説明

経路案内システム

【課題】
移動局が目的地に着くまで、移動経路上に設置された制御対象機器が動作するのを長時間待つことなく、目的地まで円滑な経路案内ができるナビゲーションシステムを提供すること。
【解決手段】
本発明に係るナビーションシステム1は、移動局1の現在地および目的地の位置情報および電子地図情報から、現在地から目的地までの移動経路を探索する経路探索部と、移動局11の移動経路を、移動経路上のエレベータ171等の位置情報と共に、移動局11に提供する移動経路提供部と、移動局11の移動速度と制御対象機器の動作に要する時間に基づいて、エレベータ171等を動作させるか否かの判断基準距離を設定する基準距離設定部と、移動局11およびエレベータ171等の間の距離が基準距離以下か判定し、基準値以下のとき、移動局11がエレベータ171等を制御するための制御信号を送信し、エレベータ171等を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばナビゲーションシステム等、現在地から目的地までの移動経路を、信号機や施設などと共に提供する経路案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛星測位システム(GPS:Global Positioning System)の精度の向上と低コスト化もあり、車両用や携帯電話機用のナビゲーション装置が、広く普及してきている。
例えば、現在地と目的地を入力することにより、現在地から目的地までの経路の探索を行い、現在地から目的地までの経路を、階段、歩道橋、横断歩道、エスカレータ、エレベータ等の施設データと共に提供するナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−286491号公報(段落0009、0010)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、現在地から目的地までの経路上に設けられたエレベータや信号機などの機器の動作時間の制御まで考慮されておらず、たとえばエレベータが来るのを長く待ったり、信号機が青になるのを長く待ったりし、無駄な時間を消費することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る経路案内システムは、電子地図情報を格納する地図情報格納部と、制御対象機器の位置情報を格納する制御対象機器位置情報格納部と、移動局の位置情報を取得する位置取得部と、位置取得部が取得する移動局の位置情報、移動局から入力される目的地の位置情報および電子地図情報から、現在地から目的地までの移動局の移動経路を探索する経路探索部と、経路探索部が探索した移動局の移動経路を、移動経路上に設置された制御対象機器の位置情報と共に、電子地図情報と関連つけて、移動局に提供する移動経路提供部と、移動局の移動速度と、移動経路上に設置された制御対象機器の動作に要する時間に基づいて、移動経路上に設置された制御対象機器を動作させるか否かの判断をするための基準距離を設定する基準距離設定部と、移動局および移動経路上に設置された制御対象機器の間の距離が、基準距離以下であるかを判定する判定部とを備え、判定部の判定結果が上記基準距離以下のとき、移動局が、移動経路上に設置された制御対象機器を制御するための制御信号を送信し、制御対象機器が制御信号に従って動作することを特徴とするものである。
【0005】
このような構成により、移動局の移動速度と、移動経路上に設置された制御対象機器の動作に要する時間とを考慮して、当該制御対象機器の動作を制御するので、移動局が目的地に着くまで、移動経路上に設置された制御対象機器が動作するのを長時間待つことなく、目的地まで円滑な経路案内ができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、移動局が目的地に着くまで、移動経路上に設置された制御対象機器が動作するのを長時間待つことなく、移動局を目的地まで円滑な経路案内ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成について、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示す図である。
図2は、携帯情報端末の構成を示す図である。
図3は、管制サーバの構成を示す図である。
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る経路案内システムとしてのナビゲーションシステム1は、携帯情報端末11、無線基地局12、管制サーバ13、地図情報データベース14、施設位置情報データベース15、信号機制御サーバ16、歩行者用信号機161〜163、エレベータ制御サーバ17、エレベータ171〜173、人工衛星18と含んで構成されている。
【0008】
図1に示されるように、携帯情報端末11は、無線基地局12および人工衛星18との間でデータ無線通信を行う。
また、管制サーバ13は、無線基地局12、地図情報データベース14、施設位置情報データベース15、信号機制御サーバ16およびエレベータ制御サーバ17と接続されており、これらとの間でデータ通信を行う。
また、信号機制御サーバ16には、複数の歩行者用信号機161〜163が接続されている。また、エレベータ制御サーバ17には、複数のエレベータ171〜173が接続されている。
【0009】
図2に示されるように、移動局としての携帯情報端末11は、アンテナ111、無線部112、位置検出部113、記憶部114、入力部115、出力表示部116および制御部117を含んで構成されている。なお、携帯情報端末に限定されず、例えば携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)端末も移動局に含まれる。
無線部112は、アンテナ111および制御部117に接続されている。無線部112は、制御部117の制御に従って、アンテナ111を介して、無線基地局12との間で、データの送受信を行う。
【0010】
また、特に、後述の管制サーバ13の判定部135が、当該携帯情報端末11の現在地と、当該携帯情報端末11の目的地までの移動経路上に設けられた歩行用信号機161等やエレベータ171等の制御対象機器との間の距離が、後述の基準距離設定部134により設定される基準距離内にあると判定したときに、無線部112は移動経路上に設けられた歩行用信号機161等やエレベータ171等を制御するための制御信号を、管制サーバ13を介して信号機制御サーバ16またはエレベータ制御サーバ17へ送信する。
【0011】
位置取得部113は、制御部117に接続されており、制御部117の制御に従って、当該携帯情報端末11の位置情報を取得する。具体的には、位置取得部113は、人工衛星18から送信されるGPS信号を受信する受信部(不図示)を有し、受信するGPS信号から当該携帯情報端末11の位置情報(例えば、緯度および経度)を取得する。なお、位置取得部113は、GPS信号を受信する機能を有するものとしたが、これに代えて、例えばEOTD(Enhanced Observed Time Difference)やTDOA(Time Difference of Arrival)を用いてもよい。また、ジャイロ装置を用いてもよい。
【0012】
ここで、EOTDは、地上のアンテナを使って、当該携帯情報端末11の位置を特定する仕組みを有している。また、TDOAは、携帯電話網の無線基地局12の内部にある位置計測ユニット(不図示)に電波が到達するまでの時間を計測することで、当該携帯情報端末11の位置を割り出すという仕組みを有している。
記憶部114には、例えば、位置取得部113が取得する位置情報や、管制サーバ13から無線基地局12を介して送信される電子地図情報や移動経路等の各種データが記憶される。記憶部114は、制御部117に接続されている。
【0013】
入力部115は、制御部117に接続されており、たとえば携帯情報端末11の表面に配列された複数の釦スイッチにより構成され、目的地や移動経路の探索条件の入力等、当該携帯情報端末11の操作に関する信号入力に用いられる。
また、入力部115を用いて、現在地から目的地までの移動経路上に設置されたエレベータ171〜173や信号機161〜163などの制御対象機器を制御するための制御信号を入力することができる。
入力部115は、複数の釦スイッチにより構成されるとしたが、釦スイッチに代えて、例えば、ロータリースイッチ、タッチパッド、音声入力デバイスなどを用いてもよい。また、さらに、入力部115をこれら複数種の組合せで構成してもよい。
【0014】
制御対象機器がエレベータの場合であって、例えば、移動経路上にあるビルの1階から5階に移動する経路が含まれているときに、エレベータルームを1階に移動させる制御信号を入力することができる。また、更に、入力部115を用いて、1階にエレベータルームを移動させる制御信号を入力すると同時に、エレベータルームを降りる階を指定する制御信号も入力することができる。
【0015】
また、制御対象機器が信号機の場合は、例えば、青信号に切り換える制御信号を入力することができる。
なお、各制御信号のリストは、例えば、携帯情報端末11が管制サーバ13に通信接続されたときに、取得することができる。すなわち、携帯情報端末11から管制サーバ13に接続要求があり、管制サーバ13がこの接続要求に対して接続許可をしたときに、接続元の携帯情報端末11は各制御対象機器の各制御信号のリストを取得することができる。なお、各制御信号のリストは予め記憶部114に記憶されていてもよい。
【0016】
出力表示部116は、制御部117に接続されており、例えば、液晶表示装置により構成され、制御部117の制御に従って、操作入力に際するメニュー表示や案内情報の表示を行う。また、表示部116は、制御部117の制御に従って、管制サーバ13から受信する移動経路等の各種情報を表示する。
なお、出力表示部116は、液晶表示装置に代えて、LEDやCRTやプラズマディスプレイを用いてもよい。更に、液晶表示装置に加えて、音声出力用のスピーカを設けてもよい。
【0017】
制御部117は、アンテナ111、無線部112、位置検出部113、記憶部114、入力部115および表示部116に接続されており、これら各部を制御し、当該携帯情報端末11の全体を制御する。
無線基地局12は、携帯情報端末11との間で各種データを無線通信する。また、携帯情報端末11と管制サーバ13との間のデータ通信を中継する。
【0018】
図3に示されるように、管制サーバ13は、通信部131、移動経路探索部132、移動経路提供部133、基準距離設定部134、判定部135および制御部136を含んで構成されている。
図1に示されるように、通信部131は、無線基地局12、地図情報データベース14、施設位置情報データベース15、信号機制御サーバ16およびエレベータ制御サーバ17に接続されている。通信部131は、制御部136の制御に従って、無線基地局12、地図情報データベース14、施設位置情報データベース15、信号機制御サーバ16およびエレベータ制御サーバ17との間で、データの送受信を行う。なお、図3では通信部131を1つとして例示したが、複数個設けてもよい。
【0019】
経路探索部としての移動経路探索部132は、制御部136に接続されている。移動経路探索部132は、制御部136の制御に従って、携帯情報端末11の位置取得部113が取得する当該携帯情報端末11の位置情報、携帯情報端末11から入力される目的地の位置情報および電子地図情報から、現在地から目的地までの携帯情報端末11の移動経路を探索する。
携帯情報端末11の位置情報は、携帯情報端末11の入力部115から信号入力により移動経路提供の要求を受けたときに、無線基地局12を介して受信される。
【0020】
また、同様に、目的地の位置情報は、携帯情報端末11の入力部115から信号入力により移動経路提供の要求を受けたときに、無線基地局12を介して受信される。
なお、管制サーバ13から携帯情報端末11に対して、移動経路提供に際する各設定事項の入力画面を提供してもよい。この場合は、各入力画面に従って、携帯情報端末11から入力されたときに、管制サーバ13は目的地の位置情報を受信する。
また電子地図情報は、地図情報データベース14から取得する。具体的には、管制サーバ13が、携帯情報端末11から移動経路提供の要求を受けたときに、制御部136が通信部131を介して、地図情報データベース14に記憶された電子地図情報を取得する。
【0021】
移動経路提供部133は、制御部136に接続され、制御部136の制御に従って、移動経路探索部132が探索した携帯情報端末11の移動経路を、移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器の位置情報と共に、電子地図情報と関連つけて提供する。
具体的には、移動経路提供部133は、携帯情報端末11から受信した当該携帯情報端末11の現在地および目的地を含む電子地図上に、現在地から目的地までの移動経路を重ねた画像データを生成する。
【0022】
また、移動経路提供部133は、制御部136の制御に従って、制御部136および通信部131を介して、施設位置情報データベース15にアクセスし、現在地から目的地までの移動経路上に設置されているエレベータ171等や信号機171等を抽出し、抽出したこれらの情報を、当該携帯情報端末11の現在地および目的地を含む電子地図上に、更に重ねた画像データを生成する。
そして、この画像データを制御部136に制御に従って、無線部131および無線基地局12を介して、携帯情報端末11へ送信することにより、携帯情報端末11に現在地から目的地までの携帯情報端末11の移動経路を提供する。
【0023】
基準距離設定部134は、携帯情報端末11の移動速度と、移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器の動作に要する時間に基づいて、移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等を動作させるか否かの判断をするための基準距離を設定する。
具体的には、携帯情報端末11の移動速度(歩行者の歩行平均速度)と、移動経路上に設置されたエレベータ171等や歩行者用信号機171等の制御対象機器の動作に要する時間との乗算値を、基準距離とする。ここでは、エレベータ171等の動作に要する時間とは、稼働中のエレベータ171等のエレベータルームが搭乗階に到着するまでの時間をいう。また、歩行者用信号機161等の動作に要する時間とは、歩行者用信号機161等が青信号(青点灯)に切り換わるまでの時間をいう。このように、基準距離を設定すれば、携帯情報端末11が移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器に到着するときに、エレベータ171等や信号機171等の当該制御対象機器が動作するように設定される。
【0024】
判定部135は、制御部136の制御に従って、携帯情報端末11の現在地および移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の間の距離が、基準距離設定部134により設定された基準距離以下であるかを判定する。なお、判定結果は、通信部131により、無線基地局12を介して、携帯情報端末11へ送信される。携帯情報端末11では、受信する判定結果を、記憶部114に一時的に記憶する。
【0025】
地図情報格納部としての地図情報データベース14には、電子地図情報が格納されている。
制御対象機器位置情報格納部としての施設位置情報データベース15には、各施設や、歩行者用信号機161〜163やエレベータ171〜173などの各制御対象機器の位置情報が格納されている。具体的には、各施設や各制御対象機器の位置は、各施設や各制御対象機器の緯度、経度により特定される。
【0026】
図1に示されるように、信号機制御サーバ16は、管制サーバ13に接続されている。また、信号機制御サーバ160には、複数の歩行者用信号機161〜163が接続されている。信号機制御サーバ16は、複数の歩行者用信号機161〜163の各々を制御する。また、携帯情報端末11により、移動経路上に設けられた歩行者用信号機161等を制御するための制御信号(当該歩行者用信号機(例えば161)の信号を青にする信号)が、管制サーバ13を介して、信号機制御サーバ16に入力されたとき、信号機制御サーバ16は対象の歩行者用信号機(例えば161)の信号が青になるように制御する。
なお、図1では、歩行者用信号機を例示的に3台だけ示しているが、3台以下でも3台以上であってもよい。
【0027】
図1に示されるように、エレベータ制御サーバ17は、信号機制御サーバ16と同様に、管制サーバ13に接続されている。
また、エレベータ制御サーバ17には、複数のエレベータ171〜173が接続されている。エレベータ制御サーバ17は、複数のエレベータ171〜173の各々を制御する。
また、移動経路上に設けられたエレベータ171等を制御するための制御信号(エレベータ(例えば171)のエレベータルームを移動経路上の特定階まで移動させる信号)が、携帯情報端末11から、管制サーバ13を介して、エレベータ制御サーバ17に入力されたとき、エレベータ制御サーバ17は、対象のエレベータ(例えば171)のエレベータルームを移動経路上の特定階まで移動させて待機するように制御する。
【0028】
また、更に、携帯情報端末11からの制御信号内で、対象のエレベータ(例えば171)を降りる階が指定されている場合には、エレベータ制御サーバ17は、当該携帯情報た端末11の利用者がエレベータルームに乗車後、対象のエレベータ(例えば171)のエレベータルームを指定階まで移動させる制御を行う。このとき、携帯情報端末11の利用者は、エレベータルーム内で行き先釦を押下する必要は無い。
なお、図1ではエレベータは3台だけ示しているが、3台以下でも3台以上であってもよい。
【0029】
次に、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムの動作説明を図に基づいて、説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムの動作フローの一例を示す図である。
携帯情報端末11が、無線基地局12を介して、管制サーバ13に通信接続されているものとする。
【0030】
まず、携帯情報端末11の利用者は、入力部115を用いて、目的地を入力する(ステップ(STEP(以下、単にSと称する))401)。この際、利用者は出力表示部116に提供された入力画面に従って、目的地を入力する。
次に、携帯情報端末11の位置取得部113が、当該携帯情報端末11の自位置、すなわち当該携帯情報端末11の位置情報(緯度、経度等)を取得する(S402)。また、携帯情報端末11は、無線部112およびアンテナ111を用いて、当該携帯情報端末11の位置情報および目的地の位置情報を、無線基地局12を介して、管制サーバ13へ送信する。
【0031】
次に、当該携帯情報端末11の位置情報および目的地の位置情報を受信した管制サーバ13は、地図情報データベース14から電子地図情報を取得した後、移動経路探索部132を用いて、携帯情報端末11の位置情報、目的地の位置情報および電子地図情報から、現在地から目的地までの携帯情報端末11の移動経路を探索する。そして、最適な移動経路として設定する(S403)。
次に、管制サーバ13は、施設位置情報データベース15にアクセスし、現在地から目的地までのルート(移動経路)上に設置されているエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器を抽出する(S404)。
【0032】
また、抽出したこれらの制御対象機器の位置を、チェックポイントとして管制サーバ13内で登録する(S405)。そして、移動経路提供部133は、当該携帯情報端末11の現在地および目的地を含む電子地図上に、現在地から目的地までの移動経路上に設置されているエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器をチェックポイントとして重ねて表示する画像データを生成する。管制サーバ13は、通信部131を用いて、無線基地局12を介して、生成後の画像データ(携帯情報端末11の現在地および目的地、各チェックポイントを電子地図上に表示した画像データ)を携帯情報端末11へ送信する。
【0033】
携帯情報端末11側では、出力表示部116を用いて、管制サーバ13から受信する画像データの内容を確認することができる。
次に、再度、携帯情報端末11の位置取得部113が、当該携帯情報端末11の自位置、すなわち当該携帯情報端末11の位置情報(緯度、経度等)を取得する(S407)。
また、携帯情報端末11は、無線部112およびアンテナ111を用いて、当該携帯情報端末11の位置情報および目的地の位置情報を、無線基地局12を介して、管制サーバ13へ送信する。
【0034】
次に、管制サーバ13は、判定部135を用いて、携帯情報端末11の現在地および移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等(チェックポイント)の間の距離が、基準距離設定部134により設定された基準距離以下であるかを判定する(S408)。判定結果は、通信部131により、無線基地局12を介して、携帯情報端末11へ送信される。携帯情報端末11では、受信する判定結果を、記憶部114に一時的に記憶する。
【0035】
携帯情報端末11の現在地および移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等(チェックポイント)の間の距離が、基準距離設定部134により設定された基準距離以下でなかった場合、再度、S407およびS408の処理を繰り返す。
携帯情報端末11の現在地および移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等(チェックポイント)の間の距離が、基準距離設定部134により設定された基準距離以下であった場合、携帯情報端末11の無線部112は、チェックポイントへの作動要求信号、すなわち移動経路上に設けられた信号機161等やエレベータ171等を制御するための制御信号を、管制サーバ13を介して信号機制御サーバ16またはエレベータ制御サーバ17へ送信する(S409)。
【0036】
そして、信号機制御サーバ16またはエレベータ制御サーバ17は、制御信号に従って、移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等を動作させる。
すなわち、例えば、移動経路上にあるビルのエレベータ171で1階から5階に移動する経路が含まれ、制御信号が、1階にエレベータ171のエレベータルームを移動させる処理内容である場合、エレベータ制御サーバ17は、エレベータ171に対して、1階にエレベータルームを移動させる命令をし、実際に、エレベータ171のエレベータルームを1階に移動させる。
【0037】
また、更に、1階にエレベータルームを移動させる制御信号とともに、エレベータを降りる階がたとえば5階と指定されている場合には、携帯情報端末11の利用者が、エレベータ171のエレベータルームに乗車後に、5階の行き先釦が押下された状態に自動的に設定される。
また、例えば、移動経路上に歩行用信号機161が設けられた交差点を渡る経路が含まれ、制御信号が、当該歩行用信号機161を青信号に切り換える処理内容である場合、信号機制御サーバ16は、歩行用信号機171に対して、青信号に切り換える命令をし、そして歩行者用信号機171を青信号に切り換える。
【0038】
なお、基準距離は、基準距離設定部134により、携帯情報端末11の移動速度と、移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器の動作に要する時間に基づいて設定されている。すなわち、携帯情報端末11の移動速度(歩行者の歩行平均速度)と、移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の動作に要する時間との乗算値を、基準距離としている。
このため、携帯情報端末11が移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等の制御対象機器に到着するときに、当該制御対象機器が動作する。
【0039】
携帯情報端末11が制御信号を送信した後に、当該移動経路上に設置されたエレベータ171等や信号機171等(チェックポイント)は、管制サーバ13内での登録リストから削除される(S410)。そして、各チェックポイントが無くなるまで、S406〜S410の処理を繰り返し、チェックポイント登録リストからチェックポイントが全て無くなった時点で、処理が終了される。
【0040】
以上のように、この発明によれば、移動局の移動速度と、移動経路上に設置された制御対象機器の動作に要する時間とを考慮して、当該制御対象機器の動作を制御するので、移動局が目的地に着くまで、移動経路上に設置された制御対象機器が動作するのを長時間待つことなく、目的地まで円滑な経路案内ができる。特に、本発明の適用により、エレベータの呼出釦や信号機の信号切り換え釦のところまで移動する必要がなくなるため、携帯情報端末11の利用者が目の不自由な方や老人や子供の場合、より効果的である。
【0041】
また、更に、管制サーバ13の移動経路探索部132が移動経路を設定する際に、施設位置情報データベース15から歩行者用信号機161等やエレベータ171等の各制御対象機器の位置情報を取得し、かつ、各制御対象機器の稼働状況を取得することにより、各制御対象機器が、携帯情報端末11が各制御対象機器に到着するときに効率的に動作するように、設定できる。このように、設定することにより、最も短時間で現在地から目的地に導く移動経路を提供することができる。
【0042】
また、図1および図2に示されるナビゲーションシステム1では、移動経路探索部132および移動経路提供部133は、管制サーバ13に設けられているが、移動経路探索部132および移動経路提供部133を、携帯情報端末11に設けてもよい。
また、図1および図2に示されるナビゲーションシステム1では、基準距離設定部134および判定部135は、管制サーバ13に設けられているが、基準距離設定部134および判定部135を、携帯情報端末11に設けてもよい。
【0043】
このとき、移動経路上の各制御対象機器(チェックポイント)の登録を、携帯情報端末11側で行うようにする。このように構成することにより、携帯情報端末11の現在地と、移動経路上に設けられた各制御対象機器(チェックポイント)の間の距離が、基準距離以下であるか否かの判定を、携帯情報端末11の内部で行うので、かかる処理において行われる携帯情報端末11と管制サーバ13との間の通信量を低減でき、管制サーバ13の負荷を軽減することができる。更には、無線チャネルリソースを節約でき、且つ、消費電流をも減少させることができる。その結果、携帯情報端末11の電池の動作時間をより長くすることができる。
【0044】
以上の説明は、本発明を実施の形態を説明するものであり、本発明が以上の実施の形態に限定されるものではない。また、当業者であれば、以上の実施の形態の各要素を、本発明の範囲において、容易に変更、追加、変換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】携帯情報端末の構成を示す図である。
【図3】管制サーバの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムの動作フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ナビゲーションシステム
11 携帯情報端末
111 アンテナ
112 無線部
113 位置検出部
114 記憶部
115 入力部
116 表示部
117 制御部
12 無線基地局
13 管制サーバ
131 通信部
132 移動経路探索部
133 移動経路提供部
134 基準距離設定部
135 判定部
136 制御部
14 地図情報データベース
15 施設位置情報データベース
16 信号機制御サーバ
161〜163 歩行者用信号機
17 エレベータ制御サーバ
171〜173 エレベータ
18 人工衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子地図情報を格納する地図情報格納部と、
制御対象機器の位置情報を格納する制御対象機器位置情報格納部と、
移動局の位置情報を取得する位置取得部と、
上記位置取得部が取得する上記移動局の位置情報、上記移動局から入力される目的地の位置情報および上記電子地図情報から、現在地から目的地までの上記移動局の移動経路を探索する経路探索部と、
上記経路探索部が探索した上記移動局の上記移動経路を、上記移動経路上に設置された制御対象機器の位置情報と共に、上記電子地図情報と関連つけて、上記移動局に提供する移動経路提供部と、
上記移動局の移動速度と、上記移動経路上に設置された制御対象機器の動作に要する時間に基づいて、上記移動経路上に設置された制御対象機器を動作させるか否かの判断をするための基準距離を設定する基準距離設定部と、
上記移動局および上記移動経路上に設置された制御対象機器の間の距離が、上記基準距離以下であるかを判定する判定部とを備え、
上記判定部の判定結果が上記基準距離以下のとき、上記移動局が、上記移動経路上に設置された上記制御対象機器を制御するための制御信号を送信し、上記制御対象機器が、上記制御信号に従って動作することを特徴とする経路案内システム。
【請求項2】
上記制御対象機器は、信号機であって、上記制御信号は上記信号機を青に切り換える命令信号であることを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項3】
上記制御対象機器は、エレベータであって、上記制御信号は上記エレベータのエレベータルームを上記移動経路上の特定階に移動させる命令信号であることを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項4】
上記基準距離設定部は、上記移動局が、移動経路上に設置された上記制御対象機器に到着するときに、当該制御対象機器が動作するように、上記基準距離を設定することを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項5】
上記基準距離は、上記移動局の移動速度と、上記移動経路上に設置された制御対象機器の動作に要する時間との乗算値であることを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項6】
上記移動局は表示部を有し、上記表示部に上記経路提供部から受ける各情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項7】
上記移動局との間で通信する管制サーバを有し、上記経路探索部、上記移動経路提供部は、上記管制サーバに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項8】
上記経路探索部、上記移動経路提供部は、上記移動局に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項9】
上記移動局との間で通信する管制サーバを有し、上記基準距離設定部、上記判定部は、上記管制サーバに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項10】
上記基準距離設定部、上記判定部は、上記移動局に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項11】
上記位置取得部は、上記移動局に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−349595(P2006−349595A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178802(P2005−178802)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】