説明

自動車およびその制御方法

【課題】ガス欠状態に至った自動車の走行の制限としてのシステム起動の禁止をより適正に行なう。
【解決手段】燃料レベルセンサからの燃料レベルと勾配センサからの路面勾配とに基づいて演算された燃料タンク内の燃料残量Qfを入力し(S110)、燃料残量Qfがガス欠状態を示す所定残量Qref未満を継続している最中にシステム起動が閾値Cref以上の回数行なわれたときにはシステム起動を禁止する(S120,S150,S180)。これにより、システム起動の禁止をより適正に行なうことができる。また、燃料タンク内の燃料残量Qfが所定残量Qref未満を継続している最中のシステム起動の回数が閾値Cref未満の範囲内ではモータ運転モードに限定してシステム起動を許可する(S120,S150,S160)。これにより、システム起動の許可をより適正に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、検出された燃料残量に基づいて燃料残量値を算出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、推定勾配が所定値を超える勾配地では、燃料タンクの燃料残量の検出値をエンジンによる燃料消費量を用いて補正することにより、誤差のない正確な燃料残量を表示しようとしている。
【特許文献1】特開2004−203156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エンジンだけでなく走行用のモータを搭載するハイブリッド自動車では、ガス欠状態に至ってもバッテリからの電力を用いてモータからの動力により走行することができる。こうしたガス欠状態における走行を無条件に許可すると、バッテリの過放電を招き、バッテリを損傷してしまう場合が生じ、ガス欠状態における走行を無条件に禁止すると、危険回避のための退避走行もできなくなってしまう。これらを考えると、ガス欠状態における走行に何らかの制限を課す必要がある。この場合、制限としては車両のシステム起動の禁止を考えることができるが、どのタイミングで制限を課すかも重要な課題となる。制限を課すタイミングとしては、実際にガス欠状態に至ったとき、即ち、実際にエンジンを始動することができなくなったときを考えることもできるが、複数回のエンジン始動の失敗をもってガス欠状態を判定すると、複数回のエンジン始動の失敗のためにバッテリの電力が無駄に使われてしまう。また、制限を課すタイミングとして、燃料タンクの燃料残量が値0になったときも考えることができるが、燃料タンクの燃料残量をより正確に検出しないと適当なタイミングで制限を課することができない。
【0004】
本発明の自動車およびその制御方法は、ガス欠状態に至った自動車の走行の制限としてのシステム起動の禁止をより適正に行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の自動車は、
内燃機関と、
該内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、
走行用の動力を入出力可能な電動機と、
前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
前記内燃機関に供給する燃料を貯留する燃料タンクに取り付けられて該燃料タンク内の燃料の水位を検出する燃料水位検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
前記燃料水位検出手段により検出された燃料の水位と前記路面勾配検出手段により検出された路面勾配とに基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算する燃料残量演算手段と、
前記演算された燃料残量が所定残量以上のとき及び前記演算された燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数未満のときにはシステム起動の許可を設定し、前記演算された燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が前記所定回数以上のときにはシステム起動の禁止を設定するシステム起動許可禁止設定手段と、
システム起動が指示されたときには前記システム起動許可禁止設定手段による設定結果に基づいて前記内燃機関,前記発電機,前記電動機が駆動可能にシステム起動する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の自動車では、燃料タンク内の燃料の水位と路面勾配とに基づいて燃料タンク内の燃料残量を演算し、演算された燃料残量が所定残量以上のとき及び演算された燃料残量が所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数未満のときにはシステム起動の許可を設定すると共に演算された燃料残量が所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数以上のときにはシステム起動の禁止を設定し、システム起動が指示されたときにはシステム起動の許可又は禁止の設定結果に基づいて内燃機関,発電機,電動機が駆動可能にシステム起動する。したがって、燃料タンク内の燃料の水位と路面勾配とに基づいて燃料タンク内の燃料残量を演算するから、燃料残量をより正確に取得することができる。また、こうして演算された燃料残量が所定残量未満を継続している最中にシステム起動が所定回数以上行なわれたときにはシステム起動を禁止するから、システム起動の禁止をより適正に行なうことができる。ここで、「所定残量」としてガス欠状態を示す残量を用いるものとすれば、ガス欠状態に至った自動車の走行の制限としてのシステム起動の禁止をより適正に行なうことができる。
【0008】
こうした本発明の自動車において、前記制御手段は、前記演算された燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が前記所定回数未満のときのシステム起動に対しては前記電動機からの動力だけによる走行だけを許可してシステム起動する手段であるものとすることもできる。こうすれば、システム起動の許可をより適正に行なうことができる。
【0009】
また、本発明の自動車において、前記燃料残量演算手段は、前記燃料水位検出手段により検出される燃料の水位の時間変化と前記路面勾配検出手段により検出される路面勾配とに基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算する手段であるものとすることもできる。この場合、前記燃料残量演算手段は、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算する手段であるものとすることもできる。こうすれば、燃料タンク内の燃料残量をより確実に演算することができる。
【0010】
さらに、本発明の自動車において、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備えるものとすることもできる。
【0011】
本発明の自動車の制御方法は、
内燃機関と、該内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、前記内燃機関に供給する燃料を貯留する燃料タンクに取り付けられて該燃料タンク内の燃料の水位を検出する燃料水位検出手段と、を備える自動車のシステム起動時の制御方法であって、
前記燃料水位検出手段により検出された燃料の水位と路面勾配とに基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算し、前記演算した燃料残量が所定残量以上のとき及び前記演算した燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数未満のときにはシステム起動を許可し、前記演算した燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が前記所定回数以上のときにはシステム起動を禁止する、
ことを特徴とする。
【0012】
この本発明の自動車の制御方法では、燃料水位検出手段により検出された燃料の水位と路面勾配とに基づいて燃料タンク内の燃料残量を演算し、演算した燃料残量が所定残量以上のとき及び演算した燃料残量が所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数未満のときにはシステム起動を許可すると共に演算した燃料残量が所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数以上のときにはシステム起動を禁止する。したがって、燃料タンク内の燃料の水位と路面勾配とに基づいて燃料タンク内の燃料残量を演算するから、燃料残量をより正確に取得することができる。また、こうして演算された燃料残量が所定残量未満を継続している最中にシステム起動が所定回数以上行なわれたときにはシステム起動を禁止するから、システム起動の禁止をより適正に行なうことができる。ここで、「所定残量」としてガス欠状態を示す残量を用いるものとすれば、ガス欠状態に至った自動車の走行の制限としてのシステム起動の禁止をより適正に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、駆動輪26a,26bにデファレンシャルギヤ24を介して接続された駆動軸22に動力を出力する動力システム30と、この動力システム30を含めて車両の起動制御装置として機能する電源用電子制御ユニット(以下、電源ECUという)62とを備える。
【0015】
動力システム30は、エンジン32と、このエンジン32を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)34と、エンジン32のクランクシャフト33にキャリアが連結されると共に駆動軸22にリングギヤが連結された遊星歯車機構35と、この遊星歯車機構35のサンギヤに接続された発電可能なモータMG1と、駆動軸22に動力を入出力する発電可能なモータMG2と、モータMG1,MG2の駆動回路としてのインバータ41,42と、インバータ41,42にシステムメインリレー46を介して接続された電力源としての高圧バッテリ44と、高圧バッテリ44からの電力を変圧して低圧バッテリ64に供給するDC/DCコンバータ66と、低圧バッテリ64からの電力をACリレー68を介して供給され動力システム30全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)50とを備える。
【0016】
エンジン32は、燃料タンク36に貯留されたガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料をフューエルポンプ38の駆動により供給され動力を出力可能な内燃機関であり、エンジンECU34により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU34は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。エンジンECU34には、燃料タンク36に取り付けられ燃料の液面に連動して上下するフロートにより燃料タンク36内の燃料のレベルを検出する燃料レベルセンサ37からの燃料レベルQlやエンジン32の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU34からは、フューエルポンプ38への駆動信号やエンジン34を駆動するための種々の制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU34は、HVECU50と通信しており、HVECU50からの制御信号によりエンジン32を運転制御すると共に必要に応じてエンジン32の運転状態に関するデータをHVECU50に出力する。
【0017】
HVECU50は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。HVECU50には、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの信号やインバータ41,42からモータMG1,MG2への電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの相電流,高圧バッテリ44の出力端子近傍に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,高圧バッテリ44に取り付けられた図示しない温度センサからのバッテリ温度,シフトレバー71の操作位置を検出するシフトポジションセンサ72からのシフトポジションSP,アクセルペダル73の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ74からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル75の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ76からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ78からの車速V,車両の前後方向の路面勾配を検出する勾配センサ79からの路面勾配θなどが入力ポートを介して入力されている。また、HVECU50からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号やシステムメインリレー46のオンオフを制御するための制御信号,DC/DCコンバータ66への制御信号などが出力されている。HVECU50は、前述したように、エンジンECU34と通信ポートを介して接続されており、各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。また、HVECU50は、電源ECU62とも通信ポートを介して接続されており、電源ECU62からイグニッション信号(IG信号)やスタート信号(ST信号)などを入力すると共に電源ECU62に動力システム30の起動状態を示すレディ信号(RDY信号)などを出力する。
【0018】
電源ECU62は、低圧バッテリ64から供給される低圧電力により作動する図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。電源ECU62には、運転席前面のパネルに取り付けられたパワースイッチ70からのプッシュ信号やブレーキペダルポジションセンサ76からのブレーキペダルポジションBPなどが入力ポートを介して入力されており、電源ECU62からは、ACリレー68のオンオフを制御するための制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、電源ECU62は、パワースイッチ70が押されてプッシュ信号を入力する毎に、ACリレー68をオンにして低圧バッテリ64を各種ECUや図示しない補機などの低電圧系の装置に接続するアクセサリーオン(ACCON),システムメインリレー46をオンにして高圧バッテリ44を動力システム30を含む高電圧系の装置に接続するイグニッションオン(IGON),ACリレー68やシステムメインリレー46の接続を解除してシステムを停止状態とするイグニッションオフ(IGOFF)の各状態がこの順に繰り返すよう制御する。このうち、イグニッションオンとイグニッションオフについてはイグニッション信号(IG信号)として動力システム30のHVECU50に通信ポートを介して出力する。さらに、電源ECU62は、ブレーキオンの状態でパワースイッチ70が押されプッシュ信号を入力すると、イグニッション信号(IG信号)とスタート信号(ST信号)をHVECU50に出力することにより動力システム30の起動を指示し、システム起動の指示を受けたHVECU50から、動力システム30が起動されたときにはオン信号としてのレディ信号(RDY信号)を入力すると共に動力システム30が装置の異常などにより起動不能な状態のときにはオフ信号としてのレディ信号(RDY信号)とイグニッションオフ(IGOFF)する要求を入力する。なお、HVECU50からイグニッションオフ(IGOFF)する要求を入力すると、電源ECU62は、次にパワースイッチ70が押されたときにACリレー68の接続を解除するなど車両全体をシステムダウンする。
【0019】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、HVECU50によって、運転者によるアクセルペダル73の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸22に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸22に出力されるよう且つエンジン32が効率よく運転されるようにエンジン32の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)を計算すると共にモータMG1,MG2のトルク指令を計算し、エンジン32の目標運転ポイントについてはエンジンECU34に出力してエンジンECU34にエンジン32を運転制御させ、モータMG1,MG2のトルク指令についてはこのトルク指令に対応するトルクがモータMG1,MG2から出力されるようインバータ41,42にスイッチング制御信号を出力してモータMG1,MG2を駆動制御する。エンジン32の運転制御およびモータMG1,MG2の駆動制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン32から出力されるようにエンジン32を運転制御すると共にエンジン32から出力される動力のすべてが遊星歯車機構35とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸22に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力と高圧バッテリ44の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン32から出力されるようにエンジン32を運転制御すると共に高圧バッテリ44の充放電を伴ってエンジン32から出力される動力の全部またはその一部が遊星歯車機構35とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸22に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン32の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸22に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0020】
次に、こうして構成されたハイブリッド自動車20の動作、特にシステム起動の際の動作について説明する。図2は、HVECU50により実行されるシステム起動時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電源ECU62からイグニッション信号(IG信号)とスタート信号(ST信号)が入力されたときに実行される。
【0021】
システム起動時制御ルーチンが実行されると、HVECU50のCPUは、まず、エンジン32やモータMG1,MG2,インバータ41,42などの動力システム30の各装置が正常に運転可能な状態にあるか否かを確認することにより動力システム30が起動可能な状態にあるか否かを判定する処理を実行する(ステップS100)。動力システム30が起動可能な状態にないときには、システム起動を禁止して(ステップS180)、システム起動時制御ルーチンを終了する。システム起動が禁止されると、HVECU50から電源ECU62にイグニッションオフ(IGOFF)する要求が出力され、車両全体がシステムダウンされることになる。
【0022】
動力システム30が起動可能な状態にあるときには、燃料タンク36内の燃料残量Qfを入力する(ステップS110)。ここで、燃料残量Qfは、燃料レベルセンサ37からの燃料レベルQlなどに基づいてエンジンECU34により常時演算されているものを通信により入力するものとした。以下、図2のシステム起動時制御ルーチンの説明を一旦中断し、図3に例示する燃料残量演算処理について説明する。
【0023】
図3の燃料残量演算ルーチンでは、まず、燃料レベルセンサ37からの燃料レベルQlや路面勾配θ,このルーチンの実行間隔(例えば数十msecなど)毎の燃料消費量としての単位燃料消費量Qftなどを入力する(ステップS200)。ここで、路面勾配θは、勾配センサ79により検出されたものをHVECU50から通信により入力するものとした。また、単位燃料消費量Qftは、実施例では、エンジン32の目標回転数Ne*と目標トルクTe*と燃料噴射量との関係を予め定めてマップとしてROMに記憶しておき、HVECU50により実行される図示しない駆動制御ルーチンにより設定された目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを入力してマップから導出される燃料噴射量を積算したものを入力するものとした。
【0024】
こうしてデータを入力すると、入力した燃料レベルQlが値0より大きいか否かを判定し(ステップS210)、燃料レベルQlが値0より大きいときには、燃料レベルQlと路面勾配θとに基づいて燃料タンク36内の燃料残量Qfを導出して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。ここで、燃料残量Qfは、実施例では、燃料レベルQlと路面勾配θと燃料残量Qfとの関係を予め実験等により求めて燃料残量導出用マップとしてROMに記憶しておき、燃料レベルQlと路面勾配θとが与えられると記憶したマップから対応する燃料残量Qfを導出するものとした。こうして路面勾配θに基づいて燃料残量Qfを導出するのは、図4に例示するように、車両が走行している路面の路面勾配θによっては燃料タンク36が傾いて燃料レベルセンサ37による検出値が実際とは異なる場合があるためである。
【0025】
ステップS210で燃料レベルQlが値0のときには、前回このルーチンを実行したときに入力した燃料レベルQlが値0より大きいか否かを判定し(ステップS230)、前回入力した燃料レベルQlが値0より大きいときには、路面勾配θが閾値θref未満であるか否かを判定する(ステップS240)。ここで、閾値θrefは、値0より大きな燃料レベルQlが値0になった、即ち、燃料が検出されなくなったのが、エンジン32の燃料消費によりガス欠状態に至ったことを理由とするのか否かを判断するためのものであり、実施例では、燃料タンク36内にガス欠状態ではないと判断される値0より若干大きな所定残量Qrefの燃料が貯留された状態で燃料タンク36の傾きを徐々に大きくしたときに燃料レベルセンサ37からの燃料レベルQlが値0になるときの路面勾配θとして予め実験等により求めたものを用いるものとした。図5に、燃料タンク36内の所定残量Qrefの燃料と閾値θrefとの関係の一例を示す。
【0026】
路面勾配θが閾値θref未満と判定されたときには、燃料が検出されなくなったのがエンジン32の燃料消費によりガス欠状態に至ったためであると判断して、燃料残量Qfに値0を設定し(ステップS250)、路面勾配θが閾値θref以上と判定されたときには、燃料が検出されなくなったのが路面勾配θが大きくなったためであると判断して、値0の燃料レベルQlと路面勾配θとに基づいて上述の燃料残量導出用マップを用いて燃料残量Qfを導出し(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
【0027】
ステップS230で前回入力した燃料レベルQlが値0のときには、前回このルーチンにより演算された燃料残量Qfが値0より大きいか否かを判定し(ステップS270)、前回演算された燃料残量Qfが値0のときには、ガス欠状態を継続していると判断し、燃料残量Qfを変更することなく、本ルーチンを終了する。一方、前回演算された燃料残量Qfが値0より大きいときには、路面勾配θが大きくなったために燃料が検出されなくなってから車両が傾斜地の走行を継続していると判断し、前回演算された燃料残量Qfから単位燃料消費量Qftを減ずることにより燃料残量Qfを演算して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。こうして路面勾配θが大きくなったために燃料が検出されなくなったときの燃料残量Qfを路面勾配θに基づいて一旦導出し、その後、路面勾配θが小さくなり燃料が検出されるようになるまで又は燃料残量Qfが値0に至るまで燃料残量Qfを更新することにより、燃料残量Qfをできるだけ正確に演算するのである。なお、モータ運転モードで走行中には、路面勾配θに基づいて一旦導出された燃料残量Qfが更新されることなく保持されることになる。
【0028】
図2のシステム起動時制御ルーチンに戻る。燃料タンク36内の燃料残量Qfを入力すると、入力した燃料残量Qfが上述の所定残量Qref以上であるか否かを判定し(ステップS120)、燃料残量Qfが所定残量Qref以上のときには、ガス欠状態にはないと判断して、通常のシステム起動を許可し(ステップS130)、カウンタCをリセットして(ステップS140)、システム起動時制御ルーチンを終了する。こうして通常のシステム起動が許可されると、HVECU50は、エンジン32の冷却水温が閾値未満などの所定の始動条件が成立しているときにはエンジン32を始動してトルク変換運転モードや充放電運転モードで走行可能にシステム起動し、所定の始動条件が成立していないときにはモータ運転モードで走行可能にシステム起動する。カウンタCについては次に説明する。
【0029】
入力した燃料残量Qfが所定残量Qref未満のときには、ガス欠状態にあると判断して、カウンタCが閾値Cref未満であるか否かを判定し(ステップS150)、カウンタCが閾値Cref未満のときには、モータ運転モードに限定してシステム起動を許可すると共に(ステップS160)、カウンタCをインクリメントし(ステップS170)、カウンタCが閾値Cref以上のときには、システム起動を禁止して(ステップS180)、システム起動時制御ルーチンを終了する。ここで、カウンタCは、ガス欠状態を継続している最中にモータ運転モードに限定してシステム起動された回数をカウントするものとして図示しない不揮発性のメモリに記憶されるものである。閾値Crefは、モータ走行による高圧バッテリ44の過放電を防止するためにモータ運転モードでシステム起動するのを制限するためのものであり、例えば値2や値3などを用いることができる。こうしてモータ運転モードに限定してシステム起動が許可されると、モータ運転モードで走行可能にシステム起動が行なわれる。
【0030】
いま、実際に車両がガス欠状態にあるときを考える。このとき、ガス欠状態におけるモータ走行を無条件に許可すると、高圧バッテリ44が過放電により損傷してしまう場合が生じ、ガス欠状態におけるモータ走行を無条件に禁止すると、踏切内での停車などの危険な状態を回避する退避走行もできなくなってしまう。このため、ガス欠状態におけるシステム起動を閾値Cref未満の回数内では許可すると共に閾値Cref以上の回数では禁止するのである。また、複数回のエンジン始動の失敗をもってガス欠状態を判定すると、高圧バッテリ44の電力が無駄に消費され、その後のモータ走行も制限されてしまうため、システム起動が指示されたタイミングでガス欠状態を判定するのである。さらに、システム起動のタイミングでガス欠状態をより正確に判定するために、路面勾配θやエンジン32の運転状態に基づく燃料消費量を考慮して燃料残量Qfを演算するのである。これらにより、ガス欠状態に至ったハイブリッド自動車20の走行の制限としてのシステム起動をより適正に行なうことができることになる。
【0031】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、燃料レベルセンサ37からの燃料レベルQlと勾配センサ79からの路面勾配θとに基づいて燃料タンク36内の燃料残量Qfを演算するから、燃料レベルQlが直接示す値を用いるものや路面勾配θを用いることなく演算するものに比して、燃料残量Qfをより正確に取得することができる。また、こうして演算された燃料残量Qfがガス欠状態を示す所定残量Qref未満を継続している最中にシステム起動が閾値Cref以上の回数行なわれたときにはシステム起動を禁止するから、ガス欠状態に至った自動車の走行の制限としてのシステム起動の禁止をより適正に行なうことができる。また、燃料タンク36内の燃料残量Qfが所定残量Qref未満を継続している最中のシステム起動の回数が閾値Cref未満の範囲内ではエンジン32からの動力による走行が許可されないから、システム起動の許可をより適正に行なうことができる。さらに、燃料が検出されなくなる、即ち、燃料レベルQlが値0に移行する時間変化と路面勾配θとに基づいて一旦燃料残量Qfを導出すると共にこの燃料残量Qfをエンジン32の運転状態を示す目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)に基づく単位燃料消費量Qftを用いて更新するから、燃料タンク36内の燃料残量Qfをより確実に演算することができる。
【0032】
実施例のハイブリッド自動車20では、ガス欠状態を判断する燃料残量Qfとして所定残量Qrefを用いるものとしたが、値0を用いるものとしてもよい。
【0033】
実施例のハイブリッド自動車20では、燃料タンク36内の燃料残量Qfを演算するために、燃料レベルQlが値0に移行する時間変化と路面勾配θとに基づいて燃料残量Qfを一旦導出すると共にこの燃料残量Qfをエンジン32の単位燃料消費量Qftを用いて更新するものとしたが、エンジン32の単位燃料消費量Qftを用いることなく燃料レベルQlが値0になってからのエンジン32の運転を伴う走行時間や走行距離を用いて燃料残量Qfを補正するものとしてもよいし、燃料レベルQlが値0に移行する時間変化と路面勾配θとに基づいて燃料残量Qfを一旦導出することなく、燃料レベルQlと路面勾配θとに基づいて燃料残量Qfを演算するものであれば如何なるものとしてもよい。
【0034】
実施例のハイブリッド自動車20では、燃料タンク36内の燃料残量Qfが所定残量Qref未満を継続している最中のシステム起動の回数が閾値Cref未満の範囲内では、モータ運転モードに限定してシステム起動を許可するものとしたが、通常のシステム起動を許可するものとしてもよい。
【0035】
実施例のハイブリッド自動車20では、車両の前後方向の路面勾配を検出する勾配センサ79からの路面勾配θを用いるものとしたが、車両の左右方向の路面勾配を検出するセンサからの勾配を合わせて用いるものとしてもよい。
【0036】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を駆動軸22に出力するものとしたが、図4の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を駆動軸22が接続された車軸(駆動輪26a,26bが接続された車軸)とは異なる車軸(図6における車輪28a,28bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0037】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン32の動力を遊星歯車機構35を介して駆動輪26a,26bに接続された駆動軸22に出力するものとしたが、図7の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン32のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪26a,26bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン32の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0038】
実施例では、エンジン32およびモータMG1からの動力とモータMG2からの動力とを駆動軸22に出力して走行するハイブリッド自動車20に適用するものとしたが、エンジンからの動力の全てを電力に変換して二次電池を充電する共に二次電池からの動力を用いて走行するいわゆるシリーズハイブリッド自動車に適用するものとしてもよい。
【0039】
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車のシステム起動時の制御方法の形態としてもよい。
【0040】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン32が「内燃機関」に相当し、
モータMG1が「発電機」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、高圧バッテリ44が「蓄電手段」に相当し、燃料レベルセンサ37が「燃料水位検出手段」に相当し、
勾配センサ79が「路面勾配検出手段」に相当し、燃料レベルセンサ37からの燃料レベルQlと勾配センサ79からの路面勾配θとに基づいて燃料タンク36内の燃料残量Qfを演算する図3の燃料残量演算処理ルーチンを実行するエンジンECU34が「燃料残量演算手段」に相当し、燃料残量Qfを所定残量Qrefと比較したりカウンタCを閾値Crefと比較してシステム起動を許可又は禁止する図2のシステム起動時制御ルーチンを実行するHVECU50が「システム起動許可禁止設定手段」に相当し、電源ECU62からシステム起動の指示を受けて通常のシステム起動の許可やモータ運転モードに限定してのシステム起動の許可,システム起動の禁止を行なってトルク変換運転モードや充放電モード,モータ運転モードで走行可能にシステム起動を実行したりシステム起動を実行しないように制御するHVECU50が「制御手段」に相当する。また、遊星歯車機構35が「3軸式動力入出力手段」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、他の液体燃料を用いるものなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、エンジン32からの動力の全部またはその一部を遊星歯車機構35と共にトルク変換して駆動軸22に伝達する発電可能なモータMG1に限定されるものではなく、エンジンからの動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機やエンジンからの動力の全てを電力に変換して二次電池を充電するものなど、内燃機関からの動力を用いて発電可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、駆動軸22に動力を入出力する発電可能なモータMG2に限定されるものではなく、同期発電電動機や誘導電動機などのタイプに拘わらず、走行用の動力を入出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「蓄電手段」としては、高圧バッテリ44に限定されるものではなく、キャパシタなど、発電機および電動機と電力のやり取りが可能であれば如何なるものとしても構わない。「燃料水位検出手段」としては、燃料レベルセンサ37に限定されるものではなく、内燃機関に供給する燃料を貯留する燃料タンクに取り付けられて燃料タンク内の燃料の水位を検出するものであれば、如何なるものとしても構わない。「路面勾配検出手段」としては、車両の前後方向の路面勾配を検出する勾配センサ79に限定されるものではなく、車両の左右方向の路面勾配を検出するセンサとの組み合わせなど、路面勾配を検出するものであれば、如何なるものとしても構わない。「燃料残量演算手段」としては、図3の燃料残量演算処理ルーチンを実行するエンジンECU34に限定されるものではなく、複数の電子制御ユニットにより構成されるものなど、燃料水位検出手段により検出された燃料の水位と路面勾配検出手段により検出された路面勾配とに基づいて燃料タンク内の燃料残量を演算するものであれば、如何なるものとしても構わない。「システム起動許可禁止設定手段」としては、図2のシステム起動時制御ルーチンを実行するHVECU50に限定されるものではなく、複数の電子制御ユニットにより構成されるものなど、システム起動が指示されたときにはシステム起動許可禁止設定手段による設定結果に基づいて内燃機関,発電機,電動機が駆動可能にシステム起動するものであれば、如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、トルク変換運転モードや充放電モード,モータ運転モードで走行可能にシステム起動を行なったりシステム起動を行なわないように制御するHVECU50に限定されるものではなく、複数の電子制御ユニットにより構成されるものなど、システム起動が指示されたときにはシステム起動許可禁止設定手段による設定結果に基づいて内燃機関,発電機,電動機が駆動可能にシステム起動するものであれば、如何なるものとしても構わない。また、「3軸式動力入出力手段」としては、上述の遊星歯車機構35に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構や複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるもの,デファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0041】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のHVECU50により実行されるシステム起動時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例のエンジンECU34により実行される燃料残量演算ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】路面勾配θにより燃料タンク36が傾く様子を説明する説明図である。
【図5】燃料タンク36内の所定残量Qrefの燃料と閾値θrefとの関係の一例を示す説明図である。
【図6】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図7】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0044】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 駆動軸、24 デファレンシャルギヤ、26a,26b 駆動輪、28a,28b 車輪、30 動力システム、32 エンジン、33 クランクシャフト、34 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、35 遊星歯車機構、36 燃料タンク、37 燃料レベルセンサ、38 フューエルポンプ、41,42 インバータ、44 高圧バッテリ、46 システムメインリレー、50 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、62 電源用電子制御ユニット(電源ECU)、64 低圧バッテリ、66 DC/DCコンバータ、68 ACリレー、70 パワースイッチ、71 シフトレバー、72 シフトポジションセンサ、73 アクセルペダル、74 アクセルペダルポジションセンサ、75 ブレーキペダル、76 ブレーキペダルポジションセンサ、78 車速センサ、79 勾配センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
該内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、
走行用の動力を入出力可能な電動機と、
前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
前記内燃機関に供給する燃料を貯留する燃料タンクに取り付けられて該燃料タンク内の燃料の水位を検出する燃料水位検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
前記燃料水位検出手段により検出された燃料の水位と前記路面勾配検出手段により検出された路面勾配とに基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算する燃料残量演算手段と、
前記演算された燃料残量が所定残量以上のとき及び前記演算された燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数未満のときにはシステム起動の許可を設定し、前記演算された燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が前記所定回数以上のときにはシステム起動の禁止を設定するシステム起動許可禁止設定手段と、
システム起動が指示されたときには前記システム起動許可禁止設定手段による設定結果に基づいて前記内燃機関,前記発電機,前記電動機が駆動可能にシステム起動する制御手段と、
を備える自動車。
【請求項2】
前記制御手段は、前記演算された燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が前記所定回数未満のときのシステム起動に対しては前記電動機からの動力だけによる走行だけを許可してシステム起動する手段である請求項1記載の自動車。
【請求項3】
前記燃料残量演算手段は、前記燃料水位検出手段により検出される燃料の水位の時間変化と前記路面勾配検出手段により検出される路面勾配とに基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算する手段である請求項1または2記載の自動車。
【請求項4】
前記燃料残量演算手段は、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算する手段である請求項3記載の自動車。
【請求項5】
車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備える請求項1ないし4いずれか記載の自動車。
【請求項6】
内燃機関と、前記内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、前記内燃機関に供給する燃料を貯留する燃料タンクに取り付けられて該燃料タンク内の燃料の水位を検出する燃料水位検出手段と、を備える自動車のシステム起動時の制御方法であって、
前記燃料水位検出手段により検出された燃料の水位と路面勾配とに基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を演算し、前記演算した燃料残量が所定残量以上のとき及び前記演算した燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が所定回数未満のときにはシステム起動を許可し、前記演算した燃料残量が前記所定残量未満を継続している最中にシステム起動が行なわれた回数が前記所定回数以上のときにはシステム起動を禁止する、
ことを特徴とする自動車の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284972(P2008−284972A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131027(P2007−131027)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】