説明

窒化シリコン薄膜成膜方法および窒化シリコン薄膜成膜装置

【課題】プラズマCVDによって半導体素子上に窒化シリコン薄膜を形成する成膜処理において、高い表面パッシベーション効果を得ると共に、成膜時間を短縮する。
【解決手段】半導体表面に窒化シリコン(SiN)膜の薄膜を形成する成膜方法において、高周波電極と対向電極とを平行して対向配置してなる平板電極間の放電によってプラズマを生成し、放電プラズマによって半導体表面上に2層からなる薄膜を成膜し、2層の薄膜の内、第1層目の薄膜は60nm/min以下の低速で膜厚10nm以下に成膜し、第2層目の薄膜は100nm/min以上の高速で膜厚10nm以上に成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマCVDによって半導体素子上に窒化シリコン薄膜を形成するプラズマCVD成膜装置に関し、特に、高いパッシベーション効果と短い成膜時間に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に成膜を行って薄膜等を製造する成膜装置が知られている。このような成膜装置として、プラズマCVD装置があり、太陽電池用薄膜、感光ドラム、液晶ディスプレイ等に用いられるTFTアレイ等の種々の半導体製造に使用されている。
【0003】
太陽電池は、一般にn型シリコンとp型シリコンの積層構成の半導体で構成され、この半導体に光が当たると光電効果により電気が発生する。太陽電池は、太陽光を効率よく吸収するために、通常、太陽電池の受光面を反射防止膜で被覆している。従来、この種の反射防止膜として、PVD法及び蒸着法によって作成する方法、スピンオン法,スプレー法,ディップ法で塗布し堆積させた後、熱処理によって作成する方法の他、プラズマCVD法により、水素を含有する窒化シリコン膜を太陽電池の受光面に形成する技術が知られている(特許文献1)。プラズマCVD法では、平行平板プラズマCVDによって、半導体基板を例えば550℃で加熱して反射防止膜用の窒化シリコン膜(SiN)を形成している。
【0004】
また、太陽電池の反射防止膜である窒化シリコン膜中の水素が太陽電池のシリコン基板に拡散され、太陽電池の効率が上がる表面パッシベーション効果が知られている(特許文献2)。
【0005】
結晶系シリコンの太陽電池の反射膜やパッシベーション膜は、一般的に、プラズマCVD成膜装置によって屈折率が1.9〜2.4、膜厚が70〜100nm程度の窒化シリコン薄膜が形成されるものが用いられている。
【0006】
平行平板電極の正規グロー放電を利用した平行板プラズマCVD装置では、表面パッシベーション効果を高めるために、成膜速度を60nm/min以下としている。結晶系シリコンの太陽電池の反射防止膜において70〜100nmの膜厚を形成するには、1分以上の成膜時間が必要となる。
【0007】
また、ホローカソード電極を用いて高密度のプラズマを発生させることによって、グロー放電よりも高速で成膜を行うプラズマCVD装置が提案されている(特許文献3)。ホローカソード放電を利用したプラズマCVD装置では、100nm/min以上の成膜速度を実現することができるため、70〜100nmの膜厚の反射防止膜を1分以内の成膜時間で成膜することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−299482号公報
【特許文献2】特開2003−273382号公報
【特許文献3】特開昭64−31976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
100nm/min以上の高速による成膜速度で形成された薄膜は、60nm/min以下の低速による成膜速度で形成された薄膜と比較して、表面パッシベーション効果が低く、太陽電池の反射防止膜に適用した場合には、太陽電池の性能が劣化するという問題がある。
【0010】
一方、60nm/min以下の低速による成膜速度で形成された薄膜は、高い表面パッシベーション効果が得られるものの、成膜時間が長くなるという問題がある。
【0011】
したがって、プラズマCVDによって半導体素子上に窒化シリコン薄膜を形成するプラズマCVD成膜装置では、表面パッシベーション効果と成膜時間とは、薄膜の成膜速度において互いに逆の特性を有しているため、表面パッシベーション効果と成膜時間とを同時に満足することは困難であるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は上記課題を解決して、プラズマCVDによって半導体素子上に窒化シリコン薄膜を形成する成膜処理において、高い表面パッシベーション効果を得ると共に、成膜時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、半導体素子上に形成する窒化シリコン薄膜を2層で構成し、第1層目の薄膜の成膜速度を低速とし、第2層目の薄膜の成膜速度を高速とするものであり、第1層目の薄膜によって高い表面パッシベーション効果を得ることができ、第2層目の薄膜の成膜速度を高速とすることによって、窒化シリコン薄膜のトータルの成膜速度を高速とすることができる。
【0014】
本発明は、薄膜の半導体素子の基板に対する表面パッシベーション効果は、基板から10nm以下の範囲に堆積された薄膜の膜質において支配的であるという特性を利用するものである。この表面パッシベーション効果の特性を利用し、第1層目の薄膜の成膜速度を低速とすることによって、全薄膜の成膜速度を低速とした場合と同等の高い表面パッシベーション効果を得ると共に、第2層目の薄膜の成膜速度を高速とすることによって、薄膜の成膜時間を短縮することができる。
【0015】
本発明の窒化シリコン薄膜成膜方法の態様は、半導体表面に窒化シリコン(SiN)膜の薄膜を形成する成膜方法において、高周波電極と対向電極とを平行して対向配置してなる平板電極間の放電によってプラズマを生成し、放電プラズマによって半導体表面上に2層からなる薄膜を成膜し、2層の薄膜の内、第1層目の薄膜は60nm/min以下の低速で膜厚10nm以下に成膜し、第2層目の薄膜は100nm/min以上の高速で膜厚10nm以上に成膜する。
【0016】
2層からなる薄膜は、結晶太陽電池の半導体表面に形成する基板反射防止膜、あるいは、半導体素子の半導体表面に形成するパッシベーション膜とすることができる。
【0017】
第1層目の薄膜と第2層目の薄膜の成膜速度は、高周波電極に印加する高周波電力を変更することができ、第1層目の薄膜成膜時に高周波電極に印加する高周波電力を、第2層目の薄膜成膜時に印加する前記高周波電極に印加する高周波電力よりも低い電力とすることによって、第1層目の薄膜の成膜速度を第2層目の薄膜の成膜速度よりも低速とする。
【0018】
また、第1層目の薄膜と第2層目の薄膜の成膜速度の変更は、高周波電極に印加する高周波電力、高周波電極と対向電極との間の電極間距離、高周波電源の周波数、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス圧、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス流量の少なくとも何れか一つを変更することができ、何れか一つを変更する他に、少なくとの二つを組み合わせて変更することによって、第1層目の薄膜の成膜速度を第2層目の薄膜の成膜速度よりも低速とすることができる。高周波電源の周波数は10kHz〜100MHzとし、また、成膜中の基板温度は250℃〜550℃とすることができる。
【0019】
また、本発明の窒化シリコン薄膜成膜装置の態様は、半導体表面に窒化シリコン(SiN)膜の薄膜を形成する成膜装置において、半導体表面にプラズマ処理を施す成膜室と、成膜室内に、平行して対向配置して平板電極を形成する高周波電極および対向電極と、高周波電極に高周波電力を印加する高周波電源と、成膜室内にガスを供給するガス供給部とを備える。
【0020】
高周波電源から高周波電極に高周波電力を印加すると共に、ガス供給部からガスを供給して前記平板電極間に放電プラズマを生成し、成膜中に放電プラズマのプラズマ密度を変えることによって、半導体表面上に形成する薄膜の成膜速度を変え、60nm/min以下の低速で10nm以下の膜厚を成膜して第1層目の薄膜を形成し、100nm/min以上の高速で10nm以上の膜厚を成膜して第2層目の薄膜を形成して、2層からなる薄膜を成膜する。
【0021】
成膜中において、高周波電極に印加する高周波電力、高周波電極と対向電極との間の電極間距離、高周波電源の周波数、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス圧、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス流量の少なくとも何れか一つを変更することによって放電プラズマのプラズマ密度を変更し、これによって、第1層目の薄膜の成膜速度を第2層目の薄膜の成膜速度よりも低速とする。
【0022】
薄膜の半導体基板に対する表面パッシベーション効果は、基板上から10nm以下の範囲に堆積された薄膜の膜質が支配的であるため、本発明の第1層目の薄膜は10nm以下とし、60nm/min以下の低速で成膜するため、全ての厚さについて低速成膜によって形成した単層薄膜と同等の高い表面パッシベーション効果を得ることができる。また、成膜速度については、低速成膜で形成される10nmの膜厚を超えた部分について100nm/min以上の高速で成膜するため、全ての厚さについて低速成膜で単層薄膜を形成する場合と比較して成膜時間を短縮することができる。
【0023】
例えば、全膜厚が80nmの反射防止膜を成膜する場合、従来技術によって、40nm/minの低速で成膜した場合の成膜時間は約2分である。これに対して、本発明によれば、10nmの第1層目の薄膜を40nm/minの低速で成膜し、10〜80nmの第2層目の薄膜を210nm/minの高速で成膜した場合には、成膜時間は約35秒(10nm/40nm/min+70nm/210nm/min=0.58min)に短縮することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プラズマCVDによって半導体素子上に窒化シリコン薄膜を形成する成膜処理において、高い表面パッシベーション効果を得ると共に、成膜時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の窒化シリコン薄膜成膜装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明による2層からなる薄膜を成膜する手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】層薄膜を成膜した単結晶シリコン基板の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の窒化シリコン薄膜成膜装置の概略構成を説明するための図である。図1に示す構成は一般的なプラズマCVD成膜装置とほぼ同様の構成とすることができ、成膜速度を調整する制御装置(図示していない)を備える。
【0027】
窒化シリコン薄膜成膜装置1は、真空チャンバからなる成膜室2を備え、この成膜室2内には、平行平板電極3と、成膜室2内に反応ガスを供給するガス供給部4と、成膜室2からガスを排気するガス排気部5と、平行平板電極3を構成する高周波電極3aに高周波電力を印加するための数十kHz〜数十MHzの高周波電源6およびマッチングボックス7を備え、平行平板電極3を構成する対向電極3b上に半導体基板(図示していない)を配置し、平行平板電極3間で発生させたプラズマ(表面波プラズマ)によって半導体基板の半導体表面に薄膜を成膜する。
【0028】
ガス供給部4は流量調節計(図示していない)を備え、成膜室2内に供給する反応ガスを調節する。ガス排気部5はガス調圧弁(図示していない)を備え、成膜室2内を排気して成膜室2内の圧力を調圧する。
【0029】
平行平板電極3は、高周波電極3aと対向電極3bとを所定の距離を開けて平行に対向配置することで構成される。高周波電源から高周波電極3aに高周波電力を印加すると、平行平板電極3間に放電が発生する。放電が生じている平行平板電極3間に反応ガスを供給すると、供給された反応ガスは放電によってプラズマ状態となる。プラズマで生成された励起種は、対向電極3b上に配置した半導体基板(図示していない)の半導体表面上に薄膜を形成する。
【0030】
窒化シリコン薄膜の形成には、反応ガスとして、モノシラン、アンモニア、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム等のガスを使用する。
【0031】
なお、マッチングボックス7は、高周波電源6と高周波電極3aとの間のインピーダンスを整合して、高周波電極3a側から高周波電源6側に向かう反射波を抑制して、高周波電極3a側への高周波電力の供給効率を高める。
【0032】
また、対向電極3bは接地され、この対向電極3bを保持するステージ(図示していない)を設ける構成とする他、このステージヒータを設けて、成膜対象である半導体基板を加熱してもよい。
【0033】
図2は、本発明による2層からなる薄膜を成膜する手順を説明するためのフローチャートである。
【0034】
成膜室2内を真空排気した後(S1)、ガス供給部4から成膜室2内に反応ガスを導入する。反応ガスとして、例えば、モノシラン、アンモニア、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム等のガスを使用する(S2)。
【0035】
成膜室2内に高周波電源6からマッチングボックス7を介して高周波電極3aに高周波電力を供給し、平行平板電極3の電極間に放電を発生させ、ラジアル処理によって反応ガスを乖離させプラズマを発生させる。この放電プラズマは、対向電極3bの表面付近で表面プラズマを形成する。
【0036】
対向電極3b上に成膜対象である半導体基板を配置し、この半導体基板の半導体表面に表面プラズマによって第1層目の薄膜を成膜する。このとき、第1層目の薄膜の成膜速度を低速とすることによって、高いパッシベーション効果を奏することができる(S3)。
【0037】
低速成膜による第1層目の薄膜を成膜した後(S4)、次に、高速成膜による第2層目の薄膜を成膜する(S5,S6)。
【0038】
第1層目の薄膜から第2層目の薄膜への切り替えは、例えば、成膜時間によって行うことができる。予め第1層目の薄膜および第2層目の薄膜の膜厚と、成膜条件で定まる成膜速度を求めておくことによって、第1層目の薄膜および第2層目の薄膜について、所定の膜厚を成膜するために要する時間を成膜条件に応じて求めることができる。
【0039】
成膜を開始してから、予め求めたおいた第1層目の薄膜を成膜するに要する時間が経過した時点で、成膜速度を変えて第2層目の薄膜の成膜を開始し、第2層目の薄膜の成膜を開始してから、予め求めたおいた第2層目の薄膜を成膜するに要する時間が経過した時点で成膜を終了する。
【0040】
第1層の薄膜を成膜する成膜速度は、第2層の薄膜を成膜する成膜速度よりも低速とする。この成膜速度の制御は、成膜中において、高周波電極に印加する高周波電力、高周波電極と対向電極との間の電極間距離、高周波電源の周波数、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス圧、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス流量の少なくとも何れか一つを変更することによって放電プラズマのプラズマ密度を変更することで行うことができる。
【0041】
以下の表1は、成膜条件と成膜速度との関係の一例を示している。
【0042】
【表1】

【0043】
例えば、高周波電源が供給する電力によって成膜速度を制御する場合には、小電力を供給することによって低速成膜を行い、大電力を供給することによって高速成膜を行う。また、高周波電源の周波数によって成膜速度を制御する場合には、高周波電力の周波数を低く設定することによって低速成膜を行い、高周波電力の周波数を高く設定することによって高速成膜を行う。平行平板電極の電極間隔によって成膜速度を制御する場合には、電極間隔を広く設定することによって低速成膜を行い、電極間隔を狭く設定することによって高速成膜を行う。成膜中の圧力によって成膜速度を制御する場合には、低圧に設定することによって低速成膜を行い、高圧に設定することによって高速成膜を行う。反応ガスを供給するガス流量によって成膜速度を制御する場合には、ガス流量を少量に設定することによって低速成膜を行い、ガス流量を多量に設定することによって高速成膜を行う。
【0044】
高周波電源の周波数は、例えば10kHz〜100MHzとし、成膜中の基板温度は250℃〜550℃とすることができる。
【0045】
図3は、高周波電極3aとしてホローカソード電極を使用して窒化シリコン薄膜の2層薄膜を成膜した単結晶シリコン基板の一構成例を示している。
【0046】
ここでは、シリコン基板10上に窒化シリコン薄膜13を成膜する。窒化シリコン薄膜13は、シリコン基板10上に成膜した第1層目薄膜11と、第1層目薄膜11上に成膜した第2層目薄膜12とから成る2層成膜である。
【0047】
第1層目薄膜11は、例えば、高周波電極に印加する高周波電力を60Wとして、31nm/minの低速で膜厚10nmを成膜する。また、第2層目薄膜12は、例えば、高周波電極に印加する高周波電力を700Wとして、270nm/minの低速で膜厚70nmを成膜する。この2層成膜によって膜厚80nmの反射防止膜を35秒で成膜することができる。
【0048】
これに対して、31nm/minの低速成膜のみによって膜厚80nmの反射防止膜を成膜した場合には、成膜時間として155秒を要する。したがって、本発明の構成例によれば、成膜時間を1/4以下に短縮することができる。
【0049】
なお、単結晶シリコン基板に対する表面パッシベーション効果を比較するために、31nm/minの低速成膜で窒化シリコン薄膜を成膜したサンプルと、270nm/minの高速成膜で窒化シリコン薄膜を成膜したサンプルとを作成し、それぞれのキャリアライフタイムを測定すると、低速成膜サンプルのキャリアライフタイムは372μsecであり、高速成膜サンプルのキャリアライフタイムは123μsecであり、低速成膜によってパッシベーション効果が高いことが確認される。
【0050】
以上の実施の形態の成膜方法を次のように変形することができる。プラズマ処理に表面波励起プラズマを使用したが、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ、平行平板型プラズマまたは誘導結合プラズマ(ICP)などのプラズマを使用してもよい。
【0051】
CVDプラズマ装置で窒化シリコン膜を形成する際、SiH、NH、Arガスに替えてSiH、NH、Nガスを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、太陽電池用薄膜に限らず、同様な成膜要求を有する基板上への薄膜の成膜に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 窒化シリコン薄膜成膜装置
2 成膜室
3 平行平板電極
3a 高周波電極
3b 対向電極
4 ガス供給部
5 ガス排気部
6 高周波電源
7 マッチングボックス
10 シリコン基板
11 1層目薄膜
12 2層目薄膜
13 窒化シリコン薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体表面に窒化シリコン(SiN)膜の薄膜を形成する成膜方法において、
高周波電極と対向電極とを平行して対向配置してなる平板電極間の放電によってプラズマを生成し、
前記放電プラズマによって半導体表面上に2層からなる薄膜を成膜し、
前記2層の薄膜の内、
第1層目の薄膜は60nm/min以下の低速で膜厚10nm以下に成膜し、
第2層目の薄膜は100nm/min以上の高速で膜厚10nm以上に成膜することを特徴とする窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項2】
前記2層からなる薄膜は、結晶太陽電池の半導体表面に形成する基板反射防止膜であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項3】
前記2層からなる薄膜は、半導体素子の半導体表面に形成するパッシベーション膜であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項4】
前記第1層目の薄膜と第2層目の薄膜の成膜速度は、前記高周波電極に印加する高周波電力を変更することを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項5】
第1層目の薄膜成膜時に前記高周波電極に印加する高周波電力は、第2層目の薄膜成膜時に印加する前記高周波電極に印加する高周波電力よりも低いことを特徴とする、請求項4に記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項6】
前記第1層目の薄膜と第2層目の薄膜の成膜速度は、前記高周波電極に印加する高周波電力、前記高周波電極と対向電極との間の電極間距離、高周波電源の周波数、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス圧、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス流量の少なくとも何れか一つを変更することを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項7】
前記高周波電源の周波数は10kHz〜100MHzであることを特徴とした請求項6に記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項8】
成膜中の基板温度が250℃〜550℃であることを特徴とする請求項7に記載の窒化シリコン薄膜成膜方法。
【請求項9】
半導体表面に窒化シリコン(SiN)膜の薄膜を形成する成膜装置において、
前記半導体表面にプラズマ処理を施す成膜室と、
前記成膜室内に、平行して対向配置して平板電極を形成する高周波電極および対向電極と、
前記高周波電極に高周波電力を印加する高周波電源と、
前記成膜室内にガスを供給するガス供給部とを備え、
前記高周波電極に高周波電力を印加すると共にガスを供給して前記平板電極間に放電プラズマを生成し、成膜中に放電プラズマのプラズマ密度を変えることによって、半導体表面上に、60nm/min以下の低速で10nm以下の膜厚を成膜して成る第1層目の薄膜と、100nm/min以上の高速で10nm以上の膜厚を成膜して成る第2層目の薄膜の2層からなる薄膜を成膜することを特徴とする、窒化シリコン薄膜成膜装置。
【請求項10】
前記高周波電極に印加する高周波電力、前記高周波電極と対向電極との間の電極間距離、高周波電源の周波数、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス圧、成膜中にプラズマに供給する供給ガスのガス流量の少なくとも何れか一つを変更することによって前記プラズマ密度を変え、前記第1層目の薄膜の成膜速度を第2層目の薄膜の成膜速度よりも低速とすることを特徴とする、請求項9に記載の窒化シリコン薄膜成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−23655(P2011−23655A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169018(P2009−169018)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】