説明

積層体およびその形成方法、絶縁膜、ならびに半導体装置

【課題】 低い比誘電率を有し、かつ、有機系膜と無機系膜との密着性に優れた積層体およびその形成方法、絶縁膜、ならびに半導体装置を提供する。
【解決手段】 積層体の形成方法は、基材の上に、無機系膜のための第1の塗膜を形成し、前記第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行ない、前記処理後の前記第1の塗膜の上に、反応性シラン化合物および有機溶媒を含む密着促進用組成物を塗布した後、有機系膜のための第2の塗膜を連続的に形成することにより、積層膜を形成し、前記積層膜を硬化すること、を含む。前記反応性シラン化合物は、(Ri)Si(Xj)4−n,i=1〜n,n=1〜3,j=1〜4−n,で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機系膜と有機系膜との密着性を向上させた積層体およびその形成方法、絶縁膜、ならびに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置における層間絶縁膜として、CVD法等の真空プロセスによって形成されたシリカ(SiO)系膜が用いられている。そして、近年、より均一な膜厚を有する半導体配線層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれる、アルコキシシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜が使用されるようになってきている。
【0003】
また、近年の半導体装置の製造プロセスにおいては、積層膜の平坦化を目的としたCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程が多用されている。一方、加工プロセスの簡易化および絶縁膜への加工ダメージの低減を図るために、シリカ系膜の上に有機系膜を形成する技術が提案されている。
【0004】
しかしながら、シリカ系膜と有機系膜との積層体に対してCMP等の処理を行なうと、両者の密着性不足が原因で、シリカ系膜と有機系膜との間で剥がれが発生することがあった。シリカ系膜と有機系膜との間の密着性の低さは、シリカ系膜と有機系膜との組成の違い、およびそれに伴う界面の親和性の低さに起因する。また、低誘電率化が進むにしたがって、シリカ系膜および有機系膜双方の膜密度が低下するため、界面においてシリカ系膜と有機系膜との接触面積が小さくなることも、密着性低下の原因の一つとして考えられる。
【0005】
これに対して、無機系膜(シリカ系膜)と有機系膜との間に層を形成することにより、密着性を向上させる方法が開示されている。
【0006】
例えば、特開2005−199697号公報および特開2005−203603号公報には、有機系膜と親和性が高いビニル基含有MSQやPCSのようなポリマーからなる密着層を、有機系膜と無機系膜との間に設ける方法が記載されている。また、米国特許第6764965号明細書には、ビニルトリアセトキシシランを塗布して焼成することにより、密着性を発現させる方法が記載されている。
【0007】
これらの方法によれば、いずれも高い密着性を発現できるものの、密着層の誘電率が高いため、積層構造全体の誘電率が上昇してしまう場合がある。
【特許文献1】特開2005−199697号公報
【特許文献2】特開2005−203603号公報
【特許文献3】米国特許第6764965号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、低い比誘電率を有し、無機系膜と有機系膜との密着性が良好である積層体およびその形成方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、前記積層体を含む絶縁層を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記絶縁層を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の積層体の形成方法は、
基材の上に、無機系膜のための第1の塗膜を形成し、
前記第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行ない、
前記処理後の前記第1の塗膜の上に、反応性シラン化合物および有機溶媒を含む密着促進用組成物を塗布した後、有機系膜のための第2の塗膜を連続的に形成することにより、積層膜を形成し、
前記積層膜を硬化すること、を含み、
ここで、上記本発明の積層体の形成方法において、前記反応性シラン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、および下記一般式(3)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物からなることができる。
【0012】
【化17】

・・・・・(1)
(式中、Xは−C(=O)R、−OC(=O)R、または−NRを示し、R〜Rは独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、またはフェニル基を示し、R〜Rのうち水素原子を1個含んでもよく、R〜Rは独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。)
【0013】
【化18】

・・・・・(2)
(式中、X,Xは独立して、−C(=O)R10、−OC(=O)R11、または−NR1213を示し、R,Rは独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基,またはフェニル基を示し、RまたはRのいずれかが水素原子であってもよく、R10〜R13は独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。)
【0014】
【化19】

・・・・・(3)
(式中、X〜Xは独立して、−C(=O)R15、−OC(=O)R16、または−NR1718を示し、R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、またはフェニル基を示し、R15〜R18は独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。)
【0015】
本発明において、「第1の塗膜の上に密着促進用組成物を塗布した後、有機系膜のための第2の塗膜を連続的に形成する」とは、密着促進用組成物を塗布した後、第1の塗膜の硬化処理(例えば、焼成処理,電子線照射処理,紫外線照射処理)を行なわずに、密着促進用組成物が塗布された第1の塗膜上に第2の塗膜を直接形成することをいう。ここで、例えば、第1の塗膜の硬化処理が焼成処理によって行なわれる場合、300℃以上の温度での加熱による焼成処理を行なわずに、密着促進用組成物が塗布された第1の塗膜上に第2の塗膜を直接形成する。
【0016】
また、本発明において、「塗膜」とは、膜を形成するための組成物を基板に塗布し、有機溶媒を除去した後に得られる膜のことをいう。
【0017】
ここで、上記本発明の積層体の形成方法において、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、および下記一般式(6)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られる加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を用いて、前記第1の塗膜を形成することができる。
【0018】
Si(OR214−a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または1価の有機基、R21は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR22 ・・・・・(5)
(式中、R22は1価の有機基を示す。)
23(R24O)3−bSi−(R27−Si(OR253−c26 ・・・・・(6)
(式中、R23〜R26は独立して、1価の有機基、bおよびcは独立して、0〜2の数を示し、R27は酸素原子、フェニレン基、または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。)
ここで、上記本発明の積層体の形成方法において、前記硬化は、300℃以上の温度での加熱により行なわれることができる。
【0019】
本発明の積層体は、上記本発明の積層体の形成方法によって得られ、無機系膜および有機系膜を含む。
【0020】
ここで、上記本発明の積層体において、前記有機系膜は、ポリアリーレン,ポリアリーレンエーテル,ポリベンゾオキサゾール,およびポリイミドのうち少なくとも1種の化合物からなることができる。この場合、前記有機系膜を構成する化合物は、下記一般式(7)〜(10)の群から選ばれる少なくとも1種の重合体であることができる。
【0021】
【化20】

・・・・・(7)
【化21】

・・・・・(8)
【化22】

・・・・・(9)
【化23】

・・・・・(10)
(式(7)〜(10)中、R31〜R35はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子を示し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれる少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、o〜sは0〜4の整数を表し、fは5〜100モル%、gは0〜95モル%、hは0〜95モル%(ただし、f+g+h=100モル%)、iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、i+j=100モル%)であり、AおよびBはそれぞれ独立に、下記一般式(11)〜(13)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、R36,R36’は水素原子または下記一般式(14)および(15)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは下記一般式(16)および(17)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【0022】
【化24】

・・・・・(11)
【化25】

・・・・・(12)
【化26】

・・・・・(13)
(式(11)〜(13)中、R37、R38、R43およびR44は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化27】

で表される基を示し、R39〜R42およびR45〜R47は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、またはアリール基を示し、kは0〜3の整数を表し、lは2〜3の整数を表し、t〜zは独立に0〜4の整数を表す。)
【化28】

・・・・・(14)
【化29】

・・・・・(15)
(式(14)および(15)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、m’は0〜5の整数を表し、n’は0〜7の整数を表す。)
【化30】

・・・・・(16)
【化31】

・・・・・(17)
(式(16)および(17)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、R49は単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、メチルフェニルメチリデン基、トリフルオロメチルメチルメチリデン基、トリフルオロメチルフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化32】

で表される基を示し、上式中R50は、独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、またはフェニル基を表し、a1、a2は独立に0〜4の整数を表し、a3は0〜6の整数を表す。)
ここで、上記本発明の積層体において、比誘電率が2.8以下であることができる。
【0023】
本発明の絶縁膜は、上記本発明の積層体を含む。
【0024】
本発明の半導体装置は、上記本発明の絶縁膜を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の積層体の形成方法によれば、前記第1の塗膜の上に前記密着促進用組成物を塗布する前に、前記第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行なうことにより、前記第1の塗膜と前記密着促進用組成物との密着性を高めることができる。特に、前記第1の塗膜が、シラン化合物の加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を用いて形成される場合、本発明の積層体の形成方法によれば、前記第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行なうことにより、前記第1の塗膜の最表面のシラノール基を増やすことができるため、前記第1の塗膜と前記密着促進用組成物との結合効率を高めることができる。
【0026】
また、本発明の積層体の形成方法によれば、第1の塗膜上に密着促進用組成物を塗布した後、第1の塗膜の硬化処理(例えば300℃以上の温度での加熱処理)を行なわずに、密着促進用組成物が塗布された第1の塗膜上に第2の塗膜を直接形成することにより、第1の塗膜の表面近傍のみを活性化することができる。また、第1の塗膜表面近傍の活性化に寄与しない余分な密着促進用組成物は、第2の塗膜形成用組成物の塗布によって基材上から除去される。これにより、積層体全体の誘電率を上昇させずに、有機系膜と無機系膜との密着性に優れた積層体を形成することができ、かつ、有機系膜と無機系膜との密着性を付与するためのプロセスを簡略化することができる。
【0027】
本発明の絶縁膜によれば、低誘電率であり、有機系膜と無機系膜との密着性に優れている。このため、本発明の絶縁膜は、半導体装置の層間絶縁膜や平坦化絶縁膜として好適に用いることができる。
【0028】
本発明の半導体装置は、上述の本発明の絶縁膜を含む。本発明の絶縁膜は密着性が十分に確保されているため、CMP処理や、パッケージング処理時の膜剥がれが抑制され、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の積層体およびその形成方法、絶縁膜、ならびに半導体装置について具体的に説明する。
【0030】
1.積層体の形成方法
本発明の積層体の形成方法は、基材の上に、無機系膜のための第1の塗膜を形成し、前記第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行ない、前記処理後の前記第1の塗膜の上に、反応性シラン化合物および有機溶媒を含む密着促進用組成物を塗布した後、有機系膜のための第2の塗膜を連続的に形成することにより、積層膜を形成し、前記積層膜を硬化すること、を含む。
【0031】
本発明の積層体の形成方法において、第1の塗膜が形成される基材としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層が挙げられる。なお、組成物を塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段を用いることができる。次いで、無機系膜を形成するための第1の膜形成用組成物の塗布を終えた基材に、たとえば、第1の塗膜が硬化しない範囲の温度(例えば300℃より低い温度)での加熱による乾燥処理を施すことなどにより有機溶剤を除去する。このようにして、基材の上に第1の塗膜が形成される。第1の塗膜の膜厚は、好ましくは、30〜500nm、より好ましくは50〜300nmである。
【0032】
次に、第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行なう。
【0033】
次いで、第1の塗膜の上に密着促進用組成物を塗布した後、有機系膜のための第2の塗膜を連続的に形成する。すなわち、第1の塗膜の上に密着促進用組成物を塗布した後、第1の塗膜の硬化処理を行なわずに、有機系膜のための第2の塗膜を形成する。
【0034】
第2の塗膜の形成は、有機系膜を形成するための第2の膜形成用組成物を用いて、スピンコート、浸漬法により行なうことができる。第2の塗膜の膜厚は、好ましくは、30〜500nm、より好ましくは50〜300nmである。
【0035】
次いで、有機系膜を形成するための第2の膜形成用組成物の塗布を終えた基材に、たとえば、第1および第2の塗膜が硬化しない範囲の温度(例えば300℃より低い温度)での加熱による乾燥処理を施すことなどにより有機溶剤を除去する。
【0036】
次いで、第1の塗膜および第2の塗膜が積層された積層膜に対して硬化処理を施す。これにより、無機系膜と有機系膜との積層体を得ることができる。ここで、硬化処理は例えば、紫外線照射、加熱、および電子線照射のうち少なくとも1つにより行なうことができる。加熱により硬化を行なうときは、300℃以上の温度で行なうことが好ましく、300〜500℃で行なうことがより好ましく、350〜450℃の条件で行なうことがさらに好ましい。
【0037】
本発明の積層体の形成方法によれば、第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行なうことにより、第1の塗膜と、第1の塗膜上に塗布される密着促進用組成物との密着性を高めることができる。特に、第1の塗膜を、シラン化合物の加水分解縮合物を含む膜形成用組成物(後述する)を用いて形成する場合、第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行なうことにより、第1の塗膜の最表面に存在するシラノール基を増やすことができる。このシラノール基と、密着促進用組成物中に含まれる化合物とが反応することにより、第1の塗膜と密着促進用組成物との結合効率が向上する。次いで、密着促進用組成物が塗布された第1の塗膜上に第2の塗膜を形成して積層膜を形成した後、この積層膜を硬化させることにより、有機系膜と無機系膜との密着性に優れた積層体を得ることができる。
【0038】
以下、本発明の積層体を形成するための各成分について具体的に説明する。
【0039】
1.1 密着促進用組成物
本発明において、密着促進用組成物は、無機系膜と有機系膜との密着性を高めるために使用される。本発明の密着促進用組成物は、反応性シラン化合物および有機溶媒を含む。
【0040】
1.1.1 反応性シラン化合物
反応性シラン化合物としては、例えば、アシル基を有するシラン化合物(アシルシラン類)、アシロキシ基を有するシラン化合物(アシロキシシラン類)、またはアミノ基を有するシラン化合物(アミノシラン類)が挙げられる。ただし、アシルシラン類およびアミノシラン類、ならびにアシロキシシラン類およびアミノシラン類を共に使用すると、互いに反応することがあるため、好ましくない。一方、アシルシラン類およびアシロキシシラン類は共に使用できる。
【0041】
具体的には、反応性シラン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物1」とする)、下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物2」とする)、および下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物3」とする)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物からなる。すなわち、本発明において、化合物1〜化合物3のうち少なくとも1種を用いることができ、また、使用する化合物1〜化合物3をそれぞれ2種以上用いることもできる。
【化33】

・・・・・(1)
【化34】

・・・・・(2)
【化35】

・・・・・(3)

上記一般式(1)において、Xは−C(=O)R、−OC(=O)R、または−NRを示し、R〜Rは独立して、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基など)、アルキニル基(例えば、エチニル基、2−プロピニル基など)、ベンジル基、またはフェニル基を示し、R〜Rのうち水素原子を1個含んでもよい。
【0042】
上記一般式(2)において、X,Xは独立して、−C(=O)R10、−OC(=O)R11、または−NR1213を示し、R,Rは独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基,またはフェニル基を示し、RまたはRのいずれかが水素原子であってもよい。
【0043】
上記一般式(3)において、X〜Xは独立して、−C(=O)R15、−OC(=O)R16、または−NR1718を示し、R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、またはフェニル基を示す。
【0044】
上記一般式(1)〜(3)において、R〜R18は独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。R〜R18において、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基の具体例としては、R〜Rの具体例として例示されたものと同様のものを使用することができる。
【0045】
密着促進用組成物に含まれる反応性シラン化合物として、化合物1〜化合物3の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を用いることにより、該シラン化合物が第1の塗膜の表面近傍に存在するシラノール基(−SiOH)と室温で反応するため、第1の塗膜の最表面のみを密着性の高い組成にすることができる。これにより、第2の塗膜を形成する際に、第1の塗膜の表面に結合した反応性シラン化合物が系外に除去されることがなく、一方、第1の塗膜の表面に結合していない反応性シラン化合物を効率よく系外に除去することができる。
【0046】
化合物1の具体例としては、限定されないが、例えば、アセチルトリメチルシラン、アミノトリメチルシラン、モノ(ジメチルアミノ)トリメチルシラン、モノ(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、アセトキシトリメチルシラン、アセトキシジメチルシラン、アセトキシトリビニルシランが挙げられる。
【0047】
化合物2の具体例としては、限定されないが、例えば、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシジビニルシラン、ジアセトキシビニルメチルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシランが挙げられる。
【0048】
化合物3の具体例としては、限定されないが、例えば、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリス(ジメチルアミノ)シランが挙げられる。
【0049】
本発明の密着促進用組成物における反応性シラン化合物の質量は、0.01〜70重量%であることが好ましく、0.05〜60重量%であることがより好ましく、0.1〜50重量%であることがさらに好ましい。本発明の密着促進用組成物における反応性シラン化合物の質量が0.01重量%未満であると、密着促進化が十分に進行しないことがあり、一方、反応性シラン化合物の質量が70重量%を超えると、組成物の貯蔵安定性が悪くなることがある。
【0050】
1.1.2 有機溶媒
有機溶媒は、下記に例示するものを1種または2種以上組み合わせて使用することができる。より具体的には、有機溶媒は、非プロトン性溶媒が挙げられる。非プロトン性溶媒としては、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒または後述するその他の非プロトン性溶媒が挙げられる。有機溶媒の沸点は50〜300℃であることが好ましい。
【0051】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。
【0052】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
【0053】
エーテル系溶媒としては、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0054】
アミド系溶媒としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。
【0055】
他の非プロトン性溶媒としては、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン)、含硫黄系溶媒(例えば、硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N´,N´−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどが挙げられる。
【0056】
非プロトン系溶媒の中では、酢酸ブチル、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤が好ましい。
【0057】
本発明の密着促進用組成物における有機溶媒の質量は、30〜99.99重量%であることが好ましく、40〜99.95重量%であることがより好ましく、50〜99.9重量%であることがさらに好ましい。本発明の密着促進用組成物における有機溶媒の質量が30重量%未満であると、均一な塗布を行なうことが難しく、一方、有機溶媒の質量が99.99重量%を超えると、スピンコーティング後に膜上に組成物が残りにくくなる。
【0058】
1.2 第1の塗膜
第1の塗膜は、下記一般式(4)で表される化合物(以下「化合物4」という)、下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物5」という)および下記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物6」という)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られる加水分解縮合物を含む膜形成用組成物(第1の膜形成用組成物)を用いて形成された塗膜を硬化して得られた膜である。第1の塗膜を焼成することにより、無機系膜(シリカ系膜)が得られる。
【0059】
Si(OR214−a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または1価の有機基、R21は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR22 ・・・・・(5)
(式中、R22は1価の有機基を示す。)
23(R24O)3−bSi−(R27−Si(OR253−c26 ・・・・・(6)
(式中、R23〜R26は独立して、1価の有機基、bおよびcは独立して、0〜2の数を示し、R27は酸素原子、フェニレン基、または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。)
本発明において、「加水分解物」とは、上記化合物4〜化合物6から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物に含まれるアルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。また、ここで、「縮合物」とは、上記化合物4〜化合物6の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、わずかな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物等をも包含した概念である。
【0060】
1.2.1 化合物4
一般式(4)において、RおよびRの1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アリル基、グリシジル基などを挙げることができる。なかでも、一般式(4)において、Rは1価の有機基、特にアルキル基またはアリール基であることが好ましい。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜5であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。一般式(4)において、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0061】
化合物4として好ましい化合物は、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−iso−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリエトキシシランなど;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジ−γ−アミノプロピルジメトキシシラン、ジ−γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、ジ−γ−トリフロロプロピルジメトキシシランなど;を挙げることができる。
【0062】
好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランであり、特に好ましくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0063】
1.2.2 化合物5
一般式(5)において、R22で表される1価の有機基としては、先の一般式(4)において示したものと同様の有機基を挙げることができる。化合物5の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラフェノキシシランであり、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0064】
1.2.3 化合物6
一般式(6)において、R23〜R26で表される1価の有機基としては、先の一般式(4)において示したものと同様の有機基を挙げることができる。化合物6のうち一般式(6)におけるR27が酸素原子の化合物としては、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。
【0065】
これらのうち、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを、好ましい例として挙げることができる。
【0066】
さらに、一般式(6)において、R27がフェニレン基で表される基の化合物としては、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼンなど挙げることができる。
【0067】
これらのうち、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどを好ましい例として挙げることができる。
【0068】
さらに、一般式(6)において、R27が−(CH−で表される基の化合物としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタンなどを挙げることができる。これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタンなどを好ましい例として挙げることができる。
【0069】
一般式(6)において、d=0の化合物としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを挙げることができる。
【0070】
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを、好ましい例として挙げることができる。
【0071】
本発明において、化合物4〜化合物6のうち少なくとも1種を用い、また、化合物4〜化合物6をそれぞれ2種以上用いることもできる。得られる組成物の貯蔵安定性が良好である点で、化合物4および化合物5の加水分解縮合物であることが好ましい。
【0072】
1.2.4 金属キレート化合物、酸性化合物または塩基性化合物
本発明において、上記化合物4〜化合物6の加水分解縮合は、金属キレート化合物、酸性化合物、または塩基性化合物の存在下で行なうことができる。以下、金属キレート化合物、酸性化合物、および塩基性化合物それぞれについて説明する。
【0073】
1.2.4a 金属キレート化合物
化合物4〜化合物6から選択されるシラン化合物の加水分解縮合時に使用可能な金属キレート化合物は、下記一般式(18)で表される。
【0074】
51βM(OR52α−β ・・・・・(18)
(式(18)中、R51はキレート剤、Mは金属原子、R52は炭素数2〜5のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、αは金属Mの原子価、βは1〜αの整数を表す。)
ここで、金属Mとしては、IIIB族金属(アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム)およびIVA族金属(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)より選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、チタン、アルミニウム、ジルコニウムがより好ましい。
【0075】
金属キレート化合物の具体例としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、等のアルミニウムキレート化合物;等の1種または2種以上が挙げられる。
【0076】
特に、(CH(CH)HCO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(CH(CH)HCO)4−tTi(CHCOCHCOOC(CO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(CO)4−tTi(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)4−tTi(CHCOCHCOOC(CH(CH)HCO)4−tZr(CHCOCHCOCH(CH(CH)HCO)4−tZr(CHCOCHCOOC(CO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(CO)4−tZr(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)4−tZr(CHCOCHCOOC(CH(CH)HCO)3−tAl(CHCOCHCOCH(CH(CH)HCO)3−tAl(CHCOCHCOOC(CO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(CO)3−tAl(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)3−tAl(CHCOCHCOOC等の1種または2種以上が、使用される金属キレート化合物として好ましい。
【0077】
金属キレート化合物の使用量は、加水分解縮合時の化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。金属キレート化合物の使用割合が0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、10重量部を超えると塗膜のクラック耐性が低下することがある。また、金属キレート化合物は、加水分解縮合時に化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物とともに有機溶剤中にあらかじめ添加しておいてもよいし、水の添加時に水中に溶解あるいは分散させておいてもよい。
【0078】
金属キレート化合物の存在下で化合物4〜6から選ばれるシラン化合物を加水分解縮合させる場合、化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると塗膜の耐クラック性が劣る場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
【0079】
1.2.4b 酸性化合物
化合物4〜化合物6から選択されるシラン化合物の加水分解縮合時に使用可能な酸性化合物としては、有機酸または無機酸が例示できる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物などを挙げることができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などを挙げることができる。なかでも、加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化のおそれが少ない点で有機酸が好ましく、このうち、カルボキシル基を有する化合物がより好ましく、なかでも、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、無水マレイン酸の加水分解物が特に好ましい。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0080】
酸性化合物の使用量は、加水分解縮合時の化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。酸性化合物の使用割合が0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、10重量部を超えると塗膜のクラック耐性が低下することがある。また、酸性化合物は、加水分解縮合時に化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物とともに有機溶剤中にあらかじめ添加しておいてもよいし、水の添加時に水中に溶解あるいは分散させておいてもよい。
【0081】
酸性化合物の存在下で化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物を加水分解縮合させる場合、化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると塗膜の耐クラック性が劣る場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
【0082】
1.2.4c 塩基性化合物
化合物4〜化合物6から選択されるシラン化合物の加水分解縮合時に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、尿素、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、などを挙げることができる。これらの中で、アンモニア、有機アミン類、アンモニウムハイドロオキサイド類を好ましい例として挙げることができ、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイドが特に好ましい。これらの塩基性化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0083】
塩基性化合物の使用量は、化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物のアルコキシル基の総量(R21O−基,R22O−基,R24O−基およびR25O−基で表される基)の合計1モルに対して、通常、0.00001〜1モル、好ましくは0.00005〜0.5モルである。塩基性化合物の使用量が上記範囲内であれば、反応中のポリマーの析出やゲル化のおそれが少ない。
【0084】
塩基性化合物の存在下で化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物を加水分解縮合させる場合、化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の総量1モル当たり0.5〜150モルの水を用いることが好ましく、0.5〜130モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると塗膜の耐クラック性が劣る場合があり、150モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。
【0085】
この場合、水とともに、沸点100℃以下のアルコールを用いることが好ましい。ここで、沸点100℃以下のアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールを挙げることができる。沸点100℃以下のアルコールの使用量は、化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の総量1モルに対して通常3〜100モル、好ましくは5〜80モルである。
【0086】
なお、沸点100℃以下のアルコールは、化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物の加水分解および/またはその縮合の際に生じる場合があり、その含量が20重量%以下、好ましくは5重量%以下になるように蒸留などにより除去することが好ましい。また、添加剤として、オルソギ酸メチル等の脱水剤やさらなる金属錯体やレベリング剤が含まれていてもよい。
【0087】
また、塩基性化合物の存在下で化合物4〜化合物6から選ばれるシラン化合物から加水分解縮合物を得た後、本発明の第1の膜形成用組成物のpHを7以下に調整することが好ましい。pHを調整する方法としては、1)pH調整剤を添加する方法、2)常圧または減圧下で、組成物中から塩基性化合物を留去する方法、3)窒素、アルゴンなどのガスをバブリングすることにより、組成物中から(塩基性化合物を除去する方法、4)イオン交換樹脂により、組成物中から塩基性化合物を除去する方法、5)抽出や洗浄によって塩基性化合物を系外に除去する方法、などが挙げられる。これらの方法は、それぞれ、組み合わせて用いてもよい。
【0088】
ここで、上記pH調整剤としては、無機酸や有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸などを挙げることができる。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物などを挙げることができる。これら化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0089】
上記pH調整剤による組成物のpHは、7以下、好ましくは1〜6に調整される。上記pH調整剤により上記範囲内にpHを調整することにより、組成物の貯蔵安定性が向上するという効果が得られる。pH調整剤の使用量は、組成物のpHが上記範囲内となる量であり、その使用量は、適宜選択される。
【0090】
1.2.5 有機溶剤
本発明においては、化合物4〜化合物6から選択されたシラン化合物を有機溶剤中で加水分解縮合を行なうことができる。ここで、有機溶剤としては、下記一般式(19)で表される溶剤であることが好ましい。
【0091】
53O(CHCHCHO)γ54 ・・・・・(19)
(式(19)において、R53およびR54は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはCHCO−から選ばれる1価の有機基を示し、γは1〜2の整数を表す。)
上記一般式(19)において、炭素数1〜4のアルキル基としては、先の一般式(4)において示したものと同様のものを挙げることができる。
【0092】
上記一般式(19)で表される有機溶剤としては、具体例には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテートなどが挙げられ、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが好ましい。これらは1種または2種以上を同時に使用することができる。なお、上記一般式(19)で表される溶剤とともに、エステル系溶媒やアミド系溶媒等の他の溶剤が多少含まれていてもよい。
【0093】
また、上述の加水分解縮合において、触媒として塩基性化合物を用いた場合は、上記一般式(19)で表される溶剤以外に、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、あるいは非プロトン系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。
【0094】
ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0095】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0096】
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0097】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0098】
非プロトン系溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N´,N´−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを挙げることができる。
【0099】
以上の有機溶媒は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0100】
本発明の第1の膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは1〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。本発明の第1の膜形成用組成物の全固形分濃度が1〜30重量%であることにより、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、より優れた保存安定性を有するものとなる。なお、この全固形分濃度の調整は、必要であれば、濃縮および有機溶剤による希釈によって行われる。
【0101】
また、本発明の第1の膜形成用組成物は、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、トリアゼン化合物などの成分をさらに含有していてもよい。コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30μm、好ましくは10〜20μm、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物などを挙げることができる。
【0102】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキサイド構造などが挙げられる。具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
【0103】
−(A’)j’−(B’)k’
−(A’)j’−(B’)k’−(A’)l’
(式中、A’は−CHCHO−で表される基を、B’は−CHCH(CH)O−で表される基を示し、j’は1〜90、k’は10〜99、l’は0〜90の数を示す。)
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0104】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0105】
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N‘−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステル等の末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、市販品としてはメガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15((株)ネオス)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの中でも、上記メガファックF172,BM−1000,BM−1100,NBX−15が特に好ましい。
【0106】
シリコーン系界面活性剤としては、例えばSH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製などを用いることが出来る。これらの中でも、上記SH28PA、SH30PAに相当する下記一般式(20)で表される重合体が特に好ましい。
【化36】

・・・・・(20)
(式(20)中、R55は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、z’は1〜20の整数であり、x’、y’はそれぞれ独立に2〜100の整数である。)
界面活性剤の使用量は、化合物4〜化合物6から選択されたシラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して通常0.0001〜10重量部である。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0107】
シランカップリング剤としては、例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0108】
本発明の第1の膜形成用組成物は、沸点100℃以下のアルコールの含量が20重量%以下、特に5重量%以下であることが好ましい。沸点100℃以下のアルコールは、第1の膜形成用組成物に含まれる化合物4〜化合物6の加水分解および/またはその縮合の際に生じる場合があり、その含量が20重量%以下、好ましくは5重量%以下になるように蒸留などにより除去することが好ましい。また、添加剤として、オルソギ酸メチル等の脱水剤やさらなる金属錯体やレベリング剤が含まれていてもよい。
【0109】
1.3 第2の塗膜
本発明の積層体において、有機系膜は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾールおよびポリイミドの少なくとも1種の化合物を含む膜形成用組成物(第2の膜形成用組成物)を塗布し、溶剤を除去することにより得られた塗膜(第2の塗膜)を硬化して得られた膜である。すなわち、第2の塗膜を焼成することにより、有機系膜が得られる。
【0110】
第2の膜形成用組成物は、具体的には、下記一般式(7)〜(10)の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し構造単位からなる重合体を含む。
【化37】

・・・・・(7)
【化38】

・・・・・(8)
【化39】

・・・・・(9)
【化40】

・・・・・(10)
(式(7)〜(10)中、R31〜R35はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子を示し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれる少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、o〜sは0〜4の整数を表し、fは5〜100モル%、gは0〜95モル%、hは0〜95モル%(ただし、f+g+h=100モル%)、iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、i+j=100モル%)であり、AおよびBはそれぞれ独立に、下記一般式(11)〜(13)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、R36,R36’は水素原子または下記一般式(14)および(15)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは下記一般式(16)および(17)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【化41】

・・・・・(11)
【化42】

・・・・・(12)
【化43】

・・・・・(13)
(式(11)〜(13)中、R37、R38、R43およびR44は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化44】

で表される基を示し、R39〜R42およびR45〜R47は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、またはアリール基を示し、kは0〜3の整数を表し、lは2〜3の整数を表し、t〜zは独立に0〜4の整数を表す。)
【化45】

・・・・・(14)
【化46】

・・・・・(15)
(式(14)および(15)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、m’は0〜5の整数を表し、n’は0〜7の整数を表す。)
【化47】

・・・・・(16)
【化48】

・・・・・(17)
(式(16)および(17)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、R49は単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、メチルフェニルメチリデン基、トリフルオロメチルメチルメチリデン基、トリフルオロメチルフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化49】

で表される基を示し、上記式中R50は、独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、またはフェニル基を表し、a1、a2は独立に0〜4の整数を表し、a3は0〜6の整数を表す。)
【0111】
以下に、一般式(7)〜(10)で表される化合物の詳細を説明する。
【0112】
1.3.1 化合物7
一般式(7)で表される重合体(以下、「化合物7」ともいう)は、例えば、下記一般式(21)に示す化合物をモノマーとして、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【化50】

・・・・・(21)
(式中、R31,R32はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、o,pは0〜4の整数を表し、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す。)
上記一般式(21)中のXを構成するQ,Q’のうち、アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0113】
また、上記式(21)中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、p−トリル基、p−ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。上記一般式(21)中のXとしては、下記一般式(22)〜(27)に示す2価の基が好ましい。これらのうちでは、一般式(27)に示すフルオレニレン基がさらに好ましい。
【0114】
−C(CH− ・・・・・(22)
−C(CF− ・・・・・(23)
−C(CF)(C)− ・・・・・(24)
−CH(CH)− ・・・・・(25)
−C(C− ・・・・・(26)
【化51】

・・・・・(27)
上記一般式(21)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタンなどを挙げることができる。本発明においては、上記一般式(21)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【0115】
本発明においては、上記一般式(21)に示す化合物の少なくとも1種と、下記一般式(28)および一般式(29)に示す化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合させてもよい。
【化52】

・・・・・(28)
(式中、R33,R34はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R56,R57は、−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、q,rは0〜4の整数を表す。)
上記一般式(28)において、R33,R34のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子など、1価の有機基としては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など、アリル基として、プロペニル基など、アリール基として、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。また、R56,R57中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基など、アリール基として、フェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0116】
上記一般式(28)に示す化合物としては、例えば、4,4’−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’,5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−メチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4’−ビス(4−フルオロベンゼンスルフォニロキシ)ビフェニル、4,4’−ジクロロ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。上記一般式(28)に示す化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【化53】

・・・・・(29)
(式中、R35は、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R58,R59は、−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、sは0〜4の整数を表す。)
上記一般式(29)において、R35のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子など、1価の有機基としては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など、アリル基として、プロペニル基など、アリール基として、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。また、R58,R59中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基など、アリール基として、フェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0117】
上記一般式(29)に示す化合物としては、例えば、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもでき、好ましくはm−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェノキシベンゼンなどである。上記一般式(29)に示す化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0118】
化合物7中の繰り返し構造単位の割合は、上記一般式(7)において、fは5〜100モル%、好ましくは5〜95モル%、gは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%、hは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%(ただし、f+g+h=100モル%)である。fが5モル%未満(gまたはhが95モル%を超える)では、重合体の有機溶剤への溶解性が劣る場合がある。
【0119】
化合物7を製造する際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系が好ましく、この触媒系としては、(I)遷移金属塩および配位子、または配位子が配位された遷移金属(塩)、ならびに(II)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などを挙げることができる。これらのうち、特に塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0120】
また、配位子としては、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどを挙げることができるが、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、臭化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、ヨウ化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、硝酸ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2’−ビピリジン、臭化ニッケル2,2’−ビピリジン、ヨウ化ニッケル2,2’−ビピリジン、硝酸ニッケル2,2’−ビピリジン、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどを挙げることができるが、塩化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2’−ビピリジンが好ましい。
【0121】
このような触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、酸や有機酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。また、このような触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などを挙げることができるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0122】
このような触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、上記一般式(21)、上記一般式(28)、および上記一般式(29)で示される化合物の総量1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満であると、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。このような触媒系において、遷移金属塩および配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記一般式(21)で表される化合物、上記一般式(28)で表される化合物および上記一般式(29)で表される化合物の総量1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満であると、重合が充分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
【0123】
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記一般式(21)で表される化合物、上記一般式(28)で表される化合物および上記一般式(29)で表される化合物の総量1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満であると、重合速度を上げる効果が不充分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0124】
本発明で使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどを挙げることができ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。重合溶媒中における上記一般式(21)で表される化合物、一般式(28)で表される化合物および一般式(29)で表される化合物の総量の濃度は、通常、1〜100重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、上記重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。なお、上記化合物7のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1,000〜1,000,000である。
【0125】
1.3.2 化合物8
一般式(8)で表される重合体(以下、「化合物8」ともいう)は、例えば、下記一般式(30)〜(32)に示す化合物を含むモノマーを触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【化54】

・・・・・(30)
(式中、R31,R32はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基またはハロゲン原子、Xは−CQQ’−(ここでQ,Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、o、pは0〜4の整数を表し、R60,R61は水酸基、ハロゲン原子、−OM’基(M’はアルカリ金属である)からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。)
前記一般式(30)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ブロモフェニル)メタン、ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、ビス(4−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパンなどを挙げることができる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させてもよい。本発明においては、前記一般式(30)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【化55】

・・・・・(31)
(式中、R33,R34はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R62,R63は水酸基、ハロゲン原子、−OM’基(M’はアルカリ金属である)からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−およびフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、q,rは0〜4の整数を表す。)
前記一般式(31)に示す化合物としては、例えば、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジメチルヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−ジヒドロキシオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4’−ビス(4−ヒドロキシ)ビフェニル、4,4’−ジクロロ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させてもよい。前記一般式(31)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【化56】

・・・・・(32)
(式中、R35は炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基,またはハロゲン原子を示し、R58,R59は−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。)、水酸基、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、sは0〜4の整数を表す。)
前記一般式(32)に示す化合物としては、例えば、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシトルエン、2,5−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシトルエン、3,4−ジヒドロキシトルエン、3,5−ジヒドロキシトルエン、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもできる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させても良い。前記一般式(32)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。一般式(8)で表される化合物8中の繰り返し構造単位の割合は、上記一般式(8)において、Iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、I+j=100モル%)である。
【0126】
一般式(8)で表される化合物8の合成方法としては、例えば、ビスフェノール化合物とジハロゲン化化合物をアルカリ金属化合物の存在下、溶剤中で加熱することにより得られる。上記ビスフェノール化合物およびジハロゲン化化合物の使用割合は、ビスフェノール化合物が45〜55モル%、好ましくは48〜52モル%、ジハロゲン化化合物が55〜45モル%、好ましくは52〜48モル%である。ビスフェノール化合物の使用割合が45モル%未満または55モル%を越えると重合体の分子量が上昇しにくく、塗膜の塗布性が劣る場合がある。この際使用するアルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属リチウムなどを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。アルカリ金属化合物の使用量は、ビスフェノール化合物に対して、通常、100〜400モル%、好ましくは100〜250モル%である。また、反応を促進させるため、金属銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、ギ酸第一銅、ギ酸第二銅などの助触媒を使用しても良い。この助触媒の使用量は、ビスフェノール化合物に対し、通常、1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%である。
【0127】
反応に使用する溶剤としては、例えばピリジン、キノリン、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホキシド、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを使用することができる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。一般式(9)で表される化合物9を合成する際の反応濃度としては、モノマーの重量を基準として、2〜50重量%、反応温度としては50〜250℃である。また、重合体合成時に生じる金属塩や未反応モノマーを除去するため、反応溶液をろ過することや反応溶液を重合体に対して貧溶剤である溶媒により再沈殿や酸性、アルカリ性水溶液により洗浄することが好ましい。このようにして得られる化合物8のGPC法による重量平均分子量は、通常、500〜500,000、好ましくは800〜100,000である。
【0128】
1.3.3 化合物9
一般式(9)で表される重合体(以下、「化合物9」ともいう)は、例えば、下記一般式(33)および一般式(34)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記一般式(34)および一般式(35)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを触媒の存在下で重合することにより得ることができる。
【化57】

・・・・・(33)
【化58】

・・・・・(34)
(式中、R37〜R42およびk,t,u,v,wは上記一般式(11)および上記一般式(12)に関して定義した通りである。)
【化59】

・・・・・(35)
【化60】

・・・・・(36)
(式中、R42〜R47およびl,w,x,y,zは上記一般式(12)および上記一般式(13)に関して定義した通りであり、X’はハロゲン原子を示す。)
上記一般式(33)で表わされる化合物としては、例えば、4,4’−ジエチニルビフェニル、3,3’−ジエチニルビフェニル、3,4’−ジエチニルビフェニル、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,3’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、4,4’−ジエチニルベンゾフェノン、3,3’−ジエチニルベンゾフェノン、3,4’−ジエチニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチニルジフェニルメタン、3,3’−ジエチニルジフェニルメタン、3,4’−ジエチニルジフェニルメタン、4,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,3’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジエチニルベンズアニリド、3,3’−ジエチニルベンズアニリド、3,4’−ジエチニルベンズアニリド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,3’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、2,4,4’−トリエチニルジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−エチニルフェニル)フルオレン、4,4”−ジエチニル−p−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−m−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−o−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0129】
上記一般式(34)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、2,5−ジエチニルトルエン,3,4−ジエチニルトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0130】
上記一般式(35)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ブロモベンゾイル)−3−(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ヨードベンゾイル)−3−(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−3−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−3−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−3−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−3−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−4−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−4−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−4−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ブロモフェニル)フルオレン、4,4”−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4”−ジヨード−m−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−m−ターフェニル、4,4”−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4”−ジヨード−p−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−p−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0131】
上記一般式(36)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2,3−ジヨードトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,6−ジブロモトルエン、3,4−ジブロモトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0132】
本発明において、化合物9は、上記一般式(33)で表される化合物および/または一般式(34)で表される化合物と、上記一般式(35)で表される化合物および/または一般式(36)で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造され、この際、上記一般式(33)で表される化合物および/または一般式(34)で表される化合物と、上記一般式(35)で表される化合物および/または一般式(36)で表される化合物の使用割合は、前者の化合物の総量1モルに対して、後者の化合物の総量が0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.95〜1.05である。後者の化合物の総量が0.8モル未満の場合や1.2モルを越える場合は、得られる重合体の分子量が上昇しにくい。
【0133】
化合物9の製造においては、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物を、遷移金属化合物を含む触媒の存在下で重合させることが好ましい。さらに、遷移金属化合物および塩基性化合物を含む触媒がより好ましく、特に下記の(a)成分、(b)成分および(c)成分から構成されているものが特に好ましい。
【0134】
(a)パラジウム塩およびパラジウムに対し配位子として結合するか、配位子として結合する基(原子団)を供給して錯体(錯イオンを含む)を形成し得る物質(以下、配位子形成体という)、またはパラジウム錯体(必要に応じて配位子形成体をさらに加えてもよい)
(b)1価の銅化合物
(c)塩基性化合物
(a)成分のうちパラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム等を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、パラジウム塩の使用割合は、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは、0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0135】
(a)成分のうち配位子形成体としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリシアノフェニルホスフィン、トリシアノメチルホスフィン等を挙げることができる。中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。配位子形成体の使用割合は、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0004〜50モル、さらに好ましくは0.004〜5モルである。0.0004モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、50モルを超えると精製が困難となることがある。
【0136】
(a)成分のうちパラジウム錯体としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。中でも、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、パラジウム錯体の使用割合は、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0137】
(b)1価の銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)等を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、(b)1価の銅化合物の使用割合は、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0138】
(c)塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエチルアミン、アンモニア、n−ブチルアミン、イミダゾール等を挙げることができる。中でも、ジエチルアミン、ピペリジン、n−ブチルアミンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、(c)塩基性化合物の使用割合は、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、1〜1000モル、さらに好ましくは1〜100モルである。1モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、100モルを超えると経済的ではなくなる。
【0139】
1.3.4 化合物10
一般式(10)で表される重合体(以下、「化合物10」ともいう)は、例えば、下記一般式(37)と、下記一般式(38)に示す化合物および/または下記一般式(39)に示す化合物を反応させることによって製造することができる。
【化61】

・・・・・(37)
【化62】

・・・・・(38)
【化63】

・・・・・(39)
(式(37)〜(39)中、R36,R36’は水素原子または上記一般式(14)および(15)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは上記一般式(16)および(17)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
一般式(10)に表される化合物10は、一般式(37)のシクロペンタジエノン基と一般式(38)および/または一般式(39)のアセチレン基とをディールズアルダー反応をすることにより得ることができる。
【0140】
化合物10の数平均分子量(Mn)は3,500より大きく、好ましくは4,000より大きく、好ましくは6,400未満であり、より好ましくは6,000未満である。また、化合物10の重量平均分子量(Mw)は500より大きく、好ましくは8,000より大きく、好ましくは15,000未満であり、より好ましくは12,000未満である。さらに、化合物10は好ましくは約2.5未満、より好ましくは約2.3未満の多分散性(Mw/Mn)を有する。
【0141】
本発明の有機系膜の形成工程においては、必要に応じて溶媒を用いることができる。重合溶媒としては特に制限はないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレンクリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクルペンタノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は十分に乾燥、脱酸素して用いることが好ましい。これらの溶媒は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。重合溶媒中におけるモノマー(重合成分)濃度は、好ましくは1〜80重量%、さらに好ましくは5〜60重量%である。また、重合温度は、好ましくは、0〜150℃、さらに好ましくは5〜100℃である。また、重合時間は、好ましくは、0.5〜100時間、さらに好ましくは1〜40時間である。
【0142】
本発明において有機系膜を形成するためには、上記化合物7〜化合物10の群から選ばれる少なくとも1種の重合体を有機溶剤に溶解して第2の膜形成用組成物を得、この第2の膜形成用組成物を基板に塗布して塗膜(第2の塗膜)を形成し、この塗膜を加熱する。これにより有機系膜が得られる。ここで、第2の膜形成用組成物に使用できる有機溶剤としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョンなどのケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの含硫黄系溶媒などを挙げることができる。これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0143】
本発明において、第2の膜形成用組成物には、さらにコロイド状シリカ、有機系膜を形成するために用いられる化合物7〜化合物10以外の有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、重合性の二重結合を含有する化合物、重合性の三重結合などの成分を添加してもよい。化合物7〜化合物10以外の有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体などを挙げることができる。
【0144】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などを有する重合体が挙げられる。
【0145】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0146】
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリ(ビニルメトシキシロキサン)、ポリ(ビニルエトキシシロキサン)などが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0147】
ラジカル発生剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−nプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、スクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルアンドベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;ジベンジル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジフェニルビベンジル、α,α’−ジフェニル−α−メトキシビベンジル、α,α’−ジフェニル−α,α’−ジメトキシビベンジル、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジメチルビベンジル、α,α’−ジメトキシビベンジル、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニル−n−ヘキサン、2,2,3,3−テトラフェニルコハク酸ニトリルなどのビベンジル化合物を挙げることができる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0148】
重合性の二重結合を含有する化合物としては、例えば、アリルベンゼン、ジアリルベンゼン、トリアリルベンゼン、アリルオキシベンゼン、ジアリルオキシベンゼン、トリアリルオキシベンゼン、α,ω―ジアリルオキシアルカン類、α,ω―ジアリルアルケン類、α,ω―ジアリルアルケン類、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N―アリルフタルイミド、N―アリルピロメリットイミド、N、N’―ジアリルウレア、トリアリルイソシアヌレート、2,2’−ジアリルビスフェノールAなどのアリル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、スチルベン、プロペニルベンゼン、ジプロペニルベンゼン、トリプロペニルベンゼン、フェニルビニルケトン、メチルスチリルケトン、α,α’―ジビニルアルカン類、α,α’―ジビニルアルケン類、α,α’―ジビニルアルキン類、α,α’―ジビニルオキシアルカン類、α,α’―ジビニルアルケン類、α,α’―ジビニルアルキン類、α,α’―ジアクリルオキシアルカン類、α,α’―ジアクリルアルケン類、α,α’―ジアクリルアルケン類、α,α’―ジメタクリルオキシアルカン類、α,α’―ジメタクリルアルケン類、α,α’―ジメタクリルアルケン類、ビスアクリルオキシベンゼン、トリスアクリルオキシベンゼン、ビスメタクリルオキシベンゼン、トリスメタクリルオキシベンゼン、N―ビニルフタルイミド、N―ビニルピロメリットイミドなどのビニル化合物;2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンエーテル、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンなどを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。重合性の三重結合を含有する化合物としては、例えば、下記一般式(40)で表される化合物および一般式(41)で表される化合物もしくはいずれか一方が挙げられる。
【化64】

・・・・・(40)
【化65】

・・・・・(41)
(式(40)および(41)中、R64は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R65はv’価の芳香族基を示し、R66はw’価の芳香族基を示し、u’は0〜5の整数を表し、v’およびw’はそれぞれ独立に2〜6の整数を表す。)
上記一般式(40)において、R64で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を挙げることができる。
【0149】
重合性の三重結合を含有する化合物としては、そのほか、エチニルベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニルフェニル)エーテル、トリメチルシリルエチニルベンゼンなどを挙げることができる。これらの重合性の三重結合を含有する化合物は、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
【0150】
第2の膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは、1〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が1〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れたものとなる。
【0151】
2.積層体
本発明の積層体は、上述の本発明の積層体の形成方法により得られ、無機系膜および有機系膜を含む。本発明の積層体は、比誘電率が低く、かつ、無機系膜と有機系膜との密着性に優れている。また、本発明の積層体の比誘電率は3.0以下であるのが好ましい。
【0152】
3.絶縁膜
本発明の絶縁層は、上述の積層体を含むものである。そのため、本発明の絶縁層は、低誘電率であり、密着性が向上した絶縁層である。その結果、本発明によれば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体装置用層間絶縁膜、半導体装置の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示装置用の保護膜や絶縁膜などの用途に有用である絶縁層を提供することができる。
【0153】
4.半導体装置
本発明の半導体装置は、上述の絶縁層を含むものである。絶縁層をたとえば、層間絶縁層や、平坦化絶縁層などに用いる場合、絶縁層の密着性が十分に確保されているため、CMP処理や、パッケージング処理時の膜剥がれが抑制され、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0154】
5.実施例
次に、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%は、特記しない限りそれぞれ重量部および重量%であることを示している。また、以下の記載は本発明の態様を概括的に示すものであり、特に理由なく、かかる記載により本発明は限定されるものではない。本実施例では、まず、第1の塗膜のための第1の膜形成用組成物(I)と、密着促進用組成物(II),(IV),(V)と、第2の塗膜のための第2の膜形成用組成物(III)とをそれぞれ調製した。その後、得られた組成物を用いて積層体の形成を行なった。得られた積層体の密着性および比誘電率の測定は以下の方法に従い行なった。
【0155】
5.1 評価方法
5.1.1 密着性
4ポイントベンディング法にて、得られた積層体における無機系膜と有機系膜との界面の破壊靭性を測定し、この破壊靭性を密着性の指標とした。表1において、密着性評価は以下の基準により行なった。
【0156】
密着性評価:
A:界面の破壊靱性が、密着促進処理なし(比較例1)の場合と比べて2倍以上の数値
(8J/m以上)
B:界面の破壊靱性が、密着促進処理なし(比較例1)の場合と比べて2倍未満の数値
(8J/m未満)
【0157】
5.1.2 比誘電率
積層体が形成されたウエハ上にアルミニウムを蒸着して、誘電率評価用基板を作製した。比誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメーター用いて、10kHzにおける容量値から算出した。
【0158】
表1において、誘電率評価は以下の基準により行なった(なお、比誘電率の測定誤差は約0.02である)。
【0159】
誘電率評価:
A:比誘電率が、密着促進処理なし(比較例1)の場合と比べて0.03未満の上昇
B:比誘電率が、密着促進処理なし(比較例1)の場合と比べて0.03以上の上昇
【0160】
5.1.3 重量平均分子量(Mw)
重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、重合体1gを、100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃流速:1cc/分
【0161】
5.2 合成例1(第1の膜形成用組成物(I)の調製)
石英製セパラブルフラスコ中で、25%テトラメチルアンモニウムハイドライド水溶液80.0g、超純水113.0gおよびエタノール1846gの混合溶液中に、メチルトリメトキシシラン109.0g(完全加水分解縮合物換算53g)およびテトラエトキシシラン42g(完全加水分解縮合物12g)を加えて、60℃で3時間反応させたのち、プロピレングリコールモノプロピルエーテル3920gを加え、その後、減圧下で全溶液量630gとなるまで濃縮した。その後、酢酸の10%プロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液30gを添加し、固形分含有量10%となるように調整し、無機系膜(第1の塗膜)を形成するための第1の膜形成用組成物(I)を得た。
【0162】
5.3 合成例2(密着促進用組成物(II)の調製)
ビニルトリアセトキシシラン3gを酢酸ブチル27gに溶解し、10重量%の密着促進用組成物(II)を得た。
【0163】
5.4 合成例3(第2の膜形成用組成物(III)の調製)
温度計、アルゴンガス導入管、攪拌装置を備えた1000ml三口フラスコにテトラヒドロフラン120ml、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.46g、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム2.1g、ヨウ化銅1.44g)、ピペリジン20ml、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン185.72gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加え25℃で20時間反応させた。この反応液を酢酸5リットルで再沈殿を2回繰り返した後、シクロヘキサノンに溶かし超純水で2回洗浄し、メタノール5リットルで再沈殿し、沈殿を濾過、乾燥して重量平均分子量35,000の重合体を得た。この重合体20gをシクロヘキサノン180gに溶解させ、有機系膜(第2の塗膜)のための第2の膜形成用組成物(III)を得た。
【0164】
5.5 合成例4(密着促進用組成物(IV)の調製)
ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン1.5gをシクロヘキサノン28.5gに溶解し、5重量%の密着促進用組成物(IV)を得た。
【0165】
5.6 合成例5(密着促進用組成物(V)の調製)
アセチルトリメチルシラン0.9gをシクロヘキサノン29.1gに溶解し、3重量%の密着促進用組成物(V)を得た。
【0166】
5.7 実験例1
上記合成例1で得られた第1の膜形成用組成物(I)を0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した後、8インチシリコンウエハ上に100nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、次いで200℃で1分間基板を加熱して乾燥させ、第1の塗膜を得た。
【0167】
次いで、この第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理を3秒間行なった後、0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した密着促進用組成物(II)を第1の塗膜の上にスピンコートし、次いで、上記合成例3で得られた第2の膜形成用組成物(III)を0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した後、100nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、200℃で1分間基板を加熱して乾燥させ、第2の塗膜を得た。以上の工程により、第1の塗膜と第2の塗膜との積層膜を得た。
【0168】
次いで、上記積層膜が形成された基板を400℃の窒素雰囲気中のバッチ式オーブンで基板を1時間焼成して、積層体を作成した。本実験例で得られた積層体の評価結果を表1に示す。
【0169】
5.8 実験例2
上記合成例2で得られた密着促進用組成物(II)のかわりに、上記合成例4で得られた密着促進用組成物(IV)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を行い、積層体を作成した。本実験例で得られた積層体の評価結果を表1に示す。
【0170】
5.9 実験例3
上記合成例2で得られた密着促進用組成物(II)のかわりに、上記合成例5で得られた密着促進用組成物(V)を用いた以外は、実験例1と同様の操作を行い、積層体を作成した。本実験例で得られた積層体の評価結果を表1に示す。
【0171】
5.10 比較例1
上記合成例1で得られた第1の膜形成用組成物(I)を0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した後、8インチシリコンウエハ上に100nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、次いで200℃で1分間基板を加熱して乾燥させ、第1の塗膜を得た。
【0172】
次いで、この第1の塗膜の上に、上記合成例3で得られた第2の膜形成用組成物(III)を0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過し、100nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、200℃で1分間基板を加熱して乾燥させ、第2の塗膜を得た。以上の工程により、第1の塗膜と第2の塗膜との積層膜を得た。
【0173】
次いで、上記積層膜が形成された基板を400℃の窒素雰囲気中のバッチ式オーブンで基板を1時間焼成して、積層体を作成した。本比較例で得られた積層体の評価結果を表1に示す。
【0174】
5.11 比較例2
5.11.1 密着促進用組成物(VI)の調製
石英製セパラブルフラスコ中で、40%メチルアミン水溶液15.84g、超純水725.72g、およびエタノール1541.7gの混合溶液中に、メチルトリメトキシシラン136.23g(完全加水分解縮合物換算66.75g)、テトラエトキシシラン166.66g(完全加水分解縮合物換算48.33g)およびビニルトリメトキシシラン29.65g(完全加水分解縮合物換算15.71g)を加えて、60℃で2時間反応させた。その後室温まで冷却した後、この溶液に60%硝酸水溶液42.85gを加え、室温で1時間撹拌した。次いで、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル392.37gを加え、その後、減圧下で全溶液量が1307.9gとなるまで濃縮した。次いで、酢酸の10%プロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液65.40gを添加して、固形分含有量10%となるように調整し、密着促進用組成物(VI)を得た。
【0175】
5.11.2 積層体の形成
上記合成例1で得られた第1の膜形成用組成物(I)を0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した後、8インチシリコンウエハ上に100nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、次いで200℃で1分間基板を加熱して乾燥させ、第1の塗膜を得た。
【0176】
次に、この第1の塗膜の上に、本比較例で得られた密着促進用組成物(VI)を、0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した後、8インチシリコンウエハ上に10nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、次いで200℃で1分間基板を加熱して乾燥させた。
【0177】
次いで、上記合成例3で得られた第2の膜形成用組成物(III)を0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過し、100nmの膜厚に塗布した。次に、80℃で1分間、200℃で1分間基板を加熱して乾燥させ、第2の塗膜を得た。以上の工程により、第1の塗膜と第2の塗膜との積層膜を得た。
【0178】
次いで、上記積層膜が形成された基板を400℃の窒素雰囲気中のバッチ式オーブンで基板を1時間焼成して、積層体を作成した。本比較例で得られた積層体の評価結果を表1に示す。
【0179】
5.12 比較例3
5.12.1 積層体の形成
上記比較例2で得られた密着促進用組成物(VI)のかわりに、合成例2で得られた密着促進用組成物(II)を用いた以外は、比較例2と同様の操作を行い、積層体を作成した。すなわち、比較例3では、実験例1と同様の密着促進用組成物(II)を用い、かつ、比較例2と同様に、第1の塗膜の表面に対して紫外線照射処理を施さずに密着促進用組成物(II)を塗布し、次いで加熱による乾燥を行なった後、第2の塗膜を形成した。本比較例で得られた積層体の評価結果を表1に示す。
【0180】
【表1】

【0181】
表1によれば、上述の実験例1−3の積層体は、比較例1の積層体と比較して、比誘電率が同等であるかまたは低く、かつ、密着性が高いことが理解できる。実験例1−3においては、第1の塗膜の表面に対して紫外線照射処理を施した後、第1の塗膜の上に密着促進用組成物を塗布してから、第2の塗膜を形成した。これに対して、比較例1においては、第1の塗膜の表面に対して紫外線照射処理を施さなかったうえに、第1の塗膜上に密着促進用組成物を塗布しないで、第2の塗膜を形成した。
【0182】
また、上述の実験例1−3の積層体は、比較例2,3の積層体と比較して、比誘電率が低いことが理解できる。実験例1−3においては、第1の塗膜の表面に対して紫外線照射処理を施した後、上記合成例2,4,5でそれぞれ得られた密着促進用組成物をこの第1の塗膜上に形成し、次いで、第2の塗膜を連続的に形成し、その後、乾燥処理および焼成処理を行なった。これに対して、比較例2,3においては、第1の塗膜の表面に対して紫外線照射処理を施さずに、第1の塗膜上に密着促進用組成物を形成した後、乾燥処理を行ない、次いで第2の塗膜をさらにその上に形成した後、焼成処理を行なった。
【0183】
以上の結果から、本発明の積層体の形成方法によれば、第1の塗膜の表面に対して紫外線照射処理を施した後、本発明の密着促進用組成物をこの第1の塗膜上に形成し、次いで、第2の塗膜を連続的に形成して積層膜を形成した後、積層膜を硬化させることにより、低誘電率であり、かつ、有機系膜と無機系膜との密着性の高い積層体を提供できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の上に、無機系膜のための第1の塗膜を形成し、
前記第1の塗膜の表面に対して、紫外線照射処理、電子線照射処理、およびプラズマ処理から選ばれる少なくとも1種の処理を行ない、
前記処理後の前記第1の塗膜の上に、反応性シラン化合物および有機溶媒を含む密着促進用組成物を塗布した後、有機系膜のための第2の塗膜を連続的に形成することにより、積層膜を形成し、
前記積層膜を硬化すること、を含み、
前記反応性シラン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、および下記一般式(3)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物からなる、積層体の形成方法。
【化1】

・・・・・(1)
(式中、Xは−C(=O)R、−OC(=O)R、または−NRを示し、R〜Rは独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、またはフェニル基を示し、R〜Rのうち水素原子を1個含んでもよく、R〜Rは独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。)
【化2】

・・・・・(2)
(式中、X,Xは独立して、−C(=O)R10、−OC(=O)R11、または−NR1213を示し、R,Rは独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基,またはフェニル基を示し、RまたはRのいずれかが水素原子であってもよく、R10〜R13は独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。)
【化3】

・・・・・(3)
(式中、X〜Xは独立して、−C(=O)R15、−OC(=O)R16、または−NR1718を示し、R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、またはフェニル基を示し、R15〜R18は独立して、アルキル基、ビニル基、アリル基、またはフェニル基を示す。)
【請求項2】
請求項1において、
下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、および下記一般式(6)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られる加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を用いて、前記第1の塗膜を形成する、積層体の形成方法。
Si(OR214−a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または1価の有機基、R21は1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR22 ・・・・・(5)
(式中、R22は1価の有機基を示す。)
23(R24O)3−bSi−(R27−Si(OR253−c26 ・・・・・(6)
(式中、R23〜R26は独立して、1価の有機基、bおよびcは独立して、0〜2の数を示し、R27は酸素原子、フェニレン基、または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。)
【請求項3】
請求項1または2において、
前記硬化は、300℃以上の温度での加熱により行なわれる、積層体の形成方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法によって得られ、無機系膜および有機系膜を含む、積層体。
【請求項5】
請求項4において、
前記有機系膜は、ポリアリーレン,ポリアリーレンエーテル,ポリベンゾオキサゾール,およびポリイミドのうち少なくとも1種の化合物からなる、積層体。
【請求項6】
請求項5において、
前記有機系膜を構成する化合物は、下記一般式(7)〜(10)の群から選ばれる少なくとも1種の重合体である、積層体。
【化4】

・・・・・(7)
【化5】

・・・・・(8)
【化6】

・・・・・(9)
【化7】

・・・・・(10)
(式(7)〜(10)中、R31〜R35はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子を示し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれる少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、o〜sは0〜4の整数を表し、fは5〜100モル%、gは0〜95モル%、hは0〜95モル%(ただし、f+g+h=100モル%)、iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、i+j=100モル%)であり、AおよびBはそれぞれ独立に、下記一般式(11)〜(13)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、R36,R36’は水素原子または下記一般式(14)および(15)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは下記一般式(16)および(17)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【化8】

・・・・・(11)
【化9】

・・・・・(12)
【化10】

・・・・・(13)
(式(11)〜(13)中、R37、R38、R43およびR44は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化11】

で表される基を示し、R39〜R42およびR45〜R47は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、またはアリール基を示し、kは0〜3の整数を表し、lは2〜3の整数を表し、t〜zは独立に0〜4の整数を表す。)
【化12】

・・・・・(14)
【化13】

・・・・・(15)
(式(14)および(15)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、m’は0〜5の整数を表し、n’は0〜7の整数を表す。)
【化14】

・・・・・(16)
【化15】

・・・・・(17)
(式(16)および(17)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、R49は単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、メチルフェニルメチリデン基、トリフルオロメチルメチルメチリデン基、トリフルオロメチルフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化16】

で表される基を示し、上記式中R50は、独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、またはフェニル基を表し、a1、a2は独立に0〜4の整数を表し、a3は0〜6の整数を表す。)
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかにおいて、
比誘電率が3.0以下である、積層体。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれかに記載の積層体を含む、絶縁膜。
【請求項9】
請求項8に記載の絶縁膜を含む、半導体装置。

【公開番号】特開2007−88260(P2007−88260A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276051(P2005−276051)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】