説明

積層膜およびその製膜方法

【課題】積層膜およびその製膜方法を提供する。
【解決手段】単結晶基板上に形成された中間膜と、中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、エピタキシャル膜はαアルミナ膜またはCr2O3膜である。また、基層上に形成された中間膜と、中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な積層膜に関する。また、本発明は、この積層膜の新規な製膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強誘電性、圧電性、電気光学効果といった結晶の電気的、光学的な特性を有効に利用するために、現在は多くの場合、単結晶が用いられている。しかしながら、これらの特性を利用した素子を小型化、省電力化し、Si回路等と共存させるためには、単結晶薄膜化することが望ましい。このためには単結晶基板、とりわけ、半導体集積回路の主要基板であるSi基板上に、Si基板の結晶構造を継承して結晶成長したエピタキシャル薄膜を形成する技術の開発が重要な技術的な課題となっている。
【0003】
電気信号を用いて光信号を変調したり、スイッチングする機能を持つタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの薄膜、窒化ガリウム等をもちいた半導体レーザーダイオードなどのエピタキシャル薄膜、あるいは酸化亜鉛の圧電性を用いた表面弾性波素子用薄膜などを開発するためには、これらの目的物質と結晶構造中の原子配列が近く、格子定数が近い単結晶基板を用いることが望ましい。タンタル酸リチウムをはじめとするこれらの単結晶薄膜を形成する基板として最も適するものとして、α型酸化アルミニウム(α-Al2O3)単結晶を0.5mm程度の厚さをもつ板状に加工したα- Al2O3単結晶基板が用いられることが多い。
【0004】
しかしながら、この技術は以下の2点で解決すべき技術的な課題を有する。すなわち、(1) タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどをα-Al2O3単結晶基板上に製膜する従来の技術では、格子定数のわずかな差異のために、作製した薄膜の結晶性が悪く、結晶方位の異なる部分が混在するなど、従来の単結晶に対して特性的に劣る要因を持っている。また、(2) タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムをα-Al2O3単結晶基板上に製膜した場合、Si基板上に形成した電気回路と接続するためには、いったん、外部配線で接続するなど、回路の小型化を阻害する問題がある。
【0005】
そこで、従来は単結晶が用いられてきたα-Al2O3薄膜をSi基板上に形成してα-Al2O3基板として用いる技術の開発が試みられている。例えば、Al(acac)3(アルミニウムアセチルアセテート)をCVD原料に用い、Si単結晶基板上にAl2O3を製膜したことが報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、750℃で配向性のあるγ-Al2O3が得られ、950℃で配向性のあるκ-Al2O3が得られることを述べている。
【0006】
また、Al(O・i-Pr)3をCVD原料に使いステンレス基板上に製膜したことが報告されている(非特許文献2参照)。この場合も基板温度800℃以上でγ- Al2O3が製膜され始め、1000℃以上ではγに加えてα-Al2O3が製膜することを述べている。
【0007】
他方、CVD法を用いて、α-Al2O3単結晶基板上にLiTaO3薄膜を製膜していることが報告されている(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S.K.Pradhan et al.,”Crystallinity Al2O3 films deposited by metalorganic chemical vapor deposition”, Surface and Coating Technology, 176, 382-384 (2004)
【非特許文献2】Sabine Blittersdorf et al.,”CVD of Al2O3 Thin Films Using Aluminum Tri-isopropoxide”, Chemical Vapor Deposition, 9 [9] 194-198 (2003)
【非特許文献3】H. Xie,R. Raj, Appl. Phys. Lett., 63 [23] 3146-3148 (1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した非特許文献1においては、バッファー層は用いておらず、α-Al2O3は製膜できていない。
また、非特許文献2においては、バッファー層は用いておらず、α-Al2O3単一相ではなく、しかも、結晶方位がそろったエピタキシャル薄膜ではない多結晶である。
また、非特許文献3においては、α-Al2O3基板上へのLiTaO3の製膜に成功しているが、この薄膜は結晶性点で従来のLiTaO3単結晶にはおよばないもので、ロッキングカーブの半値幅で0.5°と大きく、電気光学用途や表面弾性波素子用途などには不十分なものである。
【0010】
そのため、このような課題を解決する、新規な積層膜およびその製膜方法の開発が望まれている。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な積層膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、この積層膜の新規な製膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の積層膜は、単結晶基板上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、前記エピタキシャル膜はαアルミナ(α-Al2O3)膜またはCr2O3膜である。
【0013】
本発明の積層膜の製膜方法は、単結晶基板上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する積層膜の製膜方法であり、前記エピタキシャル膜はαアルミナ膜またはCr2O3膜である。
【0014】
本発明の積層膜は、基層上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である。
【0015】
本発明の積層膜の製膜方法は、基層上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する積層膜の製膜方法であり、前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0017】
本発明の積層膜は、単結晶基板上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、前記エピタキシャル膜はαアルミナ膜またはCr2O3膜であるので、新規な積層膜を提供することができる。
【0018】
本発明の積層膜の製膜方法は、単結晶基板上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する積層膜の製膜方法であり、前記エピタキシャル膜はαアルミナ膜またはCr2O3膜であるので、新規な積層膜の製膜方法を提供することができる。
【0019】
本発明の積層膜は、基層上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜であるので、新規な積層膜を提供することができる。
【0020】
本発明の積層膜の製膜方法は、基層上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する積層膜の製膜方法であり、前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜であるので、新規な積層膜の製膜方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Cr2O3/YSZ/Si(100)のXRD(2θ-θscan)を示す図である。
【図2】Cr2O3/YSZ/Si(100)のXRD(Pole figure)を示す図である。
【図3】Cr2O3/YSZ/Si(100)の模式図である。
【図4】Al2O3 薄膜の作製法を示す図である。
【図5】Cr2O3/YSZ/Si(100)にAl2O3を製膜した試料のXRD(2θ-θscan)を示す図である。
【図6】α-Al2O3/Cr2O3/YSZ/Si(100)のSi(044)・YSZ(044)・Cr2O3(229)・Al2O3(229)付近の逆格子空間マッピングを示す図である。
【図7】α-Al2O3/Cr2O3/YSZ/Si(100)のAl2O3(229)でのPhi scanを示す図である。
【図8】α-Al2O3/Cr2O3/YSZ/Si(100)の模式図である。
【図9】製膜温度のおよぼす結晶相と組成への影響を示す図である。
【図10】Li/Ta=49/51のLiTaO3薄膜、2θ-ωscanと極点図である。
【図11】Li/Ta=42/58のLiTaO3薄膜、2θ-ωscanと極点図である。
【図12】Li/Ta=49/51のLiTaO3薄膜における断面TEM像である。
【図13】Li/Ta=42/58のLiTaO3薄膜における断面TEM像である。
【図14】バッファー層の上に定比で作製したLiTaO3のX線回折測定3種を示す図である。
【図15】バッファー層導入したものの(0006)面の精密測定を示す図である。
【図16】バッファー層導入時のエピタキシャルメカニズムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、積層膜およびその製膜方法にかかる第1の発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
本発明の積層膜は、単結晶基板上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、前記エピタキシャル膜はαアルミナ膜またはCr2O3膜である。
【0024】
本発明の積層膜の製膜方法は、単結晶基板上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する積層膜の製膜方法であり、前記エピタキシャル膜はαアルミナ膜またはCr2O3膜である。
【0025】
単結晶基板としては、Si単結晶、Ge単結晶あるいはGaAs単結晶などを採用することができる。
【0026】
中間膜は、上層と下層の2層からなっている。
中間膜の下層としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)薄膜、あるいは酸化セリウム(CeO2)薄膜などを採用することができる。
【0027】
中間膜の下層の製膜法としては、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを採用すること
【0028】
中間膜の下層の材質がYSZの場合、YSZ中のイットリア(Y2O3)の濃度は5〜12質量%の範囲内にあることが好ましい。イットリアの濃度が5〜12質量%の範囲を外れると、ジルコニアの熱膨張係数が著しく大きく、下層として適さない。
【0029】
中間膜の上層としては、Cr2O3薄膜、Al2O3を0〜20mol%程度添加したCr2O3薄膜などを採用することができる。
【0030】
中間膜の上層の製膜法としては、PLD法、スパッタリング法、MBE法、CVD法などを採用することができる。
【0031】
中間膜は上述した上層、下層の2層に限定されるものではない。このほか中間膜としては、YSZの上にCeO2を製膜したCeO2/YSZ積層薄膜などを採用することができる。
【0032】
エピタキシャル膜としては、αアルミナ膜、Cr2O3薄膜(この場合、中間膜としてAl2O3とCr2O3の固溶体を採用)などを採用することができる。
【0033】
エピタキシャル膜の製膜法としては、化学蒸着法(CVD法)、スパッタリング法、MBE法などを採用することができる。
【0034】
CVD法によりαアルミナを製膜する場合、製膜温度は500〜1100℃の範囲内にあることが好ましい。製膜温度が1100℃より高いと、Si基板の酸化、基板と中間層の相互拡散などの欠点がある。製膜温度が500℃より低いと、α-Al2O3の結晶化阻害、結晶性の低下といったという欠点がある。
【0035】
CVD法によりαアルミナを製膜する場合、製膜速度は5〜2000nm/hの範囲内にあることが好ましい。製膜速度が2000nm/hより大きいと、α-Al2O3の結晶性の低下という欠点がある。製膜速度が5nm/hより小さいと、Si基板の酸化、基板と中間層の相互拡散などの欠点がある。
【0036】
CVD法によりαアルミナを製膜する場合、Al原料としては、トリメチルアルミニウム(TMA)などの有機金属原料、AlCl3などのようなアルミニウムのハロゲン化物あるいはアルミニウムイソプロポキシド(Al(i-O-Pr)3などのアルコキシドなどを採用することができる。
【0037】
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0038】
つぎに、積層膜およびその製膜方法にかかる第2の発明を実施するための形態について説明する。
【0039】
本発明の積層膜は、基層上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である。
【0040】
本発明の積層膜の製膜方法は、基層上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する積層膜の製膜方法であり、前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である。
【0041】
基層は、単結晶またはエピタキシャル膜からなっている。
基層が単結晶の場合、単結晶としては、αアルミナ単結晶、Cr2O3単結晶、あるいはAl2O3とCr2O3の固溶体単結晶(ルビー)などを採用することができる。
【0042】
基層がエピタキシャル膜の場合、エピタキシャル膜としては、αアルミナ膜、Cr2O3単結晶薄膜、あるいはAl2O3とCr2O3の固溶体単結晶薄膜などを採用することができる。
エピタキシャル膜がαアルミナ膜の場合、第1の発明を実施するための形態で述べたエピタキシャルαアルミナ膜などを採用することができる。
【0043】
中間膜としては、Li/(Li+Ta)の原子比で0.35〜0.48の範囲内にあるLiTaO3構造(擬イルメナイト構造)を有する単相のタンタル酸リチウムであることが好ましい。
【0044】
中間膜の膜厚は5〜50nmの範囲内にあることが好ましい。中間膜の膜厚が50nmより厚いと、中間膜の結晶性の低下といった欠点がある。中間膜の膜厚が5nmより薄いと、α-Al2O3基板と目的薄膜であるLiTaO3薄膜の間の格子ミスマッチを緩和する機能が低下するという欠点がある。
【0045】
中間膜は、1層に限定されるものではない。このほか中間膜としては、Li/(Li+Ta)組成比の異なる複数のタンタル酸リチウム薄膜を積層して、α-Al2O3基板と目的薄膜であるLiTaO3構造(擬イルメナイト構造)を有するタンタル酸リチウム単相薄膜の間の格子ミスマッチを段階的に緩和するなどの手法を採用することができる。
【0046】
中間膜の製膜法としては、CVD法、スパッタリング法、MBE法などを採用することができる。
【0047】
CVD法によりタンタル酸リチウム膜を製膜する場合、Li/(Li+Ta)の原子比で0.35〜0.48の範囲内にあるLiTaO3と同一の結晶相単相のタンタル酸リチウムであることが好ましい。原子比が0.48より大きいと、高結晶性のタンタル酸リチウム(LiTaO3)上層を形成するための中間膜として機能しない。原子比が0.35より小さいと、単相のタンタル酸リチウムではなくなるといった欠点がある。
【0048】
CVD法によりLi/(Li+Ta)の原子比で0.35〜0.48の範囲内にあるLiTaO3と同一の結晶相単相のタンタル酸リチウム膜を製膜する場合、製膜温度は500〜900℃の範囲内にあることが好ましい。製膜温度が900℃より高いと、含まれているLiが比較的反応性が高い元素であるため、Al2O3層との間での反応を誘起するといった欠点がある。製膜温度が500℃より低いと、LiTaO3中間層の結晶性の低下という欠点がある。
【0049】
目的とするエピタキシャル膜としては、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、あるいはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜などを採用することができる。
【0050】
エピタキシャル膜の製膜法としては、CVD法、スパッタリング法、MBE法などを採用することができる。
【0051】
CVD法によりエピタキシャル膜としてのLiTaO3膜を製膜する場合、製膜温度は500〜900℃の範囲内にあることが好ましい。製膜温度が900℃より高いと、上層(目的とするエピタキシャル薄膜)と中間層(LiTaO3層やAl2O3層を含む)との反応を誘起するといった欠点がある。製膜温度が500℃より低いと、目的のLiTaO3層の結晶性の低下や、製膜速度が低下するといった欠点がある。
【0052】
CVD法によりLiTaO3膜を製膜する場合、Li原料としては、Li(DPM)(Li(C11H19O2))、Li-C4H9(ブトキシリチウム)などのリチウムのアルコキシドなどを採用することができる。
【0053】
CVD法によりLiTaO3膜を製膜する場合、Ta原料としては、Ta(OEt)5(タンタルペンタエトキシド)などのタンタルアルコキシドなどを採用することができる。
【0054】
CVD法によりLiTaO3膜を製膜する場合、原料中にLiとTaを同時に含んだLiTa(O-C2H5)4(O-C2H4OCH3)2などの原料を採用することができる。
【0055】
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【実施例1】
【0056】
つぎに、本発明にかかる第1の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0057】
本実施例では、最初にSi(100)基板上にYSZ薄膜を製膜し、その上にCr2O3薄膜を製膜した。製膜には、PLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いた。PLD法は、高強度のパルスレーザーをターゲット(target)と呼ばれる目的物質を焼結した固体表面に照射し、そこから放出されるイオンや原子を対向した位置に設置した基板上に堆積させるという製膜方法である。PLD装置において、パルスレーザーにはKrF Excimer LaserあるいはYAG Laserを用いた。レーザーはtarget表面で焦点を結ぶように調整されている。チャンバー内はTMP(ターボ分子ポンプ)により高真空にすることができ、最高真空到達度は1.0×10-6Torrである。また酸化物薄膜などを製膜するためにMFC(マスフローコントローラー)によってチャンバー内に酸素を導入することができる。targetに対向する位置には基板を設置することができる。基板ホルダーの裏側には赤外線ランプがあり、Si基板でおよそ800℃の基板表面温度まで加熱することができる。またレーザーのエネルギーは最高で200mJ/pulseまでの範囲で調節ができる。パルス幅は1Hzから20Hzの範囲で調節ができる。
【0058】
本実施例で使用したtargetは、Y2O3(イットリア)を8%添加したYSZの焼結体と、酸化クロム(Cr2O3)の焼結体である。
主な製膜条件は表1に示すとおりである。
【0059】
【表1】

【0060】
得られた試料は、膜厚を触針式膜厚計で、表面粗さは原子間力顕微鏡AFMで、結晶構造を反射高速電子線回折装置RHEEDと薄膜X線回折装置により薄膜の結晶相、結晶性を評価した。
【0061】
PLD法により得られたCr2O3/YSZ/Si(100)のX線回折測定の結果を図1に示す。図2に極点図の測定結果を示す。これらの結果より、Si(100)基板上にYSZ薄膜とCr2O3薄膜がエピタキシャル成長したことがわかる。
【0062】
YSZはSiと非常に格子整合性が良く、Si(100)基板上に極く薄いSiO2層を介して結晶性の良いエピタキシャル成長をさせることができることが知られている(C.-Hua Chen, N.Wakiya, A.Saiki, K.Shinozaki and N.Mizutani、”Thickness and Roughness Analysis on YSZ/Si(001) Epitaxial Films with Ultra Thin SiO2 Interface by X-Ray Reflectivity”, Key Engineering Materials, 181-182, 121-124 (2000))。Cr2O3薄膜はc軸方向にエピタキシャル成長した。基板面内の対称性は12回対称となっている。Cr2O3はコランダム構造をとり、空間群R3cであることから、単結晶は6回対称となる。したがってYSZに対して2種類の面内配向をとりながら成長したことがわかる。
ここまでで得られたバッファー層の模式図を図3に示す。
【0063】
つぎにこの試料Cr2O3/YSZ/Si(100)に対してCVD法によりAl2O3を製膜した。
CVD法に用いた装置は、図4に示すとおりである。Al原料であるTMAは気化圧力が高く、直接、気化した後、Arガスで希釈する。酸化剤である酸素も同様にArガスで気化し、ともに横型チャンバーに導入する。基板はインコネル製のサセプター上にセットし、誘導加熱式のコイルで加熱される。Alは極めて酸化されやすいことから、チャンバー全体を加熱すると、気相中でAl原料が酸化されてしまい、非晶質で不均質な薄膜が形成されることが多い。そこで、本CVD装置は横型にして、誘導加熱方式でサセプターの極く近傍だけを加熱している。このため、基板表面付近でAlの分解と酸化が起きることから、α-Al2O3の結晶化に有効である。
【0064】
製膜条件は表2に示すとおりである。その時のAl2O3の製膜速度は約800nm/hである。
【0065】
【表2】

【0066】
得られた試料は、膜厚を触針式膜厚計で、表面粗さは原子間力顕微鏡AFMで、結晶構造を反射高速電子線回折装置RHEEDと薄膜X線回折装置により薄膜の結晶相、結晶性を評価した。
【0067】
アルミナ製膜前と製膜後のXRD(2θ-θscan)の測定結果を図5に示す。XRD(逆格子空間マッピング)の測定結果を図6に示す。XRD(Phi scan)の測定結果を図7に示す。これらの結果よりα-Al2O3はc軸にエピタキシャル成長したことがわかる。
【0068】
この結果はつぎのように解釈することができる。コランダム構造であるCr2O3とAl2O3は、格子定数の整合性は表3に示すように格子整合性がそれほど良くは無い。しかし共にコランダム構造であるため格子パターンの整合性自体は極めて良い。さらに両者は固溶体を形成することができるので、Al2O3/Cr2O3界面で固溶体が形成され、格子定数の整合性の悪さが解消されている可能性がある。基板温度は約1050℃程度と低いため、固溶体が存在しているとしてもごく微量であると推測される。そのため図5のAl2O3(0 0 12)、とCr2O3(0 0 12)の中間点を詳細にscanしてもc格子定数の接近や固溶体のピークは確認出来なかった。
【0069】
【表3】

【0070】
以上のことから、Si(100)単結晶基板上にYSZを<100>方向にエピタキシャル成長させた試料に対して、PLD法によりCr2O3を製膜すると、c軸方向にエピタキシャル成長した。面内では12回対称の配向性を示した。さらにその試料に対してCVD法により基板温度約1050℃でAl2O3を製膜すると、c軸方向にエピタキシャル成長した。面内では12回対称の配向性を示した。Cr2O3とAl2O3は配向性が完全に一致していることから、Al2O3がc軸方向にエピタキシャル成長したのはCr2O3がc軸方向にエピタキシャル成長していたからであるという可能性が強い。またこのような結果となった原因は、Cr2O3とAl2O3が共にコランダム構造であり格子のc面のパターンが酷似していること、両者は固溶体を形成することができることが挙げられる。数ある多形の中からα-Al2O3を製膜するために、Cr2O3バッファー層は有効であることが強く示唆された。
α-Al2O3/Cr2O3/YSZ/Si(100)の模式図は図8に示すとおりである。
【実施例2】
【0071】
つぎに、本発明にかかる第2の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0072】
本実施例では、CVD法を用いてLiTaO3をα-Al2O3上に製膜した。CVD装置において、基板として片面研磨の信光社製α-Al2O3(001)基板を用いた。表4に、使用した基板データを示す。
【0073】
【表4】

【0074】
表5に主な実験条件を示す。なお、基板温度は基板にK(CA)熱電対をアロンセラミックスで接着して測定した値を指す。
【0075】
【表5】

【0076】
製膜温度を変化させて、結晶相の同定および組成の確認を行った結果、図9のような関係を得た。これより、基板温度が575℃〜650℃の間では、LiTaO3の組成比をほぼ一定で定比に近い状態を作ることができることが分かった。なお、このときの気化圧力は、表5に示した条件の中で、Liが50Torr、Taは35Torrである。
【0077】
製膜温度を変えることで組成を変化させることができ、上記の気化条件下でLi/Ta≒1にするには625℃程度が最適温度であることが分かった。このことを利用して、作製された2種類の薄膜の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope,TEM)による観察を行った。作製したLiTaO3は、(1)製膜温度625℃で組成比がLi/Ta=49.0/51.0、膜厚200nm、(2)製膜温度690℃で組成比がLi/Ta=42.0/58.0、膜厚100nmの2種類である。 これらの薄膜の膜厚方向の面間隔を示すθ-2θscanおよび薄膜の面内配向を示す極点図形φ-scanの結果を図10と図11に示す。
【0078】
このグラフより、(1)には2θ=32.8°にLiTaO3(10-14)からのピークがわずかにあることが確認できるが、(2)にはLiTaO3(0006)以外からの異方ピークは検出されなかった。 また、 これらのφ-scanの結果より、(1)および(2)の試料は共にエピタキシャル成長していることが分かる。本来は3回対称となるべきものだが、6回対称になっているのは双晶を形成しているからである。これは、結晶学的観点からは単結晶ではないことになるが、 180°の回転結晶のみであり、広義のエピタキシャル薄膜と言える。
【0079】
これらの試料それぞれの断面TEM像を図12と図13に示す。(1)の試料の図12から、表面に50nm程度の突起状(hillock)成長した部分が観察された。 (1)の試料では10〜20nmは大きい粒として初期成長が始まるが、膜厚を増すとその成長が円錐状になっていく成長と粒が円柱状に成長しているものが混ざっているのに対し、(2)の試料では初期の膜形成からはっきりと円柱状ではるものの均一に成長が起こっていることが分かる。さらに(1)では、初期の成長段階で求めているc軸方向と異なる方位に成長する粒が現れ始め、その付近が最終的に大きく円錐状にhillockとして表面に突起状成長をしているように観察できる。
【0080】
そこで、高い温度で組成をずらして作製する非化学量論組成LiTaO3薄膜をバッファー層としてα-Al2O3上に導入し、その上に化学量論組成LiTaO3薄膜を作製する2段階製膜を試みた。これによって、良い結晶性で上に作製するLiTaO3とまったく同じ結晶をエピタキシャルで平滑に作製することで不要なピークを除去し、その上に求める組成の薄膜をホモエピタキシャル成長させることを狙う。
【0081】
製膜では、条件を調整し、LiTaO3をほぼ組成比Li/Ta=50/50で作製できる条件において、 製膜温度689℃で初期の被覆を5分で行った。 ここで狙っているのは、非化学量論組成のLiTaO3構造(擬イルメナイト構造)タンタル酸リチウム薄膜の作製である。つぎに、Li/Ta=50/50で作製できる条件において、製膜温度628℃で実際にほしい組成の製膜を行った。ここの製膜時間は膜厚によって異なるが、20分〜60分程度で行った。
【0082】
また、このときの初期の5分の製膜のみを行った試料を作製し、その結晶性と表面状態を評価した。測定は、通常のX線回折法である2θ-ωscan、LiTaO3(0006)におけるω-scan(ロッキングカーブ)、原子間力顕微鏡(AFM)による表面の観察を行った。
【0083】
まず、X線の2θ-ωscanから、このバッファー層には不要なピークが現れなかった。また、(0006)面からのピークでのω-scanを測定したところ、その半値幅は著しく小さく、FWHM=8.1(秒、arcsecond、以下[″]と表す)以下程度であった。これは、X線回折装置の光学系発散から想定される発散角程度であると考えられ、ピークはほぼ単結晶に匹敵するレベルと考えられる。実際の単結晶からはこのように著しく強くシャープなピークが得られ、それを多重散乱と呼んでいるが、本結果はそれと同様のものと考えられる。つぎに、AFMから得られる像では、TEMで観察されたような突起は見られず、狙っていた異なる組成の薄膜ができていると考えられる。このときのrms表面粗さは、0.380±0.01nm程度と非常に小さく、実際に使用しているα-Al2O3基板の表面粗さよりも平滑になった。
【0084】
つぎに、この上にLi/Ta=50/50を狙って2段階目の製膜を行った2θ-ωscan、ω-scanおよび極点図を図14に示す。なお、極点はα-Al2O3(01-12)(2θ=25.318°)とLiTaO3(01-12)(2θ=23.660°)から測定したものである。
【0085】
このとき、やはりθ-2θscanからはc面以外からの回折ピークは観測されず、また (0006)面での基板に対して垂直方向からの揺らぎ測定(ω-scan)のFWHM=11″と非常に小さい値を示した。また、AFMからもTEMで観察された突起は観察されず、平滑さは保たれた状態であった。表面粗さ(rms)は、およそ0.700±0.02nm程度で、この薄膜の組成はLi/Ta=50.0/50.0であった。膜厚は110nm程度であった。バッファー層表面と比べて、平滑さは少し悪化したが、AFMによる観察とTEM観察の両方から判断して、粒界と粒界の長さ(横方向の粒径)は7〜80nm程度で非常に細かいことが分かる。
【0086】
つぎに、MRD高分解能2θ-ω scanによる測定を行った。ここでは、まずバッファーのみの2θ-ωscanによる測定を行った。その結果、2θとωの精度を最大にしているので強度が非常に弱い(本質的には膜厚が10nm以下であることも寄与する)。このときの条件は、 continuous scanでstep sizeを0.0005°、time per stepを1secとした。
【0087】
また、バッファー層に続いて2段階目の製膜を行ったものの2θ-ωscanの結果が図15である。これより、MPDでのscanでは検出できなかったピークが検出できた。このピークをLorentz関数でフィッティングした結果、小さいピークは2θ=39.1412°(c=1.3797[nm])、 大きいピークは2θ=39.2827°(c=1.3750[nm])であった。大きいピーク位置は測定した3つのサンプルすべてで同位置であったが、小さいピークはサンプルによって多少位置が異なることが分かった。これは、非化学量論組成LiTaO3のバッファー層としての役割は、特定の組成でなくても担えることを示している。ここで示したω-scanのそれぞれの半値幅はFWHM=11.16(″)、FWHM=10.44(″)となって、いずれも単結晶の結晶性に匹敵する。これとバッファー層のみでの2θ-ωscanの結果より、やや低角側に現れているピークは組成がずれて作製されたバッファー層に起因し、大きいピークは正しい組成で作製されたLiTaO3に起因すると考えることができる。
【0088】
また、 c軸以外の軸(例えばa軸)の大きさがどのようになっているかを判断するため、 X線によって(20-22)面からの反射を測定し、その2θの値の大小関係を見出した。これによって、小さいピークの方が低角度側に現れたことから、c軸同様にa軸も定比LiTaO3よりも大きくなっていることが分かった。これより、バッファーとしての非化学量論組成LiTaO3のサイズは、どの軸をとっても大きくなっていることが分かった。
【0089】
2段階製膜による高品質化のメカニズムを説明する。精密2θ-ωscanによって検出された低角側に観察されるピークは擬イルメナイト構造を持つLiTaO3と同じ結晶系であると考えられるが、実際の基板との格子定数で考えると、LiTaO3よりも格子定数がずれている。しかし、この層を数nm〜10数nmバッファー層として導入することで、確かに実験的に不要な異方面の成長を抑えることに成功した。これは、以下のようなことが考えられる。
【0090】
まず、Li欠陥した非化学量論組成LiTaO3バッファー層の結晶格子が大きくなっていたことに関して、LiTaO3の不定比時において、Li原子があるべきサイトから欠落していると、電荷を補償するためにTaの価数が減少して+5から+4や+3に変化することが考えられる。イオン半径(シャノン)で考えると、 それぞれ6配位の状態で、+3は0.72オングストローム、+4は0.68オングストローム、+5は0.64オングストロームであるから、それによって結晶全体が大きくなることが予期できる。もしくは、Li欠陥モデルやTa欠陥モデルのようにLiサイトやTaサイトに欠陥が生じる。欠陥が生じると、その周辺に配位するはずであったO2-が反発することで格子を大きくする方向にゆがめることになる。このように、バッファー層の非化学量論組成LiTaO3は本来のLiTaO3よりも大きくなると考えられる。
【0091】
つぎに、製膜温度における格子ミスマッチを考慮しなくてはならない。バッファー層は製膜温度690℃付近であり、そのときのα-Al2O3のa,b軸の格子定数はa=b=4.7613である。 一方、一般的に与えられているLiTaO3のデータでの熱膨張係数から計算される690℃におけるLiTaO3のa,b軸の長さはa=b=5.1547となる。また、定比で作製するLiTaO3の格子定数a,bは、製膜温度625℃においてはa=b=5.1546となる。
【0092】
690℃における非化学量論組成LiTaO3のa,b軸がその温度でのα-Al2O3のa,b軸とほぼ等しくなりうるとすれば、その後に製膜される化学量論組成LiTaO3のホモエピタキシャル成長は促されると言える。これが満たされるためには、バッファー層の非化学量論組成LiTaO3がα-Al2O3に合うように変化することが必要であるが、単結晶についての研究からLi欠損していると格子自体の弾性が小さく、その格子形状はある程度フレキシブルに変化できる可能性が高いことが報告されている(J.Kushibiki et al., J.Appl.Phys., 91 [10] 6341 (2002))。前述のイオン半径の値(6配位の+5で0.64オングストローム)を考えると、欠損したLiやTaの半径分、その周辺の影響を受けないスペースができることになり、α-Al2O3にあわせて0.4オングストローム程度はゆがむことができると考えられる。つまり、α-Al2O3のa軸の長さから本来とり得るa軸の長さまでのフレキシビリティがある状態で製膜される。しかし、室温まで戻すと、Li欠損によって酸素イオン同士の反発が強いために、a,b軸の長さが長くなるものと考えられる。このように考えると、初期製膜温度においてはLi欠損しているためにLiTaO3がα-Al2O3に合わせてエピタキシャル成長し、その後の製膜温度においては完全に化学量論組成LiTaO3のホモエピタキシャル成長が促されることが理解できる。これを図にすると、図16のようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶基板上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、
前記エピタキシャル膜は、αアルミナ膜またはCr2O3膜である
積層膜。
【請求項2】
単結晶基板は、Si単結晶、Ge単結晶またはGaAs単結晶である
請求項1記載の積層膜。
【請求項3】
中間膜は、上層と下層の2層からなる
請求項1記載の積層膜。
【請求項4】
下層は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)薄膜または酸化セリウム(CeO2)薄膜である
請求項3記載の積層膜。
【請求項5】
上層は、Cr2O3薄膜、またはAl2O3を添加したCr2O3薄膜である
請求項3記載の積層膜。
【請求項6】
単結晶基板上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する、積層膜の製膜方法であり、
前記エピタキシャル膜は、αアルミナ膜またはCr2O3膜である
積層膜の製膜方法。
【請求項7】
単結晶基板は、Si単結晶、Ge単結晶またはGaAs単結晶である
請求項6記載の積層膜の製膜方法。
【請求項8】
中間膜は、上層と下層の2層からなる
請求項6記載の積層膜の製膜方法。
【請求項9】
下層は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)薄膜または酸化セリウム(CeO2)薄膜である
請求項8記載の積層膜の製膜方法。
【請求項10】
上層は、Cr2O3薄膜、またはAl2O3を添加したCr2O3薄膜である
請求項8記載の積層膜の製膜方法。
【請求項11】
基層上に形成された中間膜と、前記中間膜上に形成されたエピタキシャル膜を有する積層膜であり、
前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である
積層膜。
【請求項12】
基層は、単結晶またはエピタキシャル膜からなる
請求項11記載の積層膜。
【請求項13】
単結晶からなる基層は、αアルミナ単結晶、Cr2O3単結晶、またはAl2O3とCr2O3の固溶体単結晶である
請求項12記載の積層膜。
【請求項14】
エピタキシャル膜からなる基層は、αアルミナ膜、Cr2O3単結晶薄膜、またはAl2O3とCr2O3の固溶体単結晶薄膜である
請求項12記載の積層膜。
【請求項15】
エピタキシャル膜からなる基層は、αアルミナ膜であり、
前記αアルミナ膜は、中間膜上に形成され、
前記中間膜は、単結晶基板上に形成される
請求項12記載の積層膜。
【請求項16】
基層上に中間膜を形成し、前記中間膜上にエピタキシャル膜を形成する、積層膜の製膜方法であり、
前記エピタキシャル膜は、LiTaO3薄膜、LiNbO3薄膜、またはそれらの固溶体(Li(Ta,Nb)O3)薄膜である
積層膜の製膜方法。
【請求項17】
基層は、単結晶またはエピタキシャル膜からなる
請求項16記載の積層膜の製膜方法。
【請求項18】
単結晶からなる基層は、αアルミナ単結晶、Cr2O3単結晶、またはAl2O3とCr2O3の固溶体単結晶である
請求項17記載の積層膜の製膜方法。
【請求項19】
エピタキシャル膜からなる基層は、αアルミナ膜、Cr2O3単結晶薄膜、またはAl2O3とCr2O3の固溶体単結晶薄膜である
請求項17記載の積層膜の製膜方法。
【請求項20】
エピタキシャル膜からなる基層は、αアルミナ膜であり、
前記αアルミナ膜は、中間膜上に形成され、
前記中間膜は、単結晶基板上に形成される
請求項17記載の積層膜の製膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−195396(P2011−195396A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65244(P2010−65244)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(304023318)国立大学法人静岡大学 (416)
【Fターム(参考)】