説明

車載情報端末、地図サーバ、および車載システム

【課題】地図データを利用して車両の走行を制御するシステムにおいて、精度の高い制御を実現する。
【解決手段】車両に装備されている走行制御装置群50を制御して車両の走行制御を行う車載情報端末10に、地図データを格納する地図DB100と、地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブル110と、車両が走行する領域を推定し、サポートエリア管理テーブル110を用いて、推定したエリアに含まれる属性データがサポートエリアに対応付けられているか否かを判定し、サポートエリアに対応付けられている場合、地図データを利用した車両の走行制御を行い、サポートエリアに対応付けられていない場合、地図データを利用した車両の走行制御を行わない制御部200と、両の走行制御を行わない制御部200と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを利用して車両の走行を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路の属性データ(道路勾配等を示す情報)を含む地図データを利用して車両の走行を制御する車載システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の車載システムは、車両の現在位置を算出し、その算出した現在位置および地図データから、車両がこれから走行する道路を推定する。そして、特許文献1のシステムは、推定した道路の属性データを利用して、自動変速機、エンジン、サスペンション装置等の動作を制御している。なお、地図データを利用する車載システムには、種々のものがある。例えば、車載システムには、道路の属性データに、道路上にある一時停止線の位置を示すデータを含めておき、その属性データを利用して、車両が一時停止線に近づいたか否かを判定し、一時停止線に近づいたことを判定すると車両の速度を自動的に減速させるものがある。また、車載システムには、地図データに含まれる道路形状の情報から車両が踏切に近づいたか否かを判定し、踏切に近づいたと判定すると車両の速度を自動的に減速させるものもある。
【0003】
【特許文献1】特開平7−192194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地図データを利用する車載システムでは、利用する地図データが最新のものに更新されていることが望ましい。現状の道路状態が反映されていない地図データを利用しても精度の高い走行制御を行えないからである。なお、車載システムでは、通信ネットワークを利用して、地図データをダウンロードして最新バージョンのものに更新することが一般的に行われている。また、地図データをダウンロードする場合には、ネットワークの通信トラフィック等を考慮して、車載システムが保持しているバージョンの地図データと、最新の地図データとの差分情報だけをダウンロードすることも行われている。
【0005】
しかしながら、最新バージョンの地図データをダウンロードした上で、特許文献1等に記載されている従来の車両の走行制御を行ったとしても以下の問題が生じてしまう。具体的には、地図データをバージョンアップさせる際、地図データの全エリア(例えば、ある国(日本等)の地図データの場合、その国の全エリア)を実地調査できないことが多い。また、バージョンアップされた地図データは、実地調査したエリアと、実地調査がされていないエリアとが識別できるように構成されていない。
【0006】
そのため、最新バージョンの地図データをダウンロードしたとしても、地図データの中のどのエリアが実地調査されたエリアであるか否かを判断することができない。そして、最新バージョンの地図データであっても、その中の実地調査されていないエリアを利用すると、精度の高い走行制御ができない。例えば、実際には新たな標識等ができているにもかかわらず、実地調査がされていなければ、それが道路の属性データに反映されないため、その標識等に対応した走行制御を行なえない。
【0007】
また、差分情報だけをダウンロードする場合も同様のことがいえる。差分情報は、地図データの更新部分の情報だけあるため、差分情報に含まれていないエリアが、i)実地調査が行われていないために差分情報に含まれていないのか、ii)実地調査したが、道路や属性情報(例えば標識情報)が変わっていないために差分情報に含まれていないのかの区別がつかない。すなわち、バージョンアップされた地図データのうち差分情報に含まれていなかったエリアの地図データは、実際には新たな標識等ができているにもかかわらず、それが道路の属性情報に反映されないのか、実地調査を行って、最新の道路状況が反映されているのか区別がつかない。そのため、例えば、実際には新たに一時停止線ができているにもかかわらず、それが道路の属性情報に反映されなければ車両が一時停止線の近くにきても減速制御をできない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、地図データを利用して車両の走行を制御するシステムにおいて、精度の高い制御をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、車両に装備されている走行制御装置と通信を行い、該走行制御装置を制御して車両の走行制御を行う車載情報端末に適用される。
【0010】
そして、前記車載情報端末は、道路を構成するリンク、該リンクの道路形状、および該リンクの属性データが含まれている地図データが登録された地図データベース(DB)と、前記地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブルと、車両が走行するエリアを推定し、前記サポートエリア管理テーブルを用いて、前記推定したエリアに含まれる属性データが前記サポートエリアに対応付けられているか否かを判定し、前記属性データに該サポートエリアに対応付けられている場合、前記走行制御装置を制御して、前記地図データを利用した車両の走行制御を行い、該サポートエリアに対応付けられていない場合、地図データを利用した車両の走行制御を行わない制御手段と、を有する。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明の第2の態様は、最新版の地図データを保持し、車両の走行制御を行う車載システムに、該地図データに関する情報を提供する地図サーバに適用される。ここで、前記地図データには、道路を構成するリンク、該リンクの道路形状、および該リンクの属性データが含まれている。
【0012】
そして、前記地図サーバは、前記最新版の地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブルと、地図データに含まれるリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、前記サポートエリア管理テーブルのデータの更新日とを格納している更新日管理テーブルと、前記車載システムと通信を行う通信手段と、前記通信手段を介して、前記車載システムからの各種要求を受け付ける更新確認手段と、を有し、前記更新確認手段は、前記通信手段を介して、前記車載システムから更新確認を求める地図データの確認エリアと、前記車載システムが保持する地図データの該確認エリア内のリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、該確認エリア内のリンクの属性データのサポートエリアの更新日とを取得し、該車載システムから取得した情報と、前記更新日管理テーブルと、前記サポートエリア管理テーブルとを用いて、前記車載システムが保持する地図データの前記確認エリアの属性データ、道路形状、および該属性データのサポートエリアについて、更新する必要があるか否かを判定し、前記車載システムに該判定結果を送信し、さらに、更新する必要がある場合に、更新に必要なデータを送信する。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、地図データに、実地調査済みのエリアを判定するサポートエリアという概念を導入し、サポートエリアの範囲の地図データだけを車両の走行制御に利用するようにしている。そのため、本発明によれば、地図データを利用して車両の走行を制御するシステムにおいて、精度の高い制御ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
《第1実施形態》
先ず、本発明の第1実施形態を説明する。
【0016】
最初に第1実施形態が適用された車両制御システムの機能構成について図1を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態の車両制御システムの機能ブロック図である。
【0018】
図示するように、車両制御システムは、車載情報端末10および走行制御装置群50を備える車載システムと、地図データや地図データに関する情報を提供する地図更新サーバ30と、を有する。車載情報端末10および走行制御群50は、車両に搭載されている。地図更新サーバ30は、ネットワーク(例えば、携帯電話の回線)上で地図データの配信を行うサービスを提供する地図センタに設置されている。
【0019】
先ず、第1実施形態の車両制御システムの概略を簡単に説明する。
【0020】
車載情報端末10は、ユーザ(ドライバや同乗者)にカーナビゲーション装置の機能を提供すると共に、走行制御装置群50の動作を制御する。車載情報端末10は、道路を構成するリンクおよびノードを示す道路データ(道路データには、道路形状を示すデータが含まれる)と、各道路に付随する属性データ(道路の制限速度、曲率、勾配、道路がスクールゾーンの道路であることを示す情報等の属性値)とが含まれる地図データが登録された地図DB100を保持している。地図データは、地図を複数に分割することで得られるメッシュ領域毎に分類されている。また、車載情報端末10は、属性データ各々について、実際に実地調査をしたエリア(サポートエリア)を示す情報を対応付けた端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110を保持している。さらに、車載情報端末10は、地図データに含まれる各道路の道路形状および属性データの更新日を登録した端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130を保持している。
【0021】
車載情報端末10は、地図更新サーバ30と通信を行い、自身が保持している地図データに含まれる道路形状、属性データ、サポートエリアが最新のバージョンの地図データのものであるか否かを確認する。車載情報端末10は、上記の確認により、保持している地図データが最新のバージョンでなければ、自身が持つ地図データと、最新のバージョンの地図データとの差分情報を地図更新サーバ30から取得する。車載情報端末10は、ユーザからの要求にしたがい、取得した差分情報を利用して保持している地図データを更新する。
【0022】
また、本実施形態では、車載情報端末10は、自身が保持している地図データが最新のバージョンの地図データであると確認でき、車両が走行すると推定される地図データのエリア(例えば、車両の現在位置から所定距離の範囲内)がサポートエリアの場合に、走行制御装置群50と協働して、地図データを利用した車両の走行制御を行う。なお、最新のバージョンの地図データであっても、サポートエリアでなければ、地図データを利用した車両の走行制御は行わない。
【0023】
さらに、車載情報端末10は、自身が保持している地図データが最新のバージョンの地図データでない場合であっても、更新されてから所定期間しか経過してなければ、所定要件を満たせば、地図データを利用してユーザに警告を行うようにしている(この場合、地図データを利用した走行制御は行わない)。所定要件を満たす場合とは、地図データの所定のエリア(例えば、車両の現在位置から所定範囲内や、探索された経路が属するメッシュの領域)がサポートエリアである場合をいう。
【0024】
ここで、サポートエリアについて図2を用いて説明する。
【0025】
図2は、本発明の第1実施形態で用いるサポートエリアを説明するための図である。なお、図2は、地図データを構成するメッシュの一部を抽出して模擬的に示している。また、図2では、属性データが、一時停止情報の有無である場合を例にしている。
【0026】
図示する例では、太線で囲んだ部分の内側がサポートエリア1000を示し、太線で囲んだ部分の外側が未サポートエリアを示している。未サポートエリアとは、一時停止情報が在るか否かについて実地調査されていないため、一時停止情報の有無が登録されていないエリアである。サポートエリア1000は、一時停止情報が在るか否かをメッシュ毎に実地調査し、メッシュ毎に一時停止情報の有無を示す情報が登録されているエリアである。例えば、メッシュ1001、1002は、実地調査の結果、一時停止情報が存在しないことが確認されたメッシュである。また、メッシュ1008、1012は、実地調査の結果、一時停止情報が存在することが確認されたメッシュである。
【0027】
このように本実施形態では、既存の地図データにない、サポートエリアという概念を導入して地図データを管理するようにしている。このことにより、(a)未サポートエリアであるために属性データがないメッシュと、(b)実地調査をした上で属性データがないと確認したメッシュとを識別することができる。そして、本実施形態では、サポートエリアに含まれるメッシュの地図データは、走行制御に利用して、サポートエリアに含まれないメッシュの地図データは、走行制御に利用しない。すなわち、本実施形態では、実際の実地調査が行われた正確な地図データだけを走行制御に用いるようにしているため、精度の高い車両走行制御を実現できるようになる。
【0028】
図1に戻り、説明を続ける。地図更新サーバ30は、最新のバージョンの地図データ(マスタの地図データ)を登録した地図DB300と、地図DB300に登録されたマスタの地図データに含まれる属性データ各々について、実地調査をしたエリア(サポートエリア)を対応付けたサーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310と、マスタの地図データに含まれる各道路の道路形状および属性データの更新日を登録したサーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320とを保持している。
【0029】
地図更新サーバ30は、車載情報端末10からの要求(後述する「更新データ確認要求」)に応じて、車載情報端末10が保持している地図データが最新のバージョンのものであるか否かを確認する。地図更新サーバ30は、確認結果を車載情報端末10に送信する。
【0030】
また、地図更新サーバ30は、車載情報端末10からの要求(後述する「更新データ受信要求」)を受信する。そして、地図更新サーバ30は、受信した更新データ受信要求に応じて、車載情報端末10に、車載情報端末10が保持する地図データと、地図更新サーバ30が保持する地図データとの差分情報を送信する。
【0031】
ここで、差分情報について図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1実施形態の地図更新サーバが送信する差分情報を説明するための図である。
【0032】
図3では、3つの異なるバージョンの地図データ2000a〜cを例示している。地図データ2000aは、図示する3つの地図データ2000a〜cの中で一番古いバージョンのものを示している。地図データ2000bは、地図データ2000aを更新したものである。地図データ2000cは、地図データ2000bを更新したものである。また、地図データ2000a〜cの中の太線で囲んだ部分の内側がサポートエリア1000a〜cを示している。また、ここでは、属性データが一時停止情報の有無である場合を示している。
【0033】
地図データ2000bは、地図データ2000aのサポートエリア1000a内のメッシュA、Bの属性データが更新されたものである。すなわち、実地調査により、メッシュA、Bは、一時停止情報があるエリアになっていることが確認されたため、地図データ2000aが地図データ2000bに更新されている。この場合、地図データ2000aと、地図データ2000bとの差分情報は、メッシュA、Bに付加された属性データになる。したがって、地図更新サーバ30は、車載情報端末10に差分情報として、メッシュA、Bに一時停止情報有りの属性データが付加されたことを示す情報を送信する。
【0034】
また、地図データ2000cは、地図データ2000bのサポートエリアbを拡大したものである。すなわち、実地調査により、メッシュC、D、E、F、G、H、I、Jが新たにサポートエリアとして付加されている。この場合、地図データ2000bと、地図データ2000cとの差分情報は、サポートエリアに加えられたメッシュC、D、E、F、G、H、I、Jになる。したがって、地図更新サーバ30は、車載情報端末10に差分情報として、サポートエリアにメッシュC、D、E、F、G、H、I、Jが付加されたことを示す情報を送信する。
【0035】
次に、図1を参照しながら、第1実施形態の車両制御システムの構成について具体的に説明する。
【0036】
車載情報端末10は、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、属性値管理テーブル120、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130、制御部200、車載機器ゲートウェイ(GW)210、通信部220、属性別最新地図確認部230、属性別更新データ送信部240、ナビゲーション処理部250、警告部260、警告・制御切替部270、スピーカ280、および表示部290を有する。
【0037】
ここで、車載情報端末10には、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(GPS信号)を受信するGPS受信装置(図示しない)と、ユーザからの操作を受け付ける操作スイッチ等の入力装置(図示しない)と、車速センサおよびジャイロセンサ等の各種センサ(図示しない)と、が接続されているものとする。なお、GPS受信装置は、GPS信号を受信し、車両とGSP衛星間の距離および距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで車両の現在位置、進行方向および進行方位を測定して測定データを車載情報端末10に出力する。
【0038】
地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、および端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130の説明は、上述したため省略する。なお、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、および端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130のデータ構造については、後述する。
【0039】
属性値管理テーブル120は、車載システムを搭載する車両が走行制御に利用する属性データを判別するためのものである。具体的には、属性値管理テーブル120は、属性データの種類毎に、車両に装備されている走行制御装置群50がその属性データを利用するか否かを示すデータを対応付けている(図6参照)。
【0040】
制御部200は、車載情報端末10全体の動作を制御する。制御部200は、車載情報端末10の各機能部を制御して、地図更新サーバ30にアクセスして、地図DB100に登録されている地図データを最新バージョンのものに更新したり、走行制御装置群50に車両の走行制御を実行させたりする。
【0041】
車載機器GW210は、車載用情報端末10と走行制御装置群50との間で通信を行うゲートウェイである。なお、本実施形態では、走行制御装置群50が車両に設置されているコントロールエリアネットワーク(CAN(controller area network))に接続されている場合を例にする。すなわち、車載情報GW210は、CANに接続されている走行制御装置群50を構成する各装置との間の通信を実現する。
【0042】
通信部220は、ネットワークを介して(携帯電話の回線等)、車両の外部にある装置と通信を行う。例えば、通信部220は、地図センタにある地図更新サーバ30と通信を行う。
【0043】
属性別最新地図確認部230は、通信部220を介して地図更新サーバ30にアクセスして、地図DB100に登録されている地図データが最新のものであるか否かの問い合わせを行う。なお、属性別最新地図確認部230が行う処理の具体的な内容は、後述する。
【0044】
属性別更新データ送信部240は、地図DB100に登録されている地図データが最新のものでない場合(地図DB100に登録されている地図データに関する更新データが有る場合)に、通信部220を介して地図更新サーバ30にアクセスして、地図DB100に登録されている地図データと、地図更新サーバ30が保持するマスタの地図データとの差分情報を取得する。なお、属性別更新データ送信部240が行う処理の具体的な内容は、後述する。
【0045】
ナビゲーション処理部250は、カーナビゲーション装置の機能を提供する。ナビゲーション処理部250は、GPS受信装置(図示しない)からの測位データや車速センサおよびジャイロセンサ等の各種センサ(図示しない)が検出した信号、および地図データを用いて、車両の現在位置を定期的に算出する。そして、ナビゲーション処理部250は、定期的に算出した現在位置を地図上に示した地図画像生成し、生成した地図画像を表示部290に表示する。また、ナビゲーション処理部250は、ユーザから受け付けた目的地までの推奨経路を探索して、ユーザに提示する。
【0046】
また、本実施形態のナビゲーション処理部250は、推奨経路を探索しないで、地図上に車両の現在位置を表示するフリー走行モードと、推奨経路を探索して、車両が探索した推奨経路を走行するように誘導するナビルート走行モードとを備える。ナビゲーション処理部250は、各モードに応じてユーザを誘導する。
【0047】
フリー走行モードでは、ナビゲーション処理部250は、算出した現在位置周辺の地図データを地図DB100から読出して、地図上に現在位置を示した地図画像を生成して表示部290に表示する。
【0048】
ナビルート走行モードでは、ナビゲーション処理部250は、ユーザからの経路探索要求を受け付け、地図データを利用して、現在位置(或いは、ユーザが指定した出発地)から目的地までの推奨経路を探索する。そして、ナビゲーション処理部250は、定期的に算出する現在位置と、探索した推奨経路と、地図データとを用いてユーザを目的地まで誘導する。例えば、ナビゲーション処理部250は、推奨経路を地図上に重ねた画面を表示部290に表示しておいて、車両が推奨経路上を走行するために必要な情報(たとえば、次の交差点を曲がるべきか否かなどの情報)を画面上で表示したり、スピーカ290を介してユーザに知らせたりにする。
【0049】
さらに、ナビゲーション処理部250は、地図データがサポートエリアの場合、警告部260と連携して、ユーザに注意を促す警告を行ったり、走行制御装置群50と連携して車両の走行制御をしたりする。
【0050】
警告部260は、ナビゲーション処理部250から取得した情報を利用して、ユーザに注意を喚起する警告を行う。警告部260は、スピーカ280から音声で警告を知らせたり、表示部290に注意を喚起する画像表示して警告したりする。例えば、車両がスクールゾーンの近くを走行している場合、警告部250は、車両がスクールゾーンの近くいる旨をユーザに告知する。
【0051】
警告・制御切替部270は、走行制御を実行する走行制御モード、警告処理を実行する警告モード、走行制御および警告処理のいずれも行わない無制御モードのいずれかにモードを設定する。なお、警告・制御切替部270の処理は、後述する図16で詳細に説明する。
【0052】
スピーカ280は、警告部260からの音声データを出力したり、ナビゲーション処理部250からの音声データを出力したりする。
【0053】
表示部290は、液晶ディスプレイ等により構成される表示装置であり、地図画像等の各種画像を表示する。
【0054】
なお、本実施形態では、車載情報端末10の上述した各機能部を実現するためのハードウェア構成について特に限定しない。以下では、車載情報端末10は、CPU、メモリ、通信インタフェース(IF)、およびI/Oインタフェース(IF)を備える情報処理装置と、液晶ディスプレイ等の表示部290と、スピーカ280と、車載機器GW210と、を備えるシステムにより構成されている場合を例にする。
【0055】
この場合、メモリには、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、属性値管理テーブル120、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130が記憶されているものとする。また、メモリには、制御部200、通信部220、属性別最新地図確認部230、属性別更新データ送信部240、ナビゲーション処理部250、警告部260、および警告・制御切替部270の機能を実現するための各プログラムが記憶されているものとする。そして、制御部200、通信部220、属性別最新地図確認部230、属性別更新データ送信部240、ナビゲーション処理部250、警告部260、および警告・制御切替部270の各機能は、CPUがメモリに記憶されている各プログラムを実行することにより実現される。
【0056】
なお、制御部200、通信部220、属性別最新地図確認部230、属性別更新データ送信部240、ナビゲーション処理部250、警告部260、および警告・制御切替部270の機能をソフトウェアにより実現するのではなく、各機能を実現するために専用に設計されたハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))により実現するようにしてもよい。
【0057】
続いて、地図更新サーバ30の具体的な構成を説明する。地図更新サーバ30は、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、制御部400、通信部410、属性別最新地図確認部420、および属性別地図更新データ送信部430を有する。
【0058】
なお、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、およびサーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320は、上述したためここでの説明は、省略する。
【0059】
制御部400は、地図更新サーバ30全体の動作を制御する。
【0060】
通信部410は、ネットワークを介して(携帯電話の回線等)、外部の装置と通信を行う。例えば、通信部410は、車両に搭載されている車載情報端末10と通信を行う。
【0061】
属性別最新地図確認部420は、通信部410を介して、車載情報端末10からの更新データ確認要求を受信すると、更新データ確認要求を送信した車載情報端末10が保持する地図データが最新のものであるか否かを確認する。属性別最新地図確認部420は、通信部410を介して、更新データ確認要求を送信した車載情報端末10に、確認した結果を送信する。なお、属性別最新地図確認部420の処理は、後段で詳細に説明する。
【0062】
属性別最新地図更新データ送信部430は、通信部410を介して、車載情報端末10からの更新データ受信要求を受信すると、更新データ受信要求を送信した車載情報端末10が保持する地図データと、地図DB300に登録されているマスタの地図データとの差分情報を求める。属性別最新地図更新データ送信部430は、通信部410を介して、更新データ受信要求を送信した車載情報端末10に、求めた差分情報を送信する。なお、属性別最新地図更新データ送信部430の処理は、後段で詳細に説明する。
【0063】
なお、本実施形態では、地図更新サーバ30の上述した各機能部を実現するためのハードウェア構成について特に限定しない。以下では、地図更新サーバ30は、CPU、メモリ、通信インタフェース(IF)、およびI/Oインタフェース(IF)を備える情報処理装置により実現される場合を例にする。この場合、メモリには、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320が記憶されているものとする。また、メモリには、制御部400、通信部410、属性別最新地図確認部420、および属性別更新データ送信部430の機能を実現するための各プログラムが記憶されているものとする。そして、制御部400、通信部410、属性別最新地図確認部420、および属性別更新データ送信部430の機能は、CPUがメモリに記憶されている各プログラムを実行することにより実現される。
【0064】
なお、制御部400、通信部410、属性別最新地図確認部420、および属性別更新データ送信部430の機能をソフトウェアにより実現するのではなく、各機能を実現するために専用に設計されたハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))により実現するようにしてもよい。
【0065】
次に、走行制御装置群50について説明する。
【0066】
走行制御装置群50は、車載情報端末10から走行制御の実行要求を受け付ける。走行制御装置群50は、走行制御の実行要求を受け付けると、車載情報端末10と通信を行い、車載情報端末10から走行制御に必要なデータ(例えば、車両がスクールゾーンに近づいている等の情報)を取得する。そして、走行制御装置群50は、取得したデータを利用して車両の走行制御を行う。
【0067】
具体的には、走行制御装置群50は、自動速度制御部500、スクールゾーン制御部505、踏切停止制御部510、一時停止線制御部515、料金所速度制御部520、配光制御部525、レーンキープ制御部530、シフトチェンジ制御部535、およびHEV(Hybrid Electric Vehicle)回生ブレーキ制御部540を有する。なお、走行制御装置群50は、速度センサから車速の入力を受け付けているものとする。
【0068】
自動速度制御部500は、車載情報端末10と協働して、制限速度を超えた場合に警告を行い、さらに、その速度超過の状態が所定時間(例えば、5秒)以上続いた場合に、法定速度以下になるように車両を制御する。本実施形態では、自動速度制御の具体的手順について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、車両の速度監視および警告処理を車載情報端末10が行い、車両の速度制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0069】
具体的には、車載情報端末10のナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(制限速度(法定速度)情報)と、速度センサからの車速とを用いて、車両の速度超過を監視する。ナビゲーション処理部250は、速度センサからの車速が制限速度(現在位置がある道路の制限速度)を超えていれば、警告部260を介して、ユーザに警告を行う。この場合、警告部260は、例えば、表示部290に警告を告知する画像を表示したり、スピーカ290に警告音を出力する。
【0070】
さらに、ナビゲーション処理部250は、制限速度を超えている状態が所定時間(例えば5秒)以上続いた場合、自動速度制御部500に制限速度を超えている旨を通知する。この通知には、現在位置がある道路の制限速度を示す情報も含めておく。
【0071】
自動速度制御部500は、ナビゲーション処理部250からの通知を受け付けると、通知に含まれる情報を利用して、車両の速度が制限速度(法定速度)以下になるように車両の各部(エンジン、トランスミッション、ブレーキ)を制御する。
【0072】
スクールゾーン制御部505は、車載情報端末10と協働して、車両がスクールゾーンに近づいたら、その旨をユーザに告知し、さらに、車両の速度を減速する。スクールゾーン制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、車両がスクールゾーンに進入しているか否かの監視および警告処理を車載情報端末10が行い、車両がスクールゾーンに進入した際の走行制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0073】
車載情報端末10のナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(その道路がスクールゾーンであるか否かを示す情報)とを用いて、車両がスクールゾーンに進入しているか否かの監視を行う。
【0074】
そして、ナビゲーション処理部250は、車両がスクールゾーンから所定距離(例えば50m)に近づいているか否かを判定し、所定距離に近づいたと判定すると、ユーザに車両がスクールゾーン内に接近していることを告知する。例えば、車載情報端末10の警告部260に警告を行わせる。この場合、さらに、ナビゲーション処理部250は、車両がスクールゾーン内に接近していることを走行制御装置群50のスクールゾーン制御部505に通知する。スクールゾーン制御部505は、上記の通知を受けると、速度センサから取得している車両の速度から、車両が減速しているかどうかを確認し、減速していない場合に、エンジンパワーを下げる。
【0075】
また、ナビゲーション処理部250は、車両がスクールゾーンに入った場合に、ユーザに車両がスクールゾーンに進入したことを告知すると共に、その旨をスクールゾーン制御部505に通知する。スクールゾーン制御部505は、車両がスクールゾーン内を進入した旨の通知を受けると、車両が減速しているかどうかを確認する。スクールゾーン制御部505は、減速していない状態が所定時間(例えば2秒)以上続いた場合に、トランスミッションをシフトダウンするように制御する。
【0076】
さらに、ナビゲーション処理部250は、車両がスクールゾーンに入って所定距離(例えば50m)を通過した場合に、ユーザに、スクールゾーン内を走行していることを告知すると共に、その旨をスクールゾーン制御部505に通知する。スクールゾーン制御部505は、スクールゾーン内を走行している旨の通知を受けると、減速しているかどうかを確認し、減速していない場合にはブレーキ制御し、車両を所定速度(例えば、時速10km)以下に減速する。
【0077】
踏切停止制御部510は、車載情報端末10と協働して、踏切から所定距離に車両が近づくと、その旨をユーザに告知すると共に、車両が減速していなければ減速する。踏切停止制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、車両が踏切に近づいているか否かの監視および警告処理を車載情報端末10が行い、車両が踏切に近づいた際の走行制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0078】
車載情報端末10のナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(踏切の有無を示す情報)とを用いて、車両が踏切に近づいているか否かの監視を行う。
【0079】
ナビゲーション処理部250は、車両が踏切の一時停止位置から第1距離(例えば、一時停止位置手前200m)に到着した際、その旨をユーザに告知する。例えば、警告部260に警告がユーザに知らせる。
【0080】
また、ナビゲーション処理部250は、車両が踏切の一時停止位置から第2距離(第1距離より短い距離(例えば、一時停止位置手前60m)に到着した際、車両が減速しているか否かを判定し、減速していなければ、その旨を走行制御装置群50の踏切停止制御部510に通知する。踏切停止制御部510は、上記の通知を受けるとエンジンパワーを下げる。
【0081】
また、ナビゲーション処理部250は、車両が踏切の一時停止位置から第3距離(第2距離より短い距離(例えば、一時停止位置手前40m))に到着した際、車両が減速しているか否かを判定する。ナビゲーション処理部250は、上記の判定により、車両が減速していなければ、その旨を踏切停止制御部510に通知する。踏切停止制御部510は、上記の通知を受けると、トランスミッションをシフトダウンするように制御し、車両が安全に止まれる速度になるようにする。
【0082】
さらに、ナビゲーション処理部250は、車両が踏切の一時停止位置から第4距離(第3距離より短い距離(例えば、一時停止位置手前20m))に到着した際、車両が減速しているか否かを判定する。ナビゲーション処理部250は、上記の判定により、車両が減速していなければ、その旨を踏切停止制御部510に通知する。踏切停止部510は、上記の通知を受けると、ブレーキを制御し、車両が安全に止まれる速度になるようにする。
【0083】
一時停止線制御部515は、車載情報端末10と協働して、道路上の一時停止線に車両が近づくと、その旨をユーザに告知すると共に、車両の速度を減速する。一時停止線制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、上述した踏切制御と同様の手順にしたがい、車両の走行速度を制御するようにしてもよい。なお、一時停止線制御に利用する道路の属性データは、一時停止線の有無を示す情報である。
【0084】
料金所速度制御部520は、車載情報端末10と協働して、料金所に車両が近づくと、その旨をユーザに告知すると共に、車両の速度を減速する。料金所一時停止線制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、上述した踏切制御と同様の手順にしたがい、車両の走行速度を制御するようにしてもよい。なお、料金所速度制御に利用する道路の属性データは、料金所の位置を示す情報である。
【0085】
配光制御部525は、車載情報端末10と協働して、道路形状に応じて車両の前照灯の方向を制御する。配光制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、車両がカーブに進入するか否かの監視および上り坂や下り坂などの勾配の変化点に到着したか否かの監視と、警告処理とを車載情報端末10が行い、走行制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0086】
ナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(道路の曲率、および道路の勾配)とを用いて、車両がカーブに進入するか否かの監視および上り坂や下り坂などの勾配の変化点に到着したか否かの監視を行う。ナビゲーション処理部250は、車両がカーブに進入する手前にいると判定すると、その旨を配光制御部515に通知する。なお、車両がカーブに進入する手前にいる旨の通知には、そのカーブ周辺の道路の属性データを含めておく。配光制御部515は、車両がカーブに進入する手前にいる旨の通知を受けると、道路の属性データを利用して車両の前照灯の左右方向を制御する。
【0087】
また、ナビゲーション処理部250は、車両が上り坂や下り坂などの勾配の変化点に位置すると判定すると、その旨を配光制御部515に通知する。なお、上り坂や下り坂などの勾配の変化点に位置する旨の通知には、その変化点周辺の道路の属性データを含めておく。配光制御部515は、上記の勾配の変化点に位置する旨の通知を受けると、道路の属性データを利用して前照灯の上下方向を制御する。
【0088】
レーンキープ制御部530は、車載情報端末10と連動して、車両の走行レーンから逸脱判定を行い、逸脱していれば警告を行うと共に、車両沿操舵角を制御する。レーンキープ制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、車両の走行レーンから逸脱判定および警告処理を車載情報端末10が行い、車両が逸脱した際の車両沿操舵角の制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0089】
車載情報端末10のナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(道路の幅員、道路の曲率)とを用いて、車両が走行レーンから逸脱したか否かを判定する。
【0090】
ナビゲーション処理部250は、走行レーンから逸脱したと判定した場合、警告部260を介して、ユーザに走行レーンから逸脱している旨を告知する。この場合、警告部260は、例えば、表示部290に警告を表示したり、スピーカ280に警告音を出力する。さらに、レーンキープ制御部530は、走行レーンから逸脱したと判定した場合には、走行レーンから逸脱している旨をレーンキープ制御部530に通知する。この通知には、現在位置の道路の属性データも含めておく。レーンキープ制御部530は、走行レーンから逸脱している旨の通知を受けると、道路の属性データを利用して、車両沿操舵角を制御する。
【0091】
シフトチェンジ制御部535は、車載情報端末10と協働して、前方にカーブあるいは勾配があると判定された場合に、その勾配、カーブに応じたシフトアップダウンの制御を行う。シフトチェンジ制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、前方にカーブあるいは勾配があるとの判定を車載情報端末10が行い、前方にカーブあるいは勾配があるとの判定した場合のシフトチェンジ制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0092】
ナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(道路の曲率、および道路の勾配を示す情報)とを用いて、車両が走行する前方にカーブあるいは勾配があるか否かを判定する処理を行う。ナビゲーション処理部250は、車両が走行する前方にカーブあるいは勾配があると判定すると、その旨を走行制御装置群50のシフトチェンジ制御部525に通知する。この通知には、車両が走行している道路および前方の道路(カーブあるいは勾配の道路)の属性データを含める。シフトチェンジ制御部535は、車両が走行する前方にカーブあるいは勾配がある旨の通知を受けると、属性データを利用して、その勾配、カーブに応じたシフトアップダウンの制御を行う。
【0093】
HEV回生ブレーキ制御部540は、車載情報端末10と協働して、カーブ手前で回生ブレーキをできるだけ長く使って減速を行う。また、HEV回生ブレーキ制御部540は、坂道であることを判断された場合に回生ブレーキを使う。HEV回生制御の具体的内容について特に限定しないが、例えば、以下のように制御してもよい。以下では、車両がカーブの手前に近づいているか否かの判定、および坂道を走行しているか否かの判定を車載情報端末10が行い、HEV回生ブレーキの制御を走行制御装置群50が行う場合を例にする。
【0094】
すなわち、ナビゲーション処理部250は、定期的に算出する車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データ(道路の曲率、および道路の勾配)とを用いて、車両がカーブの手前に近づいているか否かの判定、および坂道を走行しているか否かの判定を行う。
【0095】
ナビゲーション処理部250は、車両がカーブに近づいていることや、車両が坂道を走行している(或いは坂道に近づいている)と判定すると、その旨をHEV回生ブレーキ制御部540に通知する。この通知には、車両が走行している道路および前方の道路(カーブあるいは勾配の道路)の属性データを含める。HEV回生ブレーキ制御部540は、カーブに近づいている旨の通知を受けると、属性データを利用してカーブ手前で回生ブレーキをできるだけ長く使って減速を行う。また、HEV回生ブレーキ制御部540は、車両が坂道を走行している旨の通知を受けると、回生ブレーキを使い、車両の走行制御を行う。
【0096】
ここで、上述した走行制御と、その走行制御に利用する地図データとの対応表を図4に示す。図示する対応表では、上述した車載情報端末10および走行制御装置群50が連動して行う走行制御処理毎に、その走行制御に利用するデータが対応付けられている。
【0097】
なお、走行制御装置群50が行う車両の走行制御は、既存の技術により実現可能なものと用いることができるため、ここでの説明は、省略する。
【0098】
続いて、第1実施形態で利用する各データのデータ構造について説明する。
【0099】
図5は、本発明の第1実施形態で利用する地図データのデータ構造を模擬的に例示した図である。図5では、地図センタの地図更新サーバ30の地図DB300に格納された地図データと、車両に搭載された車載情報端末10の地図DB100に格納された地図データとを示している。なお、地図DB300に格納された地図データと、地図DB100に格納された地図データとは同じデータ構造である。
【0100】
図示するように、地図データは、データの詳細度に応じてレベル分けされている。また、地図データは、地図の描画にだけ利用するデータと、描画、警告および走行制御に共用で利用するデータとに分離して管理されている。
【0101】
具体的には、地図データは、レベル0からレベル6までの7つのレベル(地図の詳細度により分類されたレベル)のデータ1010〜1016に分類されている。なお、本実施形態では、レベル0のデータ1010は、地図の描画にだけ利用するものとする。また、レベル2〜6のデータ1012、1013、1014、1015、1016は、地図の描画にだけ利用するものとする。また、レベル1のデータ1011は、地図の描画、警告、および走行制御に共用で利用するものとする。そして、車載情報端末10の地図データの更新は、レベル1のデータ1011だけ行うものとする。すなわち、車載情報端末10は、地図更新サーバ30にアクセスし、地図DB100に格納した地図データの中で、レベル1のデータ1011だけ更新されたか否かの確認を行う。車載情報端末10は、更新されていれば、地図更新サーバ30から差分情報を取得して、地図DB100の地図データを更新する。
【0102】
続いて、属性値管理テーブル120のデータ構造について、図6を用いて説明する。
【0103】
図6は、本発明の第1実施形態の属性値管理テーブルのデータ構造を模擬的に例示した図である。
【0104】
属性値管理テーブル120は、属性データの種類毎に、車両に装備されている走行制御装置群50がその属性データを利用するか否かを示すデータを対応付けている。図示する属性値管理テーブル120では、例えば、「制限速度」に「未対応」が対応付けられている。これは、車載情報端末10を搭載した車両に装備されている走行制御装置群50に、地図データに含まれる「制限速度」を利用する制御装置が無いことを示している。また、図示する属性値管理テーブル120では、例えば、「踏切(踏切の有無を示す情報)」に「対応」が対応付けられている。これは、車載情報端末10を搭載した車両に装備されている走行制御装置群50に、地図データに含まれる「踏切(踏切の有無を示す情報)」を利用する制御装置が含まれていることを示している。
【0105】
このように、車載情報端末10に属性値管理テーブル120を持たせるようにしたのは、図7に例示するように、車両により装備されている走行制御装置が異なるためである。
【0106】
図7は、本発明の第1実施形態の車載システムと、属性データとの関係を説明するための図である。
【0107】
図示するように、車両Aには、踏切停止制御、一時停止線制御、および料金所速度制御を行う走行制御装置が搭載されている。そのため、車両Aでは、走行制御に利用する属性データは、「踏切(踏切の有無を示す情報)」、「制限速度」、および「料金所(踏切の有無を示す情報)」になる。一方、車両Bには、自動速度制御、スクールゾーン制御、踏切停止制御、一時停止線制御、料金所速度制御、配光制御、レーンキープ制御、シフトチェンジ制御、HEV回生ブレーキ制御、見通し悪さ制御、およびサグ制御を行う走行制御装置が搭載されている。そのため、車両Bでは、走行制御に利用する属性データは、図示する属性データ(制限速度、曲率、勾配、踏切、一時停止線、料金所、スクールゾーン、標識、見通しの悪さ、サグ)を全て使う。
【0108】
そして、本実施形態では、属性値管理テーブル120を利用して、車載情報端末毎に車両の走行制御に必要な属性データを確認できるようにすることで、地図データに含まれる全ての属性データについて、更新確認処理、および差分情報の取得処理を行う必要がなくなる。すなわち、車両の走行制御に必要な属性データに対して、更新確認処理、および差分情報の取得処理を行えばよい。例えば、車両Aに搭載されている車載情報端末A10では、走行制御に利用する属性データが最新バージョンのものであるか否を確認は、「踏切(踏切の有無を示す情報)」、「制限速度」、および「料金所(踏切の有無を示す情報)」に関するデータだけでよいことになる。その結果、属性データの更新確認処理、および差分情報の取得処理の際の、車載情報端末10と地図更新サーバ30との間で通信するデータ量を軽減させることができる。
【0109】
次に、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110について、図8を用いて説明する。
【0110】
図8は、本発明の第1実施形態の端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110のデータ構造を模擬的に示した図である。
【0111】
端末側属性値別サポート管理テーブル110は、属性データの種類毎に実際に実地調査済みのエリア(サポートエリア)を示す情報を対応付けている。例えば、図示する例では、属性データである「一時停止線の有無」に、実地調査したエリアを示す情報が対応付けられている。また、属性データである「横断歩道の有無」に、実地調査したエリアを示す情報が対応付けられている。
【0112】
ここで、端末側属性値別サポート管理テーブル110に登録される属性データとは、属性値管理テーブル120において、「対応」を示す情報が対応付けられている属性データである。
【0113】
次に、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル110について、図9を用いて説明する。
【0114】
図9は、本発明の第1実施形態の端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブルを模擬的に示した図である。
【0115】
端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130は、エリア毎に、道路形状、および各属性データの更新日を対応付けている。例えば、図示する例では、エリア1〜3のそれぞれについて、道路形状および属性データの種類毎に、更新日が登録されている。なお、図示する例では、示していないが、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130には、サポートエリア管理テーブル110が更新された更新日も登録されているものとする。
【0116】
このように、更新日を登録するようにしたのは、地図DB100に登録された地図データが最新のバージョンのデータであるか否かを確認するためである。また、更新日からの経過期間により、データとしての信頼性が変化すると考えられるためである(すなわち、更新日から長期間が経過して古くなれば、データとしての信頼性が低下する)。本実施形態では、車載情報端末10が保持している地図データが最新バージョンのものであるか否かを確認できない場合であっても、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130を参照して、更新日から所定期間(例えば2年)を経過していなければ、そのデータが信頼できるものと判断し、所定要件(車両が走行するエリアがサポートエリアであること)を満たすこと要件に、その地図データを利用した警告処理を行う。一方、更新日から所定期間(例えば2年)を経過していれば、その地図データを利用した警告処理は、行わない。
【0117】
次に、サーバ側属性別サポートエリア管理テーブル310について説明する。
【0118】
サーバ側属性別サポートエリア管理テーブル310のデータ構造は、図8で示した端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110のものと同じである。但し、サーバ側属性別サポートエリア管理テーブル310に登録される属性データは、地図DB300に格納されているマスタの地図データに含まれる属性データ(全ての種類の属性データ)が登録されている。
【0119】
次に、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320のデータ構造について、図10を用いて説明する。
【0120】
図10は、本発明の第1実施形態のサーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320のデータ構造を模擬的に示した図である。
【0121】
サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320は、地図DB300に格納されているマスタの地図データのエリア毎に、マスタの地図データに含まれる道路形状、および属性データの更新日を登録している。サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320のデータ構造は、図8で示した端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル110と同様である。但し、属性データとして、マスタの地図データに含まれる道路形状および属性データの全ての種類が登録されている。なお、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320についても、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130と同様、サポートエリア管理テーブル110が更新された更新日も登録されているものとする。
【0122】
続いて、本発明の第1実施形態の車両制御システムが行う処理の手順を説明する。
【0123】
最初に、第1実施形態の車載システムが行う全体処理について、図11を用いて説明する。
【0124】
図11は、本発明の第1実施形態の車載システムが行う全体処理の概略を示すフローチャートである。なお、以下で示す処理は、車載情報端末10および走行制御群50を搭載している車両のエンジンパワーが始動すると(ON状態になると)開始される。
【0125】
先ず、車載情報端末10の制御部200は、ナビ走行モードの判定を行う(S1)。
【0126】
次に、制御部200は、地図データの更新確認内容を設定する(S2)。具体的には、制御部200は、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル1110、属性値管理テーブル120、および端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130を用いて、地図更新サーバ30に問い合わせる更新確認内容を特定する。その後、制御部200は、属性別最新地図確認部230に地図更新確認処理を指示する。なお、S1〜2の具体的な処理手順については、後述する図12で説明する。
【0127】
次に、属性別最新地図確認部230が地図更新確認処理を行う(S3)。具体的には、属性別最新地図確認部230は、制御部200からの地図更新確認処理の指示を受け付けると、通信部220を介して、地図更新サーバ30にアクセスして、地図更新確認処理を行う(S3)。属性別最新地図確認部230は、地図更新確認処理により、地図更新サーバ30から地図DB100の地図データを更新する必要があるか否かを示す情報を取得し、取得した情報を制御部200に通知する。なお、S3の具体的な処理手順については、後述する図13で説明する。
【0128】
次に、制御部200は、属性別更新データ送信部240に地図更新データ取得処理を実行させる(S4)。なお、S4の具体的な処理手順については、後述する図14で説明する。
【0129】
次に、制御部200は、車載情報端末10が保持する地図データの更新処理を行う(S5)。なお、S5の処理の具体的な手順については、後述する図15で説明する。
【0130】
次に、制御部200は、走行制御/警告モードの設定処理を行う(S6)。なお、S6の具体的な処理手順については、後述する図16で説明する。
【0131】
次に、車載情報端末10および走行制御装置群50が連動し、S6で設定されたモードにしたがい、走行制御処理あるいは警告処理を行う(S7)。なお、S7の処理内容については後述する。
【0132】
その後、制御部200は、車両のエンジンパワーがOFFになると処理を終了する(S8)。
【0133】
続いて、図11に示したナビ走行判定処理(S1)および更新確認内容設定処理(S2)の具体的な手順について、図12を用いて説明する。
【0134】
図12は、図11で示したS1およびS2の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【0135】
先ず、制御部200は、ナビゲーション処理部250が経路探索を実行したか否かを確認し、経路探索を実行していなければS410に進み、経路探索を実行していればS435に進む(S405)。具体的には、制御部200は、ナビゲーション処理部250に対して、経路探索を実行したか否かを問い合わせる。ナビゲーション処理部250は、制御部200からの問い合わせを受けると、制御部200に、経路探索を実行したか否かを示す情報を通知する。制御部200は、ナビゲーション処理部250から、経路探索を実行した旨を示す情報が通知されるとS435に進む。制御部200は、ナビゲーション処理部250から、経路探索を実行していない旨を示す情報を通知されるとS410に進む。なお、ナビゲーション処理部250は、ユーザからの経路探索要求を受け付け、目的地までの経路を探索していれば、制御部200に経路探索を実行した旨を示す情報を通知する。一方、ナビゲーション処理部250は、目的地までの経路を探索していなければ、制御部に経路探索を実行していない旨を通知する。
【0136】
次に、経路探索を実行していない場合に進むS410〜S430の処理を説明する。
【0137】
制御部200は、走行制御/警告処理(単に、「走行制御」ということもある)に利用する地図データのエリアを特定する処理のモード(走行モード)をナビフリー走行モードに設定する(S410)。
【0138】
次に、制御部200は、ナビゲーション処理部250のロケータ(ナビゲーション処理部250が備える現在位置算出機能)の測位状況を確認し(S415)、測位状況が良好であればS425に進み、測位状況が不良であれば、S415の処理に戻る(S420)。なお、ロケータ(ナビゲーション処理部250が備える現在位置算出機能)の測位状況を確認する方法について、特に限定しない。例えば、GPS受信装置が受信するGPS信号の受信感度が所定値以上であれば、測位良好と判定し、受信感度が所定値より低ければ、測位不良と判定するようにしてもよい。また、例えば、現在位置を算出する際、算出した現在位置の信頼度を求めておき、その信頼度が所定値より高ければ、測位良好と判定し、その信頼度が所定値より低ければ、測位不良と判定するようにしてもよい。なお、現在位置の信頼度の算出には、既存の算出方法を用いる。
【0139】
S425では、制御部200は、属性値管理テーブル120(図6)にアクセスし、必要な地図データの属性データを取得する。必要な地図データの属性データとは、属性値管理テーブル120に登録されている属性データのうち、「対応」を示す情報が対応付けられている属性データである。
【0140】
制御部200は、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定し、その特定した更新確認エリアに関する、走行制御に必要な情報(属性データ、属性データのサポートエリア、および道路形状に関わる更新日)を取得する(S430)。
【0141】
具体的には、S430では、制御部200は、S410で設定した走行モード(ここでは、ナビフリー走行モード)により定まる手順にしたがい、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定する。ここで、ナビフリー走行モードにより定まる手順を説明する。ナビフリー走行モードでは、経路が探索されていない(ドライバから目的地が入力されていない)。本実施形態では、ナビフリー走行モードの場合、車両の現在位置から所定範囲のエリアを車両が今後通行する可能性があるエリアと推定する。すなわち、制御部200は、ナビゲーション処理部250から車両の現在位置を取得し、現在位置周辺から所定距離のエリアを車両が走行するエリアと推定する。そして、推定した地図データのエリアを、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)とする。
【0142】
次に、制御部200は、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、および端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130にアクセスして、地図データの更新確認エリアの中から走行制御に必要な情報を抽出する。すなわち、制御部200は、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110にアクセスして、地図データの更新確認エリアの中から、S425で取得した属性データに対応付けられているサポートエリアを取得する。また、制御部200は、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130にアクセスし、地図データの更新確認エリアの中から、上記の取得した属性データおよびそのサポートエリアの更新日、道路形状の更新日を取得する。その後、制御部200は、属性別最新地図確認部230に地図更新サーバ30への地図更新確認処理を要求する。
【0143】
ここで、S430における、走行モードにナビフリー走行モードが設定されている場合の更新確認エリアを特定する処理について、図17および図18を用いて説明する。
【0144】
図17は、本発明の第1実施形態のナビフリー走行モードにおいて、車両のエンジン始動が開始された際の更新確認エリアを説明するための図である。図18は、本発明の第1実施形態のナビフリー走行モードにおいて、車両が走行している際の更新確認エリアを説明するための図である。なお、図17および図18に示す、1は、車両の現在位置を表している。
【0145】
図17に示すように、制御部200は、車両の現在位置1が位置するメッシュ1201を中心に所定範囲(図示する例では、現在位置1が位置するメッシュ1201を中心に、所定数(5×5)のメッシュで特定される範囲)のエリアを更新確認エリアとして特定している。制御部200は、属性別最新地図確認部230に、この更新確認エリア1200のデータの更新確認を行わせる。以下、説明の便宜上、更新確認が行われた更新確認エリア1200を更新確認済みエリアという。
【0146】
そして、車両の現在位置1が別のメッシュに移動すると、現在位置1が位置するメッシュを中心に所定範囲のエリアも変更される。本実施形態では、現在位置1が別のメッシュに移動した場合、移動先のメッシュを中心に所定範囲のエリアから、更新確認済みエリアを差し引いたエリアを、新たな更新確認エリアとして特定する。例えば、図18に例示するように、車両の移動にしたがい、更新確認エリアを特定していく。
【0147】
図18に示す例では、更新確認エリア1200に含まれるメッシュのうち、所定エリア(斜線で示すエリア)をサーバ通信エリア1202として定めている。そして、制御部200は、現在位置1がサーバ通信エリア1202に入ると、新たに、更新確認エリアを特定する。ここでは、現在位置1がサーバ通信エリア1202に移動するまでの間に、更新確認エリア1200に関する更新確認が行われるものとする。すなわち、現在位置1が通信エリア1202に移動したときには、更新確認エリア1200は、更新確認済みエリアになっている。
【0148】
そして、例えば、現在位置1がサーバ通信エリア1202であるメッシュ1211に移動すると、新たに、メッシュ1211を中心に所定範囲のエリア(現在位置1が位置するメッシュ1211を中心に、所定数(5×5)のメッシュで特定される範囲)を特定する。そして、制御部200は、特定したメッシュ1211を中心に所定範囲のエリアから、更新確認済みエリア1202を差し引いたエリアを求め、その求めたエリアを新たな更新確認エリア1210としている。本実施形態では、現在位置の移動に伴い、順次、更新確認エリア1210を求めることで、ナビフリー走行モードにおいて、車両の現在位置周辺の地図データの更新状況を確認するようにしている。
【0149】
図12に戻り、S405において、経路探索が実行されている場合に進むS435〜S445の処理について説明する。
【0150】
S435では、制御部200は、走行モードをナビルート走行モードに設定する。
【0151】
次に、制御部200は、上述したS425と同様の手順にしたがい、属性値管理テーブル120にアクセスし、必要な地図データの属性データを取得する。
【0152】
次に、制御部200は、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定し、特定した更新確認エリアに関する、走行制御に必要な情報(属性データ、属性データのサポートエリア、および道路形状に関わる更新日)を取得する(S445)。
【0153】
具体的には、S445では、制御部200は、S435で設定した走行モード(ここでは、ナビルート走行モード)により定まる手順にしたがい、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定する。ここで、ナビルート走行モードにより定まる手順を説明する。ナビルート走行モードが設定される場合とは、運転開始前に、経路が探索されている場合である。本実施形態では、ナビルート走行モードの場合、車両が今後通行する可能性があるエリアを、探索した経路が属するメッシュと推定するようにした。そして、推定した地図データのエリアを、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)とする。
【0154】
次に、S445では、制御部200は、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、および端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130にアクセスして、地図データの更新確認エリアの中から走行制御に必要な情報を抽出する。すなわち、制御部200は、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110にアクセスして、地図データの更新確認エリアの中から、上記の取得した属性データに対応付けられているサポートエリアを取得する。また、制御部200は、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130にアクセスし、地図データの更新確認エリアの中から、S440で取得した属性データおよびサポートエリアの更新日、および道路形状の更新日を取得する。そして、制御部200は、地図更新サーバ30への地図更新確認処理を要求する。
【0155】
ここで、S445における、走行モードにナビルート走行モードが設定されている場合の更新確認エリアを特定する処理について、図19を用いて説明する。
【0156】
図19は、本発明の第1実施形態のナビルート走行モードにおける地図データの更新確認エリアを説明するための図である。
【0157】
図19において、1は、車両の現在位置を示している。2は、目的地を示している。3は、現在位置1から目的地2に至る経路を示している。そして、制御部20は、経路3を構成するリンクが属するメッシュを更新確認エリア1220(斜線部分)として特定している。
【0158】
続いて、図11に示した地図更新確認処理(S3)について、図13を用いて説明する。
【0159】
図13は、図11に示したS3の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【0160】
まず、属性別最新地図確認部230は、通信部220を介して、地図更新サーバ30との通信コネクションの確立処理を行う(S500)。なお、本処理は、属性別最新地図確認部230が、制御部200からの地図更新確認処理の要求を受け付けた場合に実行される。
【0161】
次に、属性別最新地図確認部230は、通信部220を介して、地図更新サーバ30との間でコネクションの確立が成功したか否かを判定する(S505)。コネクションの確立が成功していれば、S510に進む。コネクションの確立が失敗していれば、S540の処理に進む。
【0162】
S540では、属性別最新地図確認部230は、コネクションの失敗回数をカウントすると共に、カウントしたコネクションの失敗回数kが所定値以上であるか否かを判定する。属性別最新地図確認部230は、コネクションの失敗回数kが所定回数以上(例えば、失敗回数k≧5)であれば、S550に進む。属性別最新地図確認部230は、コネクション失敗回数が所定回数未満(例えば、失敗回数k<5)であれば、S500に戻り、再び、通信コネクションの確立処理を行う。
【0163】
次に、S505において、コネクションの確立が成功したと判定された場合に進むS510の処理について説明する。
【0164】
S510では、属性別最新地図確認部230は、制御部200から走行制御に必要な情報(図11のS430/S445において制御部200が取得した情報)を取得する。そして、属性別最新地図確認部230は、通信部220を介して、地図更新サーバ30に、取得した「走行制御に必要な情報」を含む更新データ確認要求を行い、S515の処理に進む。
【0165】
S515では、属性別最新地図確認部230は、通信部220を介して、地図更新サーバ30が更新データ確認要求に応答して送信する更新データの有無を示す情報(更新データ有無情報)を受信する。地図更新サーバ30が送信する更新データ有無情報とは、更新データ確認要求に含まれている「走行制御に必要な情報」に関して、更新する必要あるか否かを示す情報をいう。
【0166】
なお、更新データ確認要求に含まれている「走行制御に必要な情報」が、地図更新サーバ30が保持するマスタの地図データ(最新バージョンの地図データ)のものと同じであれば、更新する必要がない。この場合、更新データ確認要求に応答して送信される更新データ有無情報は、「地図更新済」を示す情報(更新する必要がないことを示す情報)となる。一方、更新データ確認要求に含まれている「走行制御に必要な情報」が、地図更新サーバ30が保持するマスタの地図データのものと異なれば、更新する必要がある。この場合、更新データ確認要求に応答して送信される更新データ有無情報は、「地図更新要」を示す情報(更新する必要であることを示す情報)となる。
【0167】
次に、属性別最新地図確認部230は、受信成功の判定を行い、受信が成功したと判定するとS525に進み、受信が失敗したと判定するとS545に進む(S520)。
【0168】
S545では、属性別最新地図確認部230は、受信の失敗回数をカウントすると共に、カウントした受信の失敗回数mが所定値以上であるか否かを判定する。属性別最新地図確認部230は、受信の失敗回数mが所定回数以上(例えば、失敗回数m≧5)であれば、S550に進む。属性別最新地図確認部230は、受信の失敗回数が所定回数未満(例えば、失敗回数m<5)であれば、S510に戻り、再度、地図更新サーバ30に、更新データ確認要求を行う。
【0169】
次に、S500のコネクション確立処理を所定回数以上失敗した場合や、S515の更新データ有無情報の受信を所定回数以上失敗した場合に進む、S550以降の処理を説明する。
【0170】
S550では、属性別最新地図確認部230は、制御部200に更新データ確認のための通信処理が失敗した旨を通知する。制御部200は、更新データ確認のための通信処理が失敗した旨の通知を受け付けると、更新データ確認処理の成否を判定するためのモードを通信失敗モードに設定し、処理を終了する。
【0171】
次に、S520で受信成功と判定された場合に進むS525の処理を説明する。S525では、属性別最新地図確認部230は、制御部200に更新データ確認のための通信処理が成功した旨を通知する。制御部200は、更新データ確認のための通信処理が成功した旨の通知を受け付けると、更新データ確認処理の成否を判定するためのモードを通信成功モードに設定する。
【0172】
次に、制御部200は、S515で受信した更新データ有無情報の内容を確認し、確認の結果、更新データ有無情報が「地図更新要(更新する必要であることを示す情報)」の場合、S535の処理に進む。一方、更新データ有無情報が「地図更新済(更新する必要がないことを示す情報)」の場合、S555に進む。
【0173】
S535では、制御部200は、更新データ有無情報の内容を判定するためのモードを更新データ有モードに設定し、処理を終了する。
【0174】
S555では、制御部200は、更新データ有無情報の内容を判定するためのモードを更新済モードに設定して処理を終了する。
【0175】
続いて、図11に示した地図更新データ取得処理(S4)について、図14を用いて説明する。
【0176】
図14は、図11に示したS4の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。なお、図14に示す処理は、図13の処理が終了すると開始される。
【0177】
先ず、制御部200は、更新確認処理が成功したか否かを確認し、成功していればS605に進み、失敗していれば処理を終了する(S600)。具体的には、制御部200は、更新データ確認処理の成否を判定するためのモードが通信成功モードに設定されていればS605に進み、更新データ確認処理の成否を判定するためのモードが通信失敗モードに設定されていれば処理を終了する。
【0178】
S605では、制御部200は、更新データ有無情報の内容を判別する。具体的には、制御部200は、更新データ有無情報の内容を判定するためのモードが更新データ有モードであればS610に進み、更新データ有無情報の内容を判定するためのモードが更新済モードであれば処理を終了する。
【0179】
S610では、制御部200は、ユーザからのダウンロード要求を受け付けたか否かを判定して、ダウンロード要求を受け付けていれば、S615の処理に進み、ダウンロード要求を受け付けていなければ、S640に進む。
【0180】
S640では、制御部200は、地図更新データの取得状態を判定するためのモードを更新未済モードに設定して処理を終了する。
【0181】
S615では、制御部200は、属性別更新データ送信部240に地図更新サーバ30への更新データ受信処理の指示を行なう。属性別更新データ送信部240は、更新データ受信処理の指示を受けると、制御部200から走行制御に必要な情報(図11のS430/S445において制御部200が取得した情報)を取得する。そして、属性別更新データ送信部240は、通信部220を介して、地図更新サーバ30に、取得した走行制御に必要な情報を含む更新データ受信要求を行い、S620の処理に進む。
【0182】
S620では、属性別更新データ送信部240は、通信部220を介して、地図更新サーバ30が更新データ受信要求に応答して送信する更新データを受信する。ここで、地図更新サーバ30が送信する更新データとは、更新データ受信要求に含まれている「走行制御に必要な情報」と、地図更新サーバ30が保持するマスタの地図データ(最新バージョンの地図データ)の該当する領域のデータとの差分(図2参照)である更新データである。なお、本ステップでは、受信した更新データは、車載情報端末10の図示しないメモリの所定領域に一時保存しておく。すなわち、この段階では、地図DB100に登録されている地図データの更新はしない。また、更新データをメモリに一時保存する際、保存した日時も合わせて保存しておく。なお、地図更新サーバ30側の処理は、後述する図24で説明する
次に、属性別更新データ送信部240は、受信成功の判定を行い、受信が成功したと判定するとS630に進み、受信が失敗したと判定するとS645に進む(S625)。
【0183】
S645では、属性別更新データ送信部240は、受信の失敗回数nをカウントすると共に、カウントした受信の失敗回数nが所定値以上であるか否かを判定する。属性別最新地図確認部230は、受信の失敗回数nが所定回数以上(例えば、失敗回数n≧5)であれば、通信が失敗した旨を制御部200に通知して、S650の処理に移る。属性別更新データ送信部240は、受信の失敗回数が所定回数未満(例えば、失敗回数n<5)であれば、S615に戻り、再度、地図更新サーバ30に、更新データ受信要求を行う。
【0184】
S650では、制御部200は、地図更新データの取得状態を判定するモードを通信失敗モードに設定して処理を終了する。
【0185】
次に、S625において、受信が成功したと判定した場合に進むS630の処理を説明する。S630では、属性別更新データ送信部240は、通信部220を介して、地図更新サーバ30との通信コネクションの切断処理を行う。
【0186】
次に、属性別更新データ送信部240は、地図更新データを取得した旨を制御部200に通知する。制御部200は、更新データの取得状態を判定するモードを更新データ取得済モードに設定して処理を終了する。
【0187】
続いて、図11に示した端末地図データ更新処理(S5)について、図15を用いて説明する。
【0188】
図15は、図11に示したS5の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。図示する処理は、上述した図14の処理が終了すると開始される。
【0189】
先ず、制御部200は、更新データの取得状態を判定するモードを参照し、更新データ取得済モードであればS705に進み、更新データ取得済モードでなければ処理を終了する(S700)。
【0190】
S705では、制御部200は、ユーザからの地図データ更新要求を受け付けていれば、S710に進み、地図データの更新要求を受け付けていなければ処理を終了する。このように、地図データの更新する際、ユーザからの更新要求を受け付けるようにしたのは、更新データを取得している場合であっても、後で、地図データの更新処理を実行させたいことがある点を考慮したためである。
【0191】
S710では、制御部200は、図14のS620において、メモリの所定領域に一時保存した地図データの更新データが本日付けで保存されたものであるか否かを判定する。判定の結果、地図データの更新データが本日付けで保存されたデータであればS715に進み、本日付けで保存されたデータでなければS735に進む(すなわち、本日より前の日に保存されたデータであればS735に進む)。なお、本ステップを設けたのは以下の理由におる。すなわち、本実施形態では、ユーザからの更新要求を受け付けた上で、地図データの更新を行うようにしている。そして、更新データを取得してから更新要求を受け付けるまでの間に、長時間経過して更新データが最新の地図データを反映したものではなくなることも想定される。そのため、本ステップを設けることで、新しい更新データだけを地図データの更新に利用するようにしている。
【0192】
S715では、制御部200は、一時保存した更新データを利用して、地図DB100の地図データ、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、および端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130を更新する。
【0193】
制御部200は、S715の更新処理の成否を判定し、更新が成功していればS740に進み、更新が失敗していればS725に進む(S720)。
【0194】
S740では、制御部200は、更新処理の成否を判定するモードを更新済モードに設定して処理を終了する。
【0195】
S725では、制御部200は、ユーザに更新リトライ要求の確認を行う。なお、リトライ要求の確認方法は特に限定しない。例えば、表示部290に地図データの更新処理が失敗した旨と、ユーザに地図データの更新処理をリトライするか否かの入力を促す旨とを示した画像を表示する。
【0196】
制御部200は、ユーザから地図データの更新処理をリトライする要求を受け付けると、S715に戻り、リトライする要求を受け付けなければS735に進む(S730)。
【0197】
S735では、制御部200は、更新処理の成否を判定するモードを更新未済モードに設定して処理を終了する。
【0198】
続いて、図11に示した走行制御/警告モード設定処理(S6)について、図16を用いて説明する。なお、制御部200は、走行制御/警告モード(走行制御を実行する制御モード、警告処理を実行する警告モード、走行制御および警告処理のいずれも行わない無制御モード)を備えているものとする。そして、警告・制御切替部270が、図示するフローにしたがい、走行制御/警告モードを設定する。車載システムは、走行制御/警告モードの設定状態により、地図データを利用した車両の走行制御を行ったり、走行制御を行わずに警告処理だけ行ったり、或いは、走行制御および警告処理のいずれも行わなかったりする。
【0199】
図16は、図11に示したS6の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。図示する処理は、上述した図15の処理が終了した後、警告・制御切替部270により実行される。なお、御部200は、警告・制御切替部270に、上述した図14の処理が終了すると、走行制御/警告モード設定処理を指示する。
【0200】
先ず、警告・制御切替部270は、地図DB100の地図データが更新済みのデータであるか否かを確認する(S800)。具体的には、警告・制御切替部270は、制御部200に設定されている更新処理の成否を判定するモードを確認する。警告・制御切替部270は、設定されているモードが更新済モードであれば、S805に進み、更新済モードでなければS825に進む。すなわち、警告・制御切替部270は、地図DB100の地図データが最新のデータであると確認されていれば、S805の処理に進み、最新のデータであると確認されていなければS825の処理に進む。
【0201】
次に、車両の走行制御に利用するエリアの地図データが最新のデータに更新されていると確認されている場合に進む、S805〜S820の処理について説明する。
【0202】
S805では、警告・制御切替部270は、地図更新サーバ30に地図更新確認を行った更新確認エリアがサポートエリアであるか否かを判定する。具体的には、警告・制御切替部270は、制御部200から取得した更新確認エリアを示す情報、地図DB100に登録されている地図データ、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、および属性値管理テーブル120を用いて、更新確認エリアについて、走行制御に必要な属性データのサポートエリアであるか否かを判定する。なお、サポートエリアであるか否かは、属性データの種類毎に判定される。そして、警告・制御切替部270は、サポートエリアであればS810に進み、サポートエリアでなければS815の処理に進む。
【0203】
S810では、警告・制御切替部270は、制御部200の走行制御/警告モードを走行制御モードに設定して、処理を終了する。
【0204】
S815では、警告・制御切替部270は、制御部200の走行制御/警告モードを無制御モードに設定して、S820に進む。
【0205】
S820では、警告・制御切替部270は、ユーザに、地図データが未サポートエリアである旨を告知して処理を終了する。なお、ユーザに告知する方法について、特に限定しない。例えば、未サポートエリアである旨を示す音声データをスピーカ280から出力してもよいし、未サポートエリアである旨を画像情報として表示部290に表示してもよい。
【0206】
次に、S800において、更新モードではないと判定された場合(すなわち、地図DB100の地図データが最新のものと確認できていない場合)に進む、S825〜S855の処理について説明する。
【0207】
S825では、警告・制御切替部270は、地図更新サーバ30に地図更新確認を行った更新確認エリア(図10のS3)の地図データの更新日を確認し、現在の日付(年月日)を基準にして、更新日(年月日)が2年以上前であれば、S850に進む。一方、警告・制御切替部270は、現在の日付(年月日)を基準にして、更新日(年月日)が2年未満のものであれば、S830に進む。具体的には、警告・制御切替部270は、端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル130を参照して、制御部200から取得した更新確認エリアの地図データの属性データおよび道路形状の更新日を確認する。なお、上記では、現在の日付(年月日)を基準にして、更新日から2年未満か否かでデータが新しいか否かを判定したが、これはあくまでの例示である。例えば、更新日から1年未満か否かでデータが新しいか否かを判定してもよい。
【0208】
S830では、上述したS805と同じ手順にしたがい、サポートエリアであるか否かを判定し、サポートエリアであると判定したらS835に進み、サポートエリアではないと判定するとS840に進む。
【0209】
S835では、警告・制御切替部270は、制御部200の走行制御/警告モードを警告モードに設定して、処理を終了する。
【0210】
S840〜S845では、上述したS815〜820と同様の処理を行い、処理を終了する。
【0211】
次に、S825で、地図データの更新日(年月日)が2年以上前であると判定した場合(地図データが古いと判定した場合)に進むS850の処理を説明する。
【0212】
S850では、警告・制御切替部270は、制御部200の走行制御/警告モードを無制御モードに設定して、S855に進む。
【0213】
S855では、警告・制御切替部270は、ユーザに、「地図データが古い」旨を告知して処理を終了する。なお、ユーザに告知する方法について、特に限定しない。例えば、「地図が古い」旨を示す音声データをスピーカ280から出力してもよいし、「地図が古い」旨を示す旨を画像情報として表示部290に表示してもよい。
【0214】
ここで、上述した車両の走行制御に利用する走行制御/警告モードと、設定条件との対応関係について、図20を用いて説明する。
【0215】
図20は、本発明の第1実施形態における車両の走行制御に利用する走行制御/警告モードと、設定条件とを説明するための図である。
【0216】
図20(a)に示すように、走行制御モードが設定されるのは、制御部200に設定されている更新処理の成否を判定するモードが更新済モードであり、且つ、走行制御に利用する地図データがサポートエリアである場合である。
【0217】
本実施形態において、走行制御モードが設定されるケースは、例えば、(i)地図サーバ30が保持する最新バージョンの地図データを車載情報端末10が保持し手いると確認でき、且つ走行制御に利用する地図データがサポートエリアである場合と、(ii)地図サーバ30が保持する最新バージョンの地図データと車載情報端末10が保持している地図データとの差分情報をダウンロードし、差分情報を用いて地図データを更新していて、かつ、走行制御に利用する地図データがサポートエリアである場合とがある。
【0218】
また、図19(b)に示すように、警告モードが設定されるのは、更新処理の成否を判定するモードが更新済モードではなく、少なくとも2年以内に地図データの更新確認が実行されていて、且つ走行制御に利用する地図データがサポートエリアである場合である。
【0219】
本実施形態において、警告モードが設定されるケースは、例えば、(iii)少なくとも2年以内に更新確認が行われていて、且つ走行制御に利用する地図データがサポートエリアであるが、通信不良等の理由により、車載情報端末10が保持する地図データが、地図更新サーバが保持する最新バージョンのものと同じであるか否かを確認できない場合と、(iv)少なくとも2年以内に更新確認が行われていて、且つ走行制御に利用する地図データがサポートエリアであり、且つ地図サーバ30が保持する最新バージョンの地図データと車載情報端末10が保持している地図データとの差分情報(更新データ)をダウンロードしているが、差分情報(更新データ)を利用して地図データを更新していない場合とがある。
【0220】
また、図19(c)に示すように、無制御モードが設定されるのは、以下の2つの要件のいずれかを満たす場合である。すなわち、(c−1)更新処理の成否を判定するモードが更新済モードではなく、且つ地図データの更新確認が2年以内に実行されていない場合、或いは、(c−2)走行制御に利用する地図データがサポートエリアでない場合である。
【0221】
本実施形態において、無制御モードが設定されるケースは、例えば、(v)2年以上、車載情報端末10の地図データが更新されていない場合と、(vi)少なくとも2年以内に更新確認が行われていて、地図サーバ30が保持する最新バージョンの地図データを車載情報端末10が保持しているが、走行制御に利用する地図データがサポートエリアでない場合と、(vii)車載情報端末10が保持する地図データが最新バージョンのものと同じで在るか否か確認できていないが、少なくとも2年以内に更新確認が行われていて、さらに、走行制御に利用する地図データがサポートエリアでない場合と、がある。
【0222】
続いて、図11に示した走行制御/警告処理(S7)について、図21〜図22を用いて説明する。なお、以下では、説明の簡略化するために、走行制御の中から、スクールゾーン制御と、踏切制御とを例に挙げることとする。
【0223】
図21は、本発明の第1実施形態におけるスクールゾーン制御の処理を説明するための図である。図21では、(a)図に警告モードの際の動作を説明するための図を示し、(b)図に走行制御モードの際の動作を説明するための図を示している。
【0224】
図21(a)に示す、1300は、警告モードにおいて、車両4がスクールゾーン(太線がスクールゾーンの道路を示す)内に進入しているイメージを示した図であり、1310は、車両内部に設置された車載情報端末10を示している。警告モードとは、地図走行制御/警告処理に利用する地図データが最新のものではないが、更新されてから所定期間しか経過しておらず、且つサポートエリアである場合に設定されるモードである。
【0225】
そして、図示するように、車載情報端末10は、警告モードが設定されている場合に車両がスクールゾーンに進入すると、走行制御装置群50を制御しないで(自動的に車両の走行速度を減速したりしないで)、ユーザにスクールゾーン内を走行していることを音声データ等で告知する。
【0226】
具体的には、制御部200は、警告・制御切替部270から警告モードを設定されると、警告部260に警告処理を要求する。
【0227】
警告部260は、制御部200からの警告要求を受け付けると、ナビゲーション処理部250と各種データをやり取りして、ユーザにスクールゾーン警告処理を行う。スクールゾーン警告処理の具体的な方法について特に限定しないが、以下のようにしてもよい。
【0228】
例えば、警告部260は、制御部200からの警告要求を受け付けると、ナビゲーション処理部250に、スクールゾーン監視を要求する。ナビゲーション処理部250は、スクールゾーン監視の要求を受けると、定期的に算出する現在位置、および地図データを用いて、車両がスクールゾーンに接近するか否かを監視する。ナビゲーション処理部250は、車両がスクールゾーンから所定範囲(例えば、200m)に近づいた場合、および車両がスクールゾーンに進入している場合にそのことを警告部200に通知する。警告部260は、ナビゲーション処理部250から通知されると、その旨を示す音声データをスピーカ280から告知したり、その旨を示す画像を表示部290に表示したりする。
【0229】
図20(b)に示す、1301は、走行制御モードにおいて、車両4がスクールゾーン(太線がスクールゾーンの道路を示す)内に進入しているイメージを示した図である。制御モードとは、地図走行制御/警告処理に利用する地図データが最新のものであり、且つサポートエリアである場合に設定されるモードである。
【0230】
そして、図示するように、車載情報端末10は、制御モードが設定されている場合に車両がスクールゾーンに進入すると、車載情報端末10は、走行制御装置群50を制御して、車両を徐行運転させている。
【0231】
具体的には、制御部200は、警告・制御切替部270により制御モードが設定されると、ナビゲーション処理部250を制御して、走行制御装置群50のスクールゾーン制御部505と各種データ通信を行い、スクールゾーン制御部505に車両の走行制御を実行させる。スクールゾーン制御の具体的な手順について特に限定しないが、例えば、上述したように、車載情報端末10とスクールゾーン制御部505とが連携して走行制御を行う。すなわち、ナビゲーション処理部250は、車両がスクールゾーンに進入するか否かを監視して、車両がスクールゾーンに進入すると、その旨をスクールゾーン制御部505に通知する。スクールゾーン制御部505は、車両がスクールゾーンに進入したことの通知を受けると、減速制御を行う。また、ナビゲーション処理部250は、スクールゾーンに車両が進入すると、その旨をユーザに告知する。
【0232】
図22は、本発明の第1実施形態における踏切停止制御の処理を説明するための図である。図22では、(a)図に警告モードの際の動作を説明するための図を示し、(b)図に走行制御モードの際の動作を説明するための図を示している。
【0233】
図22(a)に示す、1302は、警告モードにおいて、車両4が踏切に接近しているイメージを示した図であり、1320は、車両内部に設置された車載情報端末10を示している。
【0234】
そして、図示するように、車載情報端末10は、警告モードが設定されている場合に、車両が踏み切りに近づくと、走行制御装置群50を制御しないで(自動的に走行速度を減速したりしないで)、ユーザに車両が踏切に近づいていることを告知している。
【0235】
具体的には、制御部200は、警告・制御切替部270が車両制御のためのモードに警告モードが設定すると、警告部260に警告処理を要求する。
【0236】
警告部260は、制御部200からの警告要求を受け付けると、ナビゲーション処理部250と各種データをやり取りして、踏切警告処理を行う。踏切停止制御の警告処理の具体的な方法について特に限定しないが、以下のようにしてもよい。
【0237】
例えば、警告部260は、制御部200からの警告要求を受け付けると、ナビゲーション処理部250に、踏切接近の監視を要求する。ナビゲーション処理部250は、踏切接近の監視の要求を受けると、定期的に算出する現在位置、および地図データを用いて、車両が踏切に接近するか否かを監視する。ナビゲーション処理部250は、車両が踏切から所定範囲に近づいている場合、そのことを警告部200に通知する。警告部260は、ナビゲーション処理部250から通知されると、その旨を示す音声データをスピーカ280から告知したり、その旨を示す画像を表示部290に表示したりする。また、警告部260は、車両が走行制御モードではないことを示す音声データ(「走行制御モードではありません」と発話する音声データ)をスピーカ280から出力する。
【0238】
図22(b)に示す、1303は、走行制御モードにおいて、車両4が踏切に接近しているイメージを示した図である。
【0239】
そして、図示するように、車載情報端末10は、制御モードが設定されている場合に、車両が踏切に近づくと、走行制御装置群50を制御して車両を減速制御している。
【0240】
具体的には、制御部200は、警告・制御切替部270により制御モードが設定されると、ナビゲーション処理部250および走行制御装置群50の一時停止線制御部515を制御して、一時停止線制御部515に車両の走行制御を実行させる。一時停止線制御の具体的な手順について特に限定しないが、例えば、上述したように、車載情報端末10と一時停止線制御部515とが連動して、走行制御を行う。すなわち、ナビゲーション処理部250は、車両が踏切に接近するか否かを監視して、車両が踏切に接近すると、その旨を一時停止線制御部515に通知する。一時停止線制御部515は、車両が踏切に接近したことの通知を受けると、減速制御を行う。また、ナビゲーション処理部250は、車両が踏切に接近すると、その旨をユーザに告知する。
【0241】
続いて、地図サーバ30側の処理を説明する。
【0242】
最初に、地図更新サーバ30が車載情報端10からの更新データ確認要求を受け付けて行う地図データ更新確認処理について、図23を用いて説明する。以下で説明するフローは、車載情報端末10から送信された更新データ確認要求に含まれる地図データの更新確認エリアが更新されているか否かを確認し、確認結果を車載情報端末10に返信する処理の一例を示したものである。なお、要求された地図データの更新確認エリアが更新されているか否かを確認し、その結果を返信できれば他の手順でもかまわない。
【0243】
図23は、本発明の第1実施形態の地図更新サーバ30が行う地図データ更新確認処理の手順を示すフローチャートである。
【0244】
先ず、属性別最新地図確認部420は、通信部410を介して、車載情報端10からの「更新データ確認要求」を受信する(S900)。車載情報端10からの「更新データ確認要求」とは、上述した図13のS510の処理において、車載情報端末10から送信された要求である。「更新データ確認要求」には、更新確認エリアを識別するエリアIDと、更新確認エリアの走行制御に必要な属性データおよびサポートエリア(端末側サポートエリア)と、更新確認エリアの道路の道路形状、必要な属性データ、サポートエリアの更新日(端末側更新日)とが含まれている。
【0245】
次に、属性別最新地図確認部420は、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、およびサーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320を参照し、S900で受信した「更新データ確認要求」に含まれる更新確認エリアの走行制御に必要な属性データについて、その属性データのサポートエリア(サーバ側サポートエリア)と、更新確認エリアの道路の道路形状、必要な属性データ、サポートエリアの更新日(サーバ更新日)とを取得する(S905)。
【0246】
次に、属性別最新地図確認部420は、S900で受信した「更新データ確認要求」の対象データが、地図更新サーバ300が保持する最新バージョンの地図データが反映されたものであるか否かを確認し、最新のものであればS920に進み、最新のものでなければS925の処理に進む。
【0247】
ここで、S920に進む場合とは、「端末側更新日」と、「サーバ側更新日」とが同じであり(比較した属性データ、および道路形状の更新日が全て同じであり)、且つ端末側サポートエリアと、S905で取得したサーバ側サポートエリアとが同じ場合である。
【0248】
S925に進む場合とは、「端末側更新日」と、「サーバ側更新日」とが異なる場合である。また、端末側サポートエリアと、S905で取得したサーバ側サポートエリアとが異なる場合である。
【0249】
S920では、属性別最新地図確認部420は、車載情報端末10に対する応答の更新データ有無情報の内容を「地図更新済み」とする。
【0250】
S925では、属性別最新地図確認部420は、車載情報端末10に対する応答の更新データ有無情報の内容を「地図更新要」とする。
【0251】
そして、属性別最新地図確認部420は、S920またはS925で決定した送信内容の更新データ有無情報を車載情報端末10に送信する。ここで、送信する更新データ有無情報は、上述した図13のS515において車載情報端末10が受信する。
【0252】
次に、地図更新サーバ30が車載情報端10からの更新データ受信要求を受け付けて行う地図更新データ配信処理について、図24を用いて説明する。なお、以下で説明するフローは、車載情報端末10から送信された更新データ受信要求に含まれる地図データのエリアに関し、そのエリアの更新データを地図DB300から取得して、車載情報端末10に配信する処理の一例を示したものであり、更新データを配信できれば他の手順でもかまわない。
【0253】
図24は、本発明の第1実施形態の地図更新サーバ30が行う地図更新データ配信処理の手順を示すフローチャートである。
【0254】
先ず、属性別地図更新データ送信部430は、通信部410を介して、車載情報端10からの「更新データ受信要求」を受信する(S1000)。車載情報端10からの「更新データ受信要求」とは、上述した図14のS615の処理において、車載情報端末10から送信された要求である。「更新データ受信要求」には、更新確認エリアを識別するエリアIDと、更新確認エリアの走行制御に必要な属性データおよびサポートエリア(端末側サポートエリア)と、更新確認エリアの道路の道路形状および必要な属性データの更新日(端末側更新日)とが含まれている。
【0255】
次に、属性別地図更新データ送信部430は、S1000で受信した「更新データ受信要求」に含まれるエリアIDに関して、そのエリアの必要な地図属性データ、道路形状に関わる更新データを地図DB300から取得する(S1005)。すなわち、属性別地図更新データ送信部430は、「更新データ受信要求」に含まれる更新確認エリアの属性データおよび道路形状と、地図DB300に登録されているマスタの地図データの更新確認エリアの必要な地図属性データおよび道路形状と、の差分を求める。
【0256】
次に、属性別地図更新データ送信部430は、S1000で受信した「更新データ受信要求」に含まれるエリアIDに関して、そのエリアの必要な地図属性データのサポートエリアに関わる更新データをサーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310から取得する(S1010)。すなわち、属性別地図更新データ送信部430は、更新データ確認要求に含まれるデータにより特定される地図データの必要な地図属性データのサポートエリアと、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310に登録されているマスタの地図データに関する、必要な地図属性データのサポートエリアと、の差分を求める。
【0257】
属性別地図更新データ送信部430は、通信部410を介して、S1005、S1010で取得した情報(更新データ)を車載情報端末10に送信する(S1015)。ここで、送信した更新データは、上述した図14のS620において車載情報端末10が受信する。
【0258】
このように、本発明の第1実施形態では、地図データを構成するリンクの属性データについて、属性データ毎にサポートエリアを対応付けて管理している。そして、車載システムは、自身が保持する地図データが最新バージョンの地図データと確認された場合であって、且つ車両が走行すると推定されるエリアがサポートエリアである場合にだけ、地図データを利用した車両の走行制御を行うようにしている。
【0259】
すなわち、第1実施形態では、地図データが最新バージョンの地図データであり、且つ実地調査したサポートエリアの場合にだけ、車両の走行制御に利用するようにしている。そのため、第1実施形態によれば、精度の高い走行制御を実現することができる。
【0260】
また、第1実施形態では、車載システムは、自身が保持する地図データが最新バージョンのものでなくても(或いは、最新バージョンのものと確認できなくても)、更新日から所定期間しか経過していなければ、車両が走行すると推定するエリアがサポートエリアであれば、地図データを利用した警告処理を行うようにしている。
【0261】
したがって、第1実施形態では、地図データがある程度新しくて、且つ実地調査が行われたと確認されている属性データだけを警告処理に利用できるようになる。そのため、第1実施形態によれば、信頼性が高い警告を行うことができる。
【0262】
さらに、本実施形態では、車両が走行すると推定されるエリアがサポートエリアでなければ、走行制御処理および警告処理のいずれも行わないようにしている。したがって、誤った走行制御をおこなったり(例えば、一時停止線がない道路で減速する等)、正確な警告処理を行なえなかったりする(スクールゾーン内なのにユーザに知らせなかったりする等)ことを防ぐことができる。
【0263】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、上述した第1実施形態の車両制御システムの変形例である。第2実施形態は、地図更新サーバ側に、車両に搭載された車載システム毎の走行制御に必要な属性データを特定するためのテーブルを保持させ、地図更新サーバ側で車載システム毎に必要な属性データを判定するようにしている。すなわち、上述した第1実施形態の車載情報端末が行っている処理を、地図更新サーバ側に担当させることにより、車載情報端末の処理負荷を軽減するようにしている。
【0264】
なお、第2実施形態の説明において、上述した第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用いることとする。また、第2実施形態の説明は、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0265】
先ず、第2実施形態の機能構成について、図25を用いて説明する。
【0266】
図25は、本発明の第2実施形態の車両制御システムの機能ブロック図である。
【0267】
図示するように、第2実施形態は、第1実施形態と同様、車載情報端末11および走行制御装置群50を備える車載システムと、車載用情報端末11に地図データや地図データに関する情報を提供する地図更新サーバ31と、を有する。なお、走行制御装置群50は、上述した第1実施形態のものと同じである。
【0268】
車載情報端末11は、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、端末側エリア更新日管理テーブル131、車両ID保持部140、制御部200、車載機器ゲートウェイ(GW)210、通信部220、エリア別最新地図確認部231、エリア別地図更新部241、ナビゲーション処理部250、警告部260、警告・制御切替部270、スピーカ280、および表示部290を有する。なお、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、制御部200、車載機器ゲートウェイ(GW)210、通信部220、ナビゲーション処理部250、警告部260、警告・制御切替部270、スピーカ280、および表示部290は、第1実施形態のものと同じである。
【0269】
端末側エリア更新日管理テーブル131は、地図データを所定のエリアで分割し、そのエリア毎(エリアを識別するエリアID毎)に、そのエリア内の地図データの更新日を対応付けたテーブルである。
【0270】
車両ID保持部140は、車載システム(車載情報端末11および走行制御装置群50)を搭載した車両を識別するための車両IDを記憶する。
【0271】
エリア別最新地図確認部231は、通信部220を介して、地図更新サーバ31にアクセスして、車両が走行すると推定されるエリア(更新確認エリア)の地図データを更新する必要があるか否かの確認要求(更新データ確認要求)を行い、更新確認エリアについて更新する必要があるか否かを判定する。
【0272】
エリア別地図更新部241は、エリア別最新地図確認部231により地図データを更新する必要があると確認された場合、地図更新サーバ31から地図データの更新データを取得する。具体的には、エリア別地図更新部241は、通信部220を介して地図更新サーバ31にアクセスして、更新確認エリアの地図データに関する更新データの受信要求(更新データ受信要求)を行い、地図更新サーバ31から更新データを取得する。
【0273】
なお、車載情報端末11のハードウェア構成については、特に限定しない。以下では、第1実施形態と同様、CPU、メモリ、通信インタフェース(IF)、およびI/Oインタフェース(IF)を備える情報処理装置と、液晶ディスプレイ等の表示部290と、スピーカ280と、車載機器GW210と、を備えるシステムにより構成される場合を例にする。
【0274】
この場合、メモリには、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、端末側エリア更新日管理テーブル131が記憶されているものとする。また、メモリには、制御部200、通信部220、エリア別最新地図確認部231、エリア別地図更新部241、ナビゲーション処理部250、警告部260、および警告・制御切替部270の機能を実現するための各プログラムが記憶されているものとする。また、メモリの所定領域に車両ID保持部140が形成されている。そして、制御部200、通信部220、エリア別最新地図確認部231、エリア別地図更新部241、ナビゲーション処理部250、警告部260、および警告・制御切替部270の各機能は、CPUがメモリに記憶されている各プログラムを実行することにより実現される。
【0275】
続いて、地図更新サーバ31の具体的な構成を説明する。
【0276】
地図更新サーバ31は、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、車両別属性値管理テーブル330、制御部400、通信部410、更新データ確認部421、および更新データ送信部431を有する。なお、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、制御部400、および通信部410は、第1実施形態のものと同じである。
【0277】
車両別属性値管理テーブル330は、車両ID毎に、その車両IDにより特定される車両が走行制御に利用する属性データを判別するためのものである。ここで、車両別属性値管理テーブル330のデータ構造の一例を図26に示す。
【0278】
図26は、本発明の第2実施形態の車両別属性値管理テーブル330のデータ構造を模擬的に示した図である。図示するように、車両別属性値管理テーブル330は、各車両IDについて、属性データの種類毎に、車両IDにより特定される車両がその属性データを利用するか否かを示すデータを対応付けている。図示する例では、各車両IDについて、走行制御に利用する属性データには、「対応」を示す情報が対応付けられていて、走行制御に利用しない属性データには、「未対応」が対応付けられている。
【0279】
図25に戻り、地図更新サーバ31の構成の説明を続ける。
【0280】
更新データ確認部421は、車載情報端末11からの更新データ確認要求を受け付けると、更新確認エリアの地図データの中から走行制御に必要なデータに関し、更新が必要か否かを確認し、確認結果を車載情報端末11に送信する。
【0281】
更新データ送信部431は、車載情報端末11からの更新データ受信要求を受け付けると、更新確認エリアの地図データの中から走行制御に必要なデータに関する更新データを選択して、車載情報端末11に送信する。
【0282】
なお、地図更新サーバ12のハードウェア構成については、特に限定しない。以下では、地図更新サーバ12は、第1実施形態と同様、CPU、メモリ、通信インタフェース(IF)、およびI/Oインタフェース(IF)を備える情報処理装置により実現される場合を例にする。この場合、メモリには、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、および車両別属性値管理テーブル330が記憶されているものとする。また、メモリには、制御部400、通信部410、更新データ確認部421、および更新データ送信部431の機能を実現するための各プログラムが記憶されているものとする。そして、制御部400、通信部410、更新データ確認部421、および更新データ送信部431の機能は、CPUがメモリに記憶されている各プログラムを実行することにより実現される。
【0283】
続いて、本発明の第2実施形態により行われる処理について説明する。
【0284】
先ず、第2実施形態の車載システム側(車載情報端末11および走行制御装置群50)で行う処理を説明する。第2実施形態の車載システムは、上述した図11に示した各処理(S1〜S8)を実行する。但し、第2実施形態の車載システムは、S1〜S5の処理について、上述した第1実施形態が行う処理と異なる手順の処理を行う。以下、第1実施形態と異なる手順の処理(S1〜S5)を説明し、同じ手順の処理(S6〜S8)の説明は省略する。
【0285】
最初に、第2実施形態が行うナビ走行判定処理(S1)および更新確認内容設定処理(S2)の具体的な手順について、図27を用いて説明する。
【0286】
図27は、第2実施形態の車載情報端末が行う走行判定処理および更新確認内容設定処理の手順を示したフローチャートである。なお、以下に示すフローは、上述した図12で示した、第1実施形態の走行判定処理および更新確認内容設定処理の一部を変更したものである。そのため、以下では、図12と同じ処理の内容の説明は、簡略化する。
【0287】
先ず、車載情報端末11の制御部200は、図12のS405と同様の手順で経路探索有無の判別を行う(S1605)。そして、経路探索が行われているとS1610に進み、経路探索が行われていなければS1630に進む。
【0288】
次に、経路探索を実行していない場合に進むS1610〜S1625の処理を説明する。
【0289】
制御部200は、図12のS410と同様の手順により走行モードをナビフリー走行モードに設定する(S1610)。
【0290】
次に、制御部200は、図12のS415およびS420と同様の手順で、ナビゲーション処理部250のロケータの測位状況を判定して、測位良好の場合にS1625に進む(S1615、1620)。
【0291】
S1625では、制御部200は、S1610で設定した走行モード(ここでは、ナビフリー走行モード)により定まる手順にしたがい、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定する。なお、更新エリアを特定する方法は、図12のS430と同じである(図17、図18参照)。制御部200は、端末側エリア更新日管理テーブル131を参照し、特定した更新確認エリアに含まれるエリアの各エリアIDの更新日を取得する。その後、制御部200は、エリア別最新地図確認部231に地図更新サーバ30への地図更新確認処理を要求する。
【0292】
次に、S1605において、経路探索が実行されている場合に進むS1630〜S1635の処理について説明する。
【0293】
S1630では、制御部200は、図12のS455と同じ手順により走行モードをナビルート走行モードに設定する。
【0294】
S1635では、制御部200は、S1630で設定した走行モード(ここでは、ナビルート走行モード)により定まる手順にしたがい、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定する。なお、更新エリアを特定する方法は、図12のS445と同じである(図19参照)。制御部200は、端末側エリア更新日管理テーブル131を参照し、特定した更新確認エリアに含まれるエリアの各エリアIDの更新日を取得する。その後、制御部200は、エリア別最新地図確認部231に地図更新サーバ30への地図更新確認処理を要求する。
【0295】
次に、第2実施形態が行う地図更新確認処理(S3)の具体的な手順について、図28を用いて説明する。
【0296】
図28は、第2実施形態の車載情報端末が行う地図更新確認処理の手順を示したフローチャートである。なお、以下に示すフロー、図13で示した、第1実施形態の地図更新確認処理の一部を変更したものである。そのため、以下では、図13と同じ処理の内容の説明は、簡略化する。
【0297】
先ず、エリア別最新地図確認部231は、図13のS500と同じ手順で地図更新サーバ30との通信コネクションの確立処理を行う(S1700)。
【0298】
次に、エリア別最新地図確認部231は、図13のS505と同じ手順にしたがい、通信コネクションの確立が成功したか否かを判定する(S1705)。通信コネクションが確立していればS1710に進み、通信コネクションの確立に失敗していればS1745に進む。
【0299】
S1745では、エリア別最新地図確認部231は、図13のS540と同じ手順にしたがい、コネクション失敗回数kをカウントして、カウントした失敗回数kが所定値以上(例えば、失敗回数k≧5)であれば、S1760に進む。また、エリア別最新地図確認部231は、カウントした失敗回数kが所定値未満(例えば、失敗回数k<5)であれば、S1700に戻り、再び、通信コネクションの確立処理を行う。
【0300】
次に、S1705において、コネクションの確立が成功したと判定した場合に進むS1710の処理を説明する。
【0301】
S1710では、エリア別最新地図確認部231は、通信部220を介して、地図更新サーバ31に、更新データ確認要求を行う。具体的には、エリア別最新地図確認部231は、制御部200から走行制御に必要な情報(更新確認エリアに含まれるエリアのエリアID、および各エリアIDの更新日(図27のS1625/S1635において制御部200が取得した情報))を受け取る。また、エリア別最新地図確認部231は、車両ID保持部140から車両IDを読み出す。そして、エリア別最新地図確認部231は、地図更新サーバ31に、受け取った走行制御に必要な情報(エリアIDおよび各エリアIDの更新日)と、車両IDとが含まれる更新データ確認要求を送信する。
【0302】
次に、エリア別最新地図確認部231は、図13のS515と同様の処理を行う(S1715)。すなわち、エリア別最新地図確認部231は、地図更新サーバ31が更新データ確認要求に応答して送信する更新データ有無情報を受信する(S1715)。
【0303】
次に、エリア別最新地図確認部231は、図13のS520と同様、更新データ有無情報の受信の成否判定を行なう(S520)。本ステップでは、受信が成功していればS1725に進み、受信が失敗していればS1750に進む。
【0304】
S1750では、エリア別最新地図確認部231は、図13のS545と同様、受信の失敗回数をカウントし、カウントした失敗回数mが所定値以上(例えば、失敗回数m≧5)であれば、S1760に進む。一方、エリア別最新地図確認部231は、カウントした失敗回数mが所定値未満(例えば、失敗回数m<5)であれば、S1710に戻り、再度、地図更新サーバ31に、更新データ確認要求を行う。
【0305】
次に、S1700のコネクション確立処理を所定回数以上失敗した場合や、S1715の更新データ有無情報の受信を所定回数以上失敗した場合に進む、S1760の処理を説明する。S1760では、図13のS550と同じ処理を行われる。すなわち、S1760では、更新データ確認処理の成否を判定するためのモードが通信失敗モードに設定される。
【0306】
なお、S1720において、受信成功と判定された場合に進むS1725以降の処理(S1725、S1730、S1735、S1740)は、図13のS525、S530、S535、S555と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0307】
次に、第2実施形態が行う地図更新データ取得処理(S4)の具体的な手順について、図29を用いて説明する。
【0308】
図29は、第2実施形態の車載情報端末が行う地図更新データ取得処理の手順を示したフローチャートである。なお、以下に示すフローは、図14に示した地図更新データ取得処理の一部を変更したものである。そのため、以下では、図14と同じ処理の内容の説明は、簡略化する。
【0309】
先ず、制御部200は、図14のS600と同様の手順にしたがい、更新確認処理が成功したか否かの判定し、成功していればS1805に進み、失敗していれば処理を終了する(S1800)。
【0310】
次に、制御部200は、図14のS605と同様の手順にしたがい、更新データ有無情報の判別を行い、更新情報有モードの場合にS1810に進み、更新済モードの場合に処理を終了する(S1805)。
【0311】
次に、制御部200は、図14のS610と同様の手順にしたがい、ユーザからのダウンロード要求を受け付けたか否かを判定し、受け付けていればS1815に進む。一方、制御部200は、ユーザからダウンロード要求を受け付けていなければ、S1840に進む(S1810)。なお、S1840に進んだ場合、図14のS640と同様の処理が行われ、すなわち、地図更新データの取得状態を判定するためのモードが更新未済モードに設定されて処理を終了する。
【0312】
S1815では、制御部200は、エリア別地図更新部241に、地図更新サーバ30への更新データ受信処理の指示を行なう。エリア別地図更新部241は、更新データ受信処理の指示を受けると、制御部200から更新確認エリアに含まれるエリアのエリアID、および各エリアIDの更新日(図27のS1625/S1635において制御部200が取得した情報)を受け取る。また、エリア別最新地図確認部231は、車両ID保持部140から車両IDを読み出す。そして、エリア別最新地図確認部231は、地図更新サーバ31に、受け取ったエリアIDおよび各エリアIDの更新日と、車両IDとが含まれる更新データ受信要求を送信する。
【0313】
S1820では、エリア別地図更新部241は、通信部220を介して、地図更新サーバ30が更新データ受信要求に応答して送信する更新データを受信し、S1825の処理に進む。
【0314】
なお、S1825以降の処理(S1825、S1830、S1835、S1845、S1850)は、図14のS625以降の処理(S625、S630、S635、S645、S650)と同じであるためここでの説明は省略する。
【0315】
続いて、本発明の第2実施形態の地図更新サーバ30が行う処理を説明する。
【0316】
最初に、地図更新サーバ31が車載情報端11からの更新データ確認要求を受け付けて行う地図データ更新確認処理について、図30を用いて説明する。
【0317】
図30は、本発明の第2実施形態の地図更新サーバ31が行う地図データ更新確認処理の手順を示すフローチャートである。
【0318】
先ず、更新データ確認部421は、通信部410を介して、車載情報端11からの更新データ確認要求を受信する(S1900)。車載情報端11からの更新データ確認要求とは、上述した図28のS1710の処理において、車載情報端末11から送信された要求である。この更新データ確認要求には、更新確認エリアに含まれる各エリアのエリアID、および各エリアIDの更新日(端末エリア更新日)と、車両IDとが含まれている。
【0319】
続いて、更新データ確認部421は、車両別属性値管理テーブル330にアクセスし、受信した車両IDに関する地図属性データを特定する(S1905)。具体的には、更新データ確認部421は、車両別属性値管理テーブル330に登録されているデータの中から、受信した車両IDに対応付けられていて、且つ「対応」を示す情報が対応付けられている属性データを選択する。例えば、車両別属性値管理テーブル330が図26の場合において、更新データ確認要求に含まれる車両IDが「5255」とする。この場合、更新データ確認部421は、車両別属性値管理テーブル330にアクセスして、更新データ確認要求に含まれる車両IDを持つ車両に必要な属性データとして、「踏切」、「一時停止線」、および「料金所」を選択する。
【0320】
次に、更新データ確認部421は、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320を参照し、S1900で受信したエリアIDに関して、S1905で取得した属性データのサポートエリアの更新日(サーバ地図更新日)を取得する(S1910)。
【0321】
次に、更新データ確認部421は、S1900で受信した「端末エリア更新日」と、S1910で取得した「サーバ地図更新日」とを比較し、両者が同じ場合にはS1920に進み、両者が異なればS1925に進む(S1915)。
【0322】
S1920では、更新データ確認部421は、車載情報端末11に対する応答の更新データ有無情報の内容を「地図更新済み」とする。
【0323】
S1925では、更新データ確認部421は、車載情報端末10に対する応答の更新データ有無情報の内容を「地図更新要」とする。
【0324】
そして、属性別最新地図確認部420は、S1920またはS1925で決定した送信内容の更新データ有無情報を車載情報端末11に送信する。ここで、送信する更新データ有無情報は、上述した図28のS1715において車載情報端末11が受信する。
【0325】
次に、地図更新サーバ31が車載情報端11からの更新データ受信要求を受け付けて行う地図更新データ配信処理について、図31を用いて説明する。
【0326】
図31は、本発明の第2実施形態の地図更新サーバ31が行う地図データ配信処理の手順を示すフローチャートである。
【0327】
先ず、更新データ送信部431は、通信部410を介して、車載情報端11からの更新データ受信要求を受信する(S2000)。更新データ受信要求とは、上述した図29のS1815の処理において、車載情報端末11から送信された要求である。この更新データ受信要求には、更新確認エリアに含まれる各エリアのエリアID、および各エリアIDの更新日(端末エリア更新日)と、車両IDとが含まれている。
【0328】
次に、更新データ送信部431は、図31のS1905と同様の処理を行い、受信した車両IDに関する属性データを特定する(S2005)。
【0329】
次に、更新データ送信部431は、S2000で受信した更新データ受信要求に含まれるエリアIDの地図データに関して、そのエリアに必要な地図属性データ、および道路形状の更新データを地図DB300から取得する(S2010)。なお、そのエリアに必要な地図属性データとは、受信したエリアIDにより特定される地図データに含まれる属性データのうち、S2005で特定した属性データをいう。
【0330】
次に、更新データ送信部431は、S2000で受信した更新データ受信要求に含まれるエリアIDに関し、そのエリアの必要な地図属性データのサポートエリアに関する更新データをサーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310から取得する(S2015)。
【0331】
次に、更新データ送信部431は、通信部410を介して、S2010およびS2015で取得した情報(更新データ)を車載情報端末11に送信する(S2020)。ここで、送信した更新データは、上述した図29のS1820において車載情報端末11が受信する。
【0332】
このように、本発明の第2実施形態では、地図更新サーバ31が、車両ID毎に、その車両IDにより特定される車両が走行制御に利用する属性データを対応付けた車両別属性値管理テーブル330を保持している。地図更新サーバ31は、車載情報端末11から送信される、車両IDが含まれ地図データの更新データ確認要求(或いは更新データ受信要求)を受信すると、受信した車両IDおよび車両別属性値管理テーブル330を用いて、車載情報端末11の必要な属性データを判定する。すなわち、第2実施形態では、地図更新サーバ31側で、車載情報端末毎に必要な属性データを特定するようにしている。地図更新サーバ31は、情報処理端末11に、特定した属性データに関する更新データの有無(或いは、更新データ)を返信している。
【0333】
このように、本発明の第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の車載情報端末が行っている各車両の走行制御に必要な属性データの判別処理を、センタ側に設置された地図更新サーバに担当させている。この構成により、第2実施形態は、上述した第1実施形態の効果に加えて、さらに、車載情報端末側の処理負荷を軽減することができる。
【0334】
《第3実施形態》
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、上述した第1実施形態の車両制御システムの変形例である。第3実施形態は、走行制御装置群を構成する各装置から車載情報端末を経由して地図更新サーバに問合せを行い、車載システム側が保持する地図データが最新のものであるか否かを確認し、最新のものでなければ更新するものである。
【0335】
なお、第3実施形態の説明において、上述した第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用いることとする。また、第3実施形態の説明は、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0336】
先ず、第3実施形態の機能構成について、図32を用いて説明する。
【0337】
図32は、本発明の第3実施形態の車両制御システムの機能ブロック図である。
【0338】
図示するように、第3実施形態は、第1実施形態と同様、車載情報端末12および走行制御装置群50を備える車載システムと、車載用情報端末12に地図データや地図データに関する情報を提供する地図更新サーバ32と、を有する。
【0339】
走行制御装置群50は、上述した第1実施形態の機能に加えて、さらに、車載情報端末12を経由して、地図更新サーバ32に、車載情報端末12が保持する地図データを更新する必要があるか否かの問い合わせを行う機能を備えている。すなわち、走行制御装置群50が、車載システムが保持する地図データについて、それが最新バージョンのものである否かの問い合わせを行うようにしている。なお、走行制御装置群50は、説明の便宜上、第1実施形態と同じ符号を用いる。
【0340】
車載情報端末12は、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、走行制御装置別更新日管理テーブル132、制御部200、車載機器ゲートウェイ(GW)210、通信部220、走行制御装置別地図確認部232、走行制御装置別地図更新部242、ナビゲーション処理部250、警告部260、警告・制御切替部270、スピーカ280、および表示部290を有する。なお、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、制御部200、車載機器ゲートウェイ(GW)210、通信部220、ナビゲーション処理部250、警告部260、警告・制御切替部270、スピーカ280、および表示部290は、第1実施形態のものと同じである。
【0341】
走行制御装置別更新日管理テーブル132は、走行制御装置別に、エリア毎の更新日を登録したテーブルである。ここで、走行制御装置別更新日管理テーブル132のデータ構造を図33に示す。
【0342】
図33は、本発明の第3実施形態の走行制御装置別更新日管理テーブル132のデータ構造を模擬的に示した図である。
【0343】
図示するように、走行制御装置別更新日管理テーブル132は、地図データを所定のエリアで分割し、各エリア(エリアを識別する各エリアID)について、走行制御装置毎に利用する地図データ(地図DB100に登録されている地図データ)の更新日を対応付けたものである。図示する例では、エリア1、2、3の各々について、走行制御装置別に、利用する地図データの更新日が対応付けられている。
【0344】
図32に戻り、説明を続ける。走行制御装置別最新地図確認部232は、走行制御装置群50から、利用する地図データに関する更新要求を受け付ける。そして、走行制御装置別最新地図確認部232は、地図更新サーバ32にアクセスして、更新確認の要求の対象の走行制御装置について、地図データを更新する必要があるか否かの確認要求(更新データ確認要求)を行い、更新確認エリアについて更新する必要があるか否かを判定する。
【0345】
走行制御装置別地図更新部242は、走行制御装置別最新地図確認部232により地図データを更新する必要があると確認された場合、地図更新サーバ32から地図データの更新データを取得する。
【0346】
なお、車載情報端末12のハードウェア構成については、特に限定しない。以下では、車載情報端末12は、第1実施形態と同様、CPU、メモリ、通信インタフェース(IF)、およびI/Oインタフェース(IF)を備える情報処理装置と、液晶ディスプレイ等の表示部290と、スピーカ280と、車載機器GW210と、を備えるシステムにより構成されている場合を例にする。
【0347】
この場合、メモリには、地図DB100、端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110、走行制御装置別更新日管理テーブル132が記憶されているものとする。また、メモリには、制御部200、通信部220、走行制御装置別地図確認部232、走行制御装置別地図更新部242、ナビゲーション処理部250、および警告部260、警告・制御切替部270の機能を実現するための各プログラムが記憶されているものとする。そして、制御部200、車載機器ゲートウェイ(GW)210、通信部220、走行制御装置別地図確認部232、走行制御装置別地図更新部242、ナビゲーション処理部250、警告部260、および警告・制御切替部270の各機能は、CPUがメモリに記憶されている各プログラムを実行することにより実現される。
【0348】
続いて、地図更新サーバ32の具体的な構成を説明する。
【0349】
地図更新サーバ32は、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、走行制御装置別属性値管理テーブル340、制御部400、通信部410、走行制御装置別最新地図確認部422、および走行制御装置別地図更新データ送信部432を有する。なお、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、制御部400、および通信部410は、第1実施形態のものと同じである。
【0350】
走行制御装置別属性値管理テーブル340は、地図データを所定のエリアで分割し、各エリア(エリアを識別する各エリアID)について、走行制御装置毎に利用する地図データ(地図DB300に登録されているマスタの地図データ)の更新日(サーバ側更新日)を対応付けたものである。
【0351】
走行制御装置別最新地図確認部422は、車載情報端末12からの更新データ確認要求を受け付けると、更新データ確認要求の対象の走行制御装置について、更新確認エリアの地図データの走行制御に必要なデータに関し、更新が必要か否かを確認し、確認結果を車載情報端末12に送信する。
【0352】
走行制御装置別地図更新データ送信部432は、車載情報端末12からの更新データ受信要求を受け付けると、更新データ受信要求の対象の走行制御装置について、更新確認エリアの地図データの更新データを車載情報端末12に送信する。
【0353】
なお、地図更新サーバ32のハードウェア構成については、特に限定しない。以下では、地図更新サーバ32は、第1実施形態と同様、CPU、メモリ、通信インタフェース(IF)、およびI/Oインタフェース(IF)を備える情報処理装置により実現される場合を例にする。この場合、メモリには、地図DB300、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320、および走行制御装置別属性値管理テーブル340が記憶されているものとする。また、メモリには、制御部400、通信部410、走行制御装置別最新地図確認部422、および走行制御装置別地図更新データ送信部432の機能を実現するための各プログラムが記憶されているものとする。そして、制御部400、通信部410、走行制御装置別最新地図確認部422、および走行制御装置別地図更新データ送信部432の機能は、CPUがメモリに記憶されている各プログラムを実行することにより実現される。
【0354】
続いて、本発明の第3実施形態により行われる処理について説明する。
【0355】
最初に、第3実施形態の車載システムが行う全体処理について、図34を用いて説明する。
【0356】
図34は、本発明の第3実施形態の車載システムが行う全体処理の概略を示すフローチャートである。なお、以下で示す処理は、車載情報端末12および走行制御群50を搭載している車両のエンジンパワーが始動すると(ON状態になると)開始される。
【0357】
先ず、車載情報端末10の制御部200は、走行制御装置群50からの地図データの更新要求の有無を判定する(S10)。具体的には、制御部200は、車載機器GW210を介して、走行制御装置群50からの地図データの更新要求を受け付けると、S11の処理に進み、更新要求を受け付けなければ、S18の処理に進む。ここで、走行制御装置群50からの地図データの更新要求には、走行制御装置群50に含まれる走行制御装置を識別する走行制御装置IDが含まれているものとする。
【0358】
なお、走行制御装置群50からの地図データの更新要求を行うタイミングについては、特に限定しない。例えば、走行制御装置群50は、車両のエンジンパワーがON状態になるタイミングで更新要求を行う。
【0359】
S11では、制御部200は、上述した図11のS1と同じ手順にしたがい、ナビ走行モードを判定してS12の処理に進む。そして、S12では、制御部200は、地図更新サーバ12に問合せる更新確認内容を設定する処理を行う。なお、S11〜S12の処理の具体的な内容は、後述する図35で説明する。
【0360】
次に、走行制御装置別最新地図確認部232は、通信部220を介して、地図更新サーバ32にアクセスして、地図更新確認処理を行う(S13)。なお、S13の処理の具体的な内容は、後述する図36で説明する。
【0361】
次に、走行制御装置別地図更新部242は、通信部220を介して、地図更新サーバ32にアクセスして、地図更新データの取得処理を行い(S14)、S15以降の処理に進む。なお、S14の処理の具体的な内容は、後述する図37で説明する。
【0362】
なお、S15以降の処理は、上述した図11のS5以降の処理と同じであるため、ここでの説明は、省略する。
【0363】
続いて、図34に示したナビ走行判定処理(S11)および更新確認内容設定処理(S12)の具体的な手順について、図35を用いて説明する。
【0364】
図35は、図34で示したS11およびS12の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。なお、以下に示すフローは、上述した図12で示した、第1実施形態の走行判定処理および更新確認内容設定処理の一部を変更したものである。そのため、以下では、図12と同じ処理の内容の説明は、簡略化する。
【0365】
先ず、車載情報端末12の制御部200は、図12のS405と同様の手順で経路探索有無の判別を行う(S2405)。そして、経路探索が行われているとS2410に進み、経路探索が行われていなければS2430に進む。
【0366】
次に、経路探索を実行していない場合に進むS2410〜S2425の処理を説明する。
【0367】
制御部200は、図12のS410と同様の手順で、走行制御/警告処理に利用する地図データのエリアを特定する処理のモード(走行モード)をナビフリー走行モードに設定する(S2410)。
【0368】
次に、制御部200は、図12のS415およびS420と同様の手順で、ナビゲーション処理部250のロケータの測位状況を判定して、測位良好の場合にS2425に進む(S2415、2420)。
【0369】
S2425では、制御部200は、S2410で設定した走行モード(ここでは、ナビフリー走行モード)により定まる手順にしたがい、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定する。なお、更新エリアを特定する方法は、図12のS430と同じである(図17、図18参照)。ここでは、更新確認エリアは、車両の現在位置が位置するメッシュを中心に所定数のメッシュで特定されるエリアとなる。
【0370】
さらに、S2425では、制御部200は、走行制御装置別更新日管理テーブル132を参照し、特定した更新確認エリアに含まれる各エリアの走行制御装置に対応付けられている更新日を取得する。ここで、各エリアの走行制御装置は、図34のS10で受信した走行制御装置IDにより特定される走行制御装置である。その後、制御部200は、走行制御装置別最新地図確認部232に地図更新確認処理を要求する。
【0371】
次に、S2405において、経路探索が実行されている場合に進むS2430〜S2435の処理について説明する。
【0372】
S2430では、制御部200は、図12のS435と同じ手順により走行モードをナビルート走行モードに設定する。
【0373】
S2435では、制御部200は、S2430で設定した走行モード(ここでは、ナビルート走行モード)により定まる手順にしたがい、車両の走行制御に利用する地図データのエリア(更新確認エリア)を特定する。なお、更新エリアを特定する方法は、図12のS445と同じである(図19参照)。ここでは、ナビルート走行モードであるため、更新確認エリアは、探索した経路を構成するリンクが属するメッシュにより特定されるエリアとなる。
【0374】
さらに、S2435では、制御部200は、走行制御装置別更新日管理テーブル132を参照し、特定した更新確認エリアに含まれる各エリアの走行制御装置に対応付けられている更新日を取得する。ここで、各エリアの走行制御装置は、図34のS10で受信した走行制御装置IDにより特定される走行制御装置である。その後、制御部200は、走行制御装置別最新地図確認部232に地図更新確認処理を要求する。
【0375】
続いて、図34に示した地図更新確認処理(S13)の具体的な手順について、図36を用いて説明する。
【0376】
図36は、図34で示したS13の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。なお、以下に示すフローは、上述した図13で示した、第1実施形態の地図更新確認処理の一部を変更したものである。そのため、以下では、図13と同じ処理の内容の説明は、簡略化する。
【0377】
先ず、走行制御装置別最新地図確認部232は、図13のS500と同じ手順で地図更新サーバ30との通信コネクションの確立処理を行う(S2500)。
【0378】
次に、走行制御装置別最新地図確認部232は、図13のS505と同じ手順にしたがい、通信コネクションの確立が成功したか否かを判定する(S2505)。通信コネクションが確立していればS2510に進み、通信コネクションの確立に失敗していればS2540に進む。
【0379】
S2540では、走行制御装置別最新地図確認部232は、図13のS540と同じ手順にしたがい、コネクション失敗回数kをカウントして、カウントした失敗回数kが所定値以上(例えば、失敗回数k≧5)であれば、S2550に進む。また、走行制御装置別最新地図確認部232は、カウントした失敗回数kが所定値未満(例えば、失敗回数k<5)であれば、S2500に戻り、再び、通信コネクションの確立処理を行う。
【0380】
次に、S2505において、コネクションの確立が成功したと判定した場合に進むS2510の処理を説明する。
【0381】
S2510では、走行制御装置別最新地図確認部232は、通信部220を介して、地図更新サーバ32に更新データ確認要求を行う。具体的には、走行制御装置別最新地図確認部232は、制御部200から「地図更新に関する情報(図34のS10で受信した走行制御装置ID、更新確認エリアのエリアID、各エリアIDの走行制御装置に関する更新日)」を取得する。走行制御装置別最新地図確認部232は、地図更新サーバ32に、取得した「地図更新に関する情報」が含まれる更新データ確認要求を送信する。なお、「地図更新に関する情報」は、図35のS2425/S2535において制御部200が取得した情報である。
【0382】
次に、走行制御装置別最新地図確認部232は、図13のS515と同様の処理を行う(S2515)。すなわち、走行制御装置別最新地図確認部232は、地図更新サーバ31が更新データ確認要求に応答して送信する更新データ有無情報を受信する。その後、走行制御装置別最新地図確認部232は、S2520以降の処理に遷移する。
【0383】
なお、S2520以降において、走行制御装置別最新地図確認部232および制御部200が行う処理は、上述した図13のS520以降の処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0384】
続いて、図34に示した地図更新データ取得処理(S14)の具体的な手順について、図37を用いて説明する。
【0385】
図37は、図34で示したS14の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。なお、以下に示すフローは、上述した図14で示した、第1実施形態の地図更新データ取得処理の一部を変更したものである。そのため、以下では、図13と同じ処理の内容の説明は、簡略化する。
【0386】
先ず、制御部200は、図14のS600と同様の手順にしたがい、更新確認処理が成功したか否かの判定し、成功していればS2605に進み、失敗していれば処理を終了する(S2600)。
【0387】
次に、制御部200は、図14のS605と同様の手順にしたがい、更新データ有無情報の判別を行い、更新データがあればS2610に進み、更新データが無ければ処理を終了する(S2605)。
【0388】
次に、制御部200は、図14のS610と同様の手順にしたがい、ユーザからのダウンロード要求を受け付けたか否かを判定し、受け付けていればS2615に進み。一方、制御部200は、ユーザからダウンロード要求を受け付けていなければ、S2640に進む(S2610)。なお、S2640に進んだ場合、図14のS640と同様の処理が行われて処理を終了する。
【0389】
S2615では、制御部200は、走行制御装置別地図更新部242に、地図更新サーバ32への更新データ受信処理の指示を行なう。走行制御装置別地図更新部242は、更新データ受信処理の指示を受けると、制御部200から「地図更新に関する情報(図34のS10で受信した走行制御装置ID、更新確認エリアのエリアID、各エリアIDの走行制御装置に関する更新日)」を取得する。走行制御装置別地図更新部242は、地図更新サーバ32に「地図更新に関する情報」が含まれる更新データ受信要求を送信する。
【0390】
S2620では、走行制御装置別地図更新部242は、通信部220を介して、地図更新サーバ32が更新データ受信要求に応答して送信する更新データを受信し、S2625の処理に進む。
【0391】
なお、S2625以降の処理は、図14のS625以降の処理と同じであるためここでの説明は省略する。
【0392】
続いて、本発明の第3実施形態の地図更新サーバ32が行う処理を説明する。
【0393】
最初に、地図更新サーバ31が車載情報端12からの更新データ確認要求を受け付けて行う地図データ更新確認処理について、図38を用いて説明する。
【0394】
図38は、本発明の第3実施形態の地図更新サーバ32が行う地図データ更新確認処理の手順を示すフローチャートである。
【0395】
先ず、走行制御装置別最新地図確認部422は、通信部410を介して、車載情報端12からの更新データ確認要求を受信する(S2700)。車載情報端12からの更新データ確認要求とは、上述した図36のS2510の処理において、車載情報端末12から送信された要求である。この更新データ確認要求には、「地図更新に関する情報(図34のS10で受信した走行制御装置ID、更新確認エリアのエリアID、各エリアIDの走行制御装置に関する更新日(端末側更新日))」が含まれている。
【0396】
続いて、走行制御装置別最新地図確認部422は、走行制御機器別属性値管理テーブル340にアクセスし、S2700で受信した更新データ確認要求に含まれる走行制御装置IDにより特定される走行制御装置に必要な地図属性データを取得する(S2705)。
【0397】
次に、走行制御装置別最新地図確認部422は、更新確認エリアに関する、走行制御に必要な属性データ、道路形状および属性データのサポートエリアに関する更新日(サーバ側更新日)を取得する(S2710)。具体的には、走行制御装置別最新地図確認部422は、S2700で受信した更新データ確認要求に含まれる更新確認エリアのエリアIDと、S2705で特定した属性データと、サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310と、サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320と、地図DB300とを用いて、更新確認エリアに関する、走行制御に必要な属性データと、道路形状および属性データのサポートエリアに関するサーバ地図更新日とを取得する。
【0398】
次に、走行制御装置別最新地図確認部422は、S2700で受信した「端末側更新日」と、S2710で取得した「サーバ側更新日」とを比較し、両者が同じ場合にはS2720に進み、両者が異なればS2725に進む(S2715)。
【0399】
S2720では、走行制御装置別最新地図確認部422は、車載情報端末12に対する応答の更新データ有無情報の内容を「地図更新済み」とする。
【0400】
S2725では、走行制御装置別最新地図確認部422は、車載情報端末12に対する応答の更新データ有無情報の内容を「地図更新要」とする。
【0401】
そして、走行制御装置別最新地図確認部422は、S2720またはS2725で決定した送信内容の更新データ有無情報を車載情報端末12に送信する。ここで、送信する更新データ有無情報は、上述した図36のS2515において車載情報端末12が受信する。
【0402】
次に、地図更新サーバ32が車載情報端11からの更新データ受信要求を受け付けて行う地図更新データ配信処理について、図39を用いて説明する。
【0403】
図39は、本発明の第3実施形態の地図更新サーバ32が行う地図更新データ配信処理の手順を示すフローチャートである。
【0404】
先ず、走行制御装置別地図更新データ送信部432は、通信部410を介して、車載情報端12からの更新データ受信要求を受信する(S2800)。更新データ受信要求とは、上述した図37のS2615の処理において、車載情報端末12から送信された要求である。この更新データ受信要求には、「地図更新に関する情報(図34のS10で受信した走行制御装置ID、更新確認エリアのエリアID、各エリアIDの走行制御装置に関する更新日(端末側更新日))」が含まれている。
【0405】
次に、走行制御装置別地図更新データ送信部432は、図38のS2705と同様の処理を行い、S2800で受信した更新データ確認要求に含まれる走行制御装置IDにより特定される走行制御装置に必要な地図属性データを特定する(S2805)。
【0406】
次に、走行制御装置別地図更新データ送信部432は、S2800で受信した更新データ受信要求に含まれるエリアIDの地図データに関して、そのエリアに必要な地図属性データ、および道路形状の更新データを地図DB300から取得する(S2810)。なお、そのエリアに必要な地図属性データとは、受信したエリアIDにより特定される地図データに含まれる属性データのうち、S2805で特定した属性データをいう。
【0407】
次に、走行制御装置別地図更新データ送信部432は、S2800で受信した更新データ受信要求に含まれるエリアIDに関し、そのエリアの必要な地図属性データのサポートエリアに関する更新データをサーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル310から取得する(S2815)。
【0408】
次に、更新データ送信部431は、通信部410を介して、S2810およびS2815で取得した情報(更新データ)を車載情報端末12に送信する(S2820)。ここで、送信した更新データは、上述した図37のS2620において車載情報端末12が受信する。
【0409】
このように、本発明の第3実施形態では、地図更新サーバ32に、走行制御装置ID毎に、その走行制御装置IDにより特定される走行制御装置が利用する属性データを対応付けた走行制御機器別属性値管理テーブル340を保持させるようにしている。地図更新サーバ32は、車載情報端末12から送信される、走行制御装置IDが含まれ地図データの更新データ確認要求(或いは更新データ受信要求)を受信すると、受信した走行制御装置IDおよび走行制御機器別属性値管理テーブル340を用いて、車載情報端末12に必要な属性データを判定する。すなわち、第3実施形態では、地図更新サーバ32側で、車載情報端末にとり必要な属性データが特定できるようにしている。
【0410】
このように、本発明の第3実施形態によれば、上述した第1実施形態の車載情報端末が行っている各車両の走行制御に必要な属性データの判別処理を、センタ側に設置された地図更新サーバに担当させている。この構成により、第3実施形態は、上述した第2実施形態と同様、第1実施形態の効果に加えて、さらに、車載情報端末側の処理負荷を軽減することができる。
【0411】
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0412】
例えば、上述した実施形態の説明では、車載情報端末側で、車両が法定速度内で走行しているかの判定や、スクールゾーンに進入したかの判定等を行っているが、走行制御装置群50側で、これらの判定(車両が法定速度内で走行しているかの判定や、スクールゾーンに進入したかの判定等)を行ってもよい。この場合、車載情報端末10は、車両の現在位置と、地図データの道路形状およびその道路の属性データとを走行制御装置群50に送信する。そして、走行制御装置群50側で、車載情報端末10からの情報を利用して、各種の判定を行う。
【0413】
また、上記実施形態の図16の走行制御/警告モード設定処理では、最初に、更新済モードであるか否かを確認しているが(S800)が、これは例示に過ぎない。例えば、S800の処理の前に、走行制御に利用する地図データの更新日を確認して、更新日から所定期間以上経過していれば(例えば、2年以上経過していれば)、無制御モードに設定するようにしてもよい。この場合、更新日から所定期間以上経過していなければ、S800の処理を行う。
【0414】
また、上記実施形態では、更新データ確認要求と、更新データ受信要求とを別々の処理として行なったが、特にこれに限定するものではない。例えば、地図更新サーバは、更新データ確認要求を受け付けて、更新する必要があると判定した場合には、更新データを車載情報端末に送信するようにしてもよい。
【0415】
また、上記実施形態では、車載情報端末が保持する地図データと、地図更新サーバが保持する地図データとを比較する際に、更新日を用いるようにしたが、更新日以外のデータを利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0416】
【図1】本発明の第1実施形態の車両制御システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態で用いるサポートエリアを説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態の地図更新サーバが送信する差分情報を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態の車両の走行制御と、その走行制御に利用する地図データとの対応表を示した図である。
【図5】本発明の第1実施形態で利用する地図データのデータ構造を模擬的に例示した図である。
【図6】本発明の第1実施形態の属性値管理テーブルのデータ構造を模擬的に例示した図である。
【図7】本発明の第1実施形態の車載システムと、属性データとの関係を説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態の端末側属性値別サポートエリア管理テーブル110のデータ構造を模擬的に示した図である。
【図9】本発明の第1実施形態の端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブルを模擬的に示した図である。
【図10】本発明の第1実施形態のサーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル320のデータ構造を模擬的に示した図である。
【図11】本発明の第1実施形態の車載システムが行う全体処理の概略を示すフローチャートである。
【図12】図11で示したS1およびS2の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図13】図11に示したS3の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図14】図11に示したS4の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図15】図11に示したS5の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図16】図11に示したS6の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図17】本発明の第1実施形態のナビフリー走行モードにおいて、車両のエンジン始動が開始された際の更新確認エリアを説明するための図である。
【図18】本発明の第1実施形態のナビフリー走行モードにおいて、車両が走行している際の更新確認エリアを説明するための図である。
【図19】本発明の第1実施形態のナビルート走行モードにおける地図データの更新確認エリアを説明するための図である。
【図20】本発明の第1実施形態における車両の走行制御に利用する走行制御/警告モードと、設定条件とを説明するための図である。
【図21】本発明の第1実施形態におけるスクールゾーン制御の処理を説明するための図である。
【図22】本発明の第1実施形態における踏切停止制御の処理を説明するための図である。
【図23】本発明の第1実施形態の地図更新サーバ30が行う地図データ更新確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】本発明の第1実施形態の地図更新サーバ30が行う地図更新データ配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第2実施形態の車両制御システムの機能ブロック図である。
【図26】本発明の第2実施形態の車両別属性値管理テーブル330のデータ構造を模擬的に示した図である。
【図27】本発明の第2実施形態の車載情報端末が行う走行判定処理および更新確認内容設定処理の手順を示したフローチャートである。
【図28】本発明の第2実施形態の車載情報端末が行う地図更新確認処理の手順を示したフローチャートである。
【図29】本発明の第2実施形態の車載情報端末が行う地図更新データ取得処理の手順を示したフローチャートである。
【図30】本発明の第2実施形態の地図更新サーバ31が行う地図データ更新確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図31】本発明の第2実施形態の地図更新サーバ31が行う地図データ配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図32】本発明の第3実施形態の車両制御システムの機能ブロック図である。
【図33】本発明の第3実施形態の走行制御装置別更新日管理テーブル132のデータ構造を模擬的に示した図である。
【図34】本発明の第3実施形態の車載システムが行う全体処理の概略を示すフローチャートである。
【図35】図34で示したS11およびS12の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図36】図34で示したS13の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図37】図34で示したS14の処理の具体的な手順を示したフローチャートである。
【図38】本発明の第3実施形態の地図更新サーバ32が行う地図データ更新確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図39】本発明の第3実施形態の地図更新サーバ32が行う地図更新データ配信処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0417】
10…車載情報端末、11…車載情報端末、12…車載情報端末、30…地図更新サーバ、31…地図更新サーバ、32…地図更新サーバ、50…走行制御装置群、100…地図DB、110…端末側属性値別サポートエリア管理テーブル、120…属性値管理テーブル、130…端末側道路形状・属性データ更新日管理テーブル、131…端末側エリア更新日管理テーブル、200…制御部、210車載機器ゲートウェイ(GW)、220…通信部、230…属性別最新地図確認部、231…エリア別最新地図確認部、232…走行制御装置別最新地図確認部、240…属性別更新データ送信部、241…エリア別地図更新部、242…走行制御装置別地図更新部、250…ナビゲーション処理部、260…警告部、270…警告・制御切替部、280…スピーカ、290…表示部290、300…地図DB、310…サーバ側属性値別サポートエリア管理テーブル、320…サーバ側道路形状・属性データ更新日管理テーブル、330…車両別属性値管理テーブル、400…制御部、410…通信部、420…属性別最新地図確認部、421…更新データ確認部、422…走行制御装置別最新地図確認部、430…属性別地図更新データ送信部、431…更新データ送信部、432…走行制御装置別地図更新データ送信部、500…自動速度制御部、505…スクールゾーン制御部、510…踏切停止制御部、515…一時停止線制御部、520…料金所速度制御部、525…配光制御部、530…レーンキープ制御部、535…シフトチェンジ制御部、540…HEV回生ブレーキ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装備されている走行制御装置と通信を行い、該走行制御装置を制御して車両の走行制御を行う車載情報端末であって、
道路を構成するリンク、該リンクの道路形状、および該リンクの属性データが含まれている地図データが登録された地図データベース(DB)と、
前記地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブルと、
車両が走行するエリアを推定し、前記サポートエリア管理テーブルを用いて、前記推定したエリアに含まれる属性データが前記サポートエリアに対応付けられているか否かを判定し、前記属性データが前記サポートエリアに対応付けられている場合、前記走行制御装置を制御して、前記地図データを利用した車両の走行制御を行い、該サポートエリアに対応付けられていない場合、地図データを利用した車両の走行制御を行わない制御手段と、を有すること
を特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報端末であって、
地図データを分類したエリア毎に、該エリアに含まれるリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、前記サポートエリア管理テーブルのデータの更新日とを格納している更新日管理テーブルと、
最新版の地図データを保持する地図サーバと通信を行う通信手段と、
前記推定したエリアに関して、前記地図DBに登録された地図データおよび前記サポートエリアが、前記地図サーバが保持する最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認する更新確認手段と、を備え、
前記更新確認手段は、前記通信手段を介して、前記地図サーバにアクセスし、前記推定したエリアに関して、前記更新日管理テーブルに格納された更新日を含む更新確認要求を行い、前記更新確認要求に応答して送信された確認結果により、前記地図DBに登録された地図データおよび前記サポートエリア管理テーブルのサポートエリアが、前記地図サーバが保持する最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認すると共に、該同じでなければ、前記最新版の地図データのものに更新するためのデータを取得し、自身が保持する地図データ、サポートエリア管理テーブル、および更新日管理テーブルを更新すること
を特徴とする車載情報端末。
【請求項3】
請求項1に記載の車載情報端末であって、
地図データを分割したエリア毎に、該エリア内のデータを更新した更新日を対応付けたエリア更新日管理テーブルと、
前記車載情報端末を搭載した車両を識別する車両IDを保持する手段と、
最新版の地図データを保持する地図サーバと通信を行う通信手段と、
前記推定したエリアに関して、前記地図DBに登録された地図データおよび前記サポートエリアが、前記地図サーバが保持する最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認する更新確認手段と、を備え、
前記地図サーバは、車両ID毎に、当該車両IDにより特定される車両が走行制御に利用する属性データを対応付けた情報を保持していて、
前記更新確認手段は、
前記通信手段を介して、前記地図サーバにアクセスし、前記推定したエリアに関して、前記更新日管理テーブルに格納された更新日および車両IDを含む更新確認要求を行い、前記更新確認要求に応答して送信された確認結果により、前記地図DBに格納された地図データのうち前記車両IDに対応付けられている属性データ、該属性データのサポートエリア、道路形状が、前記地図サーバが保持する最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認すると共に、該同じでなければ、前記最新版の地図データのものに更新するためのデータを取得し、自身が保持する地図データ、サポートエリア管理テーブル、および更新日管理テーブルを更新すること
を特徴とする車載情報端末。
【請求項4】
請求項1に記載の車載情報端末であって、
地図データを分割した各エリアについて、車両に装備されている走行制御装置を識別する装置ID毎に、走行制御に利用するデータの更新日を対応付けた更新日管理テーブルと、
最新版の地図データを保持する地図サーバと通信を行う通信手段と、
前記推定したエリアに関して、前記地図DBに登録された地図データおよび前記サポートエリアが、前記地図サーバが保持する最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認する更新確認手段と、を備え、
前記地図サーバは、装置ID毎に、当該装置IDにより特定される走行制御装置が走行制御に利用する属性データを対応付けた情報を保持していて、
前記更新確認手段は、
前記通信手段を介して、前記地図サーバにアクセスし、前記推定したエリアに関して、前記更新日管理テーブルに格納された更新日および装置IDを含む更新確認要求を行い、前記更新確認要求に応答して送信された確認結果により、前記地図DBに登録された地図データのうち前記装置IDに対応付けられている属性データ、該属性データのサポートエリア、道路形状が、前記地図サーバが保持する最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認すると共に、該同じでなければ、前記最新版の地図データのものに更新するためのデータを取得し、自身が保持する地図データ、サポートエリア管理テーブル、および更新日管理テーブルを更新すること
を特徴とする車載情報端末。
【請求項5】
最新版の地図データを保持し、車両の走行制御を行う車載システムに、該地図データに関する情報を提供する地図サーバであって、
前記地図データには、道路を構成するリンク、該リンクの道路形状、および該リンクの属性データが含まれていて、
前記最新版の地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブルと、
地図データに含まれるリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、前記サポートエリア管理テーブルのデータの更新日とを格納している更新日管理テーブルと、
前記車載システムと通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介して、前記車載システムからの各種要求を受け付ける更新確認手段と、を有し、
前記更新確認手段は、
前記通信手段を介して、前記車載システムから更新確認を求める地図データの確認エリアと、前記車載システムが保持する地図データの該確認エリア内のリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、該確認エリア内のリンクの属性データのサポートエリアの更新日とを取得し、該車載システムから取得した情報と、前記更新日管理テーブルと、前記サポートエリア管理テーブルとを用いて、前記車載システムが保持する地図データの前記確認エリアの属性データ、道路形状、および該属性データのサポートエリアについて、更新する必要があるか否かを判定し、前記車載システムに該判定結果を送信し、さらに、更新する必要がある場合に、更新に必要なデータを送信すること
を特徴とする地図サーバ。
【請求項6】
最新版の地図データを保持し、車両の走行制御を行う車載システムに、該地図データに関する情報を提供する地図サーバであって、
前記地図データには、道路を構成するリンク、該リンクの道路形状、および該リンクの属性データが含まれていて、
前記最新版の地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブルと、
地図データに含まれるリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、前記サポートエリア管理テーブルのデータの更新日とを格納している更新日管理テーブルと、
車両を識別する車両ID毎に、当該車両IDにより特定される車両が走行制御に利用する属性データを対応付けた車両別属性データ管理テーブルと、
前記車載システムと通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介して、前記車載システムからの各種要求を受け付ける更新確認手段と、を有し、
前記更新確認手段は、
前記通信手段を介して、前記車載システムから更新確認を求める地図データの確認エリアと、該確認エリアの更新日と、前記車載システムが搭載されている車両を識別する車両IDとを取得し、
前記車載システムから取得した情報と、前記更新日管理テーブルと、前記サポートエリア管理テーブルと、前記車両別属性データ管理テーブルとを用いて、前記車載システムが保持する地図データの前記確認エリアに関し、前記取得した車両IDにより特定される車両が走行制御に利用する属性データ、道路形状、および該属性データのサポートエリアについて、更新する必要があるか否かを判定し、前記車載システムに該判定結果を送信し、さらに、更新する必要がある場合に、更新に必要なデータを送信すること
を特徴とする地図サーバ。
【請求項7】
最新版の地図データを保持し、車両の走行制御を行う車載システムに、該地図データに関する情報を提供する地図サーバであって、
前記地図データは、道路を構成するリンク、該リンクの道路形状、および該リンクの属性データが含まれていて、
前記最新版の地図データの属性データの種類毎に、実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を対応付けたサポートエリア管理テーブルと、
地図データに含まれるリンクの属性データおよび道路形状の更新日と、前記サポートエリア管理テーブルのデータの更新日とを格納している更新日管理テーブルと、
車両に装備されている走行制御装置を識別する装置ID毎に、当該装置IDにより特定される走行制御装置が走行制御に利用する属性データを対応付けた装置別属性データ管理テーブルと、
前記車載システムと通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介して、前記車載システムからの各種要求を受け付ける更新確認手段と、を有し、
前記更新確認手段は、
前記通信手段を介して、前記車載システムから更新確認を求める地図データの確認エリアと、装置IDと、該確認エリアに関して該装置IDにより特定される車両制御装置が利用するデータの更新日とを取得して、
前記車載システムから取得した情報と、前記更新日管理テーブルと、前記サポートエリア管理テーブルと、前記装置別属性データ管理テーブルとを用いて、前記車載システムが保持する地図データの前記確認を求めるエリアに関し、前記取得した装置IDにより特定される走行制御装置が走行制御に利用する属性データ、道路形状、および該属性データのサポートエリアについて、更新する必要があるか否かを判定し、前記車載システムに該判定結果を送信し、さらに、更新する必要がある場合に、更新に必要なデータを送信すること
を特徴とする地図サーバ。
【請求項8】
車両の走行を制御する走行制御装置と、該走行制御装置と通信を行い、該走行制御装置を制御する車載情報端末とを備える車載システムであって、
前記車載情報端末は、
地図データを登録した地図データベース(DB)と、
地図データの中の実地調査済みのエリア(サポートエリア)を特定する情報を登録するサポートエリア管理テーブルと、
最新版の地図データを保持する地図サーバと通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介して、前記地図サーバにアクセスして、前記地図DBの地図データおよび前記サポートエリアのうち、車両が走行すると推定したエリアに関する地図データおよび前記サポートエリアが、前記最新版の地図データのものと同じであるか否かを確認する確認手段と、
前記車載システムのモードを、走行制御を実行する制御モード、警告処理を実行する警告モード、走行制御および警告処理のいずれも行わない無制御モードのいずれかに切替える警告・制御切替手段と、
前記制御モードが設定された場合に、前記走行制御装置を制御して、前記地図DBの地図データを利用した車両の走行制御を行う制御手段と、
前記警告モードが設定された場合に、前記地図DBの地図データを利用して、ユーザに警告を行う警告手段と、を有し、
前記警告・制御切替手段は、
前記確認手段により、前記地図DBの地図データおよび前記サポートエリアのうち、車両が走行すると推定したエリアに関するデータが、前記最新版の地図データのものと同じであると確認できた場合であって、且つ前記推定したエリアが前記サポートエリア管理テーブルに登録されたサポートエリアである場合、前記モードを制御モードに設定し、
前記最新版の地図データのものと同じであると確認できない場合であって、且つ前記推定したエリアが前記サポートエリア管理テーブルに登録されたサポートエリアである場合、前記モードを警告モードに設定し、
前記推定したエリアが前記サポートエリア管理テーブルに登録されたサポートエリアではない場合、前記モードを無制御モードに設定すること
を特徴とする車載システム。
【請求項9】
請求項8に記載の車載システムであって、
前記確認手段により、前記地図DBの地図データおよび前記サポートエリアのうち、車両が走行すると推定したエリアに関するデータが、前記最新版の地図データのものと同じではないことが確認できた場合、前記通信手段を介して、前記地図サーバにアクセスして、前記推定したエリアに関する地図データおよび前記サポートエリアを、前記最新版の地図データのものに更新するための更新データを取得し、該取得した更新データを一時的に保持する取得手段と、
ユーザからの地図データの更新要求を受け付ける手段と、
前記更新要求を受け付けると、前記一時的に保持している更新データを用いて、前記地図DBおよびサポートエリア管理テーブルを更新する更新手段とを備え、
前記警告・制御切替手段は、前記更新手段が前記地図DBおよびサポートエリア管理テーブルを更新した場合であって、且つ前記推定したエリアが前記サポートエリア管理テーブルに登録されたサポートエリアである場合、前記モードを制御モードに設定すること
を特徴とする車載システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の車載システムであって、
前記通信手段が行う前記地図サーバとの通信状態を監視する通信監視手段を有し、
前記警告・制御切替手段は、前記通信監視手段が通信不良と判定した場合において、前記推定したエリアが前記サポートエリア管理テーブルに登録されたサポートエリアであれば、前記モードを警告モードに設定すること
を特徴とする車載システム。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記車載情報端末は、
地図データを分類したエリア毎に、該エリアに含まれる地図データの更新日を格納している更新日管理テーブルを備え、
前記警告・制御切替手段は、前記更新日管理テーブルを参照して、前記推定したエリアに関する地図データが更新されてから所定期間以上経過している場合には、前記モードを無制御モードに設定すること
を特徴とする車載システム。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路の制限速度を示す制限速度情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、エンジンパワー、ブレーキ、およびトランスミッションの制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置、速度センサから車速を利用して、車両が制限速度を超えたか否かを監視し、該制限速度を超えると速度超過していることをユーザに告知し、さらに、前記走行制御装置に、前記制限速度以下になるよう、エンジンパワーの制御、ブレーキ制御、およびトランスミッションの制御のうちのいずれかを実行させ、
前記警告部は、前記警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置、速度センサから車速を利用して、車両が制限速度を超えたか否かの監視し、該制限速度を超えると速度超過していることをユーザに告知する警告処理を行うこと
を特徴とする車載システム。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路がスクールゾーンに属するか否かを示すスクールゾーン情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、エンジンパワー、ブレーキ、およびトランスミッションの制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両がスクールゾーンに接近しているか否か、およびスクールゾーンを走行中であるか否かの監視を行い、該スクールゾーンに接近している場合および走行中の場合には、ユーザにその旨を告知すると共に、前記走行制御装置に、車両を減速させるために、エンジンパワーの制御、ブレーキ制御、およびトランスミッションの制御のうちのいずれかを実行させ、
前記警告部は、前記警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両がスクールゾーンに接近しているか否か、およびスクールゾーンを走行中であるか否かの監視を行い、該スクールゾーンに接近している場合および走行中の場合には、ユーザにその旨を告知する警告処理を行うこと
を特徴とする車載システム。
【請求項14】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、踏切の位置を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、エンジンパワー、ブレーキ、およびトランスミッションの制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が踏切に接近しているか否かを監視し、該踏切に接近すると、ユーザにその旨を告知すると共に、前記走行制御装置に、車両を減速させるために、エンジンパワーの制御、ブレーキ制御、およびトランスミッションの制御のうちのいずれかを実行させ、
前記警告部は、前記警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が踏切に接近しているか否かを監視し、該踏切に接近すると、ユーザにその旨を告知する警告処理を行うこと
を特徴とする車載システム。
【請求項15】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路上の一時停止線の位置を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、エンジンパワー、ブレーキ、およびトランスミッションの制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が一時停止線に接近しているか否かを監視し、該一時停止線に接近すると、ユーザにその旨を告知すると共に、前記走行制御装置に、車両を減速させるために、エンジンパワーの制御、ブレーキ制御、およびトランスミッションの制御のうちのいずれかを実行させ、
前記警告部は、前記警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が一時停止線に接近しているか否かを監視し、該一時停止線に接近すると、ユーザにその旨を告知する警告処理を行うこと
を特徴とする車載システム。
【請求項16】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、料金所の位置を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、エンジンパワー、ブレーキ、およびトランスミッションの制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が料金所に接近しているか否かを監視し、該料金所に接近すると、ユーザにその旨を告知すると共に、前記走行制御装置に、車両を減速させるために、エンジンパワーの制御、ブレーキ制御、およびトランスミッションの制御のうちのいずれかを実行させ、
前記警告部は、前記警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が料金所に接近しているか否かを監視し、該料金所に接近すると、ユーザにその旨を告知する警告処理を実行すること
を特徴とする車載システム。
【請求項17】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路の道路形状、および曲率を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、エンジンパワー、ブレーキ、およびトランスミッションの制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置、速度センサから車速を利用して、車両がカーブを通過するか否かを監視して、カーブ手前において、該カーブへの進入速度が所定値以上であれば、ユーザに速度超過警告を告知すると共に、前記走行制御装置に、車両を減速させるために、エンジンパワーの制御、ブレーキ制御、およびトランスミッションの制御のうちのいずれかを実行させ、
前記警告部は、前記警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置、速度センサから車速を利用して、車両がカーブを通過するか否かを監視して、カーブ手前において、該カーブへの進入速度が所定値以上であれば、ユーザに速度超過を告知する警告処理を行うこと
を特徴とする車載システム。
【請求項18】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路の道路形状、曲率、および勾配を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、車両の前照灯の照射角度の制御が可能であって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両がカーブに進入するか否かの監視、および上り坂や下り坂などの勾配の変化点に到着したか否かの監視を行い、車両がカーブを通過する際には、前記走行制御装置に、前記道路形状、前記曲率、および前記勾配を示す情報を利用して、前照灯の左右方向を制御させて、車両が勾配の変化点を通過する際には、前記走行制御装置に、前記道路形状、前記曲率、および前記勾配を示す情報を利用して前照灯の左右方向を制御させ、
前記制御モード以外のモードが設定されている場合には、前照灯の照射角度の制御は行わないこと
を特徴とする車載システム。
【請求項19】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路の道路形状、曲率、幅員、および車線間距離を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、車両の操舵角の制御を行うものであって、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が車線から逸脱するか否かを監視し、車両が車線から逸脱すると、前記走行制御装置に、車両が車線から逸脱しないように操舵角を制御させて、
前記警告部は、警告モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両が車線から逸脱するか否かを監視し、車両が車線から逸脱すると、逸脱を告知する警告処理を行うこと
を特徴とする車載情報システム。
【請求項20】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路の道路形状、曲率、および勾配を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、車両のシフトチェンジ制御が実行でき、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を利用して、車両がカーブに進入するか否かの監視、および上り坂や下り坂などの勾配の変化点に到着したか否かの監視を行い、車両の前方にカーブあるいは勾配があると判定された場合に、記走行制御装置に、前記道路形状、前記曲率、および前記勾配を示す情報を利用して、該勾配、該カーブに応じたシフトアップダウンの制御を実行させ、
前記制御モード以外のモードが設定されている場合には、シフトチェンジ制御を実行しないこと
を特徴とする車載システム。
【請求項21】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記地図データには、道路の道路形状、曲率、および勾配を示す情報が含まれていて、
前記走行制御装置は、車両の回生ブレーキの制御が実行でき、
前記制御部は、前記制御モードが設定されると、前記地図データ、および車両の現在位置を前記走行制御装置に送信し、前記走行制御装置に、前記地図データに含まれる道路形状データ、曲率、勾配情報を利用して、電力パワーが効率的に回生できるように回生ブレーキ制御を実行させて、
前記制御モード以外のモードが設定されている場合には、前記回生ブレーキの制御は行わないこと
を特徴とする車載システム。
【請求項22】
請求項12〜17、および19のうちのいずれか一項に記載の車載システムであって、
前記警告部は、警告モードが設定されると、前記警告処理と共に、ユーザに走行制御モードではないことを告知すること
を特徴とする車載情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2008−145154(P2008−145154A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330183(P2006−330183)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【Fターム(参考)】