試料からの反射エネルギーの薄膜干渉による変動の低減
シリコンウェハ等の多層試料を検査するためのシステムと方法が開示される。この考案は、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる。この考案は、2つの入射角範囲で試料を照明するステップを含み、この2つの入射角範囲は、第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動を使って、第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動とのバランスをとるように選択される。2つの入射角範囲で照明された試料のダイ間比較を使って欠陥が検出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年5月31日出願の、発明者ユン・ホ・チャンによる”Reducing Variations in Energy Reflected from a Sample Due to Thin Film Interference”と題する米国特許仮出願第60/686,237号と、2005年9月9日出願の、発明者ユン・ホ・チャンによる”Reducing Variations in Energy Reflected from a Sample Due to Thin Film Interference”と題する米国特許出願第11/233,851号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に、光画像成形の分野に関し、より詳しくは、顕微鏡による画像成形、検査、計測学およびリソグラフィの用途に使用される光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハは、複数の薄膜層で構成される。これらの薄膜層は堆積または生成され、その後、一度にパターニングされる。ウェハの各薄膜層を生成し、パターニングするには、各薄膜層のパターンにおける欠陥を検査し、特定することが必要となる。製造およびパターニング工程により、薄膜層最上部の上に感光材料またはフォトレジストの層もまた追加される。次に、フォトレジストはパターニングされた光で露光され、パターニングされた光で露光されたフォトレジストは除去され、マスクとして利用される。残ったフォトレジストは、その下にある薄膜がエッチングされないようにするマスクとして機能する。下の膜がエッチングされ、残りのフォトレジストが除去される。その結果、下の薄膜にパターンが出来上がる。近年の半導体レチクルには、その性能を高めるために、位相シフト層等の高度な膜製品と工程が必要である。これらの高度な製品と工程は、薄膜効果の影響を受ける可能性がある。
【0004】
現在のウェハ検査システムは基本的に、ダイの比較等、比較方式を使って個々の層の欠陥を検出する。これは一般にダイ間比較(ダイ・ツー・ダイ・サブトラクション: die-to-die subtraction)と呼ばれる。ダイ間比較では、ダイ1,2の画像が比較され、地点Aでの画像の差が特定される。次にダイ2,3の画像が比較され、地点Aで差が見られれば、欠陥は地点Aにおけるダイ2によるものである。
【0005】
薄膜干渉効果は、特に狭帯域の光が存在する場合、ダイ間比較法を使った欠陥検出の有効性を制限する。一番上の薄膜層の厚さは変わることがあり、厚さが変化すると、反射光レベルが変わり、測定値を歪める傾向が生じる。ひとつのダイと次のダイで厚さが異なる場合、厚さの変化によってダイ間比較の変動がさらに大きくなる。この効果を補償するためには、その分の差を欠陥検出閾値に加え、欠陥検出手順の影響の受けやすさを制限する必要がある。
【0006】
したがって、干渉効果はダイ間比較の全体的パフォーマンスおよび最終的にウェハの欠陥を検査する能力に不利な影響を与える可能性がある。特定の照明モードによって検査全体を改善でき、異なる照明モードと手法を使用することで、場合によっては、干渉効果に大きな影響を与えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
顕微鏡用として、干渉効果を低減させ、または排除し、これまでに知られているシステムの上記の欠点を克服するシステムと方法を提供することが有益であろう。このようなシステムにより、本明細書で説明するマイナス面を有するデバイスより改良された機能性を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の設計の第一の態様によれば、試料を検査する際、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法が提供される。この方法は、直線、円およびランダム偏光からなるグループの中の少なくともひとつに基づいて、p偏光を生成するステップと、一番上の薄膜についてブリュースター角と同様の入射角で試料を照明するステップを含む。この照明は上記の生成から得られるp偏光を利用し、そのp偏光は試料に関してp偏光される。
【0009】
本発明の設計の第二の態様によれば、試料検査のために、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法が提供される。この方法は、試料を2つの入射角範囲で照明するステップを含み、これらの2つの入射範囲は、第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動が第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動とのバランスをとるために利用される。欠陥は、この2つの入射角範囲で照明された2つの試料のダイ間比較を使って検出される。
【0010】
本発明の上記およびその他の態様は、以下の本発明の詳細な説明と付属の図面から当業者にとって明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、限定ではなく、例として添付の図面に示される。
【0012】
本発明の設計は、半導体ウェハの作製に使用される薄膜から反射されるエネルギーの変動を低減させる方法と装置であり、この変動は試料の膜厚の変化から生じる。この効果は一般に「薄膜干渉」と呼ばれ、レーザ等の狭帯域の照明用光源を用いた検査において特に問題となる。半導体ウェハ検査の分野において、狭帯域の照明用光源を使用することにより、ダイ間比較方式を用いる場合、欠陥の信号対ノイズ比を改善することができる。本発明の設計は、薄膜層の検査にダイ間比較を使用した場合の薄膜干渉の影響を削減または除去する。
【0013】
ある膜厚の試料から反射されるエネルギーは、伝送される光の角度、偏光、波長および使用される薄膜材料の特性によって異なる。薄膜材料の使用量は決まっていて変更できないため、薄膜干渉効果に対応するために変えることが可能なのは、照明角度の範囲、照明の偏光および照明の波長だけである。これらの照明パラメータの特定の組み合わせで、各ケースに応じて、薄膜干渉の影響を削減または排除できる。
【0014】
試料からの反射エネルギーの薄膜干渉による一般的変動の例を図1に示す。図1に示される試料は一番上の層が二酸化シリコン膜のシリコンウェハである。図1の実施例において、膜厚は0から0.5ミクロンの間で変化する。使用される照明は、直線偏光を用いた、波長266nmの狭帯域のものである。照明には、最高0.9NA(開口数)の全入射角または0度から64度の入射角とすべての方位角が含まれる。膜厚が変化すると、反射率が振動して最大0.74から最小0.52までの範囲となり、周期は約0.1ミクロンである。
【0015】
図1に示す実施例を用いれば、欠陥検出にダイ間比較を利用したときに反射エネルギーの面での利点が得られる。二酸化シリコンの平均的膜厚が170nm、ひとつのダイと次のダイの膜厚の差が+/−2nmとすると、反射エネルギーは最大3パーセント変動する可能性がある。3パーセントの変動は、たとえば一般的な欠陥検出閾値が10パーセント未満の場合、主なノイズの原因となる。
【0016】
本発明の設計は、膜厚の変化に伴う試料からの反射エネルギーの変動をなるべく小さくする傾向のある照明モードを選択することによって、薄膜干渉効果を削減する。本発明の設計は、照明波長と薄膜材料に応じて、入射角と偏光の具体的な組み合わせを利用する。
【0017】
本発明の設計は、照明の一部の反射エネルギーの変動が、照明の別の部分での反射エネルギーの変動を補償するように照明を構成する。たとえば、特定の角度と偏光での反射率が膜厚の増大とともに増加し、別の角度と偏光での反射率が膜厚の増加とともに減少する場合、これら2つの照明部分を組み合わせて、膜厚の数値の範囲にわたり、相互に補償することができる。
【0018】
試料上の照明角度は、図2に示すように定義される。入射角はZ軸と照明光の間の角度である。この実施例において、Z軸は試料に対して垂直であり、X軸とY軸は試料平面内にある。方位角とは、Y軸に関する照明角度を示す。照明角度は0度から、照明が正のY軸に沿っている場合に359度までの範囲である。回転はZ軸を中心に行われる。
【0019】
次に、全方位角をカバーする試料上のひとつの入射角として、リング照明について説明する。リング照明はまた、すべての方位角をカバーする入射角の範囲を含んでもよい。
【0020】
照明モードの第一の実施例は純粋なp偏光を利用しており、これは、車輪のスポークと同様の方法でZ軸を中心に放射状に振動する電界のためにラジアル偏光とも呼ばれる。本発明の設計におけるp偏光は、さまざまな手法によって効率的に取得され、たとえば、直線、円またはランダム偏光に基づくp偏光を生成する方法等がある。
【0021】
試料上の膜についてブリュースター角と等しい入射角のラジアル偏光を利用すると、膜厚がどの数値であっても干渉が起こらない。ブリュースター角は、当業者にとって周知のように、ひとつの媒体から別の媒体に伝達される入射角が、波面が直線偏光され、電界ベクトルが入射平面に平行であるときのものである。干渉が発生しないのは、第一の基板から反射される電界成分を受け取らないからである。図3は、p偏光、ブリュースター角の照明、266nmの波長、シリコン基板上の二酸化シリコン膜でこの照明を使用した例を示す。この照明は、ひとつの方位角からでも、複数の方位角からでも、あるいはリング構成による全方位角からでも発することができる。
【0022】
本発明の設計の第二の実施例は、照明のために2つの入射角範囲を使用した照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。図のモードでは、両方の入射角範囲にp偏光を使用している。この例において、一方の範囲にはブリュースター角より小さい入射角を含み、もう一方の範囲はブリュースター角より大きい入射角を含む。膜厚が変化すると異なる角度範囲による反射エネルギーは、反対の符号で変化し、照明エネルギーの各部分が相互に補償し合う。この方法での補償を図4に示す。ブリュースター角に関する反射率は、膜厚によって変化しない。図の実施例において、ブリュースター角は56.3度である。50度と62.5度の角度に関する反射率の変化も示されている。これらの反射率の変化はどちらも、膜厚が増大すると正弦波状に変化する。膜厚がゼロに近いと、入射角50度での正弦波位相変化は入射角62.5度の場合と180度位相ずれし、良好な干渉取消が実現する。
【0023】
この正弦波位相変化の周期は、入射角50度と入射角62.5度とでは異なる。周期の長さの違いは、膜厚の増加ととともにより大きな角度の光学経路における増加量が増すことによって生じる。周期の長さの違いにより、非常に厚い膜についての取消効果が低下することがある。
【0024】
2つの入射角範囲を利用した結果を図5に示す。入射角範囲は50度から56.3度でのブリュースター角まで、およびブリュースター角から62.5度まで、あるいは50度から62.5度までの連続入射角である。この例において、照明は全方位角を使って均一なp偏光のリングを生成する。膜による反射エネルギーの変動は、0.25ミクロンまでは非常に一定している。より厚い膜では、他の入射角範囲を使って、変動を少なくすることができる。薄膜の反射エネルギーの変動を低減させるためには、他の入射角範囲と偏光も使用できる。
【0025】
第三の実施例は、2つの入射角範囲を使った照明を利用する。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。このモードは、ブリュースター角を含まない2つの入射角範囲を使用しており、これを図6に示す。第一の入射角範囲は0度から40度である。第二の入射角範囲は55度から75度である。この実施例において、ブリュースター角は56.3度である。この例において、照明は全方位角を利用して、2つの均一なp偏光リングを生成する。この例において、膜からの反射エネルギーは、約470nmから500nmの範囲の厚さ変化については一定している。
【0026】
第四の実施例は、照明のために2つの入射角範囲を使用する照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。このモードで使用する2つの入射角範囲は、それぞれ異なる偏光を利用している。たとえば、一方の入射角範囲はp偏光を使用し、もう一方の範囲はs偏光を使用してもよい。図7は、第一の範囲がp偏光リングを利用し、0度から33度の入射角を含み、第二の範囲はs偏光リングを使用し、56度から72度の入射角範囲を含む例を示している。試料からの反射エネルギーは、約310nmから325nmの膜厚について一定している。
【0027】
第五の実施例は、2つの入射角範囲を使用する照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償することができる。このモードは図8に示されており、第一の入射角範囲は0度から33度の入射角を含むs偏光リングであり、第二の入射角範囲は、56度から71.5度の入射角を含むp偏光リングである。試料からの反射エネルギーは、約450nmから480nmの膜厚について一定である。
【0028】
第六の実施例は、再び2つの入射角範囲を使用する照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。このモードは、照明が2つのp偏光リングを使用する、図9に示されているような銅の上の低誘電体層間絶縁膜からの反射エネルギーの変動を補償する。第一のリングの入射角は0度から30度である。第二のリングの入射角は44度から72度である。銅の上の低誘電体層間絶縁膜による反射エネルギーは、610nmから640nmまでの厚さについて一定している。
【0029】
第七の実施例では、2つの入射角範囲を他の方法で利用する。一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。この照明モードは、たとえば、図10に示されるようなポリシリコン上の193nmのフォトレジスト膜からの反射エネルギーの変動を補償する。図10は、入射角51.5度から70度のp偏光リング照明モードを使用した例を示している。ここでは、厚さ200nmから225nmのフォトレジストからの反射エネルギーが比較的一定している。試料からの反射エネルギーは、使用される照明角度によって、他の膜厚についても比較的一定にすることができる。
【0030】
本発明の設計の第八の実施例では、各入射角範囲において、2つの異なる波長を利用している。一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。この種の照明を使用した結果を図11に示す。図11から、どちらのリングも、50度から62.5度の入射角で試料を照明する。一方のリングは266nmの波長を使用し、他方のリングは355nmの波長を使用する。この照明モードは、図5に示す単独の波長の場合と同様なパフォーマンスを有する。特定の厚さ範囲について、この設計によって試料からの反射エネルギーの変動が少なくなる。この設計で異なる波長を使用すると、欠陥の分類にも役立つ。
【0031】
図12は、上記の実施例に関して説明した方法で、試料に伝えられる偏光と照明角度を制御できる一般的な照明システムの略図である。光源1201からの照明光は、レンズ1202によって集光され、内部の場(インターナルフィールド: internal field)1203を形成する。内部の場の位置1203にアパーチャ1204を設置し、試料上の照明面積を制御することができる。次に、場光エネルギー(フィールドライトエネルギー: field light energy)をレンズ1205によって集光し、レンズ1205は地点1206で瞳孔を形成する。アパーチャ1207をこの地点に設置して、照明角度を制御することができる。あるいは、回折光学装置やアキシコンを使って、アパーチャより効率的に照明角度を制御することも可能である。回折光学装置やアキシコンを使った制御には、追加の光学的構成部品が必要となる場合がある。また、偏光変調光学素子1208を瞳孔位置付近に設置し、入射光の偏光を変調し、試料上への所望の偏光を生成することができる。瞳孔平面1206からの制御、変調された光は、レンズ1209によって集光され、結像用対物レンズに伝えられる。一般に、瞳孔平面1206は、結像用対物レンズの瞳孔平面に結像される。
【0032】
薄膜干渉の影響を削減することのできる2つの偏光は、p偏光とs偏光である。これらの偏光は、光学軸に対して対称である。s偏光の電界ベクトルはp偏光のそれに垂直である。3種類の偏光を生成することは困難である。一般的なレーザ源は、直線偏光されているか、あるいはランダム偏光を有する。しかしながら、レーザ空洞により、リング状の強度プロファイルのp偏光を生成しうると実証されている。このタイプのレーザ源によれば、追加の構成部品の助けを借りずに、リングp偏光照明を効率的に生成できる。複屈折素子もまた、レーザの偏光を変えることができる。たとえば、直線偏光は、半波長板を使って回転できる。セグメント波長板を直線偏光と併用すれば、p偏光またはs偏光に非常に近い偏光を生成することが可能である。
【0033】
この種の8つのセグメントからなるセグメント波長板の例を図13に示す。この装置では、半波長板が複数のセグメントに形成される。各セグメントは正しい速軸配向を持ち、所望の偏光回転を提供する。たとえば、セグメント1301と1305について、これらが入射偏光と整合していれば、波長板セグメントがなくてもよい。あるいは、これらのセグメントは、速軸が入射偏光に対して0度にある半波長板であってもよい。セグメント1302と1306は、速軸が22.5度回転された波長板とすることができる。セグメント1303と1307は、速軸が45度回転された波長板、セグメント1304と1308は速軸が67.5度回転された波長板である。このセグメント波長板を使用して、入射直線偏光の角度を回転することにより、p偏光からs偏光に変えることが可能である。
【0034】
p偏光は各種の方法で取得でき、たとえば、波長板モザイクを使用する、直接レーザから得る、アキシコンを使用する、複屈折性を使用する、回折素子またはコンピュータによる生成されたホログラムを使用する、プラスチックシート偏光板を使用する方法等がある。p偏光は、s偏光の反射率を改善するための反射被膜を施した上で、ブリュースター角のアキシコンを使ったレーザによって生成することができる。このような構成では、ランダム偏光または円偏光された光1402がアキシコン1401に入射する。第一の表面からの光がs偏光を1403の方向に反射し、同様に、第二の表面が残りのs偏光を1404の方向に反射する。残りのp偏光は素子1405に伝送される。さらに、照明に関して、本発明の設計で用いられる照明には、四極照明がある。
【0035】
薄膜はさまざまな材料を使って構成でき、たとえば、ポリシリコン、シリコン、酸化物、低誘電体層間絶縁膜、高誘電体層間絶縁膜、フォトレジスト、スピンオングラス、窒化物等がある。薄膜の下の層は、主としてアルミニウムや銅等の金属で構成される。その他の材料も使用可能である。あるいは、下の層は、シリコン等の半導体または半導体材料としてもよい。
【0036】
本発明について、特定の実施例に関して説明してきたが、変更や改変も、付属の特許請求範囲とその同等物によってのみ定義される本発明の範囲から逸脱することなく、加えることができると理解されるであろう。したがって、本発明をその具体的な実施例に関連して説明したが、本発明はさらに改造することができると理解されるであろう。本願は、一般に本発明の原理に沿った本発明のバリエーション、用途、応用もカバーし、本発明が関わる分野において周知で慣習的な実践において生じる本開示からの逸脱も含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】シリコンを用いた直線偏光での全反射エネルギーの一般的変動を示すグラフである。
【図2】試料上の座標系の定義を示す図である。
【図3】波長266nmの、シリコン上の二酸化シリコンに関するブリュースター角でのp偏光の反射率を示すグラフである。
【図4】波長266nmの、シリコン上の二酸化シリコンに関する入射角50度、ブリュースター角、62.5度でのp偏光の反射率を示すグラフである。
【図5】シリコン基板上の二酸化シリコン膜に関する、56.3度のブリュースター角を含む50度から62.5度のリングを使用したp偏光の反射率を示すグラフである。
【図6】シリコン基板上の二酸化シリコン膜に関する、2つのリングを使用したp偏光の反射率を示すグラフである。
【図7】シリコン基板上の二酸化シリコンに関する、ひとつの内側p偏光リングとひとつの外側s偏光リングの反射率を示すグラフである。
【図8】シリコン基板上の二酸化シリコンに関する、ひとつの内側s偏光リングとひとつの外側p偏光リングの反射率を示すグラフである。
【図9】直線偏光と2つのp偏光リングの比較を示す図である。
【図10】193nmのフォトレジストを使用した、直線偏光とひとつのp偏光リングの比較を示す図である。
【図11】異なる波長の2つのp偏光リングを使用した図である。
【図12】本発明の設計を利用した照明システムを示す図である。
【図13】直線偏光からpまたはs偏光を生成するのに使用されるセグメント波長板を示す図である。
【図14】p偏光を生成するための偏光被膜を有するブリュースター角アキシコンを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年5月31日出願の、発明者ユン・ホ・チャンによる”Reducing Variations in Energy Reflected from a Sample Due to Thin Film Interference”と題する米国特許仮出願第60/686,237号と、2005年9月9日出願の、発明者ユン・ホ・チャンによる”Reducing Variations in Energy Reflected from a Sample Due to Thin Film Interference”と題する米国特許出願第11/233,851号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に、光画像成形の分野に関し、より詳しくは、顕微鏡による画像成形、検査、計測学およびリソグラフィの用途に使用される光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハは、複数の薄膜層で構成される。これらの薄膜層は堆積または生成され、その後、一度にパターニングされる。ウェハの各薄膜層を生成し、パターニングするには、各薄膜層のパターンにおける欠陥を検査し、特定することが必要となる。製造およびパターニング工程により、薄膜層最上部の上に感光材料またはフォトレジストの層もまた追加される。次に、フォトレジストはパターニングされた光で露光され、パターニングされた光で露光されたフォトレジストは除去され、マスクとして利用される。残ったフォトレジストは、その下にある薄膜がエッチングされないようにするマスクとして機能する。下の膜がエッチングされ、残りのフォトレジストが除去される。その結果、下の薄膜にパターンが出来上がる。近年の半導体レチクルには、その性能を高めるために、位相シフト層等の高度な膜製品と工程が必要である。これらの高度な製品と工程は、薄膜効果の影響を受ける可能性がある。
【0004】
現在のウェハ検査システムは基本的に、ダイの比較等、比較方式を使って個々の層の欠陥を検出する。これは一般にダイ間比較(ダイ・ツー・ダイ・サブトラクション: die-to-die subtraction)と呼ばれる。ダイ間比較では、ダイ1,2の画像が比較され、地点Aでの画像の差が特定される。次にダイ2,3の画像が比較され、地点Aで差が見られれば、欠陥は地点Aにおけるダイ2によるものである。
【0005】
薄膜干渉効果は、特に狭帯域の光が存在する場合、ダイ間比較法を使った欠陥検出の有効性を制限する。一番上の薄膜層の厚さは変わることがあり、厚さが変化すると、反射光レベルが変わり、測定値を歪める傾向が生じる。ひとつのダイと次のダイで厚さが異なる場合、厚さの変化によってダイ間比較の変動がさらに大きくなる。この効果を補償するためには、その分の差を欠陥検出閾値に加え、欠陥検出手順の影響の受けやすさを制限する必要がある。
【0006】
したがって、干渉効果はダイ間比較の全体的パフォーマンスおよび最終的にウェハの欠陥を検査する能力に不利な影響を与える可能性がある。特定の照明モードによって検査全体を改善でき、異なる照明モードと手法を使用することで、場合によっては、干渉効果に大きな影響を与えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
顕微鏡用として、干渉効果を低減させ、または排除し、これまでに知られているシステムの上記の欠点を克服するシステムと方法を提供することが有益であろう。このようなシステムにより、本明細書で説明するマイナス面を有するデバイスより改良された機能性を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の設計の第一の態様によれば、試料を検査する際、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法が提供される。この方法は、直線、円およびランダム偏光からなるグループの中の少なくともひとつに基づいて、p偏光を生成するステップと、一番上の薄膜についてブリュースター角と同様の入射角で試料を照明するステップを含む。この照明は上記の生成から得られるp偏光を利用し、そのp偏光は試料に関してp偏光される。
【0009】
本発明の設計の第二の態様によれば、試料検査のために、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法が提供される。この方法は、試料を2つの入射角範囲で照明するステップを含み、これらの2つの入射範囲は、第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動が第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動とのバランスをとるために利用される。欠陥は、この2つの入射角範囲で照明された2つの試料のダイ間比較を使って検出される。
【0010】
本発明の上記およびその他の態様は、以下の本発明の詳細な説明と付属の図面から当業者にとって明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、限定ではなく、例として添付の図面に示される。
【0012】
本発明の設計は、半導体ウェハの作製に使用される薄膜から反射されるエネルギーの変動を低減させる方法と装置であり、この変動は試料の膜厚の変化から生じる。この効果は一般に「薄膜干渉」と呼ばれ、レーザ等の狭帯域の照明用光源を用いた検査において特に問題となる。半導体ウェハ検査の分野において、狭帯域の照明用光源を使用することにより、ダイ間比較方式を用いる場合、欠陥の信号対ノイズ比を改善することができる。本発明の設計は、薄膜層の検査にダイ間比較を使用した場合の薄膜干渉の影響を削減または除去する。
【0013】
ある膜厚の試料から反射されるエネルギーは、伝送される光の角度、偏光、波長および使用される薄膜材料の特性によって異なる。薄膜材料の使用量は決まっていて変更できないため、薄膜干渉効果に対応するために変えることが可能なのは、照明角度の範囲、照明の偏光および照明の波長だけである。これらの照明パラメータの特定の組み合わせで、各ケースに応じて、薄膜干渉の影響を削減または排除できる。
【0014】
試料からの反射エネルギーの薄膜干渉による一般的変動の例を図1に示す。図1に示される試料は一番上の層が二酸化シリコン膜のシリコンウェハである。図1の実施例において、膜厚は0から0.5ミクロンの間で変化する。使用される照明は、直線偏光を用いた、波長266nmの狭帯域のものである。照明には、最高0.9NA(開口数)の全入射角または0度から64度の入射角とすべての方位角が含まれる。膜厚が変化すると、反射率が振動して最大0.74から最小0.52までの範囲となり、周期は約0.1ミクロンである。
【0015】
図1に示す実施例を用いれば、欠陥検出にダイ間比較を利用したときに反射エネルギーの面での利点が得られる。二酸化シリコンの平均的膜厚が170nm、ひとつのダイと次のダイの膜厚の差が+/−2nmとすると、反射エネルギーは最大3パーセント変動する可能性がある。3パーセントの変動は、たとえば一般的な欠陥検出閾値が10パーセント未満の場合、主なノイズの原因となる。
【0016】
本発明の設計は、膜厚の変化に伴う試料からの反射エネルギーの変動をなるべく小さくする傾向のある照明モードを選択することによって、薄膜干渉効果を削減する。本発明の設計は、照明波長と薄膜材料に応じて、入射角と偏光の具体的な組み合わせを利用する。
【0017】
本発明の設計は、照明の一部の反射エネルギーの変動が、照明の別の部分での反射エネルギーの変動を補償するように照明を構成する。たとえば、特定の角度と偏光での反射率が膜厚の増大とともに増加し、別の角度と偏光での反射率が膜厚の増加とともに減少する場合、これら2つの照明部分を組み合わせて、膜厚の数値の範囲にわたり、相互に補償することができる。
【0018】
試料上の照明角度は、図2に示すように定義される。入射角はZ軸と照明光の間の角度である。この実施例において、Z軸は試料に対して垂直であり、X軸とY軸は試料平面内にある。方位角とは、Y軸に関する照明角度を示す。照明角度は0度から、照明が正のY軸に沿っている場合に359度までの範囲である。回転はZ軸を中心に行われる。
【0019】
次に、全方位角をカバーする試料上のひとつの入射角として、リング照明について説明する。リング照明はまた、すべての方位角をカバーする入射角の範囲を含んでもよい。
【0020】
照明モードの第一の実施例は純粋なp偏光を利用しており、これは、車輪のスポークと同様の方法でZ軸を中心に放射状に振動する電界のためにラジアル偏光とも呼ばれる。本発明の設計におけるp偏光は、さまざまな手法によって効率的に取得され、たとえば、直線、円またはランダム偏光に基づくp偏光を生成する方法等がある。
【0021】
試料上の膜についてブリュースター角と等しい入射角のラジアル偏光を利用すると、膜厚がどの数値であっても干渉が起こらない。ブリュースター角は、当業者にとって周知のように、ひとつの媒体から別の媒体に伝達される入射角が、波面が直線偏光され、電界ベクトルが入射平面に平行であるときのものである。干渉が発生しないのは、第一の基板から反射される電界成分を受け取らないからである。図3は、p偏光、ブリュースター角の照明、266nmの波長、シリコン基板上の二酸化シリコン膜でこの照明を使用した例を示す。この照明は、ひとつの方位角からでも、複数の方位角からでも、あるいはリング構成による全方位角からでも発することができる。
【0022】
本発明の設計の第二の実施例は、照明のために2つの入射角範囲を使用した照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。図のモードでは、両方の入射角範囲にp偏光を使用している。この例において、一方の範囲にはブリュースター角より小さい入射角を含み、もう一方の範囲はブリュースター角より大きい入射角を含む。膜厚が変化すると異なる角度範囲による反射エネルギーは、反対の符号で変化し、照明エネルギーの各部分が相互に補償し合う。この方法での補償を図4に示す。ブリュースター角に関する反射率は、膜厚によって変化しない。図の実施例において、ブリュースター角は56.3度である。50度と62.5度の角度に関する反射率の変化も示されている。これらの反射率の変化はどちらも、膜厚が増大すると正弦波状に変化する。膜厚がゼロに近いと、入射角50度での正弦波位相変化は入射角62.5度の場合と180度位相ずれし、良好な干渉取消が実現する。
【0023】
この正弦波位相変化の周期は、入射角50度と入射角62.5度とでは異なる。周期の長さの違いは、膜厚の増加ととともにより大きな角度の光学経路における増加量が増すことによって生じる。周期の長さの違いにより、非常に厚い膜についての取消効果が低下することがある。
【0024】
2つの入射角範囲を利用した結果を図5に示す。入射角範囲は50度から56.3度でのブリュースター角まで、およびブリュースター角から62.5度まで、あるいは50度から62.5度までの連続入射角である。この例において、照明は全方位角を使って均一なp偏光のリングを生成する。膜による反射エネルギーの変動は、0.25ミクロンまでは非常に一定している。より厚い膜では、他の入射角範囲を使って、変動を少なくすることができる。薄膜の反射エネルギーの変動を低減させるためには、他の入射角範囲と偏光も使用できる。
【0025】
第三の実施例は、2つの入射角範囲を使った照明を利用する。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。このモードは、ブリュースター角を含まない2つの入射角範囲を使用しており、これを図6に示す。第一の入射角範囲は0度から40度である。第二の入射角範囲は55度から75度である。この実施例において、ブリュースター角は56.3度である。この例において、照明は全方位角を利用して、2つの均一なp偏光リングを生成する。この例において、膜からの反射エネルギーは、約470nmから500nmの範囲の厚さ変化については一定している。
【0026】
第四の実施例は、照明のために2つの入射角範囲を使用する照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。このモードで使用する2つの入射角範囲は、それぞれ異なる偏光を利用している。たとえば、一方の入射角範囲はp偏光を使用し、もう一方の範囲はs偏光を使用してもよい。図7は、第一の範囲がp偏光リングを利用し、0度から33度の入射角を含み、第二の範囲はs偏光リングを使用し、56度から72度の入射角範囲を含む例を示している。試料からの反射エネルギーは、約310nmから325nmの膜厚について一定している。
【0027】
第五の実施例は、2つの入射角範囲を使用する照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償することができる。このモードは図8に示されており、第一の入射角範囲は0度から33度の入射角を含むs偏光リングであり、第二の入射角範囲は、56度から71.5度の入射角を含むp偏光リングである。試料からの反射エネルギーは、約450nmから480nmの膜厚について一定である。
【0028】
第六の実施例は、再び2つの入射角範囲を使用する照明モードである。このモードにおいて、一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。このモードは、照明が2つのp偏光リングを使用する、図9に示されているような銅の上の低誘電体層間絶縁膜からの反射エネルギーの変動を補償する。第一のリングの入射角は0度から30度である。第二のリングの入射角は44度から72度である。銅の上の低誘電体層間絶縁膜による反射エネルギーは、610nmから640nmまでの厚さについて一定している。
【0029】
第七の実施例では、2つの入射角範囲を他の方法で利用する。一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。この照明モードは、たとえば、図10に示されるようなポリシリコン上の193nmのフォトレジスト膜からの反射エネルギーの変動を補償する。図10は、入射角51.5度から70度のp偏光リング照明モードを使用した例を示している。ここでは、厚さ200nmから225nmのフォトレジストからの反射エネルギーが比較的一定している。試料からの反射エネルギーは、使用される照明角度によって、他の膜厚についても比較的一定にすることができる。
【0030】
本発明の設計の第八の実施例では、各入射角範囲において、2つの異なる波長を利用している。一方の入射角範囲からの反射エネルギーの変動は、他の入射角範囲からの反射エネルギーの変動を補償する。この種の照明を使用した結果を図11に示す。図11から、どちらのリングも、50度から62.5度の入射角で試料を照明する。一方のリングは266nmの波長を使用し、他方のリングは355nmの波長を使用する。この照明モードは、図5に示す単独の波長の場合と同様なパフォーマンスを有する。特定の厚さ範囲について、この設計によって試料からの反射エネルギーの変動が少なくなる。この設計で異なる波長を使用すると、欠陥の分類にも役立つ。
【0031】
図12は、上記の実施例に関して説明した方法で、試料に伝えられる偏光と照明角度を制御できる一般的な照明システムの略図である。光源1201からの照明光は、レンズ1202によって集光され、内部の場(インターナルフィールド: internal field)1203を形成する。内部の場の位置1203にアパーチャ1204を設置し、試料上の照明面積を制御することができる。次に、場光エネルギー(フィールドライトエネルギー: field light energy)をレンズ1205によって集光し、レンズ1205は地点1206で瞳孔を形成する。アパーチャ1207をこの地点に設置して、照明角度を制御することができる。あるいは、回折光学装置やアキシコンを使って、アパーチャより効率的に照明角度を制御することも可能である。回折光学装置やアキシコンを使った制御には、追加の光学的構成部品が必要となる場合がある。また、偏光変調光学素子1208を瞳孔位置付近に設置し、入射光の偏光を変調し、試料上への所望の偏光を生成することができる。瞳孔平面1206からの制御、変調された光は、レンズ1209によって集光され、結像用対物レンズに伝えられる。一般に、瞳孔平面1206は、結像用対物レンズの瞳孔平面に結像される。
【0032】
薄膜干渉の影響を削減することのできる2つの偏光は、p偏光とs偏光である。これらの偏光は、光学軸に対して対称である。s偏光の電界ベクトルはp偏光のそれに垂直である。3種類の偏光を生成することは困難である。一般的なレーザ源は、直線偏光されているか、あるいはランダム偏光を有する。しかしながら、レーザ空洞により、リング状の強度プロファイルのp偏光を生成しうると実証されている。このタイプのレーザ源によれば、追加の構成部品の助けを借りずに、リングp偏光照明を効率的に生成できる。複屈折素子もまた、レーザの偏光を変えることができる。たとえば、直線偏光は、半波長板を使って回転できる。セグメント波長板を直線偏光と併用すれば、p偏光またはs偏光に非常に近い偏光を生成することが可能である。
【0033】
この種の8つのセグメントからなるセグメント波長板の例を図13に示す。この装置では、半波長板が複数のセグメントに形成される。各セグメントは正しい速軸配向を持ち、所望の偏光回転を提供する。たとえば、セグメント1301と1305について、これらが入射偏光と整合していれば、波長板セグメントがなくてもよい。あるいは、これらのセグメントは、速軸が入射偏光に対して0度にある半波長板であってもよい。セグメント1302と1306は、速軸が22.5度回転された波長板とすることができる。セグメント1303と1307は、速軸が45度回転された波長板、セグメント1304と1308は速軸が67.5度回転された波長板である。このセグメント波長板を使用して、入射直線偏光の角度を回転することにより、p偏光からs偏光に変えることが可能である。
【0034】
p偏光は各種の方法で取得でき、たとえば、波長板モザイクを使用する、直接レーザから得る、アキシコンを使用する、複屈折性を使用する、回折素子またはコンピュータによる生成されたホログラムを使用する、プラスチックシート偏光板を使用する方法等がある。p偏光は、s偏光の反射率を改善するための反射被膜を施した上で、ブリュースター角のアキシコンを使ったレーザによって生成することができる。このような構成では、ランダム偏光または円偏光された光1402がアキシコン1401に入射する。第一の表面からの光がs偏光を1403の方向に反射し、同様に、第二の表面が残りのs偏光を1404の方向に反射する。残りのp偏光は素子1405に伝送される。さらに、照明に関して、本発明の設計で用いられる照明には、四極照明がある。
【0035】
薄膜はさまざまな材料を使って構成でき、たとえば、ポリシリコン、シリコン、酸化物、低誘電体層間絶縁膜、高誘電体層間絶縁膜、フォトレジスト、スピンオングラス、窒化物等がある。薄膜の下の層は、主としてアルミニウムや銅等の金属で構成される。その他の材料も使用可能である。あるいは、下の層は、シリコン等の半導体または半導体材料としてもよい。
【0036】
本発明について、特定の実施例に関して説明してきたが、変更や改変も、付属の特許請求範囲とその同等物によってのみ定義される本発明の範囲から逸脱することなく、加えることができると理解されるであろう。したがって、本発明をその具体的な実施例に関連して説明したが、本発明はさらに改造することができると理解されるであろう。本願は、一般に本発明の原理に沿った本発明のバリエーション、用途、応用もカバーし、本発明が関わる分野において周知で慣習的な実践において生じる本開示からの逸脱も含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】シリコンを用いた直線偏光での全反射エネルギーの一般的変動を示すグラフである。
【図2】試料上の座標系の定義を示す図である。
【図3】波長266nmの、シリコン上の二酸化シリコンに関するブリュースター角でのp偏光の反射率を示すグラフである。
【図4】波長266nmの、シリコン上の二酸化シリコンに関する入射角50度、ブリュースター角、62.5度でのp偏光の反射率を示すグラフである。
【図5】シリコン基板上の二酸化シリコン膜に関する、56.3度のブリュースター角を含む50度から62.5度のリングを使用したp偏光の反射率を示すグラフである。
【図6】シリコン基板上の二酸化シリコン膜に関する、2つのリングを使用したp偏光の反射率を示すグラフである。
【図7】シリコン基板上の二酸化シリコンに関する、ひとつの内側p偏光リングとひとつの外側s偏光リングの反射率を示すグラフである。
【図8】シリコン基板上の二酸化シリコンに関する、ひとつの内側s偏光リングとひとつの外側p偏光リングの反射率を示すグラフである。
【図9】直線偏光と2つのp偏光リングの比較を示す図である。
【図10】193nmのフォトレジストを使用した、直線偏光とひとつのp偏光リングの比較を示す図である。
【図11】異なる波長の2つのp偏光リングを使用した図である。
【図12】本発明の設計を利用した照明システムを示す図である。
【図13】直線偏光からpまたはs偏光を生成するのに使用されるセグメント波長板を示す図である。
【図14】p偏光を生成するための偏光被膜を有するブリュースター角アキシコンを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の検査において、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させるための方法であって、
直線、円、ランダム偏光からなるグループのうちの少なくともひとつに基づいてp偏光を生成するステップと、
前記試料を、一番上の膜についてブリュースター角と同様の入射角で照明するステップとを含み、前記照明は前記生成によるp偏光を使用し、
前記p偏光は前記試料に関してp偏光されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記照明は四極照明であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記照明するステップの照明は、ブリュースター角より大きい角度と小さい角度の両方を含む入射角範囲を有するリングであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
ブリュースター角より小さな入射角での全反射エネルギーの変動がブリュースター角より大きな角度での全反射エネルギーの角とバランスをとるために使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光は波長板のモザイクを使って得られることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光はレーザから直接得られることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光はアキシコンを使って得られることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光は複屈折を使って得られることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光は回折素子を使って得られることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光はプラスチックシート偏光板を使って得られることを特徴とする方法。
【請求項11】
試料の検査において、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法であって、
複数の入射角で提供されるリング照明を使って前記試料を照明するステップを含み、前記複数の入射角は、第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動を利用して第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動とのバランスをとることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
各入射角は方位角リング照明を利用することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
各入射角は入射角範囲を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
ひとつの入射角範囲はp偏光で、他の入射角範囲はs偏光であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
入射角範囲は両方ともs偏光であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
入射角範囲は両方ともp偏光であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
s偏光は第一のレーザパルスから発生され、p偏光は第二のレーザパルスから発生されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、
前記照明するステップは、直線、円またはランダム偏光からなるグループのうちの少なくともひとつをp偏光とs偏光からなるグループのうちのひとつに変換されたものを含む光エネルギーを利用することを特徴とする方法。
【請求項19】
試料の検査のために、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法であって、
第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動を使って、第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動のバランスをとるように2つの入射角範囲を選択するステップと、
前記試料を前記2つの入射角範囲で照明するステップと、
前記試料の基準試料とのダイ間比較を使って前記試料上の欠陥を検出するステップとを含み、前記試料と基準試料はどちらも前記2つの入射角範囲で照明されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記試料は半導体ウェハを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、
前記薄膜はポリシリコン、シリコン、酸化物、低誘電体層間絶縁膜、高誘電体層間絶縁膜、フォトレジスト、スピンオンガラス、窒化物からなるグループのうちのひとつを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、
前記薄膜の下の層は主に金属であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、
前記薄膜の下の層はシリコンであることを特徴とする方法。
【請求項1】
試料の検査において、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させるための方法であって、
直線、円、ランダム偏光からなるグループのうちの少なくともひとつに基づいてp偏光を生成するステップと、
前記試料を、一番上の膜についてブリュースター角と同様の入射角で照明するステップとを含み、前記照明は前記生成によるp偏光を使用し、
前記p偏光は前記試料に関してp偏光されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記照明は四極照明であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記照明するステップの照明は、ブリュースター角より大きい角度と小さい角度の両方を含む入射角範囲を有するリングであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
ブリュースター角より小さな入射角での全反射エネルギーの変動がブリュースター角より大きな角度での全反射エネルギーの角とバランスをとるために使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光は波長板のモザイクを使って得られることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光はレーザから直接得られることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光はアキシコンを使って得られることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光は複屈折を使って得られることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光は回折素子を使って得られることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
p偏光はプラスチックシート偏光板を使って得られることを特徴とする方法。
【請求項11】
試料の検査において、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法であって、
複数の入射角で提供されるリング照明を使って前記試料を照明するステップを含み、前記複数の入射角は、第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動を利用して第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動とのバランスをとることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
各入射角は方位角リング照明を利用することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
各入射角は入射角範囲を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
ひとつの入射角範囲はp偏光で、他の入射角範囲はs偏光であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
入射角範囲は両方ともs偏光であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
入射角範囲は両方ともp偏光であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
s偏光は第一のレーザパルスから発生され、p偏光は第二のレーザパルスから発生されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、
前記照明するステップは、直線、円またはランダム偏光からなるグループのうちの少なくともひとつをp偏光とs偏光からなるグループのうちのひとつに変換されたものを含む光エネルギーを利用することを特徴とする方法。
【請求項19】
試料の検査のために、薄膜干渉による全反射エネルギーの変動を低減させる方法であって、
第一の入射角範囲での全反射エネルギーの変動を使って、第二の入射角範囲での全反射エネルギーの変動のバランスをとるように2つの入射角範囲を選択するステップと、
前記試料を前記2つの入射角範囲で照明するステップと、
前記試料の基準試料とのダイ間比較を使って前記試料上の欠陥を検出するステップとを含み、前記試料と基準試料はどちらも前記2つの入射角範囲で照明されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記試料は半導体ウェハを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、
前記薄膜はポリシリコン、シリコン、酸化物、低誘電体層間絶縁膜、高誘電体層間絶縁膜、フォトレジスト、スピンオンガラス、窒化物からなるグループのうちのひとつを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、
前記薄膜の下の層は主に金属であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、
前記薄膜の下の層はシリコンであることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−542755(P2008−542755A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514703(P2008−514703)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/020288
【国際公開番号】WO2006/130432
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/020288
【国際公開番号】WO2006/130432
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]