説明

通信端末、情報表示方法、情報表示プログラムおよび記録媒体

【課題】それぞれの端末において取得可能な映像データを有効に活用すること。
【解決手段】第1の通信端末110および第2の通信端末120は、相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワーク内の通信端末である。第1の通信端末110は、受信部111、表示部112、表示制御部113、送信部114によって構成される。受信部111は、第2の通信端末120によって取得されたデータの取得地点および当該データの取得時刻に関する情報を受信する。表示部112は、表示画面を有する。表示制御部113は、表示画面を制御して、受信部111によって受信された取得時刻に関する情報に基づいて、取得地点に関する情報を表示する。送信部114は、表示制御部113によって取得地点に関する情報が表示された場合、データの送信要求信号を第2の通信端末120に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ間でのデータの送受信に用いる通信端末、情報表示方法、情報表示プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、本発明の利用は、上述した通信端末、情報表示方法、情報表示プログラムおよび記録媒体に限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークインフラの整備や、情報通信端末の普及などによって、個人のユーザ間で、ネットワークを介したデータ(情報)の授受がおこなわれ、同じ情報を共有するコミュニティが形成されている。
【0003】
このようなコミュニティでは、たとえば、近距離無線通信範囲内の携帯端末より発信される信号を、他の携帯端末が近距離無線通信部によって受信し、必要なデータの交換をおこなう。受信されたデータは表示器に表示されるとともに、次フェーズへの移行が促される。つぎに、広域網上のサーバへ広域無線通信部によって接続がおこなわれ、相手の身元を確認するとともに、次フェーズへの移行が促される。この時点で個人詳細データが端末と端末との間で交換される(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−333451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術によれば、通信相手が保持する情報が、自己が必要とする情報であるか否かを知ることができないという問題点が一例として挙げられる。特に、通信可能な相手の数が多い場合には、どの通信相手から情報を取得するかを効率的に判断する必要があるという問題点が一例として挙げられる。
【0006】
また、通信相手の現在位置はある程度特定できるとしても、通信相手が保持する情報が、その場所に関するものであるとは限らないという問題点が一例として挙げられる。特に、移動可能な通信端末を用いた通信においては、その情報がどの場所に関するものであるかが、情報を取得するか否かを判断する重要な要素となるという問題点が一例として挙げられる。
【0007】
さらに、通信相手が保持する情報が生成された時間(時刻)を知ることができないという問題点が一例として挙げられる。特に、時々刻々と変化する情報に関しては、生成されてから時間が経過してしまった情報には情報価値がなく、その情報がいつ生成されたものであるかが、情報を取得するか否かを判断する重要な要素となるという問題点が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる通信端末は、相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワーク内の通信端末であって、前記通信端末以外の他の通信端末によって取得されたデータの取得地点および当該データの取得時刻に関する情報を受信する受信手段と、表示画面を有する表示手段と、前記表示画面を制御して、前記受信手段によって受信された取得時刻に関する情報に基づいて、前記受信手段によって受信された取得地点に関する情報を表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項6の発明にかかる情報表示方法は、相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワーク内の通信端末の表示画面に情報を表示する情報表示方法であって、前記通信端末以外の他の通信端末によって取得されたデータの取得地点および当該データの取得時刻に関する情報を受信する受信工程と、前記受信工程によって受信された取得時刻に関する情報に基づいて、前記受信工程によって受信された取得地点に関する情報を前記表示画面に表示する表示工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項7の発明にかかる情報表示プログラムは、請求項6に記載の情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項8の発明にかかる記録媒体は、請求項7に記載の情報表示プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能なことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる通信端末、情報表示方法、情報表示プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
はじめに、実施の形態にかかるデータ送受信システムの機能的構成について説明する。図1は、実施の形態にかかるデータ送受信システムの機能的構成を示すブロック図である。図1において、データ送受信システム100は、データを受信する第1の通信端末110およびデータを送信する第2の通信端末120から構成される。第1の通信端末110および第2の通信端末120は、相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワーク内の通信端末である。
【0014】
第1の通信端末110は、受信部111、表示部112、表示制御部113、送信部114によって構成される。受信部111は、第1の通信端末110以外の他の通信端末である第2の通信端末120によって取得されたデータの取得地点および当該データの取得時刻に関する情報を受信する。
【0015】
第2の通信端末120によって取得されたデータとは、たとえば、第2の通信端末120によって撮影された映像データである。この場合、受信部111は、映像データの撮影地点および当該映像データの撮影時刻に関する情報を受信する。取得地点(撮影地点)に関する情報は、たとえば、緯度・経度情報や住所など、その情報が取得された地点を地図情報上の1点に特定する情報である。また、たとえば、「霞ヶ関」「赤坂」など一定の広がりがあるエリアの名称や、「虎ノ門交差点」「千鳥ヶ淵公園」など地物の名称などであってもよい。
【0016】
取得時刻(撮影時刻)に関する情報とは、年月日および時刻など、データが取得された時刻を特定する情報である。また、たとえば、「21時台」「午前」などのように、一定の幅を持たせた時間帯として表してもよい。
【0017】
表示部112は、表示画面を有し、後述する表示制御部113による制御を受け、情報を表示する。表示部112は、たとえば、第1の通信端末110の外面に設けられたディスプレイなどである。
【0018】
表示制御部113は、表示画面を制御して、受信部111によって受信された取得時刻に関する情報に基づいて、受信部111によって受信された取得地点に関する情報を表示する。表示制御部113は、具体的には、たとえば、取得時刻に関する情報が受信された場合、取得時刻と現在時刻との差分に基づいて、取得地点に関する情報を表示する。
【0019】
たとえば、取得時刻と現在時刻との差分が小さい場合には、新規に取得されたデータとして、表示部112に表示する取得地点に関する情報の表示面積を大きくしたり、表示色を変更したり、表示位置を見やすい位置においたりする。このとき、地図情報を表示部112に表示させ、取得地点に関する情報を地図情報上に重畳表示することとしてもよい。これにより、データの取得位置を直感的にユーザに認識させることができる。
【0020】
また、複数のデータの取得地点および取得時刻に関する情報を受信した場合には、それぞれの取得時刻に関する情報を比較した比較結果に基づいて、取得地点に関する情報を表示することとしてもよい。たとえば、複数のデータの取得時刻に関する情報のうち、最新のデータに関する取得地点に関する情報の表示面積を大きくするなどである。
【0021】
送信部114は、表示制御部113によって取得地点に関する情報が表示された場合、データの送信要求信号を第2の通信端末120に送信する。送信部114は、たとえば、第1の通信端末110のユーザからデータの送信要求が入力された場合、送信要求信号を第2の通信端末120に送信する。この送信要求の入力において、映像データの長さや、撮影地点をさらに絞り込んで指定してもよい。また、映像データの送信方法(一括送信かストリーミング送信か)を指定できるようにしてもよい。送信部114によって送信要求信号が送信された場合、受信部111は、送信要求されたデータを第2の通信端末120から受信する。
【0022】
なお、受信するデータが映像データの場合には、一定時間分の映像データを1つのファイルとして一括受信してもよいし、一定期間接続を維持してストリーミング受信してもよい。さらに、映像データや付加情報の形式によっては、第1の通信端末110での利用に必要なプラグインが添付された情報であってもよい。
【0023】
つぎに、データ送受信システム100によるデータ送受信処理の手順について説明する。図2は、第1の通信端末のデータ受信処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、第1の通信端末110は、まず、受信部111によって、第2の通信端末120によって取得されたデータの取得地点および取得時刻に関する情報を受信するまで待機する(ステップS201:Noのループ)。
【0024】
取得地点および取得時刻に関する情報を受信すると(ステップS201:Yes)、表示制御部113によって、取得時刻と現在時刻との差分を算出し(ステップS202)、算出した差分に基づいて表示内容を決定する(ステップS203)。表示内容とは、取得地点に関する情報の表示面積、表示色、表示位置などである。そして、表示制御部113によって、決定した表示内容を地図情報と重畳して表示部112に表示する(ステップS204)。
【0025】
つぎに、取得地点に関する情報が表示された結果、ユーザからデータの送信要求がされたかを判断する(ステップS205)。データの送信要求がされたかの判断は、たとえば、第1の通信端末110の入力キーなどから、データの送信を要求する入力がなされたか否かを判断することによっておこなう。データの送信要求がなされた場合には(ステップS205:Yes)、第2の通信端末120にデータの送信要求信号を送信する(ステップS206)。
【0026】
そして、受信部111によってデータを受信するまで待機して(ステップS207:Noのループ)、受信した場合には(ステップS207:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、ステップS205において、データの送信要求がなされない場合には(ステップS205:No)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0027】
以上説明したように、実施の形態にかかるデータ送受信システム100によれば、相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワークにおいて、第2の通信端末120によって取得されたデータの取得地点に関する情報を、取得時刻に関する情報に基づいて表示部112に表示する。これにより、取得地点および取得時刻によってデータ内容を特定し、ユーザが必要とする情報が存在するか否かを容易に判断することができる。
【0028】
また、取得時刻と現在時刻との差分に基づいて、取得地点に関する情報を表示することによって、データが取得されてからの経過時間を容易に把握することができる。情報は鮮度、もしくは信頼性が重視される場合が多く、ユーザはデータが取得されてからの経過時間によって、そのデータが必要であるか否かを判断することができる。
【0029】
さらに、取得地点に関する情報を地図情報上に重畳表示することによって、データの取得地点をより直感的に把握させることができる。また、データが必要な場合は、第2の通信端末120に送信要求信号をおこなうことによって、第1の通信端末110において必要なデータを取得することができる。
【実施例】
【0030】
つぎに、上述した実施の形態にかかるデータ送受信システム100の実施例について説明する。以下の実施例においては、データ送受信システム100を、車両に搭載されたナビゲーション装置を用いたデータ送受信システム300に適用した場合について説明する。
【0031】
まず、実施例にかかるデータ送受信システム300のシステム構成について説明する。図3は、実施例にかかるデータ送受信システムのシステム構成を示す説明図である。図3において、道路L1,L2には車両310,320(320a〜320e)が走行している。
【0032】
また、車両310,320には、それぞれナビゲーション装置311,321(321a〜321e)が搭載されている。ナビゲーション装置311,321は、車両310,320がそれぞれ走行する道路脇に設置された路側機330(330a〜330c)と交信し、データの送受信をおこなう。
【0033】
路側機330a〜330cは、それぞれネットワークと接続されており、通信エリアは、それぞれ図3中の点線で示すエリアA,B,Cである。路側機330a〜330cの通信エリア内に進入した車両310,320は、それぞれの路側機330a〜330cを介してネットワークに接続し、データの送受信をおこなう。路側機330は、図示した他、道路や駐車場など車両310,320が進入し得る地点を通信エリアとしてカバーできるよう設置されている。
【0034】
車両310,320は、それぞれ自車を特定するIDが、たとえば、IPアドレスのように、それぞれの車両310,320に一意に割り振られている。このIDは、データ送受信システム300において通信用アドレスに用いられ、ナビゲーション装置311,321は、車両310,320のIDを用いて特定の車両310,320に情報を送信することができる。それぞれの車両310,320のIDは、それぞれのナビゲーション装置311,321に記憶されている。
【0035】
また、ナビゲーション装置311,321は、全ての路側機330の通信エリア内にある車両310,320の共通アドレスである「同報アドレス」を用いて情報を送信することができる。同報アドレスを用いることによって、個々の車両310,320のIDを知らない場合であっても、不特定の車両310,320にデータを送信することができる。また、個々の路側機330ごとの同報アドレスを設けてもよい。たとえば、路側機330a用の同報アドレスを用いて情報を配信した場合、エリアA内にある車両310,320に情報が配信される。
【0036】
また、ナビゲーション装置311,321は、それぞれ映像撮影用のカメラを備えている。カメラでは、静止画および動画の撮影が可能である。また、手持ちのデジタルカメラや携帯電話のカメラなどを用いて撮影した静止画や動画の映像データを取り込むことができる。車両310,320の搭乗者は、ナビゲーション装置311,321のカメラで撮影した、または他の機器から取り込んだ映像データを、ネットワークを介して他の車両310,320に送信することができる。
【0037】
これに対し、他の車両310,320の搭乗者は、送信される映像データが必要か否かを判断した上で、送信を受けるか否かを判断する。たとえば、自車の現在位置近くの車両310,320や、自車がこれから走行する地点にいる車両310,320が送信する映像データ、興味がある分野の映像データであれば、送信を受ける可能性が高い。
【0038】
以下、映像データを提供する(送信する)側の車両を車両310、映像データを提供される(受信する)側の車両を車両320として説明するが、映像データの送信および受信は、いずれの車両310,320が送信側、受信側となってもよい。
【0039】
(ナビゲーション装置311,321のハードウェア構成)
つぎに、ナビゲーション装置311,321のハードウェア構成について説明する。図4は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図4において、ナビゲーション装置311,321は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、音声I/F(インターフェース)408と、マイク409と、スピーカ410と、入力デバイス411と、映像I/F412と、ディスプレイ413と、通信I/F414と、GPSレシーバ415と、を備えている。また、各構成部401〜415はバス420によってそれぞれ接続されている。
【0040】
まず、CPU401は、ナビゲーション装置311,321の全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。
【0041】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御にしたがって磁気ディスク405に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405は、磁気ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク405としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0042】
また、光ディスクドライブ406は、CPU401の制御にしたがって光ディスク407に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0043】
また、音声I/F408は、音声入力用のマイク409および音声出力用のスピーカ410に接続される。マイク409に受音された音声は、音声I/F408内でA/D変換される。また、スピーカ410からは音声が出力される。なお、マイク409から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク405あるいは光ディスク407に記録可能である。
【0044】
また、入力デバイス411は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。さらに、入力デバイス411は、デジタルカメラなどの他の情報処理端末(以下、単に機器という)を接続し、データの入出力をおこなうことができる。
【0045】
この他、入力デバイス411は、静止画や動画(映像)を撮影可能なカメラを備えている。カメラで撮影された静止画や動画は、映像データとして磁気ディスク405あるいは光ディスク407に記録可能である。また、手持ちのデジタルカメラや携帯電話などの他の機器を入力デバイス411に接続し、それぞれの機器で撮影した映像データを取り込むことも可能である。
【0046】
また、映像I/F412は、ディスプレイ413と接続される。映像I/F412は、具体的には、たとえば、ディスプレイ413全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ413を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0047】
ディスプレイ413には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ413は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0048】
また、通信I/F414は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置311,321とCPU401とのインターフェースとして機能する。通信I/F414は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU401とのインターフェースとしても機能する。
【0049】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F414は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
【0050】
また、GPSレシーバ415は、GPS(Global Positioning System)や各種センサからの出力値を用いて、車両310,320の現在位置(ナビゲーション装置311,321の現在位置)を示す情報を取得する。現在位置を示す情報は、たとえば緯度経度などの、地図情報上の1点を特定する情報である。
【0051】
(データ送受信システム300のデータ送受信処理)
つぎに、データ送受信システム300がおこなうデータ送受信処理の手順について説明する。以下、データを送信する車両310のナビゲーション装置311でおこなう処理と、データを受信する車両320のナビゲーション装置321でおこなう処理とに分けて説明する。
【0052】
図5は、データを送信する車両のナビゲーション装置のデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置311は、入力デバイス411を介して、映像データの撮影開始指示が入力されるまで待機する(ステップS501:Noのループ)。撮影開始指示が入力されると(ステップS501:Yes)、ナビゲーション装置311は、自装置に設けられたカメラによって周囲の映像を撮影する(ステップS502)。
【0053】
ナビゲーション装置311は、撮影終了指示が入力されない間は(ステップS503:No)、ステップS502に戻り、周囲の撮影を継続する。このとき、ディスク容量などハードウェア資源に制約がある場合には、一定時間ごと、または一定距離ごとに撮影することとしてもよい。また、映像データに関する状況解説の音声情報やテキスト情報など(以下、付加情報という)を付加してもよい。
【0054】
そして、撮影終了指示が入力されると(ステップS503:Yes)、撮影を終了し、詳細情報を付加して映像データを保存する(ステップS504)。ここで、ステップS504で付加する詳細情報とは、たとえば、映像データの撮影時におけるナビゲーション装置311の現在地点(すなわち、映像データの撮影地点)や、映像データが撮影された時間(時刻)、映像データのカテゴリー(たとえば、渋滞に関する映像、風景に関する映像など)、映像データのタイトル、付加情報(状況解説の音声情報やテキスト情報など)の有無である。
【0055】
また、詳細情報には、撮影時に車両310が停止しているか、高速で走行しているかなどの速度情報を付加してもよい。この場合、たとえば、停止した車両310が定点観測的に捉えた映像や、所望の経路を高速で走行する車両310の映像、渋滞に巻き込まれ低速で走行する車両310の映像などを選別することができる。
【0056】
また、たとえば、ユーザが周囲に撮影したいものを発見した場合、その後に撮影開始指示を入力しても、車両310は移動しており、撮影したいものを取り逃してしまう可能性がある。これを回避するため、撮影の指示に関わらず、常時周囲の映像を一定時間分バッファリングしておいてもよい。この場合、入力操作によって、撮影したいものを捉えた映像を切り出し、該当する詳細情報を付加して保存する。
【0057】
つぎに、ナビゲーション装置311は、入力デバイス411を介して、保存した映像データの送信希望が入力されたか否かを判断する(ステップS505)。送信希望が入力された場合は(ステップS505:Yes)、他の車両320のナビゲーション装置321に、同報アドレスを用いて映像データ送信希望通知を配信する(ステップS506)。一方、映像データの送信希望が入力されない場合は(ステップS505:No)、ステップS501に戻り、映像の撮影開始の指示を待つ。
【0058】
ステップS506で配信する映像データ送信希望通知には、送信を希望する映像データについての詳細情報が含まれている。詳細情報は、前述したように映像データの撮影地点や、映像データが撮影された時間(時刻)、映像データのカテゴリー、映像データのタイトル、付加情報の有無などである。なお、これらの情報が常時共通している場合などは、送信を省略してもよい。
【0059】
ステップS502の撮影が、車両310の移動を伴いながらおこなわれた場合、詳細情報のうち映像データの撮影地点情報は、映像を撮影した区間の経路の情報となる。また、撮影時間の情報は、映像を撮影した時間帯情報となる。この他、車両310の走行経路の位置情報を全て送信してもよい。この場合、他のナビゲーション装置321において、車両310の走行経路を全て表示した上で、映像データが存在する区間を把握することができる。
【0060】
また、データに対して送信期限を設けてもよい。たとえば、渋滞情報など、時間の経過とともに変動する情報は、あまりに古い情報を送信しても情報価値がない。このため、たとえば、映像データ送信希望通知を送信した後、一定時間経過後はデータ送信をおこなわないよう設定する。
【0061】
一方、特に期限を定めず映像データを送信したいときは、「常設送信」などに設定できるようにしてもよい。また、たとえば、車両310,320などの移動体だけではなく、信号機など道路近くの地物にカメラを設置してもよい。この場合も、アクセス期限を定めず「常設送信」とすれば、ユーザは常に固定した場所の映像データを得ることができる。
【0062】
さらに、全ての車両320に送信される同報アドレスではなく、特定の基地局内にいる車両320のみに送信される同報アドレスを用いるなどによって、特定のエリア内にのみ映像データ送信希望通知を配信してもよい。他にも、たとえば、知り合いのグループや特定のサービスを受けられる端末を持っているグループなどを指定できる同報アドレスを用いてもよい。
【0063】
ステップS506で映像データ送信希望通知を配信した場合、ナビゲーション装置311は、他の車両320のナビゲーション装置321から映像データ送信要求信号を受信するまで待機する(ステップS507:Noのループ)。そして、映像データ送信要求信号を受信した場合は(ステップS507:Yes)、映像データ送信要求信号を送信した車両320のナビゲーション装置321に、映像データを送信して(ステップS508)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0064】
なお、送信する映像データを利用するのに必要なプラグインがある場合には、映像データと合わせて送信する。また、一括送信かストリーミング送信かの指定がある場合は、指定に合わせた形式で送信する。
【0065】
つぎに、情報を受信する車両320のナビゲーション装置321がおこなう処理について説明する。図6は、データを受信する車両のナビゲーション装置のデータ受信処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置321は、まず、車両310のナビゲーション装置311から映像データ送信希望通知を受信するまで待機する(ステップS601:Noのループ)。
【0066】
映像データ送信希望通知を受信すると(ステップS601:Yes)、ディスプレイ413による画面表示やスピーカ410からの音声出力などによって、受信した通知を出力する(ステップS602)。図5のステップS504で説明したように、映像データ送信希望通知には、映像データについての詳細情報が含まれている。ナビゲーション装置321は、受信したこれらの情報を出力し、ユーザがデータを受信するか否かの判断を待つ。すなわち、映像データの送信を求める映像データ送信要求が入力されたか否かを判断する(ステップS603)。
【0067】
ユーザが映像データを受信すると判断し、映像データの送信を求める映像データ送信要求が入力されると(ステップS603:Yes)、ナビゲーション装置321は、ナビゲーション装置311に対して、映像データ送信要求信号を返信する(ステップS604)。このとき、映像データの送信形式や長さなどを指定してもよい。ナビゲーション装置311の通信用アドレスは、ステップS601で受信した映像データ送信希望通知の送信元アドレスを用いる。
【0068】
そして、送信要求した映像データを受信するまで待機して(ステップS605:Noのループ)、映像データを受信すると(ステップS605:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、ステップS603において、映像データ送信要求が入力されない場合は(ステップS603:No)、ステップS601に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0069】
ここで、ステップS602の映像データ送信希望通知の出力形態について説明する。図7は、映像データ送信希望通知の画面表示の一例を示す説明図である。図7の説明図において、ナビゲーション装置321のディスプレイ413には、映像データ送信希望通知を示すアイコン711〜716が地図情報701上に重畳表示されている。
【0070】
映像データ送信希望通知を示すアイコン711〜716は、それぞれが送信希望がなされている映像データに対応している。各アイコン711〜716が表示される位置は、それぞれの映像データが撮影された場所(映像データ送信希望通知が配信された場所)、もしくは映像データの内容に関わる地点である。また、たとえば、映像データの送信を希望する者が、同じ地点で複数存在する場合には、より新しい(撮影時刻と現在時刻との差分が小さい)データのアイコンを優先させて表示することとしてもよい。
【0071】
各アイコン711〜716の大きさは、映像データの撮影時刻からの経過時間を示しており、より大きいアイコンが新しい(撮影時刻からの経過時間が少ない)映像データである。図示した例では、アイコン711、712、その他のアイコンの順に新しい映像データであることがわかる。各アイコン711〜716の大きさは、撮影時刻からの時間の経過とともに小さくなっていき、所定の時間経過するとディスプレイ413から消えるようにしてもよい。また、映像データの送信期限が定められている場合には、送信期限に至ったときにディスプレイ413からアイコンを消去することとしてもよい。
【0072】
また、図7には示していないが、映像データの撮影時刻からの経過時間によって、各アイコン711〜716の色を調節してもよい。たとえば、映像データの撮影時刻からの経過時間が少ないうちは濃い色で表示し、時間の経過とともに色味を薄くしていく。そして、所定の時間経過するとディスプレイ413から消去する。この場合も、大きさを変化させる場合と同様に、送信期限を考慮して色味を変化させてもよい。また、新着の映像データ送信希望通知に対応するアイコンを点滅させるなど、ユーザの注意を喚起させる視覚的効果を用いてもよい。
【0073】
さらに、映像データの内容をアイコンによって示してもよい。たとえば、アイコン716は、この地点で発生した事故に関する映像データであることを示している。このアイコン716は、映像データの送信者である車両310の搭乗者が選択できることとしてもよいし、映像データ送信希望通知に含まれる情報から、対応するアイコンをナビゲーション装置321で判断することとしてもよい。
【0074】
ユーザは、カーソル720を操作して、所望のアイコン711〜716を選択して送信要求をおこなう。たとえば、各アイコン711〜716にカーソル720をあてると、吹き出し721に映像データ送信希望通知に含まれる情報が表示される。図示した例では、映像データの送信者、カテゴリー、付加情報の有無などが表示される。
【0075】
このように、地図上に地点情報を表示する場合、映像データ送信希望通知を送信した車両310の映像データの地点情報、すなわち、映像データが撮影された地点にアイコンで表示させる。また、撮影された映像データの数が多い場合や、映像データが撮影された地点が一定の区間を有する場合(すなわち、移動しながら撮影した場合)、地図上の経路を塗りつぶしていく(道塗り)こととしてもよい。これにより、地点情報の送信元から送信される映像データがどの地点の映像かをより正確に把握することができる。
【0076】
以上説明したように、実施例にかかるデータ送受信システム300によれば、相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワークにおいて、ナビゲーション装置321によって取得されたデータの撮影地点に関する地点情報を、撮影時刻に関する時刻情報に基づいてナビゲーション装置311に表示する。これにより、撮影地点および撮影時刻によって映像データの内容を特定し、ユーザが必要とする情報が存在するか否かを容易に判断することができる。
【0077】
また、映像データの新しさを示す撮影時刻と現在時刻との差分に基づいて、地点情報を表示することによって、映像データが撮影されてからの経過時間を容易に把握することができる。映像データは鮮度、もしくは信頼性が重視される場合が多く、ユーザはデータが撮影されてからの経過時間によって、その映像データが必要であるか否かを判断することができる。
【0078】
さらに、地点情報を地図情報上に重畳表示することによって、映像データの撮影地点をより直感的に把握させることができる。また、映像データが必要な場合は、ナビゲーション装置321に送信要求をおこなうことによって、ナビゲーション装置311において必要な映像データを取得することができる。
【0079】
なお、本実施の形態で説明した情報表示方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態にかかるデータ送受信システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】第1の通信端末のデータ受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施例にかかるデータ送受信システムのシステム構成を示す説明図である。
【図4】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】データを送信する車両のナビゲーション装置のデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】データを受信する車両のナビゲーション装置のデータ受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】映像データ送信希望通知の画面表示の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0081】
100 データ送受信システム
110 第1の通信端末
111 受信部
112 表示部
113 表示制御部
114 送信部
120 第2の通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワーク内の通信端末であって、
前記通信端末以外の他の通信端末によって取得されたデータの取得地点および当該データの取得時刻に関する情報を受信する受信手段と、
表示画面を有する表示手段と、
前記表示画面を制御して、前記受信手段によって受信された取得時刻に関する情報に基づいて、前記受信手段によって受信された取得地点に関する情報を表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記取得時刻に関する情報が受信された場合、前記取得時刻と現在時刻との差分に基づいて、前記取得地点に関する情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記表示手段は、地図情報を表示画面に表示し、
前記表示制御手段は、前記取得地点に関する情報を前記地図情報上に重畳表示することを特徴とする請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記データは前記他の通信端末によって撮影された映像データであり、
前記受信手段は、前記映像データの撮影地点および当該映像データの撮影時刻に関する情報を受信し、
前記表示制御手段は、前記受信手段によって受信された撮影時刻に関する情報に基づいて、前記撮影地点に関する情報を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の通信端末。
【請求項5】
前記表示制御手段によって前記取得地点に関する情報が表示された場合、前記データの送信要求信号を前記他の通信端末に送信する送信手段を備え、
前記受信手段は、前記送信手段によって送信要求信号が送信された結果、前記データを前記他の通信端末から受信することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の通信端末。
【請求項6】
相互に通信可能な複数の通信端末からなる通信ネットワーク内の通信端末の表示画面に情報を表示する情報表示方法であって、
前記通信端末以外の他の通信端末によって取得されたデータの取得地点および当該データの取得時刻に関する情報を受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された取得時刻に関する情報に基づいて、前記受信工程によって受信された取得地点に関する情報を前記表示画面に表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする情報表示方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報表示プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報表示プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−115077(P2007−115077A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306642(P2005−306642)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】