説明

車両のエンジン制御装置

【課題】1台の車両で駆動力特性の異なる制御モードを任意に選択できるようにする。
【解決手段】E/G_ECU22に設けられている記憶手段に、異なる駆動力特性を有する3種類のモードマップMp1,Mp2,Mp3を格納し、運転者がモード選択スイッチ8或いは一時切換スイッチ11を操作することで、モードマップMp1,Mp2,Mp3から1つのモードマップを選択し、選択したモードマップの駆動力特性からエンジン回転数Neとアクセル開度θaccとに基づいて目標トルクτeを設定し、目標トルクτeに対応するスロットル開度信号をスロットルアクチュエータ37へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる駆動力特性を有する複数のモードから1つのモードを外部操作により選択し、選択したモードの駆動力特性に従って駆動力指示値を設定する車両の駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットル弁をスロットルアクチュエータにより電子的に制御する、いわゆる電子制御スロットル方式のエンジンでは、アクセルペダルとスロットル弁とが機械的にリンクされていないため、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)に対して、スロットル弁の開度(スロットル開度)を非線形特性で制御することができる。
【0003】
例えば特許文献1(特開2005−188384号公報)には、エンジン回転数とアクセル開度に基づきエンジンの運転状態を複数の運転領域に分別し、各運転領域毎にマップを設定して、エンジンの運転状態に適したスロットル弁の開度制御を行うことができるようにした技術が開示されている。
【0004】
この文献に開示されている技術によれば、高速走行においてはポテンシャルを最大に発揮させることで良好な運転性能が発揮され、一方、渋滞等の停車と発進とを繰り返すような運転の際には、パワーを抑制した運転が可能となり、良好なドライバビリティを得ることができる。
【特許文献1】特開2005−188384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示されている技術では、後進走行時においてもアクセルペダルの踏み加減によって駆動力特性が自動的に切換えられてしまう。
【0006】
しかし、後進走行時は運転者が後ろを振り向き、無理な姿勢で周囲に注意を払いながら微妙なアクセル操作とハンドル操作とで車両を後進走行させているので、アクセルペダルの踏み加減で運転領域が切換えられると、アクセル感覚が変わってしまい、運転者の想定する車両挙動とは異なる挙動となり、運転者に違和感を与えてしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、後進走行時にアクセルペダルの踏み加減を可変させても運転領域が変更されず、常に一定のアクセル感覚で後進走行させることが出来て、良好な運転性能を得ることのできる車両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明による第1の車両の駆動力制御装置は、制御モードとして複数の異なる駆動力特性を有し、該各モードから1つのモードを外部操作により選択する選択手段と、前記選択したモードに対応する前記駆動力特性から運転状態に基づいて駆動力指示値を設定する駆動力設定手段と、セレクトレバーのレンジ位置を検出するレンジ位置検出手段とを備え、前記制御モードとして後進用駆動特性の後進モードを有し、前記駆動力設定手段は、前記レンジ位置検出手段で前記セレクトレバーが後進レンジにセットされている状態を検出したとき、前記制御モードを前記後進モードに切換え、該後進モードに対応する駆動力特性から前記運転状態に基づいて前記駆動力指示値を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、後進走行時にアクセルペダルの踏み加減を可変させても運転領域が変更されず、常に一定のアクセル感覚で後進走行させることが出来て、良好な運転性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1〜図11に本発明の第1実施形態を示す。図1にはインストルメントパネル及びセンタコンソールを運転席側から見た斜視図が示されている。
【0012】
図1に示すように、車両の車室内前部に配設されているインストルメントパネル(以下「インパネ」と略称)1は、車幅方向左右に延出されており、運転席2の前方に位置するインパネ1にコンビネーションメータ(以下「コンビメータ」と略称)3が配設されている。又、このインパネ1の車幅方向ほぼ中央に、周知のカーナビゲーションシステムを構成する表示手段としてのセンタディスプレイ4が配設されている。
【0013】
又、運転席2と助手席5との間に配設されて、インパネ1側から車体後方へ延出するセンタコンソール6に、自動変速機のレンジを選択するセレクトレバー7が配設され、その後方に、エンジンの駆動力特性を表す制御モードを選択する選択手段としてのモード選択スイッチ8が配設されている。更に、運転席2の前方にステアリングホイール9が配設されている。
【0014】
ステアリングホイール9は、エアバッグ等を収容するセンタパッド部9aを有し、このセンタパッド部9aと外周のグリップ部9bとの左右及び下部が、3本のスポーク9cを介して連設されている。このセンタパッド部9aの左下部に表示切換スイッチ10が配設され、又、右下部に、一時切換手段としての一時切換スイッチ11が配設されている。
【0015】
又、図2に示すように、コンビメータ3は、中央寄りの左右に、エンジン回転数を示すタコメータ3aと、車速を表示するスピードメータ3bとが各々配設されている。更に、タコメータ3aの左側に冷却水温を表示する水温計3cが配設され、スピードメータ3bの右側に燃料残量を表示する燃料計3dが配設されている。又、中央部に現在の変速段を表示する変速段表示部3eが配設されている。尚、符号3fはウォーニングランプ、3gはトリップメータをリセットするトリップリセットスイッチである。このトリップリセットスイッチ3gの押しボタンがコンビメータ3から運転席2側に突出されており、運転者等が押しボタンを介してトリップリセットスイッチ3gを設定時間以上ONし続けることで、トリップメータがリセットされる。
【0016】
更に、タコメータ3aの下部に、走行距離や燃費、エンジン駆動力等の情報を複数の表示画面を切換えて、それぞれ表示させる表示手段としてのマルチインフォメーションディスプレイ(以下「MID」と略称)12が配設されている。又、スピードメータ3bの下部に、瞬間燃費とトリップ平均燃費との差に基づき経済的な走行を指標する燃費メータ13が配設されている。
【0017】
図3に示すように、モード選択スイッチ8は複合スイッチであり、本実施形態ではプッシュスイッチを併設する中点自動復帰式シャトルスイッチが採用されている。このモード選択スイッチ8には、リング状の操作つまみ8aを有し、外部操作者(一般的には運転者であるため、以下においては、「運転者」と称して説明する)が、この操作つまみ8aを操作することで、後述する3種類のモード(第1モードであるノーマルモード1、第2モードであるセーブモード2、第3モードであるパワーモード3)を選択することができる。すなわち、本実施形態では、操作つまみ8aを、後述するプッシュ方向とは異なる方向である、プッシュスイッチの押圧方向を軸として左右方向へ回転させることで左側スイッチと右側スイッチとが各々ON動作され、左側スイッチのON動作でノーマルモード1が選択され、又、右側スイッチのON動作でパワーモード3が選択される。更に、操作つまみ8aを下方向へプッシュしてプッシュスイッチをON動作させることでセーブモード2が選択される。尚、プッシュスイッチにセーブモード2を割り当てることで、例えば運転中に誤ってプッシュスイッチをONした場合であっても、セーブモード2は後述するように出力トルクが抑制されているため、モードがセーブモード2に切換えられても駆動力が急に増加されてしまうことがなく、運転者は安心して運転することができる。又、モード選択スイッチ8は、各モードに対応するスイッチを備えた複合スイッチであるため、同じスイッチを連続的に操作しても、他のモードへ切換えられてしまうことがなく、運転者はより一層安心して車両を運転することが出来る。
【0018】
ここで、各モード1〜3の出力特性について簡単に説明する。ノーマルモード1は、アクセルペダル14の踏込み量(アクセル開度)に対して出力トルクがほぼリニアに変化するように設定されている(図11(a)参照)、通常運転に適したモードである。
【0019】
又、セーブモード2は、エンジントルクのセーブ、及び自動変速機搭載車では変速機のロックアップ制御に同期させてエンジントルクをセーブする等して、十分な出力を確保しながらスムーズな出力特性とし、アクセルワークを楽しむことができるモードに設定されている。更に、セーブモード2は出力トルクを抑制しているのでイージードライブ性と低燃費性(経済性)との双方をバランス良く両立させることができる。例えば、3リッタエンジンを搭載する車両であっても、2リッタエンジン相当の十分な出力を確保しながらスムーズな出力特性とし、特に街中などの実用領域における扱い易さを重視した性能が設定されている。
【0020】
又、パワーモード3は、エンジンの低回転域から高回転域までレスポンスに優れる出力特性とし、更に、自動変速機搭載車の場合には、エンジントルクに同期させてシフトアップポイントを変更させる等してワインディング路などでのスポーティな走行状況にも積極的に対応可能として、きびきびとした運転ができるようなパワー重視のモードに設定されている。すなわち、このパワーモード3では、アクセルペダル14の踏込み量に対して高いレスポンス特性が設定されており、例えば3リッタエンジンを搭載する車両であれば、3リッタエンジンの有するポテンシャルを最大限に発揮できるように、早いタイミングで最大トルクを発生させるように設定されている。尚、この各モード(ノーマルモード1、セーブモード2、パワーモード3)の駆動力指示値(目標トルク)は、後述するように、エンジン回転数とアクセル開度との2つのパラメータに基づいて設定する。
【0021】
表示切換スイッチ10は、MID12に表示される情報を切換える際に操作するもので、順送りスイッチ部10aと逆送りスイッチ部10bと初期画面復帰スイッチ部10cとが設けられている。図4にMID12に表示される画面毎の項目を例示する。尚、このMID12はカラーディスプレイであっても良い。
【0022】
本実施形態では、(a)〜(f)の6種類の画像が設定されており、順送りスイッチ部10aをONする都度に、(a)〜(f)へ順に切換えられ、(f)の画面が表示されているときに順送りスイッチ部10aをONすると、初期画面(a)が表示される。一方、逆送りスイッチ部10bをONすると、逆送りで画面が切換えられる。
【0023】
画面(a)は、イグニッションスイッチをONした際に表示される初期画面である。この画面には、下段にオドメータが表示され、上段にトリップメータが表示され、更に、左端に現在のモード(図においてはセーブモード2を示す「2」)が表示される。
【0024】
画面(b)は、下段にトリップメータによる走行距離と、当該走行距離における総燃料噴射パルス幅(パルス時間)とに基づいて算出したトリップ平均燃費[Km/L]が表示され、上段に数秒間の走行距離と、そのときの総燃料噴射パルス幅(パルス時間)とに基づき算出した瞬間燃費[Km/L]が表示される。
【0025】
画面(c)は、下段にエンジンを起動させたときからの運転時間が表示され、上段に外気温[℃]が表示される。
【0026】
画面(d)には、燃料タンク内の燃残量とトリップ平均燃費とに基づき算出した、おおよその走行可能距離[Km]が表示される。
【0027】
画面(e)には、現在選択されているモード(図においてはセーブモード2が示されている)のアクセル−トルク線が表示される。このアクセル−トルク線は、縦軸にエンジの出力トルク、横軸にアクセル開度が示されており、表示されるアクセル−トルク線内にパワー表示領域Pが設定されている。パワー表示領域Pはアクセル開度の増減に連動してパワーレベルが、図の左側から右方向(増加)、或いは右側から左方向(減少)へリニアに表示される。従って、運転者は表示されるパワーレベルを目視することで、現在の運転状態を容易に把握することができる。
【0028】
画面(f)には、現在時刻が表示される。
【0029】
図5に示すように、上述した画面(e)に表示されるアクセル−トルク線は、選択されているノーマルモード1、セーブモード2、パワーモード3毎に相違する。同図(a)はノーマルモード1選択時に表示される駆動力特性線としてのアクセル−トルク線L1が示され、同図(b)にセーブモード2選択時に表示される駆動力特性線としてのアクセル−トルク線L2が示され、同図(c)にパワーモード3選択時に表示される駆動力特性線としてのアクセル−トルク線L3が示されている。
【0030】
ところで、上述した図4の画面(e)は、イグニッションスイッチをONしたときの初期画面としてMID12上に表示させるようにしても良い。或いは、初期画面は、イグニッションスイッチをOFFする直前まで表示されていた画面であっても良い。この場合、イグニッションスイッチをONすると、イグニッションスイッチをOFFする際に表示されていた画面が初期画面として表示される。
【0031】
画面(e)が初期画面として表示された場合、初期画面が表示された直後は、各アクセル−トルク線L1,L2,L3を同時に表示させ、ある時間遅れで、現在設定されているモードに対応するアクセル−トルク線のみを残して、他のアクセル−トルク線をフェードアウトさせるようにしてもよい。
【0032】
同図(b)に、各モード毎のアクセル−トルク線L1,L2,L3の駆動力特性を比較するために、アクセル−トルク線L1,L3を破線で重ねて示す。尚、このアクセル−トルク線L1,L3は、便宜的に示すもので実際には表示されない。同図(b)に示すように、パワーモード3はアクセルペダルの踏み込みに対してスロットル変化量を大きくした特性で、アクセル開度に対する目標トルクを大きく設定されており、ノーマルモード1は、アクセルペダルの踏込み量に対してスロットル変化量がほぼリニアに変化するように設定されており、パワーモード3の駆動力特性と比較した場合、ノーマルモード1は、アクセルペダルの踏み込みに対してスロットル変化量が相対的に小さくした特性となり、アクセル開度が比較的小さい通常運転領域で良好な運転性能が得られるように設定されている。
【0033】
又、セーブモード2は、十分な出力を確保しながらスムーズな出力特性でアクセルワークを楽しむことができるように設定されている。
【0034】
尚、図5に表示されている内容(図4(e)の画面)は、タコメータ3a内にインフォメーションディスプレイを別途設け、当該インフォメーションディスプレイに常時表示させるようにしても良い。或いは、MID12に、図5に示す表示内容のみを表示させ、図4に示す他の表示内容については、別途設けたインフォメーションディスプレイに表示させるようにしても良い。
【0035】
又、燃費メータ13は、中立位置がトリップ平均燃費[Km/L]を示し、このトリップ平均燃費[Km/L]よりも瞬間燃費[Km/L]が高い場合は、指針13aがその偏差に応じてプラス(+)方向へ振れ、一方、トリップ平均燃費[Km/L]よりも瞬間燃費[Km/L]が低い場合、指針13aはその偏差に応じてマイナス(−)方向へ振れる。
【0036】
ところで、図6に示すように、車両には、CAN(Controller Area Network)通信等の車内通信回線16を通じて、メータ制御装置(メータ_ECU)21、エンジン制御装置(E/G_ECU)22、変速機制御装置(T/M_ECU)23、ナビゲーション制御装置(ナビ_ECU)24等の、車両を制御する演算手段としての制御装置が相互通信可能に接続されている。各ECU21〜24は、マイクロコンピュータ等のコンピュータを主体に構成され、周知のCPU、ROM、RAM、及びEEPROM等の不揮発性記憶手段等を有している。
【0037】
メータ_ECU21は、コンビメータ3の表示全体を制御するもので、入力側にモード選択スイッチ8、表示切換スイッチ10、一時切換スイッチ11、及びトリップリセットスイッチ3gが接続されている。又、出力側に、タコメータ3a、スピードメータ3b、水温計3c、燃料計3d等の計器類、及びウォーニングランプ3fを駆動するコンビメータ駆動部26、MID駆動部27、燃費メータ駆動部28が接続されている。
【0038】
E/G_ECU22は、エンジンの運転状態を制御するもので、入力側に、クランク軸等の回転から、エンジン運転状態を示すパラメータの代表であるエンジン回転数を検出する運転状態検出手段としてのエンジン回転数センサ29、エアクリーナの直下流等に配設されて吸入空気量を検出する吸入空気量センサ30、アクセルペダル14の踏込み量からアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段としてのアクセル開度センサ31、吸気通路に介装されてエンジンの各気筒に供給する吸入空気量を調整するスロットル弁(図示せず)の開度を検出するスロットル開度センサ32、エンジン温度を示す冷却水温を検出するエンジン温度検出手段としての水温センサ33等、車両及びエンジン運転状態を検出するセンサ類が接続されている。又、E/G_ECU22の出力側に、燃焼室に対して所定に計量された燃料を噴射するインジェクタ36、電子制御スロットル装置(図示せず)に設けられているスロットルアクチュエータ37等、エンジン駆動を制御するアクチュエータ類が接続されている。
【0039】
E/G_ECU22は、入力された各センサ類からの検出信号に基づき、インジェクタ36に対する燃料噴射タイミング、及び燃料噴射パルス幅(パルス時間)を設定する。更に、スロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ37に対してスロットル開度信号を出力してスロットル弁の開度を制御する。
【0040】
ところで、E/G_ECU22に設けられている不揮発性記憶手段には、異なる複数の駆動力特性がマップ形式で格納されている。各駆動力特性として、本実施形態では3種類のモードマップMp1,Mp2,Mp3を備えており、図11(a)〜(c)に示すように、各モードマップMp1,Mp2,Mp3は、駆動力特性を設定する際の運転状態を特定するパラメータの一例であるアクセル開度とエンジン回転数とを格子軸とし、各格子点に駆動力指示値(目標トルク)を格納する3次元マップで構成されている。
【0041】
この各モードマップMp1,Mp2,Mp3は、基本的には、モード選択スイッチ8の操作により選択される。すなわち、モード選択スイッチ8にてノーマルモード1を選択した場合、モードマップとして第1モードマップとしてのノーマルモードマップMp1が選択され、セーブモード2を選択した場合、第2モードマップとしてのセーブモードマップMp2が選択され、又、パワーモード3を選択した場合、第3モードマップとしてのパワーモードマップMp3が選択される。
【0042】
以下、各モードマップMp1,Mp2,Mp3の駆動力特性について説明する。同図(a)に示すノーマルモードマップMp1は、アクセル開度が比較小さい領域で目標トルクがリニアに変化させる特性に設定されており、又、スロットル弁の開度が全開付近で最大目標トルクとなるように設定されている。
【0043】
又、同図(b)に示すセーブモードマップMp2は、上述したノーマルモードマップMp1に比し、目標トルクの上昇が抑えられており、アクセルペダル14を全踏しても、出力トルクを抑制することで、アクセルペダル14を思い切り踏み込む等のアクセルワークを楽しむことができる。更に、目標トルクの上昇が抑えられているため、イージードライブ性と低燃費性との双方をバランス良く両立させることができる。例えば3リッタエンジンを搭載する車両であっても、2リッタエンジン相当の充分な出力を確保しながらスムーズな出力特性とし、特に街中などの実用領域における扱い易さを重視した目標トルクが設定される。
【0044】
又、同図(c)に示すパワーモードマップMp3は、ほぼ全運転領域でアクセル開度の変化に対する目標トルクの変化率が大きく設定されている。従って、例えば3リッタエンジンを搭載する車両であれば、3リッタエンジンの有するポテンシャルを最大限に発揮できるような目標トルクが設定される。尚、各モードマップMp1,Mp2,Mp3のアイドル回転数を含む極低回転領域は、ほぼ同じ駆動力特性に設定されている。
【0045】
このように、本実施形態によれば、運転者がモード選択スイッチ8を操作して、何れかのモード1,2,3を選択すると、対応するモードマップMp1,Mp2,或いはMp3が選択され、当該モードマップMp1,Mp2,或いはMp3に基づいて目標トルクが設定されるため、1つの車両で全く異なる3種類のアクセルレスポンスを楽しむことができる。尚、スロットル弁の開閉速度も、モードマップMp2では緩やかに、モードマップMp3では素早く動作するように設定されている。
【0046】
又、T/M_ECU23は、自動変速機の変速制御を行うもので、入力側にトランスミッション出力軸の回転数等から車速を検出する車速センサ41、セレクトレバー7のセットされているレンジを検出するレンジ位置検出手段としてのインヒビタスイッチ42等が接続され、出力側に自動変速機の変速制御を行うコントロールバルブ43、及びロックアップクラッチをロックアップ動作させるロックアップアクチュエータ44が接続されている。このT/M_ECU23では、インヒビタスイッチ42からの信号に基づきセレクトレバー7のセットレンジを判定し、Dレンジにセットされているときは、所定の変速パターンに従い、その変速信号をコントロールバルブ43へ出力して変速制御を行う。尚、この変速パターンは、E/G_ECU22で設定されているモード1,2,3に対応して可変設定される。
【0047】
又、ロックアップ条件が満足されたときはロックアップアクチュエータ44にスリップロックアップ信号或いはロックアップ信号を出力し、トルクコンバータの入出力要素間を、コンバータ状態からスリップロックアップ状態、或いはロックアップ状態に切換える。その際、E/G_ECU22は、目標トルクτeをスリップロックアップ状態、及びロックアップ状態に同期させて補正する。その結果、例えば制御モードMがセーブモード2に設定されている場合は、目標トルクτeが、より経済的な走行ができる領域に補正される。
【0048】
ナビ_ECU24は、周知のカーナビゲーションシステムに設けられているもので、GPS衛星等から得られる位置データに基づいて車両の位置を検出すると共に、目的地までの誘導路を演算する。そして、自車の現在地及び誘導路がセンタディスプレイ4上の地図データに表示される。本実施形態では、このセンタディスプレイ4に、MID12に表示させる各種情報を表示させることができるようにしている。
【0049】
次に、上述したE/G_ECU22で実行されるエンジンの運転状態を制御する手順について、図7〜図10のフローチャートに従って説明する。
【0050】
イグニッションスイッチをONすると、先ず、図7に示す始動時制御ルーチンが1回のみ起動される。このルーチンでは、先ず、ステップS1で、前回のイグニッションスイッチOFF時に設定されていた制御モードM(M:ノーマルモード1、セーブモード2、パワーモード3)を読込む。
【0051】
そして、ステップS2へ進み、制御モードMが、パワーモード3か否かを調べる。そして、パワーモード3に設定されているときは、制御モードMをノーマルモード1に強制的に設定して(M←モード1)、ルーチンを終了する。
【0052】
又、制御モードMが、パワーモード3以外の、ノーマルモード1、或いはセーブモード2に設定されているときはそのままルーチンを終了する。
【0053】
このように、前回のイグニッションスイッチをOFFしたときの制御モードMがパワーモード3に設定されている場合、イグニッションスイッチをONしたときの制御モードMがノーマルモード1へ強制的に切換えられるため(M←モード1)、アクセルペダル14をやや踏み込んでも車両が急発進してしまうことが無く、良好な発進性能を得ることができる。
【0054】
そして、この始動時制御ルーチンが終了すると、図8〜図10に示すルーチンが所定演算周期毎に実行される。先ず、図8に示すモードマップ選択ルーチンについて説明する。
【0055】
このルーチンは、先ず、ステップS11で現在設定されている制御モードMを読込み、ステップS12で、制御モードMの値を参照して、何れのモード(ノーマルモード1、セーブモード2、或いはパワーモード3)が設定されているかを調べる。そして、ノーマルモード1が設定されているときはステップS13へ進み、セーブモード2に設定されているときはステップS14へ分岐し、又、パワーモード3に設定されているときはステップS15へ分岐する。尚、イグニッションスイッチをONした後の、最初のルーチン実行時においては、制御モードMが、ノーマルモード1かセーブモード2の何れかであるため、ステップS15へ分岐することはない。但し、イグニッションスイッチをONした後、運転者がモード選択スイッチ8の操作つまみ8aを右回転させて、パワーモードを選択した場合、後述するステップS23で制御モードMがパワーモード3に設定されるため、それ以降のルーチン実行時においては、ステップS12からステップS15へ分岐される。
【0056】
そして、ノーマルモード1に設定されていると判定されて、ステップS13へ進むと、E/G_ECU22の不揮発性記憶手段に格納されているノーマルモードマップMp1を、今回のモードマップとして設定して、ステップS19へ進む。又、セーブモード2に設定されていると判定されて、ステップS14へ分岐すると、セーブモードマップMp2を、今回のモードマップとして設定して、ステップS19へ進む。
【0057】
一方、パワーモード3に設定されていると判定されて、ステップS15へ分岐すると、ステップS15,S16において、エンジン温度を冷却水温から検出する水温センサ33で検出した冷却水温Twと暖機判定温度TL、及び高温判定温度THとを比較する。そして、ステップS15において、冷却水温Twが暖機判定温度TL以上と判定され(Tw≧TL)、且つ、ステップS16で冷却水温Twが高温判定温度TH未満と判定されたときは(Tw<TH)、ステップS17へ進む。
【0058】
一方、ステップS15で冷却水温Twが暖機判定温度TL未満と判定され(Tw<TL)、或いはステップS16で冷却水温Twが高温判定温度TH以上と判定されたときは(Tw>TH)、ステップS18へ分岐し、制御モードMをノーマルモード1に設定して(M←モード1)、ステップS13へ戻る。
【0059】
このように、本実施形態では、イグニッションスイッチをONした後、運転者がモード選択スイッチ8を操作して、パワーモード3を選択した場合であっても、冷却水温Twが暖機判定温度TL以下、或いは高温判定温度TH以上のときは、強制的にノーマルモード1へ戻すようにしたので、暖機運転時においては排気エミッションの排出量が抑制され、又、高温時においては出力を抑えることでエンジン、及び周辺機器を熱害から保護することができる。尚、制御モードMが強制的にノーマルモード1へ戻されたとき、ウォーニングランプ3fが点灯或いは点滅し、制御モードMが強制的にノーマルモード1へ戻されたことを運転者に報知する。この場合、ブザーや音声でその旨を知らせるようにしても良い。
【0060】
次いで、ステップS13,S14,S17の何れかからステップS19へ進むと、モード選択スイッチ8がON操作されたか否かを調べ、操作されていないときは、そのままルーチンを抜ける。又、ON操作されたときは、ステップS20へ進み、運転者が何れの制御モードMを選択したか判別する。
【0061】
そして、運転者がノーマルモードを選択した(操作つまみ8aを左回転させた)と判断したとき、ステップS21へ進み、制御モードMをノーマルモード1で設定して(M←モード1)、ルーチンを抜ける。又、運転者がセーブモード2を選択した(操作つまみ8aをプッシュした)と判断したとき(M←モード2)、ステップS22へ進み、制御モードMをセーブモード2で設定して(M←モード2)、ルーチンを抜ける。又、運転者がパワーモード3を選択した(操作つまみ8aを右回転させた)と判断したとき、ステップS23へ進み、制御モードMをパワーモード3で設定して(M←モード3)、ルーチンを抜ける。
【0062】
ところで、本実施形態では、イグニッションスイッチをONした後、モード選択スイッチ8の操作つまみ8aを操作することで、制御モードMをパワーモード3に設定することができるため、パワーモード3で発進させることも可能である。しかし、この場合、運転者が意識してパワーモードを選択したものであるので、発進に際して大きな駆動力が発生したとしても運転者が慌てることはない。
【0063】
次に、図9に示すエンジン制御ルーチンについて説明する。
【0064】
このルーチンでは、先ず、ステップS31で、現在選択されているモードマップ(Mp1,Mp2、或いはMp3:図11参照)を読込み、続く、ステップS32でエンジン回転数センサ29で検出したエンジン回転数Neと、アクセル開度センサ31で検出したアクセル開度θaccとを読込む。
【0065】
その後、ステップS33へ進み、両パラメータNe,θaccに基づき、ステップS31で読込んだモードマップを補間計算付きで参照して駆動力指示値としての目標トルクτeを決定する。
【0066】
次いで、ステップS34へ進み、目標トルクτeに対応する、最終的な駆動力指示値である目標スロットル開度θeを決定する。尚、このステップS33,S34での処理が駆動力設定手段として機能する。
【0067】
その後、ステップS35へ進み、スロットル開度センサ32で検出したスロットル開度θthを読込み、ステップS36で、スロットル開度θthが目標スロットル開度θeに収束するように、電子制御スロットル装置に設けられているスロットル弁を開閉動作させるスロットルアクチュエータ37をフィードバック制御して、ルーチンを抜ける。
【0068】
その結果、運転者がアクセルペダル14を操作すると、アクセル開度θaccとエンジン回転数Neとをパラメータとして、運転者が選択した制御モードM(M:ノーマルモード1、セーブモード2、パワーモード3)に対応するモードマップMp1,Mp2,Mp3に従いスロットル弁が開閉動作し、制御モードMがノーマルモード1に設定されている場合は、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度θacc)に対して出力トルクがほぼリニアに変化するため、通常の運転を行うことができる。
【0069】
又、セーブモード2に設定されている場合は、目標トルクの上昇が抑えられているため、アクセルペダル14を思い切り踏み込む等のアクセルワークを楽しむことができるばかりでなく、イージードライブ性と低燃費性との双方をバランス良く両立させることができる。従って、例えば3リッタエンジンを搭載する車両であっても、2リッタエンジン相当の十分な出力を確保しながらスムーズな運転を行うことができ、街中などの実用領域に良好な運転性能を得ることができる。
【0070】
更に、パワーモード3に設定されている場合は、高いレスポンスが得られるため、よりスポーティな走りを得ることができる。
【0071】
その結果、1台の車両で全く異なる3種類のアクセルレスポンスを楽しむことができる。従って、運転者は、車両を購入後も好みの駆動力特性を任意に選択することができ、1台の車両で、異なる特性を有する3台分の車両を運転することができる。
【0072】
又、本実施形態では、ステアリングホイール9に設けられている一時切換スイッチ11を操作し、或いはセレクトレバー7を後進レンジ(以下、「Rレンジ」と称する)にセットした際に、制御モードMが一時的に切換えられる。この一時切換制御は、図10に示す一時切換制御ルーチンに従って実行される。
【0073】
このルーチンでは、先ず、ステップS51で、セレクトレバー7がRレンジにセットされているか否かを、インヒビタスイッチ42からの信号に基づいて判定する。そして、セレクトレバー7がRレンジにセットされているときは、ステップS52へ進み、又、Rレンジ以外のレンジにセットされているときは、ステップS55へ進む。
【0074】
ステップS52へ進むと、現在の制御モードMを参照し、パワーモード3以外のときは、そのままルーチンを抜ける。又、制御モードMがパワーモード3のときは、ステップS53へ進み、リバースフラグFRをセットして(FR←1)、ステップS54へ進み、制御モードMをノーマルモード1に強制的に切換えて(M←モード1)、ルーチンを抜ける。尚、このステップS54での処理も駆動力設定手段として機能する。
【0075】
このように、本実施形態では、制御モードMがパワーモード3に設定されている状態で、セレクトレバー7をRレンジにセットしたときは、制御モードMがノーマルモード1に強制的に切換えられるため、後進走行の際にアクセルペダル14をやや踏み込んでも車両が急に後進されてしまうことが無く、良好な後進走行性能を得ることができる。特に、後進走行は、運転者が後ろへ振り向き、無理な姿勢で周囲に注意を払いながら低速走行し、その際、ハンドル操作とアクセル操作を同時に行う必要があるため、制御モードMをノーマルモード1に統一することで微妙なアクセル感覚が一定となり、良好な車両挙動を得ることができる。
【0076】
一方、ステップS51でセレクトレバー7がRレンジ以外のレンジにセットされていると判定されてステップS55へ進むと、リバースフラグFRの値を参照し、FR=1、すなわち、セレクトレバー7をRレンジから別のレンジへ切換えた後の最初のルーチンのときは、ステップS56へ進み、制御モードMをパワーモード3に戻し(M←モード3)、ステップS57へ進み、リバースフラグFRをクリアし(FR←0)、ステップS58へ進む。
【0077】
その結果、セレクトレバー7をRレンジにセットしたとき、制御モードMがパワーモード3からノーマルモード1へ強制的に切換えられた後、セレクトレバー7を、例えばDレンジにセットした場合、制御モードMは自動的に元のパワーモード3に戻されるため、運転者は違和感なく車両を発進させることができる。
【0078】
又、ステップS55でリバースフラグFRの値がFR=0と判定されたときは、ステップS58へジャンプする。
【0079】
その後、ステップS55、或いはステップS57からステップS58へ進むと、一時切換スイッチ11がONされたか否かを調べる。そして、一時切換スイッチ11がONされていないときは、そのままルーチンを抜ける。
【0080】
一方、一時切換スイッチ11がONされたと判定されたときは、ステップS59へ進み、現在の制御モードMを読込み、ステップS60で、制御モードMがパワーモード3か否かを調べる。
【0081】
そして、制御モードMがパワーモード3以外のモード(ノーマルモード1又はセーブモード2)のときは、ステップS61へ進み、前回の制御モードM(n-1)を今回の制御モードMでセットし(M(n-1)←M)、ステップS62へ進み、現在の制御モードMをパワーモード3にセットして(M←モード3)、ルーチンを抜ける。
【0082】
このように、本実施形態では、モード選択スイッチ8で制御モードMをノーマルモード1、或いはセーブモード2に設定した場合であっても、手元側の一時切換スイッチ11をONすることで、制御モードMをパワーモード3に切換えることができる。その結果、例えばパワーの必要な上り坂を走行する場合などにおいては、一時的に制御モードMを、ノーマルモード1或いはセーブモード2からパワーモード3へ簡単に切換えることができるため、良好な走行性能を得ることができる。又、一時切換スイッチ11がステアリングホイール9に設けられているため、運転者はステアリングホイール9から手を離すことなく、容易に制御モードMを切換えることができ操作性がよい。
【0083】
又、ステップS60で、現在の制御モードMがパワーモード3であると判定されてステップS63へ分岐すると、制御モードMを前回の制御モードM(n-1)にセットして、ルーチンを抜ける。
【0084】
その結果、一時切換スイッチ11をON操作して、制御モードMをパワーモード3に一時的に切換えた後、一時切換スイッチ11を再度ON操作することで、制御モードMが、元の制御モードM(ノーマルモード1又はセーブモード2)に戻される。
【0085】
[第2実施形態]
図12に本発明の第2実施形態による一時切換制御ルーチンを示す。本実施形態は、上述した第1実施形態の図10に示すフローチャートに代えて適用するものである。従って、第1実施形態と同様の構成、及び図10に示すフローチャートと同一の処理を行うステップについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
上述した第1実施形態では、セレクトレバー7をRレンジにセットしたとき、制御モードMがパワーモード3に設定されている場合についてのみ、当該制御モードMをノーマルモード1に切換えるようにしているが、本形態では、セレクトレバー7がRレンジにセットされた場合、制御モードMをノーマルモード1に一律に切換えるようにしたものである。
【0087】
すなわち、ステップS51でセレクトレバー7がRレンジにセットされたと判定して、ステップS101へ分岐すると、現在の制御モードMを前回制御モードM(n-1)として記憶させる(M(n-1)←M)。そして、ステップS53を経てステップS54へ進み、制御モードMをノーマルモード1で設定し、ルーチンを抜ける。
【0088】
本実施形態では、セレクトレバー7がRレンジにセットされたときは、制御モードMがノーマルモード1に一律に切換えられるので、常に一定のアクセルフィーリングを得ることが出来る。従って、第1実施形態に比し、後進操作時のアクセル感覚がより一層一定化され、良好な操作性を得ることが出来る。
【0089】
そして、セレクトレバー7をRレンジから他のレンジに切換えると、プログラムはステップS51からステップS55を経てステップS102へ進み、現在の制御モードMを前回の制御モードM(n-1)でセットし(M←M(n-1))、ステップS57を経てステップS58へ進む。
【0090】
従って、運転者がセレクトレバー7をRレンジから他のレンジに切換えると、制御モードMは前回の制御モードM(n-1)に自動的に戻されるため、運転者は後進走行する前に設定した制御モードMで違和感なく車両を発進させることができる。
【0091】
尚、本実施形態では、セレクトレバー7をRレンジにセットしたときは、制御モードMをノーマルモード1に一律に切換えるようにしているが、一律に切換えるモードはセーブモード2であっても良い。
【0092】
又、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、例えばモードマップは異なる駆動力特性を有する2種類、或いは4種類以上設定されていても良く、このように設定することで、運転者は1台の車両で、異なる駆動力特性を有する2台分、或いは4台分以上の車両を運転することができる。又、このモードマップの駆動力特性を運転者の好みに応じて変更できるようにしても良い。
【0093】
更に、本実施形態では、アクセル開度とエンジン回転数に基づき異なる複数の駆動力特性を有する複数のモードマップを用いて目標トルクを設定する場合について例示したが、本発明はこれに限らず、各モードの駆動力特性に対応する目標トルクをアクセル開度とエンジン回転数から演算により求めても良い。この場合、各モード毎に演算された目標トルクが記憶手段としてのRAMやEEPROMに一時記憶される。
【0094】
又、本実施形態では、電子制御スロットル装置に装備されているスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ37を制御対象として説明したが、制御対象は、これに限らず、例えばディーゼルエンジンでは、制御対象をインジェクタ駆動装置とし、このインジェクタ駆動装置から噴射される燃料噴射量を目標トルクτeに基づいて設定するようにしても良い。又、吸気弁を電磁動弁機構で開閉動作させるエンジンでは、制御対象を電磁動弁機構とし、この電磁動弁機構にて駆動する吸気弁の弁開度を目標トルクτeに基づいて設定するようにしても良い。
【0095】
又、本実施形態ではモード選択スイッチ8として中点自動復帰式シャトルスイッチを採用したが、モード選択スイッチ8は多連スイッチであっても良い。この場合、中心にプッシュスイッチを配設し、このプッシュスイッチの周辺に、このプッシュスイッチの高さよりも低い他のプッシュスイッチを配設し、中央に設けたプッシュスイッチのON動作でセーブモード2が選択されるようにする。このようにすることで、4連以上の多連スイッチを容易に配設することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1実施形態によるインストルメントパネル及びセンタコンソールを運転席側から見た斜視図
【図2】同、コンビネーションメータの正面図
【図3】同、モード選択スイッチの斜視図
【図4】同、マルチインフォメーションディスプレイの表示例を示す説明図
【図5】同、モードを切換えた際のマルチインフォメーションディスプレイの表示例を示す説明図
【図6】同、駆動力制御装置の構成図
【図7】同、始動時制御ルーチンを示すフローチャート
【図8】同、モードマップ選択ルーチンを示すフローチャート
【図9】同、エンジン制御ルーチンを示すフローチャート
【図10】同、一時切換制御ルーチンを示すフローチャート
【図11】同、(a)はノーマルモードマップの概念図、(b)はセーブモードマップの概念図、(c)はパワーモードマップの概念図
【図12】第2実施形態による一時切換え制御ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
【0097】
1…インストルメントパネル、
3…コンビメータ、
8…モード選択スイッチ、
9…ステアリングホイール、
11…一時切換スイッチ、
12…マルチインフォメーションディスプレイ(MID)、
14…アクセルペダル、
21…メータ_ECU、
22…E/G_ECU、
29…エンジン回転数センサ、
31…アクセル開度センサ、
32…スロットル開度センサ、
37…スロットルアクチュエータ、
42…インヒビタスイッチ、
θacc…アクセル開度、
θe…目標スロットル開度、
θth…スロットル開度、
τe…目標トルク、
M…制御モード、
Mp1…ノーマルモードマップ、
Mp2…セーブモードマップ、
Mp3…パワーモードマップ、
Ne…エンジン回転数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御モードとして複数の異なる駆動力特性を有し、該各モードから1つのモードを外部操作により選択する選択手段と、
前記選択したモードに対応する前記駆動力特性から運転状態に基づいて駆動力指示値を設定する駆動力設定手段と、
セレクトレバーのレンジ位置を検出するレンジ位置検出手段とを備え、
前記制御モードとして後進用駆動特性の後進モードを有し、
前記駆動力設定手段は、前記レンジ位置検出手段で前記セレクトレバーが後進レンジにセットされている状態を検出したとき、前記制御モードを前記後進モードに切換え、該後進モードに対応する駆動力特性から前記運転状態に基づいて前記駆動力指示値を設定することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
【請求項2】
前記制御モードは、通常運転に適した駆動力特性の第1モードとパワーを抑制した駆動力特性の第2モードとを有し、前記後進モードは前記第1モードと兼用されている
ことを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力制御装置。
【請求項3】
前記制御モードは、通常運転に適した駆動力特性の第1モードとパワーを重視する駆動力特性の第3モードとを有し、前記後進モードは前記第1モードと兼用されている
ことを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力制御装置。
【請求項4】
前記駆動力設定手段は、前記レンジ位置検出手段で前記セレクトレバーが後進レンジから他のレンジに切換えられた状態を検出したとき、前記制御モードを前記後進モードから前記選択手段で選択した前記制御モードに切換える
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の駆動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−298017(P2007−298017A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177200(P2006−177200)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【分割の表示】特願2006−140754(P2006−140754)の分割
【原出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【特許番号】特許第3905548号(P3905548)
【特許公報発行日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】