説明

薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法

【課題】熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられ、前記ゲート電極の上において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極から露出した前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うチャネル保護層と、を備えたことを特徴とする薄膜トランジスタが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)は、液晶表示装置や有機EL表示装置等に広く用いられている。
大型液晶表示装置に用いられているアモルファスシリコンTFTは、移動度は1cm/(V・s)程度ではあるものの、大面積に低コストかつ均一に形成できる。しかしながら、近年さらに大型高精細化が望まれており、また大きな駆動電流を必要とするアクティブマトリクス型有機EL表示装置が開発されており、低コスト、高均一、高信頼性、高移動度の新規活性材料が望まれている。
【0003】
上記開発状況において、最近ではTFTのチャネル層に適用し得る材料として、酸化物半導体が注目されてきている。
例えばZnOを主成分とする透明伝導性酸化物薄膜をチャネル層に用いたTFTの開発が活発に行われている。上記薄膜は比較的低温で大面積に成膜でき、アモルファスシリコンに比べ高移動度が実現できる。例えば、特許文献1には、In−Ga−Zn−O系のアモルファス酸化物を用いたTFTが開示されている。上記薄膜は、低温で成膜でき、かつ可視域で透明であるため、プラスチックやフィルムの基板上にフレキシブルで透明なTFTを形成することが可能であるとされている。さらには、アモルファスシリコンに対して10倍程度の電界効果移動度が得られている。
【0004】
その一方で、例えば酸化物半導体の導電率がスパッタリング成膜中の酸素濃度によって変化することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)ように、酸化物半導体においては、含有する酸素濃度に電気的特性が非常に敏感であり、例えば熱処理によって酸素濃度が変化して、その結果、特性が劣化する。これが酸化物半導体を用いたTFTの実用化を妨げる大きな要因となっている。
【特許文献1】特開2004−103957号公報
【非特許文献1】Applied Physics Letters, 90, 192101(2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられ、前記ゲート電極の上において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極から露出した前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うチャネル保護層と、を備えたことを特徴とする薄膜トランジスタが提供される。
【0007】
本発明の別の一態様によれば、基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられたチャネル保護層と、を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、前記基板の上に前記ゲート電極を形成し、前記ゲート電極の上に前記ゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜の上に前記半導体層を形成し、前記ゲート電極の上における前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うように前記チャネル保護層を形成し、前記半導体層及びチャネル保護層を160℃以上の温度で加熱処理し、その後、前記半導体層及び前記チャネル保護層の上に前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
【0008】
本発明の別の一態様によれば、上記の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一方に接続され、前記酸化物より形成され、前記半導体層よりも電気抵抗が低い画素電極と、前記画素電極に与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子と、を備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0009】
本発明の別の一態様によれば、基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられたチャネル保護層と、を有する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一方に接続された画素電極と、前記画素電極に与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子と、を有する表示装置の製造方法であって、前記基板の上に前記ゲート電極を形成し、前記ゲート電極の上に前記ゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜の上に、前記酸化物の層を形成し、前記ゲート電極の上における前記酸化物の層の側面の少なくとも一部を覆い、前記画素電極の形成される領域の前記酸化物の層を露出するように、前記チャネル保護層を形成し、前記酸化物の層及びチャネル保護層を160℃以上の温度で加熱処理し、前記チャネル保護層から露出した前記酸化物の層の電気抵抗を低下させて前記画素電極を形成し、その後、前記半導体層及び前記チャネル保護層の上に前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成することを特徴とする表示装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の別の一態様によれば、基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられたチャネル保護層と、を有する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一方に接続された画素電極と、前記画素電極に与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子と、を有する表示装置の製造方法であって、前記基板の上に前記ゲート電極を形成し、前記ゲート電極の上に前記ゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜の表面の平滑性を選択的に変化させる表面処理を行い、前記ゲート絶縁膜の上に、前記酸化物の層を形成することを特徴とする表示装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る薄膜トランジスタの構造を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図(a)は模式的平面図であり、同図(b)は省略された模式的平面図であり、同図(c)及び同図(d)は同図(a)のそれぞれA−A’線及びB−B’線断面図である。
図1に表したように、本発明の第1の実施形態に係る薄膜トランジスタ11は、絶縁層110の主面111の上に設けられたゲート電極120と、ゲート電極120の上に、ゲート絶縁膜130を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層140と、半導体層140の上に設けられたチャネル保護層150と、半導体層140の一部及びチャネル保護層150の一部を覆うように離間して設けられたソース電極161及びドレイン電極162と、を備える。
【0014】
なお、同図(a)は、絶縁層110及びゲート絶縁膜130が省略されており、同図(b)は、絶縁層110、ゲート絶縁膜130、ソース電極161及びドレイン電極162が省略されている。
同図(b)に例示ししたように、半導体層140は、ソース電極161及びドレイン電極162とそれぞれ電気的に接続されるソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142を有する。ソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142は、ゲート電極120を挟むようにして、互いに離間して設けられている。
【0015】
そして、チャネル保護層150は、ソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142を除いて、半導体層140の側面140s及び上面140uを覆うように設けられている。ただし、後述するように、チャネル保護層150は、半導体層140の側面140sの少なくとも一部及び上面140uを覆うように設けても良い。
【0016】
すなわち、薄膜トランジスタ11は、絶縁層110と、絶縁層110の上に設けられたゲート電極120と、ゲート電極120の上にゲート絶縁膜130を介して設けられ、酸化物からなる半導体層140と、半導体層140の上において、ゲート電極120を挟むように離間して設けられたソース電極161及びドレイン電極162と、ソース電極161及びドレイン電極162と、半導体層140と、の間に設けられ、ゲート電極120の上において、ソース電極161及びドレイン電極162から露出した半導体層140の側面140sの少なくとも一部を覆うチャネル保護層150と、を備える。
【0017】
絶縁層110は、例えば基板の上に設けられる。この時、基板には、例えば、透光性のガラス基板を用いることができる。ただし、これに限らず、例えば、プラスチック基板やカラーフィルタ付き基板、シリコンやステンレスのような非透光性の基板を用いることができる。また、基板が絶縁性であれば、基板自体を絶縁層110としても良い。以下では、絶縁層110が絶縁性の基板である場合として説明する。
【0018】
ゲート電極120には、例えば、MoW、Ta、Wのような高融点金属を用いることができ、また、ヒロック対策を施したAlを主成分とするAl合金を用いても良く、Alと高融点金属の積層膜としても良い。ただし、本発明はこれに限らず、ゲート電極120には、導電性の任意の材料を用いることができる。
【0019】
ゲート絶縁膜130には、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることができる。ただし、本発明はこれに限らず、窒化シリコン(SiN)や酸窒化シリコンなどの任意の絶縁膜を用いることができ、さらには、これらの膜の積層膜を用いても良い。
【0020】
半導体層140には、例えばIn−Ga−Zn−O系等のアモルファス酸化物半導体を用いることができる。このアモルファス酸化物半導体からなる半導体層140は、例えば反応性スパッタリング法で形成される。なお、アモルファス酸化物半導体層においては、例えば、透過電子顕微鏡やX線回折で観察しても回折パターン等は観察されない。なお、半導体層140には、上記の他、例えばZn等を含む任意の酸化物半導体を用いることができる。
なお、半導体層140の厚さは、電気的特性の確保のために、10nm程度あれば良く、具体的には、半導体層140の厚さは、10nm〜100nm程度とすることができる。
【0021】
チャネル保護層150には、半導体層140よりも耐酸性の強い、例えば酸化シリコンが用いられる。ただし、本発明はこれに限らず、酸素を含有する任意の絶縁材料を用いることができ、例えばアルミナや酸窒化シリコンなども用いることができる。さらには、これらの膜の積層膜を用いても良い。
【0022】
ソース電極161及びドレイン電極162には、任意の導電材料を用いることができ、また、例えば、Ti/Al/TiやMo/Al/Mo等の任意の導電性の積層膜を用いることができる。本具体例では、ソース電極161及びドレイン電極162には、Mo膜166、Al膜167及びMo膜168の積層膜が用いられている。
【0023】
なお、上記において、ソースコンタクト領域141とドレインコンタクト領域142とを互いに入れ替えても良く、すなわち、ソース電極161とドレイン電極162とを互いに入れ替えても良い。
【0024】
なお、薄膜トランジスタ11の信頼性を維持するために、同図に例示した構造の全体を覆うように、例えば、SiN等の絶縁物からなるパッシベーション膜が形成されるが、同図では省略されている。また、その上に平坦化のための有機樹脂等の絶縁層や、場合によってはカラーフィルタ等の着色された有機樹脂等の絶縁層が形成されるが、同図では省略されている。
このように、一般的に薄膜トランジスタをTFT−LCDや有機EL用のアクティブマトリクス型の表示装置等に応用する場合は、パッシベーション膜が形成され、この時、薄膜トランジスタは例えば150℃以上の温度で熱処理される。また、例えばPE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)を用いてパッシベーション膜を形成する際は、加熱温度は250℃程度となる。
【0025】
この時、上記のパッシベーション層の形成の際に半導体層140が加熱されるが、本実施形態に係る薄膜トランジスタ11においては、半導体層140のソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142はそれぞれソース電極161及びドレイン電極162に覆われている。そして、半導体層140のこれらの電極から露出する領域においては、半導体層140の上面140u及び側面140sがチャネル保護層150によって覆われている。このため、上記の熱処理が施された時の半導体層140における酸素濃度の変動を抑制し、特性が変化することがない。
このように、本実施形態に係る薄膜トランジスタ11によれば、熱処理によって引き起こされる酸素濃度の変動を抑え、特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタが提供できる。
【0026】
(第1の実施例)
本実施形態に係る第1の実施例に係る薄膜トランジスタ11a(図示しない)は図1に例示した構造を有する。以下では、第1の実施例の薄膜トランジスタ11aの製造方法について説明する。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図3は、図2に続く工程順模式的断面図である。
図2及び図3において、図中の左側の図は、図1(a)のA−A’線断面に相当する断面図であり、右側の図は、図1(a)C−C’線断面に相当する断面図である。また、これらの図においては、薄膜トランジスタの部分の他に、コンタクト部に関しても合わせて例示されている。
【0028】
図2(a)に表したように、まず、絶縁層110であるガラス基板110g(基板110g)の主面111の上に、Al膜121f及びMo膜122fをそれぞれ100nm及び30nmの厚さでスパッタリングにより成膜し、所定のパターンに加工して、ゲート電極120を形成した。なお、パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水からなる混酸を用いた。このとき、薄膜トランジスタのゲート電極120のコンタクト部123も同時に形成した。コンタクト部123も、Al膜121f及びMo膜122fの積層膜からなる。
【0029】
次に、図2(b)に表したように、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fを、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたPE−CVD法で、厚さ200nmで堆積した。この時、成膜温度は350℃とした。
【0030】
さらに、ゲート絶縁膜130の上に、半導体層140となるIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140f(酸化物の層)をリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜した。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%とした。そして酸化物層140fを2%のシュウ酸を用いてゲート電極120を横切る所定のパターンに加工し、半導体層140を形成した。
【0031】
さらに、図2(c)に表したように、チャネル保護層150となるSiO膜150fを、厚さ200nmで、TEOSのPE−CVD法により堆積した。この時、成膜ガスはOとTEOSの混合ガスとし、成膜温度は350℃とした。この後に、このSiO膜150fを、後にソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142となる領域を除いて、半導体層140の側面140s及び上面140uを覆う所定のパターンに加工し、チャネル保護層150を形成した。
【0032】
なお、この時、SiO膜150fの加工の際のフォトリソグラフィには、マスク露光と、ゲート電極120をマスクとして用いる裏面露光と、を組み合わせて用いた。また、このときのエッチングは、CFガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)により行った。
【0033】
この後、空気雰囲気において350℃で1時間のアニールを施し、SiO膜150fの成膜のPE−CVDプロセスによる半導体層140のダメージを取り除いた。
【0034】
そして、図3(a)に表したように、ゲート電極120の取り出し用のコンタクト部123においてゲート絶縁膜130となるSiO膜130fにコンタクトホール123hを形成した。すなわち、ゲート絶縁膜130のSiO膜130fを、バッファードフッ酸を用い所定形状にエッチングした。
【0035】
その後、図3(b)に表したように、ソース電極161及びドレイン電極162となるMo膜166、Al膜167及びMo膜168(図示しない)を、それぞれ10nm、300nm及び50nmの厚さでスパッタリング法により成膜した積層膜160fを形成し、この積層膜160fを混酸を用いて所定のパターンに加工し、ソース電極161及びドレイン電極162を形成した。これにより、薄膜トランジスタ11aの形状が完成する。また、このMo膜166、Al膜167及びMo膜168の積層膜160fをコンタクトホール123hの内部に埋め込み、所定形状に加工してコンタクト部123が作製される。
【0036】
この後、プロセス中の素子ダメージをとるために、クリーンオーブン中において230℃で1時間程度のアニールを行うことで、本実施例に係る薄膜トランジスタ11aが完成する。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施例に係る薄膜トランジスタの特性を例示するグラフ図である。
すなわち、同図は、第1の実施例に係る薄膜トランジスタ11aが完成した後に熱処理を行い、その熱処理条件を変えた時の特性を例示している。実線A1は熱処理なしの初期特性を例示し、破線A2はAr雰囲気中における160℃の熱処理後の特性を例示し、一点鎖線A3はAr雰囲気中における230℃の熱処理後の特性を例示している。なお、同図において、横軸はゲート電圧Vgを表し、縦軸はドレイン電流Idを表している。
【0038】
図4に表したように、薄膜トランジスタ11aにおいては、熱処理なしの初期特性(実線A1)、160℃熱処理(破線A2)、及び、230℃熱処理(一点鎖線A3)、のいずれの場合も高いオン/オフ比が得られ、また、熱処理によって特性はほとんど変化していない。これは、半導体層140が、チャネル保護層150並びにソース電極161及びドレイン電極162によって覆われることで、熱処理によって半導体層140に含まれる酸素濃度が変化することが抑制されたことの効果であり、これにより、安定した動作が実現できている。
【0039】
(第1の比較例)
図5は、第1の比較例の薄膜トランジスタの構造を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図(a)は模式的平面図であり、同図(b)は省略された模式的平面図であり、同図(c)及び同図(d)は同図(a)のそれぞれA−A’線及びB−B’線断面図である。
図5に表したように、第1の比較例の薄膜トランジスタ91では、チャネル保護層150が半導体層140の上面140uを覆っているが、側面140sを露出して設けられている。これ以外は、本実施形態に係る薄膜トランジスタ11と同様なので説明を省略する。すなわち、第1の比較例の薄膜トランジスタ91は、第1の実施形態に係る薄膜トランジスタ11や第1の実施例の薄膜トランジスタ11aにおいて、半導体層140の側面140sがチャネル保護層150から露出しているものである。
【0040】
なお、この薄膜トランジスタ91の構造は、半導体層140として、酸化物半導体ではなく、アモルファスシリコンやポリシリコン等のシリコン系の半導体を用いた場合には、一般的な構造である。
薄膜トランジスタ91は、以下のようにして作製される。
【0041】
ガラス基板などの絶縁層110の主面111上にゲート電極120となるAl膜121f及びMo膜122fをそれぞれ厚さ100nm及び30nmでスパッタリングにより成膜し、所定のパターンに加工する。パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水の混酸を用いる。
【0042】
その後、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fをTEOSのPE−CVD法により厚さ200nmで堆積する。さらに、ゲート絶縁膜130の上に半導体層140としてIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140fをリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜する。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%である。
【0043】
そして、チャネル保護層150としてSiO膜150fを厚さ200nmで、TEOSのPE−CVD法によって堆積する。この後、このSiO膜150fを所定のパターンに加工する。この時、このSiO膜150fの加工におけるフォトリソグラフィには、マスク露光と、ゲート電極120をマスクとして用いる裏面露光とを組み合わせて用いた。このときのエッチングはCFガスを用いたRIEにより行った。
【0044】
そして、酸化物層140fを2%のシュウ酸を用いて所定のパターンに加工する。その後、PE−CVD中の半導体層140のダメージを回復させるために、空気雰囲気において350℃で1時間のアニールをする。この後、ゲート電極120の取り出し用のコンタクトホール(図示しない)を形成するために、露出したゲート絶縁膜130を、バッファードフッ酸を用いてエッチング除去する。さらに、ソース電極161及びドレイン電極162となるMo膜166、Al膜167及びMo膜168をそれぞれ厚さ10nm、300nm及び50nmで、スパッタリング法により成膜し、上記、混酸を用いて所定のパターンに加工する。この後、プロセス中の半導体層140のダメージを回復させるために、空気雰囲気において230℃で1時間のアニールをする。
【0045】
このような構造を有する薄膜トランジスタ91においては、この後のパッシベーション膜形成時の熱処理によって特性が大きく変動し、実用的に問題がある。
図6は、第1の比較例の薄膜トランジスタの特性を例示するグラフ図である。
すなわち、同図は、第1の比較例の薄膜トランジスタ91が完成した後に熱処理を行い、その熱処理条件を変えた時の特性を例示している。実線A1は熱処理なしの初期特性を例示し、破線A2はAr雰囲気中における160℃の熱処理後の特性を例示し、一点鎖線A3はAr雰囲気中における230℃の熱処理後の特性を例示している。なお、同図において、横軸はゲート電圧Vgを表し、縦軸はドレイン電流Idを表している。
【0046】
図6に表したように、薄膜トランジスタ91では、熱処理なしの初期特性(実線A1)においては高いオン/オフ比が得られているが、160℃の熱処理(破線A2)においてはId−Vg特性曲線は低Vgの方向にシフトし、また、Id−Vg特性曲線上に凸部A2aが現れている。また、230℃の熱処理(一点鎖線A3)においては、オン/オフ比は非常に低くなり、ほとんどオン状態(導通状態)となっている。
【0047】
これは、薄膜トランジスタ91においては、半導体層140の側面140sがチャネル保護層150から露出しているため、熱処理によって半導体層140の側面140sの表面の酸素濃度が変化してしまい、具体的には半導体層140に含有される酸素が離脱して、半導体層140が低抵抗化するためである。
【0048】
(第2の比較例)
図7は、第2の比較例の薄膜トランジスタの構造を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図(a)は模式的平面図であり、同図(b)及び同図(c)は同図(a)のそれぞれA−A’線及びB−B’線断面図である。
図7に表したように、第2の比較例の薄膜トランジスタ92は、チャネル保護層150が設けられていない。すなわち、薄膜トランジスタ92は、バックチャネルカット構造を有す。薄膜トランジスタ92は、以下のようにして作製される。
【0049】
ガラス基板などの絶縁層110の主面111上にゲート電極120となるAl膜121f及びMo膜122fをそれぞれ厚さ100nm及び30nmでスパッタリングにより成膜し、所定のパターンに加工する。パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水の混酸を用いる。
【0050】
その後、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fをTEOSのPE−CVD法により厚さ200nmで堆積する。さらに、ゲート絶縁膜130の上に半導体層140としてIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140fをリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜する。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%である。そして、酸化物層140fを2%のシュウ酸を用いて所定のパターンに加工し、半導体層140を形成する。
【0051】
この後、ゲート電極120の取り出し用のコンタクトホール(図示しない)を形成するために、露出したゲート絶縁膜130を、バッファードフッ酸を用いてエッチング除去する。さらに、ソース電極161及びドレイン電極162となるMo膜166、Al膜167及びMo膜168をそれぞれ10nm、300nm及び50nmの厚さで、スパッタリング法により成膜し、上記の混酸を用いて所定のパターンに加工する。この後、プロセス中の半導体層140のダメージを回復させるために、空気雰囲気において230℃で1時間のアニールをする。
【0052】
このような構造を有する薄膜トランジスタ92においては、チャネル保護層150が設けられていないので、半導体層140の上面140u及び側面140sが露出している。このため、この後のパッシベーション膜等の形成のための熱処理によって特性が大きく変動する。例えば、図6に例示した薄膜トランジスタ91の特性よりもさらに顕著に、熱処理によって特性が劣化し、実用的にはさらに問題である。これは、半導体層140の露出した上面140u及び側面140sにおいて、半導体層140に含有される酸素が離脱して、半導体層140が低抵抗化するためである。
【0053】
一般的に薄膜トランジスタをTFT−LCDや有機EL用のアクティブマトリクス型の表示装置等に応用する場合は、信頼性向上のために、パッシベーション膜を形成する必要があるが、上記の第1及び第2の比較例の薄膜トランジスタ91及び92においては、150℃以上の温度で不活性雰囲気や真空中に曝すことで、電気特性が劣化する。これは、露出した部分のIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140fの表面の酸素が離脱することによって半導体層140が低抵抗化することによる。一般に、PE−CVDを用いてパッシベーション膜を形成する際は、パッシベーション膜のバリア性を考慮すると200℃程度の熱処理を行う必要があるが、薄膜トランジスタ91及び92においては、このような熱処理を行うと電気特性が劣化する。
【0054】
この時、例えば、酸化雰囲気において350℃以上で熱処理することで、この劣化した特性を回復させることができる。しかしながら、このような高温の処理を行うと、例えば、半導体層140のIn−Ga−Zn−O酸化物とソース電極161及びドレイン電極162との反応が起こり、特性が劣化する。また、ソース電極161及びドレイン電極162にAlを用いるとこれらの電極にヒロックが発生し、このヒロックが例えばパッシベーション膜に損傷を与えるという問題が発生し実用的には上記の熱処理を採用するのに困難がある。
【0055】
これに対し、本実施形態に係る薄膜トランジスタ11及び第1の実施例に係る薄膜トランジスタ11aにおいては、半導体層140の上面140u及び側面140sが、チャネル保護層150並びにソース電極161及びドレイン電極162によって覆われる。これにより、熱処理によって半導体層140に含まれる酸素濃度が変化することが抑制され、図2に例示したように、パッシベーション膜の形成等の際の熱処理を行っても安定した動作が実現できる。
【0056】
以上説明したように、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにおいて、半導体層140の上面140uだけでなく側面140sをチャネル保護層150によって覆うことで熱処理に対して耐性のある良好な特性が得られる。本実施形態に係る薄膜トランジスタ11の構造とその効果は、以下のような実験結果に基づいて見出されたものである。
【0057】
発明者は、チャネル保護層150を用いない第2の比較例の薄膜トランジスタ92において、熱処理によって特性が劣化することは予見していた。すなわち、チャネル保護層150を用いない構造においては、製造工程中の各種のプロセスにおいて半導体層140が損傷を受け易く、例えばアモルファスシリコンやポリシリコン等の半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいても場合によっては特性が劣化する。従って、特性が変動し易い酸化物半導体を用いた場合には、より損傷し易いと推測した。
【0058】
一方、例えば、図5に例示した第1の比較例の薄膜トランジスタ91の構造において、半導体層140として酸化物半導体ではなく、アモルファスシリコンやポリシリコン等のシリコン系の半導体を用いた場合には、問題にはならない。すなわち、アモルファスシリコンやポリシリコン等は熱処理によって表面の水素が離脱することがあるが、水素離脱した部分は高抵抗化するため、一般的に問題とならない。このため、半導体層140の側面が露出していても、熱処理によって特性が大きく変化することがない。
【0059】
このため、半導体層140として酸化物半導体を用いた場合においても、チャネル保護層150を半導体層140の上面140uに設けることで、特性変動が実用的には問題にならない程度に抑制されると期待した。しかしながら、既に図6に例示したように、第1の比較例の薄膜トランジスタ91においては、実際には、熱処理によって特性が大きく変動した。
【0060】
そこで、発明者は、チャネル保護層150及び半導体層140の配置と電気的特性との関係についての実験を行った。
図8は、実験に用いた薄膜トランジスタの構成及び実験結果を例示する模式図である。 すなわち、同図(a)は、実験に用いた薄膜トランジスタの構成を例示する模式的平面図であり、同図(b)は、薄膜トランジスタの電気特性を例示する等価回路図であり、同図(c)及び(d)は、熱処理条件を変えた時の特性の測定結果を例示するグラフ図である。同図(c)及び(d)において横軸はゲート電圧Vgを表し、同図(c)の縦軸はドレイン電流Idを対数目盛で表し、そして、同図(d)の縦軸はドレイン電流Idを等間隔目盛で表している。また、同図(c)及び同図(d)において、実線A1は熱処理なしの初期特性を例示し、破線A2はAr雰囲気中における160℃の熱処理後の特性を例示している。また、同図(d)における点線A4は、低いゲート電圧Vgの領域における破線A2の特性を、高いゲート電圧Vgの領域に延長した仮想的な特性である。
【0061】
図8(a)に表したように、実験に用いた薄膜トランジスタ93においては、チャネル保護層150よりも半導体層140の方が大きい平面形状を有している。すなわち、ゲート電極120の上の領域において、ソース電極161とドレイン電極162とが対向するチャネル領域に対応する半導体層140の上面140uはチャネル保護層150によって被覆されている。しかしながら、チャネル領域以外の半導体層140の上面140u及び側面140sは、チャネル保護層150から露出している。
【0062】
このような構造を有する薄膜トランジスタ93は、図8(c)及び(d)に例示した特性を示した。
すなわち、図8(c)に例示したように、薄膜トランジスタ93においては、熱処理なしの初期特性(実線A1)においては、高いオン/オフ比が得られているが、160℃の熱処理(破線A2)においては、オン/オフ比は非常に低くなり、ほとんどオン状態(導通状態)となっている。すなわち、図6に例示した薄膜トランジスタ91の160℃の特性(破線A2)の特性よりも、さらにオン/オフ比が劣化している。これは、薄膜トランジスタ91よりも薄膜トランジスタ93の方が、半導体層140がチャネル保護層150から露出している面積が大きいことが原因と考えられる。
【0063】
そして、図8(d)に表したように、図8(c)の特性を等間隔目盛でみると、160℃の熱処理の特性(破線A2)は、熱処理なしの初期特性(実線A1)と類似した形状を有している。すなわち、実線A1及び破線A2の両方において、約−4V以上のゲート電圧において、ドレイン電流Idは急激に上昇する。しかしながら、破線A2においては、ゲート電圧が約−4Vよりも低い電圧の時も点線A4で例示された大きな電流が流れており、この電流(点線A4)と、約−4V以上のゲート電圧で急激に増大する電流と、が合成されて、破線A2の特性となっていると推測された。
【0064】
この特性から、160℃の熱処理後の薄膜トランジスタ93の破線A2の特性は、互いに異なる特性を有する素子が並列に接続された構造の特性であると推測された。
【0065】
すなわち、図8(a)に例示したように、ソース電極161とドレイン電極162とが対向する領域においてチャネル保護層150に覆われたチャネル部電流経路145cにおける特性と、チャネル保護層150から露出した半導体層140の側面140s等の周辺部電流経路145sにおける特性と、が合成された特性となっていると考えられる。
【0066】
すなわち、図8(b)に表したように、薄膜トランジスタ93は、チャネル部電流経路145cに対応するチャネル部トランジスタ93aと、周辺部電流経路145sに対応する周辺部トランジスタ93bとが並列に接続されたもの構造と見なすことができる。そして、チャネル部トランジスタ93aは、図8(d)に例示した実線A1の特性を有していると考えられる。一方、周辺部トランジスタ93bは、図8(d)に例示した点線A4の特性に類似した特性を有していると考えられる。
【0067】
この結果、破線A2においては、チャネル部トランジスタ93aと周辺部トランジスタ93bとが並列して接続された特性となり、すなわち、実線A1と点線A4とを合成した特性になっていると考えられる。
【0068】
このように、半導体層140がチャネル保護層150から露出していると、熱処理によって特性が劣化することが分かった。具体的には、露出している部分の半導体層140において酸素が離脱し、これにより半導体層140の抵抗が低下し、このために、特性が変化すると考えられる。
【0069】
このため、第2の比較例の薄膜トランジスタ92においては、チャネル保護層150が設けられていないので、半導体層140の上面140u及び側面140sの大きな面積で半導体層140の表面が露出するので、熱処理によって大きく特性が変動する。
【0070】
また第1の比較例の薄膜トランジスタ91においては、半導体層140は側面140sにおいてチャネル保護層150から露出しており、この部分において、熱処理によって特性が変化したものと推測される。すなわち、例えば図6に例示した破線A2においては、既に説明したように、凸部A2aが発生しており、このことも、破線A2の特性がチャネル部トランジスタ93aと周辺部トランジスタ93bとが並列に接続された特性であることを示唆している。
【0071】
以上説明したように、図5に例示した第1の比較例の薄膜トランジスタ91の構造において、半導体層140としてアモルファスシリコンやポリシリコン等の半導体を用いた場合には問題にはならないが、酸素の量に電気的特性が大きく依存する酸化物半導体を用いた場合には問題となることが分かった。すなわち、酸化物半導体を用いた場合には、半導体層140の側面140sが露出していると、その部分において例えば熱処理によって酸素の量が変動し、結果として特性が大きく劣化する。このように、半導体層140の上面140uと同時に側面140sをチャネル保護層150で被覆することは、従来のアモルファスシリコンやポリシリコン等の半導体を用いた薄膜トランジスタにおいては必要がなかったものであり、酸化物半導体からなる半導体層140を用いた薄膜トランジスタにおいて特有に必要とされる構造である。
【0072】
ここで、本実施形態に係る薄膜トランジスタ11及び第1の実施例の薄膜トランジスタ11aにおいて、チャネル保護層150は、半導体層140と、ソース電極161及びドレイン電極162と、の間に設けられる層である。すなわち、チャネル保護層150は、半導体層140の上面140uの少なくとも一部を覆う。そして、チャネル保護層150の少なくとも一部は、ソース電極161及びドレイン電極162によって覆われる。
【0073】
すなわち、チャネル保護層150は、半導体層140を保護するためのものであるので、半導体層140よりも後に形成される。そして、チャネル保護層150は、ソース電極161及びドレイン電極162よりも前に形成される。これは、図2(c)〜図3(b)に関して既に説明したように、半導体層140の上にチャネル保護層150を例えばPE−CVDで成膜した際の半導体層140のダメージを回復させるために、例えば空気雰囲気において350℃で1時間等の高温のアニールを行うことを可能にするためである。
【0074】
すなわち、例えば半導体層140を形成し、その後、ソース電極161及びドレイン電極162となる膜を形成し、その後にチャネル保護層150を形成すると、チャネル保護層150形成時のダメージの回復のための高温処理が、ソース電極161及びドレイン電極162にも施されることになる。ソース電極161及びドレイン電極162にこのような高温処理が施されると、既に説明したように、半導体層140とソース電極161及びドレイン電極162との反応に起因した特性劣化や、ヒロックが発生し、実用的にはこのプロセスを採用できない。
【0075】
このため、本実施形態に係る薄膜トランジスタ11及び第1の実施例の薄膜トランジスタ11aにおいては、半導体層140の上にチャネル保護層150を形成する際のダメージを回復させる高温処理を可能とするために、チャネル保護層150は、半導体層140と、ソース電極161及びドレイン電極162と、の間に設けられる。
【0076】
本実施形態に係る薄膜トランジスタ11及び第1の実施例の薄膜トランジスタ11aにおいては、チャネル保護層150は、ソース電極161及びドレイン電極162に覆われていない半導体層140の上面140u及び側面140sを覆うように設けられているが、本発明の実施形態はこれには限定されない。すなわち、図8に関して説明した周辺部トランジスタ93bとなる電流経路の少なくとも一部を遮断するように、チャネル保護層150が設けられれば良く、各種の変形が可能である。
【0077】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る変形例の薄膜トランジスタの構成を例示する模式的平面図である。
なお、これらの図において、絶縁層110及びゲート絶縁膜130は省略されている。 図9(a)に表したように、本実施形態に係る変形例の薄膜トランジスタ12においては、半導体層140は、ソース電極161及びドレイン電極162の外側に露出した領域を有している。ただし、ソース電極161とドレイン電極162とが互いに対向するチャネル領域のチャネル方向(ゲート長方向)の半導体層140の端部はチャネル保護層150によって覆われている。
【0078】
すなわち、この場合は、ソース電極161のドレイン電極162と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162のソース電極161と対向する辺の延長線162pと、の間における半導体層140の側面140sが、チャネル保護層150によって覆われている。このため、延長線161p及び延長線162pとの間における側面140sの近傍領域146sにおいて、側面140sは熱処理の影響を受けず高抵抗である。
【0079】
このため、周辺部電流経路145sは、延長線161p及び延長線162pとの間における側面140sの近傍領域146sにおいて遮断される。これにより、薄膜トランジスタ12によって、パッシベーション膜等の形成のための熱処理を行っても、熱処理によって引き起こされる酸素濃度の変動を抑え、特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタが提供される。
【0080】
また、図9(b)に表したように、本実施形態に係る別の変形例の薄膜トランジスタ13においては、半導体層140は、ソース電極161及びドレイン電極162の外側に露出した領域を有している。そして、ソース電極161のドレイン電極162と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162のソース電極161と対向する辺の延長線162pと、の間の領域において、半導体層140は内側に後退した凹部を有している。そして、この場合も、ソース電極161とドレイン電極162とが互いに対向するチャネル領域のチャネル方向(ゲート長方向)の半導体層140の端部はチャネル保護層150によって覆われている。
【0081】
すなわち、この場合も、ソース電極161のドレイン電極162と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162のソース電極161と対向する辺の延長線162pと、の間における半導体層140の側面140sが、チャネル保護層150によって覆われている。
【0082】
このため、延長線161p及び延長線162pとの間における側面140sの近傍領域146sにおいて、側面140sは熱処理の影響を受けず高抵抗である。このため、周辺部電流経路145sは、延長線161p及び延長線162pとの間における側面140sの近傍領域146sにおいて遮断される。これにより、薄膜トランジスタ13によって、パッシベーション膜等の形成のための熱処理を行っても、熱処理によって引き起こされる酸素濃度の変動を抑え、特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタが提供される。
【0083】
このように、チャネル保護層150は、ソース電極161のドレイン電極162と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162のソース電極161と対向する辺の延長線162pと、の間における半導体層140の側面140s及び上面140uを覆うように設けられれば良い。これにより、周辺部電流経路145sが、延長線161p及び延長線162pとの間における側面140sの近傍領域146sにおいて実質的に遮断され、ソース電極161及びドレイン電極162から半導体層140の側面140sや上面140uが露出した部分があったとしても、周辺部電流経路145sが遮断されているので、熱処理による半導体層140の特性変動の影響を実質的に受けない。
【0084】
また、図9(c)に表したように、本実施形態に係る別の変形例の薄膜トランジスタ13aにおいても、半導体層140は、ソース電極161及びドレイン電極162の外側に露出した領域を有している。そして、ゲート電極120の上において、ソース電極161のドレイン電極162と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162のソース電極161と対向する辺の延長線162pと、の間の領域において、半導体層140の側面140sの一部がチャネル保護層150で覆われておる。すなわち、この場合も、ソース電極161とドレイン電極162とが互いに対向するチャネル領域のチャネル方向(ゲート長方向)の半導体層140の端部の一部がチャネル保護層150によって覆われている。
【0085】
これにより、周辺部電流経路145sが、延長線161p及び延長線162pとの間における側面140sの一部において実質的に遮断され、ソース電極161及びドレイン電極162から半導体層140の側面140sや上面140uが露出した部分があったとしても、周辺部電流経路145sが遮断されているので、熱処理による半導体層140の特性変動の影響を実質的に受けない。
このように、チャネル保護層150は、半導体層140に周辺部電流経路145sを遮断するように、半導体層140の側面140sの少なくとも一部に設けられれば良い。
【0086】
なお、図9(a)、(b)及び(c)に例示した構造において、半導体層140がソース電極161及びドレイン電極162から露出してはみ出した領域は、ソース電極161及びドレイン電極162とチャネル保護層150とをマスクとして用いて、エッチング除去しても良い。
【0087】
また、図9(d)に表したように、本実施形態に係る別の変形例の薄膜トランジスタ14においては、チャネル保護層150は、島状に形成されるのではなく、半導体層140の全体を覆うように大きな面積で設けられ、半導体層140とソース電極161及びドレイン電極162とがコンタクトする部分において、チャネル保護層150に開口部161q及び162qが設けられている。
【0088】
これにより、薄膜トランジスタ14においては、ソース電極161とドレイン電極162とが対向するチャネル領域のチャネル部電流経路145cに対応するチャネル部トランジスタ93aのみが形成され、周辺部電流経路145sに対応する周辺部トランジスタ93bは形成されない。これにより、薄膜トランジスタ14によって、パッシベーション膜等の形成のための熱処理を行っても、熱処理によって引き起こされる酸素濃度の変動を抑え、特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタが提供される。
【0089】
なお、この場合も、ソース電極161のドレイン電極162と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162のソース電極161と対向する辺の延長線162pと、の間における半導体層140の側面140s及び上面140uは、チャネル保護層150によって覆われている。
【0090】
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例に係る薄膜トランジスタ15は、図2及び図3に関して説明した薄膜トランジスタ11aと同様の構造を有している。ただし、薄膜トランジスタ11aとは異なる製造方法によって作製される。すなわち、チャネル保護層150を加工するためのフォトリソグラフィと、ゲート電極120を取り出す部分の加工のためのフォトリソグラフィと、を同時に行うことで、工程数を減少させている。以下、本実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法について説明する。
【0091】
図10は、本発明の第2の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
同図は、図1(a)のA−A’線断面に相当する断面図である。同図においては、薄膜トランジスタの部分の他に、コンタクト部に関しても合わせて例示されている。
まず、図10(a)に表したように、絶縁層110であるガラス基板110gの主面111の上に、Al膜121f及びMo膜122fをそれぞれ100nm及び30nmの厚さでスパッタリングにより成膜した後、所定のパターンに加工して、ゲート電極120を形成した。なお、パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水からなる混酸を用いた。このとき、薄膜トランジスタのゲート電極120のコンタクト部123も同時に形成した。コンタクト部123も、Al膜121f及びMo膜122fの積層膜からなる。
【0092】
次に、図10(b)に表したように、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fを、TEOSを原料としたPE−CVD法によって、厚さ200nmで堆積した。この時、成膜温度は350℃とした。
【0093】
さらに、ゲート絶縁膜130の上に、半導体層140となるIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140fをリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜した。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%とした。そして酸化物層140fを2%のシュウ酸を用いてゲート電極120を横切る所定のパターンに加工し、半導体層140を形成した。
【0094】
さらに、図10(c)に表したように、チャネル保護層150となるSiO膜150fを、厚さ200nmで、TEOSのPE−CVD法によって堆積した。この時、成膜ガスはOとTEOSの混合ガスとし、成膜温度は350℃とした。この後に、このSiO膜150fを、後にソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142となる領域を除いて、半導体層140の側面140s及び上面140uを覆う所定のパターンに加工し、チャネル保護層150を形成した。
【0095】
なお、SiO膜150fの加工の際のフォトリソグラフィには、マスク露光と、ゲート電極120をマスクとして用いる裏面露光と、を組み合わせて行った。また、このときのエッチングは、CFガスを用いたRIEにより行った。
【0096】
この時、コンタクト部123の上に堆積されたチャネル保護層150のSiO膜150fを除去するのに引き続き、ゲート絶縁膜130のSiO膜130fを除去して、コンタクト部123のAl膜121f及びMo膜122fの積層膜を露出させた。
【0097】
この後、空気雰囲気において350℃で1時間のアニールを施し、SiO膜150fの成膜のPE−CVDプロセスによる半導体層140のダメージを取り除いた。
【0098】
その後、図10(d)に表したように、ソース電極161及びドレイン電極162となるMo膜166、Al膜167及びMo膜168を、それぞれ10nm、300nm及び50nmの厚さでスパッタリング法により成膜して積層膜160fを形成し、この積層膜160fを混酸を用いて所定のパターンに加工し、ソース電極161及びドレイン電極162を形成した。これにより、薄膜トランジスタ11aの形状が完成する。また、このMo膜166、Al膜167及びMo膜168の積層膜160fが、コンタクト部123となるAl膜121f及びMo膜122fの積層膜の上に設けられ、コンタクト部123が作製される。
【0099】
この後、プロセス中の素子ダメージを除去するために、クリーンオーブン中において230℃で1時間程度のアニールを行うことで、本実施例に係る薄膜トランジスタ15が得られる。
【0100】
このように、チャネル保護層150の加工とゲート電極120を取り出すためのコンタクト部123の加工とを同一の工程のフォトリソグラフィによって行うことで、図3(a)に例示したコンタクトホール123hの加工の工程が省略でき、より製造し易くなる。
このような方法によって製造された薄膜トランジスタ15においても、熱処理によって引き起こされる酸素濃度の変動を抑え、特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタが提供される。
【0101】
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例に係る薄膜トランジスタは第1の実施例に係る薄膜トランジスタ11aを改良したものであり、チャネル長を短くできてトランジスタの電流駆動能力を向上することができ、またソース電極161及びドレイン電極162とチャネルの反応による特性劣化を低減できる。
【0102】
図11は、本発明の第3の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図12は、図11に続く工程順模式的断面図である。
これらの同図は、図1(a)のA−A’線断面に相当する断面図である。また、これらの図においては、薄膜トランジスタの部分の他に、コンタクト部に関しても合わせて例示されている。
【0103】
まず、図11(a)に表したように、絶縁層110であるガラス基板110gの主面111の上に、Al膜121f及びMo膜122fをそれぞれ100nm及び30nmの厚さでスパッタリングにより成膜し、所定のパターンに加工して、ゲート電極120を形成した。なお、パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水からなる混酸を用いた。このとき、薄膜トランジスタのゲート電極120のコンタクト部123も同時に形成した。コンタクト部123も、Al膜121f及びMo膜122fの積層膜からなる。
【0104】
次に、図11(b)に表したように、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fを、TEOSを原料としたPE−CVD法によって、厚さ200nmで堆積した。この時、成膜温度は350℃とした。
【0105】
さらに、ゲート絶縁膜130の上に、半導体層140となるIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140fをリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜した。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%とした。そして酸化物層140fを2%のシュウ酸を用いてゲート電極120を横切る所定のパターンに加工し、半導体層140を形成した。
【0106】
さらに、図11(c)に表したように、チャネル保護層150となるSiO膜150fを、厚さ200nmで、TEOSのPE−CVD法によって堆積した。この時、成膜ガスはOとTEOSの混合ガスとし、成膜温度は350℃とした。この後に、このSiO膜150fを、後にソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142となる領域を除いて、半導体層140の側面140s及び上面140uを覆う所定のパターンに加工し、チャネル保護層150を形成した。
【0107】
なお、SiO膜150fの加工の際のフォトリソグラフィには、マスク露光と、ゲート電極120をマスクとして用いる裏面露光と、を組み合わせて行った。また、このときのエッチングは、CFガスを用いたRIEにより行った。
【0108】
この後、空気雰囲気において350℃で1時間のアニールを施し、SiO膜150fの成膜のPE−CVDプロセスによる半導体層140のダメージを取り除いた。
【0109】
次に、図12(a)に表したように、パッシベーション膜181となるSiN膜を、PE−CVD法で堆積した。なお、成膜温度は250℃とした。
そして、ソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142にそれぞれ対応する位置にコンタクトホール141h及び142hを形成した。なお、この時、ゲート電極120の取り出し用のコンタクトホール123hも一緒に形成した。
【0110】
その後、図12(b)に表したように、ソース電極161及びドレイン電極162となるMo膜166、Al膜167及びMo膜168を、それぞれ10nm、300nm及び50nmの厚さでスパッタリング法により成膜して積層膜160fを形成し、この積層膜160fを混酸を用いて所定のパターンに加工し、ソース電極161及びドレイン電極162を形成した。これにより、薄膜トランジスタ15aの形状が完成する。また、このMo膜166、Al膜167及びMo膜168の積層膜160fが、コンタクト部123となるAl膜121f及びMo膜122fの積層膜の上に設けられ、コンタクト部123が作製される。
このようにして、本実施例に係る薄膜トランジスタ15aが形成される。
【0111】
上記において、チャネル保護層150から露出し、パッシベーション膜181であるSiN層に覆われているIn−Ga−Zn−O酸化物からなる酸化物層140fは、パッシベーション膜181となるSiN膜の成膜の際の160℃以上の加熱により、酸素が離脱して低抵抗化する。そして、この部分は、SiN膜をエッチング除去しても低抵抗化しているため、ソース電極161及びドレイン電極162とチャネル部との間の直列抵抗を低く抑えることができる。なお、チャネル部は酸素を含有するSiO膜150fからなるチャネル保護層150によって保護され、この部分においては酸化物層140fから酸素が離脱することがなく、高抵抗を維持できる。
【0112】
(第2の実施の形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
なお、同図に例示されている薄膜トランジスタの部分は、図1(a)のA−A’線断面に相当する断面として例示されている。
【0113】
図13に表したように、本発明の第2の実施形態に係る表示装置51は、第1の実施形態の第1の実施例に係る薄膜トランジスタ11aと、薄膜トランジスタ11aのドレイン電極162に接続された画素電極140dと、画素電極140dに与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子300と、を備える。
【0114】
本具体例においては、薄膜トランジスタ11aが用いられているが、第1の実施形態に係る各種の具体例の薄膜トランジスタ11、11a、12、13、13a、14、15及び15aのいずれかを用いることができる。
【0115】
画素電極140dは、薄膜トランジスタ11の半導体層140となる酸化物よりなり、半導体層140よりも電気抵抗が低い。すなわち、画素電極140dは、半導体層140となる酸化物層140fで形成され、画素電極140dと半導体層140とは同層である。そして、画素電極140dの部分においては、半導体層140よりも低い抵抗値が要求される。このため、後述するように、半導体層140に用いられる酸化物層140fが、画素電極140dの部分においては低抵抗化される工夫が導入されている。
【0116】
また、本具体例では、光学素子300としては、有機EL素子が用いられている。すなわち、画素電極140dの上に、正孔注入層となる厚さ25nmのCuフタロシアニン層191、正孔輸送層となる厚さ35nmのα−NPD(N-N'-Di(1-naphtyl)- N,N'-diphenylbenzidine)層192、発光層となる厚さ50nmのAlq3(tris-(8-hydroxyquinoline) aluminium)層193、厚さ0.6nmのLiF層194、カソードとなる厚さ150nmのAl層195が順に設けられており、有機EL層を形成されている。すなわち、本具体例では、光学素子300は、画素電極140dに与えられる電気信号によって、発光を生ずる。なお、光学素子300としては、画素電極140dに与えられる電気信号によって複屈折性や旋光性、散乱性、吸収性などの光学特性の変化を生じる液晶などを用いても良い。
【0117】
なお、図13に例示した構造をさらに、ガラス封止を行い信頼性の高い表示パネルとするが、ここでは省略する。
【0118】
本実施形態に係る表示装置51においては、本発明の第1の実施形態に係る薄膜トランジスタのいずれかを用いているので、薄膜トランジスタを形成した後のパッシベーション膜等の形成のための熱処理を行っても、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを用いた表示装置が提供できる。
【0119】
さらに、半導体層140に用いられる酸化物層140fを用いて画素電極140dを形成できるので画素電極140dの形成のための工程が増えることがなく、生産性が高い。
【0120】
すなわち、薄膜トランジスタ11のチャネルとなる半導体層140がチャネル保護層150に覆われており、この部分の酸化物層140fにおいては酸素が離脱し難い。これに対して、画素電極140dとなる酸化物層140fがチャネル保護層150から露出しているので、この部分においては熱処理によって酸素が離脱し易い。このことを利用して、薄膜トランジスタ11のチャネルとなる半導体層140と同じ材料の酸化物層140fを画素電極140dに用いながら、選択的に画素電極140dとなる酸化物層140fを低抵抗化することができる。
このように、画素電極140dに含まれる酸素濃度は、半導体層140に含まれる酸素濃度よりも低く、これにより、画素電極140dの電気抵抗を半導体層140よりも低くする。
【0121】
(第4の実施例)
以下、第4の実施例として、本実施形態に係る表示装置の製造方法について説明する。 図14は、本発明の第4の実施例に係る表示装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図15は、図14に続く工程順模式的断面図である。
これらの図においても、薄膜トランジスタの部分は、図1(a)のA−A’線断面に相当する断面として例示されている。
【0122】
図14(a)に表したように、まず、絶縁層110であるガラス基板110gの主面111の上に、Al膜121f及びMo膜122fをそれぞれ100nm及び30nmの厚さでスパッタリングにより成膜し、所定のパターンに加工して、ゲート電極120を形成した。なお、パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水からなる混酸を用いた。この時、薄膜トランジスタのゲート電極120のコンタクト部123も同時に形成した。コンタクト部123も、Al膜121f及びMo膜122fの積層膜からなる。
【0123】
次に、図14(b)に表したように、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fを、TEOSを原料としたPE−CVD法によって、厚さ200nmで堆積した。この時、成膜温度は350℃とした。
【0124】
さらに、SiO膜130fの上に、半導体層140及び画素電極140dとなる酸化物層140fとして、In−Ga−Zn−O酸化物膜をリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜した。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%とした。そして、酸化物層140fを、2%のシュウ酸を用いて、ゲート電極120を横切る所定のチャネルパターンと画素電極140dとが繋がる形状に加工して、半導体層140及び画素電極140dの形状を作製した。
【0125】
さらに、図14(c)に表したように、チャネル保護層150となるSiO膜150fを、厚さ200nmで、TEOSを用いたPE−CVD法によって堆積した。この時、成膜ガスはOとTEOSとの混合ガスとし、成膜温度は350℃とした。この後、空気雰囲気において350℃で1時間のアニールを施し、SiO膜150fの形成の際のPE−CVDプロセスによる酸化物層140fのダメージを取り除いた。
【0126】
この後に、SiO膜150fを、後にソースコンタクト領域141及びドレインコンタクト領域142となる領域を除いて、半導体層140の側面140s及び上面140uを覆う所定のパターンに加工してチャネル保護層150を形成した。この時、画素電極140dの上のSiO膜150fはエッチングして除去し、チャネル保護層150から画素電極140dとなる酸化物層140fを露出させた。
なお、この時、SiO膜150fのエッチングは、CFを用いたRIEにより行い、SiO膜150fに引き続いて、チャネル保護層150の形状加工のためのレジストと半導体層140とをマスクにして、ゲート絶縁膜130となるSiO膜130fを、ゲート電極120のコンタクト部123となるAl膜121f及びMo膜122fを露出するまでエッチングした。
【0127】
その後、図15(a)に表したように、ソース電極161及びドレイン電極162となるMo膜166、Al膜167及びMo膜168を、それぞれ10nm、300nm及び50nmの厚さでスパッタリング法により成膜して積層膜160fを形成した後、積層膜160fを混酸を用いて所定のパターンに加工し、ソース電極161及びドレイン電極162を形成した。これにより、薄膜トランジスタ11a及びコンタクト部123が完成する。
【0128】
この後、図15(b)に表したように、PE−CVD法により、パッシベーション膜181となるSiN膜を厚さ100nmで堆積させた。なお、SiN膜の成膜温度を230℃程度とすることで、パッシベーション膜181において十分なバリア特性を得ることができる。
さらに、感光性透明樹脂を用いて、画素電極140d及びコンタクト部123を除く所定の形状のバンク182を形成した。なお、感光性透明樹脂としては、感光性アクリルや感光性ポリイミドを用いることができ、焼成温度は例えば230℃で行う。バンク182を形成した後、バンク182をマスクにしてパッシベーション膜181であるSiN膜をエッチングして除去した。
【0129】
この後、バンク182どうしの間に有機ELの発光部を形成した。すなわち、正孔注入層となるCuフタロシアニン層191を厚さ25nmで、正孔輸送層となるα−NPD層192を厚さ35nmで、発光層となるAlq3層193を厚さ50nmで、LiF層194を厚さ0.6nmで、カソード層となるAl層を厚さ150nmで、蒸着装置によって成膜した。
このようにして、図13に例示した表示装置51が作製される。
【0130】
ここで、画素電極140dとなる部分の酸化物層140fの上には、SiN膜が230℃の成膜温度で形成され、これにより、画素電極140dとなる部分の酸化物層140fにおいては酸素の離脱が起こり、低抵抗化する。一方、ゲート電極120の上の半導体層140となる酸化物層140fは、酸素を含有するSiO膜150fからなるチャネル保護層150で覆われているので、SiN膜の成膜温度である230℃の加熱によっても低抵抗化されない。また、この後のバンク182の形成における加熱処理においても同様に、画素電極140dの部分の酸化物層140fにおいてはさらに酸素の離脱が起こり、さらに低抵抗化され、一方、ゲート電極120の上の半導体層140となる酸化物層140fにおいては、高抵抗が維持される。
【0131】
このように、本実施形態に係る表示装置51及びその製造方法においては、薄膜トランジスタ11aのチャネルとなる半導体層140と同じ材料(酸化物層140f)を画素電極140dに用いながら、チャネル部の半導体層140となる酸化物層140fを、酸化物を含むチャネル保護層150で覆いつつ、画素電極140dとなる酸化物層140fをチャネル保護層150から露出させ、例えばSiN膜で覆うことで、選択的に画素電極140dとなる酸化物層140fを低抵抗化する。
【0132】
このように、本実施形態に係る表示装置51及びその製造方法によれば、画素電極140dの形成のための別の膜の形成のための工程を省略でき、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた表示装置及びその製造方法が提供できる。
【0133】
(第5の実施例)
本発明の第5の実施例に係る表示装置52(図示せず)は、半導体層140となる酸化物層140fの膜構造を制御することで、半導体層140と画素電極140dとで抵抗を異ならせるものである。
【0134】
すなわち、発明者の実験によると、酸化物半導体層における電気抵抗は、酸化物半導体層に含有される酸素濃度の他に、酸化物半導体層の膜構造に依存することが分かった。例えば、酸化物半導体層を成膜する時の下地層の表面の平滑性によって、酸化物半導体層の膜構造が変化する。
【0135】
例えば、半導体層140の下地となるゲート絶縁膜130の表面が粗い面の場合は、その上に成膜される酸化物からなる半導体層140は柱状構造(コラムナー構造)となる。この時、半導体層140の断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope:透過電子顕微鏡)により観察すると、結晶的にはアモルファス状態であるが、大きさが10〜30nm程度の柱状の粒が観察される。
【0136】
一方、下地であるゲート絶縁膜130の表面が平滑な場合は、半導体層140は柱状構造ではなく、均一な膜構造となり上記の観察手法では特異的な粒は観察されない。
【0137】
成膜条件にもよるが、例えば、下地であるゲート絶縁膜130の表面粗さが例えば10〜5nmの時は、半導体層140は柱状構造となることが分かった。そして、ゲート絶縁膜130の表面粗さが例えば1〜0.1nmのように平滑な時は、半導体層140は均一な膜構造となることが分かった。そして、柱状構造の時の粒径は、例えば10〜30nmである。
【0138】
そして、粒径が大きい柱状構造における電気抵抗は、均一な膜構造の電気抵抗よりも、相対的に低い。すなわち、半導体層140の下地のモフォロジー(形態)によって半導体層140の抵抗率が変化する。そして、半導体層140の膜構造が柱状構造になり粒径が大きくなると、抵抗率が相対的に低くなる。
【0139】
例えば、柱状構造の場合の抵抗値が0.1〜10Ωcmであるのに対し、均一な膜構造の場合、抵抗値は1×10Ωcm以上にすることができる。
【0140】
この実験結果を応用して、本実施形態に係る表示装置52においては半導体層140の粒径を制御して電気抵抗の分布を制御する。
【0141】
図16は、本発明の第5の実施例に係る表示装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
同図においても、薄膜トランジスタの部分は、図1(a)のA−A’線断面に相当する断面として例示されている。
図16(a)に表したように、まず、絶縁層110であるガラス基板110gの主面111の上に、Al膜121f及びMo膜122fをそれぞれ100nm及び30nmの厚さでスパッタリングにより成膜し、所定のパターンに加工して、ゲート電極120を形成した。なお、パターニングにはフォトリソグラフィを用い、エッチングには燐酸・酢酸・硝酸・水からなる混酸を用いた。この時、薄膜トランジスタのゲート電極120のコンタクト部123も同時に形成した。コンタクト部123も、Al膜121f及びMo膜122fの積層膜からなる。
【0142】
次に、図16(b)に表したように、ゲート絶縁膜130としてSiO膜130fを、シラン及びTEOSを原料としたPE−CVD法で、厚さ200nmで堆積した。この時、成膜温度は350℃である。
【0143】
この後、薄膜トランジスタのチャネルとなる部分のみが開口したレジスト130rを形成し、チャネル部分に対応するSiO膜130fを、Ar及びCFの混合ガスでRIE処理した。
【0144】
これにより、図16(c)に表したように、レジスト130rから露出した部分に平滑化面130gが形成される。すなわち、レジスト130rから露出したSiO膜130fの領域においてはRIE処理が施され、RIE処理が施されないSiO膜130f(すなわち、PE−CVDで成膜されたままのSiO膜130f)の表面モフォロジーに比べ、平滑化され、この領域が平滑化面130gとなる。なお、このRIE処理によって、10nm程度以上の深さでSiO膜130fを削ることで、SiO膜130fの表面は十分平滑化される。
なお、SiO膜130fの平滑化面130gの表面粗さは、例えば1〜0.1nm程度であり、平滑化の表面処理が行われない部分のSiO膜130fの表面粗さは例えば10〜5nmである。
【0145】
さらに、図16(d)に表したように、この平滑化面130gを有するSiO膜130fの上に、半導体層140及び画素電極140dとなる酸化物層140fとして、In−Ga−Zn−O酸化物膜をリアクティブDCスパッタリング法により厚さ30nmで成膜した。このとき、酸素の割合はアルゴンに対して5%とした。
【0146】
この酸化物層140fの膜構造を調べたところ、平滑化面130g以外の上の領域140nの酸化物層140fは、粒径が10nm〜30nm程度の柱状構造となっていた。これに対し、平滑化面130gの上の領域140mの酸化物層140fは、柱状構造ではなく、膜構造が目立たない均一な構造であった。
【0147】
このように、下地となるゲート絶縁膜130の表面の平滑性を制御することで、その上に成膜される酸化物層140fの膜構造を選択的に変化させ、これにより、酸化物層140fに高抵抗領域と低抵抗領域とを選択的に形成することができる。
例えば、下地が粗い時の柱状構造の場合の抵抗値が0.1〜10Ωcmであるのに対し、下地が平滑な時の均一な構造の場合、抵抗値を1×10Ωcmにすることができる。
【0148】
そして、その後、酸化物層140fを、2%のシュウ酸を用いて、ゲート電極120を横切る所定のチャネルパターンと画素電極140dとが繋がる形状に加工して、半導体層140及び画素電極140dの形状を作製した。これにより、平滑化面130gに対応する酸化物層140fで高抵抗の半導体層140が形成され、平滑化面130g以外に対応する酸化物層140fで低抵抗の画素電極140dが形成される。なお、薄膜トランジスタのソース電極161及びドレイン電極162のいずれかと、画素電極140dと、の間を酸化物層140fで電気的に接続する場合は、その接続する部分の下地となるゲート絶縁膜130(SiO膜130f)を平滑化されない領域とし、低抵抗の部分にさせる。
【0149】
この後、例えば、図14(c)〜図15(b)に関して説明した工程を経て、本実施例に係る表示装置52が作製できるが、説明を省略する。
【0150】
このように、本実施例に係る表示装置52及びその製造方法においては、画素電極140dは、半導体層140に用いられる酸化物より形成され、半導体層よりも電気抵抗が低い。すなわち、画素電極140dには、チャネルとなる半導体層140と同じ材料、すなわち、同じ酸化物層140fが用いられる。ただし、膜構造が異なる。
【0151】
すなわち、画素電極140dにおける酸化物層140fは柱状構造を有することができる。例えば、柱状構造の粒径は10〜30nmである。一方、チャネルとなる酸化物層140fは、均一な膜構造とすることができ、この場合は、粒は観察されない。これにより、チャネルに対応する半導体層140よりも画素電極140dを相対的に低抵抗化できる。
【0152】
その際、上記のように、下地であるゲート絶縁膜130の表面の平滑性を選択的に制御することで、画素電極140dとなる部分の酸化物層140fを選択的に柱状構造にし、チャネルとなる酸化物層140fを均一な膜構造とすることができる。
【0153】
すなわち、表示装置52は、画素電極140dの下に設けられ、ゲート絶縁膜130と同じ材料で形成された膜をさらに備える。この膜は、上記では、ゲート絶縁膜130として説明している。
そして、ゲート電極120の上のゲート絶縁膜130の半導体層140の側の表面は、画素電極140dの下に設けられた前記膜(ゲート絶縁膜130)の画素電極140dの側の表面よりも平滑性が高い。
【0154】
例えば、ゲート電極120の上のゲート絶縁膜130の半導体層140の側の表面の凹凸は、0.1〜1nmとすることができる。これにより、その上の酸化物層140fは均一な膜構造となり、高抵抗となる。
【0155】
そして、例えば、画素電極140dの下のゲート絶縁膜130(ゲート絶縁膜130と同じ材料で形成された上記の膜)の画素電極140dの側の表面の凹凸は、5〜10nmとすることができる。これにより、その上の酸化物層140fは柱状構造となり、低抵抗となる。
【0156】
なお、上記では、平滑化面130gをRIEにより形成したが、その形成方法は任意である。また、逆に画素電極140dの部分を露出させ、その表面の粗さを粗くする表面処理を行っても良い。
【0157】
すなわち、本実施形態に係る表示装置の製造方法において、酸化物層140fの形成の前に、ゲート絶縁膜130の表面の平滑性を選択的に変化させる表面処理をさらに行うことができる。そして、その表面処理は、画素電極140dの形成される領域のゲート絶縁膜130の表面がそれ以外の部分よりも相対的に粗くなる表面処理とすることができる。すなわち、表面処理を施す表面は、チャネルとなる半導体層140に対応する部分でも良く、また、画素電極140dに対応する部分でも良く、どちらでも良い。
【0158】
本実施形態に係る表示装置51及び52は、薄膜トランジスタと画素電極とをマトリクス状に配置したマトリクス型の表示装置とすることができる。
図17は、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の等価回路を例示する回路図である。
すなわち、同図(a)及び(b)は、有機ELを用いたアクティブマトリクス型の2種類の表示装置の等価回路を例示している。
【0159】
図17(a)に表したように、本実施形態に係る有機ELを用いたアクティブマトリクス型の表示装置60は、画素選択用の第1トランジスタTr1と、電源線320に接続され、有機EL層302(光学素子300)を駆動する画素駆動用のトランジスタDTrを備えている。第1トランジスタTr1のゲートは走査線210に接続され、ソースが信号線220に接続されている。これら第1トランジスタTr1と画素駆動用のトランジスタDTrに、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタのいずれかを使用できる。
【0160】
また、図17(b)に表したように、本実施形態に係る別の有機ELを用いたアクティブマトリクス型の表示装置61は、画素選択用の第1〜第4トランジスタTr1〜Tr4と、画素駆動用のトランジスタDTrを備えている。第2トランジスタTr2のゲートは、n番目の走査線210に接続され、第1トランジスタTr1及び第4トランジスタTr4のゲートは、(n−1)番目の走査線210n−1に接続されている。そして、第2トランジスタTr2のソースは信号線220に接続されている。これら第1〜第4トランジスタTr1〜Tr4及び画素駆動用のトランジスタDTrに、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタのいずれかを使用できる。
【0161】
これらの有機ELを用いたアクティブマトリクス型の表示装置60及び61は、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタのいずれかを用いているので、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにより、高性能で製造し易い表示装置が得られる。
【0162】
図18は、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の等価回路を例示する回路図である。
図18に表したように、本発明の第2の実施形態に係るアクティブマトリクス型の表示装置62の1つの要素においては、光学素子300となる液晶層301は、画素電極140dと対向電極310とに挟まれた電気的負荷であり、それが、補助容量電極240で形成される補助容量Csと並列に接続される。なお、補助容量電極240は、補助容量線230に接続される。そして、画素電極140dは、薄膜トランジスタ21を介して信号線220と接続されている。薄膜トランジスタ21のゲート電極120は走査線210に接続されている。走査線210によって薄膜トランジスタ21のゲート電極120を、順次オン・オフし、所望の電荷を液晶層301に書き込み、表示装置62は表示を行う。
【0163】
液晶を用いたアクティブマトリクス型の表示装置62は、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタのいずれかを用いているので、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにより、高性能で製造し易い表示装置が得られる。
【0164】
このように、本実施形態に係る表示装置60、61及び62は、マトリクス状に配置された本発明の実施形態に係るいずれかの複数の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタのそれぞれのゲート電極に接続された走査線と、前記薄膜トランジスタのそれぞれのソース電極及びそれぞれのドレイン電極のいずれか一方に接続された信号線220と、前記薄膜トランジスタのそれぞれのソース電極及びそれぞれのドレイン電極のいずれか他方に接続された画素電極140dと、前記画素電極に与えられる電気信号によって発光を生ずる光学素子300と、を備える。
【0165】
この時、上記の画素電極140dは、前記薄膜トランジスタの半導体層140となる酸化物層140fより形成され、半導体層140よりも電気抵抗が低いものとすることができる。
【0166】
ただし、本発明はこれには限定されず、用いる薄膜トランジスタが本発明の実施形態に係るいずれかの薄膜トランジスタである限り、画素電極140dの構成は任意である。ただし、既に説明したように、画素電極140dとして、前記薄膜トランジスタの半導体層140となる酸化物層140fより形成され、半導体層140よりも電気抵抗が低いものとすることで、画素電極140dとして別の導電膜を形成する工程が省略でき有利である。
【0167】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施形態は、薄膜トランジスタの製造方法である。
すなわち、基板110gと、基板110gの上に設けられたゲート電極120と、ゲート電極120の上にゲート絶縁膜130を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層140と、半導体層140の上において、ゲート電極120を挟むように離間して設けられたソース電極161及びドレイン電極162と、ソース電極161及びドレイン電極162と、半導体層140と、の間に設けられたチャネル保護層150と、を有する薄膜トランジスタの製造方法である。以下、その製造方法の特徴の部分について説明する。
【0168】
図19は、本発明の第3の実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示するフローチャート図である。
図19に表したように、本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法においては、まず、基板110gの上にゲート電極120を形成する(ステップS110)。
そして、ゲート電極120の上にゲート絶縁膜130を形成する(ステップS120)。
そして、ゲート絶縁膜130の上に半導体層140を形成する(ステップS130)。
【0169】
そして、ゲート電極120の上における半導体層140の側面140sの少なくとも一部を覆うように前記チャネル保護層150を形成する(ステップS140)。すなわち、例えば、半導体層140のソース電極161及びドレイン電極162と接続される領域を除いて、半導体層140の側面140sの少なくとも一部を覆うようにチャネル保護層150を形成する。なお、この時、半導体層140の上面140uも覆う。
【0170】
そして、半導体層140及びチャネル保護層150を160℃以上の温度で加熱処理する(ステップS150)。
【0171】
その後、半導体層140及びチャネル保護層150の上にソース電極161及びドレイン電極162を形成する(ステップS160)。すなわち、例えば、半導体層140のソース電極161及びドレイン電極162と接続される領域のそれぞれの上にソース電極161及びドレイン電極162を形成する。
すなわち、上記の製造方法においては、図2及び図3に関して説明した方法を用いることができる。
【0172】
上記の製造方法によれば、ステップS150における加熱処理によって、チャネル保護層150の成膜の際に生じる半導体層140のダメージを回復させることができる。なお、この加熱処理(ステップS150)の後にステップS160を実施することで、ソース電極161及びドレイン電極162にダメージを与えることがない。そして、この加熱処理(ステップS150)の際に、半導体層140において電流経路となり得る側面140sの少なくとも一部(及び上面140u)をチャネル保護層150で保護することで、半導体層140から酸素が離脱して低抵抗化することがない。これにより、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタの製造方法が提供できる。
【0173】
なお、上記のステップS140において、チャネル保護層150は、ソース電極161が形成される領域のドレイン電極162が形成される領域と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162が形成される領域のソース電極161が形成される領域と対向する辺の延長線162pと、の間における半導体層140の側面140sの少なくとも一部を覆うように形成されることができる。これにより、上記の電流経路を効率的に遮断できる。
【0174】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施形態は、表示装置の製造方法である。すなわち、基板110gと、基板110gの上に設けられたゲート電極120と、ゲート電極120の上にゲート絶縁膜130を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層140と、半導体層140の上において、ゲート電極20を挟むように離間して設けられたソース電極161及びドレイン電極162と、ソース電極161及びドレイン電極162と、半導体層140と、の間に設けられたチャネル保護層150と、を有する薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタのソース電極161及びドレイン電極162のいずれか一方に接続された画素電極140dと、画素電極140dに与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子300と、を有する表示装置の製造方法である。以下、その製造方法の特徴の部分について説明する。
【0175】
図20は、本発明の第4の実施形態に係る表示装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
図20に表したように、本実施形態に係る表示装置の製造方法においては、まず、基板110gの上にゲート電極120を形成する(ステップS310)。
そして、ゲート電極120の上にゲート絶縁膜130を形成する(ステップS320)。
【0176】
そして、ゲート絶縁膜130の上に、半導体層140及び画素電極140dとなる酸化物層140fを形成する(ステップS330)。
【0177】
そして、ゲート電極120の上における酸化物層140fの側面の少なくとも一部を覆い、画素電極140dの形成される領域の酸化物層140fを露出するように、チャネル保護層150を形成する(ステップS340)。すなわち、例えば、半導体層140のソース電極161及びドレイン電極162と接続される領域を除いて、酸化物層140fの側面140sの少なくとも一部(及び上面140u)を覆い、画素電極140dの形成される領域の酸化物層140fを露出するように、チャネル保護層150を形成する。
【0178】
そして、酸化物層140f及びチャネル保護層150を160℃以上の温度で加熱処理し、チャネル保護層150から露出した酸化物層140fの電気抵抗を低下させて画素電極140dを形成する(ステップS350)。
【0179】
その後、半導体層140及びチャネル保護層150の上にソース電極161及びドレイン電極162を形成する(ステップS360)。すなわち、半導体層140のソース電極161及びドレイン電極162と接続される領域のそれぞれの上にソース電極161及びドレイン電極162を形成する。
すなわち、上記の製造方法においては、図14及び図15に関して説明した方法を用いることができる。
【0180】
本実施形態に係る表示装置の製造方法によれば、画素電極140dとなる別の膜を形成する工程を省略でき、高生産性の、熱処理による特性変動を抑制した酸化物半導体を用いた表示装置及びその製造方法が提供できる。
【0181】
上記のステップS340において、例えば、チャネル保護層150は、ソース電極161が形成される領域のドレイン電極162が形成される領域と対向する辺の延長線161pと、ドレイン電極162が形成される領域のソース電極161が形成される領域と対向する辺の延長線162pと、の間における半導体層140の側面140sの少なくとも一部を覆うように形成されることができる。これにより、上記の電流経路を効率的に遮断できる。
【0182】
図21は、本発明の第4の実施形態に係る表示装置の別の製造方法を例示するフローチャート図である。
図21に表したように、別の製造方法では、まず、基板110gの上にゲート電極120を形成する(ステップS410)。
そして、ゲート電極120の上にゲート絶縁膜130を形成する(ステップS420)。
そして、ゲート絶縁膜130の表面の平滑性を選択的に変化させる表面処理を行う(ステップS421)。すなわち、例えば、チャネルとなる半導体層140の下地となる部分のゲート絶縁膜130をRIEで処理して平滑化する。
この時、例えば、画素電極140dの下地となるゲート絶縁膜130は例えばレジストで保護して平滑化されないようにする。また、画素電極140d以外の所望の部分を平滑化されないようにして、任意の導電性の領域を作製し、例えば配線部として利用することができる。
【0183】
その後、ゲート絶縁膜130の上に、前記酸化物の層を形成する(ステップS430)。すなわち、半導体層140及び画素電極140dとなる酸化物層140fを形成する。これにより、例えば、画素電極140dとなる部分の酸化物層140fは柱状構造となり、相対的に低抵抗となる。
【0184】
これにより、画素電極140dとなる別の膜を形成する工程を省略し、高生産性の酸化物半導体を用いた表示装置及びその製造方法が提供できる。
【0185】
なお、図20で説明したステップS330の酸化物層140fの形成の前に、その下地となるゲート絶縁膜130の表面の平滑性を選択的に変化させる上記のステップS421の表面処理をさらに行っても良い。
【0186】
すなわち、図20に例示したステップS320とステップS330との間に、チャネルとなる半導体層140の下のゲート絶縁膜130と、画素電極140dの下のゲート絶縁膜130と、で表面の平滑性を変える。例えば、上記の表面処理は、画素電極140dの形成される領域のゲート絶縁膜130の表面を、それ以外の部分よりも相対的に粗くする表面処理とすることができる。
【0187】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての薄膜トランジスタ、その製造方法、表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る薄膜トランジスタの構造を例示する模式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図3】図2に続く工程順模式的断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る薄膜トランジスタの特性を例示するグラフ図である。
【図5】第1の比較例の薄膜トランジスタの構造を例示する模式的断面図である。
【図6】第1の比較例の薄膜トランジスタの特性を例示するグラフ図である。
【図7】第2の比較例の薄膜トランジスタの構造を例示する模式的断面図である。
【図8】実験に用いた薄膜トランジスタの構成及び実験結果を例示する模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る変形例の薄膜トランジスタの構成を例示する模式的平面図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図12】図11に続く工程順模式的断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係る表示装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図15】図14に続く工程順模式的断面図である。
【図16】本発明の第5の実施例に係る表示装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の等価回路を例示する回路図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の等価回路を例示する回路図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法を例示するフローチャート図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る表示装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る表示装置の別の製造方法を例示するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0189】
11、11a、12、13、13a、14、15、15a、21、91、92、93 薄膜トランジスタ
51、52、60、61、62 表示装置
93a チャネル部トランジスタ
93b 周辺部トランジスタ
110 絶縁層
110g 基板(ガラス基板)
111 主面
120 ゲート電極
121f Al膜
122f Mo膜
123 コンタクト部
123h コンタクトホール
130 ゲート絶縁膜
130f SiO
130g 平滑化面
130r レジスト
140 半導体層
140d 画素電極
140f 酸化物層(酸化物の層)
140m、140n 領域
140s 側面
140u 上面
141 ソースコンタクト領域
141h コンタクトホール
142 ドレインコンタクト領域
142h コンタクトホール
145c チャネル部電流経路
145s 周辺部電流経路
146s 近傍領域
150 チャネル保護層
150f SiO
160f 積層膜
161 ソース電極
161p 延長線
161q 開口部
162 ドレイン電極
162p 延長線
162q 開口部
166、168 Mo膜
167 Al膜
181 パッシベーション膜
182 バンク
191 Cuフタロシアニン層
192 α−NPD層
193 Alq3層
194 LiF層
195 Al層
210、210、210n−1 走査線
220 信号線
230 補助容量線
240 補助容量電極
300 光学素子
301 液晶層
302 有機EL層
310 対向電極
320 電源線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、
前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられ、前記ゲート電極の上において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極から露出した前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うチャネル保護層と、
を備えたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記チャネル保護層は、前記ソース電極の前記ドレイン電極と対向する辺の延長線と、前記ドレイン電極の前記ソース電極と対向する辺の延長線と、の間における前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記チャネル保護層は、酸素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられたチャネル保護層と、を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記基板の上に前記ゲート電極を形成し、
前記ゲート電極の上に前記ゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の上に前記半導体層を形成し、
前記ゲート電極の上における前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うように前記チャネル保護層を形成し、
前記半導体層及びチャネル保護層を160℃以上の温度で加熱処理し、
その後、前記半導体層及び前記チャネル保護層の上に前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記チャネル保護層は、前記ソース電極が形成される領域の前記ドレイン電極が形成される領域と対向する辺の延長線と、前記ドレイン電極が形成される領域の前記ソース電極が形成される領域と対向する辺の延長線と、の間における前記半導体層の側面の少なくとも一部を覆うように形成されることを特徴とする請求項4記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一方に接続され、前記酸化物より形成され、前記半導体層よりも電気抵抗が低い画素電極と、
前記画素電極に与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記画素電極は、前記チャネル保護層から露出していることを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記画素電極に含まれる酸素濃度は、前記半導体層に含まれる酸素濃度よりも低いことを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記画素電極における前記酸化物は、柱状構造を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項10】
前記画素電極の下に設けられ、前記ゲート絶縁膜と同じ材料で形成された膜をさらに備え、
前記ゲート電極の上の前記ゲート絶縁膜の前記半導体層の側の表面は、前記画素電極の下に設けられた前記膜の前記画素電極の側の表面よりも平滑性が高いことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項11】
前記画素電極の下に設けられた前記膜の前記画素電極の側の表面の凹凸は、5〜10nmであることを特徴とする請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記ゲート電極の上の前記ゲート絶縁膜の前記半導体層の側の表面の凹凸は、0.1〜1nmであることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項13】
前記薄膜トランジスタ及び前記画素電極はマトリクス状にそれぞれ複数配置され、
前記薄膜トランジスタのそれぞれのゲート電極に接続された走査線と、
前記薄膜トランジスタのそれぞれのソース電極及びそれぞれのドレイン電極のいずれか他方に接続された信号線と、
をさらに備えることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項14】
基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられたチャネル保護層と、を有する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一方に接続された画素電極と、前記画素電極に与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子と、を有する表示装置の製造方法であって、
前記基板の上に前記ゲート電極を形成し、
前記ゲート電極の上に前記ゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の上に、前記酸化物の層を形成し、
前記ゲート電極の上における前記酸化物の層の側面の少なくとも一部を覆い、前記画素電極の形成される領域の前記酸化物の層を露出するように、前記チャネル保護層を形成し、
前記酸化物の層及びチャネル保護層を160℃以上の温度で加熱処理し、前記チャネル保護層から露出した前記酸化物の層の電気抵抗を低下させて前記画素電極を形成し、
その後、前記半導体層及び前記チャネル保護層の上に前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記酸化物の層の形成の前に、前記ゲート絶縁膜の表面の平滑性を選択的に変化させる表面処理をさらに行うことを特徴とする請求項14記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記表面処理は、前記画素電極の形成される領域の前記ゲート絶縁膜の表面がそれ以外の部分よりも相対的に粗くなる表面処理であることを特徴とする請求項15記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極の上にゲート絶縁膜を介して設けられ、酸化物より形成された半導体層と、前記半導体層の上において、前記ゲート電極を挟むように離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と、前記半導体層と、の間に設けられたチャネル保護層と、を有する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一方に接続された画素電極と、前記画素電極に与えられる電気信号によって、光学特性の変化と、発光と、の少なくともいずれかを生ずる光学素子と、を有する表示装置の製造方法であって、
前記基板の上に前記ゲート電極を形成し、
前記ゲート電極の上に前記ゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の表面の平滑性を選択的に変化させる表面処理を行い、
前記ゲート絶縁膜の上に、前記酸化物の層を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−123748(P2010−123748A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295853(P2008−295853)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】