説明

金属相互接続のための共形接着促進材ライナ

【課題】 金属相互接続のための共形接着促進材ライナを提供すること
【解決手段】 誘電体層を少なくとも1つのライン・トラフ及び/又は少なくとも1つのビア・キャビティを有するようにパターン化する。金属窒化物ライナをパターン化誘電体層の表面上に形成する。金属ライナを金属窒化物ライナの表面上に形成する。共形銅窒化物層を、原子層堆積(ALD)又は化学気相堆積(CVD)によって、金属ライナの直接上に形成する。Cuシード層を共形銅窒化物層の直接上に形成する。少なくとも1つのライン・トラフ及び/又は少なくとも1つのビア・キャビティは、電気めっき材料で充填される。共形銅窒化物層とCuシード層との間の直接接触は、強化された接着強度を与える。共形銅窒化物層をアニールして、露出した外側部分を連続的なCu層に変換することができ、このことはCuシード層の厚さを減すのに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造体に関し、より具体的には、金属共形接着促進材ライナを含む後工程(BEOL)金属相互接続構造体、及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ライナは、金属充填構造体と、金属充填構造体を埋め込む誘電体層との間に接着強度を与えるために、後工程(BEOL)金属相互接続構造体に使用される。金属ライナ及び金属充填構造体は、集合的に通電構造体を形成し、これは、例えば、金属ライン、金属ビア、又は一体形成されたそれらの組み合わせとすることができる。通電構造体の信頼性の高い動作のために、金属ライナと金属充填構造体との間の高い接着強度が必要である。金属ライナと金属充填構造体との間の高い接着強度は、エレクトロマイグレーションの防止、並びに、BEOL金属相互接続構造体の機械的安定性をもたらす。
【0003】
ほとんどの場合、金属ライナの直接上に形成される金属充填構造体の材料の粒度を増加させるためにアニールが必要である。接着強度が十分でない場合には、通電構造体のアニーリングの際に、金属ライナと金属充填構造体との間の界面にボイドが形成される可能性がある。このようなボイドは通電構造体の抵抗を増加させ、電気的性能を劣化させる。
【0004】
さらに、金属ライナと金属充填構造体との間の境界に沿った表面拡散が、通電構造体の全体的なエレクトロマイグレーション性能を決定する主要な要因となることが多い。したがって、金属ライナと金属充填構造体との間の接着強度は、通電構造体のエレクトロマイグレーション耐性を決定する上で重要である。金属ライナと金属充填構造体の間の界面におけるいかなるボイドも、通電構造体の使用、すなわち、それを通して電流を通過させることに伴うエレクトロマイグレーションの進行と共に成長する初期ボイドを与えることによって、エレクトロマイグレーション性能の劣化を悪化させる。
【0005】
図1を参照すると、従来技術の金属相互接続構造体は、パターン化誘電体層110、金属窒化物ライナ120、金属ライナ130、Cuシード層150、及び電気めっきCu構造体160を含む。パターン化誘電体層110は、ライン・トラフ、及びライン・トラフの下に位置するビア・キャビティを含む。金属窒化物ライナ120、金属ライナ130、Cuシード層150、及び電気めっきCu構造体160は、ライン・トラフ及びビア・キャビティを充填して、一体形成されたライン及びビア構造体である従来技術の通電構造体(120、130、150、160)を形成する。
金属窒化物ライナ120は、典型的には、物理気相堆積(PVD)によって形成される。PVDは、堆積される材料が、スパッタリング・ターゲットの方向から堆積が起る基板に向かって動く方向性堆積法であるので、金属窒化物ライナ120の段差被覆率は、常に1.0より小さく、すなわち、平面表面上よりも構造体の側壁上により少ない材料が堆積される。したがって、ビア・キャビティの側壁上よりもライン・トレンチの底表面上により多くの材料が堆積される。側壁の被覆率を増加させるための1つの方法は、堆積と方向性スパッタ・エッチングの組み合わせである。この場合、窪んだ底表面上に堆積された金属材料を、底表面から再スパッタで除去し、方向性スパッタ・エッチングによって窪んだ底表面を囲む側壁に再堆積させることができる。さらに、ビア・キャビティの下部分よりもビア・キャビティの側壁の上部分上により多くの材料が堆積される。化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD)法はPVDよりも改善された段差被覆率を与えることが知られているが、これらの膜内には不純物が見られることが多く、これが接着層及び拡散障壁層としての膜の質を劣化させる。
【0006】
金属ライナ130もまた、通常はPVDによって形成される。金属ライナ130は、上述の堆積プロセスの方向性のために非共形となる。ビア・キャビティの下部分におけるよりもビア・キャビティの上部分におけるより多くの材料の蓄積は、ビア・キャビティの上に張り出しを作り、これがビア・キャビティの底部での材料の堆積を妨げる。このような張り出しは、材料が頂部を密閉することになり、ビア内部のさらなる堆積を妨げるので、次にビア・キャビティを導電性材料で充填するのを困難にする。さらに、金属窒化物ライナ120及び金属ライナ130は、電気めっきCu構造体160よりも高い抵抗率を有する。この理由のために、金属窒化物ライナ120の厚さ、及び金属ライナ130の厚さは、できるだけ小さいままにする必要がある。特に、前工程(FEOL)における半導体デバイスのスケーリングは、金属相互接続構造体をそれに応じて縮小させることを必要とする。
【0007】
金属窒化物ライナ120及び金属ライナ130の厚さの縮小は、信頼性の問題を生じる可能性がある。特に、金属窒化物ライナ120及び金属ライナ130の平面的な厚さが、約10nm又はそれ以下の場合には、側壁上の被覆率は均一又は連続的ではない可能性がある。したがって、特に、ビア・キャビティの側壁の底部分において、金属ライナ130の厚さが隣接する領域より薄くなる薄い金属ライナ領域133が形成される可能性がある。場合によっては、薄い金属ライナ領域133には金属ライナ130の材料が存在しない可能性がある。
【0008】
Cuシード層150はPVDによって金属ライナ130の直接上に堆積されるので、薄い金属ライナ領域133は、Cuシード層150と金属ライナ130との間により弱い接着性をもたらす。これは、薄い金属ライナ領域133内で金属ライナ130が存在しない場合、又は金属ライナ130の薄い部分を介して、Cuは金属窒化物ライナ120への弱い接着性を有する傾向があるためである。ビア・キャビティ及びライン・トラフは電気めっきCu構造体160で充填されて、従来技術の通電構造体(120、130、150、160)を形成する。
【0009】
図2を参照すると、図1の薄い金属ライナ領域133は、金属ライナ130のより薄い部分及び金属窒化物ライナ120へのCuシード層150の弱い接着性のために、キャビティ137を形成し易い。ある場合にキャビティ137は、通常は電気めっきCu構造体160の電気めっき後に電気メッキCu材料の粒径を増すために行われるアニール中に、形成される可能性がある。Cuシード層150と、薄い金属ライナ領域133での金属ライナとの間の弱い接着性はCu材料の移動を容易にし、これがキャビティの形成を引き起こす。
【0010】
アニール中にキャビティの形成が防止される場合でも、従来技術の通電構造体(120、130、150、160)は、電流を通過させるように用いることで、Cu材料のエレクトロマイグレーションによりキャビティ137を形成する可能性がある。薄い金属ライナ領域133は、Cu材料の弱い接着性のために、エレクトロマイグレーション及びボイド137の形成に対して脆弱である。
【0011】
上記を考慮すると、金属充填構造体とパターン化誘電体層との間に、過度の厚さを必要とせずに十分な接着強度を与える金属相互接続構造体を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特に、弱い接着強度の領域を生成することなく、金属ライナ構造体の表面全体にわたって十分な接着強度を与える金属ライナ構造体を含む金属相互接続構造体に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、下層の金属ライナを共形的に覆い、下層の金属ライナの表面全体にわたって十分に高く均一な接着強度をもたらす金属共形接着促進材ライナを含む後工程(BEOL)金属相互接続構造体、及びそれを製造する方法を提供する。
【0014】
本発明において、誘電体層は、少なくとも1つのライン・トラフ及び/又は少なくとも1つのビア・キャビティを有するようにパターン化される。金属窒化物ライナは、パターン化誘電体層の表面上に形成される。金属ライナは、金属窒化物ライナの表面上に形成される。共形銅窒化物層は、原子層堆積(ALD)又は化学気相堆積(CVD)によって金属ライナの直接上に形成される。共形銅窒化物層は、共形銅窒化物層を形成するのに使用するプロセスの特性により共形となる。Cuシード層は、共形銅窒化物層の直接上に形成される。少なくとも1つのライン・トラフ及び/又は少なくとも1つのビア・キャビティは、電気めっき材料で充填される。共形銅窒化物層とCuシード層との間の直接接触は、強化された接着強度をもたらす。共形銅窒化物層をアニールして露出した外側部分を連続的なCu層に変換することができ、このことを用いてCuシード層の厚さを減らすことができる。
【0015】
本発明の一態様により、半導体構造体を形成する方法が提供されるが、この方法は、
基板上にパターン化誘電体層を形成することと、
パターン化誘電体層のパターン化表面の直接上に金属窒化物ライナを形成することと、
金属窒化物ライナの直接上に元素金属又は金属間合金を含む金属ライナを形成することと、
金属ライナの直接上に、化学気相堆積(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって銅窒化物を含む共形接着促進材ライナを形成することと
を含む。
【0016】
1つの実施形態において、本方法は、共形接着促進材ライナの直接上にCuシード層を形成することをさらに含む。
【0017】
別の実施形態において、本方法は、Cuシード層の直接上に、Cu材料を電気めっきすることをさらに含む。
【0018】
さらに別の実施形態において、本方法は、電気めっきCu材料を平坦化することをさらに含み、その際、金属窒化物ライナの表面、金属ライナの表面、共形接着促進材ライナの表面、及び電気めっきCu材料の表面は、実質的に水平で同一平面上にくる。
【0019】
さらに別の実施形態において、銅窒化物はCuNの組成を有し、ここでxは約1から約5までである。
【0020】
さらに別の実施形態において、本方法は、約150℃から約400℃までの高温で共形接着促進材ライナをアニールすることをさらに含み、その際、共形接着促進材ライナの露出した外側部分は共形Cuリッチ(Cu-rich)導電層に変換される。
【0021】
さらに別の実施形態において、本方法は、電気めっきCu材料及びCuシード層をアニールすることをさらに含み、その際、電気めっきCu材料及びCuシード層は構造的に融合して、その体積内に界面のない一体構造の導電性Cu構造体を形成する。
【0022】
さらに別の実施形態において、本方法は、電気めっきCu材料、Cuシード層、及び共形Cuリッチ導電層をアニールすることをさらに含み、その際、電気めっきCu材料、Cuシード層、及び共形Cuリッチ導電層は構造的に融合して、その体積内に界面のない一体構造の導電性Cu構造体を形成する。
【0023】
本発明の別の態様により、金属構造体が提供され、それは、
基板上に配置され、ライン・トラフ及びビア・キャビティのうちの少なくとも1つを含むパターン化誘電体層と、
パターン化誘電体層のパターン化表面に隣接する金属窒化物ライナと、
元素金属又は金属間合金を含み、金属窒化物ライナに隣接する金属ライナと、
銅窒化物を含み、金属ライナに隣接する共形接着促進材ライナと
を含む。
【0024】
1つの実施形態において、金属相互接続構造体は、共形接着促進材ライナに隣接するCuシード層をさらに含む。
【0025】
別の実施形態において、金属相互接続構造体は、電気めっき導電性構造体をさらに含み、その場合、金属窒化物ライナ、金属ライナ、共形接着促進材ライナ、Cuシード層、及び電気めっき導電性構造体はライン・トラフ又はビア・キャビティを完全に充填する。
【0026】
さらに別の実施形態において、電気めっき導電性構造体はCu及び不純物からなり、ここで、不純物はO、N、C、Cl及びSを含む可能性があり、不純物の全濃度は約1ppmから約200ppmまでである。
【0027】
さらに別の実施形態において、金属相互接続構造体は、共形接着促進材ライナに隣接する共形Cuリッチ導電層をさらに含む。
【0028】
さらに別の実施形態において、金属相互接続構造体は、
共形Cuリッチ導電層に隣接するCuシード層と、
電気めっき導電性構造体と
をさらに含み、ここで、金属窒化物ライナ、金属ライナ、共形接着促進材ライナ、共形Cuリッチ導電層、Cuシード層、及び電気めっき導電性構造体は、ライン・トラフ又はビア・キャビティを完全に充填する。
【0029】
さらに別の実施形態において、金属相互接続構造体は、その全体積内に界面がなく、共形接着促進材ライナに隣接する、一体構造の導電性Cu構造体をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】パターン化誘電体層に埋め込まれた通電構造体の形成後の、例示的な従来技術の金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図2】アニール後又は使用後の、キャビティ137が形成された例示的な従来技術の金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図3】共形接着促進材ライナ40の形成後の、第1の例示的な金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図4】Cuシード層50及び電気めっきCu構造体60の形成後の、第1の例示的な金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図5】Cuシード層50及び電気めっきCu構造体60のアニールによる導電性Cu構造体80の形成後の、第1の例示的な金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図6】共形接着促進材ライナ40の露出部分を共形Cu層45に変換するアニールの後の、第2の例示的な金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図7】Cuシード層50及び電気めっきCu構造体60の形成後の、第2の例示的な金属相互接続構造体の縦断面図である。
【図8】共形Cu層45、Cuシード層50及び電気めっきCu構造体60のアニールによる導電性Cu構造体80の形成後の、第2の例示的な金属相互接続構造体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述のように、本発明は、金属共形接着促進材ライナを含む後工程(BEOL)金属相互接続構造体、及びそれを製造する方法に関するものであり、これらを添付の図面と共に本明細書で説明する。本明細書で使用するように、本発明又はその好ましい実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「前記の(said)」は、1つ又は複数の要素が存在することを意味するように意図したものである。図面全体を通して、同じ参照番号又は文字は、同様の又は等価な要素を示すために使用される。本発明の主題を不必要に曖昧にする公知の機能及び構造の詳細な説明は、分かりやすくするために省略した。図面は必ずしも正しい縮尺で描かれてはいない。
【0032】
図3を参照すると、本発明の第1の実施形態による第1の例示的な金属相互接続構造体は、パターン化誘電体層10、及びパターン化誘電体層10の上及び側壁表面の直接上に形成される導電性金属ライナ・スタックを含む。導電性金属ライナ・スタックは、下から上へ、金属窒化物ライナ20、金属ライナ30及び共形接着促進材ライナ40を含む。
【0033】
パターン化誘電体層10は少なくとも1つのキャビティ15のパターンを有し、これは、少なくとも1つのライン・トラフ、少なくとも1つのビア・キャビティ、又は、少なくとも1つのビア・キャビティが少なくとも1つのライン・トラフの下にあるそれらの組み合わせとすることができる。本発明の説明のために、少なくとも1つのビア・キャビティ15を使用するが、これはビア・キャビティ及びその上のライン・トラフを含むデュアルダマシン・キャビティである。本発明は、一般に、少なくとも1つのビア・キャビティを含み、ライン・トラフを含まないパターン化誘電体層、少なくとも1つのライン・トラフを含み、ビア・キャビティを含まないパターン化誘電体層、並びに、複数のビア・キャビティ及び複数のライン・キャビティを含むパターン化誘電体層を含む他の金属相互接続構造体に使用することができる。そのような変形物は本明細書で明確に考慮される。
【0034】
デュアルダマシン・キャビティは、当技術分野で既知のデュアルダマシン集積法を使用する2つのリソグラフィ・ステップ及び2つのエッチング・ステップのセットによって形成することができる。ビア・キャビティは、ライン・キャビティの形成より前に形成することができ、あるいは、デュアルダマシン集積法の詳細に応じて逆にすることもできる。上述のように、本発明は、シングルダマシン集積法、並びに、デュアルダマシン集積法に適合する。パターン化誘電体層10内にキャビティを形成するいかなる金属相互接続構造体も、本発明を実施するのに使用することができる。
【0035】
パターン化誘電体層10は、通常はBEOL相互接続構造体に使用される誘電体材料を含む。パターン化誘電体層10に使用することができる誘電体材料には、それらに限定されないが、シリケートガラス、有機シリケートガラス(OSG)材料、化学気相堆積によって形成されるSiCOHベースの低k材料、スピンオン・ガラス(SOG)、又は、SiLK(商標)のようなスピンオン低k誘電体材料などが含まれる。シリケートガラスは、非ドープのシリケートガラス(USG)、ボロシリケートガラス(BSG)、リン酸シリケートガラス(PSG)、フルオロシリケートガラス(FSG)、ボロリン酸シリケートガラス(BPSG)などを含む。誘電体材料は、3.0未満の誘電率を有する低誘電率(低k)材料とすることができる。誘電体材料は、非多孔質又は多孔質とすることができる。
【0036】
パターン化誘電体層10の誘電体材料は、プラズマ強化化学気相堆積、高密度プラズマ化学気相堆積、熱化学気相堆積、スピンコート及び硬化などによって形成することができる。パターン化誘電体層10の厚さは、約100nmから約2,000nmまで、典型的には約200nmから約1,000nmまでとすることができるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。
【0037】
パターン化誘電体層10は、基板(図示せず)上に形成することができる。パターン化誘電体層10を形成するのに使用できる典型的な基板は、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、接合ダイオード、キャパシタ、レジスタ、インダクタなどのような少なくとも1つの半導体デバイスを含む半導体基板である。この場合、第1の例示的な金属相互接続構造体は、複数レベルの金属配線構造体を含み、半導体基板上の半導体デバイスの間、並びに、半導体デバイスとC4パッド又はワイヤボンド・パッドのようなボンディング構造体との間に電気配線を与える、より大きな金属相互接続構造体(図示せず)の内部に組み込まれる。
【0038】
金属窒化物ライナ20は、パターン化誘電体層10のパターン化表面の直接上に形成される。パターン化表面は、ビア・キャビティの底表面、ビア・キャビティの側壁表面、ライン・トラフの底表面、ライン・トラフの側壁表面を含む。金属窒化物ライナ20は、導電性金属窒化物、すなわち、元素金属、少なくとも2つの元素金属の金属間合金、又は少なくとも1つの元素金属と半導体要素のような少なくとも1つの非金属元素との合金、の導電性窒化物を含む。典型的には、金属窒化物ライナ20は導電性金属窒化物からなる。例えば、金属窒化物ライナ20は、TaN、TiN、WN、TaSiN、TiSiN及びWSiNを含むことができる。金属窒化物ライナ20は、化学量論的又は非化学量論的物質とすることができる。金属窒化物ライナ20が非化学量論的物質である場合には、金属窒化物ライナ20が導電性である限り、金属窒化物ライナ20は窒素リッチ物質又は窒素欠乏物質とすることができる。
典型的には、金属窒化物ライナ20は、真空中で行われるスパッタリング・プロセスである物理気相堆積(PVD)によって堆積される。金属の粒子は、真空プロセスチャンバ内において窒素雰囲気下でスパッタリング・ターゲットから追い出され、真空プロセスチャンバ内に配置されたパターン化誘電体層10の表面上に堆積される。PVDプロセスは方向性である。したがって、垂直表面上よりも窪んでいない又は突き出た水平表面上により多くの材料が堆積される。また、垂直表面の底部分上よりも垂直表面の上部分上により多くの材料が堆積される。したがって、金属窒化物ライナ20の厚さは、測定の位置によって変わる。金属窒化物ライナ20内の変動を含めて、金属窒化物ライナ20の厚さは、約2nmから約20nmまでとすることができるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。いくつかの実施形態において、金属窒化物ライナ20は、化学気相堆積(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって形成することができる。
【0039】
金属窒化物ライナ20は、パターン化誘電体層10の直接上に十分な接着強度を有する導電性表面を与える機能を果たす。さらに、金属窒化物ライナは拡散障壁として機能して、可動原子のような不純物材料が金属窒化物ライナ20を通して拡散しないようにする。パターン化誘電体層10の全露出表面は、金属窒化物ライナ20によって覆われる必要があり、PVDプロセスは、本質的に統計的であるので、使用可能な厚さの範囲の下端、例えば、2.0nmに向かう金属窒化物ライナ20の厚さの減少は、パターン化誘電体層10の不十分な被覆をもたらして接着性能及び拡散障壁層としての有効性を劣化させ易い。
【0040】
金属ライナ30は、金属窒化物ライナ20の表面の直接上に形成される。金属ライナ30は、金属窒化物ライナ20全体を覆って形成される。金属ライナ30は、金属窒化物ライナ20と、少なくとも1つのキャビティ15を充填して電流の一次電流伝導経路を設けるために通常使用される元素金属との間に十分な接着強度を与える中間層として機能する。典型的には、少なくとも1つのキャビティを充填するのに使用される元素金属はCuである。金属ライナ30は、元素金属、少なくとも2つの元素金属の金属間合金を含む。典型的には、金属ライナ30は、元素金属、少なくとも2つの元素金属の金属間合金からなる。金属窒化物ライナ20及び元素Cuの両方に高い接着強度を与える材料は、Ta、Ru、Ti、Co、W、Fe、Ni、Ir、Rh、Re、Ptなど、及びそれらの金属間合金を含む。
【0041】
金属ライナ30は、物理気相堆積(PVD)又は化学気相堆積(CVD)によって堆積させることができる。金属ライナ30内の変動を含めて、金属ライナ30の厚さは、約2nmから約10nmまでとすることができるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。
【0042】
金属ライナ30の厚さが金属相互接続構造体のスケーリングとともに減少するにつれ、膜は不均一又は不連続となる可能性がある。これは、薄い金属ライナ領域33の形成を誘発するが、これは周囲の領域よりも薄い厚さを有するホール又は部分を含む金属ライナ30の領域である。薄い金属ライナ領域33は、典型的には、少なくとも1つのキャビティ15の底部に配置されるビア・キャビティの側壁のより低い部分のような、プロセスに関する低い段差被覆率を有する位置で生じる。薄い金属ライナ領域33において、金属ライナ30は不連続となり、その結果金属窒化物ライナ20の表面が露出する可能性がある。
【0043】
共形接着促進材ライナ40は、金属ライナ30の直接上に形成される。共形接着促進材ライナ40は、原子層堆積(ALD)又は化学気相堆積(CVD)によって形成されるが、これらの堆積法は、高アスペクト比の幾何学的形状、すなわち、キャビティの深さとキャビティの幅との間の比に関して例えば3.0より大きい数値を有する幾何学的形状に対しても、90%を上回る段差被覆率を有する共形膜を形成する。共形接着促進材ライナ40は、金属窒化物ライナ20と、次に堆積させるCuシード層である導電性材料との間の接着性を強化する。共形接着促進材ライナ40の厚さは、約0.5nmから約20nmまでとすることができる。ある場合には、共形接着促進材ライナ40の厚さは、約0.5nmから約5.0nmまでとすることができる。
【0044】
例えば、共形接着促進材ライナ40は銅窒化物を含む。好ましい実施形態において、共形接着促進材ライナ40は、本質的に銅窒化物からなる。金属窒化物ライナ20の何れかの表面が薄い金属ライナ領域33において金属ライナ30内のホール内で露出する場合には、共形接着促進材ライナ40の銅窒化物が金属窒化物ライナ20及び次に堆積されるCuシード層に直接接触する。銅窒化物材料内の窒素原子は、やはり窒素を含む金属窒化物ライナ20の材料に対する高い接着強度を生じる。銅窒化物材料内の銅原子は、次に堆積されるCuシード層に対する高い接着強度を生じる。さらに、共形接着促進材ライナ40は共形であるので、金属ライナ30内の全てのホールが共形接着促進材ライナ40の材料で充填される。
【0045】
周囲の領域に比較して金属ライナ30のより薄い部分を含む薄い金属ライナ領域33の他の部分に対しては、接着促進材ライナ40の共形被覆が、次に堆積される材料に対して金属ライナ30によって与えられる接着強度を強化する。
【0046】
金属窒化物ライナ内に存在する窒素原子は接着強度を減少させる傾向があるので、通常、金属窒化物ライナとCuシード層のような元素金属との間の接着強度は、金属窒化物ライナと元素金属との間の接着強度より小さくなる。この理由のために、Cuシード層と金属窒化物ライナ30との間の直接接触は望ましくなく、避けられる。しかしながら、本発明において使用される銅窒化物材料は、銅窒化物材料がCuを含むので、Cuシード層に対する良好な接着強度をもたらす。さらに、銅窒化物材料内にある窒素原子は、やはり窒素原子を含む金属窒化物ライナに対する良好な接着性をもたらす。この点において、銅窒化物は、Cuシード層のようなCu材料と直接接触する際に高い接着強度をもたらすことにより、金属窒化物材料の間の例外となる。堆積の共形性、すなわち、ALDプロセス及びCVDプロセスの固有の高い共形性は、露出表面の完全な被覆を可能にし、その結果薄い金属ライナ領域33内の金属ライナ30のあらゆるホール又は薄い部分は共形接着促進材ライナ40で覆われる。金属窒化物ライナ20、金属ライナ30、及び共形接着促進材ライナ40は集合的に導電性金属ライナ・スタック(20、30、40)を構成する。
【0047】
共形接着促進材ライナ40を原子層堆積(ALD)によって形成する場合には、銅アミジナート及びアンモニアに対する一連の交互の露出を使用する。銅アミジナートの化学式は当技術分野において既知である。ALDプロセスは、典型的には、約150℃から約300℃までの温度で実行される。銅アミジナートの分圧は、銅アミジナートに対する露出の各サイクル中、約1mトルから約1トルまでであるが、より低い分圧及びより高い分圧もまた本明細書で考慮される。銅アミジナートに対する露出の継続時間は、露出サイクル当たり約0.1秒から約300秒までとすることができ、典型的には、露出サイクル当たり約1秒から約30秒までである。アンモニアの分圧は、アンモニアに対する露出の各サイクルの間、約10mトルから約10トルまでである。アンモニアに対する露出の継続時間は、露出サイクル当たり約0.1秒から約300秒までとすることができ、典型的には、露出サイクル当たり約1秒から約30秒までである。典型的には、ALDプロセス用のプロセスチャンバは、銅アミジナートに対する各露出と、次の又は先行のアンモニアに対する露出との間に、基礎圧力までポンプ排気する。随意に、プロセスチャンバは、銅アミジナートに対する各露出と、次の又は先行のアンモニアに対する露出との間に不活性ガスでパージすることができる。銅アミジナートに対する1回の露出及びアンモニアに対する1回の露出の1セットにより、銅窒化物の1つの原子層が形成される。
【0048】
共形接着促進材ライナ40を、化学気相堆積(CVD)によって形成する場合には、銅アミジナート及びアンモニアは、同時にプロセスチャンバ内に流す。CVDプロセスは、典型的には、約150℃から約350℃までの温度で実行される。銅アミジナートの分圧は、CVDプロセス中、約1mトルから約10トルまでであるが、より低い分圧及びより高い分圧もまた本明細書で考慮される。アンモニアの分圧はこれと同程度の大きさである。CVDプロセスにおける銅窒化物の成長速度は、約0.02nm/minから約10nm/minまでとすることができるが、より低い堆積速度及びより高い堆積速度もまた本明細書で考慮される。
【0049】
銅窒化物の組成は、用いるプロセス条件に応じて変化し得る。銅窒化物の抵抗率もまた、銅窒化物の組成、すなわち、銅対窒素の原子比によって変化する。一般的に、銅窒化物の化学組成はCuNで与えられ、ここでxは約1から約5までである。1つの実施形態において、銅窒化物は、xの値が実質的に3.0に等しい実質的に化学量論的物質である。CuNは、Cu及びNの化学量論的化合物である。しかしながら、上述のように、窒素含有量及び銅窒化物の抵抗率は、ALDプロセス又はCVDプロセス中の堆積温度のようなプロセス条件を調節することによって変化させることができる。堆積温度が高くなるほど、銅窒化物膜内の銅の量が多くなる。
【0050】
図4を参照すると、Cuシード層50及び電気めっき導電性構造体60は、少なくとも1つのキャビティ15内に形成される。電気めっき導電性構造体60、Cuシード層50、共形Cuリッチ導電層45、共形接着促進材ライナ40、金属ライナ30、及び、金属窒化物ライナ20の、共形接着促進材ライナ40の最上部表面より上の部分は、明瞭にするために、図7には図示していないことに留意されたい。
【0051】
Cuシード層50は、上述のような銅窒化物を含むことができる共形接着促進材ライナ40の表面の直接上に堆積される。Cuシード層50はCuを含み、好ましくはCuからなる。典型的には、PVDによって形成されるCuシード層50は、他の型のCuシード層に比較して優れた性能をもたらす。上述のように、PVDプロセスを用いると、膜内の厚さに変動が生じる。したがって、Cuシード層50は、膜全体にわたって厚さの変動を有する。低い段差被覆率を有する場所、例えば、ビア・キャビティの側壁の底部分に十分なシーディング材料を与えるために、シーディングのための最小量のCu材料の厚さを越える厚さを有するCuシード材料部分を水平表面の窪んでいない又は突き出た部分の上に形成する。Cuシード層50内の厚さの変動を含めて、Cuシード層50の厚さは、典型的には、約10nmから約60nmまでであるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。
【0052】
金属をCuシード層50の直接上に電気めっきし、少なくとも1つのキャビティ15を完全に充填して電気めっき導電性構造体60を形成する。少なくとも1つのキャビティ内のビア・キャビティ及びライン・トラフの両方が電気めっき材料で充填される。電気めっき金属はCuを含むことが好ましい。Cuを電気めっきする方法は当技術分野において既知である。電気めっき材料がCuを含む場合、電気めっき材料もまた、既知の電気めっき方法によって電気めっきCu材料内に導入される不純物原子を含む。
【0053】
図5を参照すると、電気めっき導電性構造体60が電気めっきCuを含む場合、第1の例示的な金属相互接続構造体は、100℃を超える高温で、典型的には約150℃から約400℃までの高温でアニールして、Cuシード層50及び電気めっき導電性構造体60内の粒子成長を促進することができる。アニールの後、電気めっき導電性構造体60及びCuシード層50は構造的に融合して、共形接着促進材ライナ40に隣接する一体構造の導電性Cu構造体80を形成する。典型的には、一体構造の導電性Cu構造体80は、電気めっき導電性構造体60とCuシード層50の融合のためにその全体積内に界面はない。接着促進材ライナ40と導電性Cu構造体80と間の界面は段階的となり得る。共形接着促進材ライナ40は部分的に分解して銅リッチの銅窒化物となることができ、これが構造体80への良好な接着を形成する。
【0054】
電気めっき材料、Cuシード層50、共形接着促進材ライナ40、金属ライナ30、及び、金属窒化物ライナ20の、パターン化誘電体層10の最上表面より上に位置する部分は、平坦化によって除去される。平坦化は、例えば、化学機械平坦化(CMP)によって行うことができる。パターン化誘電体層10の最上部分は、CMPプロセスのための停止層として使用できる誘電体ハードマスク層(別個には図示せず)を含むことができる。平坦化の終了時点で、電気めっき材料の残りの部分は、電気めっき導電性構造体60を構成する。好ましい実施形態において、電気めっき導電性構造体60は電気めっきCu材料を含み、これは上述のように不純物を含む。
【0055】
金属窒化物ライナ20、金属ライナ30、共形接着促進材ライナ40、Cuシード層50、及び電気めっき導電性構造体60は、ビア・キャビティの上にあるライン・トラフとすることができる少なくとも1つのキャビティ15(図3参照)を完全に充填する。
【0056】
図6を参照すると、第2の例示的な金属相互接続構造体は、本発明の第1の実施形態による図3の第1の金属相互接続構造体から得られる。第2の実施形態において、共形接着促進材ライナ40は、銅窒化物を含み、銅窒化物からなることが好ましい。図3の第1の例示的な金属相互接続構造体の形成後、図6の第2の例示的な金属相互接続構造体は、共形接着促進材ライナ40を約150℃から約400℃までの高温でアニールすることによって得られる。共形接着促進材ライナ40の露出した外側部分は、共形Cuリッチ導電層45に変換される。1つの実施形態において、共形Cuリッチ導電層45は、実質的に原子窒素がなく本質的にCuからなる元素Cu層を含む。別の実施形態において、共形Cuリッチ導電層はCuNδの組成を有する銅リッチの銅窒化物層を含み、ここでδは約0.001から約0.3まで、典型的には約0.001から約0.1まで、より典型的には、約0.001から約0.02までとすることができる。共形Cuリッチ導電層45と共形接着促進材ライナ40との間の界面は、窒素の濃度が界面を横切って段階的に変化するように段階的となり得る。典型的には、約5−10%の水素ガス、及び約90−95%の窒素ガスを含むフォーミングガスを、共形接着促進材ライナ40の外側部分を共形Cuリッチ導電層45に変換するアニールの間の雰囲気ガスとして使用することができる。
【0057】
銅窒化物材料の元素Cuへの化学変換は、アスペクト比にかかわらず同じ速度で進行する化学反応であるので、共形Cuリッチ導電層45は共形となる。共形接着促進材ライナ40の厚さは、アニールの前で約0.5nmから約20nmまでである。第2の実施形態において、共形接着促進材ライナ40の厚さは、好ましくはアニールの前で約2nmから約20nmまでとして、共形接着促進材ライナ40の一部分が共形Cuリッチ導電層45に変換するのを可能にする。共形Cuリッチ導電層45の厚さは、約0.5nmから約20nmまでとすることができるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。共形接着促進材ライナ40の厚さは、アニールの後で約0.5nmから約19.5nmまでとすることができるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。共形接着促進材ライナ40の残りの部分と共形Cuリッチ導電層45との間の接着強度は高くなるが、その理由は2つの層が同じ元素、すなわち、Cuを含み、アニールの前に最初の共形接着促進材ライナ40から得られるからである。
【0058】
図7を参照すると、Cuシード層50及び電気めっき導電性構造体60は、少なくとも1つのキャビティ15内に形成される。電気めっき導電性構造体60、Cuシード層50、共形Cuリッチ導電層45、共形接着促進材ライナ40、金属ライナ30、及び、金属窒化物ライナ20の、共形Cuリッチ導電層45の最上表面より上の部分は、明瞭にするために、図7には図示していないことに留意されたい。
【0059】
Cuシード層50は、共形Cuリッチ導電層45の表面の直接上に堆積される。Cuシード層50及び共形Cuリッチ導電層45はCuを含むので、Cuシード層50と共形Cuリッチ導電層45との間の接着強度は高い。Cuシード層50は、第1の実施形態におけるのと同じ方法、例えば、PVDによって形成することができる。Cuシード層50は、PVDを使用する場合、膜全体にわたる厚さの変動を有する。共形Cuリッチ導電層45が付加的なCu材料を与えるので、Cuシード層50の厚さは、第1の実施形態におけるCuシード層50の厚さよりも薄くすることができ、約5nmから約60nmまでとすることができるが、より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた本明細書で考慮される。本発明によると、下にある層がビア・ホールの側壁の共形被覆をもたらすので、Cuシード層50にはより少ない材料が必要になり得る。したがって、Cuシード層50を含む導電性材料の輪郭は、ビア・ホールの上部分でより広い開口部を生じるので、次の銅電気めっきプロセス中のピンチオフが防止される。
【0060】
金属をCuシード層50の直接上に電気めっきして、第1の実施形態におけるように少なくとも1つのキャビティ15(図6参照)を完全に充填する。少なくとも1つのキャビティ内のビア・キャビティ及びライン・トラフは両方ともに、電気めっき材料で完全に充填される。電気めっき金属はCuを含むことが好ましい。
【0061】
図8を参照すると、電気めっき導電性構造体60が電気めっきCuを含む場合、第2の例示的な金属相互接続構造体を、100℃を超える高温、典型的には約150℃から約400℃までの高温でアニールして、共形Cuリッチ導電層、Cuシード層50及び電気めっき導電性構造体60における粒子成長を促進することができる。アニールの後、電気めっき導電性構造体60、Cuシード層50、及び共形Cuリッチ導電層45の共形元素Cu層部分が構造的に融合して、共形接着促進材ライナ40に隣接する一体構造の導電性Cu構造体80を形成する。共形Cuリッチ導電層45全体が共形元素Cu層に変換される場合には、共形Cuリッチ導電層45の全体が、導電性Cu構造体80に組み込まれる。典型的には、一体構造の導電性Cu構造体80は、電気めっき導電性構造体60、Cuシード層50、及び共形Cuリッチ導電層45の融合のためにその全体積内に界面はない。導電性Cu構造体80は、典型的にはCu及び不純物からなる。不純物はO、N、C、Cl及びSを含み、ここで不純物の全濃度は約1ppmから約200ppmまでである。
【0062】
電気めっき材料、Cuシード層50、共形Cuリッチ導電層45、共形接着促進材ライナ40、金属ライナ30、及び、金属窒化物ライナ20の、パターン化誘電体層10の最上表面より上に位置する部分は、平坦化によって除去される。平坦化は、例えば、化学機械平坦化(CMP)によって行うことができる。パターン化誘電体層10の最上部分は、誘電体ハードマスク層(別個には図示せず)を含むことができ、これをCMPプロセスのための停止層として使用することができる。平坦化の終了時点で、電気めっき材料の残りの部分は、電気めっき導電性構造体60を構成する。好ましい実施形態において、電気めっき導電性構造体は電気めっきCu材料を含み、これは上述のように不純物を含む。
【0063】
金属窒化物ライナ20、金属ライナ30、共形接着促進材ライナ40、共形Cuリッチ導電層45、Cuシード層50、及び電気めっき導電性構造体60は、ビア・キャビティの上にあるライン・トラフとすることができる少なくとも1つのキャビティ15(図6参照)を完全に充填する。金属窒化物ライナ20の表面、金属ライナ30の表面、共形接着促進材ライナ40の表面、共形Cuリッチ導電層45の表面、Cuシード層50の表面、及び電気めっき導電性構造体60の表面は、第1の例示的な金属相互接続構造体の頂部において実質的に水平かつ互いに同一平面上にある。さらに、電気めっき導電性構造体60の上表面は、パターン化誘電体層10の最上表面と実質的に同一平面上にある。
【0064】
本発明を特定の実施形態について説明してきたが、多数の代替、修正及び変形が当業者には明らかとなることが、前述の説明を考慮すれば明らかである。したがって、本発明は、本発明の範囲及び精神並びに以下の特許請求の範囲内にある、このような全ての代替、修正及び変形を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10、110:パターン化誘電体層
15:キャビティ
20、120:金属窒化物ライナ
30、130:金属ライナ
33、133:薄い金属ライナ領域
40:共形接着促進材ライナ
45:共形Cuリッチ導電層
50、150:Cuシード層
60:電気めっき導電性構造体
80:導電性Cu構造体
137:キャビティ(ボイド)
160:電気めっきCu構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造体を形成する方法であって、
基板上にパターン化誘電体層を形成するステップと、
前記パターン化誘電体層のパターン化表面の直接上に、金属窒化物ライナを形成するステップと、
前記金属窒化物ライナの直接上に、元素金属又は金属間合金を含む金属ライナを形成するステップと、
前記金属ライナの直接上に、化学気相堆積(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって、銅窒化物を含む共形接着促進材ライナを形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記共形接着促進材ライナの直接上に、Cuシード層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Cuシード層の直接上に、Cu材料を電気めっきするステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パターン化誘電体層は、ライン・トラフ及びビア・キャビティのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ライン・トラフ又は前記ビア・キャビティは、前記Cu材料の前記電気めっきによって完全に充填される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気めっきCu材料を平坦化するステップをさらに含み、前記金属窒化物ライナの表面、前記金属ライナの表面、前記共形接着促進材ライナの表面、及び前記電気めっきCu材料の表面は、実質的に水平で同一平面上にある、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記電気めっきCu材料及び前記Cuシード層をアニールするステップをさらに含み、前記電気めっきCu材料及び前記Cuシード層は構造的に融合して、その全体積内に界面のない一体構造の導電性Cu構造体を形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記共形接着促進材ライナは、銅アミジナートとアンモニアに対する一連の交互露出による原子層堆積(ALD)によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ALDは150℃から300℃までの温度で実行され、銅アミジナートの分圧は、銅アミジナートに対する露出の各サイクルの間、1mトルから1トルまでである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記共形接着促進材ライナは、銅アミジナート及びアンモニアの同時の流れを使用する化学気相堆積(CVD)によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記CVDは150℃から350℃までの温度で実行され、銅アミジナートの分圧は、前記CVDの間、1mトルから100トルまでである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記銅窒化物はCuNの組成を有し、xは1から5までである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記共形接着促進材ライナを150℃から400℃までの高温でアニールするステップをさらに含み、前記共形接着促進材ライナの露出した外側部分は、銅及び窒素を含む共形Cuリッチ導電層に変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記共形Cuリッチ導電層の直接上に、物理気相堆積(PVD)によってCuシード層を形成するステップと、
前記Cuシード層の直接上に、Cu材料を電気めっきするステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電気めっきCu材料、前記Cuシード層、及び前記共形Cuリッチ導電層をアニールするステップをさらに含み、前記共形Cuリッチ導電層は共形元素Cu層を含み、前記電気めっきCu材料、前記Cuシード層、及び前記共形元素Cu層は構造的に融合して、その全体積内に界面のない一体構造の導電性Cu構造体を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板上に配置され、ライン・トラフ及びビア・キャビティのうちの少なくとも1つを含むパターン化誘電体層と、
前記パターン化誘電体層のパターン化表面に隣接する金属窒化物ライナと、
元素金属又は金属間合金を含み、前記金属窒化物ライナに隣接する金属ライナと、
銅窒化物を含み、前記金属ライナに隣接する共形接着促進材ライナと
を含む、金属相互接続構造体。
【請求項17】
前記共形接着促進材ライナに隣接するCuシード層をさらに含む、請求項16に記載の金属相互接続構造体。
【請求項18】
電気めっき導電性構造体をさらに含み、前記金属窒化物ライナ、前記金属ライナ、前記共形接着促進材ライナ、前記Cuシード層、及び前記電気めっき導電性構造体は、前記ライン・トラフ又は前記ビア・キャビティを完全に充填する、請求項17に記載の金属相互接続構造体。
【請求項19】
前記金属窒化物ライナの表面、前記金属ライナの表面、前記共形接着促進材ライナの表面、及び前記電気めっき導電性構造体の表面は、実質的に水平で同一平面上にある、請求項18に記載の金属相互接続構造体。
【請求項20】
前記電気めっき導電性構造体はCu及び不純物からなり、前記不純物はO、N、C、Cl及びSを含み、前記不純物の全濃度は1ppmから200ppmまでである、請求項18に記載の金属相互接続構造体。
【請求項21】
前記銅窒化物は、CuNの組成を有し、xは1から5までである、請求項16に記載の金属相互接続構造体。
【請求項22】
前記共形接着促進材ライナは、0.5nmから20nmまでの厚さを有する、請求項16に記載の金属相互接続構造体。
【請求項23】
前記共形接着促進材ライナ上に隣接する共形Cuリッチ導電層をさらに含む、請求項16に記載の金属相互接続構造体。
【請求項24】
前記共形Cuリッチ導電層に隣接するCuシード層と、
電気メッキ導電性構造体と
をさらに含み、
前記金属窒化物ライナ、前記金属ライナ、前記共形接着促進材ライナ、前記共形Cuリッチ導電層、前記Cuシード層、及び前記電気めっき導電性構造体は、前記ライン・トラフ又は前記ビア・キャビティを完全に充填する、
請求項16に記載の金属相互接続構造体。
【請求項25】
その全体積内に界面がなく、前記共形接着促進材ライナに隣接する、一体構造の導電性Cu構造体をさらに含む、請求項16に記載の金属相互接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−530835(P2011−530835A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523063(P2011−523063)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/053256
【国際公開番号】WO2010/019490
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】