説明

空間光変調器、照明装置、露光装置およびそれらの製造方法

【課題】空間光変調器の特性を長期にわたって安定させる。
【解決手段】電極、静電力により電極に引き付けられて揺動する可動部、および、可動部に支持されて可動部と共に揺動する反射鏡をそれぞれが有する単位素子を複数実装された基板と、反射鏡の間から基板に向かって差し込む光を遮断する遮光層とを備える。上記空間光変調器において、遮光層は、反射鏡および基板の間に配されてもよい。また、上記空間光変調器において、遮光層は、反射鏡および可動部の間に配されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光変調器、照明装置、露光装置およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術により製造され、捩じりヒンジで支持されたミラーを静電力により駆動する電気機械変換器を備えた空間光変調器がある(特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開平09−101467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空間光変調器の構造物を支持する基板には、CMOS回路等の素子が実装される場合がある。この種の素子は、空間光変調器に照射される強い光を浴びると劣化が促進される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく、本発明の第一態様として、電極、静電力により電極に引き付けられて揺動する可動部、および、可動部に支持されて可動部と共に揺動する反射鏡をそれぞれが有する単位素子を複数実装された基板と、反射鏡の間から基板に向かって差し込む光を遮断する遮光層とを備える空間光変調器が提供される。
【0005】
また、本発明の第二態様として、上記空間光変調器を備えた照明装置が提供される。更に、本発明の第三態様として、上記照明装置を備えた露光装置が提供される。
【0006】
また更に、本発明の第四態様として、電極、静電力により電極に引き付けられて揺動する可動部、および、可動部に支持されて可動部と共に揺動する反射鏡をそれぞれが有する単位素子を複数実装された基板と、反射鏡の間から基板に向かって差し込む光を遮断する遮光層とを備える空間光変調器を製造する製造方法であって、電極および可動部を形成された基板の表面に、犠牲材料により第一下地層を形成する段階と、第一下地層の上に遮光層を形成する段階と、遮光層の上に、犠牲材料により第二下地層を形成する段階と、第二下地層の上に反射膜材料を堆積して反射鏡を形成する段階と犠牲材料の層を除去する段階とを備える製造方法が提供される。
【0007】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】空間光変調器100の外観を示す模式的な斜視図である。
【図2】単位素子200の分解斜視図である。
【図3】空間光変調器100の部分的な分解斜視図である。
【図4】駆動部220の平面図である。
【図5】単位素子200の断面図である。
【図6】単位素子200の断面図である。
【図7】空間光変調器100の部分的な断面図である。
【図8】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図9】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図10】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図11】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図12】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図13】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図14】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図15】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図16】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図17】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図18】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図19】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図20】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図21】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図22】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図23】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図24】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図25】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図26】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図27】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図28】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図29】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図30】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図31】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図32】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図33】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図34】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図35】空間光変調器100の製造過程を示す断面図である。
【図36】単位素子200の分解斜視図である。
【図37】単位素子200の断面図である。
【図38】単位素子200の断面図である。
【図39】空間光変調器100の斜視図である。
【図40】露光装置400の模式図である。
【図41】露光装置400における空間光変調器100の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、空間光変調器100の外観を示す模式的斜視図である。空間光変調器100は、基板210と、基板210上に二次元的に配列された複数の単位素子200を有する。単位素子200の各々は反射鏡230を備える。
【0011】
基板210上でマトリクスを形成する複数の反射鏡230は、それぞれ数μmから百数十μm程度の寸法を有し、基板210に対して個別に揺動させることができる。図示のように一部の反射鏡230が揺動して傾斜した状態で光を反射させると、反射光の照度分布が変化する。よって、反射鏡230の揺動を制御することにより任意の照度分布を形成できる。
【0012】
図2は、単一の単位素子200の模式的な分解斜視図である。単位素子200は、空間光変調器100において、1枚の反射鏡230毎に形成される構造物であり、空間光変調器100においては複数の単位素子200が互いに同様の構造を有する。また、空間光変調器100においては、隣接する単位素子200の要素の一部が互いに連続している場合もある。
【0013】
単位素子200は、基板210の上に搭載される駆動部220および遮光部240と、駆動部220に搭載される反射鏡230とを有する。基板210の表面には、複数の電極212、214、216が配される。
【0014】
駆動部220は、脚部221、固定枠222および可動部226を有する。脚部221は、基板210に向かって図中下方に延在して、固定枠222を基板210の表面から持ち上げた状態で支持する。脚部221の下端は、基板210上で、電極216の上に固定される。空間光変調器100では、多数の単位素子200が設けられるが、電極216は空間光変調器100全体で共通な基準電位、例えば接地電位に接続される。
【0015】
固定枠222は、単位素子200の外周に沿って方形の中空の枠をなす。固定枠222の内周縁部には、下方に向かって延在するリブ225が形成され、固定枠222の曲げ剛性を向上させる。
【0016】
可動部226は、下方に向かって延在するリブ225を周縁部に備え、高い曲げ剛性を有する。また、可動部226は、固定枠222の内側の面から捩じり軸部224を介して支持される。即ち、捩じり軸部224の一端は、固定枠222の内面に対して固定される。捩じり軸部224の他端は、可動部226の周縁部に結合される。
【0017】
捩じり軸部224は、弾性的に捩じり変形するので、可動部226は、捩じり軸部224を揺動軸として基板210に対して揺動する。しかしながら、可動部226は、リブ225により高い曲げ剛性を有するので、それ自体は変形し難い。
【0018】
なお、リブ225は、可動部226の外方に向かって広がったフランジ様の部分を有する。これは、後述するように、薄膜により形成されたリブ225を含む層をパターニングする場合に残る領域で、無くてもよい。しかしながら、可動部226の剛性を低下させるものではなく、むしろ向上させる場合もあるので残してもよい。これにより、パターニングの精度を著しく高くすることが避けられるので生産性向上にも寄与する。
【0019】
固定枠222が基板210に対して固定された場合、基板210上の一対の電極212、214は、図中に点線で示すように、可動部226の縁部近傍に位置する。よって、可動部226の下面と、電極212、214とは、互いに対向する。
【0020】
反射鏡230は、上面に反射率の高い反射面234を有する。反射面234は、薄膜として堆積された金属、例えばアルミニウム薄膜により形成される。反射鏡230の下面中央には、下方に向かって突出したポスト232が配される。
【0021】
ポスト232は、図中に点線で示すように、可動部226の略中央に固定される。これにより、可動部226が基板210に対して揺動した場合、反射鏡230も可動部226と共に揺動する。
【0022】
このように、駆動部220と反射鏡230とを個別に形成できる構造を有するので、それぞれの機能に適した構造と材料を選択できる。また、駆動部220の面積よりも大きい面積の反射面234を形成できるので、反射効率の高い単位素子200を形成できる。
【0023】
遮光部240は、水平な遮光面244と、遮光面244の四隅から下方に延在する脚部242とを有する。脚部242の下端は、駆動部220の脚部221の内側に配され、遮光面244を、反射鏡230の裏面と駆動部220との間に支持する。遮光部240は、空間光変調器100が稼働する場合に照射される光を透過しない材料により形成される。
【0024】
図3は、空間光変調器100の部分的な分解斜視図である。図示のように、空間光変調器100においては、共通の基板210の上で、個々の単位素子200の周囲に、他の単位素子200が配される。
【0025】
このため、単位素子200の各々における駆動部220および遮光部240は、それぞれの脚部221、242を、隣接する単位素子200と兼用する。また、駆動部220における固定枠222と、遮光部240における遮光面244も、隣接する単位素子とつながる。
【0026】
よって、空間光変調器100においては、複数の駆動部220が、連続したひとつの膜により形成され得る。また、複数の遮光部240が、連続したひとつの膜により形成され得る。
【0027】
図4は、図3に示した駆動部220の平面図である。後述する図5および図6に示す断面図は、図2に示すA−A方向またはB−B方向の断面を示す断面図ではあるが、単位素子200を単純な平面で切った断面を示す図ではない。なお、図4において、一点鎖線は単位素子200の区切りを示す。
【0028】
即ち、図5に示す断面は、図4に点線Aで示すように、駆動部220における脚部221、捩じり軸部224および可動部226をすべて通過する面で単位素子200を切った様子を、A−A方向と直交する方向から見た様子を示す図である。また、図6に示す断面は、図4に点線Bで示すように、駆動部220における脚部221および可動部226を両方通過する面で単位素子200を切った様子を、B−B方向と直交する方向から見た様子を示す図である。
【0029】
図5は、単位素子200の模式的断面図である。単位素子200は、固定枠222および遮光部240を基板210に固定し、反射鏡230を可動部226に固定した状態で、図2および図4に示したA−A方向の断面を示す。ただし、図5では、説明の便宜を図り、既に説明した通りに、脚部221と可動部226とが両方現れる仮想の断面を示す。図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0030】
図示のように、可動部226は、下面に電極228を有する。電極228は、基板210上の電極212と対向する。
【0031】
また、可動部226は、縁部から下方に延びたリブ225を有する。これにより、可動部226は、高い曲げ剛性を有する。一方、捩じり軸部224は、リブ225に相当する要素を有していない。よって、可動部226に駆動力が作用した場合、捩じり軸部224が弾性変形して、可動部226は変形することなく揺動する。
【0032】
図6は、単位素子200模式的の断面図であり、図2および図4に示したB−B方向の断面を示す。ただし、図6では、説明の便宜を図り、既に説明した通り、脚部221と可動部226とが両方現れる仮想の断面を示す。図2および図5と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0033】
図示のように、B−B方向の断面において、固定枠222および可動部226の間には、捩じり軸部224の長さに相当する間隙が形成される。この間隙の下方には、基板210の表面が露出する。
【0034】
また、基板210上の一対の電極212、214のそれぞれは、可動部226の端部近傍に対向する。よって、電極212、214のいずれかに駆動電圧を印加した場合、電極228のいずれかの端部に静電力が作用する。
【0035】
既に説明した通り、可動部226は、捩じり軸部224により固定枠222に結合されている。よって、電極212、214のいずれかから電極228に静電力が作用した場合、可動部226は、捩じり軸部224を揺動軸として揺動する。従って、可動部226に対して固定された反射鏡230も揺動する。
【0036】
なお、図示の例では、電極214に駆動電圧が印加され、電極228の図中右側が、基板210の方に引き付けられる。これにより、反射鏡230の反射面234は右方に傾く。
【0037】
再び図1を参照すると、反射鏡230のそれぞれに設けた上記のような構造に対して駆動電力を個別に供給または遮断することにより、複数の反射鏡230のそれぞれを個別に制御できる。よって、空間光変調器100にいったん反射させることにより任意の照射パターンを形成でき、可変光源、露光装置、画像表示装置、光スイッチ等として使用できる。
【0038】
図7は、複数の単位素子200を含む空間光変調器100の断面図である。図7も、図5および図6と同様に、脚部221と可動部226とが両方現れる仮想の断面を示す。図5および図6と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0039】
空間光変調器100において、遮光部240の遮光面244は、固定枠222よりも、各単位素子200の内側まで延在する。これにより、遮光面244は、固定枠222および可動部226の間で、捩じり軸部224が無い領域に形成された間隙の上方を覆う。これにより、遮光面244は、反射鏡230の間を通過して基板210に向かって差し込む光を遮断する。
【0040】
なお、基板210上で遮光部240が遮光していない領域は、反射鏡230または駆動部220により覆われている。よって、空間光変調器100に向かって照射された光が基板210に照射されることはない。これにより、基板210に形成されたCMOS回路等が光に暴露されることが防止され、空間光変調器100を長寿命化すると共に、特性を長期にわたって安定させる。
【0041】
図8から図35までは、図1から図6までに示した空間光変調器100の製造過程を、ひとつの単位素子について示す断面図である。なお、図8から図35も、図5および図6と同様に、脚部221と可動部226とが両方現れる仮想の断面で描かれる。
【0042】
また、図8から図35までに示すのは作製過程なので、単位素子200の対応する要素が異なる形状または状態で含まれている場合がある。そこで、これらの図について固有の参照番号を付与して各図の内容を説明した上で、図35において、図1から図7までに示した空間光変調器100との対応関係を示す。
【0043】
図8に示すように、空間光変調器100が形成される基板210の表面直上に、下側の絶縁層312を堆積する。これにより、基板210の表面は絶縁層312により覆われる。
【0044】
基板210の材料としては、シリコン単結晶基板の他、化合物半導体基板、セラミックス基板等、平坦な表面を有する部材を広く使用できる。絶縁層312の材料としては、例えば、基板210の材料の酸化物、窒化物等を使用できる。また、絶縁層312は、誘電率の高い多孔質体であってもよい。絶縁層312の成膜方法としては、絶縁層312の材料に応じて、各種の物理気相析出法、化学気相析出法から適宜選択できる。
【0045】
次に、図9に示すように、絶縁層312の上に、パターニングした導体層320を形成する。導体層320は、空間光変調器100において、電極211、212、213、216となる。導体層320の材料としては、アルミニウム、銅等の金属を例示できる。導体層320の成膜方法としては、導体層320の材料に応じて、各種の物理気相析出法、化学気相析出法、鍍金法等から適宜選択できる。
【0046】
次に、図10に示すように、導体層320の表面および導体層320のパターンの間隙に露出する下側の絶縁層312の表面全体を、上側の絶縁層314により被覆する。このとき、上側の絶縁層314の下に導体層320が存在するか否かに応じて、上側の絶縁層314の表面には起伏が生じる。
【0047】
次に、図11に示すように、上側の絶縁層314の表面に形成された起伏をレジスト層332により平坦化する。これにより、平坦な下地の上で、以下に説明する工程を実行できる。なお、レジスト層332の塗布は、スピンコート法、スプレイコート法等を適宜選択できる。
【0048】
次に、図12に示すように、後述する非反射膜の成膜下地が形成される。成膜下地は2層からなり、図12に示す段階では、平坦化された絶縁層314上に、下側のレジスト層334が形成される。レジスト層334は、レジスト材料の塗布、プリベイク、露光、現像、ポストベイク等を順次実行することによりパターニングされて、側壁335を形成される。
【0049】
次に、図13に示すように、下側のレジスト層334の上に、上側のレジスト層336が形成される。レジスト層336もパターニングされ、下側のレジスト層334の側壁335の上方にそれぞれ側壁337を、それとは別に更に2対の側壁339が形成される。これにより、上側のレジスト層336の表面から見ると、浅い側壁339と、深い側壁337、335とが形成される。
【0050】
これら下側および上側のレジスト層334、336は、フォトリソグラフィによりパターニングできる。即ち、レジスト層334、336を感光性材料により形成して、設計仕様に従ったパターンで露光することにより、レジスト層334、336を要求に応じた形状に成形できる。また、プラズマエッチング等のドライエッチングの手法により、レジスト層334、336を加工してパターニングしてもよい。
【0051】
次に、図14に示すように、絶縁層314およびレジスト層334、336により形成された成膜下地全体の上に、非導体層342が堆積される。形成された非導体層342は、レジスト層334、336の形状に倣って立体的な形状を有する。これにより、形成された非導体層342を含む薄膜の構造物は、高い断面二次モーメントを有する。なお、非導体層342およびレジスト層334、336の間には、離型剤等の他の層が挟まる場合がある。
【0052】
非導体層342の材料としては、各種酸化物、窒化物を使用できる。また、非導体層342を形成する方法としては、非導体層342の材料に応じて、各種の物理気相析出法、化学気相析出法から適宜選択できる。
【0053】
次に、図15に示すように、側壁335、337の内側底部において非導体層342を除去して、導体層320に到達するコンタクトホール315を形成する。コンタクトホール315は、例えば、ドライエッチングにより形成できる。
【0054】
次に、図16に示すように、非導体層342の上に導体層344が形成した上でこの導体層344をパターニングすることにより、2つの領域を含む導体層344が形成される。2つの領域のひとつは、コンタクトホール315の内側から側壁335、337の上端に到達する一対の柱状の構造物であり、基板210表面の導体層320に導通する。2つの領域の他方は、側壁339に挟まれたレジスト層336のランド上に形成された平坦な導体層となる。
【0055】
次に、図17に示すように、非導体層342および導体層344の表面全体を覆う導体層346が形成される。これにより、パターニングされた導体層344は、導体層346により電気的に結合される。導体層346の材料は、導体層344の材料と同じであっても、異なっていてもよい。
【0056】
次に、図18に示すように、導体層346の表面全体を覆う上側の非導体層348が形成される。上側の非導体層348は、導体層344、346の下側に位置する非導体層342と、少なくとも熱膨張率が同じ材料により形成することが好ましい。成膜方法も、下側の非導体層342と同じ方法で成膜できる。
【0057】
これにより、互いに同じパターンと形状を有する、下側の非導体層342、導体層344、346および上側の非導体層348により3層構造の非反射膜340が形成される。なお、非反射膜340の表面は、反射膜の材料には向かない非導体層342、348が現れているので、3層構造全体を非反射膜340と呼んでいる。しかしながら、後述する反射膜と区別する目的で非反射膜340と記載しているに過ぎず、非反射膜340の光学的な特性を限定しているわけではない。
【0058】
ここで、非反射膜340は、表裏に同じ材料で形成された非導体層342、348を有するので、温度変化により導体層344、346および非導体層342、348の間で生じるバイメタル効果が打ち消される。これにより、非反射膜340の形状が安定する。また、非反射膜340全体としては、後述する反射膜と同じ材料を用いて形成されているので、反射膜との熱膨張率差も生じない。
【0059】
次に、図19に示すように、非反射膜340の一部が除去される。ただし、図中に現れていない捩じり軸部224に相当する領域では、非反射膜340は除去されるない。これにより、駆動部220の形状が形成される。これにより、非反射膜340の両端において、非反射膜340の下層に位置するレジスト層334が露出される。非反射膜340は、ドライエッチングによりパターニングできる。
【0060】
なお、図12、図13に示したように、複数のレジスト層334、336を用いて形成した立体的な成膜下地の上に形成された非反射膜340は、薄膜により形成された質量の小さな構造物でありながら、立体的な形状により高い断面二次モーメントを有する。よって、剛性が高く、機械的な特性が安定する。
【0061】
次に、図20に示すように、非反射膜340の上面、即ち、非導体層348の表面全体を、レジスト層352により平坦化する。これにより、再び平坦な下地の上で、以下に説明する工程を実行できる。なお、レジスト層332の塗布は、スピンコート法、スプレイコート法等を適宜選択できる。
【0062】
次に、図21に示すように、レジスト層352、334をパターニングして縁部近傍の領域を除去する。これにより、レジスト層352、334が除去された領域では、上側の絶縁層314の表面が露出する。
【0063】
次に、図22に示すように、レジスト層352、334および絶縁層314の表面全体に、反射膜材料層372を堆積させる。なお、反射膜材料層372およびレジスト層352、334の間には、離型剤等の他の層が挟まる場合がある。更に、図23に示すように、反射膜材料層372の層の表面に非反射膜材料層374を堆積させ、次いで、図24に示すように、非反射膜材料層374の表面に反射膜材料層376を堆積させる。
【0064】
こうして、レジスト層352、334および絶縁層314の表面全体に遮光膜370が形成される。なお、反射膜材料層372、376および非反射膜材料層374の形成方法としては、材料に応じて、各種の物理気相析出法、化学気相析出法から適宜選択できる。
【0065】
また、反射膜材料層372、376の材料としては、アルミニウム、銅等の金属材料を使用できる。また、非反射膜材料層374の材料としては、多くの窒化物、酸化物を使用できる。よって、非反射膜340と同じ材料を用いてもよい。
【0066】
次に、図25に示すように、遮光膜370をパターニングして、遮光膜370の一部を除去する。こうして、基板210の直上から、非反射膜340の上方に迫り出した遮光膜370の形状が形成される。
【0067】
なお、遮光膜370も、非反射膜材料層374を挟む反射膜材料層372、376を有するので、非反射膜材料および反射膜材料の熱膨張率差に起因するバイメタル効果が打ち消される。よって、遮光膜370の形状は、熱履歴に対して安定する。
【0068】
また、遮光膜370は光を遮断する機能を求められるに過ぎず、その表面の光学的特性は限定されない。従って、上記の例とは逆に、反射膜材料を一対の非反射膜材料により挟む構造としてもよい。
【0069】
次に、図26に示すように、形成された遮光膜370および露出したレジスト層352の表面に犠牲材料が堆積される。これにより、平坦な成膜下地となるレジスト層354が形成される。
【0070】
次に、図27に示すように、レジスト層352、354が合わせてパターニングされる。これにより、レジスト層352、354の略中央には、非反射膜340まで到達する側壁353を有するホールパターンが形成される。
【0071】
次に、図28に示すように、下側のレジスト層354の上に、2層構造のうち上側のレジスト層356が形成される。上側のレジスト層356もパターニングされており、下側のレジスト層354の側壁353の上方に形成された側壁355と、側方両端近傍に形成された側壁357とを有する。こうして、レジスト層354、356により、立体的な成膜下地が形成される。
【0072】
次に、図29に示すように、レジスト層354、356の表面全体に、反射膜材料層362が形成される。このとき、側壁353の内側では、反射膜材料層362が、非反射膜340の表面に結合される。なお、反射膜材料層362およびレジスト層354、356の間には、離型剤等の他の層が挟まる場合がある。
【0073】
反射膜材料層362の形成に用いる反射膜材料としては、例えばアルミニウム等の金属材料を例示できる。また、反射膜材料として、非反射膜340の導体層344、346と同じ材料を用いてもよい。反射膜材料層362の形成方法としては、反射膜材料層362の材料に応じて、各種の物理気相析出法、化学気相析出法から適宜選択できる。
【0074】
次に、図30に示すように、反射膜材料層362の表面全体に、非反射膜材料層364を堆積させる。非反射膜材料層364を形成する非反射膜材料としては、非反射膜340の非導体層342、348と同じ材料を用いてもよい。非反射膜材料層364の形成方法としては、非反射膜材料層364の材料に応じて各種の物理気相析出法、化学気相析出法から適宜選択できる。
【0075】
次に、図31に示すように、反射膜材料層362および非反射膜材料層364の一部が除去され、反射鏡230の外形状に形成される。これにより、反射膜材料層362および非反射膜材料層364の両側端において、反射膜材料層362の下層に位置するレジスト層354が露出される。反射膜材料層362および非反射膜材料層364は、ドライエッチングによりパターニングできる。
【0076】
次に、図32に示すように、非反射膜材料層364の表面と、露出したレジスト層354の表面との上に、反射膜材料層366が堆積される。こうして形成された、下側の反射膜材料層362、非反射膜材料層364および上側の反射膜材料層366により形成された3層構造では、非反射膜340の場合と同様に、反射膜材料層362、366および非反射膜材料層364の間で生じるバイメタル効果が打ち消される。よって、温度変化に起因する内部応力の作用に対して形状が安定する。
【0077】
反射膜材料層366は、最終的に空間光変調器100において入射光を反射する面となる。従って、反射膜材料層366の形成に先立って、その下地となる非反射膜材料層364の表面を化学機械研磨して鏡面化してもよい。また、反射膜材料層366そのものの表面を化学機械研磨して鏡面化してもよい。更に、非反射膜材料層364および反射膜材料層366の両方を化学機械研磨してもよい。
【0078】
次に、図33に示すように、反射膜材料層366の表面に保護層368が形成される。即ち、反射膜材料層366としてアルミニウム等の金属層を形成した場合、その表面は大気中の酸素等と反応して径年変化する。これにより空間光変調器100の特性も変化する。しかしながら、反射膜材料層366の表面を緻密な保護膜で被覆することにより、反射膜材料層366と雰囲気との反応を阻止または抑制できる。
【0079】
保護層368の材料としては、アルミナ等の無機材料の薄膜を例示できる。なお、保護層368は、反射膜材料層366において反射される光に対して透明であるべきことはいうまでもなく、当該光を透過させる厚さで形成される。こうして、反射膜材料層362、366、非反射膜材料層364および保護層368が積層された反射膜360が形成される。
【0080】
次に、図34に示すように、反射膜360の一部が除去され、反射鏡230の外形状に形成される。これにより、反射膜360の両側端において、反射膜材料層362の下層に位置するレジスト層354が露出される。反射膜材料層362および非反射膜材料層364は、ドライエッチングによりパターニングできる。
【0081】
次に、図35に示すように、非反射膜340の成膜下地となったレジスト層332、334、336と、反射膜360の成膜下地となったレジスト層352、354、356とを除去する。ここで、反射膜360の両側端においてレジスト層354の表面が露出している。反射膜360の内側にあるレジスト層356は、レジスト層354の上に積層されているので、両者は連続する。
【0082】
また、レジスト層354は、レジスト層352の上に積層されているので、両者は連続する。非反射膜340の両側端においてレジスト層352とレジスト層334、332とは連続する。更に、非反射膜340の内側に位置するレジスト層336は、レジスト層334の上に積層されているので、両者は連続する。なお、図中では非反射膜340が連続して描かれているが、可動部226に相当する部分と固定枠222に相当する部分との間は、捩じり軸部224に相当する部分を除いて非反射膜340は切れている。
【0083】
このように、全てのレジスト層332、334、336、352、354、356が連続しているので、図34に示した状態から一括して除去することができる。よって、反射面234を形成する反射膜360に、レジスト除去のためのエッチングホールを設けなくてもよい。これにより、反射面234の反射効率を向上させることができる。
【0084】
レジスト層332、334、336、352、354、356の除去は、溶解材を用いたウェットプロセスであってもよい。また、プラズマを用いた灰化によるドライプロセスであってもよい。更に、レジスト層332、334、336、352、354、356は、犠牲材料の層の一例に過ぎず、他の犠牲材料を用いても同様のプロセスを実施できる。
【0085】
こうして、図1から図6までに示した空間光変調器100と同じ構造を有する空間光変調器100を、リソグラフィ技術により製造できる。リソグラフィ技術で製造することにより微細な単位素子200を形成できるので、解像度の高い空間光変調器100を製造できる。
【0086】
なお、各層の材料の組み合わせとしては、例えば、導体層320、344、346および反射膜材料層362、366をアルミニウムにより、非導体層342、348および非反射膜材料層364を窒化珪素により、保護層368をアルミナとすることができる。ただし、各部の材料が上記のものに限られるわけではなく、例えば、SiOx、SiNx,Al,Cr,Al合金、などから適宜選択できる。また、上記の各段階において積層して形成される各層の間には、バッファ層、バリア層、パッシベイション層等の他の材料が挟まる場合がある。
【0087】
図35に示した単位素子200において、基板210上の導体層320は、電極212、214、216のいずれかに相当する。非反射膜340の中央部分は、可動部226に相当する。また、可動部226相当部分の下面に位置する導体層344は、電極228に相当する。非反射膜340の外縁近傍は、固定枠222に相当する。また、可動部226および固定枠222の間は、捩じり軸部224の長さに相当する間隙となる。
【0088】
また、図35に示した単位素子200において、反射膜360は、空間光変調器100における反射鏡230に相当する。ここで、反射膜360の中央部に形成された陥没部361の下面は、反射鏡230のポスト232に相当する。また、反射膜360の上面は、反射面234に相当する。
【0089】
更に、単位素子200において、遮光膜370の水平部分は遮光面244に相当し、可動部226および固定枠222の間の間隙を上方で覆い隠す。よって、反射鏡230相互の間隙から基板210の表面を直接に見通すことはできない。また、遮光膜370は、空間光変調器100に照射される光を透過しない。
【0090】
よって、空間光変調器100において反射鏡230相互の間隙から基板210に向かって差し込んだ光は、遮光膜370により遮断されて基板210の表面に到達することはない。これにより、空間光変調器100に対する入射光により、基板210上のCMOS素子等が劣化することが防止される。
【0091】
なお、遮光膜370は、反射膜360と同じ材料により形成されてもよい。これにより、入射光を遮断すると共に反射できる。また、製造プロセスにおいて、反射膜360と同じ成膜条件で成膜できるので、生産性向上にも寄与する。
【0092】
図36は、他の構造を有する単位素子200の模式的分解斜視図である。この単位素子200は、以下に説明する部分を除くと、図2に示した単位素子200と同じ構造を有する。そこで、図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0093】
単位素子200は、基板210の上に重ねて配される駆動部220、遮光部240および反射鏡230を有する。反射鏡230および遮光部240は、図1に示した単位素子200と同じ形状を有する。一方、基板210の表面には、電極212、214、216に加えて、もう一対の電極213、215が配される。
【0094】
駆動部220は、固定枠222および可動部226の間に、いわば同芯状に配された可動枠227を更に有する。可動枠227は、一対の捩じり軸部223を介して固定枠222から支持される。これにより、可動枠227は、固定枠222に対して、捩じり軸部223を揺動軸として揺動する。捩じり軸部223は、捩じり軸部224に対して直交する。
【0095】
可動部226を支持する捩じり軸部224の一端は、可動枠227の内側に結合される。これにより、可動部226は、可動枠227に対して、捩じり軸部224を揺動軸として揺動する。よって、可動部226は、固定枠222に関して、互いに直交する二つの捩じり軸部223、224について揺動する。
【0096】
なお、可動枠227は、外側および内側の縁部から下方に向かって延在するリブ229を有する。これにより、可動枠227を高い曲げ剛性および捩じり剛性を有する。よって、可動枠227および可動部226が個別に揺動して捩じり軸部223、224が弾性変形した場合も、可動枠227および可動部226は殆ど変形しない。また、残留応力の緩和等により内部応力が作用した場合も、可動枠227および可動部226は変形し難い。
【0097】
図37は、単位素子200の模式的断面図である。単位素子200は、固定枠222を基板210に固定し、反射鏡230を可動部226に固定した状態で、図36に示したC−C方向の断面を示す。図36と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。なお、図37は、図5、図6と同様に説明の便宜を図り、駆動部220における脚部221、可動枠227、捩じり軸部223および可動部226を両方通過する面で単位素子200を切った様子を、C−C方向と直交する方向から見た様子を示す仮想的な断面図である。
【0098】
固定枠222および可動枠227を結合する捩じり軸部223は、リブ229に相当する要素を有していない。よって、電極213、215のいずれかに駆動電圧を印加した場合、可動枠227は、捩じり軸部223を揺動軸として、基板210に対して揺動する。
【0099】
また、可動枠227は、縁部から下方に延びたリブ229を有する。これにより、可動枠227は高い曲げ剛性を有する。一方、捩じり軸部224は、リブ225に相当する要素を有していない。よって、電極212、214に印加された電圧により可動部226に駆動力が作用した場合、捩じり軸部224が弾性変形して、可動部226は、可動枠227に対して揺動する。
【0100】
なお、リブ229の下端には、可動枠227の外方および内方に向かって広がったフランジ様の部分がある。これは、リブ229を含む層をパターニングする場合に残った領域で、無くてもよい。しかしながら、可動枠227の剛性を低下させるものではなく、むしろ向上させる場合もあるので残してもよい。これにより、パターニングの精度を著しく高くすることが避けられるので生産性向上にも寄与する。
【0101】
図38は、単位素子200の模式的断面図であり、図36に示したD−D方向の断面を示す。図36および図37と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。なお、図38は、図5、図6と同様に説明の便宜を図り、駆動部220における脚部221、可動枠227、捩じり軸部224および可動部226をすべて通過する面で単位素子200を切った様子を、D−D方向と直交する方向から見た様子を示す仮想的な断面図である。
【0102】
可動枠227は電極228を下面に有する。電極228は、基板210上の電極213、215と対向する。よって、電極213、215のいずれかに駆動電圧が印加された場合、可動枠227の図中左側または右側が基板210に向かって引き付けられる。
【0103】
図39は、上記のような単位素子200を含む空間光変調器100の外観を示す模式的斜視図である。反射鏡230のそれぞれに設けた上記のような構造に対して駆動電力を個別に供給または遮断することにより、複数の反射鏡230のそれぞれを個別に制御できる。各反射鏡230は、駆動部220の可動枠227と捩じり軸部223、224とにより形成されたジンバル構造によって、反射光の伝播方向をより広い範囲に変化させる。
【0104】
図40は、露光装置400の模式図である。この露光装置400は、空間光変調器100を備え、光源マスク最適化法を実行する場合に、照明光学系600に任意の照度分布を有する照明光を入射できる。即ち、露光装置400は、照明光発生部500、照明光学系600および投影光学系700を備える。
【0105】
照明光発生部500は、光源520、制御部510、空間光変調器100、プリズム530、結像光学系540、ビームスプリッタ550および計測部560を含む。光源520は、照明光Lを発生する。光源520が発生した照明光Lは、光源520の発光機構の特性に応じた照度分布を有する。このため、照明光Lは、照明光Lの光路と直交する断面において原画像Iを有する。
【0106】
光源520から出射された照明光Lは、プリズム530に入射する。プリズム530は、照明光Lを空間光変調器100に導いた後、再び外部に出射させる。空間光変調器100は、制御部510の制御の下に入射した照明光Lを変調する。空間光変調器100の構造と動作については、既に説明した通りである。
【0107】
空間光変調器100を経てプリズム530から出射された照明光Lは、結像光学系540を経て、後段の照明光学系600に入射される。結像光学系540は、照明光学系600の入射面612に照明光画像Iを形成する。
【0108】
ビームスプリッタ550は、結像光学系540および照明光学系の間において、照明光Lの光路上に配される。ビームスプリッタ550は、照明光学系600に入射する前の照明光Lの一部を分離して計測部560に導く。
【0109】
計測部560は、照明光学系600の入射面612と光学的に共役な位置で照明光Lの画像を計測する。これにより、計測部560は、照明光学系600に入射する照明光画像Iと同じ画像を計測する。よって、制御部510は、計測部560により計測される照明光画像Iを参照して、空間光変調器100を帰還制御できる。
【0110】
照明光学系600は、フライアイレンズ610、コンデンサ光学系620、視野絞り630および結像光学系640を含む。照明光学系600の出射端には、マスク710を保持したマスクステージ720が配される。
【0111】
フライアイレンズ610は、並列的に緻密に配された多数のレンズ素子を備え、後側焦点面にレンズ素子の数と同数の照明光画像Iを含む2次光源を形成する。コンデンサ光学系620は、フライアイレンズ610から出射された照明光Lを集光して視野絞り630を重畳的に照明する。
【0112】
視野絞り630を経た照明光Lは、結像光学系640により、マスク710のパターン面に、視野絞り630の開口部の像である照射光画像Iを形成する。こうして、照明光学系600は、その出射端に配されたマスク710のパターン面を、照射光画像Iによりケーラー照明する。
【0113】
なお、照明光学系600の入射面612でもあるフライアイレンズ610の入射端に形成される照度分布は、フライアイレンズ610の出射端に形成される2次光源全体の大局的な照度分布と高い相関を示す。よって、照明光発生部500が照明光学系600に入射させる照明光画像Iは、照明光学系600がマスク710に照射する照明光Lの照度分布である照射光画像Iにも反映される。
【0114】
投影光学系700はマスクステージ720の直後に配され、開口絞り730を備える。開口絞り730は、照明光学系600のフライアイレンズ610の出射端と光学的に共役な位置に配される。投影光学系700の出射端には、感光性材料を塗布された基板810を保持する基板ステージ820が配される。
【0115】
マスクステージ720に保持されたマスク710は、照明光学系600により照射された照明光Lを反射または透過する領域と吸収する領域とからなるマスクパターンを有する。よって、マスク710に照明光画像Iを照射することにより、マスク710のマスクパターンと照明光画像I自体の照度分布との相互作用により投影光画像Iが生成される。投影光画像Iは、基板810の感光性材料に投影されて、要求されたパターンを有するレジスト層を基板810の表面に形成する。
【0116】
なお、図40では照明光Lの光路を直線状に描いているが、照明光Lの光路を屈曲させることにより露光装置400を小型化できる。また、図40は、照明光Lがマスク710を透過するように描いているが、反射型のマスク710が用いられる場合もある。
【0117】
図41は、照明光発生部500の部分拡大図であり、露光装置400における空間光変調器100の役割を示す図である。プリズム530は、一対の反射面532、534を有する。プリズム530に入射した照明光Lは、一方の反射面532により、空間光変調器100に向かって照射される。
【0118】
既に説明した通り、空間光変調器100は、個別に揺動させることができる複数の反射鏡230を有する。よって、制御部510が空間光変調器100を制御することにより、要求に応じた任意の光源画像Iを形成できる。
【0119】
空間光変調器100から出射された光源画像Iは、プリズム530の他方の反射面534により反射され、図中のプリズム530右端面から出射される。プリズム530から出射された光源画像Iは、結像光学系540により、照明光学系600の入射面612に照明光画像Iを形成する。
【0120】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0121】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置およびシステムの動作、手順、ステップおよび段階等の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いる場合でない限り、任意の順序で実現し得る。特許請求の範囲、明細書および図面において、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
【符号の説明】
【0122】
100 空間光変調器、200 単位素子、210 基板、211、212、213、214、215、216、228 電極、220 駆動部、221、242 脚部、222 固定枠、223、224 捩じり軸部、225、229 リブ、226 可動部、227 可動枠、230 反射鏡、232 ポスト、234、532、534 反射面、240 遮光部、244 遮光面、312、314 絶縁層、315 コンタクトホール、320、344、346 導体層、332、334、336、352、354、356 レジスト層、335、337、339、353、355、357 側壁、340 非反射膜、342、348 非導体層、360 反射膜、361 陥没部、362、366、372、376 反射膜材料層、364、374 非反射膜材料層、368 保護層、370 遮光膜、400 露光装置、500 照明光発生部、510 制御部、520 光源、530 プリズム、540、640 結像光学系、550 ビームスプリッタ、560 計測部、600 照明光学系、612 入射面、610 フライアイレンズ、620 コンデンサ光学系、630 視野絞り、700 投影光学系、710 マスク、720 マスクステージ、730 開口絞り、810 基板、820 基板ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極、静電力により前記電極に引き付けられて揺動する可動部、および、前記可動部に支持されて前記可動部と共に揺動する反射鏡をそれぞれが有する単位素子を複数実装された基板と、
前記反射鏡の間から前記基板に向かって差し込む光を遮断する遮光層と
を備える空間光変調器。
【請求項2】
前記遮光層は、前記反射鏡および前記基板の間に配される請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項3】
前記遮光層は、前記反射鏡および前記可動部の間に配される請求項2に記載の空間光変調器。
【請求項4】
前記遮光層は、前記可動部または前記反射鏡と同じ材料により形成される請求項1または請求項2に記載の空間光変調器。
【請求項5】
前記可動部は、一端を前記基板に対して固定され、他端を前記可動部に対して固定された捩じり軸部により支持される請求項1から請求項4までのいずれかに記載の空間光変調器。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の空間光変調器を備えた照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置を備えた露光装置。
【請求項8】
電極、静電力により前記電極に引き付けられて揺動する可動部、および、前記可動部に支持されて前記可動部と共に揺動する反射鏡をそれぞれが有する単位素子を複数実装された基板と、前記反射鏡の間から前記基板に向かって差し込む光を遮断する遮光層とを備える空間光変調器を製造する製造方法であって、
前記電極および前記可動部を形成された前記基板の表面に、犠牲材料により第一下地層を形成する段階と、
前記第一下地層の上に前記遮光層を形成する段階と、
前記遮光層の上に、犠牲材料により第二下地層を形成する段階と、
前記第二下地層の上に反射膜材料を堆積して前記反射鏡を形成する段階と
前記第一下地層および前記第二下地層を除去する段階と
を備える製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate


【公開番号】特開2011−170299(P2011−170299A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36686(P2010−36686)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】