説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】スキャナユニット上に載置される原稿が取り忘れられた場合の原稿の情報が他人によって知られることを未然に防止する。
【解決手段】スキャナユニット10上に、ADFユニット20がヒンジ機構30によって開閉自在に取り付けられており、開閉駆動モータ34によって、ADFユニット20が開閉駆動される。操作者がスキャナユニット10上に載置した原稿の画像を、スキャナユニット10による読み取り作業が終了すると、ADFユニット20を開動作させた後に、操作者が立ち去ると閉動作させる制御の実行を、操作者によって入力される情報に含まれる役職、メール等の宛先、仕上げモード、操作者のRFID情報含まれる役職、原稿のRFID情報に含まれる取扱者の役職の少なくとも一つによって設定されるセキュリティレベルが所定の閾値よりも高い場合に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を自動搬送する自動原稿搬送ユニットと、自動原稿搬送ユニットによって搬送される原稿の画像を読み取るスキャナユニットとを有する画像読取装置、および、画像読取装置が設けられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置では、複数枚の原稿の画像を読み取る際の操作性、読み取り効率等を向上させるために、原稿の画像を読み取るスキャナ装置上に、画像を読み取るための原稿をスキャナ装置に自動搬送する自動原稿搬送装置(ADF)が設けられた画像読取装置が普及している。このような構成の画像読取装置では、操作者による手作業によって、スキャナ装置の上面に設けられたプラテンガラス上に原稿が載置されるように、ADFがスキャナ装置に対して開閉可能に連結されている。
【0003】
また、スキャナ装置とADFとを開閉可能に連結する部分に、ADFを開閉駆動するモータ等の開閉駆動手段を設けて、この開閉駆動手段によって、ADFをスキャナ装置に対して自動的に開閉する構成が開発されている。
例えば、特許文献1には、原稿搬送装置(ADF)を自動開閉可能な構成が開示されている。特許文献1に開示された画像形成装置では、ADFの開閉をスイッチの操作によって行うことができ、スキャナ装置のプラテンガラス上に原稿を載置する作業は容易になる。しかし、原稿画像をコピーした記録シートが排出されると、操作者は、排出された記録シートを取り出す作業だけを実行することにより、プラテンガラス上の原稿を取り忘れることがある。特に、複数枚の原稿を順番にプラテンガラス上に載置して、それぞれの原稿の画像をスキャナ装置によって読み取らせる場合には、最後にプラテンガラス上に載置された原稿を取り忘れる確率は高くなる。
【0004】
特許文献2には、画像形成動作の終了時に、原稿押圧部(ADF)を自動的に開く構成が開示されている。このような構成により、操作者は、原稿台上に載置された原稿を取り忘れていること認識することができ、原稿の取り忘れを未然に防止する確率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2006−50225号公報
【特許文献2】特開平7−271115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スキャナユニットのプラテンガラス上に載置される原稿には、機密保持を必要とする情報が含まれている場合もあり、そのような重要な原稿をプラテンガラス上から取り忘れると、機密保持に関する情報が、第3者に取得されるおそれがある。特許文献2に記載されているように、画像形成動作の終了時に、原稿押圧部(ADF)を自動的に開く構成では、スキャナ部に原稿が残った状態であることを操作者に知らせて、操作者に原稿をスキャナ部から取り除くことを促すことができるものの、操作者が原稿を取り忘れて画像形成装置から立ち去ることを完全に防止することができず、この場合には、スキャナユニットに原稿が載置された状態でADFが長時間にわたって開放されることになり、多くの人々に原稿がスキャナユニット上に載置されていることが認識され、原稿の情報が第3者によって取得される可能性が高くなる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、スキャナユニット上に載置される原稿が取り忘れられた場合においても、原稿の情報を保護することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像読取装置は、スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた画像読取装置であって、前記自動原稿搬送ユニットを開閉駆動する開閉駆動手段と、前記スキャナユニットの原稿読取位置に操作者が載置した原稿のセキュリティレベルに関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記セキュリティレベルに関する情報からセキュリティレベルを設定し、当該セキュリティレベルが所定の閾値よりも高い場合に、前記原稿の読み取り作業が終了すると前記自動原稿搬送ユニットを開動作させた後に閉動作させるか、または、所定角度まで開動作させるか開動作させることなく閉状態でロックする制御を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像読取装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、スキャナユニット上に操作者が載置した原稿のセキュリティレベルが高い場合に、自動原稿搬送ユニットを開閉させる制御が実行されるために、セキュリティレベルが高い原稿がスキャナユニット上において取り忘れられた場合において、自動原稿搬送ユニットが閉状態になるか、所定の角度にまでしか開動作されないか、さらには閉状態でロックされる。従って、その原稿が操作者以外の第3者に直接目視される可能性を低減することができ、セキュリティレベルが高い原稿に含まれる情報が第3者に漏出することを防止することができる。
【0011】
好ましくは、前記取得手段は、操作パネル、操作者が身に付けた無線ICチップに格納されている情報を取得する操作者RFID(Radio Frequency Identification)受信器、前記原稿に設けられた無線ICチップから送信される情報を受信する原稿RFID受信器の少なくともいずれか一つであることを特徴とする。
好ましくは、前記取得手段は、前記操作パネルであり、前記制御手段は、前記セキュリティレベルを、操作者によって前記操作パネルに入力されたログイン情報、画像データを送信する際の宛先情報、モード設定情報のいずれかに基づいて設定することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記自動原稿搬送ユニットの閉動作の実行は、前記自動原稿搬送ユニットを開動作させた後に所定時間が経過しても原稿が取り出されない場合になされることを特徴とする。
好ましくは、前記スキャナユニット近傍に位置する人体を検出する人体検出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記自動原稿搬送ユニットを開動作させた後に、前記人体検出手段によって人体が検出されなくなった場合に、前記自動原稿搬送ユニットの閉動作を実行することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記制御手段は、閉動作された前記自動原稿搬送ユニットをロック状態に制御することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記所定角度まで開動作させるか開動作させることなく閉状態でロックする制御を、前記原稿が両面原稿の場合に実行することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記読み取り作業によって得られた画像データを、前記原稿が取り出されるまで、前記スキャナユニットからの出力を禁止することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例であるMFPを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の概略構成を示す正面側から見た模式図である。
【図3】その画像読取装置に設けられたスキャナユニットの平面模式図である。
【図4】画像読取装置におけるADFユニットとスキャナユニットとを連結するヒンジ機構の構成を説明するための模式図である。
【図5】本実施形態のMFPにおける制御系の主要部を示すブロック図である。
【図6】(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態の画像読取装置において、セキュリティ制御を実行可能に設定する際に使用されるテーブルの一例である。
【図7】(a)〜(c)は、セキュリティ制御を実行可能に設定する際に使用されるテーブルの他の例である。
【図8】セキュリティ制御を実行可能に設定する際に使用されるテーブルのさらに他の例である。
【図9】(a)および(b)は、それぞれ、セキュリティ制御を実行可能に設定する際に使用されるテーブルのさらに他の例である。
【図10】本実施形態のMFPの動作説明のための第1フローチャートである。
【図11】本実施形態のMFPの動作説明のための第2フローチャートである。
【図12】本実施形態のMFPの動作説明のための第3フローチャートである。
【図13】本実施形態のMFPの動作説明のための第4フローチャートである。
【図14】本実施形態のMFPの動作説明のための概念図である。
【図15】本実施形態のMFPの動作説明のための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例を示す斜視図である。この画像形成装置は、複写機、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの機能を有する複合機(MFP:Multiple Function Peripheral)であり、ネットワークを介して、端末装置等とのデータの送受信が可能になっている。図1に示すように、このMFPは、記録用紙等の記録シート上にトナー画像を形成する画像形成装置本体Aと、画像形成装置本体A上に設けられた本発明の実施形態に係る画像読取装置Bとを備えている。画像読取装置Bは、原稿画像を読み取るスキャナユニット10と、スキャナユニット10上に設けられたADF(自動原稿給紙)ユニット20とを有している。
【0016】
本実施形態の画像読取装置Bを構成するADFユニット20は、スキャナユニット10に対して、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられており、スキャナユニット10の上面を覆った閉状態で、画像を読み取るための原稿をスキャナユニット10に自動的に供給する。スキャナユニット10は、ADFユニット20によって供給される原稿の画像、または、操作者によってスキャナユニット10におけるプラテンガラス18(図2参照)に手置きセットされた原稿の画像を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。
【0017】
画像形成装置本体Aには、プリンタ部61と、プリンタ部61の下側に設けられた給紙部62とが設けられており、給紙部62内の記録シートがプリンタ部61に供給される。プリンタ部61では、スキャナユニット10にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して端末装置等から送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にカラーのトナー画像をプリントする。プリンタ部61によってトナー画像がプリントされた記録シートは、スキャナユニット10の下側に設けられた画像形成装置本体Aの排紙トレイ63上に排出される。
【0018】
スキャナユニット10の正面側の上面部分には、情報の入力操作等のための操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、各種情報を入力するための操作指示画面、入力された情報の表示画面等を表示する表示部と、各種情報入力のために操作者によって操作されるスイッチ入力部とが設けられている。スイッチ入力部には、ADFユニット20を自動開閉させる場合に、操作者によって操作される開閉スイッチ19が設けられている。開閉スイッチ19が操作者によって開指示操作されると、ADFユニット20は自動的に上方に回動され、開閉スイッチ19が操作者によって閉指示操作されると、ADFユニット20は自動的に下方に回動される。
【0019】
また、操作パネル14の表示部には、コピー動作の指示、ネットワークを介して端末装置等にデータの送信指示、電話回線を介してのデータのFAX指示、プラテンガラス18(図2参照)に載置される原稿が、両面に画像情報を有する両面原稿であることの指示、コピージョブにおける複写画像の仕上げモードの設定指示のため、あるいは、ログイン情報、画像データを保存する場合の保存先情報(宛先)等の入力のための操作指示画面が表示される。
【0020】
なお、画像形成装置本体Aには、画像形成装置本体Aに接近する操作者等の人体を検出する人体センサ68が設けられている。人体センサ68は、例えば、画像形成装置に対して所定範囲に操作者等の人体が接近したことを検出する光電式、赤外線式、静電式等の反射型センサによって構成されている。また、画像形成装置本体Aには、操作者が身に付けているネームプレート等に取り付けられた無線ICチップと通信を行って無線ICチップに格納されている情報を取得する操作者RFID(Radio Frequency Identification)受信器69が設けられている。この操作者RFID受信器69は、操作者がMFPに接近することによって、無線ICチップから送信されるユーザIDに関する情報、セキュリティ情報等を受信するようになっている。さらに、操作パネル14には、操作者が所有するIDカードの情報を読み取るカードリーダ(図示せず)も設けられている。
【0021】
<画像読取装置におけるADFユニットの構成>
図2は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置Bの概略構成を示す正面側から見た模式図である。ADFユニット20は、図1および図2に示すように、スキャナユニット10の上面を全体にわたって覆った閉状態から上方に回動されることによってスキャナユニット10の上面を開状態とするADFユニット本体21と、スキャナユニット10に搬送される原稿が載置されるようにADFユニット本体21に取り付けられた原稿給紙トレイ22とを有している。
【0022】
ADFユニット20は、ADFユニット本体21の正面に向って左側(以下、単に「左側」とし、反対側を「右側」とする)の側部には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿が搬送される搬送経路を内部に有する給紙本体部21aが設けられており、給紙本体部21aの下部には、内部に反転経路21pが形成された反転経路形成部21bが、給紙本体部21aから右側方に水平状態で延出するように設けられている。
【0023】
ADFユニット本体21の給紙本体部21aおよび反転経路形成部21bは、スキャナユニット10の上面をほぼ全域にわたって覆うように一体に構成されている。原稿給紙トレイ22は、反転経路形成部21bの上方において、左側の側部が下側になるように傾斜した状態で、給紙本体部21aの上部に取り付けられている。ADFユニット20は、スキャナユニット10に原稿の片面だけを読み取らせる片面読取モードと、原稿を反転させて原稿の両面(表面と裏面)をスキャナユニット10に順番に読み取らせる両面読取モードとを選択的に実行する構成になっており、片面読取モードの場合には、原稿が、原稿給紙トレイ22上に、スキャナユニット10にて読み取られる原稿面を上方に向けた状態で載置される。原稿給紙トレイ22には、原稿給紙トレイ22上に載置される原稿を検出するためのADF側原稿センサ23が設けられている。
【0024】
原稿給紙トレイ22上の原稿は、給紙本体部21a内に設けられたピックアップローラ21cによって、第1搬送経路21dに供給され、一対の第1レジストローラ21jによって、第2搬送経路21eを介して、一対の第1読取ローラ21fへと搬送される。第1読取ローラ21fを通過した原稿は、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス(プラテンガラス)16との対向部分を通過し、その間に、スリットガラス16に対向する原稿面の画像がスキャナユニット10によって読み取られる。画像が読み取られた原稿は、一対の第2読取ローラ21gを介して、第1分岐ガイド21hへと搬送される。第1分岐ガイド21hは、片面モードの場合には、原稿を、一対の第2レジストローラ21kを介して、第2分岐ガイド21mへと搬送し、第2分岐ガイド21mによって、一対の排紙ローラ21qを介して、反転経路形成部21b上に設けられた原稿排出部上に排出する。
【0025】
第1分岐ガイド21hは、両面モードの場合には、原稿を、一対の第2レジストローラ21kを介して、第2分岐ガイド21mへと搬送し、第2分岐ガイド21mによって、原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド上に搬送する。第2レジストローラ21kは、原稿の後端部が通過する直前に逆転駆動され、これにより、原稿はスイッチバックして、第3搬送経路21nを通って、第1レジストローラ21jへと搬送される。
【0026】
その後、原稿は、表裏を反転した状態で、第2搬送経路21eを通過し、第1読取ローラ21fによってスリットガラス16の上方を搬送される。そして、スリットガラス16の上方を原稿が通過する間に、スリットガラス16に対向する原稿面(第2面)の画像がスキャナユニット10によって読み取られる。次いで、原稿は、第1分岐ガイド21hによって、第4搬送経路21sを通って、反転ローラ21zへ搬送され、一旦、反転経路形成部21b内の反転経路21pへと搬送された後に、第2分岐ガイド21mに案内されて排紙ローラ21qへと搬送され、排紙ローラ21qによって、反転経路形成部21b上の原稿排出部に排出される。
【0027】
<画像読取装置におけるスキャナユニットの構成>
図2に示すように、スキャナユニット10は、扁平な長方体形状に形成されたハウジング11を備えており、このハウジング11の上面に、ADFユニット20の第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に対向するようにスリットガラス16が前後方向に沿って配置されている。また、ハウジング11の上面には、スリットガラス16の左側の側方に配置された長方形状のプラテンガラス18が設けられている。プラテンガラス18は、スリットガラス16の前後方向(主走査方向)長さと同程度の前後方向長さを有するとともに、スリットガラス16に近接した位置からハウジング11の右側の端部近傍にわたる左右方向(副走査方向)長さを有している。
【0028】
ハウジング11の内部には、図2に矢印Xで示す副走査方向にスライド可能に構成された第1スライダー12が設けられており、この第1スライダー12に、線状光源12aが主走査方向に沿った状態で搭載されている。第1スライダー12は、通常は、スリットガラス16とプラテンガラス18との間のホームポジションに位置されており、ADFユニット20によって原稿が搬送される場合には、スキャナモータ43によって、スリットガラス16の下方のシートスルーポジションに移動されて停止される。これに対して、プラテンガラス18上の原稿Dを読み取る場合には、第1スライダー12は、スキャナモータ43によって、プラテンガラス18に沿って副走査方向に往復移動されるようになっている。
【0029】
第1スライダー12には、スリットガラス16上を通過する原稿Dまたはプラテンガラス18上に載置された原稿Dからの反射光を、矢印Xで示す方向とは反対方向に略直角に反射する第1ミラー12bが設けられている。第1スライダー12よりも左側の側方には、第1ミラー12bにて反射された光を、矢印X方向に反転させるように対になった第2ミラー13aおよび第3ミラー13bが搭載された第2スライダー13が設けられている。
【0030】
第2スライダー13は、プラテンガラス18上に載置された原稿Dの画像を読み取る場合には、スキャナモータ43によって、第1スライダー12の移動に同期して、第1スライダー12の速度の1/2の速度で第1スライダー12と同方向に移動される。第2ミラー13aおよび第3ミラー13bによって矢印X方向に反転された光は、縮小レンズ(図示せず)を介して画像読取手段としてのCCD17に照射される。
【0031】
図3は、スキャナユニット10におけるハウジング11の平面模式図である。ハウジング11の上面における左側の側部に配置されたスリットガラス16は、前後方向に沿って延びる帯状に構成されており、スリットガラス16の右側には、スリットガラス16に対して適当な間隔をあけてプラテンガラス18が配置されている。スリットガラス16とプラテンガラス18との間が、第1スライダー12のホームポジションになっている。
【0032】
ハウジング11の内部には、操作者によってプラテンガラス18上に載置される原稿Dのサイズを検出するための第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bが設けられている。第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bは、それぞれ、プラテンガラス18における左側の側縁部に沿って位置決めされた所定サイズの原稿Dにおける背面側の側縁を検出するように配置された反射型のセンサである。
【0033】
スキャナユニット10には、載置された原稿Dに無線ICチップが設けられている場合に、当該無線ICチップから送信される情報を受信するRFID受信器15cが設けられている。無線ICチップには、当該原稿の取り扱いが可能である操作者に関する情報であるユーザID情報、原稿のセキュリティレベル等の情報等の原稿ID情報が含まれており、それらの情報がRFID受信器15cに受信される。
【0034】
<画像読取装置におけるヒンジ機構の構成>
画像読取装置BにおけるADFユニット20は、正面側部分がスキャナユニット10に対して上方に回動されるように、その背面側部分が、スキャナユニット10の背面側部分に対してヒンジ機構によって連結されている。図4は、そのヒンジ機構30の構成を説明するための模式図である。このヒンジ機構30は、スキャナユニット10の背面側の側部に取り付けられた固定側ヒンジ体31と、ADFユニット20の背面側の側部に取り付けられた回動側ヒンジ体32と、固定側ヒンジ体31および回動側ヒンジ体32の背面側の端部同士を回動可能に支持するヒンジ支点軸33とを有している。
【0035】
ヒンジ支点軸33には、ADFユニット20を開閉するための開閉駆動モータ34の回転力が、複数のギア36〜38を介して伝達されている。開閉駆動モータ34としては、例えばパルスモータが使用される。開閉駆動モータ34は、スキャナユニット10に設けられた操作パネル14の開閉スイッチ19が、操作者によって開指示操作または閉指示操作されることによって、正転および逆転駆動されるようになっている。また、本実施形態では、開閉駆動モータ34は、ADFユニット20を下方に回動させてスキャナユニット10の上面を覆った閉状態になると、その状態で回転駆動できないようにロックされるように構成されている。これにより、ADFユニット20は、スキャナユニット10の上面を覆った閉状態で回動されないロック状態になる。
【0036】
ADFユニット20に取り付けられた回動側ヒンジ体32は、開閉駆動モータ34が正転駆動されることによって、ヒンジ支点軸33を中心として、正面側の先端部が上方に向って回動される。これにより、ADFユニット20は、正面側の側縁部が上方に回動し、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面が開放される。開閉駆動モータ34が逆転駆動されると、ADFユニット20の正面側の端部は下方に回動される。ADFユニット20は、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面に当接することによって回動が停止され、ハウジング11の上面に設けられたプラテンガラス18を覆った閉状態になる。
【0037】
ヒンジ支点軸33には、ADFユニット20の回動角度を検出する回動角検出器37が設けられている。回動角検出器39は、例えば、ADFユニット20を回動させるヒンジ支点軸33の回動角度に応じた電圧を出力するロータリーボリュームによって構成されている。開閉駆動モータ34は、ADFユニット20が、回動角検出器39によって検出される所定角度になるように駆動される。
【0038】
<MFPにおける制御系の構成>
図5は、本実施形態のMFPにおける制御系の主要部を示すブロック図である。画像形成装置本体Aには、画像形成動作等を制御するシステムCPU65と、操作パネル14における表示部の制御、各種データの送受信制御等を実行するパネルCPU66が設けられている。システムCPU65とパネルCPU66とは、データバスを介して、相互にデータの送受を行うとともに相互に動作指示を行うようになっている。また、画像読取装置Bのスキャナユニット10には、スキャナモータ43等を制御するスキャナCPU41が設けられており、ADFユニット20には、原稿の搬送等を制御するADF−CPU51が設けられている。システムCPU65と、スキャナCPU41およびADF−CPU51とは、データバスを介して、相互にデータの送受を行うようになっている。
【0039】
システムCPU65には、画像形成装置本体Aに接近する操作者等の人体を検出する人体センサ68の出力、操作者のネームプレート等に付加された無線ICチップから送信されるユーザIDに関する情報、セキュリティ情報等を受信するRFID受信器69の出力がそれぞれ与えられている。
パネルCPU66は、操作者が操作パネル14を操作することによって入力された各種情報、指示等を、データバスを介して、システムCPU65に与えるように構成されている。パネルCPU66は、例えば、操作者が操作パネル14の操作によって入力したログインID、セキュリティレベルの設定、モード設定、画像データをFAXによって送信する場合の送信先FAX番号、画像データをメールによって送信する場合の送信先メールアドレス、画像データをBOXに保存する場合の保存先BOXのURL等のデータをシステムCPU65に与える。
【0040】
スキャナCPU41は、画像読取時にモータ駆動IC42を制御して、第1スライダー12および第2スライダー13を所定方向に所定の速度で移動させるようにスキャナモータ43の駆動を制御する。また、スキャナCPU41は、CCD17にて読み取られた画像データを処理する画像処理部44を制御する。画像処理部44は、CCD17にて得られた原稿の画像データを、シェーディング補正、シャープネス調整、HVC調整、濃度補正等を行う。さらに、スキャナCPU41には、プラテンガラス18上に載置される原稿Dのサイズを検出するための第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力が、それぞれ入力されている。
【0041】
さらに、スキャナCPU41には、スキャナユニット10に設けられた原稿RFID受信器15cの出力が与えられている。原稿RFID受信器15cは、プラテンガラス18上に載置される原稿に無線ICチップが設けられている場合に、当該無線ICチップから送信される当該原稿のユーザIDに関する情報、セキュリティ情報等を受信すると、受信した情報をスキャナCPU41に与える。
【0042】
ADF−CPU51は、ADFユニット20を開閉駆動する開閉駆動モータ34を駆動するモータ駆動IC56を制御して、開閉駆動モータ34を正転駆動および逆転駆動するようになっている。また、ADF−CPU51には、ADFユニット20における原稿給紙トレイ22に設けられたADF側原稿センサ23の出力、ADFユニット20の回動角度を検出する回動角検出器37の出力が与えられている。さらに、ADF−CPU51には、操作パネル14に設けられた開閉スイッチ19における出力も、直接、入力されており、開閉スイッチ19の開指示操作によって出力される開信号および閉指示操作によって出力される閉信号のそれぞれがADF−CPU51に入力されている。
【0043】
<セキュリティ制御の実行を設定する際のセキュリティレベル係数>
システムCPU65は、スキャナユニット10にセットされた原稿の画像を読み取る場合に、原稿の情報を保護するためADFユニット20の開閉制御(以下、セキュリティ制御という)の実行を、管理者が設定できるようになっている。管理者は、システムCPU65が上記セキュリティ制御を実行できるように設定する場合には、ID情報、原稿の情報、画像データの送信先等の情報、仕上げモード等の情報(以下、セキュリティ制御の「要否判定情報」とする)に対して設定されるセキュリティレベル係数を所定の閾値と比較することにより、原稿を保護するためのADFユニット20の開閉動作の制御の実行を設定するかを判断する。原稿は、セキュリティレベル係数が高くなるほど保護が必要であり、セキュリティレベル係数が、所定の閾値よりも高くなっている場合には、ADFユニット20の開閉動作の制御が実行されるように設定される。
【0044】
要否判定情報に対するセキュリティレベル係数は、図6〜図9のテーブルに基づいて設定される。例えば、操作パネル14の操作によって入力されるログイン情報、操作者RFID受信器69によって受信されたID情報、操作パネル14に設けられたカードリーダによって読み込まれたID情報のいずれかに操作者の「役職」が含まれている場合には、その「役職」が要否判定情報として使用され、この場合には、図6(a)のテーブルに示すように、役職の地位の高くなるほど、高いセキュリティレベル係数が設定される。また、ログイン情報、ID情報等に、予め設定されたセキュリティレベルが含まれる場合には、そのセキュリティレベルが要否判定情報として使用され、この場合には、図6(b)のテーブルに示すように、設定されたセキュリティレベルの順(「最高」、「高」、「中」、「低」、「無設定」)に対応するセキュリティレベル係数がそれぞれ設定される。
【0045】
また、スキャンユニット10にて得られた画像データを送信する場合に、操作者が操作パネル14を操作することによって送信先FAX番号、送信先メールアドレス等の宛先が入力される場合には、その宛先が要否判定情報として使用される。この場合は、例えば、図7(a)に示すテーブルのように、宛先が、「社内(重要)」、「社内(一般)」、「社外(重要)」、「社外(一般)」、「取引先(重要)」、「取引先(一般)」、「ユーザ・顧客」の5つのグループに分類されて、その順番に対応して高い値から低い値になるように、セキュリティレベル係数が設定される。
【0046】
また、送信先FAX番号、送信先メールアドレス等によって入力される宛先に対して予めセキュリティレベルが設定されている場合には、図7(b)のテーブルに示すように、設定されたセキュリティレベルの順(「最高」、「高」、「中」、「低」、「無設定」)に対応して、セキュリティレベル係数が設定される。
さらに、スキャンユニット10にて得られた画像データをBOX、HDD等に保存する場合に、操作者の操作パネル14の操作によって保存先BOXのURL等の保存先が入力されると、その保存先が要否判定情報として使用される。この場合には、図7(c)に示すテーブルのように、保存先に対して設定されたセキュリティレベルに対応したセキュリティレベル係数が設定される。
【0047】
また、スキャンユニット10にて得られたコピー画像の仕上げモードが操作者の操作パネル14の操作によって入力される場合には、その仕上げモードの情報が要否判定情報として使用される。この場合には、図8に示すように、仕上げプレビューの有無に基づいてセキュリティレベル係数が設定される。具体的には、仕上げプレビュー無しが設定される場合には、高いセキュリティレベル係数が設定され、仕上げプレビュー有りが設定される場合には、低いセキュリティレベル係数が設定される。これは、「プレビュー無し」の場合には、「プレビュー」を行って他人に見られることを回避しているもの判断するものであり、これにより、高いセキュリティレベル係数が設定される。
【0048】
さらに、スキャナユニット10上にセットされる原稿の情報が、その原稿の無線ICチップに格納されており、原稿RFID受信器15cによって取得される場合には、その原稿の情報が要否判定情報として使用される。この場合にも、図9(a)に示すテーブルに基づいてセキュリティレベル係数が設定される。原稿の要否判定情報としては、原稿の取り扱い者の役職、あるいは、原稿自体のセキュリティレベル等の情報である。図9に示すテーブルでは、原稿の取り扱い者として、地位の高い順に、「役員」、「管理職」、「リーダー」、「有資格者」、「一般職」の5段階の役職が設定されおり、その順番で、高いセキュリティレベル係数から低いセキュリティレベル係数になるように設定される。
【0049】
セキュリティ制御を実行可能に設定する場合には、システムCPU65に入力される上記それぞれの要否判定情報から各情報に対応する上記テーブルを参照して、それぞれについてセキュリティレベル係数を求め、求めたセキュリティレベル係数を閾値と比較し、いずれかの要否判定情報が閾値よりも高くなっている場合には、セキュリティ制御を実行可能に設定する必要があるものと判断する。この場合、各要否判定情報のセキュリティレベル係数と比較される閾値は、予め設定された所定の1つの閾値であってもよく、また、それぞれの要否判定情報毎に個別に設定された閾値であってもよい。
【0050】
<セキュリティ制御実行の設定>
図10は、セキュリティ制御が実行されるように設定する場合のフローチャートである。この場合には、システムCPU65は、例えば、操作パネル14における表示部にセキュリティ制御の実行可能の設定に関する操作入力画面を表示し、管理者が操作入力画面の操作によって入力する情報に基づいて、セキュリティ制御の実行を可能に設定する。このために、まず、システムCPU65は、セキュリティ制御の実行を可能に設定する必要があるかを、管理者の操作画面の操作に基づいて判断する(図のステップS1)。この場合、管理者がセキュリティ制御の実行を設定するが必要でないと判断した場合(ステップS1において「NO」)には、セキュリティ制御が実行されない設定とする(ステップS2)。
【0051】
管理者が、セキュリティ制御を実行できるように設定する必要があると判断した場合(ステップS1において「YES」)には、セキュリティ制御を実行する際にADFユニット20を閉状態にロックする制御の設定が必要であるかを、管理者の操作入力画面の操作に基づいて判断する(ステップS3)。管理者が、ADFユニット20のロック制御の設定が必要であると判断した場合(ステップS3において「YES」)には、ADFユニット20をロックする制御を「有効」に設定し(ステップS4)、ステップS5に進む。
【0052】
管理者が、ADFユニット20のロック制御の設定が必要でないと判断した場合(ステップS4において「NO」)には、ADFユニット20をロックする制御を「有効」に設定することなく、ステップS5に進む。ステップS5においては、要否判定情報毎に設定されたセキュリティレベル係数が比較される閾値を、各要否判定情報のそれぞれにおいて個別に設定する必要があるかを、管理者の操作画面の操作に基づいて判断する(ステップS5)。
【0053】
この場合、管理者が、個々の要否判定情報毎の閾値の個別設定が必要でないと判断した場合(ステップS5において「NO」)には、全ての要否判定情報に対して予め設定された一つの所定閾値を設定する(ステップS6)。これにより、その後のセキュリティ制御の実行の要否を判断する場合には、各要否判定情報のセキュリティレベル係数と、設定された1つの共通の閾値とをそれぞれ比較し、いずれか一つのセキュリティレベル係数が閾値よりも高くなっている場合には、セキュリティ制御の実行が必要であると判定されることになる。このように、共通の閾値を設定することにより、複数の閾値を設定する場合よりも、記憶容量をセーブすることができる。
【0054】
これに対して、管理者が、個々の要否判定情報のセキュリティレベル係数に対して閾値の個別設定が必要であると判断した場合(ステップS5において「YES」)には、個々の要否判定情報毎に閾値がそれぞれ設定される(ステップS7)。この場合には、ユーザIDにおける役職レベル、登録セキュリティレベル、画像データの宛先および保存先、プレビュー設定、画像データに含まれる情報、原稿情報のそれぞれの情報毎に閾値が設定されることになる。このように、要否判定情報のそれぞれに対して閾値が設定されると、個々の要否判定情報のセキュリティレベル係数と閾値とを比較して、いずれかの項目のセキュリティレベル係数が閾値よりも高くなっている場合には、セキュリティ制御の実行が必要であると判定されることになる。
【0055】
<セキュリティ制御の実行の要否判定>
図11は、システムCPU65におけるセキュリティ制御の実行の要否の判定する処理を示すフローチャートである。システムCPU65は、例えば、人体センサ68がオン状態になり(図のステップS11において「YES」)、操作者が開閉スイッチ19を操作することによって開指示がなされた場合(ステップS12において「YES」)に、セキュリティ制御の実行の要否を判定する(ステップS13)。この場合、セキュリティ制御が実行可能に設定されていないと(ステップS13において「NO」)、開閉スイッチ19の操作によって開閉駆動モータ34を制御する一般制御が実行されることになり(ステップS17)、セキュリティ制御は実行されない。
【0056】
操作者は、スキャナユニット10のプラテンガラス18上に原稿をセットし、操作パネル14を操作することによって、コピージョブ、データ送信ジョブ、保存ジョブの設定、原稿枚数および連続読み取りの要否の設定、仕上げモードの設定、送信先の宛先等、各種情報を入力することになる。また、操作者RFID受信器69および原稿RFID受信器15cによってRFID信号が受信されている場合には、システムCPU65は、操作者ID情報および原稿ID情報を取得することになり、取得された情報により、セキュリティ係数が設定されることになる。
【0057】
ステップS13において、セキュリティ制御が実行可能状態に設定されていると(ステップS13において「YES」)、操作パネル14に入力された情報、操作者ID情報、原稿ID情報等から、前述した個々の要否判定情報を抽出して、それぞれの要否判定情報毎に、セキュリティレベル係数をそれぞれ設定し(ステップS14)、設定された個々のセキュリティレベル係数を、予め設定された閾値と比較する(ステップS15)。
【0058】
この場合の閾値は、前述したように、個々の要否判定情報毎にそれぞれ閾値が設定されているか、個々の要否判定情報に対して共通の一つの閾値が設定されている。そして、いずれか1つの要否判定情報のセキュリティレベル係数が閾値よりも高くなっている場合には(ステップS15において「YES」)、セキュリティ制御が必要と判定して、セキュリティ制御を実行する(ステップS16)。
【0059】
これに対して、全ての要否判定情報のセキュリティレベル係数が閾値よりも高くなっていない場合には(ステップS15において「NO」)、セキュリティ制御は実行されることなく、一般制御が実行される(ステップS17)。なお、この場合の一般制御は、操作者の開閉スイッチ19の操作による開閉駆動モータ34の制御と同様であるために、その詳細については省略する。
【0060】
<セキュリティ制御>
システムCPU65におけるセキュリティ制御について、図12のフローチャートに基づいて説明する。この場合、図11のステップS11およびS12に示すように、人体センサ68がオンするとともに、開閉スイッチ19から開指示が与えられており、このような状態で、システムCPU65は、開閉スイッチ19から開指示に基づいて、開閉駆動モータ34に正転駆動指示を与えて、開閉駆動モータ34を正転駆動させる(図12のステップS21)。
【0061】
これにより、ADFユニット20は開動作し、スキャナユニット10のプラテンガラス18が開放状態になる。このような状態になると、通常、操作者は、スキャナユニット10のプラテンガラス18上に原稿をセットする。システムCPU65は、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力に基づいて、プラテンガラス18上において原稿がセットされたかを判断する(ステップS22)。
【0062】
ステップS22において、プラテンガラス18上に原稿がセットされた状態になると(ステップS22において「YES」)、操作者が開閉スイッチ19を操作することにより開閉スイッチ19から閉指示が与えられるかを判断する(ステップS23)。この場合、閉指示が与えられない場合(ステップS23において「NO」)には、図13のフローチャートのステップS51に進み、原稿のセキュリティ保護のための制御が実行されることになる。この制御については、後述する。
【0063】
ステップS23において、操作者が開閉スイッチ19を操作することによって開閉スイッチ19から閉指示が与えられると(ステップS23において「YES」)、システムCPU65は、開閉駆動モータ34に逆転駆動指示を与えて、開閉駆動モータ34を逆転駆動させる(ステップS24)。これにより、ADFユニット20は閉動作し、スキャナユニット10のプラテンガラス18上に載置された原稿がADFユニット20にて覆われた状態になる。
【0064】
このような状態になると、システムCPU65は、操作パネル14からの情報に基づいて、プラテンガラス18上にセットされた原稿をコピーするコピージョブの実行が指示されているかを判断する(ステップS25)。そして、コピージョブの実行が指示されている場合(ステップS25において「YES」)には、スキャナCPU(図示せず)に、スキャナユニット10によるプラテンガラス18上の原稿の画像を読み取る動作を指示して(ステップS26)、スキャナユニット10において画像読み取り動作を実行させる。
【0065】
スキャナユニット10によるプラテンガラス18上の原稿の画像の読み取りが終了すると、システムCPU65は、操作パネル14からの情報に基づいて、複数枚の原稿の画像を連続して読み込む必要があるかを判断する(ステップS27)。複数枚の原稿の画像を連続して読み込む必要がない場合には(ステップS27において「NO」)、画像形成装置本体AのエンジンCPU(図示せず)に対して画像データを出力するとともに、プリント指示を与えて(ステップS28)、プリント動作を実行させる。その後、図13のステップS41に進む。
【0066】
複数枚の原稿の画像を連続して読み込む場合(ステップS27において「YES」)には、画像形成装置本体AのエンジンCPU(図示せず)に、画像データを出力することなく、また、プリント指示を与えることなく、全ての原稿の読取が終了していないことを確認して(ステップS29において「NO」)、図13のステップS41に進む。なお、ステップS29において、複数枚の原稿の全ての読み取りが終了している場合(ステップS29において「YES」)には、エンジンCPUに対して、全ての原稿の画像データを出力するとともにプリント指示を与えて(ステップS28)、プリント動作を実行させることになる。
【0067】
ステップS25において、コピージョブの指示が与えられていない場合(ステップS25において「NO」)には、操作パネル14からの情報に基づいて、送信ジョブまたは保存ジョブの実行指示が与えられているかを判断する(ステップS31)。送信ジョブまたは保存ジョブの実行指示が与えられていない場合(ステップS31において「NO」)には、それぞれのジョブを実行することなく、図13のステップS41に進む。
【0068】
送信ジョブまたは保存ジョブの実行指示が与えられている場合には(ステップS31において「YES」)、スキャナCPUに対して、スキャナユニット10によるプラテンガラス18上の原稿の画像を読み取る動作を指示して、スキャナユニット10において画像読み取り動作を実行させる(ステップS32)。スキャナユニット10において画像の読み取り動作が終了すると、読み取られた画像データを、入力された宛先へ出力することになる(ステップS34)。その後、図13のステップS41に進む。
【0069】
図13のフローチャートにおけるステップS41では、人体センサ68からの信号に基づいて、操作者がMFPの操作位置から立ち去ったかを判断し、人体センサ68によって操作者がMFPから立ち去ったことが検出されると(ステップS41において「YES」)、プラテンガラス18上に原稿が残った状態になっていることから、ステップ54に進む。
【0070】
これに対して、ステップS41において、人体センサ68によって操作者がMFPの操作位置から立ち去ったことが検出されない場合(ステップS41において「NO」)には、プラテンガラス18上に載置された原稿が両面に画像が形成された両面原稿であることが操作者による操作パネル14の操作によって予め設定されているかを判断する(ステップS45)。両面原稿に設定されている場合(ステップS45において「YES」)には、開閉駆動モータ34をロック状態とすることが設定されているかを判断し(ステップS46)、開閉駆動モータ34をロック状態とすることが設定されていない場合(ステップS46において「NO」)には、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力に基づいて、プラテンガラス18上に載置された原稿のサイズを検出して、検出された原稿のサイズに基づいて所定の角度だけ、ADFユニット20が上方に回動されるように、開閉駆動モータ34を正転駆動する(ステップS47)。
【0071】
この場合、例えば、図14に示すように、プラテンガラス18上に載置された原稿のサイズがA4サイズ以下の場合には、MFPの周囲の人から原稿が目視されないように、30°程度だけADFユニット20を開動作させ、A4サイズ以上の比較的大きな原稿の場合には、ADFユニット20の開角度を、15°程度の小さな角度として、MFPの周囲の人から目視されることを防止する。
【0072】
このように、原稿サイズが大きい場合には、回動角度が大きくなると、周囲の人に原稿が目視される確率が高くなるために、ADFユニット20の開角度を比較的小さくしている。反対に、原稿サイズが小さい場合には、ADFユニット20の回動角度が比較的大きくなっても、周囲の人に原稿が目視される確率が低くなることから、回動角度を比較的大きくしている。
【0073】
なお、両面原稿であることについては、ADFユニット20におけるスキャナユニット10におけるプラテンガラス18に対向する底面にCCDカメラを設けて、ADFユニット20が開放される瞬間に、プラテンガラス18上に載置された原稿の裏面の画像を撮像することによって判定してもよい。
これに対して、ステップS46において、開閉駆動モータ34をロック状態とすることが設定されている場合(ステップS46において「YES」)には、開閉駆動モータ34をロック状態として、閉状態になっているADFユニット20をロック状態とする(ステップS48)。開閉駆動モータ34は、例えば、開閉駆動モータ34がステッピングモータの場合には、通電を停止することによってモータ軸が回転しないロック状態とすることができる。また、直流モータの場合には、モータ軸をブレーキ手段によって回転禁止状態とすることによりロック状態とすることができる。このようなロック状態になると、ADFユニット20は、手作業によって上方に回動することができなくなる。
【0074】
このようなロック状態では、操作者が、例えば、操作パネル14の操作によってパスワードを入力する等の予め設定された所定動作を実行しなければ解除されないようになっており、所定動作によってロック状態が解除されることにより(ステップS71において「YES」)、ADFユニット20のロックが解除されることになる(ステップS72において「YES」)。ステップS72においてロックが解除された後に、操作者が開閉スイッチ19の操作によって開指示すると(ステップS49において「YES」)、ADFユニット20が最大の開状態になるように、開閉駆動モータ34が正転駆動される(ステップS50)。
【0075】
ステップS45において、原稿が両面原稿でない場合には(ステップS45)、ADFユニット20が最大の開状態になるように、開閉駆動モータ34を正転駆動する(ステップS50)。これにより、ADFユニット20が最大の開状態になり、MFPの周囲の操作位置に残っている操作者は、プラテンガラス18上に載置された原稿を目視することができ、原稿を容易に取り除くことができる状態になり、ステップS51に進む。
【0076】
ステップS51では、システムCPU65は、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力に基づいて、プラテンガラス18上に載置された原稿が取り除かれたかを判断する。プラテンガラス18上に載置された原稿が取り除かれたと判断される場合(ステップS51において「YES」)には、図12のフローチャートにおけるステップS22に戻り、プラテンガラス18上に原稿がセットされることによって(ステップS22において「YES」)、ステップS23〜S28の処理が実行され、コピージョブの場合(ステップS25において「YES」)には、ステップS29において、全ての原稿の画像読み取りが終了したものと判断されることにより(ステップS29において「YES」)、得られた全ての画像データのプリント処理が実行されることになる(ステップS28)。
【0077】
ステップS51において、プラテンガラス18上に載置された原稿が取り除かれていない場合(ステップS51において「NO」)には、人体センサ68からの信号に基づいて、操作者がMFPから立ち去ったかを判断し(ステップS52)、人体センサ68によって操作者がMFPから立ち去ったことが検出されず(ステップS52において「NO」)、所定時間にわたって、操作者の立ち去りが検出されない場合(ステップS57において「YES」)には、警報が発せられることになる(ステップS58)。
【0078】
ステップS52において、人体センサ68によって操作者がMFPから立ち去ったことが検出されると(ステップS52において「YES」)、開閉駆動モータ34に対して逆転駆動を指示し(ステップS53)、開閉駆動モータ34を逆転駆動させる。これにより、ADFユニット20は閉動作し、スキャナユニット10のプラテンガラス18上に載置された原稿がADFユニット20にて覆われた状態になる。
【0079】
このような状態になると、システムCPU65は、ADFユニット20をロックする設定になっているかを判断し(ステップS54)、ADFユニット20をロックする設定になっていない場合には(ステップS54において「NO」)、ADFユニット20をロックすることなく、ステップS61に進み、ADFユニット20をロックする設定になっている場合には(ステップS54において「YES」)、開閉駆動モータ34をロック状態とし(ステップS56)、ADFユニット20を閉状態でロックして、ステップS61に進む。
【0080】
ステップS61〜ステップS63では、原稿が取り忘れられたことを操作者に報知する制御が、図15に示すように実行される。この場合には、まず、警告メールを所定の宛先に送信することが設定されているかを判断し、警告メールを所定の宛先に送信することが設定されている場合には(ステップS61において「YES」)、設定された宛先に、MFPに原稿が置き忘れたことを警告するメールを送信する(ステップS62)。警告メールを送信することの設定は、管理者によって予め設定されている。警告メールを送信することが設定されていない場合には(ステップS61において「NO」)、音声情報、警告ブザー、警告ランプ等によって、MFPに原稿が置き忘れたことの警報を発する(ステップS63)。その後は、操作者がADFユニット20のロック状態を解除して原稿の取り出し操作をしなければ、ADFユニット20のロック状態が維持されることになる。
【0081】
本実施形態のMFPでは、スキャナユニットのプラテンガラス18上にセットされた原稿を操作者が取り除くことを忘れた場合に、ADFユニット20が自動的に開動作することによって、操作者に対して原稿が取り忘れられていることを知らせられるが、この場合に、操作者が原稿を取り忘れて立ち去った場合には、ADFユニット20が自動的に閉動作されることにより、原稿の内容を他人に知られることを未然に防止することができ、原稿のセキュリティ性を向上させることができる。
【0082】
なお、原稿に、「すかし」、「コピー厳禁」等の文字画像が含まれている場合には、原稿がプラテンガラス18上にセットされた状態で、原稿の画像をスキャナユニット10によって画像を読み取って、その画像を処理することにより、「すかし」、「コピー厳禁」等の文字画像を抽出するように構成して、図9(b)に示すように、原稿に「すかし」または「コピー厳禁」等の文字画像が設けられていることにより、それぞれ高いセキュリティレベル係数を設定するようにしてもよい。この場合には、セキュリティ制御の実行が設定されていない状態で、スキャナユニット10による原稿の読み取り時に、原稿に設けられた「すかし」、「コピー厳禁」等の文字画像が抽出されることにより、セキュリティ制御が実行されることになる。
【0083】
また、上記の実施形態において、全ての原稿の画像がスキャナユニット10によって読み取られることによって、画像データを画像形成装置本体Aに出力して、プリント指示する構成であったが、全ての原稿の画像がスキャナユニット10によって読み取られても、スキャナユニット10から原稿が取り出されるまでは、画像データを画像形成装置本体Aに出力することを禁止して、プリント指示を行わないようにしてもよい。
【0084】
さらには、図13におけるステップS51において原稿が取り除かれない場合には(ステップS51において「NO」)、操作者が立ち去ったことを検出することなく、すなわち、ステップS52をスキップして、ステップS57に進んで、所定時間が経過することによって、ステップS58に進んで警報を発するように構成してもよい。
さらに、上記の実施形態では、開閉駆動モータ34におけるモータ軸の回転をロックすることによってADFユニット20をロック状態とする構成であったが、ADFユニット20に機械的に係合するフック部材をスキャナユニット10に設けて、このフック部材を電気的に制御することによって、ADFユニット20をロックおよびロック解除する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、原稿を自動搬送する自動原稿搬送装置と、自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の画像を読み取るスキャナ装置とを有する画像読取装置において、スキャナユニット上に載置される原稿が取り忘れられた場合に、原稿の情報が他人によって知られることを防止することができる。
【符号の説明】
【0086】
A 画像形成装置本体
B 画像読取装置
10 スキャナユニット
12 第1スライダー
13 第2スライダー
14 操作パネル
15a 第1原稿センサ
15b 第2原稿センサ
17 CCD
18 プラテンガラス
19 開閉スイッチ
20 ADFユニット
21 ADFユニット本体
22 原稿給紙トレイ
28 原稿RFID受信器
30 ヒンジ機構
31 固定側ヒンジ体
32 回動側ヒンジ体
33 ヒンジ支点軸
34 開閉駆動モータ
37 回動角検出器
41 スキャナCPU
51 ADF−CPU
65 システムCPU
68 人体センサ
69 操作者RFID受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた画像読取装置であって、
前記自動原稿搬送ユニットを開閉駆動する開閉駆動手段と、
前記スキャナユニットの原稿読取位置に操作者が載置した原稿のセキュリティレベルに関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記セキュリティレベルに関する情報からセキュリティレベルを設定し、当該セキュリティレベルが所定の閾値よりも高い場合に、前記原稿の読み取り作業が終了すると前記自動原稿搬送ユニットを開動作させた後に閉動作させるか、または、所定角度まで開動作させるか開動作させることなく閉状態でロックする制御を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記取得手段は、操作パネル、操作者が身に付けた無線ICチップに格納されている情報を取得する操作者RFID(Radio Frequency Identification)受信器、前記原稿に設けられた無線ICチップから送信される情報を受信する原稿RFID受信器の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記操作パネルであり、
前記制御手段は、前記セキュリティレベルを、操作者によって前記操作パネルに入力されたログイン情報、画像データを送信する際の宛先情報、モード設定情報のいずれかに基づいて設定することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記自動原稿搬送ユニットの閉動作の実行は、前記自動原稿搬送ユニットを開動作させた後に所定時間が経過しても原稿が取り出されない場合になされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記スキャナユニット近傍に位置する人体を検出する人体検出手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記自動原稿搬送ユニットを開動作させた後に、前記人体検出手段によって人体が検出されなくなった場合に、前記自動原稿搬送ユニットの閉動作を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、閉動作された前記自動原稿搬送ユニットをロック状態に制御することを特徴とする請求項4または5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記所定角度まで開動作させるか開動作させることなく閉状態でロックする制御を、前記原稿が両面原稿の場合に実行することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記読み取り作業によって得られた画像データを、前記原稿が取り出されるまで、前記スキャナユニットからの出力を禁止することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像読取装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−219981(P2010−219981A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65536(P2009−65536)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】