説明

金属ゲート集積化のためのゲートスタック及びゲートスタックのエッチングシーケンス

【課題】本発明は半導体デバイス(205)における金属ゲートスタック(200)を製作するためのプロセスを提供する。
【解決手段】本願の方法は、半導体基板(220)上に位置するゲート誘電体層(215)の上に金属層(210)を堆積させる段階を含む。本方法は、金属層(210)上にポリシリコン層(225)を形成する段階と、そのポリシリコン層(225)上に保護層(230)を生成する段階とを更に含む。本方法はは、また、保護層(230)上に無機反射防止被覆(235)を配置する段階を含む。他の実施形態では、金属ゲートスタックの前駆構造体及び集積回路の製造方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に半導体デバイス及び半導体デバイスの製造に関し、より具体的には半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ドープポリシリコンで作られたトランジスタゲート電極の使用は、金属酸化膜シリコン(MOS)トランジスタの製造において長い間用いられてきた。しかしながら、ドープポリシリコンゲートの使用は、ゲート及びゲート誘電体の寸法が縮小されるに伴って問題となりつつある。ポリシリコンゲートは、限られた量のドーパントにしか対応することができない。この制限により、デバイスのゲート電極がチャンネルを反転するようにバイアスされたときに、ゲートとゲート誘電体との間の界面でゲート電荷担体の空乏化が生じる可能性がある。
【0003】
この結果、ゲート誘電体の電気的厚さが実質的に増大することで、ドライブ電流及びスイッチング速度の低下などのトランジスタ性能特性が悪化することになる。例えば、あるpMOSトランジスタにおけるゲート誘電体の電気的厚さは、蓄積モード中における約1.0ナノメートルから反転モード中における約1.8ナノメートルにまで増大する可能性がある。ポリシリコンゲートの空乏化は、MOSデバイスのこれ以上のスケーリングを制限する基本的な問題である。
【0004】
金属ゲートスタックは、電荷担体供給量がドープポリシリコンゲートよりも多いので、ポリシリコンゲートに対する魅力的な代替手段である。金属ゲートスタックは下位の金属層と上位のポリシリコン層とを有する。金属ゲートスタックの反転時には、金属ゲート層とゲート誘電体との間の境界における担体の実質的な空乏化が存在しない。従って、ゲートスタックの電気的厚さが増大しないので、トランジスタ性能は悪化しない。しかしながら、金属ゲートスタック加工の製造プロセスを既存の半導体トランジスタ製造プロセスに組み込むことにはこれまで多くの問題があった。例えば、従来のゲート製造プロセスを考察する。かかるプロセスは通常、ポリシリコンゲートを形成するためにフォトリソグラフィ技術を用いてポリシリコン層をパターン形成する段階を伴う。
【0005】
フォトレジスト層及び下層の無機反射防止被覆(IARC)がポリシリコン層上に堆積される。フォトレジスト層は、ゲートの周囲を定めるためにパターン形成され、その後除去され、ポリシリコン層上にIARCを残す。次いで、IARCは、ポリシリコン層をパターン形成してポリシリコンゲートを形成するためのエッチングマスクとして用いられる。その後、IARCは、金属除去剤を含有する高温のリン酸溶液等のウェットエッチング処理を用いて剥離される。金属ゲートスタックの作製に同じ処理が用いられる場合には大きな問題が生じる。勿論、IARCは、ポリシリコン及び金属層をパターン形成して金属ゲートスタックを形成するためのエッチングマスクとして同様に用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、IARCを除去するのに用いられるウェットエッチング処理は、金属ゲートスタックの金属への腐食性が高いので、ゲートの金属部分にかなりのアンダーカットを生じさせる。その結果、アンダーカットされた金属ゲートスタックは、ゲート長の変性、ソース/ドレイン及び浅い接合構造の形成不良、並びに後続の処理段階中での金属ゲートスタックの剥脱傾向の増大を含む、幾つかの問題を生じる。従って、当該技術分野において必要とされていることは、従来型ゲート作製プロセスと同様の問題を生じることなく、半導体デバイス製造法に容易に組み込まれる金属ゲートスタック作製のためのプロセスである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の欠陥に対処するために、本発明の一実施形態は半導体デバイスにおける金属ゲートスタックの作製プロセスに関する。本方法は、半導体基板上に位置するゲート誘電体層の上に金属層を堆積させる段階を含む。本方法は、金属層上にポリシリコン層を形成する段階と、そのポリシリコン層上に保護層を生成する段階とを更に含む。また、配置段階は、保護層上に無機反射防止被覆を配置する段階を含む。
【0008】
別の実施形態は、金属ゲートスタックの前駆構造体に関する。金属ゲートスタックの前駆構造体は、ゲート誘電体層を上に有する基板と、そのゲート誘電体層上に金属層とを含む。金属ゲートスタック前駆構造体はまた、金属層上にポリシリコン層を有する。保護層はポリシリコン層上にあり、無機反射防止被覆は保護層上にある。
【0009】
更に、別の実施形態は集積回路の製造方法に関する。本方法は、上述のように能動デバイス内に金属ゲートスタックを形成する段階を含む。集積回路の製造は、更に、能動デバイス上に位置する1つ又はそれ以上の絶縁層上に配置された相互接続金属線にその能動デバイスを接続する段階を含む。
【0010】
上記は、当業者が以下の本発明の詳細な説明をより理解することができるように本発明の好ましい特徴及び代替の特徴を概略的に説明している。以下に説明する本発明の追加の特徴もまた、本発明の請求項の目的を形成することができる。当業者であれば、本発明と同一の目的を実施するために他の構造を設計又は修正する基準として、開示される概念及び特定の実施形態を容易に用いることができる点は理解されるはずである。当業者はまた、かかる均等な構造が本発明の範囲から逸脱しない点を理解するはずである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、半導体デバイスにおける金属ゲートスタック構造体を形成するために非従来型プロセスの使用を提案する。この非従来型プロセスは、IARCの早期剥離、IARC剥離のためのドライ化学エッチングの使用、及びポリシリコン層を覆う保護層の生成を特徴として備える。これらの特徴が協働して金属ゲートスタックを形成し、同時にゲートの金属部分だけでなく半導体デバイスの他の構成要素に対する損傷を回避する。
【0012】
IARCは、金属ゲートスタック内に金属ゲートを形成するために金属層をパターン形成する前に剥離される。プロセスフローにおける早期のIARC剥離、及びIARC剥離のためのドライ化学エッチングの使用は各々、金属ゲート層のアンダーカットの回避に役立つ。また、プロセスにおいて剥離段階をより早い段階に移すことは、他の場合にドライ化学エッチング法に付随はずの半導体基板のかなりの陥凹を回避するのに役立つ。ポリシリコン層とIARCとの間に位置する保護層は、エッチングマスクとしての役割を果たすので、金属層のパターン形成中のポリシリコン層の除去が阻止される。
【0013】
図1に例示されている本発明の一実施形態は、金属ゲートスタックの前駆構造体100である。前駆構造体100は、pMOS及びnMOSトランジスタ等のMOSトランジスタを含む従来型半導体デバイス101内に金属ゲートスタックを形成するため、以下に説明するように追加の処理を行うことができる。前駆構造体100は、基板105を含み、その上にゲート誘電体層110を有する。基板105は、好ましくは単結晶シリコンであるが、他の半導体基板を用いることもできる。前駆構造体100は更に、ゲート誘電体層110上に金属層115を含み、該金属層115上にポリシリコン層120を含む。
【0014】
図1に更に図示されているように、前駆構造体100はまた、ポリシリコン層120上に保護層125を有し、該保護層125上にIARC130を有する。ゲート誘電体層110としてどのような従来型ゲート絶縁材料を用いてもよい。幾つかの事例では、例えばゲート誘電体層110は二酸化シリコンである。他の事例では、ゲート誘電体層110は酸窒化ハフニウムシリコン又は二酸化ハフニウム等の高k誘電体材料である。より好ましくは、ゲート誘電体は酸窒化シリコン(SiON)で作られる。
【0015】
酸窒化シリコンのゲート誘電体層110は、幾つかの理由により二酸化シリコンのゲート誘電体よりも好ましい。酸窒化シリコンは、金属ゲートスタックのポリシリコン部分からゲート誘電体の中へのドーパントの突き抜けを抑制する。酸窒化シリコンのゲート誘電体は、二酸化シリコンのゲート誘電体よりも低い漏洩電流を有する。加えて、酸窒化シリコンのゲート誘電体は、二酸化ゲート誘電体と比較して高いゲートキャパシタンスを有し、結果としてゲート酸化物の換算膜厚が小さくなる。
【0016】
当業者には知られているように、薄いゲート誘電体層110は、半導体デバイスの性能特性の改善につながる。幾つかの好ましい実施形態では、例えばゲート誘電体層110は約2.0ナノメートルよりも小さい厚さを有し、より好ましくは約0.8ナノメートルと約2.0ナノメートルの間の厚さを有する。しかしながら薄いゲート誘電体層110は、また、デバイス加工中の偶発的な除去又は損傷がより生じやすい。
【0017】
一例として、IARC130を剥離する処理はまた、ゲート誘電体だけでなく基板105の一部分を実質的に除去する可能性があり、その結果陥凹が生じる。浅い接合と半導体デバイスのチャンネル領域との間の距離がより大きくなり、結果として駆動電流が低下するので、金属ゲートスタック100近傍の基板105の陥凹はデバイス性能を劣化させることになる。以下で更に説明するように、本発明においては、金属ゲートスタック作製プロセスにおいてこれまで行われていたよりも早期にIARC剥離を実施することによって、これらの有害な影響が回避される。
【0018】
幾つかの好ましい実施形態では、ポリシリコン層120は、約50ナノメートルと約200ナノメートルの間の厚さを有し、金属層は約1ナノメートルと10ナノメートルの間の厚さを有する。金属層115は、好ましくは高融点金属を含む。本発明の目的のために、高融点金属は、元素周期表の4〜6族の4〜6周期内のいずれかの元素、並びにランタノイド及びアクチノイド系(族及び周期を定めるための国際純粋・応用化学連合)の元素として定義される。より好ましくは、金属層は、窒化チタニウム等の高融点金属の窒化物又はシリサイドである。
【0019】
保護層125は、IARC剥離手順による除去に対してIARC130よりも耐性が高いあらゆる材料とすることができる。IARC130が酸窒化シリコンで作られている場合には、例えば、保護層125は実質的に無窒素であることが有利である。無窒素の保護層125は、酸窒化シリコンよりも実質的に低いエッチング率を有しているので、IARC剥離で用いられるドライ化学エッチングにより、保護層125を実質的に損傷を与えずにIARC130を選択的に除去することができる。保護層125として適切な材料の実施例には、炭化シリコンがあり、より好ましくは二酸化シリコンがある。
【0020】
二酸化シリコンの保護層125は、金属ゲートスタック内に残留する金属層115に影響を及ぼすことのない水性HF浴等の従来のウェットエッチング処理によって容易に除去されるといった追加の利点を有する。好ましくは、保護層125は、金属層115のエッチング中のエッチングマスクとしての役割を果たすには十分に厚く、ポリシリコン層120を損傷から保護する。
【0021】
幾つかの有利な実施形態では、保護層は、約10ナノメートルと20ナノメートルの間の厚さを有するが、他の厚さもまた本発明の範囲内にある。更に、半導体デバイス製造プロセスの途中でも依然として容易に除去することができるように保護層125の厚さを調節する方法、又はIARC130の光学特性への影響を回避する方法は当業者には理解されるであろう。
【0022】
好ましくは、IARC130は酸窒化シリコンで作られている。当業者には知られるように、酸窒化シリコンは有利な反射防止材料である。例えば、酸窒化シリコンの光学特性は、IARC130のシリコン、酸素、及び窒素の比率を調節することによって異なるフォトリソグラフィプロセスに適合するように調節することができる。幾つかの好ましい実施形態では、IARC130は約10ナノメートルと約50ナノメートルの間の厚さを有する。
【0023】
図2(A)から図2(J)は、本発明の別の実施形態である、半導体デバイス105用の金属ゲートスタック200を作製するプロセスを図示している。図2(A)から図2(J)は、本発明の原理による例示的なプロセスの選択された段階の断面図を表している。図1の関連で上に述べた金属ゲート前駆構造体の実施形態のいずれも、図2(A)から図2(J)に表わされるプロセス又はこのプロセスの他の実施形態において用いることができる。
【0024】
図2(A)を参照すると、半導体基板220上に位置するゲート誘電体層215の上に金属層210を堆積させた後の部分的に完成した金属ゲートスタック200が図示されている。図2(A)の参照に続いて、図2(B)は、金属層210上にポリシリコン層225を形成し、該ポリシリコン層225上に保護層230を生成し、該保護層230上にIARCを載置した後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を表している。金属層210、ゲート誘電体層215、ポリシリコン層225、保護層230、並びにIARC235を堆積させるために、あらゆる従来の方法を用いることができる。
【0025】
かかる方法には、原子層堆積法(ALD)を含む、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、及びスピンコーティング法、或いは当業者には公知の他の手法が含まれる。例えば、幾つかの実施形態において、ゲート誘電体層215及びIARC235が両方とも酸窒化シリコンで作られている場合には、二酸化シリコンを熱的に成長させ、次いでNH3焼き鈍し又はプラズマ窒化処理により窒化物形成を行うことができる。勿論、ゲート誘電体層215とIARC235の異なる機能に対応するために、ゲート誘電体層215及びIARC235でのシリコン、酸素、及び窒素の比率を互いに顕著に相違させることができる。更にゲート誘電体層215及びIARC235は2つの全く異なる手法を用いて形成することができる。
【0026】
図2(B)の参照に続いて、図2(C)は、IARC235上にレジスト層240を堆積させた後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を図示している。図2(C)の参照に続いて、図2(D)は、レジスト層240をパターン形成して金属ゲートスタック200用のパターン形成構造体245を形成した後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を示している。パターン形成にどのような数の従来技術を用いてもよい点は当業者には理解されるであろう。
【0027】
かかる技術には、集積回路デバイス、光学デバイス、微小電子機械(MEMS)デバイス等のようなデバイスを作製するのに一般的に用いられるリソグラフィプロセスが含まれる。典型的なリソグラフィプロセスでは、パターン形成される構造体は、レジストとしても知られるエネルギー感度材料において定められ作製される。次いでパターン形成構造体は、レジストの下にある材料層内にパターンを転写するためのエッチングマスクとして用いられる。可視光又は紫外光等のあらゆる数の放射源を用いてパターンの転写を促進させることができる。
【0028】
ここで図2(E)を参照すると、マスクとしてパターン形成構造体245を用いてIARC235をエッチングし、IARCマスク250を得た後の部分的に完成した金属ゲートスタック200が示されている。パターン形成構造体245の下にないIARC235の部分を除去するために、従来型のどのようなプロセスを用いてもよい。幾つかの実施形態では、IARC235をエッチングするために、好ましくは、以下に更に説明するような異方性ドライ化学エッチング処理が使用される。
【0029】
図2(E)の参照に続いて、図2(F)は、パターン形成構造体245を除去して、IARCマスク250をマスクとして用いて保護層230及びポリシリコン層225をパターン形成し、保護層マスク260を上に有するポリシリコンゲート層255を得た後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を表している。幾つかの好ましい実施形態では、1つの段階では、マスクとしてIARCマスク250を用いて保護層230のみをパターン形成し、別の段階では、マスクとしてIARCマスク250及びパターン形成保護層マスク260を用いてポリシリコン層225をパターン形成する。この2段階の除去処理は、保護層230のパターン形成中のIARCマスク250の浸食を有利に回避することができる。
【0030】
IARCマスク250によって覆われていない保護層230及びポリシリコン層225の部分を除去するために、あらゆる従来型プロセスを用いることができる。上述のように、保護層230及びポリシリコン層225は1つの段階で共に除去するか、或いは別個の段階で除去してもよい。保護層230が二酸化シリコンを含む場合においては、保護層230のパターン形成はウェットHFエッチング法を用いて行うことができる。しかしながら、保護層230のパターン形成は、異方性プラズマエッチング処理を用いて行われるのがより好ましく、これは、保護層マスク260の寸法が維持されることで完成した金属ゲートスタック200の寸法を定めることにつながることに起因する。
【0031】
幾つかの実施形態では、ポリシリコン層225はまた、プラズマエッチング処理を用いてパターン形成することができる。当業者には良く理解されるように、ポリシリコンがHBr、酸素、又は他の元素を含むことはプラズマエッチング処理に有利とすることができる。幾つかの好ましい実施形態では、ポリシリコン層225用のプラズマエッチング処理は、例えば、ポリシリコンのバルク除去を容易にする高速の除去段階に続く1つ又はそれ以上の低速除去段階のような複数段階の処理である。
【0032】
図2Fの参照に続いて、図2(G)は、IARCマスク250を剥脱し、これによって保護層マスク260を露出させた後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を図示している。金属層は下層のゲート誘電体層215及び基板をIARC剥離手法による陥凹から保護することができるので、金属層210が実質的に損傷を及ぼさずにIARCマスク250を剥脱することは有利である。
【0033】
上述したように、保護層マスク260が実質的に損傷が無いままであるように、剥離に用いられる手法が保護層マスク260上のIARCマスク250の除去に対して選択的であることが好ましい。幾つかの実施形態では、剥離はドライ化学エッチング処理を用いて実施される。一例として、ドライ化学エッチング処理は、マイクロ波プラズマ中でフッ化炭素(例えば、四フッ化メタン)、酸素、及び窒素ガスを混合する段階を含むことができる。当業者であれば、保護層マスク260のエッチング率と比較して、IARCマスク250においてより高速のエッチング率を得るために、ドライ化学エッチング処理の選択を調節する方法を理解するであろう。
【0034】
例えば、幾つかの好ましい実施形態では、ドライ化学エッチング処理は、IARCマスク250対保護層マスク260の選択エッチング率が少なくとも約2:1、更に好ましくは、少なくとも約10:1を有する。IARCマスク250の選択的除去に関連して説明したが、図2Eに示されているIARC235をパターン形成するために実質的に同じドライ化学エッチング処理を用いる点を理解されたい。
【0035】
図2(G)の参照に続いて、図2(H)は、保護マスク260をエッチングマスクとして用いて金属層210をパターン形成し、これによって金属ゲート層265を設けた後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を表している。金属のパターン形成のためにあらゆる従来型のエッチング処理を用いることができる。幾つかの好ましい実施形態では、第1のアルゴンプラズマエッチングに続いて、HBr等のハロゲンドライエッチング化学作用を用いた第2のプラズマエッチングを含むプラズマエッチング処理が用いられる。当然、当業者であれば、基板220の実質的な陥凹が存在しないゲート誘電体層215及び基板220上の金属層210対して十分に選択性を有するように金属層のエッチング処理を調節する方法が理解されるであろう。
【0036】
図2(H)の参照に続いて、図2(I)は、半導体基板220、ゲート誘電体層215、及び金属ゲート層265に対して実質的に非腐食性である除去剤を用いて保護層マスク260を除去した後の部分的に完成した金属ゲートスタック200を示している。幾つかの事例では、例えば除去剤はHF浴等のようにウェットエッチングである。保護層マスク260が二酸化シリコンである幾つかの有用な実施形態では、保護層マスク260の除去は、ウェットエッチングHF浴を用いたキャップ酸化物層の除去等の他の二酸化シリコン含有構造体の除去段階と共に半導体デバイス製造の後で実施される。
【0037】
ここで図2(J)を参照すると、半導体デバイス205製造を完成させるために必要な追加の従来型プロセス段階を実施した後の部分的に完成した金属ゲートスタック200が図示されている。かかる段階は、金属ゲートスタック200ではソース及びドレイン構造体265、270の形成を促進するインプラントマスクとして機能するドーパントをインプラントする段階と、ゲート側壁275、浅接合280、及び浅いトレンチ分離構造体285を形成する段階とを含み、能動デバイス205を形成することができる。
【0038】
本発明の更に別の実施形態は、集積回路を製造する方法である。図3(A)から図3(C)は、本発明の原理に従って集積回路300を製造するための例示的方法の断面図を表している。図3(A)を参照すると、この製造方法は、半導体基板315上又はその内部に位置する能動デバイス310内に金属ゲートスタック305を形成する段階を含む。上述のプロセス及び構造体のいずれかを用いて金属ゲートスタック305を形成することができる。図3(B)は、側壁320、浅接合325、ソース/ドレイン構造体330、332、及び浅いトレンチ分離構造体335の形成を含む、能動デバイス310を完成するための追加の段階を実施した後の集積回路300を表している。
【0039】
ここで図3(C)を参照すると、能動デバイス310上に位置する1つ又はそれ以上の絶縁層350の内部又はその上に相互接続金属線340を形成した後の集積回路300が図示されている。当業者であれば、本方法があらゆる数の追加の相互接続340を形成するように更に拡張可能であることが理解され、更にまた、これらの相互接続340を能動デバイス310に接続して動作可能な集積回路300を形成する方法が理解されるであろう。
【0040】
本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば、本明細書において様々な変更、置き換え、及び代替を行うことができる点を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の原理に従って製造された金属ゲートスタックの前駆構造体を示す図。
【図2A】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2B】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2C】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2D】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2E】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2F】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2G】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2H】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2I】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図2J】本発明の原理に従って半導体デバイスのための金属ゲートスタック構造体を形成する方法において選択された段階の断面図。
【図3A】本発明の原理に従って集積回路を製造するための方法の断面図。
【図3B】本発明の原理に従って集積回路を製造するための方法の断面図。
【図3C】本発明の原理に従って集積回路を製造するための方法の断面図。
【符号の説明】
【0042】
200 金属ゲートスタック
205 半導体デバイス
210 金属層
215 ゲート誘電体層
220 半導体基板
225 ポリシリコン層
230 保護層
235 無機反射防止被覆
245 パターン形成構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの金属ゲートスタックを作製する方法であって、
半導体基板上に位置するゲート誘電体層の上に金属層を堆積させる段階と、
前記金属層上にポリシリコン層を形成する段階と、
前記ポリシリコン層上に保護層を生成する段階と、
前記保護層上に無機反射防止被覆を配置する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記無機反射防止被覆は酸窒化シリコンであり、前記保護層は実質的に無窒素である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保護層は二酸化シリコンである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリシリコンのエッチングマスクとして、前記無機反射防止被覆を用いて前記ポリシリコン層をパターン化する段階、及び前記無機反射防止被覆を剥離して、それにより前記保護層を露出する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記剥離段階がドライ化学エッチング処理を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドライ化学エッチング処理は、マイクロ波プラズマ中でフッ化炭素、酸素、及び窒素ガスを混合する段階を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ドライ化学エッチング処理は、前記無機反射防止被覆対前記保護層の選択エッチング率が少なくとも約2:1である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記保護層は、前記無機反射防止被覆の剥離中に実質的に損傷を受けないままである請求項4に記載の方法。
【請求項9】
金属エッチングマスクとして前記保護層を用いて前記金属層をパターン化する段階を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記半導体基板、前記ゲート誘電体層、及び前記金属層に対して実質的に非腐食性である除去剤を用いて前記保護層を除去する段階を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
金属ゲートスタック前駆構造であって、
ゲート誘電体層を有する基板と、
前記ゲート誘電体層上の金属層と、
前記ゲート誘電体層上のポリシリコン層と、
前記ポリシリコン層上の保護層と、
前記保護層上の無機反射防止被覆と、
を有する金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項12】
前記保護層は実質的に無窒素である請求項11に記載の金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項13】
前記保護層は二酸化シリコンである請求項11に記載の金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項14】
前記保護層は炭化シリコンである請求項11に記載の金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項15】
前記保護層は約10〜20ナノメータの厚さである請求項11に記載の金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項16】
前記無機反射防止被覆層は酸窒化シリコンであり、前記ゲート誘電体は酸窒化シリコンであり、且つ、前記金属層は溶解し難い金属を含む請求項11に記載の金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項17】
前記金属層は前記溶解し難い金属のシリサイドまたは窒化物である請求項16に記載の金属ゲートスタック前駆構造。
【請求項18】
集積回路を製造する方法であって、
能動デバイスに金属ゲートスタックを形成する段階と、
半導体基板上に配置されたゲート誘電体層状に金属層を形成する段階と、
前記金属層上にポリシリコン層を形成する段階と、
前記ポリシリコン層上に保護層を生成する段階と、
前記保護層上に無機反射防止被覆を配置する段階と、
集積回路を形成するために、前記能動デバイス上に配置された多くの絶縁層の1つの上に配置された相互接続金属線に前記能動デバイスを接続する段階と、
を含む方法。
【請求項19】
前記保護層は、前記無機反射防止被覆の剥離中に実質的に損傷を受けないままである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記保護層は二酸化シリコンであり、前記無機反射防止被覆は酸窒化シリコンであり、前記金属層はTiNであり、且つ、前記ゲート誘電体層は約0.8〜約2.0ナノメータの厚さを有する酸窒化シリコンである請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2008−502141(P2008−502141A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515243(P2007−515243)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/018118
【国際公開番号】WO2005/122254
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(502293614)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】