説明

通信型ナビゲーションシステム、車両ナビゲーション装置及びセンター装置

【課題】経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行えるようにする。
【解決手段】通信型ナビゲーションシステム1において、センター装置31は、地図データを検索して車両ナビゲーション装置11から受信した現在位置から目的地までの経路を計算し、車両ナビゲーション装置11は、現在位置がセンター装置31にて計算された経路上の通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置31から受信した当該通過地点での進路情報を重畳して表示する。経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができ、車両ナビゲーション装置11が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題が発生することもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ナビゲーション装置とセンター装置とが通信網を介して通信可能に構成されてなる通信型ナビゲーションシステム、前記車両ナビゲーション装置及び前記センター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されている車両ナビゲーション装置は、地図データを内蔵し、目的地が設定されると、地図データを検索して現在位置から目的地までの経路を計算し、地図上に当該計算した経路を重畳して表示することにより、経路案内を行うように構成されている。
【0003】
ところで、道路状況は道路の開通や閉鎖に伴って時間経過と共に刻々と変化するものであり、車両ナビゲーション装置では、経路案内を適切に行えるように道路状況の変化に対応すべく地図データを更新する必要がある。地図データを更新する方法としては、例えば最新の地図データが格納されているDVDを購入したり、HDDを取外してメーカ側で地図データを更新したり、サーバから最新の地図データをダウンロードしたりする方法がある。ところが、これらの方法では、DVDを購入する費用が発生するというコスト的な問題や、HDDを取外して取付け直すのに手間がかかるという作業性の問題や、膨大なデータ量をダウンロードするのに時間がかかるという時間的な問題などの種々の問題がある。
【0004】
一方、下記の特許文献1には、車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得すると共に、例えば幹線道路などの接続を表す道路データに基づいて案内情報を作成し、車両進行方向の映像に案内情報を重畳して表示することにより、経路案内を行う構成が開示されている。
【特許文献1】特開平10−132598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載されているものでは、車両ナビゲーション装置が地図データを保持しておく必要がないものの、地図データほど詳細ではないが道路データを保持しておく必要があり、そのため、経路案内を適切に行えるようにするには、道路データを更新する必要があるなどの新たな問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両ナビゲーション装置で地図データや道路データを保持しておく必要がなく、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる通信型ナビゲーションシステム、車両ナビゲーション装置及びセンター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、センター装置は、車両ナビゲーション装置から現在位置及び目的地を受信すると、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を計算し、当該経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での進路を計算し、当該通過地点及び当該進路を表す進路情報を車両ナビゲーション装置に送信する。車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得し、現在位置がセンター装置から受信した通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置から受信した進路情報を重畳して表示する。
【0008】
これにより、車両ナビゲーション装置が現在位置から目的地までの経路を計算するのではなく、センター装置が地図データを検索して現在位置から目的地までの経路を計算し、車両ナビゲーション装置では、現在位置がセンター装置にて計算された経路上の通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置から受信した進路情報を重畳して表示するので、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる。この場合、車両ナビゲーション装置が地図データを保持しておく必要がないので、車両ナビゲーション装置が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0009】
請求項2に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、センター装置は、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を複数計算すると、それら複数の経路のうち車両ナビゲーション装置にて選択された経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での進路を表す進路情報を車両ナビゲーション装置に送信するので、ユーザが車両ナビゲーション装置を操作して選択した経路に関して経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる。
【0010】
請求項3に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、センター装置は、車両ナビゲーション装置から現在位置及び目的地を受信すると、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を計算し、当該経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算し、当該通過地点及び当該ベクトルを表すベクトル情報を車両ナビゲーション装置に送信する。車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得し、現在位置がセンター装置から受信した通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置から受信したベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示する。
【0011】
これにより、車両ナビゲーション装置が現在位置から目的地までの経路を計算するのではなく、センター装置が地図データを検索して現在位置から目的地までの経路を計算し、車両ナビゲーション装置では、現在位置がセンター装置にて計算された経路上の通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置から受信した当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示するので、上記した請求項1に記載したものと同様にして、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる。この場合も、車両ナビゲーション装置が地図データを保持しておく必要がないので、車両ナビゲーション装置が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0012】
請求項4に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、センター装置は、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を複数計算すると、それら複数の経路のうち車両ナビゲーション装置にて選択された経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを表すベクトル情報を車両ナビゲーション装置に送信するので、上記した請求項2に記載したものと同様にして、ユーザが車両ナビゲーション装置を操作して選択した経路に関して経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる。
【0013】
請求項5に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像に移動体を非表示とする画像処理を施して当該映像を表示するので、例えば歩行者などの経路案内に不要な情報を除外して車両進行方向の映像を表示することができ、経路案内をより適切に行うことができる。

請求項6に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像から道路の特徴点を抽出して道路形状を表示するので、道路を明確に認識させることができ、経路案内をより適切に行うことができる。
【0014】
請求項7に記載した通信型ナビゲーションシステムによれば、センター装置は、施設情報データを検索して通過地点周辺の施設情報を抽出して車両ナビゲーション装置に送信し、車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像にセンター装置から受信した施設情報をも重畳して表示するので、通過地点を明確に認識させることができ、経路案内をより適切に行うことができる。
【0015】
請求項8に記載した車両ナビゲーション装置によれば、制御手段は、現在位置特定手段により特定された現在位置及び目的地設定手段により設定された目的地を通信手段からセンター装置に送信させると共に、現在位置特定手段により特定された現在位置がセンター装置から通信手段により受信された通過地点に接近すると、撮影手段により取得された車両進行方向の映像にセンター装置から通信手段により受信された進路情報を重畳して表示手段に表示させる。これにより、請求項10に記載したセンター装置と共に用いられることにより、上記した請求項1に記載したものと同様にして、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができ、しかも、車両ナビゲーション装置が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0016】
請求項9に記載した車両ナビゲーション装置によれば、制御手段は、現在位置特定手段により特定された現在位置及び目的地設定手段により設定された目的地を通信手段からセンター装置に送信させると共に、現在位置特定手段により特定された現在位置がセンター装置から通信手段により受信された通過地点に接近すると、撮影手段により取得された車両進行方向の映像にセンター装置から通信手段により受信されたベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示手段に表示させる。これにより、請求項11に記載したセンター装置と共に用いられることにより、上記した請求項1に記載したものと同様にして、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができ、しかも、車両ナビゲーション装置が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0017】
請求項10に記載したセンター装置によれば、経路計算手段は、地図データ保持手段に保持されている地図データを検索して車両ナビゲーション装置から通信手段により受信された現在位置から目的地までの経路を計算し、制御手段は、経路計算手段により計算された経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での進路を計算し、当該通過地点及び当該進路を表す進路情報を通信手段から車両ナビゲーション装置に送信させる。これにより、請求項8に記載した車両ナビゲーション装置と共に用いられることにより、上記した請求項1に記載したものと同様にして、車両ナビゲーション装置での経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができ、しかも、車両ナビゲーション装置が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0018】
請求項11に記載したセンター装置によれば、経路計算手段は、地図データ保持手段に保持されている地図データを検索して車両ナビゲーション装置から通信手段により受信された現在位置から目的地までの経路を計算し、制御手段は、経路計算手段により計算された経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算し、当該通過地点及び当該ベクトルを表すベクトル情報を通信手段から車両ナビゲーション装置に送信させる。これにより、請求項9に記載した車両ナビゲーション装置と共に用いられることにより、上記した請求項1に記載したものと同様にして、車両ナビゲーション装置での経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができ、しかも、車両ナビゲーション装置が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1ないし図8を参照して説明する。図1は、通信型ナビゲーションシステムの全体構成を概略的に示している。通信型ナビゲーションシステム1は、車両に搭載されている車両ナビゲーション装置11とセンターに配置されているセンター装置31とが通信網(移動電話網及び固定電話網)を介して通信可能に構成されている。
【0020】
車両ナビゲーション装置11は、制御装置12(本発明でいう現在位置特定手段、目的地設定手段、車両ナビゲーション装置の制御手段)、位置検出器13、操作スイッチ14、通信装置15(本発明でいう車両ナビゲーション装置の通信手段)、表示装置16(本発明でいう表示手段)、音声入出力装置17、音声認識装置18、車載カメラ19(本発明でいう撮影手段)を備えて構成されている。
【0021】
制御装置12は、CPU、ROM、RAM、I/Oインタフェース、これらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されており、車両ナビゲーション装置11の動作全般を制御する。位置検出器13は、GPS受信機13a、車速センサ13b、地磁気センサ13c及びジャイロスコープ13dから構成され、これら位置検出器13の各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。この場合、制御装置12は、位置検出器13の各構成要素から検出信号を入力すると、それら入力した検出信号を互いに補完し、車両の現在位置、進行方向及び走行距離などを特定(検出)する。尚、位置検出器13は、要求される検出精度で車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、また、ステアリングホイールの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサなどが組合わされて構成されていても良い。
【0022】
操作スイッチ14は、表示装置16の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置16の例えばカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチなどから構成されている。通信装置15は、センター装置31との間で通信網を介して通信動作を行う。表示装置16は、例えばカラー液晶ディスプレイから構成され、車載カメラ19が車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像を表示すると共に、当該映像に車両の現在位置を表す現在位置図形や走行軌跡などを重畳して表示する。尚、表示装置9は、有機ELやプラズマディスプレイなどから構成されていても良い。音声入出力装置17は、マイクロホン20が入力した入力音声及びスピーカ21が出力する出力音声を音声処理する。音声認識装置18は、マイクロホン20が入力した入力音声を音声認識する。
【0023】
センター装置31は、制御装置32(本発明でいうセンター装置の制御手段)、通信装置33(本発明でいうセンター装置の通信手段)、経路計算装置34(本発明でいう経路計算手段)、地図データベース35(本発明でいう地図データ保持手段)及び施設情報データベース36を備えて構成されている。制御装置32は、CPU、ROM、RAM、I/Oインタフェース、これらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されており、センター装置31の動作全般を制御する。通信装置33は、車両ナビゲーション装置11との間で通信網を介して通信動作を行う。経路計算装置34は、制御装置32から経路計算指令信号を入力すると、車両ナビゲーション装置11から通信装置33により受信した現在位置から目的地までの経路を計算し、その計算した経路を制御装置32に出力する。
【0024】
地図データベース35は、地図データを保持しており、制御装置32から読出指令信号を入力すると、その入力した読出指令信号により指示された地図データを制御装置32に出力する。施設情報データベース36は、施設情報データを保持しており、制御装置32から読出指令信号を入力すると、その入力した読出指令信号により指示された施設情報データを制御装置32に出力する。
【0025】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図8を参照して説明する。尚、ここでは、車両ナビゲーション装置11とセンター装置31とが通信回線を接続していることを前提として説明する。
【0026】
車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、当該車両ナビゲーション装置11が起動しており且つ車両が走行状態にあるときには現在位置(緯度・経度)を定期的に特定し、その特定した現在位置を通信装置15からセンター装置31に定期的に送信させる(ステップS1)。
センター装置31において、制御装置32は、車両ナビゲーション装置11から送信された現在位置を通信装置33により受信すると(ステップT1)、その受信した現在位置を記憶させる。これ以降、制御装置32は、車両ナビゲーション装置11から送信された現在位置を通信装置33により受信する毎に、その受信した現在位置を更新記憶させる。
【0027】
ここで、車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、例えばユーザが操作スイッチ14を操作したことに応じて目的地を入力すると、その入力した目的地を設定し(ステップS2)、その設定した目的地を通信装置15からセンター装置31に送信させる(ステップS3)。この場合、車両ナビゲーション装置11からセンター装置31に送信される目的地は、目的地の住所、電話番号、施設名称あるいはマップコード(登録商標)などである。
【0028】
センター装置31において、制御装置32は、車両ナビゲーション装置11から送信された目的地を通信装置33により受信すると(ステップT2)、その受信した目的地の緯度・経度を取得し(ステップT3)、図3に示すように、その時点での現在位置及び目的地を含む地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を計算し(ステップT4)、その計算した経路上の通過地点(緯度・経度)を抽出すると共に当該通過地点での車両が進行すべき進路を計算する(ステップT5)。ここでいう通過地点とは、車両進行方向に対して道路が分岐する地点であり、例えば交差点である。そして、制御装置32は、抽出した通過地点及び計算した進路を表す進路情報を通信装置33から車両ナビゲーション装置11に送信させる(ステップT6)。
【0029】
車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、センター装置31から送信された経路上の通過地点及び進路情報を通信装置15により受信すると(ステップS4)、現在位置とセンター装置31から受信した通過地点とを照合する(ステップS5)。そして、制御装置12は、現在位置が通過地点に接近した(通過地点の緯度・経度まで所定距離以内になった)旨を判定すると(ステップS5にて「YES」)、その時点で車載カメラ19が撮影している当該通過地点を含む車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形と共にセンター装置31から受信した進路情報を重畳して表示装置16に表示させる(ステップS6)。
【0030】
そして、制御装置12は、現在位置と目的地とを照合し(ステップS7)、現在位置が目的地に到達していない旨を判定すると(ステップS7にて「NO」)、上記したステップS5に戻る。つまり、制御装置12は、現在位置とセンター装置31から受信した次の通過地点とを照合し、現在位置が次の通過地点に接近した旨を判定すると、同様にして、
その時点で車載カメラ19が撮影している車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形と共にセンター装置31から受信した進路情報を重畳して表示装置16に表示させる。
【0031】
具体的には、制御装置12は、現在位置が通過地点1に接近すると、センター装置31から通過地点1に対応する進路情報として「右折」を表す進路情報を受信しているので、図4に示すように、通過地点1を含む車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形(図4中「P」にて示す)と共にセンター装置31から受信した「右折」を表す進路情報(図4中「Q」にて示す)を重畳して表示装置16に表示させる。同様にして、制御装置12は、現在位置が通過地点2に接近すると、センター装置31から通過地点2に対応する進路情報として「左折」を表す進路情報を受信しているので、通過地点2を含む車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形と共にセンター装置31から受信した「左折」を表す進路情報を重畳して表示装置16に表示させる。
【0032】
尚、この場合、車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、現在位置が通過地点に接近した旨を判定した場合に、その時点で車載カメラ19が撮影している当該通過地点を含む車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形と共にセンター装置31から受信した進路情報を重畳して表示装置16に表示させると同時に、例えば進路を知らせるべく例えば「次の交差点を右折して下さい」などの経路案内の音声ガイダンスをスピーカ21から出力させても良い。また、制御装置12は、図5に示すように、例えば「次の交差点を右折して下さい」などの経路案内の文字ガイダンス(図5中「R」にて示す)を表示装置16に表示させても良い。さらに、制御装置12は、図6に示すように、進路を強調して(例えば色付けや点滅など(図6ではハッチングにて示す))により表示装置16に表示させても良い。
【0033】
また、センター装置31において、制御装置32は、現在位置から目的地までの経路を複数計算した場合には、それら計算した経路を通信装置33から車両ナビゲーション装置11に送信させ、車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、図7に示すように、センター装置31から受信した複数の経路を表示装置16に表示させることにより、いずれかの経路をユーザに選択させ、これ以降、ユーザが選択した経路上の通過地点及び進路情報をセンター装置31から通信装置15により受信しても良い。
また、車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、車両進行方向の映像に移動体を非表示とする画像処理を施して表示装置16に表示させても良いし、車両進行方向の映像から道路の特徴点を抽出して道路形状を表示装置16に表示させても良い。
【0034】
さらに、センター装置31において、制御装置32は、施設情報データを検索して通過地点周辺の施設情報を抽出し、施設情報を通信装置33から車両ナビゲーション装置11に送信させ、車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像に、センター装置31から受信した施設情報を重畳して表示装置16に表示させても良い。具体的には、制御装置12は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像に、信号機を表す信号機図形(図4ないし図6中「A」にて示す)や道路標識を表す道路標識図形(図4ないし図6中「B」にて示す)や建物を表す建物図形(図4ないし図6中「C」〜「F」にて示す)を重畳して表示装置16に表示させても良い。
【0035】
ところで、以上は、車両がセンター装置31にて計算された経路から外れることなく現在位置から目的地まで走行した場合を説明したが、車両がセンター装置31にて計算された経路から外れて走行した場合には、制御装置12は、図8に示す処理を行う。
【0036】
すなわち、制御装置12は、現在位置とセンター装置31から受信した通過地点とを照合している途中で、センター装置31にて計算された経路から外れた旨を判定すると(ステップS11にて「YES」)、その直後に現在位置を特定し、その特定した現在位置を通信装置15からセンター装置31に送信させる(ステップS12)。
【0037】
センター装置31において、制御装置32は、車両ナビゲーション装置11から送信された現在位置を通信装置33により受信すると(ステップT11)、その時点での現在位置及び目的地を含む地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を再計算し(ステップT12)、その再計算した経路上の通過地点を再抽出すると共に当該通過地点での進路を再計算する(ステップT13)。そして、制御装置32は、再抽出した通過地点及び再計算した進路を表す進路情報を通信装置33から車両ナビゲーション装置11に送信させる(ステップT14)。
【0038】
車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、センター装置31から送信された経路上の通過地点及び進路情報を通信装置15により受信すると(ステップS13)、上記したステップS5〜S7を行う。
【0039】
尚、制御装置12は、車両がセンター装置31にて計算した経路から外れて走行した場合には、例えば経路から外れて走行した走行軌跡と経路から外れることなく走行した(正常な)走行軌跡とを区別して表示装置16に表示させることにより、車両が経路から外れて走行した旨をユーザに知らせても良いし、一方、両者の走行軌跡を区別することなく表示装置16に表示させることにより、車両が経路から外れて走行した旨をユーザに知らせないようにしても良い。
【0040】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、通信型ナビゲーションシステム1において、センター装置31では、地図データを検索して車両ナビゲーション装置11から受信した現在位置から目的地までの経路を計算し、車両ナビゲーション装置11では、現在位置がセンター装置31にて計算された経路上の通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置31から受信した当該通過地点での進路情報を重畳して表示するように構成したので、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる。しかも、この場合、車両ナビゲーション装置11が地図データを保持しておく必要がないので、車両ナビゲーション装置11が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。この第2の実施形態は、センター装置31において、経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算する点が上記した第1の実施形態と異なる。
【0042】
すなわち、センター装置31において、制御装置32は、車両ナビゲーション装置11から送信された現在位置(緯度・経度)を通信装置33により受信し(ステップT1)、続いて車両ナビゲーション装置11から送信された目的地を通信装置33により受信すると(ステップT2)、その受信した目的地の緯度・経度を取得し(ステップT3)、図10に示すように、その時点での現在位置及び目的地を含む地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を計算し(ステップT4)、この第2の実施形態では、その計算した経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算する(ステップT21)。そして、制御装置32は、抽出した通過地点及び計算したベクトルを表すベクトル情報を通信装置33から車両ナビゲーション装置11に送信させる(ステップT22)。
【0043】
車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、センター装置31から送信された経路上の通過地点及びベクトル情報を通信装置15により受信すると(ステップS21)、現在位置とセンター装置31から受信した通過地点とを照合し(ステップS22)、現在位置が通過地点に接近した旨を判定すると(ステップS22にて「YES」)、その時点で車載カメラ19が撮影している当該通過地点を含む車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形と共にセンター装置31から受信したベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示装置16に表示させる(ステップS23)。すなわち、制御装置12は、現在位置から通過地点までのベクトルと現在位置から目的地までのベクトルとの差分のベクトルを計算することにより、上記した第1の実施形態で説明した進路情報を計算し、その計算した進路情報を重畳して表示装置16に表示させる。
【0044】
そして、制御装置12は、現在位置と目的地とを照合し(ステップS24)、現在位置が目的地に到達していない旨を判定すると(ステップS24にて「NO」)、上記したステップS22に戻る。つまり、制御装置12は、現在位置とセンター装置31から受信した次の通過地点とを照合し、現在位置が次の通過地点に接近した旨を判定すると、同様にして、その時点で車載カメラ19が撮影している車両進行方向の映像に、車両の現在位置を表す現在位置図形と共にセンター装置31から受信したベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示装置16に表示させる。
【0045】
また、この第2の実施形態でも、車両がセンター装置31にて計算した経路から外れて走行した場合には、車両ナビゲーション装置11において、制御装置12は、センター装置31にて計算した経路から外れた旨を判定した直後に現在位置を特定して通信装置15からセンター装置31に送信させ、センター装置31において、制御装置32は、車両ナビゲーション装置11から送信された現在位置から及び目的地を含む地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を再計算し、その計算した経路上の通過地点を再抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを再計算する。
【0046】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、通信型ナビゲーションシステム1において、センター装置31では、地図データを検索して車両ナビゲーション装置11から受信した現在位置から目的地までの経路を計算し、車両ナビゲーション装置11では、現在位置がセンター装置31にて計算された経路上の通過地点に接近すると、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置31から受信した当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示するように構成したので、上記した第1の実施形態に記載したものと同様にして、経路案内を実際の道路状況に追従して適切に行うことができる。しかも、この場合も、車両ナビゲーション装置11が地図データを保持しておく必要がないので、車両ナビゲーション装置11が地図データを保持することに起因するコスト的な問題や作業性の問題や時間的な問題の発生を回避することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車両ナビゲーション装置において、制御装置が表示装置に表示させる進路情報は他の図形情報や文字ガイダンスであっても良い。また、車両ナビゲーション装置において、地図データを保持し、自身が保持している地図データを利用する経路案内と、センター装置から受信した経路上の通過地点及び進路情報やベクトル情報を利用する経路案内とを併用する構成であっても良い。
車載カメラが撮影して取得した車両進行方向の映像のうちから例えば地名を表す道路標識や看板などを画像認識して通過地点を特定する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、全体構成を示す機能ブロック図
【図2】処理の流れを示す図
【図3】現在位置から目的地までの経路及び当該経路上の通過地点を概略的に示す図
【図4】現在位置図形及び進路情報が表示される態様を示す図
【図5】図4相当図
【図6】図4相当図
【図7】ユーザが経路を選択する表示画面が表示される態様を示す図
【図8】図2相当図
【図9】本発明の第2の実施形態を示すもので、処理の流れを示す図
【図10】図3相当図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は通信型ナビゲーションシステム、11は車両ナビゲーション装置、12は制御装置(現在位置特定手段、目的地設定手段、車両ナビゲーション装置の制御手段)、15は通信装置(車両ナビゲーション装置の通信手段)、16は表示装置(表示手段)、19は車載カメラ(撮影手段)、31はセンター装置、32は制御装置(センター装置の制御手段)、33は通信装置(センター装置の通信手段)、34は経路計算装置(経路計算手段)、35は地図データベース(地図データ保持手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ナビゲーション装置とセンター装置とが通信網を介して通信可能に構成されてなる通信型ナビゲーションシステムであって、
センター装置は、車両ナビゲーション装置から現在位置及び目的地を受信し、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を計算し、当該経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での車両が進行すべき進路を計算し、当該通過地点及び当該進路を表す進路情報を車両ナビゲーション装置に送信し、
車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得し、現在位置がセンター装置から受信した通過地点に接近した場合に、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置から受信した進路情報を重畳して表示することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載した通信型ナビゲーションシステムにおいて、
センター装置は、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を複数計算した場合には、それら複数の経路のうち車両ナビゲーション装置にて選択された経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での進路を計算し、当該通過地点及び当該進路を表す進路情報を車両ナビゲーション装置に送信することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両ナビゲーション装置とセンター装置とが通信網を介して通信可能に構成されてなる通信型ナビゲーションシステムであって、
センター装置は、車両ナビゲーション装置から現在位置及び目的地を受信し、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を計算し、当該経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算し、当該通過地点及び当該ベクトルを表すベクトル情報を車両ナビゲーション装置に送信し、
車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得し、現在位置がセンター装置から受信した通過地点に接近した場合に、当該通過地点を含む車両進行方向の映像にセンター装置から受信したベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3に記載した通信型ナビゲーションシステムにおいて、
センター装置は、地図データを検索して当該現在位置から当該目的地までの経路を複数計算した場合には、それら複数の経路のうち車両ナビゲーション装置にて選択された経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算し、当該通過地点及び当該ベクトルを表すベクトル情報を車両ナビゲーション装置に送信することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載した通信型ナビゲーションシステムにおいて、
車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像に移動体を非表示とする画像処理を施して当該映像を表示することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載した通信型ナビゲーションシステムにおいて、
車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像から道路の特徴点を抽出して道路形状を表示することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載した通信型ナビゲーションシステムにおいて、
センター装置は、施設情報データを検索して通過地点周辺の施設情報を抽出して車両ナビゲーション装置に送信し、
車両ナビゲーション装置は、車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像にセンター装置から受信した施設情報をも重畳して表示することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
【請求項8】
地図データを検索して車両ナビゲーション装置から受信した現在位置から目的地までの経路を計算して当該経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での進路を表す進路情報を車両ナビゲーション装置に送信するように構成されてなるセンター装置と通信網を介して通信する車両ナビゲーション装置であって、
センター装置と通信する通信手段と、
現在位置を特定する現在位置特定手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得する撮影手段と、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置及び前記目的地設定手段により設定された目的地を前記通信手段からセンター装置に送信させると共に、前記現在位置特定手段により特定された現在位置がセンター装置から前記通信手段により受信された通過地点に接近した場合に、前記撮影手段により取得された車両進行方向の映像にセンター装置から前記通信手段により受信された進路情報を重畳して表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする車両ナビゲーション装置。
【請求項9】
地図データを検索して車両ナビゲーション装置から受信した現在位置から目的地までの経路を計算して当該経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを表すベクトル情報を車両ナビゲーション装置に送信するように構成されてなるセンター装置と通信網を介して通信する車両ナビゲーション装置であって、
センター装置と通信する通信手段と、
現在位置を特定する現在位置特定手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
車両進行方向を撮影して車両進行方向の映像を取得する撮影手段と、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置及び前記目的地設定手段により設定された目的地を前記通信手段からセンター装置に送信させると共に、前記現在位置特定手段により特定された現在位置がセンター装置から前記通信手段により受信された通過地点に接近した場合に、前記撮影手段により取得された車両進行方向の映像にセンター装置から前記通信手段により受信されたベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする車両ナビゲーション装置。
【請求項10】
現在位置がセンター装置から受信した通過地点に接近した場合に車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像にセンター装置から受信した進路情報を重畳して表示するように構成されてなる車両ナビゲーション装置と通信網を介して通信するセンター装置であって、
車両ナビゲーション装置と通信する通信手段と、
地図データを保持する地図データ保持手段と、
前記地図データ保持手段に保持されている地図データを検索して車両ナビゲーション装置から前記通信手段により受信された現在位置から目的地までの経路を計算する経路計算手段と、
前記経路計算手段により計算された経路上の通過地点を抽出すると共に当該通過地点での進路を計算し、当該通過地点及び当該進路を表す進路情報を前記通信手段から車両ナビゲーション装置に送信させる制御手段とを備えたことを特徴とするセンター装置。
【請求項11】
現在位置がセンター装置から受信した通過地点に接近した場合に車両進行方向を撮影して取得した車両進行方向の映像にセンター装置から受信したベクトル情報に基づいた進路情報を重畳して表示するように構成されてなる車両ナビゲーション装置と通信網を介して通信するセンター装置であって、
車両ナビゲーション装置と通信する通信手段と、
地図データを保持する地図データ保持手段と、
前記地図データ保持手段に保持されている地図データを検索して車両ナビゲーション装置から前記通信手段により受信された現在位置から目的地までの経路を計算する経路計算手段と、
前記経路計算手段により計算された経路上の通過地点を抽出すると共に当該現在位置から当該通過地点及び当該目的地までのベクトルを計算し、当該通過地点及び当該ベクトルを表すベクトル情報を前記通信手段から車両ナビゲーション装置に送信させる制御手段とを備えたことを特徴とするセンター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−139148(P2008−139148A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325593(P2006−325593)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】