移動物測定システム
【課題】
領域内に移動物が立ち止る位置及びその位置における停止時間を自動的に測定する。
【解決手段】
領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、位置検出手段によって検出された位置情報と時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出し、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、統計処理手段によって処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有する。
領域内に移動物が立ち止る位置及びその位置における停止時間を自動的に測定する。
【解決手段】
領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、位置検出手段によって検出された位置情報と時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出し、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、統計処理手段によって処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動物測定システムに係り、例えば所定の領域内において人が立ち止る位置及びその位置での停止時間を算出する移動物の停止時間測定システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広告を設置する場合、その設置場所における人の滞留する位置及びその滞留時間等の条件を検討することが重要である。また、商品や広告展示物の人気を調べるために、展示場の展示物に対する人の位置及びその滞留時間を測定し、測定したデータを適宜、情報処理することにより、何れの商品や展示物に人気があるかについて分析することができる。
【0003】
従来、人の滞留時間の測定については、例えば特許文献1(特開平7−210717公報)に開示されたような技術が知られている。この技術は、例えばパチンコホールへの入場者を検出する入店センサと、退場者を検出する退店センサの検出信号を用いて、人の入場経過時間と退場経過時間の差分を求めて、店内への入場者の平均滞留時間を測定している。
【0004】
【特許文献1】特開平7−210717公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術は、人が店内に滞留した時間の測定であって、人が滞留した位置及びその位置における滞留時間の両方を測定していない。また、全ての出入口にセンサを設置して人の出入りを検出し、その後の計算によって平均滞留時間を算出しているので、正確な測定が行えるとは言い難い。更に、ホールや屋外の一区画のような、出入口の制約が無い場所、即ちあらゆる方向から人が入退場するような場所では、上記の従来技術では用を成さず、人数の算出も平均的な滞留時間の算出も困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、移動物が一時的に止まる位置及びその位置に停止した時間を自動的に測定することができる移動物測定システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る移動物測定システムは、好ましくは、所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定システムであって、領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、位置検出手段によって検出された位置情報と時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出し、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、統計処理手段によって処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有する移動物測定システムとして構成される。
好ましい例では、前記位置検出手段として、測定対象の領域にレーザ照射し、領域内に居る移動物に関する前記位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを検出する少なくとも1つのレーザ測距装置と、レーザ測距装置で検出された測距データから、領域に定義された座標のいずれ点座標に関連するかを算出する座標変換手段と、を含む。
【0008】
また、好ましくは、位置情報と時間情報を記憶手段に記憶するタイミングを発生させるタイミング発生手段を更に有し、タイミング発生手段によって設定されたタイミングに従って、検出された位置情報と時間情報を順次記憶手段に記憶する。
また、好ましくは、前記統計処理手段は、領域に定義された座標ごとに移動物の停止時間の合計を算出し、前記表示処理手段は、統計処理手段によって算出された合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成する手段を含む。
【0009】
また、好ましくは、前記表示処理手段の図形作成手段は、縦横軸を移動物の停止する位置情報とし、高さ軸を停止する時間情報としてプロットした3次元グラフを作成する。
また、好ましくは、更に、移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を指定する入力手段を有し、入力手段によって指定された時間的区間に当する位置情報と時間情報を記憶手段から読み出して統計処理する。
【0010】
本発明に係る移動物測定方法は、好ましくは、所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定方法であって、レーザ測距装置を用いて測定対象の領域にレーザ照射し、領域内に居る移動物に関する位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを取得するステップと、レーザ測距装置で取得された測距データに関連する、領域に定義された座標を算出するステップと、領域内で移動物が停止した位置での停止時間を算出するステップと、算出された座標と停止時間の情報を関連つけて記憶手段に記憶するステップと、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出して、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理するステップと、統計処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示するステップと、を有する移動物測定方法として構成される。
好ましい例では、移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を入力手段から指定し、指定された時間的区間に当する位置情報と時間情報を記憶手段から読み出して統計処理する。
また、好ましくは、前記測距データの取得ステップは、前記レーザ測距装置により、領域内に移動物が居ない状態で測距データを取得する第1のステップと、領域内に移動物が居る状態で一定時間間隔ごとに測距データを取得する第2のステップと、第2のステップで取得された測距データと第1のステップで得られた測距データとの差分を計算するステップと、を含み、差分の処理によって算出された座標とその座標における停止時間を関連付けて記憶手段に記憶する。
また、好ましくは、前記表示ステップとして、前記統計処理によって算出された合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成して表示する。
【0011】
本発明に係る移動物を測定するためのプログラムは、好ましくは、所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物を測定するためプログラムであって、領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、位置検出手段によって検出された位置情報と時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出し、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、統計処理手段によって処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有するコンピュータ上で実行可能な移動物測定用のプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、観測領域内において移動物が一時的に止る位置の座標を検出し、その位置に停止した時間を算出することができる。また、好ましい例では、レーザ測距装置を用いることにより、出入口が制約されない場所でも移動物が止る位置及びその滞留時間を自動的に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、美術館の絵画人気度調査システムに適用した場合の人の滞留時間測定システムの例を示す。
この滞留時間測定システムは、レーザ測距装置15とパーソナルコンピュータ(PC)11が接続して構成される。美術館の展示室は、横幅L1、縦幅L2(この例では、L1:10m、L2:8m)であり、この領域が対象の観測領域101となる。領域内には2つの壁102があり、それぞれの壁102には絵画103が展示されている。展示室の隅に所定の高さでレーザ測距装置15が設置される。
【0014】
図2に示すように、レーザ測距装置15は観測領域101内を照射する。壁102の背後は照射されないので観測できない。レーザ測距装置15は、絵画103の前側に立ち止って絵画を鑑賞する人及びその人との距離を測定して、その測定データである距離データ16をPC11へ転送する。
PC11は、人の位置及び滞留時間を計算し、及び関係するデータを処理して記憶するための処理装置としてのCPU111と、関係する種々のデータを記憶する管理データベース(DB)112と、表示装置113及び入力装置114を有する。
【0015】
レーザ測距装置は、前方180°の範囲を0.5°刻みで角度を変えながら物体又は人までの距離を連続的に測定し、測距データ16を出力する。測距データの値は、下記の式(1)のように、180°の範囲を0.5°で刻んだ角度と、その角度の前方までの距離をミリ単位で並べたデータの組として構成される。
[0,0],[0.5,2],[1.0,10],…,[θ,1],…,[180,20112]
(1)
図7及び図8に、観測領域内におけるレーザ測距の例を示す。
図7は観測領域が無人の状態を示し、図8は人が立ち入っている状態を示す。
基準位置から左周りに0.5°ずつ角度θを変えていき、レーザの照射線上に物体や人が検知された場合の、その距離l(エル)を検出する。
図7のように、まず、無人の状態で壁102が検出され、この壁データが観測領域の背景データとしてDB112に記憶される。
図8の例では、観測領域101内に3人の人P1、P2、P3が居て、θ1〜θ6までの間で、人P1、P2及び壁102が検出されている。なお、人P1,P2の影となる壁は検出されない。図示の例では、角度θ3の前方までの距離l´3データと、角度θ6の前方までの距離l´6データでは、観測領域101内に壁も人も検出されなかった。
このように、図8のような人Pの居る状態を検出して、先に取得していた背景データとの差分をCPU111で計算することで、人Pの位置を検出する。
【0016】
図9は、背景データと観測領域内に人が居る際の測距データの差分を計算して検出した結果、人P1〜P3を点座標に変換したデータとして表したものである。3人の人P1〜P3の座標は、観測領域左上を基準点[0,0]、右下を[9999,7999]とした、[x,y]の直行座標系で表される。例えば、人P1は5つの点座標、P2は4つの点座標、P3は5つの点座標で表される。
【0017】
図10は、観測領域内の人の測距データの滞留座標変換例を示す。
観測領域を、1枡を横幅1m、縦幅1mとして、10×8のマトリクスに区切る。この区切った枡目より(0,0)〜(9,7)の座標とする(以下、この座標を滞留座標という)。人P1は(6,6)、P2は(6,4)、P3は(0,1)の座標で表される。
【0018】
本実施例では、観測領域内に立ち入った人がどの位置にどのくらいの時間立ち止まったかを測定し、それから算出したデータを記録し或いは表示することで、絵画ごとに入場者の滞留状況を測定算出する。観測領域内に人の居る位置は、図10に示した滞留座標によって取扱う。同じ滞留座標に3秒以上人が居る場合に人が立ち止まったとする。また、測定データのDB112への記録は5秒ごとに行うものとする。
【0019】
次に、図4〜図6を参照して人の位置及び滞留時間を算出するための処理動作について説明する。
図4は、人の滞留時間測定の全体処理動作を示す。人の滞留時間測定の処理は、背景データ作成処理401、滞留データ作成処理402、滞留時間表示処理403の3つの処理によって実現する。
背景データ作成処理401は、図7に示すように、無人状態の観測領域101からレーザ測距装置15によって(θ、l)の測距データを取得し、DB112に記憶することで行われる。なお、この処理動作の詳細については、図5を参照して後述する。
【0020】
背景データが作成された後、滞留データ作成処理402へ遷移する。滞留データ作成処理402は、図8のような人の居る時の測距データを観測し、先に取得していた背景データとの差分を算出して、それを、図9に示すような座標データに変換して処理する動作である。この処理動作の詳細については、図6を参照して後述する。
【0021】
滞留時間表示処理403は、観測領域内の人の滞留状況を表示装置113に表示する処理である。この処理は、滞留データ作成処理402で処理された人の滞留状況を表すデータ、例えば図22〜25に示すグラフを作成して表示装置113に表示する。この処理は、監視データとして表示装置113に常時表示するようにしてもよいし、或いは管理者などの操作者がPC11の入力装置114を操作することで、その都度表示するようにしてもよい。この処理動作の詳細については、図17を参照して後述する。
【0022】
次に、図5を参照して、背景データ作成処理401の詳細について説明する。
背景データ作成処理401は、ある観測領域101に対して一番最初に一度だけ実行される処理である。例えば、美術館の開催初日の開館前、又は展示会の開催期間中の毎日の開館前に一度行われる。以下の処理を行うプログラムが、CPU111で実行されることで行われる。
管理者が、PC11の入力装置114を操作すると、レーザ測距装置15による計測を開始する(501)。レーザ測距装置15はレーザを照射し、順次、測距データ(θ、l)を検出してPC11へ転送する。PC11はこの測距データを受信する(502)。この測距データの一例を、下記式(2)に示す。
[0,10010],[0.5,10002],[1.0,10000],…,
[45.0,8100],…,[θ1,l1],…,[θ2,l2],…,[θ3,l3],…,
[θ4,l4],…,[θ5,l5],…,[92.5,8525],…,[θ6,l6],…,[180.0,20112]
(2)
これを図式化すると、図7のようになる。
【0023】
次に、PC11の処理において、受信した測距データのうち観測領域外の点を破棄する(503)。図7において、[θ3,l3]と[θ6,l6]は観測領域外の点となるので破棄される。よって、式(2)は下記式(3)のような測距データとなる。
[45.0,8100],…,[θ1,l1],…,[θ2,l2],…,[θ4,l4],…,[θ5,l5],…,[92.5,8525]
(3)
次に、観測領域外の点が破棄された測距データをDB112に記憶し、これを背景データとして保存する(504)。背景データの保存が終了すると、滞留データ作成処理402へ遷移する。
【0024】
次に、図6を参照して、滞留データ作成処理402の詳細について説明する。
滞留データ作成処理402は、PC11がレーザ測距装置15より測距データを受信する毎に、CPU111において、順次取得した測距データと先に保存していた背景データとの比較を行うことで、その差分を算出し、観測領域101内に居る人の位置を検出し、人の滞留した時間を計算して、その結果をDB112に記憶する処理である。この処理は、以下の処理を行うプログラムが、CPU111で実行されることで行われる。
【0025】
まず、滞留時刻データ及び、滞留データを初期化する(601)。初期化した滞留時刻データを、図11に示す。初期化した滞留時刻データは、滞留時刻が全て「−1」、書き込みフラグが全て「0」である。初期化した滞留データを図14に示す。初期化した滞留データは、経過時間(秒)、滞留座標が−1にリセットされた状態である。
【0026】
次に、変数COUNTを「0」にする(602)。この変数は、プログラム実行後の経過時間を示す。そして、変数Tに現在時刻を代入する(603)。例えば、現在時刻が13時22分33秒ならば、T=13:22:33となる。
レーザ測距装置15から測距データがPCへ送信されており、受信可能かを判断する(604)。測距データが受信されていない場合には、ステップ624へ遷移する。一方、測距データが受信可能な場合、測距データを受信する(605)。以後、ステップ605〜ステップ610の処理が人の位置検出処理となる。
ここで、図8に示すような、観測領域内に人が居る場合において測定される測距データの一例を下記式(4)に示す。
[0,10010],[0.5,10002],[1.0,10000],…,[45.0,8100],…,[θ1,l1´],…,[θ2,l2´],…,[θ3,l3´],…,[θ4,l4´],…,[θ5,l5´],…,[92.5,8525],…,[θ6,l6´],…,[180.0,20112]
(4)
次に、受信した測距データ中の観測領域外の点の測距データを破棄する(606)。図8において、[θ3,l3´]と[θ6,l6´]は観測領域外の点となるため破棄される。よって、式(4)は下記式(5)のような測距データとなる。
[45.0,8100],…,[θ1,l1´],…,[θ2,l2´],…,[θ4,l4´],…,[θ5,l5´],…,[92.5,8525]
(5)
次に、測距データ(観測領域外の点が破棄済みの測距データ)と、背景データの差分を計算する(607)。具体的には、観測領域外の点を破棄した測距データと、先にBD112に保存していた背景データとを比較し、角度と距離の値が等しいものを破棄する。上記式(5)で表される測距データと、式(3)による背景データ)の場合、l2=l2´、l4=l4´であるから、これらの点及び、その他角度と距離の値が等しい点は破棄されるため、下記(6)のように、人の居る位置の点だけが残る。
[θ1,l1´],…,[θ5,l5´],…
(6)
観測領域内に人が居ない場合には差分が無いため、このステップで点が全て破棄され何も残らない。この差分が発生した場合、その差分が発生した位置に人が居るということになる。
【0027】
次に、差分があるかどうかを判定する(608)。差分が無い場合は、ステップ624へ遷移する。一方、差分がある場合は、差分を三角関数にて観測領域の左上を(0,0)、右下を(9999,7999)とした直交座標に変換する(709)。この直交座標を点座標とする。式(6)を点座標に変換した例を図9に示す。次に、差分の計算から求めた点座標を滞留座標に変換する(610)。図9の点座標を滞留座標に変換した例を図10に示す。以上のステップ605〜610の処理は、言わば人の位置検出機能である。
【0028】
次に、人の滞留時間の処理について説明する。
ステップ621〜ステップ623が滞留時刻データの処理に相当する。滞留時刻データは、人が検出された滞留座標に対し、滞留の開始時刻を一時的にDB112に記憶し、人が滞留して3秒以上が経過した時点で、書き込みフラグを「1」に設定する。人が3秒未満で移動してしまったときには、書き込みフラグは変化しない。5秒毎の書き込みタイミングで、書き込みフラグが「1」となっている滞留座標を滞留データに追記することで、3秒以上の滞留が発生した滞留座標のみを滞留データに書き込む。滞留座標に人が居ない場合は、滞留開始時刻を「−1」とする(621)。
【0029】
例えば、現在時刻が13時23分44秒であり、観測領域に図10のように人が居て、また(6,6)に居る人3は13時23分41秒からこの位置に居る場合を示す。ステップ621の実行前の滞留時刻データを図12に示す。ここで、(0,1)の滞留開始時刻は未登録を示す「−1」である為、13:23:44が、(6,4)の滞留開始時刻にも同じく13:23:44が書き込まれる。(6,6)には、既に人が居るため書き込まれている時刻は変化しない。
【0030】
次に、(0,1)、(6,4)、(6,6)以外の滞留開始座標を「−1」にリセットする(722)。この時、人の有無に関わらず書き込みフラグはリセットせず、そのままにする。そして、全ての滞留開始時刻と現在時刻を比較し、3秒以上経過している場合は該当する書き込みフラグを「1」にする(623)。例えば、図12において、(6,6)は3秒以上経過しているため、書き込みフラグが「1」となる。以上の処理により、変化した滞留時刻データを図13に示す。このステップ621〜623の処理は、言わば滞留時刻データの処理記憶機能である。
【0031】
次に、変数Tに格納してある時刻と現在時刻を比較して、5秒以上が経過しているかを判断する(624)。5秒以上経過していない場合は、ステップ604へ遷移する。一方、5秒以上が経過している場合は、DB112の滞留データへの書き込みを行う(625)。すなわち、滞留時刻データにおいて、書き込みフラグが「1」となっている滞留座標を、滞留データへ全て書き込む。書き込みフラグが全て「0」の時、滞留座標には空を意味する「NULL」が書き込まれる。データは書き込まれない。このステップ624〜625の処理は、言わばタイミング発生機能である。
【0032】
図13に示した滞留時刻データを、滞留データに書き込む例を示す。図15は、書き込み前の滞留データである。変数COUNTが20とする。この時、滞留データの最後尾を意味する滞留座標(−1,−1)の位置に、書き込みフラグが「1」である(6,6)を上書きする。経過時間は変数COUNTの値以上、COUNT+5未満を書き込む。この例では、20秒以上25秒未満となる。
滞留座標を書き込んだ後、滞留時刻データの書き込みフラグを全て「0」にリセットする(626)。そして、変数COUNTに「5」を足す(627)。
【0033】
以上の処理で人の滞留時間の蓄積処理は終わるが、図示の例では、操作者が入力装置114から測距データの測定停止の指示入力をしない限り、ステップ603へ戻って前述した処理を実行するようになっている。もし、CPU111が測定停止を検出した場合、滞留時間表示処理403へ遷移する。
上記の滞留時間の処理によってDB112に蓄積した滞留データの一例を、図19に示す。
【0034】
次に、図17を参照して、滞留時間表示処理403の詳細について説明する。
この処理は、以下の処理を行うプログラムが、CPU111で実行されることで行われる。この処理で、ステップ1701〜1705は座標ごとに滞留データを算出する処理(滞留時間情報の統計処理機能)であり、ステップ1706〜1711は表示処理(表示機能)に相当する。
まず、PC11の表示装置113に、滞留時間表示の初期画面を表示する(1701)。その一例を図18に示すように、この画面は、「表示区間(経過時間)」の入力欄1801があり、観測領域の表示1802として、座標毎に人の滞留時間が3次元座標処理して表示される。
操作者は入力装置114から「表示区間(経過時間)」入力欄1801に所望の表示区間を入力する。CPU111は数値入力があるまで待機し(1702)、表示区間のデータの入力があると、それを受け付ける。
【0035】
表示区間のデータを受け付けると、入力値が正しいかを判定する(1703)。この判定は、滞留データの経過時間に入力値が存在するかどうかで判定する。その判定の結果が正しい場合、指定された表示区間に該当する滞留データをDB112から読み出す(1704)。例えば、表示区間として0〜55秒の区間が指定された場合、DB112に蓄積された滞留データから、図20に示すような滞留データが選択される。
【0036】
そして、滞留座標ごとの滞留時間の合計を計算する(1705)。ここで、滞留時間の合計とは、図21に示すような、選択した滞留データに含まれる各滞留座標の個数の合計値である。次に、図21に示す滞留時間の合計から3次元のグラフを作成して、表示装置113に、図22のような、座標ごとの人の滞留時間を示す画面を表示する(1706)。なお、対象のデータから3次元グラフを作成する処理は、既存のプログラムを用いることで実現できる。この例では、滞留座標に対する人の滞留時間はプロットされた点の高さと、表示色より表示される。
【0037】
他の表示例として、図23は、図22の表示状態から、「表示区間(経過時間)」を「15〜45秒」に変更した場合の人の滞留時間を算出した結果を表示した例である。このようにして、指定された時間帯の滞留データを選択して図形化処理して表示し、人の滞留状況を検証することができる。
【0038】
ここで、滞留時間の表示処理(ステップ1706〜1711)に関しては、種々変形して表示することができる。上記した滞留時間の表示は、図22、23に示されたような、3次元処理されたグラフであるが、利用者がPC11の入力装置114を操作することで、3次元グラフを適宜、回転させたり(1707,1708)、拡大や縮小させることで(17090,1710)、表示の視点を変更することが可能である。
【0039】
例えば、図24は、観測領域1802を真上の視点から眺めた場合の表示例である。この視点において、プロットされた点の高さは見えないが、滞留時間は点の表示色によって判別することが可能である。
また、図25は、1時間分(3600秒)のデータを測定し、表示した例を示す。この表示例から、手前側(図1の下側)に展示された絵画1の方が、中央部に展示された絵画2よりも、人の立ち止まる時間が長いことが分かる。つまり、絵画1の方が絵画2よりも人気が高いと考えられる。このデータは、絵画の配置場所や展示の順序を考える場合に客観的な指標となる。例えば、絵画1の前で立ち止まる人達に起因して通路に混雑が見られた場合、翌日から絵画1の代えて絵画2を展示することなどの対策を行うことができる。更に、その絵画の配置を変えた後も継続して、絵画の人気追跡して把握することが可能である。
【0040】
レーザ測距装置15の設置に関する他の実施例について、図3に示す。
観測領域101内で人の検出ができない死角領域Dが生じる場合、或いは壁103の死角面側にも絵画が展示される場合には、さらに1台のレーザ測距装置152を、レーザ測距装置15と対向する位置に設置することができる。複数のレーザ測距装置15,152によって測定される2つ測距データを、PC11でそれぞれ処理して、上記した実施例と同様の用途に供することができる。これにより人を検出できない死角領域についてのデータを補完することができる。
【0041】
本発明は、上記した実施例に限定されることなく、種々変形して実施することができる。例えば、レーザ測距装置によって測距データを取得する上記の例、図8〜10を参照した観測領域における座標の取り方、及び測定時のθの幅の取り方、点座標や変換座標の算出の仕方は、一例であってこれに限定されない。
【0042】
また、上記した例は、所定の場所における人が立ち止る位置及びその滞留時間を測定する例であるが、本発明は、測定対象の移動物として人に限定されない。例えば、屋外の広い動物園に複数台のレーザ測距装置を設置することで、ライオンなどの動物が、1日の内或いはある特定の時期や日々の天候に応じて、何処にどれ位の時間居たかを測定するために適用することができる。
【0043】
上記した実施例によれば、レーザ測距装置を用いて、所定の観測領域における人の滞留する位置の座標を自動的に検出し、その位置に滞留した時間を自動的に測定することができ、人が領域内の何処にどの位の時間、滞留したかを示す位置データと時間データを取得し、適宜データ処理して記録し、また位置情報と時間情報を3次元図形に作成して表示装置に表示することができる。例えば、絵画や彫刻を展示する美術館においては測定位置に展示された作品の人気度が分かるので、観覧者の流れがスムーズになるように作品の配置場所や順序についての検討することができる。
また、人の滞留する位置を座標として検出して特定することができるので、従来のように出入口ごとにセンサを設置して出入り人数を検出する必要が無い。とりわけ、出入口が規定されていない大ホールや屋外の一区画における人の位置及び滞留時間の測定に対しても適用することができる。
【0044】
例えばスーパーマーケットに新商品を陳列した場合、その新商品の前に人がどれくらいの時間立ち止まるかを測定することができる。これによって人数及び立ち止り時間を把握することができるので、新商品に対する顧客の興味が客観的に分かり、商品配置、広告、パッケージデザイン等の効果を示すデータとして得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施例による人の滞留時間測定システムの全体構成を示す図、
【図2】観測領域内におけるレーザ照射による検出の様子を示す図、
【図3】他の実施例による人の滞留時間測定システムの全体構成を示す図、
【図4】一実施例における人の滞留時間測定の全体処理動作を示すフローチャート、
【図5】一実施例における背景データ作成処理401の例を示すフローチャート、
【図6】一実施例における滞留データ作成処理402の詳細な動作の例を示すフローチャート、
【図7】一実施例における観測領域が無人状態におけるレーザ測距の例を示す図、
【図8】一実施例における観測領域内のレーザ測距の例を示す図、
【図9】一実施例における観測領域内の人の測距データの点座標変換例を示す図、
【図10】一実施例における観測領域内の人の測距データの滞留座標変換例を示す図、
【図11】一実施例における初期化された滞留時刻データを示す図、
【図12】一実施例における書き込み前の滞留時刻データ例を示す図、
【図13】一実施例における書き込み後の滞留時刻データ例を示す図、
【図14】一実施例における初期化された滞留データを示す図、
【図15】一実施例における書き込み前の滞留データ例を示す図、
【図16】一実施例における書き込み後の滞留データ例を示す図、
【図17】一実施例における滞留時間表示処理403の動作を示すフローチャートを示す図、
【図18】一実施例における滞留時間表示の初期画面例を示す図、
【図19】一実施例における滞留データ例を示す図、
【図20】一実施例における表示区間を指定し抜き出した滞留データ例を示す図、
【図21】一実施例における抜き出した滞留データに含まれる各滞留座標の個数の合計値を示す図、
【図22】一実施例における3次元的に表現されたグラフの表示例を示す図、
【図23】一実施例における3次元的に表現されたグラフの表示例を示す図、
【図24】一実施例における観測領域を真上から眺めた平面の表示例を示す図、
【図25】一実施例における3次元的に表現されたグラフの表示例を示す図、
【符号の説明】
【0046】
101:観測領域、102:壁、103:絵画、15:レーザ測距装置、16:測距データ、11:PC、111:CPU、112:DB、113:表示装置、114:入力装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動物測定システムに係り、例えば所定の領域内において人が立ち止る位置及びその位置での停止時間を算出する移動物の停止時間測定システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広告を設置する場合、その設置場所における人の滞留する位置及びその滞留時間等の条件を検討することが重要である。また、商品や広告展示物の人気を調べるために、展示場の展示物に対する人の位置及びその滞留時間を測定し、測定したデータを適宜、情報処理することにより、何れの商品や展示物に人気があるかについて分析することができる。
【0003】
従来、人の滞留時間の測定については、例えば特許文献1(特開平7−210717公報)に開示されたような技術が知られている。この技術は、例えばパチンコホールへの入場者を検出する入店センサと、退場者を検出する退店センサの検出信号を用いて、人の入場経過時間と退場経過時間の差分を求めて、店内への入場者の平均滞留時間を測定している。
【0004】
【特許文献1】特開平7−210717公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術は、人が店内に滞留した時間の測定であって、人が滞留した位置及びその位置における滞留時間の両方を測定していない。また、全ての出入口にセンサを設置して人の出入りを検出し、その後の計算によって平均滞留時間を算出しているので、正確な測定が行えるとは言い難い。更に、ホールや屋外の一区画のような、出入口の制約が無い場所、即ちあらゆる方向から人が入退場するような場所では、上記の従来技術では用を成さず、人数の算出も平均的な滞留時間の算出も困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、移動物が一時的に止まる位置及びその位置に停止した時間を自動的に測定することができる移動物測定システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る移動物測定システムは、好ましくは、所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定システムであって、領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、位置検出手段によって検出された位置情報と時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出し、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、統計処理手段によって処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有する移動物測定システムとして構成される。
好ましい例では、前記位置検出手段として、測定対象の領域にレーザ照射し、領域内に居る移動物に関する前記位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを検出する少なくとも1つのレーザ測距装置と、レーザ測距装置で検出された測距データから、領域に定義された座標のいずれ点座標に関連するかを算出する座標変換手段と、を含む。
【0008】
また、好ましくは、位置情報と時間情報を記憶手段に記憶するタイミングを発生させるタイミング発生手段を更に有し、タイミング発生手段によって設定されたタイミングに従って、検出された位置情報と時間情報を順次記憶手段に記憶する。
また、好ましくは、前記統計処理手段は、領域に定義された座標ごとに移動物の停止時間の合計を算出し、前記表示処理手段は、統計処理手段によって算出された合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成する手段を含む。
【0009】
また、好ましくは、前記表示処理手段の図形作成手段は、縦横軸を移動物の停止する位置情報とし、高さ軸を停止する時間情報としてプロットした3次元グラフを作成する。
また、好ましくは、更に、移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を指定する入力手段を有し、入力手段によって指定された時間的区間に当する位置情報と時間情報を記憶手段から読み出して統計処理する。
【0010】
本発明に係る移動物測定方法は、好ましくは、所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定方法であって、レーザ測距装置を用いて測定対象の領域にレーザ照射し、領域内に居る移動物に関する位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを取得するステップと、レーザ測距装置で取得された測距データに関連する、領域に定義された座標を算出するステップと、領域内で移動物が停止した位置での停止時間を算出するステップと、算出された座標と停止時間の情報を関連つけて記憶手段に記憶するステップと、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出して、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理するステップと、統計処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示するステップと、を有する移動物測定方法として構成される。
好ましい例では、移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を入力手段から指定し、指定された時間的区間に当する位置情報と時間情報を記憶手段から読み出して統計処理する。
また、好ましくは、前記測距データの取得ステップは、前記レーザ測距装置により、領域内に移動物が居ない状態で測距データを取得する第1のステップと、領域内に移動物が居る状態で一定時間間隔ごとに測距データを取得する第2のステップと、第2のステップで取得された測距データと第1のステップで得られた測距データとの差分を計算するステップと、を含み、差分の処理によって算出された座標とその座標における停止時間を関連付けて記憶手段に記憶する。
また、好ましくは、前記表示ステップとして、前記統計処理によって算出された合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成して表示する。
【0011】
本発明に係る移動物を測定するためのプログラムは、好ましくは、所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物を測定するためプログラムであって、領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、位置検出手段によって検出された位置情報と時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、記憶手段から位置情報と時間情報を読み出し、領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、統計処理手段によって処理された情報を領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有するコンピュータ上で実行可能な移動物測定用のプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、観測領域内において移動物が一時的に止る位置の座標を検出し、その位置に停止した時間を算出することができる。また、好ましい例では、レーザ測距装置を用いることにより、出入口が制約されない場所でも移動物が止る位置及びその滞留時間を自動的に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、美術館の絵画人気度調査システムに適用した場合の人の滞留時間測定システムの例を示す。
この滞留時間測定システムは、レーザ測距装置15とパーソナルコンピュータ(PC)11が接続して構成される。美術館の展示室は、横幅L1、縦幅L2(この例では、L1:10m、L2:8m)であり、この領域が対象の観測領域101となる。領域内には2つの壁102があり、それぞれの壁102には絵画103が展示されている。展示室の隅に所定の高さでレーザ測距装置15が設置される。
【0014】
図2に示すように、レーザ測距装置15は観測領域101内を照射する。壁102の背後は照射されないので観測できない。レーザ測距装置15は、絵画103の前側に立ち止って絵画を鑑賞する人及びその人との距離を測定して、その測定データである距離データ16をPC11へ転送する。
PC11は、人の位置及び滞留時間を計算し、及び関係するデータを処理して記憶するための処理装置としてのCPU111と、関係する種々のデータを記憶する管理データベース(DB)112と、表示装置113及び入力装置114を有する。
【0015】
レーザ測距装置は、前方180°の範囲を0.5°刻みで角度を変えながら物体又は人までの距離を連続的に測定し、測距データ16を出力する。測距データの値は、下記の式(1)のように、180°の範囲を0.5°で刻んだ角度と、その角度の前方までの距離をミリ単位で並べたデータの組として構成される。
[0,0],[0.5,2],[1.0,10],…,[θ,1],…,[180,20112]
(1)
図7及び図8に、観測領域内におけるレーザ測距の例を示す。
図7は観測領域が無人の状態を示し、図8は人が立ち入っている状態を示す。
基準位置から左周りに0.5°ずつ角度θを変えていき、レーザの照射線上に物体や人が検知された場合の、その距離l(エル)を検出する。
図7のように、まず、無人の状態で壁102が検出され、この壁データが観測領域の背景データとしてDB112に記憶される。
図8の例では、観測領域101内に3人の人P1、P2、P3が居て、θ1〜θ6までの間で、人P1、P2及び壁102が検出されている。なお、人P1,P2の影となる壁は検出されない。図示の例では、角度θ3の前方までの距離l´3データと、角度θ6の前方までの距離l´6データでは、観測領域101内に壁も人も検出されなかった。
このように、図8のような人Pの居る状態を検出して、先に取得していた背景データとの差分をCPU111で計算することで、人Pの位置を検出する。
【0016】
図9は、背景データと観測領域内に人が居る際の測距データの差分を計算して検出した結果、人P1〜P3を点座標に変換したデータとして表したものである。3人の人P1〜P3の座標は、観測領域左上を基準点[0,0]、右下を[9999,7999]とした、[x,y]の直行座標系で表される。例えば、人P1は5つの点座標、P2は4つの点座標、P3は5つの点座標で表される。
【0017】
図10は、観測領域内の人の測距データの滞留座標変換例を示す。
観測領域を、1枡を横幅1m、縦幅1mとして、10×8のマトリクスに区切る。この区切った枡目より(0,0)〜(9,7)の座標とする(以下、この座標を滞留座標という)。人P1は(6,6)、P2は(6,4)、P3は(0,1)の座標で表される。
【0018】
本実施例では、観測領域内に立ち入った人がどの位置にどのくらいの時間立ち止まったかを測定し、それから算出したデータを記録し或いは表示することで、絵画ごとに入場者の滞留状況を測定算出する。観測領域内に人の居る位置は、図10に示した滞留座標によって取扱う。同じ滞留座標に3秒以上人が居る場合に人が立ち止まったとする。また、測定データのDB112への記録は5秒ごとに行うものとする。
【0019】
次に、図4〜図6を参照して人の位置及び滞留時間を算出するための処理動作について説明する。
図4は、人の滞留時間測定の全体処理動作を示す。人の滞留時間測定の処理は、背景データ作成処理401、滞留データ作成処理402、滞留時間表示処理403の3つの処理によって実現する。
背景データ作成処理401は、図7に示すように、無人状態の観測領域101からレーザ測距装置15によって(θ、l)の測距データを取得し、DB112に記憶することで行われる。なお、この処理動作の詳細については、図5を参照して後述する。
【0020】
背景データが作成された後、滞留データ作成処理402へ遷移する。滞留データ作成処理402は、図8のような人の居る時の測距データを観測し、先に取得していた背景データとの差分を算出して、それを、図9に示すような座標データに変換して処理する動作である。この処理動作の詳細については、図6を参照して後述する。
【0021】
滞留時間表示処理403は、観測領域内の人の滞留状況を表示装置113に表示する処理である。この処理は、滞留データ作成処理402で処理された人の滞留状況を表すデータ、例えば図22〜25に示すグラフを作成して表示装置113に表示する。この処理は、監視データとして表示装置113に常時表示するようにしてもよいし、或いは管理者などの操作者がPC11の入力装置114を操作することで、その都度表示するようにしてもよい。この処理動作の詳細については、図17を参照して後述する。
【0022】
次に、図5を参照して、背景データ作成処理401の詳細について説明する。
背景データ作成処理401は、ある観測領域101に対して一番最初に一度だけ実行される処理である。例えば、美術館の開催初日の開館前、又は展示会の開催期間中の毎日の開館前に一度行われる。以下の処理を行うプログラムが、CPU111で実行されることで行われる。
管理者が、PC11の入力装置114を操作すると、レーザ測距装置15による計測を開始する(501)。レーザ測距装置15はレーザを照射し、順次、測距データ(θ、l)を検出してPC11へ転送する。PC11はこの測距データを受信する(502)。この測距データの一例を、下記式(2)に示す。
[0,10010],[0.5,10002],[1.0,10000],…,
[45.0,8100],…,[θ1,l1],…,[θ2,l2],…,[θ3,l3],…,
[θ4,l4],…,[θ5,l5],…,[92.5,8525],…,[θ6,l6],…,[180.0,20112]
(2)
これを図式化すると、図7のようになる。
【0023】
次に、PC11の処理において、受信した測距データのうち観測領域外の点を破棄する(503)。図7において、[θ3,l3]と[θ6,l6]は観測領域外の点となるので破棄される。よって、式(2)は下記式(3)のような測距データとなる。
[45.0,8100],…,[θ1,l1],…,[θ2,l2],…,[θ4,l4],…,[θ5,l5],…,[92.5,8525]
(3)
次に、観測領域外の点が破棄された測距データをDB112に記憶し、これを背景データとして保存する(504)。背景データの保存が終了すると、滞留データ作成処理402へ遷移する。
【0024】
次に、図6を参照して、滞留データ作成処理402の詳細について説明する。
滞留データ作成処理402は、PC11がレーザ測距装置15より測距データを受信する毎に、CPU111において、順次取得した測距データと先に保存していた背景データとの比較を行うことで、その差分を算出し、観測領域101内に居る人の位置を検出し、人の滞留した時間を計算して、その結果をDB112に記憶する処理である。この処理は、以下の処理を行うプログラムが、CPU111で実行されることで行われる。
【0025】
まず、滞留時刻データ及び、滞留データを初期化する(601)。初期化した滞留時刻データを、図11に示す。初期化した滞留時刻データは、滞留時刻が全て「−1」、書き込みフラグが全て「0」である。初期化した滞留データを図14に示す。初期化した滞留データは、経過時間(秒)、滞留座標が−1にリセットされた状態である。
【0026】
次に、変数COUNTを「0」にする(602)。この変数は、プログラム実行後の経過時間を示す。そして、変数Tに現在時刻を代入する(603)。例えば、現在時刻が13時22分33秒ならば、T=13:22:33となる。
レーザ測距装置15から測距データがPCへ送信されており、受信可能かを判断する(604)。測距データが受信されていない場合には、ステップ624へ遷移する。一方、測距データが受信可能な場合、測距データを受信する(605)。以後、ステップ605〜ステップ610の処理が人の位置検出処理となる。
ここで、図8に示すような、観測領域内に人が居る場合において測定される測距データの一例を下記式(4)に示す。
[0,10010],[0.5,10002],[1.0,10000],…,[45.0,8100],…,[θ1,l1´],…,[θ2,l2´],…,[θ3,l3´],…,[θ4,l4´],…,[θ5,l5´],…,[92.5,8525],…,[θ6,l6´],…,[180.0,20112]
(4)
次に、受信した測距データ中の観測領域外の点の測距データを破棄する(606)。図8において、[θ3,l3´]と[θ6,l6´]は観測領域外の点となるため破棄される。よって、式(4)は下記式(5)のような測距データとなる。
[45.0,8100],…,[θ1,l1´],…,[θ2,l2´],…,[θ4,l4´],…,[θ5,l5´],…,[92.5,8525]
(5)
次に、測距データ(観測領域外の点が破棄済みの測距データ)と、背景データの差分を計算する(607)。具体的には、観測領域外の点を破棄した測距データと、先にBD112に保存していた背景データとを比較し、角度と距離の値が等しいものを破棄する。上記式(5)で表される測距データと、式(3)による背景データ)の場合、l2=l2´、l4=l4´であるから、これらの点及び、その他角度と距離の値が等しい点は破棄されるため、下記(6)のように、人の居る位置の点だけが残る。
[θ1,l1´],…,[θ5,l5´],…
(6)
観測領域内に人が居ない場合には差分が無いため、このステップで点が全て破棄され何も残らない。この差分が発生した場合、その差分が発生した位置に人が居るということになる。
【0027】
次に、差分があるかどうかを判定する(608)。差分が無い場合は、ステップ624へ遷移する。一方、差分がある場合は、差分を三角関数にて観測領域の左上を(0,0)、右下を(9999,7999)とした直交座標に変換する(709)。この直交座標を点座標とする。式(6)を点座標に変換した例を図9に示す。次に、差分の計算から求めた点座標を滞留座標に変換する(610)。図9の点座標を滞留座標に変換した例を図10に示す。以上のステップ605〜610の処理は、言わば人の位置検出機能である。
【0028】
次に、人の滞留時間の処理について説明する。
ステップ621〜ステップ623が滞留時刻データの処理に相当する。滞留時刻データは、人が検出された滞留座標に対し、滞留の開始時刻を一時的にDB112に記憶し、人が滞留して3秒以上が経過した時点で、書き込みフラグを「1」に設定する。人が3秒未満で移動してしまったときには、書き込みフラグは変化しない。5秒毎の書き込みタイミングで、書き込みフラグが「1」となっている滞留座標を滞留データに追記することで、3秒以上の滞留が発生した滞留座標のみを滞留データに書き込む。滞留座標に人が居ない場合は、滞留開始時刻を「−1」とする(621)。
【0029】
例えば、現在時刻が13時23分44秒であり、観測領域に図10のように人が居て、また(6,6)に居る人3は13時23分41秒からこの位置に居る場合を示す。ステップ621の実行前の滞留時刻データを図12に示す。ここで、(0,1)の滞留開始時刻は未登録を示す「−1」である為、13:23:44が、(6,4)の滞留開始時刻にも同じく13:23:44が書き込まれる。(6,6)には、既に人が居るため書き込まれている時刻は変化しない。
【0030】
次に、(0,1)、(6,4)、(6,6)以外の滞留開始座標を「−1」にリセットする(722)。この時、人の有無に関わらず書き込みフラグはリセットせず、そのままにする。そして、全ての滞留開始時刻と現在時刻を比較し、3秒以上経過している場合は該当する書き込みフラグを「1」にする(623)。例えば、図12において、(6,6)は3秒以上経過しているため、書き込みフラグが「1」となる。以上の処理により、変化した滞留時刻データを図13に示す。このステップ621〜623の処理は、言わば滞留時刻データの処理記憶機能である。
【0031】
次に、変数Tに格納してある時刻と現在時刻を比較して、5秒以上が経過しているかを判断する(624)。5秒以上経過していない場合は、ステップ604へ遷移する。一方、5秒以上が経過している場合は、DB112の滞留データへの書き込みを行う(625)。すなわち、滞留時刻データにおいて、書き込みフラグが「1」となっている滞留座標を、滞留データへ全て書き込む。書き込みフラグが全て「0」の時、滞留座標には空を意味する「NULL」が書き込まれる。データは書き込まれない。このステップ624〜625の処理は、言わばタイミング発生機能である。
【0032】
図13に示した滞留時刻データを、滞留データに書き込む例を示す。図15は、書き込み前の滞留データである。変数COUNTが20とする。この時、滞留データの最後尾を意味する滞留座標(−1,−1)の位置に、書き込みフラグが「1」である(6,6)を上書きする。経過時間は変数COUNTの値以上、COUNT+5未満を書き込む。この例では、20秒以上25秒未満となる。
滞留座標を書き込んだ後、滞留時刻データの書き込みフラグを全て「0」にリセットする(626)。そして、変数COUNTに「5」を足す(627)。
【0033】
以上の処理で人の滞留時間の蓄積処理は終わるが、図示の例では、操作者が入力装置114から測距データの測定停止の指示入力をしない限り、ステップ603へ戻って前述した処理を実行するようになっている。もし、CPU111が測定停止を検出した場合、滞留時間表示処理403へ遷移する。
上記の滞留時間の処理によってDB112に蓄積した滞留データの一例を、図19に示す。
【0034】
次に、図17を参照して、滞留時間表示処理403の詳細について説明する。
この処理は、以下の処理を行うプログラムが、CPU111で実行されることで行われる。この処理で、ステップ1701〜1705は座標ごとに滞留データを算出する処理(滞留時間情報の統計処理機能)であり、ステップ1706〜1711は表示処理(表示機能)に相当する。
まず、PC11の表示装置113に、滞留時間表示の初期画面を表示する(1701)。その一例を図18に示すように、この画面は、「表示区間(経過時間)」の入力欄1801があり、観測領域の表示1802として、座標毎に人の滞留時間が3次元座標処理して表示される。
操作者は入力装置114から「表示区間(経過時間)」入力欄1801に所望の表示区間を入力する。CPU111は数値入力があるまで待機し(1702)、表示区間のデータの入力があると、それを受け付ける。
【0035】
表示区間のデータを受け付けると、入力値が正しいかを判定する(1703)。この判定は、滞留データの経過時間に入力値が存在するかどうかで判定する。その判定の結果が正しい場合、指定された表示区間に該当する滞留データをDB112から読み出す(1704)。例えば、表示区間として0〜55秒の区間が指定された場合、DB112に蓄積された滞留データから、図20に示すような滞留データが選択される。
【0036】
そして、滞留座標ごとの滞留時間の合計を計算する(1705)。ここで、滞留時間の合計とは、図21に示すような、選択した滞留データに含まれる各滞留座標の個数の合計値である。次に、図21に示す滞留時間の合計から3次元のグラフを作成して、表示装置113に、図22のような、座標ごとの人の滞留時間を示す画面を表示する(1706)。なお、対象のデータから3次元グラフを作成する処理は、既存のプログラムを用いることで実現できる。この例では、滞留座標に対する人の滞留時間はプロットされた点の高さと、表示色より表示される。
【0037】
他の表示例として、図23は、図22の表示状態から、「表示区間(経過時間)」を「15〜45秒」に変更した場合の人の滞留時間を算出した結果を表示した例である。このようにして、指定された時間帯の滞留データを選択して図形化処理して表示し、人の滞留状況を検証することができる。
【0038】
ここで、滞留時間の表示処理(ステップ1706〜1711)に関しては、種々変形して表示することができる。上記した滞留時間の表示は、図22、23に示されたような、3次元処理されたグラフであるが、利用者がPC11の入力装置114を操作することで、3次元グラフを適宜、回転させたり(1707,1708)、拡大や縮小させることで(17090,1710)、表示の視点を変更することが可能である。
【0039】
例えば、図24は、観測領域1802を真上の視点から眺めた場合の表示例である。この視点において、プロットされた点の高さは見えないが、滞留時間は点の表示色によって判別することが可能である。
また、図25は、1時間分(3600秒)のデータを測定し、表示した例を示す。この表示例から、手前側(図1の下側)に展示された絵画1の方が、中央部に展示された絵画2よりも、人の立ち止まる時間が長いことが分かる。つまり、絵画1の方が絵画2よりも人気が高いと考えられる。このデータは、絵画の配置場所や展示の順序を考える場合に客観的な指標となる。例えば、絵画1の前で立ち止まる人達に起因して通路に混雑が見られた場合、翌日から絵画1の代えて絵画2を展示することなどの対策を行うことができる。更に、その絵画の配置を変えた後も継続して、絵画の人気追跡して把握することが可能である。
【0040】
レーザ測距装置15の設置に関する他の実施例について、図3に示す。
観測領域101内で人の検出ができない死角領域Dが生じる場合、或いは壁103の死角面側にも絵画が展示される場合には、さらに1台のレーザ測距装置152を、レーザ測距装置15と対向する位置に設置することができる。複数のレーザ測距装置15,152によって測定される2つ測距データを、PC11でそれぞれ処理して、上記した実施例と同様の用途に供することができる。これにより人を検出できない死角領域についてのデータを補完することができる。
【0041】
本発明は、上記した実施例に限定されることなく、種々変形して実施することができる。例えば、レーザ測距装置によって測距データを取得する上記の例、図8〜10を参照した観測領域における座標の取り方、及び測定時のθの幅の取り方、点座標や変換座標の算出の仕方は、一例であってこれに限定されない。
【0042】
また、上記した例は、所定の場所における人が立ち止る位置及びその滞留時間を測定する例であるが、本発明は、測定対象の移動物として人に限定されない。例えば、屋外の広い動物園に複数台のレーザ測距装置を設置することで、ライオンなどの動物が、1日の内或いはある特定の時期や日々の天候に応じて、何処にどれ位の時間居たかを測定するために適用することができる。
【0043】
上記した実施例によれば、レーザ測距装置を用いて、所定の観測領域における人の滞留する位置の座標を自動的に検出し、その位置に滞留した時間を自動的に測定することができ、人が領域内の何処にどの位の時間、滞留したかを示す位置データと時間データを取得し、適宜データ処理して記録し、また位置情報と時間情報を3次元図形に作成して表示装置に表示することができる。例えば、絵画や彫刻を展示する美術館においては測定位置に展示された作品の人気度が分かるので、観覧者の流れがスムーズになるように作品の配置場所や順序についての検討することができる。
また、人の滞留する位置を座標として検出して特定することができるので、従来のように出入口ごとにセンサを設置して出入り人数を検出する必要が無い。とりわけ、出入口が規定されていない大ホールや屋外の一区画における人の位置及び滞留時間の測定に対しても適用することができる。
【0044】
例えばスーパーマーケットに新商品を陳列した場合、その新商品の前に人がどれくらいの時間立ち止まるかを測定することができる。これによって人数及び立ち止り時間を把握することができるので、新商品に対する顧客の興味が客観的に分かり、商品配置、広告、パッケージデザイン等の効果を示すデータとして得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施例による人の滞留時間測定システムの全体構成を示す図、
【図2】観測領域内におけるレーザ照射による検出の様子を示す図、
【図3】他の実施例による人の滞留時間測定システムの全体構成を示す図、
【図4】一実施例における人の滞留時間測定の全体処理動作を示すフローチャート、
【図5】一実施例における背景データ作成処理401の例を示すフローチャート、
【図6】一実施例における滞留データ作成処理402の詳細な動作の例を示すフローチャート、
【図7】一実施例における観測領域が無人状態におけるレーザ測距の例を示す図、
【図8】一実施例における観測領域内のレーザ測距の例を示す図、
【図9】一実施例における観測領域内の人の測距データの点座標変換例を示す図、
【図10】一実施例における観測領域内の人の測距データの滞留座標変換例を示す図、
【図11】一実施例における初期化された滞留時刻データを示す図、
【図12】一実施例における書き込み前の滞留時刻データ例を示す図、
【図13】一実施例における書き込み後の滞留時刻データ例を示す図、
【図14】一実施例における初期化された滞留データを示す図、
【図15】一実施例における書き込み前の滞留データ例を示す図、
【図16】一実施例における書き込み後の滞留データ例を示す図、
【図17】一実施例における滞留時間表示処理403の動作を示すフローチャートを示す図、
【図18】一実施例における滞留時間表示の初期画面例を示す図、
【図19】一実施例における滞留データ例を示す図、
【図20】一実施例における表示区間を指定し抜き出した滞留データ例を示す図、
【図21】一実施例における抜き出した滞留データに含まれる各滞留座標の個数の合計値を示す図、
【図22】一実施例における3次元的に表現されたグラフの表示例を示す図、
【図23】一実施例における3次元的に表現されたグラフの表示例を示す図、
【図24】一実施例における観測領域を真上から眺めた平面の表示例を示す図、
【図25】一実施例における3次元的に表現されたグラフの表示例を示す図、
【符号の説明】
【0046】
101:観測領域、102:壁、103:絵画、15:レーザ測距装置、16:測距データ、11:PC、111:CPU、112:DB、113:表示装置、114:入力装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定システムであって、
該領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、該位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、該位置検出手段によって検出された位置情報と該時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、該記憶手段から該位置情報と該時間情報を読み出し、該領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、該統計処理手段によって処理された情報を該領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有することを特徴とする移動物測定システム。
【請求項2】
前記位置検出手段として、測定対象の該領域にレーザ照射し、該領域内に居る移動物に関する前記位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを検出する少なくとも1つのレーザ測距装置と、該レーザ測距装置で検出された測距データから、該領域に定義された座標のいずれ点座標に関連するかを算出する座標変換手段と、を含むことを特徴とする請求項1の移動物測定システム。
【請求項3】
該位置情報と該時間情報を該記憶手段に記憶するタイミングを発生させるタイミング発生手段を更に有し、該タイミング発生手段によって設定されたタイミング従って、検出された該位置情報と該時間情報を順次該記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1又は2の移動物測定システム。
【請求項4】
前記統計処理手段は、該領域に定義された座標ごとに移動物の停止時間の合計を算出し、前記表示処理手段は、該統計処理手段によって算出された該合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成する手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの移動物測定システム。
【請求項5】
前記表示処理手段の図形作成手段は、縦横軸を移動物の停止する位置情報とし、高さ軸を停止する時間情報としてプロットした3次元グラフを作成することを特徴とする請求項4の移動物測定システム。
【請求項6】
更に、移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を指定する入力手段を有し、該入力手段によって指定された時間的区間に該当する該位置情報と該時間情報を該記憶手段から読み出して統計処理することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの移動物測定システム。
【請求項7】
所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定方法であって、
レーザ測距装置を用いて測定対象の該領域にレーザ照射し、該領域内に居る移動物に関する位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを取得するステップと、該レーザ測距装置で取得された測距データに関連する、該領域に定義された座標を算出するステップと、該領域内で移動物が停止した位置での停止時間を算出するステップと、算出された該座標と該停止時間の情報を関連つけて記憶手段に記憶するステップと、該記憶手段から該位置情報と該時間情報を読み出して、該領域内の位置に対応する時間情報を統計処理するステップと、該統計処理された情報を該領域内の位置に関連付けて表示するステップと、を有することを特徴とする移動物測定方法。
【請求項8】
移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を入力手段から指定し、該指定された時間的区間に該当する該位置情報と該時間情報を該記憶手段から読み出して統計処理することを特徴とする請求項7の移動物測定方法。
【請求項9】
前記測距データの取得ステップは、前記レーザ測距装置により、該領域内に移動物が居ない状態で測距データを取得する第1のステップと、該領域内に移動物が居る状態で一定時間間隔ごとに測距データを取得する第2のステップと、該第2のステップで取得された測距データと該第1のステップで得られた測距データとの差分を計算するステップと、を含み、
該差分の処理によって算出された該座標とその座標における停止時間を関連付けて該記憶手段に記憶することを特徴とする請求項7又は8の移動物測定方法。
【請求項10】
前記表示ステップとして、前記統計処理によって算出された該合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成して表示することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかの移動物測定方法。
【請求項11】
所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物を測定するためプログラムであって、
該領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、該位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、該位置検出手段によって検出された位置情報と該時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、該記憶手段から該位置情報と該時間情報を読み出し、該領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、該統計処理手段によって処理された情報を該領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有することを特徴とするコンピュータ上で実行可能な移動物測定用のプログラム。
【請求項1】
所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定システムであって、
該領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、該位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、該位置検出手段によって検出された位置情報と該時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、該記憶手段から該位置情報と該時間情報を読み出し、該領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、該統計処理手段によって処理された情報を該領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有することを特徴とする移動物測定システム。
【請求項2】
前記位置検出手段として、測定対象の該領域にレーザ照射し、該領域内に居る移動物に関する前記位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを検出する少なくとも1つのレーザ測距装置と、該レーザ測距装置で検出された測距データから、該領域に定義された座標のいずれ点座標に関連するかを算出する座標変換手段と、を含むことを特徴とする請求項1の移動物測定システム。
【請求項3】
該位置情報と該時間情報を該記憶手段に記憶するタイミングを発生させるタイミング発生手段を更に有し、該タイミング発生手段によって設定されたタイミング従って、検出された該位置情報と該時間情報を順次該記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1又は2の移動物測定システム。
【請求項4】
前記統計処理手段は、該領域に定義された座標ごとに移動物の停止時間の合計を算出し、前記表示処理手段は、該統計処理手段によって算出された該合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成する手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの移動物測定システム。
【請求項5】
前記表示処理手段の図形作成手段は、縦横軸を移動物の停止する位置情報とし、高さ軸を停止する時間情報としてプロットした3次元グラフを作成することを特徴とする請求項4の移動物測定システム。
【請求項6】
更に、移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を指定する入力手段を有し、該入力手段によって指定された時間的区間に該当する該位置情報と該時間情報を該記憶手段から読み出して統計処理することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの移動物測定システム。
【請求項7】
所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物測定方法であって、
レーザ測距装置を用いて測定対象の該領域にレーザ照射し、該領域内に居る移動物に関する位置情報として、基準点からの角度及び距離情報を含む測距データを取得するステップと、該レーザ測距装置で取得された測距データに関連する、該領域に定義された座標を算出するステップと、該領域内で移動物が停止した位置での停止時間を算出するステップと、算出された該座標と該停止時間の情報を関連つけて記憶手段に記憶するステップと、該記憶手段から該位置情報と該時間情報を読み出して、該領域内の位置に対応する時間情報を統計処理するステップと、該統計処理された情報を該領域内の位置に関連付けて表示するステップと、を有することを特徴とする移動物測定方法。
【請求項8】
移動物の停止時間に関して処理すべき時間的区間を入力手段から指定し、該指定された時間的区間に該当する該位置情報と該時間情報を該記憶手段から読み出して統計処理することを特徴とする請求項7の移動物測定方法。
【請求項9】
前記測距データの取得ステップは、前記レーザ測距装置により、該領域内に移動物が居ない状態で測距データを取得する第1のステップと、該領域内に移動物が居る状態で一定時間間隔ごとに測距データを取得する第2のステップと、該第2のステップで取得された測距データと該第1のステップで得られた測距データとの差分を計算するステップと、を含み、
該差分の処理によって算出された該座標とその座標における停止時間を関連付けて該記憶手段に記憶することを特徴とする請求項7又は8の移動物測定方法。
【請求項10】
前記表示ステップとして、前記統計処理によって算出された該合計値から座標ごとに平面図形又は3次元図形を作成して表示することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかの移動物測定方法。
【請求項11】
所定の領域内において移動物が停止する位置及びその位置での停止時間を算出する移動物を測定するためプログラムであって、
該領域内で移動物が停止する位置を検出する位置検出手段と、該位置で移動物が停止した時間を算出する時間算出手段と、該位置検出手段によって検出された位置情報と該時間算出手段によって検出された時間情報を関連付けて記憶するデータ記憶手段と、該記憶手段から該位置情報と該時間情報を読み出し、該領域内の位置に対応する時間情報を統計処理する統計処理手段と、該統計処理手段によって処理された情報を該領域内の位置に関連付けて表示する表示処理手段と、を有することを特徴とするコンピュータ上で実行可能な移動物測定用のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−76234(P2008−76234A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255907(P2006−255907)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】
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