説明

置換テトラサイクリン化合物

本発明は、少なくとも一部において、新規の置換テトラサイクリン化合物に関する。細菌感染および新生物などの多くのテトラサイクリン化合物反応状態を治療するために、ならびに、テトラサイクリン流出の阻止および遺伝子発現の調整などの、他の既知のテトラサイクリン化合物への適用のために、これらのテトラサイクリン化合物を使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、全て「置換テトラサイクリン化合物」と題される2003年12月16日付けで出願した米国特許仮出願第60/530,123号; 2003年11月25日付けで出願した米国特許仮出願第60/525,287号; および2003年7月9日付けで出願した米国特許仮出願第60/486,017号の優先権を主張するものである。上記の出願のそれぞれの全ての内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テトラサイクリン系抗生物質の開発は、世界の多くの地域から収集した土壌標本を、殺菌および/または静菌組成物を産生することができる微生物の有無に関して系統的にスクリーニングした直接の産物であった。これらの新規化合物の最初のものは、1948年にクロルテトラサイクリンの名前で紹介された。2年後、オキシテトラサイクリンが利用できるようになった。これらの化合物の化学構造の解明によって、それらが類似であることが確認され、1952年にこのグループの第三のメンバー、すなわちテトラサイクリンが産生される分析的基礎となった。初期のテトラサイクリンには存在した環結合メチル基が存在しない新しいファミリーのテトラサイクリン化合物は、1957年に調製され、1967年に販売されるようになり、1972年にはミノサイクリンが用いられるようになった。
【0003】
最近、多様な治療条件および投与経路で有効な新規テトラサイクリン抗生物質組成物を開発するために研究努力が集中して行われている。最初に導入されたテトラサイクリン化合物と同等またはそれより有効であることが証明される可能性がある新規テトラサイクリン誘導体も同様に研究されている。例として、米国特許第2,980,584号;第2,990,331号;第3,062,717号;第3,165,531号;第3,454,697号;第3,557,280号:第3,674,859号;第3,957,980号;第4,018,889号;第4,024,272号;および第4,126,680号が含まれる。これらの特許は、薬学的に活性なテトラサイクリンおよびテトラサイクリン誘導体組成物の範囲の代表的なものである。
【0004】
歴史的に、その最初の開発および導入後まもなく、テトラサイクリンは、リケッチア:多くのグラム陽性菌およびグラム陰性菌;ならびに鼠径リンパ肉芽腫、封入体性結膜炎およびオウム病の起因菌に対して薬理学的に非常に有効であることが判明した。したがって、テトラサイクリンは、「広域スペクトル」抗生物質として知られるようになった。その後、そのインビトロ抗菌活性、実験的感染症における有効性および薬理学的特性が確立されて、テトラサイクリンは一つのクラスとして、治療目的に広く用いられるようになった。しかし、主要なおよび少数の病気および疾患にテトラサイクリンをこのように幅広く使用したことから、共生および病原性の双方(例えば、肺炎球菌(pneumococci)とサルモネラ)の非常に感受性の高い細菌種においてもこれらの抗生物質に対する耐性が直ちに出現した。テトラサイクリン耐性菌の出現によって、選択される抗生物質としてのテトラサイクリンとテトラサイクリン類似体組成物の使用は全般的に減少した。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要:
1つの態様において、本発明は式Iの7,9-置換テトラサイクリン化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩に関する:

式中:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7はエチル、ペルハロゲン化アルケニル、置換ピリジニル、ピラジニル、フラニルまたはピラゾリルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は-CH2NR9aR9bであり;
R9aおよびR9bはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニルであるかまたは結合して複素環を形成し;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0006】
別の態様において、本発明は、式IIの9-置換テトラサイクリン化合物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する:

式中:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R4'、R4''、R7'、およびR7''は、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7はNR7'R7''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は-CH2NR9aR9bであるかまたはR10と結合してフラニル環を形成し;
R9aは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環または芳香族複素環であり;
R9bは水素またはアルキルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0007】
別の態様において、本発明は、式IIIの7-置換テトラサイクリン化合物、およびにこれらの薬学的に許容される塩に関する:

式中:
XはCHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6またはOであり;
R2、R2'、R4'およびR4''はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は置換または非置換ピラゾリル、フラニル、チオフェニル、またはチアゾリルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は水素であり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;ならびに
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0008】
別の態様において、本発明は、式IVの8-置換テトラサイクリン化合物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する:

式中:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R4'、R4''、R7'、および、R7''は、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、独立して水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0-3(NR7c)0-1C(=W')WR7aであり;
R8はアミノメチル置換フェニルまたは置換ピリジニルであり;
R9は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0-3NR9cC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR8fは、それぞれ独立して、なし、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
Wは、CR7dR7e、S、O、またはNR7bであり;
W'は、O、NR7f、またはSであり;
ZはCR9dR9e、S、OまたはNR9bであり;
Z'はO、NR9fまたはSであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0009】
一つの態様において、13-置換テトラサイクリン化合物は式Vのもの、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである:

式中:
R2、R4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R7は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3(NR7C)0〜1C(=W')WR7aであり;
R8は置換フェニルまたは置換ピリジニルであり;
R9は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR8fはそれぞれ独立して、なし、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
WはCR7d R7e、S、OまたはNR7bであり;
W'はO、NR7fまたはSであり;
R13は4-アルキル置換フェニルである。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一部において、本発明のテトラサイクリン化合物、たとえば式I、II、III、IV、Vの化合物、または本明細書に記述した別のテトラサイクリン化合物の有効量を投与することによって、テトラサイクリン反応状態のために対象を治療するための方法に関する。
【0011】
発明の詳細な説明:
本発明は、少なくとも一部において、新規の置換テトラサイクリン化合物に関する。これらのテトラサイクリン化合物は、細菌感染症および新生物などの多数のテトラサイクリン化合物反応状態を治療するために、ならびにテトラサイクリン流出の阻止および遺伝子発現の調整などの、一般にその他の既知のミノサイクリンおよびテトラサイクリン化合物の適用のために使用することができる。
【0012】
「テトラサイクリン化合物」という用語は、テトラサイクリンと同様の環構造を有する多くの化合物を含む。テトラサイクリン化合物の例は:クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン、ケロカルジン(chelocardin)、ロリテトラサイクリン、リメサイクリン、アピサイクリン;クロモサイクリン、ガメサイクリン(guamecycline)、メグルサイクリン(meglucycline)、メフィルサイクリン(mepylcycline)、ペニメピサイクリン(penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、エタモサイクリン(etamocycline)、ペニモサイクリン(penimocycline)、その他を含む。また、同様の4環構造を含むその他の誘導体および類似体が含まれる(Rogalski, “Chemical Modification of Tetracyclines,”を参照されたい、この全ての内容は、参照により本明細書に組み入れるものとする)。表1は、テトラサイクリンおよびいくつかの既知のその他のテトラサイクリン誘導体を表す。
【0013】
【表1】

【0014】
本発明の方法を使用して修飾してもよいその他のテトラサイクリン化合物は、6-デメチル-6-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノ-ピラゾール;7-クロロ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;12α-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;5-ヒドロキシ-6α-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-デジメチルアミノ-12α-デオキシ無水テトラサイクリン;7-ジメチルアミノ-6-デメチル-6-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノニトリル;4-オキソ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン4,6-ヘミケタール;4-オキソ-11a Cl-4-デジメチルアミノテトラサイクリン-4,6-ヘミケタール;5a,6-無水-4-ヒドラゾン-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシイミノ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシイミノ-4-デジメチルアミノ 5a,6-無水テトラサイクリン;4-アミノ-4デジメチルアミノ-5a,6-無水テトラサイクリン;4-メチルアミノ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドラゾノ-11a-クロロ-6-デオキシ-6-デメチル-6-メチレン-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリン四級アンモニウム化合物;無水テトラサイクリンベタイン;4-ヒドロキシ-6-メチルプレテトラミド(pretetramides);4-ケトテトラサイクリン;5-ケトテトラサイクリン;5a,1laデヒドロテトラサイクリン;11a Cl-6,12ヘミケタールテトラサイクリン;11a Cl-6-メチレンテトラサイクリン;6,13ジオールテトラサイクリン;6-ベンジルチオメチレンテトラサイクリン;7,11a-ジクロロ-6-フルオロ-メチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-フルオロ(α)-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-フルオロ(β)-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-αアセトキシ-6-デメチルテトラサイクリン;6-βアセトキシ-6-デメチルテトラサイクリン;7,13-エピチオテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;ピラゾロテトラサイクリン;テトラサイクリンの11aハロゲン;テトラサイクリンの12aホルミルおよびその他のエステル;テトラサイクリンの5,12aエステル;テトラサイクリンの10,12a-ジエステル;イソテトラサイクリン;12-a-デオキシ無水テトラサイクリン;6-デメチル-12a-デオキシ-7-クロロ無水テトラサイクリン;B-ノルテトラサイクリン;7-メトキシ-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-デメチル-6-デオキシ-5a-エピテトラサイクリン;8-ヒドロキシ-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;モナルデン(monardene);クロモサイクリン;5aメチル-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-オキサテトラサイクリン、および6チアテトラサイクリンを含むが、これらに限定されない。
【0015】
1. 7,9-置換テトラサイクリン化合物
また、本発明は、少なくとも一部には、7,9-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0016】
「7,9-置換テトラサイクリン化合物」という用語は、7位および9位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。1つの態様において、7位および9位の置換は、テトラサイクリン化合物が、その企図された機能を実施する能力(たとえば、テトラサイクリン化合物反応状態を治療する)を増強する。ある態様において、7、9-置換テトラサイクリン化合物とは、7,9-置換テトラサイクリン(たとえば、式中R4はNR4'R4''であり;R4'およびR4''はメチルであり、R5は水素であり、かつ、XはCR6R6'であって、式中R6は、メチルであり、かつR6'はヒドロキシである);7,9-置換ドキシサイクリン(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり;R4'およびR4''は、メチルであり、R5はヒドロキシルであり、かつXはCR6R6'であって、式中R6は、メチルであり、かつR6'は水素である);または7,9-置換サンサイクリン(式中、R4はNR4'R4''であり;R4'およびR4''はメチルであり;R5は水素であり、かつXはCR6R6'であって、式中R6およびR6'は水素原子である)である。ある態様において、7,9-置換テトラサイクリン化合物の7位の置換は、塩素またはトリメチルアミノではない。1つの態様において、R4は水素である。
【0017】
1つの態様において、本発明は式Iの7,9-置換テトラサイクリン化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩に関する:

式中、R7およびR9は、両方とも非置換のフェニルでないという条件下で、
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7はエチル、ペルハロゲン化アルケニル、置換ピリジニル、ピラジニル、フラニルまたはピラゾリルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は-CH2NR9aR9bであり;
R9aおよびR9bはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニルであるかまたは結合して複素環を形成し;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0018】
さらなる態様において、XはCR6R6'であり; R2、R2'、R6、R6'、R8、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; R4はNR4'R4''であり; R4'およびR4''は低級アルキルであり; ならびにR5はヒドロキシまたは水素である。別のさらなる態様において、R4'およびR4''はそれぞれメチルでありならびにR5は水素である。
【0019】
一つの態様において、R7はエチルであり、およびR9aはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである。別の態様において、R7は置換ピラジニルである。可能な置換基の例としては、フッ素などのハロゲンが挙げられる。別の態様において、R9aはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである。別のさらなる態様において、R9aおよびR9bは結合して複素環を形成する。さらなる態様において、結合複素環は置換ピペリジニルである。さらなる態様において、ピペルジニル(piperdinyl)は1つまたは複数のフッ素またはハロゲン化アルキル基で、例えば、2、3、4または5位にて置換される。別の態様において、R9部分は(4'トリフルオロメチル-ピペルジン-1-イル)メチル、(4',4'-ジフルオロ-ピペルジン-1-イル)メチルまたは(4'-フルオロピペルジン-1-イル)メチルである。
【0020】
別の態様において、R9aは水素であり、およびR9bはアルキルである。化合物の別の例としては、R7はフラニルであり、ならびにR9aは水素またはアルキルであり、およびR9bはアルケニル、例えば、1,2,2-トリフルオロエテニルであるものが挙げられる。
【0021】
別の態様において、R9aは水素またはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである。別の態様において、R7はピラゾリルであり、ならびにR9aは水素またはアルキルであり、およびR9bはアルケニルまたはアルキルである。
【0022】
さらなる態様において、本発明は以下からなる群より選択されるテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグに関する:


【0023】
2. 9-置換テトラサイクリン化合物
別の態様において、本発明は、9-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0024】
「9-置換テトラサイクリン化合物」という用語は、9位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。1つの態様において、9位の置換は、テトラサイクリン化合物がその企図された機能(たとえばテトラサイクリン反応状態を治療する)を実施する能力を増強する。ある態様において、9-置換テトラサイクリン化合物とは、9-置換テトラサイクリン(たとえば、式中R4は、NR4'R4''であり、R4'およびR4''はメチルであり、R5は水素であり、かつXはCR6R6'であって、式中R6はメチルであり、かつR6'はヒドロキシであり、かつR7は水素である);9-置換ドキシサイクリン(たとえば、式中R4は、NR4'R4''であり、R4'およびR4''はメチルであり、R5はヒドロキシルであり、かつXはCR6R6'であって、式中R6はメチルであり、かつR6'は水素であり、かつR7は水素である);9-置換ミノサイクリン(式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はメチルであり;R5は水素であり、かつXはCR6R6'であり、R6およびR6'は、水素原子であり、かつR7はジメチルアミノである);9-置換4-デジメチルアミノテトラサイクリン化合物であって、式中、Xは、CR6R6'であり、R4、R5、R6'、R6、およびR7は水素であり;かつ、9-置換サンサイクリン(式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はメチルであり;R5およびR7は水素であり、かつXはCR6R6'であって、R6およびR6'が水素原子である)である。
【0025】
別の態様において、本発明は、式IIのテトラサイクリン化合物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する:

式中:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R4'、R4''、R7'、およびR7''は、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、NR7'R7''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R9は-CH2NR9aR9bであるかまたはR10と結合してフラニル環を形成し;
R9aは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環または芳香族複素環であり;
R9bはアルコキシカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはアリールオキシカルボニルであり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0026】
さらなる態様において、R4はNR4'R4''であり; XはCR6R6'であり; R7はNR7'R7''であり、R2、R2'、R5、R6、R6'、R8、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; ならびにR4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ低級アルキルである。別の態様において、R9aはアルキル、アルケニルまたはアリールアルキルである。R9bの例としては、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アリールオキシカルボニルおよびアリールアミノカルボニルが挙げられる。別の態様において、R9aおよびR9bは結合して複素環、例えば、置換または非置換ピペルジニル環を形成する。さらなる態様において、ピペルジニルは1つまたは複数のフッ素またはハロゲン化アルキル基で、例えば、2、3、4または5位にて置換される。別の態様において、R9部分は(4'トリフルオロメチル-ピペルジン-1-イル)メチル、(4',4'-ジフルオロ-ピペルジン-1-イル)メチルまたは(4'-フルオロピペルジン-1-イル)メチルである。
【0027】
別の態様において、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はメチルであり、R5はヒドロキシルであり、およびXはCR6R6'であり、式中でR6はメチルであり、およびR6'は水素であり、ならびにR7は水素である。別の態様において、R9aはアルキル、アルケニルまたはアリールアルキルである。さらなる態様において、ピペルジニルは1つまたは複数のフッ素またはハロゲン化アルキル基で、例えば、2、3、4または5位にて置換される。別の態様において、R9部分は(4'トリフルオロメチル-ピペルジン-1-イル)メチル、(4',4'-ジフルオロ-ピペルジン-1-イル)メチルまたは(4'-フルオロピペルジン-1-イル)メチルである。
【0028】
別のさらなる態様において、R9aは置換アルキルである。例としては、アルコキシ置換アルキル(例えば、-(CH2)2-O-CH3)、アルケニル置換アルキル(例えば、-CH2-CH=C(CH3)2、-CH2-C(CH3)=CHCH3、-CH2-CH=CH-フェニルなど)、複素環置換アルキル(例えば、-CH2-フラニル、-CH2-CH=CH-フラニル、-CH2-ピリジニル、任意置換)、シアノ置換アルキル(例えば、(CH2)2-CNなど)、アルキニル置換アルキル(例えば、-(CH2)2-C≡CHなど)、ハロゲン置換アルキル(例えば、(CH2)2-CF3、(CH2)3-CF3、-CH2-CF3、-CH2-CH2Fなど)、アミド置換アルキル(例えば、-CH2-C(=O)-N(CH3)2、-CH2-C(=O)-NH2など)、カルボニル置換アルキル(例えば、CH2-C(=O)-CH3、-CH2-C(=O)-C(CH3)3など)、ヒドロキシ置換アルキル(例えば、(CH2-CH(OH)-CH3、-CH2-C(OH)(CH3)2など)、-CH2-C(=N-O-CH3)-CH3、シクロアルキル(例えば、アダマンチルなど)が挙げられる。
【0029】
別の態様において、R9aは置換または非置換ベンジルである。さらなる態様において、R9aは1つまたは複数のフッ素で(例えば、2、3、4、5または6位にて)置換される。
【0030】
さらなる態様において、R9bは水素、置換または非置換アルキル(例えば、メチル、エチル、-CH2-CH=CH-フラニル、-CH2-CH=C(CH3)2、-(CH2)3-CF3、-(CH2)2-CH2F、-CH2-CH2F、-(CH2)2-CF3、-CH2-CF3など)である。
【0031】
別のさらなる態様において、R9aおよびR9bは結合してピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、アザパニル、チオモルホリニル、モルホリニル、テトラヒドロキノリニルまたはデカヒドロキノリニル環を形成してもよい。環は1つまたは複数のフッ素で、2、3、4または5位にて置換されてもよい。環は同様に、1つまたは複数のフッ素化アルキル基(例えば、CH2F、-CHF2、CF3など)、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、スピロ-シクロヘキシル、t-ブチルなど)、複素環(例えば、任意で置換されたモルホリニル)、チオール基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、カルボニル基(任意で環中の原子に直接的に結合した)、ならびに環外および環内二重結合で置換されてもよい。一つの態様において、環は=CF2基で置換される。環は同様に、-O-(CH2)2-O-基に結合してもよく、この基は1つの炭素を介してまたは2つの隣接する炭素を介してピロリジニルまたはピペリジニル環に付着してもよい。
【0032】
R9がR10に結合してフラニル環を形成する場合、この環は、例えば、フェニルまたは本発明の化合物がその目的とする機能を実行可能にするその他の置換基でさらに置換されてもよい。
【0033】
さらなる態様において、テトラサイクリン化合物は以下からなる群より選択される:



ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【0034】
3. 7-置換テトラサイクリン化合物
1つの態様において、本発明は、新規の7-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0035】
「7-置換テトラサイクリン化合物」という用語は、7位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。1つの態様において、7位の置換は、テトラサイクリン化合物が、その企図された機能を実施する能力(たとえば、テトラサイクリン反応状態)を増強する。ある態様において、7-置換テトラサイクリン化合物とは、7-置換テトラサイクリン(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''は、メチルであり;R5は、水素であり、かつXは、CR6R6'であって、式中R6は、メチルであり、かつR6'はヒドロキシである);7-置換ドキシサイクリン(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''は、メチルであり;R5はヒドロキシルであり、かつ、XはCR6R6'であって、式中R6はメチルであり、R6'は水素である);7-置換テトラサイクリン化合物(式中、XはCR6R6'であり、R4、R5、R6'、およびR6は水素である);または7-置換サンサイクリン(式中、R4は、NR4'R4''であり、R4'およびR4''はメチルであり;R5は水素であり、かつXはCR6R6'であって、式中R6およびR6'は水素原子である)である。
【0036】
本発明は、少なくとも一部において、式IIIの7-置換テトラサイクリン化合物およびこれらの薬学的に許容される塩に関する:

式中:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は置換または非置換ピラゾリル、フラニル、チオフェニル、またはチアゾリルであり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R9は、水素であり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0037】
さらなる態様において、R4はNR4'R4''であり; XはCR6R6'であり、R2、R2'、R5、R6、R6'、R8、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; ならびにR4'およびR4はそれぞれ低級アルキル、例えば、メチルである。
【0038】
一つの態様において、テトラサイクリン化合物はドキシサイクリン化合物であり、およびR7は置換または非置換アミノメチル(例えば、-CH2NR7aR7b)である。
【0039】
一つの態様において、R7は置換(例えば、N-アルキル置換)または非置換ピラゾリルである。別の態様において、R7はジエチルアミノである。別の態様において、R7は置換アミノメチルである。さらなる態様において、置換アミノメチルはペンチル基(例えば、-CH2-C(CH3)3)、2つのメチル基またはフッ素化アルキル(例えば、フッ素化プロピル、例えば、-CH2-CH2-CF3)で置換される。
【0040】
別の態様において、R7は置換フェニルである。さらなる態様において、R7はアルキル置換アミノメチル基(例えば、(-CH2-N(CH3)2、-CH2-NH-CH(CH3)2、-CH2-N(CH3)-CH(CH3)2、-CH2-N-ピペルジニル)、-CH2NH-CH3、-CH2-NH-シクロプロピル、CH2-NH-t-ブチル、-CH2-N(CH3)-ベンジル、-CH2-N(CH3)-CH2-CH=CH2、CH2-NH-(CH2)2-CF3、CH2-NH-CH2-C(=O)-NH2または-CH2-NH-シクロヘキシル)で(フェニル環の)5位で置換されたフェニルである。さらなる態様において、ピペルジンはその4位にて(例えば、フッ素、メチルなどで)置換されてもよい。
【0041】
別の態様において、R7がアルキル置換アミノメチル基で5位にて置換されたフェニルである場合、このフェニルは同様に、フッ素で(例えば、2、3、4または6位にて)またはアルコキシ(例えば、メトキシ基)で2、3、4または6位にて置換されてもよい。
【0042】
別の態様において、R7は2位のアミノアルキル置換基を有するフェニルである。さらなる態様において、置換基はジアルキルアミノメチル(例えば、ジメチルアミノメチル、-CH2-N-ピペラジニル)である。さらなる態様において、ピペラジンは1つまたは複数のフッ素またはメチル基で置換される。別のさらなる態様において、フェニルR7はさらにメトキシ基で3、4、5または6位にて置換される。別の態様において、フェニルはその4および5位を介してメチレンジオキシ基に結合される。
【0043】
別の態様において、R7は4位のアミノアルキル(例えば、アミノメチル)置換基を有するフェニルである。さらなる態様において、アミノアルキル置換基は-CH2-NH-CH(CH3)2、-C(CH3)-NH-(CH2)2-CH2F、-CH2-NH-CH2-シクロヘキセニル、-CH2-N-ピペリジニル、-CH2-N(CH3)-CH2-CH=CH2またはCH2-NH-(CH2)2-CF3)である。
【0044】
別の態様において、R7は-C(=N-O-R)-R'基で置換されたフェニルであり、式中でRおよびR'はそれぞれアルキルである。さらなる態様において、置換基はフェニル環の4位に存在する。別の態様において、R7はアルコキシアルキル基(-CH2-O-CH3)で4位にて置換されたフェニルである。別の態様において、R7はアルキルカルボニルアミノ基で置換されたフェニルである。
【0045】
別の態様において、R7は置換フラニルである。さらなる態様において、フラニルはフラニル環の2位に付着される。さらなる態様において、フラニルはその5位にてアミノアルキル、例えば、アミノメチル基で置換される。アミノメチル基の例としては、-CH2N(CH3)-CH2-C6H5、-CH2-N(CH3)-CH2-CH=CH2、-CH2-N(CH3)-CH(CH3)2または-CH2-N-ピペリジニルが挙げられる。別の態様において、フラニルは3位にて、例えば、アミノアルキル置換基で置換される。そのような置換基の例としては、-CH2-N(CH3)2、-CH2-N-ピペリジニルが挙げられる。
【0046】
別の態様において、R7はその3位に付着された置換フラニルである。さらなる態様において、フラニルはアミノアルキル置換基で置換される。別のさらなる態様において、アミノアルキル置換基は-CH2-N-ピペラジニルまたは-CH2-N-(CH3)2である。
【0047】
別の態様において、R7は置換または非置換チオフェニルである。さらなる態様において、R7はアミノアルキル部分で置換される。別のさらなる態様において、アミノアルキル部分は-CH2-N-(CH3)2である。
【0048】
別のさらなる態様において、R7は置換ピリジニルである。さらなる態様において、R7はその3位にてフェニル環に付着される。別のさらなる態様において、R7はその5位にてアミノアルキル部分で置換される。アミノアルキル部分の例としては、-CH2-N-(CH3)2、-CH2-N-ピペリジニル、-CH2-N(CH3)-CH2-CH=CH2または-CH2-N(CH3)-CH(CH3)2が挙げられる。
【0049】
別のさらなる態様において、R7はアルキルカルボニルアミノアルキルである。別のさらなる態様において、R7は-CH2-NH-C(=O)-CH3である。
【0050】
別のさらなる態様において、R7はアミノ置換アルケニルである。別のさらなる態様において、R7は-CH=CH-CH2-N(CH3)2または-CH=CH-CH2-N-ピペリジニルである。別の態様において、R7はアミノ置換アルキニル(例えば、-C≡C-CH2-N(CH3)-(CH2)2-CF3または-C≡C-(CH2)2-N-ピペリジニル)である。
【0051】
別のさらなる態様において、R7は置換-CH2-N-ピペリジニルである。特定の態様において、ピペリジニルは1つまたは複数のフッ素で、例えば、ピペルジン環の4位にて置換される。
【0052】
別の態様において、R7置換基はアルキルアミノカルボニルである。さらなる態様において、置換基は-C(=O)-NH-(CH2)2-N(CH3)2である。
【0053】
別のさらなる態様において、R7置換基はアミノアルキルカルボニルである。さらなる態様において、置換基は-C(=O)-CH2-N(CH3)2、-C(=O)-CH2-NH-(CH2)2-OCH3、-C(=O)-CH2-N-ピペリジニルおよび-C(=O)-CH2-N-ピロリジニルである。
【0054】
別のさらなる態様において、R7置換基はN-ピペルジニル置換アルキルである。さらなる態様において、R7置換基は-(CH2)4-N-ピペルジニルまたは-(CH2)2-N-ピペルジニルである。
【0055】
別の態様において、R7置換は-(CH2)2-N(CH3)2またはC(=O)-CH3である。
【0056】
別のさらなる態様において、R7置換基はアミノアルキルオキシカルボニルである。アミノアルキルオキシカルボニル置換基の例としては、C(=O)-O-(CH2)2-N-ピペルジニルおよび-C(=O)-O-(CH2)2-N(CH3)2が挙げられる。
【0057】
さらなる態様において、本発明の化合物は以下である:




ならびにその薬学的に許容されるエステル、プロドラッグおよび塩。
【0058】
4. 8-置換テトラサイクリン化合物
本発明は、少なくとも一部において、8-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0059】
「8-置換テトラサイクリン化合物」という用語は、8位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。1つの態様において、8位の置換は、テトラサイクリン化合物がその企図された機能を実施する(たとえば、テトラサイクリン反応状態を治療する)能力を増強する。ある態様において、8-置換テトラサイクリン化合物とは、8-置換テトラサイクリン(たとえば、式中R4はNR4'R4''であり;R4'およびR4''はメチルであり、R5は水素であり、かつXはCR6R6'であって、式中R6はメチルであり、かつR6はヒドロキシである);8-置換ドキシサイクリン(たとえば、式中R4はNR4'R4''であり;R4'およびR4''はメチルであり;R5はヒドロキシルであり、かつ、XはCR6R6'であって、式中R6はメチルであり、かつR6'は水素である);または8-置換サンサイクリン(式中、R4はNR4'R4''であり;R4'およびR4''はメチルであり;R5は水素であり、かつXはCR6R6'であって、式中R6およびR6'は水素原子である)である。ある態様において、8-置換テトラサイクリン化合物の7位の置換は、塩素またはトリチルアミノではない。1つの態様において、R4は水素である。
【0060】
1つの態様において、8-置換テトラサイクリン化合物は、式IVに記載のもの、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグ:

式中:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R4'、R4''、R7'、および、R7''は、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、独立して水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0-3(NR7c)0-1C(=W')WR7aであり;
R8は、置換フェニルまたは置換ピリジニルであり;
R9は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソ、または-(CH2)0-3NR9cC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、およびR9fは、それぞれ独立して、なし、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
Wは、CR7dR7e、S、O、またはNR7bであり;
W'は、O、NR7f、またはSであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0061】
さらなる態様において、本発明は、XがCR6R6'であり;R2、R2'、R6、R6'、R8、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素であり;R4がNR4'R4''であり;R4'およびR4''は低級アルキルであり;かつR5がヒドロキシまたは水素である化合物に関する。
【0062】
さらなる態様において、R8は置換フェニル、例えば、o-置換フェニル、例えば、アミノメチル置換フェニルである。さらなる態様において、8-置換テトラサイクリン化合物は以下である:

ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【0063】
別のさらなる態様において、R8は置換ピリジニル、例えば、ハロ置換ピリジニル、例えば、6-フルオロ-ピリンジン-3-イルである。さらなる態様において、R9はアミノである。さらなる態様において、8-置換テトラサイクリン化合物は以下である:

ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【0064】
5. 13-置換メタサイクリン化合物
一つの態様において、13-置換メタサイクリン化合物は式Vのもの、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである:

式中:
R2、R4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R7は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3(NR7C)0〜1C(=W')WR7aであり;
R8は置換フェニルまたは置換ピリジニルであり;
R9は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR8fはそれぞれ独立して、なし、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
WはCR7d R7e、S、OまたはNR7bであり;
W'はO、NR7fまたはSであり;
R13は4-アルキル置換フェニルである。
【0065】
さらなる態様において、本発明は、R2、R2'、R8、R10、R11およびR12がそれぞれ水素であり; R4がNR4'R4''であり; R4'およびR4''が低級アルキルであり; ならびにR5がヒドロキシまたは水素である化合物に関する。
【0066】
さらなる態様において、フェニルR13基はアミノメチル置換基で置換される。別のさらなる態様において、アミノメチル置換基はジメチルアミノメチルである。別のさらなる態様において、本発明は下記式の化合物に関する:

ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【0067】
一つの態様において、本発明のテトラサイクリン化合物はU.S.S.N.09/660,598、09/823,884、09/852,908、10/819,343、10/820,456、09/894,805、09/895,796、09/895,812、09/895,797、09/895,857、10/097,634、10/759,484、10/337,914、10/636,437、10/752,378または10/740,961に記述されているものを含まない。これらの出願の各々の全ての内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0068】
6. 本発明のテトラサイクリン化合物を合成するための方法
本発明のテトラサイクリン化合物は、スキームに記載した方法を使用して、および/または当業者に既知のその他の技術によって合成することができる。
【0069】
本発明の置換テトラサイクリン化合物は、以下のスキームにおいて記載されている方法を使用して、および当技術分野において認識される技術を使用することによって合成することができる。本明細書に記載されている全ての新規の置換テトラサイクリン化合物は、化合物として本発明に含まれる。
【0070】

9-および7-置換テトラサイクリンは、スキーム1に示した方法によって合成することができる。スキーム1に示すように、9-および7-置換テトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物(たとえば、ドキシサイクリン、1A)を硫酸および硝酸ナトリウムで処理することによって合成することができる。生じる生成物は、7-ニトロおよび9-ニトロ異性体の混合物である(それぞれ、1Bおよび1C)。7-ニトロ(1B)および9-ニトロ(1C)誘導体を水素ガスおよび白金触媒を使用する水素付加によって処理して、アミン1Dおよび1Eを得る。異性体は、従来法によってこの時に分離される。7-または9-置換アルケニル誘導体を合成するために、7-または9-アミノテトラサイクリン化合物(それぞれ、1Eおよび1F)をHONOで処理して、ジアゾニウム塩を得る(1Gおよび1H)。塩(1Gおよび1H)を適切な反応試薬で処理して、所望の化合物を得る(たとえば、スキーム1では、7-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1H)および9-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1I))。
【0071】

スキーム2に示すように、R7がカルバメートまたはウレア誘導体である本発明のテトラサイクリン化合物は、以下のプロトコールを用いて合成することができる。サンサイクリン(2A)を酸性条件でNaNO2によって処置して、7-ニトロサンサイクリン(2B)を位置異性体の混合物として形成する。次に、7-ニトロサンサイクリン(2B)をH2ガスおよび白金触媒によって処置して、7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)を形成する。ウレア誘導体(2E)を形成するために、イソシアネート(2D)を7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)と反応させる。カルバメート(2G)を形成するために、適当な酸塩化物エステル(2F)を2Cと反応させる。
【0072】

スキーム3に示すように、R7が複素環(例えば、チアゾール)置換アミノ基である本発明のテトラサイクリン化合物は、上記のプロトコールを用いて合成することができる。7-アミノサンサイクリン(3A)をFmoc-イソチオシアネート(3B)と反応させて、保護されたチオウレア(3C)を生じる。次に、保護されたチオウレア(3C)を脱保護して活性なサンサイクリンチオウレア(3D)化合物を生じる。サンサイクリンチオウレア(3D)をα-ハロケトン(3E)と反応させて、チアゾール置換7-アミノサンサイクリン(7F)を生じる。
【0073】

7-アルキニルサンサイクリン(4A)および7-アルケニルサンサイクリン(4B)のような7-アルケニルテトラサイクリン化合物に水素を添加して、アルキル7-置換テトラサイクリン化合物(例えば、7-アルキルサンサイクリン、4C)を形成することができる。スキーム4は、飽和メタノールおよび塩酸水溶液中で、パラジウム/炭素触媒を用いて加圧下で7位の二重または三重結合の選択的水素添加を行うと、産物が得られることを示している。
【0074】

スキーム5において、7-位のアリール誘導体を合成する一般的な合成スキームを示す。ホウ素酸アリールとヨードサンサイクリン化合物とのスズキカップリングを示す。ヨードサンサイクリン化合物(5B)は、サンサイクリン(5A)を少なくとも1等量のN-ヨードスクシニミド(NIS)によって酸性条件で処置することによって、サンサイクリンから合成することができる。反応を停止させて、得られた7-ヨードサンサイクリン(5B)を当技術分野で既知の標準的な技術を用いて精製することができる。アリール誘導体を形成するために7-ヨードサンサイクリン(5B)を塩基性水溶液(例えば、Na2CO3)および適当なホウ酸(5C)によって不活性大気中で処置する。反応をパラジウム触媒(例えば、Pd(OAc)2)によって触媒する。産物(5D)は、当技術分野で既知の方法(HPLCのような)によって精製することができる。その他の7-アリール、アルケニル、およびアルキニルテトラサイクリン化合物も、類似のプロトコールを用いて合成することができる。
【0075】
本発明の7-置換テトラサイクリン化合物はまた、スティルのクロスカップリングを用いて合成することができる。スティルのクロスカップリングは、適当な錫試薬(例えばR-SnBu3)およびハロゲン化テトラサイクリン化合物(例えば、7-ヨードサンサイクリン)を用いて行うことができる。錫試薬とヨードサンサイクリン化合物は、パラジウム触媒(例えば、Pd(PPh3)2Cl2またはPd(AsPh3)2Cl2)および選択的にさらなる銅塩、例えばCuIによって処置することができる。得られた化合物は、当技術分野で既知の方法を用いて精製することができる。
【0076】

本発明の化合物は、ヘックタイプのクロスカップリング反応を用いても合成することができる。スキーム6に示すように、ヘックタイプのクロスカップリングは、ハロゲン化テトラサイクリン化合物(例えば、7-ヨードサンサイクリン、6A)と適当なパラジウムまたは別の遷移金属触媒(例えば、Pd(OAc)2およびCuI)を適当な溶媒(例えば、脱気したアセトニトリル)に懸濁することによって行うことができる。次に、基質、反応性アルケン(6B)、またはアルキン(6D)およびトリエチルアミンを加えて、混合物を数時間加熱してから室温に冷却する。次に、得られた7-置換アルケニル(6C)または7-置換アルキニル(6E)テトラサイクリン化合物は当技術分野で既知の技術を用いて精製することができる。
【0077】

7-(2'-クロロ-アルケニル)-テトラサイクリン化合物を調製するために、適切な7-(アルキニル)-サンサイクリン(7A)を飽和したメタノールおよび塩酸に溶解し、撹拌する。次いで、溶媒を除去して、生成物(7B)を得る。
【0078】

スキーム8に図示したように、9-置換化合物(8A)を強酸(たとえば、HF、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸)に溶解することによって9-置換テトラサイクリン化合物の5-エステルを形成し、適切なカルボン酸を添加して、対応するエステル(8B)を得ることができる。
【0079】
下記のスキーム9に示したように、7および9アミノメチルテトラサイクリンは、ヒドロキシメチル-カルバミン酸ベンジルエステルなどの試薬を使用して合成してもよい。

【0080】
「アルキル」という用語には、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、t-ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族が含まれる。アルキルという用語にはさらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、または燐原子をさらに含みうるアルキル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキルはその骨格に炭素原子6個またはそれ未満を有し(例えば、直鎖の場合C1-C6、分岐鎖の場合C3-C6)、より好ましくは4個またはそれ未満を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に炭素原子3〜8個を有し、より好ましくは環構造に炭素5または6個を有する。用語C1-C6には、炭素原子1〜6個を含むアルキル基が含まれる。
【0081】
さらに、アルキルという用語には、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような置換基には、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。シクロアルキルはさらに、例えば上記の置換基によって置換することができる。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分は、アリールによって置換したアルキルである(例えば、フェニルメチル(ベンジル))。「アルキル」という用語にはまた、天然および非天然のアミノ酸の側鎖が含まれる。
【0082】
「アリール」という用語には、ヘテロ原子0〜4個を含んでもよい5-および6-員環の単環式芳香族基を含む基、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン等が含まれる。さらに、「アリール」という用語には、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフスリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンが含まれる。環構造にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」「複素環」、または「ヘテロアリール」、または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香環は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって一つまたは複数の環の位置で置換することができる。アリール基は、多環(例えばテトラリン)を形成するために、芳香族でない脂環式または複素環に融合または架橋することができる。
【0083】
「アルケニル」という用語には、上記のアルキルと長さおよび可能性がある置換が類似であるが、少なくとも一つの二重結合を含む不飽和脂環式基が含まれる。
【0084】
例えば、「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、分岐鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル、またはアルケニル置換シクロアルケニル基およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。アルケニルという用語には、さらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、または燐原子を含むアルケニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルケニル基は、その骨格に炭素原子6個またはそれ未満を有する(例えば、直鎖の場合C2-C6、分岐鎖の場合C3-C6)。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造に炭素原子3〜8個を有してもよく、より好ましくは環構造に炭素5または6個を有する。C2-C6という用語には、炭素原子2〜6個を含むアルケニル基が含まれる。
【0085】
さらに、アルケニルという用語には、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素原子上の水素の代わりに置換基を有するアルケニル部分を意味する。そのような置換基は例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分となりうる。
【0086】
「アルキニル」という用語には、長さおよび可能性がある置換が上記のアルキルと類似であるが、少なくとも一つの三重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。
【0087】
例えば、「アルキニル」という用語には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、分岐鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。アルキニルという用語にはさらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、または燐原子を含むアルキニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキニル基は、その骨格に炭素原子6個またはそれ未満を有する(例えば、直鎖の場合C2-C6、分岐鎖の場合C3-C6)。C2-C6という用語には、炭素原子2〜6個を含むアルキニル基が含まれる。
【0088】
さらに、アルキニルという用語には、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキニル基を意味する。そのような置換基には、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。
【0089】
炭素数が明記されていなければ、本明細書において用いる「低級アルキル」は、先に定義したアルキル基であるがその骨格構造に炭素原子1〜5個を有する基を意味する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば炭素原子2〜5個の鎖長を有する。
【0090】
「アシル」という用語には、アシルラジカル(CH3CO-)またはカルボニル基を含む化合物および部分が含まれる。これには置換アシル部分が含まれる。「置換アシル」という用語には、一つまたは複数の水素原子がアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されているアシル基が含まれる。
【0091】
「アシルアミノ」という用語には、アシル部分がアミノ基に結合している部分が含まれる。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基が含まれる。
【0092】
「アロイル」という用語には、カルボニル基に結合したアリールまたはヘテロ芳香族部分を有する化合物および部分が含まれる。アロイル基の例として、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等が含まれる。
【0093】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」という用語には、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、または硫黄原子をさらに含む、上記のアルキル基が含まれる。
【0094】
「アルコキシ」という用語には、酸素原子に共有結合した置換および非置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル基が含まれる。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が含まれる。置換アルコキシ基の例として、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。アルコキシ基は、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分のような基によって置換することができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例として、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等が含まれる。
【0095】
「アミン」または「アミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも一つの炭素またはヘテロ原子に共有結合している化合物が含まれる。この用語には、窒素原子が少なくとも一つのさらなるアルキル基に結合している基および化合物を含む「アルキルアミノ」が含まれる。「ジアルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも二つのさらなるアルキル基に結合している基が含まれる。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」という用語には、窒素原子がそれぞれ、少なくとも一つまたは二つのアリール基に結合している基が含まれる。「アルキルアリールアミノ」「アルキルアミノアリール」、または「アリールアミノアルキル」という用語には、少なくとも一つのアルキル基および少なくとも一つのアリール基に結合しているアミノ基が含まれる。「アルカミノアルキル」という用語は、アルキル基にも結合している窒素原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。
【0096】
「アミド(amide)」、「アミド(amido)」または「アミノカルボニル」という用語には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含む化合物または部分が含まれる。この用語には、カルボニル基に結合したアミノ基に結合したアルキル、アルケニル、アリール、またはアルキニル基を含む「アルカミノカルボニル」または「アルキルアミノカルボニル」基が含まれる。これには、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボニルおよびアリールカルボニルアミノ基が含まれる。「アルキルアミノカルボニル」、「アルケニルアミノカルボニル」、「アルキニルアミノカルボニル」、「アリールアミノカルボニル」「アルキルカルボニルアミノ」、「アルケニルカルボニルアミノ」、「アルキニルカルボニルアミノ」および「アリールカルボニルアミノ」は、「アミド」という用語に含まれる。アミドにはまた、ウレア基(アミノカルボニルアミノ)およびカルバメート(オキシカルボニルアミノ)が含まれる。
【0097】
「カルボニル」または「カルボキシ」という用語には、二重結合によって酸素原子に結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。カルボニルはさらに、本発明の化合物がその意図される機能を行うことができる如何なる部分によっても置換されうる。例えば、カルボニル部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノ等によって置換してもよい。カルボニルを含む部分の例として、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等が含まれる。
【0098】
「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」という用語には、二重結合によって硫黄原子に結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。
【0099】
「エーテル」という用語には、異なる二つの炭素原子またはヘテロ原子に結合した酸素を含む化合物または部分が含まれる。例えば、この用語には、別のアルキル基と共有結合した酸素原子に共有結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する「アルコキシアルキル」が含まれる。
【0100】
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合した炭素またはヘテロ原子を含む化合物および部分が含まれる。「エステル」という用語には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル等のようなアルコキシカルボニル基が含まれる。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は上記の定義の通りである。
【0101】
「チオエーテル」という用語には、異なる二つの炭素またはヘテロ原子に結合した硫黄原子を含む化合物および部分が含まれる。チオエーテルの例として、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、およびアルクチオアルキニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合した硫黄原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を有する化合物が含まれる。同様に、「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基がアルキニル基に共有結合した硫黄原子に結合している化合物または部分を意味する。
【0102】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、-OHまたは-O-を有する基が含まれる。
【0103】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等が含まれる。「過ハロゲン化」という用語は一般的に、全ての水素がハロゲン原子に置換されている部分を意味する。
【0104】
「ポリシクリル」または「多環式ラジカル」という用語は、二つまたはそれ以上の炭素が二つの隣接する環と共通している、例えば環が「融合環」である二つまたはそれ以上の環状環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を意味する。非隣接原子に結合している環は「架橋」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミド、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換することができる。
【0105】
「ヘテロ原子」という用語には、炭素または水素以外の如何なる元素の原子も含まれる。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄、および燐である。
【0106】
「プロドラッグ部分」という用語には、インビボでヒドロキシル基に代謝されうる部分およびインビボで都合よくエステル化されたままである部分が含まれる。好ましくは、プロドラッグ部分は、インビボでエステラーゼまたは別の代謝によってヒドロキシル基または別の都合のよい基に代謝される。プロドラッグおよびその使用例は当業者に周知である(例えば、バージ(Berge)ら、(1977)、「薬学的な塩(Pharmaceutical Salts)」、J. Pharm. Sci. 66:1〜19)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製のあいだにインサイチューで、またはその遊離の酸の形の精製化合物またはヒドロキシルを適したエステル化剤と個々に反応させることによって調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸による処置によってエステルに変換することができる。プロドラッグ部分の例として、置換および非置換の分岐または非分岐低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ-低級アルキル-アミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換(例えば、メチル、ハロ、またはメトキシ置換基による)アリールおよびアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ-低級アルキルアミド、およびヒドロキシアミドが含まれる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。
【0107】
本発明のテトラサイクリン化合物のいくつかの構造には、不斉炭素原子が含まれることが注目される。したがって、そうでないことを明記している場合を除き、そのような非対称性に由来する異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)が本発明の範囲に含まれる。そのような異性体は、古典的な分離技術および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋に得ることができる。さらに、本出願において考察した構造、別の化合物および部分には同様に、その全ての互変異性体が含まれる。
【0108】
7. テトラサイクリン反応状態を治療するための方法
本発明はまた、テトラサイクリン反応状態が治療されるように、本発明のテトラサイクリン化合物(例えば、式I、II、III、IVまたはその他明細書に記載された化合物)の有効量を対象に投与することによって、対象におけるテトラサイクリン反応状態を治療する方法にも関する。
【0109】
「治療」という用語は、治癒、ならびに、例えばテトラサイクリン反応状態などの状態、疾病、または疾患の、少なくとも一つの症状の改善を含む。
【0110】
「テトラサイクリン化合物反応状態」または、「テトラサイクリン反応状態」は、本発明のテトラサイクリン化合物、たとえば3、10、および/または12a置換テトラサイクリン化合物を投与することにより、治療、予防、またはそうでなければ改善することができる状態を含む。テトラサイクリン化合物反応状態は、細菌、ウイルス、および真菌の感染(その他のテトラサイクリン化合物に耐性であるものを含む)、癌(たとえば、前立腺、胸部、大腸、肺黒色腫、およびリンパ癌、ならびに米国特許第6,100,248号に記載されたものを含む(これらに限定されない)不必要な細胞の増殖によって特徴づけられるその他の障害)、関節炎、骨粗鬆症、糖尿病、ならびにテトラサイクリン化合物が活性であることが見出されるその他の状態(例えば、米国特許第5,789,395号;第5,834,450号;第6,277,061号、および第5,532,227号を参照されたい(これらのそれぞれは、参照により本明細書に明確に組み入れられる))を含む。本発明の化合物は、下痢、尿路感染症、皮膚および皮膚構造の感染、耳、鼻端および咽喉の感染、創傷感染、乳腺炎などの重要な哺乳類および獣医学の疾患を予防または制御するために使用されることができる。加えて、本発明のテトラサイクリン化合物を使用して新生物を治療するための方法も、含まれる(van der Bozertら、Cancer Res.、48:6686-6690(1988))。さらなる態様において、テトラサイクリン反応状態は、細菌感染ではない。別の態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、本質的に非抗菌性である。例えば、本発明の非抗菌性テトラサイクリン化合物は、約4μg/mlを上回るMIC値を有しうる(当技術分野で公知のアッセイ法及び/または実施例2に記載のアッセイ法により測定)。
【0111】
また、テトラサイクリン化合物反応状態は、炎症性のプロセス関連状態(IPAS)を含む。「炎症性のプロセス関連状態」という用語は、炎症または炎症性の因子(たとえば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、酸化窒素(NO)、TNF、インターロイキン、血漿タンパク質、細胞の防御系、サイトカイン、脂質代謝産物、プロテアーゼ、毒性のラジカル、接着分子、その他)に関与するか、または異常な量、たとえば対象に有益なように変化させるのに有利でありうる量で存在する領域に存在する状態を含む。炎症性のプロセスは、損傷に対する生組織の反応である。炎症の原因は、物理的損傷、化学物質、微生物、組織ネクローシス、癌、またはその他の薬剤によるものであってもよい。急性の炎症は、持続が短く、ほんの数日だけ続く。しかし、より長く持続する場合、これは慢性の炎症と称してもよい。
【0112】
IPAFは、炎症性の疾患を含む。炎症性の疾患は、一般に熱、発赤、膨潤、疼痛、および機能喪失によって特徴づけられる。炎症性の疾患の原因の例は、微生物の感染(たとえば、細菌性の、および真菌性の感染)、物理的因子(たとえば、熱傷、照射、および傷害)、化学的薬剤(たとえば、毒素および腐食薬物質)、組織ネクローシス、および様々なタイプの免疫反応を含むが、これらに限定されない。
【0113】
炎症性の疾患の例は、骨関節炎、リウマチ様関節炎、急性および慢性の感染(ジフテリアおよび百日咳を含む細菌性のおよび真菌性のもの);急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎、ならびに鼻風邪を含むその他の呼吸器感染;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎;急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性および慢性の皮膚炎;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心外膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;急性および慢性の膣炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;昆虫刺症;熱傷(熱的な、化学的な、電気的なもの);ならびに日焼けを含むが、これらに限定されない。
【0114】
テトラサイクリン化合物反応状態は、NOに関連した状態を含む。「NOに関連した状態」という用語は、一酸化窒素(NO)または誘導性の一酸化窒素シンターゼ(iNOS)に関与または関連した状態を含む。NOに関連した状態は、異常な量のNOおよび/またはiNOSによって特徴づけられる状態を含む。好ましくは、NOに関連した状態は、本発明のテトラサイクリン化合物、たとえば、3、10、および/または12a置換テトラサイクリン化合物を投与することによって治療することができる。米国特許第6,231,894号;第6,015,804号;第5,919,774号;および第5,789,395号に記載された障害、疾患、および状態も、NOが関連した状態に含まれる。これらの特許のそれぞれの全ての内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0115】
NOに関連した状態のその他の例は、マラリア、老化、糖尿、血管発作、神経変性疾患(たとえば、アルツハイマー病およびハンチントン病)、心臓病(たとえば、梗塞形成後の再灌流に関連した傷害)、若年型糖尿病、炎症性疾患、骨関節炎、リウマチ様関節炎、急性、再発性、および慢性の感染症(細菌性の、ウイルス性の、および真菌性のもの);急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎、ならびに鼻風邪を含む呼吸器感染;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎;急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性および慢性の皮膚炎;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心外膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎、および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;嚢胞性線維症;急性および慢性の膣炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;昆虫刺症;熱傷(熱的な、化学的な、電気的なもの);ならびに日焼けを含むが、これらに限定されない。
【0116】
また、「炎症性プロセス関連状態」という用語は、1つの態様において、マトリックスメタロプロテイナーゼに関連した状態(MMPAS)を含む。MMPASは、異常な量のMMPまたはMMP活性によって特徴づけられる状態を含む。また、これらには、本発明の化合物、たとえば本明細書に記載されているもの、たとえば3、10、および/または12a置換テトラサイクリン化合物を使用して治療されうるテトラサイクリン化合物反応状態を含む。
【0117】
マトリックスメタロプロテイナーゼに関連した状態(「MMPAS」)の例は、動脈硬化、角膜の潰瘍形成、気腫、骨関節炎、多発性硬化症(Liedtkeら、Ann. Neurol. 1998、44:35-46;Chandlerら、J. Neuroimmunol. 1997、72:155-71)、骨肉腫、骨髄炎、気管支拡張症、慢性肺閉塞性疾患、皮膚および目の疾病、歯周炎、骨粗鬆症、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、炎症性疾患、腫瘍増殖、および浸潤(Stetler-Stevensonら、Annu. Rev. Cell Biol. 1993、9:541-73;Tryggvasonら、Biochim. Biophys. Acta 1987、907:191-217;Liら、Mol. Carcinog. 1998、22:84-89)、転移、急性肺傷害、脳卒中、虚血、糖尿、大動脈または血管の動脈瘤、皮膚組織創傷、ドライアイ、骨および軟骨の分解(Greenwaldら、Bone 1998、22:33-38;Ryanら、Curr. Op. Rheumatol. 1996、8;238-247)を含むが、これらに限定されない。その他のMMPASは、米国特許第5,459,135号;第5,321,017号;第5,308,839号;第5,258,371号;第4,935,412号;第4,704,383号;第4,666,897号、およびRE第34,656号に記載されたものを含み、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0118】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、癌である。本発明のテトラサイクリン化合物が治療するために有用でありうる癌の例は、全ての固体腫瘍、すなわち癌腫、たとえば腺癌および肉腫を含む。腺癌は、腺組織に由来するか、または腫瘍細胞が認識できる腺構造を形成する癌腫である。肉腫は、その細胞が原繊維または同種体様の胚性結合組織に包埋されている腫瘍を広く含む。本発明の方法を使用して治療してもよい癌腫の例は、前立腺癌、胸部、卵巣、精巣、肺、大腸、および胸部の癌腫を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、これらの腫瘍タイプの治療に限定されず、あらゆる器官系に由来するどのような固体腫瘍にも及ぶ。治療可能な癌の例は、大腸癌、膀胱癌、乳癌、黒色腫、卵巣悪性腫瘍、前立腺癌、肺癌、およびその他の様々な癌も含むが、これらに限定されない。また、本発明の方法は、たとえば前立腺、胸部、腎臓、卵巣、精巣、および大腸のものなどの腺癌における癌の増殖の阻害を引き起こす。
【0119】
ある態様において、本発明のテトラサイクリン反応状態は、癌である。本発明は、癌細胞増殖の阻害が起こるように、すなわち、細胞の増殖、侵襲性、転移、または腫瘍発生率が減少する、遅くなる、もしくは停止するように、テトラサイクリン化合物の有効量を投与することにより、癌に罹患しているか、または罹患する危険のある対象を治療するための方法に関する。阻害は、炎症性のプロセスの阻害、炎症性のプロセスのダウンレギュレーション、いくつかのその他の機構、または機構の組み合わせから生じてもよい。または、テトラサイクリン化合物は、癌再発を予防するために、たとえば外科的切除もしくは放射線療法後の残留する癌を治療するために有用であってもよい。本発明に従って有用なテトラサイクリン化合物は、これらが、その他の癌治療と組み合わせて実質的に非毒性であるので、特に有利である。さらなる態様において、さらなる態様において、本発明の化合物は、化学療法剤および放射線療法(これらに限定されない)などの標準的な癌治療法と組み合わせて投与してもよい。
【0120】
また、神経疾患を含むテトラサイクリン化合物反応状態の例は、アルツハイマー病、アルツハイマー病(ピック病など)に関連した痴呆、パーキンソン病、およびその他のレビ散在性小体疾患、老人性痴呆、ハンチントン病、ジルドラトゥーレット症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺、癲癇、およびクロイツフェルト-ヤコブ病などの精神神経性ならびに神経変性疾患の両方;高血圧および睡眠障害などの自律神経機能疾患、ならびにうつ病、精神分裂症、分裂情動性疾患、コルサコフ精神病、躁病、不安症疾患、または恐怖症疾患などの精神神経性疾患;学習障害または記憶障害、たとえば健忘症もしくは加齢に関連した記憶喪失、注意欠陥障害、情緒異常疾患、主要な抑うつ性疾患、躁病、強迫神経障害、精神賦活性物質の使用による疾患、不安症、恐怖症、恐慌性障害、ならびに二極性情動障害、たとえば重篤な二極性感情(気分)疾患(BP-1)、二極性感情神経疾患、たとえば片頭痛および肥満症を含むが、これらに限定されない。さらなる神経疾患は、たとえば精神障害(DSM)であり、アメリカ精神医学連合の診断上および統計学的マニュアルに一覧を示したものを含み、最新のバージョンのものは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0121】
テトラサイクリン化合物反応状態の別の例は、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる、WO 03/005971A2、U.S.S.N.60/421,248、およびU.S.S.N.60/480,482に記載されている。
【0122】
別の治療的薬剤または治療「と組み合わせる」という用語は、テトラサイクリン化合物を別の薬剤または治療とともに同時投与すること(例えばインヒビター)、最初のテトラサイクリン化合物に続いて別の薬剤または治療を投与すること、および最初の別の薬剤または治療に続いてテトラサイクリン化合物を投与することを含む。別の薬剤は、当該分野において既知である、IPAS状態を治療する、予防する、または減少するどのような薬剤であってもよい。さらに、他方の薬剤は、テトラサイクリン化合物の投与と組み合わせて投与されるときに、患者に対して有益などのような薬剤であってもよい。1つの態様において、本発明の方法によって治療される癌は、米国特許第6,100,248号;第5,843,925号;第5,837,696号;または第5,668,122号に記載されているものを含み、これらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0123】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、糖尿病、たとえば若年型糖尿病、真正糖尿病、タイプI糖尿病、またはタイプII糖尿病である。さらなる態様において、タンパク質グリコシル化は、テトラサイクリン化合物の投与による影響を受けない。別の態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、インシュリン療法(しかし、これに限定されない)などの標準的な糖尿病患者の治療法と組み合わせて投与される。さらなる態様において、IPASは、米国特許第5,929,055号;および第5,532,227号に記載された疾患を含み、参照によりこれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0124】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、骨質量疾患である。骨質量疾患は、対象の骨が、骨形成、修復、またはリモデリングが有利である疾患および状態である疾患を含む。たとえば、骨質量疾患は、骨粗鬆症(たとえば、骨強度および密度の減少)、骨折、外科的手順に関連した骨形成(たとえば、顔の再構成)、骨形成不全症(もろい骨の疾患)、低アルカリフォスファターゼ症、パジェット病、線維性骨異形成症、大理石骨病、骨髄腫骨疾患、および原発性上皮小体機能亢進症に関連するものなどの骨におけるカルシウムの欠乏を含む。骨質量疾患は、骨の形成、修復、またはリモデリングが対象に有利である全ての状態、ならびに本発明のテトラサイクリン化合物で治療することができる対象の骨または骨格系と関連したその他の全ての疾患を含む。さらなる態様において、骨質量疾患は、米国特許第5,459,135号;第5,231,017号;第5,998,390号;第5,770,588号;RE第34,656号;第5,308,839号;第4,925,833号;第3,304,227号;および第4,666,897号に記載されたものを含み、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0125】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、急性の肺傷害である。急性の肺傷害は、急性呼吸不全症候群(ARDS)、ポスト-ポンプ症候群(PPS)、および外傷を含む。外傷は、外因性の薬剤またはイベントによって引き起こされる生組織に対するあらゆる傷害を含む。外傷の例としては、挫滅傷害、硬い表面との接触、または切断もしくはその他の肺損傷を含むが、これらに限定されない。
【0126】
また、本発明は、本発明の置換テトラサイクリン化合物を投与することによって急性の肺傷害を治療するための方法に関する。
【0127】
また、本発明のテトラサイクリン反応状態は、慢性肺疾患を含む。本発明は、本明細書において記載されたものなどのテトラサイクリン化合物を投与することによって慢性肺疾患を治療するための方法に関する。本方法は、慢性肺疾患が治療されるように、対象にテトラサイクリン化合物の有効量を投与する段階を含む。慢性肺疾患の例は、喘息、嚢胞性繊維症、および気腫を含むが、これらに限定されない。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第5,977,091号;第6,043,231号;第5,523,297号;および第5,773,430号に記載されたものなどの急性および/または慢性の肺疾患を治療するために使用され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0128】
さらに別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、虚血、脳卒中、または虚血性脳卒中である。また、本発明は、本発明のテトラサイクリン化合物の有効量を投与することにより、虚血、脳卒中、または虚血性脳卒中を治療するための方法に関する。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第6,231,894号;第5,773,430号;第5,919,775号、または第5,789,395号に記載された疾患を治療するために使用され、参照により本明細書に組み入れられる。
【0129】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、皮膚創傷である。本方法は、少なくとも一部において、急性の外傷傷害(たとえば、切断、熱傷、掻爬、その他)に対する上皮化された組織(たとえば、皮膚、粘膜)の治癒反応を改善するための方法に関する。本方法は、本発明のテトラサイクリン化合物(これは、抗菌活性を有していてもよく、または有していなくてもよい)を使用して、急性の創傷を治癒するように上皮化された組織の能力を改善する段階を含んでもよい。本方法は、治癒組織のコラーゲン蓄積速度を増大させうる。また、本方法は、MMPのコラーゲン分解活性および/またはゲラチン融解活性を減少させることにより、上皮化された組織のタンパク分解活性を減少させてもよい。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、皮膚の表面に(たとえば、局所的に)投与される。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、皮膚創傷、およびたとえば、米国特許第5,827,840号;第4,704,383号;第4,935,412号;第5,258,371号;第5,308,8391号;第5,459,135号;第5,532,227号;および第6,015,804号に記載されたものなどのその別のものを治療するために使用され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0130】
さらに別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、対象(たとえば、大動脈のもしくは血管の動脈瘤その他を有するか、またはリスクを有する対象)の血管組織における大動脈のまたは血管の動脈瘤である。テトラサイクリン化合物は、血管の動脈瘤の大きさを減少させることに有効であってもよく、または動脈瘤が予防されるように、動脈瘤の発症前に対象に投与されてもよい。1つの態様において、血管組織は、動脈、たとえば大動脈、たとえば腹大動脈である。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第6,043,225号および第5,834,449号に記載された疾患を治療するために使用され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0131】
細菌感染は、多種多様なグラム陽性およびグラム陰性菌によって引き起こされうる。本発明の化合物は、その別のテトラサイクリン化合物に耐性である生物体に対して、抗生物質として有用である。本発明のテトラサイクリン化合物の抗生の活性は、実施例2において、またはWaitz, J. A.、National Commission for Clinical Laboratory Standards、Document M7-A2、第10巻、第8号、pp. 13-20、第二版、Villanova、PA(1990)に記載されているインビトロの標準的なブロース希釈法を使用して決定してもよい。
【0132】
また、テトラサイクリン化合物は、たとえば、リケッチア多くのグラム陽性菌およびグラム陰性菌などのテトラサイクリン化合物;および鼠径リンパ肉芽腫、封入体結膜炎、オウム病に応答性の薬剤によって伝統的に治療される感染を治療するために使用されてもよい。テトラサイクリン化合物は、たとえば、肺炎菌(K. pneumoniae,)、サルモネラ菌(Salmonella)、E. ヒラエ(E. hirae)、A. バウマニー(A. baumanii)、B. カタルハリス(B. catarrhalis)、インフルエンザ菌(H. influenzae)、緑膿菌(P. aeruginosa)、E. フェシウム(E. faecium)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、またはE. フェカリス(E. faecalis)の感染を治療するために使用されてもよい。1つの態様において、テトラサイクリン化合物は、その別のテトラサイクリン系抗生物質化合物に耐性である細菌感染を治療するために使用される。本発明のテトラサイクリン化合物は、薬学的に許容される担体と共に投与されてもよい。
【0133】
化合物の「有効量」という用語は、テトラサイクリン化合物反応状態を治療するまたは予防するために必要なまたは十分なその量である。有効量は、患者の大きさおよび重量、疾患のタイプ、または特定のテトラサイクリン化合物のような要因に依存して変化し得る。たとえば、テトラサイクリン化合物の選択は、「有効量」を構成するものに影響を及ぼし得る。当業者であれば、前述の因子を研究して、過剰な実験をすることなく、テトラサイクリン化合物の有効量に関する決定を行うことができると考えられる。
【0134】
本発明はまた、微生物感染症および関連疾患に対する治療方法にも関する。方法には、対象に一つまたは複数のテトラサイクリン化合物の有効量を投与することが含まれる。対象は、植物、または都合よくは、動物、例えば、哺乳類、例えば、ヒトのいずれかとなりうる。
【0135】
本発明の治療的方法において、本発明の一つまたは複数のテトラサイクリン化合物を単独で対象に投与してもよく、またはより典型的に、本発明の化合物は、従来の賦形剤、すなわち活性化合物と有害な反応をせず、そのレシピエントに対して有害でない非経口、経口、または別の所望の投与に適した薬学的に許容される有機もしくは無機担体物質と混合した薬学的組成物の一部として投与される。
【0136】
8. 本発明の薬学的組成物
本発明はまた、テトラサイクリン化合物(例えば、式I、II、III、IV、Vの化合物、または本明細書に記載の任意の別の化合物)および任意で薬学的に許容される担体の治療的有効量を含む薬学的組成物にも関する。
【0137】
「薬学的に許容される担体」という用語には、その意図される機能を行うことができる、例えばテトラサイクリン反応状態を治療または予防する、テトラサイクリン化合物(複数)と同時投与することができる物質が含まれる。適した薬学的に許容される担体の例として、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエスラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が含まれるが、これらに限定されるものではない。薬学的調製物は滅菌して、望ましければ、本発明の活性化合物と有害に反応しない補助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤、着香料、および/または芳香物質等と混合することができる。
【0138】
本質的に塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物は、様々な無機および有機酸と多様な塩を形成することができる。本質的に塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために用いてもよい酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、燐酸塩、酸燐酸塩、イソニコチネート、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、二酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシネート、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパルモエート[すなわち、1,1'-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート]塩のような薬学的に許容される陰イオンを含む塩を形成することができる酸である。そのような塩は、対象、例えば哺乳類に投与するために薬学的に許容されなければならないが、実践においては、反応混合物から薬学的に許容されない塩として本発明のテトラサイクリン化合物をまず単離して、その後アルカリ試薬による処置によって遊離の塩基化合物にしてから、遊離の塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変換することがしばしば望ましい。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、水性溶媒において、またはメタノールもしくはエタノールのような適した有機溶媒中で選択した無機または有機酸の実質的に等量によって塩基性化合物を処置することによって容易に調製される。溶媒を注意深く蒸発させると、所望の固体の塩が容易に得られる。前述の実験の項に特に説明していない本発明の別のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者に明らかである上記の反応の組み合わせを用いて行うことができる。
【0139】
前述の実験の項に特に記載していない本発明の別のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者に明らかである上記の反応の組み合わせを用いて行うことができる。
【0140】
本質的に酸性である本発明のテトラサイクリン化合物は、広く多様な塩基との塩を形成することができる。本質的に酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基性の塩を調製するために試薬として用いてもよい化学塩基は、そのような化合物と非毒性の塩基性塩を形成する塩基である。そのような非毒性の塩基性塩には、アルカリ金属陽イオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)、およびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)、アンモニアまたはN-グルカミン-(メグルミン)のような水溶性アミン溶液、ならびに薬学的に許容される有機アミンの低級アルキルアンモニウムおよびその別の塩基性塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。本質的に酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、従来の方法によって薬学的に許容される陽イオンによって形成してもよい。このように、これらの塩は、所望の薬学的に許容される陽イオンの水溶液によって本発明のテトラサイクリン化合物を処置して、好ましくは減圧下で、得られた溶液を蒸発乾固させることによって容易に調製してもよい。または、本発明のテトラサイクリン化合物の低級アルキルアルコール溶液を、所望の金属のアルコキシドと混合させて、その後溶液を蒸発乾固させてもよい。
【0141】
前述の実験の項に特に記載していない本発明の別のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者に明らかである上記の反応の組み合わせを用いて行うことができる。
【0142】
本発明のテトラサイクリン化合物および薬学的に許容されるその塩は、経口、非経口、または局所経路のいずれかによって投与することができる。一般的に、これらの化合物は、最も好ましくは、治療すべき対象の体重および状態、ならびに選択した特定の投与経路に応じて、有効な用量で投与される。治療される対象の種および上記の薬剤に対するその個々の反応と共に、選択した薬学的製剤のタイプならびにそのような投与を行う時点および期間に応じて、容量を変更してもよい。
【0143】
本発明の薬学的組成物は、対象、例えば哺乳類におけるテトラサイクリン反応状態を治療するため、単独でまたは別の既知の組成物と併用して投与してもよい。好ましい哺乳類には、ペット(例えば、ネコ、イヌ、フェレット等)、家畜動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ等)、実験動物(ラット、マウス、サル等)、および霊長類(チンパンジー、ヒト、ゴリラ)が含まれる。既知との組成物と「併用して」という用語には、本発明の組成物と既知の組成物との同時投与、本発明の組成物を先に投与した後、既知の組成物を投与すること、および既知の組成物を先に投与した後本発明の組成物の投与することが含まれると解釈される。テトラサイクリン反応状態を治療するための技術分野において既知の任意の治療的組成物を本発明の方法において用いることができる。
【0144】
本発明のテトラサイクリン化合物は、単独でまたは薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と併用して、これまでに述べた任意の経路によって投与してもよい。例えば、本発明の新規治療物質は、広く多様な異なる投与剤形において都合よく投与することができる、すなわち、それらは錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ、硬キャンデー、粉末、スプレー(エアロゾルなど)、クリーム、軟膏、坐剤、ゼリー、ゲル、パスタ、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射用溶液、エリキシル剤、シロップ等の形で様々な薬学的に許容される不活性担体と組み合わせてもよい。そのような担体には、固体希釈剤、または増量剤、滅菌水性培地および様々な非毒性の有機溶媒等が含まれる。その上、経口薬学的組成物は、適当な甘味料および/または着香料を加えることができる。一般的に、本発明の治療的に有効な化合物は重量で約5.0%〜約70%の範囲の濃度レベルのような投与剤形で存在する。
【0145】
経口投与の場合、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンのような様々な賦形剤を含む錠剤を、デンプン(および好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、アルギン酸、および特定の複合シリカのような様々な崩壊剤と共に、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチンおよびアカシアのような造粒結合剤と共に用いてもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤はしばしば、打錠目的にとって非常に有用である。類似のタイプの固体組成物もまた、ゼラチンカプセルにおける増量剤として用いてもよい;これに関連して好ましい材料にはまた、高分子量ポリエチレングリコールと共に乳糖または乳糖(milk sugar)が含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与にとって望ましい場合、活性成分を水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンのような希釈剤、およびその様々な類似の組み合わせと共に、甘味料または着香料、着色物質または色素、および望ましければ、乳化剤および/または懸濁剤と混合してもよい。投与後一定期間テトラサイクリン組成物が放出されるように、本発明の組成物を調製してもよい。
【0146】
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋肉内注射)の場合、本発明の治療化合物のゴマ油もしくはピーナッツ油溶液または水性プロピレングリコール溶液を用いてもよい。水溶液は必要であれば適当に緩衝能を有しなければならず(好ましくはpH8以上)、液体希釈剤を最初に等張にしなければならない。これらの水溶液は、静脈内注射の目的として適している。油性溶液は、関節内、筋肉内、および皮下注射目的にとって適している。滅菌条件でのこれらの全ての溶液の調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技術によって容易に行われる。非経口投与の場合、適した調製物の例として、溶液、好ましくは油性または水性溶液と共に懸濁液、乳液、または坐剤を含むインプラントが含まれる。治療化合物は、注射剤に関して一般的に用いられる滅菌生理食塩液、または5%生理食塩液デキストロース溶液のような液体担体に分散されるような多数または単一の用量フォーマットで滅菌型として製剤化してもよい。
【0147】
さらに、同様に、皮膚の炎症状態を治療する場合、本発明の化合物を局所に投与することが可能である。局所投与方法の例として、経皮、口腔内、舌下適用が含まれる。局所適用の場合、治療化合物はふさわしくは、ゲル、軟膏、ローション、またはクリームのような薬理学的に不活性な局所担体に混合することができる。そのような局所担体には、水、グリセロール、アルコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、または鉱油が含まれる。可能性がある別の局所担体は、流動パラフィン、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、95%エタノール、5%モノラウリン酸ポリオキシエチレン水溶液、5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液等である。さらに、抗酸化剤、湿潤剤、粘度安定化剤等のような材料も望ましければ加えてもよい。
【0148】
腸内適用の場合、特に適しているのは、タルクおよび/または炭化水素担体結合剤等を有する錠剤、ドラジェまたはカプセルであり、担体は好ましくは乳糖、またはコーンスターチ、またはジャガイモデンプン、あるいはその組合せである。甘味媒体を用いる場合には、シロップ、エリキシル等を用いることができる。活性成分が異なるように崩壊するコーティング、例えば、微量封入、多剤コーティング等によって保護されている徐放性組成物を製剤化することができる。
【0149】
ヒト対象の治療の他に、本発明の治療方法は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ等のような家畜;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥等のような家禽;ならびにイヌおよびネコのようなペットを治療するために重要な獣医学応用を有するであろう。同様に、本発明の化合物は、植物のような動物以外の対象を処置するために用いてもよい。
【0150】
所定の治療において用いられる活性化合物の実際の好ましい量は、利用する特定の化合物、処方される特性の組成物、適用様式、特定の投与部位等に従って変化するであろうと認識される。所定の投与プロトコールに関して最適な投与速度は、前述のガイドラインに関して行われた従来の用量決定試験を用いて、当業者によって容易に確認することができる。
【0151】
一般的に、治療のための本発明の化合物は、これまでのテトラサイクリン治療において用いられた用量で対象に投与することができる。例えば、「医師用添付文書集(Physicians' Desk Reference)」を参照のこと。例えば、本発明の一つまたは複数の化合物の適した有効量は、1日にレシピエントの体重1kgあたり0.01〜100 mg、好ましくは1日にレシピエントの体重1kgあたり0.1〜50 mg、より好ましくは、1日にレシピエントと体重1kgあたり1〜20 mgの範囲であろう。望ましい用量は、ふさわしくは1日1回、あるいは少量に分けて数回(例えば、少量の2〜5回)を1日を通して適当な間隔で、または別の適当なスケジュールで投与する。同様に通常の使用条件でその有効性を一般的に確実にするために、テトラサイクリンの投与に関して、通常の従来の既知の用法注意が守られることが理解される。インビボでヒトおよび動物の治療的治療のために特に用いる場合、医師は従来の既知の禁忌および毒性効果を防止するために全ての分別のある予防措置をとらなければならない。このように、胃腸の不快感および炎症、腎毒性、過敏反応、血液の変化、ならびにアルミニウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの吸収障害のこれまで認識されている有害反応は、従来のように適切に検討しなければならない。
【0152】
さらに、本発明はまた、式I、II、III、IV、Vのテトラサイクリン化合物、または本明細書に記載の任意の別の化合物を薬剤の調製に用いることにも関する。薬剤には、薬学的に許容される担体が含まれてもよく、テトラサイクリン化合物は、有効量、例えばテトラサイクリン反応状態を治療するための有効量である。
【0153】
本発明の例証
実施例1: 本発明の選択化合物の合成

上記の化合物は1 L丸底二つ口フラスコ中でPd(dppf)2Cl2 (1.7 g, 2.29 mmol)およびDMF (300 mL)と混合した7-ヨード-サンサイクリン(15.0 g, 22.9 mmol)から調製した。Na2CO3 (7.2 g, 68.2 mmol)を水(15 mL)に溶解し、これを反応液に添加した。2-フルオロ-ピリジン5-ボロン酸(6.4 g, 45.9 mmol)をDMF (25 mL)に溶解し、これを同様に、反応液に添加した。反応混合液をアルゴン雰囲気下で65℃(油浴温度)にて撹拌し、反応をHPLCおよびLC/MSによりモニターした。反応は3時間以内に完了していることが示された。セライトを通してろ過し、溶媒を真空蒸発させた。MeOH (30 mL)に再溶解し、これをMTBE (3 L)中で沈殿させて黄色の沈降物を生じさせた。ろ過し、真空下で一晩乾燥させて、黄色の粉末15 gを得た。この粗材料(9 g, 17.8 mmol)をTFA/トリフルオロメタンスルホン酸(83 mL/7 mL)に溶解し、これを氷浴により0℃に冷却した。N-ヨード-スクシンイミド(8 g, 35.6 mmol)を2時間かけて反応液に少しずつ添加した。反応が3時間後に完了したら、20%より多いNISを反応物に添加する。TFAを真空蒸発させて、残留酸を室温にてMTBE (1.4 L)中で沈殿させた。黄色の沈殿物。これをろ過し、真空下で一晩乾燥させて粗生成物8.4 gを得た。この粗材料(4 g, 6.3 mmol)を、炉乾した250 mL二つ口丸底フラスコ中でNaOAc (0.52 g, 6.3 mmol)と混合した。無水DMF (60 mL)を反応フラスコ中に注入した。アルゴン下、室温で1時間撹拌した。さらに多くの無水DMF (120 mL)で希釈し、CO充填バルーンを反応フラスコの口部に設置した。COを15分間レクチャーボトルから反応方向にパージした。次いでフラスコをCO充填バルーンに対して開口し、Pd(PPh3)4 (2.2 g, 1.9 mmol)をシリンジによりDMFスラリーとして添加しながら、60℃(油浴温度)で撹拌した。この温度で1時間撹拌した。SnBu3H (1.6 g, 6.3 mmol)をシリンジポンプにより2時間かけて添加した。反応はHPLCおよびLC/MSによりモニターし、スズ添加の完了時に完了していることが示された。溶媒を真空蒸発させた。最終合成段階に向けて収率20%で分取HPLCにより精製した。この精製材料(0.25 g, 0.46 mmol)を、炉乾した100 mLフラスコ中で無水DMF (15 mL)と混合した。InCl3 (0.005 g, 0.023 mmol)、N-メチル-アリルアミン(0.17 g, 0.23 mmol)を反応物に添加し、アルゴン下で室温にて1時間撹拌した。NaCNBH3 (0.035 g, 0.55 mmol)を反応液に添加し、これをHPLCおよびLC/MSによりモニターした。反応の80%は6時間の反応時間内に完了する。溶媒を真空蒸発させた。最終生成物を黄色の固形物として収率10%で分取HPLCにより単離した。ESI-MS: m/z (M + H) 593。
【0154】
7-エチル-9-(4',4'-ジフルオロ-N-ピペリジニルメチル)-サンサイクリン

この化合物はガラスバイアル中でInCl3 (0.011 g, 0.049 mmol)、4,4-ジフルオロピペリジン・HCl (0.17 g, 0.98 mmol)、Et3N (0.099 g, 0.98 mmol)およびDMF (8 mL)と混合した7-エチル-9-ホルミル-サンサイクリン(0.23 g, 0.49 mmol)から調製した。アルゴン下で室温にて30分撹拌した。NaCNBH3 (0.043 g, 0.69 mmol)を反応バイアルに添加し、アルゴン下で室温にて撹拌し続けた。反応はLC/MSおよびHPLCによりモニターし、2時間で完了していることが示された。反応をMeOH (15 mL)でクエンチし、溶媒を真空蒸発させた。生成物を黄色の固形物として収率20%で分取HPLCにより単離した。ESI-MS: m/z (M + H) 576。
【0155】
7-(トリフルオロアルケニル)-9-(2'-トランス-2-メチル-2-ブテン)アミノメチルサンサイクリン

0℃で粉末Zn (5.00 g, 76.5 mmol)の乾燥THF (50.0 mL)の撹拌溶液に、ヨード-トリフルオロアルケン(2.00 mL, 4.50 g, 21.0 mmol)を0.5時間かけてゆっくりと添加した。反応物をさらに1.5時間撹拌した後、これを不活性雰囲気下でろ過し、回転式蒸発(25.0℃, 5.00 mm Hg)により全ての溶媒を減少させて、トリフルオロ-亜鉛-ヨード-アルケン試薬(約3 mL)を得た。乾燥DMF (10 mL)を上記の亜鉛試薬に添加し、この溶液を7-ヨード-9-トランス-2-メチル-2-ブテンサンサイクリン遊離塩基(1.00 g, 1.57 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.181 g, 0.156 mmol)の乾燥DMF (10 mL)の撹拌溶液に添加した。内容物を40℃に加熱し、20分間撹拌させた。次いで、反応物をろ過し逆相HPLCにより精製して、7-トリフルオロアルケンサンサイクリン生成物(557 mg, 0.0942 mmol, 収率60%) LCMS m/z 592.2392 (M + H)を得た。
【0156】
7-(2'-ピラジニル)-9-(3',3',3'-トリフルオロ-プロピルアミノ)-メチル-サンサイクリン

ステップ1:
7-ヨード-9-アミノメチルサンサイクリン(569 mg, 1 mmol)、三塩化インジウム(22 mg, 0.1 mmol)およびトリフルオロプロピオンアルデヒド(224 μL, 2 mmol)をDMF (25 mL)中に取り、室温で10分間撹拌した。この溶液に、トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(635 mg, 3 mmol)を速やかに添加し、この反応混合物を室温でさらに30分間撹拌した。反応の進行をHPLCおよびLC/MSによりモニターした。反応は30分で完了した。その後、DMFを除去し、得られた粗材料を次いでジエチルエーテル/MeOH (100/10 mL)により沈殿させた。この沈殿物をろ過して黄色の粉末を得、これをさらには精製しないで次のステップに使用した。
【0157】
ステップ2:
7-ヨード-9-(3,3,3-トリフルオロ-プロピルアミノ)-メチル-サンサイクリン(665 mg, 1 mmol)、Pd(PPh3)4 (115 mg, 0.1 mmol)、Pd(OAc)2 (22 mg, 0.1 mmol)、CuI (19 mg, 0.1 mmol)を無水DMF (30 mL)中に取り、アルゴンで5分間パージした。この溶液に、2-ピラジン-スタンナン(738 mg, 2 mmol)を添加し、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応はその時までに完了していた(HPLC/LCMSによりモニターした)。その混合物を次いで、セライトを通してろ過し、メタノール5 mLで洗浄した。溶媒を蒸発乾固させた。得られた粗材料を分取HPLCにより精製した。その分画を蒸発後に黄色の固形物を得、これをMeOH/HCl溶液によりそのHCl塩に変換した。LC-MS (M+1 618)。
【0158】
7-アミノ-9-ヨード-ドキシサイクリン

メタンスルホン酸10 mlに溶解した9-ヨード-ドキシサイクリン500 mgに1.1当量の硝酸ナトリウムを添加した。反応混合物を数時間、撹拌放置し、分析HPLCによりモニターした。この溶液を冷水で希釈し、そのpHを水酸化ナトリウムで調整し(pH約4)、その生成物をn-ブタノールで抽出することにより、中間体(9-ヨード-7-ニトロ-ドキシサイクリン)を単離した。溶媒を減圧下で蒸発させて、10% Pd/Cのメタノールを用い、粗材料を水素化に供した。分取HPLCにより、最終生成物を得た。LCMSによって所望の材料; MS:586であることが示された。構造をNMRにより確認した。
【0159】
7-(ジメチルアミノ)-9-(4',4'-ジフルオロピペルジニル)-ドキシサイクリン

室温で9-(4-ジフルオロピペルジニル)-ドキシサイクリン二塩酸塩105 mg (0.16 mmol)のメタンスルホン酸10 mLの溶液に、メタンスルホン酸4 mLに溶解した硝酸カリウム19.4 mg (0.19 mmol)を添加した。反応をLCMSによりモニターした。30分後、反応混合物を氷上に注ぎ、氷水で160 mLに希釈した。この溶液を、水で平衡化したジビニルベンゼン樹脂(1000オングストローム、5〜25 μm)の2.5×1 cmカラムに負荷した。粗反応混合物を過剰の水で洗浄してメタンスルホン酸を除去し、続けて過剰の1 N酢酸アンモニウムで洗浄して粗混合物を中和した。過剰の酢酸アンモニウムを水洗により除去し、0.1% HClの入った40%メタノール水を用いた溶出により、粗化合物を精製した。精製した材料を蒸発乾固させて、9-(4-ジフルオロピペルジニル)-7-ニトロ-ドキシサイクリン70 mgを二塩酸塩として得た(収率 = 63%)。LCMS (MH+) 623。9-(4-ジフルオロピペルジニル)-7-ニトロ-ドキシサイクリン二塩酸塩70 mg (0.10 mmol)のメトキシエタノール20 mLに、硫酸200 mLおよび37%ホルムアルデヒド水162 mL (2 mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンガスでパージし、炭素上の10%湿潤パラジウム40 mgを撹拌しながら添加した。反応物を室温および760トールの水素ガスで12時間水素化した。セライトを通して、粗反応物をろ過し、蒸発乾固させた。粗反応混合物を分取HPLC(1インチ×25 cm、Phenomenex Luna C18、10 mm、勾配5〜40% B緩衝液、A = 水 + 0.1% TFA、B = アセトニトリル + 0.1% TFA、280 nmで検出)により精製して、生成物20 mgを二塩酸塩として得た(収率 = 30%)。LCMS (MH+) 621。
【0160】
7-ジエチルアミノ-9-(4'-フルオロ-N-ピペリジニルメチル)-サンサイクリン

7-NH2-サンサイクリン(4.0 g, 9.32 mmol)を二つ口の250 mL丸底フラスコ中で2-メトキシエタノール(100 mL)、H2SO4 (1 N溶液5 mL)と混合した。アセトアルデヒド(5.2 mL, 9.32 mmol)を反応液に添加し、内容物をアルゴン下で室温にて20分間撹拌した。Pd/C (1.25 g)を反応物に添加し、アルゴンで内容物を3回排気/フラッシングした。H2充填バルーンを反応フラスコの口部に設置し、H2で反応液を3回排気/フラッシングした。反応物をH2圧力下で室温にて一晩撹拌した。反応はHPLCおよびLC/MSによりモニターし、朝までに完了していることが示された。セライトを通してこの混合物をろ過し、溶媒を真空蒸発させた。残渣を水(1 L)に再溶解し、そのpHをEt3NでpH約5に調整した。この混合物を、セライトを通して再ろ過し、DVBカラムに負荷した。化合物を15% CH3CNで溶出させた。清澄な分画を蒸発させて、真空下で一晩乾燥させた。黄色/褐色の固形物(7-ジエチルアミノサンサイクリン)を収率40%で単離した。
【0161】
7-ジエチルアミノサンサイクリン(1.4 g, 2.88 mmol)を100 mLフラスコ中でTFA/トリフルオロメタンスルホン酸(22 mL/6 mL)に溶解した。N-ヨード-スクシンイミド(1.2 g, 5.78 mmol)を20分ごとに反応液に少しずつ添加した。反応はHPLCおよびLC/MSによりモニターし、3時間以内に完了していることが示された。反応液をH2O (0.1% TFA) (30mL)で希釈し、溶媒を蒸発させた。残渣をH2O (100 mL)に再溶解し、5 gのDVBカートリッジに負荷した。粗生成物を30〜50% CH3CNで溶出させた。黄色/褐色の粗生成物を収率90%で単離した。
【0162】
この粗材料7-ジエチルアミノ-9-ヨード-サンサイクリン(1.8 g, 2.95 mmol)を二つ口の1 L丸底フラスコ中で無水DMF(100 mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。NaOAc (0.61 g, 7.36 mmol)を反応液に添加し、室温で45分撹拌した。Pd(PPh3)4 (1.02 g, 8.85 mmol)を反応物に添加し、CO充填バルーンを反応フラスコの口部に設置した。COを反応液に10分間バブリングさせて、次にフラスコをCOバルーンに対して開口した。65℃(油浴温度)に加熱しながら1時間かけて反応液に、SnBu3H (0.8 g, 2.95 mmol)をシリンジポンプにより添加した。反応はLC/MSによりモニターし、水素化スズの添加時に完了していることが示された。H2O (0.1% TFA, 0.3 L)を反応フラスコに添加し、沈殿物を形成させた。セライトを通して混合物をろ過し、ろ液を真空蒸発させた。収率90%(粗材料)で褐色の固形物を単離した。
【0163】
7-ジエチルアミノ-9-ホルミル-サンサイクリン(0.25 g, 0.49 mmol)をDMF (10 mL)に溶解した。InCl3 (0.01 g, 0.049 mmol)、4-フルオロピペリジン・HCl (0.15 g, 0.98 mmol)およびEt3N (0.09 g, 0.98 mmol)を反応液に添加した。反応物をアルゴン下で室温にて45分撹拌した。NaCNBH3 (0.043 g, 0.68 mmol)を反応物に添加し、これをHPLCおよびLC/MSによりモニターした。反応は3時間で完了していることが示されたので、反応をMeOH (30 mL)でクエンチした。最終生成物を黄色の固形物として収率10%で分取HPLCにより単離した。ESI-MS: m/z (M + H) 601。
【0164】
7-アミノメチルドキシサイクリンの合成

メタンスルホン酸15 mlに溶解した9-tert-ブチル-ドキシサイクリン1グラムに、過剰のHMBC (ヒドロキシメチル-カルバミン酸ベンジルエステル)を添加した。反応混合物を分析HPLCによりモニターした。LCMSによって所望の材料7-アミノメチル-9-t-ブチルドキシサイクリンに相当するMS: 530が示された。この生成物を分取HPLCにより単離し、その構造をNMRにより確認した。トリフルオロメタンスルホン酸中でt-ブチルを除去することによって、7-アミノメチルドキシサイクリンを高収率で得た。
【0165】
9-(3',3',3'-トリフルオロプロピルアミノ)メチルミノサイクリンの合成

9-ホルミル-ミノサイクリン(0.2 g, 0.42 mmol)をガラスバイアル中でInCl3 (0.01 g, 0.005 mmol)、3,3,3-トリフルオロプロピルアミン・HCl (0.25 g, 1.7 mmol)、Et3N (0.17 g, 1.7 mmol)およびDMF (10 mL)と混合した。反応物をアルゴン下で室温にて1時間撹拌した。NaCNBH3 (0.032 g, 0.50 mmol)を反応液に添加し、HPLCおよびLC/MSによりモニターした。反応は1時間以内に完了しており、MeOH (20 mL)でクエンチし、溶媒を真空で除去した。最終生成物を黄色の固形物として収率25%で分取HPLCにより単離した。ESI-MS: m/z (M + H) 583。
【0166】
9-(4'-ジフルオロメチレン-N-ピペリジニル)メチルミノサイクリン

無水テトラヒドロフラン(THF, 200 mL)を氷浴中で0℃の火炎乾燥済み500 mL丸底フラスコの中に入れた。ジブロモジフルオロメタン(97%, Aldrich, 10.00 mL, 106.19 mmol, 4.3当量)をシリンジにより添加した。10分後、ヘキサメチルホスホラストリアミド(HMPT, 97%, Aldrich, 19.50 mL, 104.07 mmol, 4.2当量)を滴下した。清澄な溶液が乳白色となり、これを0℃で1時間撹拌した。次に、0℃でtert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(98%, Aldrich, 5.00 g, 24.59 mmol, 1.0当量)の無水THF (50 mL)溶液をシリンジにより滴下し、氷浴を取り除くことによって、この溶液を1時間かけてゆっくりと温めて室温にさせた。次いで、粉末亜鉛(99.998%, Aldrich, 粉末, -100メッシュ, 6.56 g, 98.34 mmol, 4.0当量)を添加し、引き続いてHMPT (1.15 mL, 6.14 mmol, 25%)を添加し、この反応混合物を3時間還流した。水(250 mL)およびジエチルエーテル(Et2O, 250 mL)を添加し、この混合物をEt2O (3回 100 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸銅(II) (CuSO4)の水(150 mL)飽和溶液で、その後、水(150 mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、所望のフッ素化ピペリジンを黄色の油状物として得、これをさらには精製しないで次のステップに使用した。
【0167】
磁気撹拌子を備えた100 mL丸底フラスコに室温でBOC保護ピペリジン(2.00 g, 8.57 mmol, 1.0当量)の飽和メタノール(50 mL)HCl溶液を添加した。次いで、混合液を40℃で30分間撹拌し、溶媒を減圧下で最少容量までに蒸発させた。次いで、HCl塩をEt2Oから沈殿させて、ろ過し、真空乾燥して、所望のフッ素化ピペリジン(1.10 g, 6.49 mmol, 収率76%)をベージュ色の固形物として得、これをさらには精製しないで次のステップに使用した。
【0168】
磁気撹拌子を備えた火炎乾燥済み50 mL丸底フラスコに室温で、無水ジメチルホルムアミド(DMF, 10.00 mL)に溶解した9-ホルミル-ミノサイクリン(500 mg, 1.03 mmol, 1.0当量)を添加した。塩化インジウム(InCl3, 99.999%, Aldrich, 59 mg, 0.27 mmol, 26%)を添加し、反応混合物を30℃で10分間撹拌した。このアミン(350 mg, 2.06 mmol, 2.0当量)を無水DFM(2 mL)中に添加し、続けてトリエチルアミン(NEt3, 99.5%, Alfa-Aesar, 290 μL, 2.08 mmol, 2.0当量)を添加した。次いで、混合物を30℃で1時間撹拌し、トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(NaBH(OAc)3, 95%, Aldrich, 220 mg, 1.04 mmol, 1.0当量)を添加し、引き続いてさらに多くのNEt3 (300 μL)を添加した。2時間後に、反応は完了し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を分取HPLC(アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸の勾配)により精製して、所望の生成物を黄色の固形物として得た。MS m/z 603。
【0169】
9-(4'-フルオロ-N-ピペルジニル)メチルドキシサイクリンの合成

MeOH (無水) (25 mL)に溶解し、100 mL丸底フラスコ中でAgSO4 (3.7 g, 11 mmol)およびI2 (3.1 g, 11 mmol)と混合したドキシサイクリン(2.5 g, 5.0 mmol)から、この化合物を調製した。濃H2SO4 (2滴)を反応液に添加し、アルゴン下で室温にて1時間撹拌した。反応液は30分後に鮮黄色となった。反応はLC/MSによりモニターし、1時間で完了していることが示された。亜硫酸ナトリウム(飽和) (8 mL)を反応液に添加したところ、濃い黄色の沈殿物が形成された。混合物を室温で20分間撹拌した。混合物をCH3CN (75 mL)で希釈し、セライトを通してろ過し、溶媒を真空蒸発させて未精製の9-ヨード-ドキシサイクリン材料1.7 gを得た。
【0170】
9-ヨード-ドキシサイクリン(1.3 g, 2.4 mmol)を200 mL二つ口丸底フラスコ中で無水DMF (20 mL)に溶解し、Pd(PPh3)4 (0.82 g, 0.71 mmol)を添加した。CO充填バルーンを反応フラスコの口部に設置し、COをレクチャーボトルから反応物に直接的にバブリングした。次いでフラスコをバルーンに対して開口し、SnBu3H (0.70 g, 2.7 mmol)をシリンジポンプにより1時間かけて添加した。反応液をスズの添加の間に65℃に加熱した。反応はLC/MSによりモニターし、スズの添加が完了した時点で完了していることが示された。次いで水(0.1% TFA) (200 mL)を反応液に添加したところ、黄色の沈殿物が形成された。この混合物を次いで、セライトを通してろ過し、ろ液を真空蒸発させた。収率50%で褐色/黄色の固形物が単離された。
【0171】
(9-ホルミル-ドキシサイクリン(0.20 g, 0.42 mmol)をガラスバイアル中でInCl3 (0.01 g, 0.042 mmol)、4-フルオロピペリジン(0.13 g, 0.84 mmol)、Et3N (0.09 g, 0.84 mmol)およびDMF (5 mL)と混合した。混合物をアルゴン下で室温にて30分間撹拌した。NaCNBH3 (0.037 g, 0.59 mmol)を反応バイアルに添加し、反応物をアルゴン下で室温にて撹拌し続けた。反応はLC/MSおよびHPLCによりモニターし、1時間後に完了していることが示された。反応をMeOH (15 mL)でクエンチし、溶媒を真空で除去した。生成物を黄色の固形物として収率10%で分取HPLCにより単離した。ESI-MS: m/z (M + H) 559。
【0172】
9-(ベンジル-メチル-アミノ)-プロピニル)-ミノサイクリンの合成

アセトニトリル25 mL中に取り入れた7-ヨード-ミノサイクリン(1.08 g, 1.86 mmol)を脱気し、窒素(3回)でパージした。この懸濁液に、Pd(OAc)2 (20 mg, .089 mmol)、CuI (10 mg, .053 mmol)、(o-トリル)3P (56 mg、.186 mmol)を添加し、窒素で数分間パージした。ベンジル-メチル-プロプ-2-イニル-アミン(318 μL, 2 mmol)およびトリエチルアミン(1 mL)を懸濁液に添加した。これはEt3Nの添加後に褐色の溶液になった。次いで、反応混合物を2時間70℃に加熱した。反応の進行はHPLC/LCMSによりモニターした。次いで、混合物を室温に冷却し、セライトを通してろ過した。溶媒の蒸発によって褐色の固形物を得、これを分取HPLCで精製して所望の化合物を得た。LC-MS (M+1 615)。
【0173】
8-(2'-[(2'-フルオロ-エチルアミノ)-メチル]-フェニル)-サンサイクリンの合成

ステップ1:
9-アミノ-サンサイクリン(7 g, 16.3 mmol)のMeOH 200 mLの撹拌溶液(0℃に冷却、氷浴)に、48% HBF4溶液(5.32 mL, 40.75 mmol)をアルゴン雰囲気下でゆっくり添加した。5分後、n-BuNO2 (2.1 mL, 17.93 mmol)をゆっくり添加(滴下)した。次いで、反応混合物を0℃で3時間撹拌した(HPLC/LC-MSによりモニターした)。次に、NaN3 (1.06 g, 16.3 mmol)を反応混合物に添加した(一度に)。反応混合物を0℃でさらに3時間撹拌した(HPLC/LC-MSによりモニターした)。次いで、反応混合物を撹拌中のジエチルエーテル(約1 L、氷浴温度で)にゆっくり注ぎ込んだ。黄色の沈殿物を得、これをろ過し、エーテル(20 ml×3)で洗浄し、真空下で乾燥し、バイアル中に密封して0℃で保存した。単離収量7 g。
【0174】
ステップ2:
臭化水素酸(酢酸中で30%) (14 mL)をフラスコに添加し、0℃に冷却した。9-アジド-サンサイクリン(1 g, 2.2 mmol)をフラスコに添加し、反応物を1時間、撹拌放置した。1時間後に、反応が完了した。反応混合物をジエチルエーテル300 mL中で沈殿させた。この溶液を澄ませた後に、ジエチルエーテルの最上層をデカントし、この反応混合液を真空下で乾燥させた。次いで、黒褐色の固形物をメタノールに溶解し、ジエチルエーテルにより沈殿させた。得られた固形物をろ過し、真空下で乾燥させた。
【0175】
ステップ3:
8-ブロモ-9-アミノ-サンサイクリン(828 mg, 1.6 mmol)のMeOH 200 mLの撹拌溶液(0℃に冷却、氷浴)に、48% HBF4溶液(0.53 mL, 4.0 mmol)をアルゴン雰囲気下でゆっくり添加した。5分後、n-BuNO2 (0.2 mL, 1.79 mmol)をゆっくり添加(滴下)した。次いで、反応混合物を0℃で2時間撹拌し、室温で一晩放置した(HPLC/LC-MSによりモニターした)。溶媒を蒸発させて、得られた粗材料をジエチルエーテル(300 mL)により沈殿させた。得られた固形物をろ過し、真空下で乾燥させた。
【0176】
ステップ4:
8-ブロモ-サンサイクリン(492 mg, 1 mmol)およびPd(OAc)2 (22 mg, 0.1 mmol)をメタノール(150 mL)中に取り、反応混合物を65℃(油浴温度)で加熱しながらアルゴンでパージした。10分後に、炭酸ナトリウム水溶液(315 mg, 水10 mL中で3 mmol)を添加した。黄色の沈殿物を得、これをさらに10分間、ボロン酸のDMF溶液(300 mg, DMF 10 mL中で2 mmol)を添加する前にさらに加熱した。次いで、反応物を65℃で3時間加熱した。反応物をHPLC/LCMSによりモニターした。混合物を室温に冷却し、次いでセライトを通してろ過した。次いで、溶媒を蒸発させて、得られた粗材料をメタノール/ジエチルエーテル(10/200 mL)により沈殿させた。次いで、粗材料をろ過し、真空下で乾燥させた。得られた黄褐色の材料をさらには精製せずにそのまま使用した。
【0177】
ステップ5:
アルゴン雰囲気下で8-(2-ホルミル-フェニル)-サンサイクリン(518 mg, 1 mmol)のDCE 30 mLの溶液に、2-フルオロ-エチルアミン塩酸塩(198 mg, 2 mmol)およびトリエチルアミン(202 μL, 2 mmol)を添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応はHPLC/LCMSを使用してモニターしたところ、2時間で完了した。その後、溶媒を蒸発させ、粗材料を分取HPLCにより精製して所望の化合物を得た。LC-MS (M+1 566)。
【0178】
7-ピラゾリル-サンサイクリン

7-ヨードサンサイクリン(100 mg, 0.153 mmol)のDMF (1 mL)の撹拌溶液に、ピロゾール-4-ボロン酸ピナコール環状エステル(77 mg, 0.40 mmol)、メタノール(1.5 mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(18 mg, 0.015 mmol)および水0.7 mL中にCsCO3 250 mgを含有する溶液を添加した。次いで、反応混合物を5分間、100℃の温度でマイクロ波照射に供した。次いで、反応物を水100 mLで希釈し、TFAを使用してpHを2に下げた。この溶液を次いで、セライトを通してろ過し、ジビニルベンゼン樹脂(DVB)のプラグに負荷した。生成物を含有するプラグを水(200 mL)で洗浄し、その後、最終生成物をMeCNで溶出し、回転式蒸発により減少させた。粗材料を逆相HPLCにより精製して、最終生成物(64 mg, 0.12 mmol, 収率75%)を得た。LCMS m/z = 481.2115 (M + H)。
【0179】
9-[(2,2,2-トリフルオロ-エチル)-ヒドラゾノメチル]-ミノサイクリンの合成

アルゴン雰囲気下で9-ホルミルミノサイクリン(485 mg, 1 mmol)のDMF 30 mLの溶液に、三塩化インジウム(22 mg, 0.1 mmol)およびトリフルオロエチルヒドラジン(228 μL, 2 mmol)を添加した。次いで、反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応はHPLC/LCMSを使用してモニターしたところ、30分で完了した。その後、溶媒を蒸発させ、粗材料を分取HPLCにより精製して所望の化合物を得た。LC-MS (M+1 582)。
【0180】
9-(1'-イソプロピル-4'-ピペリジニル)アミノサンサイクリンの合成

9-アミノサンサイクリンHCl塩(0.5 g, 1 mmol)のメタノール40 mlの溶液に、1-イソプロピル-4-ピペリドン(0.14 g, 2 mmol)を添加した。この溶液を室温で5分間撹拌した。水素化シアノほう素ナトリウム(62.5 mg, 1 mmol)を導入し、続けてAcOH 4 mlを添加した。全ての出発材料がなくなるまで、混合物を室温で1時間撹拌した。この懸濁液をろ過しHPLCにより精製して、表題の化合物(210 mg)を得た。LC-MS (M+1 555)。
【0181】
9-(3-t-ブチル-N-イミダゾリル)-メチル)-ミノサイクリンの合成

9-アミノメチル-ミノサイクリン(2.50 g, 4.14 mmol)のDMF (25 mL)およびMeOH (15 mL)の撹拌溶液に、1-ブロモピナコロン(1.34 mL, 1.01 g, 5.63 mmol)およびCs2CO3 (1 N水溶液5.0 mL, 5.0 mmol)を添加した。マイクロ波照射を利用し、反応物を圧力ベシクル中で15分間、100℃に加熱した。次いで、内容物を水(1.0 L)で希釈し、Na2CO3を使用してpHを6に調整した。この溶液を次いで、セライトを通してろ過し、ジビニルベンゼン樹脂のプラグに負荷した。生成物を水(500 mL)で洗浄し、その後、生成物をMeCNで溶出し、回転式蒸発により減少させた。粗材料を逆相HPLCにより精製して、tert-ブチル-ケトン中間体(680 mg, 1.90 mmol, 収率50%)を得た。tert-ブチル-ケトン中間体(68 mg, 0.190 mmol)のホルムアミド(1.0 mL)の撹拌溶液にトリエチルアミン(0.020 mL, 28 mg, 0.27 mmol)を添加して、pHを8に調整した。マイクロ波照射を利用し、反応物を圧力ベシクル中で5分間、100℃に加熱した。次いで、内容物を水(100 mL)で希釈し、TFAを使用してpHを2に調整した。この溶液を次いで、セライトを通してろ過し、ジビニルベンゼン樹脂のプラグに負荷した。生成物を水(200 mL)で洗浄し、その後、生成物をMeCNで溶出し、回転式蒸発により減少させた。粗材料を逆相HPLCにより精製して、最終化合物(6.0 mg, 10 μmol, 収率4%)を得た。LCMS m/z = 594.4863 (M +H)。
【0182】
9-(2-チオール5-メチル-N-イミダゾリル)-メチルミノサイクリンの合成

9-アミノメチル-ミノサイクリン(2.00 g, 4.12 mmol)のDMF (12 mL)、MeOH (6.0 mL)および酢酸(3.0 mL)の撹拌溶液に、KSCN (0.400 g, 4.12 mmol)およびアセトール(0.400 mL, 0.370 g, 5.00 mmol)を添加した。マイクロ波照射を利用し、反応物を圧力ベシクル中で15分間、100℃に加熱した。次いで、内容物を水(1.0 L)で希釈し、Na2CO3を使用してpHを6に調整した。この溶液を次いで、セライトを通してろ過し、ジビニルベンゼン樹脂のプラグに負荷した。生成物を水(500 mL)で洗浄し、その後、生成物をMeCNで溶出し、回転式蒸発により減少させた。粗材料を逆相HPLCにより精製して、最終生成物(620 mg, 1.06 mmol, 収率26%)を得た。LCMS m/z = 584.3998 (M + H)。
【0183】
7-(2',2'-ジメチル-プロピル)アミノメチルサンサイクリンの合成

7-アミノメチル-サンサイクリン1 g、トリメチルアセトアルデヒド3当量および三塩化インジウム1当量をDMF 10 mlに溶解した。混合物を室温で15分間撹拌した。この混合物にトリアセトキシボロハイドライドナトリウム3当量を添加した。得られた反応混合物を数時間、撹拌放置した。反応を分析HPLCによりモニターした。LCMSによって所望の材料に相当するMS: 514が示された。この生成物を分取HPLCにより単離し、その構造をNMRにより確認した。
【0184】
9-(ベンゾイミダゾリル)-ミノサイクリンの合成

9-ホルミルミノサイクリンのトリフルオロ酢酸(TFA)塩(488 mg, 1.47 mmol)のDMF (3 mL)およびMeOH (2 mL)の撹拌溶液に、1,2-フェニレンジアミン(80 mg, 0.74 mmol)を添加した。反応物を50℃に加熱し、これは5分で完了した。次いで、内容物を水(500 mL)で希釈し、TFAを使用してpHを2に調整した。この溶液を次いで、セライトを通してろ過し、ジビニルベンゼン樹脂のプラグに負荷した。生成物を含有するプラグを水(300 mL)で洗浄し、その後、生成物をMeCNで溶出し、回転式蒸発により減少させた。粗材料を逆相HPLCにより精製して、ベンゾイミダゾール生成物(100 mg, 0.175 mmol, 収率10%)を得た。LCMS m/z = 574.3637 (M + H)。
【0185】
実施例2:インビトロ最小阻止濃度(MIC)アッセイ
以下のアッセイを用いて、一般的な細菌に対してテトラサイクリン化合物の有効性を決定する。各化合物2mgをDMSO 100 μlに溶解する。次に、溶液を、化合物の最終濃度が200 μg/mlとなるように陽イオン調節ミューラー・ヒントンブロス(CAMHB)に加える。テトラサイクリン化合物溶液を容量50 μlに希釈して、試験化合物濃度は.098 μg/mlとなる。吸光度(OD)測定は、試験株の新鮮な対数期ブロス培養から行う。希釈は、1×106 CFU/mlの最終細胞密度が得られるように希釈する。OD=1では、異なる属の細胞密度はおよそ以下のようになるであろう:
大腸菌 1×109 CFU/ml
黄色ブドウ球菌 5×108 CFU/ml
腸球菌種 2.5×109 CFU/ml
【0186】
細胞懸濁液50 μlをマイクロタイタープレートの各ウェルに加える。最終的な細胞密度は約5×105 CFU/mlとなるはずである。これらのプレートを35℃で環気インキュベータ内で約18時間インキュベートする。プレートをマイクロプレートリーダーによって読みとり、必要であれば肉眼で検分した。MICは、増殖を阻害するテトラサイクリン化合物の最小濃度として定義される。
【0187】
同等物
当業者は、本明細書に記載の特定の技法に対して、単なる日常的な実験を用いて無数の同等物を認識する、または確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に含まれると見なされる。本明細書において引用した全ての参考文献、特許、および特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。それらの特許、出願、および別の文書の適当な成分、プロセス、および方法を、本発明およびその態様に関して選択してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの置換テトラサイクリン化合物、およびその薬学的に許容される塩:

式中:
XはCHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6またはOであり;
R2、R2'、R4'およびR4''はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'はそれぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R7はエチル、ペルハロゲン化アルケニル、置換ピリジニル、ピラジニル、フラニルまたはピラゾリルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は-CH2NR9aR9bであり;
R9aおよびR9bはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニルであるかまたは結合して複素環を形成し;
R13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり; ならびに
Y'およびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルである。
【請求項2】
XはCR6R6'であり; R2、R2'、R6、R6'、R8、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; R4はNR4'R4''であり; R4'およびR4''は低級アルキルであり; ならびにR5はヒドロキシまたは水素である、請求項1記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項3】
R4'およびR4''はそれぞれメチルでありならびにR5は水素である、請求項2記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項4】
R7はエチルであり、およびR9aはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである、請求項1〜3のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項5】
R7は置換ピラジニルである、請求項1〜3のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項6】
R7はフッ素で置換される、請求項5記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項7】
R9aはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである、請求項5または6記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項8】
R9aおよびR9bは結合して複素環を形成する、請求項5または6記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項9】
R9aは水素であり、およびR9bはアルキルである、請求項5または6記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項10】
R7はフラニルであり、ならびにR9aは水素またはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである、請求項1〜3のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項11】
R7は1,2,2-トリフルオロエテニルである、請求項1〜3のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項12】
R9aは水素またはアルキルであり、およびR9bはアルケニルである、請求項11記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項13】
R7はピラゾリルでありならびにR9aは水素またはアルキルであり、およびR9bはアルケニルまたはアルキルである、請求項1〜3のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項14】
以下からなる群より選択されるテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ:

【請求項15】
式IIのテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ:

式中:
XはCHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6またはOであり;
R2、R4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R7はNR7'R7''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は-CH2NR9aR9bであるかまたはR10と結合してフラニル環を形成し;
R9aは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環または芳香族複素環であり;
R9bは水素またはアルキルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
Y'およびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルである。
【請求項16】
R4はNR4'R4''であり; XはCR6R6'であり; R7はNR7'R7''であり、R2、R2'、R5、R6、R6'、R8、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; ならびにR4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ低級アルキルである、請求項15記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項17】
R4はNR4'R4''であり; XはCR6R6'であり、水素であり、R2、R2'、R7、R6'、R8、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; R5はヒドロキシでありならびにR4'、R4''およびR6はそれぞれ低級アルキルである、請求項15記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項18】
R9aはアルキル、アルケニルまたはアリールアルキルである、請求項15記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項19】
R9aはアルコキシ、アルケニル、複素環、シアノ、ハロゲン、アミド、カルボニルまたはヒドロキシ部分で置換されたアルキルである、請求項18記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項20】
R9aは置換または非置換ベンジルである、請求項18記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項21】
R9bは水素または置換もしくは非置換アルキルである、請求項18記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項22】
R9aおよびR9bは結合してピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラジニル、アザパニル、チオモルホリニル、モルホリニル、テトラヒドロキノリニルまたはデカヒドロキノリニル環を形成する、請求項15記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項23】
環は1つもしくは複数のハロゲンまたはハロゲン化アルキル基で置換される、請求項22記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項24】
R9は4'トリフルオロメチル-ピペルジン-1-イル)メチル、(4',4'-ジフルオロ-ピペルジン-1-イル)メチルまたは(4'-フルオロピペルジン-1-イル)メチルである、請求項15記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項25】
以下からなる群より選択されるテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ:




【請求項26】
式IIIの置換テトラサイクリン化合物、およびその薬学的に許容される塩:

式中:
XはCHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6またはOであり;
R2、R2'、R4'およびR4''はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'はそれぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R7は置換または非置換ピラゾリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、アミノアルキル置換フェニルであり;
R8は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R9は水素であり;
R13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり; ならびに
Y'およびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルである。
【請求項27】
R4はNR4'R4''であり; XはCR6R6'であり、R2、R2'、R5、R6、R6'、R8、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; ならびにR4'およびR4はそれぞれメチルである、請求項26記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項28】
R7は-CH2-N(CH3)2、-CH2-NH-CH(CH3)2、-CH2-N(CH3)-CH(CH3)2、-CH2-N-ピペルジニル)、-CH2NH-CH3、-CH2-NH-シクロプロピル、CH2-NH-t-ブチル、-CH2-N(CH3)-ベンジル、-CH2-N(CH3)-CH2-CH=CH2、CH2-NH-(CH2)2-CF3、CH2-NH-CH2-C(=O)-NH2または-CH2-NH-シクロヘキシルで置換されたフェニルである、請求項26記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項29】
フェニルはフッ素、メトキシまたはアルキル基でさらに置換される、請求項28記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項30】
R7は置換フラニルである、請求項26記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項31】
フラニルはアミノアルキル部分で置換される、請求項30記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項32】
R7は置換または非置換チオフェニルである、請求項26記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項33】
R7は置換ピリジニルである、請求項26記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項34】
化合物は以下である、請求項26記載のテトラサイクリン化合物:





【請求項35】
式IVのものであるテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ:

式中:
XはCHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6またはOであり;
R2、R4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
R7は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3(NR7C)0〜1C(=W')WR7aであり;
R8はアミノメチル置換フェニルまたは置換ピリジニルであり;
R9は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR8fはそれぞれ独立して、なし、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
ZはCR9dR9e、S、NR9bまたはOであり;
Z'はO、NR9fまたはSであり;
WはCR7d R7e、S、OまたはNR7bであり;
W'はO、NR7fまたはSであり;
R13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;
Y'およびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルである。
【請求項36】
XはCR6R6'であり; R2、R2'、R6、R6'、R8、R10、R11およびR12はそれぞれ水素であり; R4はNR4'R4''であり; R4'およびR4''は低級アルキルであり; ならびにR5はヒドロキシまたは水素である、請求項35記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項37】
置換テトラサイクリン化合物は以下である、請求項36記載のテトラサイクリン化合物:

【請求項38】
式Vのテトラサイクリン化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ:

式中:
R2、R4'、R4''、R7'およびR7''はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
R4はNR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
R7は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3(NR7C)0〜1C(=W')WR7aであり;
R8は置換フェニルまたは置換ピリジニルであり;
R9は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アシル、アミノアルキル、複素環、チオニトロソまたは-(CH2)0〜3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R9a、R9b、R9c、R9d、R9eおよびR8fはそれぞれ独立して、なし、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
WはCR7d R7e、S、OまたはNR7bであり;
W'はO、NR7fまたはSであり;
R13は4-アルキル置換フェニルである。
【請求項39】
以下である、請求項38記載のテトラサイクリン化合物:

【請求項40】
対象においてテトラサイクリン反応状態を治療する方法であって、対象が治療されるような請求項1、14、15、25、26、34、35または38のいずれか一項記載の有効量のテトラサイクリン化合物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項41】
テトラサイクリン反応状態が細菌感染、ウイルス感染または寄生虫感染である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
細菌感染が大腸菌と関連する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
細菌感染が黄色ブドウ球菌(S. aureus)と関連する、請求項41記載の方法。
【請求項44】
細菌感染がE.フェカーリス(E. faecalis)と関連する、請求項41記載の方法。
【請求項45】
細菌感染がその他のテトラサイクリン系抗生物質に耐性である、請求項40記載の方法。
【請求項46】
テトラサイクリン関連状態がマラリアである、請求項40記載の方法。
【請求項47】
対象がヒトである、請求項40記載の方法。
【請求項48】
テトラサイクリン化合物が薬学的に許容される担体とともに投与される、請求項40記載の方法。
【請求項49】
請求項1、14、15、25、26、34、35または38のいずれか一項記載の治療的有効量のテトラサイクリン化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。

【公表番号】特表2007−521290(P2007−521290A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518680(P2006−518680)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020249
【国際公開番号】WO2005/009943
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】