形成する外壁の少なくとも一部分であることで、簡易な構成でトナー供給室102内のトナーの放熱することができる。また、部品点数を少なくすることができコスト削減や現像ユニット2の小型化が可能となる。
また、本実施形態によれば、金属カバー108が、現像ローラ103と供給ローラ105との少なくとも一方の外形に沿う形状であることで、現像ローラ103や供給ローラ105などの近傍のトナーの熱が金属カバー108に伝熱しやすくなり、トナーの温度上昇の抑制効果を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、現像ローラ103と供給ローラ105とが互いにローラ表面で接し合っており、現像ローラ103と供給ローラ105とが互いにローラ表面で接し合っている部分であるニップ部と対向する位置に金属カバー108が設けられていることで、上記ニップ部で現像ローラ103と供給ローラ105とが摺擦することで発生する摺擦熱により熱せられたトナーの熱を金属カバー108に伝熱しやすくなり、トナーの温度上昇の抑制効果を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、金属カバー108が、少なくとも現像ローラ103と供給ローラ105とが互いに接し合っているニップ部と、自身の他の部分よりも相対的に厚さの厚い厚肉部とが対向するように配設されていることで、上記ニップ部で現像ローラ103と供給ローラ105とが摺擦することで発生する摺擦熱により熱せられたトナーの熱を金属カバー108により伝熱しやすくなり、トナーの温度上昇の抑制効果をより向上させることができる。
また、本実施形態によれば、トナー供給室102の現像ローラ軸方向外側の一方に設けられ、現像ローラ103や供給ローラ105などを駆動させる駆動手段から現像ローラ103や供給ローラ105などに駆動力を伝達するギヤ列112からなる駆動力伝達手段とを有しており、金属板113を、トナー供給室102のギヤ列112が設けれた側の現像ローラ軸方向外側に設ける。これにより、金属板113によってギヤ列112で発生した摺動熱をも効果的に放熱できるようになり、ギヤ列112における上記摺動熱によるトナー温度上昇を低減させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、金属板113を、孔の開いた樹脂カバーである樹脂側板116で覆うことで、金属板113が熱くなっていても、ユーザーが金属板113に触れないようにすることができ、ユーザーが火傷するのを防げ安全性が向上する。また、金属板113の露出を抑えることができるので、現像ユニット2の見た目を向上させることができる。また、樹脂側板116に孔形状117を設けることで、孔形状117を通って金属板113の周辺の空気の入れ替えが行われ易くなり、金属板113の放熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、現像ユニット2を介して現像ローラ軸方向で対向する一対の本体フレームである左本体フレーム8a及び右本体フレーム8bを有しており、金属板113が設けられた側にある上記本体フレームに、気流を発生させる気流発生手段であるファンモータ11を設けることで、金属板113周辺の気流の循環が良好となり金属板113の放熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、上記放熱手段が金属板113や金属板118などのヒートシンクであることで、水冷方式を採用するなどした従来から知られている他の放熱手段に比べて現像ユニット2の小型化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、上記ヒートシンクと上記金属部材とを上記金属板118のように一体で形成することで、部品コストを低減することができる。
また、本実施形態によれば、上記ヒートシンクが金属板113や金属板118などのように金属板であることで、フィンなどを有したヒートシンクなどよりも現像ユニット2のサイズアップを抑えることができる。
また、本実施形態によれば、上記ヒートシンク(金属板113や金属板118など)に孔が開いていることで、上記ヒートシンク周辺の気流の循環が良好となり放熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、上記ヒートシンク(金属板113や金属板118など)に曲げ形状115を設けることで、上記ヒートシンク(金属板113や金属板118など)の表面積を大きくすることができ放熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、異なる色のトナーを封入した複数の現像ユニット2を着脱自在に備え、各現像ユニット2ごとに上記ヒートシンク(金属板113や金属板118など)の曲げの形状115を異ならしめるとともに、それら現像ユニット2をそれぞれプリンタ本体に対して取り付けるとき、対応する現像ユニット2の曲げ形状115のみを通過して、対応する現像ユニット2のみの取り付けを許す溝形状であるガイド溝56を上記本体フレームに設けた。これにより、上記ヒートシンク(金属板113や金属板118など)の放熱効率を向上させるために形成した上記ヒートシンク(金属板113や金属板118など)の曲げ形状115を利用してユーザーの現像ユニット2の入れ間違いを防止できるため、入れ間違い防止専用の部材を新たに設ける必要が無く、コスト削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】構成例1に係る、トナー収容室のギヤ列がある側の現像ローラ軸方向外側に放熱手段である金属板とその金属板を覆う樹脂側板とを設ける場合の現像ユニットの斜視図。
【図2】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】構成例1に係る現像ユニットの断面概略構成図。
【図4】トナー収容室のギヤ列がある側の現像ローラ軸方向外側に放熱手段である金属板を取り付けたときの現像ユニットの斜視図。
【図5】現像ローラと供給ローラとが互いに接するニップ部に対向する位置にある金属カバーの肉厚を厚くした場合の現像ユニットの断面概略構成図。
【図6】トナー収容室のギヤ列がある側の現像ローラ軸方向外側に放熱手段である金属板とその金属板を覆う樹脂側板とを取り付けたときの現像ユニットの斜視図。
【図7】本体フレーム本体カバーベースフレーム現像ユニット金属カバー金属板及びファンモータなどの位置関係を示したプリンタの模式図。
【図8】樹脂側板から突出した、感光体の軸の軸中心と凸形状の軸中心とを通る仮想直線と、金属板の曲げ形状との位置関係を示した模式図。
【図9】プリンタの内側で現像ユニットの現像ローラ軸方向から見た左本体フレームの模式図。
【図10】構成例2に係る現像ユニットの斜視図。
【符号の説明】
【0064】
2 現像ユニット
3 ドラムクリーニング装置
4 帯電装置
5 プロセスカートリッジ
8a 左本体フレーム
8b 右本体フレーム
9a 左本体カバー
9b 右本体カバー
10 ベースフレーム
11 ファンモータ
17 駆動ローラ
19 差込孔
22 感光体ドラム
34 定着ユニット
34a 定着ローラ
34b 加圧ローラ
40 反転ユニット
40a 回動軸
41 反転前搬送路
42 切替爪
42a 回動軸
43 反転搬送ローラ対
44 反転搬送路
45 外部カバー
46 揺動体
50 上カバー
51 軸部材
55 ガイド溝
56 ガイド溝
65 転写ユニット
66 中間転写ベルト
69 従動ローラ
70 書込装置
80 2次転写ローラ
81 ベルトクリーニング装置
82 クリーニングバックアップローラ
83 1次転写ローラ
84 給紙カセット
85 給紙ローラ
86 給紙路
87 レジストローラ対
88 転写後搬送路
89 定着後搬送路
90 排紙路
91 排紙ローラ対
101 トナー収容室
102 トナー供給室
103 現像ローラ
104 層規制部材
105 供給ローラ
106 トナー搬送部材
108 金属カバー
109 樹脂カバー
110 スポンジ材
111 スポンジ材
112 ギヤ列
113 金属板
114 孔形状
115 曲げ形状
116 樹脂側板
117 孔形状
118 金属板
118a 熱伝導部
118b 放熱部
119 差込孔
120 スポンジ材
121 スリット
122 凸形状
123 軸
124 凹形状
128 凸形状
130 通気孔
131 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に潜像を担持する像担持体と、
現像剤を収容する現像剤収容ケースと、該現像剤収容ケースに収容された現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に該現像剤収容ケースに収容された現像剤を供給する現像剤供給部材とからなり、該像担持体の表面に沿って配設された現像手段とを備え、
該像担持体の表面と該現像剤担持体の表面とが対向する領域で、該像担持体の表面に担持された潜像を該現像剤担持体の表面に担持された現像剤を用いて現像する画像形成装置において、
該現像剤収容ケース内の現像剤から熱が伝導される、現像剤担持体軸方向に長尺な金属部材と、上記現像剤収容ケースの少なくとも一方の現像剤担持体軸方向外側に設けられ、該金属部材と接触し該金属部材から伝導された熱を放熱する放熱手段とを該現像手段が有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記金属部材を、所定の間隔をあけて上記現像剤担持体と上記現像剤供給部材との少なくとも一方と対向する位置に配設したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記金属部材が上記現像剤収容ケースの少なくとも一部分であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記金属部材は、上記現像剤担持体と上記現像剤供給部材との少なくとも一方の外形に沿う形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の画像形成装置において、
上記現像剤担持体と上記現像剤供給部材とがローラ部材であり、該現像剤担持体と該現像剤供給部材とが互いにローラ表面で接し合っており、
該現像剤担持体と該現像剤供給部材とが互いにローラ表面で接し合っている部分と対向する位置に上記金属部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
上記金属部材は、少なくとも上記現像ローラと上記供給ローラとが互いに接し合っている部分と、自身の他の部分よりも相対的に厚さの厚い厚肉部とが対向するように配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、
上記現像剤収容ケースの現像剤担持体軸方向外側の一方に設けられ、上記現像剤担持体や上記現像剤供給部材などを駆動させる駆動手段から該現像剤担持体や該現像剤供給部材などに駆動力を伝達するギヤ列からなる駆動力伝達手段とを有しており、
上記放熱手段を、上記現像剤収容ケースの該駆動力伝達手段が設けれた側の現像剤担持体軸方向外側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記放熱手段を、孔の開いた樹脂カバーで覆っていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、
上記現像手段を介して現像剤担持体軸方向で対向する一対の本体フレームを有しており、
上記放熱手段が設けられた側にある上記本体フレームに、気流を発生さえる気流発生手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、
上記放熱手段がヒートシンクであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
上記ヒートシンクと上記金属部材とを一体で形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10または11の画像形成装置において、
上記ヒートシンクが金属板であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項10、11または12の画像形成装置において、
上記ヒートシンクに孔が開いていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項10、11、12または13の画像形成装置において、
上記ヒートシンクに、曲げ形状を設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項14の画像形成装置において、
異なる色のトナーを封入した複数の上記現像手段を着脱自在に備え、各現像手段ごとに上記曲げの形状を異ならしめるとともに、それら現像手段をそれぞれ画像形成装置本体に対して取り付けるとき、対応する現像手段の該曲げ形状のみを通過して、対応する現像手段のみの取り付けを許す溝形状を上記本体フレームに設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−61056(P2010−61056A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229297(P2008−229297)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】