説明

車両用ブレーキ装置

【課題】 開閉弁によって2系統の圧力供給系を切り替えるブレーキ・バイ・ワイヤの車両用ブレーキ装置において、ホイールシリンダへの液圧供給開始時に、開閉弁の作動を保証すると共にブレーキの操作感を向上させる。
【解決手段】 ブレーキペダル11と、電磁弁である開閉弁24a・24bを備えた配管42a・42bを介して互いに接続されたマスターシリンダ15及びホイールシリンダ2b・3bと、ペダル操作量検出手段11aと、電動モータ12を備えたモータ駆動シリンダ13と、バッテリ7と、バッテリの電圧を検出する電圧センサ段51と、制御手段6とを有する車両ブレーキ装置であって、制御手段は、電源の電圧が閾値電圧以上である場合には、ペダル操作量に基づいてモータ駆動シリンダの駆動を開始する際には、開閉弁を開いた状態に維持してモータ駆動シリンダの駆動を開始し、モータ駆動シリンダの駆動を開始の後に開閉弁を閉じることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ装置に関し、特にブレーキ・バイ・ワイヤによりブレーキ力を発生させる車両用ブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車では、駆動輪の駆動軸に電動モータを連結し、そのモータを制動時には発電機として使用してエネルギー回生を行うようにしているものがある。このような車両では、モータの定格やバッテリの残量等により、回生ブレーキだけで全ての制動力を実現することが困難である場合があり、電子制御により、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤで駆動される油圧ブレーキと上記回生ブレーキとの協調制御を行うようにしたものがある。
【0003】
ブレーキ・バイ・ワイヤでは、ブレーキペダルと機械的に連結されていないが、ブレーキペダルの位置を電気的信号として受け取り、その信号に応じてホイールシリンダに液圧を供給する液圧発生手段が使用される。液圧発生手段は、例えば、ブレーキペダルの位置に対応する信号に応じて駆動される電動サーボモータと、電動サーボモータによって駆動されるピストンを備えたモータ駆動シリンダとして構成されている。また、フェイルセーフとして、ブレーキペダルに機械的に連結され、ブレーキペダル操作に応じて液圧を発生するマスターシリンダを設け、通常時はマスターシリンダとホイールシリンダとの間に設けた電磁弁である開閉弁によりマスターシリンダとホイールシリンダとを遮断しているものがある(例えば特許文献1参照)。すなわち、液圧供給手段としてモータ駆動シリンダとマスターシリンダとの2系統を有し、正常時にはモータ駆動シリンダからホイールシリンダに液圧を供給する一方、モータ駆動シリンダ等の失陥時等には開閉弁によって経路を切り替え、マスターシリンダからホイールシリンダに液圧を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−29294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなブレーキ装置は、ブレーキペダルが踏み込まれていない初期状態においては、開閉弁が開かれてマスターシリンダとホイールシリンダとが連通されている。そして、初期状態からブレーキペダルが踏み込まれ、ホイールシリンダに液圧を発生させる際に、開閉弁の閉弁作動とモータ駆動シリンダとの作動とを所定のタイミングで行う。
【0006】
ここで、モータ駆動シリンダの作動を、開閉弁の閉弁作動以前に行うと次のような問題が発生する。開閉弁とモータ駆動シリンダの電動サーボモータとが同じ電源から電力の供給を受けている場合には、図7に示すように、時間t1においてモータ駆動シリンダを作動させると、電動サーボモータに大きな起動電流が流れるため、電源電圧が低下して開閉弁に供給される電圧Vvが初期電圧Vv0からVv1に低下する。そのため、時間t1以後の時間t2において開閉弁を閉作動しようとしても、開閉弁に供給される電圧は開閉弁の閉弁作動を行うために必要な電圧(起動保証電圧:図中の1点鎖線)を下回ることがあるため、開閉弁の作動を保証できなくなるという問題がある。この問題は、モータ駆動シリンダの作動と開閉弁の閉弁作動とを同時に行う場合も同様に発生する。
【0007】
一方、モータ駆動シリンダの作動を、開閉弁の閉弁作動以後に行うと次のような問題が発生する。モータ駆動シリンダの駆動に使用されるサーボモータは、図8に示すように、始動時において、目標値である目標モータ角に対して、実際の値である実モータ角がオーバーシュートする(すなわち目標モータ角よりも実モータ角が大きくなる)ことがある。この原因は、サーボモータのロータに作用する慣性モーメントや、モータ駆動シリンダのシリンダとピストンとの静摩擦力等に起因する。サーボモータが静止した状態から回転を始める際(始動時)には、ロータが静止しようとする慣性モーメントが回転抵抗として作用すると共に、モータ駆動シリンダを構成するシリンダ及びピストンの間には静摩擦力が作用するため、サーボモータの回転抵抗が大きいが、ロータが一度回転を始めると慣性モーメントによる回転抵抗が減少すると共に、シリンダ及びピストンの間には静摩擦力よりも小さい動摩擦力が作用するため、モータの回転抵抗が小さくなり、ロータが目標モータ角を超えて回り過ぎてしまう。また、実モータ角を検出するために使用される回転角センサの検出精度や、サーボモータの制御方法(フィードバック制御)、サーボモータとピストンとを連結する減速機構のギヤのバックラッシ等もオーバーシュートの一因となる。このサーボモータの始動時のオーバーシュートによって、液圧発生シリンダが発生する液圧は同様にオーバーシュートする。そのため、モータ駆動シリンダの作動を、開閉弁の閉弁作動以後に行うと、液圧発生シリンダの始動時におけるオーバーシュートした液圧が、ホイールシリンダに供給され、ホイールシリンダの液圧が過大となる。これにより、運転者が予期したよりもブレーキが効き過ぎ、操作感が悪化するという問題が生じる。また、ブレーキ装置の配管に加わる液圧が急激に高くなることによって、異音が発生するという問題が生じる。この異音は、液圧発生シリンダの始動と同時に開閉弁を閉じることによって、開閉弁の作動音と重なって更に大きくなる。
【0008】
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであって、開閉弁によって2系統の圧力供給系を切り替えるブレーキ・バイ・ワイヤの車両用ブレーキ装置において、ホイールシリンダへの液圧供給開始時に、開閉弁の作動を保証すると共にブレーキの操作感を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ブレーキペダル(11)に機械的に連結され、液圧を発生するマスターシリンダ(15)と、前記マスターシリンダに油路(42a・42b)を介して接続されたホイールシリンダ(2b・3b)と、前記油路上に設けられた電磁弁である開閉弁(24a・24b)と、前記ブレーキペダルの操作量に対応するペダル操作量を検出するペダル操作量検出手段(11a)と、前記油路の前記開閉弁と前記ホイールシリンダとの間に接続され、電動モータ(12)の駆動によって前記油路に液圧を供給する液圧発生手段(13)と、前記開閉弁及び前記液圧発生手段に電力を供給する電源(7)と、前記電源の電圧を検出する電圧検出手段(51)と、前記ペダル操作量に応じて前記開閉弁及び前記液圧発生手段を制御する制御手段(6)とを有する車両ブレーキ装置であって、前記制御手段は、前記電源の電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定し、前記電源の電圧が前記閾値電圧以上である場合には、前記開閉弁を開いた状態に維持すると共に前記ペダル操作量に基づいて前記液圧発生手段の駆動を開始し、前記液圧発生手段の駆動を開始の後に前記開閉弁を閉じることを特徴とする車両ブレーキ装置。閾値電圧は、電動モータ及び開閉弁を同時に作動開始しても開閉弁を閉弁するのに十分な電圧を確保することが可能な電源の電圧の下限をとすることができる。
【0010】
この構成によれば、電源電圧が閾値電圧以上である場合には、液圧発生手段の電動モータに起動電流が流れても、開閉弁には閉弁作動に十分な電圧が供給されるため、液圧発生手段を駆動した直後に開閉弁を閉弁作動させることができる。液圧発生手段の始動時には、開閉弁が開かれているため、液圧発生手段が始動時に発生する液圧が目標値よりオーバーシュートしても、液圧はマスターシリンダ側に逃がされ、油路内の圧力上昇が抑制されると共に過大に液圧によってホイールシリンダが駆動されることが防止される。これにより、運転者のブレーキ操作感が向上する。
【0011】
本発明の他の側面によれば、前記電源の電圧が前記閾値電圧より小さい場合には、前記開閉弁を閉じた後に前記ペダル操作量に基づいて前記液圧発生手段の駆動を開始することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、電源電圧が閾値電圧より小さい場合には、液圧発生手段を駆動した後に開閉弁を閉弁作動させると、開閉弁に供給される電圧が閉弁作動に必要な電圧より低くなり、閉弁作動を保証することができなく虞があるが、開閉弁の閉弁作動を液圧発生手段の駆動よりも先に行うことで、開閉弁の閉弁作動を確実に行うことができる。
【0013】
この構成によれば、前記油路の前記マスターシリンダと前記開閉弁との間の部分に接続され、前記油路からの液を受け入れると共に反力を付与する反力シミュレータ(28)と、前記制御手段によって制御され、前記油路と前記反力シミュレータとの連通を開閉するシミュレータ弁(24c)とを備え、前記制御手段は、前記電源の電圧が前記閾値電圧以上である場合において、前記液圧発生手段の駆動を開始する前に前記シミュレータ弁を開いた状態にすることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、液圧発生手段の始動時に、液圧発生手段が発生する液圧は反力シミュレータへと供給されるため、液圧発生手段の始動時に発生する液圧が目標値よりオーバーシュートしても、油路内の圧力上昇が抑制されると共にホイールシリンダが駆動されることが防止される。
【0015】
本発明の他の側面によれば、前記液圧発生手段の作動量を検出する作動量検出手段(44)を更に備え、前記制御手段は、前記ペダル操作量が所定値以上となり、かつ前記液圧発生手段の作動量の変化を検出しない場合に、前記シミュレータ弁を閉じると共に前記開閉弁を開くことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、液圧発生手段の作動量が検知されない場合に液圧発生手段が液圧を発生することができないと判断し、開閉弁を開いた状態に維持すると共にシミュレータ弁を閉じることで、マスターシリンダからホイールシリンダに液圧を供給する方式へと円滑に移行することができる。
【0017】
本発明の他の側面によれば、前記液圧発生手段の作動量を検出する作動量検出手段(44)を更に備え、前記制御手段は、前記液圧発生手段の作動量が、前記液圧発生手段の駆動開始時に生じるオーバーシュートが落ち着いた時点に対応する所定値に達したときに前記開閉弁を閉じることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、液圧発生手段の作動量から始動時のオーバーシュートが落ち着いた時点を推定し、開閉弁を閉じることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の構成によれば、開閉弁によって2系統の圧力供給系を切り替えるブレーキ・バイ・ワイヤの車両用ブレーキ装置において、ホイールシリンダへの液圧供給開始時に、開閉弁の作動を保証すると共にブレーキの操作感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る自動車のブレーキ系の要部系統図
【図2】実施形態に係る自動車のブレーキ装置を模式的に示す油圧回路図
【図3】実施形態に係る自動車のブレーキ装置の開閉弁を示す断面図
【図4】実施形態に係る制御ユニットの制御手順を示すフロー図
【図5】実施形態に係る自動車のブレーキ装置の作動を示すタイムチャート
【図6】実施形態に係る自動車のブレーキ装置の作動を示すタイムチャート
【図7】従来技術において開閉弁に供給される電圧を示す図
【図8】従来技術に係る自動車のブレーキ装置の液圧変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明が適用された電気自動車又はハイブリッド自動車のブレーキ系の要部系統図である。
【0022】
図1に示される自動車は、車両Vの前側に配設された左右一対の前輪2と、車両Vの後側に配設された左右一対の後輪3とを有する。左右の前輪2に連結された前輪車軸4にはモータ・ジェネレータ5がトルク伝達可能に連結されている。なお、前輪車軸4に設けられる差動機構は図示省略する。
【0023】
モータ・ジェネレータ5と電源としての二次電池であるバッテリ7とはインバータ10を介して接続されている。バッテリ7の電力がモータ・ジェネレータ5に供給されると共に、モータ・ジェネレータ5による発電電力がバッテリ7に対して電力供給(充電)されるように、インバータ10により制御される。これにより、モータ・ジェネレータ5は、車両走行用の電動機と回生用の発電機とを兼ね、減速時には減速エネルギーを電力に変換して回生制動力を発生する制動力発生手段として機能する。また、バッテリ7は、後述する制御ユニット6及びブレーキ液圧発生措置8に電力を供給する。
【0024】
また、車両の各種制御を行うと共に制動力配分制御を行う制御手段としての制御ユニット(ECU)6が設けられている。制御ユニット6は、CPUを用いた制御回路を備え、上記インバータ10と電気的に接続されている。制御ユニット6は、回生制動と油圧制動とを組み合わせた回生協調制御を行うことができる。なお、電気自動車の場合にはこの構成のまま、又は後輪3を駆動する後輪用モータ・ジェネレータを設けてもよいが、ハイブリッド自動車の場合には前輪車軸4には図の二点鎖線で示されるエンジン(内燃機関)Eの出力軸が連結される。図のエンジンEの場合には前輪駆動の例であるが、四輪駆動とすることもできる。
【0025】
前輪2及び後輪3の各車輪には、摩擦制動を行う摩擦制動手段として、車輪(前輪2・後輪3)と一体のディスク2a・3aとホイールシリンダ2b・3bを備えるキャリパとにより構成される公知のディスクブレーキが設けられている。ホイールシリンダ2b・3bには、公知のブレーキ配管を介して制動力発生手段を構成するブレーキ液圧発生装置8が接続されている。ブレーキ液圧発生装置8は、後で詳述するが、各車輪別にブレーキ圧を増減させて配分可能な油圧回路で構成されている。ブレーキ液圧発生装置8及びディスクブレーキと、ブレーキ液圧発生装置8を制御する制御ユニット6を含めてブレーキ装置1という。
【0026】
また、前輪2及び後輪3には各車輪速を検出する各車輪速センサ9が設けられており、ブレーキペダル11にはブレーキペダル11の位置であるペダル位置を検出するペダル位置センサ11aが設けられている。ペダル位置センサ11aは、運転者にブレーキペダルが踏み込まれていない状態を初期状態(ペダル位置=0)として、運転者の踏み込み量であるペダル操作量(ブレーキ操作量)を検出することができる。また、バッテリ7には電源電圧(V)を測定するための電圧センサ51が設けられている。各車輪速センサ9、ペダル位置センサ11a及び電圧センサ51の各検出信号は制御ユニット6に入力する。
【0027】
次に、図2を参照してブレーキ液圧発生装置8について説明する。本実施形態の制動システムは、ブレーキペダル11の操作量(ペダル操作量)をペダル位置センサ11aにより検出し、その検出値に基づいて液圧発生手段としてのモータ駆動シリンダ13を駆動してブレーキ液圧を発生させる。モータ駆動シリンダ13には、電動サーボモータ12と、電動サーボモータ12に連結されたギアボックス18とが一体的に設けられていると共に、ギアボックス18にボールねじ機構を介してトルク伝達されることにより軸線方向変位するねじ溝付きロッド19と、ねじ溝付きロッド19と同軸かつ互いに直列的に配設された第1ピストン21a及び第2ピストン21bとが設けられている。電動サーボモータ12は、バッテリ7から電力の供給を受けている。
【0028】
これにより、ブレーキペダル11の操作量に応じて電動サーボモータ12が回転し、その回転力がギアボックス18を介してねじ溝付きロッド19の軸力に変換され、第1ピストン21aが直線運動する。このようにして、制動操作部材としてのブレーキペダル11の操作を機械的にブレーキ液圧発生シリンダに伝達してブレーキ液圧を発生させるのではなく、ブレーキペダル11の踏み込み量に応じてモータ駆動シリンダ13によりブレーキ液圧を発生させる、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤが構成されている。
【0029】
また、ブレーキペダル11のアームの一端が車体に回動自在に支持されていると共に、そのブレーキペダル11の円弧運動を略直線運動に変換するロッド14の一端がブレーキペダル11のアームの中間部に連結されており、ロッド14の他端は、直列的に配設されたマスターシリンダ15の第1ピストン15aを押し込むように係合している。マスターシリンダ15には第1ピストン15aに対してロッド14とは相反する側に直列的に第2ピストン15bが配設されており、各ピストン15a・15bは戻しばね41a・41bによりそれぞれロッド14側にばね付勢されている。なお、ブレーキペダル11は、図示されない戻しばねにより図1の状態である待機位置に戻す向きにばね付勢され、かつ待機位置で図示されないストッパにより止められている。
【0030】
マスターシリンダ15には、各ピストン15a・15bの変位に応じてブレーキ液をやり取りするためのリザーバタンク16が設けられている。なお、各ピストン15a・15bには、リザーバタンク16と連通する各油路16a・16bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。そして、マスターシリンダ15の筒内には、第1ピストン15aと第2ピストン15bとの間に第1液室17aが形成され、第2ピストン15bの第1ピストン15aとは相反する側に第2液室17bが形成されている。
【0031】
上記したモータ駆動シリンダ13において、第2ピストン21bに一端部が固設された連結部材27が第1ピストン21a側に延出して、連結部材20の延出方向他端部が第1ピストン21aに対して相対的に軸線方向に所定量変位可能に支持されている。これにより、第1ピストン21aは前進(第2ピストン21b側変位)時に第2ピストン21bに対して相対的に所定量だけ変位可能であるが、第1ピストン21aの前進状態から図2の初期状態に戻る後退時には、連結部材20を介して第2ピストン21bも初期位置まで引き戻されるようになっている。なお、各ピストン21a・21bは、それぞれに対応して設けられた各戻しばね27a・27bによりロッド19側にばね付勢されている。
【0032】
また、モータ駆動シリンダ13には、上記リザーバタンク16に連通路22を介してそれぞれ連通する各油路22a・22bが設けられている。各ピストン21a・21bには、各油路22a・22bとの間をシールするための公知構造のシール部材が各適所に設けられている。モータ駆動シリンダ13の筒内には、第1ピストン21aと第2ピストン21bとの間に第1液室23aが形成され、第2ピストン21bの第1ピストン21aとは相反する側に第2液室23bが形成されている。
【0033】
マスターシリンダ15の第1液室17a及び第2液室17bは、配管(油路)42a・42b及びVSA装置26を介して複数(図示例では4つ)の各ホイールシリンダ2b・3bと連通するように接続されている。なお、VSA装置26は、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)に、旋回時の横すべり抑制を加え、3つの機能をトータルにコントロールする車両挙動安定化制御システムとして公知のものであってよく、その説明を省略する。なおVSA装置26には、前輪2の各ホイールシリンダ2bに対応する第1系統と、後輪3の各ホイールシリンダ3bに対応する第2系統とをそれぞれ構成する各種の油圧素子を用いた各ブレーキアクチュエータ26bと、それらを制御するVSA制御ユニット26aとにより構成されている。なお、他の実施形態では、VSA装置26を省略してもよい。
【0034】
配管42a上には常時開型の電磁弁である開閉弁24aが設けられ、配管42b上にも電磁弁である常時開型の開閉弁24bが設けられている。配管42aの開閉弁24aとVSA装置26との間の部分は、配管43aを介して第1液室23aと連通するように接続されている。配管42bの開閉弁24bとVSA装置26との間の部分は、配管43bを介して第1液室23aと連通するように接続されている。
【0035】
第1液室23aには、配管42a、常時開状態の開閉弁24a及び配管43aを介してマスターシリンダ15の第1液室17aが連通し、第2液室23bには、配管42b、常時開型の開閉弁24b及び配管43bを介してマスターシリンダ15の第2液室17bが連通する。なお、第1液室17aと開閉弁24aとの間にはマスターシリンダ側ブレーキ圧センサ25aが接続され、開閉弁24bと第2液室23bとの間にはモータ駆動シリンダ側ブレーキ圧センサ25bが接続されている。
【0036】
図3に示すように、開閉弁24a(24b)は、同様の構成を有しており、配管42a(42b)に連通する通路55が形成されたケーシング56と、通路55の途中に設けられた弁座57と、弁座57に着座可能な弁体58と、弁体58に連結された柱状のプランジャ59と、プランジャ59を磁力によって進退させるべく、ケーシング56に設けられたソレノイド60と、通路55内に設けられ、プランジャ59を後退させる方向に付勢するコイルばね61と、ケーシング56内に設けられ、プランジャ59の後退位置を規定するストッパ62とを有している。ソレノイド60に通電されていない場合には、コイルばね61によってプランジャ59は後退し、弁体58は弁座57から離間し、通路55は開かれている。ソレノイド60に通電されると、プランジャ59はソレノイド60の磁力を受けてコイルばね61の付勢力に抗して前進し、弁体58は弁座57に着座して通路55を閉塞する。弁体58が弁座57に着座した開閉弁24aの閉弁状態では、モータ駆動シリンダ13からの液圧を受けて弁体58は弁座57側に付勢される。そのため、開閉弁24aの閉弁状態を維持するために必要なソレノイド60の磁力は弁体58の作動時よりも小さくなっている。すなわち、開閉弁24aの閉弁状態を維持するために必要なソレノイド60の通電量は弁体58の作動時よりも小さくなっている。開閉弁24a・24bのソレノイド60には、バッテリ7の電力が供給される。
【0037】
また、第2液室17bと開閉弁24bとの間には、常時閉型の電磁弁であるシミュレータ弁24cを介してシリンダ型のシミュレータ28が接続されている。シミュレータ28には、そのシリンダ内を分断するピストン28aが設けられ、ピストン28aのシミュレータ弁24c側に貯液室28bが形成され、ピストン28aの貯液室28b側とは相反する側には圧縮コイルばね28cが受容されている。両開閉弁24a・24bが閉じかつシミュレータ弁24cが開くことにより、第2液室17bと貯液室28bとが連通し、その状態でブレーキペダル11を踏み込むと、第2液室17b内のブレーキ液が貯液室28bに入り込む。それにより圧縮される圧縮コイルばね28cの付勢力がブレーキペダル11に伝達されるため、公知のマスターシリンダとホイールシリンダとが直結されているブレーキ装置と同様の踏み込みに対する反力が得られる。
【0038】
このようにして構成されたブレーキ液圧発生装置8は、上記制御ユニット6により総合的に制御される。制御ユニット6には、ペダル位置センサ11aと各ブレーキ圧センサ25a・25bとの各検出信号が入力し、また車両Vの挙動を検出するための各種センサ(図示せず)からの検出信号が入力し、さらに電動サーボモータ12に設けられたモータ回転角センサ44からのモータ回転角信号及び電圧センサ51からの電源電圧信号も入力している。
【0039】
制御ユニット6は、ペダル位置センサ11aからの検出信号に基づき、かつ上記各種センサからの検出信号から判断した走行状況等に応じて、モータ駆動シリンダ13により発生するブレーキ液圧を制御する。さらに、本実施形態の対象車両となるハイブリッド車(又は電気自動車)の場合には、モータ・ジェネレータによる回生制御を行うようにしており、制御ユニット6では、回生制御を行う場合の回生の大きさに対するモータ駆動シリンダ13によるブレーキ液圧の大きさの配分制御も行う。
【0040】
制御ユニット6の通常制動時における制御手法について説明する。図2に示すように、ブレーキペダル11が踏み込まれていない状態を初期状態では、開閉弁24a・24b及びシミュレータ弁24cは開かれており、モータ駆動シリンダ13では、ねじ溝付きロッド19が最も後退した位置にあり、それに伴って各戻しばね27a・27bにより付勢されている各ピストン21a・21bも後退しており、両液室23a・23bにブレーキ液圧は発生していない。
【0041】
図4は制御ユニット6において実行される制御フロー図である。この制御フローは、運転者がブレーキペダル11を初期状態(ペダル位置=0)から踏み込んだ際に実行される。ステップS1では、ペダル位置が位置P1(開始値)に達したか否かを判定する。ペダル位置が位置0から位置P1の範囲は、ペダルの遊びとして設けられたものあり、位置P1は任意に設定してよい。制御ユニット6は、ペダル位置が位置P1以上となった場合にホイールシリンダ2b・3bに液圧を供給するべく、開閉弁24a・24b及びモータ駆動シリンダ13を制御する。ステップS1では、判定がNoの場合にペダル位置が位置P1に達するまでステップS1を繰り返し、判定がYesとなった場合にステップS2に進む。
【0042】
ステップS2では、制御ユニット6は、電圧センサ51からの電源電圧に対応する信号に基づいて、電源電圧が閾値電圧Vsh以上であるか否かを判定する。閾値電圧Vshは、電動サーボモータ12及び開閉弁24a・24bを同時に作動しても開閉弁24a・24bを閉弁するのに十分な電圧を確保することが可能な電源電圧の下限値として設定される。ここで、開閉弁24a・24bに供給される電圧について、開閉弁24a・24bの作動を確実に行うことができる電圧を起動保証電圧(図5及び図6の一点鎖線参照)とし、開閉弁24a・24bを閉弁状態に確実に維持することができる電圧を保持保証電圧(図5及び図6の二点鎖線参照)とする。本実施形態に係る開閉弁24a・24bは、閉弁状態において、モータ駆動シリンダ13からの液圧を受けて弁体58が弁座57側に付勢されるため、保持保証電圧が起動保証電圧より低くなる。電動サーボモータ12を起動(駆動開始)する際には、大きな起動電流が流れ、電源電圧が一時的に大きく低下する。閾値電圧Vshは、電動サーボモータ12及び開閉弁24a・24bを同時に作動開始し、電動サーボモータ12に起動電流が流れて電源電圧が低下しても、開閉弁24a・24bに供給される電圧が起動保証電圧より低下しない値に設定されている。
【0043】
ステップS2での判定がYesの場合は、ステップS3に進み、制御ユニット6は、モータ駆動シリンダ13(電動サーボモータ12)を作動させる。ここでの制御ユニット6による作動は、ペダル位置に基づいて電動サーボモータ12の目標モータ回転角を設定し、実モータ回転角が目標モータ回転角に一致するようにフィードバック制御によって電動サーボモータ12を作動させる。ペダル位置に基づく目標モータ回転角の設定は、所定のマップに基づいて行う。マップは、例えば、ペダル位置が増大するにつれて、目標モータ回転角も増大するものであってよい。電動サーボモータ12の駆動によって、ねじ溝付きロッド19及び第1ピストン21aが押し出されて、第1液室23aに液圧が発生する。
【0044】
続く、ステップS4〜S6では、制御ユニット6は、モータ駆動シリンダ13の作動開始時から所定の期間Tsh1を計測する。ステップS4ではtを0としてタイマをリセットし、続くステップS5ではtを1インクリメントし、ステップS6ではtがP1以上であるか否かを判定する。ステップS6での判定は、tがP1以上となるまで繰り返され、Yesと判定されるとステップS7に進む。ここで、期間Tsh1は、モータ駆動シリンダ13の電動モータ12の起動時におけるオーバーシュートが落ち着くのに要する時間以上に設定されている。ステップS7では、制御装置6は開閉弁24a・24bを閉弁作動させる。なお、タイマでの判定に代えて、モータ駆動シリンダ13の作動量(電動サーボモータ12のモータ回転角)を用いてもよい。
【0045】
ステップS2での判定がNoの場合は、ステップS8に進み、制御ユニット6は、開閉弁24a・24bを閉弁作動させる。続く、ステップS9〜S11では、制御ユニット6は、開閉弁24a・24bの閉弁作動開始時から所定の期間Tsh2を計測する。ステップS9ではtを0としてタイマをリセットし、続くステップS10ではtを1インクリメントし、ステップS11ではtがTsh2以上であるか否かを判定する。ステップS11での判定は、tがTsh2以上となるまで繰り返され、Yesと判定されるとステップS12に進む。ここで、期間Tsh2は、開閉弁24a・24bの閉弁作動が始動から完了までに要する時間Tv以上に設定されている。ステップS12では、制御装置6は電動サーボモータ12を作動させてモータ駆動シリンダ13を作動させる。モータ駆動シリンダ13の作動は、ステップS3における作動と同様にペダル位置に基づいて行われる。
【0046】
以上の制御フローに従って制御を行った場合の効果を図5及び図6のタイムチャートを参照して説明する。図5はステップS2での判定(電源電圧が閾値電圧Vsh以上か否か)がYesの場合を示し、図6はステップS2での判定がNoの場合を示す。
【0047】
図2に示すように、ブレーキペダル11が踏み込まれていない状態を初期状態では、開閉弁24a・24b及びシミュレータ弁24cは開かれており、モータ駆動シリンダ13では、ねじ溝付きロッド19が最も後退した位置にあり、それに伴って各戻しばね27a・27bにより付勢されている各ピストン21a・21bも後退しており、両液室23a・23bにブレーキ液圧は発生していない。
【0048】
図5に示すように、運転者が時間0からブレーキペダル11を踏み込んで、ペダル位置センサ11aが検出したペダル位置が位置P1となった場合(時間T1)に、制御ユニット6は電源電圧が閾値電圧Vsh以上であるか否かを判定し、電源電圧が閾値電圧Vsh以上であると判定して、モータ駆動シリンダ13(電動サーボモータ12)を作動させる。
【0049】
電動サーボモータ12の起動(始動)時には、フィードバック制御等に起因して電動サーボモータ12の実モータ回転角が目標モータ回転角に対してオーバーシュートする。そのため、第1液室23a及び第2液室23bに発生する液圧も実モータ回転角に応じてオーバーシュートする。このとき、開閉弁24a・24b及びシミュレータ弁24cが開かれているため、第1液室23a及び第2液室23bに発生した目標値よりも過大な液圧はマスターシリンダ15又はシミュレータ28へと逃げ(供給され)、ホイールシリンダ2b・3bを駆動することはない。
【0050】
次に、制御ユニット6は、時間T1から期間Tsh1が経過した時間T2(=T1+Tsh1)において、開閉弁24a・24bを閉弁作動させる。期間Tsh1は、電動サーボモータ12の起動時におけるオーバーシュートが落ち着くのに要する時間以上に設定されている。なお、開閉弁24a・24bの閉弁作動時には、電動サーボモータ12の起動電流の発生によって、開閉弁に供給される電圧Vvが初期状態のVv0からVv1に低下しているが、電源電圧が閾値電圧Vshよりも高いため、開閉弁に供給される電圧VvがVv1に低下していても開閉弁24a・24bの起動保証電圧以上に維持され、開閉弁24a・24bの閉弁作動が確実に行われる。
【0051】
時間T2から開閉弁24a・24bの閉弁作動に要する時間Tvの経過後の時間T3には、開閉弁24a・24bが閉弁状態となり、モータ駆動シリンダ13で発生した液圧はホイールシリンダ2b・3bに供給される。また、開閉弁24a・24bが閉じられたことによって、マスターシリンダ15で発生する液圧は、ホイールシリンダ2b・3b及びモータ駆動シリンダ13へと供給されず、シミュレータ28に供給される。これにより、ブレーキペダル11にはシミュレータ28の反力が付与される。
【0052】
以上の制御によって、ブレーキペダル11の操作がなされて、モータ駆動シリンダ13の電動サーボモータ12が始動する際に、制御ユニット6が、開閉弁24a・24b及びシミュレータ弁24cを開き、電動サーボモータ12の始動時のオーバーシュートが落ち着いた後に開閉弁24a・24bを閉じるようにしたため、モータ駆動シリンダ13の始動時に液圧のオーバーシュートが発生しても、この液圧がホイールシリンダ2b・3bを駆動することが防止される。
【0053】
以上の制御では、ブレーキペダル11の踏み込み開始からホイールシリンダ2b・3bに液圧が供給されるまでの時間をより短縮するために、開閉弁24a・24bが閉弁状態となる時間T3がモータ駆動シリンダ13の作動を開始する時間T1から期間Tsh1経過したときとなるように、開閉弁24a・24bの閉弁作動タイミングを早めてもよい。この場合、時間T3はT1+Tsh1となり、時間T2は、T1+Tsh1−Tv(開閉弁24a・24bの閉弁作動に要する時間)となる。すなわち、開閉弁24a・24bの閉弁作動が完了する前に、電動サーボモータ12の起動時のオーバーシュートが落ち着くように設定すればよい。
【0054】
一方、ペダル位置が位置P1となった場合(時間T1)における電源電圧が閾値電圧Vsh以上であるか否かを判定が、電源電圧が閾値電圧Vshより低いと判定した場合には、図6に示すように、制御ユニット6は開閉弁24a・24bを閉弁作動する。このとき、電動サーボモータ12は作動されないため、開閉弁24a・24bに供給される電圧Vvは、起動保証電圧以上に維持され、開閉弁24a・24bの閉弁は確実に行われる。
【0055】
時間T4(=T1+Tv)には、開閉弁24a・24bは閉弁状態となる。制御ユニット6は、時間T1から期間Tsh2が経過した時間T5(T1+Tsh2)から電動サーボモータ12を作動させる。ここで、期間Tsh2は、開閉弁24a・24bの閉弁作動に要する時間よりも長いため、時間T5においては、開閉弁24a・24bは閉弁状態となっている。時間T5では、電動サーボモータ12が作動によって、電動サーボモータ12に大きな起動電流が流れ、開閉弁24a・24bに供給される電圧VvがVv2まで低下し、起動保証電圧より低くなるが、開閉弁24a・24bの閉弁状態では起動保証電圧より低い保持保証電圧が維持されれば開閉弁24a・24bの閉弁状態を維持することができる。
【0056】
ステップS2での判定結果に関わらず、電源の失陥等によりモータ駆動シリンダ13が作動不能となった異常時には、常開型電磁弁である開閉弁24a・24bが自動的に開かれ、常閉型電磁弁であるシミュレータ弁24cが自動的に閉じられる。これにより、ブレーキペダル11の操作に応じてマスターシリンダ15で発生した液圧は、配管42a・42b及びVSA装置26を介してホイールシリンダ2b・3bに伝達される。
【0057】
なお、電源の失陥による場合でなくても、制御ユニット6は、ペダル位置に基づいてペダル操作がなされているにも関わらず、かつモータ回転角センサ44からのモータ回転角に変化が検出されない場合には、開閉弁24a・24bを開いた状態に維持すると共に、シミュレータ弁24cを閉じる。これにより、ブレーキペダル11の操作に応じてマスターシリンダ15で発生した液圧は、配管42a・42b及びVSA装置26を介してホイールシリンダ2b・3bに供給される。制御ユニット6が、このように開閉弁24a・24b及びシミュレータ弁24cを制御することで、モータ駆動シリンダ13のみが作動不能となった場合にも、マスターシリンダ15を使用してホイールシリンダ2b・3bに液圧を供給する方式へと円滑に移行することができる。
【0058】
以上のように、制御ユニット6が開閉弁24a・24b及びモータ駆動シリンダを制御することによって、電源電圧が閾値電圧Vshに関わらず、開閉弁24a・24bの閉弁作動が確実に行われると共に、電源電圧が閾値電圧Vsh以上である場合には、更にモータ駆動シリンダ13の起動時に生じる液圧のオーバーシュートがホイールシリンダ2b・3bに供給されることが防止される。
【符号の説明】
【0059】
1…ブレーキ装置、2b・3b…ホイールシリンダ、6…制御ユニット(制御手段)、8…ブレーキ液圧発生装置、11…ブレーキペダル、11a…ペダル位置センサ(ペダル操作量検出手段)、12…電動サーボモータ、13…モータ駆動シリンダ(液圧発生手段)、15…マスターシリンダ、17a…第1液室、17b…第2液室、23a…第1液室、23b…第2液室、24a・24b…開閉弁、24c…シミュレータ弁、25a…マスターシリンダ側ブレーキ圧センサ、25b…モータ駆動シリンダ側ブレーキ圧センサ、26…VSA装置、28…シミュレータ(反力シミュレータ)、42a・42b…配管(油路)、43a・43b…配管、44…モータ回転角センサ(作動量検出手段)、51…電圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルに機械的に連結され、液圧を発生するマスターシリンダと、
前記マスターシリンダに油路を介して接続されたホイールシリンダと、
前記油路上に設けられた電磁弁である開閉弁と、
前記ブレーキペダルの操作量に対応するペダル操作量を検出するペダル操作量検出手段と、
前記油路の前記開閉弁と前記ホイールシリンダとの間に接続され、電動モータの駆動によって前記油路に液圧を供給する液圧発生手段と、
前記開閉弁及び前記液圧発生手段に電力を供給する電源と、
前記電源の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記ペダル操作量に応じて前記開閉弁及び前記液圧発生手段を制御する制御手段と
を有する車両ブレーキ装置であって、
前記制御手段は、前記電源の電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定し、前記電源の電圧が前記閾値電圧以上である場合には、前記開閉弁を開いた状態に維持すると共に前記ペダル操作量に基づいて前記液圧発生手段の駆動を開始し、前記液圧発生手段の駆動を開始の後に前記開閉弁を閉じることを特徴とする車両ブレーキ装置。
【請求項2】
前記電源の電圧が前記閾値電圧より小さい場合には、前記開閉弁を閉じた後に前記ペダル操作量に基づいて前記液圧発生手段の駆動を開始することを特徴とする請求項1に記載の車両ブレーキ装置。
【請求項3】
前記油路の前記マスターシリンダと前記開閉弁との間の部分に接続され、前記油路からの液を受け入れると共に反力を付与する反力シミュレータと、
前記制御手段によって制御され、前記油路と前記反力シミュレータとの連通を開閉するシミュレータ弁と
を備え、
前記制御手段は、前記電源の電圧が前記閾値電圧以上である場合において、前記液圧発生手段の駆動を開始する前に前記シミュレータ弁を開いた状態にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両ブレーキ装置。
【請求項4】
前記液圧発生手段の作動量を検出する作動量検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ペダル操作量が所定値を以上となり、かつ前記液圧発生手段の作動量の変化を検出しない場合に、前記シミュレータ弁を閉じると共に前記開閉弁を開くことを特徴とする請求項3に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
前記液圧発生手段の作動量を検出する作動量検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記液圧発生手段の作動量が、前記液圧発生手段の駆動開始時に生じるオーバーシュートが落ち着いた時点に対応する所定値に達したときに前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の車両用ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206584(P2012−206584A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73190(P2011−73190)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】